(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】セキュリティ要素、対応する彫刻凹版印刷版、ならびに前記セキュリティ要素のセキュリティマーキングを作成、復号および認証するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B42D 25/378 20140101AFI20241219BHJP
【FI】
B42D25/378
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536305
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022086372
(87)【国際公開番号】W WO2023117765
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ドクー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】デュカ, ニコラ
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HB02
2C005HB10
2C005JB11
2C005JB22
(57)【要約】
本発明は、凹版プロセスを介して印刷されたセキュリティマーキング、対応する彫刻凹版印刷版、ならびに前記セキュリティマーキングを作成、符号化/復号および認証するための方法および装置に関する。セキュリティマーキングは、特定の符号化シンボルによる符号化データを含む凹版モジュールのマルチトーン2D凹版パターンを含み、その復号は、前記シンボルと相関する前記凹版パターンのデジタル画像上の復号段階におけるそれらの位置の周りの小さなシフトの測定されたトーン値と共に、別個のトーンのモジュール間の見当誤差のロバストで正確な推定を提供し、したがって、スマートフォンであっても、オフセット印刷を介して取得された任意の偽のマーキングを容易に検出することを可能にする。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とセキュリティマーキングとを含むセキュリティ要素であって、前記セキュリティマーキングが、凹版インクを用いた凹版印刷によって前記基板の表面に印刷された2次元凹版パターンを含み、前記2次元凹版パターンが、関連色を有し、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各ベース凹版パターンが、2つの異なる許容トーンの対応する集合にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、各凹版モジュールが前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンが前記関連色の複数の異なる基準トーンのトーンパレットから選択され、前記トーン間のCIE色差ΔE*が2.0以上であり、凹版モジュールの幅εが20μm超かつ50μm以下であり、
前記2次元凹版パターンが、少なくとも1つの基準パターンを含む関連する2次元符号化パターンに基づいて作成され、前記少なくとも1つのベース凹版パターンの各々が、前記少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づいており、各ベース凹版パターンおよび関連する基準パターンが、前記関連する基準パターンの固有の識別番号を指定する同じ情報部分を符号化することを特徴とし、
各基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、
前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールが、
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素および前記基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または
同じパラメータ値pを有し、前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の一部として
のいずれかで印刷される、セキュリティ要素。
【請求項2】
複数の2次元凹版パターンを含み、各2次元凹版パターンが前記基板の背景色とは異なる対応する関連色を有する、請求項1に記載のセキュリティ要素。
【請求項3】
少なくとも1つの2次元凹版パターンが、前記2次元凹版パターンの前記凹版モジュールの任意の高さよりも高い凹線によって形成された境界を有するセルに含まれ、前記2次元凹版パターンの縁部と前記セルの前記境界との間の距離が40μm以上である、請求項1または2に記載のセキュリティ要素。
【請求項4】
前記トーン間のCIE色差ΔE*が2.5以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセキュリティ要素。
【請求項5】
凹版印刷機用の彫刻版面であって、凹版インクを受け取り、請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するように適合された可変彫刻深さの溝を備える、彫刻版面。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の2次元凹版パターンを含むセキュリティマーキングを含むセキュリティ要素を作成する方法であって、
(i)少なくとも1つの基準パターンを含む2次元符号化パターンを、前記2次元符号化パターンを形成する前記少なくとも1つの基準パターンの各々に情報部分を符号化することによって生成するステップであって、前記情報部分が各基準パターンに対してその固有の識別番号を指定し、各基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、各基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記2次元符号化パターンに関連する色の複数の別個の基準トーンのトーンパレットから選択された、関連する許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、
作成される前記2次元凹版パターンが、前記生成された2次元符号化パターンに基づき、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各凹版モジュールが前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンが前記トーンパレットから選択され、前記少なくとも1つのベース凹版パターンの各々が前記少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づき、各ベース凹版パターンが関連する基準パターンと同じ情報部分を符号化し、
各ベース凹版パターンが、前記関連する基準パターンの前記許容トーンの対にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、かつ
前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールが、
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素、および前記基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の一部として
のいずれかで印刷される、ステップと、
(ii)前記色の凹版インクを受け取り、前記生成された2次元符号化パターンに従って前記2次元凹版パターンの前記凹版モジュールを複製するように適合された可変彫刻深さを有する凹版印刷機の版面を彫刻するステップと、
(iii)前記凹版インクを用いて前記版面にインクを付け、前記インク付けされた版面を使用して、前記凹版印刷機を用いて前記対応する2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法であって、前記2次元凹版パターンが複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、
前記2次元凹版パターンを画像化するステップと、
前記画像化された2次元凹版パターンの前記画像化された凹版モジュールから、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出するステップであって、前記2次元符号化パターンに基づいて、請求項1~4のいずれか一項に記載の本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの対応する本物の2次元凹版パターンが作成された、ステップと、
検出された各基準パターンを復号し、前記2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索するステップと、
復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証するステップと
を含むことにより特徴付けられている、方法。
【請求項8】
a)プロセッサおよびメモリを装備し、その光センサが前記本物の凹版パターンを形成する凹版モジュールの色と前記色の前記トーンパレットの異なるトーンとを検出するように適合されたカメラを用いて、前記セキュリティマーキングの前記2次元凹版パターンを画像化して、前記2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、前記取得したデジタル画像を前記メモリに記憶するステップであって、前記メモリが、関連する基準パターンの集合を記憶し、かつ各記憶された基準パターンについて対応する基準パターン識別番号を指定する情報部分を記憶し、
各記憶された基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対が、対応するベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する前記基準パターンの前記基準パターン識別番号に関連して前記メモリに記憶され、
各記憶された基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの前記暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応する、ステップと、
b)前記記憶されたデジタル画像において、基準パターンのサイズの可動ウィンドウを介して前記プロセッサによって走査された前記デジタル画像の画素の画像処理を介して、前記ウィンドウ内の凹版モジュールを検出するステップと、
b1)前記記憶された基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、前記検出された凹版モジュールの各々が、
前記候補基準パターンのシンボルの第1の要素および前記候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
前記候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記候補基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックするステップと、
b2)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応する場合、前記候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって前記関連するベース凹版パターンを復号し、前記復号された候補基準パターンおよび前記復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、前記検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶するステップと、
b3)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行するステップと、
b4)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンのいずれか1つの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記デジタル画像に対して前記ウィンドウを移動させて、前記デジタル画像の別の領域を走査し、前記移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべての前記デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行するステップと、
c)全デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査され、前記検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記2次元凹版パターンの前記復号が失敗したことを示す信号を配信するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号するための装置であって、前記2次元凹版パターンが、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、前記装置が、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットとは異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの前記本物の2次元凹版パターンが、請求項1~4のいずれか一項に記載されるものであり、前記プロセッサが、前記カメラによって撮影され、前記メモリに記憶された前記本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、前記デジタル画像上で検出された符号化情報の復号動作を実行するように適合され、前記メモリが、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、前記2次元符号化パターンに基づいて前記本物の2次元凹版パターンが作成されており、前記装置が、
前記2次元凹版パターンを画像化する動作と、
前記画像化された2次元凹版パターンの前記画像化された凹版モジュールから、前記2次元符号化パターンの前記少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出する動作であって、前記2次元符号化パターンに基づいて前記関連する本物の2次元凹版パターンが作成された、動作と、
検出された各基準パターンを復号し、前記2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索する動作と、
復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証する動作と
を実行するように適合される、装置。
【請求項10】
各記憶された基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対が、前記ベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する前記基準パターンの前記基準パターン識別番号に関連して前記メモリに記憶され、
各記憶された基準パターンが、暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの前記暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの前記明るいトーンに対応し、
前記装置が、
a)前記カメラを用いて前記セキュリティマーキングの前記2次元凹版パターンを画像化して、前記2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、前記取得したデジタル画像を前記メモリに記憶する動作と、
b)許容基準パターンのサイズの可動ウィンドウ内の前記記憶されたデジタル画像凹版モジュールを、前記ウィンドウを介して前記プロセッサによって走査された前記デジタル画像の画素の画像処理を介して検出する動作と、
b1)前記検出された凹版モジュールの各々が、前記基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、
前記候補基準パターンのシンボルの第1の要素および前記候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
前記候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記候補基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックする動作と、
b2)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応する場合、前記候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって前記関連するベース凹版パターンを復号し、前記復号された候補基準パターンおよび前記復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、前記検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶する動作と、
b3)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行する動作と、
b4)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンのいずれか1つの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記デジタル画像に対して前記ウィンドウを移動させて、前記デジタル画像の別の領域を走査し、前記移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべての前記デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行する動作と、
c)全デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査され、前記検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記2次元凹版パターンの前記復号が失敗したことを示す信号を配信する動作と
を実行するように適合される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証するための方法であって、
請求項7に記載の方法に従って前記2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する前記動作を実行して、前記画像化された2次元凹版パターンから、前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得するステップと、
各検証済みベース凹版パターンについて、前記本物の2次元凹版パターンの前記色の前記トーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを、復号時の前記2次元凹版パターンの前記撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの前記検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト済み画像を取得するステップと、
各検証済み凹版パターンについて、前記それぞれのシフト済み画像上の前記シフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の前記2次元凹版パターンの前記画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、前記関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての前記凹版モジュールについて、前記検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供するステップと、
前記許容トーンの対について、前記2次元凹版パターンの前記検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、前記決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下である場合にのみ、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定するステップと
を含むことにより特徴付けられている、方法。
【請求項12】
A)請求項8に記載の2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の前記動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の前記2次元凹版パターンに対して実行するステップと、
B)ステップA)において、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗した場合、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗したことを示す情報を配信するステップと、
C)前記ステップA)が、検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の各記憶された位置について、前記関連する検証済み基準パターンの前記基準パターン識別番号を示す前記2次元凹版パターンに符号化された前記情報を提供する場合、前記検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
前記デジタル画像上で、前記検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、前記測定されたトーン値から前記デジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
前記許容トーンTaに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、前記許容トーンTaに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、前記許容トーンTbに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、前記許容トーンTbに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、前記計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
前記マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
前記マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するステップと、
D)前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有する場合に、前記デジタル画像内のその位置が前記メモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、前記プロセッサを用いて、
D1)前記デジタル画像上の前記位置に配置された前記ウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素からの前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記初期トーン値と前記要素E2に起因する前記初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得された初期差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶する動作であって、前記検証済み基準パターンの前記2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれ前記トーンTaおよび前記トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンのすべての前記シンボルの前記初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、前記許容トーンTaに対する前記取得されたゼロシフト和および前記許容トーンTbに対するゼロシフト和がメモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTaについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
aを計算する動作、
D3)第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTbについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
bを計算する動作、
D4)前記2次元凹版パターンの前記記憶された検証済みベース凹版パターンの前記許容トーンの対から残りの許容トーンの対Ta’、Tb’ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δ
a’,Δ
b’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対を前記メモリに記憶する動作
を実行するステップと、
E)前記2次元凹版パターンのすべての前記検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する前記凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δ
a
2+Δ
b
2)
1/2として推定し、ここで、λが前記デジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fが前記デジタル画像の倍率であり、そして、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下である場合に、前記2次元凹版パターンが本物であると判断するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証するための装置であって、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの本物の2次元凹版パターンが請求項1~4のいずれか一項に記載されており、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットの異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、前記プロセッサが、前記カメラによって撮影され、前記メモリに記憶された前記本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、前記デジタル画像上で検出された符号化情報に対して復号動作を実行するように適合され、前記メモリが2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、前記2次元符号化パターンに基づいて前記本物の2次元凹版パターンが作成されており、
請求項7に記載の方法に従って前記2次元凹版パターンに符号化された情報を復号して、前記カメラによって撮影された前記2次元凹版パターンの前記画像から、前記2次元凹版パターンの各検証済みベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得する動作と、
前記2次元凹版パターンの前記撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの前記検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、各検証済みベース凹版パターンについて、前記本物の2次元凹版パターンの前記色の前記トーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト画像を取得する動作と、
各検証済みベース凹版パターンについて、前記それぞれのシフト済み画像上の前記シフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の前記2次元凹版パターンの前記画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、前記関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての前記凹版モジュールについて、検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供する動作と、
前記許容トーンの対について、前記2次元凹版パターンの前記検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、前記決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下である場合にのみ、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定する動作と
を実行するように適合されることにより特徴付けられている、装置。
【請求項14】
A)請求項8に記載のプロセッサを用いて2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の前記動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の前記2次元凹版パターンに対して実行するように、
B)ステップA)において、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗した場合、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗したことを示す情報を配信するように、
C)前記ステップA)が、検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の各記憶された位置について、前記関連する検証済み基準パターンの前記基準パターン識別番号を示す前記2次元凹版パターンに符号化された前記情報を提供する場合、前記検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
前記デジタル画像上で、前記検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、前記測定されたトーン値から前記デジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
前記許容トーンTaに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、前記許容トーンTaに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、前記許容トーンTbに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、前記許容トーンTbに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、前記計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
前記マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
前記マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するように、
D)前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有する場合に、前記デジタル画像内のその位置が前記メモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、前記プロセッサを用いて、
D1)前記デジタル画像上の前記位置に配置された前記ウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素からの前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記初期トーン値と前記要素E2に起因する前記初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得された初期差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶する動作であって、前記検証済み基準パターンの前記2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれ前記トーンTaおよび前記トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンのすべての前記シンボルの前記初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、前記許容トーンTaに対する前記取得されたゼロシフト和および前記許容トーンTbに対するゼロシフト和が前記メモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記計算されたゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTaについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
aを計算する動作、
D3)第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTbについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
bを計算する動作、
D4)前記2次元凹版パターンの前記記憶された検証済みベース凹版パターンの前記許容トーンの対から残りの許容トーンの対Ta’、Tb’ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δ
a’,Δ
b’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対を前記メモリに記憶する動作
を実行するように、
E)前記2次元凹版パターンのすべての前記検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する前記凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δ
a
2+Δ
b
2)
1/2として推定し、ここで、λが前記デジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fが前記デジタル画像の倍率であり、そして、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下である場合に、前記2次元凹版パターンが本物であると判断するように
適合された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
スマートフォンであり、前記光センサがRGB光センサであり、前記カメラが少なくとも20μmの分解能を有し、照明光で照明された前記2次元凹版パターンの凹版モジュールのトーンの測定が、前記凹版モジュールによって反射された受信光から前記RBG光センサで検出された赤色、緑色、および青色それぞれの光強度成分を合計することによって実行される、請求項13または14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、偽造または不正な複製に対する保護を提供するための、マルチトーン凹版インク(例えば、欧州特許第2956514号明細書を参照)を用いた凹版印刷を介した、セキュリティ文書(例えば、紙幣、パスポート)、切手またはチケットに凹版プロセス凹版によって印刷された2次元マルチカラーパターンの技術分野に関する。本発明はさらに、2次元符号化パターン(例えば、欧州特許第2619714号明細書または欧州特許第2780865号明細書を参照)の符号化/復号および認証方法の技術分野に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]異なる色または同じ色の異なるトーンの可能性がある薄い凹線を有する凹版プロセスによって印刷された2次元パターン(例えば、ハーフトーン凹版パターン)を含むセキュリティマーキングは、見当誤差なしでコピーを作成することが非常に困難であるため、それらの不正な複製に対する保護として広く使用されている。
【0003】
[0003]凹版印刷は、細線の最も一貫した高品質の印刷をもたらす。セキュリティ文書、特に紙幣および切手の分野で微細なデザインを生成するために選択される印刷技術と考えることができる。凹版印刷プロセスの顕著な特徴の1つは、凹版印刷版の対応する浅い凹部またはそれぞれ深い凹部を使用することによって、凹版レリーフを数マイクロメートルから数十マイクロメートルまで変化させ得ることである。凹版インク層の厚さに起因する凹版レリーフは、基板のエンボス加工によって強調され、前記エンボス加工は、インク転写中の圧力によって作成される。凹版印刷から生じる触覚性は、紙幣にそれらの典型的で認識可能な触感を与える。
【0004】
[0004]凹版インクを使用してマルチトーンデザインを作成し得ることが当技術分野で公知であり、すなわち、単一の凹版インクを単一ステップのプロセスで印刷することによって、異なる凹版版面の彫刻深さから生じる異なる印刷インク厚さの結果として、いくつかの異なる色合いを含む印刷デザインを作成することが可能である。欧州特許第2956514号明細書は、予測可能な方法で多特性凹版印刷デザインを印刷するのに適した凹版インク組成物を開示している。欧州特許第2956514号明細書に開示されている凹版インク組成物は、最頻粒径が異なる顔料粒子である2つの成分を含む。
【0005】
[0005]パターンの凹版印刷(すなわち、「凹版パターン」)が1色のみで実現される場合、前記パターンを複写するために一般的に使用される技術はオフセット印刷技術である。この場合、確かに、一般的な高品質のコピーには、その視覚的外観が誤解を招くような見当誤差は存在しないが、当然のことながら、凹版印刷パターンのレリーフ特徴によって提供される特定の触覚的知覚は失われる。これは、世界中の多くの紙幣が凹版セキュリティ特徴を含む理由の1つである。
【0006】
[0006]マルチトーンまたはマルチカラーの凹版パターンの場合、オフセット印刷技術は、(複数のオフセットステップおよび印刷版のために)見当誤差なしにコピーを提供することができず、より多彩であるほどより悪くなる。しかしながら、オフセット印刷が十分に注意して実行される場合、これらの見当誤差は、人間の肉眼または街頭の人間にはほとんど知覚され得ず、一般に利用可能ではない特定の分析ツール(例えば、拡大レンズ、顕微鏡)を必要とする。
【0007】
[0007]したがって、パターンの単なるデジタル画像を撮影することができる一般的に利用可能な手段、例えばカメラを装備したスマートフォンによって、スマートフォンのカメラが非常に低い分解能を有する場合であっても、高度なオフセット印刷技術が用いられた場合でも偽造または不正な複製を容易に検出することができるセキュリティ凹版パターンが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008]従来技術の上述の欠点および制限を克服するために、パターンのマルチトーン凹版印刷と、例えば上記で引用した欧州特許第2619714号明細書または欧州特許第2780865号明細書に明記されているような、高度に安全な符号化方式による前記パターンの符号化との両方を含むセキュリティマーキングが、本発明に従って開発されている。
【0009】
[0009]具体的には、欧州特許第2780865号明細書は、表面上の数値情報項目を符号化するためのパターンを開示しており、これは、シンボルの集合に属する複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルは、前記数値情報項目の一部の符号化を意図しており、各シンボルは、特定の方法で配置された要素の少なくとも1つの差分対からなり、各要素はパラメータを含み、各差分対の第1の要素のパラメータは第1の値を有し、各差分対の第2の要素のパラメータは第1の値とは異なる第2の値を有し、前記特定の配置は、基準パターンを構成する前記シンボルの所定の配置に対応する。
【0010】
[0010]さらに、前記セキュリティマーキングを(一般的に利用可能な手段を介して)作成、符号化または復号、および認証するための対応する方法および装置も本発明に従って開発されており、その結果、偽造された複製を誰でも容易に検出することができる。
【0011】
[0011]例えば、オフセット、シルクスクリーン、グラビアまたはインクジェットなどの代替的な印刷プロセスでは、異なる色のインクの使用は、3つ以上の色を含むデザインを作成するためには必須である。しかしながら、これらの印刷プロセスは、本発明のセキュリティマーキングの異なる色について要求される解像度および/または見当を提供するのに適していない。したがって、これらの印刷プロセスは、本明細書に開示されるようなマルチトーンセキュリティパターンを含むマルチトーンセキュリティ特徴を作成するために使用することができない。これらの代替の印刷プロセスが、本明細書に開示されているような有価文書のセキュリティマーキングを複製しようとして使用されたとしても、コピーの本発明による認証は失敗し、対応する印刷されたセキュリティ文書は偽造であると識別されることになる。
【0012】
[0012]本発明の第1の態様によるセキュリティ要素は、基板とセキュリティマーキングとを含み、セキュリティマーキングは、凹版インクを用いた凹版印刷によって基板の表面に印刷された2次元凹版パターンを含み、2次元凹版パターンは関連色を有し、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各ベース凹版パターンは、2つの異なる許容トーンの対応する集合にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、各凹版モジュールは前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンは関連色の複数の異なる基準トーンのトーンパレットから選択され、トーン間のCIE色差ΔE*は2.0以上であり、凹版モジュールの幅εは20μm超かつ50μm以下であり、2次元凹版パターンは、少なくとも1つの基準パターンを含む関連する2次元符号化パターンに基づいて作成され、少なくとも1つのベース凹版パターンの各々は、少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づいており、各ベース凹版パターンおよび関連する基準パターンは、関連する基準パターンの固有の識別番号を指定する同じ情報部分を符号化し、各基準パターンは複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルは前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの状態は、シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eは対応するパラメータ値p(E)を有し、第1の要素E1のパラメータは第2の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値を有し、各基準パターンは暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの第1の要素のパラメータ値は、関連するベース凹版パターンの許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの第1の要素のパラメータ値は、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールは、2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素および基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または同じパラメータ値pを有し、2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する2つの第1の要素を結ぶ線、および基準パターン内のその線の位置に対応する凹線の一部としてのいずれかで印刷される。
【0013】
[0013]凹版モジュールは、他の隣接する凹版モジュールとは別に印刷されてもよいし、連続経路を形成するように隣接する凹版モジュールの凹線の他の部分に接続され得る(細い)凹線の一部であってもよい。
【0014】
[0014]上述のセキュリティマーキングは、複数の2次元凹版パターンを含んでもよく、各2次元凹版パターンはカラーパレットからの対応する関連色を有し、カラーパレットの任意の色は基板の背景色とは異なる。
【0015】
[0015]好ましくは、セキュリティ要素は、複数の2次元凹版パターンを含み、各2次元凹版パターンは基板の背景色とは異なる、対応する関連色を有する。
【0016】
[0016]好ましくは、上述のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンは、前記2次元凹版パターンの凹版モジュールの任意の高さよりも高い凹線によって形成された境界を有するセルに含まれ、2次元凹版パターンの縁部とセルの境界との間の距離は40μm以上である。
【0017】
[0017]より好ましくは、トーン間のCIE色差ΔE*は2.5以上である。
【0018】
[0018]第2の態様によれば、本発明は、凹版印刷機用の彫刻版面であって、凹版インクを受け取り、上記で指定したようなセキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するように適合された可変彫刻深さの溝を備える、彫刻版面に関する。
【0019】
[0019]したがって、上述の彫刻版面は、凹版インクの色を有し、凹線の特定のパターンを形成する複数の凹版モジュールを含む凹版パターンを基板の表面に印刷することを可能にし、各凹版モジュールは前記色のトーンを有し、その色の複数の異なる基準トーンの凹版モジュールのトーンは暗いトーンから明るいトーンまでの範囲を有し、そして、トーン間のCIE色差ΔE*は2.0以上で、凹線の幅εが20μm超かつ50μm以下である基板の表面に2次元凹版パターンを印刷することを可能にする。
【0020】
[0020]実際、彫刻された版面の可変彫刻深さは、2次元凹版パターンの凹版モジュールが、
-2次元符号化パターンの基準パターンのシンボルの第1の要素、または
-2次元符号化パターンの基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じ正のパラメータ値pを有する2つの要素を結ぶ線に対応する凹線の一部を構成する
のいずれかに対応するように凹版モジュールを作成するように適合されている。
【0021】
[0021]第3の態様によれば、本発明はまた、請求項1~4のいずれか一項に記載の2次元凹版パターンを含むセキュリティマーキングを含むセキュリティ要素を作成する対応する方法であって、
(i)少なくとも1つの基準パターンを含む2次元符号化パターンを、2次元符号化パターンを形成する前記少なくとも1つの基準パターンの各々に情報部分を符号化することによって生成するステップであって、前記情報部分が各基準パターンに対してその固有の識別番号を指定し、各基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの状態が、シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、第1の要素E1のパラメータが第2の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値を有し、各基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの第1の要素のパラメータ値が、2次元符号化パターンに関連する色の複数の別個の基準トーンのトーンパレットから選択された、関連する許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの第1の要素のパラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、作成される2次元凹版パターンが、生成された2次元符号化パターンに基づき、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各凹版モジュールが前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンがトーンパレットから選択され、
少なくとも1つのベース凹版パターンの各々が少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づき、各ベース凹版パターンが関連する基準パターンと同じ情報部分を符号化し、
各ベース凹版パターンが、関連する基準パターンの許容トーンの対にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、かつ
2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールが、
2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素、および基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または
2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および基準パターン内のその線の位置に対応する凹線の一部として
のいずれかで印刷される、ステップと、
(ii)前記色の凹版インクを受け取り、生成された2次元符号化パターンに従って2次元凹版パターンの凹版モジュールを複製するように適合された可変彫刻深さを有する凹版印刷機の版面を彫刻するステップと、
(iii)凹版インクを用いて版面にインクを付け、インク付けされた版面を使用して、凹版印刷機を用いて対応する2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するステップと
を含む、方法に関する。
【0022】
[0022]対応する第4の態様によれば、本発明は、セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法であって、2次元凹版パターンが複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、
2次元凹版パターンを画像化するステップと、
画像化された2次元凹版パターンの画像化された凹版モジュールから、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出するステップであって、基準パターンに基づいて、請求項1~4のいずれか一項に記載の本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの対応する本物の2次元凹版パターンが作成された、ステップと、
-検出された各基準パターンを復号し、2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索するステップと、
-復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証するステップと
を含む、方法に関する。
【0023】
[0023]好ましくは、情報を復号する上述の方法は、
a)プロセッサおよびメモリを装備し、その光センサが本物の凹版パターンを形成する凹版モジュールの色と前記色のトーンパレットの異なるトーンとを検出するように適合されたカメラを用いて、セキュリティマーキングの2次元凹版パターンを画像化して、2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、取得したデジタル画像をメモリに記憶するステップであって、メモリが、関連する基準パターンの集合を記憶し、かつ各記憶された基準パターンについて対応する基準パターン識別番号を指定する情報部分を記憶し、
-各記憶された基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの状態が、シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、第1の要素E1のパラメータが第2の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値を有し、
-各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対が、対応するベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する基準パターンの基準パターン識別番号に関連してメモリに記憶され、
-各記憶された基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの第1の要素のパラメータ値が、関連するベース凹版パターンの許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの第1の要素のパラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応する、ステップと、b)記憶されたデジタル画像において、基準パターンのサイズの可動ウィンドウを介してプロセッサによって走査されたデジタル画像の画素の画像処理を介して、ウィンドウ内の凹版モジュールを検出するステップと、
-b1)記憶された基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、前記検出された凹版モジュールの各々が、
候補基準パターンのシンボルの第1の要素および候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および候補基準パターン内のその線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックするステップと、
-b2)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応する場合、候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって関連するベース凹版パターンを復号し、復号された候補基準パターンおよび復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶するステップと、
-b3)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行するステップと、
-b4)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのいずれか1つのシンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、デジタル画像に対してウィンドウを移動させて、デジタル画像の別の領域を走査し、移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべてのデジタル画像がウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行するステップと、
c)全デジタル画像がウィンドウを介して走査され、検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、2次元凹版パターンの復号が失敗したことを示す信号を配信するステップと
を含む。
【0024】
[0024]本発明の第5の態様によれば、上述の第4の態様に対応して、本発明はさらに、セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号するための装置に関し、2次元凹版パターンは、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、装置は、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットとは異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの本物の2次元凹版パターンは、請求項1~4のいずれか一項に記載されるものであり、プロセッサは、カメラによって撮影され、メモリに記憶された本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、デジタル画像上で検出された符号化情報の復号動作を実行するように適合され、メモリは、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、その2次元符号化パターンに基づいて本物の2次元凹版パターンは作成されており、装置は、
-2次元凹版パターンを画像化する動作と、
-画像化された2次元凹版パターンの画像化された凹版モジュールから、2次元符号化パターンの少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出する動作であって、基準パターンに基づいて関連する本物の2次元凹版パターンが作成された、動作と、
-検出された各基準パターンを復号し、2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索する動作と、
-復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証する動作と
を実行するように適合される。
【0025】
[0025]情報を復号するための上述の装置の好ましいモードにおいて、
各記憶された基準パターンは、複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルは、前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの状態は、シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eは、対応するパラメータ値p(E)を有し、第1の要素E1のパラメータは、第2の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対は、ベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する基準パターンの基準パターン識別番号に関連してメモリに記憶され、
各記憶された基準パターンは、暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの第1の要素のパラメータ値は、関連するベース凹版パターンの許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの第1の要素のパラメータ値は、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、
装置は、
a)カメラを用いてセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを画像化して、2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、取得したデジタル画像をメモリに記憶する動作と、
b)許容基準パターンのサイズの可動ウィンドウ内の記憶されたデジタル画像凹版モジュールを、ウィンドウを介してプロセッサによって走査されたデジタル画像の画素の画像処理を介して検出する動作と、
b1)前記検出された凹版モジュールの各々が、基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、候補基準パターンのシンボルの第1の要素および候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および候補基準パターン内のその線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックする動作と、
b2)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応する場合、候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって関連するベース凹版パターンを復号し、復号された候補基準パターンおよび復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶する動作と、
b3)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行する動作と、
b4)検出された凹版モジュールが候補基準パターンのいずれか1つのシンボルの各要素に対応しない場合、デジタル画像に対してウィンドウを移動させて、デジタル画像の別の領域を走査し、移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべてのデジタル画像がウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行する動作と、
c)全デジタル画像がウィンドウを介して走査され、検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンのシンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、2次元凹版パターンの復号が失敗したことを示す信号を配信する動作と
を実行するように適合される。
【0026】
[0026]情報を復号するための前記装置は、カメラと、データを復号し、情報を復号する上述の方法のステップに従ってカメラによって撮影されたデジタル画像に対してデジタル画像処理動作を実行するようにプログラムされたプロセッサとを装備したスマートフォンであってもよく、カメラは、本発明による2次元凹版パターンの凹版モジュールおよびそれらのトーンを検出するように適合された単なるRGB(すなわち、「赤色、緑色、青色」)光センサを有する。
【0027】
[0027]第6の態様によれば、本発明はまた、セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証する方法であって、
-情報を復号する上述の方法に従って2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する動作を実行して、画像化された2次元凹版パターンから、2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得するステップと、
-各検証済みベース凹版パターンについて、本物の2次元凹版パターンの色のトーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを、復号時の2次元凹版パターンの撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト済み画像を取得するステップと、
-各検証済み凹版パターンについて、それぞれのシフト済み画像上のシフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の2次元凹版パターンの画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての凹版モジュールについて、検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供するステップと、
-許容トーンの対について、2次元凹版パターンの検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下、好ましくは5μm以下である場合にのみ、2次元凹版パターンのそれぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定するステップと
を含む、方法に関する。
【0028】
[0028]好ましくは、本発明による2次元凹版パターンを認証する上述の方法は、
A)上記に記載の2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の2次元凹版パターンに対して実行するステップと、
B)ステップA)において、2次元凹版パターンの復号に失敗した場合、2次元凹版パターンの復号に失敗したことを示す情報を配信するステップと、
C)ステップA)が、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の各記憶された位置について、関連する検証済み基準パターンの基準パターン識別番号を示す、2次元凹版パターンに符号化された情報を提供する場合、検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
デジタル画像上で、検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、測定されたトーン値からデジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
許容トーンTaに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、許容トーンTaに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算し、許容トーンTbに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、許容トーンTbに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するステップと、
D)2次元凹版パターンがマルチトーンアスペクトを有する場合に、デジタル画像内のその位置がメモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、プロセッサを用いて、
D1)デジタル画像上の前記位置に配置されたウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素からの検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、サンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因する初期トーン値と要素E2に起因する初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得された初期差分シンボルトーン値をメモリに記憶する動作であって、検証済み基準パターンの2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれトーンTaおよびトーンTbに対応する検証済み基準パターンのすべてのシンボルの初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、許容トーンTaに対する取得されたゼロシフト和および許容トーンTbに対する取得されたゼロシフト和がメモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を、デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った後方シフトおよび前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が許容トーンTaに対応する検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和およびゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたる、許容トーンTaについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔaを計算する動作、
D3)第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を、デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った後方シフトおよび前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が許容トーンTbに対応する検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和およびゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたる、許容トーンTbについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔbを計算する動作、
D4)2次元凹版パターンの記憶された検証済みベース凹版パターンの許容トーンの対から残りの許容トーンの対Ta’、Tb’ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δa’,Δb’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対をメモリに記憶する動作
を実行するステップと、
(E)2次元凹版パターンのすべての検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δa
2+Δb
2)1/2として推定し、ここで、λがデジタル画像の画素のμm(すなわち、10-6m)単位のサイズであり、fがデジタル画像の倍率であり、そして、2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下、好ましくは5μm以下である場合に、2次元凹版パターンが本物であると判断するステップと
を含んでもよい。
【0029】
[0029]第7の態様によれば、上述の認証方法に対応して、本発明はさらに、セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証するための装置であって、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの本物の2次元凹版パターンが請求項1~4のいずれか一項に記載されており、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットの異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、プロセッサが、カメラによって撮影され、メモリに記憶された本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、デジタル画像上で検出された符号化情報に対して復号動作を実行するように適合され、メモリが2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、その2次元符号化パターンに基づいて本物の2次元凹版パターンが作成されており、装置が、
-上述の復号方法に従って2次元凹版パターンに符号化された情報を復号して、カメラによって撮影された2次元凹版パターンの画像から、2次元凹版パターンの各検証済みベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得する動作と、
-2次元凹版パターンの撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、各検証済みベース凹版パターンについて、本物の2次元凹版パターンの色のトーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト画像を取得する動作と、
-各検証済み凹版パターンについて、それぞれのシフト済み画像上のシフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の2次元凹版パターンの画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての凹版モジュールについて、検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供する動作と、
-その許容トーンの対について、2次元凹版パターンの検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下、好ましくは5μm以下である場合にのみ、2次元凹版パターンのそれぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定する動作と
を実行するように適合される、装置に関する。
【0030】
[0030]好ましくは、上述の装置は、
A)上記に記載のプロセッサを用いて2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の2次元凹版パターンに対して実行し、メモリがさらに、本物の2次元凹版パターンの許容トーンの対を記憶するように、
B)ステップA)において、2次元凹版パターンの復号に失敗した場合、2次元凹版パターンの復号に失敗したことを示す情報を配信するように、
C)ステップA)が、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の各記憶された位置について、関連する検証済み基準パターンの基準パターン識別番号を示す、2次元凹版パターンに符号化された情報を提供する場合、検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
デジタル画像上で、検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、測定されたトーン値からデジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
許容トーンTaに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、許容トーンTaに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算し、許容トーンTbに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、許容トーンTbに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するように、
D)2次元凹版パターンがマルチトーンアスペクトを有する場合に、デジタル画像内のその位置がメモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、プロセッサを用いて、
D1)デジタル画像上の前記位置に配置されたウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素からの検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、サンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因する初期トーン値と要素E2に起因する初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得された初期差分シンボルトーン値をメモリに記憶する動作であって、検証済み基準パターンの2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれトーンTaおよびトーンTbに対応する検証済み基準パターンのすべてのシンボルの初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、許容トーンTaに対する取得されたゼロシフト和および許容トーンTbに対する取得されたゼロシフト和がメモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を、デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った後方シフトおよび前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が許容トーンTaに対応する検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和およびゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたる、許容トーンTaについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔaを計算する動作、
D3)第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を、デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った後方シフトおよび前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が許容トーンTbに対応する検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶し、
シフトごとに、許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和およびゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたる、許容トーンTbについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔbを計算する動作、
D4)2次元凹版パターンの記憶された検証済みベース凹版パターンの許容トーンの対から残りの許容トーンの対{Ta’,Tb’}ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δa’,Δb’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対をメモリに記憶する動作
を実行するように、
E)2次元凹版パターンのすべての検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δa
2+Δb
2)1/2として推定し、ここで、λがデジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fがデジタル画像の倍率であり、そして、2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下、好ましくは5μm以下である場合に、2次元凹版パターンが本物であると判断するように
適合されてもよい。
【0031】
[0031]より好ましくは、認証のための上述の装置はスマートフォンであり、光センサはRGB光センサであり、カメラは少なくとも20μmの分解能を有し、照明光で照明された2次元凹版パターンの凹版モジュールのトーンの測定は、前記凹版モジュールによって反射された受信光からRBG光センサで検出されたそれぞれの赤色、緑色、および青色の光強度成分を合計することによって実行される。照明は、スマートフォンのフラッシュによって提供されても、単なる昼光(十分な光強度の場合)であってもよい。
【0032】
[0032]本発明は、本発明の顕著な態様および特徴が示されている添付の図面を参照して、以下により十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】工業用凹版印刷機で印刷された、複数の2次元凹版パターンを含む本発明によるセキュリティマーキングを含む検体紙幣の一部の写真を示す。
【
図2A】A4標準印刷用紙上にレーザプリンタで印刷された、本発明によるセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの詳細の拡大された複製の写真を示す。
【
図2B】A4標準印刷用紙上にレーザプリンタで印刷された、本発明によるセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの詳細の拡大された複製の写真を示す。
【
図2C】A4標準印刷用紙上にレーザプリンタで印刷された、本発明によるセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの詳細の拡大された複製の写真を示す。
【
図2D】A4標準印刷用紙上にレーザプリンタで印刷された、本発明によるセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの詳細の拡大された複製の写真を示す。
【
図3A】欧州特許第2619714号明細書および欧州特許第2780865号明細書に開示されている従来技術による、シンボルの配置およびこれらのシンボルの状態を有する基準パターンの例を示す。
【
図3B】欧州特許第2619714号明細書および欧州特許第2780865号明細書に開示されている従来技術による、シンボルの配置およびこれらのシンボルの状態を有する基準パターンの例を示す。
【
図4A】本発明の凹版印刷プロセスによって取得されたベース凹版パターンの例と1対1に対応するように適合された符号化基準パターンの例を示す。
【
図4B】本発明の凹版印刷プロセスによって取得されたベース凹版パターンの例と1対1に対応するように適合された符号化基準パターンの例を示す。
【
図4C】本発明の凹版印刷プロセスによって取得されたベース凹版パターンの例と1対1に対応するように適合された符号化基準パターンの例を示す。
【
図4D】本発明の凹版印刷プロセスによって取得されたベース凹版パターンの例と1対1に対応するように適合された符号化基準パターンの例を示す。
【
図5】スマートフォンによる2次元凹版パターンの復号の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6B】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6C】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6D】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6E】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6F】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【
図6G】2次元凹版パターンの認証方法の一例の動作を概略的に示す。
【詳細な説明】
【0034】
[0033]実施例
ここで、非限定的な例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0035】
[0034]実施例E1 紙幣検体
図1は、本発明の実施形態によるセキュリティマーク(100)を含む検体紙幣の一部の写真を示す。検体紙幣は、シアンの凹版印刷用インクを使用して、工業用凹版印刷機で工業条件下で印刷した。セキュリティマーキング(100)の2次元凹版パターンは、凹版デザイン、特に右側ジャケットの折り襟に埋め込まれている。
図1に示すように、2次元凹版パターンは肉眼で検出することができず、凹版デザインに完全に組み込まれている。
図1に示されるセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの第1の実施例Ex1は、アルキル系酸化ワニス、鉱物充填剤、鉱油、ワックス、酸化乾燥剤および4.3重量%の青色顔料(Synthesia製の銅フタロシアニンブルー(6CI)(CAS Nr 147-14-8))を含む酸化乾燥凹版インクを使用して、紙幣工業印刷条件下で凹版印刷機(Super Orloff SOI II)で、紙幣紙基板(Louisenthal製の基準紙)上に印刷された。セキュリティマーキングは、8μm(L領域)、16μm(M領域)、および22μm(D領域)の深さを有する彫刻を含む凹版版面を使用して印刷され、
図2Aに示すように、ジャケットの折り襟に完全な2次元凹版パターン(201)を作成した。
【0036】
[0035]
図1のセキュリティマーキング(100)は、人物のポートレートおよびその衣服に対応する。
図2Aの完全な2次元凹版パターン(201)は、
図1に示す人物のジャケットの折り襟に配置されて複数のセルを含み、各セルはそれ自体の(小さい)2次元凹版パターン(220)を含む。2次元凹版パターン(201)は、本発明によれば、紙幣検体表面から約10cmの距離にあるSamsung製Galaxy S10またはS21スマートフォン(12メガ画素のカメラセンサを有する)を使用して本物として認証された。
【0037】
[0036]実施例Ex2~Ex4および比較例CEx1~CEx2
図2A~
図2Dは、A4標準印刷用紙上にレーザプリンタで印刷された、本発明による実施例2~4(Ex2~Ex4)にそれぞれ対応する2次元凹版パターンを有する、セキュリティマーキングの2次元凹版パターンの詳細の拡大した複製の写真を示す。実施例Ex2-Ex4および比較例CEx1-CEx2(
図2B~
図2Dを参照)のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを従来の白色プリンタ紙基板(A4フォーマット)上に印刷した。セキュリティマーキングの印刷された2次元凹版パターンは、約26.5cmの長さおよび約14.5cmの幅を有し、実施例Ex1に使用された凹版版面を作製するために使用されたデザインベクトルファイルを使用して
図1の実施例Ex1の紙幣検体に印刷されたセキュリティマーキング(
図2Aの長方形フレームは、A4紙基板端部に対応する)と比較して約3.5倍の拡大に対応する。2次元凹版パターン(201)を形成するマルチトーン凹線の同じトーンの部分は、2次元凹版パターンの異なる凹版モジュール(205)(
図2Dに示す)に対応する。
【0038】
[0037]
図2Aは、本明細書に開示される2次元凹版パターン(201)およびマルチトーン凹版印刷基準領域(「RA」):L(明るいトーン領域)、M(中間トーン領域)、D(暗いトーン領域)を示す。マルチトーン基準領域は、セキュリティマーキングに含まれる(小さい)マルチトーン2次元凹版パターン(
図2Cの220)の3つのトーンを用いて印刷された。マルチトーン基準領域(RA-L、RA-MおよびRA-D)を使用して、マルチトーンセキュリティパターンの3つのトーンのΔE*を分光計で決定した。凹版モジュール(205L、205M、205D)は、2次元凹版パターン(220)を形成するマルチトーン凹線の同じトーンL、M、およびDの部分にそれぞれ対応する。
【0039】
[0038]
図2Bは、
図2Aの凹版パターン複製の一部の拡大写真を示す。
図2Bに示されるように、(小さい)2次元凹版パターン(220)を囲み、前記2次元凹版パターン(220)を含むセルの境界を形成する凹線(210)(
図2C~
図2Dを参照)が、この拡大表示において明確に視認可能である。
図2Bに示すように、この例では、凹線(210)は、厚い凹版層(暗いトーン)で印刷され、2次元凹版パターンの凹版モジュールの任意の高さよりも高い高さの壁のように2次元凹版パターン(220)を囲んでおり、したがって、機械的摩耗に対して(小さい)2次元凹版パターン(220)および完全な2次元凹版パターン(201)の保護を提供している。
【0040】
[0039]
図2Cは、本明細書に開示される拡大された2次元凹版パターン(220)を有する、拡大鏡の下で見た
図2Bの写真を示す。拡大鏡の下でさえ、2次元凹版パターンのマルチトーン特性は肉眼ではほとんど識別することができないが、本発明による読み取りおよび認証装置、特にスマートフォンは、異なるトーンを区別し、2次元凹版パターンを復号および認証することができる(201)。
【0041】
[0040]凹版印刷セキュリティマーキングのマルチトーン特性を模倣するために、2次元凹版パターンの明るい/中間/暗いトーン(すなわち、L/M/Dトーン)に対応する3つのファイル層に対応するファイル層および基準領域(RA-L、RA-MおよびRA-D)に、グレーレベル(Ex2-Ex3およびCEx1)またはシアンレベル(Ex4およびCEx2)を、Adobe Illustrator(AI)を使用して割り当てた。基準領域(RA-L、RA-MおよびRA-D)は、以下の寸法を有する正方形として印刷した:1.3cm×1.3cm。
【0042】
[0041]Ex2~Ex4および比較例CEx1~CEx2に対応するセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを、レーザプリンタを使用して印刷した(Konica Minolta製bizhub C558;品質プリンタパラメータ:解像度:600dpi、パターン:細かい、画像圧縮:最高品質、エッジ強調:なし)(
図2A)。
【0043】
[0042]Datacolor製の分光光度計DC45を使用して、3つの基準正方形(RA-L、RA-MおよびRA-D)間のCIE色差ΔE*値、すなわち、明るい(RA-L)基準正方形と中間(RA-M)基準正方形との間のΔE*値L-M、および中間(RA-M)基準正方形と暗い(RA-D)基準正方形との間のΔE*値M-Dを測定した(以下の表1を参照)。値ΔE*は、例えば、引用特許である欧州特許第2956514号明細書の段落102に詳述されているように、既知の式に従って計算される。
【0044】
[0043]Ex2~Ex4またCEx1~CEx2の印刷物から約35cmの距離に配置された(すなわち、Ex1の紙幣検体のセキュリティマーキングを認証するために使用される検出距離よりも約3.5倍大きい距離において、
図1を参照)Samsung製Galaxy S10またはS21スマートフォンを使用して、実施例Ex2-Ex4および比較例CEx1-CEx2の2次元凹版パターンを分析した。
【0045】
[0044]以下の表1に示すように、ΔE*≧2.0、特にΔE*≧3.13を有する実施例Ex2~Ex4の2次元凹版パターンは、スマートフォンによって認証されている(表1の「認証」欄の対応するY「はい」を参照)。実施例Ex2~Ex4の2次元凹版パターンとは対照的に、0.19および1.58のΔE*値を有する比較例CEx1は、負および0のY値によって示されるように、スマートフォンによって認証することができなかった(表1の「認証」欄の対応するN「いいえ」を参照)。1.6および2.9のΔE*値を有する比較例CEx2は、ゼロY値によって示されるように、スマートフォンの認証閾値をわずかに下回った。トーン値(または色値)は、周知のYUV色符号化方式に従って輝度Y値として測定した。YUV色フォーマットは、色成分の輝度および色度を使用して色を記述する。輝度成分(Y)は色の明るさの情報を表し、色度成分(UおよびV)は色差を含む。
【表1】
ここで、
1)Lは明るいことを意味し、Mは中間を意味し、Dは暗いことを意味し、
2)L-Mは、2つの連続する明るいトーンと中間トーンとのΔE*に対応し、M-Dは、2つの連続する中間トーンと暗いトーンとのΔE*に対応し、
3)Adobe Illustratorで設定された%単位の値(例えば、灰色の例では、0%が白色に対応し、100%が黒色に対応する)、および
4)輝度差Y値は、印刷パターン全体を任意の単位で平均化した値に対応する。
CIEトーン差(またはCIE色差)は、1976年に国際照明委員会(CIE)によって導入された。CIEL*a*b*色空間内の任意の2つの色(または色のトーン)が与えられると、すなわち、(L1,a1,b1)および(L2,a2,b2)が与えられと、ΔE*式は以下のように定義される:
【数1】
式中、
L1は、画像のゾーン1のトーンのCIE L*値であり、
a1は、画像のゾーン1のトーンのCIE a*値であり、
b1は、画像のゾーン1のトーンのCIE b*値であり、
L2は、画像のゾーン2のトーンのCIE L*値であり、
a2は、画像のゾーン2のトーンのCIE a*値であり、
b2は、画像のゾーン2のトーンのCIE b*値である。
CIELAB空間は3次元であり、人間の色知覚全範囲をカバーする:L*が知覚的明度、a*およびb*が人間の視覚の4つの固有の色:赤色、緑色、青色、および黄。明度値L*は、0で黒、100で白を定義する。a*軸は、緑色-赤色の反対色に対して相対的であり、負の値は緑色に向かって、正の値は赤色に向かっている。b*軸は、青色-黄色の反対色を表し、負の数字は青色に向かって、正の数字は黄色に向かっている。
【0046】
[0045]本明細書に開示されるような凹版インクは、例えば、磁気インク、発光インク、IR吸収インク、および法医学インクなどの機械可読インクであってもよく、セキュリティ文書に追加の隠れたセキュリティ特徴を付与するために、セキュリティ文書、特に紙幣印刷の分野で広く使用されている。隠れたセキュリティ特徴によって提供される偽造および不正な複製に対するセキュリティ文書の保護は、そのような特徴が通常、それらの検出のために特殊な機器および知識を必要とするという概念に依存している。
【0047】
[0046]本明細書に記載の凹版インクは、当該技術分野で公知の発光材料、当該技術分野で公知の磁性材料、当該技術分野で公知のIR吸収材料、当該技術分野で公知の法医学マーカーまたはタガント、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の機械可読材料を含んでもよく、前記1つ以上の機械可読材料は、本明細書に記載の認証方法に悪影響を与えない限り、偽造耐性が強化されたセキュリティマーキングを提供する。本明細書で使用される場合、「機械可読材料」という用語は、例えば磁気検出器(機械可読材料が磁気特性を有する場合)またはIRカメラ(機械可読材料がIR吸収特性を有する場合)、または分光光度計(機械可読材料が発光特性を有する場合)などの装置または機械によって検出可能な少なくとも1つの特有の特性を示し、その検出および/または認証のための特定の機器の使用によって前記セキュリティマーキングを認証する方法を与える材料を指す。
【0048】
[0047]本明細書に記載のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンが、本明細書に記載の1つ以上の機械可読材料を含む凹版インクを用いて作製される場合、前記セキュリティマーキングは、特殊な機器を用いてさらに認証されてもよく、前記機器は、本明細書に記載の認証のための装置、例えばスマートフォンとは異なる。さらに、これらの機械可読材料は、本発明の2次元凹版パターンを認証するためにも使用されてもよい(追加のセキュリティレベルとして)。
【0049】
[0048]発光材料は、適切な励起時に可視範囲で発光する限り、肉眼により検出されてもよい。発光材料は、無機(無機ホスト結晶または発光イオンがドープされたガラス)、有機または有機金属(発光イオンと有機配位子物質との錯体)であってもよい。顔料形態の発光材料は、インクに広く使用されている(例えば、米国特許第6565770号明細書、国際公開第2008/033059号および国際公開第2008/092522号を参照)。発光材料の例としては、とりわけ、遷移金属および希土類イオンからなる群から選択される少なくとも1つの発光カチオンでドープされた非発光カチオンの硫化物、オキシ硫化物、リン酸塩、バナジン酸塩など;希土類酸硫化物および希土類金属錯体、例えば、国際公開第2009/005733号、欧州特許第0985007号明細書、米国特許第6,180,029号明細書、米国特許第6,153,123号明細書または米国特許第7108742号明細書に記載されているものなどが挙げられる。無機材料の例としては、La202S:Eu、ZnSi04:Mn、およびYV04:Ndが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、国際公開第2014/083145号、国際公開第2012/160182号、国際公開第2013/068275号、国際公開第2013/079521号、国際公開第1998/036888号、米国特許第2006/0083694号明細書、国際公開第2011/002960号、国際公開第2011/041657号に開示されているものが挙げられる。IR吸収材料としては、かなりの量のIR吸収原子またはイオンを含む有機化合物、無機材料、ガラスが挙げられる。IR吸収化合物の典型的な例としては、とりわけ、カーボンブラック、キノン-ジインモニウムまたはアンモニウム塩、ポリメチン(例えば、シアニン、スクアライン、クロコニン)、フタロシアニンまたはナフタロシアニンタイプ(IR吸収パイ系)、ジチオレン、クアテリレンジイミド、金属(例えば、遷移金属またはランタニドなど)塩(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、クロム酸塩、六ホウ化物、モリブデン酸塩、マンガン酸塩、鉄酸塩、有機硫酸塩、有機スルホン酸塩、有機ホスホン酸塩、有機リン酸塩およびホスホノ-タングステン酸塩など)、金属酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物、ナノ粒子形態のアンチモンスズ酸化物、およびドープされたスズ(IV)酸化物など)、金属窒化物が挙げられる。例は、例えば、国際公開第2007/060133号、国際公開第2007/132214号、国際公開第2019/219250号、欧州特許第3068728号明細書および国際公開第2018/178021号に見出されてもよい。一実施形態によれば、本明細書に記載のセキュリティマーキングは、IR吸収性の機械可読セキュリティ特徴からなる第1の部分と、電磁スペクトル(UVまたはVis)の別の領域を吸収する1つ以上の化合物を含むセキュリティマーキングからなる第2の部分とを含み、組み合わされたセキュリティマーキングを形成する。本明細書に記載の組み合わされたセキュリティマーキングの第1および第2の部分は、隣接していても、互いに重なり合っていても、離間していてもよい。磁性材料としては、高または中保磁力物質(例えば、酸化鉄、フェライトバリウム、フェライトストロンチウムまたは黒色酸化鉄など)などの磁性物質、およびコアシェル磁性顔料粒子が挙げられる。適切な磁性材料の例としては、例えば国際公開第2010/115986号および国際公開第2016/005158号に記載されているものなどの有機材料からなる群および無機材料の群から選択される1つ以上の材料からなる1つ以上の追加の層によって囲まれた磁性コア(好ましくは、ニッケル、コバルト、鉄ならびに鉄を含有する合金および酸化物から作製される)を含む磁性コア-シェル顔料粒子が挙げられる。本明細書に記載の有機材料は、好ましくは、ポリアクリレート、ポリスチレン、パリレン、アルコキシシランおよびそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書に記載の無機材料は、好ましくは、金属(好ましくは、銀、アルミニウムおよび金からなる群から選択される)、金属酸化物(好ましくは、MgOおよびZnO、Al2O3、Y2O3、Ln2O3(式中、Lnはランタニドである)、SiO2、TiO2、ZrO2、CeO2およびそれらの混合物からなる群から選択される)および金属硫化物(好ましくはZnS、CaSおよびその混合物からなる群から選択される)からなる群から選択される。
【0050】
[0049]
図3Aは、各々がある程度の楕円形状を有する32個のシンボル(310、320、330、340)の特定の配置を含む、先行技術による2次元基準パターン(300)の一例を示す。
図3Bは、基準パターン(300)のいくつかのシンボルの状態を指定する2次元要素E1(黒色ドット)およびE2(印刷されていない要素、または「白色」ドット)の例を示す。そのシンボルおよびそれらの状態を有する基準パターン(300)は、32ビットのデータを符号化することができる。
【0051】
[0050]
図4Aは、本発明の一実施形態で使用される、2次元符号化パターンの基準パターン(400)のシンボルの配置の例である。2次元符号化パターンは、1つの基準パターンのみを含んでもよいが、所与の配置に従って配置された複数の基準パターンを含むことがより多く、各基準パターンは、2次元符号化パターンに含まれる情報部分を符号化する。本発明によれば、(2次元)基準パターンは、その対応する(固有の)識別番号を符号化する。この例では、基準パターン(400)は、特定の配置に従って配置された18個のシンボル(S1、S2、…、S18)を含む。シンボルは任意の形状を有してもよいが、この例では、簡単にするために、楕円形の2つの形状のみが可能である。これらのシンボルは、基準パターンにおいて符号化される情報部分のデータのビットを符号化するために使用される。シンボルはシンボルの有限集合に属し、配置内の各シンボルは、前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にする。
図4Bは、シンボルの状態が指定される基準パターンの一例を示す。この例では、シンボルSの状態は、シンボルS内の2つの2次元要素、すなわちE1およびE2のみの特定の配置からなり、各要素Eは対応するパラメータ値p(E)を有する。シンボルの各状態の要素E1のパラメータは、前記シンボルの他の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値p(E1)を有する。パラメータ値p(E2)=0を有する要素E2は、印刷されないまたは「ニュートラル」要素(または、白色の表面上に表されている場合、白色ドットのような「白色」要素)に対応するため、
図4BのシンボルSには示されていない(ただし、それらはS内の対応するサイトを占有する)。代替的に、要素E2は、例えば、十字のドットで表すことができる。本発明で使用される基準パターンは、別個の正のパラメータ値を有する2種類の要素、ここでは黒色ドットに対応する要素および灰色ドットに対応する要素のみを有してもよい。もちろん、別個の要素の許容されるパラメータ値は、一般に別個の値のみを有しなければならないが、タイプE1の別個の要素に別個の正の値を割り当て、単なる1対1のマッピングを介してニュートラル要素E2に0の値を割り当てることは常に可能であり、これは単なる慣例である(非限定的)。シンボルの(2次元)要素E1は、任意の形状を有してもよいが、この例では、簡単のために、それらはすべて同じサイズの同じドット形状を有する。例えば、シンボルS1の要素E1は、黒色ドット(「黒色要素」)として示されているが、隣接シンボルS2の要素E1は、灰色ドット(「灰色要素」)として示されており、それらのそれぞれのパラメータ値は、例えば、p(黒色ドットE1)>p(灰色ドットE1)>p(E2)=0となるように異なっている(かつ正である)。したがって、基準パターンには、「黒色シンボル」(または「暗いシンボル」)に対応する黒色ドットのシンボルと、「灰色シンボル」(または「明るいシンボル」)に対応する灰色ドットのシンボルとの2種類のシンボルしか存在しない。
図4Bに示す例では、基準パターン(400)は、2つの要素(E1,E2)の18個のシンボルを有し、したがって、18ビットのデータを符号化することができる。
【0052】
[0051]所与の色の2次元凹版パターンの場合、その凹版モジュールは、その色の所与のトーンパレットからのトーンを有し、凹線の特定のパターンを形成することができる。本発明によれば、2次元凹版パターンは、関連する2次元符号化パターンと1対1に対応し、両方とも同じ情報を符号化する。2次元凹版パターンは、1つのベース凹版パターンのみを含んでもよいが、複数のベース凹版パターンを含むことがより多く、各ベース凹版パターンは、2次元符号化パターンに(したがって、2次元凹版パターンに)含まれる情報部分を符号化する。複数のベース凹版パターンは、前記2次元凹版パターンに対応する凹線の特定のパターンを形成するように、2次元凹版パターン内に配置される。本発明によれば、2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンは、2次元符号化パターンの関連する基準パターンと1対1に対応し、この2次元符号化パターンは、前記2次元凹版パターンに関連し、ベース凹版パターンおよびその関連する基準パターンは両方とも、2次元凹版パターンに符号化された同じ情報部分を符号化する。この情報部分は、この基準パターンに起因する固有の識別番号に対応する。また、上述の1対1の対応関係により、各ベース凹版パターンは、(情報の符号化に必要な)ベース凹版パターンの有限集合に属する。これにより、2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの符号化情報は、関連する基準パターンの基準パターン識別番号を特定する。
【0053】
[0052]本発明によれば、2次元凹版パターンの凹版モジュールは、以下のいずれかに対応する:
-正のパラメータ値(p(E1)>0)を有する2次元符号化パターンの基準パターンのシンボルの2次元要素(E1)、または
-2次元凹版パターンに関連する2次元符号化パターンの基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルSiおよびSj(i≠j)にそれぞれ属する、同じ正のパラメータ値(p(E1))を有する2つの要素(E1)を結ぶ線に対応する凹線の部分。
例えば、2次元凹版パターンが青色を有し、この2次元凹版パターンのベース凹版パターンが(青色のトーンパレットからの)2つの許容トーン「ダークブルー」および「ライトブルー」の凹版モジュールを有する場合、(2次元凹版パターンに関連する2次元符号化パターンに属する)ベース凹版パターンの関連する基準パターンは、要素E1としての黒色ドット(例えば、ダークブルートーンに対応する)または要素E1としての灰色ドット(その場合、ライトブルートーンに対応する)のいずれかを含むシンボルを有する。
【0054】
[0053]
図4Cは、
図4Aの基準パターン(400)から開始して(
図4Cの左側に示されている)、
図4Cの右側に単独で示されているベース凹版パターン(430)の構築の中間ステップの詳細を示す。この例では、簡単にするために、ベース凹版パターンの凹版モジュールおよびその関連する基準パターンの要素E1のそれぞれのトーンは同じ、すなわち黒色および灰色である。実際、
図4Cは、それらの間の1対1の対応関係を明確に示すために、基準パターン(400)をベース凹版パターン(430)と重ねて(かつ基準パターンのそれぞれのシンボルおよびそれらの状態と共に)示している。例えば、黒色トーンの凹版モジュール(431)は、シンボルS1の黒色要素E1に対応し、灰色トーンの凹版モジュール(432)は、基準パターン(400)の2つの別個の隣接するシンボルS2およびS15にそれぞれ属する2つの灰色要素E1(同じ正のパラメータ値を有する)を結ぶ線に対応する凹線に対応し、黒色トーンの凹版モジュール(433)は、基準パターン(400)の2つの別個の隣接するシンボルS11およびS18にそれぞれ属する2つの黒色要素E1を結ぶ線に対応する凹線に対応し(この線は反転したYの形状を有する)、灰色トーンの凹版モジュール(434)は、基準パターン(400)のシンボルS8の単一の灰色要素E1に対応する凹線の一部である。凹版モジュール(431)および(432)は、連続する凹線の2つの部分を形成する。したがって、モジュールを接続するための上述の規則から、許容される各基準パターンについて、関連するベース凹版パターンを構築することが可能であり、それらの識別番号間の対応関係(実際には、それらは同じ識別番号、すなわち関連する基準パターンの識別番号を有する)は、それらの1対1の対応関係を明確に決定する。
【0055】
[0054]
図4Dの上部には、2次元凹版パターン(450)の一例の部分図が示されており、
図4Dの下部に示されている関連する2次元符号化パターン(420)の2つの基準パターン(400)および(410)にそれぞれ(1対1で)対応する2つのベース凹版パターン(430)および(440)のみを示している。
図1に示す例では、セキュリティマーキング(100)は、同じ数のセル内に約1400個の2次元凹版パターンを含み、各2次元凹版パターンは16個の基準パターンを含み、各基準パターンは2つの可能なトーンの2つの要素の18個のシンボルを含む。2次元凹版パターン(450)から明確に分かるように、その凹版モジュールは、凹線の特定のパターン(連続経路を形成するグラフの相互接続された分岐のような)を形成する。上述の例の変形例(図示せず)では、2次元凹版パターンはまた、離散凹版モジュール(すなわち、連続する凹線を形成するように他の凹版モジュールと接続されていない)を含んでもよい。
【0056】
[0055]例えば
図4Dに概略的に示されるもののような2次元凹版パターン、または
図1に示されるセキュリティマーキング(100)のうちの1つは、凹版印刷機(図示せず)用の彫刻版面を使用することによって取得され、前記彫刻版面は、凹版インクを受け取り、前記2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するように適合された可変深さの溝を含む。深さの変化は、対応する可変高さの印刷された凹線を提供し、線のマルチトーンアスペクトを提供する。
【0057】
[0056]彫刻版面の可変彫刻深さおよび可変彫刻深さの彫刻溝の特定の配置は、凹版インクで適切にインク付けされると、凹版インクの色を有し、インク付けされた溝に対応する凹線の特定のパターンを形成する複数の凹版モジュールを含む2次元凹版パターンを基板の表面に印刷することを可能にし、各凹版モジュールは前記色のトーンを有し、このトーンは、凹版版面上の溝の別個の彫刻深さに対応する色の複数の別個の基準トーンのトーンパレット(暗いトーンから明るいトーンまでの範囲)に属する。凹版インクおよび溝の深さの変化の選択は、トーンパレットの任意の2つの連続トーン間のCIE色指数差ΔE*が2.0以上であるようなものであり(これは単なるスマートフォンで検出することができる)、凹線の幅εが20μm超かつ50μm以下である2次元凹版パターンを表面上に印刷することを可能にする。
【0058】
[0057]上述の彫刻版面は、本発明による2次元凹版印刷を印刷する凹版印刷機に使用することができる。したがって、基板の表面上にマーキングされるべきセキュリティマーキングの2次元凹版パターンの作成の一例は、以下の動作を伴う:
-受信情報の対応する部分(すなわち、それぞれの識別番号)を、2次元符号化パターンを形成する16個の基準パターンの有限集合に属する2つの基準パターン(400、410)に符号化することによって、16個の基準パターン、特に前記2つの基準パターン(400)および(410)を含む2次元符号化パターン(420)を生成する動作であって、各基準パターンがシンボルの有限集合に属する複数のシンボルの特定の配置を含み、配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能し、
-シンボルの状態は、シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eは対応するパラメータ値p(E)を有し、第1の要素E1のパラメータは第2の要素E2のパラメータの0値とは異なる正の値を有し、
-各基準パターンは、暗いシンボル(例えば、基準パターン(400)は、暗いシンボルS1、S3、S5、S7、S9、S11、S13、S15およびS18を有する)および明るいシンボル(S2、S4、S6、S8、S10、S12、S14、S16およびS17)のみを含み、暗いシンボルの第1の要素のパラメータ値は、2次元符号化パターンに関連する色(すなわち、印刷される2次元凹版パターンの色)の複数の別個の基準トーンのトーンパレットから選択された、関連する許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し(例えば、このパラメータ値は、黒色ドットである第1の要素E1を指定する)、明るいシンボルの第1の要素のパラメータ値は、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し(例えば、このパラメータ値は、灰色ドットである第1の要素E1を指定する)、
-作成される2次元凹版パターン(450)は、生成された2次元符号化パターン(420)と1対1に対応して、同じ情報を符号化し、かつ複数の凹版モジュールを含み、各凹版モジュールは前記関連色のトーンを有し、凹版モジュールのトーンはトーンパレットから選択され、
-2次元凹版パターンは2つのベース凹版パターン(430)および(440)を含み、各ベース凹版パターンは、前記情報の部分を符号化し、2次元符号化パターン(420)の関連する基準パターン(それぞれ、400および410)と1対1に対応し、
-各ベース凹版パターンは、関連する基準パターンの許容トーンの対にトーンが属する凹版モジュールのみを含み(
図4のこの例では、2つの許容トーンは黒色および灰色であり、すなわち基準パターンと同じトーンである)、
-生成された2次元符号化パターン(420)に関連する2次元凹版パターン(450)の凹版モジュールは、
2次元符号化パターンの基準パターンのシンボルの第1の要素(例えば、基準パターン400のシンボルS1の暗い要素E1)、または
2次元符号化パターンの基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じ正のパラメータ値pを有する2つの要素を結ぶ線に対応する凹線の部分(例えば、基準パターン(400)の隣接するシンボルS2およびS15の灰色要素E1を結ぶ、ベース凹版パターン(430)の凹線の部分(432))
のいずれかに対応する、動作、
(ii)2次元凹版パターン(450)の色の凹版インクを受け取り、生成された2次元符号化パターン(420)に従って凹版モジュールを複製するように適合された可変彫刻深さを有する凹版印刷機の版面を彫刻する動作、ならびに
(iii)凹版インクを用いて版面にインクを付け、インク付けされた版面を使用して、凹版印刷機を用いて対応する2次元凹版パターン(450)を基板の表面に印刷する動作。
【0059】
[0058]
図5は、カメラ、プロセッサ、メモリ、およびRGB(「赤色、緑色、青色」)光センサを装備したスマートフォンで本発明の2次元凹版パターンを復号する方法の一例を示すフローチャートである。プロセッサは、本物の2次元凹版パターンのデジタル画像に対して画像処理動作および復号動作を実行して、2次元凹版パターンに符号化された情報を抽出するように適合される(すなわち、具体的にプログラムされる)。復号動作を説明するために考慮される本物の2次元凹版パターンは、
図4Dのものである。この本物の2次元凹版パターン(450)は、ただ2つのベース凹版パターン(430、440)を含み、各ベース凹版パターン(430、440)は、2次元凹版パターン(450)に特有の凹線の(既知の)パターンを形成する複数の凹版モジュールを含む。各ベース凹版パターン(430、440)は、許容トーンの対{暗い,灰色}に対応する2つの別個の許容トーン(暗いおよび灰色)の凹版モジュール、すなわち暗いモジュール(黒色)および灰色モジュールのみを含む。基準パターンのこれらの暗いトーンおよび灰色トーンは、実際には、一般に、所与の色の2つの別個のトーン、例えば、色が青である2次元凹版パターンではそれぞれダークブルーおよびミッドブルーのトーンを表す。一例として、すべての凹版モジュールについて、これらの2つのトーン間のCIE色差ΔE*は、ΔE*≧2.5を確認する。2次元凹版パターンの凹線の幅εは、約30μm(±2μm)である。
【0060】
[0059]カメラのRGB光センサは、2次元凹版パターンのデジタル画像を取得するために、本物の凹版パターンおよびトーンパレットの上述の2つの異なるトーン、例えば青色の{ダークブルー,ミッドブルー}を形成する凹版モジュールの色を検出するように適合されている。2次元凹版パターン(450)は、対応する2次元符号化パターン(420)と1対1に対応し、各ベース凹版パターン(430、440)は、それぞれ1対1に対応し、各基準パターン(400、410)は、前記2次元符号化パターン(420)を形成する。ベース凹版パターンの識別番号は、対応する(関連する)基準パターンの識別番号と同じである(これらの基準パターンでそれぞれ符号化される)。本発明によれば、2次元凹版パターンに符号化された情報を復号するために、カメラによって撮影された2次元凹版パターンのデジタル画像上で、2次元凹版パターンを形成する凹版モジュールを最初に検出し、次いで、検出された凹版モジュールが関連する2次元符号化パターンのシンボルの配置の暗い要素および灰色要素と1対1に対応することを確認する必要がある。本発明によれば、検出された凹版モジュールと2次元符号化パターンのシンボルの状態との1対1の対応関係を確立するためのマッピング規則は、本物の2次元凹版パターンの凹版モジュールが、
-正のパラメータ値を有する2次元符号化パターンの基準パターンのシンボルの要素(ここでは、暗い要素または灰色要素に対応する)、または
-2次元符号化パターンの基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じ正のパラメータ値pを有する2つの要素を結ぶ線(ここでは、2つの暗い要素または2つの灰色要素を結ぶ)に対応する凹線の一部
のいずれかにのみ対応し得ることである。
スマートフォンのメモリは、既知の本物の2次元凹版パターンに関連する既知の2次元符号化パターンを形成する、許容基準パターンの有限集合を記憶する。
【0061】
[0060]2次元凹版パターンのデジタル画像上で2次元凹版パターンを形成する凹版モジュールを検出するために、プロセッサは、デジタル画像に対してシフトされて全デジタル画像を連続的に走査する、ベース凹版パターンのサイズを有する可動ウィンドウを使用することからなる画像処理動作を、獲得されたデジタル画像に対して実行する(引用文献、欧州特許第2780865号明細書、および例えばその請求項12の「分析ウィンドウ」も参照)。デジタル画像上のウィンドウの各位置で、ウィンドウ内の画素のRGB強度が分析されて(ここでは、赤色成分、緑色成分および青色成分のそれぞれの強度が合計されるだけである)、2つの異なるトーンの異なる画素のグループの存在が検出され、これらの検出された画素のグループは、2つの異なるトーンの凹版モジュールの集合のそれぞれのデジタル画像に対応する。実際には、デジタル画像のダイナミックレンジは、RGBセンサによって測定されたトーン値から決定され、任意の2つの凹版モジュールの測定されたトーン値の差が実際に決定されたダイナミックレンジの少なくとも1%よりも大きいことを制御するためにチェックが実行される。したがって、ウィンドウを介して検出されたこれらの凹版モジュール(実際には、それらの対応する画素のグループ)は、2つの異なるトーン、すなわち暗いトーンおよび明るいトーンのものである。
【0062】
[0061]凹版モジュールの集合がウィンドウを介して検出されるたびに、プロセッサは、メモリに記憶され、本物の2次元凹版パターンのベース凹版パターンに対応する許容された基準パターンのうちの1つに、これらの画素のグループをそれぞれ1対1の対応関係でマッピングすることができるかどうかをチェックし、画素のグループは、2次元符号化パターンを形成する記憶された基準パターンの集合から選択された、候補基準パターンのシンボルの2次元要素E1上に上述のマッピング規則に従って暫定的にマッピングされる。そのようなマッピングが可能な場合、対応する候補基準パターンが復号され、その識別番号が抽出される(関連する候補ベース凹版パターンの識別番号も与えられる)。次に、候補基準パターンおよび対応するベース凹版パターンが検証され、これらの検証は、候補基準パターンの復号された識別番号に関連してメモリに記憶される。暫定的なマッピングが失敗した場合、候補基準パターンは拒絶され、メモリに記憶されたすべての許容基準パターンがテストされるまで、対応する新しい暫定的なマッピング(および新しいさらなるチェック)のために新しい候補基準パターンが考慮される。可能性のある候補基準パターンのいずれも検証することができない場合、ウィンドウはデジタル画像に対して新しい位置に向かって移動し(シフトし)、すべてのデジタル画像がウィンドウを介して走査されるまで、上述の動作がプロセッサによって繰り返される。
【0063】
[0062]明らかに、全デジタル画像の走査後に候補基準パターンを検証することができない場合、画像化された2次元凹版パターンは、(強く)損傷した本物の2次元凹版パターンまたは偽の2次元凹版パターンのいずれかに対応する。上述の動作は、本発明による復号の実施形態の一例に関する
図5のフローチャートに要約されており:
-ステップ500において、所与の2次元凹版パターン(例えばセキュリティ文書などの基板の表面に印刷されている)について復号が開始される、
-ステップ510において、2次元凹版パターンがスマートフォンのカメラで画像化され、獲得されたデジタル画像がメモリに記憶される、
-ステップ520において、記憶された基準パターンの集合から候補基準パターンが選択される、
-ステップ530において、画素のグループが、マッピング規則に従って、候補基準パターンのシンボルの黒色要素および候補基準パターンのシンボルの灰色要素にそれぞれ暫定的にマッピングされ、そのようなマッピングが可能である場合(Y)、以下のステップ540が実行され、マッピングが可能でない場合(N)、ステップ560が実行される、
-ステップ540において、対応する候補基準パターンが復号され、その識別番号が抽出される(対応する候補ベース凹版パターンの識別番号も与えられる)、
-ステップ550において、候補基準パターンおよび対応するベース凹版パターンが検証され、これらの検証は、候補基準パターンの復号された識別番号に関連してメモリに記憶される、
-ステップ560において、メモリに記憶された許容基準パターンからのすべての可能性のある候補基準パターンがテストされていない場合(「Y」)、その候補基準パターンは拒絶され、ステップ520において、対応する新しい暫定的なマッピング(および新しいさらなるチェック)のために新しい候補基準パターンが考慮され、そして、逆に、メモリに記憶された許容された基準パターンからのすべての可能性のある候補基準パターンがテストされた場合(「N」)、ステップ570が実行される、
-ステップ570において、すべてのデジタル画像が走査された場合、ステップ580が実行され(「Y」)、そうでない場合(「N」)、ウィンドウはデジタル画像に対して新しい位置に移動し(シフトし)、ステップ520からの上述の動作がプロセッサによって繰り返される、
-ステップ580において、動作が停止する。
【0064】
[0063]マッピング規則に従って、ウィンドウ内の凹版モジュール(の画素)と(候補)基準パターンのシンボルの2次元要素との間の1対1の対応関係をチェックするための多くの可能性があってもよい。例えば、(プロセッサによる画像処理を介して)ウィンドウ内に配置された、(候補)基準パターンの、それらの対応する2次元要素E1によって占有されたサイトを含むシンボルの配置に対応するサンプリンググリッドを使用することが可能である。次に、(候補)基準パターンのそれぞれのシンボルの2次元要素E1のサイト内に含まれる各凹版モジュールに関する画素を、グリッドを介して検出することが可能である。
図4Aに示すように、ウィンドウ内のサンプリンググリッドは、実際には、(候補)基準パターンに対応するシンボルのそれぞれの境界によって形成された「グリッド」であり、基準パターンがウィンドウのサイズに合わせてスケーリングされると、凹版モジュールに関する画素のグループはシンボル内に直接(暫定的に)位置することができ、前記画素のグループがシンボルの要素E1の位置に対応する位置にあるシンボル内に完全に位置しているか、または部分的にのみ位置しているかを、画像処理によってチェックすることは容易である。判定基準は、画素のグループがシンボル内に部分的に位置している場合に使用されてもよく、例えば、前記画素の4分の1超がシンボルの境界内にあるが、要素E1のものに対応するシンボル内のサイトから外れている場合、この画素のグループ(したがって、対応する検出された凹版モジュールは)は、シンボルの要素E1に対応しないと見なされる。
【0065】
[0064]本発明によれば、セキュリティマーキングの2次元凹版パターンは、例えば復号に使用されるスマートフォン(上記参照)で復号されると、前記2次元凹版パターンの凹線の典型的な幅が20μm超(かつ50μm以下である)場合であっても、前記2次元凹版パターンのマルチトーンアスペクトを確認することと、凹線のパターンを形成するように相互接続されたその様々な凹版モジュール間の見当誤差が所与の小さい値(例えば10μm、好ましくは5μm)未満であると決定することとの両方によって認証することができる。本発明による2次元凹版パターンの認証の特徴的な特徴は、2次元凹版パターンの復号、そのマルチトーンアスペクトの確認、および凹線のその特定のパターンの様々な部分間の見当誤差が所与の閾値を下回るかどうかの決定の動作の間に存在する相乗効果である。実際、グリッドのシンボルの要素E1とE2との間のトーン値の差を(平均して)最大にするために、関連する基準パターンのシンボルの配置によって形成されたサンプリング「グリッド」に関して、前記ベース凹版パターンのデジタル画像上の復号段階でそれらの位置の周りで実行される小さなシフトと共に、ベース凹版パターンの凹版モジュールの復号は、異なるトーンの凹版モジュール間の見当誤差のロバストで正確な推定を提供し、したがって、単なるスマートフォンであっても、特にマルチトーンオフセット印刷を介して取得された任意の偽のマーキングを容易に検出することを可能にする。
【0066】
[0065]
図6Aは、複数のベース凹版パターンを含む2次元凹版パターン(図示せず)のベース凹版パターン(600)と、本発明による2次元凹版パターンに関連する2次元符号化パターン(図示せず)のその関連する基準パターン(610)との例を示す。以上のように、ベース凹版パターン(600)の復号段階において、凹版モジュールに対応する検出された画素のグループ(典型的には、モジュールごとに少なくとも3つの画素がある)と、基準パターンに属するシンボルの状態との間にマッピングが(ほぼ)確立される。しかしながら、このマッピングは必ずしも「完全」ではなく、
図6Cに示されているように、ベース凹版パターンのデジタル画像上の検出された画素のグループは、
図6Bに示されている基準パターン(610)に対応するサンプリンググリッド(615)(
図4Aの基準パターンに対応する)のシンボルの配置(それらの要素E1およびE2のサイトが点線で示されている)に重ね合わされた場合、一旦スケーリングされると、示されているシンボルの境界に部分的に重なる場合がある。明らかに、画素の特定のグループは、基準パターンの2次元要素(暗いまたは灰色)のサイトに完全には重ね合わされない。例えば、
図6CのシンボルS7の暗い要素E1に対応する暗い凹版モジュールに関する画素の一部が、シンボルS7の外にシフトされている(それにもかかわらず、シンボルS7の正しい状態は、要素E1のサイト内に位置する画素から検索することができる)。これは、サンプリンググリッドのシンボル(例えばS7)について、シンボルの要素E1およびニュートラル要素E2に対応するウィンドウ内のデジタル画像の画素間、すなわち、シンボルの要素E1およびE2に対応するサイト内にそれぞれ位置する画素間の測定されたトーンの差がその標準値に達しないことを意味する(シンボルの外にシフトされた画素のためにいくらかの光強度が失われる)。E1に対応する画素のグループが十分に(「完全に」)シンボル内に配置されたときに標準値に達する。それにもかかわらず、シンボル内の要素E1のサイトにまだいくつかの画素があるので(したがって、シンボルのE1とE2との間のパラメータ値の差が依然として存在するので)マッピングを依然として取得することができ、ベース凹版パターンを復号することができる。
【0067】
[0066]
図6Cは、ベース凹版パターンが復号されたものの、その検出された凹版モジュールが関連する基準パターンのシンボルに完全には重ね合わされていない場合を示す。凹版モジュールの対応する位置は、実際には、凹版モジュールに対応する、デジタル画像に対する画像処理を介して検出された画素のグループの位置である。それらはシンボル内に位置する。上記で説明したように、その凹版モジュールの見当が合っていなくてもベース凹版パターンを復号することができることは確かに可能であり、例えば、いくつかの画素はシンボルの要素のサイトの境界を超えてもよいが、それぞれの凹版モジュールに対応する各画素のグループの画素の大部分は、関連する基準パターンの対応するシンボルの要素のサイト内に正しく位置し(状態は正しく識別され)、したがってベース凹版パターンの復号は依然として可能である。以下、これらの復号位置は、デジタル画像上の画素のグループの初期位置、または略して検出された凹版モジュールの初期位置を構成すると考えられる。
【0068】
[0067]復号されたベース凹版パターン、すなわち上記で説明した検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを確認するために、以下の動作がスマートフォンで実行され、ここで、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の位置およびそれらの対応する関連する検証済み基準パターン識別番号がスマートフォンのメモリに記憶される:
-(復号時に取得された)関連する検証済み基準パターン識別番号から、(メモリに記憶された)その別個の許容トーンの対{Ta,Tb}を決定する動作、
-デジタル画像上で、検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷されたトーン値を測定する動作、例えば、スマートフォンのRGB光センサを用いて、関連する検証済み基準パターンに対応する上述のサンプリンググリッドを介して検出された対応する画素のRGB成分を、シンボルの要素E1のサイトで測定することによる、
-測定されたトーン値から、許容トーンの対について、検証済みベース凹版パターンのデジタル画像のダイナミックレンジを決定する動作(ここで、ダイナミックレンジとは、測定された最高トーン値と測定された最低トーン値との差である)、
-凹版モジュールの測定された平均トーン値の差が、ダイナミックレンジの少なくとも1%より大きいという条件を確認するかどうかをチェックし、
-条件が満たされる場合、検証済みベース凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、
-条件が満たされない場合、検証済みベース凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
動作。
より正確には、上述の差は以下のように計算される:
-最初に、許容トーンTaに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値<Ta>が、許容トーンTaに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算される。また、許容トーンTbに対応する検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの平均印刷トーン値<Tb>が、許容トーンTbに対応する凹版モジュールの測定された印刷トーン値の平均として計算される。次に:
-計算した平均印刷トーン値<Ta>と<Tb>との差を計算し、
-各許容トーンの対{Ta,Tb}について、計算された平均印刷トーン値<Ta>と<Tb>との差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかがチェックされる。
したがって、マルチトーンアスペクトを有していない検証済みベース凹版パターンは拒絶され、2次元凹版パターンは本物ではないと考えられる。
【0069】
[0068]検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトが確立されると、これらの検証済みベース凹版パターン(デジタル画像上の位置がスマートフォンのメモリに記憶されている)に基づいて見当誤差の決定を開始することができる。例えば、復号され、明らかにマルチトーンアスペクトを有する、
図6Cに示すような(検証済み)ベース凹版パターンを考慮すると、対応する許容トーンの対{Ta,Tb}(ここでは、暗いおよび灰色)を有するこの検証済みベース凹版パターンは、前記検証済みベース凹版パターンのデジタル画像(メモリに記憶されている)内の位置で、ウィンドウ内に配置された(かつウィンドウ内にスケーリングされた)対応する関連する検証済み基準パターン(
図6Bを参照)のサンプリンググリッド(615)を介して観察され、スマートフォンのプロセッサは、以下の動作を実行する:
(1)前記検証済み基準パターンに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を介して、サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素からの検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールの印刷されたトーン値をウィンドウ内で測定する動作。トーン値の測定は、検出された画素のそれぞれのR、G、およびB(赤色、緑色および青色)強度成分の合計から生じる。この測定は、検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する初期(すなわち、復号段階の画素に対応する画素の位置からの)トーン値を提供する。次いで、サンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因する初期トーン値と要素E2に起因する初期トーン値との差がプロセッサによって計算されて、サンプリンググリッドの各シンボルについての(すなわち、対応する基準パターンの)初期差分シンボルトーン値が取得され、検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得された初期差分シンボルトーン値(トーンの対{Ta,Tb}に対応する)がスマートフォンのメモリに記憶される。これらの記憶された初期差分シンボルトーン値は、実際にはゼロシフトに対応すると考えられてもよい。次に、検証済み基準パターンの2つの許容トーン{Ta、Tb}の各々について、それぞれトーンTaおよびトーンTbに対応するサンプリンググリッド(すなわち、検証済み基準パターン)のすべてのシンボルの初期差分シンボルトーン値を合計することによって対応するゼロシフト和が取得され、取得された許容トーンTaのゼロシフト和および許容トーンTbのゼロシフト和がメモリに記憶される。
(2)プロセッサによるデジタル画像の画像処理を介して、デジタル画像(この例では、垂直方向と水平方向の2つの方向しかない)に対して複数の別個の方向(垂直方向については、
図6D~
図6Eを参照。前方は
図6Dのように上部に対応し、後方は
図6Eのように下部に対応する)の各々に沿って後方および前方に、第1の要素E1が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を少なくとも1つの画素サイズだけシフトして、サンプリンググリッドのシンボルの要素に対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得する動作(
図6Cを参照)、実際には、ウィンドウ内のすべての画素は、画像処理を介して方向に沿ってブロック内でシフトされ、その結果、最初に要素E1またはE2のサイト内にあった画素はブロック内でシフトされ、E1またはE2のサイト内に(それぞれ)あるデジタル画像の(新しい)シフトされた画素は、このサイトで新しいトーン値を測定するために使用される。注目すべきことに、これは、ウィンドウがサンプリンググリッドと共に、デジタル画像に対する方向に沿って反対の意味でシフトされていると言うことと等価である。
-各方向に沿った後方シフトおよび前方シフト(すなわち、方向ごとに2つのシフトが存在する)についてそれぞれサンプリンググリッドを介して、(第1の要素が許容トーンTaに対応する)サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から、第1の要素E1が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶する動作。例えば、シンボルの前記サンプリンググリッドでは、凹版モジュールの画素がシンボル内のそれらの初期位置からシフトされると、前記画素の一部のみがシンボルの要素E1のサイト内に位置する可能性があり、これらの残りの画素は、シンボルのこの要素の新しいトーン値(シフト済みトーン値)を決定するために使用される。
-シフトごとに、第1の要素が許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値(すなわち、δ=E1に起因するトーン値-E2に起因するトーン値)を取得し、(第1の要素が許容トーンTaに対応する)検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶する動作、
-シフトごとに、許容トーンTaに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得する動作、
-検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和(この例では、4つのシフト和が存在する)およびゼロシフト和の中で最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTaについての最良のシフトを選択する動作。したがって、許容トーンTaのゼロシフト和が最大値を有する場合、許容トーンTaの最良のシフトは、実際にはゼロシフトに対応することが可能である。これにより、実際には、凹版モジュールの画素と対応するシンボルの要素E1との最良の整合を与えるシフトを選択することが可能になる。次いで、
-2次元凹版パターンを形成する(かつ対応する許容トーンの対{Ta,Tb}を有する)検証済みベース凹版パターンの各々について上述の動作が繰り返されると、対応する許容トーンの対を有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたる、許容トーンTaについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
aを計算する{Ta,Tb}動作。したがって、検証済み基準パターンの最良のシフトのみが追加され、次いで前記検証済み基準パターンの数で除算されて、2次元凹版パターンのグローバルシフトが取得される。
(3)第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像の画素を、デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
-サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った後方シフトおよび前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのシンボルのそれぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2のそれぞれのサイト内に位置するデジタル画像のシフト済み画素から測定し、取得されたシフト済みトーン値をメモリに記憶し、
-シフトごとに、第1の要素が許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドの各シンボルについて、要素E1に起因するシフト済みトーン値と要素E2に起因するシフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が許容トーンTbに対応する検証済み基準パターンのシンボルの要素に起因する取得されたシフト済み差分シンボルトーン値をメモリに記憶し、
-シフトごとに、許容トーンTbに対応するサンプリンググリッドのすべてのシンボルの計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、
-検証済み基準パターンについて、計算されたシフト和およびゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、次いで、
-2次元凹版パターンを形成する(かつ対応する許容トーンの対{Ta,Tb}を有する)検証済みベース凹版パターンの各々について上述の動作が繰り返されると、対応する許容トーンの対{Ta,Tb}を有する2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンにわたって、許容トーンTbについてのすべての選択された最良のシフトの平均を決定することによって、2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
bを計算する動作。(許容トーンの対{Ta,Tb}について)2次元凹版パターンの検証済みベース凹版パターンのすべてに対して実行された動作(1)から(3)の結果として、各前記複数の方向に沿った空間において、座標(Δ
a,Δ
b)
1、(Δ
a,Δ
b)
2…の点の集合を取得する。
(4)2次元凹版パターンの記憶された検証済みベース凹版パターンの許容トーンの対から残りの許容トーンの対{Ta’,Tb’}ごとに上述の動作(1-3)を実行してグローバルシフト(Δ
a’,Δ
b’)の対応する対を取得し、前記グローバルシフトの対をメモリに記憶する動作。(許容トーンの対{Ta’,Tb’}について)2次元凹版パターンの検証済みベース凹版パターンのすべてに対して実行された動作(1)から(4)の結果として、各前記複数の方向に沿った空間において、座標(Δ
a’,Δ
b’)
1、(Δ
a’,Δ
b’)
2…の点の集合を取得する。
(5)2次元凹版パターンのすべての検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対{Ta,Tb}に対応する凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=(Δ
a
2+Δ
b
2)
1/2として推定し、ここで、λはデジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fはデジタル画像の倍率である、動作。したがって、許容トーンの対{Ta,Tb}に対応するシフトの空間内の点(Δ
a,Δ
b)
1、(Δ
a,Δ
b)
2…に対して、対応する見当誤差r
1(a,b)、r
2(a,b)…が存在する。次に、プロセッサは、2次元凹版パターンのそれぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対{Ta,Tb}の各見当誤差値r
1(a,b)、r
2(a,b)…が10μm以下(好ましくは5μm以下)である場合にのみ、2次元凹版パターンが本物であると判断する。
【0070】
[0069]測定された印刷トーン値間の結果として生じる差をシンボルごとに測定するために、検証済みベース凹版パターンの凹版モジュールのデジタル画像上の位置を、前記ベース凹版パターンの復号段階におけるそれらの初期位置からそれらのシフトされた位置にシフトする上述の動作が、
図6D~
図6Eに示されている。簡単にするために、2つのシフト方向、すなわちデジタル画像上の垂直方向および水平方向のみが考慮される。
図6Cの検証済みベース凹版パターンのデジタル画像上の凹版モジュールの初期位置(すなわち、復号段階における検出された凹版モジュールに対応するデジタル画像上の画素の初期位置)から開始して、暗いトーンに対応する凹版モジュールの垂直方向に沿った前方シフトが
図6Dに表され、暗いトーンに対応する凹版モジュールの前記方向に沿った後方シフトが
図6Eに表されている。これらの2つの図から明らかなように、最大値を有する前記垂直方向(および暗いトーンの凹版モジュール)のシフト和は、
図6Eに表される後方シフトに対応し、「暗い」凹版モジュールの大部分は、
図6Cの検証済みベース凹版パターンに関連する検証済み基準パターンのシンボル内の(黒色の)要素E1の位置と位置がよく合っている。(暗い凹版モジュールの)上述の前方および後方のシフトが繰り返されるが、このときは、それぞれ対応する
図6Fおよび
図6Gに表されるように、水平方向について繰り返される。これらの2つの図から、前記水平方向(および暗いトーンの凹版モジュール)のシフト和は、すべての「暗い」シンボルを考慮すると、それぞれの前方および後方シフトは、値が
図6Eに関する上述のシフト和よりも小さいシフト和を提供する。その結果、暗い凹版モジュールについて、2つの方向にわたる後方シフトおよび前方シフトからの最良のシフトは
図6Eの後方シフトであり、このシフト和に対応するシフトは、簡単にするために1つのベース凹版パターン(すなわち、
図6Cのもの)のみをここで考慮するので、2次元凹版パターン)のすべての検証済みベース凹版パターンのすべての凹版モジュール(暗いトーンに対応する)についてのグローバルシフトΔ
aを計算するために保持される(許容トーンTaの場合。
【0071】
[0070]すべての暗い(黒色)凹版モジュールもすべての明るい(灰色)凹版モジュールも見当が合っていない
図6D~
図6Gから明らかなように、(暗いトーンTaについての)グローバルシフトΔ
aの上述の詳細な計算の結果は、明るい凹版モジュールに対して(すなわち、明るいトーンTbについて)実行された同等のシフト動作から取得されたグローバルシフトΔ
bと共に、10μmの閾値よりも大きい見当誤差値rを提供する(10μmのこの閾値またはそれ未満では、凹版モジュールのアライメント欠陥は、図において肉眼で見ることができなかった)。その結果、
図6Cの2次元凹版パターンは、復号することはできるが、本物ではないと考えられる。
【0072】
[0071]色の異なるトーンのモジュール間の見当誤差を推定するための上述の方法は、例えば
図1のように、多数の2次元凹版パターンを含むセキュリティマーキングに特にうまく機能する。これは、方法の統計的根拠によるものであり、セキュリティマーキング内のシンボルが多いほど、見当誤差を検出する精度が高くなる。例えば、
図1のセキュリティマーキングを用いて、各々が18個のシンボルを有する、基準パターンに対応する約800個の検証済みベース凹版パターンを記憶したスマートフォン(例えば、12メガ画素のSamsung製S10)では、スマートフォンは(マーキングから約10cmで撮影された画像について)約24μmの分解能を有しているが、5μm程度の小さな見当誤差を検出することが可能である。その結果、異なるトーンの凹線の異なる部分の見当が完全に合っている20μm~50μmの幅のマルチトーン凹線のマルチトーンオフセット印刷コピーを実現することは不可能であるため、オフセット印刷によって取得される偽のセキュリティマーキングは、肉眼では検出することができないものの、容易に検出することができる。カメラの分解能は、物体の画像上の2つの線(または点)を差別化する能力であり、分解能が大きいほど、区別することができる2つの線または点間の最小距離は小さくなる。カメラの対物レンズの開口数が大きいほど、分解能は高くなる。
【0073】
[0072]上記で開示された主題は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、独立請求項によって定義される本発明のより良い理解を提供するのに役立つ。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とセキュリティマーキングとを含むセキュリティ要素であって、前記セキュリティマーキングが、凹版インクを用いた凹版印刷によって前記基板の表面に印刷された2次元凹版パターンを含み、前記2次元凹版パターンが、関連色を有し、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各ベース凹版パターンが、2つの異なる許容トーンの対応する集合にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、各凹版モジュールが前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンが前記関連色の複数の異なる基準トーンのトーンパレットから選択され、前記トーン間のCIE色差ΔE*が2.0以上であり、凹版モジュールの幅εが20μm超かつ50μm以下であり、
前記2次元凹版パターンが、少なくとも1つの基準パターンを含む関連する2次元符号化パターンに基づいて作成され、前記少なくとも1つのベース凹版パターンの各々が、前記少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づいており、各ベース凹版パターンおよび関連する基準パターンが、前記関連する基準パターンの固有の識別番号を指定する同じ情報部分を符号化することを特徴とし、
各基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、
前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールが、
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素および前記基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または
同じパラメータ値pを有し、前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の一部として
のいずれかで印刷される、セキュリティ要素。
【請求項2】
複数の2次元凹版パターンを含み、各2次元凹版パターンが前記基板の背景色とは異なる対応する関連色を有する、請求項1に記載のセキュリティ要素。
【請求項3】
少なくとも1つの2次元凹版パターンが、前記2次元凹版パターンの前記凹版モジュールの任意の高さよりも高い凹線によって形成された境界を有するセルに含まれ、前記2次元凹版パターンの縁部と前記セルの前記境界との間の距離が40μm以上である、請求項
1に記載のセキュリティ要素。
【請求項4】
前記トーン間のCIE色差ΔE*が2.5以上である、請求項
1に記載のセキュリティ要素。
【請求項5】
凹版印刷機用の彫刻版面であって、凹版インクを受け取り、請求項1~4のいずれか一項に記載のセキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するように適合された可変彫刻深さの溝を備える、彫刻版面。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の2次元凹版パターンを含むセキュリティマーキングを含むセキュリティ要素を作成する方法であって、
(i)少なくとも1つの基準パターンを含む2次元符号化パターンを、前記2次元符号化パターンを形成する前記少なくとも1つの基準パターンの各々に情報部分を符号化することによって生成するステップであって、前記情報部分が各基準パターンに対してその固有の識別番号を指定し、各基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、各基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記2次元符号化パターンに関連する色の複数の別個の基準トーンのトーンパレットから選択された、関連する許容トーンの対のうちの暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応し、
作成される前記2次元凹版パターンが、前記生成された2次元符号化パターンに基づき、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、各凹版モジュールが前記関連色の1つのトーンを有し、凹版モジュールのトーンが前記トーンパレットから選択され、前記少なくとも1つのベース凹版パターンの各々が前記少なくとも1つの基準パターンの関連する基準パターンに基づき、各ベース凹版パターンが関連する基準パターンと同じ情報部分を符号化し、
各ベース凹版パターンが、前記関連する基準パターンの前記許容トーンの対にトーンが属する凹版モジュールのみを含み、かつ
前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンの各凹版モジュールが、
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンのシンボルの第1の要素、および前記基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールとして、または
前記2次元符号化パターンの関連する基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の一部として
のいずれかで印刷される、ステップと、
(ii)前記色の凹版インクを受け取り、前記生成された2次元符号化パターンに従って前記2次元凹版パターンの前記凹版モジュールを複製するように適合された可変彫刻深さを有する凹版印刷機の版面を彫刻するステップと、
(iii)前記凹版インクを用いて前記版面にインクを付け、前記インク付けされた版面を使用して、前記凹版印刷機を用いて前記対応する2次元凹版パターンを基板の表面に印刷するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法であって、前記2次元凹版パターンが複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、
前記2次元凹版パターンを画像化するステップと、
前記画像化された2次元凹版パターンの前記画像化された凹版モジュールから、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出するステップであって、前記2次元符号化パターンに基づいて、請求項1~4のいずれか一項に記載の本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの対応する本物の2次元凹版パターンが作成された、ステップと、
検出された各基準パターンを復号し、前記2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索するステップと、
復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証するステップと
を含むことにより特徴付けられている、方法。
【請求項8】
a)プロセッサおよびメモリを装備し、その光センサが前記本物の凹版パターンを形成する凹版モジュールの色と前記色の前記トーンパレットの異なるトーンとを検出するように適合されたカメラを用いて、前記セキュリティマーキングの前記2次元凹版パターンを画像化して、前記2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、前記取得したデジタル画像を前記メモリに記憶するステップであって、前記メモリが、関連する基準パターンの集合を記憶し、かつ各記憶された基準パターンについて対応する基準パターン識別番号を指定する情報部分を記憶し、
各記憶された基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対が、対応するベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する前記基準パターンの前記基準パターン識別番号に関連して前記メモリに記憶され、
各記憶された基準パターンが暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの前記暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの明るいトーンに対応する、ステップと、
b)前記記憶されたデジタル画像において、基準パターンのサイズの可動ウィンドウを介して前記プロセッサによって走査された前記デジタル画像の画素の画像処理を介して、前記ウィンドウ内の凹版モジュールを検出するステップと、
b1)前記記憶された基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、前記検出された凹版モジュールの各々が、
前記候補基準パターンのシンボルの第1の要素および前記候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
前記候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記候補基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックするステップと、
b2)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応する場合、前記候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって前記関連するベース凹版パターンを復号し、前記復号された候補基準パターンおよび前記復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、前記検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶するステップと、
b3)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行するステップと、
b4)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンのいずれか1つの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記デジタル画像に対して前記ウィンドウを移動させて、前記デジタル画像の別の領域を走査し、前記移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべての前記デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行するステップと、
c)全デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査され、前記検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記2次元凹版パターンの前記復号が失敗したことを示す信号を配信するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンに符号化された情報を復号するための装置であって、前記2次元凹版パターンが、複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、前記装置が、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットとは異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの前記本物の2次元凹版パターンが、請求項1~4のいずれか一項に記載されるものであり、前記プロセッサが、前記カメラによって撮影され、前記メモリに記憶された前記本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、前記デジタル画像上で検出された符号化情報の復号動作を実行するように適合され、前記メモリが、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、前記2次元符号化パターンに基づいて前記本物の2次元凹版パターンが作成されており、前記装置が、
前記2次元凹版パターンを画像化する動作と、
前記画像化された2次元凹版パターンの前記画像化された凹版モジュールから、前記2次元符号化パターンの前記少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出する動作であって、前記2次元符号化パターンに基づいて前記関連する本物の2次元凹版パターンが作成された、動作と、
検出された各基準パターンを復号し、前記2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索する動作と、
復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証する動作と
を実行するように適合される、装置。
【請求項10】
各記憶された基準パターンが複数のシンボルの特定の配置を含み、前記配置内の各シンボルが前記シンボルの状態に従ってデータを符号化することを可能にし、各シンボルの前記状態が、前記シンボル内の第1の2次元要素E1および第2の別個の2次元要素E2の特定の配置からなり、各要素Eが対応するパラメータ値p(E)を有し、前記第1の要素E1の前記パラメータが前記第2の要素E2の前記パラメータの0値とは異なる正の値を有し、
各ベース凹版パターンの凹版モジュールの各許容トーンの対が、前記ベース凹版パターンに関連し、前記ベース凹版パターンに関連する前記基準パターンの前記基準パターン識別番号に関連して前記メモリに記憶され、
各記憶された基準パターンが、暗いシンボルおよび明るいシンボルのみを含み、暗いシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、関連するベース凹版パターンの前記許容トーンの対のうちの前記暗いトーンに対応し、明るいシンボルの前記第1の要素の前記パラメータ値が、前記関連する許容トーンの対のうちの前記明るいトーンに対応し、
前記装置が、
a)前記カメラを用いて前記セキュリティマーキングの前記2次元凹版パターンを画像化して、前記2次元凹版パターンのデジタル画像を取得し、前記取得したデジタル画像を前記メモリに記憶する動作と、
b)許容基準パターンのサイズの可動ウィンドウ内の前記記憶されたデジタル画像凹版モジュールを、前記ウィンドウを介して前記プロセッサによって走査された前記デジタル画像の画素の画像処理を介して検出する動作と、
b1)前記検出された凹版モジュールの各々が、前記基準パターンの集合から選択された候補基準パターンについて、
前記候補基準パターンのシンボルの第1の要素および前記候補基準パターン内のその位置に対応する別個の凹版モジュールである、または
前記候補基準パターンの2つの別個の隣接するシンボルにそれぞれ属する、同じパラメータ値pを有する2つの第1の要素を結ぶ線、および前記候補基準パターン内の前記線の位置に対応する凹線の部分を表す
のいずれであるかをチェックする動作と、
b2)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応する場合、前記候補基準パターンを復号してその候補基準パターン識別番号を取得し、それによって前記関連するベース凹版パターンを復号し、前記復号された候補基準パターンおよび前記復号された関連するベース凹版パターンを検証して、対応する関連する検証済み基準パターンおよび検証済みベース凹版パターンを取得し、前記検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の位置を示す対応する位置データをメモリに記憶する動作と、
b3)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記記憶された基準パターンの集合から新しい候補基準パターンを選択し、前記新しい候補基準パターンを用いてステップb1)~b2)を実行する動作と、
b4)前記検出された凹版モジュールが前記候補基準パターンのいずれか1つの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記デジタル画像に対して前記ウィンドウを移動させて、前記デジタル画像の別の領域を走査し、前記移動されたウィンドウを介して凹版モジュールを検出し、そして、すべての前記デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査されるまで、ステップb1)~b3)を実行する動作と、
c)全デジタル画像が前記ウィンドウを介して走査され、前記検出された凹版モジュールがいずれの候補基準パターンの前記シンボルのそれぞれの要素に対応しない場合、前記2次元凹版パターンの前記復号が失敗したことを示す信号を配信する動作と
を実行するように適合される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証するための方法であって、
請求項7に記載の方法に従って前記2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する前記動作を実行して、前記画像化された2次元凹版パターンから、前記2次元凹版パターンの各ベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得するステップと、
各検証済みベース凹版パターンについて、前記本物の2次元凹版パターンの前記色の前記トーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを、復号時の前記2次元凹版パターンの前記撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの前記検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト済み画像を取得するステップと、
各検証済み凹版パターンについて、前記それぞれのシフト済み画像上の前記シフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の前記2次元凹版パターンの前記画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、前記関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての前記凹版モジュールについて、前記検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供するステップと、
前記許容トーンの対について、前記2次元凹版パターンの前記検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、前記決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下である場合にのみ、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定するステップと
を含むことにより特徴付けられている、方法。
【請求項12】
A)請求項8に記載の2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の前記動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の前記2次元凹版パターンに対して実行するステップと、
B)ステップA)において、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗した場合、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗したことを示す情報を配信するステップと、
C)前記ステップA)が、検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の各記憶された位置について、前記関連する検証済み基準パターンの前記基準パターン識別番号を示す前記2次元凹版パターンに符号化された前記情報を提供する場合、前記検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
前記デジタル画像上で、前記検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、前記測定されたトーン値から前記デジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
前記許容トーンTaに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、前記許容トーンTaに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、前記許容トーンTbに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、前記許容トーンTbに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、前記計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
前記マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
前記マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するステップと、
D)前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有する場合に、前記デジタル画像内のその位置が前記メモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、前記プロセッサを用いて、
D1)前記デジタル画像上の前記位置に配置された前記ウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素からの前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記初期トーン値と前記要素E2に起因する前記初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得された初期差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶する動作であって、前記検証済み基準パターンの前記2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれ前記トーンTaおよび前記トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンのすべての前記シンボルの前記初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、前記許容トーンTaに対する前記取得されたゼロシフト和および前記許容トーンTbに対するゼロシフト和がメモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTaについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
aを計算する動作、
D3)第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTbについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
bを計算する動作、
D4)前記2次元凹版パターンの前記記憶された検証済みベース凹版パターンの前記許容トーンの対から残りの許容トーンの対Ta’、Tb’ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δ
a’,Δ
b’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対を前記メモリに記憶する動作
を実行するステップと、
E)前記2次元凹版パターンのすべての前記検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する前記凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δ
a
2+Δ
b
2)
1/2として推定し、ここで、λが前記デジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fが前記デジタル画像の倍率であり、そして、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下である場合に、前記2次元凹版パターンが本物であると判断するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの2次元凹版パターンを認証するための装置であって、本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの本物の2次元凹版パターンが請求項
1に記載されており、プロセッサと、メモリと、本物の凹版パターンの色および前記色のトーンパレットの異なるトーンを検出するように適合された光センサとを装備したカメラを備え、前記プロセッサが、前記カメラによって撮影され、前記メモリに記憶された前記本物の2次元凹版パターンのデジタル画像の画像処理を実行し、前記デジタル画像上で検出された符号化情報に対して復号動作を実行するように適合され、前記メモリが2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンを記憶し、前記2次元符号化パターンに基づいて前記本物の2次元凹版パターンが作成されており、
後述の方法に従って
セキュリティ要素のセキュリティマーキングの前記2次元凹版パターンに符号化された情報を復号して、前記カメラによって撮影された前記2次元凹版パターンの前記画像から、前記2次元凹版パターンの各検証済みベース凹版パターンおよび対応する検証済み基準パターンを取得する動作
であって、前記2次元凹版パターンが複数の凹版モジュールを含む少なくとも1つのベース凹版パターンを含み、
前記方法が
前記2次元凹版パターンを画像化するステップと、
前記画像化された2次元凹版パターンの前記画像化された凹版モジュールから、2次元符号化パターンを形成する少なくとも1つの基準パターンの任意の基準パターンを検出するステップであって、前記2次元符号化パターンに基づいて、請求項1~4のいずれか一項に記載の本物のセキュリティ要素の本物のセキュリティマーキングの対応する本物の2次元凹版パターンが作成された、ステップと、
検出された各基準パターンを復号し、前記2次元符号化パターンの対応する復号情報を検索するステップと、
復号された各基準パターンおよび対応するベース凹版パターンを検証するステップと
を含む、動作と、
前記2次元凹版パターンの前記撮影画像上の各検証済みベース凹版パターンの前記検出された凹版モジュールのそれぞれの位置に対応する初期位置に対して、各検証済みベース凹版パターンについて、前記本物の2次元凹版パターンの前記色の前記トーンパレットからの許容トーンの対のトーンにそれぞれ対応する凹版モジュールを複数の異なる方向に沿ってシフトして、前記凹版モジュールの対応するシフト画像を取得する動作と、
各検証済みベース凹版パターンについて、前記それぞれのシフト済み画像上の前記シフト済み凹版モジュールの初期位置における測定トーン値と、復号時の前記2次元凹版パターンの前記画像上の前記凹版モジュールの同じ初期位置における測定トーン値との差から、前記関連する基準パターンの各対応するシンボルに関して、前記許容トーンの対の各トーンに対応する凹版モジュールについてそれぞれ、シフト値の対を決定し、前記許容トーンの対の各トーンにそれぞれ対応するすべての前記凹版モジュールについて、検証済みベース凹版パターンの最大トーン値を提供する動作と、
前記許容トーンの対について、前記2次元凹版パターンの前記検証済みベース凹版パターンのすべてにわたって、前記決定されたシフト値の対の平均のノルム値が10μm以下である場合にのみ、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの凹版モジュールの見当が合っていると決定する動作と
を実行するように適合されることにより特徴付けられている、装置。
【請求項14】
A)請求項8に記載のプロセッサを用いて2次元凹版パターンに符号化された情報を復号する方法の前記動作a)、b)、b1)、b2)、b3)、b4)、およびc)を、認証対象の前記2次元凹版パターンに対して実行するように、
B)ステップA)において、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗した場合、前記2次元凹版パターンの前記復号に失敗したことを示す情報を配信するように、
C)前記ステップA)が、検証済みベース凹版パターンの前記デジタル画像上の各記憶された位置について、前記関連する検証済み基準パターンの前記基準パターン識別番号を示す前記2次元凹版パターンに符号化された前記情報を提供する場合、前記検証済みベース凹版パターンのマルチトーンアスペクトを、
それらのそれぞれの関連する検証済み基準パターン識別番号から、それらの別個の許容トーンの対Ta、Tbを決定し、
前記デジタル画像上で、前記検証済みベース凹版パターンの各凹版モジュールの印刷トーン値を測定し、前記測定されたトーン値から前記デジタル画像のダイナミックレンジを決定し、
前記許容トーンTaに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Taを、前記許容トーンTaに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、前記許容トーンTbに対応する前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの平均印刷トーン値Tbを、前記許容トーンTbに対応する前記凹版モジュールの前記測定された印刷トーン値の平均として計算し、
各許容トーンの対Ta、Tbについて、前記計算された平均印刷トーン値TaとTbとの差がダイナミックレンジの1%より大きいというマルチトーン判定基準が満たされているかどうかをチェックし、かつ
前記マルチトーン判定基準が各許容トーンの対について満たされる場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有すると判断し、または
前記マルチトーン判定基準が許容トーンの対Ta、Tbについて満たされない場合に、前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有しておらず、本物ではないと判断する
ことによって確認するように、
D)前記2次元凹版パターンが前記マルチトーンアスペクトを有する場合に、前記デジタル画像内のその位置が前記メモリに記憶されている、対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する各検証済みベース凹版パターンについて、前記プロセッサを用いて、
D1)前記デジタル画像上の前記位置に配置された前記ウィンドウ内で、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルに対応するそれらの2次元要素E1およびE2のそれぞれのサイトを有するシンボルの配置を有するサンプリンググリッドを介して、前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の画素からの前記検証済みベース凹版パターンの前記凹版モジュールの印刷トーン値を測定して、前記検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する初期トーン値を取得し、前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記初期トーン値と前記要素E2に起因する前記初期トーン値との差を計算して、初期差分シンボルトーン値を取得し、そして、前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得された初期差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶する動作であって、前記検証済み基準パターンの前記2つの許容トーンTa、Tbの各々について、対応するゼロシフト和が、それぞれ前記トーンTaおよび前記トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンのすべての前記シンボルの前記初期差分シンボルトーン値を合計することによって取得され、前記許容トーンTaに対する前記取得されたゼロシフト和および前記許容トーンTbに対するゼロシフト和が前記メモリに記憶される、動作、
D2)第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTaに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTaに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTaに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記計算されたゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTaについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTaについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
aを計算する動作、
D3)第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像の前記画素を、前記デジタル画像に対して前記複数の異なる方向の各々に沿って後方および前方に、少なくとも1つの画素サイズだけシフトさせて、前記サンプリンググリッドに対して位置がシフトされた対応するシフト済み画素を取得し、
前記サンプリンググリッドを介して、各方向に沿った前記後方シフトおよび前記前方シフトについてそれぞれ、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの前記シンボルの前記それぞれの要素E1およびE2に起因する対応する後方シフト済みおよび前方シフト済みトーン値を、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルの要素E1およびE2の前記それぞれのサイト内に位置する前記デジタル画像のシフト済み画素から測定し、前記取得されたシフト済みトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドの各シンボルについて、前記要素E1に起因する前記シフト済みトーン値と前記要素E2に起因する前記シフト済みトーン値との差を計算して、対応するシフト済み差分シンボルトーン値を取得し、そして、第1の要素が前記許容トーンTbに対応する前記検証済み基準パターンの前記シンボルの前記要素に起因する前記取得されたシフト済み差分シンボルトーン値を前記メモリに記憶し、
シフトごとに、前記許容トーンTbに対応する前記サンプリンググリッドのすべての前記シンボルの前記計算されたシフト済み差分シンボルトーン値を合計して、前記許容トーンTbに対する対応する検証済み基準パターンシフト和を取得し、かつ
前記検証済み基準パターンについて、前記計算されたシフト和および前記ゼロシフト和のうちの最大の計算されたシフト和に対応する、前記許容トーンTbについての最良のシフトを選択し、
前記対応する許容トーンの対Ta、Tbを有する前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンに関連する前記検証済み基準パターンにわたる、前記許容トーンTbについてのすべての前記選択された最良のシフトの平均を決定することによって、前記2次元凹版パターンのグローバルシフトΔ
bを計算する動作、
D4)前記2次元凹版パターンの前記記憶された検証済みベース凹版パターンの前記許容トーンの対から残りの許容トーンの対Ta’、Tb’ごとに上述の動作D)を実行して、対応するグローバルシフトの対(Δ
a’,Δ
b’)を取得し、そして、前記グローバルシフトの対を前記メモリに記憶する動作
を実行するように、
E)前記2次元凹版パターンのすべての前記検証済みベース凹版パターンの任意の許容トーンの対Ta、Tbに対応する前記凹版モジュールの見当誤差値r(a,b)を、r(a,b)=λ/f(Δ
a
2+Δ
b
2)
1/2として推定し、ここで、λが前記デジタル画像の画素のμm単位のサイズであり、fが前記デジタル画像の倍率であり、そして、前記2次元凹版パターンの前記それぞれの検証済みベース凹版パターンの各許容トーンの対Ta、Tbの各見当誤差値r(a,b)が10μm以下である場合に、前記2次元凹版パターンが本物であると判断するように
適合された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
スマートフォンであり、前記光センサがRGB光センサであり、前記カメラが少なくとも20μmの分解能を有し、照明光で照明された前記2次元凹版パターンの凹版モジュールのトーンの測定が、前記凹版モジュールによって反射された受信光から前記RBG光センサで検出された赤色、緑色、および青色それぞれの光強度成分を合計することによって実行される、請求項1
3に記載の装置。
【国際調査報告】