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特表2024-546999IL-10を含む二重サイトカイン融合物およびがんを処置するための養子細胞療法または二重特異性T細胞エンゲージャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】IL-10を含む二重サイトカイン融合物およびがんを処置するための養子細胞療法または二重特異性T細胞エンゲージャー
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241219BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20241219BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K9/08
A61K35/17
A61P35/02
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C07K19/00
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536179
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022081862
(87)【国際公開番号】W WO2023115033
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,521
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524225730
【氏名又は名称】デカ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マム, ジョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA11
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC27
4C076FF11
4C085AA13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、がんまたは腫瘍を処置する方法であって、養子細胞療法または二重特異性T細胞エンゲージャーと組み合わせて、一本鎖可変断片足場システムおよび第2のサイトカインに融合されたIL-10またはIL-10バリアント分子を含む、二重サイトカイン融合タンパク質組成物、その医薬組成物、および/または製剤を投与することを含み、第2のサイトカインが、scFvのヒンジ領域において連結されている、方法に関する。本開示は、バイオテクノロジーの分野、より具体的には、がんを処置するための従来の養子細胞療法(「ACT」)または二重特異性T細胞エンゲージャー(「BiTE」)療法と組み合わせる、インターロイキン-10(「IL-10」)およびインターロイキン-2(「IL-2」)を含むDiakinesと呼ばれる新規二重サイトカイン融合タンパク質の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんおよび/または腫瘍を有する患者を処置する方法であって、治療有効量の標的化ダイアキンおよびキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を発現する遺伝子改変免疫細胞を、それを必要とする患者に投与することを含み、
前記標的化ダイアキンが、IL10、IL2、および第1の腫瘍関連抗原(TAA)に対する特異性を有する第1の一本鎖可変断片(scFv)を含み、前記TAAが、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、B細胞突然変異抗原(BCMA)、C型レクチン様分子1(CLL01)、潜在膜タンパク質1(LMP-1)、シグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)、NY-ESO-1、膜貫通活性化因子およびCAML相互作用物質(TACI)、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、メソテリン、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、VEGFR2、メソテリン(MESO)、PSCA、PSAから選択され、
前記CAR T細胞が、第2のおよび異なるTAAに対する特異性を有する第2のscFvを含む、
方法。
【請求項2】
前記がんが、血液がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液がんが、リンパ腫または白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記血液がんが、B細胞急性リンパ球性白血病(B-ALL)、多発性骨髄腫(MM)、B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、T細胞急性リンパ芽球性白血病または非ホジキンリンパ腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記がんが、固形がんまたは腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固形がんが、神経芽細胞腫、小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、腎細胞癌、結腸がん、肺がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌、卵巣がん、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、白血病およびリンパ腫である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記IL10が、ヒトIL10、EBV IL10もしくはCMV IL10、またはその突然変異体もしくはバリアントであり、L2が、野生型IL2、またはそのバリアントもしくはムテインである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイアキンが、配列番号1、3、5または7のIL10を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイアキンおよび前記CAR T細胞が、別々の時に、前記患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記CAR T細胞が、前記患者への投与前に、ある量のダイアキンの存在下で、解凍されているか、および/または休ませられている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイアキンが、前記CAR T細胞の投与の1~3日前に、前記患者に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記ダイアキンおよび前記CAR T細胞が、前記患者に、同時に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイアキンが、前記CAR T細胞の投与の1~3日前に、前記患者に投与され、次いで、ダイアキンが、前記CAR T細胞の投与の1~3日後に、前記患者に再投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイアキンが、0.01~0.2mg/kgの範囲の用量濃度で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ダイアキンが、約0.0001~200ng/mLの血清または血漿濃度に達する用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ダイアキンが、皮下または静脈内に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記遺伝子改変細胞が、免疫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記遺伝子改変細胞が、CD8+、CD4+、またはその組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
CAR-T細胞をプライミングする方法であって、0.01~200ng/mLのダイアキンの存在下で、前記CAR-T細胞を接触させることを含む、方法。
【請求項20】
前記CAR-T細胞が、CD8+およびCD4+ T細胞の両方を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記CAR-Tが、それを必要とする患者への投与前の1~2日の期間、前記ダイアキンの存在下でプライミングされる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
がんおよび/または腫瘍を有する患者を処置する方法であって、治療有効量の標的化ダイアキンおよび二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)を、それを必要とする患者に投与することを含み、
前記標的化ダイアキンが、IL10、IL2、および第1の腫瘍関連抗原(TAA)に対する特異性を有する第1の一本鎖可変断片(scFv)を含み、前記TAAが、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、B細胞突然変異抗原(BCMA)、C型レクチン様分子1(CLL01)、潜在膜タンパク質1(LMP-1)、シグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)、NY-ESO-1、膜貫通活性化因子およびCAML相互作用物質(TACI)、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、メソテリン、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、VEGFR2、メソテリン(MESO)、PSCAまたはPSAから選択され、
前記BiTEが、少なくとも、CD3に対する第1の抗原結合特異性、および前記ダイアキンscFvのTAA結合特異性とは異なるTAAに対する第2の抗原結合特異性を含む、
方法。
【請求項23】
前記がんが、血液がんである、請求項24に記載の方法。
【請求項24】
前記血液がんが、リンパ腫または白血病である、請求項25に記載の方法。
【請求項25】
前記血液がんが、B細胞急性リンパ球性白血病(B-ALL)、多発性骨髄腫(MM)、B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、T細胞急性リンパ芽球性白血病または非ホジキンリンパ腫である、請求項25に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、固形がんまたは腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記固形がんが、神経芽細胞腫、小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、腎細胞癌、結腸がん、肺がん、黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌、卵巣がん、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、白血病およびリンパ腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項28】
前記IL10が、ヒトIL10、EBV IL10もしくはCMV IL10、またはそのバリアントおよび/またはムテインである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ダイアキンが、配列番号1、3、5または7のIL10を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記IL2が、ヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記IL2が、野生型IL2、またはそのバリアントもしくはそのムテインである、請求項32に記載の方法。
【請求項32】
前記ダイアキンおよび前記BiTEが、別々の時に、前記患者に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記ダイアキンが、前記BiTEの投与の1~3日前に、前記患者に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項34】
前記ダイアキンおよび前記BiTEが、前記患者に、同時に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項35】
前記ダイアキンが、前記BiTEの投与の1~3日前に、前記患者に投与され、次いで、前記ダイアキンが、前記BiTEの投与の1~3日後に、前記患者に再投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ダイアキンが、0.001~200mg/kgの範囲の用量濃度で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記ダイアキンが、約0.0001~200ng/mLの血清または血漿濃度に達する用量で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記ダイアキンが、皮下または静脈内に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
患者における腫瘍を処置する方法であって、式(I)
NH-(IL10)-(X)-(Z)-(X)-(IL10)-COOH(式I)
(式中、
「IL-10」は、配列番号1、3、9、10、11、12、14または16から選択される単量体配列であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;
ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり;
「Z」は、IL-10以外のサイトカインであり;
「n」は、0~2から選択される整数である)
の二重サイトカイン融合タンパク質、
およびがんまたは前記腫瘍によって発現される抗原に特異的である組換えにより操作されたCAR-TまたはTCR-T細胞
を投与することを含む、方法。
【請求項40】
およびXが、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;さまざまな免疫チェックポイント標的、例えば、限定されるものではないが、PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3またはCTLA4;CD19、CD20、CD22;CD47;GD-2;VEGFR1、VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;SR-J1;HIV、またはエボラに特異的な前記第1のモノクローナル抗体から得られる、請求項42に記載の方法。
【請求項41】
前記VLおよびVHが、抗HIVまたは抗エボラ抗体である前記第1のモノクローナル抗体から得られる、請求項42に記載の方法。
【請求項42】
前記抗HIVまたは抗エボラモノクローナル抗体由来の前記VLおよびVHが、第2の抗体由来の6つのCDRでグラフト化可能なフレームワーク領域である、請求項44に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の抗体が、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD14;CD52;さまざまな免疫チェックポイント標的、例えば、限定されるものではないが、PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3またはCTLA4;CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;またはSR-J1から選択されるモノクローナル抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のモノクローナル抗体由来の前記6つのグラフト化されたCDRが、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR1抗体または抗VEGFR2抗体由来の6つのCDRを含み、前記6つのCDRが、前記VL由来のCDR1~3およびVH由来のCDR1~3を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項45】
Zが、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-17、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、TSLP、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、または腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカインである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
Zが、IL-2である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
Zが、1の整数である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記二重サイトカイン融合タンパク質が、リンカーをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記IL-10が、配列番号10のDV07である、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記VHおよびVL領域が、ヒト抗エボラ抗体である第1の抗体から得られ;前記VHおよびVL領域が、抗VEGFR2抗体由来の6つのCDRでグラフト化され;前記Zが、IL-2である、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記組換えにより操作されたCAR-Tが、EGFR、VEGFR1、VEGFR2、EGP-2、EGP-4、OEPHa2、ErbB2、3もしくは4、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、ROR1、tEGFR、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、FBP、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子、MAGE-ALメソテリン、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、またはサイクリンに特異的であるEARDを含む、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/265521号に対する優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表への言及
電子配列表(039451-00085-Sequence-Listing.xml;サイズ:107,499バイト;および作成日:2022年12月16日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本開示は、バイオテクノロジーの分野、より具体的には、がんを処置するための従来の養子細胞療法(「ACT」)または二重特異性T細胞エンゲージャー(「BiTE」)療法と組み合わせる、インターロイキン-10(「IL-10」)およびインターロイキン-2(「IL-2」)を含むDiakinesと呼ばれる新規二重サイトカイン融合タンパク質の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
序論
通常サイトカイン合成阻害因子と名付けられている(Malefyt, Interleukin 10 inhbits cytokine synthesis by human monocytes: An autoreglatory role of IL-10 produced by monocytes, 1991)IL-10は、炎症応答を抑制すること(Fedorak, 2000)、およびより最近では、インターフェロンγ(「IFNγ」)依存性抗腫瘍免疫応答を誘導するCD8T細胞を活性化すること(Mumm, 2011)の両方が公知の多面的サイトカインである。IL-10は、IFNγと構造類似性を有する非共有結合性ホモ二量体サイトカインである。IL-10は、IL-10受容体に結合し、これは、IL10受容体1(IL10R1)の2つのサブユニットおよびIL-10受容体2(IL10R2)の2つのサブユニットからなる(Moore, 2001)。IL-10受容体複合体は、ほとんどの造血細胞の表面で発現され、マクロファージおよびT細胞において最も高く発現される。IL-10は、免疫抑制性(Schreiber, 2000)および免疫刺激性(Mumm, 2011)両方のサイトカインであることが報告されているが、クローン患者のIL-10処置の臨床評価は、逆用量応答をもたらす(Fedorak, 2000;Schreiber, 2000)一方で、PEG化IL-10によるがん患者の処置は、用量滴定可能な強力な抗腫瘍応答をもたらした(Naing, 2018)。PEG化IL-10抗腫瘍応答は、内因性CD8+ T細胞およびIFNγを必要とする(Mumm, 2011)。PEG化IL-10による腫瘍保持動物の処置は、腫瘍内CD8+ T細胞の増加および細胞あたりのIFNγの増加をもたらす。最も最近には、しかしながら、PEG化IL-10で処置されたがん患者は、免疫刺激の証拠をもたらしたが、抗腫瘍応答の増加はもたらさなかった(Spigel, 2020)。
【0005】
インターロイキン-2(「IL-2」)は、抗腫瘍免疫応答を誘導することが公知の4つのヘリックス束の多面的サイトカインである(Jiang, 2016)が、ナチュラルキラー(「NK」)細胞およびCD4T細胞によるIFNγの未制御の活性化および分泌、ならびにT調節性細胞の拡大増殖に起因して高い毒性も示す(Chinen, 2016)。この理由のために、多くのグループは、高親和性受容体へのその結合を低減するようにIL-2を突然変異させ、IL-2毒性の低減をもたらそうと試みている(Chen, 2018)。これらのムテインは、実質的な臨床的成功を収めておらず(Bentebibe, 2019)、これは、他のメカニズムを、IL-2の致死的毒性の可能性を低減するために用いることが必要であることを示唆する。
【0006】
IL-10は、NKおよびCD4T細胞の両方によって分泌されるIFNγの産生を駆動するIL-2を抑制することが報告されている(Scott, 2006)が、IL-2誘導CD8T細胞増殖のための補因子としても作用することが報告されている(Groux, 1998)。したがって、IL-2およびIL-10が、免疫系の細胞を共活性化するまたは互いに相殺するかどうかは知られていない。
【0007】
驚くべきことに、キーとなるIL-10受容体結合ドメイン領域における1つまたは複数のアミノ酸置換(配列番号3の成熟EBV IL-10アミノ酸配列のアミノ酸31位、75位、または両方の位置における)を有するエプスタインバーウイルス(「EBV」)IL-10バリアントが、IL-10受容体に結合し、それを活性化するEBV IL-10の能力を変更したことを発見した。これらの改変は、IL-10受容体に対するEBV IL-10の親和性を増加させる能力を含んでいた。本発明者は、EBV IL-10バリアント分子が、免疫疾患、炎症性疾患または状態を処置し、およびがんを処置することができる、IL-10受容体アゴニストとして作用することを発見した。高親和性EBV IL-10バリアント(「DV07」と称される、31位および75位の2つのアミノ酸置換を含む)は、単量体として、非免疫原性可変重(「VH」)および可変軽(「VL」)領域を含む一本鎖可変領域(scFv)足場システムに組み込まれる場合、適切にフォールディングされ、機能的に活性なままの半減期延長分子をもたらした。その全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれる、米国特許第10,858,412号;同第10975,133号;同第10,981,965号;同第10,975,134号;および同第10,981,966号を参照されたく、代表的な模式図として図1も参照されたい。足場システムに組み込まれたEBV IL-10バリアントは、炎症細胞(例えば、単球/マクロファージ/樹状細胞)および免疫細胞(例えば、CD8T細胞)の両方におけるIL-10機能の増強を示した。同上。1回の反復で、scFv足場システムは、元はヒト抗エボラ抗体が起源のVHおよびVL領域を利用した。単一サイトカイン融合タンパク質は、DeboDV07と称された。同上。本発明者は、元はヒト抗エボラ抗体が起源のscFvのVHおよびVL領域由来の6つの相補性決定領域(「CDR」)が、さまざまな腫瘍関連抗原(「TAA」)を認識する抗体、例えば、抗EGFR、抗VEGFR1、抗VEGFR2、および抗HER2抗体由来の6つのCDRでグラフト化された(すなわち、1つの抗体の6つのCDRを、第2の抗体由来の6つのCDRで置き換える)場合に、IL-10機能性が、破壊されなかったことも見出した。米国特許第10,858,412号;同第10975,133号;同第10,981,965号;同第10,975,134号;および同第10,981,966号を参照されたい。
【0008】
本発明者は、第2のサイトカインを単一サイトカイン融合タンパク質に組み込むことによって、DeboDV07を改善した(上記に記載;その全体が参照により本明細書に組み込まれる、同時係属中の2021年3月11日に出願された米国出願第17/199,239号も参照されたい)。具体的には、第2のサイトカインは、scFvのVH領域およびVL領域の間のリンカー領域に組み込まれる。例えば、同上の図2(二重サイトカイン融合タンパク質の代表的な模式図)を参照されたい。二重サイトカイン融合タンパク質は、さまざまなTAA標的化モノクローナル抗体由来のCDRでグラフト化された場合に、IL-10および別のサイトカイン(例えば、限定されるものではないが、IL-2)の両方を特異的TAAに送達することができる。本出願では、本発明者は、養子細胞療法(「ACT」)、例えば、限定されるものではないが、キメラ抗原受容体T細胞(「CAR-T」)、操作されたT細胞受容体T細胞(「TCR-T」)、ナチュラルキラー(「NK」)細胞および/または腫瘍浸潤リンパ球(「TIL」)、ならびに二重特異性T細胞エンゲージャー(「BiTE」)などの他の公知の免疫療法モダリティの支えにおいて、Diakines(商標)として公知の(「DK」)二重サイトカイン融合タンパク質の新規使用を記載する。本出願で使用される場合、「ダイアキン:diakine(単数)」または「ダイアキン:diakines(複数)」という用語は、標的化された、半減期を延長するscFvにおいて一緒に連結された二重サイトカイン融合タンパク質の新規クラスを指す、一般的な用語である。
【0009】
CAR-T細胞療法に関して、この療法は、血液悪性腫瘍において大きな成功を示したが、固形組織腫瘍においてこれらのCAR-T細胞を使用する場合、同等の例は限定されている(Ma, 2019;Castellarin, 2018;Wagner, 2020)。
【0010】
現在のアプローチによる課題は、最も免疫刺激性の療法との類似点を共有すると思われる。具体的には、課題には、オフターゲット毒性(Bonifant, 2016;Bianca Santomasso, 2019)、CAR-T細胞の持続性(Jafarzadeh, 2020;Christopher DeRenzo, 2019)、および腫瘍微小環境(「TME」)に浸潤する能力(Rodriguez-Garcia, 2020;Zou, 2019)が含まれる。
IL-2(Groux, 1998;Ross, 2018)およびIL-10(Berman, 1996;Chan, 2015;Naing A. , 2018;Naing A. , Safety, Antitumor Activity, and Immune Activation of Pegylated Recombinant Human Interleukin-10 (AM0010) in Patients With Advanced Solid Tumors, 2016;Emmerich, 2012;Mumm J. , 2011)はどちらも、抗腫瘍T細胞機能を特異的に増強する。しかしながら、PEG化IL-10は、CAR-T機能を増強することが報告されている(McCauley, 2018)一方で、CAR-T細胞療法と組み合わせたIL-2の使用は、主にIL-2関連毒性に起因して、課題が多い(Tang, 2018)。
したがって、本出願は、一態様では、(1)IL-2媒介毒性を制御する、DK210と称される、IL2およびIL10、(2)IL12およびIL10、(3)IL7およびIL10、または(4)IL15およびIL-10の両方を含むダイアキンを使用することによって、この問題を克服する。TAA、例えば、EGFR2、HER2またはVEGFR2に対する標的化を介した、カップリングしたIL-2およびIL10の腫瘍血管系への濃縮によって(Smith, 2010)、2~3例を挙げると、DK210は、CAR-Tの腫瘍特異的活性化、ならびにDV07によるサイトカイン放出症候群およびIL-2毒性の直接的な抑制の両方により、毒性を制限しながら、活性化、浸潤および持続性を可能にする、CAR-T細胞のTME活性化を駆動する。同じ前提はまた、ACT療法およびBiTEのために有望であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第10,858,412号明細書
【特許文献2】米国特許第10,975,133号明細書
【特許文献3】米国特許第10,981,965号明細書
【特許文献4】米国特許第10,975,134号明細書
【特許文献5】米国特許第10,981,966号明細書
【特許文献6】米国特許第10,858,412号明細書
【特許文献7】米国特許第10,975,133号明細書
【特許文献8】米国特許第10,981,965号明細書
【特許文献9】米国特許第10,975,134号明細書
【特許文献10】米国特許第10,981,966号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Malefyt, Interleukin 10 inhbits cytokine synthesis by human monocytes: An autoreglatory role of IL-10 produced by monocytes, 1991
【非特許文献2】Naing A. , Safety, Antitumor Activity, and Immune Activation of Pegylated Recombinant Human Interleukin-10 (AM0010) in Patients With Advanced Solid Tumors, 2016
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明のさまざまな態様の要旨
本開示は、一般に、従来の免疫療法と組み合わせて、ダイアキンと称される二重サイトカイン融合タンパク質を使用する方法に関する。
【0014】
そのため、第1の態様では、本開示は、限定されるものではないが、操作された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞、TCR-T細胞、TILまたはNK細胞)またはBiTEを含む、従来の免疫療法と組み合わせて、IL-10またはさまざまなIL-10バリアント、半減期延長標的化ドメイン、および第2のサイトカインを含むダイアキンを使用する方法に関する。ある特定の実施形態では、方法は、IL-10、例えば、限定されないが、ヒト、マウス、サイトメガロウイルス(「CMV」)またはEBV IL-10の形態、またはそのIL-10バリアント分子を含むダイアキンを使用し、ここで、IL-10バリアントは、IL-10受容体結合ドメインに影響を与える1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。ある特定の実施形態では、方法は、IL-10、IL-12もしくはIL-27、またはそのバリアントを含むダイアキンを使用する。IL-10、IL-12またはIL-27を含む前述のダイアキンの種類のそれぞれはまた、第2のサイトカインを含み、これは、第1のサイトカインとは異なるサイトカインであり、IL-10、IL-12もしくはIL-27、またはそのバリアントとタンデムで働き、その結果、第1および第2のサイトカインがカップリングされ、半減期を延長するダイアキンの抗原標的化ドメインによって、特異的抗原に一緒に標的化される場合に、相加効果または相乗効果がある。これらの第2のサイトカインとしては、その中でも、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TGF-β、またはTNF-α、TNF-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13、好ましくは、IL-2が挙げられる。ダイアキンの抗原標的化ドメインは、抗体、抗体断片(例えば、scFv、抗原結合性断片)、または抗体、抗体断片もしくはその抗原結合性部分の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域によって認識される標的抗原にダイアキンを方向付ける抗原結合性部分から選択される標的化ドメインを含む。ある特定の実施形態では、抗原標的化ドメインは、scFvである。ある特定の態様では、scFvは、腫瘍関連抗原(TAA)に対する特異性を有し、TAAは、固形腫瘍または血液腫瘍の表面で見出される各種の抗原性標的から選択される。一態様では、抗原標的化ドメインは、scFvのVH領域中の3つのCDRおよびVL領域中の3つのCDRを含むscFvである。別の態様では、scFvは、元のVHおよびVLフレームワーク領域を保持するが、別の抗体由来のVH中の3つのCDRおよびVL中の3つのCDRでグラフト化されていてもよい。他の実施形態では、操作された細胞は、組換え抗原受容体、例えば、限定されるものではないが、CAR、T細胞受容体(「TCR」)または機能性非TCR、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)を特異的に標的化するCARを含む。ある特定の実施形態では、操作された細胞は、T細胞である。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、操作された免疫細胞またはBiTEを標的化するTAAと組み合わせて、式(I)のダイアキンを使用する方法であって、式(I)が、
NH-(IL10)-(X)-(Z)-(X)-(IL10)-COOH(式I);
(式中、
「IL10」は、IL-10の単量体であり、ここで、IL-10は、ヒト、マウス、CMVもしくはEBV IL-10、またはそのバリアントであり、より好ましくは、IL10は、配列番号1、3、7、9または10から選択される配列を含む単量体であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり、好ましくは、VHおよびVL領域は、ヒト抗エボラ抗体から得られるscFvであり、VHおよびVL領域は、第2の抗体由来の6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)でグラフト化されており;
「Z」は、IL-10以外の任意のサイトカイン、好ましくは、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TGF-β、またはTNF-α、TNF-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13であり;
「n」は、1~2から選択される整数である)
であり;
第2の抗体が、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、B細胞突然変異抗原(BCMA)、C型レクチン様分子1(CLL01)、CD5、CD147、潜在膜タンパク質1(LMP-1)、シグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)、NY-ESO-1、膜貫通活性化因子およびCAML相互作用物質(TACI)、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、メソテリン(MESO)、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAである、
方法に関する。
【0016】
さらに別の態様では、本開示は、免疫細胞またはBiTEを標的化するTAAと組み合わせて、式(II)のIL-10ダイアキンを使用する方法に関する。
NH-(IL10)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(IL10)-COOH(式II);
(式中、
「IL-10」は、配列番号1、3、7、9または10から選択される単量体配列であり;
「L」は、任意のリンカーであり、より好ましくは、リンカーは、配列番号39、40または41から選択され;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり、好ましくは、VHおよびVL領域は、ヒト抗エボラ抗体から得られるscFvであり、VHおよびVL領域は、第2の抗体由来の6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)でグラフト化されており、第2の抗体は、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAであり;
「Z」は、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TGF-β、またはTNF-α、TNF-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13から選択されるサイトカイン、好ましくは、IL-2であり;
「n」は、1~2から選択される整数である)
【0017】
他の態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、操作された免疫細胞、好ましくは、CAR-T療法またはBiTEと組み合わせて、有効量のダイアキン、好ましくは、DK210、DK710、DK1210、DK1510 DK2110、DK2710、DKIFNa10を、それを必要とする対象に投与することを含み、DK210、DK710、DK1210、DK1510 DK2110、DK2710またはDKIFNa10が、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAに対する特異性を有する抗体由来のCDRでグラフト化された抗エボラ足場システム(VH/VL対またはscFvを含む)を含む、方法に関する。
【0018】
別の態様では、本開示は、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはBiTEと組み合わせて、式(III)のIL-12ダイアキンを使用する方法に関する。
【0019】
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式IIIa);
【0020】
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式IIIb);
(式中、
「R」は、任意の多サブユニットの第1のサイトカイン由来のアルファサブユニット、好ましくは、IL-12-アルファサブユニット(p35)またはIL-27アルファサブユニット(p28)のいずれか、より好ましくは、配列番号45または47のサブユニットであり;
「R」は、任意の多サブユニットの第1のサイトカイン由来のベータサブユニット、好ましくは、IL-12-ベータサブユニット(p40)またはIL-27ベータサブユニット(EBI3)のいずれか、より好ましくは、配列番号46または48のサブユニットであり;
ここで、Rが、第1のサイトカインのアルファサブユニットである場合、Rは、第1のサイトカインのベータサブユニットであるか;またはRが、p35である場合、Rは、p40であるか;またはRが、p28である場合、Rは、EBI3であるか;またはRが、配列番号45もしくは47である場合、Rは、配列番号46もしくは48であるか;またはRが、配列番号46もしくは48である場合、Rは、配列番号45もしくは47であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり;
「Z」は、多サブユニットのサイトカインの生物学的機能を増強する任意のサイトカイン、好ましくは、IFNa-2a、IL-28、IL-29であり、
「n」は、1~2から選択される整数であり、
第1のモノクローナル抗体は、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAに対する特異性を有する第2の抗体由来のCDRでグラフト化されている抗エボラ抗体である)
【0021】
さらに別の態様では、本開示は、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはBiTEと組み合わせて、式(IV)の2つの多サブユニットサイトカイン、例えば、IL12、IL-27、またはIL-10を有するダイアキンを使用する方法であって、前記ダイアキンが、式(IV):
NH-(R)-(L)-(X)-(L)-(W)-(L)-(W)-(L)-(X)-(L)-(R)-COOH(式IV);
(式中、
「R」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第1の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p40であり;
「R」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のベータアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第2の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p35であり;
「L」は、任意のリンカー;好ましくは、配列番号43~44であり;
「L」は、任意のリンカー;好ましくは、GGGSGGGまたは配列番号43であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり;
「W」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第1の単量体、好ましくは、IL-10の第1の単量体であり;
「W」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のベータアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第2の単量体、好ましくは、IL-10の第2の単量体であり、
第1のモノクローナル抗体は、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAに対する特異性を有する抗体由来のCDRでグラフト化されている)
である、方法に関する。
【0022】
代表的な態様の上記の簡略化した要約は、本開示の基本的な理解を提供する役割を果たす。この要約は、すべての企図される態様の詳細な概説ではなく、すべての態様のキーとなるまたは重要な要素を特定することを意図するものでも、本開示の任意のまたはすべての態様の範囲を表すことを意図するものでもない。その単なる目的は、続く本開示のより詳細な説明に対する前置きとして、簡略化された形態で1つまたは複数の態様を提示することである。前述の達成のために、本開示の1つまたは複数の態様は、特許請求の範囲に記載される特色およびそこで指摘される典型例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第一世代IL-10融合タンパク質の単一の実施形態の模式図であり、これは、米国特許第10,858,412号に以前に記載されたサイトカイン融合タンパク質である。
【0024】
図2図2は、本開示で具現化されるダイアキンの模式図であり、ここで、二重サイトカイン融合タンパク質は、末端で連結されたIL-10単量体(またはIL10バリアント)を含み、第2のサイトカインは、scFvのVHおよびVLの間のリンカーに組み込まれる。
【0025】
図3図3は、本開示で具現化されるダイアキンの模式図であり、ここで、二重サイトカイン融合タンパク質は、2つの多サブユニットサイトカインを含み、一方は、末端で連結されており(例えば、IL-12またはIL-27)、他方は、scFv(例えば、2つのIL-10単量体、またはそのIL-10バリアント)のリンカー領域間で融合されている。
【0026】
図4図4は、例えばVEGFR2を標的化するCDRでグラフト化されたDK210を利用する、提案されたメカニズムの概略図である。
【0027】
図5図5A~5Fは、ダイアキン(DK210)、IL10またはIL2に応答する健康なドナー由来のナイーブPBMCにおけるIL-1β、IFN-γ、TNF-α、IL-12p70、IFNα2aおよびIL-6のサイトカイン誘導を実証するグラフトである。
【0028】
図6図6A~6Dは、ダイアキン(DK210)、IL-10またはIL-2に応答する健康なドナー由来のナイーブPBMCにおけるIL-4、IL-17、IL-8およびGM-CSFのサイトカイン誘導を実証するグラフトである。
【0029】
図7図7は、24、48および72時間での抗CD3刺激に応答するダイアキンの濃度上昇に応答するCD8+ T細胞におけるグランザイムBレベルの評価である。
【0030】
図8図8は、24、48および72時間での抗CD3刺激に応答するダイアキンの濃度上昇に応答するCD8+ T細胞におけるIFN-γレベルの評価である。
【0031】
図9図9は、24、48および72時間での抗CD3刺激に応答するダイアキンの濃度上昇に応答するCD8+ T細胞におけるTNF-αレベルの評価である。
【0032】
図10図10Aおよび10Bは、標的腫瘍細胞(Raji)の低減におけるダイアキン(DK210CD19)をCAR T細胞(CD20 CAR T)と組み合わせる効果を示し、ここで、CD8+ T細胞は、1日間、ダイアキンの存在下でプライミングされる。図10Aは、3:1のエフェクターと標的の比であり、図10Bは、1:3のエフェクターと標的の比である。
【0033】
図11図11A~11Fは、標的腫瘍細胞(Raji)の低減におけるダイアキン(DK210egfr)をBiTE(0.01ng/mLのCD3×CD19 BiTE))と組み合わせる効果を示し、ここで、CD8+ T細胞は、2日間、ダイアキンの存在下でプライミングされる。図11A~11Dは、DK210およびCD19 BiTEの存在下、CD8+ T細胞のTNF-アルファ、IFN-ガンマ、グランザイムBおよびパーフォリンのサイトカイン分泌レベルを提供する。図11Eおよび11Fは、DK210およびCD19 BiTEで組み合わせた場合のCD8+ T細胞の細胞溶解プロファイルを提供する。
【0034】
図12図12A~12Fは、標的腫瘍細胞(Raji)の低減におけるダイアキン(DK210CD19)をBiTE(0.1ng/mLのCD3×CD20 BiTE)と組み合わせる効果を示し、ここで、CD8+ T細胞は、3日間、ダイアキンの存在下でプライミングされる。図12A~12Dは、DK210およびCD20 BiTEの存在下、CD8+ T細胞のTNF-アルファ、IFN-ガンマ、グランザイムBおよびパーフォリンのサイトカイン分泌レベルを提供する。図12Eおよび12Fは、DK210およびCD20 BiTEで組み合わせた場合のCD8+ T細胞の細胞溶解プロファイルを提供する。
【0035】
図13図13は、ダイアキン(DK710)をCD19 BiTEと組み合わせる効果を示す。データは、対照(すなわち、DK710なし、CD19 BiTEなし)、DK710単独、CD19 BiTE単独、ならびにDK710およびCD19 BiTEの組合せの比較を提供する。データは、DK710およびCD19 BiTEの組合せが、CD19 BiTEに対して増強された細胞溶解を有することを示す。
【0036】
図14図14は、ダイアキン(DK1210)をCD19 BiTEと組み合わせる効果を示す。データは、対照(すなわち、DK1210なし、CD19 BiTEなし)、DK1210単独、CD19 BiTE単独、ならびにDK1210およびCD19 BiTEの組合せの比較を提供する。データは、DK1210およびCD19 BiTEの組合せが、CD19 BiTEに対して増強された細胞溶解を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
例示的な態様は、本明細書において、ダイアキンと称される二重サイトカイン融合タンパク質のクラスであって、それによってダイアキンがIL-10、IL-12またはIL-27を含む、クラス、およびがんを処置する方法であって、腫瘍関連抗原(TAA)を標的化する操作された免疫細胞またはACT(例えば、CAR T、TCT T、TILまたはNK)またはBiTEと組み合わせて、IL-10およびIL-2(DK210)、またはIL-10およびIL-7(DK710)、IL-10およびIL-12(DK1210)、IL-10およびIL-15(DK1510)、IL-10およびIL-21(DK2110)、IL-10およびIFN-ガンマ(DKIFNa10)、またはIL-10およびIL-27(DK2710)を含むダイアキンを投与することを含む、方法の文脈で記載される。当業者は、以下の記載が、単なる例示であって、決して限定を意図するものではないことを理解するであろう。他の態様は、本開示の利点を有して、それ自身を当業者に容易に示唆するであろう。参照はここに、添付の以下の開示および図面において示されるように、例示的な態様の実行に対して詳細に行われるであろう。同じ参照標識は、同じまたは類似の項目を指すために、図面および以下の説明全体を通して、可能な範囲まで使用する。
【0038】
本明細書に記載されるものと類似または等価ないくつかの方法および材料を、さまざまな記載される実施形態の実施において使用することができるが、好ましい材料および方法を、本明細書に記載する。
【0039】
他に指示されない限り、本明細書に記載される実施形態は、当業者に周知の分子生物学、生化学、薬理学、化学および免疫学の従来の方法および技法を用いる。限定されるものではないが、IL-10のヒト、マウス、CMVおよび/またはEBV形態、ならびにIL-10バリアント、前述のサイトカインおよびそのバリアントのそれぞれのアグリコシル化または脱グリコシル化形態を試験するためのアッセイを含む、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、IFN-アルファ、またはIL-27バリアントを設計および製造するための一般的な技法の多くは、当技術分野で容易に利用可能な、詳述されている公知の方法によって達成される。例えば、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Handbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., Blackwell Scientific Publications);A. L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition)を参照されたい。PEG化化学に基づくN末端アルデヒドも、当技術分野において周知である。
定義
【0040】
以下の用語は、本明細書で論じられるさまざまな実施形態を記載するために使用され、下記に示されたように定義されることが意図される。
【0041】
本明細書で使用される場合、さまざまな実施形態の記載において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他に明確に指図しない限り、複数の指示対象を含む。
【0042】
「約」という用語は、示された数または数の範囲の0.0001~5%の逸脱を指す。一実施形態では、「約」という用語は、示された数または数の範囲の1~10%の逸脱を指す。一実施形態では、「約」という用語は、示された数または数の範囲の最大で25%の逸脱を指す。より具体的な実施形態では、「約」という用語は、野生型配列と比較した場合に、ヌクレオチド配列相同性またはアミノ酸配列相同性に関して、1~25%の差を指す。
【0043】
「インターロイキン-10」または「IL-10」という用語は、非共有結合的に接続されて、ホモ二量体を形成する2つの同一のサブユニットを含むタンパク質を指し、ここで、IL-10は、2つの6つのヘリックス束(ヘリックスA~F)のインターカレート化二量体である。本明細書で使用される場合、他に指示されない限り、「インターロイキン-10」および「IL-10」は、ヒトIL-10(「hIL-10」;Genbankアクセッション番号NP_000563;または米国特許第6,217,857号)タンパク質(配列番号1)もしくは核酸(配列番号2);マウスIL-10(「mIL-10」;Genbankアクセッション番号:M37897;または米国特許第6,217,857号)タンパク質(配列番号7)もしくは核酸(配列番号8);またはウイルスIL-10(「vIL-10」)を指す。ウイルスIL-10ホモログは、EBVまたはCMV(それぞれ、Genbankアクセッション番号NC_007605およびDQ367962)に由来していてもよい。EBV-IL10という用語は、IL-10タンパク質(配列番号3)または核酸(配列番号4)のEBVホモログを指す。CMV-IL10という用語は、IL-10タンパク質(配列番号5)または核酸(配列番号6)のCMVホモログを指す。「単量体性」IL-10またはIL-10「の単量体」という用語は、本明細書で使用される場合、IL-10、または非共有結合的に接続された場合に、IL-10もしくはバリアントIL-10のホモ二量体を形成するバリアントIL-10の個々のサブユニットを指す。「野生型」、「wt」および「ネイティブ」という用語は、問題の特定のIL-10の起源の種において天然で一般的に見出される、タンパク質(例えば、IL-10、CMV-IL10またはEBV IL- 10)の配列を指すために互換的に本明細書で使用される。例えば、「野生型」または「ネイティブ」EBV IL-10という用語は、そのため、天然で最も一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。
【0044】
「インターロイキン-12」または「IL-12」という用語は、ヘテロ二量体を形成するために非共有結合的に接続される、アルファ(p35)およびベータ(p40)サブユニットを含むタンパク質を指す。本明細書で使用される場合、他に指示されない限り、「インターロイキン-12」および「IL-12」は、ヒト、マウス、またはそのバリアント形態を指す。例えば、「野生型」または「ネイティブ」という用語は、そのため、アルファおよびベータサブユニットについて天然で最も一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。
【0045】
「インターロイキン-27」または「IL-27」という用語は、ヘテロ二量体を形成するために非共有結合的に接続される、アルファ(p28)およびベータ(EBI3)サブユニットを含むタンパク質を指す。本明細書で使用される場合、他に指示されない限り、「インターロイキン-27」および「IL-27」は、ヒト、マウス、またはそのバリアント形態を指す。例えば、「野生型」または「ネイティブ」という用語は、そのため、アルファおよびベータサブユニットについて天然で最も一般的に見出されるアミノ酸配列に対応するであろう。
【0046】
「バリアント」、「アナログ」および「ムテイン」という用語は、例えば抗炎症活性などの所望の活性を保持する、参照分子の生物学的に活性な誘導体を指す。一般に、「バリアント(単数)」、「バリアント(複数)」、「アナログ」および「ムテイン」という用語は、それがポリペプチドに関する場合、ネイティブポリペプチド配列を有する1つまたは複数の化合物、ならびにネイティブ分子に対して1つまたは複数のアミノ酸の付加、置換(天然で保存的であり得る)、および/または欠失を有する構造を指す。そのため、「IL-10バリアント」、「バリアントIL-10」、「IL-10バリアント分子」という用語、ならびにその文法的変形形態および複数形はすべて、野生型IL-10と配列同一性または相同性の1~25%のいずれかで異なる、IL-10アミノ酸(または核酸)配列を指す用語と等価であることが意図される。そのため、例えば、EBV IL-10バリアント分子は、1つまたは複数のアミノ酸(またはアミノ酸をコードするヌクレオチド配列)の付加、置換および/または欠失を有することによって、野生型EBV IL-10と異なるものである。そのため、一形態では、EBV IL-10バリアントは、合計で約1~42アミノ酸の差に達する配列相同性の約1%~25%の差を有することによって、配列番号3の野生型配列と異なるものである。一実施形態では、IL-10バリアントは、A75Iアミノ酸突然変異(内部で「DV06」と表す;配列番号14)、またはV31LおよびA75I両方のアミノ酸突然変異(内部で「DV07」と表す;配列番号16)を含むEBV IL-10である。「IL-12バリアント」、「バリアントIL-12」、「IL-12バリアント分子」、「IL-27バリアント」、「バリアントIL-27」、「IL-27バリアント分子」という用語、ならびにその文法的変形形態および複数形はすべて、野生型IL-12またはIL-27とは異なるIL-12またはIL-27アミノ酸(または核酸)配列を指す等価な用語であることが意図される。IL-12またはIL-27についてのアミノ酸配列の差は、配列同一性または相同性の1~25%のいずれかであるような、アルファ、ベータ、または両サブユニット内の付加、欠失または置換であってもよい。これらのバリアント形態は、タンパク質に対するその脱グリコシル化(脱グリコシル化またはアグリコシル化)形態への改変を含む。
【0047】
「融合タンパク質」という用語は、天然では通常存在しないタンパク質の新規な並びをもたらす、2つまたはそれよりも多くのタンパク質またはポリペプチドの組合せまたはコンジュゲーションを指す。融合タンパク質は、2つまたはそれよりも多くのタンパク質またはポリペプチドの共有結合性連結の結果である。融合タンパク質を作り上げる2つまたはそれよりも多くのタンパク質は、アミノ末端(「NH」)からカルボキシ末端(「COOH」)までの任意の配置で並び得る。そのため、例えば、あるタンパク質のカルボキシ末端は、別のタンパク質のカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかに共有結合的に連結され得る。例示的な融合タンパク質は、単量体性IL-10または単量体性バリアントIL-10分子を1つまたは複数の抗体可変ドメイン(すなわち、VHおよび/またはVL)または一本鎖可変領域(「scFv」)と組み合わせることを含み得る。
【0048】
「ホモログ」、「相同性」、「相同の」または「実質的に相同の」という用語は、少なくとも2つのポリヌクレオチド配列または少なくとも2つのポリペプチド配列の間の同一性パーセントを指す。配列が、分子の定義された長さにわたって、少なくとも約50%、好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは、少なくとも約80%~85%、好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくとも約95%~98%の配列同一性を示す場合に、配列は互いに相同である。
【0049】
「配列同一性」という用語は、正確なヌクレオチドごとまたはアミノ酸ごとの対応を指す。配列同一性は、100%の配列同一性~50%の配列同一性の範囲であり得る。配列同一性パーセントは、限定されるものではないが、配列を整列させること、2つの整列した配列間のマッチの正確な数をカウントすること、参照配列の長さで割ること、および結果に100を掛けることによる、2つの分子(参照配列および参照配列に対する未知の同一性パーセントを有する配列)間の配列情報の直接比較を含む各種の方法を使用して、決定することができる。容易に利用可能なコンピュータープログラムを、同一性パーセントの特定を助けるために使用することができる。
【0050】
「対象」、「個体」または「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、脊椎動物、好ましくは、哺乳動物を指す。哺乳動物としては、限定されるものではないが、ネズミ科動物、げっ歯類、類人猿、ヒト、家畜、スポーツ動物およびある特定のペットが挙げられる。
【0051】
「投与すること」という用語は、本出願の活性成分にそれらの意図される機能を行わせる、投与の経路を含む。
【0052】
「治療有効量」または「有効量」は、例えば、EBV IL-10バリアント、融合タンパク質、二重サイトカイン融合タンパク質、または本明細書に記載されるそのDK210、DK710、DK1210、DK1510 DK2110、DK2710もしくはDKIFNa10を投与することに関する場合、特に、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはACTまたはBiTEと組み合わせる文脈において、ある特定の生物活性を促進するのに十分な量を指す。これらは、例えば、骨髄性細胞機能の抑制、クッパー細胞活性の増強、および/またはCD8T細胞もしくは増強されたCD8T細胞活性における任意の効果の欠如、ならびにFc受容体の肥満細胞の上方調節の遮断、または脱顆粒の防止、または併用療法(例えば、CAR-T療法、またはBiTE)の効果に対する促進もしくは増強を含み得る。そのため、「有効量」は、医学的状態の症状または徴候を処置、寛解または予防する。有効量はまた、診断を可能にするまたは容易にするのに十分な量を意味する。
【0053】
「処置する」または「処置」という用語は、疾患または状態の効果を低減する方法を指す。処置は、症状だけよりもむしろ、疾患または状態それ自身の根本的な原因を低減する方法も指し得る。処置は、ネイティブレベルからの任意の低減であり得、また、限定されるものではないが、疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状の完全な消失であり得る。
【0054】
「ダイアキン」または「DK」という用語は、本出願で使用される場合、半減期を延長する抗原標的化ドメイン上で、別のサイトカインと一緒に融合された、IL-10(IL-10の単量体)、IL-12もしくはIL-27、またはそのバリアントを含む二重サイトカイン融合タンパク質の一般的なクラスを指す。具体的には、ダイアキンは、式I、II、IIIa、IIIb、IVの形態を取る。
【0055】
「DK210」という用語は、図2に概略的に表される、IL-10またはIL-10バリアント(例えば、配列番号10)、scFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-2(例えば、配列番号9)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK210は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK210(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK210は、「DK210(egfr)」または「DK210egfr」と表示される。一実施形態では、DK210egfrは、配列番号19である。別の例では、HER2に標的化されるDK210は、「DK210(her2)」または「DK210her2」と表示される。一実施形態では、DK210her2は、配列番号21、23または25である。
【0056】
「DK710」という用語は、図2に概略的に表される、IL-7またはIL-7バリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK710は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK710(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK710は、「DK710(egfr)」または「DK710egfr」と表示される。一実施形態では、DK710egfrは、配列番号36である。別の例では、(a)HER2に標的化されるDK710は、「DK710(her2)」または「DK1210her2」と表示され、(b)CD20に標的化されるDK710は、「DK710(CD20)」または「DK1210CD20」と表示される。一実施形態では、DK710her2は、配列番号37であり、DK710CD20は、配列番号38である。
【0057】
「DK1210」という用語は、図3に概略的に表される、IL-12またはIL-12バリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK1210は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK1210(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK1210は、「DK1210(egfr)」または「DK1210egfr」と表示される。一実施形態では、DK1210egfrは、配列番号26~32である。別の例では、(a)HER2に標的化されるDK1210は、「DK1210(her2)」または「DK1210her2」と表示され、(b)CD20に標的化されるDK1210は、「DK1210(CD20)」または「DK1210CD20」と表示される。一実施形態では、DK1210CD20は、配列番号34または35である。
【0058】
「DK1510」という用語は、図2に概略的に表される、IL-15またはIL-15バリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK1510は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK1510(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK1510は、「DK1510(egfr)」または「DK1510egfr」と表示される。
【0059】
「DK2110」という用語は、図2に概略的に表される、IL-21またはIL-21バリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK2110は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK2110(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK2110は、「DK2110(egfr)」または「DK2110egfr」と表示される。
【0060】
「DK2710」という用語は、図2に概略的に表される、IL-27またはIL-27バリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK2710は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK2710(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK2710は、「DK2710(egfr)」または「DK2710egfr」と表示される。
【0061】
「DKIFNa10」という用語は、図2に概略的に表される、IFNaまたはIFNaバリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-10およびIL-10バリアント(例えば、配列番号10、またはそのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DKIFNa10は、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DKIFNa10(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDKIFNa10は、「DKIFNa10(egfr)」または「DKIFNa10egfr」と表示される。
【0062】
「DK12IFNa」という用語は、図2に概略的に表される、IFNaまたはIFNaバリアント(例えば、アグリコシル化または脱グリコシル化形態)、ならびにscFvのVHおよびVL領域間で連結されたIL-12およびIL-12バリアント(例えば、そのアグリコシル化もしくは脱グリコシル化形態)を含む、ダイアキンを指し、ここで、ダイアキンは、標的化または非標的化され得る。標的化DK12IFNaは、特異的抗原、例えば、TAAに結合するscFvを使用することによって、またはTAAを標的化する抗体由来のscFv足場CDR上でグラフト化することによって、標的化分子にされてもよい。これらの分子は、DK12IFNa(標的名称)と表示される。例えば、EGFRに標的化されるDK12IFNaは、「DK12IFNa(egfr)」または「DK12IFNaegfr」と表示される。
【0063】
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、悪性または良性、およびすべての前がん性およびがん性の細胞および組織にかかわらず、すべての新生細胞の成長および増殖を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」および「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0064】
腫瘍は、良性または悪性であり得る。良性腫瘍は、転移を起こさないとして特徴付けられる。悪性細胞は、がん細胞であり、転移を起こし得る。本出願の方法が行われ得る腫瘍としては、限定されないが、腺腫、血管肉腫(angio-sarcoma)、星状細胞腫、上皮癌、胚細胞腫、神経膠芽腫、神経膠腫、過誤腫、血管内皮腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血腫、肝芽腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫および奇形腫が挙げられる。腫瘍は、末端黒子型黒色腫、日光角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、アストロサイト腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺癌、毛細血管、カルチノイド、癌腫、癌肉腫、海綿状、胆管癌、軟骨肉腫(chondosarcoma)、脈絡叢乳頭腫(choriod plexus papilloma)/癌、明細胞癌、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺癌、上衣、類上皮、ユーイング肉腫、線維層板型、限局性結節性過形成、ガストリノーマ、胚細胞腫瘍、神経膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽腫(hemangiblastoma)、血管内皮腫、血管腫、肝細胞腺腫、肝細胞腺腫症、肝細胞癌、インスリノーマ、上皮内新生物(intaepithelial neoplasia)、上皮間扁平上皮細胞新生物、浸潤性扁平上皮細胞癌、大細胞癌、平滑筋肉腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、髄膜、中皮、転移性癌、粘膜表皮癌、神経芽細胞腫、神経上皮腺癌、結節型黒色腫、燕麦細胞癌、オリゴデンドログリア、骨肉腫、膵臓の乳頭状漿液性腺癌、松果体細胞、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽細胞腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、小細胞癌、軟組織癌、ソマトスタチン分泌腫瘍、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、中皮下、表在拡大型黒色腫、未分化癌、ぶどう膜黒色腫、疣状癌、ビポーマ、高分化癌、およびウィルムス腫瘍から選択することができる。
【0065】
「がん」および「がん性」という用語は、典型的には、未調節の細胞成長/増殖によって特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指すか、またはそれを記載する。がんの例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫および白血病が挙げられる。そのようながんのより特定の例としては、扁平上皮細胞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜のがん、肝細胞がん、胃腸がん、膵臓がん、神経膠腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝細胞腫、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝癌、白血病および他のリンパ増殖性障害、ならびにさまざまな種類の頭頸部がんが挙げられる。
二重サイトカイン融合タンパク質の構造
【0066】
本開示は、公知の免疫療法、例えば、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはBiTE療法の機能を増大または増強するための、米国特許出願第17/199,239号(2021年3月11日出願、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に以前に記載されているダイアキンの使用に関する。簡潔には、米国特許第10,858,412号および同第10,975,133号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に以前に記載されたIL-10融合タンパク質の前のバージョンに対する改善である、本出願の方法において使用されるダイアキンは、IL-10またはIL-10バリアント分子の2つの単量体、およびscFvのヒンジ領域に連結された第2のサイトカイン分子を含む。ダイアキンは、米国特許第10,858,412号および同第10,975,133号に記載されている第一世代のIL-10融合分子(図1)において構築される。簡潔には、第一世代のIL-10融合タンパク質は、それぞれの末端におけるIL-10の2つの単量体(すなわち、アミノ末端における第1のIL-10単量体およびカルボキシ末端における第2のIL-10単量体)を特徴とする、VHおよびVL scFv足場において構築される。足場システムは、VHのCDR1~3およびVLのCDR1~3を有する6つの相補性決定領域(「CDR」)を有する、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体から得られたscFvを含む。VHおよびVL領域は、特異的抗原に対してIL-10融合タンパク質を標的化することができ、これは、VHおよびVL対の6つのCDR領域(VHの3つのCDRおよびVLの3つのCDR)を、受容体もしくは抗原標的化抗体、またはその抗原結合性断片のVHおよびVL由来の6つのCDR領域で置換することによって達成される。scFvの6つのCDRおよびフレームワーク領域を置換および最適化する能力、ならびに本明細書に記載されるscFv足場にCDRをグラフトする能力は、周知であり、当業者によって実施される。
【0067】
第1の態様では、本出願は、IL-10またはIL-10バリアントおよび少なくとも1つの他のサイトカインを含み、それによって、二重サイトカイン融合タンパク質は、米国特許第10,858,412号に以前に記載されたIL-10融合タンパク質と比較した場合に、併用または相乗的機能性を有する、ダイアキンと称される二重サイトカイン融合タンパク質に関する。図2は、IL-10を含むダイアキンの代表図である。特に、ダイアキンは、VHおよびVLを含み、それによって、IL-10の2つの単量体が、アミノおよびカルボキシ末端で二重サイトカイン融合タンパク質が終わる、scFvから作られた足場システムを利用する。第2のサイトカインは、scFvのヒンジ領域であるscFvのVHおよびVL領域の間で融合することによって、IL-10(またはIL-10バリアント)の単量体にコンジュゲートされる。ダイアキンは、機能的タンパク質複合体を形成することができ、それによって、IL-10(またはIL-10バリアント)の単量体を機能的IL-10分子にホモ二量体化し、VHおよびVL領域は、一緒に会合する対を形成して、抗原結合および認識を可能にするscFv複合体を形成する。
【0068】
ある特定の態様では、IL-10を含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、式I
NH-(IL-10)-(X)-(Z)-(X)-(IL-10)-COOH
(式中、
「IL10」は、IL-10の単量体であり、ここで、IL-10は、ヒト、マウス、CMVもしくはEBV IL-10、またはそのバリアントであり、より好ましくは、IL10は、配列番号1、3、7、9または10から選択される配列を含む単量体であり;
「X1」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X2」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、X1が、VLである場合、X2は、VHであるか、またはX1が、VHである場合、X2は、VLであり、好ましくは、VHおよびVL領域は、ヒト抗エボラ抗体から得られるscFvであり、VHおよびVL領域は、第2の抗体由来の6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)でグラフト化され;
「Z」は、IL-10以外の任意のサイトカイン、好ましくは、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、GM-CSF、G-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TGF-β、またはTNF-α、TNF-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、またはIL-13であり;
「n」は、1~2から選択される整数である)
を有する構造である。
好ましい一実施形態では、IL-10は、配列番号10のアミノ酸31位および75位に置換を含む、DV07と称される高親和性バリアントである。別の実施形態では、VHおよびVL領域は、固形腫瘍または血液腫瘍の表面で見出されるTAAに結合することができる、任意のモノクローナル抗体から得られるscFvである。別の態様では、scFvは、VEGFR2に対する抗体から得られる。一態様では、scFvは、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体から得られ、ここで、抗エボラ抗体の6つのCDR(VHの3つおよびVLの3つ)は、必要に応じて、TAAに結合することができる任意のモノクローナル抗体由来の6つのCDRと置き換えられる。別の態様では、scFvは、固形腫瘍または血液腫瘍と関連するTAAに対する特異性を有するCDRでグラフト化されている、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体由来のVHおよびVLフレームワーク領域を含む。一態様では、scFvのVHおよびVL領域は、抗VEGFR2抗体由来の6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)でグラフト化される。さらに別の好ましい実施形態では、第2のサイトカインは、IL-2、より好ましくは、配列番号9である。
【0069】
別の態様では、IL-10を含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、式II
NH-(IL10)-(L)-(X)-(L)-(Z)-(L)-(X)-(L)-(IL10)-COOH
(式中、
「IL-10」は、IL-10単量体、例えば、限定されないが、ヒト、マウス、CMV、EBV IL-10、またはそのバリアントであり;
「L」は、リンカー、好ましくは、配列番号39、40または41のリンカーであり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;
ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり、XおよびXは、一緒に、scFvであり;
「Z」は、第2のサイトカインであり、ここで、第2のサイトカインは、IL-10以外のサイトカインであり;
「n」は、1~2から選択される整数である)
を有する構造である。
好ましい一態様では、IL-10は、配列番号10のアミノ酸31位および75位に置換を含む、DV07と称される高親和性バリアントである。別の実施形態では、VHおよびVL領域は、固形腫瘍または血液腫瘍の表面で見出されるTAAに結合することができる、任意のモノクローナル抗体から得られるscFvである。別の態様では、scFvは、VEGFR2に対する抗体から得られる。一態様では、scFvは、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体から得られ、ここで、抗エボラ抗体の6つのCDR(VHの3つおよびVLの3つ)は、必要に応じて、TAAに結合することができる任意のモノクローナル抗体由来の6つのCDRと置き換えられる。別の態様では、scFvは、固形腫瘍または血液腫瘍と関連するTAAに対する特異性を有するCDRでグラフト化されている、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体由来のVHおよびVLフレームワーク領域を含む。一態様では、scFvのVHおよびVL領域は、抗VEGFR2抗体由来の6つのCDR(VH由来の3つおよびVL由来の3つ)でグラフト化される。さらに別の好ましい実施形態では、第2のサイトカインは、IL-2、より好ましくは、配列番号9である。
【0070】
一実施形態では、IL-10単量体は、ヒト(配列番号1)、CMV(配列番号5)、EBV(配列番号3)またはマウス(配列番号7)を含む、IL-10の任意の形態を含む。別の実施形態では、IL-10単量体は、米国特許第10,858,412号に記載されているものを含む、EBV IL-10(配列番号3)の改変されたまたはバリアント形態である。好ましい実施形態では、EBV IL-10は、アミノ酸31位および75位に、配列番号3における2つの置換を含む(「DV07」)。さらに別の実施形態では、IL-10単量体は、配列番号1、3、7または10の配列である。IL-10またはIL-10バリアント分子の第1および第2の単量体は、図2に表されるように、融合タンパク質の末端にそれぞれ位置する(すなわち、アミノ末端の第1の単量体およびカルボキシ末端の第2の単量体)。
【0071】
別の態様では、本開示は、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはBiTEと組み合わせて、式(III)のIL-12ダイアキンを使用する方法に関する。
【0072】
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式IIIa);
【0073】
NH-(R)-(X)-(Z)-(X)-(R)-COOH(式IIIb);
(式中、
「R」は、任意の多サブユニットの第1のサイトカイン由来のアルファサブユニット、好ましくは、IL-12-アルファサブユニット(p35)またはIL-27アルファサブユニット(p28)のいずれか、より好ましくは、配列番号45または47のサブユニットであり;
「R」は、任意の多サブユニットの第1のサイトカイン由来のベータサブユニット、好ましくは、IL-12-ベータサブユニット(p40)またはIL-27ベータサブユニット(EBI3)のいずれか、より好ましくは、配列番号46または48のサブユニットであり;
ここで、Rが、第1のサイトカインのアルファサブユニットである場合、Rは、第1のサイトカインのベータサブユニットであるか;またはRが、p35である場合、Rは、p40であるか;またはRが、p28である場合、Rは、EBI3であるか;またはRが、配列番号45もしくは47である場合、Rは、配列番号46もしくは48であるか;またはRが、配列番号46もしくは48である場合、Rは、配列番号45もしくは47であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり;
「Z」は、多サブユニットのサイトカインの生物学的機能を増強する任意のサイトカイン、好ましくは、IFNa-2a、IL-28、IL-29であり、
「n」は、1~2から選択される整数であり、
第1のモノクローナル抗体は、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAに対する特異性を有する第2の抗体由来のCDRでグラフト化されている抗エボラ抗体である)
【0074】
さらに別の態様では、本開示は、TAAを標的化する操作された免疫細胞またはBiTEと組み合わせて、式(IV)の2つの多サブユニットサイトカイン、例えば、IL12、IL-27、またはIL-10を有するダイアキンを使用する方法であって、前記ダイアキンが、式(IV):
NH-(R)-(L)-(X)-(L)-(W)-(L)-(W)-(L)-(X)-(L)-(R)-COOH(式IV);
(式中、
「R」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第1の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p40であり;
「R」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のベータアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第2の単量体であり、ここで、Rは、好ましくは、p35であり;
「L」は、任意のリンカー;好ましくは、配列番号43または44であり;
「L」は、任意のリンカー;好ましくは、配列番号GGGSGGGまたは配列番号42であり;
「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVLまたはVH領域であり;「X」は、第1のモノクローナル抗体から得られるVHまたはVL領域であり;ここで、Xが、VLである場合、Xは、VHであるか、またはXが、VHである場合、Xは、VLであり;
「W」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第1の単量体、好ましくは、IL-10の第1の単量体であり;
「W」は、第1のサイトカイン、例えば、IL-12もしくはIL-27のベータアルファサブユニット、またはホモ二量体サイトカイン、例えば、IL-10の第2の単量体、好ましくは、IL-10の第2の単量体であり、
第1のモノクローナル抗体は、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMA、またはPSAに対する特異性を有する抗体由来のCDRでグラフト化されている)
である、方法に関する。
【0075】
VHおよびVL領域は、抗体、抗体断片、またはその抗原結合性断片由来である。抗原結合性断片としては、限定されるものではないが、scFv、Fab、F(ab’)、V-NAR、ダイアボディまたはナノボディが挙げられる。好ましくは、VHおよびVLは、一本鎖可変断片(「scFv」)由来である。ある態様では、scFvは、ヒトモノクローナル抗エボラ抗体から得られる。別の態様では、scFvは、抗エボラ抗体由来のフレームワーク領域、および固形腫瘍または血液腫瘍の表面で発現される任意のTAAに特異的なモノクローナル抗体由来の6つのCDR(3つのVHおよび3つのVL)を含む。scFv抗体またはグラフト化可能なCDRは、VEGFR2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、IL-22R1、BCMA、CLL01、CD5、CD147、lLMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TACI、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、PD-1、PDL-1、HER2、HER3、EpCAM、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、MESO、PSCA、PSMA、BCMAもしくはPSAに特異的な抗体、またはその多標的化形態から選択されるモノクローナル抗体から得られる。
【0076】
別の態様では、IL-10、IL-12またはIL-27を含むダイアキンは、単一抗体由来のVHおよびVL対を含む。VHおよびVL対は、IL-10またはそのバリアントの単量体が付着し得る足場として作用し、その結果、IL-10またはそのバリアントの単量体は、機能するIL-10分子にホモ二量体化することが可能であり得る。したがって、当業者は、融合タンパク質において使用されるVHおよびVL足場が、IL-10単量体もしくはIL-10単量体バリアントの適正なホモ二量体化および/またはVHおよびVL標的化能力を維持する切望に必要な、所望の物理的特質に基づいて選択され得ることを認識するであろう。同様に、当業者はまた、VHおよびVL対内の6つのCDR(VH由来の3つのCDRおよびVL由来の3つのCDR)も、他の抗体由来の6つのCDRで置換されて、特異的な標的化融合タンパク質が得られ得ることを理解するであろう。一実施形態では、任意のモノクローナル抗体のVH由来の3つのCDRおよびVL由来の3つのCDR(すなわち、VHおよびVL対)は、配列番号12または15を含む足場システムにグラフト化され得る。配列番号12または15に記載される足場システムは、ダイアキンとして製造される場合、分子のVHおよびVL部分のヒンジ領域内で連結された第2のサイトカインも含む。二重サイトカイン融合タンパク質が任意の特異的抗原を標的にすることが意図されない場合、VHおよびVL対は、任意の特定の抗原を標的化しない足場(またはin vivoで低存在量の抗原である)、例えば、抗HIVおよび/または抗エボラ抗体由来のVHおよびVL対として選択され得ることも想定される。そのため、ある実施形態では、本出願のIL-10融合タンパク質は、ヒト抗エボラ抗体由来のVHおよびVL対、より好ましくは、配列番号12または15において見出されるVHおよびVL配列を含み得る。融合タンパク質は、1~4つの範囲の可変領域を含み得る。別の実施形態では、可変領域は、同じ抗体由来、または少なくとも2つの異なる抗体由来であり得る。
【0077】
別の態様では、抗体可変鎖、またはVHおよびVL対、またはVHおよびVL対の6つのCDRの標的特異性としては、限定されるものではないが、タンパク質、細胞受容体および/または腫瘍関連抗原を標的化するものが挙げられ得る。別の実施形態では、任意のVHおよびVL対由来のCDR領域は、上記に記載される足場システムにグラフト化され得、そのような足場は、好ましくは、Debo(図1に概略的に表される)と呼ばれるシステムを含み、それによって、IL-10単量体は、ヒト抗エボラ抗体のVHおよびVL領域を含むscFvに連結され、第2のサイトカインは、scFvのヒンジ領域に連結される(図2に概略的に表される)。より好ましくは、Debo足場システムへのグラフト化は、配列番号12または15の配列を含む足場において起こる。さらに別の実施形態では、可変領域、またはVHおよびVL対、またはVHおよびVL対の6つのCDRは、さまざまな疾患(例えば、がん)、または健康な対象の血清において典型的に見出されないか、もしくはまれに見出されるものと関連する抗原を標的化する抗体、例えば、EGFR、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、Her2Neu、FGFR、GPC3、または他の腫瘍関連抗原、MAdCAM、ICAM、VCAM、CD14、または他の炎症関連細胞表面タンパク質、HIVおよび/またはエボラに対する抗体由来の可変領域から得られる。そのため、一実施形態では、可変領域は、例えば、抗EGFR、抗MAdCAM、抗HIV(Chan et al, J. Virol, 2018, 92(18):e006411-19)、抗ICAM、抗VCAM、抗CD14、または抗エボラ(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0180614号、特に、表2、3および4に記載されるmAb)抗体から得られるか、またはそれに由来する。別の実施形態では、可変領域は、IL-10およびIL-2がその生物学的効果を誘発することが可能であるように、特異的標的領域に対するサイトカイン、例えば、IL-10およびIL-2の濃度を濃縮することができる抗体から得られるか、またはそれに由来する。そのような抗体は、ある特定の罹患した領域における過剰発現もしくは上方調節された受容体もしくは抗原を標的化するもの、またはある特定の影響を受けた領域において特異的に発現されるものを含み得る。例えば、可変領域は、2~3例を挙げると、上皮増殖因子受容体(EGFR);CD52;CD14;さまざまな免疫チェックポイント標的、例えば、限定されるものではないが、PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3またはCTLA4;CD20;CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCAM、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;およびSR-J1に特異的な抗体から得られ得る。他の可変領域は、CD3、CD4、CD5、CD7、CD19、CD22、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、B細胞突然変異抗原(BCMA)、C型レクチン様分子1(CLL01)、潜在膜タンパク質1(LMP-1)、シグナル伝達リンパ活性化分子F7(SLAMF7)、NY-ESO-1、膜貫通活性化因子およびCAML相互作用物質(TACI)、CS-1、CXCR4、NKG2D、B7-H3、EGFR、HER3、EpCAM、メソテリン、PSCA、MUC1、ルイスY、GPC3、AXL、クローディン18.2、GD2、CTLA-4、CEA、PDGFR、メソテリン(MESO)、PSCA、PSAに特異的な抗体から得られるものを含み得る。IL-10(例えば、ヒト、CMVまたはEBV)またはバリアントIL-10分子の単量体(本明細書に記載)は、単量体IL-10またはバリアントIL-10分子が互いと二量体化することが可能であるように、可変領域(VHまたはVL)のアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにコンジュゲートされる。好ましい実施形態では、IL-10(またはバリアントIL-10)の単量体は、式IまたはIIに従って、VHおよびVL対に融合され、ここで、IL-10単量体は、IL-10のEBV IL-10、DV05、DV06、またはDV07形態である。
【0078】
ダイアキン、二重サイトカイン融合タンパク質または二重サイトカイン融合タンパク質複合体はまた、抗原標的化機能を有し得る。ダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質または二重サイトカイン融合タンパク質複合体は、一緒に会合して、抗原結合部位またはABSを形成することが可能であるVHおよびVL対を含む。一部の配置では、IL-10単量体またはそのIL-10バリアント単量体は、抗原結合部位を含む末端に共有結合的に連結される。可変領域は、対象における抗原性を低減する1つまたは複数のアミノ酸を変更することによって、さらに改変されていてもよい(例えば、付加、サブトラクション、または置換によって)。可変領域への他の改変は、VHおよびVL領域の6つのCDR領域の外側で見出され、scFvのVHおよびVL領域の安定性および発現を増加させる役割を果たす、アミノ酸の置換、欠失または付加を含み得る。例えば、改変は、CDR領域が、抗EGFRまたは抗VEGFR1または抗VEGFR2抗体のVHおよびVL領域から得られ、CDR外の領域が、scFvを安定化するように最適化され、および/または発現を増加させるように最適化されている改変を含み得、これは、scFvのVHおよびVL領域の間の第2のサイトカインの連結に基づいて使用され得る。これらの種類の改変が当業者の範囲内であることを実証するために、CDR領域およびCDR外の領域への類似の改変を、DV07を含み、ヒトHER2を標的化するDK210形態(すなわち、DK210her2)の分子、例えば、配列番号52~54、または55、より好ましくは、配列番号21(バリアント4)または23(バリアント5)に記載されるものに対して行った。これらのおよび他の改変を、DV07を含み、ヒトVEGFR1またはVEGFR2Aを標的化するDK210形態の分子に対しても行い得、当業者は、scFvを安定化する、および/または発現の目的のために配列を最適化するための他の改変を決定することができるであろう。
【0079】
VHおよびVL対は、複数の抗体について得られたCDR領域がグラフトまたはグラフト化され得る、足場を形成する。そのような抗体CDR領域は、公知のおよび上記に記載の抗体を含む。上記に記載されるVHおよびVL足場におけるCDR領域は、CDRグラフト化/挿入に利用可能な以下の番号のアミノ酸位置を含む。
【表A】
好ましい実施形態では、IL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質は、VHおよびVL対が、抗エボラ抗体(例えば、配列番号19に記載されるもの)に由来し、それによって、抗エボラ抗体由来の6つのCDR領域が除去され、特異的標的抗体、例えば、限定されるものではないが、EGFR;CD52;CD14;さまざまな免疫チェックポイント標的、例えば、限定されるものではないが、PD-L1、PD-1、TIM3、BTLA、LAG3またはCTLA4;CD19、CD20;CD22、CD47;GD-2;VEGFR1;VEGFR2;HER2;PDGFR;EpCAM;ICAM(ICAM-1、-2、-3、-4、-5)、VCAM、CD14、FAPα;5T4;Trop2;EDB-FN;TGFβ Trap;MAdCam、β7インテグリンサブユニット;α4β7インテグリン;α4インテグリンSR-A1;SR-A3;SR-A4;SR-A5;SR-A6;SR-B;dSR-C1;SR-D1;SR-E1;SR-F1;SR-F2;SR-G;SR-H1;SR-H2;SR-I1;およびSR-J1のVHおよびVL対でグラフト化される、以前に記載された足場IL-10融合タンパク質を含む。ある実施形態では、6つの抗エボラCDR領域は、抗EGFR、抗MAdCAM、抗VEGFR1、抗VEGFR2、抗PDGFR、または抗CD14、抗CD19、抗CD20、抗CD22、より好ましくは、抗VEGFR2抗体由来の6つのCDR領域で置換される。
【0080】
さらに別の態様では、第2のサイトカインは、図2に表されるように、scFvのVHおよびVLの間で融合される。第2のサイトカインは、第2のサイトカインがその機能的性質を保持するように、scFvのVHまたはVL領域の間でコンジュゲートされるか、融合されるか、または連結される。一実施形態では、第2のサイトカインは、IL-10単量体とは異なる。別の実施形態では、第2のサイトカインは、IL-10である。一実施形態では、第2のサイトカインは、IL-6、IL-4、IL-1、IL-2、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-15、IL-17、IL-21、IL-26、IL-27、IL-28a、IL28b、IL-29、TSLP、GM-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、-β、-γ、TGF-β、もしくは腫瘍壊死因子-α、-β、塩基性FGF、EGF、PDGF、IL-4、IL-11、もしくはIL-13、またはそのバリアントもしくはムテイン、例えば、限定されるものではないが高、中および低受容体親和性バリアントである。好ましい実施形態では、IL-10を含むダイアキンにおける第2のサイトカインは、IL-2である。より好ましい実施形態では、ダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、DK210形態であり、ここで、IL-10単量体は、DV07;ヒト抗エボラ抗体由来のVHおよびVLフレームワーク領域を含む足場システム(すなわち、Debo)に連結されたIL-10バリアント分子であり、抗EGFR、抗HER2、抗CD14、抗VEGFR1、抗VEGFR2、抗MAdCAM、または抗PDGFR、抗Cd19、抗Cd20、抗CD22、抗CD3、抗CD4、抗CD5、抗CD7、抗CD25、抗CD30、抗CD33、抗CD34、抗CD38、抗CD40、抗CD52、抗CD56、抗CD70、抗CD79B、抗CD117、抗CD123、抗CD138、抗CD147、抗B細胞突然変異抗原(BCMA)、抗C型レクチン様分子1(CLL01)、抗CD5、抗CD147、抗潜在膜タンパク質1(LMP-1)、抗シグナル伝達リンパ球活性化分子F7(SLAMF7)、抗NY-ESO-1、抗膜貫通活性化因子およびCAML相互作用物質(TACI)、抗CS-1、抗CXCR4、抗NKG2D、抗B7-H3、抗PD-1、抗PDL-1、抗HER3、抗EpCAM、抗メソテリン、抗PSCA、抗MUC1、抗ルイスY、抗GPC3、抗AXL、抗クローディン18.2、抗GD2、抗CTLA-4、抗CEA、抗メソテリン(MESO)、抗PSCA、または抗PSAから選択される抗体から得られるCDRによるグラフト化、ならびにVHおよびVL対のヒンジ領域に連結されている、IFNα、IL2、IL7、IL15、IL21、IL28、IL29、またはその高、中もしくは低親和性バリアントから選択される第2のサイトカインをさらに含む。最も好ましい実施形態では、ダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、DV07を含むDK210形態の融合タンパク質であり、抗VEGFR2抗体由来の6つのCDRでグラフト化されている。
【0081】
別の態様では、ダイアキンは、下記の表1に示される、第1のサイトカイン(またはその高親和性バリアント)、第2のサイトカイン(またはその高親和性バリアント)、および標的化scFv(またはモノクローナル抗体から得られ、抗エボラ抗体から得られたフレームワーク領域にグラフト化されたCDR)の組合せである。
【表1-1】
【表1-2】
【0082】
他の態様では、可能性があるダイアキン、またはダイアキンの少なくとも1つおよびTAA標的化された操作された免疫細胞、ACT、またはBiTEの組合せを使用する方法は、以下の表2a~2e)にリストされるものを含む。
【表2a】
【表2b】
【表2c-1】
【表2c-2】
【表2d-1】
【表2d-2】
【表2e-1】
【表2e-2】
【0083】
さらに他の態様では、IL-10、IL-12またはIL-27を含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、リンカーを組み込んでいる。当業者には、リンカーまたはスペーサーを使用して、さまざまな融合タンパク質の部分の適正な空間的配置を達成し、したがって、IL-10を含む二重サイトカイン融合タンパク質の形成において使用するための適切なリンカーを選択し得ることが公知である。より好ましい実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、抗体のランダムなアミノ酸配列(例えば、配列番号39~44)または定常領域であり得る。定常領域は、限定されるものではないがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgDまたはIgEに由来し得る。一実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、定常重(「CH」)領域1、CH、またはCHである。別の態様では、リンカーまたはスペーサーは、少なくとも2つの鎖間ジスルフィド結合をさらに含み得る。
【0084】
他の態様では、本開示は、IL-10、IL-12またはIL-27、および第2のサイトカインを含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。これらの核酸分子は、米国特許出願第17/110,104号に記載されている。IL-10および第2のサイトカインを含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列はまた、記載される二重サイトカイン融合タンパク質の機能的性質を変更しない改変を含んでいてもよい。そのような改変は、従来の組換えDNA技法および方法を用いる。例えば、特定のアミノ酸配列の付加または置換を、合成オリゴヌクレオチドを用いる部位特異的突然変異誘発法を使用して、核酸(DNA)レベルで、IL-10配列に導入してもよく、この方法も、当技術分野において周知である。好ましい実施形態では、IL-10および第2のサイトカインを含む二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸分子は、IL-10バリアント分子の機能性を変更しない、挿入、欠失または置換(例えば、コードを変性する)を含んでいてもよい。IL-10、IL-12、IL-27バリアントおよび/または本明細書に記載される融合タンパク質全体をコードするヌクレオチド配列は、遺伝コードの縮重に起因してアミノ酸配列とは異なっていてもよく、前述の配列に対して、70~99%、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相同であってもよい。したがって、本開示の実施形態は、配列番号35、46~58または59のタンパク質をコードするが、遺伝コードの縮重に起因して70~99%異なる、核酸配列を含む。
【0085】
本明細書に記載されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、例えば、タンパク質の発現、産生または分泌に役立つ、周知の配列をさらに含んでいてもよい。そのような配列は、例えば、リーダー配列、シグナルペプチド、および/または翻訳開始部位/配列(例えば、コザックコンセンサス配列)を含んでいてもよい。本明細書に記載されるヌクレオチド配列はまた、さまざまな発現系/ベクターへの挿入を可能にする、複数の制限酵素部位の1つを含んでいてもよい。
【0086】
別の態様では、二重サイトカイン融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、遺伝子治療において直接使用されてもよい。一実施形態では、本出願のバリアントIL-10、IL-12もしくはIL-27分子、または融合タンパク質は、突然変異体IL-10、IL-12またはIL-27タンパク質の直接投与、および突然変異体IL-10タンパク質をコードするベクターを用いる遺伝子治療を含む、当技術分野において公知の任意の方法によって送達することができる。遺伝子治療は、プラスミドDNA、またはウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを使用して達成されてもよい。一部の実施形態では、本出願のウイルスベクターは、ウイルス粒子として投与され、また、それらは、プラスミドとして(例えば、「ネイキッド」DNAとして)投与される。
【0087】
ヌクレオチド配列の送達のための他の方法としては、当技術分野において既に公知であるものが挙げられる。これらには、細胞透過性ペプチド、疎水性部分、静電複合体、リポソーム、リガンド、リポソームナノ粒子、リポタンパク質(好ましくは、HDLまたはLDL)、葉酸標的化リポソーム、抗体(例えば、葉酸受容体、トランスフェリン受容体)、標的化ペプチドによる、またはアプタマーによる、IL-10またはIL-10バリアント分子をコードするヌクレオチド配列、例えば、限定されるものではないが、DNA、RNA、siRNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、またはそのバリアントの送達が含まれるであろう。IL-10、IL-12またはIL-27バリアント分子をコードするヌクレオチド配列は、直接注射、注入、パッチ、包帯、ミストもしくはエアロゾルによって、または薄膜送達によって、対象に送達されてもよい。ヌクレオチド(またはタンパク質)は、サイトカイン刺激の標的化送達に望ましい任意の領域に対するものであってもよい。これらには、例えば、肺、GI管、皮膚、肝臓、頭蓋内注射による脳、超音波ガイド注射を介した深在性転移性腫瘍病変が含まれるであろう。
【0088】
別の態様では、本開示は、IL-10、IL-12またはIL-27を含むダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質を調製および精製する方法に関する。例えば、本明細書に記載されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質をコードする核酸配列を使用して、融合タンパク質を組換えにより産生させてもよい。例えば、従来の分子生物学およびタンパク質発現技法を使用して、本明細書に記載されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質は、哺乳動物細胞系から発現および精製され得る。これらの系は、周知の真核細胞発現ベクター系および宿主細胞を含む。各種の好適な発現ベクターが、使用され得、当業者に周知であり、これは、バリアントIL-10、IL-12またはIL-27分子、および融合タンパク質の発現および導入のために使用することができる。これらのベクターとしては、例えば、pUC型ベクター、pBR型ベクター、pBI型ベクター、pGA型、pBinl9、pBI121、pGreenシリーズ、pCAMBRIAシリーズ、pPZPシリーズ、pPCV001、pGA482、pCLD04541、pBIBACシリーズ、pYLTACシリーズ、pSB11、pSB1、pGPTVシリーズ、およびウイルスベクターなどが挙げられ、それを使用することができる。周知の宿主細胞系としては、限定されるものではないが、CHO細胞における発現が挙げられる。
【0089】
ダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質を保持する発現ベクターはまた、ベクターの機能性のために必要な他のベクターの構成部品を含んでいてもよい。例えば、ベクターは、二重サイトカイン融合タンパク質の適正な複製および発現に必要な、シグナル配列、タグ配列、プロテアーゼ特定配列、選択マーカー、および他の配列調節配列、例えば、プロモーターを含んでいてもよい。ベクターにおいて利用される特定のプロモーターは、それらが各種の宿主細胞型において二重サイトカイン融合タンパク質の発現を駆動することができる限り、特に限定されない。同様に、タグプロモーターの種類は、タグ配列が発現されるバリアントIL-10分子の精製をより簡単にまたはより容易にする限り、限定されない。これらには、例えば、6-ヒスチジン、GST、MBP、HAT、HN、S、TF、Trx、Nus、ビオチン、FLAG、myc、RCFP、GFPなどが含まれ、それを使用することができる。プロテアーゼ認識配列は、例えば、認識配列、例えば、第Xa因子、トロンビン、HRV、3Cプロテアーゼに特に限定されず、それを使用することができる。選択マーカーは、これらが形質転換されたコメ植物細胞、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を検出することができる限り、特に限定されず、それを使用することができる。
【0090】
本明細書に記載されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質はまた、製造プロセスの間に、融合タンパク質の回収または精製に役立つ追加のアミノ酸配列を含んでいてもよい。これらとしては、さまざまな配列改変または親和性タグ、例えば、限定されるものではないが、プロテインA、アルブミン結合タンパク質、アルカリホスファターゼ、FLAGエピトープ、ガラクトース結合タンパク質、ヒスチジンタグ、および当技術分野において周知である任意の他のタグが挙げられ得る。例えば、Kimple et al(その全体が参照により本明細書に組み込まれるCurr. Protoc. Protein Sci., 2013, 73:Unit 9.9, Table 9.91)を参照されたい。一態様では、親和性タグは、6ヒスチジンのアミノ酸配列を有するヒスチジンタグである。ヒスチジンタグは、最終生成物から除去され得るか、またはそのまま残され得る。別の実施形態では、融合タンパク質に(例えば、本明細書に記載される融合タンパク質のVH領域に)組み込まれる親和性タグは、プロテインA改変である。当業者は、本明細書に記載される任意の二重サイトカイン融合タンパク質配列が、当技術分野で記載されている抗体フレームワーク領域内にアミノ酸点置換を挿入することによって、プロテインA改変を組み込むように改変され得ることを理解するであろう。
【0091】
別の態様では、二重サイトカイン融合タンパク質をコードするタンパク質および核酸分子は、治療有効量の二重サイトカイン融合タンパク質および薬学的担体および/または薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として製剤化されてもよい。医薬組成物は、一般に使用される緩衝剤、賦形剤、保存剤、安定剤とともに製剤化されてもよい。二重サイトカイン融合タンパク質を含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤と混合される。さまざまな薬学的担体は、当技術分野において公知であり、医薬組成物において使用され得る。例えば、担体は、本出願の二重サイトカイン融合タンパク質組成物を患者に送達するのに好適な、任意の適合性の非毒性物質であり得る。好適な担体の例としては、一般的な生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液およびハンクス液が挙げられる。担体はまた、限定されるものではないが、2900(L64)、3400(P65)、4200(P84)、4600(P85)、11,400(F88)、4950(P103)、5900(P104)、6500(P105)、14,600(F108)、5750(P123)、および12,600(F127)の分子量を有するものを含む、当業者に一般に公知の任意のポロキサマーを含んでいてもよい。担体としては、2~3例を挙げると、限定されるものではないが、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80を含む、乳化剤も挙げられ得る。非水性担体、例えば、固定油およびオレイン酸エチルも使用され得る。担体はまた、添加剤、例えば、等張性および化学的安定性を増強する物質、例えば、緩衝剤および保存剤を含んでいてもよく、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences and U.S. Pharmacopeia: National Formulary, Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1984)を参照されたい。治療剤および診断剤の製剤は、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液または懸濁液の形態の、生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することによって調製され得る。
【0092】
医薬組成物は、所望の治療結果を提供するために十分な治療有効量で患者への投与のために製剤化される。好ましくは、そのような量は、最小限の負の副作用を有する。一実施形態では、投与される二重サイトカイン融合タンパク質の量は、炎症性疾患または状態を処置または予防するために十分である。別の実施形態では、投与される二重サイトカイン融合タンパク質の量は、免疫疾患または障害を処置または予防するために十分である。さらに別の実施形態では、投与されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質の量は、がんを処置または予防するために十分である。投与される量は、患者間で変わり得、対象または患者の疾患または状態、患者の健康全般、投与の方法、副作用の重症度などを考慮することによって、決定することが必要である。
【0093】
特定の患者に対する有効量は、処置される状態、患者の健康全般、投与の経路の方法および用量、ならびに副作用の重症度などの要因に応じて変わり得る。患者に投与される適切な用量は、典型的には、当技術分野において処置に影響を及ぼすことが公知もしくは疑われているか、または処置に影響を及ぼすと予測されるパラメーターまたは要因を使用して、臨床医によって決定される。一般に、用量は、いくらか最適用量未満の量で開始し、これは、その後、所望のまたは最適な効果が任意の負の副作用と比べて達成されるまで、小さな増分で増加させる。重要な診断尺度としては、例えば、炎症の症状、または産生される炎症性サイトカインのレベルが挙げられる。
【0094】
本記載の二重サイトカイン融合タンパク質の投薬を決定するための方法は、米国特許第10,858,412号に記載されるものと実質的に類似している。一般に、本記載の二重サイトカイン融合タンパク質は、0.5マイクログラム/キログラム~100マイクログラム/キログラムの範囲の投薬を有する。二重サイトカイン融合タンパク質は、毎日、1週間に3回、1週間に2回、毎週、隔月または毎月投与されてもよい。治療薬の有効量は、症状を緩和することによって、炎症または疾患または状態のレベルに影響を与える。例えば、影響は、疾患または状態が、軽減または完全に処置されるように、少なくとも10%;少なくとも20%;少なくとも約30%;少なくとも40%;少なくとも50%;またはそれよりも高い影響のレベルを含み得る。
【0095】
本出願の組成物は、経口投与することができ、または身体に注射することができる。経口使用のための製剤はまた、胃腸管においてバリアントIL-10分子をプロテアーゼからさらに保護する化合物を含むことができる。注射は、通常、筋肉内、皮下、皮内または静脈内である。あるいは、関節内注射または他の経路を、適切な状況で使用することができる。非経口的に投与される二重サイトカイン融合タンパク質は、好ましくは、薬学的担体および/または薬学的に許容される賦形剤と共同して、単位投薬量の注射形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化される。他の実施形態では、本出願の組成物は、埋め込み可能または注射可能な薬物送達システムによって患者の身体に導入され得る。
ダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質の試験
【0096】
複数のスクリーニングアッセイが、所望の生物学的機能について試験するために、当業者に公知であり、利用可能である。一実施形態では、所望の生物学的機能としては、限定されるものではないが、抗炎症応答の低減、T細胞刺激の低減、T細胞機能の増強、クッパー細胞機能の増強および肥満細胞脱顆粒の低減が挙げられる。
【0097】
例えば、IL-10曝露が、T細胞をプライミングして、T細胞受容体刺激の際により多くのIFNγを発生および分泌することが公知である。同時に、IL-10曝露は、LPSに応答して単球/マクロファージから分泌されるTNFα、IL-6および他の炎症促進性サイトカインの分泌を防止する。IL-10は、FoxP3CD4reg増殖も抑制する。一実施形態では、刺激性および抑制性応答の両方を含むT細胞効果を欠くが、単球/マクロファージ抑制を最大化する二重サイトカイン融合タンパク質は、陽性選択される。一実施形態では、抗炎症効果の増加を持つ二重サイトカイン融合タンパク質についてのスクリーニングは、自己免疫疾患、抗炎症疾患、またはその両方の処置のために、陽性選択される。さらに別の実施形態では、刺激性および抑制性応答の両方を含む、T細胞生物学を最大化し、クッパー細胞捕捉の増強も持つ、二重サイトカイン融合タンパク質は、がんの処置について開発するために選択される。二重サイトカイン融合タンパク質のさまざまなアッセイおよびスクリーニングの方法は、同時係属中の米国特許第10,858,412号に以前に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願第16/811,718号の明細書第39~42頁を参照されたい。
組換えにより操作された細胞またはACT
【0098】
一態様では、本明細書に開示される方法は、ダイアキンとACT療法の組合せを含み、例えば、限定されるものではないが、組換えにより操作された細胞としては、キメラ抗原受容体(CAR)、TCRまたは機能的非TCR、TIL、NK細胞、好ましくは、固形腫瘍と関連するTAAを標的化するCAR-Tの形態の組換え抗原受容体が挙げられる。一部の実施形態では、抗原受容体は、TAA抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0099】
典型的な組換えにより発現されるCARまたはTCRは、細胞外抗原認識ドメイン(「EARD」)として、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。
【0100】
EARDは、タンパク質、ポリペプチドまたは炭水化物に特異的であり得る。TAAを標的化するEARDが、がんを処置するために特に有用である。例えば、EARDは、TAA、例えば、限定されるものではないが、EGFR、VEGFR1、VEGFR2、EGP-2、EGP-4、OEPHa2、ErbB2、3もしくは4、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CD3、CD4、CD5、CD7、CD23、CD24、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、BCMA、CLL01、LMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TCAI、CS-1、CCR4、ROR1、tEGFR、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、FBP、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子、MAGE-ALメソテリン、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、またはサイクリンを標的化し得る。当業者は、EARDを含む組換えにより操作された細胞が、処置される腫瘍またはがんによって決まることを認識するであろう。したがって、当業者は、がんを標的化するために、適切なEARDを有する適切なCAR-TまたはTCR-Tを選択することができる。
【0101】
CARまたはTCRの膜貫通ドメインは、人工疎水性領域、またはEARDもしくは一般に周知の膜貫通ドメインと通常関連するものである。これらとしては、限定されるものではないが、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはTCRのアルファ、ベータもしくはゼータ鎖由来のドメインが挙げられる。
【0102】
当業者はまた、一般に、CAR-TまたはTCR-T細胞の細胞内ドメインが、以下の細胞内シグナル伝達ドメイン:ITAM(例えば、CD3-ゼータ「CD3ζ」)、共刺激ドメインI(「CM1」)(例えば、CD28、CD134、CD137/4-1BBまたはICOS)、および/または共刺激ドメインII(「CMII」)(例えば、CD134またはCD137/4-1BB)の1つまたは複数を含むことも認識するであろう。
【0103】
組換えにより操作された細胞は、CD4+またはCD8+ T細胞を含む、T細胞であり得る。他の態様では、T細胞は、自家または同種細胞のいずれか、好ましくは、自家である。一部の実施形態では、CD4+細胞のCD8+細胞に対する比は、約1:5~約5:1である。一部の実施形態では、CD4+細胞のCD8+細胞に対する比は、約1:2~約2:1である。一部の実施形態では、細胞の用量は、それぞれ包含的に、約0.2×106個細胞/対象の体重kg~約6×106個細胞/kg、約0.5×106個細胞/対象の体重kg~約3×106個細胞/kg、約0.75×106個細胞/kg~約2.5×106個細胞/kg、または約1×106個細胞/kg~約2×106個細胞/kgを含む。
二重特異性モノクローナル抗体
【0104】
一態様では、本明細書に開示される方法は、Dikaineと二重特異性モノクローナル抗体(BSMab)の組合せを含む。BSMabは、一般に、当技術分野において公知であり、限定されないが、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、タンデム一本鎖可変断片(taFv)、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、トリプルボディもしくは四価抗体またはその断片、二重親和性再標的化抗体(DART)、あるいはTrident技術が挙げられる。BSMabの代表的な例としては、BiTEが挙げられ、これは、2つの異なる抗原決定基または標的をエンゲージすることができる二重特異性モノクローナル抗体である場合を広く記載する。慣例的に、BiTEは、2つのscFv分子から構成され、ここで、第1のscFvは、ポリクローナル免疫細胞(例えば、CD8+もしくはCD4+ T細胞またはNK細胞)を認識することができ、第2のscFvは、腫瘍抗原標的またはTAAを認識することができる。これは、一般に、T細胞(またはNK細胞)の表面のCD3を認識する第1のscFv、およびTAA、例えば、CD20を認識する第2のscFvを有することによって達成される。
【0105】
一態様では、BiTEは、CD3に対する特異性を有するscFvを含むが、第2のscFvは、血液腫瘍および固形腫瘍の両方の表面で見出される各種のTAAに対する特異性を有し得る。一実施形態では、CD3に特異的な第1のscFvは、EGFR、VEGFR1、VEGFR2、EGP-2、EGP-4、OEPHa2、ErbB2、3もしくは4、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、癌胎児抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、PSMA、Her2/neu、HER3、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CD3、CD4、CD5、CD7、CD23、CD24、CD30、CD33、CD34、CD38、CD40、CD44、CD52、CD56、CD70、CD79B、CD117、CD123、CD138、CD147、BCMA、CLL01、LMP-1、SLAMF7、NY-ESO-1、TCAI、CS-1、CCR4、ROR1、tEGFR、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、B7-H3、PD-1、PD-L1、EpCAM、PSCA、GPC3、AXL、クローディン18.2、CTLA-4、CEA、PSA、MART-1、gp100、腫瘍胎児抗原、ROR1、TAG72、FBP、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子、MAGE-ALメソテリン、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、またはサイクリンに特異的な第2のscFvと組み合わされ得る。一態様では、BSMab(より具体的には、BiTE)は、TAAへの1つの特異性を有するが、ダイアキンは、異なるTAAに対する特異性を有する。例えば、BiTEは、CD3およびCD20に対する特異性を有するBSMabであり得るが、Dikaineは、CD19に特異的なVHおよびVL scFvを有するDK210形態である。
ACTまたはBiTEと組み合わせてダイアキンを使用する、処置およびまたは予防する方法
【0106】
任意の特定の理論に縛られないが、本発明者は、例えば、ダイアキンをVEGFR2に方向付けることによる、腫瘍血管系へのIL-10およびIL-2の両方の標的化が、CAR-T細胞の腫瘍特異的活性化、ならびにDV07(IL-10の高親和性形態)によるサイトカイン放出症候群およびIL-2毒性の直接抑制の両方を通じて毒性を制限しながら、活性化、浸潤および持続を可能にすると考えている。本発明者はまた、米国特許第10,858,412号(構造の代表例として図1も参照されたい)に記載されるように、Dvegfr2DV07における融合タンパク質の単一サイトカインバージョンを使用する、腫瘍血管系へのIL-10単独の標的化も、CAR-T細胞の有効な腫瘍特異的活性化であると考えている。別の実施形態では、類似の理論に基づいて、ダイアキンは、IL-10およびIL-7、またはIL-12およびIL-10、またはIL-10およびIL-15、またはIL-10およびIFN-アルファ、またはIL-10およびIL-21、またはIL-10およびIL-27の組合せを含む。別の理論では、本発明者は、DK210形態のダイアキンが、免疫系をプライミングして、従来のACTまたはBiTE療法の機能を増強または強化することができると考えている。
【0107】
そのため、一態様では、本開示は、悪性腫瘍疾患もしくは状態、またはがんを処置および/または予防する方法であって、ACT、例えば、CAR-T細胞もしくはTCR-T細胞、またはBSMab、例えばBiTEと組み合わせて、治療有効量のIL-10、IL-12、IL-27および第2のサイトカインを含むダイアキンまたは二重サイトイン融合タンパク質を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法に関する。そのような二重サイトカイン融合タンパク質は、好ましくは、上記に記載されたように、DV07の単量体を有し、任意の抗体標的化腫瘍関連抗原(「TAA」)由来のCDRでグラフト化された、DK210 DK710、DK1210、DK1510、DKIFNa10、DK2110またはDK2710形態であり得る。好ましい実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質は、DV07を含むDK210形態である。当業者は、本明細書に記載されるダイアキンまたは二重サイトカイン融合タンパク質の投薬量が、必要により、または所望の結果に応じて、調整され得ることを理解することができるであろう。一態様では、ダイアキンは、およそ0.001~0.25mg/kgの用量、好ましくは、0.01~0.2mg/kgの用量範囲で、それを必要とする患者に投与される。別の態様では、それを必要とする患者に投与される用量は、0.0005~250ng/mL、好ましくは、0.001~200ng/mLの範囲の血清または血漿濃度を達成するのに十分である。
【0108】
当業者は、養子細胞療法(例えば、養子T細胞療法)が、周知であり、以前に記載された手順に従って実行されることを認識するであろう。例えば、米国特許第4,690,915号を参照されたい。これらの方法は、自家移入(すなわち、患者に由来する)または同種移入(すなわち、処置される患者以外の別の対象に由来する)を含み得る。
【0109】
CAR-TまたはTCR-T細胞は、公知の方法によって投与され、慣例的に、養子細胞療法に精通している者によって実行される。一実施形態では、投与方法としては、限定されるものではないが、ボーラス注入、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、眼球後方注射、眼球周囲注射または後部強膜近傍送達が挙げられる。一部の実施形態では、それらは、非経口、肺内、および鼻腔内、または病巣内もしくは腫瘍内投与によって投与される。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が挙げられる。ある特定の一部の実施形態では、組換えにより操作されたCAR-TまたはTCR-Tは、単回ボーラス投与、複数回ボーラスまたは持続注入として投与される。
【0110】
一実施形態では、二重サイトカイン融合タンパク質およびCAR-Tは、別々の後続期間で投与され、ここで、例えば、ダイアキン(例えば、DK210vegfr2)は、組換えにより操作されたCAR-T細胞の投与の前に投与される。他の実施形態では、投与される二重サイトカイン融合タンパク質およびCAR-Tは、同時に投与される。他の実施形態では、ダイアキンは、CAR-T療法の1~3日前に投与され、次いで、CAR-Tと一緒に同時に、および/またはCAR-T投与の1~7日後に投与される。ダイアキンは、1日もしくは1週間に1回、または1週間に2~3回、CAR-Tと組み合わせて、またはそれと併せて投与され得る。別の態様では、ダイアキンは、投与前に、CAR-T細胞の拡大増殖および/または解凍手順において利用される。凍結保存ストックからCAR-T細胞を再構成する際に、CAR-Tは、典型的には、CAR-Tの有益なサイトカイン(例えば、低用量IL-2)の存在下で休ませる。一態様では、CAR-T細胞は、ダイアキンの存在下、凍結保存ストックから、プライミングまたは拡大増殖され得る。一態様では、CAR-Tは、0.001~300ng/mLのダイアキン、より好ましくは、0.01~200ng/mLのダイアキンの存在下、拡大増殖またはプライミングされる。
【0111】
同様に、ダイアキンおよびBiTEは、別々の後続期間で投与され、ここで、ダイアキン(例えば、DK210CD20)は、BiTE(例えば、CD3×CD19 BiTE)の投与の1~3日前に投与される。他の実施形態では、ダイアキンは、BiTEの1~3日前に投与され、次いで、BiTEと一緒に同時に、および/またはBiTE投与の1~7日後に投与される。ダイアキンは、1日もしくは1週間に1回、または1週間に2~3回、BiTEと組み合わせて、またはそれと併せて、投与され得る。
【0112】
他の実施形態では、本開示は、第3の治療剤、例えば、当技術分野において周知である、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、抗炎症剤または放射線療法との共投与または共処置の方法も企図する。これらには、他の治療剤、例えば、限定されるものではないが、1つまたは複数の以下:化学療法剤、インターフェロン-β、例えば、IFNβ-1αおよびIFN-β-1 β;ミエリン塩基性タンパク質を刺激するタンパク質;コルチコステロイド;IL-1阻害剤;TNF阻害剤;抗TNFα抗体、抗IL-6抗体、IL-1br-Ig融合物、抗IL-23抗体、CD40リガンドおよびCD80に対する抗体;IL-12およびIL-23のアンタゴニスト、例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットのアンタゴニスト(例えば、p40サブユニットに対する阻害性抗体);IL-22アンタゴニスト;低分子阻害剤、例えば、メトトレキサート、レフルノミド、シロリムス(ラパマイシン)、およびそのアナログ、例えば、CCI-779;Cox-2およびcPLA2阻害剤;NSAID;p38阻害剤;TPL-2;Mk-2;NFkβ阻害剤;RAGEまたは可溶性RAGE;P-セレクチンまたはPSGL-1阻害剤(例えば、低分子阻害剤、それに対する抗体、例えば、P-セレクチンに対する抗体);エストロゲン受容体ベータ(ERB)アゴニストまたはERB-NFkβアンタゴニストとの組合せ処置を含み得る。
【0113】
加えて、二重サイトカイン融合タンパク質との投与のために有用な組合せ処置としては、例えば、TNFに結合する、キメラ、ヒト化、有効には、ヒト、ヒトもしくはin vitro発生抗体、またはその抗原結合性断片を含むTNF阻害剤;TNF受容体の可溶性断片、例えば、p55もしくはp75ヒトTNF受容体、またはその誘導体、例えば、75kdのTNFR-IgG(75kDのTNF受容体-IgG融合タンパク質、ENBREL(商標))、p55kDのTNF受容体-IgG融合タンパク質;およびTNF酵素アンタゴニスト、例えば、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤が挙げられ得る。抗炎症剤/薬との他の組合せ処置としては、限定されるものではないが、標準的な非ステロイド抗炎症薬(NSAID)およびシクロオキシゲナーゼ2阻害剤が挙げられる。NSAIDとしては、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダクおよび/またはトルメチンが挙げられ得る。本出願による組成物において用いられるシクロオキシゲナーゼ2阻害剤は、例えば、セレコキシブまたはロフェコキシブであり得る。
【0114】
二重サイトカイン融合タンパク質と共投与および/または共製剤化され得る追加の治療剤としては、インターフェロン-β、例えば、IFNβ-1αおよびIFNβ-1β;COPAXONE(登録商標);コルチコステロイド;IL-1阻害剤;TNFアンタゴニスト(例えば、TNF受容体の可溶性断片、例えば、p55もしくはp75ヒトTNF受容体、またはその誘導体、例えば、75kdのTNFR-IgG;CD40リガンドおよびCD80に対する抗体;ならびにIL-12および/またはIL-23のアンタゴニスト、例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットのアンタゴニスト(例えば、IL-12およびIL-23のp40サブユニットに結合する阻害性抗体);メトトレキサート、レフルノミドおよびシロリムス(ラパマイシン)、またはそのアナログ、例えば、CCI-779の1つまたは複数が挙げられる。他の治療剤としては、Imfimziまたはアテゾリズマブ(Atezolizumb)が挙げられ得る。
【0115】
本明細書に記載される二重サイトカイン融合タンパク質と共投与され得る代表的な化学療法剤としては、以下の非網羅的リスト:アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamime)を含む、エチレンイミンおよびメチラメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル(chiorambucil)、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノボエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎性、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エフロルニチン(elfornithine);エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標) Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(doxetaxel)(Taxotere(商標)、Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;Xeloda(登録商標)Roche、Switzerland;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられ得る。また、この定義に含まれるものは、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(Fareston)を含む、抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体などである。
【実施例
【0116】
(実施例1)
ダイアキンおよびCAR-Tの組合せ
CAR-Tの腫瘍細胞に対するさまざまなエフェクターと標的(E:T)の比を調べて、ダイアキンをCAR-Tと組み合わせることで、CAR-T細胞傷害性効果の機能を増強するかどうかを決定する。簡潔には、CAR-T細胞(Promab)を、0、10、または100ng/mLのダイアキン(DK210CD19)の存在下で、1~3日間、プライミングする。構成的に発現するGFPで安定にトランスフェクトされたRaji細胞を、CAR-T機能を調べるためのモデル腫瘍細胞系として使用する。プライミングの後、CAR-T細胞を、3対1または1対3のE:T比で混合し、Raji-GFP細胞に感染させ、IncuCyte S3システム(Sartorius)においてモニターする。CAR-T細胞の細胞溶解有効性を、およそ48時間の期間にわたって、GFPの消失によって測定する。
【0117】
腫瘍細胞成長のパーセンテージ(すなわち、GFPの消失は、標的細胞が細胞溶解されているという尺度である)を、経時的に測定する。24時間後、CD20 CAR-T細胞とRaji細胞の3:1のエフェクターと標的細胞比のダイアキン(10ng/mLまたは100ng/mL)の組合せは、CAR-T細胞単独と比較した場合に、およそ6.5分の1への腫瘍細胞成長の低減を示した。図9Aを参照されたい。同様に、24時間で、CD20 CAR-T細胞とRaji細胞の1:3のエフェクターと標的細胞比のダイアキン(10ng/mLまたは100ng/mL)の組合せは、CAR-T細胞単独と比較した場合に、およそ2分の1への腫瘍細胞成長の低減を示した。図10Bを参照されたい。これらのデータは、ダイアキンを、投与の前にCAR-T細胞をプライミングするために使用する場合に、CAR-Tが、増強され、より強力な細胞傷害機能を有することを実証する。
(実施例2)
CAR-Tと組み合わせたダイアキンによる固形腫瘍の処置
【0118】
がんを処置するこの方法では、対象は、有効量のダイアキン(例えば、DK210vegfr2)を投与され、これは、TAA、例えば、VEGFR2を過剰発現する腫瘍微小環境に対して、IL-10およびIL-2の両方を標的化することができる。その後、養子細胞療法の標準的なプロトコールを使用して、腫瘍細胞においてEARD標的化過剰発現抗原、例えば、her2/neuまたはPSAを発現するCAR-T細胞を投与する。患者に投与する前に、CAR-T細胞を、必要に応じてダイアキンの存在下、拡大増殖する。操作された細胞の調製において、CARを、そのEARDが、処置される腫瘍に特異的な抗原エピトープに特異的に結合するように、選択する。
(実施例3)
ダイアキンおよびBiTEの組合せ
【0119】
ダイアキンが現在のBiTE療法に有益であるかどうかを決定するための論理的根拠を、PBMCに曝露された場合にダイアキンがどのように挙動するかを理解することによって、開始した。T細胞応答を決定するためのモデルシステムを使用して(米国特許第10,858,412号の29~30欄を参照されたい)、PBMCを、さまざまな濃度のダイアキン(0ng/mL~10ug/mLのDK210egfr)に曝露し、それに続いてサイトカイン誘導プロファイルを調査した。ナイーブPBMCサイトカイン応答プロファイルは、それぞれ、IL-1β、IFN-γ、TNF-α、IL-12p70、IFNα2a、およびIL6について、図5A~5Fに提供され、それぞれ、IL-4、IL-17、IL-8、およびGM-CSFについて、図6A~6Dに提供される。これらのデータは、IL-10(DV07)およびIL-2を一緒に組み合わせる、DK210として構成されたダイアキンは、IL-2単独と関連するサイトカインの誘導を劇的に抑制し、炎症性サイトカインの同様の急上昇を伴わずに、細胞傷害性機能を増強することができる分子に道を譲ることを実証する。
【0120】
次に、ダイアキン(DK210)プライミングに対するCD8+ T細胞応答を評価した。簡潔には、CD8+ T細胞を、磁気選別し、抗CD3/抗CD28で3日間活性化する。活性化後、CD8+ T細胞を休ませ、ダイアキンの存在下で、24、48および72時間、プライミングする。休ませ、プライミングの期間(すなわち、24、48または72時間)後、グランザイムB、IFN-γおよびTNF-αのレベルを、4、20、48および72時間の抗CD3刺激期間の結果として評価する。1ng/mL程度のDK210形態のダイアキンによるCD8+ T細胞のプライミングは、IFN-γのレベルの同時的な上昇(図8)とともに、グランザイムBのレベルの上昇(図7)を示したが、TNF-αレベル(図9)は抑制される。総合すれば、これらのデータは、細胞傷害性T細胞が、DK210形態のダイアキンでプラミングされる場合に、炎症性サイトカインの誘導が、比較的抑制され、刺激された際に、CD8+ T細胞が、標的に対して強力に活性化されることを実証する。
【0121】
上記に示された論理的根拠を利用して、市販のBiTE、抗CD3×抗CD19および抗CD3×抗CD20を、それぞれ、ダイアキンDK210egfrおよびDK210CD19との組合せで試験する。簡潔には、健康なドナーから新たに単離されたCD8+ T細胞を、構成的に発現するGFPで安定にトランスフェクトされたRaji細胞に対するそれらの細胞溶解能について評価した。Raji細胞も、EGFR、CD19およびCD20を細胞表面発現することが以前に決定されている(FACSによって実証される通り、データは示さない)。CD8+ T細胞を、0~100ng/mLのダイアキン(DK210egfrおよびDK210CD19)の存在下、1~2日の期間プライミングする。Raji細胞を細胞溶解するBiTEの有効性を、およそ48時間の期間にわたるGFPの消失により、IncuCyte S3システム(Sartorius)において測定およびモニターする。同時に、細胞傷害性機能に重要なサイトカイン、プロテアーゼおよびタンパク質である、IFN-γ、TNF-α、グランザイムBおよびパーフォリン(performin)の分析物レベルを評価する。
【0122】
図11E~11Fは、48時間の期間での、DK210egfr形態のダイアキンと最低の機能的CD3×CD19 BiTE濃度(0.01ng/mL)の組合せの評価を提供する。図12E~12Fは、48時間の期間での、DK210CD19形態のダイアキンと最低の機能的CD3×CD20 BiTE濃度(0.1ng/mL)の組合せの評価を提供する。これらのデータは、ダイアキンDK210egfrまたはDK210CD19を、それぞれ、BiTE、CD3×CD19またはCD3×CD20と組み合わせることで、安全性プロファイル(すなわち、炎症性サイトカイン誘導の低減)、または細胞溶解機能の増強を劇的に増強することを示唆する(図11A~Dおよび12A~12Dを参照されたい)。
【0123】
BiTEと組み合わせたIL-7およびIL-10(DK710)またはIL12およびIL-10(DK1210)を含む追加のダイアキンも、上記に記載される同じアッセイを使用して評価した。図13および14を参照されたい。これらのデータは、BiTEと組み合わせた異なる種類のダイアキンを組み合わせることが、細胞溶解機能の増強において有効であることを示唆する。
(実施例4)
BiTEと組み合わせたダイアキンによる腫瘍の処置
【0124】
がんを処置するこの方法では、対象は、有効量のDK210形態のダイアキンを投与され、これは、BiTEの投与の前に、1~3日、TAAを過剰発現する、血液腫瘍または腫瘍微小環境に対して、IL-10およびIL-2の両方を標的化することができる。その後、BiTE投与と関連する標準的なプロトコールを使用して、次いで、Dikaineを、BiTEと一緒に、それを必要とする患者に同時に投与する。
【0125】
この明細書は、好ましい実施形態を含む本開示の態様を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれる方法を行うことを含むその態様を任意の当業者が実行できるようにするために、例を使用する。これらの態様の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の逐語的言語と相違しない構造要素を有する場合、またはそれらが、特許請求の範囲の逐語的言語とのわずかな相違を有する等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。記載されるさまざまな実施形態からの態様、およびそれぞれのそのような態様に対する他の公知の等価物は、当業者によって混合およびマッチされ得、本出願の原理に従って追加の実施形態および技法が構築され得る。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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【国際調査報告】