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特表2024-546994GIP、GLP-1、及びGLP-2のペプチドトリプルアゴニスト
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  • 特表-GIP、GLP-1、及びGLP-2のペプチドトリプルアゴニスト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】GIP、GLP-1、及びGLP-2のペプチドトリプルアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/575 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
C07K14/575 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536152
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2022086376
(87)【国際公開番号】W WO2023111278
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21215550.1
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227011
【氏名又は名称】バイナン バイオテック エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リベール,ディッテ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンキルド,メッテ マリー
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA40
(57)【要約】
本発明は、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)、GLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)、及びGLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のペプチドトリプルアゴニスト、ならびに医学におけるそれらの使用に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号42)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストであって、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略されるが、
但し、XがIである場合、XはAibであり、かつXがAである場合、XはSまたはTであることを条件とし、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42の16位からC末端までのアミノ酸残基からなり、
前記ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである、前記ペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項2】
配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42のアミノ酸残基16~33からなる、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項3】
配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42のアミノ酸残基16~43からなる、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項4】
前記ペプチドが、配列番号42の16~33位のうちのいずれか1つにおける及び/またはJ(配列番号29)の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項5】
が、Aibであり、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項6】
が、Aibであり、
前記ペプチドが、配列番号42の33位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項7】
16が、N、L、A、またはEであり、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項8】
17が、LまたはIである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項9】
20が、Rである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項10】
が、Tである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【請求項11】
が、Sである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【請求項12】
13が、Aibである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【請求項13】
16が、N、A、またはKである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項14】
28が、Qである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項15】
29が、Tである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項16】
30が、Kである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項17】
が、Aibであり、X31が、Iであり、X32が、Tである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項18】
が、Aibであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項19】
が、TまたはSであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項20】
が、Tであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項21】
Jが省略される、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項22】
Jが、K、NDWKHNITQ、NDWKHNITQKからなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項23】
前記ペプチドが、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号1)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号2)、
H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号3)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK(配列番号4)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK(配列番号5)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号6)、
H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK(配列番号7)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK(配列番号8)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK(配列番号9)、
H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号10)、
H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号11)、
H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号12)、
H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号13)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK(配列番号14)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK(配列番号15)、
Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号16)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号1)、
HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK(配列番号17)、
HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK(配列番号18)、
HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号19)、
HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号20)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号21)、
HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号22)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号23)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号24)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK(配列番号25)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK(配列番号26)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号49)、及び
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択され、前記機能的バリアントが、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項24】
前記ペプチドはC末端がアミド化されているか(-NH)、または前記C末端がカルボン酸である、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項25】
前記ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおけるリジン(K)にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項26】
前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項27】
前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、20位、33位、34位、37位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項28】
前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、20~43位のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、請求項1、9~11のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項29】
前記脂肪酸分子が、直鎖脂肪酸である、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項30】
前記脂肪酸分子が、分岐脂肪酸である、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項31】
前記脂肪酸分子が、1つの脂肪酸を含むモノアシル脂肪酸分子である、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項32】
前記脂肪酸分子が、ジアシル脂肪酸分子である、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項33】
前記脂肪酸分子が、CH(CHCO-(カプリル、C10)、CH(CH10CO-(ラウリル、C12)、CH(CH12CO-(ミリストイル、C14)、CH(CH14CO-(パルミトイル、C16)、CH(CH16CO-(ステアリル、C18)、及びCH(CH18CO-(アラキジル、C20)からなる群から選択されるアシル基を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項34】
前記脂肪酸分子が、HOOC-CH(CHCO-(デカノイル、C10)、HOOC-CH(CH10CO-(ドデカノイル、C12)、HOOC-CH(CH12CO-(1-テトラデカノイル、C14)、HOOC-CH(CH14CO-(ヘキサデカノイル、C16)、HOOC-CH(CH15CO-(15-カルボキシ-ペンタデカノイル、C17)、HOOC-CH(CH16CO-(オクタデカノイル、C18)、HOOC-CH(CH17CO-(17-カルボキシ-ヘプタデカノイル、C19)、HOOC-CH(CH18CO-(エイコサノイル、C20)、及びHOOC-CH(CH19CO-(19-カルボキシ-ノナデカノイル、C21)からなる群から個々に選択される2つのアシル基を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項35】
前記脂肪酸分子が、スペーサーを介してアミノ酸残基に結合している、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項36】
前記スペーサーが、yGluを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項37】
前記スペーサーが、yGluまたはyGlu-yGluを含むか、またはそれからなる、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項38】
前記ペプチドが、
a.天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である効力(Emax値)で、ヒトGIPRを活性化する、
b.天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-2Rを活性化する、
c.天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-1Rを活性化する、
先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項39】
前記ペプチドが、
d.ヒトGIPRに対して10nM以下のEC50を有する、
e.ヒトGLP-2Rに対して50nM以下のEC50を有する、かつ
f.ヒトGLP-1Rに対して12nM以下のEC50を有する、
先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項40】
前記ペプチドが、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号1)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号2)、
H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号3)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号4)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号5)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号6)、
H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号7)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号8)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号9)、
H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号10)、
H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号11)、
H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号12)、
H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号13)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(C10)-NH(配列番号14)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号15)、
Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号16)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(γGlu-C10)-NH(配列番号1)、
HADGTFTSDYSTILDNLAA-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-DFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号18)、
HADGTFTSDYSIILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
HADGTFTSDYSTILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
HADGTFTSDYST-Aib-LD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
HADGTFTSDYSTILDK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH配列番号22)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-NDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDW-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-HNITQ-OH(配列番号24)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号25)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH配列番号26)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号49)、及び
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択され、前記機能的バリアントが、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項41】
医薬として使用するための、先行請求項のいずれかに記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項42】
骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法において使用するための、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項43】
骨障害を処置する方法において使用するための、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項44】
前記骨障害が、骨減少症、骨粗鬆症、重度骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症、骨軟化症、くる病、嚢胞性線維性骨炎(OFC)、及び骨パジェット病からなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用に向けたペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項45】
特発性骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【請求項46】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)または脳性麻痺を患う個体における骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、先行請求項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)、GLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)、及びGLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のペプチドトリプルアゴニスト、ならびに医学におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管ペプチド及びアディポカインは、全身のエネルギーホメオスタシスの制御に関与する必要不可欠なシグナル伝達分子である。これらの循環ホルモンは、空腹、飽満、及びグルコース取り込み等の様々な生体応答を調節する。インビボ実験により、これらのホルモンがまた骨代謝も調節することが確立されている一方で、ヒト臨床試験においてこれらのホルモンと骨量との間の関連が観察されている。
【0003】
インクレチンは、食物摂取に応答して炭水化物の代謝を調節することを助ける消化管ホルモンである。2つの主要なインクレチンは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)であり、いずれも腸管上皮細胞によって分泌される。腸管グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)は、栄養素の摂取時にGLP-1と共に共分泌される。
【0004】
GIP及びGLP-2等の食事摂取後に放出される消化管ホルモンは、骨代謝回転を調節することが示されており、GIPは、骨に対してプラスの効果を有し、GLP-2は、骨のホメオスタシスを調節すると共に、骨量に対してプラスに寄与する。
【0005】
GLP-1Rもまた骨代謝に寄与し得る。
【0006】
骨粗鬆症は、骨折リスクの増加を伴う骨強度の減少をもたらす、骨量の低下及び骨質の変化の組み合わせとして定義され得る。GIP及びGLP-2を含めた消化管ホルモンは各々、骨代謝に関連付けられており、骨粗鬆症を処置するための潜在的な治療法として関連付けられている。
【0007】
WO2018/069442及びWO2020/169792はいずれも、GIPR及びGLP-2Rのデュアルペプチドアゴニストについて開示する。
【0008】
ファミリーB GPCR等の同じ受容体ファミリーの特定の受容体を標的化しつつ、その他を標的化しないことは困難である。同時にGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのアゴニストである強力なペプチドは、これまでに開示されていない。
【発明の概要】
【0009】
GIP、GLP-1、及びGLP-2受容体アゴニストの特性を組み合わせたトリプルアゴニストが本明細書により提供される。本発明者らは、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rを予想外に高い効力で標的化するペプチドトリプルアゴニストを設計した。
【0010】
本発明のトリプルGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rアゴニストは、ヒトGIPと比較してより低いGIPRの内在化を誘導する。これは、GIPRの長期的活性化、ひいてはより持続的な効果をもたらし得る。その上、本発明のトリプルGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rアゴニストのうちのいくつかはまた、ヒトGLP-1及び/またはGLP-2と比較してより低いGLP-1R及び/またはGLP-2Rの内在化も誘導する。GIPR、GLP-1R、及び/またはGLP-2Rのうちのいずれか1つのより低い内在化は、長期的活性化、ひいてはより持続的かつより高い効果をもたらし得る。
【0011】
本開示の一態様は、配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号42)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストに関し、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略されるが、
但し、XがIである場合、XはAibであり、かつXがAである場合、XはSまたはTであることを条件とし、
該ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0012】
本開示の別の態様は、医薬として使用するための、例えば、骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法において使用するための、及び/または骨障害を処置する方法において使用するための、及び/または特発性骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、及び/またはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)もしくは脳性麻痺を患う個体における骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、先行請求項のいずれかに記載のペプチドトリプルアゴニストに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ヒトGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rに対するトリプルペプチドアゴニストの全体的な効力がレーダープロットとして図1に示される。ここで、化合物20、21、22、28、30、31、32、33、34、35は、レーダープロットで図示される、cAMPの蓄積として測定されるGs活性化におけるそれらの効力の観点から示される。数字は、-pLog EC50値を指す。ヒトグルカゴン受容体(GCGR)に対する対応する値もまた図示されるが、全ては100nM未満の効力(-pLog EC50値<7)を有する。外側のリングは、より高い効力に対応し、内側のリングは、より低い効力に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
「親和性」という用語は、リガンドとその受容体との間の結合の強さを指す。
【0015】
本文脈における「アゴニスト」という用語は、受容体に結合してそれを活性化することができる、本明細書で定義されるペプチドを指す。
【0016】
「トリプルアゴニスト」という用語は、少なくとも3つの受容体に結合してそれを活性化することができる、本明細書で定義されるペプチドを指し、ここで、少なくとも3つの受容体は、異なる受容体である。本文脈において、トリプルアゴニストは、GIPRのアゴニスト、GLP-2Rのアゴニスト、かつGLP-1Rのアゴニストである。本明細書により定義されるトリプルアゴニストはまた、追加の受容体に対するアゴニスト活性を有してもよく、それによって、トリプルアゴニストは、少なくともGIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rのアゴニストである。
【0017】
「アミノ酸残基」は、ペプチド結合またはペプチド結合とは異なる結合によって連結された天然または非天然のアミノ酸残基であり得る。アミノ酸残基は、D配置またはL配置にあり得る。アミノ酸残基は、炭素原子または炭素原子の鎖を含む中央部分によって分離されたアミノ末端部分(NH)及びカルボキシ末端部分(COOH)を含み、このうちの少なくとも一方が少なくとも1つの側鎖または官能基を含む。NHは、アミノ酸またはペプチドのアミノ末端に存在するアミノ基を指し、COOHは、アミノ酸またはペプチドのカルボキシ末端に存在するカルボキシ基を指す。アミノ酸という総称は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の両方を含む。J.Biol.Chem.,243:3552-59(1969)に列挙され、37C.F.R.、第1.822節(b)(2)において採用されるような標準的命名法の天然アミノ酸は、本明細書により列挙されるアミノ酸の群:Y、G、F、M、A、S、I、L、T、V、P、K、H、Q、E、W、R、D、N、及びCに帰属する。非天然アミノ酸は、直前に列挙されていないものである。また、非天然アミノ酸残基には、修飾アミノ酸残基、L-アミノ酸残基、及びD-アミノ酸残基の立体異性体も含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
「同等のアミノ酸残基」とは、ポリペプチドの構造及び/または機能性を実質的に変化させることなくポリペプチドにおいて別のアミノ酸残基を置き換えることができるアミノ酸残基を指す。故に、同等のアミノ酸は、側鎖のかさ高さ、側鎖の極性(極性または非極性)、疎水性度(疎水性または親水性)、pH(酸性、中性、または塩基性)、及び炭素分子の側鎖の構成(芳香族/脂肪族)等の特性が類似している。したがって、「同等のアミノ酸残基」は、「保存的アミノ酸置換」と見なされ得る。
【0019】
本明細書で適用される「同等のアミノ酸置換」という用語の意味の範囲内で、一実施形態にでは本明細書の下記に示されるアミノ酸の群内で、1つのアミノ酸で別のアミノ酸を置換してもよい。
【0020】
極性側鎖を有するアミノ酸(Asp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、Thr、Pro、及びCys);非極性側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Tyr、及びMet);脂肪族側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、Ile);環状側鎖を有するアミノ酸(Trp、His、Pro);芳香族側鎖を有するアミノ酸(Phe、Tyr、Trp);酸性の、例えば負に荷電した側鎖を有するアミノ酸(Asp、Glu);塩基性の、例えば正に荷電した側鎖を有するアミノ酸(Lys、Arg、His);アミド側鎖を有するアミノ酸(Asn、Gln);ヒドロキシ側鎖を有するアミノ酸(Ser、Thr);硫黄含有側鎖を有するアミノ酸(Cys、Met);中性の弱疎水性アミノ酸(Pro、Ala、Gly、Ser、Thr);親水性の酸性アミノ酸(Gln、Asn、Glu、Asp);及び疎水性アミノ酸(Leu、Ile、Val)。
【0021】
L体またはD体(光学異性体)が指定されていない場合、当該アミノ酸は、天然のL体(Pure & Appl.Chem.Vol.(56(5)pp 595-624(1984)参照)またはD体を有し、その結果、形成されるペプチドはL体、D体、または一連の混合したL体及びD体のアミノ酸から構成され得ることを理解されたい。
【0022】
ペプチドの「機能的バリアント」とは、それが機能的バリアントであるペプチドと本質的に同じ機能を果たすことができるペプチドである。特に、機能的バリアントは、それが機能的バリアントであるペプチドと同じ分子に、好ましくは同じ親和性で結合することができる。
【0023】
「生物活性剤」(すなわち生物学的に活性な物質/薬剤)は、インビボまたはインビトロで実証され得る何らかの薬理(しばしば有益な)効果を提供する任意の薬剤、薬物、化合物、組成物、または混合物である。それは、本明細書により定義されるペプチド配列、これらを含む化合物または組成物、及び該ペプチドをコードする核酸構築物を指す。本明細書で使用されるとき、この用語は、個体において局所的効果または全身効果を生み出す任意の生理的または薬理学的に活性な物質をさらに含む。本明細書で使用される「生物活性剤」とは、ペプチド、該ペプチドをコードする核酸構築物、及びペプチドを含む組成物を総称的に表す。
【0024】
本明細書で使用される「薬物」及び「医薬」という用語は、ヒトまたは動物の身体において局所的または全身的に作用する生物学的、生理的、または薬理学的に活性な物質を含む。
【0025】
本明細書で使用される「処置」及び「処置する」という用語は、病態、疾患、または障害と闘う目的での患者の管理及びケアを指す。この用語は、患者が患っている所与の病態に対する全範囲の処置を含むことが意図され、症状もしくは合併症を緩和もしくは軽減する;病態の進行を遅延させる、臨床徴候、疾患、もしくは障害を部分的に停止させる;病態、疾患、もしくは障害を治癒もしくは排除する;検出可能であるか検出不能であるかを問わず、病態もしくは症状の改善もしくは一時的緩和、及び寛解(部分的であるか完全であるかを問わず);及び/または病態、疾患、もしくは障害に罹患することを予防もしくそのリスクを低減する目的でのペプチドもしくは組成物の投与等の、根治療法、予防(prophylactic)または予防(preventative)療法、及び改善または緩和療法を同等に指し、ここで、「予防する」または「予防」とは、病態、疾患、または障害の発症を妨げる目的での患者の管理及びケアを指すことを理解されたく、症状または合併症の発現を予防またはそのリスクを低減するための活性化合物の投与を含む。本明細書で使用される「一時的緩和」という用語、及びその変化形は、本発明の組成物を投与しない場合と比較して、生理的状態もしくは症状の程度及び/または望ましくない徴候が減少させられること、及び/または進行の時間経過が減速もしくは長くされることを意味する。
【0026】
「個体」という用語は、脊椎動物、哺乳類種の特定の成員、好ましくはヒトを含めた霊長類を指す。本明細書で使用されるとき、「対象」及び「個体」は、互換的に使用され得る。しかしながら、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、及びブタ等の動物の処置もまた本発明の範囲内にある。
【0027】
「それを必要とする個体」とは、処置が有益であり得る個体を指す。一実施形態では、それを必要とする該個体は、疾患に罹患した個体であり、該疾患は骨障害であり得る。
【0028】
「処置効果」または「治療効果」は、「処置する」及び「処置」という用語の定義を構成する基準によって測定したときに、処置されている病態に変化がある場合に現れる。処置されている病態には、少なくとも5%の改善、好ましくは10%の改善、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%、例えば少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも100%の改善がある場合、「変化」がある。この変化は、個体において処置された病態の重症度の改善、または生物活性剤による、もしくは本発明の医薬組成物と組み合わせた生物活性剤による処置を受けた及び受けていない個体の集団における改善された病態の頻度の差異に基づき得る。
【0029】
本発明による処置は、予防的、改善するもの、及び/または治癒的であり得る。
【0030】
「生物活性剤」の「薬理学的有効量」、「薬学的有効量」、または「生理的有効量」は、かかる組成物が投与されるときに予期される生理応答をもたらすように、処置を受ける個体において血流中または作用部位(例えば、肺、胃系、結腸直腸系、前立腺等)で所望のレベルの活性薬剤を提供するために必要とされる、本明細書に記載される医薬組成物中に存在する生物活性剤の量である。
【0031】
本明細書で使用される「共投与する」または「共投与」とは、1つまたは複数のアゴニスト及び最先端の医薬組成物の投与を指す。これら少なくとも2つの成分は、別個に、順次に、または同時に投与され得る。
【0032】
本開示のペプチドトリプルアゴニストに関連して本明細書で使用される「偏った」とは、例えば、効力、活性化、有効性、及び/または内在化に関して、3つの受容体GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのうちの1つ(または複数)に対する同系の内在性ペプチドホルモンと比べて、ペプチドトリプルアゴニストが不均衡にされていることを指す。本開示の偏ったペプチドトリプルアゴニストは、ある特定の用途に有益であり得る。
【0033】
GIPは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド、別称、胃抑制ペプチド(またはポリペプチド)を指す。本明細書で使用されるとき、hGIPという略号は、ヒトGIP(Uniprot受託番号P09681)である。GIPは、153アミノ酸のプロタンパク質に由来し、42アミノ酸の生物学的に活性なペプチド(52~93位)として循環する。それは、消化管の十二指腸及び空腸の粘膜のK細胞によって合成される。
【0034】
生理的条件下で、42アミノ酸のホルモンであるGIPは、酵素ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)によって分解され、このDPP-4はGIP分子の3番目の位置を切断してGIP3~42を生み出す。GIP1~30は、翻訳後プロセシングの結果として生成される。ヒトにおいてGIP1~30が血液循環の中へ分泌される場合、DPP-4によって触媒される切断は、GIP3~30をもたらすことになろう。
【0035】
hGIPの配列は、YAEGTFISDYSIAMDKIHQQDFVNWLLAQKGKKNDWKHNITQ(配列番号37)である。
【0036】
GIPR(またはGIP受容体)は、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体(複数可)を指す。これらの7回膜貫通型タンパク質は、少なくとも膵臓のベータ細胞上で見出される。本明細書で使用されるとき、hGIPRという略号は、ヒトGIPR(Uniprot受託番号P48546)である。
【0037】
GIPのいくつかの生理効果が特定されている。GIPは、栄養素の摂取に次いで腸内分泌K細胞から分泌され、インスリン分泌を誘導する。分泌されるインスリンの量は、グルコースが静脈内投与されるよりも経口投与される場合により多い。GIPはまた、脂肪細胞におけるリポタンパク質リパーゼの活性の刺激を介して脂肪酸代謝に顕著な影響を有するとも考えられる。GIPは最近、骨リモデリングにおける主要な因子として見受けられており、GIP受容体の欠損は、骨質の劇的な減少とその後の骨折リスクの上昇に関連付けられている。
【0038】
グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)は、ヒトにおいて、関連するグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルカゴン自体もまた遊離するプロセスにおいてプログルカゴンの特定の翻訳後タンパク分解性切断によって作出される、33アミノ酸のペプチドである。GLP-2は、腸管内分泌L細胞及び中枢神経系の種々のニューロンによって産生される。腸管GLP-2は、栄養素の摂取時にGLP-1と共に共分泌される。外部から投与される場合、GLP-2は、ヒト及び齧歯類において、腸管成長、腸管機能の増強、骨破壊の低減、及び神経保護を含めたいくつかの効果を生み出す。GLP-2及び関連する類似体は、短腸症候群、クローン病、骨粗鬆症に対する治療薬として、及びがん化学療法中の補助療法としての可能性を有する。
【0039】
hGLP-2の配列は、
HADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITD(配列番号41)である。
【0040】
GLP-2受容体(GLP-2R)は、Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリーのメンバーである。GLP-2Rは腸内に発現し、グルカゴン受容体(GCGR)及びGLP1受容体(GLP-1R)に密接に関連する。本明細書で使用されるとき、hGLP-2Rという略号は、ヒトGLP-2R(例えば、Uniprot受託番号O95838)である。本明細書で使用されるとき、hGLP-2という略号は、ヒトGLP-2(Uniprot受託番号該当なし)である。本明細書で使用されるとき、hGLP-1Rという略号は、ヒトGLP-1R(GLP-1受容体)(例えば、Uniprot受託番号P43220)である。
【0041】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、プログルカゴンの組織特異的な翻訳後プロセシングからもたらされる。それは食物消費時に腸管の腸内分泌L細胞、及び脳幹の孤束核内のある特定のニューロンによって産生され、分泌される。腸管L細胞において、プログルカゴンは、C末端がアミド化されたGLP-1(7~36)及び少量のC末端がグリシンで伸長されたGLP-1(7~37)へとプロセシングされ、食事/グルコース摂取に応答して放出される。活性GLP-1は、リンカー領域によって分離されたアミノ酸13~20位及び24~35位からの2つのαヘリックスを構成する。
【0042】
GLP-1は、インスリン分泌を増強することによってグルコース依存的様態で血糖値を減少させる。インスリン分泌刺激効果の他に、GLP-1は、多数の調節効果及び保護効果に関連付けられている。GLP-1の作用は、2型糖尿病を有する患者において保存されているため、相当な医薬品の研究がGLP-1に基づく治療薬の開発へと向けられてきた。内在性GLP-1は、主としてジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によるが、中性エンドペプチダーゼ24.11(NEP 24.11)及び腎クリアランスによっても速やかに分解され、半減期がおよそ2分となる。結果として、わずか10~15%のGLP-1が無傷で血液循環に到達し、空腹時血漿中レベルがわずか0~15pmol/Lとなる。これを克服するために、DPP-4阻害剤及び開発されたGLP-1の分解耐性バリアントとの組み合わせが用いられている。
【0043】
天然hGLP-1の配列は、
hGLP-1(1~37):HDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号38)
hGLP-1(7~36):HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号39)
hGLP-1(7~37):HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号40)である。
【0044】
GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rペプチドトリプルアゴニスト
本発明者らは、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのトリプルアゴニストであり、予想外のかつてない高い効力を有する新規のペプチドを設計した。これらのペプチドは、hGIP及びhGLP-2の配列に基づく。GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのトリプルアゴニストとは、ペプチドが少なくともGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rに結合する及び/またはそれらを活性化することを意味する。このことは、それらを様々な治療応用に潜在的に有用なものとする。
【0045】
このペプチドは、GIPペプチド(配列番号37)からのアミノ酸/アミノ酸の連なり及びGLP-2ペプチド(配列番号41)からのアミノ酸/アミノ酸の連なりを組み合わせることによって設計される。GLP-1ペプチド(配列番号38)からのアミノ酸残基/連なりもまた本開示のトリプルアゴニストに存在してもよい。これらのアミノ酸は、好ましくは、ペプチドの受容体結合、受容体親和性、受容体活性、及び/またはそのアゴニスト活性に別様に関連するもののうちの1つまたは複数に関与する。一部の実施形態では、ペプチドは、GIPペプチド(配列番号37)、GLP-1ペプチド(配列番号38)、及びGLP-2ペプチド(配列番号41)のうちのいずれにも由来しないが、GIPペプチド(配列番号37)及びGLP-2ペプチド(配列番号41)のみに由来する、またはGIPペプチド(配列番号37)、GLP-1ペプチド(配列番号38)、及びGLP-2ペプチド(配列番号41)のみに由来する残基を含むペプチドデュアルアゴニストと比較して、本開示の該ペプチドをより安定及び/またはより強力及び/またはより選択的なものにし得る、アミノ酸残基を含むように設計される。
【0046】
ある態様は、配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号42)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストを提供することであり、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略されるが、
但し、XがIである場合、XはAibであり、かつXがAである場合、XはSまたはTであることを条件とし、
該ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0047】
ある態様は、配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号43)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストを提供することであり、配列中、
が、HまたはYであり、
が、Aibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略され、
該ペプチドが、配列番号43のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0048】
ある態様は、配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号44)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストを提供することであり、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
は、SまたはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略され、
該ペプチドが、配列番号44のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0049】
配列番号42、43、及び配列番号44(配列番号42~44等)における番号付けは、該配列におけるアミノ酸残基の番号付けに対応し、それにより、
が、該配列番号42~44の1位の残基であり、Xが、2位の残基であり、Xが、3位の残基であり、Gが、4位の残基であり、Tが、5位の残基であり、Fが、6位の残基であり、Xが、7位の残基であり、Sが、8位の残基であり、Dが、9位の残基であり、Yが、10位の残基であり、X11が、11位の残基であり、X12が、12位の残基であり、X13が、13位の残基であり、Lが、14位の残基であり、X15が、15位の残基であり、X16が、16位の残基であり、X17が、17位の残基であり、Aが、18位の残基であり、Aが、19位の残基であり、X20が、20位の残基であり、X21が、21位の残基であり、Fが、22位の残基であり、Iが、23位の残基であり、X24が、24位の残基であり、Wが、25位の残基であり、Lが、26位の残基であり、Iが、27位の残基であり、X28が、28位の残基であり、X29が、29位の残基であり、X30が、30位の残基であり、X31が、31位の残基であり、X32が、32位の残基であり、Kが、33位の残基である。
【0050】
同様に、Jは、残基1~33の続きとして番号付けされるペプチドであり、故に、Jの1つまたは複数のアミノ酸残基(NDWKHNITQK;配列番号29)は、例えば、Nが34位であり、Dが35位であり、Wが36位であり、Kが37位であり、Hが38位であり、Nが39位であり、Iが40位であり、Tが41位であり、Qが42位であり、Kが43位であるように番号付けされる。
【0051】
しかしながら、一実施形態では、Jは、ただ1つのアミノ酸残基からなってもよく、その場合、例えば、該アミノ酸残基がNでない場合であっても、該アミノ酸残基は34位である。例えば、一実施形態では、Jは、ただ1つのKからなってもよく、その場合、該Kは34位である。
【0052】
本開示のペプチドトリプルアゴニスト、例えば、配列番号42~44のペプチドトリプルアゴニストのC末端領域は、配列番号42~44の16位からC末端までに及ぶアミノ酸残基からなる。例えば、本開示のペプチドトリプルアゴニスト、例えば、配列番号42~44のペプチドトリプルアゴニストのC末端領域は、配列番号42~44の16位から33位まで、例えば配列番号42~44の16位から34位まで、例えば配列番号42~44の16位から42位まで、例えば配列番号42~44の16位から43位までに及ぶアミノ酸残基からなる。
【0053】
本開示のペプチドトリプルアゴニスト、例えば、配列番号42~44のペプチドトリプルアゴニストのC末端領域は、配列番号42~44のアミノ酸残基16~33及びJ(配列番号29)のアミノ酸残基からなる。
【0054】
故に、一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16~33位のうちのいずれか1つにおける及び/またはJ(配列番号29)の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0055】
また、一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16~43位のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0056】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16~33位のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0057】
一実施形態では、本開示は、アミノ酸配列、配列番号42~44、またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片を含む、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのペプチドトリプルアゴニストに関する。
【0058】
配列番号42~44はまた、
(H/Y)(A/Aib)(D/E)GTF(I/S/T)SDY(S/A)(I/T)(E/Aib/I)L(D/E)(E/L/K/A/N)(L/K/I)AA(R/K)(D/E/K)FI(N/E)WLI(Q/A/K)(T/Q/K)(R/K)(I/G)(T/K)K-J;またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片と記述されてもよい。
【0059】
該ペプチドトリプルアゴニストがGIPRのアゴニスト、GLP-1Rのアゴニスト、かつGLP-2Rのアゴニストであるとは、ペプチドトリプルアゴニストがGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのアゴニストであることを含意する。それは、ペプチドトリプルアゴニストがさらなる受容体に結合し得る及び/またはそれを活性化し得ることを除外しない。しかしながら、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、高い効力でGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rを活性化するように設計される。
【0060】
本発明者らは、実際、本開示のペプチドトリプルアゴニストのC末端領域における、例えば、配列番号42~44のペプチドの16~43位のアミノ酸残基のうちのいずれか1つにおける脂肪酸の結合により、該ペプチドが高い効力でGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rに結合する及び/またはそれを活性化する能力を有するようになることを見出している。
【0061】
本明細書全体を通して使用されるGIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rへの言及は、hGIPR、hGLP-2R、及びhGLP-1Rで置き換えられ得る。
【0062】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、
a.N末端にhGLP-2(配列番号41)及び/またはhGIP(配列番号37)からのアミノ酸、
b.中央/N末端の主としてhGIP(配列番号37)からのアミノ酸の連なり、
c.中央/C末端の主としてhGLP-2(配列番号41)からのアミノ酸の連なり、ならびに
d.任意選択で、C末端に主としてhGIP(配列番号37)からのアミノ酸、
を含む。
【0063】
一実施形態では、12~20位または12~30位のアミノ酸は、主としてhGLP-2(配列番号41)からのものである。
【0064】
一実施形態では、5~11位または7~11位のアミノ酸は、主としてhGIP(配列番号37)からのものである。
【0065】
一実施形態では、7位及び/または8位のアミノ酸は、主としてhGLP-1(配列番号38)からのものである。これらの残基の存在は、GLP-1Rの効力を増加させ得る。
【0066】
一実施形態では、アミノ酸が「主として~からのもの」として定義される場合、これは、アミノ酸の少なくとも50%が当該ペプチドからのものであること、例えば少なくとも55%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも65%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば100%が当該ペプチドから(すなわちhGIPから、hGLP-1から、またはhGLP-2から)のものであることを意味する。
【0067】
一実施形態では、アミノ酸が「主として~からのもの」として定義される場合、これは、アミノ酸の50~55%が当該ペプチドからのものであること、例えば55~60%、例えば60~65%、例えば65~70%、例えば70~75%、例えば75~80%、例えば80~85%、例えば85~90%、例えば90~95%、例えば95~100%が当該ペプチドから(すなわちhGIPから、hGLP-1から、またはhGLP-2から)のものであることを意味する。
【0068】
アミノ酸がhGIPからまたはhGLP-2からのものである場合、これは、ペプチドトリプルアゴニストのある特定の位置のアミノ酸がhGIPまたはhGLP-2の同じ位置のアミノ酸に対応することを意味する。実例として、1位のアミノ酸がGIPのものである場合、これは、そのアミノ酸が「Y」であることを意味する。1位のアミノ酸がGLP-2からのものである場合、これは、そのアミノ酸が「H」であることを意味する。
【0069】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、本明細書で定義される20~43個の連続したアミノ酸、例えば20~22個のアミノ酸、例えば22~24個のアミノ酸、例えば24~26個のアミノ酸、例えば26~28個のアミノ酸、例えば28~30個のアミノ酸、例えば30~32個のアミノ酸、例えば32~34個のアミノ酸、例えば34~36個のアミノ酸、例えば36~38個のアミノ酸、例えば38~40個のアミノ酸、例えば40~42個、例えば38~43個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0070】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、20~43個の連続したアミノ酸、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、または43個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0071】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、20~33個の連続したアミノ酸、例えば20~21個、例えば21~22個、例えば22~23個、例えば23~24個、例えば24~25個、例えば25~26個、例えば26~27個、例えば27~28個、例えば28~29個、例えば29~30個、例えば30~31個、例えば31~32個、例えば32~33個、例えば33~34個、例えば34~35個、例えば35~36個、例えば36~37個、例えば37~38個、例えば38~39個、例えば39~40個、例えば40~41個、例えば41~42個、例えば42~43個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0072】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、33個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0073】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、34個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0074】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、42個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0075】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、43個の連続したアミノ酸を含むか、またはそれからなる。
【0076】
一実施形態では、1位におけるチロシン(Y)の存在は、GIPRに対して増加した効力を有するペプチドトリプルアゴニストをもたらす。一実施形態では、1位におけるチロシン(Y)の存在は、GLP-1Rに対して低減された効力を有するペプチドトリプルアゴニストをもたらす。
【0077】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、該ペプチドは、配列番号42~44のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0078】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、該ペプチドは、配列番号42~44の33位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0079】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、該ペプチドは、配列番号42~44の34位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0080】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、該ペプチドは、配列番号42~44の42位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0081】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、該ペプチドは、配列番号42~44の43位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0082】
一実施形態では、11位におけるセリン(S)の存在(配列中、X11は、Sである)は、GLP-2Rに対して増加した効力を有するペプチドトリプルアゴニスト、故にGLP-2Rに偏ったトリプルアゴニストをもたらす。
【0083】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、L、A、またはEであり、
該ペプチドは、配列番号42~44のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0084】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、L、A、またはEであり、
該ペプチドは、配列番号42~44の33位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0085】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、L、A、またはEであり、該ペプチドは、配列番号42~44の34位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0086】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、L、A、またはEであり、該ペプチドは、配列番号42~44の42位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0087】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、L、A、またはEであり、該ペプチドは、配列番号42~44の43位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0088】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X17は、LまたはIである。
【0089】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X20は、Rである。
【0090】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Tである。7位におけるTの存在、例えばhGIPの7位のIのTとの置換は、GLP-1Rに対して改善された効力をもたらす。
【0091】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Sである。7位におけるSの存在、例えばhGIPの7位のIのSとの置換は、GLP-1Rに対して改善された効力をもたらす。
【0092】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X13は、Aibである。故に、一実施形態では、hGIPの13位におけるアラニン、またはhGLP-2の13位におけるイソロイシンは、2-アミノイソ酪酸で置換される。13位におけるAibの存在は、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのうちの少なくとも1つに対する効力を増加させる。
【0093】
一般に、1つまたは複数のAib残基の存在は、本開示のペプチドトリプルアゴニストの3D構造をより強固にし、これによりGIPR、GLP-1R、及び/またはGLP-2Rに対する効力及び選択性が改善され得る。一実施形態では、2位におけるAibの存在は、GIPR内在化のより高い低減、すなわち低減されたGIPR内在化と相関がある。一実施形態では、13位におけるAibの存在は、GIPR内在化のより高い低減、すなわち低減されたGIPR内在化と相関がある。一実施形態では、2位及び/または13位にAibを含む本開示のペプチドトリプルアゴニストは、GIPRの内在化の低減の方向へ偏っている。
【0094】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X16は、N、A、またはKである。一実施形態では、16位におけるアラニン(A)の存在(すなわち、配列中、X16は、Aである)は、GIPRに対して増加した活性を有するペプチドトリプルアゴニストをもたらす。
【0095】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X28は、Qである。
【0096】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X29は、Tである。
【0097】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X30は、Kである。
【0098】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、X31は、Iであり、X32は、Tである。
【0099】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Aibであり、X31は、Gであり、X32は、Kである。
【0100】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、TまたはSであり、X31は、Gであり、X32は、Kである。
【0101】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Xは、Tであり、X31は、Gであり、X32は、Kである。
【0102】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、33位のアミノ酸残基は、Dではない。実際、GLP-2の33位におけるDのKまたは別のアミノ酸残基との置換が有利であり、GIPR及び/またはGLP-2Rに対して改善された効力をもたらすことが見出された。
【0103】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、X3132は、IT、GK、GT、IK、及びITからなる群から選択される。一実施形態では、X3132は、ITである。一実施形態では、X3132は、GKである。
【0104】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Jは省略される。
【0105】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Jは、
ND、NDW、KDW、NDW、NDK、NDWK、NDWKH、NDWKHN、NDWKHNI、NDWKHNIT、NDWKHNITQ、及びAEWKHAITQ、または1つのアミノ酸置換を含むバリアントからなる群から選択される。
【0106】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Jは、Kである。
【0107】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、アミノ酸配列、配列番号42~44を含むか、またはそれからなり、配列中、Jは、NDWKHNITQ、NDWKHNITQKからなる群から選択される。
【0108】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、
化合物1:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物2:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号2)、
化合物3:H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号3)、
化合物4:H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号4)、
化合物5:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号5)、
化合物6:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号6)、
化合物7:H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号7)、
化合物8:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK-NH(配列番号8)、
化合物9:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK-NH(配列番号9)、
化合物10:H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号10)、
化合物11:H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号11)、
化合物12:H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号12)、
化合物13:H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号13)、
化合物14:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-NH(配列番号14)、
化合物15:H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号15)、
化合物16:Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号16)、
化合物17:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物18:HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
化合物19:HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号18)、
化合物20:HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
化合物21:HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
化合物22:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
化合物23:HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号22)、
化合物24:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
化合物25:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号24)、
化合物26:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号25)、
化合物27:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号26)、
化合物28:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号49)、及び
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、該機能的バリアントは、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む。
【0109】
一態様では、本開示は、
化合物1:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物2:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号2)、
化合物3:H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号3)、
化合物4:H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号4)、
化合物5:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号5)、
化合物6:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号6)、
化合物7:H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号7)、
化合物8:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK-NH(配列番号8)、
化合物9:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK-NH(配列番号9)、
化合物10:H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号10)、
化合物11:H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号11)、
化合物12:H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号12)、
化合物13:H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号13)、
化合物14:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-NH(配列番号14)、
化合物15:H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号15)、
化合物16:Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号16)、
化合物17:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物18:HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
化合物19:HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号18)、
化合物20:HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
化合物21:HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
化合物22:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
化合物23:HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号22)、
化合物24:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
化合物25:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号24)、
化合物26:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号25)、
化合物27:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号26)、
化合物28:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号27)、
化合物30:BB-153 HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物31:BB-154 HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物32:BB-155 HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物33:BB-157 HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物34:BB-159 HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH、
化合物35:BB-160 HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH、
またはその機能的バリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、ペプチドトリプルアゴニストに関し、該機能的バリアントは、1~3つの個々のアミノ酸置換を含み、
該ペプチドが、上記の配列のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0110】
一態様では、本開示は、
化合物1:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号1)、
化合物2:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号2)、
化合物3:H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号3)、
化合物4:H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号4)、
化合物5:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号5)、
化合物6:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号6)、
化合物7:H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号7)、
化合物8:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK-NH2(配列番号8)、
化合物9:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK-NH2(配列番号9)、
化合物10:H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号10)、
化合物11:H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号11)、
化合物12:H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号12)、
化合物13:H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号13)、
化合物14:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-NH2(配列番号14)、
化合物15:H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号15)、
化合物16:Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号16)、
化合物17:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH2(配列番号1)、
化合物18:HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
化合物19:HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号18)、
化合物20:HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
化合物21:HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
化合物22:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
化合物23:HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号22)、
化合物24:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
化合物25:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号24)、
化合物26:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号25)、
化合物27:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号26)、
化合物28:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号27)、
化合物30:BB-153 HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物31:BB-154 HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物32:BB-155 HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物33:BB-157 HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH、
化合物34:BB-159 HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH、及び
化合物35:BB-160 HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH、
またはその機能的バリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、ペプチドトリプルアゴニストに関し、該機能的バリアントは、1~3つの個々のアミノ酸置換を含むが、但し、2位のアミノ酸残基がAibであり、及び/または7位のアミノ酸残基がTもしくはSであることを条件とし、
該ペプチドが、上記の配列のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
該ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである。
【0111】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、C末端がアミド化されている(-NH)。
【0112】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストのC末端は、カルボン酸である。
【0113】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストの機能的バリアントは、該ペプチドトリプルアゴニストに対して少なくとも60%の配列同一性、例えば少なくとも70%の配列同一性、例えば少なくとも75%の配列同一性、例えば少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも85%の配列同一性、例えば少なくとも90%の配列同一性、例えば少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも97%の配列同一性を有する。
【0114】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストの機能的バリアントは、該ペプチドトリプルアゴニストに対して60~65%の配列同一性、例えば65~70%の配列同一性、例えば70~75%の配列同一性、例えば75~80%の配列同一性、例えば80~85%の配列同一性、例えば85~90%の配列同一性、例えば90~95%の配列同一性、例えば95~99%の配列同一性、例えば99~100%の配列同一性を有する。「同一性」及び「配列同一性」は、本明細書で互換的に使用され得る。
【0115】
一実施形態では、機能的バリアントは、1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば1~8つのアミノ酸置換、例えば1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、または7~8つのアミノ酸置換を含む。
【0116】
一実施形態では、機能的バリアントは、1つのアミノ酸置換、2つのアミノ酸置換、3つのアミノ酸置換、4つのアミノ酸置換、または5つのアミノ酸置換を含む。
【0117】
一実施形態では、該アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。一実施形態では、該機能的バリアントは、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む。
【0118】
保存的置換(または同義置換)とは、アミノ酸の側鎖が類似の生化学的特性を有し、故にペプチドの機能に影響を及ぼさないアミノ酸の置換である。
【0119】
アミノ酸配列間の同一性は、BLOSUM 30、BLOSUM 40、BLOSUM 45、BLOSUM 50、BLOSUM 55、BLOSUM 60、BLOSUM 62、BLOSUM 65、BLOSUM 70、BLOSUM 75、BLOSUM 80、BLOSUM 85、もしくはBLOSUM 90等の周知のアルゴリズムを使用して、または比較対象の2つのペプチド配列における対応する位置に存在する特定のアミノ酸の単純な比較によって算出され得る。相同性が、同一性/配列同一性の同義語として使用され得る。
【0120】
保存的置換は、バリアントが機能的なままである限り、本開示によるペプチドのいずれか1つまたは複数の位置において導入されてもよい。しかしながら、1つまたは複数の位置において非保存的置換を導入する(非同義置換)ことが望ましい場合もある。
【0121】
本明細書で定義されるいずれのアミノ酸も、L配置またはD配置にあり得る。何も指定されない場合、L異性体への言及が好ましくは意図される。
【0122】
標準及び/または非標準アミノ酸は、ペプチド結合によって(直鎖状ペプチド鎖を形成するように)、または非ペプチド結合によって(例えば、アミノ酸の可変の側鎖を介して)連結されてもよい。好ましくは、本開示のアミノ酸は、ペプチド結合によって連結される。
【0123】
「ペプチド」及び「単離されたペプチド」という用語は、本明細書で互換的に使用され得る。「バリアント」及び「機能的バリアント」という用語は、本明細書で互換的に使用され得る。「断片」及び「機能的断片」という用語は、本明細書で互換的に使用され得る。本明細書により「ペプチド」に言及するとき、この用語は、ペプチド自体への言及、及びまた、本明細書で定義される使用に向けたペプチドへの言及の両方を包含しよう。
【0124】
一実施形態では、ペプチドは、非天然型である。
【0125】
一実施形態では、ペプチドは、合成である。
【0126】
一実施形態では、ペプチドは、単離されたペプチドである。
【0127】
一実施形態では、ペプチドは、放射標識されたペプチドまたは蛍光標識されたペプチド等の標識されたペプチドである。
【0128】
別の実施形態では、本明細書で定義されるバリアントは、アルキルアミノ酸でアルキルアミノ酸が置換され、芳香族アミノ酸で芳香族アミノ酸が置換され、硫黄含有アミノ酸で硫黄含有アミノ酸が置換され、ヒドロキシ含有アミノ酸でヒドロキシ含有アミノ酸が置換され、酸性アミノ酸で酸性アミノ酸が置換され、塩基性アミノ酸で塩基性アミノ酸が置換され、及び/または二塩基性モノカルボンアミノ酸で二塩基性モノカルボンアミノ酸が置換される配列を含む。
【0129】
ペプチドという用語はまた、当該技術分野で知られているような化学または酵素触媒反応によって導入される翻訳後修飾も包含する。これらには、1つまたは複数のアミノ酸残基のアセチル化、リン酸化、メチル化、グルコシル化、糖化、アミド化、ヒドロキシル化、脱イミノ化、脱アミド化、カルバミル化、及び硫酸化、ならびにまた、リソソームカテプシン、及びまたカルパイン、セクレターゼ及びマトリックスメタロプロテイナーゼを含めた既知のプロテイナーゼによるタンパク質分解修飾が含まれる。
【0130】
また、ペプチドの機能的等価物は、ユビキチン化、標識化(例えば、放射性核種、種々の酵素等による)、ペグ化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、またはヒトタンパク質において通常は存在しない(非タンパク質新生)オルニチン等のアミノ酸の挿入(または化学合成による置換)によるもの等の化学修飾を含み得る。
【0131】
ペプチド構造の主要な部分を模倣するように立体的に類似の化合物が作り出されてもよい。これは、当業者に既知のモデリング及び化学的設計技法によって達成され得る。例えば、テトラペプチド構造を模倣するように、エステル化及び他のアルキル化を用いて、例えば、ジ-アルギニンペプチド骨格のアミノ末端を修飾してもよい。全てのかかる立体的に類似の構築物が本発明の範囲内に入ることが理解されよう。N末端及びC末端のアルキル化及びエステル化を有するペプチドもまた本発明内に包含される。
【0132】
連続的なまたは連続したペプチド配列は、ペプチド結合によって直線状に連結されている一続きの連続したアミノ酸である。連続的なアミノ酸配列及び連続したアミノ酸配列は、本明細書で互換的に使用される。
【0133】
少なくとも1つの脂肪酸分子の結合
本開示のペプチドトリプルアゴニストは、開示されるアミノ酸配列のC末端領域におけるアミノ酸残基における少なくとも1つの脂肪酸分子の結合によって修飾されていることを特徴とする。実際、開示されるアミノ酸配列のC末端領域への、例えば、開示される配列の16~43位のうちのいずれか1つにおける脂肪酸の結合は、hGIPR、hGLP-1R、及びhGLP-2Rのうちの1つまたは複数に対して高い効力を有する、hGIPR、hGLP-1R、及びhGLP-2Rのトリプルペプチドアゴニストをもたらす。
【0134】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42、43、及び配列番号44(配列番号42~44等)のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおけるリジン(K)にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0135】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0136】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16位、17位、20位、33位、34位、37位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0137】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16位、17位、20~43位のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0138】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の16位における1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。16位における脂肪酸の結合は、3つ全ての受容体に対して高い効力を有するGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストを得るために特に好適であるように見受けられる。
【0139】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の17位における1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0140】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の20位における1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0141】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44の43位における1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0142】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、配列番号42~44のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている。
【0143】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストの残基33または34でのC末端における1つまたは複数の脂肪酸の結合は、GLP-2Rの活性化が低減されたペプチドトリプルアゴニストをもたらす。対照的に、本開示のペプチドトリプルアゴニストの残基42または43でのC末端における1つまたは複数の脂肪酸の結合は、GLP-2Rの活性化が高いペプチドトリプルアゴニストをもたらす。
【0144】
本開示の一実施形態では、脂肪酸分子は、直鎖脂肪酸である。
【0145】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、分岐脂肪酸である。
【0146】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、1つの脂肪酸を含むモノアシル脂肪酸分子である。
【0147】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、ジアシル脂肪酸分子である。
【0148】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、CH(CHCO-(カプリル、C10)、CH(CH10CO-(ラウリル、C12)、CH(CH12CO-(ミリストイル、C14)、CH(CH14CO-(パルミトイル、C16)、CH(CH16CO-(ステアリル、C18)及びCH(CH18CO-(アラキジル、C20)からなる群から選択されるアシル基を含む。
【0149】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、HOOC-CH(CHCO-(デカノイル、C10)、HOOC-CH(CH10CO-(ドデカノイル、C12)、HOOC-CH(CH12CO-(1-テトラデカノイル、C14)、HOOC-CH(CH14CO-(ヘキサデカノイル、C16)、HOOC-CH(CH15CO-(15-カルボキシ-ペンタデカノイル、C17)、HOOC-CH(CH16CO-(オクタデカノイル、C18)、HOOC-CH(CH17CO-(17-カルボキシ-ヘプタデカノイル、C19)、HOOC-CH(CH18CO-(エイコサノイル、C20)、及びHOOC-CH(CH19CO-(19-カルボキシ-ノナデカノイル、C21)からなる群から個々に選択される2つのアシル基を含む。
【0150】
一実施形態では、該脂肪酸分子は、C16(パルミトイル)である。
【0151】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、アミノ酸残基に直接、例えばスペーサーまたはリンカーの存在なしに、結合している。
【0152】
本開示の一実施形態では、該脂肪酸分子は、スペーサーまたはリンカーを介してアミノ酸残基に結合している。
【0153】
一実施形態では、スペーサーは、親水性リンカーである。一実施形態では、スペーサーは、非天然アミノ酸の親水性リンカーである。
【0154】
一実施形態では、スペーサーは、個々のスペーサー部分の反復配列である。一実施形態では、スペーサーは、同一のスペーサー部分の反復配列である。一実施形態では、スペーサーは、異なるスペーサー部分の反復配列である。
【0155】
一実施形態では、脂肪酸分子は、スペーサーのカルボキシル基が脂肪酸分子のアミノ基とアミド結合を形成するような方式でスペーサーを介してアミノ酸残基に結合している。
【0156】
一実施形態では、スペーサーは、
コハク酸、Lys、Glu、Aspからなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸、
4-Abu、
y-アミノ酪酸(aminobuturic acid)、
γ-アミノブタノイル(γ-アミノ酪酸)、γ-グルタミル(γ-グルタミン酸)、β-アスパラギル、β-アラニル、及びグリシルのうちの1つまたは複数、ならびに
[γ-グルタミン酸-8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸](γGlu-AEEAc)(ここで、nは、1~50の整数、例えば、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50の整数である)、
からなる群から個々に選択される1つまたは複数の部分を含む。
【0157】
本開示の一実施形態では、スペーサーまたはリンカーは、yGluを含む。
【0158】
本開示の一実施形態では、該スペーサーは、yGluまたはyGlu-yGluを含むか、またはそれからなる。
【0159】
本開示の一部の実施形態では、本明細書に開示されるペプチドトリプルアゴニストは、アシル化され、これは一部の実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストをGLP-1RではなくGIPR及びGLP-2Rの選択的アゴニストにすると共に、それらのアゴニストとしての効力を保持することに加えて、半減期及びインビボ安定性を増加させる。
【0160】
一実施形態では、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号1)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号2)、
H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号3)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号4)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号5)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号6)、
H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号7)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号8)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号9)、
H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号10)、
H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号11)、
H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号12)、
H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号13)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(C10)-NH2(配列番号14)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号15)、
Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH2(配列番号16)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(γGlu-C10)-NH2(配列番号1)、
HADGTFTSDYSTILDNLAA-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-DFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号18)、
HADGTFTSDYSIILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
HADGTFTSDYSTILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
HADGTFTSDYST-Aib-LD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
HADGTFTSDYSTILDK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH配列番号22)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-NDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDW-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-HNITQ-OH(配列番号24)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号25)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH配列番号26)、及び
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号49)、
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択され、該機能的バリアントは、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む。
【0161】
ペプチドトリプルアゴニストの活性
一実施形態では、機能的バリアントまたは断片は、天然ペプチドまたはそれの由来となるペプチドと同じ生物学的活性または性能を保持する。
【0162】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニスト(その機能的バリアントまたは断片を含む)は、
a.GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rへの結合、及び/または
b.GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rの活性化、及び/または
c.GIPR媒介性、GLP-1R媒介性、及びGLP-2R媒介性cAMP産生等の、GIPR活性化、GLP-1R活性化、及びGLP-2R活性化の刺激、及び/または
d.骨吸収を阻害すること、及び/または
e.骨形成を刺激すること、
のうちの1つまたは複数が可能である。
【0163】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニスト(その機能的バリアントまたは断片を含む)は、天然hGIPと比較してGIPR内在化を低減することができる。
【0164】
この効果は、長期間の処置(数週間、数ヶ月間、数年間)における持続的な薬理効果につながる可能性があり、GIPRの脱感作を引き起こさない可能性があるため、所望され得る。GIPRの脱感作は、Sameer et al.Mol Cell Biol.2014 Oct 1;34(19):3618-29.doi:10.1128/MCB.00256-14で考察される。
【0165】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニスト(その機能的バリアントまたは断片を含む)は、天然hGLP-1と比較してGLP-1R内在化を低減することができる。
【0166】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニスト(その機能的バリアントまたは断片を含む)は、天然hGLP-2と比較してGLP-2R内在化を低減することができる。
【0167】
故に、本開示のペプチドトリプルアゴニストは、1つの受容体の方向へ偏っている可能性があり、例えば、
-本開示のいくつかのペプチドトリプルアゴニストは、天然hGIP、hGLP-1、hGLP-2と比較して、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのうちの1つのみの内在化を低減することができる可能性があり、例えば、それらはGIPRのみ、またはGLP-1Rのみ、またはGLP-2Rのみの内在化を低減することができる可能性があり、故にGIPRまたはGLP-1RまたはGLP-2Rに偏っている可能性がある、
-本開示のいくつかのペプチドトリプルアゴニストは、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rのうちの2つの内在化を低減することができる可能性があり、例えば、それらはGIPR及びGLP-1Rの内在化を低減することができる可能性があるが、それらはGLP-2Rの内在化を低減することができない可能性があり、故にGLP-2Rに偏っている可能性がある、
-本開示のいくつかのペプチドトリプルアゴニストは、3つ全てのGIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rの内在化を低減することができる可能性があり、故に、かかる本開示のペプチドトリプルアゴニストは、偏りがない。
【0168】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストならびにその機能的バリアントまたは断片は、GIPR、GLP-1R、及びGLP-2Rの完全なアゴニストである。
【0169】
一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、GIPRに結合してそれを活性化することができる。一部の実施形態では、GIPRは、ヒトGIPR(Uniprot受託番号P48546)である。一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、GLP-1Rに結合してそれを活性化することができる。一部の実施形態では、GLP-1Rは、ヒトGLP-1R(Uniprot受託番号P43220)である。一実施形態では、ペプチドトリプルアゴニストは、GLP-2Rに結合してそれを活性化することができる。一部の実施形態では、GLP-2Rは、ヒトGLP-2R(Uniprot受託番号O95838)である。
【0170】
本開示のペプチドトリプルアゴニストの活性は、本明細書の「実施例」に記載されるもののような、cAMPアッセイを用いて実験で評価され得る。かかるcAMPアッセイを使用して、EC50及びEmax、ならびに他の関連性のあるパラメータを決定することができる。
【0171】
一実施形態では、本明細書により提供されるペプチドトリプルアゴニストは、
a.天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である効力(Emax値)で、ヒトGIPRを活性化すること、
b.天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-2Rを活性化すること、かつ
a.天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-1Rを活性化すること、
が可能である。
【0172】
一実施形態では、本明細書により提供されるペプチドトリプルアゴニストは、
-天然GIPがGIPRを活性化する効力と同じまたは増加した効力でGIPRを活性化すること、
-天然GLP-1がGLP-1Rを活性化する効力と同じまたは増加した効力でGLP-1Rを活性化すること、かつ
-天然GLP-2がGLP-2Rを活性化する効力と同じまたは増加した効力でGLP-2Rを活性化すること、
が可能である。
【0173】
一実施形態では、本明細書により提供されるペプチドトリプルアゴニストは、
a.ヒトGIPRに対して10nM以下のEC50を有する、
b.ヒトGLP-2Rに対して50nM以下のEC50を有する、かつ
c.ヒトGLP-1Rに対して12nM以下、例えば10nm以下、例えば9nM以下のEC50を有する。
【0174】
一実施形態では、本明細書により提供されるペプチドトリプルアゴニストは、
a.ヒトGIPRに対して10nM以下、例えば9nM以下、例えば8nM以下、例えば7nM以下、例えば6nM以下、例えば5nM以下、例えば4nM以下、例えば3nM以下、例えば2nM以下、例えば1nM以下のEC50を有する、
b.ヒトGLP-2Rに対して50nM以下、例えば40nM以下、例えば30nM以下、例えば25nM以下、例えば20nM以下、例えば15nM以下、例えば10nM以下のEC50を有する、かつ
c.ヒトGLP-1Rに対して12nM以下、例えば10nm以下、例えば9nM以下、例えば8nM以下、例えば7nM以下、例えば6nM以下、例えば5nM以下、例えば 4nM以下、例えば3nM以下のEC50を有する。
【0175】
医薬/医学的使用
本開示のある態様は、医薬として使用するための、本明細書の他の箇所で定義されるようなペプチドトリプルアゴニスト、ペプチドトリプルアゴニストをコードする核酸構築物、ペプチドトリプルアゴニストをコードする核酸構築物を含む送達ビヒクル、ならびにペプチドトリプルアゴニストを含む組成物を提供することである。
【0176】
故に本開示のある態様は、骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法において使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを提供することである。
【0177】
また、本開示のある態様は、骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法において使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを提供することである。
【0178】
また、骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激するための医薬の製造のための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストの使用も提供される。
【0179】
また、骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法も提供され、該方法は、治療有効量の本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0180】
本開示のさらなる態様は、骨障害を処置する方法において使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを提供することである。一実施形態では、骨障害は、骨吸収の増加及び/または骨形成の低減に関連する障害である。一実施形態では、骨障害は、骨密度の不足または低下に関連する。
【0181】
また、骨障害を処置する(該骨障害を処置する、予防する、及び緩和することを含む)方法において使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストも提供される。
【0182】
また、骨障害を処置する方法において使用するための、本明細書に開示されるペプチドトリプルアゴニストも開示される。
【0183】
骨密度または骨塩密度(BMD)は、骨組織中の骨塩の量である。この概念は、骨の体積当たりの鉱物質の量(物理的な意味で密度に関連する)であるが、臨床的には、それは画像検査時の骨表面1平方センチメートル当たりの光学濃度に従った代理尺度によって測定される。骨密度測定は、骨粗鬆症/骨減少症及び骨折リスクの間接的指標として臨床医学で使用される。それは、濃度測定と呼ばれる手順によって測定される。骨密度不足とより高い骨折確率との間には統計的関連性がある。骨密度測定は、骨粗鬆症リスクに関して人々をスクリーニングすると共に、骨強度を改善するための措置が有益な可能性がある者を特定するために使用される。
【0184】
Tスコアは、骨粗鬆症に関してスクリーニングする際に適切な尺度である。それは、若齢の正常な参照対象の平均値と比較したときの当該部位における骨塩密度(BMD)である。世界保健機関の基準は、下記の通りである:
正常は、-1.0以上のTスコアである
骨減少症は、-1.0~-2.5として定義される
骨粗鬆症は、-2.5以下として定義され、これは若齢の正常な参照対象の平均値を標準偏差の2.5倍だけ下回る骨密度を意味する。
【0185】
一実施形態では、骨障害は、-1.0以下、例えば-1.0~-2.5、例えば-2.5以下のTスコアに関連付けられる。
【0186】
一実施形態では、骨障害を処置するための医薬の製造のための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストの使用が提供される。
【0187】
また、骨障害を処置する方法も提供され、該方法は、治療有効量の本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0188】
本明細書で言及されるような必要性のある個体は、トリプルアゴニストペプチドの投与が有益であり得る個体である。かかる個体は、骨障害を患うか、またはそれを患うリスクがある場合がある。個体は、男性または女性の、乳児、中年、または老齢の任意のヒトであり得る。個体において処置または予防される障害は、個体の年齢、個体の全身の健康状態、個体を処置するために使用される薬、及び骨密度障害を誘発した可能性があるかまたはそれを誘発した疾患または障害の既往歴を個体が有するか否かに関連してもよい。
【0189】
一実施形態では、骨障害は、骨減少症、骨粗鬆症、重度骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症、骨軟化症、くる病、嚢胞性線維性骨炎(OFC)、及び骨パジェット病からなる群から選択される。
【0190】
一実施形態では、骨障害は、骨減少症である。
【0191】
一実施形態では、骨障害は、骨粗鬆症である。
【0192】
一実施形態では、骨障害は、閉経後骨粗鬆症である。
【0193】
一実施形態では、骨障害は、若年性特発性骨粗鬆症等の特発性骨粗鬆症である。
【0194】
本開示のさらなる態様は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)または脳性麻痺を患う個体における特発性骨粗鬆症等の骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを提供することである。
【0195】
一実施形態では、骨障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)または脳性麻痺を患う個体における続発性障害等の続発性障害である。
【0196】
一実施形態では、骨障害は、グルココルチコイド治療等のステロイドを受けている及び/または不動状態を課されている個体における続発性障害等の続発性障害である。
【0197】
特発性骨粗鬆症とは、閉経後でなく、骨粗鬆症の他の特定可能な二次的原因を有することもない、さもなければ若齢の健康な個体における外傷が最小限または全くない骨減少症及び骨折の発症を指す。
【0198】
特発性骨粗鬆症とは、閉経後でなく、骨粗鬆症の他の特定可能な二次的原因を有することもない、さもなければ若齢の健康な個体における外傷が最小限または全くない骨減少症及び骨折の発症を指す。
【0199】
また、骨減少症、骨粗鬆症、重度骨粗鬆症、骨軟化症、くる病、嚢胞性線維性骨炎(OFC)、及び骨パジェット病からなる群から選択される骨障害を処置する方法において使用するための、配列番号XXX、またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片からなる群から選択されるペプチドトリプルアゴニストも開示される。
【0200】
一実施形態では、骨減少症を処置する方法において使用するための、配列番号42~44、またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片からなる群から選択されるペプチドトリプルアゴニストが提供される。
【0201】
一実施形態では、骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、配列番号42~44、またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片からなる群から選択されるペプチドトリプルアゴニストが提供される。
【0202】
一実施形態では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)または脳性麻痺を患う個体における骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、配列番号42~44、またはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片からなる群から選択されるペプチドトリプルアゴニストが提供される。
【0203】
併用療法
また、ある態様は、さらなる医薬品有効成分と組み合わせて使用するための、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを提供することである。該さらなる有効成分は、一実施形態では、骨密度低下に関連する骨障害等の骨障害を処置するために有用である。
【0204】
一実施形態では、さらなる医薬品有効成分は、アレンドロン酸(Fosamax)、リセドロン酸(Actonel、Atelvia、Benet)、イバンドロネート(Boniva)、ゾレドロン酸(Reclast、Aclasta、Zometa)、エチドロン酸(Didronel)、パミドロン酸(Aredia/Pamimed)、チルドロン酸(Skelid)を含めたビスホスホネート;エストロゲン補充療法;ホルモン療法;ラロキシフェン(Evista);カルシトニン(Fortical及びMiacalcin)、デノスマブ(Prolia);テリパラチド(Forteo);ビタミンD(アルファカルシドールまたはカルチトリオール)を含めたホルモン様薬;カルシウムまたはリンのサプリメントからなる群から選択される。
【0205】
一実施形態では、さらなる医薬品有効成分は、本ペプチドトリプルアゴニストの半減期を増加させる。一実施形態では、さらなる医薬品有効成分は、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4/DDP-IV阻害剤)の阻害剤、またはグリプチンである。例としては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、デュトグリプチン、及びオマリグリプチン(MK-3102)が挙げられる。
【0206】
トリプルアゴニストペプチドをコードする核酸構築物
一実施形態では、本明細書で定義されるトリプルアゴニストペプチドをコードする核酸構築物が提供される。一実施形態では、該核酸構築物は、該ペプチドを長期間、例えば少なくとも1ヶ月間、例えば少なくとも2ヶ月間、例えば少なくとも3ヶ月間、例えば少なくとも4ヶ月間、例えば少なくとも5ヶ月間、例えば少なくとも6ヶ月間、例えば少なくとも7ヶ月間、例えば少なくとも8ヶ月間、例えば少なくとも9ヶ月間、例えば少なくとも12ヶ月間、継続的に発現することができよう。
【0207】
故に、ある態様は、本明細書により定義されるペプチドトリプルアゴニストをコードする核酸構築物を提供することである。
【0208】
一実施形態では、配列番号42~44、もしくはその機能的バリアント、もしくはその機能的断片のペプチドトリプルアゴニスト、または本明細書に開示される任意のペプチドトリプルアゴニストをコードする核酸構築物が提供される。
【0209】
また、ある態様は、骨障害を処置する方法において使用するための、本明細書で定義されるトリプルアゴニストペプチドをコードする核酸構築物を提供することである。
【0210】
核酸構築物とは、遺伝子操作された核酸と理解される。核酸構築物は、複製しない線状核酸、環状発現ベクター、または自律的に複製するプラスミドであってもよい。核酸構築物は、限定されないが、遺伝子もしくはその断片、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリ-Aテール、リンカー、ポリリンカー、作動的リンカー、多重クローニング部位(MCS)、マーカー、終止コドン、内部リボソーム進入部位(IRES)、及び組み込みのための宿主相同配列、または他の規定の要素等のいくつかの要素を含んでもよい。本発明による核酸構築物は、上述の要素の全てまたはその任意の組み合わせのサブセットを含んでもよいことを理解されたい。
【0211】
核酸構築物を操作するための方法は、当該技術分野で周知されている(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook et al.,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,2nd Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989を参照されたい)。さらに、本発明による核酸構築物は、鋳型なしに合成されてもよく、種々の商業的供給業者(例えば、Genscript Corporation)から入手されてもよい。
【0212】
一実施形態では、核酸構築物は、トリプルアゴニストペプチドをコードする配列を含む裸のDNA構築物である。
【0213】
送達ビヒクル
また、ある態様は、送達ビヒクル内に含められる本明細書に上述した核酸構築物を提供することである。送達ビヒクルは、ヌクレオチド配列もしくはポリペプチドまたは両方が少なくとも1つの媒体から別の媒体へ輸送され得る手段となる実体である。送達ビヒクルは一般に、核酸構築物内にコードされる配列の発現のため及び/または構築物もしくはその中にコードされるポリペプチドの細胞内送達のために使用される。
【0214】
一実施形態では、本明細書で定義される核酸構築物を含む送達ビヒクルが提供される。送達ビヒクルは、RNAベースのビヒクル、DNAベースのビヒクル/ベクター、脂質ベースのビヒクル(リポソーム等)、ポリマーベースのビヒクル(カチオン性ポリマーDNA担体等)、コロイド金粒子(コーティング)、及びウイルス由来DNAまたはRNAビヒクルまたはベクターからなる群から選択され得る。
【0215】
非ウイルス送達方法には、物理的アプローチ(担体を用いない送達)及び化学的アプローチ(合成ベクターベースの送達)が含まれる。
【0216】
ニードルインジェクション、遺伝子銃、ジェットインジェクション、エレクトロポレーション、超音波、及び流体力学的送達を含めた物理的アプローチは、細胞膜を透過して細胞内遺伝子移入を容易にする物理的力を用いる。該物理的力は、電気的であっても機械的であってもよい。
【0217】
化学的送達ビヒクルの例としては、生分解性ポリマーミクロスフェア、リポソーム担体等の脂質ベースの製剤、リポソーム、カルシウム塩、またはデンドリマー等のカチオン荷電した分子、リポ多糖、ポリペプチド、及び多糖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
別の実施形態は、送達ビヒクルとして、本明細書でウイルスベクターと表される(すなわちウイルスでない)ベクターを含む。本発明によるウイルスベクターは、改変されたウイルスゲノム、すなわち、ウイルスゲノムを形成する実際のDNAまたはRNAから作製され、裸の形態で導入される。故に、ウイルスまたは非ウイルスタンパク質から作製される、ウイルスゲノムを包囲するいずれのコート構造も、ウイルスベクターの一部でない。
【0219】
ウイルスベクターの由来となるウイルスは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、泡沫状ウイルス、サイトメガロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ポックスウイルス、RNAウイルスベクター及びDNAウイルスベクターの非網羅的な群から選択され得る。かかるウイルスベクターは、当該技術分野で周知されている。
【0220】
一実施形態では、該ウイルスベクターは、アデノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、及び組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)からなる群から選択され得る。好ましい一実施形態では、該ウイルスベクターは、治療用rAAVベクター等の治療用rAAVベクターである。
【0221】
アデノウイルスは、二本鎖DNA含有ウイルスの群である。アデノウイルスは、遺伝子改変されて、複製不能または条件付きで複製不能にされ得る。この形態で、アデノウイルス構築物またはアデノベクターとして、それらをワクチン接種または遺伝子療法のための遺伝子送達ビヒクルとして使用することができる。
【0222】
組換え細胞
別の態様は、本明細書で定義される核酸構築物を含む細胞に関する。かかる組換え細胞は、インビトロ研究のためのツールとして、核酸構築物のための送達ビヒクルとして、または遺伝子療法計画の一部として使用することができる。核酸構築物は、細胞の核内へのDNAのマイクロインジェクション、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション/リポソーム融合、及び粒子ボンバードメントを含む、当該技術分野で周知の技法によって細胞に導入することができる。好適な細胞には、自家及び非自家細胞が含まれ、異種細胞が含まれてもよい。
【0223】
調製方法(ペプチド)
本明細書で定義されるトリプルアゴニストペプチドは、当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、溶液合成またはメリフィールド型固相合成を含めた標準的なペプチド調製技法によって調製され得る。
【0224】
一実施形態では、本発明によるペプチドは、合成で作製または生成される。ペプチドの合成生成のための方法は、当該技術分野で周知されている。合成ペプチドを生成するための詳細な説明ならびに実践的な助言は、Synthetic Peptides:A User’s Guide(Advances in Molecular Biology),Grant G.A.ed.,Oxford University Press,2002、またはPharmaceutical Formulation:Development of Peptides and Proteins,Frokjaer and Hovgaard eds.,Taylor and Francis,1999に見出され得る。
【0225】
一実施形態では、本発明のペプチドまたはペプチド配列は、合成で、特に配列支援ペプチド合成(Sequence Assisted Peptide Synthesis)(SAPS)法によって、溶液合成によって、メリフィールド型固相合成等の固相ペプチド合成(SPPS)によって、組換え技法(宿主細胞における発現を導くことができる第2の核酸に作動可能に関連付けられたペプチドをコードする第1の核酸配列を含む、該宿主細胞による産生)または酵素的合成によって、生成される。これらは当業者に周知されている。
【0226】
ペプチドは、N-a-アミノ保護基及び側鎖の官能性のための好適な一般的保護基として9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)またはtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)を使用して、全自動ペプチド合成装置においてバッチ方式でのいずれかで合成されてもよい。
【0227】
逆相HPLC等による精製後、ペプチドをさらに処理して、例えばC末端またはN末端が修飾されたアイソフォームを得てもよい。末端修飾のための方法は、当該技術分野で周知されている。
【0228】
例えば、脂肪酸のコンジュゲーションのための以下の方法を使用することができる。最後のN末端N-Fmocを除去した後、3当量のHATU及び6当量のDIPEAの存在下での3当量の1,16-ヘキサデカン二酸の処理によってN末端アミノ基をアシル化する。代替として、Dde保護側鎖を有するリジンが、アシル化位置における固相ペプチド合成のために使用される。ペプチド鎖が組み立てられた後、6当量のDIPEAの存在下での3当量のBoc2OによってN末端アミノ基にキャップ付加する。次いで2%ヒドラジン/DMF(v/v)の処理によって保護基Ddeを除去する。代替として、6当量のDIPEAの存在下での3当量の塩化パルミトイルが、パルミトイル化のために使用され得る。あるいは、3当量の1,16-ヘキサデカン二酸をHATU/DIPEAによって活性化し、次いでリジンの側鎖にコンジュゲートすることができる。さらなる代替として、DIC/HOBTの標準的なプロトコルを使用してFmoc-γ-Glu(tBu)-OHまたはFmoc-4-Abu-OHまたはFmoc-β-Ala-OHまたはFmoc-AEEAc-OHをLysの側鎖にコンジュゲートする。次いで6当量のDIPEAの存在下での3当量の塩化パルミトイルの処理によって、非天然アミノ酸のN末端アミノ基をパルミトイル化する。
【0229】
医薬組成物及び製剤
本明細書により定義されるトリプルアゴニストペプチドは未加工の化学物質(ペプチド)として投与されることが可能であるが、それらを薬学的製剤の形態で提示することが好ましいこともある。かかる薬学的製剤は、医薬組成物、薬学的に許容される組成物、または薬学的に安全な組成物と称され得る。
【0230】
したがって、本明細書で定義されるトリプルアゴニストペプチド、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、ならびに薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/または希釈剤を含む、薬学的製剤もまた提供される。薬学的製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 2005,Lippincott,Williams & Wilkinsに記載されるような、従来の技法によって調製され得る。
【0231】
本ペプチド化合物の薬学的に許容される塩(それらが調製され得る場合)もまた包含されることが意図される。これらの塩は、薬学的使用へのそれらの応用が許容されるものであろう。このことは、塩が親化合物の生物学的活性を保持するものであり、塩が疾患を処置する際のその応用及び使用において不都合または有害な影響を有することがないことを意味する。
【0232】
薬学的に許容される塩は、標準的な様態で調製される。親化合物が塩基である場合、それは好適な溶媒中、過剰の有機酸または無機酸で処理される。親化合物が酸である場合、それは好適な溶媒中、無機塩基または有機塩基で処理される。
【0233】
ペプチド化合物は、そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の形態で、並行に、同時に、または薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に、とりわけかつ好ましくはその医薬組成物の形態で、経口、直腸、または非経口(皮下を含む)経路によるものを問わず、有効量で投与されてもよい。
【0234】
薬学的に許容される酸付加塩の例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸等の鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、p-トルエンスルホン酸、及びアリールスルホン酸等の有機酸に由来するものが挙げられる。
【0235】
本発明のペプチドの薬学的に許容される塩は、好ましくは、生理的に許容されるpHを有する溶液中にあり、すなわちペプチド塩を含む溶液は、好ましくは、臨床用途に許容されるpHを有する。
【0236】
本明細書により、本明細書で定義されるペプチドトリプルアゴニストを含む組成物、または該ペプチドトリプルアゴニストを含む多量体化合物、または該ペプチドトリプルアゴニストを含む/コードする核酸構築物が提供される。
【0237】
投与及び投薬量
本開示の一実施形態では、ペプチドもしくは該ペプチドをコードする核酸構築物、または本明細書で定義されるペプチドを含む組成物は、薬学的に有効な用量または治療有効量で処置を必要とする個体に投与される。必要用量は、用いられる特定の薬物の組成、投与経路、及び処置されている特定の対象により様々であり、これは重症度及び障害の種類、ならびに対象の体重及び全身状態に依存する。個々の投薬量の最適な数量及び間隔が、処置されている病態の性質及び程度、投与の形態、経路、及び部位、ならびに処置されている特定の患者によって決定されること、またかかる最適条件が従来の技法によって決定され得ることもまた当業者に認識されよう。最適な治療過程、すなわち、規定の日数にわたって与えられる化合物の1日当たりの用量の数が、従来の治療過程決定試験を使用して確認され得ることもまた当業者に理解されよう。
【0238】
一実施形態では、ペプチドまたは組成物は、少なくとも1日1回、例えば1日1回、例えば1日2回、例えば1日3回、例えば1日4回、例えば1日5回投与される。
【0239】
用量はまた、断続的な間隔で、または用量が毎日投与されないような間隔で、投与されてもよい。それどころか、1つまたは複数の用量は、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、またはこれらの範囲内の間隔(2~4週間毎、または4~6週間毎等)で投与されてもよい。
【0240】
一実施形態では、ペプチドまたは組成物は、週1回投与される。かかる投与プロファイルにより、本開示のペプチドトリプルアゴニスの影響への絶え間ない曝露が確保され得る。
【0241】
当業者は、1日の投与の数が増加させられる場合、各投与において投与すべき用量がそれに応じて減少させられ得ることが分かる。同様に、各投与の持続期間が減少させられる場合、投薬量はそれに応じて増加させられ得る。
【0242】
投与経路
好ましい投与経路は、処置を受ける対象の全身状態及び年齢、処置される病態の性質、処置される組織の体内における位置、ならびに選定される有効成分に左右されることが理解されよう。
【0243】
全身治療
全身治療の場合、投与経路は、所望の作用部位を最終的に標的とするようにペプチド、該ペプチドをコードする核酸構築物、またはペプチドを含む組成物を血流中に導入することができる。
【0244】
かかる投与経路は、経腸経路(経口、直腸、鼻腔、肺、頬側、舌下、経皮、大槽内、及び腹腔内投与を含む)、及び/または非経口経路(皮下、筋肉内、髄腔内、脳内、静脈内、及び皮内投与を含む)等の任意の好適な経路である。
【0245】
非経口投与
非経口投与とは、経口/経腸経路でない任意の投与経路であり、それにより、医薬は肝臓における初回通過分解を回避する。したがって、非経口投与には、静脈内投与、筋肉内投与、または皮下投与等の任意の注射及び注入、例えば、ボーラス注射または持続注入である。さらに、非経口投与には、吸入及び局所投与が含まれる。
【0246】
したがって、化合物は、生物学的に活性な物質を与えるべき動物の任意の粘膜、例えば、鼻、膣、眼、口、生殖器、肺、消化管、または直腸、好ましくは鼻もしくは口の粘膜を横断するように局所に投与され、したがって、非経口投与はまた、頬側、舌下、鼻腔、直腸、膣、及び腹腔内投与、ならびに吸入または据付(installation)による肺及び気管支投与が含まれてもよい。また、薬剤は、皮膚を横断するように局所に投与されてもよい。
【0247】
局所治療
ペプチド、または該ペプチドをコードする核酸構築物、または本明細書で定義されるペプチドを含む組成物は、一実施形態では、局所治療として使用されてもよく、すなわち、作用部位(複数可)に直接導入されてもよい。したがって、それは皮膚もしくは粘膜に直接適用されてもよいし、またはそれは作用部位中に、例えば、病変組織中にもしくは病変組織に直接つながる終動脈に注射されてもよい。
【0248】
キット・オブ・パーツ(Kit-of-parts)
本発明または、上述の薬剤(ペプチド、核酸構築物、または組成物)のうちの1つまたは複数、及び少なくとも1つの追加のまたはさらなる構成要素を含む、キット・オブ・パーツに関する。
【0249】
キット・オブ・パーツは、一実施形態では、骨障害、骨粗鬆症、及び骨減少症の処置、予防、または緩和のための本明細書で定義される薬剤のうちの1つまたは複数を含む。本明細書で定義されるキットは、本発明による活性薬剤及び/または本明細書の他の箇所に記載される1つもしくは複数の第2の有効成分の同時、順次、または別個の投与を可能にする。
【実施例
【0250】
実施例1.GIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rのペプチドトリプルアゴニスト
材料及び方法
材料
全ての適用されるペプチドは、HPLC分析によって決定して少なくとも95%以上の純度で、WuXi AppTec,Shanghai,Chinaによって合成され、質量分析法を使用して正しい分子量を確認した。インビトロ実験において適用されたヒトGIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rは、Origene,Rockville,USAにより購入することができる。ヒトN末端にSNAPタグを融合したGIPRは、Cisbio,Codolet,Franceによってカスタム生産された。
【0251】
トリプルアゴニストの効力を改善するために、表1で提供されるようにC10、C12、またはC16、またはC16-二酸アシル基を16位、17位、20位、30位、33位、37位、またはC末端アミノ酸残基(C末端)に付加した。
【0252】
結果:
【表1】
【0253】
実施例2.効力
方法
COS-7細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMのグルタミン、180単位/mlのペニシリン、及び45g/mlのストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)1885中、10%CO及び37℃で培養した。実験に先立って、以前に記載されたようなリン酸カルシウム沈殿法(van der Velden et al.,2021)を使用してCOS-7細胞の一過性トランスフェクションを実施した。
【0254】
トランスフェクションの翌日、ヒトGIPR、GLP-2R、またはGLP-1Rのいずれかを発現している一過性でトランスフェクトされたCOS-7細胞を35.000細胞/ウェルの密度で白色96ウェルプレートに播種した。翌日、HEPES緩衝食塩水(HBS)での洗浄、続いてアッセイ緩衝液(1mMのイソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)を添加したHBS)との37℃で30分間のインキュベーションステップによりアッセイを開始した。次いでリガンドを添加し、37℃でさらに30分間インキュベートした。リガンドのインキュベーション後、HitHunter(登録商標)cAMPアッセイ(Eurofins DiscoverX,Fremont,150 USA)を製造業者の指示に従って実施した。発光をPerkinElmer(商標)EnVision 2014マルチラベルリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA)によって測定した。効力(EC50値)は、GraphPad Prism 9(San Diego,California,USA)を使用して、非線形回帰によって決定した。シグモイド曲線をロジスティックに当てはめた。有効性(Emax値)は、各受容体の内在性リガンドの適用された最高濃度に対する正規化によって決定した。
【0255】
結果
表2、3、及び4より、C末端領域における位置、例えば、16位、17位、20位、33位、37位、及び最もC末端側のアミノ酸にて脂肪酸分子を結合させることによって、強力なGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストを得ることができることが見て取れる。比較のため、例えば、N末端領域の11位における脂質付加がほとんどまたは全くGLP-1R活性につながらない、化合物番号29を参照されたい。
【0256】
1~33または1~34骨格を有する化合物のC末端における脂肪酸の結合は、GLP-2R活性化の低減につながる(例えば、化合物19を参照されたい)。より長い骨格(1~43または1~44)を有する化合物の42位または43位にてC末端に結合した脂肪酸を有する化合物について、活性化の同じ損失は観察されない(例えば、化合物24~26を参照されたい)。
【0257】
3位におけるアスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)との置換は、3つ全ての受容体GIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rに対する効力を低減するように見受けられ、故に、効力のより低いGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストをもたらす(例えば、化合物11を参照されたい)。同様に、13位におけるイソロイシン(I)のグルタミン酸(E)との置換は、3つ全ての受容体GIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rに対する効力を低減するように見受けられ、故に、効力のより低いGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストをもたらす(例えば、化合物13を参照されたい)。
【0258】
1位におけるヒスチジン(H)のチロシン(Y)との置換は、GIPRの活性化を増加させるように見受けられると同時に、GLP-1R活性化を低減するようである(例えば、化合物16を参照されたい)。
【0259】
7位におけるトレオニンは、3つ全ての受容体GIPR、GLP-2R、及びGLP-1Rによる許容度が高いように見受けられ、故に、特にGLP-1R活性を増加させて、強力なGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストをもたらす。
【0260】
11位におけるセリン(S)は、GLP-2Rに対する効力を増加させるように見受けられ、故に、GLP-2Rに偏った強力なGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストをもたらす。
【0261】
16位における脂肪酸の結合は、3つ全ての受容体で高い効力を有するGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストを得るために特に好適であるように見受けられる。17位における脂肪酸の結合(例えば、化合物32を参照されたい)は、16位における脂肪酸の結合(例えば、化合物30を参照されたい)と比較して、cAMPにおいてGIP効力の損失(>10倍)ならびにGLP-2R活性化の小さな損失を引き起こすようである一方で、GLP-1R活性化に対する損失は見られない。
【0262】
16位におけるアラニンは、特にGLP-1R活性を増加させて、GIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストを得るために非常に好適であるように見受けられる。
【0263】
配列NDWKHNITQK(配列番号Z)(hGIPのC末端部分(34~42))を含むペプチドは、強力なGIPR/GLP-2R/GLP-1Rトリプルアゴニストを得るために非常に好適であるように見受けられる。
【0264】
C末端カルボキシル化(-COOH)は、GIPR及びGLP-1R活性化を増加させると共に、GLP-2R活性化を減少させるようである(例えば、化合物2を参照されたい)。
【0265】
【表2】
【0266】
【表3】
【0267】
【表4】
【0268】
実施例3:内在化
方法
HEK293A細胞を、10%FBS、180単位/mLのペニシリン、及び45g/mLのストレプトマイシンを補充したDMEM-GlutaMAX(商標)-I中、5%CO及び37℃で培養した。これらの細胞を、受容体内在化アッセイのために、製造業者の指示に従ってThermo Fischer Scientific,Massachusetts,USAからのLipofectamine 2000を使用してトランスフェクトした。
【0269】
トランスフェクションの当日、ヒトSNAPタグ融合GIPR、ヒトSNAPタグ融合GLP-1R、またはヒトSNPタグ融合GLP-2Rを一過性で発現しているHEK293A細胞を15.000細胞/ウェルの密度で白色384ウェルプレートに播種した。翌日、培地を除去し、新たな新鮮な培養培地を添加した。3日目、アッセイを実行した。まず、細胞をOptiMEM中100nMのTag-Lite SNAP-Lumi4-Tb(ドナー)で、37℃で60分間標識した。次に、細胞を内在化用緩衝液(1mMのCaCl、1mMのMgCl2、及び20mMのHEPESを補充したHBBS)で4回洗浄し、続いて100μMの予備加熱したフルオレセイン-O’-酢酸(アクセプター)を添加した。プレートの読み取り前に温度を調整するために、リガンドによる刺激に先立ってプレートを37℃のインキュベーターに5分間入れた。次いで細胞を37℃の予備加熱したリガンド溶液で刺激し、内在化をPerkinElmer(商標)EnVision 2014マルチラベルリーダー(PerkinElmer,Waltham,MA)において37℃で60分間にわたって3分毎に測定した。1μMの濃度までのシグモイド曲線のAUC値を同様に算出した。
【0270】
結果
一般に、データは、試験したトリプルアゴニストが、程度は異なるものの、天然GIPよりも低いGIPRの内在化、及び天然GLP-2よりも低いGLP-2Rの内在化を誘導したことを示す。試験したトリプルアゴニストのうちのいくつかはまた、天然GLP-1よりも低いGLP-1Rの内在化を誘導する一方で、試験した他のトリプルアゴニストは、天然GLP-1よりも若干高い内在化を誘導する。
【0271】
内在化の低減は、ベータ-アレスチン2の動員の低減と正の相関がある。
【0272】
本開示のトリプルアゴニストペプチドの33位でのC末端への脂肪酸の結合は、全般的に低い内在化、及びGIPR受容体の方向への内在化の偏りと相関があり、このうちGLP-1R及びGLP-2Rの内在化は非常に低いかまたは不在であった。例えば、化合物番号1~17、19、28、33~35を参照されたい(一部のデータは表5~7に報告される)。対照的に、43位にてC末端が脂質付加されている化合物番号26及び27は、より高い程度にGIPRの内在化を引き起こした。
【0273】
データはまた、1~42または1~43骨格を有する化合物、例えば、化合物20、21、22の16位における脂質付加が、GLP-1及びGLP-2受容体に対して偏りのない内在化(天然GLP-1及びGLP-2に匹敵する)をもたらしたが、GIPRに対しては偏った内在化(天然GIPと比較した内在化の低減)をもたらしたことも示す。
【0274】
データはまた、1~33、1~34骨格を有する化合物(例えば、化合物30、31、32を参照されたい)の16位における脂質付加もまた、GLP-1Rに対して偏った内在化をもたらしたが、GLP-2Rに対しては偏りが低かったことも示す。理論に拘束されるものではないが、i)短いペプチド骨格は、長いペプチド骨格よりも高い程度に、内在性アゴニストGIPと比べたGIPR、GLP-1R及び/またはGLP-2Rのうちの1つの方向への偏りを作り出す、ならびにii)C末端の脂質付加は、最も大きな偏り(内在化の消失の点で)に関連していた。
【0275】
13位におけるAibの存在は、GIPRに対して内在化の若干より大きな障害(より大きな偏り)をもたらす(例えば、化合物26対化合物27ならびに化合物30対化合物31を参照されたい)。
【0276】
2位におけるAibの存在、例えば、化合物28は、相対的AUCが化合物35及び化合物34の39%と比較して内在性GIPの58%であり、内在化の増加をもたらした。しかしながら、それらは、内在性アゴニストGIPと比較して内在化がより低いため、偏っている。
【0277】
【表5】
【0278】
【表6】
【0279】
【表7】
【0280】
実施例4:配列概要
本明細書で提供されるK(γGlu-C16)は、脂肪酸C16がyGluリンカーを介してリジンの側鎖アミノ基に結合していると読み取れられるべきである。故に、yGluリンカーは、リジンの側鎖上のアミノ基に直接結合しており、脂肪酸は、yGluに直接結合している。同じことが、本明細書の下記で括弧内に列挙される他の脂肪酸及びリンカーに適用される。
【0281】
化合物1:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物2:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号2)、
化合物3:H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号3)、
化合物4:H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号4)、
化合物5:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号5)、
化合物6:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号6)、
化合物7:H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号7)、
化合物8:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK-NH(配列番号8)、
化合物9:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK-NH(配列番号9)、
化合物10:H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号10)、
化合物11:H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号11)、
化合物12:H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号12)、
化合物13:H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号13)、
化合物14:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-NH(配列番号14)、
化合物15:H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号15)、
化合物16:Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号16)、
化合物17:H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK-NH(配列番号1)、
化合物18:HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
化合物19:HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号18)、
化合物20:HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
化合物21:HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
化合物22:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
化合物23:HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号22)、
化合物24:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
化合物25:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号24)、
化合物26:HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号25)、
化合物27:HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK-OH(配列番号26)、
化合物28:H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号27)、
化合物29:H-Aib-DGTFISDY-KTILDNLAARDFINWLIQTKITK-OH(配列番号28)、
化合物30:HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
化合物31:HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
化合物32:HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
化合物33:HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号48)、
化合物34:HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号49)、
化合物35:HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号50)、
NDWKHNITQK(配列番号29)
NDWK(配列番号30)
NDWKH(配列番号31)
NDWKHN(配列番号32)
NDWKHNI(配列番号33)
NDWKHNIT(配列番号34)
NDWKHNITQ(配列番号35)
AEWKHAITQ(配列番号36)
YAEGTFISDYSIAMDKIHQQDFVNWLLAQKGKKNDWKHNITQ(配列番号37)
HDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号38)
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号39)
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号40)
HADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITD(配列番号41)
HXGTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号42)
HXGTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号43)
HXGTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号44)
【0282】
参考文献
Van der Velden et al.2021.GLP-1 Val8:A Biased GLP-1R Agonist with Altered Binding Kinetics and Impaired Release of Pancreatic Hormones in Rats
【0283】
条項
1.配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号42)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストであって、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略されるが、
但し、XがIである場合、XはAibであり、かつXがAである場合、XはSまたはTであることを条件とし、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
前記ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである、前記ペプチドトリプルアゴニスト。
【0284】
2.配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号43)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストであって、配列中、
が、HまたはYであり、
が、Aibであり、
が、DまたはEであり、
が、I、S、またはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略され、
前記ペプチドが、配列番号43のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
前記ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1受容体)のアゴニストである、前記ペプチドトリプルアゴニスト。
【0285】
3.配列
GTFXSDYX111213LX151617AAX2021FIX24WLIX2829303132K(配列番号44)-J
を含むかまたはそれからなるペプチドトリプルアゴニストであって、配列中、
が、HまたはYであり、
が、AまたはAibであり、
が、DまたはEであり、
は、SまたはTであり、
11が、SまたはAであり、
12が、TまたはIであり、
13が、I、Aib、またはEであり、
15が、DまたはEであり、
16が、N、L、A、K、またはEであり、
17が、L、K、またはIであり、
20が、RまたはKであり、
21が、D、E、またはKであり、
24が、NまたはEであり、
28が、Q、A、またはKであり、
29が、T、Q、またはKであり、
30が、RまたはKであり、
31が、IまたはGであり、
32が、TまたはKであり、
Jが、配列NDWKHNITQK(配列番号29)の1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドであるか、または省略され、
前記ペプチドが、配列番号44のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されており、
前記ペプチドが、GIPR(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体)のアゴニストであり、GLP-2R(グルカゴン様ペプチド-2
受容体)のアゴニストであり、かつGLP-1R(グルカゴン様ペプチド-1
受容体)のアゴニストである、前記ペプチドトリプルアゴニスト。
【0286】
4.配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42の16位からC末端までのアミノ酸残基からなる、条項1に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0287】
5.配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42のアミノ酸残基16~33からなる、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0288】
6.配列番号42の前記C末端領域が、配列番号42のアミノ酸残基16~43からなる、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0289】
7.前記ペプチドが、配列番号42の16~33位のうちのいずれか1つにおける及び/またはJ(配列番号29)の位置のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0290】
8.Xが、Aibであり、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0291】
9.Xが、Aibであり、
前記ペプチドが、配列番号42の33位のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0292】
10.X16が、N、L、A、またはEであり、
前記ペプチドが、配列番号42のC末端にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチド。
【0293】
11.X17が、LまたはIである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチド。
【0294】
12.X20が、Rである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチド。
【0295】
13.Xが、Tである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【0296】
14.Xが、Sである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【0297】
15.X13が、Aibである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトライアル(trial)アゴニスト。
【0298】
16.X16が、N、A、またはKである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0299】
17.X28が、Qである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0300】
18.X29が、Tである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0301】
19.X30が、Kである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0302】
20.Xが、Aibであり、X31が、Iであり、X32が、Tである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0303】
21.Xが、Aibであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0304】
22.Xが、TまたはSであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0305】
23.Xが、Tであり、X31が、Gであり、X32が、Kである、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0306】
24.Jが省略される、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0307】
25.Jが、K、NDWKHNITQ、NDWKHNITQKからなる群から選択される、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0308】
26.前記ペプチドが、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号1)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号2)、
H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号3)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKITK(配列番号4)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK(配列番号5)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号6)、
H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKITK(配列番号7)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKITK(配列番号8)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKITK(配列番号9)、
H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号10)、
H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号11)、
H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号12)、
H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号13)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK(配列番号14)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKITK(配列番号15)、
Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号16)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKITK(配列番号1)、
HADGTFTSDYSTILDNLAAKDFINWLIQTKGKK(配列番号17)、
HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK(配列番号18)、
HADGTFTSDYSIILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号19)、
HADGTFTSDYSTILD-KLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号20)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号21)、
HADGTFTSDYSTILDKKAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号22)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号23)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ(配列番号24)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK(配列番号25)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQK(配列番号26)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKITK(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNKAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号49)、及び
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択され、前記機能的バリアントが、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0309】
27.前記ペプチドはC末端がアミド化されているか(-NH)、または前記C末端がカルボン酸である、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0310】
28.前記ペプチドが、配列番号42のC末端領域の位置のうちのいずれか1つにおけるリジン(K)にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0311】
29.前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0312】
30.前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、20位、33位、34位、37位、または43位のうちのいずれか1つにおいて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0313】
31.前記ペプチドが、配列番号42の16位、17位、20~43位のうちのいずれか1つにおける1つまたは複数のアミノ酸残基にて少なくとも1つの脂肪酸分子を結合させることによって修飾されている、条項1、9~11のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0314】
32.前記脂肪酸分子が、直鎖脂肪酸である、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0315】
33.前記脂肪酸分子が、分岐脂肪酸である、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0316】
34.前記脂肪酸分子が、1つの脂肪酸を含むモノアシル脂肪酸分子である、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0317】
35.前記脂肪酸分子が、ジアシル脂肪酸分子である、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0318】
36.前記脂肪酸分子が、CH(CHCO-(カプリル、C10)、CH(CH10CO-(ラウリル、C12)、CH(CH12CO-(ミリストイル、C14)、CH(CH14CO-(パルミトイル、C16)、CH(CH16CO-(ステアリル、C18)、及びCH(CH18CO-(アラキジル、C20)からなる群から選択されるアシル基を含む、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0319】
37.前記脂肪酸分子が、HOOC-CH(CHCO-(デカノイル、C10)、HOOC-CH(CH10CO-(ドデカノイル、C12)、HOOC-CH(CH12CO-(1-テトラデカノイル、C14)、HOOC-CH(CH14CO-(ヘキサデカノイル、C16)、HOOC-CH(CH15CO-(15-カルボキシ-ペンタデカノイル、C17)、HOOC-CH(CH16CO-(オクタデカノイル、C18)、HOOC-CH(CH17CO-(17-カルボキシ-ヘプタデカノイル、C19)、HOOC-CH(CH18CO-(エイコサノイル、C20)、及びHOOC-CH(CH19CO-(19-カルボキシ-ノナデカノイル、C21)からなる群から個々に選択される2つのアシル基を含む、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0320】
38.前記脂肪酸分子が、スペーサーを介してアミノ酸残基に結合している、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0321】
39.前記スペーサーが、yGluを含む、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0322】
40.前記スペーサーが、yGluまたはyGlu-yGluを含むか、またはそれからなる、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0323】
41.前記ペプチドが、
a.天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGIPがヒトGIPRを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である効力(Emax値)で、ヒトGIPRを活性化する、
b.天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-2がヒトGLP-2Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-2Rを活性化する、
c.天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも65%、例えば、天然ヒトGLP-1がヒトGLP-1Rを活性化する有効性の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%である有効性(Emax値)で、ヒトGLP-1Rを活性化する、
先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0324】
42.前記ペプチドが、
a.ヒトGIPRに対して10nM以下のEC50を有する、
b.ヒトGLP-2Rに対して50nM以下のEC50を有する、かつ
c.ヒトGLP-1Rに対して12nM以下のEC50を有する、
先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0325】
43.前記ペプチドが、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号1)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号2)、
H-Aib-DGTFISDYATILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-OH(配列番号3)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDLLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号4)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号5)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号6)、
H-Aib-DGTFISDYSTILENLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号7)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAAREFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号8)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFIEWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号9)、
H-Aib-DGTFISDYSIILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号10)、
H-Aib-EGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号11)、
H-Aib-DGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号12)、
H-Aib-DGTFISDYSTELDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号13)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(C10)-NH(配列番号14)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNIAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号15)、
Y-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(C10)-NH(配列番号16)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKIT-K(γGlu-C10)-NH(配列番号1)、
HADGTFTSDYSTILDNLAA-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-DFINWLIQTKGKK-OH(配列番号17)、
HADGTFTSDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGK-K(γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号18)、
HADGTFTSDYSIILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号19)、
HADGTFTSDYSTILD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号20)、
HADGTFTSDYST-Aib-LD-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH(配列番号21)、
HADGTFTSDYSTILDK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-OH配列番号22)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGK-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-NDWKHNITQ-OH(配列番号23)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDW-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-HNITQ-OH(配列番号24)、
HADGTFTSDYSTILDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号25)、
HADGTFTSDYST-Aib-LDKLAARDFINWLIQTKGKKNDWKHNITQ-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH配列番号26)、
H-Aib-DGTFISDYSTILDALAARDFINWLIQTKIT-K(2×AEEA-γGlu-C18-二酸)-OH(配列番号27)、
HADGTFISDYSTILDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号45)、
HADGTFISDYST-Aib-LDK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-LAARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号46)、
HADGTFISDYSTILDNK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-AARDFINWLIQTKGKK-OH(配列番号47)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号48)、
HADGTFISDYSTILDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号49)、及び
HADGTFISDYST-Aib-LDNLAARDFINWLIQTKGKKK-(2×AEEA-yGlu-C18-二酸)-OH(配列番号50)、
またはその機能的バリアントからなる群から選択され、前記機能的バリアントが、1つまたは2つの個々のアミノ酸置換を含む、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0326】
44.医薬として使用するための、先行条項のいずれかに記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0327】
45.骨吸収を阻害する及び/または骨形成を刺激する方法において使用するための、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0328】
46.骨障害を処置する方法において使用するための、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0329】
47.前記骨障害が、骨減少症、骨粗鬆症、重度骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症、骨軟化症、くる病、嚢胞性線維性骨炎(OFC)、及び骨パジェット病からなる群から選択される、先行条項のいずれか1項に記載の使用に向けたペプチドトリプルアゴニスト。
【0330】
48.特発性骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
【0331】
49.デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)または脳性麻痺を患う個体における骨粗鬆症を処置する方法において使用するための、先行条項のいずれか1項に記載のペプチドトリプルアゴニスト。
図1
【配列表】
2024546994000001.xml
【国際調査報告】