(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】未硬化ゴム及び強化材料を含む複合生成物から構成材料を回収するプロセス
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536173
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 GB2022053232
(87)【国際公開番号】W WO2023111563
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227295
【氏名又は名称】リサイクラテック グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベル デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AA22
4F401AA24
4F401AA40
4F401AB05
4F401AC02
4F401AD08
4F401AD20
4F401BA13
4F401CA13
4F401CA35
4F401CA41
4F401CA91
4F401EA46
4F401FA02Z
4F401FA08Z
(57)【要約】
本発明は、複合生成物から構成材料を回収するプロセスを提供し、プロセスは、a)複数の構成材料を含み、上記構成材料が、未硬化ゴムと繊維及び/又は金属から選択された強化材料とを含む、複合生成物を提供することと、b)規格化されたシートがそれぞれ125mm以下の最大厚さを有する、複合生成物の1つ又は複数の規格化されたシートを準備することと、c)規格化されたシートの1つ又は複数の表面上に500bar以下の圧力で加圧水を噴射し、それにより、未硬化ゴムを強化材料から剥離し、未硬化ゴム繊維及び強化材料の混合物をもたらすことと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合生成物から構成材料を回収するプロセスであって、
a)複数の構成材料を含み、前記構成材料が、未硬化ゴムと繊維及び/又は金属から選択された強化材料とを含む、複合生成物を提供することと、
b)規格化されたシートがそれぞれ125mm以下の最大厚さを有する、複合生成物の1つ又は複数の前記規格化されたシートを準備することと、
c)前記規格化されたシートの1つ又は複数の表面上に500bar以下の圧力で加圧水を噴射し、それにより、前記未硬化ゴムを前記強化材料から剥離し、未硬化ゴム繊維及び強化材料の混合物をもたらすことと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
ステップa)で提供される前記複合生成物が、未硬化ゴム、繊維強化材料、及び金属強化材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)で提供される前記複合生成物が、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、及びアラミド、並びにそれらの組み合わせから選択される繊維強化材料を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップa)で提供される前記複合生成物が、鋼である金属強化材料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップb)が、規格化されたシートがそれぞれ、100mm以下など、110mm以下の最大厚さを有する、複合生成物の1つ又は複数の規格化されたシートを準備することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップb)において、前記シートが全て±5mmの許容差内で同じ最大厚さを有するように、前記シートに厚さ規格化がなされる、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップa)で提供される前記複合生成物が、シートの形態ではなく、
ステップb)が、
b-i)前記複合生成物を切断して、1つ又は複数の切断されたシートの形態にすることと、次に、
b-ii)各シートが、100mm以下など、125mm以下の厚さを有するように、切断された各シートに対して厚さ規格化を実施することと、
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップa)で提供される前記複合生成物が、シートの形態であり、
ステップb)が、b-0)各シートが、100mm以下など、125mm以下の厚さを有するように、厚さの規格化を実施すること、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップb-i)で得られる前記シートが、厚さ150mmから400mmなど、厚さ500mm以下である、請求項7に記載のプロセス、
又は、ステップa)で提供される前記シートが、厚さ150mmから400mmなど、厚さ500mm以下である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記厚さ規格化ステップが、例えば、カレンダープレス機、ベルトプレス機、又は油圧プレス機を使用することなどによって、各シートに圧力を加えることを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップb)において、前記シートが、3mmから40mmなど、60mm以下の最大厚さを有するように、前記シートに厚さ規格化がなされる、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップc)の前に、ステップb)から得られる前記シートが、40℃から90℃の温度まで予熱される、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップc)において、前記水が、前記シート上に噴射される前に40℃から90℃まで予熱される、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップc)において、前記シートの上方及び下方の両方にノズルが配置され、それにより、前記シートの上面及び下面の両方に加圧水を方向付ける、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
ステップc)において、加圧水が前記シートの表面積の75%以上にわたって方向付けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
ステップc)において、前記シートの前記表面にわたって前記加圧水を噴射するために、振動ノズルが使用される、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップc)において、前記水が、(a)130barから500barまで、又は(b)130barから495barまで、又は(c)150barから450barまで、又は(d)200barから400barまでの圧力で使用される、請求項1から16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスが更に、
d)例えば磁石を使用することによって、金属を前記混合物から分離すること、及び/又は
e)例えば、フィルタ若しくはスクリーンを使用することによって、又は吸引若しくは浮遊によって、繊維を前記混合物から分離すること、及び/又は
f)例えば前記ゴムが取り除かれてもよい、前記未硬化ゴムを前記混合物から分離すること
のうち、2つ以上など、1つ又は複数を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記未硬化ゴムが分離され、次に乾燥され、また任意に、次に貯蔵及び/又は搬送のために梱包される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記未硬化ゴムが続いて再合成又は再使用される、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記金属が続いて再使用される、請求項18から20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記繊維が続いて再使用される、請求項18から21のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合生成物から構成材料を回収するプロセスに関する。プロセスは、未硬化ゴムを再使用可能な形態で回収することに適しており、未硬化ゴムをバージン材として再合成できるようにすることができる。
【0002】
本発明のプロセスは、特に、未硬化ゴム、金属、及び繊維を、これらの構成材料それぞれを再使用することができる形態で、複合生成物から回収するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
硬化(加硫)ゴムを含む複合廃棄生成物、例えば使用後のタイヤは、シュレッダー、造粒機、及び微粉ミルなどの機械的破砕機器の使用によって、リサイクルすることができる。
【0004】
ゴム製品製造プロセスの間、未硬化の、つまり「生の」ゴムを含むことがある廃棄物が発生する。例えば、タイヤは、ポリマー並びに金属補強材及び繊維補強材を含有する基材から製造される。金属ビーズ及び繊維コードは、複数の層において、側壁を補強するために使用される。製造プロセスのいずれかの時点で、基材が不合格判定されることがある。不合格判定は、組立て不良、厚さ若しくは含有量のばらつき、又は他の何らかのかかる品質管理上の不良若しくは不具合によることがある。不合格判定された部品は、一般に、パレットボックスに梱包され又は詰められ、処理又は破棄用に送られる。
【0005】
硬化した使用後のタイヤに用いられるような、細断及び造粒などの従来のプロセスは、相当量の防着添加物が使用されていない限り、これらの基材を処理するためには使用できない。かかる添加物を添加していない場合、未硬化ゴムは、表面又は自身に粘着する。金属刃に触れた場合、未硬化ゴムは刃に粘着して蓄積し、塊状のボールを形成する。摩擦源に継続して触れていると、未硬化ゴムは加熱され、火災のリスクにつながる。タルク、チョーク、及び金属石鹸などの好適な添加物が知られているが、かかる添加物を添加することは、バージン材として再処理する場合の未硬化ゴムの適合性に顕著な影響を及ぼす。
【0006】
一般に、金属及び繊維が基材内に存在すると、未硬化ゴムを回収し、バージン材として再合成することができない。金属及び繊維に付着したゴムは、未硬化ゴムが非常に粘着性の高い性質であるため、簡単に除去することができない。これらの材料(未硬化ゴム、金属、及び繊維)を再使用しようとする場合、構成材料の分離が必須である。
【0007】
こうした困難があるため、未硬化ゴムを含む廃棄基材は一般に、燃焼に回される。
【0008】
タイヤの生産は、高いカーボンフットプリントと関連付けられる。したがって、カーボンフットプリントを相殺し、発生する排出量を埋め合わせるため、未硬化ゴムを回収してバージン材として主要用途で再使用することが望ましいであろう。不合格判定されたゴム基材の再使用も、森林地帯に代えてゴム園を増加することに対する需要を低減するであろう。加えて、有利には、合成ゴムポリマー及びカーボンブラックなどの石油由来製品に対する需要を低減することができる。
【0009】
廃棄物ストリームの規模は、年間タイヤ生産量全体の約10%である。毎年、約4000万トンの天然ゴム、合成ゴム、及びカーボンブラックが廃棄物となっている。廃棄物ストリームのより効率的な使用が達成されれば、環境に対する大きな利益となるであろうことは明白である。
【0010】
しかしながら、好適な廃棄物管理策はいずれも、スループット量が顕著な大きな工業規模で運用できることが必要であろう。
【0011】
機械的処理ルート以外に、小規模且つ非商業的にのみ実現可能な試み、例えば、個々のワイヤをゴムシートから剥離することが行われてきた。
【0012】
非機械的粉砕プロセス、例えばウォータージェットを使用することが知られており、これらは特に、加硫ゴムを含む使用済み製品をリサイクルするために利用されてきた。
【0013】
JP2005046758Aでは、ウォータージェットでゴムタイヤを粉砕する方法が記載されており、ウォータージェットは、φ1.0mmからφ5.0mmの直径を有するノズルによって、70MPaから175MPaの圧力及び30L/分以上の流量で噴出される。
【0014】
US5944925Aは、摩耗したトレッドを除去し、新しいトレッドを取り付けることによる、タイヤの更生について説明している。本文書は、結合前に加硫ゴム表面を処理するプロセスを提供し、プロセスにおいて、表面粗さが形成され、劣化した表面粒子が高圧流体ジェットを適用することによって除去される。
【0015】
ITMI20081559A1では、使用後のタイヤをリサイクルするプロセスが詳述されている。プロセスは、ウォータージェット技術を使用してタイヤを分解し、タイヤの破壊によって、ゴム粉末、鋼、及びナイロンファイバーを得る。
【0016】
RU2114731では、摩耗した自動車用ゴムタイヤをゴム粉にするウォータージェット切断を実施するプロセスが記載されている。金属コードタイヤを切断する際、ゴムは金属コードから分離され、金属コードはリサイクル可能材料として、又はスクラップ金属として使用することもできる。
【0017】
WO2011/158002A1では、使用済みの車両用軌道を分解し、使用可能な構成部品にする方法が提供される。方法は、高圧ウォータージェットを使用し、繊維成分も含むことがあるゴム粉スラリーを作成する。
【0018】
WO2012/127510は、ウォータージェットを使用して加硫ゴムを処理する。1000bar~4000barの圧力が記載されており、水流は8L/分~16L/分である。
【0019】
WO2013/105553A1は、ゴム材料を、例えば0.5mmから3mmの粒径に粉砕するものであり、ウォータージェットを使用してこのゴム粉から不純物を除去することを記載している。
【0020】
EP3815867A1は、ウォータージェット技術を使用して熱硬化性ポリマーを粉々にし、次いで粉々にされた熱硬化性ポリマーを乾燥することを伴うプロセスによって、熱硬化性ポリマー物体をリサイクルすることを記載している。
【0021】
RU2746836C1は、廃棄物のゴム引き金属コードの金属コードから未加硫ゴムを分離することを記載している。方法は、ゴム引き鋼コードのゴムと金属との間の結合を破壊するとされている、高圧下の水の作用を使用する。具体的には、スクラップ/廃棄物のゴム引き金属コード(未加硫ゴム化合物)である、流入材料が提供され、これはステンレス鋼格子上の作業チャンバに入れられ、次に500barから3000barの圧力パワー及び15L/分以上の流量を有するウォータージェットで衝撃を与えられる。流入材料の一体性を壊すことによって、ゴムの完全分離につながることが記載されている。
【0022】
しかしながら、個々の材料全てを未硬化ゴム複合生成物から再使用に適した形態で回収することを可能にするプロセスが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、複合生成物から構成材料を回収するプロセスを提供し、プロセスは、
a)複数の構成材料を含み、上記構成材料が、未硬化ゴムと繊維及び/又は金属から選択された強化材料とを含む、複合生成物を提供することと、
b)規格化されたシートがそれぞれ125mm以下、好ましくは110mm以下、より好ましくは100mm以下の最大厚さを有する、複合生成物の1つ又は複数の規格化されたシートを準備することと、
c)規格化されたシートの1つ又は複数の表面上に500bar以下の圧力で加圧水を噴射し、それにより、未硬化ゴムを強化材料から剥離し、未硬化ゴム繊維及び強化材料の混合物をもたらすことと、
を含む。
【0024】
本発明のプロセスは、未硬化ゴムと繊維及び/又は金属から選択された強化材料とを、互いに結び付いた複合材料の形態であるものから取り出し、互いから分離した混合物の形態にすることができる、産業的に実行可能なプロセスである。構成材料は、その後、個別に再使用され得る。
【0025】
有益には、未硬化ゴムは、汚染がなく、再合成及び再使用に適している形態で得られる。更に有益には、強化材料(金属及び/又は繊維)は、損傷がなく、再使用に適した形態で得られる。
【0026】
特に、複合生成物を、例えば110mm以下など、125mmの最大厚さ、好ましくは100mmの最大厚さを有する規格化されたシートにして準備することによって、非侵食的条件を使用して未硬化ゴムを金属及び/又は繊維から剥離することができる、つまり金属及び/又は繊維に対する損傷が回避されると判断されてきた。
【0027】
これは、水が非常に高圧で使用され、それゆえに生成物全体を切り裂くように作用して、構成材料の少なくとも一部に損傷を引き起こす、以前のプロセスとは対照的である。繊維が引き裂かれた場合、繊維を再使用することはできず、金属が切断された場合、有害な金属片が露出する可能性があることが認識されるであろう。
【0028】
ゴムの汚染を抑制するという観点で、侵食的条件を回避することが更に有益である。材料を切り裂くか又は引き裂く侵食的条件は、金属及び/又は繊維片によるゴムの汚染をもたらす。かかる汚染が回避されるようなゴムの再使用を検討することが有利なのは明白である。
【0029】
比較的薄く、好ましくは厚さが実質的に均一であるように、シートを規格化することによって、ゴムを強化材料から剥離するために500bar以下の加圧水が有効であり、有益には、ゴムが、簡単に除去し取り扱うことができる、粉及び/又は顆粒を形成することが見出されている。
【0030】
ステップc)において、強化材料、特に繊維材料の損傷につながるため、500bar超えの圧力で水を使用すべきでないと判断されている。一実施形態では、水は、500bar未満の圧力で使用される。一実施形態では、水は、110barから500barまで、又は120barから500barまで、好ましくは130barから500barまでの圧力で使用される。好ましい一実施形態では、水は、150barから400バールなど、130barから450barの圧力、例えば200barから400barの圧力で使用されてもよい。
【0031】
一実施形態では、強化材料は金属であり、使用される圧力は、130barから500barであり、例えば、150barから450bar、又は、300barから400barなど、200barから400barであり、例えば約375バールである。500barを上回ると、金属ワイヤが強引に剥離され、結果として生じる金属ワイヤストリップからゴムが完全には除去されないと判断されている。
【0032】
一実施形態では、強化材料は繊維であり、使用される圧力は、130barから400bar、又は200barから400barであり、例えば、275barから350barなど、225barから375barであり、例えば約340barである。
【0033】
本発明では、例えば、加圧水を表面上に方向付けるノズルを使用して、噴射段階において、単位面積当たり一定の力を適用することができる。本発明のプロセスは、工業規模で制御され、再現可能である。シートの規格化を実施することによって、ウォータージェットによって適用される力は、シート全体にわたって均一である。
【0034】
本発明のプロセスのステップc)で使用される圧力は、はるかに高いウォータージェット切断圧力ではなく、パワー洗浄と同様の大きさである。ウォータージェット切断は、大抵、少なくとも約10,000psi(689bar)、通常は20,000psi(1379bar)超え、例えば約60,000psi(4136bar)以上の圧力を伴う。
【0035】
本発明の一実施形態では、プロセスは更に、次のステップの1つ又は複数、例えば2つ以上を含む。
d)例えば磁石を使用することによって、金属を混合物から分離すること、及び/又は
e)例えば、フィルタ若しくはスクリーンを使用することによって、又は吸引若しくは浮遊によって、繊維を混合物から分離すること、及び/又は
f)例えばゴムが取り除かれてもよい、未硬化ゴムを混合物から分離すること。
【0036】
ステップd)及びe)及びf)は任意の順序で実施できることが認識されるであろう。
【0037】
一実施形態では、ステップd)及びe)は(どちらかの順序で)実施され、未硬化ゴムが最終分離生成物として残される。
【0038】
好ましい一実施形態では、プロセスは、(i)未硬化ゴム、(ii)金属、及び(iii)繊維という3つの別個の生成物をもたらす。これら別個の生成物は、それぞれ再使用に適している。
【0039】
未硬化ゴムは、任意に、例えば脱水乾燥コンベヤを使用して、乾燥されてもよい。未硬化ゴムは、任意に、ゴムの調整を施されてもよい。一実施形態では、未硬化ゴムは続いて再合成される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[発明の詳細な説明]
<複合生成物>
本発明のプロセスによって、複合生成物から構成材料を回収することが可能になる。複合生成物は、未硬化ゴムと、繊維及び/又は金属から選択された強化材料と、を含む。
【0041】
繊維は、合成ファイバー材料であってもよい。一実施形態では、複合生成物は、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、及びアラミド、並びにそれらの組み合わせから選択された繊維を含む。繊維は、例えば、ストリップ、又はストランド、又はファイバーの形態であってもよい。
【0042】
金属は、合金であってもよい。一実施形態では、複合生成物は、ステンレス鋼などの鋼である金属を含む。鋼は、例えば、鋼コード及び/又は鋼ワイヤの形態であってもよい。
【0043】
複合生成物は、ゴム製品製造プロセスの間に生じる廃棄生成物であってもよい。一実施形態では、複合生成物は、タイヤ製造プロセスからの廃棄生成物である。
【0044】
当業者であれば知っているように、タイヤ製造プロセスの間、個々の構成要素が作成され、それらが続いて組み立てられて、未硬化ゴムと共に繊維及び金属の強化材料を含む生成物となる。
【0045】
タイヤ製造プロセスの間に形成される1つの生成物は、例えば、PA6ファイバーなどのナイロンファイバーから作成され、整列され、未硬化ゴムで被覆される、層の形態の繊維摩擦材料を含むものとなる。繊維ストランドは、接着促進剤で被覆されてもよい。
【0046】
タイヤ製造プロセスの間に形成される別の生成物は、未硬化ゴムに封入された鋼ワイヤを含む金属摩擦材料である。これらの金属摩擦材料は、例えば、タイヤビーズ補強材になるリングとして、又はタイヤの本体に組み込まれる平坦なシートとして作成されてもよい。
【0047】
更なる生成物は、次に組み立てられ、タイヤの本体を形成することができ、これが、繊維及び金属両方の補強材並びに未硬化ゴムを含有するようになる。
【0048】
したがって、タイヤ製造プロセスからの廃棄生成物は、例えば、組立て不良、厚さ若しくは含有量のばらつき、又は他の何らかのかかる品質管理上の不良若しくは不具合によって不合格判定された、任意のかかる生成物であり得る。これらの廃棄生成物は使用後のタイヤと同じではなく、ゴムは未硬化(未加硫)である。
【0049】
当業者であれば、異なる複合生成物は様々な異なる組成物を有し得ることを認識するであろう。タイヤ全体は、トレッド又はブチルライナーが存在するため、例えば繊維5重量%及び金属12重量%程度の、比較的低量のファイバー及び金属を強化材料として含有してもよいが、タイヤを作るために使用される個々の構成部品は、はるかに高いパーセンテージのファイバー又は金属強化材料を有することができる。例えば、金属摩擦材料は90重量%もの金属含量を有してもよく、繊維摩擦材料は80重量%もの繊維含量を有してもよい。本質的に、これらの摩擦材料生成物は、接着を促進するため、ゴムコーティングと共に強化材料を含む。
【0050】
ステップa)において提供される複合生成物は、例えば、5重量%以上、又は10重量%以上、又は20重量%以上の未硬化ゴムを含んでもよい。一実施形態では、未硬化ゴムの量は、5重量%から90重量%の範囲であり得る。
【0051】
ステップa)において提供される複合生成物は、例えば、10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上の強化材料を含んでもよく、強化材料は、ファイバー及び/又は金属であってもよい。一実施形態では、繊維及び/又は金属の強化材料の量は、10重量%から90重量%の範囲であり得る。
【0052】
複合生成物は、任意に、未硬化ゴム及び強化材料以外の追加材料を含んでもよい。特に当業者であれば、タイヤに含まれることが当該分野で知られており、未硬化ゴムに一般に化合される化学物質を知っているであろう。
【0053】
例えば、複合生成物中に存在してもよい追加材料としては、充填剤(例えば、カーボンブラック、シリカ、カーボン、及びチョーク、並びにそれらの組み合わせから選択される充填剤)、可塑剤、加硫剤(例えば、硫黄及び/又は酸化亜鉛)、並びに抗老化剤のうち、1つ又は複数が挙げられる。
【0054】
当業者であれば認識するように、これらの追加材料は、通常、未硬化ゴムと化合される。そのため、本発明では、かかる追加材料が存在するとき、未硬化ゴムの回収とは、任意のかかる追加材料を含む化合された形態の未硬化ゴムを回収することである。したがって、未硬化ゴムは、硬化させることができる形態で回収される。
【0055】
<複合生成物のシート>
プロセスの有効性を担保するため、出発生成物は、未硬化ゴムを強化材料から有効に除去することを担保するように規格化されていなければならない。
【0056】
したがって、プロセスは、100mm以下の最大厚さをそれぞれ有する、複合生成物の1つ又は複数の規格化されたシートが準備される、ステップb)を含む。
【0057】
このように、複合生成物のシートが必要とされる。
【0058】
ステップa)において複合生成物がシートの形態で提供されなかった場合、例えばベールの形態で提供された場合、ステップb)は次のことを含む。
b-i)複合生成物を切断して、1つ又は複数の切断されたシートの形態にすること、及び次に、
b-ii)各シートが、例えば110mm以下、好ましくは100mm以下など、125mm以下の厚さを有するように、切断された各シートに対して厚さの規格化を実施すること。
【0059】
ステップa)において複合生成物が既にシートの形態で提供されている場合、ステップb)は次のことを含む。
b-0)各シートが、例えば110mm以下、好ましくは100mm以下など、125mm以下の厚さを有するように、厚さの規格化を実施すること。
【0060】
ステップb-i)が必要とされる場合、切断は、任意の好適な方法で達成されてもよい。例えば、高圧ウォータージェット切断が使用されてもよく、好ましい一実施形態では、せん断ギロチンナイフが使用されてもよい。低速帯鋸も使用を検討することができる。
【0061】
切断は、せん断切断システムを使用して実施されてもよい。複合生成物、例えばベールの形態の複合生成物は、コンベヤに乗せられ、切断ヘッドに供給されてもよい。切断ヘッドは次に、複合生成物の前縁からシートを除去する。シートを除去するこの切断ステップは次に、1つ又は複数のシートを得るために必要なだけ繰り返される。
【0062】
シートが得られると、任意に、シートの厚さを低減するため、このシートは再び切断されてもよい(例えば、半分に切断されてもよい)。
【0063】
ステップb-i)において得られたような切断された(各)シートは、例えば、厚さ約500mm以下であってもよく、例えば厚さ150mmから400mmであってもよく、又は、例えば厚さ約200mmなど、厚さ175mmから300mmであってもよい。
【0064】
当業者であれば、シートは任意の長さ及び幅であってもよく、これに関して唯一の制限は、シートを取り扱うために、特に厚さ規格化ステップを実施するために、好適な大きさの機器を有することであることを認識するであろう。したがって、本発明は、幅及び長さの点で、あらゆる特定の寸法を有するシートに制限されない。
【0065】
一実施形態では、切断されたシートは、3m以下又は2m以下など、5m以下の長さを有し、例えば幅は、0.1mから2.5m、又は0.2mから2mであってもよい。
【0066】
一実施形態では、切断されたシートは、3m以下又は2m以下など、5m以下の長さを有し、例えば幅は、0.1mから2.5m、又は0.2mから2mであってもよい。
【0067】
シートの断面が実質的に正方形であるように、幅及び長さはほぼ同じであってもよいが、これは必須ではない。長方形形状も容易に処理することができる。
【0068】
<厚さ規格化>
複合生成物シート(ステップa)で提供されるもの、又はステップb-i)で得られるもの)は、厚さ規格化がなされる。
【0069】
厚さ規格化ステップは、各シートが、125mm以下、好ましくは110mm以下、より好ましくは100mm以下の最大厚さを有することを担保するものである。
【0070】
厚さ規格化ステップは、各シートに圧力を加えることを含む。一般に、力として金属板に重さを加えることを伴う技法が有用である。
【0071】
この点に関して、任意の好適な装置が使用されてもよい。当業者であれば、いずれも好適に使用することができる、カレンダープレス機、ベルトプレス機、又は油圧プレス機などのプレス機器を知っているであろう。
【0072】
一般に、シートの厚さを低減する任意の機器又は技法を使用することができ、重要なのは、シートが、125mmを超えない最大厚さ、好ましくは110mm以下の最大厚さ、より好ましくは100mm以下の最大厚さを有することである。
【0073】
また、当業者であれば、シートの厚さを達成することを可能にする技法を知っているであろう。加えて、シートの厚さを測定して要件を満たしていることをチェックすることは、ゲージ又はキャリパーなどの標準的な機器を使用して容易に達成することができる。
【0074】
一実施形態では、所望の厚さは、物理的停止システムによって達成される。プレス金型ツールは、上板と下板との間でシートを中に入れることができる、金型キャビティを有する。このツールは、上板と下板との間に位置する突起を備え、突起は、上板が下板に向かう移動に対する停止部として作用し、それゆえにプレス機が完全に閉止することを抑制する。このようにして、突起が下板の上に延在する高さによって、プレスされたシートの厚さが制御される。突起は単一のダボ又はラグであることができ、又は間隔を空けた複数のダボ又はラグを使用することができ、又は連続した突出部がキャビティ周囲の全体に延在することができる。
【0075】
別の実施形態では、近接スイッチを使用することができる。スイッチは、適正な厚さが達成されると起動されるように構成され、それゆえにその時に閉止メカニズムを停止する。
【0076】
近接スイッチは、特に、よりゆっくり閉まるプレス機システムに好適であってもよいが、より高速で閉まるプレス機システムの場合、物理的停止システムがより好適であってもよい。
【0077】
一実施形態では、圧力は、例えば30秒から10分、好ましくは30秒から5分など、30秒以上の期間にわたって加えられる。
【0078】
当業者であれば、ゴムが未硬化のままであることを担保するために、温度は90℃を超えるべきでないことを認識するであろう。
【0079】
プロセスは、加えられるプリセット圧力、及び圧力が加えられる期間を用いて、自動化することができる。プロセスは、自動化された形式でモニタリングすることができる。
【0080】
所望のプリセット厚さが達成されない場合に圧力が自動的に増加するように、自動調節もプログラミングすることができる。
【0081】
シートは、厚さが低減されるにつれて拡張する。ゴム含量が多いほど、拡張も大きくなる。
【0082】
一般に、平方メートル当たり約500トンのプレス力が好適である可能性が高い。当業者であれば、これは必要に応じて調節できることを認識するであろう。
【0083】
一実施形態では、プレス機は、少なくとも50トンプレスであり、例えば、500トンプレス又は1000トンプレスなど、少なくとも100トンプレスである。
【0084】
一実施形態では、プラテンは、少なくとも1メートルの正方形のプラテンである。
【0085】
シートは、一実施形態では、110mm以下、好ましくは100mm以下の最大厚さを有するように、厚さ規格化がなされる。
【0086】
例えば、シートは、例えば70mm以下、好ましくは60mm以下、例えば50mm以下など、80mm以下の最大厚さを有するように、厚さ規格化がなされてもよい。
【0087】
好ましい一実施形態では、シートは、40mm以下、例えば30mm以下の最大厚さを有するように、厚さ規格化がなされる。
【0088】
シートが簡単に取り扱えることを担保するために、少なくとも3mmの厚さを担保することが望ましいことがある。一実施形態では、シートは、例えば3mmから60mm、好ましくは、5mmから40mmなど、3mmから100mmの厚さを有する。
【0089】
噴射ステップc)で単位面積当たり一定の力を適用することにより、シートの厚さを均一にすることによって、ゴムの除去の均一化が可能になる。
【0090】
一実施形態では、ステップb)のシートが全て、実質的に同じ最大厚さ(±5mm、好ましくは±3mmの最大厚さ)を有するように、ステップb)のシートには全て、厚さ規格化がなされる。
【0091】
シートが規格化された厚さを有することによって、シート全体にわたるフロー及び圧力が可能な限り均一になり、全てのシートに関して強化材料からのクリーンな分離という点で一貫した結果の助けとなる。
【0092】
圧力を加えることによる厚さ規格化ステップの更なる利益は、これによって各シートの平坦な表面が形成されることである。したがって、ステップc)におけるウォータージェットフローは、隠れた部分又は到達しづらい部分がないので、未硬化ゴムを強化材料から剥離することにおいて、より有効である。
【0093】
<任意の予熱>
シートに厚さ規格化がなされると、シートは、任意に、ステップc)における加圧水の噴射前に予熱されてもよい。
【0094】
未加硫ゴムの硬化を回避するため、シートは90℃を超える温度まで加熱されないことが好ましい。
【0095】
一実施形態では、ステップb)から得られるシートは、40℃から90℃の温度に予熱される。
【0096】
好ましい一実施形態では、ステップb)から得られるシートは、ステップc)の前に、40℃から80℃、又は40℃から70℃の温度、より好ましくは、40℃から50℃若しくは40℃から45℃など、40℃から60℃の温度に予熱される。
【0097】
予熱は、任意の好適な機器、例えば、加熱トンネル又はオーブンを使用して実施されてもよい。当業者であれば、例えば、ステンターオーブンを知っており、コンベヤベルトを使用して材料を移動させるようなかかるオーブンを好適に使用することができることを知っているだろう。したがって、シートを搬送するコンベヤベルトは、温風を吹き出す多数のプレナムの下を通る。プレナムは、コンベヤ上のシートの移動に対して直交し、シートは、通過する際に温風によって加熱される。
【0098】
<加圧水の噴射>
ステップc)において、500bar以下の圧力である加圧水が、規格化されたシートの表面上に噴射される。
【0099】
このステップは、パワー洗浄ステーションで実施されてもよい。パワー洗浄ステーションは、任意に、マルチノズルステーションであってもよい。任意の好適な数のノズルがあってもよいが、これは、2つ若しくは3つ若しくは4つ若しくはそれ以上、例えば、10個以上、又は、25個以上若しくは50個以上など、20個以上であることができる。
【0100】
加圧水は、1つ又は複数のノズルを使用してシート上に好適に噴射される。ノズルは、固定ノズルであってもよく、又は、例えば振動によって移動するノズルであってもよい。後者は、シートの表面上における加圧水の被覆率増加を達成できるので、好ましいことがある。
【0101】
ノズルは、シートの上方及び/又は下方に位置してもよい。一実施形態では、シートの上方及び下方の両方にノズルが存在する。
【0102】
好ましい一実施形態では、シートの上方及び下方の両方に振動ノズルが存在し、それによって加圧水をシートの上面及び下面両方に、またその表面積にわたって方向付ける。
【0103】
当業者であれば、任意の所与のノズルが、被覆領域であって、その全域にわたって水を方向付ける被覆領域を有することを認識するであろう。したがって、当業者は、ノズルが加圧水を噴霧したときにシートの表面積全体に加圧水が衝突するように、好適に離隔された固定ノズルのアレイを設計することができる。あるいは、当業者は、ノズルが加圧水を噴霧している間の振動サイクルの過程にわたって、シートの表面積全体に加圧水が衝突するように、好適に離隔された振動ノズルのアレイを設計することができる。
【0104】
一実施形態では、ステップc)において、加圧水は、シートの上面全体及び下面全体にわたって方向付けられる。しかしながら、100%の被覆率を達成することは必須ではなく、例えば、加圧水がシートの表面積の50%以上、特に75%以上、又は80%以上、又は90%以上に方向付けられることで、良好な結果を達成することができる。
【0105】
使用することができるノズルヘッドの例には、ペンシルジェット、洗浄ランス、ファンヘッド、及び振動ヘッド(内部振動又は外部振動)が含まれる。
【0106】
ステップc)において、繊維の損傷につながるため、500bar超えの圧力で水を使用すべきでないと判断されている。一実施形態では、水は、500bar未満の圧力で使用される。一実施形態では、水は、110barから500barまで、又は120barから500barまでの圧力で使用される。
【0107】
好ましい一実施形態では、水は、130barから500barまで、又は130barから495barまでの圧力で使用される。一実施形態では、水は、130barから490bar、又は130barから482bar、又は130barから475barの圧力で使用される。一実施形態では、水は、130barから450bar、又は130barから400bar、例えば130barから350barの圧力で使用される。一実施形態では、水は、150barから450bar、又は150barから400bar、例えば、200barから400bar、又は225barから375barの圧力で使用される。
【0108】
また、当業者であれば、シートの表面からのノズルの距離は、水の叩きつける力(高さの関数)に影響を及ぼすように所望に応じて変更できることを認識するであろう。
【0109】
一実施形態では、基材からのウォータージェットノズルの距離は、10mmから200mm、又は15mmから200mm、又は、例えば30mmから150mmなど、20mmから200mmである。
【0110】
好ましくは、距離は、40mmから100mm、より好ましくは40mmから90mm、例えば40mmから80mm、又は60mmから80mm、特に70mmから80mmである。これらの距離は、広い範囲にわたってゴムをきれいにするという点で、最良の結果をもたらすことが見出されている。
【0111】
一般に、オープンワイヤメッシュコンベヤ上へのウォータージェットの偏向は、基材から200mmの距離で生じると見られることがある。したがって、一実施形態では、距離は、200mm未満、例えば30mmから150mm、特に40mmから100mmである。
【0112】
基材に対するノズルの角度も変動させることができる。90°が完全な直交方向である場合、一実施形態では、角度は、60°から90°、例えば62°から88°、又は70°から88°である。一実施形態では、基材に対するノズルの角度は、約88°である。
【0113】
これに関して、60°から90°の範囲内、例えば62°から88°、又は70°から88°の範囲内でジェットストリームを角度付けすることによって、未硬化ゴムの剥離が起こる面積を大幅に増加させることができると判断されている。例えば、基材の面に対して80mmの距離及び88°の角度で保持される、8mmの振動ヘッドの場合、幅80mm及び奥行き5mmの範囲を剥離することができる。
【0114】
一実施形態では、剥離されるゴム材料の厚さは、厚さ5mmから10mmである。
【0115】
一実施形態では、ゴム材料を剥離する速度は、例えば2.5m/分から3.5m/分など、2m/分から4m/分であり、例えば約2.8m/分である。
【0116】
上述したように、本発明では、複合生成物のシート(ステップa)で提供されるもの、又はステップb-i)で得られるもの)には、厚さ規格化がなされる。複合生成物に対する特定の規格化された厚さのシートを使用することによって、ステップc)において、水が未硬化ゴムを複合生成物から剥離して、未硬化ゴム及び強化材料を含む混合物がもたらされることが見出されている。
【0117】
したがって、有益には、ゴムに対して粉砕効果ではなくピーリング効果がある。
【0118】
未硬化ゴムは次に、強化材料から簡単に除去することができる。
【0119】
本発明によるプロセスを使用することによって、未硬化ゴムが、顆粒及び/又は粉の形態の強化材料から分離することが見出されている。したがって、有利には、容易に除去し処理することができる微粒子形態である。
【0120】
ステップc)で使用される水は、常温であってもよく、又は加熱されてもよい。一実施形態では、使用される水は加熱されるが、これはピーリングプロセスを向上させることが見出されている。
【0121】
一実施形態では、水は、シート上に噴射される前に、90℃以下、好ましくは40℃から90℃の温度まで予熱されてもよい。
【0122】
当業者であれば、高圧まで水を加圧した結果、水の温度が上昇するが、本発明では、外部熱を水に提供して、制御された温度が達成されることを認識するであろう。
【0123】
水がシート上に噴射される前に水を加熱するために、水の加熱は、例えば、バーナーヒーターを使用して実施されてもよい。当業者であれば、水はバーナー自体と同じ温度には達しないので、バーナー温度が水の所望の温度よりも高く設定されてもよく、例えば、バーナー温度が150℃に設定されてもよいことを認識するであろう。
【0124】
好ましい一実施形態では、水は、シート上に噴射される前に、40℃から80℃又は50℃から70℃の温度まで予熱される。
【0125】
一実施形態では、予熱された水は、未硬化ゴムを35℃から50℃、好ましくは40℃から50℃、例えば40℃から45℃の温度まで加熱するように使用される。
【0126】
好ましい一実施形態では、水は約80℃まで予熱され、これは、未硬化ゴムを約45℃の温度まで加熱するという効果を有してもよい。別の好ましい一実施形態では、水はバーナーを使用して約60℃まで予熱され、これは、未硬化ゴムを約40℃の温度まで加熱するという効果を有してもよい。
【0127】
一実施形態では、水は、例えば、約9℃など、約5℃から15℃の温度で冷水として供給され、水は次に加圧によって加熱され、例えば、20℃から25℃の範囲の基材温度をもたらす。これは特に、強化材料が金属であるときに有用であり得る。
【0128】
別の実施形態では、強化材料は繊維であり、水は、35℃から50℃の範囲、例えば約39℃の温度で供給される。好適には圧力は275barから340barであってもよく、特に厚さ5mmの基材を使用するとき、最も好ましい圧力は340barである。340barでは、繊維のディップコーティングが除去される以外、ファイバーの損傷は見られず、275barでは、繊維のディップコーティングはほぼ残されたままである。
【0129】
一実施形態では、繊維強化材料は、約36℃など、30℃から40℃の範囲の温度に達する。
【0130】
水に使用される流量は、例えば、7L/分から60L/分又はそれ以上など、5L/分から80L/分又はそれ以上であってもよい。一実施形態では、流量は、7L/分から40L/分など、5L/分から50L/分である。一実施形態では、流量は、7L/分から15L/分など、5L/分から30L/分である。
【0131】
特に強化材料が繊維の場合、一実施形態では、規格化されたシートが2つのコンベヤの間に拘束されて、移動が最小限に抑えられ、十分な剥離効果が担保される。コンベヤは、好適にはメッシュコンベヤであってもよい。上側コンベヤは、例えば、ウォータージェットの偏向を制限するため、例えば10mmから20mmのオープンワイヤ網目を有する、オープンワイヤメッシュであってもよい。下側コンベヤは、例えば、ソリッドベルト、又は鋼のスラットコンベヤであってもよい。
【0132】
孔又はスラットなどの開口部を含む下側コンベヤの使用は、これによって、水及び剥離された未硬化ゴム材料が通過することが可能になるという点で有益であり得る。一実施形態では、下側コンベヤは、複数の開口部、例えば複数のカット孔を含み、これらは例えば、約10mmなど、5mmから20mmの最大直径を有してもよい。開口部は、例えば、下側コンベヤの表面積の50%から60%を構成してもよい。
【0133】
下側コンベヤは、剥離した未硬化ゴム材料を捕集するように位置付けられた筐体に接続されてもよい。
【0134】
<ゴム>
ステップc)(「パワー洗浄」段階)の間、未硬化ゴムは強化材料から剥がれ、それゆえにこれらの強化材料から分離される。未硬化ゴムは、金属及び/又は繊維の強化材料ともはや結合しておらず、容易に除去することができる粉及び/又は顆粒を形成する。
【0135】
したがって、プロセスの更なるステップとして、未硬化ゴムを混合物から除去することができ、例えばゴムは取り除かれてもよい。
【0136】
例えばゴム顆粒の形態である未硬化ゴムは、任意に乾燥されてもよい。
【0137】
水噴射プロセスと関連付けられる水含量は、例えば、1kwh/kgのゴムを送ることができる乾燥計画が選択されるべきであることを意味し得る。
【0138】
未硬化ゴムは、標準的な乾燥技術を使用して乾燥することができる。これは、例えば、連続乾燥によるか、又は流動層乾燥機によるものであってもよい。一実施形態では、ゴム乾燥は、空気乾燥又は無線周波数乾燥を使用して実施される。1つの好ましい乾燥方法は、約80℃など、例えば70℃から90℃で保持された温風が供給される回転乾燥機によるものである。
【0139】
当業者であれば、乾燥は、ゴムを硬化しない条件下で実施されるべきであることを認識するであろう。目的は、ゴムを再使用できるようにするために、水は除去するがゴムは未硬化の形態のままにすることである。一実施形態では、乾燥は、90℃以下、例えば50℃から80℃の温度で実施される。
【0140】
ゴム粉の最大温度は、90℃を超えないことが望ましい。約80℃の温風を供給する回転乾燥機による乾燥を使用することにより、例えば、粉の最大温度が65℃であることを担保するのが可能である。
【0141】
本発明の好ましい一実施形態では、未硬化ゴムは、振動コンベヤを横断し、温風プレナムが搭載されたオーブンを通って搬送される。プレナムは、好適には、コンベヤの上方及び下方に配置される。
【0142】
未硬化ゴムは、任意に、ゴムの調整を施されてもよい。
【0143】
好ましくは乾燥形態である未硬化ゴムは、貯蔵及び/又は運搬のために梱包されてもよい。
【0144】
一実施形態では、乾燥ゴム顆粒は、ホッパー及び梱包機に供給される。好ましい一実施形態では、梱包機は、垂直形態の充填及びシール機である。
【0145】
ゴムは、好適には、貯蔵のために、低融点EVAバッグ等のバッグに梱包されてもよい。
【0146】
そのようにして得られた乾燥ゴムは、未硬化(未加硫)の形態であり、蓄積してベールにすることができる。そのようにして得られた乾燥ゴムは、下流の化合段階で直接使用できる状態である。
【0147】
一実施形態では、したがって、未硬化ゴムはその後に再合成される。
【0148】
ゴムは未だに未加硫であり、金属及び繊維を含まないので、ゴムは、元の用途に使用されてもよく、又は代替の用途向けに化合されてもよい。
【0149】
<金属>
ステップc)の間、未硬化ゴムは、金属及び/又は繊維の強化材料から剥がれ、それゆえにこれらの強化材料から分離される。
【0150】
したがって、プロセスの更なるステップとして、プロセスは、例えば磁石の使用によって、金属強化材料を混合物から分離するステップを含んでもよい。
【0151】
このため、ドラム磁石又はオーバーバンド磁石などの磁石を使用して、金属を分離された材料の本体から取り除くことができる。
【0152】
金属強化材料は、混合物から分離されると、貯蔵及び/又は搬送のために梱包され得る。
【0153】
一実施形態では、金属強化材料は、回収容器に入れられる。
【0154】
<繊維>
ステップc)の間、未硬化ゴムは、金属及び/又は繊維の強化材料から剥がれ、それゆえにこれらの強化材料から分離される。
【0155】
したがって、プロセスの更なるステップとして、プロセスは、例えば、フィルタ若しくはスクリーンの使用によって、又は吸引若しくは浮遊によって、繊維を混合物から分離するステップを含んでもよい。
【0156】
このため、一実施形態では、シーブ、例えば移動シーブの使用によって、繊維を分離された材料の本体から取り除くことができる。繊維は、ストリップ、又はストランド、又はファイバーの形態であってもよい。したがって、繊維を、回転し繊維を解放して例えば回収容器に入れる、移動シーブで捕集することができる。
【0157】
別の実施形態では、浮遊の使用によって、繊維を分離された材料の本体から取り除くことができる。
【0158】
更に別の実施形態では、ゴムと共に乾燥し、次に吸引によって取り出すことによって、繊維を分離された材料の本体から取り除くことができる。
【0159】
一実施形態では、振動させたピントルベルトを用いて、繊維を分離された材料の本体から取り除くことができる。長さのある繊維は、ピントルの頂部上で捕集され、ゴム粉は、ピントルの基部に落ち、ベルト上に落ちて、振動でベルトから落とされる。繊維は、ベルトが下方の軌道に戻る際に回収される。
【0160】
ピントルベルトは、ゴム又はPTFEで被覆されたガラスファイバー材料など、任意の従来のベルト基材から作ることができる。一実施形態では、ピントルは、ベルトの面に対して直交するベルト基材に取り付けられるか又は成型される。ピントルは、ゴム又は金属など、任意の基材で作られてもよい。ピントルは、ベルト基材の表面の一部又は全体の上に位置付けられてもよい。ピントルは、任意の好適な距離、例えば100mm以下、又は50mm以下で、ただし好ましくは5mmから45mmの距離で、離隔されてもよい。ピントルベルトは、一実施形態では、45°から75°、例えば約60°の角度で使用されてもよい。
【0161】
繊維強化材料は、混合物から分離されると、貯蔵及び/又は搬送のために梱包され得る。
【0162】
一実施形態では、繊維強化材料は、回収容器に入れられる。
【実施例】
【0163】
<実施例1:規格化されたシートサンプルに対する水噴射の圧力>
繊維摩擦層(未硬化ゴム+ナイロン繊維ファイバー)のサンプル、金属摩擦材料(未硬化ゴム+鋼)のサンプル、及び未硬化タイヤ複合材料(未硬化ゴム+ナイロン繊維ファイバー+鋼)のサンプルを提供した。
【0164】
それぞれ、シートの形態で提供するか、又はシート状に切断した。
【0165】
シートを次に、重りを力として金属板に加えることによって圧迫して、規格化された厚さを得た。実施例は、シートの各サンプルの、30mmから100mmの厚さ範囲を試験した。
【0166】
次に、規格化されたシートそれぞれに、既定のノズル及び圧力構成を使用して、上面及び下面の両方にわたって加圧水による噴射を行った。
【0167】
いくつかの試験では、水噴射の前に基材を予熱した。いくつかの試験では、噴射前に水を予熱した。
【0168】
詳細及び結果を以下の表に示す。
【0169】
【0170】
500barを超える圧力が使用された場合、補強材を損傷することなく未硬化ゴムを補強材からクリーンに分離することは可能ではなくなり、例えば繊維の崩壊が起こり、未硬化ゴムが繊維又は金属で汚染され、材料が再使用することのできる形態ではないことが分かる。
【0171】
対照的に、500bar以下の圧力が使用された場合、容易に除去することができる顆粒が形成されて、ゴムを補強材からクリーンに除去することができ、補強材は損傷がなく再使用可能なままであることが見出された。30mmから100mmの範囲にわたる規格化されたシート厚さについて、結果は良好であった。
【0172】
したがって、本発明の利益は、未硬化ゴムの回収が再使用可能な形態で可能になり、この未硬化ゴムが、バージン材として再合成できるようなクリーンな品質のものであるという点である。
【0173】
バージン原料の要件が低減され、炭素排出量及び天然資源消費など、関連する環境への影響が低減されることが、「環境保護の」観点から有利である。
【0174】
本発明のプロセスはまた、有益には、金属及び繊維の強化材料の両方を損傷がない形態で分離し回収することを可能にして、これらの構成材料を再使用することができる。
【0175】
<実施例2:噴射の距離及び角度>
本発明に従って規格化された、様々な金属及び繊維の摩擦シートを提供し、金属ワイヤメッシュコンベヤ上に配置した。コンベヤは、長さ88cmであり、直径5mmのワイヤから、10mmの三角形の開口部を示すリンクされた幾何学形状に作られた。
【0176】
ウォータージェットランスを固定ブラケットによって把持して、ノズルを基材に対して移動させることを可能にした。次に、直径8mmの内部振動ウォータージェットノズルを使用して、ゴムを複合生成物の規格化されたシートから剥離した。
【0177】
使用した水噴射ユニットは、最大圧力500bar及び最高温度95℃の、圧力及び温度可変のユニットであった。水の最大流量は、30L/分であった。
【0178】
ランス、及び内部振動を有する8mmのウォータージェットノズルを、材料に対して様々な距離及び角度で位置付けた。
【0179】
15mmから200mmの範囲の距離を使用して、未硬化ゴムを除去した。結果は、広範囲の未硬化ゴムがうまく除去されることを担保する基材からの最適距離が、約40mmから100mm、特に約60mmから80mmであることを示した。対照的に、ランスを基材から更に離して、例えば約200mmの距離に移動させると、保持しているメッシュコンベヤがフローを偏向させた。
【0180】
結果は、ある範囲の角度をうまく使用できることを示した。結果は特に、未硬化ゴムが広範囲からうまく除去されることを担保する有益な角度が、62°から90°、特に70°から88°であることを示した。
【0181】
<実施例3:ゴムの乾燥条件例>
本発明に従って繊維摩擦材料から分離した、2つのゴムサンプルを取得した。ゴムサンプルは、(i)空気循環乾燥オーブンを使用して、また(ii)回転乾燥機内で乾燥させた。温度は、接点Kタイプの熱電対を使用して測定した。
【0182】
乾燥オーブン:重量101.2gのサンプルを乾燥オーブンに入れた。乾燥器のセットポイントは、80℃に設定した。1時間36分後にサンプルの重量減少が安定し、サンプルは重量67.4gであることが見出された。水噴射と関連付けられた水分量は、33.4%であることが見出された。ゴムの最終温度は、72.3℃であることが見出された。
【0183】
回転乾燥機:重量235.6gのサンプルを回転乾燥機に入れた。乾燥器の温度は、80℃に設定した。16分後に安定したゴムの重量減少は67.1gであることが見出され、水分量は28.48%であることが見出された。ゴムの最終温度は、65℃であることが見出された。
【国際調査報告】