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特表2024-547005ガラクチノールを含む組成物およびその使用。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ガラクチノールを含む組成物およびその使用。
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20241219BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/00
A61K31/7034
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536214
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2022084330
(87)【国際公開番号】W WO2023117379
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21306864.6
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シャイラ・ハナヌ
(72)【発明者】
【氏名】フレシェ・マチルド
(72)【発明者】
【氏名】テル・アル・ロベール
(72)【発明者】
【氏名】ギヨタン・ロール
(72)【発明者】
【氏名】ゴナンダール・クリストフ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC482
4C083AD092
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB47
4C083BB48
4C083BB51
4C083CC05
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA09
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZC52
(57)【要約】
本発明は、有効成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたはそれからなる組成物、ならびに式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造のための方法に関する。さらに、本発明は、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む組成物。
【請求項2】
1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-、5-O-α-D-または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択される、3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物内の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール:3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体との間のモル比がおおよそ、3:1から、好ましくは2:1から、特に1.5:1からである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールおよびガラクチノール異性体を含む混合物が、組成物の全重量に対して20重量%、好ましくは25重量%、特に30重量%を占める、請求項1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
メリビオースまたはmyo-イノシトールまたは単糖類またはそれらの混合物をさらに含み、単糖類がガラクトース、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に対して、
- メリビオース0~25重量%、
- myo-イノシトール0~40重量%、
- 単糖類0~30重量%
を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法:
A1)メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3~8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;およびメリビオースと、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体から、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターとを含む混合物を、4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
A2)ステップA1)が実施されなかった場合には、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターと、ラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を、3~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
B)ステップA1)またはステップA2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
【請求項8】
β-フルクトフラノシダーゼをラフィノースに、20~60℃の範囲の温度で、好ましくは25~55℃で、特に30~50℃で、15分から160分までの範囲の時間添加する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップA1)が開始された後の30分から150分までの時間の後に、myo-イノシトールが添加される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ステップA1)またはステップA2)で得られた反応混合物の精製が、酵母発酵によって行われる、請求項7~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
ヒドロアルコール溶媒による析出ステップが、酵母発酵後に得られた残留反応混合物に対してさらに実施される、請求項7~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分、
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~6および12のいずれか1つに記載の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用。
【請求項14】
内因性の防御機構が、抗酸化防御機構、プロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生、またはこれらの2つ以上から選択される、請求項13に記載の化粧用の使用。
【請求項15】
前記使用が以下のためである、請求項13または14に記載の化粧用の使用:
a.抗酸化防御機構の刺激を介して細胞を無毒化するため、
b.皮膚細胞のプロテオームおよび皮膚バリア機能を、修復タンパク質の刺激を介して保護するため、
c.DNA修復遺伝子の刺激を介して皮膚細胞のDNAを保護するため、
d.UV照射および環境ストレス因子から選択される外部ストレス因子への曝露から皮膚細胞を保護するため、
e.細胞外マトリックス遺伝子および成長因子の刺激を介して皮膚のハリおよび弾力性を促進するため、
f.ヒアルロン酸およびプロテオグリカンの産生を介して皮膚の水和を促進するため、
g.皮膚のマイクロレリーフを改善するため、
h.皮膚のしわを減少させるため、
i.これらのうちの2つ以上の組み合わせのため。
【請求項16】
前記使用が以下のためである、請求項13に記載の化粧用の使用:
- 皮膚のマイクロバイオータの抗酸化および無毒化特性を改善するため、
- 宿主およびマイクロバイオータの代謝を改善するため、
- 免疫応答要素をモジュレートすることによって皮膚炎症を予防するため、
- 真菌の病原性を、その糸状変換をダウンレギュレートすることによって阻害するため、
- 宿主および皮膚マイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善するため。
【請求項17】
宿主および/または皮膚のマイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善することが、以下の機能のうちの1つまたは複数を含む、請求項13~16のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
- リボソーム集合を改善すること、
- タンパク質輸送を改善すること、
- ポリペプチド分解を改善すること、
- タンパク質のユビキチン化とその後の分解を改善すること、
- タンパク質およびアミノ酸の合成プロセスを改善すること、
- シャペロニンおよびフォールディングプロセスを改善すること、
- 糖タンパク質合成と質の制御を改善すること、
- 小胞体ストレスを軽減すること。
【請求項18】
前記使用が、以下のためのものである、請求項13~17のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
- 皮膚バリア機能を改善するため、
- 細胞外マトリックスの組織とその構造を強化するため。
【請求項19】
前記使用が、皮膚構造を改善するため、シワの出現を遅らせおよび/または予防するため、皮膚の水和を改善するため、皮膚における機械的特性の喪失を処置するため、特に皮膚のハリ、滑らかさ、厚さ、色合い、つや、きめおよび弾力性を改善するため、皮膚バリア機能を保護および/または回復するため、皮膚の不完全状態を処置および/または予防するため、皮膚の損傷を処置および/または予防するため、毛の白化、脱毛を予防または処置するため、毛の成長および毛の密度を促進するため、またはこれらの2つ以上のためのものである、請求項13~18のいずれか1つに記載の化粧用の使用。
【請求項20】
皮膚およびその付属器の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物であって、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール(ガラクチノール)を含む組成物、活性成分としてのその使用、特に化粧料分野での活性成分としてのその使用、ならびにそのような組成物を製造するための方法に関する。本発明はまた、スキンケア組成物における活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールの化粧用の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生物と環境との間の界面において、皮膚 -3つの別個の層:角質層(以下、「SC」と称する)、表皮および真皮から構成される- は、機械的保護をもたらし、外部からの攻撃に対する、および体液の制御されない喪失に対する第1のバリアの役割を果たす。外的攻撃は、例えば、紫外線および赤外線曝露、粒子物質の汚染、病原体、アレルゲン、温度および湿度の変動、化学製品、日常の習慣による機械的拘束、例えばシェービング、手袋、および有害ウイルスの流行による我々の環境の衛生的衰退によるマスク着用である。さらに、皮膚はまた、内的攻撃、例えば経時的なエイジング、ホルモンの変動および免疫の脱調節からも生物を保護する。例えば、内因性および外因性のエイジングプロセスは、皮膚細胞の表現型変化に関連することが知られており、水および高分子(例えば、プロテオグリカン類)によって構成される繊維および基質を含有する、細胞を取り囲む結合組織である真皮細胞外マトリックス(ECM)において、主要な構造的および機能的変化が起こる。実際に、繊維状コラーゲン、弾性繊維(例えば、エラスチン(ELN))およびプロテオグリカンは、それぞれ、皮膚に引張強度、弾性(跳ね返り(recoil))、弾力性および水和を付与するために必要である。これに関して、コラーゲン(COL)は、皮膚に引張強度を付与する。集合的に、糖タンパク質およびプロテオグリカンは豊富な高分子ヒアルロン酸(HA)と併せて、皮膚全体に分布し、そこでそれらは、皮膚の水和の維持において重要な役割を果たす。さらに、プロテオグリカンは、細胞表面上の多くの結合組織、および細胞内区画に存在する。
【0003】
プロテオグリカン、例えば、デコリン(DCN)、ペルレカン(PLC)、ルミカン(LUM)、シンデカン(SDC)およびバーシカン(VCAN)、すなわちグリコサミノグリカン(GAG)共役タンパク質のファミリーは、ヒト皮膚結合組織(例えば、真皮)の重要な構成要素であり、皮膚の機械的強度を維持するために必須であることが知られている(Martinez et al., “Role of proteoglycans on skin ageing: a review”. International Journal of Cosmetic Science, Vol.42; p.529-535, 2020:非特許文献1)。
【0004】
実際、これらのプロテオグリカンは、細胞を修復する必須成分であり、水和をもたらし、ECMの水和を維持し、コラーゲンまたはヒアルロン酸などの他の分子と結合するそれらの能力のおかげでしわの形成を防ぎ、皮膚のきめの滑らかさに有利に働く。例えば、ヒアルロン酸は、皮膚細胞内にその重量の1,000倍を超える水を保持するのを助け、それにより優れた保湿剤となることが知られている。真皮は体内ヒアルロン酸を50%まで含む。さらに、それらの流体力学的機能とは別に、プロテオグリカンは、明確な生物学的機能を有する。例えば、真皮に見出されるデコリンは、コラーゲン原線維形成を調節し、形質転換成長因子-βの活性を改変する。
【0005】
さらに、前述の攻撃はすべて、細胞で多くの有害な効果を誘導するが、分子レベルでも例えば以下を誘導することが知られている:
- 活性酸素種(ROS)の生成。ROSは多数の細胞小器官およびプロセスに対して損傷を引き起こし、それらは最終的には正常な細胞生理を破壊する。幸いにも、ROS産生と、in vivoで細胞を保護する抗酸化防御との間には微妙なバランスが存在する。実際、細胞はこれらの有害なROSを中和および/または代謝することができる、核因子赤血球2関連因子2(Nrf2)経路、解毒酵素(例えば、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ-1(GPX1)、NAD(H)デヒドロゲナーゼキノン1(NQO1)およびカタラーゼ(CAT))などの種々の抗酸化防御機構を導入している;
- 熱ショックタンパク質(HSP)およびプロテオームの完全性および修復に関与するシャペロンタンパク質などの細胞防御によって相殺され得る、タンパク質の変性、凝集、およびミスフォールディングによるプロテオームの変化。特に、無数の細胞プロセスに関与する高度に保存された分子のクラスターであるタンパク質の哺乳動物HSP90ファミリーは、細胞ホメオスタシスに必須である。さらに、HSP27は、角質層における角質化の最終ステップの調節のために、水和として皮膚のホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす。さらに、HSP27は、フィラグリン(FLG)、ロリクリン(LOR)およびケラチン10(KRT10)産生に関与することが記載されている。
- DNA損傷、例えば突然変異、脱アミノ化、欠損塩基、塩基の化学修飾、ピリミジン二量体(例えば、チミン二量体)の形成および鎖切断は、皮膚細胞によって産生される様々なDNA修復酵素、例えば増殖停止およびDNA損傷誘導性タンパク質α(GADD45-α)、増殖細胞核抗原(PCNA)によって対抗され得る。DNAの維持は、細胞および器官への老化、エイジングおよびアポトーシスの影響を制限する重要なメカニズムであることが知られている
- 皮膚のホメオスタシスを維持する能力の低下をもたらす、皮膚等の自己再生組織における細胞分裂速度の減少(PCNAおよびKi67増殖マーカーの減少)。
【0006】
さらに、これらの攻撃が持続的で過剰過ぎると、それらは、皮膚の自己防御能力および自己修復能力を変化させる。実際、皮膚はもはや、それ自体の内因性の防御機構、例えばその抗酸化機構、熱ショックタンパク質、DNA修復酵素、成長因子産生によるそのプロテオーム保護を誘導することができず、また、その主要なECM構成要素の産生を刺激することもできない。その結果、皮膚はより脆く、脱水され、不健康になり、早発性のエイジングを起こしやすくなる。
【0007】
ケラチノサイトおよび線維芽細胞は、皮膚および毛包の両方に広く見出されることが知られている。
【0008】
最近、用語「メタプロテオミック/メタプロテオミクス」(metaproteomic)が、環境サンプルにおいて最も豊富に発現される遺伝子および/またはタンパク質を描写するために出現した。より正確には、「メタプロテオミック/メタプロテオミクス」という用語は、種の混合物のプロテオミクス解析を指し、これは、質量分析計(MS)データを生成するために適切なMSを使用し、混合物中の種の少なくとも一部を代表するタンパク質配列データベースの編集物を用いてMSデータを検索する。メタプロテオミクス解析の例示的な方法は公知である(Xiong Weili et al., Journal of Proteome Research., 14, 1, 133-141, 2014:非特許文献2)。メタプロテオミクスは、研究者がマイクロバイオームおよび宿主における機能および相互作用に関連する多様な疑問に取り組むことを可能にする、マイクロバイオームにおけるタンパク質の大規模解析のためのツールである。
【0009】
宿主とそのマイクロバイオームとの間のクロストークは多くの生物学的機能の必須部分であり、皮膚のこれら2つの成分間の正確なバランスの維持は、ヒトの健康にとって必須であることが合意されている。
【0010】
ガラクチノール(3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール)は、様々な植物種の間に広く存在する天然分子であり、オリゴ糖のラフィノースファミリー(RFO’s)の合成のためのガラクトースドナーとして使用される。
【0011】
ガラクチノールは、ガラクトースに結合したmyo-イノシトールによって構成される二糖類である。この命名法は、いくつかの異性体を包含する。従って、2つの糖間の結合および各糖の立体配置の両方に応じて、複数のガラクチノール異性体が存在する。
【0012】
イノシトールおよびウリジンジホスフェート-ガラクトースからのガラクチノールの生合成は、RFO’sの合成における重要なステップであることが知られており、酵素ガラクチノールシンターゼ(GolS)によって触媒される。植物において、GolSの発現は非生物的ストレスによって誘導され、それ自体が、渇水および他のタイプのストレス、例えば塩分および寒さから植物を保護するための手段として、RFO’sの合成を引き起こす。
【0013】
植物において、ガラクチノールは非常に少量で存在し、化粧料分野におけるニーズを満たすのに十分な量でそれを製造することは困難である。例えば、少量のガラクチノールは、テンサイシロップまたはヒマシ油糧種子ミールから単離することができる(McCready et al., Journal of the A.S.S.B.T: 127-132, 1965:非特許文献3)。ガラクチノール異性体(1-O-α-D-ガラクトピラノシル-myo-イノシトール)は3つの酵素(スクロースシンターゼ、UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼおよびガラクチノールシンターゼ)を用いることにより、3つの基質(スクロース、ウリジンジホスフェート(UDP)およびmyo-イノシトール)からの生体触媒的合成からも得ることができる(Wakiuchi et al., Bioscience, biotechnology and biochemistry 67 (7): 1465-1471, 2003:非特許文献4)。この生体触媒的合成を用いて、単一の生成物が得られ、ここでは、myo-イノシトールが選択的にガラクトシル化されて、ダイズから単離されたガラクチノールと同一の生成物が得られる(Schweizer et al., Carbohydrates Research, 95, 61-71, 1981:非特許文献5)。
【0014】
ガラクトシル化は一般に、例えば、チロソールのガラクトシル化のためにメリビオースなどのガラクトースドナーが使用されるトランスグリコシル化によって実施することができる(Potocka et al., Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic 113, 23-28, 2015:非特許文献6)。
【0015】
ガラクチノールの合成は、文献CN-A107586809(特許文献1)に記載されるように、ダイズオリゴ糖、例えばラフィノースおよびスタキオースの生体触媒的合成に適用することができる。そこには、スクロースのラフィノースへの転化およびラフィノースのスタキオースへの転化をそれぞれ触媒するラフィノースシンテターゼおよびスタキオースシンテターゼが、ガラクトースドナーとしてガラクチノールを用いて利用されることが記載されている。しかしながら、この生体触媒的合成は、ガラクチノールの全合成を行うためには、全部で3つの異なる酵素を必要とする。
【0016】
ガラクチノール異性体は、化粧料分野で既に使用されている。
【0017】
例えば、JP-A2007084484(特許文献2)には、紫外線曝露によって引き起こされる細胞傷害を緩和するための、従って色素沈着防止における、ガラクトースに結合したmyo-イノシトール(ガラクチノール)を含むイノシトールグリコシドが記載されている。ガラクチノール異性体の中で、β-異性体が開示されている。結合として1-O-α-D、2-O-α-D、4-O-α-Dおよび5-O-α-D-ガラクトピラノシル-myo-イノシトールを有するガラクチノール異性体も記載されている。しかしながら、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールは欠けている。
【0018】
文献US-B2 10918585(特許文献3)は、グルコースまたはグルコースを構成単位として含むオリゴ糖がmyo-イノシトールに結合しているイノシトール誘導体からなる皮膚アンチエイジング組成物を教示している。しかしながら、ガラクトースはオリゴ糖として開示されていない。
【0019】
また、上記イノシトール誘導体はまた、微粒子物質による皮膚トラブルの抑制剤としても使用される(EP-A1 3636266:特許文献4)。
【0020】
文献EP-B1 1744725(特許文献5)には、皮膚の水分を改善するための、グルコースと結合したmyo-イノシトールを開示されている。
【0021】
文献JP-B2 4624831(特許文献6)には、皮膚の水分および滑らかさを改善するための、糖に結合したイノシトールを含む皮膚外用調製物が記載されている。ガラクトースは、糖として開示されていない。
【0022】
前述のガラクチノール異性体は、いくつかの技術的欠点を有する。多くの場合、生合成によるそれらの産生は、多数の酵素カスケードにおけるいくつかの酵素および基質を伴い、大量の使用不可能な副生成物を生成するので、費用がかかる。さらに、これらの酵素および基質の各々が高価であり得るため、最終生成物(ガラクチノール)の高コストの製造につながることは疑いがなく、最終生成物自体も高価になる。別の技術的欠点は、ガラクチノールの生体触媒的合成のために開示された全ての酵素が植物由来の酵素であり、それら自体が時折、原核生物の発現宿主において発現することが困難であり得ることである。最後に、我々の知る限りでは、高収率でのガラクチノールの製造は、化粧用のニーズに応えるのに十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】CN-A107586809
【特許文献2】JP-A2007084484
【特許文献3】US-B2 10918585
【特許文献4】EP-A1 3636266
【特許文献5】EP-B1 1744725
【特許文献6】JP-B2 4624831
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Martinez et al., “Role of proteoglycans on skin ageing: a review”. International Journal of Cosmetic Science, Vol.42; p.529-535, 2020
【非特許文献2】Xiong Weili et al., Journal of Proteome Research., 14, 1, 133-141, 2014
【非特許文献3】McCready et al., Journal of the A.S.S.B.T: 127-132, 1965
【非特許文献4】Wakiuchi et al., Bioscience, biotechnology and biochemistry 67 (7): 1465-1471, 2003
【非特許文献5】Schweizer et al., Carbohydrates Research, 95, 61-71, 1981
【非特許文献6】Potocka et al., Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic 113, 23-28, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従って、化粧料分野で使用するためのガラクチノールの製造に関して、未だ満たされていない需要がなおも存在している。さらに、ガラクチノールは天然起源由来であることが望ましい。
【0026】
また、ガラクトースドナーとしてメリビオースまたは別の基質を使用することによって天然ガラクチノール異性体をより低いコストで製造するためのさらに効率的な生体触媒的合成に対する未だ満たされていない需要も存在する。従ってさらに、既知の生体触媒的合成によるガラクチノール製造の収率は低く、ガラクチノールの大規模生産方法であって、その異性体および/またはそのアイソフォームの量が限られた方法を提供するという未だ満たされていない需要も存在する。
【0027】
また、健康な皮膚を、それを有害な因子から保護することによって維持することが望ましい。さらに、良好な生理学的および物理的特性を示し、従って全体的に良好な外観を有する皮膚を有することも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
これらの目的は、健康肌において、それ自体の内因性の防御機構(例えば、抗酸化機構、そのプロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生)を動員および/または活性化し、そのマイクロバイオータ源を保つことができる天然起源の組成物によって達成され得る。その結果、皮膚は、より一層リモデリングされ、水和され、保護され、健康的になり、早発性のエイジングおよびプロエイジングプロセスの両方に対してよりレジリエントになることができ、より一般的には、皮膚は若々しくより健康的な全体的外観を呈する。
【0029】
発明の概要
驚くべきことに、式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールに相当する「天然」ガラクチノール化合物が、新しい生体触媒的合成によって得ることができることが見出された。結果として、myo-イノシトールを、高収率で効率的にガラクトシル化し得ることも見出された。
【0030】
本発明は、ガラクトースドナーとしてのメリビオースから出発する生体触媒的合成によって得ることができる3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む組成物に関する。
【0031】
従って、本発明の一態様は、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを活性成分として含む組成物に関する。
【0032】
本発明の別の態様は、式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法に関する:
a.1)任意に、メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3~8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;および、メリビオースおよびmyo-イノシトールを含む混合物を4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
a.2)ステップa1)が実施されなかった場合には、myo-イノシトールとラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
b.ステップa1)またはステップa2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
【0033】
本発明の別の態様は、以下:
a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分、
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物に関する。
【0034】
本発明の別の態様は、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用に関する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、皮膚およびその付属器(annexes)の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを活性成分として含む(またはそれからなる)組成物であって、前記組成物は、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、前記組成物は、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物に関する。
【0036】
本願の実験セクションにより、本発明の組成物が皮膚およびその付属器の全体的な外観を改善するために使用できることが実証されている。これは、この目的を達成するために関与する主要な遺伝子、重要なタンパク質、プロテオグリカンおよびグリコサミノグリカンの発現を体よくアップレギュレートし得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1は、本発明によるガラクチノールの化学構造を示す。
【0038】
図2は、本発明の実施態様に従うガラクチノールおよびそれを含む組成物の、正常なヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)において細胞外マトリックス(ECM)成分の遺伝子発現を刺激する能力を示す。モジュレートされた遺伝子のセットには、コラーゲンV型α1鎖(COL5A1);エラスチン(ELN)、ラミニンサブユニットγ2(LAMC2)、ルミカン(LUM)、シンデカン-4(SDC4)、バーシカンコアタンパク質(VCAN)が含まれる。
【0039】
図3は、本発明の実施態様に従うガラクチノールおよびそれを含む組成物の、NHDFにおいて抗酸化酵素を刺激する能力を示す。モジュレートされた遺伝子のセットには、NAD(H)デヒドロゲナーゼキノン1(NQO1)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPX1)およびグルコース-6リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)が含まれる。
【0040】
図4は、本発明の実施態様に従うガラクチノールおよびそれを含む組成物の、NHDFにおいて、全体的な皮膚ホメオスタシスの維持に関与する主要遺伝子(すなわち、タンパク質の保護(熱ショックタンパク質、例えば熱ショックタンパク質ファミリーAメンバーA(HSPA1A)および熱ショックタンパク質90αファミリークラスA(HSP90AA));DNA修復および細胞増殖:増殖細胞核抗原(PCNA)、増殖マーカーKi-67(MKi67)および成長停止およびDNA損傷45-α(GADD45A);ならびに成長因子、例えば形質転換成長因子β-1(TGFβ1)および神経成長因子(NGF))のmRNA発現を刺激する能力を実証している。
【0041】
図5は、本発明の実施態様に従うガラクチノールおよびそれを含む組成物の、NHDFのプロテオームをHSP27の重要な発現のこれらの細胞における刺激によって保護する能力を実証している。
【0042】
図6は、本発明によるガラクチノールを含む組成物の、NHEKにおいてヒアルロン酸(HA)の産生を刺激する能力を示す。
【0043】
図7は、臨床レベルで、ヒトのボランティアに対して、本発明によるガラクチノールを含む組成物が、皮膚の生体力学的特性を改善する能力(UeおよびUrパラメーターを増加させることによって)、皮膚のしわを減少させる能力、および皮膚のマイクロレリーフを減じる能力(スムージング効果)を示す。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、有効成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む(またはそれからなる)組成物に関する。
【0045】
3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物においては、前記組成物は3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールであることが理解されよう。
【0046】
本開示を通して使用される場合に、本発明の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールは、「ガラクチノール」[Cas番号:3687-64-7]とも称される。
【0047】
一実施態様において、本発明の組成物は、3-α結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体をさらに含むことができる。有利には、3-α-D以外のα結合を有するガラクチノール異性体は、1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-、5-O-α-D、または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択することができる。本発明の組成物内のガラクチノール:ガラクチノール異性体間のモル比はおおよそ、3:1、好ましくは2:1、特に1.5:1に含まれ得る。
【0048】
好ましい実施態様において、ガラクチノールおよび前記ガラクチノール異性体を含む混合物が、組成物の全重量に対して20重量%、好ましくは25重量%、特に30重量%を占める。
【0049】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、メリビオース、myo-イノシトール、単糖類またはそれらの混合物をさらに含むことができ、前記単糖類はガラクトース、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物から選択される。
【0050】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、以下をさらに含むことができる:
- 0~25重量%、好ましくは0.1~20重量%のメリビオース、
- 0~40重量%、好ましくは0.1~35重量%のmyo-イノシトール、
- 0~30重量%、好ましくは0.1~25重量%の単糖類。
【0051】
有利には、本発明の組成物は、上記のようなガラクチノールを、例えば上記の化合物の1種または複数と混合して含むことができる。好ましくは、本発明の組成物中のこれらの化合物の各々の相対量は、上記の範囲内であり得る。
【0052】
式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法:
A1)メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3~8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;およびメリビオースと、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターとを含む混合物を、4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
A2)ステップA1)が実施されなかった場合には、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターと、ラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を、3~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
B)ステップA1)またはステップA2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
【0053】
従って、本発明は、主にmyo-イノシトールの3位でα-トランスグリコシル化を行うことができる酵素を使用することによって、豊富なガラクトースドナーを使用する方法を提供することを目的とする。
【0054】
有利には、ラフィノースは、天然に豊富で安価な天然化合物である。例えば、ラフィノースは、植物から単離することができる。好ましくは、ラフィノースは、綿実、大豆種子、またはマメ科植物、例えば キャベツ、ブロッコリーもしくはアスパラガスから単離することができるが、これらに限定されない。
【0055】
ラフィノース、メリビオースおよびmyo-イノシトールが酵素とのインキュベーションステップの前は固体形態(例えば、粉末)であり得ることは注目に値する。従って、前記基質ドナーは、酵素とのインキュベーション中に、適切な溶媒および/またはバッファー内で可溶化され得る。従って、一実施態様において、ラフィノースは、β-フルクトフラノシダーゼとのインキュベーションステップの前にバッファーで溶解され得る。好ましい実施態様において、ラフィノースは、4~8のpHのリン酸ナトリウムバッファーで溶解され、好ましくは、pHは4.5~7の範囲内であり、より好ましくは、pHは4.9~6.5である。
【0056】
本明細書で使用される場合に、インベルターゼとも呼ばれる「β-フルクトフラノシダーゼ」は、EC3.2.1.26クラスの酵素だけでなく、その基質および生成物に関して同じ特性を示す分子またはその機能的等価物も指す。本明細書で使用される場合に、酵素の「機能的等価物」またはアナログは、その様々なポリペプチドであり、それらは、酵素活性などの所望の生物学的機能および/または活性をさらに処理する。有利には、それはβ-D-フルクトフラノシド中の末端非還元β-D-フルクトフラノシド残基を特異的に加水分解することができる酵母起源の酵素である。
【0057】
本明細書で使用される場合に、メリビアーゼとも呼ばれる「α-ガラクトシダーゼ」という用語は、EC3.2.1.22クラスの酵素だけでなく、その基質および生成物に関して同じ特性を示す分子またはその機能的等価物も指す。有利には、微生物起源のこれらの酵素は、多種多様な生成物、例えば、ガラクトースオリゴ糖、ガラクトマンナンおよびガラクトリピドを含めた糖タンパク質、糖脂質またはオリゴ糖に由来する、末端の非還元α-D-ガラクトシル部分を特異的に加水分解することができる。これらの標準的な反応とは別に、これらの酵素は、α-ガラクトシル結合の形成を触媒することもできる。これは、「逆加水分解」様式で、または活性化ガラクトースドナーを使用することによって行うことができる。一つ目の場合には、試薬(ガラクトースおよびアクセプター)と生成物(ガラクトシル化生成物および水)との間で平衡に達する。この平衡の位置は左側にあり、多くの場合に、低い転化率を得るためにも高濃度のガラクトースが必要とされる。
【0058】
本発明によれば、好ましいアクセプターはmyo-イノシトールである。他のイノシトール異性体、例えばchiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトール、またはイノシトール誘導体、例えばピニトールを使用することができ、なぜならこれらもアクセプターとして作用するからである。
【0059】
好ましい実施態様において、前記組成物は、組成物の全重量に対して、
- メリビオース0~25重量%、
- myo-イノシトール0~40重量%、
- 単糖類0~30重量%
を含む。
【0060】
トランスグリコシル化反応において活性化ガラクトースドナーを使用すると、より高い転化率を得ることができ、典型的なα-ガラクトースドナーは、p-ニトロフェノール-α-ガラクトースおよびメリビオースである。後者は、比較的豊富な天然分子であるという利点を有する。しかしながら、メリビオースは市販されているが、例えばラフィノースと比較して非常に高価である。ラフィノースおよびスタキオースは、同様に、ガラクトースドナーとして使用することができるが、より低いガラクチノール収率を与える。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「メリビオース」または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-グルコースは、植物起源の還元二糖類である。有利には、メリビオースは例えば、アオイ(Malvaceae)科、コーヒー種子、またはリンゴから単離され得る。メリビオースは、例えば粉末のように、様々な形態で商業的に入手することができる。しかしながら、今日まで、メリビオースは非常に高価であることが知られている。メリビオースの製造方法は、当技術分野で公知である。
【0062】
β-フルクトフラノシダーゼおよびα-ガラクトシダーゼ、またはその両方は、インキュベーションステップにおいて、部分的に精製する必要がない細胞フリーの酵素、細胞膜の透過性の改善(透過化)および機械的安定性の改善のために物理的または化学的に前処理された全細胞系、前記のフリー酵素または全細胞系が捕捉されているカプセル化触媒として、あるいはキャリア、例えば固体担体(例えば、クロマトグラフィー樹脂)上に固定化されて、使用することができる。
【0063】
好ましくは、β-フルクトフラノシダーゼおよびα-ガラクトシダーゼ、または両方は、例えば、微生物において天然に発現されるか、または組み換え発現される。例えば、天然酵素は、真菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)科、酵母、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)科によって産生され得る。例えば、組み換え酵素は、発現宿主、例えば大腸菌(Escherichia coli)およびバチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)において産生され得る。
【0064】
一実施態様では、β-フルクトフラノシダーゼおよびα-ガラクトシダーゼまたはその両方は、例えば、天然型または遺伝子改変型であり、例えば、β-フルクトフラノシダーゼおよびα-ガラクトシダーゼまたはその両方の増加した活性をもたらす。好ましくは、α-ガラクトシダーゼは、その天然形態であり得る。
【0065】
好ましい実施態様において、α-ガラクトシダーゼを産生する真菌は例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)であり得る。β-フルクトフラノシダーゼを産生する酵母は、例えば、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)であり得る。
【0066】
別の実施態様において、α-ガラクトシダーゼのインキュベーションpHは、3~9の範囲である。好ましい態様において、インキュベーションpHは3.5~8.5である。より好ましい態様において、インキュベーションpHは3.5~8である。
【0067】
一実施態様において、α-ガラクトシダーゼのインキュベーション温度は、20~70℃、好ましくは25~65℃、より好ましくは30~60℃、さらにより好ましくは35~55℃、特に40~50℃に含まれ得る。
【0068】
一実施態様では、β-フルクトフラノシダーゼおよびα-ガラクトシダーゼが、例えば、別々に、または同時に、ラフィノース、またはメリビオースとmyo-イノシトールとの混合物に添加される。
【0069】
好ましい実施態様では、ラフィノースのメリビオースおよびフルクトースへの転化を可能にするために、β-フルクトフラノシダーゼをラフィノースに、例えば20~60℃で、好ましくは25~55℃で、特に30~50℃で30~150分間添加する。
【0070】
一実施態様では、β-フルクトフラノシダーゼのインキュベーションpHは3~8の範囲である。好ましい態様において、インキュベーションpHは4~7である。
【0071】
一実施態様では、α-ガラクトシダーゼを、例えば、myo-イノシトールが後に添加されるステップa)においてメリビオースに、あるいはメリビオースおよびmyo-イノシトールを含む混合物に、添加することができる。好ましくは、myo-イノシトールは、例えば、ラフィノースが定量的にメリビオースおよびフルクトースに転化されるステップa)における反応の最後に添加することができる。より好ましくは、ステップA1)の開始された30~150分後にmyo-イノシトールを添加してもよい。有利には、酵素反応は、酵素を不活性化することによって停止することができる。例えば、α-ガラクトシダーゼは、温度を約65~80℃、好ましくは72~78℃に1~10分間、好ましくは3~6分間上昇させることによって停止させることができる。
【0072】
好ましい実施態様では、myo-イノシトールおよびラフィノースおよび/またはスタキオースを含む混合物を、α-ガラクトシダーゼと共に、3~9のpH、好ましくは3.5~8.5のpH、特に3.5~8のpHでインキュベートすることにより、ガラクチノールを得ることができる。この場合、ステップA1)を行う必要はない。有利には、ラフィノースおよびスタキオースの両方を、両方ともガラクトースドナーとして作用するので、使用することができる。
【0073】
ステップA1)またはステップA2)で得られたガラクチノールを含有する反応混合物は、当技術分野で公知の精製方法によって精製することができる。精製方法は、一定の分子量カットオフ値を有する限外ろ過膜による分離、または様々なクロマトグラフィー法による分離、または以下のうちの1種または複数:液体固体分離、発酵、結晶化および析出、を含み得る。
【0074】
従って、本発明の好ましい精製ステップとして、例えば酵母(例えば、パン酵母)などの真菌を用いて、発酵処理を行うことができる。真菌を用いる発酵によるそのような精製は公知である(McCready et al., Journal of the A.S.S.B.T: 127-132, 1965)。有利には、メリビオース、ガラクチノールおよびその異性体およびmyo-イノシトールは非発酵性化合物であるので、それらは酵母発酵によって影響を受けない。換言すると、それらは、ステップA1)およびステップA2)で得られた混合物中に残存する。対照的に、単糖類、例えばグルコース、フルクトースおよびガラクトースは発酵性であるので、酵母発酵は、主にこれらの単糖類を混合物から消費することを可能にする。
【0075】
一実施態様では、A1)およびステップA2)で得られた反応混合物の精製を、酵母発酵によって行うことができる。酵母発酵は、発酵性単糖類の全消費を可能にするのに適した時間実施することができる。有利には、酵母発酵は、20~40℃、好ましくは約25~35℃で、5~60時間、好ましくは10~50時間、特に15~45時間実施され得る。
【0076】
追加的な精製ステップが、上述の酵母発酵後に実施されてもよい。
【0077】
好ましい実施態様において、ヒドロアルコール溶媒による析出ステップを、酵母発酵後に得られる残留反応混合物中で実施することができる。有利には、前記残留反応混合物は、本質的にガラクチノール、並びにまたメリビオース及びmyo-イノシトールを含むことができる。この後者が残留反応混合物中に存在する場合、それは、少なくとも部分的にまたは完全に、例えば析出ステップ後の濾過、それに続く溶媒除去(例えば溶媒蒸発によって行うことができる)によって、効率的に除去することができる。
【0078】
好ましい実施態様では、残留反応混合物を、酵母発酵後にデカントまたは好ましくは遠心分離することができる。溶媒蒸発は、減圧下で、40~80℃、好ましくは50~75℃、より好ましくは60~70℃で、上清に対して行うことができる。得られた濃縮された残留反応混合物は、15~0℃、好ましくは2~5℃で冷却することができる。同時に冷却し、ヒドロアルコール溶媒、好ましくはヒドロエタノールを添加することにより、析出収率が改善され、従って、結晶の形成が改善される。このステップの最後に、myo-イノシトールによって本質的に構成される無水物結晶が得られる。これらの結晶を、アルコール(例えば、エタノール)で洗浄し、濾別することができる。有利には、副生成物とみなし得る前記のmyo-イノシトール結晶を、有利にはガラクチノールの別の生体触媒的生成のために再利用することができ、それによって、そのような後続のプロセスの原子効率を高めることができる。
【0079】
従って、ヒドロアルコール溶媒は、少なくとも1種のアルコールを含む任意の溶媒混合物であってよい。好ましくは、ヒドロアルコール溶媒は、主に、1種または複数のアルコールおよび水から構成される。好ましくは、ヒドロアルコール溶媒は、20重量%超、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも99重量%の1種または複数のアルコールおよび水から構成されるか、または1種または複数のアルコールおよび水から(本質的に)なる。ここで使用される場合に、水は、熱水または亜臨界水を含むこともできる。また、1種または複数の水系バッファーを使用してもよい。
【0080】
本明細書で使用される場合に、「ヒドロアルコール(性/系)」という用語は、当技術分野で一般的に理解される最も広い意味で理解され得る。それは、アルコールと水を含む任意の組成物であることができる。ヒドロアルコール溶媒は、任意のアルコール/水混合物であってよい。好ましい実施態様において、前記溶媒は、50~99%(v/v)のアルコールを含有するか、60~99%(v/v)のアルコールを含有するか、または65~99%(v/v)のアルコールを含有するか、または70~99%(v/v)のアルコールを含有するか、または75~98%(v/v)のアルコールを含有するか、または80~98%(v/v)のアルコールを含有するか、または約97%(v/v)のアルコールを含有するアルコール/水混合物である。
【0081】
好ましい実施態様において、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール、プロパンジオール、グリセロール、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され得る。
【0082】
好ましい実施態様において、ヒドロアルコール溶媒は、水/エタノール、水/メタノールおよび水/プロパノールの混合物から選択され得る。
【0083】
好ましい実施態様において、ヒドロアルコール溶媒は、ヒドロエタノール溶媒であることができる。従って、好ましい実施態様において、前記溶媒は、50~99%(v/v)のエタノールを含有するか、または60~99%(v/v)のエタノールを含有するか、または65~99%(v/v)のエタノールを含有するか、または70~99%(v/v)のエタノールを含有するか、または75~98%(v/v)のエタノールを含有するか、または80~98%(v/v)のエタノールを含有するか、または約97%(v/v)のエタノールを含有するエタノール/水混合物である。別の好ましい実施態様において、ヒドロアルコール溶媒は、ヒドロメタノール溶媒であることができる。
【0084】
一実施態様では、ガラクチノールは、上記の析出ステップの後に反応混合物から精製することができる。有利には例えば、ガラクチノールを得るための精製ステップは、アフィニティーによるクロマトグラフィー、例えば活性炭カラムによって行うことができる。カラムで反応混合物を吸収し、続いて溶媒により連続的に溶出することからなるこのような精製方法は、当技術分野において公知である。
【0085】
本発明の一実施態様では、カラムに反応混合物を吸収させた後、それを例えば極性溶媒で溶出させることができる。好適な極性溶剤は、水と、C~C炭素原子を有する第一級アルコールとの混合物であってもよい。第一級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノールから選択され得る。好ましくは、アルコールは、メタノールおよびエタノールから選択することができ、特にエタノールであることができる。
【0086】
本発明の一実施態様では、ヒドロアルコール溶媒中のアルコールの量は、1~20%(v/v)のアルコール、好ましくは2~15%(v/v)のアルコール、特に3~10%(v/v)のアルコールで含まれることができる。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびペンタノールから選択され得る。メタノール及びエタノールが好ましく、エタノールが最も好ましい。
【0087】
本発明の好ましい実施態様において、ヒドロアルコール溶媒での溶出は、1%、好ましくは2%(v/v)のアルコール、特に3%(v/v)のアルコールから開始し、20%(v/v)のアルコール、好ましくは15%(v/v)のアルコール、特に10%(v/v)のアルコールで終了するまで、次第に増加するアルコール量で連続的に行うことができる。従って、溶出ステップは、2またはそれを超えるシーケンス、好ましくは3つのシーケンスを含み得る。
【0088】
本発明の一実施態様では、10~20%(v/v)のアルコールで溶出された最後の画分を合わせて、溶媒を、乾燥物(物理的形態)を得るために乾燥状態まで、少なくとも部分的に蒸発させるためにまたは完全に蒸発させるために、減圧下で濃縮することができる。
【0089】
本発明の好ましい実施態様において、前記乾燥物は、水に可溶化され、続いて、上記のような活性炭のようなアフィニティーによるクロマトグラフィーによって精製され得る。この第2の精製は、前述の第1の精製と同一に行うことができる。2つの画分を、ガラクチノール及び3-α-以外のα結合を有するガラクチノール異性体(1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-又は5-O-α-D-又は6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択され得る)からなる画分に収集することができる。
【0090】
本発明の好ましい実施態様において、ガラクチノールおよび前記ガラクチノール異性体の両方が、60~100%、好ましくは65~99%、より好ましくは70~98%の純度を有し得る。
【0091】
任意に、前述の析出ステップ後に、脱色ステップを、myo-イノシトール結晶が本質的に除去された残りの混合物に対して行ってもよい。例えば、脱色は、疎水性樹脂を用いて行ってもよい。
【0092】
化合物の生体触媒的製造のための方法は、当技術分野において公知であるので、当業者は供給者の酵素情報を参照することによって、本発明の方法を実施するための最良の条件を、すなわち、温度、酵素の濃度、pH、持続時間、溶媒などの観点から選択することができる。
【0093】
本発明による方法は、工業的規模で実施することができる。本発明のガラクチノールの工業的製造は例えば、当技術分野で周知の反応器中で行われる。例えば、前記方法は、バッチプロセス、流加プロセス、連続プロセス、またはそれらの組み合わせに従って実施することができる。反応器のサイズは重大ではない。
【0094】
従って、本発明はまた、上記の生体触媒法から得ることができる(または得られる)3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む組成物に関する。
【0095】
本発明の別の態様は、以下:
a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物に関する。
【0096】
本発明のガラクチノールの文脈においてなされる定義および好ましい実施態様が、必要な変更を加えて、それを含む組成物に適用されることは理解されるだろう。
【0097】
ここで、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールは、任意に、活性成分として(または任意に唯一の活性成分としてさえも)みなされてよい。用語「活性成分」は、最も広い意味で、単独で、あるいは1種または複数の他の成分、例えばそれら自体は不活性である1種または複数のキャリアまたは任意に相乗的に作用し得る他の活性成分と一緒に、所望の意図される活性を示し得る成分として理解され得る。好ましくは、本発明の活性成分は、化粧用に活性な成分である。
【0098】
化粧用または医薬組成物は、任意の目的および任意の形態で使用することができる。好ましい実施態様において、前記組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか、あるいは前記組成物は、経口投与されるニュートラシューティカル組成物である。
【0099】
前記組成物は、エマルション、ジェル、軟膏、トニック、液体石鹸、固形石鹸、バスオイル、シャワーオイル、マッサージオイル、メーキャップ、頭皮トリートメント、アフターシェーブ、シェービング製品、デオドラント、シャワージェル、シャンプー、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される製品であってもよく、または当該製品中に含まれていてもよい。
【0100】
任意に、化粧用または医薬組成物は、対象に経口投与することができるニュートラシューティカル組成物であってもよい。そして、前記化粧用または医薬組成物は、任意に、食品、例えば、フードサプリメントに含まれていてもよい。そして、前記組成物は、典型的には全身的効果を有し得る。本発明によるニュートラシューティカル組成物は、許容可能なキャリアと共に、経口投与に適した任意の形態に、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末、溶液、エマルションまたは懸濁液に製剤化することができる。
【0101】
一実施態様において、前記組成物は、20重量%未満のガラクチノールを含み得る。好ましい実施態様において、前記組成物は、0.0001~15重量%、より好ましくは0.001~10重量%、さらにより好ましくは0.005~8重量%、特に0.01~5重量%のガラクチノールを含む。
【0102】
ガラクチノール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分は、任意の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分であり得る。好ましい実施態様において、化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分は、少なくとも1種の化粧用におよび/または薬学的に許容可能なキャリアであるか、または当該キャリアを含む。
【0103】
本明細書で使用される場合に、用語「薬学的に許容可能なキャリア」、「薬学的に許容可能な賦形剤」、「化粧用に許容可能なキャリア」、「化粧用に許容可能な賦形剤」、「キャリア」および「賦形剤」は、ガラクチノールを含有する本発明の組成物の化粧用および/または薬理学的許容性または使用可能性を支持し得る任意の物質として、最も広い意味で互換的に理解され得る。
【0104】
ready to use組成物は、好ましくは、液体製剤、特に外用(topic)投与に適した組成物であることができる。前記組成物の保管形態はまた、液体であってもよいが、乾燥形態(例えば、粉末、例えばガラクチノールを含むかまたはガラクチノールからなる粉末)であってもよく、またはペーストもしくはシロップなどであってもよい。任意に、乾燥形態、ペーストまたはシロップは、興味対象の皮膚に投与される前に溶解または乳化されてもよい。
【0105】
化粧用におよび/または薬学的に許容可能なキャリアは、典型的には、水系バッファー、生理食塩水、水、アルコール、植物油、鉱油、ポリマーまたはそれらの2つ以上の組み合わせからなるリストから選択され得る。
【0106】
任意選択的に、化粧用にまたは薬学的に許容可能なキャリアーは、1種または複数の化粧用にまたは薬学的に許容可能な添加剤を含み得る。好ましい実施形態では、そのような化粧用におよび/または薬学的に許容可能な添加剤は、香料/芳香物質、色素、顔料、乳化剤、滑沢剤、キレート剤、pH調整剤(acidity regulators)、抗微生物剤、防腐剤、酸化防止剤、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。例えば、化粧用におよび/または薬学的に許容可能なキャリアは、任意選択的に、1種または複数の洗剤、トリエタノールアミン、1種または複数の香料、1種または複数の発泡剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS:sodium doceyl sulphate))、1種または複数の着色剤(例えば、食品着色剤、顔料)、1種または複数のビタミン、1種または複数の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛塩)、1種または複数の保湿剤(例えば、ソルビトール、グリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリデキストロース)、1種または複数の酵素、1種または複数の防腐剤(例えば、安息香酸、メチルパラベン)、1種または複数の酸化防止剤、1種または複数の薬草および植物抽出物、1種または複数の安定化剤、1種または複数のキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1種または複数のポリマー(例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、セルロース、カルボキシエチルセルロース)、1種または複数の安定剤、1種または複数の可溶化剤、1種または複数の皮膚軟化剤、および/または1種または複数の取り込みメディエーター(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、細胞透過性ペプチド(CPP)、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)、抗微生物ペプチドなど)を含み得る。さらに、本発明の組成物は、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールに加えて、前記3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールと、上述のようなその活性またはその意図される用途に影響を及ぼすことなく、相乗的および/または相補的に作用する、1種または複数の他の活性成分を含むことができる。
【0107】
本発明による組成物は、化粧品であってもよく、または化粧品に含まれていてもよい。皮膚への有害な影響は、安全性試験に従って、軽減または回避することができる。特許請求の範囲に記載の所望の目的をもたらす任意の投与経路が適切である。投与は、局所(local)または全身投与であり得る。好ましくは、投与は局所投与である。投与は、外用投与、経皮投与、経口投与、注射による投与(例えば、静脈内(i.v.)、動脈内(i.a.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、および皮下(s.c.)注射)、または経鼻投与であり得る。例えば、本発明による組成物は、許容可能なキャリアと共に、外用、経口、直腸、経粘膜、経鼻、腸内、経腸および非経口投与のための任意の適切な形態で製剤化することができる。
【0108】
好ましい実施態様において、前記組成物は、外用使用(topic use)のための組成物である。好ましい実施形態では、前記組成物は、皮膚の一部、例えば、顔、頭皮(毛を含む)、または身体の部分に外用的に投与される外用使用のための組成物である。皮膚は、損傷した肌、乾燥肌、健康肌、通常肌および脂性肌を含めて、全てのタイプの皮膚であることができる。
【0109】
上記のように、本発明のガラクチノールは、任意の目的のために使用することができる。好ましくは、化粧用および/または医薬目的のために使用される。
【0110】
従って、本発明のさらなる態様は、上記に定義される3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む(または3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる)組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用に関する。
【0111】
驚くべきことに、本発明の組成物は、皮膚の水和、皮膚の外観を改善し、ECM成分の産生を刺激し、細胞の内因性の抗酸化防御機構を誘導し、DNAおよびタンパク質の保護および修復の両方に関与する内因性の細胞機構を活性化することを可能にする。従って、これらの機能を達成することにより、皮膚の全体的な外観を改善し、保護することができる。
【0112】
好ましい実施態様において、内因性防御機構は、抗酸化機構、プロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生、またはこれらの2つ以上から選択され得る。
【0113】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は以下のための使用のためのものである:
a.抗酸化防御機構の刺激を介して皮膚細胞を無毒化するため、
b.皮膚細胞のプロテオームおよび皮膚バリア機能を、修復タンパク質の刺激を介して保護するため、
c.DNA修復遺伝子の刺激を介して皮膚細胞のDNAを保護するため、
d.UV照射および環境ストレス因子から選択される外部ストレス因子への曝露から皮膚細胞を保護するため、
e.細胞外マトリックス遺伝子および成長因子の刺激を介して皮膚のハリおよび弾力性を促進するため、
f.ヒアルロン酸およびプロテオグリカンの産生を介して皮膚の水和を促進するため、
g.皮膚のマイクロレリーフを改善するため、
h.皮膚のしわを減少させるため、
i.これらのうちの2つ以上の組み合わせ。
【0114】
好ましい実施態様において、前記使用は以下のためである:
- 皮膚のマイクロバイオータの抗酸化および無毒化特性を改善するため、
- 宿主およびマイクロバイオータの代謝を改善するため、
- 免疫応答要素をモジュレートすることによって皮膚炎症を予防するため、
- 真菌の病原性を、その糸状変換(filamentous conversion)をダウンレギュレートすることによって阻害するため、
- 宿主および皮膚マイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善するため。
【0115】
従って、宿主および/または皮膚のマイクロバイオータにおけるプロテオスタシスの改善は、以下の機能のうちの1つまたは複数を含み得る:
- リボソーム集合を改善すること、
- タンパク質輸送を改善すること、
- ポリペプチド分解を改善すること、
- タンパク質のユビキチン化とその後の分解を改善すること、
- タンパク質およびアミノ酸の合成プロセス、
- シャペロニンおよびフォールディングプロセスを改善すること、
- 糖タンパク質合成と質の制御を改善すること、
- 小胞体ストレスを軽減すること。
【0116】
一実施態様において、前記使用は以下のためである:
- 皮膚バリア機能を改善すること、
- 細胞外マトリックスの組織とその構造を強化するため。
【0117】
本明細書において使用される場合に、「メタプロテオミック/メタプロテオミクス」という用語は、種の混合物のプロテオミクス解析として理解することができ、混合物中の種の少なくとも一部を表すタンパク質配列データベースの編集物を用いて検索する。前記混合物は、哺乳動物宿主生物に定着する微生物種を超えて含有していてもよく、例えば、それは宿主タンパク質を含んでもよい。実際、メタプロテオミクスはヒト、細菌および真菌レベルで活性化された機能へのアクセスを可能にするが、メタゲノミクスはそうではない。本明細書で使用される場合に、「宿主」は、人体、好ましくは皮膚を意味する。
【0118】
本明細書で使用される場合に、「プロテオスタシス」は、バランスのとれた機能的プロテオームの動的調節として理解され得る。プロテオスタシスネットワークは、細胞内および細胞外に存在するタンパク質の生合成、フォールディング、輸送および分解を制御する、細胞内の競合する統合された生物学的経路を含む。
【0119】
好ましい実施態様において、本発明の組成物の使用は、皮膚構造を改善するため、シワの出現を遅らせおよび/または予防するため、皮膚の水和を改善するため、皮膚における機械的特性の喪失を処置するため、特に皮膚のハリ、滑らかさ、厚さ、色合い、つや(glow)、きめおよび弾力性を改善するため、皮膚バリア機能を維持および/または回復するため、皮膚の不完全状態を処置および/または予防するため、皮膚の損傷を処置および/または予防するため、毛の白化、脱毛を予防または処置するため、毛の成長、毛の密度を促進するため、またはこれらの2つ以上のためのものである。
【0120】
有利には、本発明の組成物が、皮膚の全体的な外観の改善を、種々のレベルで作用することにより、例えば細胞外マトリックスレベルで、タンパク質およびDNAレベルで、それらの保護を確実にすることによって、可能にすることが観察された。
【0121】
本明細書で使用される場合に、皮膚およびその付属器の「全体的な外観」という用語は、皮膚の全体的な状態(形態学的および生理学的)として、最も広い意味で理解され得る。
【0122】
本明細書で使用される場合に、用語「健康肌/健康な皮膚」は、過度の炎症、異常な色素沈着、不十分なバリア機能及び細胞外マトリックス成分の劣化を回避するための、皮膚の自己防御及び自己修復する能力として最も広い意味で理解され得る。
【0123】
本明細書で使用される場合に、用語「損傷」は、皮膚およびその細胞における、特に(他の点では)健康な皮膚における、任意の動揺または機能不全として、最も広い意味で理解され得る。本明細書で使用される場合に、損傷は、内部攻撃(エイジング、1種または複数の遺伝因子、1種または複数のホルモン)、および外部ストレス因子、例えば光曝露(例えば、紫外(UV)光への曝露、可視光への曝露および/または赤外光への曝露)、特定の汚染への曝露、1種または複数の病原体および/またはアレルゲン(天然および化学製品を含む)への曝露、環境ストレス因子(変動する温度:温度上昇および湿度)への曝露、および/または機械的拘束(日常の習慣によるもの、例えばシェービング、手袋およびマスク着用を含む)によって誘発され得る。
【0124】
本明細書で使用される場合に、「付属器」(annexe)という用語は、毛および毛包を含み得るので、最も広い意味で理解され得る。
【0125】
本発明の実施態様のいずれかによるガラクチノールまたはそれを含む組成物は、局所的および/または全身的効果を有し得る。好ましい実施形態において、局所的(locally)および/または外用的(topically)に投与される場合、それは(主にまたは完全に)局所的効果を有する。
【0126】
好ましい実施態様において、前記使用は皮膚のケアのためのものであり、好ましくは、前記使用は、頭皮を含めた任意のタイプの皮膚の全体的外観を改善するためのものである。
【0127】
ECM遺伝子の発現を刺激することは、その異なる成分に作用することによって達成され得る。換言すると、本発明の組成物は、ECM成分の合成を促進および/または刺激することを可能にする。
【0128】
好ましくは、ECM遺伝子の刺激は、コラーゲン、プロコラーゲン、エラスチン、フィブリン、フィブリリン、フィブロネクチンおよびラミニンまたはそれらの混合物から選択されるタンパク質の合成の促進をもたらし得る。高分子は、デコリン、ペルレカン、ルミカン、シンデカンおよびバーシカンまたはそれらの混合物から選択されるプロテオグリカン;および/または非硫酸化グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸)であり得る。例えば、デコリンはヒト皮膚上で最も高度に発現されるプロテオグリカンであり、さらに、そのサイズおよび含有量がエイジングとともに減少することが知られている。一実施態様において、ヒアルロン酸の合成を刺激することは、ヒアルロン酸シンターゼ2(HAS2)の発現を促進することによって達成することができる。
【0129】
有利には、ECMを、その成分の1つまたは複数に作用することによって標的化するので、本発明の組成物は、皮膚のメカノバイオロジーをその全体において改善することを可能にする。実際に、皮膚のメカノバイオロジーを改善することは、小ジワおよびシワの出現の予防、滑らかさ、ハリ、色合い、弾力性、厚さ、きめおよびその弾力の改善、皮膚バリア機能の改善をもたらし得る。ヒアルロン酸およびプロテオグリカン(例えば、LUM、SDC、VCAN)の産生を増加および/または刺激することは、皮膚の水和の改善をもたらすことが合意されている。さらに、これらの後者は、皮膚の機械的強度に関与する際に重要な役割を果たす。さらに、ECM成分(例えば、COL、FBN、FN、ELNおよびFBLN)の生成が本発明の組成物によって増加されているので、これは皮膚の機械的強度の改善を導き得る。
【0130】
抗酸化防御遺伝子の発現を刺激することは、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)、NAD(H)デヒドロゲナーゼキノン1(NQO1)、ヘムオキシゲナーゼ1(HMOX1)、グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPX1)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)、または2つ以上から選択される酵素の発現を促進することによって達成され得る。従って、本発明の組成物は、抗酸化および/または抗フリーラジカル処置のために使用し得る。
【0131】
その結果、ECMおよび抗酸化レベルで作用することによって、本発明の組成物は、皮膚エイジングの徴候を遅らせるおよび/または予防することを可能にし、ならびに健康かつより若い皮膚の獲得を可能にする。
【0132】
タンパク質修復遺伝子の発現を刺激することは、形質転換TGFβ1、神経成長因子受容体(NGFR)、NGF、HSPA1A、HSP90AA、HSP27、またはそれらの2つ以上の合成を促進することによって達成され得る。従って、本発明の組成物は、環境ストレス因子、例えば熱、湿度、微粒子、放射(例えば、UV、赤外線)によって引き起こされる攻撃から皮膚を保護するために使用し得る。さらに、HSP27の産生を促進することは、最後のケラチノサイトの分化ステップに関与し、従って皮膚バリア機能を改善することに関与する。結果として、これらのタンパク質を標的とすることは、皮膚のホメオスタシス、特に皮膚の水和の改善、および表皮の完全性の保護を導き得る。
【0133】
DNA修復遺伝子の発現を刺激することは、PCNA、MKi-67、GADD45A、またはそれらの2つ以上の合成を促進することによって達成され得る。これらの遺伝子群を標的とすることにより、細胞の遺伝的完全性、ひいては細胞機能を維持することができる。従って、本発明の組成物は、皮膚細胞の老化、エイジングプロセスおよびアポトーシスの保護および/または制限に使用し得る。
【0134】
本発明のガラクチノールを含む(またはそれからなる)組成物の文脈においてなされる定義および好ましい実施態様が、必要な変更を加えて、その(化粧用)使用に適用されることは理解されるだろう。
【0135】
本発明はまた、医薬としての使用のための、上記で定義される3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール、または上記で定義される化粧用組成物もしくは医薬組成物に関する。
【0136】
本発明はまた、皮膚およびその付属器(annexes)の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを活性成分として含む組成物であって、前記組成物は、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のマイクロレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、前記組成物は、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物に関する。
【0137】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、文脈が別途要求する場合を除き、オープン型の語句、例えば「含む(comprise)」、「含有する(contain)」、「包含する(include)」等、およびバリエーション、例えば「含む(comprises)」、「含有する(contains)」、「包含する(includes)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している(containing)」、「包含している(including)」等は、言及した成分、構成要素、整数またはステップ、あるいは成分、構成要素、整数またはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の成分を排除することは意味しないと理解され得る。
【0138】
本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)使用される「a」および「an」および「the」という用語ならびに類似の参照は、本明細書において別段の示唆がない限り、または文脈によって明らかに否定されていない限り、単数形と複数形との両方をカバーするものと解釈すべきである。本明細書における値の範囲の記述は、単に、当該範囲内のそれぞれの別個の値を個々に参照する簡略な方法として機能することを意図するものである。本明細書において別段の示唆がない限り、それぞれの個々の値は、それが本明細書に個々に、ならびに互いに組み合わせて列挙されているかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法および手順ステップ(プロダクト・バイ・プロセスステップを含む)は、本明細書において別段の示唆がない限り、または明確に文脈に相反しない限り、任意の適切な順番で行うことができる。本明細書において供される、いずれかのおよび全ての例、または例示的な語句(例えば、「などの」、「例えば」)の使用は、単に本発明をよりよく理解させることを意図するものであり、別段特許請求される発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいずれの文言も、本発明の実施に必須な特許請求の範囲に記載されていない要素を示していると解釈すべきではない。
【0139】
前記態様および実施態様を任意の方法でおよび任意の数で組み合わせて追加的な実施態様にできることは理解されよう。本出願において説明されるすべての構成要素の任意の置換および組み合わせは、文脈が別段の指示をしない限り、本出願の記載によって開示されたとみなされるべきである。
【0140】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料が好ましいが、本明細書に記載のものと類似または同等の他の方法および材料も同様に、本発明の実施または試験において使用することができる。
【0141】
本明細書において引用または参照される全ての文献は、参照により組み込まれ、本発明の実施において使用され得る。より具体的には、全ての参照された文献は、あたかも各個々の文献が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたのと同じ程度まで参照により組み込まれる。
【0142】
以下の例および図面は、本発明のさらなる実施態様をその範囲を限定することなく説明することを意図するものである。
【実施例
【0143】

1. 3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールの調製
以下では、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールをガラクチノールと称する。
【0144】
1L反応器中で、148gのラフィノース五水和物を45℃で溶解し、660mLの100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0±1)中で300rpmで撹拌した。8mLのβ-フルクトフラノシダーゼ(MerckによるInvertin商標;2.4KU/mL)を加え、反応混合物を45℃で2時間撹拌した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、1時間後にラフィノースのメリビオースへの完全な転化が示された。
【0145】
myo-イノシトール180gを加え、水酸化ナトリウムを加えることによってpHを7.0±1に調節した。myo-イノシトールを完全に可溶化した後、1.85gのα-ガラクトシダーゼ(Sumizyme商標AGS; 30KU/g)を加え、1時間ごとにサンプルを採取しながら、反応物を45℃で撹拌した。5時間後、HPLC分析により、50mMより高いガラクチノール濃度が示され、反応混合物を75℃で3~10分間加熱することによって反応をクエンチした。
【0146】
30℃まで冷却した後、300mgのMgCl2・6H20と25gの凍結乾燥パン酵母を加え、得られた混合物を30℃で40時間撹拌した。反応混合物を遠心分離し、上清をロータリーエバポレーターで減圧下70℃で濃縮した。結晶化を誘導するために、濃縮溶液を70℃で1時間撹拌した。懸濁液の温度を4時間にわたって室温に到達させ、一方、含水エタノールを貧溶媒として同じ時間にわたって添加した。室温で一晩撹拌した後、懸濁液を0℃で2時間撹拌し、その後、懸濁液を濾過した。結晶を冷含水エタノールで洗浄し、濾液および洗浄液の両方をHPLCで分析した。エタノール含有率が2500ppm未満になるまで、濾液と洗浄液を合わせて濃縮し、得られた溶液を疎水性樹脂(Dowex商標 Optipore L-490)に通した。
【0147】
脱色された溶液をHPLCで分析し、水およびグリセロールを添加して、ガラクチノールを含有する80/20グリセロール/水(v/v)溶液を得た。
【0148】
図1は、本発明の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール(ガラクチノール)の化学構造を示す。それは、myo-イノシトール部分およびガラクトース部分から構成される。
【0149】
HPLCクロマトグラムにより、本発明の組成物がガラクチノールを含むことを確認した(データは示さず)。この分析を実施するために、Luna Omeag Sugarカラム(250x4.6mm 3μm)を用いて、1mL/分、30℃でアイソクラティック条件(75%アセトニトリル;25%水)下、ELSD検出器を備えたHPLCによって、サンプルを分析した。さらに、1Hおよび13C NMR分析により、25.5分の保持時間(RT)で溶出する化合物が、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールに対応し、RT26.5分の化合物がガラクチノールの異性体(α-O-D結合)であることが確認された。
【0150】
2. In vitroの結果:
2.1 トランスクリプトーム研究:
以下の研究において、皮膚の水和、皮膚の外観を改善し、ECM成分の産生を刺激し、細胞の内因性の抗酸化防御機構を誘導し、DNAおよびタンパク質の保護および修復の両方に関与する内因性の細胞機構を誘導する本発明の組成物の能力が、RT-qPCR技術(Taqman)を使用して正常なヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)において実証された。
【0151】
以下では、本発明の実施態様に従う、ガラクチノールおよびそれを含む組成物を、それぞれGalおよびC-Galと呼ぶ。
【0152】
2.1.1 方法:
GalおよびC-Galの両方を用いたNHDF処理の24時間後に、mRNA発現を定量化した。
【0153】
mRNA抽出は、供給者の推奨(Qiagen)に従って行った。簡潔に述べると、溶解バッファーRLT-Plusを細胞ペレット上に添加し、均質な溶解液をカラムに移した。溶出液を1容量の70°エタノールと混合し、ピンク色の「RNeasy」カラムに移した。カラムをバッファーで洗浄した。溶出はRNaseフリー水で行い、RNA定量化はD.O.260nm、280nm、320nm測定(Biotek, Cytation3 & Take3 Plate)により「Nucleic Acid Quantification」ソフトウェアアプリケーションで行った。mRNAの質は、フラグメントアナライザー(Advanced Analytical)を用いて確認した。次いで、cDNA鋳型を得ることを可能にするmRNA逆転写を、サーマルサイクラーにおいて実施した(Bio-Rad)。cDNA鋳型を使用してqPCRを実施した。トランスクリプトーム研究のために、ECM成分、抗酸化遺伝子、皮膚ホメオスタシスのためのBioradのプレデザインプレートを使用した。次いで、生成されたデータは、未処理条件と比較したmRNA発現倍率変化およびp値のBio-Rad CFX managerを用いた自動計算を可能にした。
【0154】
全てのデータは、対照条件と比較して統計的に有意である(p値<0.05)。
【0155】
2.1.2 結果:
2.1.2.1 皮膚の主要ECM成分の刺激
図2により、GalおよびC-Galの両方で処理されたNHDFのECM遺伝子およびタンパク質発現のモジュレーションが実証された。多くのECM成分、例えばCOL5A1、ELN、SDC4、VCAN、LAMC2、LUMおよびインテグリンα-1(ITGA1)は、引張強度および機械的強度、弾性、弾力性および水和を付与することが知られている。これらの実験結果により、ECM成分がGalおよびC-Galによって標的化されることが実証され、皮膚のメカノバイオロジーを全体的に改善するその能力が確認された。従って、GalおよびC-Galはいずれも、小ジワ(fine lines)およびシワ(wrinkles)の出現の防止、皮膚の滑らかさ、ハリ、厚さ、色合い(tone)、弾力性、きめ(texture)および弾性の改善、さらに皮膚の水和の改善において、使用され得る。換言すると、本発明の組成物は、全体的な皮膚外観およびその状態を改善するための活性成分として使用可能である。
【0156】
2.1.2.2 皮膚内因性抗酸化防御機構の刺激
図3に示すように、NHDF中の抗酸化遺伝子は、GalおよびC-Galでの処理によってモジュレートされた。簡単に言うと、NQO1は、キノン/ヒドロキノン系を介した解毒酵素である。HMOX1は酸化ストレスに対する細胞防御に関与しており、GPX1は過酸化水素(H)の解毒におけるヒトの最も重要な抗酸化酵素の1つとして知られており、G6PDはNADPHのレベルを維持することによって細胞にエネルギーを供給する役割を果たし、これが今度は細胞におけるグルタチオンの供給を維持し、これは酸化ストレスを引き起こすフリーラジカルを掃討するために使用される。
【0157】
2.1.2.3 皮膚ホメオスタシスの全体的な維持に関与する遺伝子、特に成長因子、熱ショックタンパク質、DNA修復および細胞増殖マーカーの刺激
図4に示されるように、NHDFにおいて、モジュレートされた遺伝子のうち、TGFβ1およびNGFなどの増殖因子のアップレギュレーションが実証された。TGFβ1は、細胞成長、細胞増殖、細胞分化およびアポトーシスの制御に関与している。NGFは、細胞の増殖周期に関与している。さらに、熱ショックタンパク質、主にHSPA1AおよびHSP90AAのアップレギュレーションが観察された。HSPA1は、改変されたタンパク質を安定化および分解するために、新しくかつミスフォールディングされたタンパク質の適切なフォールディングを促進することが知られている。HSP90AAは、例えば周期制御に関与するタンパク質の成熟、構造維持および適切な調節を促進する。そして、GalおよびC-GalによるPCNA、MKi67およびGADD45AのmRNA発現のアップレギュレーションが見出された。これらの遺伝子は、DNA修復および細胞増殖タンパク質をコードする。PCNAは、DNAポリメラーゼデルタのプロセッシビティ因子として作用し、複製に必須である。MKi-67は、細胞増殖のマーカーである。GADD45A遺伝子は、ストレスの多い増殖停止状態およびDNA損傷剤での処置後に転写物レベルが増加する遺伝子群のメンバーである。
【0158】
これらの実験結果は、GalおよびC-Galの両方の以下の能力を実証した:
- 細胞増殖を改善する、細胞老化を制限および/または予防する、従ってより一般的には皮膚エイジングの兆候を予防しおよび/または遅らせる、
- 皮膚のホメオスタシスを改善し、従って、皮膚のホメオスタシスの変化に関与する様々なストレスから皮膚を保護する、
- タンパク質(例えば酵素、核因子)の変化から保護する、
- (例えば、UV線、微小粒子などの外部攻撃による)DNAの酸化的損傷を修復する、
- 皮膚リモデリングを改善する、より一般的には、皮膚の全体的な外観および上記で詳述したECMで得られる結果と一致するその状態を改善する。
【0159】
その結果、本発明の組成物は、小ジワおよびシワの出現の予防、皮膚の滑らかさの改善、脱毛の予防、毛密度の改善に使用し得る。
【0160】
2.2 細胞形態観察を用いた皮膚の細胞保護特性の評価
以下の研究では、GalおよびC-Galの、種々のストレス因子、例えばUV照射(UVBおよびUVA)または環境因子(湿度および温度)から皮膚細胞(NHEKおよびNHDF)を保護する能力を評価した。
【0161】
2.2.1 方法:
簡潔に述べると、明視野イメージング顕微鏡(bright-field imaging microscope)を使用して、GalおよびC-Galの存在下または非存在下での様々な実験条件におけるNHEKの形態に対するUVB照射の効果を研究した:
- 「予防的」条件:GalまたはC-Galを、UVB照射(30mJ/cm)の前に24時間の間NHEKに施用し、24時間後に細胞の形態を観察した、
- 「治療的」条件:GalまたはC-Galを、UVB照射後に施用し、24時間後に細胞の形態を観察した、
- 組み合わせた条件「予防的および治療的」:GalまたはC-Galを、UVB照射の前後に施用し、24時間後に細胞の形態を観察した。
【0162】
以下の条件でのNHDFへのUVA照射を用いることにより、上記と同じ実験を繰り返した:
- 「治療的」条件:GalまたはC-Galを、UVA照射(10J/cm)後に施用し、24時間後に細胞の形態を観察した。
【0163】
最後に、細胞形態に及ぼす環境ストレスの影響を、GalまたはC-Galで処理したまたは処理しないNHEKにおいて調べた(明視野イメージング顕微鏡を使用して)。与えた環境ストレスは、熱ストレス(30分間での37℃から44℃への温度上昇)、または「90%から45%への相対湿度の変化」という水分ストレス、または「熱+水分ストレス」という両方のストレスの組み合わせであった。
【0164】
2.2.2 結果(データは示さず)
NHEKおよびNHDF細胞において、UVB、UVAおよび環境ストレス因子(熱および湿度)の有害な影響が観察された。実際、ストレス条件中、UVAおよびUVB条件中では、存在する細胞がより少なく(これらのストレス条件下での細胞の死を示唆する)、細胞の形態は明らかに変化した。実際、健康なケラチノサイトは多角形の形状を有するが、ストレス条件中ではそれらはより伸長して見える(線維芽細胞のように)。対照的に、環境ストレス条件では、細胞数の減少が観察された。並行して、細胞形態の強い変化が出現し、それらのホメオスタシスの変化を示唆した。従って、本発明の組成物は、UVB、UVAおよび環境的損傷から細胞を保護するのに適している。実際、ストレス条件単独と比較して、GalおよびC-Galを伴うストレス処理条件では、より多くの細胞が存在する。さらに、処理群では、通常の予期される細胞形態が観察された。
【0165】
2.3 HSP27タンパク質発現の刺激を介した、組成物の皮膚の細胞保護特性の評価
2.3.1 方法:
NHDFをGalまたはC-Galで24時間処理した(処理細胞)。次いで、細胞を30分間固定し、一次抗体HSP27(ab62339,Abcam)で免疫染色し、Alexa fluor 568と共役した二次抗体(A1101,Thermofisher)に曝露した。Nikon顕微鏡(Eclipse Ti2)で画像を得た。HSP27の定量化は、Image Jソフトウェアを用いて細胞当たりの蛍光強度の画像分析によって測定した。統計解析(Dunnett)は、Minitabソフトウェアで行った(対照と比較して*p<0.05)。結果を、3つの独立したアッセイを行うことによって得た。
【0166】
2.3.2 結果
図5において、処理された細胞におけるHSP27発現の明確な刺激が、ベース条件(すなわち、非ストレス条件)で観察された。この結果は、GalまたはC-Galが皮膚細胞に予防効果および保護効果をもたらし得ることを示唆した。
【0167】
2.4 皮膚の水和特性の評価
本発明の組成物が皮膚の水和を改善できるかどうかを調べるために、NHEK細胞によるヒアルロン酸(HA)の産生に対するその効果を評価した。
【0168】
2.4.1 方法:
NHEKを、培地DERMALIFE商標Kとペニシリン/ストレプトマイシン中、空気中5%COを含有する加湿雰囲気において、37℃で24時間培養した。
【0169】
24時間後、1ウェル当たり90μLの培養培地で希釈した、10μLのC-Galで、または陽性対照として最終10-8MのEGF(Gibco商標,ref: 2116096)で、細胞培養培地を置き換え、次いで、空気中5%COを含有する加湿雰囲気において、37°Cで48時間培養した。次いで、細胞によって産生されたヒアルロン酸を定量するために、上清を回収し、その後遠心分離した。ヒアルロン酸が定量化される各条件を標準化するために、タンパク質の全含有量をブラッドフォード法を使用して定量化した。最後に、供給者の推奨に従って、ELISA技術によってヒアルロン酸の定量を行った(R&D SystemからのHyaluronan DHYALO kit)。
【0170】
全てのデータを平均±標準偏差として表した。データの統計的有意性は、Minitabソフトウェアを用いて分散の二元配置分析によって決定した(対照と比較して*p<0.05)。結果を、3つの独立したアッセイを行うことによって得た。
【0171】
2.4.2 結果
図6は、NHEKによるHAの合成を促進するC-Galの能力を示す。その結果、皮膚の水和が、皮膚細胞内のHAの産生の増加により改善される。さらに、RT-QPCR分析は、HA合成に関与する酵素であるHAS2(ヒアルロン酸シンターゼ2、倍率変化x2.2)のmRNA発現をC-Galが有意に刺激することを示した。
【0172】
3. 臨床試験:
3.1 ヒト皮膚の生体力学的特性を改善するための本発明の組成物の特性の評価
3.1.1 方法:
ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。医薬品以外の試験に適用できるものとして、ヘルシンキ宣言及び医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonization Good Clinical Practice)のガイドラインの原則に従って、試験を遵守した。
【0173】
20人の白人女性を、28日間継続するこの臨床試験に登録した。ボランティアは50~60歳の年齢範囲を有し、しわを呈し、そして日常的な光への曝露のためにくすんだ起伏のある顔貌を呈していた。対象に、プラセボおよび本発明の組成物を0.3%含有する製剤を、彼女達の顔の半分に施用した。
【0174】
【表1】
パラメーターは、AEVA-HEデバイス(EOTECHによる)とcutometer(courage and Khazaka)によって測定した。しわ体積に関して2Dおよび3D高解像度写真を撮影するためにAEVA-HEデバイスを配置した。cutometerにより、皮膚の弾力性及び皮膚のハリをそれぞれ測定する2つのパラメーターであるUe及びUrパラメーターの決定が可能となる。
【0175】
3.1.2 結果:
図7(AおよびB)は、開始日(D0)と比較した、本発明の組成物の28日間の使用後の皮膚の生体力学的特性の顕著な目に見える改善を示す。実際、表1のクリームの施用の28日後に、パラメーターUe(皮膚の弾力性)およびUr(皮膚のハリ)の両方が増加する。これらのパラメーターは、経時的なエイジングとともに、しかしまたフォトエイジングの間にも大きく減少することが知られている。従って、本発明の組成物は、皮膚の弾力性、ハリおよび滑らかさを、より一般的には皮膚の全体的な外観を改善できる、とみなすことができる。
【0176】
全てのデータを平均±標準偏差として表した。データの統計的有意性は、Minitabソフトウェアを用いて分散の二元配置分析によって決定した(***D0と比較してp<0.001;**D0と比較してp<0.01;D0と比較してp<0.05)。結果を、3つの独立したアッセイを行うことによって得た。
【0177】
さらに、本発明の組成物による処理の前(D0を意味)、および28日後のしわ体積の測定は、処理群におけるしわ体積の有意な減少を示した(図7C)。この結果により、本発明の組成物の、しわを有意に減少させる能力が実証された。
【0178】
4. 本発明の組成物のメタプロテオミクス効果の研究:
4.1 材料および方法:
メタプロテオミクス解析のために20人のボランティアを募集した。顔の片側におけるC-Galでの、および他方側におけるプラセボでの処理前(0日目)および後(28日目)に、サンプルを採取した。
【0179】
メタプロテオミクス研究の目的は、宿主(ヒトの体)およびそのマイクロバイオーム(細菌および真菌)由来のタンパク質を同時に調べることであった。Phylogen S.A社(フランス)によって開発されたHolXplore商標と呼ばれるバイオインフォマティクスツールを、分類学的および機能的解析に使用した。分析は、供給者の推奨に従って行った。オミックス比較研究の宿主およびマイクロバイオームアウトプットのためのデータ処理モジュールが得られる。これは、様々な実験条件と組み合わされた多様性の分類学的解析、細菌、真菌およびヒト分類群、異なる機能および/または分類群間の相関に関する並行した機能解析を含む。
【0180】
簡単に述べると、タンパク質を、それらの分類学的起源が何であれ、皮膚スワブから抽出し、消化した。ペプチド抽出物を標識し、MS/MSフラグメンテーションおよびナノLC HRAM MS技術(高分解能精密質量分析装置と連結したナノクロマトグラフィー)によって分析した。
【0181】
次いで、タンパク質を、UniProt KBから得られる全ての細菌、真菌およびヒトリファレンスプロテオームに対するSEQUEST-HTアルゴリズムを用いて、ヒトリファレンスプロテオームにも見出される配列を除いて、LC-MS/MSにおける最も一般的な実験的混入物の配列と共に、同定した。
【0182】
分類学的解析は、分類群の存在量の観点から、マイクロバイオーム組成に焦点を当てた。それは、それらのペプチド分類に従って、各タンパク質の分類学的アサインメントを可能にする。
【0183】
同定された分類群を、3つの異なる分類群:宿主(ヒト)、細菌および真菌で選び出した。次いで、多様性解析により、サンプル群間のマイクロバイオーム組成および多様性の差異を浮き彫りにした。各分類群の存在量を、関連するタンパク質存在量の合計として計算した。それらの存在量を入力データとして使用して、「vegan」Rパッケージのそれぞれ「diversity」および「vegdist」関数を使用して、「α多様性」および「β多様性」を測定した:
- α多様性は、サンプル内の多様性を測定する
- β多様性は、サンプル間の多様性、およびそれらのマイクロバイオーム組成に従ってサンプルの分離を測定する。
【0184】
機能分析は、同定されたタンパク質の機能に焦点を当てられた。各タンパク質を機能的にアノテーションし、エンリッチメント解析を行って、改変された生物学的プロセスを浮き彫りにした。微生物タンパク質の大部分は、機能的アノテーションを欠いている。このために、タンパク質配列(UniprotおよびUniparcデータベースから回収)をバイオインフォマティックスで既知のツールEggNOGmapperにサブミットして、各タンパク質をその最も近いアノテーション付きオーソログに関連付けた。オーソログの機能的アノテーションをさらなる解析のために使用した。
【0185】
4.2 結果:
4.2.1 分類学的解析から:
β多様性の解析では、2つの処理(プラセボ対C-Gal)によるサンプルの分離は浮き彫りにならなかった。対照的に、α多様性解析では、2つの処理間でのサンプル多様性の有意な差が浮き彫りになり、マイクロバイオーム組成の摂動なしに、活性群C-Galに関して、より大きな多様性を示した。従って、本発明の組成物は皮膚のマイクロバイオータに対して安全であり、従って「マイクロバイオータにやさしい」(microbiota-friendly)とみなすことができる。興味深いことに、分類学的解析のおかげで、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属細菌(これは、その二次代謝産物が抗微生物活性、抗癌活性および抗酸化活性を発揮することが知られている)のアップレギュレーションが観察された。
【0186】
4.2.2 機能解析から:
C-Galがモジュレートされることを実証した:
- C-Galで処理した皮膚マイクロバイオータの抗酸化および解毒特性:酸化ストレスに関連するタンパク質の存在量が、真菌および細菌においてモジュレートされた。ペルオキシレドキシンは、過酸化物レベルも制御し、関連するシグナル伝達事象(特にチオレドキシンと関連する)を媒介する抗酸化酵素である。3つのペルオキシレドキシンと2つのチオレドキシンがレギュレートされた。抗酸化反応に潜在的に関与するいくつかのタンパク質、例えばSOD、酸化還元バランスの維持に中心的役割を果たすグリシン開裂系Hタンパク質-3(GDH3:Glycine cleavage system H protein-3)の特徴付けられていないタンパク質オーソログ、および長鎖アルデヒドの酸化に関与するルシフェラーゼタンパク質も、レギュレートされた。最後に、ホルムアルデヒド解毒および真菌起源からの遺伝毒性ストレスのような他のタイプの細胞ストレスに関与するタンパク質もレギュレートされた。
【0187】
- 宿主およびマイクロバイオータ代謝:エネルギー代謝は、細胞が様々な供給源からエネルギーを生成することを可能にする。グルコースは、主要なエネルギー源の1つである。結果は、細菌および真菌におけるグルコース代謝(主にGAPDHタンパク質によって構成される)および脂質代謝、ならびに宿主における脂質代謝(主に脂質貯蔵に関与するタンパク質であるペリリピン-5(PLIN5)に関連する)のアップレギュレーションを明確に浮き彫りにした。C-Galは、ペプチドグリカン、リポ多糖類およびミコール酸等の細胞壁成分産生に関与する一連のタンパク質をアップレギュレートした。
【0188】
- 抗炎症特性:免疫は、宿主がそのマイクロバイオームを制御して感染およびディスバイオシスを回避することを可能にするが、慢性的な炎症は皮膚の機能不全および疾患をもたらし得る。免疫成分に関して、宿主制御タンパク質は、主に補体C8β鎖(C8B:膜攻撃複合体の成分)のダウンレギュレーション、および炎症シグナル伝達の負のレギュレーター(CD81、受容体型チロシンタンパク質ホスファターゼイプシロン(PTPRE)、およびRas関連タンパク質Rab-7b(RAB7B))のアップレギュレーションにより、炎症の減少を示唆した。CD81は、ブレイクポイントクラスター領域タンパク質(BCR:Breakpoint cluster region)シグナル伝達経路を増加させ、PTPREはサイトカイン産生および脱顆粒を阻害し、RAB7BはToll様受容体(TLR)経路およびその後の炎症を負にレギュレートする。さらに、C-Galは、微生物集団に対する直接的な作用因子であるカテリシジン抗微生物ペプチドをモジュレートした。
【0189】
- 真菌病原性の阻害:マイクロバイオータタンパク質はまた、宿主機能に影響を及ぼすことができる。一部の共生真菌は、酵母から糸状形態に切り替えることができる(それらの潜在的な病原性に必須の形態形成)。糸状形態は、角質化した上皮に侵入し、表皮バリア機能の破壊をもたらし、最終的に疾患を誘発し得る。糸状成長に関与するタンパク質、例えば糸状成長を阻害できるELM1、ASC1および転写因子RBF1のオーソログがレギュレートされた。上皮バリアの侵入の減少をもたらして、より良好な皮膚の健康の維持が保証される、糸状形態のダウンレギュレーションをこれらの結果は示唆していた。
【0190】
- 「プロテオスタシス」とも呼ばれるタンパク質調節経路:それらの一部は、細菌またはヒト起源由来のリボソームタンパク質である。タンパク質ユビキチン化およびその後の分解に関与するポリペプチド分解および酵素に関与するペプチダーゼのような、宿主におけるタンパク質輸送に関与するタンパク質もまた、レギュレートされた。さらに、タンパク質は小胞体内でフォールディングされた。ミスフォールディングタンパク質またはアンフォールディングタンパク質の蓄積は、酸化的ストレスに密接に関連する小胞体ストレス(ERストレス)をもたらす。シャペロニンは正しいタンパク質のフォールディングに必須であり、それらの一部(主に細菌起源からのもの)がレギュレートされた。このフォールディングプロセスの促進因子である3つのペプチジルプロリンイソメラーゼ(PPIアーゼ)がアップレギュレートされた。レチクロカルビン-1(Reticulocalbin-1)のダウンレギュレーションは、ERストレス誘導性アポトーシスにおけるその役割のためにERストレスが減少するという仮説を支持するものであった。
【0191】
- C-Galは、皮膚バリア機能の改善を示した:炎症および真菌侵入の他に、様々なパラメーターが、宿主細胞の皮膚バリア完全性、例えば細胞-細胞接着および細胞-マトリックス接着に、影響を及ぼし得る。PMP-22に関連するp53アポトーシスエフェクター(PERP)はデスモソームの成分であり、デスモソームアセンブリの増加は、より強い上皮バリアおよび皮膚完全性の指標である。最後に、角質層の角化したエンベロープの前駆体もレギュレートされた。
【0192】
- ECM組織および構造の強化:マトリリシンは、ECMを分解することができる酵素であり、そのダウンレギュレーションは、より強いECM構造に関連し得るか、または組織リモデリングを減少させ得る。さらに、C-Galは、グリコサミノグリカン(GAG)合成を、GAG合成に関与する重要な酵素UDP-グルクロン酸デカルボキシラーゼ1のアップレギュレーションを介して、刺激した。
【0193】
- 本発明の組成物を用いて得られた実験的メタプロテオミクスの結果により、上記の実験と組み合わされて、前記組成物の皮膚の全体的な外観をよくする能力、例えば、皮膚を、そのマイクロバイオータ源の保存および当該マイクロバイオータ源の動員の強化を通して、より健康にする能力が確認された。従って、本発明の組成物は、「プレエイジング」エイジングおよび「プロエイジング」効果の両方を得るために使用し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むか、または化粧用活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物。
【請求項2】
1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-、5-O-α-D-または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択される、3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物内の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール:3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体との間のモル比がおおよそ、3:1の間、好ましくは2:1の間、特に1.5:1の間である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールおよびガラクチノール異性体からなる混合物が、組成物の全重量に対して20重量%、好ましくは25重量%、特に30重量%を占める、請求項1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
メリビオースまたはmyo-イノシトールまたは単糖類またはそれらの混合物をさらに含み、単糖類がガラクトース、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に対して、
- メリビオース0~25重量%、
- myo-イノシトール0~40重量%、
- 単糖類0~30重量%
を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法:
A1)メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3および8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;およびメリビオースと、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体から、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターとを含む混合物を、4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
A2)ステップA1)が実施されなかった場合には、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターと、ラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を、3~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
B)ステップA1)またはステップA2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
【請求項8】
β-フルクトフラノシダーゼをラフィノースに、20~60℃の範囲の温度で、好ましくは25~55℃で、特に30~50℃で、15分から160分までの範囲の時間添加する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップA1)が開始された後の30分から150分までの時間の後に、myo-イノシトールが添加される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ステップA1)またはステップA2)で得られた反応混合物の精製が、酵母発酵によって行われる、請求項7~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
ヒドロアルコール溶媒による析出ステップが、酵母発酵後に得られた残留反応混合物に対してさらに実施される、請求項7~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分、
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~6および12のいずれか1つに記載の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用。
【請求項14】
内因性の防御機構が、抗酸化防御機構、プロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生、またはこれらの2つ以上から選択される、請求項13に記載の化粧用の使用。
【請求項15】
前記使用が以下のためである、請求項13または14に記載の化粧用の使用:
a.抗酸化防御機構の刺激を介して細胞を無毒化するため、
b.皮膚細胞のプロテオームおよび皮膚バリア機能を、修復タンパク質の刺激を介して保護するため、
c.DNA修復遺伝子の刺激を介して皮膚細胞のDNAを保護するため、
d.UV照射および環境ストレス因子から選択される外部ストレス因子への曝露から皮膚細胞を保護するため、
e.細胞外マトリックス遺伝子および成長因子の刺激を介して皮膚のハリおよび弾力性を促進するため、
f.ヒアルロン酸およびプロテオグリカンの産生を介して皮膚の水和を促進するため、
g.皮膚のマイクロレリーフを改善するため、
h.皮膚のしわを減少させるため、
i.これらのうちの2つ以上の組み合わせのため。
【請求項16】
前記使用が以下の効果のうちの1つまたは複数を得るためである、請求項13に記載の化粧用の使用:
- 皮膚のマイクロバイオータの抗酸化および無毒化特性を改善する
- 宿主およびマイクロバイオータの代謝を改善する、
- 免疫応答要素をモジュレートすることによる抗炎症、
- 真菌の病原性を、その糸状変換をダウンレギュレートすることによって阻害する、
- 宿主および皮膚マイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善する。
【請求項17】
宿主および/または皮膚のマイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善することが、以下の機能のうちの1つまたは複数を含む、請求項13~16のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
- リボソーム集合を改善すること、
- タンパク質輸送を改善すること、
- ポリペプチド分解を改善すること、
- タンパク質のユビキチン化とその後の分解を改善すること、
- タンパク質およびアミノ酸の合成プロセスを改善すること、
- シャペロニンおよびフォールディングプロセスを改善すること、
- 糖タンパク質合成と質の制御を改善すること、
- 小胞体ストレスを軽減すること。
【請求項18】
前記使用が、皮膚に対する以下の効果の一方または両方を得るためのものである、請求項13~17のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
バリア機能を改善する、
- 細胞外マトリックスの組織とその構造を強化する。
【請求項19】
前記使用が、皮膚構造を改善するため、シワの出現を遅らせおよび/または予防するため、皮膚の水和を改善するため、皮膚における機械的特性の喪失を処置するため、特に皮膚のハリ、滑らかさ、厚さ、色合い、つや、きめおよび弾力性を改善するため、皮膚バリア機能を保護および/または回復するため、皮膚の不完全状態を処置および/または予防するため、皮膚の損傷を処置および/または予防するため、毛の白化、脱毛を予防または処置するため、毛の成長および毛の密度を促進するため、またはこれらの2つ以上のためのものである、請求項13~18のいずれか1つに記載の化粧用の使用。
【請求項20】
皮膚およびその付属器の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物であって、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0193
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0193】
- 本発明の組成物を用いて得られた実験的メタプロテオミクスの結果により、上記の実験と組み合わされて、前記組成物の皮膚の全体的な外観をよくする能力、例えば、皮膚を、そのマイクロバイオータ源の保存および当該マイクロバイオータ源の動員の強化を通して、より健康にする能力が確認された。従って、本発明の組成物は、「プレエイジング」エイジングおよび「プロエイジング」効果の両方を得るために使用し得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含む組成物。
2.1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-、5-O-α-D-または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択される、3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体をさらに含む、上記1に記載の組成物。
3.組成物内の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール:3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体との間のモル比がおおよそ、3:1から、好ましくは2:1から、特に1.5:1からである、上記1または2に記載の組成物。
4.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールおよびガラクチノール異性体を含む混合物が、組成物の全重量に対して20重量%、好ましくは25重量%、特に30重量%を占める、上記1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.メリビオースまたはmyo-イノシトールまたは単糖類またはそれらの混合物をさらに含み、単糖類がガラクトース、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物から選択される、上記1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.組成物の全重量に対して、
- メリビオース0~25重量%、
- myo-イノシトール0~40重量%、
- 単糖類0~30重量%
を含む、上記1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法:
A1)メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3~8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;およびメリビオースと、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体から、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターとを含む混合物を、4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
A2)ステップA1)が実施されなかった場合には、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターと、ラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を、3~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
B)ステップA1)またはステップA2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
8.β-フルクトフラノシダーゼをラフィノースに、20~60℃の範囲の温度で、好ましくは25~55℃で、特に30~50℃で、15分から160分までの範囲の時間添加する、上記7に記載の方法。
9.ステップA1)が開始された後の30分から150分までの時間の後に、myo-イノシトールが添加される、上記7または8に記載の方法。
10.ステップA1)またはステップA2)で得られた反応混合物の精製が、酵母発酵によって行われる、上記7~9のいずれか1つに記載の方法。
11.ヒドロアルコール溶媒による析出ステップが、酵母発酵後に得られた残留反応混合物に対してさらに実施される、上記7~10のいずれか1つに記載の方法。
12.a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分、
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物。
13.上記1~6および12のいずれか1つに記載の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用。
14.内因性の防御機構が、抗酸化防御機構、プロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生、またはこれらの2つ以上から選択される、上記13に記載の化粧用の使用。
15.前記使用が以下のためである、上記13または14に記載の化粧用の使用:
a.抗酸化防御機構の刺激を介して細胞を無毒化するため、
b.皮膚細胞のプロテオームおよび皮膚バリア機能を、修復タンパク質の刺激を介して保護するため、
c.DNA修復遺伝子の刺激を介して皮膚細胞のDNAを保護するため、
d.UV照射および環境ストレス因子から選択される外部ストレス因子への曝露から皮膚細胞を保護するため、
e.細胞外マトリックス遺伝子および成長因子の刺激を介して皮膚のハリおよび弾力性を促進するため、
f.ヒアルロン酸およびプロテオグリカンの産生を介して皮膚の水和を促進するため、 g.皮膚のマイクロレリーフを改善するため、
h.皮膚のしわを減少させるため、
i.これらのうちの2つ以上の組み合わせのため。
16.前記使用が以下のためである、上記13に記載の化粧用の使用:
- 皮膚のマイクロバイオータの抗酸化および無毒化特性を改善するため、
- 宿主およびマイクロバイオータの代謝を改善するため、
- 免疫応答要素をモジュレートすることによって皮膚炎症を予防するため、
- 真菌の病原性を、その糸状変換をダウンレギュレートすることによって阻害するため、
- 宿主および皮膚マイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善するため。
17.宿主および/または皮膚のマイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善することが、以下の機能のうちの1つまたは複数を含む、上記13~16のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
- リボソーム集合を改善すること、
- タンパク質輸送を改善すること、
- ポリペプチド分解を改善すること、
- タンパク質のユビキチン化とその後の分解を改善すること、
- タンパク質およびアミノ酸の合成プロセスを改善すること、
- シャペロニンおよびフォールディングプロセスを改善すること、
- 糖タンパク質合成と質の制御を改善すること、
- 小胞体ストレスを軽減すること。
18.前記使用が、以下のためのものである、上記13~17のいずれか1つに記載の化粧用の使用:
- 皮膚バリア機能を改善するため、
- 細胞外マトリックスの組織とその構造を強化するため。
19.前記使用が、皮膚構造を改善するため、シワの出現を遅らせおよび/または予防するため、皮膚の水和を改善するため、皮膚における機械的特性の喪失を処置するため、特に皮膚のハリ、滑らかさ、厚さ、色合い、つや、きめおよび弾力性を改善するため、皮膚バリア機能を保護および/または回復するため、皮膚の不完全状態を処置および/または予防するため、皮膚の損傷を処置および/または予防するため、毛の白化、脱毛を予防または処置するため、毛の成長および毛の密度を促進するため、またはこれらの2つ以上のためのものである、上記13~18のいずれか1つに記載の化粧用の使用。
20.皮膚およびその付属器の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物であって、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むか、または化粧用活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物。
【請求項2】
1-O-α-D-、2-O-α-D-、4-O-α-D-、5-O-α-D-または6-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールから選択される、3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物内の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール:3-α-D結合以外のα結合を有するガラクチノール異性体との間のモル比がおおよそ、3:1の間、好ましくは2:1の間、特に1.5:1の間である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールおよびガラクチノール異性体からなる混合物が、組成物の全重量に対して20重量%、好ましくは25重量%、特に30重量%を占める、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
メリビオースまたはmyo-イノシトールまたは単糖類またはそれらの混合物をさらに含み、単糖類がガラクトース、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に対して、
- メリビオース0~25重量%、
- myo-イノシトール0~40重量%、
- 単糖類0~30重量%
を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
式3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを有するガラクチノールの生体触媒的製造方法であって、以下のステップを含む方法:
A1)メリビオースを提供するか、またはラフィノースを3および8のpHでβ-フルクトフラノシダーゼと共にインキュベートしてメリビオースを得;およびメリビオースと、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体から、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターとを含む混合物を、4~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;または
A2)ステップA1)が実施されなかった場合には、ピニトールおよび/またはmyo-、chiro-、scyllo-、chiro-、neo-、allo-、epi-およびcis-イノシトールを含むイノシトール異性体、好ましくはmyo-イノシトールから選択されるアクセプターと、ラフィノースおよび/またはスタキオースとを含む混合物を、3~9のpHでα-ガラクトシダーゼと共にインキュベートするステップ;
B)ステップA1)またはステップA2)で得られた化合物の混合物から、3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを精製するステップ。
【請求項8】
β-フルクトフラノシダーゼをラフィノースに、20~60℃の範囲の温度で、好ましくは25~55℃で、特に30~50℃で、15分から160分までの範囲の時間添加する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップA1)が開始された後の30分から150分までの時間の後に、myo-イノシトールが添加される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ステップA1)またはステップA2)で得られた反応混合物の精製が、酵母発酵によって行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
ヒドロアルコール溶媒による析出ステップが、酵母発酵後に得られた残留反応混合物に対してさらに実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
a.活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール;および
b.3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトール以外の少なくとも1種のさらに別の化粧用におよび/または薬学的に許容可能な成分、
を含む化粧用または医薬組成物であって、
溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有水、オイル、シャンプーおよびスプレーからなる群から選択される、外用使用のための組成物であるか;および/または経口投与されるニュートラシューティカル組成物である、前記化粧用または医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~6および12のいずれか1つに記載の3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物の、健康肌を、それ自身の内因性の防御機構の刺激を介して維持および/または回復するための、皮膚細胞における細胞外マトリックス成分の産生を誘導するための、成長因子産生を刺激するための、皮膚のマイクロバイオータを維持および/または強化するための、より一般的には全体的な皮膚のホメオスタシスおよび全体的な皮膚の外観を改善するための、化粧用の使用。
【請求項14】
内因性の防御機構が、抗酸化防御機構、プロテオームの保護、DNA修復酵素、成長因子の産生、またはこれらの2つ以上から選択される、請求項13に記載の化粧用の使用。
【請求項15】
前記使用が以下のためである、請求項13に記載の化粧用の使用:
a.抗酸化防御機構の刺激を介して細胞を無毒化するため、
b.皮膚細胞のプロテオームおよび皮膚バリア機能を、修復タンパク質の刺激を介して保護するため、
c.DNA修復遺伝子の刺激を介して皮膚細胞のDNAを保護するため、
d.UV照射および環境ストレス因子から選択される外部ストレス因子への曝露から皮膚細胞を保護するため、
e.細胞外マトリックス遺伝子および成長因子の刺激を介して皮膚のハリおよび弾力性を促進するため、
f.ヒアルロン酸およびプロテオグリカンの産生を介して皮膚の水和を促進するため、
g.皮膚のマイクロレリーフを改善するため、
h.皮膚のしわを減少させるため、
i.これらのうちの2つ以上の組み合わせのため。
【請求項16】
前記使用が以下の効果のうちの1つまたは複数を得るためである、請求項13に記載の化粧用の使用:
- 皮膚のマイクロバイオータの抗酸化および無毒化特性を改善する、
- 宿主およびマイクロバイオータの代謝を改善する、
- 免疫応答要素をモジュレートすることによる抗炎症、
- 真菌の病原性を、その糸状変換をダウンレギュレートすることによって阻害する、
- 宿主および皮膚マイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善する。
【請求項17】
宿主および/または皮膚のマイクロバイオータにおけるプロテオスタシスを改善することが、以下の機能のうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の化粧用の使用:
- リボソーム集合を改善すること、
- タンパク質輸送を改善すること、
- ポリペプチド分解を改善すること、
- タンパク質のユビキチン化とその後の分解を改善すること、
- タンパク質およびアミノ酸の合成プロセスを改善すること、
- シャペロニンおよびフォールディングプロセスを改善すること、
- 糖タンパク質合成と質の制御を改善すること、
- 小胞体ストレスを軽減すること。
【請求項18】
前記使用が、皮膚に対する以下の効果の一方または両方を得るためのものである、請求項13に記載の化粧用の使用:
- バリア機能を改善する、
- 細胞外マトリックスの組織とその構造を強化する。
【請求項19】
前記使用が、皮膚構造を改善するため、シワの出現を遅らせおよび/または予防するため、皮膚の水和を改善するため、皮膚における機械的特性の喪失を処置するため、特に皮膚のハリ、滑らかさ、厚さ、色合い、つや、きめおよび弾力性を改善するため、皮膚バリア機能を保護および/または回復するため、皮膚の不完全状態を処置および/または予防するため、皮膚の損傷を処置および/または予防するため、毛の白化、脱毛を予防または処置するため、毛の成長および毛の密度を促進するため、またはこれらの2つ以上のためのものである、請求項13に記載の化粧用の使用。
【請求項20】
皮膚およびその付属器の全体的な外観を維持および/または改善するための非治療的方法において使用するための、活性成分としての3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールを含むかまたは当該3-O-α-D-ガラクトピラノシル-D-myo-イノシトールからなる組成物であって、皮膚のホメオスタシスを維持または改善するため、健康肌を維持するため、皮膚のハリおよび/または弾力性を改善するため、外部ストレス因子から皮膚を保護するため、皮膚のレリーフを改善するため、皮膚の水和および皮膚バリア機能を改善するため、皮膚のエイジングの兆候を予防および/または遅らせるためのものであり、既に老化した皮膚に関しては、そのマイクロバイオータ源の動員を保護および強化するためのものである、前記組成物。
【国際調査報告】