(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気推進用の新規タイプの推進剤の使用
(51)【国際特許分類】
F03H 1/00 20060101AFI20241219BHJP
B64G 1/40 20060101ALI20241219BHJP
H05H 1/54 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F03H1/00 A
B64G1/40 500
H05H1/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536308
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 FR2022052397
(87)【国際公開番号】W WO2023111482
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルメール,パスカル
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA22
(57)【要約】
【要約】 本発明は、電気スラスタにおける推進剤としての劣化六フッ化ウランUF6の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スラスタにおける推進剤としての劣化六フッ化ウランUF
6の使用。
【請求項2】
前記電気スラスタが宇宙用電気スラスタである、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気推進、特に宇宙用電気推進用の新規タイプの推進剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、推進は、噴射材料と推進機械との間での運動量の交換に依存し、噴射材料は、おそらくは、
燃料と酸化剤とを含有する推進剤の発熱燃焼反応から生じる高温ガスであって、ノズルを通した高温膨張によりこれらのガスが噴射され、このケースは化学推進に相当する、高温ガスと、
推進剤から発生されるプラズマからの荷電粒子であって、プラズマを生成して噴射の為にこのプラズマのイオンを加速させるエネルギーが電気由来のエネルギーであり、このケースは電気推進に相当する、荷電粒子と、
で構成される。
【0003】
プラズマ推進又はイオン推進とも呼ばれる電気推進では、エネルギー源と噴射される材料との分離により、高い噴射速度に達することができ、ゆえに、化学推進とは異なって推進剤消費量が非常に低くなる。宇宙分野、より具体的には衛星推進において電気推進が使用される時には、推進される衛星の質量、ゆえにその打ち上げコストを削減し、またミッションの期間を延長してその効果を高めることが可能である。このようにして、スラストが低レベルで化学推進のものより低いにも関わらず、電気推進はキャパシティ及びコストにおける利得を可能にし、その他の点では達成が困難である戦略及びミッションの遂行を可能にする。
【0004】
現在、電気推進は運用上、主にグリッドイオンスラスタとホール効果スラスタという二つの比較的類似した技術により保証されており、これら二つの技術は、イオン噴射の始点で電場を発生させる手法において異なっており、電場は、グリッドイオンスラスタ用の二つのバイアスグリッドゆえに発生されて、磁場と、ホール効果電気スラスタの陽極と陰極との間の静電位差との組合せにより発生される。
【0005】
これらの電気スラスタでは、多様なタイプの推進剤、特に、
主に使用されるキセノン、あるいはクリプトン又はアルゴンなどの希ガスと、
ダイオード、マグネシウム、又は亜鉛などの固体推進剤と、
が使用され得る。
【0006】
陽イオンと陰イオンの両方をスラストの為に使用することに存する「電気的負性スラスタ」と呼ばれる推進機により、今日までやはり試作品段階で電気推進は行われ得るが、これは従来、二つの推進剤の管理を必要とし、類似の圧力下で、一方の推進剤は陽イオン(例えば、アルゴン)の発生が可能であり、一方の推進剤は陰イオン(例えば、六フッ化硫黄)の発生が可能であるが、二つのタイプの推進剤の使用は、推進性能に不利益である余分な重量を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既存のものを考慮して、本発明の発明者らは、電気推進、より詳しくは、宇宙用電気推進の分野で既に使用されており、より具体的には、全てのタイプの電気スラスタ、特に電気的負性電気スラスタで使用され得る推進剤と置き換えることにより、二つの別々の推進剤の使用を必要とせずに、電気推進の領域で効果的に使用され得る新たな推進剤を提案するという目的を設定した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ゆえに、本発明は、電気スラスタ、より詳しくは、宇宙用電気スラスタにおける推進剤としての劣化六フッ化ウランUF6の使用に関する。
【0009】
推進剤という概念は、推進ガスとも称され得る。
【0010】
従来、劣化六フッ化ウランは、少量の軽量同位体を含み、より具体的には、0.2~0.4%の235Uを含有する同位体組成を有するウランを含む六フッ化ウランに相当し、劣化六フッ化ウランは、特に使用済み燃料再処理区域に由来する。
【0011】
電気推進における推進剤としての劣化六フッ化ウランは、以下の利点を有する。
蒸気圧が準大気温度及び圧力での昇華リミットを持つ。
UF6ガスがキセノン(131g/モル)に対して著しく重い(352g/モル)という事実により、一定出力でのスラストがはるかに良好である。
非常に安定した六フッ化ウランが共通の温度で昇華することで結晶化形態での輸送を可能にし、それゆえに液化又は極低温ガスの管理をもはや必要としないという事実により、推進される六フッ化ウランの密度が温度のみにより管理される。
ポンプ作用ではなく極低温により試験室の真空が得られて地上試験が簡易化され、六フッ化ウランの管理は、核燃料サイクルに携わる者にはよく知られている。
キセノンよりもはるかに低コストで入手可能性がはるかに高く、劣化六フッ化ウランは特に、フッ素化天然ウラン(例えば、ジョルジュ・ベス(George Besse)2(GBII)の劣化ウラン)の同位体分離プラントの廃棄物を介して特に入手可能である。
イオン化プロセス中に六フッ化ウランは陽イオン(このケースではUF5
+)と陰イオン(このケースではF-)の両方を生成しやすいという事実により、全てのタイプの電気スラスタ、特に電気的負性電気スラスタでの使用が可能である。
引力の強いものを除いて全てのタイプの宇宙飛行、特に軌道の変化が予定される宇宙飛行、衛星の再配向、惑星間旅行、物体の回避での使用が可能である。
【0012】
本発明はここから、以下の例に関して記載される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例
キロワット範囲の出力のあるホール効果電気スラスタにおいて六フッ化ウランを使用して、試験の実施に成功した。また、超高イオン化断面積により、市販のホール効果スラスタから入手可能な広範囲の出力に適応できた。
【国際調査報告】