(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】土壌中の植物、有害生物、および雑草の集団を制御するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A01M 17/00 20060101AFI20241219BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A01M17/00 A
A01M21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536175
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2022086453
(87)【国際公開番号】W WO2023111312
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227309
【氏名又は名称】ソイル・スティーム・インターナショナル・アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・アルノルデューセン
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA19
2B121DA18
2B121EA26
2B121FA16
(57)【要約】
本発明は植物制御および農業技術に関する。より具体的には、凍土中に見つかる侵略的外来植物、生きている有害生物、または雑草を減少させるかまたは排除する方法およびデバイスに関し、該方法および該デバイスは、約915MHzから約24GHzまでの周波数を有するマイクロ波照射を発生させるのに適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍土中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させる方法であって、
a. マイクロ波照射を発生させるのに適しているデバイスを設けるステップと、
b. 前記侵略的外来植物、前記有害生物、前記雑草および/または前記草を含む凍土に照射するステップと、
を含み、
前記凍土の温度が0℃よりも低く、前記マイクロ波照射は、約1Ghzから約10Ghzまでなどの、約915MHzから約24GHzまでの範囲内である、方法。
【請求項2】
前記デバイスは、マグネトロン、ソリッドステートマイクロ波発振器、または高周波(RF)発生器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイスはマグネトロンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記侵略的外来植物、前記有害生物、前記雑草および/または前記草を少なくとも約30%減少させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイスによって生み出される効果が約1kWから約300kWまでである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有害生物は、前記侵略的外来植物、菌類、真菌胞子、線虫、線虫卵、およびそれらの任意の組合せから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記雑草には雑草種子および雑草の根が含まれ、前記侵略的外来植物には前記植物の種子および根が含まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロ波照射は少なくとも10cm地中へ侵入する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスは、約20メートル/時から約20km/時の速度で、土壌の上で移動させられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイスによって生み出される効果が前記デバイスの前記速度によって変動する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記方法における使用に適したマイクロ波発振デバイスであって、約915MHzから約24GHzまでの範囲内でマイクロ波照射を発生させる、マイクロ波発振デバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、マグネトロン、ソリッドステートマイクロ波発振器、または高周波(RF)発生器を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスの構成要素が、0℃よりも低い気温で、好ましくは約0℃から約-25℃までの前記気温で動作することができる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記方法における使用に適したシステムであって、少なくとも1つのマイクロ波発振デバイスを含み、前記デバイスは、約915MHzから約24GHzまでの範囲内でマイクロ波照射を発生させる、システム。
【請求項15】
凍土中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのマイクロ波発振デバイスの使用であって、前記凍土の温度が0℃よりも低く、マイクロ波照射が約915MHzから約24GHzまでの範囲内である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物制御および農業技術に関し、より具体的には、土壌中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、または雑草を減少させる方法に関し、該方法は、侵略的外来植物、有害生物、および雑草の、凍土中で生き残る能力に作用することを目標とするマイクロ波照射の使用を含む。
【背景技術】
【0002】
人口増加が世界の食料生産の増大を求めている。この目標を達成するために、農業従事者は土壌中の有害生物を制御しなければならない。
【0003】
雑草が栄養を求めて野菜と競合し、有害生物が農作物を売れなくする可能性があり、黴および菌類が貯蔵時間を短縮させ、食品廃棄物をもたらす。さらに、ある雑草および線虫などの侵略的外来種が作物の損失の主な原因であり、食料安全保障に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
農業用殺虫剤が、収量の向上および廃棄物の削減において有用であると証明しているが、それらは重大な健康被害および環境危険をもたらす。殺虫剤は土壌の最上層のみを処理しかつ雑草種子を殺さないので、高濃度での反復散布が必要とされることが多い。経時的に、雑草、有害生物、および病原菌が殺虫剤耐性を達成する可能性がある。
【0005】
生息地の構造を変える、栄養および生活圏を求める競合により、当該場所に自然に認められる植物を移動させるなど、様々な方法で地域の自然に損害を与える可能性がある侵略的外来植物の広がりを制御することの深刻化する問題も存在する。また、該侵略的外来植物は、領域内に自然に認められる植物と異種交配する可能性があり、寄生生物および病気を有する可能性がある。
【0006】
蒸気を使用する土壌の処理が病原菌を減少させるかまたは除去することができることが示されているが、蒸気の使用は重く大きい機械の使用を必要とし、土壌の殺菌という結果になることが多い。
【0007】
土壌が非常に湿っている場合、蒸気があまり有用でなく、蒸気処理はたくさんの水とエネルギーを必要とし、したがってこの技術を環境に優しくないものにする。
【0008】
菌類、病原体、雑草種子、および雑草の根を減少させるかまたは破壊するための、非凍土のマイクロ波照射が知られている。(特許文献1、特許文献2、および非特許文献1)。
【0009】
非凍土のマイクロ波処理を含む方法が、土壌の温度と地中へのマイクロ波の侵入深さの両方に影響を及ぼす、水分子内での照射の減衰に基づく。
【0010】
土壌中の水分子内でのマイクロ波照射の減衰に因り、該マイクロ波照射は2cm~3cm地中に侵入することができるだけであり、したがって本方法を効果的でなくする。
【0011】
さらに、水分子内でのマイクロ波の減衰は、アンテナに近接する温度を上昇させ、土壌を沸騰させる融解温度まで、土壌中の蒸気を加熱するという結果になる。土壌の該沸騰温度は殺菌によって有害生物を排除する。
【0012】
土壌の殺菌によって、硝化菌および他の有益な微生物も影響を及ぼされる。土壌の加熱の欠点は、それが土柱全体に作用し、殆どの種を除去することである。したがって、本方法は、失われた有益な微生物の植菌によって土壌生物学を構築するために、以後に慎重なプロセスを必要とする。
【0013】
したがって、農業における植物、有害生物、および雑草の制御、ならびに庭園、公園、小さい局所的森領域、および沿道などの他の屋外緑地のための、さらに効果的で環境に優しい方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第3629724号明細書
【特許文献2】米国特許第1025870号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Brodie, G.ら、Microwave soil treatment and plant growth、IntechOpen、2019年10月24日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、その目的として、植物、有害生物、雑草および/または草が凍土中で生き残る能力に作用する方法を提供することによって、現在の植物、有害生物、および雑草の制御方法の欠点の1つまたは複数を克服することを有する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
詳細には、発明者は、驚くべきことに、植物、有害生物、雑草および/または草を含む凍土のマイクロ波照射によって、該植物、該有害生物、該雑草および/または該草の集団を減少させる方法を設計することができており、該マイクロ波照射によって、凍土を解かすことなく植物、有害生物、雑草および/または草を加熱することによって、選択的に標的にする。本発明は、該方法における使用に適したデバイスも含む。
【0018】
本発明の発明者は、侵略的外来植物、有害生物、または雑草および/または草を減少させる方法であって、
a. マイクロ波照射を発生させるのに適しているデバイスを設けるステップと、
b. 該侵略的外来植物、該有害生物、該雑草および/または該草を含む凍土に照射するステップと、
を含み、
該凍土の温度が0°よりも低く、該マイクロ波照射は、例えば約1.5Ghzから約5Ghzまでなどの、または約1Ghzから約10Ghzまでなどの、約915MHzから約24GHzまでの範囲内である、方法を、第1の態様において提供することによって、前述のニーズを解決している。
【0019】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約1.0GHzから約10GHzまでの範囲内である。
【0020】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約1.5GHzから約5GHzまでの範囲内である。
【0021】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約915MHzの周波数を有する。
【0022】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約2.45GHzの周波数を有する。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約5.8GHzの周波数を有する。
【0024】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は約24.125GHzの周波数を有する。
【0025】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、マグネトロン、ソリッドステートマイクロ波発振器、または高周波(RF)発生器を含む。
【0026】
第1の態様の一実施形態では、デバイスによって生み出される効果は約1kWから約300kWまでである。
【0027】
第1の態様の一実施形態では、デバイスによって生み出される効果は、約3kWなどの、約1kWから約20kWまでである。
【0028】
第1の態様の一実施形態では、デバイスによって生み出される効果は、例えば約1kWから約10kWまでなどの、約10kWから約50kWまでなどの、約50kWから約100kWまでなどの、約10kWから約150kWまでなどの、約150kWから約200kWまでなどの、約200kWから約250kWまでなどの、または約250kWから約300kWまでなどの、約1kWから約300kWまでである。
【0029】
第1の態様の一実施形態では、デバイスはマグネトロンを含む。
【0030】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは導波管とホーンアンテナとをさらに含む。
【0031】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、0℃よりも低い気温で動作することができる構成要素、好ましくは約-10℃から約-20℃までの気温で動作することができる構成要素を含み、該デバイスの該構成要素は、高圧変換器22と、メンブレン用低圧変換器(low voltage transformer for membrane)23と、コンデンサ24と、ダイオード25と、マグネトロン26と、導波管27とを含む。
【0032】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、0℃よりも低い気温で動作することができる構成要素、好ましくは約-10℃から約-20℃までの気温で動作することができる構成要素を含み、該デバイスの該構成要素は、高圧変換器22と、メンブレン用低圧変換器23と、コンデンサ24と、ダイオード25と、マグネトロン26と、導波管27と、ホーンアンテナ28とを含む。
【0033】
第1の態様の一実施形態では、本方法は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草を少なくとも約30%減少させる。
【0034】
第1の態様の一実施形態では、本方法は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草を少なくとも約50%減少させる。
【0035】
第1の態様の一実施形態では、本方法は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草を少なくとも約80%減少させる。
【0036】
第1の態様の一実施形態では、本方法は土壌を殺菌しない。
【0037】
第1の態様の一実施形態では、本方法は土壌を解凍しない。
【0038】
第1の態様の一実施形態では、有害生物は、菌類、真菌胞子、線虫、線虫卵、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0039】
第1の態様の一実施形態では、有害生物は菌類である。
【0040】
第1の態様の一実施形態では、有害生物は真菌胞子である。
【0041】
第1の態様の一実施形態では、有害生物は線虫である。
【0042】
第1の態様の一実施形態では、有害生物は線虫卵である。
【0043】
第1の態様の一実施形態では、雑草は雑草種子および雑草の根を含む。
【0044】
第1の態様の一実施形態では、雑草は雑草種子である。
【0045】
第1の態様の一実施形態では、雑草は雑草の根である。
【0046】
第1の態様の一実施形態では、侵略的外来植物は該侵略的外来植物の根または種子である。
【0047】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は少なくとも10cm地中へ侵入する。
【0048】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は少なくとも20cm地中へ侵入する。
【0049】
第1の態様の一実施形態では、マイクロ波照射は少なくとも30cm地中へ侵入する。
【0050】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、約20メートル/時から約20km/時までの速度で、土壌の上で移動させられる。
【0051】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、例えば約20メートル/時から約50m/時までなどの、約50メートル/時から約100m/時などの、約100メートル/時から約500m/時までなどの、約500メートル/時から約1km/時までなどの、約1km/時から約5km/時までなどの、約5km/時から約10km/時までなどの、または約10km/時から約20km/時までなどの、約30メートル/時から約20km/時までの速度で、土壌の上で移動させられる。
【0052】
第1の態様の一実施形態では、デバイスによって生み出される効果が該デバイスの速度に応じて変動する。
【0053】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは凍土と直接接触している。
【0054】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは凍土と直接接触していない。
【0055】
第2の態様において、本発明は、デバイスが約915MHzから約24GHzまでの範囲内でマイクロ波照射を発生させるのに適している、第1の態様による本発明における使用に適したマイクロ波発振デバイスを提供する。
【0056】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは、約1.0GHzから約10GHzまでの範囲内で、マイクロ波照射を発生させるのに適している。
【0057】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは、約1.5GHzから約5GHzまでの範囲内で、マイクロ波照射を発生させるのに適している。
【0058】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは、マグネトロン、ソリッドステートマイクロ波発振器、または高周波(RF)発生器を含む。
【0059】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは導波管とホーンアンテナとをさらに含む。
【0060】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスはマグネトロンを含む。
【0061】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは
図1aに示されているデバイスである。
【0062】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは
図1bに示されているデバイスである。
【0063】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、マイクロ波発振デバイスは、高圧変換器と、メンブレン用低圧変換器と、コンデンサと、ダイオードと、マグネトロンと、導波管と、冷却流体を含む冷却ユニットとを含む。
【0064】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、デバイスは、高圧変換器と、メンブレン用低圧変換器と、コンデンサと、ダイオードと、マグネトロンと、導波管と、ホーンアンテナとを含む。
【0065】
第2の態様の一実施形態では、デバイスは、土壌によって反射したマイクロ波照射を吸収するための大きい水槽を含まない。
【0066】
第1の態様または第2の態様の一実施形態では、デバイスは、例えば約-2℃以下などの、または約0℃から約-25℃までなどの、0℃よりも低い気温で動作している該デバイスを冷却するために特定の寸法に作られている冷却ユニットを含む。
【0067】
第2の態様の一実施形態では、デバイスは、土壌によって反射したマイクロ波照射から該デバイスを保護するシールドを含まない。
【0068】
一実施形態では、デバイスはそり上に取り付けられている。
【0069】
一実施形態では、そりは、導波管またはアンテナの下の領域内に穴部を含み、ホーンアンテナまたは導波管から土壌へのマイクロ波の自由な経路を可能にする。
【0070】
第3の態様では、本発明は、少なくとも1つのデバイスを含む、第1の態様による本方法における使用に適したシステムを提供する。
【0071】
第3の態様の一実施形態では、システムは、複数のデバイスが下に取り付けられているフレームまたはプラットホームを含む。
【0072】
第3の態様の一実施形態では、システムは、冷却ユニットと発電機とをさらに含むフレームまたはプラットホームを含む。
【0073】
デバイスまたはシステムの一実施形態では、システムは、土壌と直接接触して該土壌の上で移動させられるように用意されている。
【0074】
一実施形態では、デバイスまたはシステムは土壌の上で移動させられるように用意されており、該デバイスは、約5cmから約20cmまでなどの、土壌の最上部のせいぜい20cmの上方に配置されている。
【0075】
一実施形態では、デバイスまたはシステムは推進デバイスをさらに含む。
【0076】
一実施形態では、デバイスまたはシステムはそり上に取り付けられている。
【0077】
一実施形態では、デバイスまたはシステムは、トラクターなどの車両によって引かれる。
【0078】
第4の態様では、本発明は、凍土中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのマイクロ波発振デバイスの使用を提供しており、凍土の温度は0℃よりも低く、マイクロ波照射は約915MHzから約24GHzまでの範囲内である。
【0079】
第4の態様の一実施形態では、本発明は、凍土中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのマイクロ波発振デバイスの使用を提供しており、凍土の温度は0℃よりも低く、マイクロ波照射は約1.0GHzから約10GHzまでの範囲内である。
【0080】
第4の態様の一実施形態では、本発明は、凍土中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのマイクロ波発振デバイスの使用を提供しており、凍土の温度は0℃よりも低く、マイクロ波照射は約1.5GHzから約5GHzまでの範囲内である。
【0081】
第4の態様の一実施形態では、マイクロ波照射の使用は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を少なくとも約30%減少させる。
【0082】
第4の態様の一実施形態では、マイクロ波照射の使用は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を少なくとも約50%減少させる。
【0083】
第4の態様の一実施形態では、マイクロ波照射の使用は、侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を少なくとも約80%減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1a】凍土中の侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのデバイス(デバイス1)の一実施形態の図であり、該デバイスは、高圧変換器2と、メンブレン用低圧変換器3と、コンデンサ4と、ダイオード5と、マグネトロン6と、導波管7と、冷却流体を含む冷却ユニット8とを含む、図である。該デバイス1は、例示目的のためだけに、そり10上に配置されている。デバイスが取り付けられている該そりは、凍土の最上部上で、ある速度で移動させられる。デバイスは、あるいは、推進デバイスを含み得る。
【表1】
【
図1b】凍土中の侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのデバイス(デバイス21)の一実施形態の図であり、デバイス21は、高圧変換器22と、メンブレン用低圧変換器23と、コンデンサ24と、ダイオード25と、マグネトロン26と、導波管ランチャ27と、ホーンアンテナ28とを含む、図である。該デバイスは、例示目的のためだけに、そり20上に配置されている。デバイスが取り付けられている該そりは、凍土の最上部上で、ある速度で移動させられる。デバイスは、あるいは、推進デバイスを含み得る。
【表2】
【
図1c】7つのデバイス21を含むシステムの例の図である。該デバイスはそり上に取り付けられており、該システムは上方から見られている。デバイスは、トラクターによって引かれるフレームまたはプラットホームに取り付けられている(
図1d参照)。
【
図1d】3つのデバイス21を含むシステムの例の図である。該デバイスはそり上に取り付けられている。デバイス21、発電機30、冷却システム(例えばラジエータ)29、プラットホームまたはフレーム31、凍土/氷/雪19。該システムはトラクターによって引かれ得る。
【
図2a】非凍土のマイクロ波照射の図である。曲線は、様々な物体および周辺地盤の温度変化を示す。マグネトロンに1672秒から1679秒まで(合計7秒)電力を供給した。
【表3】
【
図2b】凍土のマイクロ波照射の図である。曲線は、様々な物体および周辺地盤の温度変化を示す。マグネトロンに21秒~42秒(合計19秒)電力を供給した。7秒後、28秒時点で、非凍土試験から大きい変化を観察した。
【表4】
【
図3】凍土のマイクロ波照射の図である。曲線は、10cm深さに埋められた小堆肥塊の温度変化を示す。マグネトロンの電源を15秒~57秒(合計42秒)オンにした。堆肥サンプルを同様の比較参照サンプルを参照して分析した。
【
図4】サンプルを土柱の上部15cmまたはさらに下の15cm~30cmのどちらかから取った、冬の間に土壌のマイクロ波処理をしない(比較参照)、かつマイクロ波照射によって処理された(処理済み)、土壌の100ml当たりのネコブセンチュウ(Meloidogyne Hapla (M. Hapla))の数を測定する土壌サンプルからの結果の図である。該M. Hapla線虫は、主に、土柱の上部15cm内で見つけられる。Y軸は土壌の100ml当たりのM. Haplaの数を表す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
次の説明において、本発明の様々な実施例、および実施形態が、当業者に本発明のより多くの完全な理解をもたらすために記載されている。様々な実施形態の文脈において添付の図面を参照して説明されている具体的詳細は、限定と見なされることを意図していない。
【0086】
数値限定または範囲が言明されている場合、その限界点は含まれる。また、数値限定または範囲の範囲内の全値および下位範囲は、まるで明示的に全て書き出されているかのように明確に含まれる。
【0087】
前述のように、本発明の発明者は、驚くべきことに、土壌中に見つかる侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草を減少させる方法であって、前記方法は凍土に適用され、すなわち土壌の温度が0℃よりも低く、前記方法は、
a. マイクロ波照射を発生させるのに適しているデバイスを設けるステップと、
b. 凍土に照射するステップと、
を含み、
該マイクロ波照射は、例えば約1.5Ghzから約5Ghzまでなどの、または約1Ghzから約10Ghzまでなどの、約915MHzから約24GHzまでの周波数を有する、方法を見出している。
【0088】
マイクロ波照射は約915MHzの周波数を有し得る。あるいは、マイクロ波照射は約2.45GHzの周波数を有し得る。あるいは、マイクロ波照射は約5.8GHzの周波数を有し得る。あるいは、マイクロ波照射は約24.125GHzの周波数を有し得る。
【0089】
凍土上で実施される本方法は、非凍土上で実施される同一の方法と比較して、次のような多くの利点を有する:
- 土壌の全体加熱が凍土中の有害生物を直接標的にするよりも有害生物を破壊する非凍土の完全な加熱よりも、土壌中に生息する有害生物に対する選択的なより高い加熱効果。
- 土壌を沸騰させるかまたは加熱することなく、照射は土壌を完全に殺菌せず、したがって、土壌中の有益な微生物の破壊を防止する。したがって、土壌を殺菌する方法と比較して、本方法をより穏やかにかつ環境に優しくする。
- 非凍土と比較して凍土中でのマイクロ波のより小さい減衰に因り、非凍土上で使用される方法と比較して、より高い周波数の使用を可能にする。より高い周波数の照射は、破壊しにくい侵略的外来植物、有害生物、および/または雑草を破壊するのにより効果的である。
- 非凍土と比較して、凍土中でのマイクロ波の減弱した減衰がより少ないエネルギーを必要としかつマグネトロンを冷却するための大ユニットの必要性を未然に防ぐ方法をこのように提供することに関して、より小さい影響が必要であるという利点も有する。
- より深い深さの侵入。非凍土と比較して、ISMバンド915Mhz、2.45Ghz、5.8Ghz、および24Ghzの周波数に対する影響。
- 空気から土壌へのマイクロ波の反射の減少、エネルギー消費の減少。
- したがって、本発明は、より小さく、より軽く、安価であり、かつ0℃よりも低い温度で、好ましくは-2℃よりも低い温度で、より好ましくは約0℃から約-25℃までの温度で動作することができる、デバイスおよびシステムを提供している。0℃よりも低い気温で動作するデバイスは、0℃よりも低い温度で耐えることができかつ動作することができるデバイスの構成要素を活用しなければならない。
【0090】
定義:
土壌は、任意の組合せで有機残留物、粘土、岩石粒子、および水を含む、植物が育つ地球の上層によって定義される。
【0091】
凍土は、土質材料の温度が0℃よりも低くかつ土壌の水分子が氷晶状である土壌と定義される。
【0092】
有害生物は、農作物または家畜に損傷を与えかつ線虫、線虫卵、菌類、および真菌胞子、ならびにそれらの任意の組合せを含む任意の動物または菌類と定義される。
【0093】
雑草は、雑草種子および雑草の根を含むと定義される。
【0094】
植物、好ましくは侵略的外来植物は、これらの植物の根および種子を含むと定義される。該侵略的外来植物は、ある領域内に自然に見つからず、該領域内に自然に見つかる植物を移動させ、現地の植物と同系交配し、かつそれらは自体に寄生虫および疾病を保有している可能性があることによって、該領域内の自然に有害な植物である。
【0095】
「ようになされている」かつ「ように構成されている」は、特定の用途用のデバイスの設計および構成要素、目的、または状態などの、本発明の文脈において同じ意味を有する。
【0096】
冬の間、侵略的外来植物からの根および種子、菌類、線虫、ならびに雑草の根等が、該冬を生き残るために、低代謝の状態になる。有害生物および雑草は水分子を含有する。冬の間生き残るために、土壌が凍結すると、該有害生物は凍結たんぱく質、アルコール、糖含量、部分的脱水を発現させること; 空洞部(空気)、有機物内に住処を探し求めること; 自体を粘液等で保護することによって生き残る。植物は冬に備えて秋にプロセスを進展させている。
【0097】
冬の間、土壌が凍結すると、土壌中の水分子が氷晶を形成する。土壌構造は変化を遂げ、土壌の最上層は乾燥する可能性があり、下方土壌構造は氷の形成に因り、拡張する。
【0098】
水中の誘電損失は氷と比較してより高く、100MHz~1THzであり、それは22GHzでピークに達し、それは水の最低共振周波数である。0℃での水の誘電体誘電率は、それが0℃で100GHzで10まで徐々に低下する前、100MHzよりも低い周波数で98である。
【0099】
比較すると、氷は当該領域内で8kHz~300kHzの誘電損失を有し、当該領域内で約200kHzの共振周波数を有する。氷の誘電体誘電率は8kHzよりも低い周波数で92であり、0℃で約300kHzで3.2まで徐々に低下する。
【0100】
凍土中では水の殆どが氷晶状であることに因り、このことは、土壌中のより小さい減衰でより高い周波数の使用に広がり、300kHz~(上向きに)20GHzの周波数に関してより少ないエネルギー損失およびより深い深さ侵入をもたらす。
【0101】
誘電体誘電率は氷で3.2であるので、空気の誘電体誘電率は1であり、差は非凍土の場合より小さく、空気と凍土との間の電磁反射を減少させる。これは凍土中の空気間隙内でより少ない反射および吸収を引き起こし、表面の上方から電磁場を照射した場合、より少ない反射すなわち空気から土壌への反射を引き起こす。
【0102】
これは、より小さい減衰で凍土中のより深い侵入深さに到達することを可能にし、それにより、非凍土の照射による有害生物の破壊と比較して、地中より深くで、菌類、真菌胞子、線虫、雑草の根および雑草種子、侵略的外来植物からの根および種子を減少させ、排除する。
【0103】
前述のように、高周波マイクロ波照射が、反射および吸収を増大させる、土壌中に構成されている水の中での該マイクロ波の減衰に因り、土壌中に深く侵入しない。
【0104】
氷はkHz範囲内でより低い共振周波数を有する。したがって、凍土は同程度まで作用されないであろう。侵入深さは、周波数に応じて、少なくとも30cmまで測定される。
【0105】
さらに、実験的検査(
図2bおよび実施例1参照)が、凍土が、冬の間土壌中に生きている有害生物および雑草と比較して、よりゆっくり解けることを示す。
【0106】
対照的に、非凍土上で実施される同一の実験的検査(
図2a)は、土壌と物体または土壌中の生きている有害生物の両方が、マイクロ波を同程度まで吸収し、したがって土壌中に見つかる有害生物を標的にするために、該プロセスをより選択的でなくすることを示す。土壌および生きている有害生物の加熱はよりゆっくりであり、大幅な減衰の理由で、高周波マイクロ波の使用を妨げる。
【0107】
前段で説明されているように、微生物および植物が、自体の細胞内含水量が凍結して氷晶を形成することを防止する様々なメカニズムを発達させており、したがって、マイクロ波の減衰によって、それらを内部加熱に対して弱くする(
図3、実施例2参照)。
【0108】
また、本発明は、第1の態様による本方法における使用のために構成されているデバイス1、21を提供しており(
図1aおよび
図1b参照)、該デバイスは、例えば約1.0GHzから約10GHzまでなどの、または約1.5GHzから約5GHzまでなどの、約915MHzから約24GHzまでの範囲内で、マイクロ波照射を発生させるために構成されている。該マイクロ波照射は約915MHzの周波数を有し得る。
【0109】
あるいは、デバイスによって発生させられるマイクロ波照射は約2.45GHzの周波数を有し得る。あるいは、デバイスによって発生させられるマイクロ波照射は約5.8GHzの周波数を有し得る。あるいは、デバイスによって発生させられるマイクロ波照射は約24.125GHzの周波数を有し得る。
【0110】
デバイスによって生み出される効果は、例えば約3kWなどの、約1kWから約10kWまでなどの、約10kWから約50kWまでなどの、約50kWから約100kWまでなどの、約10kWから約150kWまでなどの、約150kWから約200kWまでなどの、約200kWから約250kWまでなどの、または約250kWから約300kWまでなどの、約1kWから約20kWまでであり得る。
【0111】
凍土中の侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるための本発明によるデバイス1は、高圧変換器2と、メンブレン用低圧変換器3と、コンデンサ4と、ダイオード5と、マグネトロン6と、導波管7と、冷却流体を含む冷却ユニット8とを含む。
【0112】
凍土中の侵略的外来植物、有害生物、雑草および/または草の集団を減少させるためのデバイス21は、高圧変換器22と、メンブレン用低圧変換器23と、コンデンサ24と、ダイオード25と、マグネトロン(3kW)と、導波管(例えばWR340)27と、ホーンアンテナ28とを含む。
【0113】
デバイスは、例示目的のためだけに、そり10、20上に配置されている(
図1a~
図1d)。デバイスが取り付けられている該そりは、凍土の最上部上で、ある速度で移動させられる。デバイスは、あるいは、推進デバイスを含み得る。
【0114】
デバイスは0℃よりも低い温度のために構成されており、したがって冷却ユニット8、29(例えばラジエータ)の寸法は、0℃よりも高い温度で動作するデバイス上の冷却ユニットと比較して、大幅に縮小されている。前述の通りのため、0℃よりも低い温度で、土壌中でのマイクロ波の減衰は大幅に小さくなり、したがって、大冷却ユニットの必要が求められない。
【0115】
システムはフレームまたはプラットホームを含んでいてもよく、複数のデバイス1、21が該フレームまたは該プラットホームの下に取り付けられている(
図1d参照)。
【0116】
冷却ユニット(システム)8、29はデバイス1、21の一部であってもよく、または該冷却ユニット(システム)はフレームまたはプラットホーム31上に取り付けられていてもよく、複数のデバイスが該フレームまたは該プラットホーム31の下に取り付けられており、該冷却ユニットは該複数のデバイスに冷却をもたらす。
【0117】
そり10、20は、導波管7またはアンテナ28の下の領域内に穴部(図示せず)を有していてもよく、ホーンアンテナまたは導波管から土壌へのマイクロ波の自由な経路を可能にする。
【0118】
本発明は、1列に接続されている複数のデバイスなどの、前述のような少なくとも1つのデバイス1、21を含むシステムを提供し得る。
【0119】
デバイスまたはシステムは推進デバイスを含み得る。
【0120】
デバイスまたはシステムは、トラクターなどの車両によって引かれ得るそり上に取り付けられ得る。
【0121】
デバイスは、約20メートル/時から約20km/時の速度で、土壌の上で移動させられ得る。
【0122】
第1の態様の一実施形態では、デバイスは、例えば約20メートル/時から約50m/時までなどの、約50メートル/時から約100m/時までなどの、約100メートル/時から約500m/時までなどの、約500メートル/時から約1km/時までなどの、約1km/時から約5km/時までなどの、約5km/時から約10km/時までなどの、または約10km/時から約20km/時までなどの、約30メートル/時から約20km/時までの速度で、土壌の上で移動させられる。
【0123】
デバイスによって生み出される効果が、該デバイスの速度に応じて変動し得る。
【0124】
デバイスは凍土と直接接触している可能性がある。あるいは、デバイスは該土壌と直接接触していない。
【0125】
本方法のさらなる利点が、凍土上での使用のために構成されているマイクロ波発振デバイス1、21が、製造するのに複雑でなく、より安価であることである。凍土は減衰を殆ど引き起こさず、該マイクロ波発振デバイスに向かって反射を殆ど返さない。このことは、デバイスが土壌に対してより近い領域内に配置されることを可能にし、したがって例えば、ホーンアンテナが処理のために凍土上に真っ直ぐに配置され得る。非凍土は近い領域内で大きい反射を引き起こし、マグネトロンにより大きい負荷を生じさせる。これは追加の波長調整、アンテナと土壌との間に空気を有すること、または大冷却ユニットまたはアイソレータ機器を使用することを必要とすると考えられる。
【0126】
凍土上での使用に適したデバイスまたはシステムがこれらの問題を解決し、該システムを単純化する。
【0127】
第2の実施形態では、システムおよびデバイスは
図1bによる。
【0128】
第2の実施形態では、デバイス21が凍土に極接近してまたは凍土と直接接触して配置されている。
【0129】
第2の実施形態によるシステムは少なくとも1つのデバイス21を含み得る。
【0130】
第2の実施形態によるシステムは、1つまたは複数の列に配置されている複数のデバイス21を含み得る(
図1c、
図1d参照)。
【0131】
第2の実施形態によるシステムは、次々と一直線に配置されている1つまたは複数のデバイス21を含み得る。
【0132】
一実施形態では、デバイス1またはデバイス21はマイクロ波パルスを生成するように構成され得る。連続マイクロ波を生成することよりもむしろ、パルスを生成することがエネルギーコストを大幅に削減し得る。
【0133】
本発明を全体的に説明したが、特定の実施例を参照することによって、さらなる理解が得られ得る。該実施例は本発明による本方法の特性および効果を示し、単なる例示目的でここに与えられており、限定することを意図していない。
【0134】
(実施例)
(実施例1)
実験を、0℃よりも低い温度の土壌中で実施した
試験装置: マグネトロンが、2450MHzの周波数および600Wの下降型の効果を有するマイクロ波を、凍土または非凍土のどちらかの中へ送達する。
【0135】
方法:
600W 2450MHzマグネトロン(半波長電力)を導波管に接続した。該導波管の出力部を、該土壌中の7cm、12cm、および18cmの深さの所に配置されている非凍結物体を含む土壌層の最上部上に取り付けた。熱電対(0.2mm直径、タイプT)を各物体内に配置し、基準熱電対を土壌中の該物体と同じ深さの所に配置した。
【0136】
非凍土および凍土上で、マイクロ波照射および物体の加熱を実施し、周辺地盤を測定した。
【0137】
試験の結果を
図2a(非凍土)および
図2b(凍土)に示しており、非凍土と土壌中に埋められた湿潤を含む非凍結物体とに関して観察された温度変化と比較して、凍土の温度にほんの僅かな変化があることを明確に実証している。したがって、凍土のマイクロ波照射が、周辺地盤を融解させることなく、土壌中の非凍結物体の温度を選択的に上昇させることを実証している。
【0138】
(実施例2)
実験を、堆肥を用いて、0℃よりも低い温度の土壌中で実施した
試験装置: マグネトロンが、2450MHzの周波数および600Wの下降型の効果を有するマイクロ波を、10cm深さの所に埋められた小さい菜園用堆肥の塊を有する凍土中へ送達する。
【0139】
方法:
600W 2450MHzマグネトロン(半波長電力)を導波管に接続した。導波管の出力部を、10cm深さの所に埋められた小堆肥塊を含む土壌層の最上部上に取り付けた。熱電対(0.2mm直径、タイプT)を該堆肥塊内に配置した。
【0140】
土壌を、計4日間、-4度の温度で下方へ凍結させ、2日目に試験を実施した。同じ土壌、同じ深さの所の同じ堆肥源を使用する第2の比較参照設定を、-4度で4日間、下方へ凍結させた。
【0141】
堆肥塊に照射しながら、マイクロ波照射を試験凍土上で数回実施した。
図3に示されているようないくつかの試験を実施し、一方、2日目に各試験間で堆肥を冷却して-4度に戻した。
【0142】
比較参照サンプルにおいて、照射を実施しなかった。
【0143】
4日目に、堆肥塊、および比較参照サンプルを、比較参照設定および試験設定の両方において、凍土から外へ取り除き、室温で解かした。サンプル中の生命を復活させるために、温暖な温度での十分な時間を与えた。サンプルを顕微鏡下で分析し、比較した。
【0144】
結果は、比較参照サンプルと比較して、試験サンプル中の線虫集団の少なくとも85%の減少を示した。細菌の生命は、両サンプルにおいて損傷を受けていなかった。
【0145】
土壌中の雑草の根、雑草種子、線虫、線虫卵、菌類、および真菌胞子、および他の有機体が、周囲の低温においても少量のエネルギーを生み出す生物学的過程を進化させており、環境が水の氷点下である、すなわち0℃よりも低い場合でも、それらが死ぬことを防止する。
【0146】
前述の実験は、マイクロ波照射が、土壌中の生きた線虫を選択的に標的にして、それらの凍土中で生き残る能力に作用することを明確に実証している。
【0147】
(実施例3)
ネコブセンチュウ(Meloidogyne Hapla)に関する現場試験
大きい均一なネコブセンチュウ(M. Hapla)線虫集団が存在する農業現場に関して、試験を実施した。該土壌を、ノルウェーの冬季気象条件下で、30cm以上まで凍結させた。
【0148】
試験スクエア(square)を、試験領域の上でデバイスを移動させることによって処理した。春の間に農業従事者が自身の現場を耕そうとしていた直前、土壌サンプルを該スクエアから採取した。比較参照スクエアは冬季の間に処理されていなかった。処理されたスクエアを、マイクロ波発振デバイスの平均速度で(25m/hで)処理した。
【0149】
現場試験からの結果は
図4に示されている。該結果は、土柱を解かさない条件で凍土内へ2.45Ghzの電磁放射を供給するマイクロ波発振デバイスを使用することは、該土柱の上部15cmと土壌の最上部から15cm~30cmなどのさらに下方の両方で、ネコブセンチュウ集団を大幅に減少させることを明確に実証している。
【符号の説明】
【0150】
1、21 デバイス
2、22 高圧変換器
3、23 メンブレン用低圧変換器
4、24 コンデンサ
5、25 ダイオード
6 マグネトロン
7 導波管
8 冷却流体を含む冷却ユニット/システム
9 凍土
10、20 そり
19 凍土、氷、雪
27 導波管、導波管ランチャ
28 ホーンアンテナ
29 冷却ユニット/システム
30 発電機
31 フレーム、プラットホーム
【国際調査報告】