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特表2024-546983リチウムイオンバッテリに加える圧力を管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリに加える圧力を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20241219BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241219BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/262 E
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536076
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022085296
(87)【国際公開番号】W WO2023110707
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113874
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デルプエッシュ, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ルレイ, デービッド
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5H030AA01
5H030AA10
5H030AS20
5H030BB00
5H030BB12
5H030DD14
5H040AA03
5H040AA36
5H040AY06
5H040CC24
5H040CC26
5H040CC34
5H040DD08
5H040JJ08
5H040NN03
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの電気化学セルを備える電気バッテリ(2)に可変圧力を加えるシステム(1)であって、その電気バッテリが、互いに平行な第1の端板(4)と第2の端板(5)との間に挿入されている、システム(1)に関する。本発明によれば、システムは、第1の作動壁(8)と、第1の作動壁(8)と第1の端板(4)との間に挿入された少なくとも第1のスプリング(10)と、第1の作動壁(8)と平行に延在し、アクチュエータ(12)によって動かされるリンク(11)とを備える第1のアセンブリ(7)を具備し、前記リンク(11)が、少なくとも1つのカム(9)によって前記第1の作動壁(8)に連結され、そのカムの第1の端部(16)が、リンク(11)に回転可能に取り付けられ、そのカムの第2の端部(17)が、静止壁(19)に強固に連結された回転軸周りに回転可能に取り付けられ、前記第2の端部(17)が、第1の作動壁(8)に当接する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気化学セルを備える電気バッテリ(2)に可変圧力を加えるシステム(1)であって、前記電気バッテリが、互いに平行な第1の端板(4)と第2の端板(5)との間に挿入されている、圧力を加えるシステム(1)において、前記2つの端板(4、5)と平行に延在し、前記第1の端板(4)に対向して配置された第1の作動壁(8)を備える第1のアセンブリ(7)を具備し、前記第1のアセンブリ(7)が、前記第1の作動壁(8)と前記第1の端板(4)との間に挿入された少なくとも1つの第1のスプリング(10)を備え、前記第1の作動壁(8)が、前記第1の作動壁(8)と平行に延在し、アクチュエータ(12)によって動かされるリンク(11)の移動の効果の下に、前記第1の端板(4)に近付きまたは離れるように移動して、前記第1の板(4)に圧力を掛けることができ、前記リンク(11)が、少なくとも1つのカム(9)によって前記第1の作動壁(8)に連結され、前記カム(9)の第1の端部(16)が、前記リンク(11)に回転可能に取り付けられ、前記カム(9)の第2の端部(17)が、前記第1の作動壁(8)と平行な固定壁(19)に固定された回転ピン周りに回転可能に取り付けられ、前記第2の端部(17)が、前記第1の作動壁(8)に当接することを特徴とする圧力を加えるシステム(1)。
【請求項2】
前記リンク(11)が、細長いロッドであり、前記アクチュエータ(12)が、前記リンク(11)を、前記リンク(11)の長手方向軸に沿って並進的に移動させることを特徴とする、請求項1に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項3】
各カム(9)が、前記第1の端部(16)を前記第2の端部(17)に連結するロッド(18)を備え、前記第2の端部(17)が、前記回転ピンを軸として配置された細長い切片を備えることを特徴とする、請求項2に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項4】
前記第1の端板(4)に所望の圧力を掛けるために各第1のスプリング(10)をより多くまたはより少なく圧縮することを目的として、前記第1の作動壁(8)を前記第1の端板(4)から所与の距離に配置するために、前記リンク(11)を所望の方向および大きさで移動させるように前記アクチュエータ(12)を制御するようになされたコンピュータ(13)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項5】
前記2つの端板(4、5)と平行に延在し、前記第2の端板(5)に対向して配置された第2の作動壁(14)を備える第2のアセンブリ(40)を具備し、前記第2のアセンブリ(40)が、前記第2の作動壁(14)と前記第2の端板(5)との間に挿入された少なくとも1つの第2のスプリング(15)を備え、前記少なくとも1つの第2のスプリング(15)によって発揮される力の方向が、前記少なくとも1つの第1のスプリング(10)によって発揮される力の方向と平行であり、前記第2の作動壁(14)が、前記第2の作動壁(14)と平行な固定壁(20)に当接することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項6】
前記第1の作動壁(8)と前記第1の端板(4)との間に挿入された12個の第1のスプリング(10)と、前記第2の作動壁(14)と前記第2の端板(5)との間に挿入された12個の第2のスプリング(15)とを備えることを特徴とする、請求項5に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項7】
前記第1のスプリング(10)が、前記端板(4、5)と平行な軸に沿って整列し、前記第2のスプリング(15)もまた、前記端板(4、5)に平行な軸に沿って整列することを特徴とする、請求項5または6に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項8】
各第1のスプリング(10)および各第2のスプリング(15)が、皿ばねから形成されることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項9】
前記電気バッテリ(2)を取り囲む固定フレーム(6)と、前記第1の作動壁(8)と、前記第2の作動壁(14)と、前記少なくとも1つの第1のスプリング(10)と、前記少なくとも1つの第2のスプリング(15)とを備え、前記第2の作動壁(14)が、前記フレーム(6)の第2の平坦壁(20)と接触し、前記少なくとも1つのカム(9)の前記第2の端部(17)が周りに取り付けられた前記少なくとも1つの回転ピンが、前記第2の平坦壁(20)と平行な前記フレーム(6)の第1の平坦壁(19)に固定され、前記リンク(11)が、前記フレーム(6)の外部に位置しながら前記フレーム(6)の前記第1の平坦壁(19)の背後に配置されていることを特徴とする、請求項5から8のいずれか一項に記載の圧力を加えるシステム。
【請求項10】
Liイオン電気バッテリの充電フェーズそして放電フェーズを含むサイクル全体を通して、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステムを使用する方法において、
- 前記セルが寸法x1であり、前記システム(1)が力F1を加える開始ステップと、
- 前記バッテリ(2)の前記セルが、前記充電フェーズ中に膨張し、今やx1より大きい寸法x2になるので、前記システム(1)によって加えられる前記力が、F1より大きい値F2に増加する、前記電気バッテリ(2)を充電するステップと、
- 前記バッテリ(2)の放電を開始するステップであり、前記第1の作動壁(8)を前記第1の端板(4)に近付ける第1の方向に前記カム(9)を回転させる方向に前記リンク(11)を並進的に動かすように、前記コンピュータ(13)によって制御される前記システム(1)を事前作動させるステップを含むステップであって、それによって、前記システム(1)が、前記力F2より大きい力F3を前記バッテリ(2)に直ちに加える、ステップと、
- 前記システム(1)が、前記力F3より小さい力F4を前記バッテリ(2)に加える、前記バッテリ(2)の放電の終わりのステップであって、前記放電の終わりに加えられるこの力F4が、この放電フェーズ中に前記セルが失った体積に起因する、ステップと、
- 前記コンピュータ(13)によって制御される前記システム(1)を作動させるステップであり、前記第1の作動壁(8)を前記第1の端板(4)から離れるように移動させる第2の方向に前記カム(9)を回転させる反対方向に前記リンク(11)を並進的に動かすステップであって、それによって、前記システム(1)が、前記力F4より小さい力F1を前記バッテリ(2)に直ちに加えて、前記セルを充電前の予負荷状態に戻す、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンバッテリに加える圧力を管理する方法に関する。
【0002】
Liイオンバッテリが充電されるとき、リチウムは、シリコンと共に化学式LiSiのシリコン合金を形成する。これら合金の形成は、シリコン粒子の初期体積の300%までに達し得るSi粒子の体積の増加を生じる。Liバッテリが放電されると、LiSi合金は脱リチウム化され、それによって、シリコン粒子の寸法の減少を生じる。その結果、シリコン電極およびセルの規模において、呼吸に似た、体積の準可逆的なかなりの変化が、バッテリの充放電のサイクルを巡って生じる。バッテリの寿命(継続的充放電)を通じての体積のこの変化が、結果としてLiイオンバッテリ内の高い機械的応力を生じる。Si粒子は、分裂し、集電体から分離し、かつ/または電極のパーコレーションネットワークから電子的に切り離され得る。これらの現象は、その結果、バッテリ性能の低下に至る。さらに、寄生的反応が生じ、体積の不可逆的増加を発生させ、その結果バッテリの早期経年劣化を発生させる。
【0003】
特許出願DE102009035482A1は、2つの端板に挟持され、セルの積層を形成する複数のバッテリセルを備える、自動車両用のリチウムイオン電気バッテリを記述する。より詳細には、リチウムイオンバッテリが、2つの板の間に挿入され、それによってセルの積層を形成する複数のバッテリセルを備える。装置が、スプリングを用い、能動アクチュエータを使用して積層方向に、セルの積層に圧力負荷を掛けることを可能にする。アクチュエータは、耐用寿命/圧力特性ダイヤグラムによって、またはセルの積層内の温度および/または圧力の測定値によって制御され、前記測定値は、充電/放電サイクルに依存する。
【0004】
本発明による方法は、常に最適な圧力を掛けることによって、電気バッテリの充放電の様々なサイクルを通じてSi粒子の体積の変化に追従することを可能にする。その結果、Liイオンバッテリの性能は、時が経っても維持され、前記バッテリの経年劣化が著しく緩和される。
【0005】
本発明の主題は、少なくとも1つの電気化学セルを備える電気バッテリに可変圧力を加えるシステムであって、その電気バッテリが、互いに平行な第1の端板と第2の端板との間に挿入されている、圧力を加えるシステムである。
【0006】
本発明によれば、システムは、2つの端板と平行に延在し、第1の端板に対向して配置された第1の作動壁を備える第1のアセンブリを具備し、前記第1のアセンブリが、第1の作動壁と第1の端板との間に挿入された少なくとも1つの第1のスプリングを備え、前記第1の作動壁が、第1の作動壁と平行に延在し、アクチュエータによって動かされるリンクの移動の効果の下に、第1の端板に近付きまたは離れるように移動して、前記第1の板に圧力を掛けることができ、前記リンクが、少なくとも1つのカムによって前記第1の作動壁に連結され、カムの第1の端部が、リンクに回転可能に取り付けられ、カムの第2の端部が、第1の作動壁と平行な固定壁に固定された回転ピン周りに回転可能に取り付けられ、前記第2の端部が、第1の作動壁に当接する。本発明による方法の原理は、リンクの動きの関数としてより多くまたはより少なく圧縮することができる少なくとも1つのスプリングを介して、電気バッテリの2つの端板の1つに均一な圧力を掛けることができることである。具体的には、一方向へのリンクの移動が、前記少なくとも1つのカムを第1の方向に動かし、それが、第1の作動壁を第1の端板に近付けて、前記少なくとも1つのスプリングの圧縮を生じさせ、それが、その結果、前記第1の端板に掛ける圧力を増加させる。リンクを反対方向に移動させると、前記少なくとも1つのカムを第2の方向に動かし、それが、第1の作動壁を第1の端板から離れるように移動させて、前記少なくとも1つのスプリングを緩め、それが、その結果、この第1の端板に掛ける圧力を減少させる。好ましくは、リンクは、真直ぐで細長いロッドであり、アクチュエータは、このロッドを、前記ロッドの長手方向軸に沿って両方向に並進的に移動させることが可能なように構成される。本発明によるシステムでは、第1の作動壁は、リンクと第1の端板との間に挿入され、前記少なくとも1つのカムは、リンクと第1の作動壁との間に挿入される。好ましくは、第1のシステムは、数が5つより大きい複数のスプリングと、数が5つより大きい複数のカムとを備える。特定の実施形態によれば、スプリングと同数のカムがある。
【0007】
本発明の可能な特徴によれば、リンクは、細長いロッドであり、アクチュエータは、前記リンクを、このリンクの長手方向軸に沿って並進的に移動させる。アクチュエータの作用によるリンクの移動は、第1の作動壁および第1の端板と平行な軸に沿って行われ、第1の端板に対する第1の作動壁の移動は、リンクが沿って移動する軸に垂直な軸に沿って行われる。
【0008】
本発明の可能な特徴によれば、各カムは、第1の端部を第2の端部に連結するロッドを備え、前記第2の端部は、回転ピンを軸として配置された細長い切片を備える。細長い切片の形態を取る第2の端部は、カムのロッドに対して固定されている。回転ピンは、細長い切片の片方の端部に配置され、その結果、カムのロッドは、この回転ピンの一方の側に位置し、細長い切片は、前記回転ピンの他方の側に位置する。リンクの移動は、カムのロッドの回転を生じさせ、その回転は、次いで、回転ピンの存在によって、細長い切片の回転を生じさせる。この細長い切片は、第1の作動壁に接触しているので、カムの細長い切片の回転は、細長い切片の回転方向に応じて、作動壁を一方の方向または他方の方向に移動させる。
【0009】
本発明の可能な特徴によれば、第1の端板に所望の圧力を掛けるために各第1のスプリングをより多くまたはより少なく圧縮することを目的として、第1の作動壁を前記第1の端板から所与の距離に配置するために、システムは、リンクを所望の方向および大きさで移動させるようにアクチュエータを制御するようになされたコンピュータを備える。このコンピュータは、電気バッテリの充電または放電のフェーズを本質的に考慮するようにプログラムされている。該当するフェーズに応じて、コンピュータは、正確な瞬間にアクチュエータをトリガし、それが、リンクおよびカムを介して第1の作動壁を移動させて、前記少なくとも1つの第1のスプリングが第1の端板に加える圧力を増加または減少させる。
【0010】
本発明の可能な特徴によれば、システムは、2つの端板と平行に延在し、第2の端板に対向して配置された第2の作動壁を備える第2のアセンブリを具備し、前記第2のアセンブリは、第2の作動壁と第2の端板との間に挿入された少なくとも1つの第2のスプリングを備え、前記少なくとも1つの第2のスプリングによって発揮される力の方向が、前記少なくとも1つの第1のスプリングによって発揮される力の方向と平行であり、前記第2の作動壁が、前記第2の作動壁と平行な固定壁に当接する。この第2のアセンブリは、電気バッテリの両側にそれぞれが圧力を掛けることが可能な2つのアセンブリの存在が寄与して、スプリングによって電気バッテリに掛けられる圧力全体を均一にすることを可能にする。
【0011】
本発明の可能な特徴によれば、システムは、第1の作動壁と第1の端板との間に挿入された12個の第1のスプリングと、第2の作動壁と第2の端板との間に挿入された12個の第2のスプリングとを備える。
【0012】
本発明の可能な特徴によれば、第1のスプリングは、両端板と平行な軸に沿って整列し、第2のスプリングもまた、前記両端板に平行な軸に沿って整列する。このようにして、第1の作動壁および第2の作動壁は、第1の端板および第2の端板に、それぞれ、均一な圧力を掛ける。
【0013】
本発明の可能な特徴によれば、各第1のスプリングおよび各第2のスプリングは、皿ばねから形成される。あるいは、たとえば螺旋ばねまたは圧縮フォームなど、他のタイプのスプリングを用いることもできる。
【0014】
本発明の可能な特徴によれば、システムは、電気バッテリを取り囲む固定フレームと、第1の作動壁と、第2の作動壁と、前記少なくとも1つの第1のスプリングと、前記少なくとも1つの第2のスプリングとを備え、第2の作動壁が、フレームの第2の平坦壁と接触し、前記少なくとも1つのカムの第2の端部が周りに取り付けられた前記少なくとも1つの回転ピンが、前記第2の平坦壁と平行なフレームの第1の平坦壁に固定され、リンクが、フレームの外部に位置しながら前記フレームの前記第1の平坦壁の背後に配置されている。
【0015】
本発明の別の主題は、Liイオン電気バッテリの充電フェーズそして放電フェーズを含むサイクル全体を通して、本発明によるシステムを使用する方法である。
【0016】
本発明によれば、本方法は、
- セルが寸法x1であり、システムが力F1を加える開始ステップと、
- バッテリのセルが、充電フェーズ中に膨張し、今やx1より大きい寸法x2になるので、システムによって加えられる力が、F1より大きい値F2に増加する、電気バッテリを充電するステップと、
- バッテリの放電を開始するステップであり、第1の作動壁を第1の端板に近付ける第1の方向にカムを回転させる方向にリンクを並進的に動かすように、コンピュータによって制御されるシステムを事前作動させるステップを含むステップであって、それによって、前記システムが、力F2より大きい力F3をバッテリに直ちに加える、ステップと、
- システムが、力F3より小さい力F4をバッテリに加える、バッテリの放電の終わりのステップであって、放電の終わりに加えられるこの力F4が、この放電フェーズ中にセルが失った体積に起因する、ステップと、
- コンピュータによって制御されるシステムを作動させるステップであり、第1の作動壁を第1の端板から離れるように移動させる第2の方向にカムを回転させる反対方向にリンクを並進的に動かすステップであって、それによって、前記システムが、力F4より小さい力F1をバッテリに直ちに加えて、セルを充電前の予負荷状態に戻す、ステップと
を含む。
【0017】
電気バッテリを充電するステップは、バッテリの、必ずしもゼロではない、いかなる初期充電状態に対してもトリガすることができることが当然理解されよう。同様に、バッテリを放電するステップは、バッテリの放電状態に関係なく、必ずしもゼロでなくても、止めることができる。
【0018】
本発明による、可変圧力を加えるシステムの好ましい実施形態の詳細な説明が、下記の図面を参照して以下に言及される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による、電気バッテリに可変圧力を加えるシステムの概略図であって、セルが寸法x1であり、システムが力F1を掛けている、概略図である。
図2a】電気バッテリの充電そして放電フェーズ中に、時間経過とともに前記バッテリのセルに加えられる力の例を示す線図である。
図2b】バッテリの充電そして放電フェーズ中の、時間経過による前記バッテリのセルの幅の変化の例を示す線図である。
図3】電気バッテリが充電を終わり、セルが、その大きさの増加によって、x1より大きい寸法x2であり、加えられる力が、F1より大きい力F2である時の、本発明によるシステムの概略図である。
図4】セルが放電を始める時の、F2より大きい力F3がセルに掛けられ、セルが寸法x2である、本発明によるシステムの概略図である。
図5】電気バッテリが放電を終わり、セルが寸法x1に戻り、前記システムが力F4を掛けている時の、本発明によるシステムの外概略図である。
図6】セルが充電を開始する時にアクチュエータがセルへの圧力を減少させ、前記セルが寸法x1であり、システムが力F1を加えている、本発明によるシステムの概略図である。
図7a】電気バッテリの充電そして放電フェーズ中に、時間経過とともに前記バッテリのセルに加えられる力の例を示し、前記セルが経年劣化によりx1に代わって寸法x3に膨張している、線図である。
図7b】バッテリの充電そして放電フェーズ中の、時間経過に伴う前記バッテリのセルの寸法の変化の例を示し、前記セルが経年劣化によりx1に代わって寸法x3に膨張している、線図である。
図8】電気バッテリが充電を開始しようとしており、セルが寸法x3であり、F1の力が掛けられている時の、本発明によるシステムの概略図である。
図9】電気バッテリが充電を終わり、セルが、その大きさの増加によって、x3より大きい寸法x4であり、そのとき加えられる力が、F1より大きい力F2である時の、本発明によるシステムの概略図である。
図10】セルが放電を始めようとしている時の、F2より大きい力F3がセルに掛けられ、セルが寸法x4である、本発明によるシステムの概略図である。
図11】電気バッテリが放電を終わり、セルが寸法x3に戻り、前記システムが力F4を掛けている時の、本発明によるシステムの外概略図である。
図12】セルが充電を開始する時にアクチュエータがセルへの圧力を減少させ、前記セルが寸法x3であり、システムが力F1を掛けている、本発明によるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
電気バッテリ2は、完璧に整列され、互いに接触する一連の複数のLiイオンセル3から構成される。この電気バッテリ2は、前記電気バッテリ2のセル3を封じ込める第1の端板4および第2の端板5を備える。概略的には、これら2つの端板4、5は、セル3と実質的に同じ寸法を有し、前記セル3は、これら2つの端板4、5間に挿入され、前記端板4、5と平行である。
【0021】
本発明による可変圧力を加えるシステム1は、第1の端板4および第2の端板5に圧力を加えることが可能であり、
- フレーム6、
- 第1の作動壁8と、複数のカム9と、複数の第1のスプリング10と、リンク11と、前記リンク11を動かすことが可能なアクチュエータ12と、バッテリの寿命の始めから寿命の終わりまで、バッテリ2が経ているフェーズ、すなわち充電または放電の関数として前記アクチュエータ12を制御するようになされたコンピュータ13とを備える第1のアセンブリ7、および
- 第2の作動壁14と、複数の第2のスプリング15とを備える第2のアセンブリ40
を具備する。
【0022】
リンク11は、細長い直線ロッドに相当し、アクチュエータ12が、コンピュータ13から受ける命令に応じて、前記リンク11を前記リンク11の長手方向軸に沿って並進的に一方向または他方向に移動させることができる。
【0023】
各カム9は、リンク11に関節式に取り付けられた第1の端部16を備え、第2の端部17が、細長い切片を備え、前記第1の端部16と前記第2の端部17とが、連結ロッド18によって連結されている。第2の端部17は、細長い切片が連結ロッド18に対して傾斜するように、前記連結ロッド18に固定式に連結されている。各カム9の第2の端部17の細長い切片は、フレーム6の第1の壁19に固定された連結ピンを回転軸にして通り、その第1の壁は、第1の作動壁8および電気バッテリ2の第1の端板4と平行である。
【0024】
第1の作動壁8は、平坦であり、バッテリ2の第1の端板4に平行かつ同端板に面して配置されている。一連の複数の第1のスプリング10は、電気バッテリ2の第1の端板4と第1の作動壁8との間に挿入され、前記第1のスプリング10は、たとえば、場合によっては数が12個である。これら第1のスプリング10は、第1の作動壁8およびバッテリ2の第1の端板4に沿って整列されている。リンク11は、第1の作動壁8および電気バッテリ2の第1の端板4と平行に延在し、前記第1の作動壁8が、前記リンク11と前記第1の端板4との間に配置されている。
【0025】
第2の作動壁14は、平坦であり、電気バッテリ2の第2の端板5と平行に、かつ同端板に面して配置されている。一連の複数の第2のスプリング15は、バッテリ2の第2の端板5と第2の作動壁14との間に挿入され、前記第2のスプリング15は、たとえば、場合によっては数が12個である。これら第2のスプリング15は、第2の作動壁14およびバッテリ2の第2の端板5に沿って整列されている。第2のスプリング15の効果の下に、第2の作動壁14は、フレーム6の第2の壁20に押し付けられ、その第2の壁は、カム9の回転ピンが固定されている、フレーム6の第1の壁19と平行である。フレーム6のこの第2の壁20は、第2の作動壁14およびバッテリ2の第2の端板5と平行である。言い換えれば、第2の作動壁14は、フレーム6の第2の壁20とバッテリ2の第2の端板5との間に挿入されている。
【0026】
第1のスプリング10および第2のスプリング15は、たとえば、皿ばねから形成することができる。第1のスプリング10は、第1の作動壁8および第1の端板4の面に対して垂直な方向に力を発揮し、第2のスプリング15は、第2の作動壁14および第2の端板5の面に対して垂直な方向に力を発揮する。
【0027】
カム9は、細長い切片を備えるそれらカムの第2の端部17が第1の作動壁8に当接するように、本発明によるシステム1に装着されている。
【0028】
そのようなシステムの作動原理は、アクチュエータ12が接続されているコンピュータ13が、リンク11を一方向または他方向に動かす信号の形の命令をそのアクチュエータ12に送ることである。次いで、リンク11は、指定された方向に、所望の大きさで、リンクの長手方向軸に沿って並進移動させられ、それによってカム9を枢動させる。各カム9の連結ロッド18の回転が、フレーム6の第1の壁19に固定された回転ピンの存在によって、前記ロッド18に固定された前記カムの第2の端部17の枢動を生じさせ、この第2の端部17の枢動が、第1の作動壁8を、電気バッテリ2の第1の端板4に近付け、またはその端板から遠ざける。次いで、第1のスプリング10が、圧縮されるかまたは緩められるかのどちらかになって、より大きいまたはより小さい大きさの圧力を前記第1の端板4に加える。その時、第2のアセンブリ40が、第1の構成部分7と同様に反応し、言い換えれば、カム9の枢動の効果の下に第1のスプリング10が圧縮されると、第2のスプリング15が、やはり圧縮され、第1のスプリングが緩むと、前記第2のスプリング15が、やはり緩む。第2のアセンブリ40は、第1のアセンブリ7によってバッテリ2に加えられた圧力と釣り合いを取る中継ぎの役割を果たす。
【0029】
図1~6を参照して、バッテリ2のセルが経年劣化していない場合、前記バッテリ2を放電するフェーズに続く充電するフェーズからなる完全なサイクルを通して本発明によるシステム1を使用する方法は、以下のステップ、すなわち、
図1および2aを参照して、セルが寸法x1であり、システム1が力F1を加える開始ステップと、
図2a、2bおよび3を参照して、バッテリ2のセルが、充電フェーズ中に膨張し、今やx1より大きい寸法x2になるので、システム1によって加えられる力が、F1より大きい値F2に増加する、バッテリ2を充電するステップであって、この力F2が、充電の終了時にシステム1によって加えられる結果的な力である、ステップと、
図2aおよび4を参照して、電気バッテリ2の放電を開始するステップであり、リンク11を並進的に上方に動かして、第1の作動壁8を第1の端板4に近付ける方向にカム9を回転させるように、コンピュータ13によって制御されるシステム1を事前作動させるステップを含むステップであって、この事前作動ステップ中に、システム1が、力F2より大きい結果的な力F3をバッテリ2に直ちに加える、ステップと、
図2a、2bおよび5を参照して、セルが、寸法x1に戻り、システムが、力F3より小さい結果的な力F4をバッテリ2に加える放電の終わりのステップであって、放電の終わりに加えられるこの力F4が、この放電フェーズ中にセルが失った体積に起因する、ステップと、
図2aおよび6を参照して、コンピュータ13によって制御されるシステム1を作動させるステップであり、リンク11を下方に並進的に動かして、第1の作動壁8を第1の端板4から離れるように移動させる方向にカム9を回転させるステップであって、それによって、システム1が、力F4より小さい力F1をバッテリ2に直ちに加え、その時、システム1が、充電の準備のできた位置にある、ステップと
を含む。
【0030】
図7~12を参照して、バッテリ2のセルが経年劣化すると、セルの体積が、時が経つにつれて増加する傾向にあり、この減少は不可逆的である。前記経年劣化バッテリの充電フェーズに続く放電フェーズの完全サイクル全体に亘る本発明によるシステム1の使用は、以下のステップ、すなわち、
図7a、7bおよび8を参照して、セルが、経年劣化していないときの初期寸法x1より大きい寸法x3であり、システム1が、結果的な力F1を加える開始ステップと、
図7a、7bおよび9を参照して、バッテリ2の経年劣化したセルが、充電フェーズ中に膨張し、今やx3より大きい寸法x4になるので、システム1によって加えられる力が、F1より大きい値F2に増加する、バッテリ2を充電するステップであって、この力F2が、充電の終了時にシステム1によって加えられる力である、ステップと、
図7aおよび10を参照して、電気バッテリ2の放電を開始するステップであり、リンク11を並進的に上方に動かして、第1の作動壁8を第1の端板4に近付ける方向にカム9を回転させるように、コンピュータ13によって制御されるシステム1を事前作動させるステップを含むステップであって、この事前作動ステップ中に、システム1が、力F2より大きい力F3をバッテリ2に直ちに加える、ステップと、
図7a、7bおよび11を参照して、セルが、放電の終わりに寸法x3に戻り、システムが、力F3より小さい力F4をバッテリ2に加える放電の終わりのステップであって、放電の終わりに加えられるこの力F4が、この放電フェーズ中にセルが失った体積に起因する、ステップと、
図7aおよび12を参照して、コンピュータ13によって制御されるシステム1を作動させるステップであり、リンク11を下方に並進的に動かして、第1の作動壁8を第1の端板4から離れるように移動させる方向にカム9を回転させるステップであって、それによって、システム1が、力F4より小さい力F1をバッテリ2に直ちに加える、ステップと
に従う。
【0031】
バッテリセルが経年劣化したときの圧力を管理する方法の様々なステップは、バッテリセルが経年劣化していないときの圧力を管理する方法の様々なステップと同一であり、ただバッテリセルの初期寸法x3が、それら経年劣化セルの体積の初期増加によって、経年劣化していないときのセルの初期寸法x1より大きいだけである。
【0032】
バッテリ2の充電ステップは、バッテリ2の充電状態がゼロのときにのみ実行されるのではなく、いかなる充電状態からも実行されることに留意されたい。同様に、放電ステップは、バッテリの充電状態がゼロの値になるまで必ずしも行われない。放電ステップは、バッテリの充電状態がゼロでなくても、いつでも中断することができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】