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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シリコーンフォームの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/02 20060101AFI20241219BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08J9/02 CFH
B29C44/00 A
B29C44/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536061
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 FR2022000132
(87)【国際公開番号】W WO2023111405
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113749
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507421304
【氏名又は名称】エルケム・シリコーンズ・フランス・エスアエス
【氏名又は名称原語表記】ELKEM SILICONES France SAS
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ルイ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・プジェ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA90
4F074AA91M
4F074AA95M
4F074AB05
4F074AC17
4F074AC32
4F074AG01
4F074BA34
4F074BB00
4F074BB23
4F074CA12
4F074CA13
4F074CA25
4F074CC04Z
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA35
4F074DA47
4F214AA33
4F214AB02
4F214AG20
4F214AJ10
4F214UA01
4F214UB01
4F214UC02
4F214UC03
4F214UD17
4F214UF27
4F214UK31
(57)【要約】
本発明は、建設、輸送、電気絶縁又は家電製品の分野における物品を製造するのに理想的な、特に輸送分野の座席のための室内装飾材料として理想的な、シリコーンフォームを調製するための新規な方法に関する。この方法は、(a)気体の放出によってフォームを形成できるシリコーン組成物を調製する工程;(b)このシリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程;及び(c)このシリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程を含み、モールドの壁は、少なくともこのシリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させる工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンフォームの調製方法であって、以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程;及び
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含み、
前記モールドの壁は、少なくとも前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させるための工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である、シリコーンフォームの調製方法。
【請求項2】
シリコーンフォームを形成することが可能な前記シリコーン組成物は、重付加により架橋する組成物であって、
・1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・触媒有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒C、及び
・ヒドロキシル基を含む少なくとも1種の気孔形成剤D
を含む組成物である、請求項1に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項3】
ヒドロキシル基を含む前記気孔形成剤Dは、水、ポリオール、単官能アルコール、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシラン、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシロキサン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択され、好ましくは前記気孔形成剤Dが水である、請求項2に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項4】
前記シリコーン組成物が、(当該シリコーン組成物の重量全体に対する重量で)
a.40重量%~80重量%の、1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
b.1%~20%の、1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフ、好ましくは少なくとも3つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
c.2重量ppm~400重量ppmの、白金化合物から選択されるヒドロシリル化触媒C(白金金属の重量で計算された量)、
d.0.3重量%~2.5重量%の気孔形成剤D、
e.少なくとも3重量%の、比表面積が100m2/g~300m2/gであるヒュームドシリカ、
f.少なくとも6重量%の、石英粉末である少なくとも1種の無機充填剤、及び
g.0.4重量%~5重量%の少なくとも1種の耐熱性及び/又は耐火性添加剤
を含む、請求項2又は請求項3に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項5】
前記モールドの壁が、モールドの機械的強度を確保するための硬質な材料であって、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である材料によって構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項6】
前記モールドの壁が、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、気体に対して透過性であり、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項7】
気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である前記内側材料が、軟質材料、好ましくは織成された、編成された又は不織の繊維材料である、請求項6に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項8】
以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、気体に対して透過性であり、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である、工程;
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む、請求項6又は請求項7に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項9】
本発明に従うモールドの壁が、気体に対する透過性を確保するための通気孔が設けられた、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料と、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置によって構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項10】
以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、モールドの機械的強度及び気体に対する透過性を確保するための硬質な外側材料と、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置によって構成されている、工程;
c)前記シリコーン組成物をゲル化点まで架橋及び/又は硬化させる工程;
c’)液体に対する壁の不透過性を確保する前記取り外し可能な装置を取り外す工程;及び
c’’)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む、請求項9に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項11】
前記方法が大気圧下で行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項12】
前記方法が室温で行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なシリコーンフォームから製造された物品。
【請求項14】
建設、輸送、電気絶縁又は家電分野の物品であり、好ましくは輸送分野の座席の少なくとも1つの要素である、請求項13に記載のシリコーンフォームの物品。
【請求項15】
シリコーンフォームの製造のための、壁が気体に対して透過性である、密閉モールドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンフォームの技術分野に関する。より具体的には、本発明は、シリコーンフォームを調製するための新規な方法を提案することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
「シリコーンのフォーム」又は「シリコーンフォーム」という表現は、フォームの形態のオルガノポリシロキサンの組成物を指定する。シリコーンフォーム材料は、様々な利用分野、例えば、断熱及び/又は防音、軟質シールの製造、防振要素としての使用等で知られている。これらの用途では、シリコーンエラストマーの既知の特性、例えば、熱安定性、良好な機械的特性、耐燃性等が活用される。
【0003】
特に輸送業界では、低密度であるが、優れた機械的特性、耐熱性及び耐火性を維持したシリコーンフォームが求められている。
【0004】
シリコンフォームは先行技術でよく知られており、それらの調製は一定数の特許に記載されている。特に、特許出願WO2021/014058は、架橋及び/又は硬化後に、有利には良好な機械的特性、優れた耐火性を有し、燃焼中に有毒ガスを放出しない、低密度、即ち0.20g/cm3未満のシリコーンフォームを生成することを目的としたオルガノポリシロキサン組成物を記載する。
【0005】
WO2021/014058に記載のシリコーンフォームは、水素を生成する発泡反応によって得られる:要約すれば、重付加により架橋する組成物であって、ケイ素に結合したビニル基を持つオルガノポリシロキサン、ケイ素に結合した水素原子を含有するオルガノポリシロキサン及び水を含む組成物を使用する。水は、ヒドリド官能基を含有するオルガノポリシロキサンと反応し、それによってガス状の水素とシラノールを生成する。次いで、シラノールは、水素縮合反応によってヒドリド官能基を含有するオルガノポリシロキサンと反応し、それによってガス状の水素の第2分子を生成し、一方で、ケイ素に結合したビニル基を持つ別のポリジオルガノシロキサンは、同時に、付加反応によって、ヒドリド官能基を含有する別のポリジオルガノシロキサンと反応し、それによってシリコーンフォームの網状構造の構築に関与する。
【0006】
標準的な開放モールドで発泡が行われた場合、フォームにかなりの欠陥が現れる可能性があり、特にフォームのブロックの下のくぼみ、フォーム自体の大きな気泡等があることが観察されている。シリコーンフォーム物品の工業規模の生産において、このような変形は容認できない。
【0007】
先行技術において、シリコーンフォームを発泡させる方法を実施するための手段及び方法を記載する文献はほとんどない。
【0008】
欧州特許出願EP0495566は、1992年に発行され、シリコーンフォームを調製するための方法を記載し、ここで、前駆物質のフォーム組成物は、フォームが開放モールド内で占める容積よりも少なくとも10%少ない容積の密閉及び封止モールドに導入される。この出願の発明者によれば、抑制された条件下での発泡は、フォームの耐燃性を向上させることができる。しかしながら、モールド内で数時間の熱アニールによる架橋後の工程が必要であると思われる。加えて、密閉モールドでは、得られるフォームの密度が、開放モールドで得られるフォームの密度よりも系統的に高くなる。しかし、輸送業界では低密度シリコーンフォームを得ることが好ましい。
【0009】
日本国特許出願JP2004-123836は、減圧下、密閉モールド内でシリコーンフォームを製造するための方法を記載する。この文献によれば、この方法は、所望の密度を有する均一のシリコーンフォームを得るのに使用できる。しかしながら、かかる方法は実施するのが複雑であり、モールド封止の管理が非常に重要である。水素は空気中に非常に広がりやすい気体であるため、封止が保証されない。
【0010】
特許出願US2011/0074061A1は、シリコーンエラストマースポンジを好ましくはチューブの形態に成形するための方法を記載する。この方法によれば、シリコーン組成物を密閉モールドに導入して架橋し、次いで、モールドを開ける前にモールドのキャビティに存在する気体を放出する。この中間脱気工程は、モールドから取り出す際の成形物の損傷、例えば破壊又は裂け等を回避できることを意味する。しかしながら、この脱気工程はシリコーン組成物の架橋後にのみ行われる。従って、架橋時に対象に現れる欠陥に影響を与えることができない。加えて、US2011/0074061A1に記載の実施形態から明らかなように、気体の放出のために使用される穴は、チューブの小さな端部に位置しており、チューブの本質的な表面、例えば内面又は外面等での変形の出現を防ぐのに使用できない。
【0011】
フォームを成形するための方法に関する他の文献が先行技術に存在するが(例えば、米国特許US3431331)、それらはポリウレタンフォームに関する。シリコーンフォームと比べると、その架橋の化学が全く異なるだけでなく、発泡反応、膨張中に放出される気体、架橋及び発泡の速度論等も異なる。
【0012】
従って、先行技術に記載の改良された発泡方法は、低密度シリコーンフォームを容易に製造するのに使用することができない。
【0013】
そこで、本発明の目的は、形状に関して大きな欠陥のない低密度のフォームのブロックを得るために使用できるシリコーンフォームを調製するための新規な方法を提案することにある。有利には、シリコーンフォームを調製するためのこの方法は、実施することが容易であり、アニール工程を必要としない。
【発明の概要】
【0014】
従って、本発明は、シリコーンフォームの調製方法であって、以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程;及び
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含み、
前記モールドの壁は、少なくとも前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させるための工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である、シリコーンフォームの調製方法に関する。
【0015】
さらに、本発明は、上記で定義された方法によって得ることができるシリコーンフォームから製造された物品、並びにシリコーンフォームの製造のための、壁が気体に対して透過性である、密閉モールドの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従うモールドの一実施形態を示す。
図2】本発明に従うモールドの壁の4つの実施形態(2A、2B、2C及び2D)を示す。
図3】比較例に従って得られたシリコーンフォームのブロックの写真である。
図4】本発明に従う実施例で使用されたモールドの写真である。
図5】本発明に従う実施例に従って得られたシリコーンフォームのブロックの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別段の指示がない限り、本開示で考慮されるシリコーン油の粘度のすべては、「ニュートニアン」と称される25℃での動的粘度の値に対応し、即ち、それ自体が既知である方法において、ブルックフィールド粘度計を用い、測定される粘度がせん断速度勾配から独立しているほど十分に低いせん断速度勾配で、測定される動的粘度の値に対応する。
【0018】
本発明は、シリコーンフォームを調製するための方法に関する。この方法は、気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製することからなる第1の工程(a)を含む。この種類の組成物は文献において知られている。
【0019】
好ましい実施形態によれば、シリコーンフォームを形成可能なシリコーン組成物は、重付加により架橋する組成物であって、発泡時に水素を生成する組成物である。この好ましい実施形態によれば、前述のシリコーン組成物は、
・1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・触媒有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒C、及び
・ヒドロキシル基を含む少なくとも1種の気孔形成剤D
を含む。
【0020】
1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンAは、好ましくは、
・以下の式:Ya1 bSiO(4-a-b)/2を有する少なくとも2つのシロキシモチーフであって、Yは、C2~C12アルケニル基、好ましくはビニル基を表し;R1は、1~12個の炭素原子を含有する1価の炭化水素基を表し、好ましくは1~8個の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル基等、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、及び6~12個の炭素原子を含有するアリール基から選択され;a=1又は2、b=0、1又は2であり、その合計a+b=2又は3である、少なくとも2つのシロキシモチーフ、及び
・任意に、以下の式:R1 cSiO(4-c)/2を有するモチーフであって、R1は、上記したものと同じ意味を有し、c=2又は3である、モチーフ
によって形成される線状のオルガノポリシロキサンであってもよい。
【0021】
上記式において、いくつかのR1基が存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0022】
好ましくは、前述のオルガノポリシロキサンAは、動的粘度が100mPa・s~100000mPa・s、好ましくは100mPa・s~80000mPa・s、より好ましくは1000mPa・s~50000mPa・sである油である。
【0023】
1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する線状のオルガノポリシロキサンAは、好ましくは、シロキシモチーフR1 2SiO2/2、YR1SiO2/2及びY2SiO2/2によって構成される群から選択されるシロキシモチーフ「D」と、シロキシモチーフYR1 2SiO1/2、Y21SiO1/2及びR1 3SiO1/2によって構成される群から選択される末端シロキシモチーフ「M」によって本質的に構成され得る。記号Y及びR1は上述のとおりである。
【0024】
挙げることのできる末端モチーフ「M」の例は、トリメチルシロキシ、ジメチルフェニルシロキシ、ジメチルビニルシロキシ又はジメチルヘキセニルシロキシ基である。
【0025】
挙げることのできるモチーフ「D」の例は、ジメチルシロキシ、メチルフェニルシロキシ、メチルビニルシロキシ、メチルブテニルシロキシ、メチルヘキセニルシロキシ、メチルデセニルシロキシ又はメチルデカジエニルシロキシ基である。
【0026】
本発明に従うオルガノポリシロキサンAを形成し得る線状のオルガノポリシロキサンの例は、
・ジメチルビニルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン);
・ジメチルビニルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルフェニルシロキサン);
・ジメチルビニルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン);及び
・トリメチルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)
である。
【0027】
好ましくは、オルガノポリシロキサンAは、末端ジメチルビニルシリルモチーフを含有し、より好ましくは、オルガノポリシロキサンAは、ジメチルビニルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0028】
好ましくは、オルガノポリシロキサン化合物Aは、アルケニルモチーフの重量による含有量が、0.001%~30%、好ましくは0.01%~10%、好ましくは0.02%~5%である。
【0029】
シリコーン組成物は、好ましくは40重量%~80重量%のオルガノポリシロキサンA、より好ましくは50重量%~70重量%のオルガノポリシロキサンAを含む。一実施形態によれば、シリコーン組成物は、C2~C12アルケニルモチーフを含む枝分かれしたオルガノポリシロキサン又は樹脂を含まない。
【0030】
オルガノポリシロキサンBは、1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフを有するオルガノポリシロキサンである。従って、それはオルガノハイドロジェノポリシロキサンである。好ましくは、化合物Bは、少なくとも3つのSiHモチーフを含む。
【0031】
オルガノポリシロキサンBは、有利に、以下の式:Hd2 eSiO(4-d-e)/2(ここで、R2は、1~12個の炭素原子を含有する一価の基を表し、d=1又は2、e=0、1又は2、d+e=1、2又は3である)を有する、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのシロキシモチーフと、任意に、以下の式:R2 fSiO(4-f)/2(ここで、R2は上記と同じ意味を有し、f=0、1、2又は3である)を有する他のモチーフとを含むオルガノポリシロキサンであり得る。
【0032】
上記式にいくつかのR2基が存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいことを理解すべきである。
【0033】
好ましくは、R2は、少なくとも1つのハロゲン原子、例えば塩素又はフッ素等によって置換されていてもよい1~8個の炭素原子を含有するアルキル基、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、及び6~12個の炭素原子を含有するアリール基によって構成される群から選択される一価の基を表すことができる。R2は、有利に、メチル、エチル、プロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、キシリル、トリル及びフェニルによって構成される群から選択され得る。
【0034】
記号dは、好ましくは1に等しい。
【0035】
オルガノポリシロキサンBは、線状、枝分かれした、又は環状の構造を有していてもよい。重合度は、好ましくは2以上である。一般に、それは5000未満である。好ましくは、オルガノポリシロキサンBの粘度は、1mPa・s~5000mPa・sの範囲であり、より好ましくは1mPa・s~2000mPa・sの範囲であり、さらにより好ましくは5mPa・s~1000mPa・sの範囲である。
【0036】
線状のポリマーの場合、それらは、本質的に、モチーフR2 2SiO2/2及びR2HSiO2/2から選択されるシロキシモチーフ「D」並びにモチーフR2 3SiO1/2及びR2 2HSiO1/2から選択される末端シロキシモチーフ「M」によって構成され、ここで、R2は上記と同じ意味を有する。
【0037】
本発明に従う化合物Bとなり得るオルガノハイドロジェノポリシロキサンの例は、
・ハイドロジェノジメチルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン);
・トリメチルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルハイドロジェノシロキサン);
・ハイドロジェノジメチルシリル末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルハイドロジェノシロキサン);
・トリメチルシリル末端基を有するポリ(メチルハイドロジェノシロキサン);及び
・環状ポリ(メチルハイドロジェノシロキサン)
である。
【0038】
オルガノハイドロジェノポリシロキサンBが枝分かれした構造を有する場合、それは、好ましくは、以下の式を有するシリコーン樹脂によって構成される群から選択される:
・M’Q、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、M基が有している;
・MM’Q、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、モチーフMの一部が有している;
・MD’Q、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、D基が有している;
・MDD’Q、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、D基の一部が有している;
・MM’TQ、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、モチーフMの一部が有している;
・MM’DD’Q、ここで、ケイ素原子に結合した水素原子は、モチーフM及びDの一部が有している;
・及びこれらの混合物、
ここで、M=式R2 3SiO1/2を有するシロキシモチーフであり、M’=式R2 2HSiO1/2を有するシロキシモチーフであり、D=式R2 2SiO2/2を有するシロキシモチーフであり、D’=式R2HSiO2/2を有するシロキシモチーフであり、T=式R2 3SiO1/2を有するシロキシモチーフであり、Q=式SiO4/2を有するシロキシモチーフであり、ここで、R2は上記と同じ意味を有する。
【0039】
好ましくは、オルガノポリシロキサンBは、ハイドロジェノシリル官能基Si-Hの重量による含有量が0.2%~91%であり、より好ましくは3%~80%であり、さらにより好ましくは15%~70%である。
【0040】
有利に、オルガノポリシロキサンAのアルケン官能基に対するオルガノポリシロキサンBのハイドロジェノシリル官能基Si-Hのモル比は、5~100であり、好ましくは10~90であり、より好ましくは15~65であり、さらにより好ましくは20~55である。
【0041】
本発明に従うシリコーン組成物は、好ましくは、1重量%~20重量%、より好ましくは3重量%~15重量%のオルガノポリシロキサンBを含む。
【0042】
ヒドロシリル化触媒Cは、特に、白金及びロジウムの化合物から選択できるだけでなく、シリコーン、例えば特許出願WO2015/004396及びWO2015/004397に記載されるもの等、ゲルマニウム化合物、例えば特許出願WO2016/075414に記載されるもの等、又はニッケル、コバルト若しくは鉄の錯体、例えば特許出願WO2016/071651、WO2016/071652及びWO2016/071654に記載されるもの等からも選択できる。触媒Cは、好ましくは、白金族に属する少なくとも1つの金属から誘導される化合物である。これら触媒はよく知られている。特に、特許US3159601、US3159602、US3220972並びに欧州特許EP0057459、EP0188978及びEP0190530に記載された白金と有機生成物の錯体、特許US3419593、US3715334、US3377432及びUS3814730に記載された白金とビニルオルガノシロキサンの錯体を使用することができる。
【0043】
好ましくは、触媒Cは、白金から誘導される化合物である。この場合、触媒Cの重量による量は、金属白金の重量として算出され、シリコーン組成物の総重量に対して、一般に2重量ppm~400重量ppmであり、好ましくは5ppm~200ppmである。
【0044】
好ましくは、触媒Cは、Karstedt白金触媒である。
【0045】
ヒドロキシル基を含む気孔形成剤Dは、水、ポリオール、単官能アルコール、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシラン、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシロキサン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択することができる。
【0046】
好ましい実施形態によれば、気孔形成剤Dは水である。水は、シリコーン組成物に直接添加されていてもよい。あるいは、水は、水性乳濁液の形態で導入されていてもよく、例えば、正の水中油型シリコーンエマルション又は連続油性シリコーン相、水相及び安定剤を含む逆の油中水型シリコーンエマルションである。一実施形態によれば、水は、水の量が60重量%ほどである、水中におけるシリコーン油の乳濁液を介して導入される。水が乳濁液を介してシリコーン組成物中に導入される場合、シリコーン組成中の水の分散及びその貯蔵安定性は改善される。
【0047】
別の実施形態によれば、気孔形成剤Dはポリオールである。好ましくは、それは、3~12個の炭素原子を含有し、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を含む有機ポリオールである。ポリオールは、線状であってもよいし、枝分かれしていてもよく、それは、任意に、1つ以上の芳香環を含んでいてもよい。挙げることのできる例は、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する飽和した多価アルコールであり、例えばUS4871781に記載されるもの等である。本発明に従う気孔形成剤として使用できるポリオールの例は、
・ジオール、例えば、1,2-エタンジオール、2,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール;
・トリオール、例えば、1,2,3-プロパントリオール及び2,2-ビス-ヒドロキシメチル-ブタノール;
・テトリトール、例えば、エリスリトール及びペンタエリスリトール;
・ペンチトール、例えば、アラビトール、キシリトール、及びメチルペンチトール;
・ヘキシトール、例えば、マンニトール及びソルビトール;並びに
・脂環式ポリオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、及びイノシトール
である。
【0048】
別の実施形態によれば、気孔形成剤Dは単官能アルコールである。好ましくは、それは、1~12個の炭素原子を含有し、1分子当たり単一のヒドロキシル基を含む有機アルコールである。アルコールは、線状であってもよいし、枝分かれしていてもよく、それは、任意に、1つ以上の芳香環を含んでいてもよい。本発明に従う気孔形成剤として使用できる単官能アルコールの例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、n-オクタノール、ベンジルアルコール、及びそれらの混合物である。
【0049】
さらに別の実施形態によれば、気孔形成剤Dは、1つ以上のシラノール基を含有するオルガノシランである。これらの化合物は、例えば、以下の式(1)又は式(2)によって表すことができる:
(1)(R33SiOH
(2)(R32Si(OH)2
ここで、R3は、少なくとも1つのハロゲン原子、例えば塩素又はフッ素等によって置換されていてもよい1~8個の炭素原子を含有するアルキル基、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、及び6~12個の炭素原子を含有するアリール基によって構成される群から選択される一価の基を表す。
【0050】
上記式にいくつかのR3が存在する場合、それらは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいことを理解すべきである。
【0051】
本発明に従う気孔形成剤として使用できる1つ以上のシラノール基を含有するオルガノシランの例は、(CH33SiOH、(C65)SiOH、(CH3)(C652SiOH及び(C652Si(OH)2である。
【0052】
さらに別の実施形態によれば、気孔形成剤Dは、1つ以上のシラノール基を含有するオルガノシロキサンである。好ましくは、それは、
・以下の式:R3 g(OH)hSiO(4-g-h)/2を有する少なくとも1つのシロキシモチーフ(ここで、R3は上記と同じ意味を有し、g=0、1又は2、h=1又は2、合計g+h=1、2又は3である)、
・任意に、以下の式:R3 iSiO(4-i)/2を有するモチーフ(ここで、R3は上記と同じ意味を有し、i=0、1、2又は3である)
によって形成されるオルガノポリシロキサン化合物であり得る。
【0053】
シリコーン組成物は、さらに、他の成分、特に、
・少なくとも1種の無機充填剤、特に、シリカ、石英、又はそれらの混合物;
・少なくとも1種の耐熱性及び/又は耐火性添加剤;
・少なくとも1種のジオルガノポリシロキサンガム;
・ジオルガノポリシロキサン油であって、その鎖の各末端にて、ケイ素原子に結合した有機基が1~8個の炭素原子を含有するアルキル基から選択されるトリオルガノシロキシモチーフによってブロックされている、ジオルガノポリシロキサン油;
・架橋阻害剤;
・ベースカラー
・任意に、他の充填剤
を含むことができる。
【0054】
好ましい実施形態によれば、シリコーン組成物は無機充填剤を含み、該無機充填剤は、好ましくは、ヒュームドシリカ又は沈降シリカである。シリカタイプの無機充填剤は、好ましくは、BET法に従い測定された比表面積が、少なくとも50m2/g、特に50m2/g~400m2/g、好ましくは70m2/gより高く、平均一次粒子寸法が0.1μm(マイクロメートル)未満であり、見かけ密度が200g/l未満である。非常に好ましくは、無機充填剤は、比表面積が100m2/g~300m2/gであるヒュームドシリカである。
【0055】
シリカタイプの無機充填剤は、好ましくは親水性であり、シリコーン組成物にそのまま組み込むことができ、又は任意に相溶化剤で処理されていてもよい。バリエーションによれば、これらシリカは、任意に、この用途に通常使用されている1種以上のオルガノシリコン化合物、例えば、オルガノシラン又はオルガノシラザンで処理されていてもよい。これらの化合物としては、メチルポリシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等、メチルポリシラザン、例えばヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン等、クロロシラン、例えばジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン等、アルコキシシラン、例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用されてもよいし、混合物として使用されてもよい(例えば、フランス特許FR1126884、FR1136885、FR1236505及びイギリス特許GB1024234参照)。好ましい実施形態によれば、シリカは、イン・サイチュ法に従ってオルガノポリシロキサンAの全部又は一部との混合中に処理される。1つの有利な実施形態によれば、シリカは1種以上のヘキサオルガノジシラザンで処理される。より好ましくは、シリカは、単独のヘキサメチルジシラザン又はジビニルテトラメチルジシラザンとの混合物としてのヘキサメチルジシラザンで処理される。
【0056】
シリカは、任意に、懸濁液が得られるような方法でシリコーン油中に予め分散させてもよい。特に、ポリオルガノシロキサン油、特にビニル化されたポリオルガノシロキサン油中における処理されたヒュームドシリカ、特にヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームドシリカの懸濁液を使用することが好ましい。
【0057】
代替として又は加えて、本発明に従うシリコーン組成物はまた、石英である少なくとも1種の他の無機充填剤を含有してもよい。それは、好ましくは、平均粒度分布が10ミクロン未満である天然石英粉末である。石英は、任意に、そのオルガノポリシロキサンとの相溶性を改善するために処理されてもよい。
【0058】
好ましい実施形態によれば、シリコーン組成物は、シリカと石英の混合物を含有し、ここで、石英とシリカ間の重量比は、好ましくは0.5~4、より好ましくは1~3.6、さらにより好ましくは1.5~3.2、さらにより有利には1.5~2.8である。
【0059】
他の無機充填剤が想定され得、特には、例えば珪藻土、炭酸カルシウム及び/又はカオリン等の充填フィラーである。
【0060】
シリコーン組成物は、任意に、少なくとも1種の耐熱性及び/又は耐火性添加剤を含んでもよい。これら耐熱性及び/又は耐火性添加剤は当業者によく知られている。それは、有利に、金属、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅等の塩、酸化物及び水酸化物;希土類金属、例えばセリウム、ランタン等の塩、水酸化物及び酸化物;有機リン化合物;白金誘導体;カーボンブラック;並びにカルシウム、アルミニウム及び/又はカリウムのケイ酸塩、例えばマイカ、珪灰石等によって構成される群から選択されてもよい。また、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウムの水和無機充填剤、酸化物又は炭酸塩、例えば水酸化マグネシウムMg(OH)2、水酸化アルミニウムAl(OH)3、実験式Mg5(CO34(OH)2・4H2Oを有するハイドロマグネサイト及び水酸化カルシウム等を挙げることもできる。別の実施形態によれば、シリコーン組成物に中空ガラス微小球を添加することが可能である。
【0061】
シリコーン組成物は、任意に、少なくとも1種のジオルガノポリシロキサンガムを含んでもよい。ジオルガノポリシロキサンガムは、線状のポリマーで、高い分子量を有し、25℃での粘度が1000Pa・sより高く、好ましくは2000Pa・sより高く、そのジオルガノポリシロキサン鎖は、本質的に、式R2SiO2/2を有するモチーフによって構成され、それぞれの末端が式R3SiO1/2を有するモチーフによってブロックされており、ここで、R基は、1~8個の炭素原子を含有するアルキル基又は2~6個の炭素原子を含有するアルケニル基を表す。しかしながら、ジオルガノポリシロキサン鎖の長さに沿って、少量のR2SiO2/2以外のモチーフ、例えばRSiO3/2及び/又はSiO4/2モチーフが、R2SiO2/2モチーフの数に対して最大2%の割合で存在することは排除されない。好ましくは、ジオルガノポリシロキサンガムは、ケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を含む。有利に、ジオルガノポリシロキサンガムは、ビニルモチーフの重量での含有量が0.3%より高く、好ましくは0.5%より高く、より好ましくは0.5%~6%であり、さらにより好ましくは0.5%~4%であり、さらにより好ましくは1%~3.5%である。
【0062】
シリコーン組成物が架橋阻害剤(又は付加反応抑制剤)を含む場合、これは、以下の化合物から選択され得る:オルガノポリシロキサン、有利には環状で、少なくとも1つのアルケニルによって置換されたもの、特に好ましくはテトラメチルビニルテトラシロキサン、ピリジン、ホスフィン及び有機ホスファイト、不飽和アミド、アルキル化マレエート、及びアセチレンアルコール、例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3-メチル-1-ドデシン-3-オール、3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オール、1,1-ジフェニル-2-プロピン-1-オール、3-エチル-6-エチル-1-ノニン-3-オール及び3-メチル-1-ペンタデシン-3-オール。
【0063】
一実施形態によれば、シリコーン組成物は、(シリコーン組成物の重量全体に対して重量で)
a.40重量%~80重量%の、1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
b.1%~20%の、1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフ、好ましくは少なくとも3つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
c.2重量ppm~400重量ppmの、白金化合物から選択されるヒドロシリル化触媒C(白金金属の重量で計算された量)、
d.0.3重量%~2.5重量%の気孔形成剤D、
e.少なくとも3重量%の、比表面積が100m2/g~300m2/gであるヒュームドシリカ、
f.少なくとも6重量%の、石英粉末である少なくとも1種の無機充填剤、及び
g.0.4重量%~5重量%の少なくとも1種の耐熱性及び/又は耐火性添加剤
を含む。
【0064】
別の実施形態によれば、シリコーン組成物は、(シリコーン組成物の重量全体に対して重量で)
a.40重量%~80重量%の、1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
b.1重量%~20重量%の、1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフ、好ましくは少なくとも3つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
c.2重量ppm~400重量ppmの、白金化合物から選択されるヒドロシリル化触媒C(白金金属の重量で計算された量)、
d.0.3重量%~2.5重量%の気孔形成剤D、
e.3重量%~14重量%の、比表面積が100m2/g~300m2/gのヒュームドシリカである少なくとも1種の無機充填剤、
f.6重量%~25重量%の、石英粉末である少なくとも1種の無機充填剤、
g.0.4重量%~5重量%の少なくとも1種の耐火性添加剤、
h.0~3000重量ppmの架橋阻害剤、及び
i.0~4重量%の、ケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を含むジオルガノポリシロキサンガム
を含む。
【0065】
上記のとおり重付加により架橋する組成物は本発明に従うシリコーンフォームのための好ましい実施形態であるけれども、泡を形成可能である他のシリコーン組成物は、その組成物が発泡現象を可能にする気体を放出する限り、完全に想定可能である。一実施形態によれば、シリコーン組成物は、熱の作用により分解して気体を放出することにより材料を膨張させる気孔形成剤を含有し、特にアゾ型誘導体、例えばアゾジカルボンアミドの場合、窒素、二酸化炭素及びアンモニアの放出を可能にする。別の実施形態によれば、シリコーン組成物は、熱の作用により相を変更することで、典型的には液体から気体に変更することで材料を膨張させる気孔形成剤を含有し、これは特に低沸点の溶媒の場合である。
【0066】
一実施形態によれば、本発明に従うシリコーン組成物は、前述のシリコーン組成物を形成するために混合することが意図されている2つ(又はそれ以上)の別個の部分であることを特徴とする二成分(又は多成分)系から調製することができる。特に、例えば上述したもの等の好ましいシリコーン組成物の場合、シリコーン組成物は、二成分系であって、その部分の1つは触媒Cを含むがオルガノポリシロキサンBを含まず、他の部分はオルガノポリシロキサンBを含むが触媒Cを含まない二成分系から調製することができる。貯蔵期間を改善するため及び/又はそれぞれの成分の粘度を最適化するために他の多成分系を提供することができる。一例として、本発明に従うシリコーン組成物は、前述のシリコーン組成物を形成するために混合することが意図されている3つの別個の部分であることを特徴とする三成分系から調製することができる。
【0067】
前述の二成分(又は多成分)系の複数の部分の混合は、通常、室温に近い温度、即ち10℃~40℃で行われる場合がある。混合器の種類及び適用されるせん断に応じて、この混合中にシリコーン組成物の温度の上昇が観察されることがある。シリコーンフォームの架橋又は硬化が加速される場合、混合は、より高い温度、有利には40℃~70℃で行われる場合がある。
【0068】
良好な機械的特性を有する均質なシリコーンフォームを得るためには良質な混合が重要である。
【0069】
さらに、本発明に従う方法は、工程(a)の間に調製された前述のシリコーン組成物を密閉モールドに導入することからなる工程(b)を含む。
【0070】
密閉モールドは、成形される物品の形状に対応する中空の容積を画定する。モールドは、単純な幾何学的形状、例えば、図1に示されるような平行六面体、又は成形物の使用に対応する複雑な形状、例えば、人間工学的な形状の座席に対応する形状を有することができる。
【0071】
モールドの寸法は、成形される物品に応じて使用者によって選択され得る。本方法は、長さ及び幅が典型的に10cm~3mであり、厚さが少なくとも2cmを超え、典型的に5cm~30cm又は10cm~20cmである大型の物品に特に適している。
【0072】
好ましくは、モールドの底壁と頂壁は、成形された物品の最大表面を画定し、一方、側壁は、成形された物品の厚さを画定する。
【0073】
図1に示される第1の実施形態によれば、モールド(1)は、側壁(2)(ここに4つの側壁が示される)、底壁(3)及びカバー(4)によって構成されている。カバー(4)は、モールド(1)の頂壁を構成する。底壁(3)には、モールドを支持するように作用する脚部(5)が設けられている。カバー(4)は、好ましくは取り外し可能である。本発明に従う方法の工程(b)を行う場合、シリコーン組成物をモールド(1)に流し込んだり又は注入したりすることができ、次いでカバー(4)を側壁に固定でき、それによって閉じられた中空の容積を画定することができる。
【0074】
別の実施形態(図示せず)によれば、モールドは、組み立てられたときに閉じた中空の容積を画定する2つのハーフモールドによって構成されてもよい。本発明に従う方法の工程(b)を行うとき、シリコーン組成物は、典型的に、組み立てられた2つのハーフモールドによって画定される閉じた中空の容積の中に注入され得る。
【0075】
本発明に使用される密閉モールドは、少なくとも前述のシリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である壁によって特徴づけられる。好ましくは、本発明に従うモールドの壁の全てが気体に対して透過性である。本発明で使用される「気体に対して透過性である」という用語は、対象の材料の、本発明に従うシリコーン組成物を発泡させるための反応中に発生する気体を通過させる能力を意味する。
【0076】
一実施形態によれば、モールドの壁の全てが、同じ1つ又は複数の材料によって構成される。それらはすべて、少なくとも前述のシリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である。
【0077】
別の実施形態によれば、モールドの透過性は均一ではない。一例として、モールドの特定の壁、典型的には図1での底壁(3)及びカバー(4)が、前述のシリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である一方、側壁(2)は、前述のシリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の工程の全体又は一部の間、気体に対する透過性が低いか又は気体に対する透過性がない実施形態を想定することが可能である。
【0078】
さらに、壁は、モールドの機械的強度を確保するために十分に硬質である必要があり、そして、シリコーン組成物の架橋及び/又は硬化反応の前に液体の形態でシリコーン組成物を収容可能でなければならない。従って、本発明に従うモールドの壁は、
・少なくとも前述のシリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性であり、
・架橋及び/又は硬化反応前のシリコーン組成物に対して不透過性であり、
・モールドの機械的強度を確保するために十分に硬質である。
【0079】
いくつかの実施形態が当業者によって想定され得る。
【0080】
第1の実施形態では、本発明に従うモールドの壁は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な材料であって、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である材料によって構成されている。かかる実施形態は、例えば、図2Aに示されており、壁(6a)は、内面(7)と外面(8)を有する材料によって構成されている。この材料は、気体に対して透過性であるが、液体に対して不透過性である。加えて、この材料は、モールドの機械的強度を確保するために十分に硬質である。一例として、それは、微孔性複合材料又は微孔性プラスチック材料、例えば微孔性PET等であり得る。
【0081】
第2の実施形態では、本発明に従うモールドの壁は、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である。このタイプの実施形態は、例として、図2B及び図2Cに示されており、壁(6b)/(6c)は、モールドの内側を画定する第1の材料(9)/(12)と、モールドの外側を画定する第2の材料(10)/(13)によって構成されている。第1及び第2の材料は両方とも気体に対して透過性である。第2の材料(10)/(13)は、モールドの機械的支持機能を確保することができ、一方、第1の材料(9)/(12)は、液体に対する不透過性を確保することができる。第2の材料(10)/(13)は硬質である。それは、モールドの機械的強度を確保することができる。気体に対する透過性を確保するため、図2Bにおいて分かるように、第2の材料(10)には穿孔(11)が設けられている。穿孔の全表面積は、第2の材料(10)の全表面積の少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%を表すことができる。第2の材料(10)は、金属、例えば鋼鉄又はアルミニウムから、硬質プラスチック、典型的にはPET、ポリプロピレン又は実際にはポリカーボネートから、又は複合材料から製造することができる。図2Cでは、第2の材料(13)が、スクリーン又は金属若しくはプラスチックのメッシュである。第1の材料(9)/(12)は、好ましくは、第2の材料(10)/(13)に隣接し、その壁が液体に対して不透過性であることを確保する機能を有している。好ましくは、それは、軟質材料であり、典型的には繊維材料である。前述の繊維材料は、天然、人工及び/又は合成由来であり得る。それは、織成された、編成された又は不織の繊維材料であり得る。それが織成された又は編成された繊維支持体、即ち、織物又は編み物である場合、そのフィラメントは、有利には、熱可塑性ポリマーに基づくものである。挙げることができる適した熱可塑性ポリマー又はコポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリエステル、アルキレンポリオキシド、ポリオキシアルキレン、ポリハロゲノアルキレン、ポリ(アルキレンフタレート又はテレフタレート)、ポリ(フェニル又はフェニレン)、ポリ(オキシド又はフェニレンスルフィド)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリビニルニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリシロキサン、アクリル酸又はメタクリル酸ポリマー、ポリアクリレート又はメタクリレート、天然ポリマー、例えばセルロース及びその誘導体等、合成ポリマー、例えば合成エラストマー等、又は上述のポリマーに含まれるモノマーのいずれか1種と同一である少なくとも1種のモノマーを含む熱可塑性コポリマー、並びにこれらすべてのポリマー又はコポリマーの混合物及び/又はアロイである。繊維材料が熱可塑性ポリマーから製造される場合、それは、好ましくは、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等、それらのコポリマー及びブレンドから、又はポリアミド、例えばポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド4、ポリアミド1.1、ポリアミド1.2、ポリアミド4・6、6・10、6・12、6・36、12・12等、それらのコポリマー及びブレンドから製造される。
【0082】
第3の実施形態によれば、本発明に従うモールドの壁は、
・気体に対する透過性を確保するための通気孔が設けられた、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料、及び
・液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置
によって構成されている。
【0083】
1つ又は複数の通気孔は、モールドの壁に対して気体が均一に放出できるように、一定の間隔で配置されてもよい。それらのサイズと数は、シリコーン組成物の架橋及び/又は硬化の間に生成される気体の量に応じて適合できる。好ましくは、1つ又は複数の通気孔は、モールドの底壁に配置されていてもよく、任意に、好ましくは成形品の最大表面を画定する、モールドの頂壁に配置されていてもよい。
【0084】
このタイプの実施形態は、図2Dに示され、例えば、壁(14)は、気体への透過性を確保する通気孔(15)が設けられた、モールドの機械的強度を確保する硬質材料によって構成されている。液体への不透過性を確保するために、壁には、通気孔(15)に適合しているプラグ(16)が設けられている。シリコーン組成物を液体の形態でモールド内に導入するとき、プラグ(16)は通気孔(15)に配置されている。架橋及び/又は硬化反応が始まると、シリコーン組成物はゲル化点に達し、それを超えると壁を通過できるほどの流動性はなくなる。この瞬間から、架橋及び/又は硬化反応の残りの期間、気体を排出できるように、プラグ(16)が取り外される。代替として、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置は、取り外し可能なパネル、外側の不透過性接着フィルム等であってもよい。
【0085】
本発明に従う方法は、最後に、シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程(c)を含む。この工程(c)の継続時間は、シリコーン組成物及び工程(b)の温度に応じて変化する場合がある。一般に、温度並びにシリコーン組成物中の触媒及び阻害剤の濃度に応じて、数分又は数時間後に、良好な特性を有するシリコーンフォームが得られる。
【0086】
シリコーン組成物の架橋及び/又は硬化は、まず、ゲルを得ることによって特徴づけられる。組成物のゲル化点は、液体が擬似弾性特性を持ち始める段階として定義される。ポリマーの技術分野では、ゲル化点は、粘度時間曲線の変曲点として定義できる。実際には、組成物のゲル化点は当業者によって視覚的に決定され得る。ゲル化点を超えて、シリコーンフォームを得るためにシリコーン組成物は架橋及び/又は硬化を継続する。
【0087】
本発明に従う方法において、モールドの壁は、好ましくは、前述のシリコーン組成物のゲル化点の後で気体に対して透過性である。ゲル化点の前は、モールドの壁は、使用されるモールドに応じて、気体に対して透過性であってもよいし、気体に対して不透過性であってもよい。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、シリコーンフォームの調製方法は、以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、気体に対して透過性であり、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である、工程;
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む。
【0089】
本発明の別の実施形態によれば、シリコーンフォームの調製方法は、以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、モールドの機械的強度及び気体に対する透過性を確保するための硬質な外側材料と、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置によって構成されている、工程;
c)前記シリコーン組成物をゲル化点まで架橋及び/又は硬化させる工程;
c’)液体に対する壁の不透過性を確保する前記取り外し可能な装置を取り外す工程;及び
c’’)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む。
【0090】
有利なことに、シリコンフォームを製造するための方法全体は、当該方法の間、水素の放出に関連するリスクを回避するために、空気又は窒素をフラッシュしながら行われる。加えて、シリコーンフォームの製造方法は、好ましくは、水素の放出に関連するリスクを回避するためにも、大気圧及び室温で行われる。室温は、一般に15℃~40℃であり、典型的には約25℃である。安全性の考慮に加えて、大気圧及び/又は室温で方法を行うことは、技術の簡素化と実装コストの点で大きな利点となる。
【0091】
本発明に従う方法は、任意に、工程(c)で得られたシリコーンフォームをアニールする追加の工程(d)を含むことができる。この任意のアニール工程は、1時間から数時間、好ましくは1~4時間の期間で、50℃~200℃、好ましくは100℃~150℃の温度の熱処理からなる場合がある。それは、必要に応じて、シリコーンフォームの耐火性及び機械的特徴を向上させることができる。しかしながら、この工程は必須ではなく、追加のアニール工程を含まないことを特徴とする本発明に従うシリコーンフォームの調製方法が好ましい。
【0092】
架橋及び/又は硬化、並びに任意のアニールの後に、シリコーンフォームが得られ、それをモールドから取り外すことができる。有利には、モールドの内面の材料、即ち、架橋及び/又は硬化前のシリコーン組成物と接触し、次いで架橋及び/又は硬化後にシリコーンフォームと接触する材料(例えば、第1の実施形態の内面(7)の材料又は上述の第2及び第3の実施形態の第1の材料(9)及び(12))は、モールドから容易に取り外せるように選択される。この目的のため、材料は、架橋及び/又は硬化後にシリコーンフォームにほとんど又は全く接着しない材料から選択される。好ましくは、モールドの内面の材料はポリエステルから製造される。あるいは、その材料は、シリコーンフォームへの非接着性を向上させるために、例えばフルオロカーボンコーティングで、表面処理されていてもよい。
【0093】
本発明はまた、先に定義された方法によって得られるシリコーンフォームから製造される物品に関する。このシリコーンフォーム物品は、有利に、大きな形状欠陥がない。特に、それは、底面に変形又は凹みがない。フォームは、有利に、使用されるモールドの中空容積によって事前に確定された形状を再現する。
【0094】
さらに、本発明の方法によって得られるフォームは、有利に、密度が低く、好ましくは0.20g/mL未満であり、より好ましくは0.17g/mL未満であり、さらにより好ましくは0.14g/mL未満である。それは視覚的に均一であり、フォーム内の気泡のサイズは均一に分布しており、直径が2mm以上の大きな気泡を含有しない。
【0095】
最後に、使用されたシリコーン組成物の性質により、本発明の方法によって得られたシリコーンフォームの耐熱性及び耐火性の特性は優れている。有利なことに、フォームはその燃焼中に有毒ガスを放出しない。
【0096】
従って、上記の利点は、本発明の方法によって得られるシリコーンフォームが、建設、輸送、電気絶縁又は家電分野における物品の製造に理想的な、より具体的には輸送分野の座席のための室内装飾材料として理想的な材料を形成することを確かにする。従って、シリコーンフォーム物品は、好ましくは、輸送分野の座席の少なくとも1つの要素である。
【0097】
本発明の他の詳細又は利点は、単に参考として以下に示す実施例からさらに明らかになる。
【実施例
【0098】
以下の表1に記載される化合物を室温で混合することによって、フォームを形成し、重付加により架橋することが可能なシリコーン組成物を調製した。
【0099】
【表1】
【0100】
比較例:
カバーがなく、寸法が27×17×11cmで、側壁及び底壁が(気体に対して不透過性である)ポリプロピレンから製造された、平行六面体のモールドに、混合後に得られたシリコーン組成物を流し込んだ。23℃で45分後、得られたフォームを取り出した。図3から分かるように、発泡ブロックは、特にその底面において、大きな変形を示した。フォームの密度は0.150g/mLであった。
【0101】
本発明に従う実施例:
孔あきスチールフレームによって構成され、寸法が55×20×20cmで、内壁がポリエステル織物で覆われた、本発明に従うモールドに、同じシリコーン組成物を流し込んだ。カバーも、ポリエステル織物で覆われた孔あきスチール板によって構成されており、気体に対して透過性である密閉モールドを形成するようにフレーム上に固定された(図4)。23℃で45分後、得られたフォームを取り出した。図5において分かるように、本発明に従って得られたフォームのブロックに大きな変形はなかった。ブロックの形状は、モールドによって画定される形状に完全に一致した。フォームの密度は0.135g/mLであった。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンフォームの調製方法であって、以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程;及び
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含み、
前記モールドの壁は、少なくとも前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させるための工程の全部又は一部の間、気体に対して透過性である、シリコーンフォームの調製方法。
【請求項2】
シリコーンフォームを形成することが可能な前記シリコーン組成物は、重付加により架橋する組成物であって、
・1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
・1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
・触媒有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒C、及び
・ヒドロキシル基を含む少なくとも1種の気孔形成剤D
を含む組成物である、請求項1に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項3】
ヒドロキシル基を含む前記気孔形成剤Dは、水、ポリオール、単官能アルコール、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシラン、少なくとも1つのシラノール基を含有するオルガノシロキサン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択され、好ましくは前記気孔形成剤Dが水である、請求項2に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項4】
前記シリコーン組成物が、(当該シリコーン組成物の重量全体に対する重量で)
a.40重量%~80重量%の、1分子当たりケイ素に結合した少なくとも2つのC2~C12アルケニル基を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンA、
b.1%~20%の、1分子当たり少なくとも2つのSiHモチーフ、好ましくは少なくとも3つのSiHモチーフを有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンB、
c.2重量ppm~400重量ppmの、白金化合物から選択されるヒドロシリル化触媒C(白金金属の重量で計算された量)、
d.0.3重量%~2.5重量%の気孔形成剤D、
e.少なくとも3重量%の、比表面積が100m2/g~300m2/gであるヒュームドシリカ、
f.少なくとも6重量%の、石英粉末である少なくとも1種の無機充填剤、及び
g.0.4重量%~5重量%の少なくとも1種の耐熱性及び/又は耐火性添加剤
を含む、請求項2又は請求項3に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項5】
前記モールドの壁が、モールドの機械的強度を確保するための硬質な材料であって、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である材料によって構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項6】
前記モールドの壁が、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、気体に対して透過性であり、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項7】
気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である前記内側材料が、軟質材料、好ましくは織成された、編成された又は不織の繊維材料である、請求項6に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項8】
以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、2つの隣接する材料によって構成されており、一方は、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料であって、気体に対して透過性であり、例えば、気体に対する透過性を確保するために、スクリーン又は多孔板である外側材料であり、もう一方は、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である内側材料である、工程;
c)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む、請求項6に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項9】
本発明に従うモールドの壁が、気体に対する透過性を確保するための通気孔が設けられた、モールドの機械的強度を確保するための硬質な外側材料と、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置によって構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項10】
以下の工程:
a)気体を放出することによってフォームを形成することが可能なシリコーン組成物を調製する工程;
b)前記シリコーン組成物を密閉モールドに導入する工程であって、前記モールドの壁が、モールドの機械的強度及び気体に対する透過性を確保するための硬質な外側材料と、液体に対する壁の不透過性を確保する取り外し可能な装置によって構成されている、工程;
c)前記シリコーン組成物をゲル化点まで架橋及び/又は硬化させる工程;
c’)液体に対する壁の不透過性を確保する前記取り外し可能な装置を取り外す工程;及び
c’’)前記シリコーン組成物を架橋及び/又は硬化させてシリコーンフォームを得る工程
を含む、請求項9に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項11】
前記方法が大気圧下で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項12】
前記方法が室温で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載のシリコーンフォームの調製方法。
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なシリコーンフォームから製造された物品。
【請求項14】
建設、輸送、電気絶縁又は家電分野の物品であり、好ましくは輸送分野の座席の少なくとも1つの要素である、請求項13に記載のシリコーンフォームの物品。
【請求項15】
シリコーンフォームの製造のための、壁が気体に対して透過性である、密閉モールドの使用。
【国際調査報告】