IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社の特許一覧 ▶ ワシントン・ユニバーシティの特許一覧

特表2024-547001抗アミロイドβプロトフィブリル抗体及び抗タウ抗体を使用する方法
<>
  • 特表-抗アミロイドβプロトフィブリル抗体及び抗タウ抗体を使用する方法 図1
  • 特表-抗アミロイドβプロトフィブリル抗体及び抗タウ抗体を使用する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】抗アミロイドβプロトフィブリル抗体及び抗タウ抗体を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241219BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241219BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/28
A61K39/395 D
C07K16/18 ZNA
G01N33/68
G01N33/53 D
G01T1/161 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024536189
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022079509
(87)【国際公開番号】W WO2023114586
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/000937
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(31)【優先権主張番号】63/291,315
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日 2021年11月8日 掲載アドレス https://media-us.eisai.com/2021-11-08-DIAN-TU-Selects-Lecanemab-As-Background-Anti-Amyloid-Therapy-In-Clinical-Trial-Evaluating-Investigational-Therapy-Targeting-Tau-For-Dominantly-Inherited-Alzheimers-Disease 〔刊行物等〕 掲載日 2021年11月8日 掲載アドレス https://medicine.wustl.edu/news/international-alzheimers-clinical-trial-to-test-two-drugs-in-combination/ 〔刊行物等〕 掲載日 2021年11月8日 掲載アドレス https://www.bioarctic.com/en/dian-tu-selects-lecanemab-for-clinical-trial-for-dominantly-inherited-alzheimers-disease/ 〔刊行物等〕 掲載日 2021年11月9日 掲載アドレス https://www.eisai.com/news/2021/pdf/enews202184pdf.pdf 〔刊行物等〕 掲載日 2021年11月9日 掲載アドレス https://www.eisai.co.jp/news/2021/pdf/news202184pdf.pdf 〔刊行物等〕 掲載日 2021年11月26日 掲載アドレス https://www.alzforum.org/news/conference-coverage/lecanemab-sweeps-toxic-av-protofibrils-catches-eyes-trialists 〔刊行物等〕 公開日 2021年12月1日 集会名 アルツハイマー病協会2021年秋研究ラウンドテーブル
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】レイダーマン, ラリサ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ジン
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, リン
(72)【発明者】
【氏名】イリザリー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】サチデブ, パラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ダッダ, ショバ
(72)【発明者】
【氏名】リ, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ワイルドスミス, クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】アセベス バルド, ポー
(72)【発明者】
【氏名】ラワル, スミット
(72)【発明者】
【氏名】小山 彰比古
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン, チャド
(72)【発明者】
【氏名】兼清 道雄
(72)【発明者】
【氏名】カプロウ, ジューン
(72)【発明者】
【氏名】バーベル, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ランドリー, イシャニ
(72)【発明者】
【氏名】早戸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ベイトマン, ランドール
(72)【発明者】
【氏名】マクデイド, エリック
【テーマコード(参考)】
2G045
4C085
4C188
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB30
2G045DA36
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C188EE02
4C188FF07
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA21
(57)【要約】
【課題】アルツハイマー病の発病、Aβ産生及びタウ介在性神経毒性間の機構的関係の詳細は、ほとんど解明されていない。Aβ産生と、タウを含む神経原線維のもつれとの両方を標的化する改良された治療法の可能性が残っている。このように、Aβ及びタウを標的化する特異的且つ有効な治療用薬剤が必要とされている。
【解決手段】本明細書では、抗Aβプロトフィブリル抗体及び抗タウ抗体を含む、アルツハイマー病を治療又は予防するための抗体、医薬製剤、アルツハイマー病を治療又は予防する方法及びアルツハイマー病を治療又は予防するための医薬製剤を含むキットが開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病の治療又は予防を、それを必要としている対象において行う方法であって、前記対象に、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
を投与することを含み、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、前記抗タウ抗体又はその断片と併せて(例えば、同時に又は逐次的に)投与される、方法。
【請求項2】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、
(i)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗タウ抗体又はその断片は、
(i)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、週1回又は2週間に1回投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、例えば、5mg/kg~20mg/kg(例えば、10mg/kg)の用量で静脈内投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、2週間に1回、10mg/kgの用量において、例えば少なくとも52週間にわたって静脈内投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、例えば、例えば360mgの前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片の2回連続の皮下注射を含む、720mgの総用量の毎週の投与として、例えば少なくとも52週間にわたって皮下投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、ある期間、例えば少なくとも52週間又は18ヵ月にわたって皮下投与され、及びその後、維持用量が投与される、請求項1~4又は7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記維持用量は、720mgの毎週又は隔週の皮下投与を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記維持用量は、2週間に1回、4週間に1回又は12週間に1回の10mg/kgの静脈内投与を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抗タウ抗体又はその断片は、4週間に1回投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗タウ抗体又はその断片は、1000~4500mg(例えば、1500、3000、4500mg)の量で4週間に1回投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗タウ抗体又はその断片は、1500mgの量で4週間に1回投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗タウ抗体又はその断片は、3000mgの量で4週間に1回投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗タウ抗体又はその断片は、3、10又は30mg/kgの用量で4週間に1回投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗タウ抗体又はその断片は、静脈内投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に少なくとも10週間(例えば、少なくとも15、20、24又は25週間)にわたって投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象は、アルツハイマー病に関して症候性である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象は、早期発症型アルツハイマー病を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せた前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に単独で52週間にわたって投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片による治療の開始前に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片の投与前に少なくとも25週間(例えば、少なくとも30、40、50又は52週間)にわたって投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象は、アルツハイマー病に関して無症候性である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象は、優性遺伝アルツハイマー病に関する遺伝子突然変異を有し、例えば、前記対象は、3つの遺伝子 - PSEN1、PSEN2又はAPPの少なくとも1つにおける遺伝子突然変異を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象は、APPにおける突然変異を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記対象は、アルツハイマー病の家族歴、例えば血縁者が60歳より前にアルツハイマー病と診断されたという家族歴を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
例えば、タウPET(MK-6240 Tau-PETなど)及び/又はMRIによって測定されたときのタウの広がりは、未治療の対照対象と比較して投与後に減少する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象から投与後に採取された試料(例えば、脳脊髄液又は血液試料)におけるリン酸化タウ217のレベルは、前記対象から投与前に採取された試料におけるリン酸化タウ217のレベルと比べて減少する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
投与後の臨床的認知症尺度項目合計スコアは、投与前の前記対象のスコアと比べて前記対象において改善する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
投与後のADAS-cog(アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度)、MMSE(ミニメンタルステート評価)及び/又は臨床的認知症尺度(CDR)スコアは、投与前のスコアと比べて前記対象において改善する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象から投与後に採取された試料(例えば、血漿試料などの血液試料又はCSF試料)におけるAβ42/40比は、前記対象から投与前に採取された試料における前記比と比べて増加する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
例えば、PET(FDG-PETなど)及び/又はMRIによって測定されたときの投与後の前記対象におけるAβプロトフィブリルのレベルは、投与前の前記対象におけるAβプロトフィブリルのレベルと比較して且つ/又は未治療の対照若しくは対象と比較して減少する、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
キットであって、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
を含むキット。
【請求項35】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、10mg/kgの用量での静脈内投与に好適な量又は2回連続の360mg用量で720mgの総用量の皮下投与に好適な量で存在し、及び前記抗タウ抗体又はその断片は、1500又は3000mgの用量での投与に好適な量で存在する、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、2回連続の360mg用量で720mgの総用量の皮下投与に好適な量で存在し、及び前記抗タウ抗体又はその断片は、3000mgの用量での投与に好適な量で存在する、請求項34又は35に記載のキット。
【請求項37】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片及び前記抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、前記キット内の別個の容器に製剤化される、請求項34~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、
(i)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項34~37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
前記抗タウ抗体又はその断片は、
(i)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項34~38のいずれか一項に記載のキット。
【請求項40】
医薬組み合わせであって、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
を含む医薬組み合わせ。
【請求項41】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、10mg/kgの用量での静脈内投与に好適な量又は720mgの用量での皮下投与に好適な量で存在し、及び前記抗タウ抗体又はその断片は、1500又は3000mgの用量での投与に好適な量で存在する、請求項40に記載の医薬組み合わせ。
【請求項42】
アルツハイマー病の治療又は予防における抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片及び抗タウ抗体又はその断片の使用であって、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
である、使用。
【請求項43】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、10mg/kgの用量での静脈内投与に好適な量又は720mgの用量での皮下投与に好適な量で存在し、及び前記抗タウ抗体又はその断片は、1500又は3000mgの用量での静脈内投与に好適な量で存在する、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
対象の早期発症型アルツハイマー病の治療又は予防における使用のための、請求項42又は43に記載の使用。
【請求項45】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、週1回又は2週間に1回投与される、請求項42~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、10mg/kgの用量で静脈内投与される、請求項42~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、2回連続の360mg用量において720mgの総用量で皮下投与される、請求項42~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記抗タウ抗体又はその断片は、4週間に1回投与される、請求項42~47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記抗タウ抗体又はその断片は、1500又は3000mgの用量で4週間に1回静脈内投与される、請求項42~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記抗タウ抗体又はその断片は、3000mgの用量で4週間に1回静脈内投与される、請求項42~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記抗タウ抗体又はその断片は、3、10又は30mg/kgの用量で4週間に1回静脈内投与される、請求項42~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に投与される、請求項42~51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に少なくとも10週間(例えば、少なくとも15、20、24又は25週間)にわたって投与される、請求項42~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せた前記抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に単独で52週間にわたって投与される、請求項42~53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片による治療の開始前に投与される、請求項42~51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記抗タウ抗体又はその断片は、前記抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片の投与前に少なくとも25週間(例えば、少なくとも30、40、50又は52週間)にわたって投与される、請求項42~51又は55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記対象は、優性遺伝アルツハイマー病に関する遺伝子突然変異を有し、例えば、前記対象は、3つの遺伝子 - PSEN1、PSEN2又はAPPの少なくとも1つにおける遺伝子突然変異を有する、請求項42~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記対象は、アルツハイマー病の家族歴、例えば血縁者が60歳より前にアルツハイマー病と診断されたという家族歴を有する、請求項42~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
例えば、タウPET(MK-6240 Tau-PETなど)及び/又はMRIによって測定されたときのタウの広がりは、未治療の対照対象と比較して投与後に減少する、請求項42~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記対象から投与後に採取された試料(例えば、脳脊髄液又は血液試料)におけるリン酸化タウ217のレベルは、前記対象から投与前に採取された試料におけるリン酸化タウ217のレベルと比べて減少する、請求項42~59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
投与後の臨床的認知症尺度項目合計スコアは、投与前の前記対象のスコアと比べて前記対象において改善する、請求項42~60のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
投与後のADAS-cog(アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度)、MMSE(ミニメンタルステート評価)及び/又は臨床的認知症尺度(CDR)スコアは、投与前のスコアと比べて前記対象において改善する、請求項42~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
前記対象から投与後に採取された試料(例えば、血漿試料などの血液試料又はCSF試料)におけるAβ42/40比は、前記対象から投与前に採取された試料における前記比と比べて増加する、請求項42~62のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
例えば、PET(FDG-PETなど)及び/又はMRIによって測定されたときの投与後の前記対象におけるAβプロトフィブリルのレベルは、投与前の前記対象におけるAβプロトフィブリルのレベルと比較して且つ/又は未治療の対照若しくは対象と比較して減少する、請求項42~63のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、
(i)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項42~64のいずれか一項に記載の使用。
【請求項66】
前記抗タウ抗体又はその断片は、
(i)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び
(ii)配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項42~65のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/291,315号明細書及び2021年12月17日に出願された国際出願PCT/IB2021/000937号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これらの内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、この配列表は、全体として参照により本明細書に援用される。2021年12月3日に作成された前記ASCII複製物は、08061_0053-00304_SL.txtという名称であり、サイズが21,812バイトである。
【0003】
本発明は、国立衛生研究所(National Institute of Health)から交付された助成金番号第U01AG042791号、第R01AG046179号、第R56AG053267号、第U01AG059798号、第R01AG053267号及び第R01AG068319号に基づく連邦政府の支援を受けて行われた。連邦政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
アルツハイマー病(AD)は、進行性の神経変性障害であり、高齢者で最も一般的な形態の認知症である。2006年には、世界で2660万例のAD症例がある(範囲:1140万~5940万例)(Brookmeyer,R.,et al.,Forecasting the global burden of Alzheimer’s Disease.Alzheimer Dement.2007;3:186-91)一方、米国では500万人を超える人がADを抱えて生きていると報告された(2010 Alzheimer’s disease facts and figures.Alzheimer Dement.2010;6:158-94)。2050年までに、世界全体のAD患者数は、1億680万例(範囲:4720万~2億2120万例)に上ると予測される一方、米国単独では、患者数は、1100万~1600万例と推定される。(Brookmeyer、前掲及び2010 Alzheimer’s disease facts and figures、前掲)。
【0005】
この疾患には、概して、認知機能の全般的な衰退が関わり、これが緩徐に進行し、末期の対象では寝たきり状態となる。AD対象は、典型的には、症状の発症後僅か3~10年のみ生存するが、2年及び20年の極端な例も知られている(Hebert,L.E.,et al.,Alzheimer disease in the U.S.population:prevalence estimates using the 2000 census.Arch Neurol.2003;60:1119-1122)。死亡診断書で死因がADとされることは、稀であるため、ADに起因する死亡率は、大幅に低く見積もられているという事実があるにも関わらず、ADは、米国におけるあらゆる死亡原因の中で7番目に多く、年齢が65歳を超えるアメリカ人の死亡原因として5番目に多い(2010 Alzheimer’s disease facts and figures、前掲)。
【0006】
組織学的には、この疾患は、連合皮質、辺縁系及び基底核に主に見られる神経突起斑を特徴とする。こうした神経突起斑の主要な構成成分は、アミロイドベータペプチド(Aβ)である。Aβは、様々な立体構造状態 - モノマー、オリゴマー、プロトフィブリル及び不溶性フィブリルで存在する。
【0007】
Aβ斑に加えて、アルツハイマー病は、タウを含む神経原線維のもつれの蓄積が存在することも特徴とする。ヒトタウは、染色体17番q21に位置する微小管結合タンパク質タウ遺伝子MAPTによってコードされる。成人ヒト脳には、6つの主要なタウアイソフォームがあり、これらは、エクソン2(E2)、E3及びE10の選択的スプライシングによって生じる。これらのアイソフォームは、N末端近くの29残基リピート領域の数に応じて異なる。0、1又は2個の挿入があるタウアイソフォームは、それぞれ0N、1N及び2Nとして知られる。プロセシング前のタウアイソフォームには、3個(「3R」)又は4個(「4R」)のいずれかの微小管結合リピートドメインもある。これらのリピートドメインの2つ目は、E10によってコードされ、3Rタウアイソフォームに含まれない。
【0008】
タウは、通常、高度に可溶性であるが、病的状態下では凝集して対らせんフィラメント、神経原線維のもつれ及び他の構造体になることができ、これらは、タウオパチーと称される幅広い範囲にわたる神経変性疾患を規定している。このように、タウオパチーとは、アルツハイマー病(AD)、進行性核上性麻痺(PSP)及び前頭側頭型認知症(FTD)を含め、微小管結合タンパク質タウの凝集を伴う神経変性疾患の一クラスを指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アルツハイマー病の発病、Aβ産生及びタウ介在性神経毒性間の機構的関係の詳細は、ほとんど解明されていない。Aβ産生と、タウを含む神経原線維のもつれとの両方を標的化する改良された治療法の可能性が残っている。このように、Aβ及びタウを標的化する特異的且つ有効な治療用薬剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、アルツハイマー病を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要としている対象に、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片及び抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を投与することを含む方法が提供される。
【0011】
一部の実施形態では、アルツハイマー病の治療又は予防を、それを必要としている対象において行う方法は、対象に、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
を投与することを含み、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、抗タウ抗体又はその断片と併せて(例えば、同時に又は逐次的に)投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、2週間に1回投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその断片は、4週間に1回投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、例えば、対象がアルツハイマー病に関して症候性であるとき、抗タウ抗体又はその断片による治療の開始前に投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその断片は、例えば、対象がアルツハイマー病に関して無症候性であるとき、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片による治療の開始前に投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、5mg/kg~20mg/kgの用量で投与され、例えば、用量は、10mg/kgである。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその断片は、1000~45000mgの量で投与され、例えば、用量は、1500mgである。一部の実施形態では、対象は、優性遺伝アルツハイマー病に関する遺伝子突然変異を有し、例えば、対象は、3つの遺伝子 - PSEN1、PSEN2又はAPPの少なくとも1つにおける遺伝子突然変異を有する。
【0012】
本明細書では、
(i)単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片と、
(ii)抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片であって、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、及び
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗タウ抗体又はその抗原結合断片と
を含むキット及び医薬組み合わせも提供され、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片は、抗タウ抗体又はその断片と併せて(例えば、同時に又は逐次的に)投与される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】レカネマブと並行したE2814による治療の無作為化スキームを図示する。
図2】E2814又はプラセボ及び非盲検レカネマブ治療スキームを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
以下は、本願で使用される用語の定義である。
【0015】
本明細書で使用されるとき、単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」には、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形への言及が含まれる。
【0016】
語句「及び/又は」は、本明細書で使用されるとき、そのように等位接続された要素の「いずれか一方又は両方」、即ちある場合には等位接続的に存在し、他の場合には離接接続的に存在する要素を意味する。このように、非限定的な例として、「A及び/又はB」は、「含む」などの非限定的な文言と併せて使用されるとき、一部の実施形態ではAのみ(任意選択でB以外の要素を含む)を指し得;他の実施形態ではBのみ(任意選択でA以外の要素を含む)を指し得;更に他の実施形態ではA及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指し得るなどである。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「少なくとも1つ」とは、要素のリスト中にある要素の1つ以上を意味するが、必ずしも要素のリストの中に具体的に列挙されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含むとは限らず、要素のリストにある要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義は、具体的に特定される要素に関係があるか否かに関わらず、語句「少なくとも1つ」が参照する要素のリストの中に具体的に特定される要素以外の要素が任意選択で存在し得ることも許容する。このように、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は均等に「A又はBの少なくとも1つ」若しくは均等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたAであって、Bが存在しないもの(及び任意選択でB以外の要素を含む)を指し得;別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたBであって、Aが存在しないもの(及び任意選択でA以外の要素を含む)を指し得;更に別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたA及び少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含めたB(及び任意選択で他の要素を含む)を指し得るなどである。
【0018】
数字が記載されるとき、単独で又は数値範囲の一部としてのいずれであれ、その数値は、表示されている値から上方及び下方に、その表示されている値の10%の変動分だけ変わり得ることが理解されなければならない。
【0019】
用語「抗体」は、本明細書で使用されるとき、広義の意味であり、免疫グロブリン又は抗体分子であって、ポリクローナル抗体、マウス、ヒト、ヒト適応、ヒト化及びキメラモノクローナル抗体を含めたモノクローナル抗体並びに抗体断片を含む。一般に、抗体とは、特異的抗原に対して結合特異性を呈するタンパク質又はペプチド鎖である。インタクトな抗体は、典型的には2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖とで構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。典型的には、各軽鎖が1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているのに対し、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間ではジスルフィド結合の数が変わる。各重鎖及び軽鎖は、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(可変領域)(VH)を有し、続いて幾つもの定常ドメイン(定常領域)を有する。各軽鎖は一端に可変ドメインを有し(VL)、その他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。任意の脊椎動物種の抗体軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なる種類、即ちカッパ(κ)及びラムダ(λ)の一方に割り当てることができる。
【0020】
免疫グロブリンは、その重鎖が持つ定常ドメインの種類、即ち重鎖定常ドメインアミノ酸配列に応じたIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMに応じて、5つの主要なクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細かく分類される。異なる免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
【0021】
免疫グロブリン軽鎖可変領域又は重鎖可変領域は、主要な抗原結合決定基を提供する3つの相補性決定領域(CDR)によって分断される「フレームワーク」領域からなる(Wu and Kabat,J.Exp.Med.132:211-250,1970)。概して、抗原結合部位は6つのCDR;VHに3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVLに3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を有する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。CDRは、Kabatの番号付けスキームに従って決定され得る。SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST(Kabat et al.,5th ed.,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242,1991、以下「Kabatレポート」と称する)。代わりに、Lefranc(Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55-77,2003)によって提案されるとおりの「IMGT-CDR」は、免疫グロブリン及びT細胞受容体からのVドメインの比較に基づいている。国際免疫遺伝学(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、これらの領域の標準化された番号付け及び定義を提供する。CDRとIMGT表記との間の対応については、Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55-77,2003に記載されている。
【0022】
抗原結合断片は、インタクトな抗体のうち、親抗体分子の抗原結合特異性を保持する部分で構成される。例えば、抗原結合断片は、特定の抗原に結合することが公知の抗体の少なくとも1つの可変領域(重鎖又は軽鎖のいずれかの可変領域)又は1つ以上のCDRを含み得る。好適な抗原結合断片の例としては、限定なしにダイアボディ及び単鎖分子並びにFab、F(ab’)2、Fc、Fabc及びFv分子、単鎖(Sc)抗体、個別の抗体軽鎖、個別の抗体重鎖、抗体鎖又はCDRと他のタンパク質との間のキメラ融合体、タンパク質足場、重鎖単量体又は二量体、軽鎖単量体又は二量体、1つの重鎖と1つの軽鎖とからなる二量体などが挙げられる。あらゆる抗体アイソタイプを抗原結合断片の作製に使用し得る。加えて、抗原結合断片は、タンパク質足場など、目的とする所与の抗原に対する親和性を付与する向きでのポリペプチドセグメントの取込みを成功させ得る非抗体タンパク質フレームワークを含み得る。抗原結合断片は、組換え的に作製され得るか、又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的切断によって作製され得る。語句「抗体又はその抗原結合断片」は、その語句で言及される抗体の1つ以上のアミノ酸セグメントが所与の抗原結合断片に取り込まれることを指して使用され得る。
【0023】
用語「対象」は、非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類及び爬虫類など、あらゆる脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類を含めた、ヒト及び非ヒト動物を指す。記載される方法の多くの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0024】
一部の実施形態では、対象は、「アミロイド高値」又は「中間アミロイド」を示す。一部の実施形態では、アミロイドレベルはアミロイドPETを用いて測定される。当業者は認識するであろうとおり、アミロイドPETからのアミロイドレベルは、センチロイド法を用いて「センチロイド」単位(CL)で報告することができる(Klunk WE et al.The Centiloid Project:standardizing quantitative amyloid plaque estimation by PET.Alzheimer’s Dement.2015;11:1-15 e1-4)。センチロイド法ではトレーサーが0CL~100CLの尺度で測定され、0は、基準点と見なされ、若年健常対照の平均値に相当し、100CLは、軽度~中等度の重症度のADによる認知症を有する対象に見られる平均アミロイド負荷量に相当する(同上)。当業者に公知のとおり、センチロイド閾値は、様々であり得、例えば新規の又は追加的な科学的情報に基づいて精緻化され得る(例えば、http://www.gaain.org/centiloid-projectを参照されたい)。アミロイドレベルの上昇は、POSAに公知の方法に従って決定された健常対照のベースライン閾値に対する相対で設定することができる。例えば、32.5のセンチロイド値を「アミロイド高値」の閾値として使用することができ、「中間アミロイド」レベルは、20~32.5CLの範囲のAβアミロイドPETを指し得る。別の例では、40のセンチロイド値を「アミロイド高値」の閾値として使用することができ、「中間アミロイド」レベルは、20~40CLの範囲のAβアミロイドPETを指し得る。Rowe et al.,Eur J Nucl Med Mol I 44,2053-2059(2017);Salvado et al.,Alzheimer’s Res Ther 11,27(2019);Sabri et al.,Alzheimers Dement 11:964-74(2015);Rowe et al.,Alzheimer’s Dementia 14,P634(2018);Amadoru et al.,Alzheimer’s Res Ther 12,22(2020);Roe-Vellve et al.,Alzheimer’s Dementia 16,(2020);Bullich et al.,Alzheimer’s Res Ther 13,67(2021)。
【0025】
「アルツハイマー病に関して無症候性」の対象とは、本明細書に記載されるとき、脳内のアミロイドレベルが中等度であるか又は上昇している認知機能が正常な対象であり、記憶愁訴を伴う又は伴わない無症候期にあること(例えば、脳内のAβ蓄積量に基づき、且つ/又はCSF又は血液ベースのバイオマーカーによる)並びにエピソード記憶及び実行機能障害が出現しつつあることによって同定され得る。認知機能正常には、CDR 0の対象又は認知機能検査スコアが正常範囲内の対象が含まれ得る。無症候性ADは、重大な不可逆的神経変性及び認知機能障害に先立って起こり、典型的には、ADのインビボ分子バイオマーカーの出現及び臨床症状の欠如によって特徴付けられる。アルツハイマー病の発症を示唆し得る無症候性ADバイオマーカーとしては、限定されないが、中等度の又は上昇した脳内アミロイド及び/又はタウの、例えばアミロイド又はタウ陽電子放射断層撮影法(PET)によって測定したときのレベル、脳脊髄液Aβ1-42レベル、脳脊髄液総タウレベル、脳脊髄液ニューログラニンレベル、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖レベル及び血清中又は血漿中で測定したときの血液バイオマーカー(例えば、Aβ1-42レベル、2つの形態のアミロイド-βペプチドの比(Aβ42/Aβ40)、血漿総タウ(T-タウ)レベル、リン酸化タウ(P-タウ)アイソフォームレベル(181(P-タウ181)217(P-タウ217)及び231(P-タウ231)でリン酸化したタウを含む)及び神経フィラメント軽鎖(NfL))の1つ以上が挙げられる。例えば、βサイトアミロイド前駆体タンパク質切断酵素(BACE)阻害薬であるエレンベセスタット(E2609)で治療した対象であって、1.4~1.9のアミロイドベースライン陽電子放射断層撮影法(PET)標準取込値比(SUVr値)を有した対象は、治療継続中である間に呈した認知機能衰退の緩徐化が最も大きかったことが分かっている。Lynch,S.Y.et al.“Elenbecestat,a BACE inhibitor:results from a Phase 2 study in subjects with mild cognitive impairment and mild-to-moderate dementia due to Alzheimer’s disease.”Poster P4-389,Alzheimer’s Association International Conference,July 22-26,2018,Chicago,IL,USAを参照されたい。同様に、1.2を下回るベースラインフロルベタピルアミロイドPET SUVrレベルを有する対象は、検出可能となるのに十分な認知機能の衰退を呈しない一方、1.6を上回るSUVrレベルを有する対象は、アミロイドレベルが飽和レベルに達していて、治療による認知機能尺度の変化が生じないプラトー効果と相関関係があるように見えることが分かっている。Dhadda,S.et al.,“Baseline florbetapir amyloid PET standard update value ratio(SUVr)can predict clinical progression in prodromal Alzheimer’s disease(pAD).”Poster P4-291,Alzheimer’s Association International Conference,July 22-26,2018,Chicago,IL,USA;Sperling RA et al.,Alzheimer’s Dement.2011;7:280-92;Jack C.R.et al.,Alzheimer’s Dement.2018;14:535-62を参照されたい。
【0026】
「早期発症型アルツハイマー病」は、本明細書で使用されるとき、ADによる軽度認知障害-可能性が中等度~軽度アルツハイマー病型認知症に至るまでの一連のAD重症度を指す。早期発症型ADの対象には、本明細書に定義するとおりの軽度アルツハイマー病型認知症の対象及び本明細書に定義するとおりのADによる軽度認知障害(MCI)-可能性が中等度の対象が含まれる。一部の実施形態では、早期発症型ADの対象は、ミニメンタルステート検査(MMSE)のスコアが22~30であり、及び/又はCDR全般が0.5~1.0の範囲である。
【0027】
「軽度アルツハイマー病型認知症」又は「軽度AD認知症」の対象とは、本明細書で使用されるとき、McKhann,G.M.et al.,“The diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease:Recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer’s Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer’s disease.”Alzheimer Dement.2011;7:263-9におけるほぼ確実なアルツハイマー病型認知症についての米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(National Institute of Aging-Alzheimer’s Association:NIA-AA)コア臨床判定基準を満たす対象である。本明細書では、スクリーニング及びベースライン時のCDRスコアが0.5~1.0及び/又はメモリーボックススコアが0.5以上である対象も含まれる。
【0028】
「ADによる軽度認知障害-可能性が中等度」の対象は、本明細書で使用されるとき、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度のNIA-AAコア臨床判定基準(McKhann 前掲を参照されたい)に従うようなものとして同定される対象である。例えば、対象は、症候性であるが、認知症ではないとすることができ、脳アミロイド病変のエビデンスがあるために不均一性が低く、認知及び機能衰退の点で軽度アルツハイマー病型認知症対象との類似性が一層高く、スクリーニング及びベースライン時にCDRで測定したとき、0.5のスコア及び/又はメモリーボックススコアが0.5以上である。更に、本明細書には、スクリーニング前の過去1年に徐々に始まり、緩徐に進行しつつある主観的な記憶力衰退の経過歴を訴え、それが情報提供者によって裏付けられる対象も含まれる。
【0029】
対象のアミロイドレベルは、限定されないが:(a)PETスキャンによって目視読影又は半定量的閾値(SUVr又はセンチロイド)のいずれかから検出されるアミロイド;(c)脳脊髄液(CSF)Aβ1-42及び/又はAβ1-42/1-40比;及び/又は(d)血液バイオマーカー(即ち血漿Aβ1-42、Aβ1-42/Aβ1-40、タウ、総タウ(T-タウ)、P-タウ及び/又はNfL)などのバイオマーカーによって検出することができる。二次的なマーカーによって一次的なアミロイドの決定を確認し得、それらとしては、限定されないが、(a)PETスキャンによって検出されるタウ;(b)CSFタウ、リン酸化タウ(p-タウ)、神経フィラメント軽鎖ペプチド(NfL)及び/又はニューログラニン;(c)他の血液バイオマーカー(即ちタウ、総タウ(T-タウ)、P-タウ及び/又はNfL)が挙げられる。
【0030】
「アミロイド」は、分岐していない、通常は細胞外にある、インビボで見出される線維を指す;加えて、この線維は色素コンゴレッドに結合し、次には交差偏光子間で観察すると緑色の複屈折を示す。アミロイド形成タンパク質は同定されており、アルツハイマー病(AD)に関連するアミロイド-βペプチド(Aβ)、2型糖尿病に関連する膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)及び海綿状脳症に関連するプリオンタンパク質(PrP)を含め、重篤な疾患と関連付けられている。本明細書で使用されるとき、「アミロイド」、「脳アミロイド」及び「アミロイド-βペプチド(Aβ)」は、同義的に使用される。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「ARIA」は、MRIを用いて判定したときのアミロイド関連画像異常を指す。一部の実施形態では、ARIAには、アミロイド関連画像異常浮腫/浸出(ARIA-E)が含まれる。一部の実施形態では、ARIAには、アミロイド関連画像異常出血(ARIA-H)が含まれる。一部の実施形態では、ARIAの対象には頭痛、錯乱及び/又は発作が認められ、これらを用いてARIAの対象を同定するか又はARIAの更なる評価を指示し得る。一部の実施形態では、ARIAは、治療中、指定された間隔で評価される。一部の実施形態では、ARIAは、対象にARIAの症状が認められるときに評価される。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」は、限定されないが、治療下の基礎病態又はそれに関連する生理学的症状の1つ以上の根絶又は改善を意味する治療利益を含めた1つ以上の有益な又は所望の結果を達成することを指す。この用語は、完全な治療を包含するが、それが必須というわけではない。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「予防する」は、限定されないが、予防利益を含めた1つ以上の有益な又は所望の結果を達成することを指す。有益には、疾患の症状、例えば進行性の記憶喪失など、アルツハイマー病の1つ以上の症状の重症化の遅延又は軽減が含まれ得る。予防利益のために、アルツハイマー病を有するとの臨床診断が下されていない場合でも、アルツハイマー病を発症するリスクがある対象、アルツハイマー病の1つ以上の発症前症状を有するが、臨床症状は有しない対象又はアルツハイマー病の生理学的症状の1つ以上を訴える対象に化合物又は製剤が投与され得る。本明細書で使用されるとき「予防」には、治療下の基礎病態又はそれに関連する生理学的症状の1つ以上の根絶又は改善を意味する治療利益が更に含まれ得る。
【0034】
当業者であれば理解するであろうとおり、デジタルの、コンピューター化された及び/又は従来の(例えば、筆記式)認知機能検査を用いて初期の認知変化を検出することができ、そうした変化は軽度認知障害及び/又は認知症の発症リスクを警告し得るため、従ってそれを用いて本明細書に開示されるとおりの治療を必要としている対象を同定し得る。かかる検査によれば、例えば認知機能障害をスクリーニングし、場合によりMCIを持つ対象を同定し得る。検査では、人工知能を用いて認知機能検査結果を分析し得、ある軽度認知障害症例が1年以内にアルツハイマー病へと進むことになるかどうかを決定し得る。症状が出現し始める前の病態の早期診断を用いると、本明細書に開示されるとおりの治療を必要としている対象を医師がより早く同定することを促進し得るため、神経変性疾患の発病を遅らせるか又はその重症度を軽くすることができる可能性がある。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「MMSE」は、スクリーニング目的によく使用されるが、AD臨床試験で縦断的に測定されることも多い認知機能インスツルメントであるミニメンタルステート検査を指す。MMSEは30点満点の尺度であり、点数が高いほど機能障害が少ないことを指し示し、点数が低いほど機能障害が多いことを指し示し、0点(最も大きく障害されている)~30点(機能障害なし)の範囲である。一部の実施形態では、MMSEスコアの一部として、時間及び場所に対する見当識、記銘、想起、注意、言語及び描画を測定する7項目を判定し得る(Folstein,M.F.et al.,“Mini-mental state.A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician.”J.Psychiatr.Res.1975;12:189-98)。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「ADAS-Cog」は、アルツハイマー病評価尺度-認知機能を指す。ADAS-Cogは、アルツハイマー病の試験で広く使用されている認知機能尺度であり、記憶(単語想起、遅延単語想起及び単語認識)、論理的思考(命令に従う)、言語(呼称、理解力)、見当識、観念行為(封筒に便箋を入れる)及び構成行為(幾何学模様を模写する)を評価する構造化された尺度を有する(Rosen,W.G.et al.,“A new rating scale for Alzheimer’s disease.”Am.J.Psychiatry 1984;141:1356-64)。口頭言語、言語理解、喚語困難、検査教示の記憶能力、迷路及び数字の消去の評定も入手され得る。一部の実施形態では、ADS-Cogは、アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度11(ADAS-Cog11)の使用を指す。一部の実施形態では、ADAS-Cog11は、0点~70点の点数を付けられ、0点の点数が機能障害なしを指示し、70の点数が最も大きい機能障害を指示している。一部の実施形態では、ADAS-Cogは、アルツハイマー病評価尺度-認知機能下位尺度14(ADAS-Cog14)の使用を指す。ADAS-Cog14には、3つの追加的な項目:迷路、数字の消去及び遅延単語想起が含まれ、0点~90点の点数を付けられ、0点の点数が機能障害なしを指示し、90点の点数が最も大きい機能障害を指示している。一部の実施形態では、ADAS-Cog14課題には、記憶(単語想起、遅延単語想起及び単語認識)、論理的思考(命令に従う)、言語(呼称、理解力)、見当識、観念行為(封筒に便箋を入れる)、構成行為(幾何学模様を模写する)、口頭言語、言語理解、喚語困難、検査教示の記憶能力、迷路及び数字の消去が含まれる(Rosen,W.G.et al.,Am.J.Psychiatry 1984;141:1356-64)。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「CDR-SB」は、臨床的認知症尺度-項目合計を指す。CDRは、記憶、見当識、判断力及び問題解決、地域社会活動、家庭及び趣味及び身の回りの世話を含む6つの機能カテゴリーの各々における5段階のパフォーマンス障害度を記述する臨床尺度である(Berg,L.et al.,“Mild senile dementia of the Alzheimer type:2.Longitudinal assessment.”Ann.Neurol.1988;23:477-84)。6つの機能カテゴリーの各々で入手された障害度の評定が合成され、認知症CDRスコア(0~3点の範囲)として1つの総合評定となる。項目合計スコアは、変化の追加的な尺度を提供し、各カテゴリーの可能な最大スコアは、3点であり、合計スコアは、カテゴリースコアの和であるため、可能な合計スコアは、0~18点となり、スコアが高いほど、機能障害が大きいことを指示している。この総合スコアは、認知症の重症度の臨床的尺度として使用し得る。
【0038】
一部の実施形態では、アルツハイマー病に対する治療の有効性は、医学的観察、認知機能評価、医学的診断及び医用画像のいずれか1つ又は組み合わせにより測定することができる。一部の実施形態では、治療有効性は、単離された抗タウ抗体又はその断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と並行して24週目から週目104週目及び208週目まで投与したときのタウPETによるタウの広がりを測定することによって決定される。
【0039】
一部の実施形態では、症候性患者における治療有効性は、単離された抗タウ抗体又はその断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と並行して投与したときの臨床的認知症尺度項目合計(CDR-SB)の治療期間後のベースラインからの変化、例えば24週目から208週目までの変化を測定することにより判定される。一部の実施形態では、無症候患者における治療有効性は、単離された抗タウ抗体又はその断片を単独で投与して、次に単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と並行して投与したときの治療期間後の脳脊髄液(CSF)リン酸化タウ(p-タウ217)/総タウの変化、例えば0週目から104週目及び/又は208週目までの変化を測定することにより判定される。
【0040】
一部の実施形態では、治療有効性は、症候性患者で以下の少なくとも1つを測定することによって判定される:1)単離された抗タウ抗体又はその単離された断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せて投与したときの認知機能複合スコアの治療期間後の変化、例えば24週目から104週目及び/又は208週目までの変化、2)単独で投与したときの単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片の効果を評価するための治療期間後の変化、例えば0週目から24週目までのアミロイドPETの変化、3)抗Aβ-プロトフィブリル抗体又はその断片を単独で投与したときの治療期間後の安全性及び忍容性を評価するための抗抗Aβ-プロトフィブリル抗体の産生、例えば24週間後の変化、及び4)抗タウ抗体又はその断片を抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せて投与したときの治療期間後のCSF神経フィラメント軽鎖(NFL)の24週目から104週目及び/又は208週目までの変化、例えば24週目から104週目及び208週目までの変化。
【0041】
一部の実施形態では、無症候患者における治療有効性は、以下の少なくとも1つを測定することによって決定される:1)抗タウ抗体又はその断片を単独で投与したときの治療期間後の変化、例えばCSF p-タウ217/総タウの0週目から52週目までの変化、2)抗タウ抗体又はその断片を抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せて投与したときの治療期間後の変化、例えばCSF p-タウ217)/総タウの52週目から104週目及び/又は208週目までの変化、3)抗タウ抗体又はその断片を単独で投与したときの治療期間後の、例えば52週間にわたる抗抗タウ抗体の産生、4)抗タウ抗体又はその断片を抗Aβプロトフィブリル抗体又はその断片と併せて投与したときのCSF神経フィラメント軽鎖(NFL)の治療期間後の変化、例えば52週目から104週目及び/又は208週目までの変化。
【0042】
抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片
本明細書に開示される方法、キット及び組み合わせには、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片が含まれる。
【0043】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)配列番号3(HCDR3)、配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、配列番号6(LCDR3)のアミノ酸配列を含む6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。例えば、表11を参照されたい。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、配列番号13の重鎖可変ドメイン及び配列番号14の軽鎖可変ドメイン(例えば、Kabat又はIMGTにより定義されるとおり)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、配列番号13の重鎖可変ドメイン及び配列番号14の軽鎖可変ドメインを含む。例えば、表12を参照されたい。
【0044】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、ヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片のヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgE及びKabatレポートに開示されるとおりのその任意のアレル変異から選択される重鎖定常領域を含む。かかる配列の任意の1つ以上を本開示に使用し得る。一部の実施形態では、重鎖定常領域は、配列番号17を含む。
【0045】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片のヒト定常領域は、κ鎖及びλ鎖定常領域及びKabatレポートで考察されるとおりのその任意のアレル変異から選択される軽鎖定常領域を含む。かかる配列の任意の1つ以上を本開示に使用し得る。一部の実施形態では、軽鎖定常領域は、配列番号18を含む。
【0046】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、BAN2401としても知られるレカネマブである。レカネマブは、プロトフィブリルを標的化するように作られたマウスモノクローナル抗体であるmAb158のヒト化IgG1モノクローナル版であり、国際公開第2007/108756号パンフレット及びJournal of Alzheimer’s Disease 43:575-588(2015)に開示されている。レカネマブは、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体であり、Aβモノマーに対して低親和性を実証する一方、可溶性Aβ凝集体種に対しては高い選択性で結合する。例えば、レカネマブは、Aβモノマー又はAβ不溶性フィブリルよりも可溶性Aβプロトフィブリルに対して、それぞれ約1000倍及び5倍~10倍高い選択性を実証することが報告されている。レカネマブの完全長配列は、国際公開第2007/108756号パンフレット及びJournal of Alzheimer’s Disease 43:575-588(2015)(これらの開示は、両方とも参照により本明細書に援用される)に示される。
【0047】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1日2回投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1日1回投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、毎週投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、週2回投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、週3回投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、2週間毎に投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、毎月投与される。
【0048】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、3mg/kg~30mg/kgの範囲の用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg~30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、10mg/kg~30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、15mg/kg~30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、20mg/kg~30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、25mg/kg~30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg~25mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg~20mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg~15mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg~10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg又は30mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、10mg/kgの用量で投与される。
【0049】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片(例えば、レカネマブ)は、2週間毎に10mg/kgの用量で投与される。
【0050】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、投与前に対象から採取された試料の比と比べて試料中のバイオマーカーのレベルの変化が観察されるまで(例えば、血漿又はCSF試料でAβ42/40比の増加が観察されるまで)投与される。Aβ42/40比の測定方法は、LC MS/MSを用いたアッセイなど、当技術分野で公知である。方法としては、比の計算に使用する試料中のAβ42及びAβ40を測定するためのPrecivityAD(商標)アッセイ(例えば、Kirmess et al.,J.Clinica Chimica Acta 519:267-275(2021)を参照されたい)及びHISCL(商標)プラットフォームを使用したイムノアッセイ(https://www.eisai.com/news/2019/news201990.html)を挙げることができる。
【0051】
一部の実施形態では、バイオマーカーは、例えば、PET SUVrによって測定したときの脳アミロイドレベルである。PET SUVrの計算方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されるものが含まれ得る。一部の実施形態では、アミロイドレベルの標準取込値比定量分析は、PMOD生物医学画像定量化ソフトウェア(PMOD Technologies、チューリッヒ、スイス)を使用して完遂される。一部の実施形態では、PET画像は初めにX、Y及びZ平面における対象の動きが判定され、必要に応じて動きが補正された後、個々の画像(例えば、5分間の放射フレーム)は、例えば、PMOD平均化機能を用いて平均化される(信号対雑音比が増加するようにPETフレームが平均化される)。一部の実施形態では、対象からの対応するMRIが準備される(例えば、行列サイズリダクション処理、脳のみを含めるためのMRIのクロッピング、画像を灰白質、白質及びCSFのバイナリマップに分けるためのセグメンテーション及び脳マスクのみを残す頭蓋の画像のストリッピングを用いる)。一部の実施形態では、平均化したPET画像及び準備したMRIは、PMODマッチング機能を用いて、画像を同じ向きに置いてマッチングされる。一部の実施形態では、例えば、PMODソフトウェアによって提供されるとおりの脳標準化(Brain Normalization)機能を脳ノルム(Brain Norm)及びリジッドマッチング(Rigid Matching)変換行列と共に使用すると、平均化されたPETが生じる。一部の実施形態では、この平均化されたPET、これはMNInst空間(Senjem et al,2005)に対して標準化され、定量分析のため対象のセグメンテーションされたMRIと同じ向きにある。一部の実施形態では、PMODマスク機能(Mask Function)を用いて脳をマスクし、画像をマスクの外側についてゼロ化して、標準化された灰白質PET及び標準化された白質PETを作成する。SUVの単位に達するように、標準化されたPET、対象の体重及びトレーサーの注入用量を用いて計算されるPMODソフトウェアを使用して、全ての灰白質マッピング領域及び3つの白質領域(橋、小脳白質及び皮質下白質)についての標準取込値(SUV)を計算し得る。一部の実施形態では、SUVrは、選択の参照領域と比較したときの総皮質平均の比である。一部の実施形態では、全小脳マスクが参照領域として使用される。一部の実施形態では、参照領域は、皮質下白質、由来の全小脳、皮質下白質によって調整される全小脳、小脳灰白質並びに小脳皮質、橋皮質下白質及び小脳白質からなる複合参照領域である。
【0052】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物の形態である。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、1つ以上のシリンジ及び/又は自己注射器で投与される。一部の実施形態では、投与は、任意の好適な経路、例えば静脈内によるものである。
【0053】
レカネマブ及びレカネマブの使用を含む方法については、米国仮特許出願第62/749,614号明細書及びPCT/US2019/043067号明細書(これらは両方とも、全体として参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0054】
前臨床ADを有する対象におけるレカネマブの使用を含む方法については、臨床試験識別番号NCT04468659(ClinicalTrials.gov)(これは全体として参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0055】
抗タウ抗体又はその抗原結合断片
本明細書に開示される方法、キット及び組み合わせは、抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を含む。
【0056】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、Kabatにより定義したとき配列番号7(HCDR1)、配列番号8(HCDR2)、配列番号9(HCDR3)、配列番号10(LCDR1)、配列番号11(LCDR2)及び配列番号12(LCDR3)のアミノ酸配列を含む6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、IMGTにより定義したとき配列番号24(HCDR1)、配列番号25(HCDR2)、配列番号26(HCDR3)、配列番号27(LCDR1)、配列番号28(LCDR2)及び配列番号29(LCDR3)のアミノ酸配列を含む6つのCDR(CDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。例えば、表11を参照されたい。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、配列番号15の重鎖可変ドメイン及び配列番号16の軽鎖可変ドメイン(例えば、Kabat又はIMGTにより定義したとき)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、配列番号15の重鎖可変ドメイン及び配列番号16の軽鎖可変ドメインを含む。例えば、表12を参照されたい。
【0057】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、ヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgE及びKabatレポートに開示されるとおりのその任意のアレル変異から選択される重鎖定常領域を含む。かかる配列の任意の1つ以上を本開示に使用し得る。一部の実施形態では、重鎖定常領域は、配列番号19を含む。
【0058】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はその抗原結合断片のヒト定常領域は、κ鎖及びλ鎖定常領域及びKabatレポートで考察されるとおりのその任意のアレル変異から選択される軽鎖定常領域を含む。かかる配列の任意の1つ以上を本開示に使用し得る。一部の実施形態では、軽鎖定常領域は、配列番号20を含む。
【0059】
一部の実施形態では、抗タウ抗体又は抗原結合断片は、E2814又はその抗原結合断片を含む。E2814は、米国特許出願公開第2019/0112364 A1号明細書にクローン7G6-HCzu25/LCzu18として開示されており、その配列は、参照により本明細書に援用される。
【0060】
一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、米国特許出願公開第2019/0112364 A1号明細書(この開示は、参照により全てが本明細書に援用される)に開示されているもののいずれかである。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、米国特許出願公開第2019/0112364 A1号明細書に開示されるとおりの抗体クローン7G6-HCzu25/LCzu18からのCDR及び/又は可変ドメイン配列を含み、その配列は、参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、2017年10月11日にAmerican Type Culture Collection(10801 University Blvd.,Manassas,Va.20110-2209)に受託番号PTA-124524として寄託された抗体産生細胞によって産生される。
【0061】
一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、1日2回投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、1日1回投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、毎週投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、週2回投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、週3回投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、2週間毎に投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、4週間毎又は毎月投与される。
【0062】
一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg~4500mgの範囲の用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、500mg~4500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、1000mg~4500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、1500mg~4500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、3000mg~4500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg~3000mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg~1500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg~1000mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg~500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、200mg、500mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg、3000mg又は4500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、1500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、3000mgの用量で投与される。一部の実施形態では、抗タウ抗体又はその抗原結合断片は、4500mgの用量で投与される。本明細書に開示される方法で使用し得る抗タウ抗体又はその抗原結合断片、例えば抗タウ抗体E2814の用量設定及び投薬形態に関する更なる情報については、国際出願PCT/IB2022/060604号明細書(この内容が全体として参照により本明細書に援用される)を参照することができる。
【0063】
一部の実施形態では、抗タウ抗体は、E2814又はその抗原結合断片であり、3000mgの用量において、例えば4週間に1回投与される。
【0064】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片と併せて投与し、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、10mg/kgの用量で2週間毎に投与され、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は1500mg又は3000mgの用量で4週間毎に投与される。
【0065】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、投与前に対象から採取された試料のレベルと比べて試料中のバイオマーカーのレベルの変化が観察されるまで(例えば、血漿試料でリン酸化タウ217の減少が観察されるまで)投与される。一部の実施形態では、対象から採取された試料においてある一時点でp-タウ217を測定することができ、後の時点で対象から第2の試料を採取して、対象におけるp-タウ217の変化を測定することができる。一部の実施形態では、投与後に対象から採取された試料におけるp-タウ217のレベルは、投与前に対象から採取された試料におけるリン酸化タウ217のレベルと比べて減少する。
【0066】
一部の実施形態では、対象のp-タウ217量の増加を理由に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片の投与が増量される。一部の実施形態では、対象のp-タウ217量の減少を理由に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片の投与が減量される。血漿中のリン酸化タウ217の測定方法は、イムノアッセイなど、当技術分野で公知である。Tatebe et al.,Quantification of plasma phosphorylated tau to use as a biomarker for brain Alzheimer pathology,12 MOLECULAR NEURODEGENERATION 63(Sept.4,2017)。
【0067】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、PETによって測定されたときのタウの広がりの変化が検出されるまで投与される。一部の実施形態では、タウPETを使用してAD対象の脳内のタウの存在を確認し、且つ/又はその量を測定することができる。一部の実施形態では、ある一時点でタウPETスキャンを取ることができ、後の第2の時点で第2のタウPETスキャンを取って対象のタウの広がりを測定することができる。一部の実施形態では、PETによって測定したとき患者にタウの広がりが観察されることを理由に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片の投与が増量される。一部の実施形態では、タウPETは、MK-6240タウPETである。
【0068】
投与
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片と同じ時点で投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片と同じバイアルから投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片と異なるバイアルから投与される。
【0069】
一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のある期間にわたって投与される。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のある期間にわたって投与される。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前の52週間にわたって投与される。一部の実施形態では、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前の24週間にわたって投与される。
【0070】
一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、同じ臨床来院時に投与される。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、別個の臨床来院時に投与される。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、対象に静脈内投与される。一部の実施形態では、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与タイミングは、人がアルツハイマー病に関して症候性であるか、それともアルツハイマー病に関して無症候性であるかに依存する。
【0071】
一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を投与される前に、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を投与される。一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片が単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片と併せて投与されるまで24週間にわたって単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を投与される。一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して症候性の患者は、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を24週間にわたって投与され、次に24週目~52週目及び/又は24週目~208週目に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片と併せて投与される。
【0072】
一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して無症候性の患者は、単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を投与される前に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を投与される。一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して無症候性の患者は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片と併せて投与される前に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を52週間にわたって投与される。一部の実施形態では、アルツハイマー病に関して無症候性の患者は、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を52週間にわたって投与され、次に52週目~208週目に、単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片を単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片と併せて投与される。
【0073】
家族歴及び優性遺伝アルツハイマー病
一部の実施形態では、対象は、アルツハイマー病の家族歴、例えば血縁者が60歳より前にアルツハイマー病と診断されたという家族歴を有する。
【0074】
一部の実施形態では、対象は、優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)を有する。一部の実施形態では、対象は、3つの遺伝子、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン1(PSEN1)又はプレセニリン2(PSEN2)の少なくとも1つに突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、APP遺伝子に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、PSEN1遺伝子に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、PSEN2遺伝子に突然変異を有する。DIADに寄与するAPP、PSEN1又はPSEN2遺伝子の特異的突然変異については、当技術分野で公知である(例えば、Cruts&Van Broeckhoven,1998;Cruts,Theuns,&Van Broeckhoven,2012;Ryman et al.,2014;Sherva&Kowall,2018)。
【0075】
治療アウトカム
一部の実施形態では、対象のCDR-SBスコアは、本明細書に開示される治療方法に係る単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のスコアと比べて改善する。一部の実施形態では、対象のADAS-cogスコアは、本明細書に開示される治療方法に係る単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のスコアと比べて改善する。一部の実施形態では、対象のMMSEは、本明細書に開示される治療方法に係る単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のスコアと比べて改善する。一部の実施形態では、対象のCDRスコアは、本明細書に開示される治療方法に係る単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与前のスコアと比べて改善する。
【0076】
医薬組み合わせ及びキット
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組み合わせの形態で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗タウ抗体又はヒトタウへの結合能を有するその抗原結合断片及び/又は単離された抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、例えば、それらの抗体又は抗原結合断片を含む1本以上のバイアルと、投与、例えば並行投与に関する説明書とを含むキットの形態で提供される。一部の実施形態では、キットの抗体又は抗原結合断片は、投与、例えば静脈内投与用に製剤化され、例えば上記に開示されるとおり製剤化される。
【0077】
皮下投与
一部の実施形態では、対象は、ある用量の抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を皮下投与される。例えば、対象は、400mg~800mg又は400mg~1500mg、例えば720mgなどの抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を投与され得る。抗体は、レカネマブであり得る。抗体は、特定の頻度において、例えば週2回、毎週(QW)、隔週(2週間毎又はQ2W)又は毎月、ある期間、例えば少なくとも52週間若しくは18ヵ月にわたって又は特定の判定基準(例えば、特定の挙動及び/又はバイオマーカー判定基準)に達するまで投与され得る。一部の実施形態では、対象は、次に、維持用量の抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を例えば特定の頻度において且つある期間にわたって又は特定の判定基準に達するまで投与される。用量、頻度、投与期間及び判定基準は、前の治療用量、頻度、投与期間及び/又は判定基準と同じであっても又はなくてもよい。
【0078】
一部の実施形態では、治療用量は、毎週2回の同時の又は逐次的な皮下注射で例えば週720mgの総用量において投与される。一部の実施形態では、治療は、少なくとも52週間又は少なくとも18ヵ月間にわたる。一部の実施形態では、治療は、皮下注射によって投与される。一部の実施形態では、治療は、皮下自己注射器によって投与される。
【0079】
一部の実施形態では、治療用量(例えば、2回の同時の又は逐次的な皮下注射、例えば週720mgの総用量で)を受けた期間の後、例えば18ヵ月後、維持用量は、例えば、皮下に例えば週2回又は毎週、例えば1用量当たり720mgで投与される。一部の実施形態では、2つ以上の治療用量及び2つ以上の維持用量の抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片が投与され、維持用量は、治療用量と比べて低量及び/又は少ない頻度で投与される。一部の実施形態では、維持用量への切り替え又は維持用量の低量若しくは低頻度の選択の判定基準としては、治療前に対象から採取された試料の比と比べた、試料(例えば、血漿試料)で観察されるAβ42/40比の増加、治療後に対象から採取された試料におけるpタウ217又はpタウ181レベルの低下及び/又は治療後のアミロイドPET SUVrの減少など、バイオマーカーの変化を挙げることができる。
【0080】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物の形態である。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含む医薬組成物は、1本以上のシリンジ及び/又は自己注射器で投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含む医薬組成物は、腹部に投与される。
【0081】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に少なくとも80mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に少なくとも100mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に少なくとも200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に少なくとも250mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗体は、医薬組成物中に80mg/mL~300mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に85mg/mL~275mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に90mg/mL~250mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に95mg/mL~225mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に100mg/mL~200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、160mg/mL、170mg/mL、180mg/mL、190mg/mL、200mg/mL、210mg/mL、220mg/mL、230mg/mL、240mg/mL、250mg/mL、260mg/mL、270mg/mL、280mg/mL、290mg/mL又は300mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に100mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に200mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に250mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、医薬組成物中に300mg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、レカネマブである。
【0082】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、少なくとも1つの追加成分を更に含む。一部の実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1つの追加成分は、薬学的に許容可能な緩衝液から選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な緩衝液は、クエン酸塩緩衝液である。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な緩衝液は、ヒスチジン緩衝液である。一部の実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1つの追加成分は、乳化剤から選択される。一部の実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1つの追加成分は、クエン酸(又はクエン酸一水和物)、塩化ナトリウム、ヒスチジン(及び/又はヒスチジン塩酸塩)、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)及びポリソルベート80から選択される。一部の実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1つの追加成分は、クエン酸(及び/又はクエン酸一水和物)、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)及びポリソルベート80から選択される。一部の実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1つの追加成分は、ヒスチジン(及び/又はヒスチジン塩酸塩)、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)及びポリソルベート80から選択される。
【0083】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)を含む。一部の実施形態では、医薬組成物中のアルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、100mM~400mMの範囲である。一部の実施形態では、医薬組成物中のアルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、110mM~380mM、120mM~360mM、125mM~350mM、140mM~340mM、160mM~325mM、175mM~300mM又は200mM~250mMの範囲である。一部の実施形態では、医薬組成物中のアルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、110mM~150mM、150mM~200mM、200mM~250mM、250mM~300mM、300mM~350mM又は350mM~380mMの範囲である。一部の実施形態では、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、125mMである。一部の実施形態では、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、200mMである。一部の実施形態では、アルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)の濃度は、350mMである。
【0084】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、ヒスチジンを含む。一部の実施形態では、医薬組成物中のヒスチジンの濃度は、10mM~100mMの範囲である。一部の実施形態では、医薬組成物中のヒスチジンの濃度は、10mM~100mM、12mM~80mM、14mM~60mM、15mM~55mM、15mM~35mM又は15mM~25mMの範囲である。一部の実施形態では、ヒスチジンの濃度は、25mMである。一部の実施形態では、ヒスチジンの濃度は、50mMである。
【0085】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、ポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、医薬組成物中のポリソルベート80の濃度は、0.01~0.1%w/v、0.01~0.08%w/v、0.02~0.08%w/v、0.03~0.07%w/v又は0.04~0.06%w/vの範囲である。一部の実施形態では、ポリソルベート80は、医薬組成物中に0.01%w/v、0.02%w/v、0.03%w/v、0.04%w/v、0.05%w/v、0.06%w/v、0.07%w/v又は0.08%w/vの濃度で存在する。一部の実施形態では、ポリソルベート80は、医薬組成物中に0.02%w/vの濃度で存在する。一部の実施形態では、ポリソルベート80は、医薬組成物中に0.05%w/vの濃度で存在する。
【0086】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、クエン酸一水和物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物中のクエン酸一水和物の濃度は、10mM~100mMの範囲である。一部の実施形態では、医薬組成物中のクエン酸一水和物の濃度は、10mM~100mM、10mM~90mM、15mM~85mM、20mM~80mM、25mM~75mM、30mM~70mM、30mM~60mM又は30mM~50mMの範囲である。一部の実施形態では、医薬組成物中のクエン酸一水和物の濃度は、50mMである。
【0087】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、4.5~5.5の範囲のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物のpHは、4.0~6.0、4.2~5.8、4.3~5.7、4.4~5.6又は4.5~5.5の範囲である。一部の実施形態では、pHは、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4又は5.5である。一部の実施形態では、pHは、5.0である。
【0088】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、溶液及び/又は当業者が適切と見なす任意の他の好適な液体製剤の形態であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、無菌で非パイロジェン性の皮下投与用液体として製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、生理食塩水である。
【0089】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、レカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含み、且、例えばクエン酸一水和物、アルギニン、アルギニン塩酸塩及びポリソルベート80を更に含む液体投薬形態である。
【0090】
一部の実施形態では、医薬組成物は、100mg/mLの抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片、例えばレカネマブなど、50mMクエン酸一水和物、110mMアルギニン、240mMアルギニン塩酸塩及び0.05%(w/v)ポリソルベート80を含み、5.0±0.4のpHを有する。
【0091】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物は、レカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、且つ例えばヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩及びポリソルベート80を更に含む液体投薬形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、100mg/mL又は200mg/mLのレカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体、25mMのヒスチジン及びヒスチジン塩酸塩、200mMアルギニン塩酸塩及び0.05%(w/v)ポリソルベート80を含み、5.0±0.4のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、200mg/mLレカネマブ、200mMアルギニン、25mMヒスチジン及びヒスチジン塩酸塩、0.05%(w/v)ポリソルベート80を滅菌水溶液として含む。
【0092】
一部の実施形態では、医薬組成物は、レカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、且つ例えばヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩及びポリソルベート80を更に含む液体投薬形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、200mg/mLのレカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体、50mMヒスチジン及びヒスチジン塩酸塩、125mMアルギニン塩酸塩及び0.02%(w/v)ポリソルベート80を含み、5.0±0.4のpHを有する。
【0093】
一部の実施形態では、医薬組成物は、レカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体を含み、且つ例えばヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、アルギニン塩酸塩及びポリソルベート80を更に含む液体投薬形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、200mg/mLのレカネマブなど、Aβプロトフィブリルに結合する抗Aβプロトフィブリル抗体、50mMクエン酸(及び/又はクエン酸一水和物)、125mMアルギニン(及び/又はアルギニン塩酸塩)及び0.02%(w/v)ポリソルベート80を含み、5.0±0.4のpHを有する。
【0094】
例示的な皮下投与用製剤は、PCT/IB2021/000155号明細書(その内容が全体として参照により本明細書に援用される)にも開示されている。
【0095】
本明細書で使用されるとき、用語「維持用量」は、所望の治療効果を維持するために対象に投与される投薬量を指す。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じである。一部の実施形態では、維持用量は、皮下投与される。一部の実施形態では、維持用量は、1回又は複数回投与される。一部の実施形態では、維持用量は、毎週、2週間毎、4週間毎、6週間毎、8週間毎、10週間毎、12週間毎(3ヵ月毎又は4分の1年毎)、16週間毎、24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)、48週間毎、毎月、2ヵ月毎、3ヵ月毎、4ヵ月毎、6ヵ月毎又は12ヵ月毎に投与される。一部の実施形態では、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含む。一部の実施形態では、維持用量は、300mg~800mg、300mg~400mg、400mg~500mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~600mg、500mg~550mg、550mg~600mg、600mg~700mg、600mg~650mg、650mg~700mg、700mg~800mg、700mg~750mg又は750mg~800mgである。一部の実施形態では、維持用量は、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg又は390mgである。一部の実施形態では、維持用量は、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg又は490mgである。一部の実施形態では、維持用量は、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg又は590mgである。一部の実施形態では、維持用量は、600mg、610mg、620mg、630mg、640mg、650mg、660mg、670mg、680mg又は690mgである。一部の実施形態では、維持用量は、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg又は790mgである。一部の実施形態では、維持用量は、800mg~1600mg、800mg~1000mg、800mg~900mg、900mg~1000mg、1000mg~1200mg、1000mg~1100mg、1100mg~1200mg、1200mg~1400mg、1200mg~1300mg、1300mg~1400mg、1400mg~1600mg、1400mg~1500mg又は1500mg~16000mgである。一部の実施形態では、維持用量は、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg又は980mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1000mg、1020mg、1040mg、1060mg、1080mg、1100mg、1120mg、1140mg、1160mg又は1180mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1200mg、1220mg、1240mg、1260mg、1280mg、1300mg、1320mg、1340mg、1360mg又は1380mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1400mg、1420mg、1440mg、1460mg、1480mg、1500mg、1520mg、1540mg、1560mg又は1580mgである。一部の実施形態では、維持用量は、単回投与で提供され、例えば1440mgの単回皮下注射として投与されるか、又は2回以上の投与において720mgの投与を2回で合計1440mg、360mgの投与を4回で合計1440mgが提供される。一部の実施形態では、維持用量は、3600mgである。一部の実施形態では、維持用量は、440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、580mgである。一部の実施形態では、維持用量は、720mgである。一部の実施形態では、720mgの維持用量は単回投与で提供されるか、又は2回の360mgの投与で提供される。一部の実施形態では、維持用量は、1440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、単回投与で提供され、例えば720又は1440mgの単回皮下注射として投与されるか、又は2回以上の投与において、例えば2回の並行して行われる360mgの投与で合計720mg、又は2回の720mgの投与で合計1440mg、又は4回の360mgの投与で合計1440mgが提供される。一部の実施形態では、維持用量は、120mgである。一部の実施形態では、維持用量は、180mgである。一部の実施形態では、維持用量は、240mgである。一部の実施形態では、維持用量は、360mgである。一部の実施形態では、維持用量は、440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、480mgである。一部の実施形態では、維持用量は、540mgである。一部の実施形態では、維持用量は、440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、580mgである。一部の実施形態では、維持用量は、600mgである。一部の実施形態では、維持用量は、720mgである。一部の実施形態では、維持用量は、840mgである。一部の実施形態では、維持用量は、900mgである。一部の実施形態では、維持用量は、960mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1080mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1200mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1260mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1320mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、毎週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、隔週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む隔週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、隔週の1440mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる、例えば2回の逐次的な720mgの皮下製剤の投与で合計1440mg又は4回の逐次的な360mgの投与で合計1440mgを含む1440mgの単回隔週投与で提供される。
【0096】
一部の実施形態では、維持用量は、1回又は複数回投与される。一部の実施形態では、維持用量は、治療経過初期中よりも低い用量で投与され、且つ/又は治療経過初期中よりも少ない頻度で投与される。
【0097】
一部の実施形態では、治療用量は、皮下注射として投与される。一部の実施形態では、治療用量は、毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、治療用量は、隔週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、治療用量は、毎月の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、治療用量は、4分の1年毎の皮下注射として投与される。
【0098】
一部の実施形態では、維持用量は、皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、隔週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、毎月の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、4分の1年毎の皮下注射として投与される。
【0099】
一部の実施形態では、維持用量の頻度は毎週である。一部の実施形態では、維持用量は、2週間毎(隔週)である。一部の実施形態では、維持用量は、4週間毎(毎月)である。一部の実施形態では、皮下維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、8週間(2ヵ月)毎に投与される。一部の実施形態では、維持用量は、3ヵ月毎(12週間毎又は4分の1年毎)である。一部の実施形態では、維持用量は、6ヵ月毎(24週間毎又は半年毎)である。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じである。一部の実施形態では、維持用量は、維持用量を投与する前の用量と同じ用量の大きさである。一部の実施形態では、維持用量の大きさは、維持用量を投与する前の用量よりも低い用量である。一部の実施形態では、維持用量は、維持用量を投与する前の用量と同じ用量頻度である。一部の実施形態では、維持用量は、維持用量を投与する前の用量よりも低い用量頻度である。
【0100】
一部の実施形態では、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の皮下製剤の毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎月の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む隔週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎月の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、毎週投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、2週間毎に投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、4週間毎に(毎月)投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、8週間(2ヵ月)毎に投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、3ヵ月毎(12週間毎又は4分の1年毎)に投与される。一部の皮下の実施形態では、維持用量は、毎週、2週間毎、4週間毎、6週間毎、8週間毎、10週間毎、12週間毎、16週間毎、24週間毎、48週間毎、毎月、2ヵ月毎、3ヵ月毎、4ヵ月毎、6ヵ月毎又は12ヵ月毎に投与される。一部の実施形態では、皮下維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を300mg~800mg、300mg~400mg、400mg~500mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~600mg、500mg~550mg、550mg~600mg、600mg~700mg、600mg~650mg、650mg~700mg、700mg~800mg、700mg~750mg又は750mg~800mgの用量で含む。一部の実施形態では、維持用量は、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg又は390mgである。一部の実施形態では、維持用量は、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg又は490mgである。一部の実施形態では、維持用量は、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg又は590mgである。一部の実施形態では、維持用量は、600mg、610mg、620mg、630mg、640mg、650mg、660mg、670mg、680mg又は690mgである。一部の実施形態では、維持用量は、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg又は790mgである。一部の実施形態では、維持用量は、800mg~1600mg、800mg~1000mg、800mg~900mg、900mg~1000mg、1000mg~1200mg、1000mg~1100mg、1100mg~1200mg、1200mg~1400mg、1200mg~1300mg、1300mg~1400mg、1400mg~1600mg、1400mg~1500mg又は1500mg~16000mgである。一部の実施形態では、維持用量は、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg又は980mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1000mg、1020mg、1040mg、1060mg、1080mg、1100mg、1120mg、1140mg、1160mg又は1180mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1200mg、1220mg、1240mg、1260mg、1280mg、1300mg、1320mg、1340mg、1360mg又は1380mgである。一部の実施形態では、維持用量は、1400mg、1420mg、1440mg、1460mg、1480mg、1500mg、1520mg、1540mg、1560mg又は1580mgである。一部の実施形態では、維持用量は、単回投与で提供され、例えば720又は1440mgの単回皮下注射として投与されるか、又は2回以上の投与において、例えば2回の並行して行われる360mgの投与で合計720mg、又は2回の720mgの投与で合計1440mg、又は4回の360mgの投与で合計1440mgが投与される。一部の実施形態では、維持用量は、440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、580mgである。一部の実施形態では、維持用量は、720mgの単回投与又は2回の360mgの投与として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、1440mgである。一部の実施形態では、維持用量は、毎週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、毎週の360mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、隔週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、隔週の1440mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる、例えば逐次的な720mgの皮下製剤の投与で合計1440mgを含む1440mgの単回隔週投与で提供される。
【0101】
一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を皮下投与した後、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、例えば、患者がアミロイド陰性になるまで又は例えばある期間、例えば少なくとも18ヵ月間にわたってレカネマブを毎週皮下投与すること、例えば2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射を含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、次に維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎週10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、隔週10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、毎月10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、6週間毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、8週間毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与した後、4分の1年毎に10mg/kgの静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じ量及び/又は頻度で投与される。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量の50%である。
【0102】
一部の実施形態では、維持用量は、例えば、上記に開示されるとおりの静脈内治療期間後に静脈内投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量、例えば10mg/kgレカネマブの用量投与は、毎週、2週間、毎月、2ヵ月毎又は3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、2週間毎に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、4週間毎に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、6週間毎に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、8週間(2ヵ月)毎に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、3ヵ月毎(4分の1年毎)に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に投与される。一部の実施形態では、静脈内維持用量は、2.5mg/kg~10mg/kgである。一部の実施形態では、維持用量は、10mg/kgレカネマブの隔週の静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、4週間毎に(毎月)10mg/kgの静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、6週間毎に10mg/kgの静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、8週間(2ヵ月)毎に10mg/kgの静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、12週間毎(3ヵ月毎又は4分の1年毎)に10mg/kgの静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、24週間毎(6ヵ月毎又は半年毎)に10mg/kgの静脈内用量として投与される。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、6週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、8週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0103】
一部の実施形態では、患者は、静脈内維持用量、例えば上記に開示されるとおりの10mg/kgレカネマブの用量設定で開始した後、皮下維持用量、例えば2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射に切り替える。一部の実施形態では、患者は、皮下維持用量、例えば2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射で開始した後、静脈内維持用量、例えば上記に開示されるとおりの10mg/kgレカネマブの用量設定に切り替える。
【0104】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、皮下(SC)投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1.1mLの容積を有する注射で投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1.4mLの容積を有する注射で投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1.45mLの容積を有する注射で投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1.8mLの容積を有する注射で投与される。
【0105】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1日1回投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1日2回投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1回又は複数回投与される;例えば、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、720mgの単回投与として投与されるか、又は720mgの投与を2回で合計1440mgとして投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1回又は複数回投与される;例えば、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、720mgの単回投与として投与されるか、又は360mgの投与を2回で合計720mgとして投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、毎週投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、週2回投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、週3回投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、2週間毎に投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、毎月投与される。一部の実施形態では、用量の大きさ及び/又は用量頻度は、所望の治療効果が実現した後に低減され得る。低減される頻度は、2週間毎又は4週間毎、6週間毎、8週間毎、10週間毎、12週間毎、16週間毎、毎月、2ヵ月毎、3ヵ月毎、4ヵ月毎、6ヵ月毎又は12ヵ月毎であり得る。一部の実施形態では、用量の大きさ又は用量頻度の低減が関係した所望の治療効果は、十分な又は所定のレベルを実現する脳アミロイドの低減、アミロイドPET SUVrの低減、血漿Aβ42/40比の増加、血漿p-タウ181の低減及び脳アミロイドの低減と相関関係のある他のバイオマーカーの変化から選択される1つ以上であり得る。一部の実施形態では、用量の大きさ又は用量頻度の低減後に所望の治療効果が維持されるとき、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与は中断される。一部の実施形態では、脳アミロイドの低減、アミロイドPET SUVrの低減、血漿Aβ42/40比の増加、血漿p-タウ181の低減及び脳アミロイドの低減と相関関係のある他のバイオマーカーの変化から選択される1つ以上によって評価し得る所望の治療効果が対象で実現しないか又は十分な若しくは所定のレベルでないと予想される場合、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の投与は中断される。
【0106】
一部の実施形態では、治療は、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月間にわたって皮下投与することを含む。一部の実施形態では、治療は、レカネマブを週2回、例えば1用量当たり720mgにおいて例えば少なくとも18ヵ月間にわたって皮下投与することを含む。一部の実施形態では、1つ以上のバイオマーカー又は他の治療アウトカム尺度の所望の改善が実現するまで、例えば治療前、例えば18ヵ月間の治療の前に対象から採取された試料の比と比べて試料(例えば、血漿試料)にAβ42/40比の増加が観察されるときまで、治療は継続される。一部の実施形態では、対象は、初期ADと診断されている。一部の実施形態では、対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害-可能性が中等度を有すると診断されており、且つ/又は軽度アルツハイマー病型認知症を有すると診断されている。
【0107】
一部の実施形態では、本治療方法は、対象から入手された第1の血液試料中のアミロイドβ1-42(Aβ42)の濃度及びアミロイドβ1-40(Aβ40)の濃度を測定することにより、Aβ40に対するAβ42の第1の比(Aβ42/40比)を決定することを含む。一部の実施形態では、次に対象に治療有効用量の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体が投与される。一部の実施形態では、第1の試料の後に第2の血液試料が入手され、第2のAβ42/40比が決定される。一部の実施形態では、第2の血液試料は、治療が中止された後又は低減された後に対象から入手される。一部の実施形態では、Aβ42/40比の変化を用いて第2の治療有効用量が決定される。一部の実施形態では、第1の比と比べて上昇した第2の比を有する対象には、その対象に対する第1の用量と同じか又はそれより低量の抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含む第2の治療有効用量が投与される。一部の実施形態では、第1の比と比べて低い第2の比を有する対象には、第1の用量よりも高量の抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を含む第2の治療有効用量が投与される。一部の実施形態では、第1の比と比べて低い第2の比を有する対象には、別のAD治療が投与される。第1の治療有効用量が複数回(例えば、6~18ヵ月間にわたって隔週又は毎月)投与された後、第2のAβ42/40比の測定後に第2の治療有効用量又は用量投与レジメンに変更され得る。一部の実施形態では、第1の治療有効用量が少なくとも18ヵ月間にわたって投与された後、維持用量に切り替えられ得る。一部の実施形態では、患者がアミロイド陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられ得る。一部の実施形態では、患者がアミロイド陰性(例えば、アミロイド又はタウ陽電子放射断層撮影法(PET)、脳脊髄液Aβ1-42レベル及び/又はAβ1-42/1-40比、脳脊髄液総タウレベル、脳脊髄液ニューログラニンレベル、脳脊髄液神経フィラメント軽鎖ペプチド(NfL)レベル及び血清中又は血漿中で測定したときの血液バイオマーカー(例えば、Aβ1-42レベル、2つの形態のアミロイド-βペプチドの比(Aβ1-42/1-40比)、血漿総タウ(T-タウ)の血漿レベル、リン酸化タウ(P-タウ)アイソフォームのレベル(181(P-タウ181)、217(P-タウ217)及び231(P-タウ231)でリン酸化したタウを含む)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)及び/又は神経フィラメント軽鎖(NfL)で測定したとき)になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられ得る。一部の実施形態では、患者が例えば0.092~0.094であるか若しくはそれを上回る(例えば、0.092であるか若しくはそれを上回る)Aβ42/40比によって測定されるとおりのアミロイド陰性になるまで又は1.17であるか若しくはそれを下回るフロルベタピルアミロイドPET SUVr陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられ得る。一部の実施形態では、患者が例えば0.092を上回るAβ42/40比によって測定されるとおりのアミロイド陰性になるまで又は1.17であるか若しくはそれを下回るフロルベタピルアミロイドPET SUVr陰性になるまで第1の治療有効用量が投与された後、維持用量に切り替えられ得る。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、維持用量に切り替えることを含む。
【0108】
一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、静脈内維持用量(例えば、10mg/kgにおいて例えば隔週又は4、6、8、10若しくは12週間毎)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、レカネマブを10mg/kgで投与した後)、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、6週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、レカネマブを10mg/kgで投与した後)、8週間毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、2ヵ月毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、レカネマブを10mg/kgで投与した後)、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0109】
一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで720mgで皮下投与した後、皮下維持用量(例えば、720mgにおいて例えば毎週、隔週又は4、6、8、10若しくは12週間毎)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、維持用量は、毎週360mgである。
【0110】
一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の皮下維持用量(例えば、360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後(例えば、レカネマブを10mg/kgで投与した後)、6週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、8週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、2ヵ月毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。
【0111】
一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量又は360mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、隔週の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎週の皮下維持用量(例えば、360mgの単回用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、毎月の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、6週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、8週間毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、2ヵ月毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。一部の実施形態では、第1の治療有効用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を毎週、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与すること、例えばある所与の週に2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む720mgの皮下注射の後、4分の1年毎の皮下維持用量(例えば、720mgの用量)に切り替えることを含む。
【0112】
一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって10mg/kgで静脈内投与することを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を静脈内投与した後、維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって10mg/kgで静脈内投与した後、維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、対象は、維持用量に至るまでの初期の用量調節段階なしに維持用量に切り替えられる。一部の実施形態では、対象は、維持用量に至るまで少なくとも1段階の用量調節を経て維持用量に切り替えられ、例えば、対象の投薬量又は投与頻度は、最終的な維持用量投与レジメンが実現するまで多段階で低減され得る(例えば、毎週720mgの皮下治療用量投与レジメンから毎週360mg又は隔週720mgの維持用量投与レジメンへの、毎週540mg又は10日毎に720mgなど、中間的な量又は期間での中間的用量設定を経る段階的低減)。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量と同じである。一部の実施形態では、対象の維持用量は、治療期間中の用量の50%である。
【0113】
一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の静脈内維持用量に切り替えることを含む。
【0114】
一部の実施形態では、維持用量は、(例えば、皮下注射として)皮下投与される。他の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を皮下投与した後、静脈内維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を静脈内投与した後、皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたり、例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の360mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎週の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、隔週の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、毎月の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。一部の実施形態では、治療は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を隔週で、例えば少なくとも18ヵ月間にわたって又は例えば患者がアミロイド陰性になるまで10mg/kgで静脈内投与した後、4分の1年毎の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む。
【0115】
一部の実施形態では、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を10mg/kgの用量で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を、例えば720mgの用量で皮下投与することを含む治療に切り替えることになる。一部の実施形態では、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量において例えば少なくとも18ヵ月の総治療期間にわたって又は患者がアミロイド陰性になるまで皮下投与することを含む治療に切り替えることになる。一部の実施形態では、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量で皮下投与した後、毎週の360mgの皮下維持用量に切り替えることを含む治療に切り替えることになる。一部の実施形態では、患者は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片を10mg/kg、隔週で静脈内投与することを含む治療を開始し、次に、レカネマブを毎週、例えば720mgの用量で皮下投与した後、毎月の720mgの皮下維持用量に切り替えることを含む治療に切り替えることになる。
【0116】
一部の実施形態では、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片(例えば、レカネマブ)の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片の皮下製剤の毎週の皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎月の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む隔週の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む毎月の720mg皮下注射として投与される。一部の実施形態では、維持用量は、2回の並行して行われる360mg(2×1.8mLの400mg/2mL)の皮下製剤の注射、例えば逐次的な注射を含む4分の1年毎の720mg皮下注射として投与される。
【0117】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、300mg~800mg又は400~1500mgの範囲の用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、300mg~400mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、400mg~500mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、400mg~450mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、450mg~500mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、500mg~600mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、500mg~550mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、550mg~600mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、600mg~700mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、600mg~650mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、650mg~700mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、700mg~800mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、700mg~750mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、750mg~800mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg又は390mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg又は490mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg又は590mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、600mg、610mg、620mg、630mg、640mg、650mg、660mg、670mg、680mg又は690mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg又は790mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、440mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、580mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、720mgの用量で皮下投与される。
【0118】
一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、800mg~1600mgの範囲の用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、800mg~1000mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、800mg~900mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、900mg~1000mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1000mg~1200mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1000mg~1100mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1100mg~1200mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1200mg~1400mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1200mg~1300mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1300mg~1400mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1400mg~1600mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1400mg~1500mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1500mg~1600mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg又は960mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1000mg、1020mg、1040mg、1060mg、1080mg、1100mg、1120mg、1140mg、1160mg又は1180mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1200mg、1220mg、1240mg、1260mg、1280mg、1300mg、1320mg、1340mg、1360mg又は1380mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1400mg、1400mg、1440mg、1460mg、1480mg、1500mg、1520mg、1540mg、1560mg又は1580mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、880mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1160mgの用量で皮下投与される。一部の実施形態では、抗Aβプロトフィブリル抗体又はヒトAβプロトフィブリルへの結合能を有するその抗原結合断片は、1440mgの用量で皮下投与される。
【0119】
本明細書で考察される方法で使用し得る更なる例示的な皮下用量、投与頻度、維持用量及び皮下投与用製剤については、国際出願PCT/US2022/041926号明細書(この内容は、参照により全体が本明細書に援用される)に記載されている。
【0120】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法で使用される抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器によって送達される。一部の実施形態では、自己注射器は、抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を皮下送達する。一部の実施形態では、自己注射器は、1.1mLの注入量を送達する。一部の実施形態では、自己注射器は、1.4mLの注入量を送達する。一部の実施形態では、自己注射器は、1.8mLの注入量を送達する。一部の実施形態では、自己注射器は、約400~800mg、例えば360mgの抗Aβプロトフィブリル抗体又はその抗原結合断片を皮下送達する。
【実施例
【0121】
本開示は、以下の例によって更に例示されるが、これらの例は、限定するものと解釈されてはならない。本願全体を通して引用される全ての参考文献、特許及び公開特許出願の内容並びに図は、あらゆる目的から全体として参照により本明細書に援用される。
【0122】
実施例1:レカネマブをE2814と併せて投与することによるアルツハイマー病の治療
1.1 二重盲検期間における用量選択
1.1.1 E2814
1500mgの抗タウ抗体E2814又はその抗原結合断片を4週間毎に静脈内(IV)投与する。将来の治験実施計画書の改訂では、高用量の安全性、PK及びTEデータに基づき、これより高用量(3000mg又は4500mg)の研究が検討され得る。
【0123】
1.1.2 レカネマブ
レカネマブ治療は、10mg/kg用量で静脈内注入によってQ2W投与することになる。
【0124】
1.2 薬物特異的研究デザイン
これは、単独で又はレカネマブと並行して投与したときのE2814が安全性、忍容性、バイオマーカー、認知機能及び臨床的有効性に及ぼす治療効果を評価するプラセボ対照二重盲検第II/III相研究である。
【0125】
組入れ基準には、以下が含まれる:
・18~80歳の者;
・アルツハイマー病の原因突然変異を有することが分かっている者;
・認知症状発症の予想年齢又は実年齢が-10歳~+10歳の範囲内である;
・認知機能が正常であるか又は軽度認知障害若しくは軽度認知症を患っており、臨床的認知症尺度(CDR)が0以上1以下である;
・治験で認められている言語が流暢であり、発病前の知的機能が適切であるというエビデンスがある;
・磁気共鳴画像法(MRI)、腰椎穿刺(LP)、陽電子放射断層撮影法(PET)を受けて、研究関連の検査及び評価を全て完了することが可能である。
・妊娠の可能性がある女性について、パートナーが不妊手術を受けていない場合、参加者は有効な避妊手段(ホルモン避妊、子宮内避妊器具、禁欲、殺精子薬によるバリア法)を用いることに同意しなければならない;
・認知及び機能判定のあらゆる側面を実施するのに十分な視覚及び聴覚能力;
・治験責任医師の判断で、対象の認知及び機能能力に関して正確な情報を提供することが可能な、尺度評価の完成に情報提供者の入力が必要となる研究来院時に情報を提供することに同意する研究パートナーがいる。
【0126】
除外基準には、以下が含まれる:
・現在又は研究の経過中に認知又は参加者が研究を完了する能力に影響を及ぼし得る重大な神経疾患(AD以外)又は精神疾患;
・自殺リスクが高い、例えば過去12ヵ月以内の重大な自殺念慮又は自殺企図 - 現在安定している軽症うつ病又は現在使用中の抗うつ薬物療法は除外しない;
・他の何らかの重大な異常を指し示す脳MRIスキャンの既往歴又は現病;
・現在又は過去1年以内の物質又はアルコール使用障害;
・ペースメーカー、動脈瘤クリップ、人工心臓弁、耳内インプラント又はMRIスキャンの妨げとなり得る眼内、皮内若しくは体内の金属製の異物がある;
・臨床的に重大な心血管疾患、肝/腎障害、感染症又は免疫障害又は代謝/内分泌障害の既往歴又は現病;
・低用量(325mg以下)アスピリン以外の抗凝固薬を服用中である;
・過去6ヵ月以内にβアミロイドペプチドを標的とするモノクローナル抗体への曝露歴がある;
・過去5年以内の癌既往歴、但し、過去2年間に重大な進行のない基底細胞癌、非扁平上皮皮膚癌、前立腺癌又は上皮内癌を除く;
・尿若しくは血清妊娠検査陽性又は試験の経過中に妊娠する予定若しくは希望がある;
・MRIスキャンの際に取り外すことのできない金属製インプラント、抗凝固の必要性及び妊娠を含め、研究関連の検査全てを完了することができない対象。
【0127】
約168例の参加者は、2コホートの各々に84例ずつの参加者とするE2814盲検研究薬アームに登録することになる。発症からの推定年数(EYO)が-10年~+10年以内の全168例の参加者を、そのベースライン(0週目)CDRスコアに基づき以下のとおり2コホートに割り付けることになる。
【0128】
症候性集団(コホート1):最小84例のCDR=0.5~1(軽度認知障害の症候あり)の参加者
【0129】
無症候性集団(コホート2):最小84例のCDR=0(認知機能正常)の参加者
【0130】
無作為化の時点で、以下の因子を含む最小化アルゴリズムにより、参加者を実薬E2814対プラセボ1:1で無作為化することになる(図1):
1.臨床的認知症尺度-項目合計(CDR-SB;0点、0.5~1点、1.5~3点、3点超)
2.発症からの推定年数(EYO)(-10~-5年、-4~-1年、0~4年、5~10年)
3.遺伝子型(APP、PSEN1、PSEN2)
4.教育年数(12年未満、12年、13~16年、16年超)
5.年齢(18~40歳、41~55歳、56~80歳)
6.APOE4アレルの有無(APOE4陽性、APOE4陰性)
7.地域(米国/オーストラリア/カナダ、ヨーロッパ、その他の地域)
8.研究施設、及び
9.性別(男性、女性)。
【0131】
以下の2つの目標を達成するため、最小化無作為化アルゴリズムを用いることになる:1)臨床的及び認知的進行に影響を及ぼす予後因子又は影響を及ぼし得る非予後因子の均衡をとる(これらの因子には、ベースラインCDR-SB、EYO、無作為化時の年齢、教育年数及び地域が含まれる)、及び2)有害事象に影響を及ぼし得る又は薬物効果に干渉し得る因子の均衡をとる(これらの因子には、遺伝子型、APOE4アレル及び性別が含まれる)。
【0132】
E2814又はプラセボは、E2814盲検研究薬アームの一部としての非盲検レカネマブと並行して投与することになる。E2814又はプラセボは4週間毎に(Q4W)1500mgの用量で静脈内投与し、レカネマブは2週間毎に(Q2W)10mg/kgで静脈内投与することになり、各コホートは、図2に指定するとおり、各々の治療を異なる時点で開始する。参加者は、同時に登録した参加者全てが最低4年間の治療を受けるまで(210週間)又は離脱するまで(共通の打ち切り)、治療を受け続けることになる。各コホートは、以下のとおりの並行投与について、E2814又はプラセボ及びレカネマブの治療を開始することになる。
【0133】
症候性集団(コホート1)
0週目、参加者は非盲検レカネマブ10mg/kgの静脈内投与を全治療期間にわたって2週間毎に(Q2W)受けることになる。
【0134】
24週目、1500mg E2814又はプラセボのQ4W静脈内投与をその残りの治療期間盲検方式で受けるように参加者を1:1比で無作為化することになる。
【0135】
無症候性集団(コホート2)
0週目、1500mg E2814又はプラセボのQ4W静脈内投与を全治療期間にわたって盲検方式で受けるように参加者を1:1比で無作為化することになる。
【0136】
52週目、全ての参加者がその残りの治療期間にわたる非盲検レカネマブ10mg/kgのQ2W静脈内投与を開始することになる。
【0137】
各薬物の投与をこのようにずらすことにより、レカネマブ及びE2814単独の効果について、これらの薬物を合わせた評価の前に評価することが可能になる。
【0138】
1.3 バイオマーカーの理論的根拠 目的及び評価項目
DIADにおける個別的な段階を経るタウ病態生理の進展に基づいて、症候性集団(コホート1)の主要研究評価項目はタウPETであり、無症候性集団(コホート2)の鍵となる副次的研究評価項目は脳脊髄液(CSF)リン酸化タウ(pタウ217)/総タウ比(p-タウ217/総タウ比)である。
【0139】
3、10及び30mg/kgの単回E2814注入後に遊離型MTBRタウの用量依存的減少があったことから、E2814がCSF中のMTBRタウレベルを低下させることが可能であると実証された。E2814-結合型及び遊離型MTBRタウを用いてターゲットエンゲージメント(TE)を総MTBRタウ(遊離型+結合型)に対する結合型MTBRタウの割合(%)として推定した。これらの予備的データは、約26%、45%及び60%(それぞれ3、10及び30mg/kg)のTEの用量依存的増加があり、最長29日目までTEが持続することを示唆している。
【0140】
1.4 主要研究目的及び評価項目
主要研究評価項目は、タウPETによって測定されたときのタウの広がりの24週目から104週目(中間分析)及び208週目(最終分析)までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを症候性集団(コホート1)で決定することである。
【0141】
1.5 副次的研究評価項目
1.5.1 鍵となる副次的評価項目
鍵となる副次的評価項目は、以下のとおりである。
【0142】
症候性集団(コホート1):臨床的認知症尺度項目合計(CDR-SB)の24週目から208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること
【0143】
無症候性集団(コホート2):脳脊髄液(CSF)リン酸化タウ(p-タウ217)/総タウの0週目から104週目(中間分析)及び208週目(最終分析)までの変化の点で、それぞれ単独で投与したとき及び次にレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること
【0144】
1.5.2 追加の副次的評価項目
個別の又は組み合わせた集団コホートの追加の副次的評価項目は、以下のとおりである。
【0145】
症候性集団(コホート1):1)認知機能複合スコアの24週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること、2)0週目から24週目までのアミロイドPETに関する変化の点で、単独で投与したときのレカネマブの効果を判定すること、3)0週目~208週目のCDR-SBに関する変化の点で、単独で又はプラセボと共に投与したときのレカネマブが外部対照よりも優れているかどうかを決定すること、4)単独で24週間にわたって投与したときのレカネマブについて、免疫原性(抗レカネマブ抗体の産生)の判定を含め、安全性及び忍容性を判定すること、及び5)CSF神経フィラメント軽鎖(NFL)の24週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること。
【0146】
無症候性集団(コホート2):1)CSF p-タウ217/総タウの0週目から52週目までの変化の点で、それぞれ単独で投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを評価すること、2)CSF p-タウ217)/総タウの52週目から104週目(中間分析)及び208週目(最終分析)までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること、3)単独で52週間にわたって投与したときのE2814について、免疫原性(抗E2814抗体の産生)の判定を含め、安全性及び忍容性を判定すること、4)CSF神経フィラメント軽鎖(NFL)の52週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを決定すること。
【0147】
1.6 探索的評価項目
以下は、本研究のE2814アームにおけるそれぞれの集団コホートについての探索的評価項目である。
【0148】
症候性集団(コホート1):
〇CSF p-タウ217/総タウの低減における24週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること
〇タウPET、CSF及び血液バイオマーカー(アミロイドβ[Aβ]42、Aβ40、p-タウ、総タウ、NFL)の0週目から24週目までの変化の点で、単独で投与したときのレカネマブの効果を評価すること
【0149】
無症候性集団(コホート2):
〇CSF p-タウ217/総タウの52週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを評価すること
〇認知機能複合スコアの52週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること
〇タウPETによって測定されたときの脳内タウの広がりの低減における52週目から104週目及び208週目までの変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること
〇タウPET、CSFバイオマーカー(NFL及びMTBRタウ)及び血液バイオマーカー(p-タウ217/総タウ及びNFL)の0週目から52週目までの変化の点で、単独で投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを評価すること
【0150】
症候性集団(コホート1)及び無症候性集団(コホート2):
〇CDR-SBの24週目から104週目まで(コホート1)及び52週目から104週目及び208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること
〇CSF微小管結合領域(MTBR)タウの24週目から104週目及び208週目まで(コホート1)及び52週目から104週目及び208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること
〇血漿NFLの24週目から104週目及び208週目まで(コホート1)及び52週目から104週目及び208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを評価すること
〇神経変性、神経炎症、アミロイド及びタウのCSF及び血液バイオマーカー(上記に既に挙げたもの以外)の24週目から104週目及び208週目まで(コホート1)及び52週目から104週目及び208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのE2814がプラセボよりも優れているかどうかを評価すること
〇以下を含む認知及び機能評価項目の24週目から208週目まで(コホート1)及び52週目から208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること:
・老年期うつ病尺度(GDS)
・神経精神病インベントリー質問票(NPI-Q)
・機能評価尺度(FAS)
・ミニメンタルステート検査(MMSE)
・DIAN記憶愁訴質問票(MAC-Q)
・ブシュケ及びグローバー(Buschke and Grober)の自由及び手掛りによる選択的想起検査-即時再生(FCSRT-IR)
・ウェクスラー記憶尺度改訂版(WMS-R)論理的記憶/パラグラフ記憶(即時及び遅延再生)、論理的記憶I及びIIの交互パラグラフ-バージョンA(即時及び遅延)及び論理的記憶I及びIIの交互パラグラフ-バージョンB(即時及び遅延)
・カテゴリー流暢性(動物)
・ウェクスラー成人知能尺度-改訂版(WAIS-R)数字記号置換課題
・トレイルメイキング課題パートA及びB
・ウェクスラー記憶尺度-改訂版(WMS-R)数字空間スパン順唱及び逆唱)
・認知症における歩行研究(ARC)スマートフォンベースの認知機能判定(格子、価格、記号)
〇以下を含めた画像法測定の24週目から104週目及び208週目まで(コホート1)及び52週目から104週目及び208週目まで(コホート2)の変化の点で、それぞれレカネマブと並行して投与したときのプラセボと比較したE2814の効果を評価すること:
・(11)C標識ピッツバーグ化合物B([11C]PiB)PETに基づくアミロイド負荷量
・特定の関心領域(例えば、楔前部)におけるフルオロデオキシグルコース(FDG)-PET代謝
・全脳体積及び脳室体積(体積磁気共鳴画像法[vMRI])を含めた、関心領域の皮質厚によって測定したときの脳萎縮速度
・機能的結合MRI(fc-MRI)
・拡散ベーススペクトル画像法(DBSI)を含めた、拡散テンソル画像法(DTI)MRIのパラメータ
・動脈スピン標識法(ASL)MRIによる血流測定
・従来のMRIシーケンスを用いた微小出血(MCH)、白質高信号(WMH)、脳梗塞及びアミロイド関連画像異常(ARIA)など、MRI臨床特徴の判定
〇血漿及び血清E2814の母集団薬物動態(PK)を判定すること
〇血清レカネマブの母集団PKを判定すること
〇PK(E2814/レカネマブ曝露量)-薬力学(PD)(CSF、血液及び画像法バイオマーカー)関係を探索すること
〇将来の分析のためファーマコゲノミクス(PG)試料を収集すること
【0151】
1.7 安全性についての目的及び評価項目
本研究では、DIAD罹患者におけるE2814及びレカネマブによる治療の安全性及び忍容性を判定することになる。安全性評価項目には、AE、臨床検査結果、バイタルサイン、ECG、CSSRS並びに理学的及び神経学的診察が含まれる。
【0152】
E2814とレカネマブとの並行投与の免疫原性(抗E2814抗体及び抗レカネマブ抗体の産生)の判定。
【0153】
血漿フィブリノゲン結合性に関する安全性測定には、クラウス法を用いた機能性フィブリノゲンのモニタリングが含まれる。
【0154】
ARIAをモニタする安全性MRIも評価されることになる。
【0155】
1.8 薬物特異的検査
1.8.1 薬物動態判定
1.8.1.1 E2814及びレカネマブの血液PK
E2814 PK判定(血漿及び血清)及びレカネマブ(血清)用の血液試料を、その来院時における投与前、任意の薬物投与の開始直前;及びその来院時における投与後に全ての薬物投与を完了してから30分経った後の任意の時点で収集することになる。血液は、1年目は以下に概説するとおり割り付けられたコホートに基づき収集し、4年目までは約26週間毎(約6ヵ月毎)に収集し、その後、毎年及び安全性フォローアップ来院時に収集することになる。試料は、参加者が早期に中止した場合にも収集しなければならない。
【0156】
【表1】
【0157】
E2814の血清及び血漿濃度は、バリデートされた電気化学発光(ECL)アッセイ法により測定することになる。
【0158】
1.8.1.2 E2814及びレカネマブ脳脊髄液(CSF)PK-コホート特異的収集スケジュール
以下に指定する来院時に、割り付けられたコホートに基づきE2814及びレカネマブPK判定用のCSF試料を投与前に腰椎穿刺(LP)によって収集することになる。
【0159】
【表2】
【0160】
E2814のCSF濃度は、バリデートされた電気化学発光(ECL)アッセイ法により測定することになる。レカネマブのCSF濃度は、バリデートされた免疫沈降-液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(IP/LC-MS/MS)法により測定することになる。
【0161】
1.8.2 免疫原性判定
免疫原性用の血液試料を、LPが必要な年1回の来院時にはLP直前に及び他の全ての来院時には薬物投与前に収集することになる。免疫原性は、抗E2814及び抗レカネマブ抗体の存在に関して、1年目は以下に概説するとおり割り付けられたコホートに基づき、4年目までは約26週間毎(約6ヵ月毎)に及び早期中止(ET)があった場合に血清を測定することによって判定することになる。
【0162】
【表3】
【0163】
その最終回で収集された判定(208週目又はET来院)で重大な免疫原性があった参加者について、可能なとき/可能な場合、解消するまで24週間毎の抗E2814抗体又は抗レカネマブ抗体の判定を継続することになる。加えて、免疫原性に関連し得る炎症をモニタするためにCRPなどの臨床測定を実施し得る。
【0164】
血清抗E2814抗体は、適切にバリデートされたECLアッセイ法により測定することになる。血清抗レカネマブ抗体は、バリデートされたMeso Scale Discovery(登録商標)ブリッジングアッセイを用いて測定することになる
【0165】
1.8.3 薬力学及びバイオマーカー判定
血漿薬力学(PD)バイオマーカー用の血液試料を、LPが必要な年1回の来院時にはLP直前に及び他の全ての来院時には薬物投与前に収集することになる。試料は、以下に概説するとおり両方のコホートとも同じスケジュールで、1年目は約12週間毎、4年目までは約26週間毎(約6ヵ月毎)及びその後、安全性フォローアップ来院を含めて年1回収集することになる。
・1年目:0週目(V2)、12週目(V5)、24週目(V8)、36週目(V11)、52週目(V15)
・2年目:76週目(V21)及び104週目(V28)
・3年目:128週目(V34)及び156週目(V41)
・4年目:180週目(V47)及び208週目(V54)
・5年目:該当する場合、260週目(V67)
・6年目:該当する場合、312週目(V80)
・7年目:該当する場合、364週目(V93)
・安全性フォローアップ
・該当する場合には早期中止時
【0166】
以下の来院時に、PDバイオマーカー用のCSF試料を投与前に腰椎穿刺によって収集することになる。
・0週目(V2)、ベースライン
・24週目(V8)-コホート1のみ
・52週目(V15)
・104週目(V28)
・208週目(V54)又はET
・260週目(V67)
・260週目(V67)より前に中止した場合、早期中止時
【0167】
AD関連バイオマーカー(限定されないが、Aβ[1-42]、ニューログラニン、神経フィラメント軽鎖[NFL]、MTBRタウ[結合型、遊離型及び合計]、総タウ[t-タウ]及びリン酸化タウ[p-タウ]を含む)のCSF及び血中濃度を測定することになる。
【0168】
1.8.4 バンク化用のゲノムDNA血液試料
本研究の参加者から入手した薬理ゲノム学及びバイオマーカー試料は、PK及びPDの予測バイオマーカーを同定する試みの中で大域的なプロテオミクス、メタボロミクス又はリピドミクス及び単一又は多重アッセイにより分析し得る。加えて、他の臨床試験で同定されたバイオマーカーも、本研究に登録した参加者から収集した試料で判定し得る。
【0169】
実施例2:レカネマブをE2814と併せて皮下投与することによるアルツハイマー病の治療
二重盲検期間における用量選択
E2814:3000mgの抗タウ抗体E2814又はその抗原結合断片を4週間毎に静脈内(IV)投与する。将来の治験実施計画書の改訂で、高用量の安全性、PK及びTEデータに基づき、これより高用量(4500mg)の研究が検討され得る
【0170】
レカネマブ:レカネマブ治療は、各360mgのレカネマブを送達する2本の自己注射器を使用して総用量720mgのレカネマブを皮下投与することになる。患者は、2つの360mg用量を毎週又は隔週で受けることになる。
【0171】
症候性集団(コホート1):0週目、参加者は、全治療期間を通して自己注射器を使用する2回連続の360mg用量を用いた720mg非盲検レカネマブの皮下投与を受けることになる。
【0172】
24週目、3000mg E2814又はプラセボのQ4W静脈内投与をその残りの治療期間盲検方式で受けるように参加者を1:1比で無作為化することになる。
【0173】
無症候性集団(コホート2):0週目、3000mg E2814又はプラセボのQ4W静脈内投与を全治療期間にわたって盲検方式で受けるように参加者を1:1比で無作為化することになる。
【0174】
52週目、全ての参加者は、その残りの治療期間全てを通して自己注射器を使用して送達する2回連続の360mg用量を用いた720mg非盲検レカネマブの皮下投与を受け始めることになる。
【0175】
実施形態
実施形態1:優性遺伝アルツハイマー病に対するタウを標的化する治験療法を評価する次世代臨床試験(Tau NexGen試験)におけるレカネマブバックグラウンド抗アミロイド療法
【0176】
このDIAD遺伝子突然変異の保有者は、ADを発症することが公知であり、その罹患者である親が発症したのとほぼ同じ年齢、多くの場合にその50代、40代又は更に30代であっても症状を発症するものと見込まれることになる。Tau NexGen試験の目的は、アルツハイマー病の原因遺伝子突然変異の保有者における治験療法の安全性、忍容性、バイオマーカー及び認知機能への有効性を判定することである。この試験では、治験薬による治療が認知障害の進行速度を遅らせ、疾患関連バイオマーカーを改善するかどうかを評価することになる。
【0177】
治験実施計画書改訂後のTau NexGen試験では、症候性の参加者にレカネマブを6ヵ月間投与した後、E2814又はプラセボの投与も受けるように無作為に割り付けることになる。ADでは、タウがもつれる前にアミロイド斑が蓄積するため、この試験デザインによれば、研究者は、アミロイドの除去によって抗タウ薬物が最も有効に機能する道が開かれるかどうかを判定することが可能になる。症候発現前の参加者を、レカネマブ投与の開始前1年間にわたって抗タウ薬物E2814又はプラセボの投与を受けるように無作為に割り付けることになる。薬物をこのようにずらすことにより、これらの2つの薬物を合わせた効果を判定する前に、抗タウ薬物単独の効果の評価が可能になることになる。レカネマブは10mg/kg用量で隔週投与することになり、これには用量調節は不要で、アミロイド関連画像異常の発生率は、9.9%であり、その2%未満が症状を有する。主要評価項目は、PET脳スキャンで見られるとおりの症候性参加者における(E2814を加える効果としての)脳内タウ蓄積の緩徐化である。副次的評価項目は、症候発現前の参加者の脳脊髄液(CSF)における特定の種類のタウ-リン酸化タウ217-のレベルに及ぼす効果(E2814の単独での又はレカネマブと組み合わせでの効果)であることになる。試験開始から2年後の分析でこれらの主要及び副次的評価項目が達成された場合、この薬物が認知機能衰退を緩徐化し、タウ病変に更なる効果を及ぼすかどうかを判定するため、この試験は更に2年間延長されることになる。
【0178】
【表4】
【0179】
【表5】
【0180】
【表6】
【0181】
【表7】
図1
図2
【配列表】
2024547001000001.xml
【国際調査報告】