(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】パラメトリック共振可変インダクタンスのためのシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 19/20 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02K19/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536391
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 IB2022062161
(87)【国際公開番号】W WO2023111860
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524228834
【氏名又は名称】エラン リサーチ - 9456-4424 ケベック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELAN RESEARCH - 9456-4424 QUEBEC INC.
【住所又は居所原語表記】231 St-Charles Sud, Suite 343, Granby, Quebec J2G 9M6, CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グアイ,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】マロ,ジェローム-オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619AA01
5H619BB02
5H619BB15
5H619BB24
5H619PP02
5H619PP04
5H619PP11
5H619PP33
(57)【要約】
本開示は、インダクタンスを変化させるアセンブリに関する。アセンブリは、磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成するように構成されたステータを備える。少なくとも1対の磁極の一方の磁極から少なくとも1対の磁極の残りの磁極まで延在する線が第1の方向を画定する。また、アセンブリは、ステータに隣接するロータを備える。ロータは、第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成されたロータ本体を含む。ロータ本体は、ロータの回転軸と平行に延在する複数の凹部を画定する。回転軸は、第1の方向に沿って延在する。また、ロータは、第2の材料から形成された複数のバーを含む。複数のバーは、複数の凹部内にそれぞれ配置される。第2の材料は、第2の有効透磁率をもつ。回転軸を中心とするロータの回転は、アセンブリのインダクタンスの周期的な交替を引き起こす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンスを変化させるアセンブリであって、
磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成するように構成されたステータであって、前記少なくとも1対の磁極の一方の磁極から前記少なくとも1対の磁極の残りの磁極まで延在する線が第1の方向を画定する、ステータと、
前記ステータに隣接するロータと、
を備え、
前記ロータは、
第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成されたロータ本体であって、前記ロータ本体が前記ロータの回転軸と平行に延在する複数の凹部を画定し、前記回転軸が前記第1の方向に沿って延在する、ロータ本体と、
第2の有効透磁率をもつ第2の材料から形成された複数のバーであって、前記複数の凹部内にそれぞれ配置される、複数のバーと、
を含み、
前記ロータは、前記回転軸を中心とする前記ロータの回転が前記アセンブリのインダクタンスの周期的な交替を引き起こすように、前記ステータに対して配置される、
アセンブリ。
【請求項2】
前記複数のバーは、前記ロータの外面の一部を形成する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記複数のバーは、前記回転軸と実質的に平行に延在し、これにより、前記複数のバーのうちの所定のバーは、前記少なくとも1対の磁極の磁気的に対向する磁極に同時且つ周期的に対向する、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の有効透磁率は、前記第2の有効透磁率の少なくとも10分の1である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の材料は、非強磁性材料である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ステータは、少なくとも1つのワイヤコイルを備え、前記少なくとも1対の磁極は、前記少なくとも1つのコイルによって生成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのワイヤコイルは、1対の磁極を生成する単一のワイヤコイルである、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのワイヤコイルは、複数のワイヤコイルを含み、
前記複数のワイヤコイルは、直列に接続され、
前記複数のワイヤコイルの各々は、磁気的に対向する1対の磁極を生成する、
請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のワイヤコイルは、前記回転軸を中心とする前記ロータの回転時に、前記複数のバーのうちの1つのバーに同時に対向し、前記複数のワイヤコイルは、前記複数のバーのうちの対応するバーにそれぞれ対向する、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記アセンブリは、キャパシタに電気的に接続され、これにより、電気回路が形成され、
前記回転軸を中心とする前記ロータの回転速度は、前記アセンブリのインダクタンスの交替における周波数が前記電気回路の固有振動数の2倍になるように設定される、
請求項1~9のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ロータの回転を提供するために前記ロータに動作可能に結合されたアクチュエータをさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の材料は、木材、プラスチック、アルミニウム、および真鍮からなる材料群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第2の材料は、フェライトおよびパーマロイからなる材料群から選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ステータは、前記第1の方向に沿って延在する中空の円筒形状を有し、
磁気的に対向する前記少なくとも1対の磁極は、前記ステータの内面に生成され、
前記ロータは、前記ステータ内で回転する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ロータ本体は、前記第1の方向に沿って延在する円筒形状を有し、前記ステータ内の中心に位置する、請求項1~14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記複数の凹部は、前記ロータ本体の丸みを帯びた外面の長さの少なくとも大部分に沿って実質的に延在し、
前記複数の凹部は、互いに対して等距離に画定されている、
請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記ロータは、磁気的に対向する前記少なくとも1対の磁極が、前記回転軸を中心とした前記ロータの回転時に前記ロータ本体および前記複数のバーと磁気的に相互作用するように、前記ステータに十分に接近して配置される、請求項1~16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
インダクタンスを変化させるアセンブリであって、
使用時に、磁気的に対向する1対の磁極を生成するように構成された少なくとも1つのワイヤコイルと、
可変透磁率要素であって、
第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成された第1の部分、および
第2の有効透磁率をもつ第2の材料から形成された第2の部分
を含む可変透磁率要素と、
を備え、
前記可変透磁率要素は、アクチュエータに動作可能に接続され、前記アクチュエータは、前記可変透磁率要素を作動させたときに、前記少なくとも1つのワイヤコイルの前で前記第1の材料および前記第2の材料を周期的に交互に配置させ、これにより、磁気的に対向する前記1対の磁極は、前記第1の材料および前記第2の材料の一方に同時に対向して、前記少なくとも1つのワイヤコイルのインダクタンスを周期的に変化させる、
アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の有効透磁率は、前記第2の有効透磁率の少なくとも10分の1である、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記第2の材料は、強磁性材料である、請求項18または19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのワイヤコイルは、直列に接続された複数のワイヤコイルを含み、
前記複数のワイヤコイルは、前記可変透磁率要素を移動させたときに、前記複数のワイヤコイルが前記可変透磁率要素の前記第2の部分の複数の部分に同時に対向するように配置される、
請求項18~20のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記少なくとも1つのワイヤコイルは、キャパシタに電気的に接続され、これにより、電気回路が形成され、前記少なくとも1つのワイヤコイルの前での前記第1の材料および前記第2の材料の交互配置における周波数は、前記電気回路の固有振動数の2倍である、請求項18~21のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記第1の材料は、木材、プラスチック、アルミニウム、および真鍮からなる材料群から選択される、請求項18~22のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記第2の材料は、フェライトおよびパーマロイからなる材料群から選択される、請求項18~23のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「SYSTEM FOR PARAMETRIC RESONANT VARYING INDUCTANCE」と題する2021年12月17日出願の米国特許出願第63/290,764号の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、可変インダクタンスを有する電気部品の分野に関し、より詳細には、パラメトリック共振インダクタに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの技術において、モータ、リニアアクチュエータ、ソレノイドおよび誘導コイルなどのインダクティブデバイスは、運転、変換、および/または誘導作用、あるいは磁気の引力またはその反発を実行するために磁界の発生に依存している。既知のアプローチでは、このようなインダクティブデバイスおよびこれと協働して動作する他のデバイスは、必ずしも磁界エネルギーを回収および/または再利用しない。実際、多くの技術において、磁界は減少させるべき厄介なものとして扱われている。
【0004】
しかしながら、いくつかの初期の提案された研究では、電気振動系における振動の励起は、磁界エネルギーの誘導を介して行うことができると提案されている(On The Parametric Excitation Of Electric Oscillations,L.I Mandelstam,N.D.Papalexi,University of California,1934)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、磁界エネルギーを再利用するためのシステムおよび電気部品アセンブリが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様において、インダクタンスを変化させるアセンブリが提供される。このアセンブリは、磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成するように構成されたステータを備える。少なくとも1対の磁極の一方の磁極から少なくとも1対の磁極の残りの磁極まで延在する線が第1の方向を画定する。また、アセンブリは、ステータに隣接するロータを備える。ロータは、第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成されたロータ本体を含む。ロータ本体は、ロータの回転軸と平行に延在する複数の凹部を画定する。回転軸は、第1の方向に沿って延在する。また、ロータは、第2の材料から形成された複数のバーを含む。複数のバーは、複数の凹部内にそれぞれ配置される。第2の材料は、第2の有効透磁率をもつ。ロータは、回転軸を中心とするロータの回転がアセンブリのインダクタンスの周期的な交替(alternation)を引き起こすように、ステータに対して配置される。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、複数のバーは、ロータの外面の一部を形成する。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、複数のバーは、回転軸と実質的に平行に延在する。これにより、複数のバーのうちの所与のバーが、少なくとも1対の磁極の磁気的に対向する磁極に同時且つ周期的に対向する。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、第1の有効透磁率は、第2の有効透磁率の少なくとも10分の1である。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、第1の材料は、非強磁性材料である。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、第2の材料は、強磁性材料である。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、ステータは、少なくとも1つのワイヤコイルを備える。少なくとも1対の磁極は、少なくとも1つのコイルによって生成される。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのワイヤコイルは、1対の磁極を生成する単一のワイヤコイルである。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのワイヤコイルは、複数のワイヤコイルを含む。複数のワイヤコイルは、直列に接続される。複数のワイヤコイルの各々は、磁気的に対向する1対の磁極を生成する。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、複数のコイルは、回転軸を中心とするロータの回転時に、複数のバーのうちの1つのバーに同時に対向する。コイルの各々は、複数のバーのうちの対応する1つのバーに対向する。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、アセンブリは、キャパシタに電気的に接続される。これにより、電気回路が形成される。回転軸を中心とするロータの回転の速度は、アセンブリのインダクタンスの交替における周波数が電気回路の固有振動数の2倍になるように設定される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、アセンブリは、ロータの回転を提供するためにロータに動作可能に結合されたアクチュエータをさらに備える。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、第1の材料は、木材、プラスチック、アルミニウム、および真鍮からなる材料群から選択される。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、第2の材料は、フェライトおよびパーマロイからなる材料群から選択される。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、ステータは、第1の方向に沿って延在する中空の円筒形状を有する。磁気的に対向する少なくとも1対の磁極は、ステータの内面上に生成される。ロータは、ステータ内で回転する。
【0021】
少なくとも1つの実施形態において、ロータ本体は、第1の方向に沿って延在する円筒形状を有する。これは、ステータ内の中心に配置される。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、複数の凹部は、ロータ本体の丸みを帯びた外面の長さの少なくとも大部分に沿って実質的に延在する。複数の凹部は、互いに対して等距離に画定されている。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、ロータは、磁気的に対向する少なくとも1対の磁極が、回転軸を中心としたロータの回転時にロータ本体および複数のバーと磁気的に相互作用するように、ステータに十分に接近して配置される。
【0024】
本開示の別の態様において、インダクタンスを変化させるアセンブリが提供される。このアセンブリは、使用時に、磁気的に対向する1対の磁極を生成するように構成された少なくとも1つのワイヤコイルと、第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成された第1の部分、および第2の有効透磁率をもつ第2の材料から形成された第2の部分を含む可変透磁率要素と、を備える。可変透磁率要素は、アクチュエータに動作可能に接続される。アクチュエータは、可変透磁率要素を作動させたときに、少なくとも1つのワイヤコイルの前で第1の材料および第2の材料を周期的に交互に配置させる。これにより、磁気的に対向する磁極は、第1の材料および第2の材料の一方に同時に対向して、少なくとも1つのワイヤコイルのインダクタンスを周期的に変化させることができる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、第1の有効透磁率は、第2の有効透磁率の少なくとも10分の1である。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、第2の材料は、強磁性材料である。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、第1の材料は、非強磁性材料である。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのワイヤコイルは、直列に接続された複数のワイヤコイルを含み、複数のコイルは、可変透磁率要素を移動させたときに、複数のコイルが可変透磁率要素の第2の部分の複数の部分に同時に対向するように配置されている。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのワイヤコイルは、キャパシタに電気的に接続される。これにより、電気回路が形成される。少なくとも1つのワイヤコイルの前での第1の材料および第2の材料の交互配置における周波数は、電気回路の固有振動数の2倍である。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、第1の材料は、木材、プラスチック、アルミニウム、および真鍮からなる材料群から選択される。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、第2の材料は、フェライトおよびパーマロイからなる材料群から選択される。
【0032】
本技術の実施態様の各々は、上述した目的および/または態様の少なくとも1つを有するが、必ずしもそれらすべてを有するものではない。上述した目的を達成しようとした結果生じた本技術のいくつかの態様は、この目的を満足しない場合があり、且つ/または本明細書で特に述べられていない他の目的を満足する場合があることを留意されたい。
【0033】
本技術の実施態様の追加的および/または代替的な特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示の特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明確になるであろう。
【
図1】本技術の一実施形態による、インダクタンスを変化させるアセンブリの模式図である。
【
図2】電気回路に実装された
図1に示すアセンブリの模式図である。
【
図3A】本技術の別の実施形態による、インダクタンスを変化させるアセンブリのロータの斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示すロータの斜視図であり、その中に材料のバーが配置されている。
【
図4】本技術の別の実施形態による、インダクタンスを変化させるアセンブリのステータの斜視図である。
【
図5】
図3Aおよび
図3Bに示すロータと
図4に示すステータとを含む、インダクタンスを変化させるアセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図6】本技術の別の実施形態による、電気回路に実装された
図5に示すアセンブリの模式図である。
【
図7】本技術のさらに別の実施形態による、電気回路に実装された
図5に示すアセンブリの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面および対応する説明全体を通して、同様の特徴は同様の参照符号によって識別されることを留意されたい。さらに、図面および対応する説明は、例示のみを目的としており、そのような開示は、特許請求の範囲を限定することを意図していないことにも留意されたい。
【0036】
以下、開示された技術の様々な代表的な実施形態について、代表的な実施形態が示された添付の図面を参照しながら、より詳細に説明する。しかしながら、ここで開示されている技術は、多くの異なる形態で具体化される可能性があり、本明細書に記載されている代表的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの代表的な実施形態は、開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本技術の範囲を十分に伝えることができるように提供される。図面において、層および領域のサイズおよび相対的なサイズは、明確にするために誇張されている場合がある。同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を指す。また、特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、記載される実施形態が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0037】
本開示は、インダクタンスを変化させるアセンブリを紹介する。第1の実施形態において、アセンブリは、使用時に、磁気的に対向する1対の磁極を生成するように構成された少なくとも1つのワイヤコイルを含む。また、アセンブリは、第1の有効透磁率および第2の有効透磁率をそれぞれもつ第1の部分および第2の部分を有する可変透磁率要素を含む。可変透磁率要素は、少なくとも1つのワイヤコイルの前で第1の部分および第2の部分が周期的に交互に配置されるように作動されて、少なくとも1つのワイヤコイルのインダクタンスを周期的に変化させる。一実施形態において、アセンブリは、キャパシタに直列に接続される。これにより、固有振動数をもつ共振電気回路が形成される。可変透磁率要素は、少なくとも1つのワイヤコイルの前での第1の部分および第2の部分の交互配置における周波数が電気回路の固有振動数の2倍であるように作動される。場合によっては、交互配置が固有振動数の2倍であることによって、電気回路において共振電力増幅が引き起こされる。電気回路は、電力を供給するための負荷にさらに接続されてもよい。
【0038】
同じまたは別の実施形態において、アセンブリは、磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成するように構成されたステータと、ロータ本体を含むロータと、ロータ本体上に配置された複数のバーと、を含んでもよい。バーは、ロータ本体の有効透磁率とは異なる有効透磁率をもつ。磁気的に対向する少なくとも1対の磁極の前でのロータの回転時には、アセンブリのインダクタンスは、周期的に変化する。一実施形態において、アセンブリは、キャパシタに直列に電気的に接続される。これにより、共振電気回路が形成される。本実施形態において、アセンブリのインダクタンスの交替における周波数は、電気回路の固有振動数の2倍になるように設定されてもよい。これにより、電気回路において共振電力増幅が引き起こされる。電気回路は、電力を供給するための負荷にさらに接続されてもよい。アセンブリの例示的な実施形態に関する詳細については後述する。
【0039】
一般的には、本開示は、平均インダクタンス値の周りで振動するインダクタンスを有するアセンブリを導入する。このアセンブリは、振動における周波数の微調整を可能にするように構成される。振動における周波数は、電気回路に共振を発生させるように設定されてもよい。これにより、電気回路において共振電力増幅が引き起こされる。
【0040】
添付の図面を参照すると、
図1は、インダクタンスを変化させるアセンブリ10の模式図である。アセンブリ10は、U字形状のコア120の周囲に巻かれたワイヤコイル110を含む。より具体的には、ワイヤコイル110は、U字形状のコア120の中央部分126の周囲に巻かれている。中央部分126は、U字形状のコア120の第1の端部122と第2の端部124との間に延在する。ワイヤコイル110は、銅から形成されてもよい。
【0041】
U字形状のコア120は、磁界を所与の方向に向けられるような形状を有する。コア120の代替的な形状は、代替的な実施形態において提供されるが、この態様は限定されるものではない。U字形状のコア120は、例えばパーマロイまたはミューメタル(Ni-Fe)から形成されてもよいが、これらに限定されるものではない。本開示において、U字形状のコア120を形成する材料の有効透磁率はμr0と示されている。
【0042】
ワイヤコイル110に電流が流れると、ワイヤコイル110によって磁界が発生する。これは、
図1で3つの磁界線で示されている。ここで、磁気的に対向する1対の磁極は、U字形状のコア120の両端部に形成される。
図1に示す実施例において、第1の端部122に北磁極が生成され、第2の端部124に南磁極が生成される。U字形状のコア120の第1の端部122および第2の端部124における磁極の極性は、ワイヤコイル110内の電流の方向に依存する。
【0043】
アセンブリ10は、U字形状のコア120の第1の端部122および第2の端部124の前に配置された可変透磁率要素200をさらに含む。可変透磁率要素200は、第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成された第1の部分210と、第2の有効透磁率をもつ第2の材料から形成された第2の部分220と、を含む。可変透磁率要素200の実施例については後述する。本開示において、第1の材料の有効透磁率はμr1と示されており、第2の材料の有効透磁率はμr2と示されている。本実施形態において、第1の材料および第2の材料は、第1の材料および第2の材料の一方が他方よりも著しく高い有効透磁率をもつように選択される。例えば、第1の材料および第2の材料は、μr2≧10μr1となるように選択されてもよい。本実施形態において、第1の材料は、非強磁性材料であり、第2の材料は、強磁性材料である。
【0044】
可変透磁率要素200は、アクチュエータ(図示せず)に動作可能に接続され、可変透磁率要素200を作動させたときに、U字形状のコア120の第1の端部122および第2の端部124の前での第1の材料および第2の材料の同時且つ周期的な交互配置を生じさせる。本開示において、この交互配置における周波数は、f
1と示されている。例えば、
図1に示す可変透磁率要素200の位置では、第1の端部122および第2の端部124の両方の前に第2の部分220がある。換言すると、ワイヤコイル110によって生成された磁気的に対向する磁極は、可変透磁率要素200の第1の材料または第2の材料のいずれかの前に両方同時に存在する。
【0045】
ワイヤコイル110の磁気的に対向する磁極の前に配置された材料が周期的に変化すると、アセンブリ10によって生成された磁界が周期的に変化する。より具体的には、磁界は、可変透磁率要素200に対して磁力を発揮する。これは、可変透磁率要素200の作動によって対抗される。磁力は次式で表すことができる。
【数1】
ここで、Bは磁界、Mは可変透磁率要素200に誘導される磁気モーメントを表す。第1の端部122および第2の端部124の前での第1の材料および第2の材料の周期的な交互配置によって、アセンブリ10のインダクタンスの周期的な変化が引き起こされる。
【0046】
より具体的には、アセンブリのインダクタンスは、周波数f
1において高インダクタンス値L
maxと低インダクタンス値L
minとの間で周期的に変化する。高インダクタンス値と低インダクタンス値は次式で表すことができる。
【数2】
ここで、μ
0は自由空間の透磁率、Nはワイヤコイル110の巻数、A
0はワイヤコイル110の断面積、A
1は第1の部分210の断面積、A
2は第2の部分220の断面積、l
0はU字形状のコア120の長さ、l
1は第1の部分210の長さ、l
2は第2の部分220の長さを表す。
図1に示す実施例において、l
0、l
1、およびl
2は等しい。
【0047】
一部の実施形態において、アセンブリ10は、ワイヤコイル110に類似し、且つ直列に接続された複数のワイヤコイルを含むことができる。ワイヤコイルの各々は、磁気的に対向する1対の磁極を生成する。そのような実施形態において、ワイヤコイル110は、可変透磁率要素200の第1の部分210および第2の部分220の一方が生成された磁極のすべての前に同時且つ交互にあるように配置される。磁気的に対向する磁極の対を複数含むインダクタンスを変化させるアセンブリの例示的な実施形態については後述する。
【0048】
図2は、静電容量Cを有するキャパシタ20に電気的に接続され、それによって共振電気回路50が形成されるアセンブリ10の図である。電気回路50において抵抗率Rを有する構成要素30は、共振電気回路50の内部固有抵抗率(すなわち、アセンブリ10、キャパシタ20、および電気回路50の構成要素を接続する電線の抵抗率)を表す。実際、アセンブリ10はインダクタンスL(t)を有し、共振電気回路50は固有振動数f
0で共振する。固有振動数f
0は、アセンブリ10の抵抗率R、静電容量C、および平均インダクタンスL
avの値に少なくとも部分的に依存する。本実施形態において、L
av=(L
max+L
min)/2である。また、アセンブリ10に収集されるエネルギーは次式で表すことができる。
【数3】
ここで、i(t)は回路50に流れる電流を表す。
【0049】
使用時に、可変透磁率要素200の作動は、ワイヤコイル110によって生成された磁界を変化させる。電気回路50に発電装置がない場合でも、統計的変動による回路50内のランダムな電荷は、可変透磁率要素200を作動させたときにワイヤコイル110の前に配置された可変透磁率によって周期的に変化するのに十分高い相対的な大きさを有する磁界を生成する可能性がある。そのため、可変透磁率要素200の作動エネルギーは、アセンブリ10を介して磁気エネルギーに変換され、その後、静電エネルギーの形態でキャパシタ20によって蓄積されてもよい。
【0050】
本実施形態において、キャパシタCは、可変透磁率要素200の作動開始時に一般に電荷が空である。換言すると、キャパシタによって蓄積された電荷Q(t)はヌル(null)であり、Q(t=0)=0である。代替的な実施形態において、キャパシタは、可変透磁率要素200の作動前に充電されてもよく、この場合、Q(t=0)=Q0>0である。
【0051】
本実施形態において、第1の端部122および第2の端部124の前での第1の材料および第2の材料の交互配置における周波数f1(すなわち、アセンブリ10のインダクタンスL(t)の変化における周波数)は、f1=2f0であるように、電気回路の固有振動数50の2倍に設定される。
【0052】
図3Aおよび
図3Bは、アセンブリ10など、インダクタンスを変化させるアセンブリのロータ300の斜視図である。本実施形態において、ロータ300は、第1の有効透磁率をもつ第1の材料から形成されたロータ本体310を含む。第1の材料は、例えば、木材、プラスチック、アルミニウム、または真鍮から形成されてもよいが、これらに限定されるものではない。広義には、本実施形態において、第1の材料は、非強磁性で、1に近い有効比透磁率をもつ剛性の高い材料であってもよい。ロータ本体310は、本実施形態において第1の材料の一体的な単一のピースから形成されるが、代替的な実施形態において異なる複数のピースから形成されてもよい。例えば、ロータ本体310は、射出成形技術を用いて形成されてもよい。
【0053】
本実施形態において、ロータ300は、回転軸302に沿って画定された主方向に沿って延在する円筒形状を有する。使用時に、ロータ300は、アクチュエータ(例えばモータ)によって作動されて回転軸302を中心に回転する。ロータ本体310は、その中で、ロータ本体の長さH1の少なくとも大部分において、ロータ本体310の丸みを帯びた外面に延在する複数の凹部320を画定する。凹部320は、回転軸302と平行に延在する実質的に長方形の形状を画定する。本実施形態において、凹部320は、丸みを帯びた外面304上で互いに対して等距離に画定されている。より具体的には、丸みを帯びた外面304に沿って回転軸302に直交する連続する2つの凹部320の間の距離は、互いに等しい。
【0054】
また、
図3Bに最も良く示すように、ロータ300は、第2の有効透磁率をもつ第2の材料から形成された複数のバー350(図では1つのみを示す)を含む。バー350は、バー350が対応する凹部320内にそれぞれ配置されるように凹部320内に収容される。バー350は、固定部材、接着剤、またはバー350を凹部320内に維持するのに適した他の構成要素によって凹部内に維持されてもよい。
【0055】
第2の材料は、フェライトおよびパーマロイを含む材料群から選択される。広義には、本実施形態において、第2の材料は、永久磁化特性を有さない、強磁性で、1000よりも高い有効透磁率をもつ剛性の高い材料であればどのようなものであってもよい。本実施形態において、バー350を形成する第2の材料は、強磁性材料であり、第2の有効透磁率は、ロータ本体310の第1の有効透磁率よりも少なくとも10倍高い。代替的な実施形態において、ロータ300は、固有の凹部320と、固有の凹部320内に配置された固有のバー350と、を有することができる。凹部320およびバー350の数は限定されるものではない。
【0056】
例えば、インダクタンスを変化させるアセンブリ10の可変透磁率要素200は、本技術の非現実的な実施形態においてロータ300として実装されてもよい。
【0057】
図4は、本技術の一実施形態による、インダクタンスを変化させるアセンブリのステータ400の斜視図である。ステータ400は、磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成するように構成される。そのために、本実施形態において、ステータ400は、内部に電流が流れたときに、対応する磁気的に対向する少なくとも1対の磁極を生成する少なくとも1つのワイヤコイル410を含む。ワイヤコイル410は、銅から形成されてもよい。
図4に示す例示的な実施形態において、ステータ400は、6つのワイヤコイル410を含む(図では1つのみを示す)。ワイヤコイル410の各々は、動作中に磁気的に対向する1対の磁極を生成する。各対は、特に北磁極(図示せず)および南磁極424を形成する。6つのワイヤコイル410は、直列に接続される。ステータ400は、例えば固有のワイヤコイル410を含む代替的な実施形態において、異なる数のワイヤコイル410を含んでもよい。
【0058】
例示的な実施形態において、ステータ400は、主軸402に沿って画定された主方向に沿って延在する中空の円筒形状を有し、ステータ400の長さH
2は、主軸402に沿って画定される。また、ステータ400は、その内面430上に、ワイヤコイル410を維持するように構成されたアセンブリ10のU字形状のコア120(
図5参照)と同様の形状であってもよい複数のインダクタンスコアを画定する。インダクタンスコア405の各々は、その主要部分の周囲に巻かれた対応するワイヤコイル410を有する。ワイヤコイル410は、内面430に沿って互いに対して等距離であり、主軸402に対して直交している。
【0059】
本実施形態において、ワイヤコイル410は巻かれており、インダクタンスコア405は、磁極の各対の一方の磁極から同じ対の他方の磁極まで延在する線が主軸402と平行に延在するような形状を有する。換言すると、磁気的に対向する各対の磁極間の距離は、ステータ400の高さH2に沿っている(すなわち、主軸402によって画定された主方向に沿っている)。
【0060】
図5は、ロータ300とステータ400とを含む、インダクタンスを変化させるアセンブリ500の模式図である。より具体的には、ロータ300は、ロータ300の回転軸302が主軸402と整列するようにステータ400内に配置される。したがって、ロータ300は、ステータ400内の中心に配置され、使用時に、ステータ400の主軸402を中心に回転する。アセンブリ500は、回転軸302を中心とするロータ300の回転を提供するために、ロータ300に動作可能に結合されたアクチュエータ550をさらに含んでもよい。アクチュエータ550とロータ300との間の動作的結合は、例えば、アクチュエータ550からロータ300への結合力の伝達中の摩擦を低減するための磁気ベアリングを含むことができる、これに限定されるものではない。アクチュエータ550は、例えば、電気モータ、往復機関、プロペラ、またはそれに対する流体(空気や水など)の流れによって回転する任意のブレード配置であってもよい。ロータ300の回転は、例えばアクチュエータ550を介して、アクチュエータ550に流れる周囲空気の自然対流によって引き起こされてもよい。代替的な実施形態において、ロータ300の回転は、別の作動要素によって提供されてもよい。
【0061】
本実施形態において、ロータ300に含まれるバー350の数は、ステータ400によって生成された磁気的に対向する磁極の対の数に等しい。代替的な実施形態において、バー350の数は、磁気的に対向する磁極の対の数より多くてもよい。
【0062】
使用時に(すなわち、回転軸302を中心とするロータ300の回転時に)、バー350の各々がステータ400によって生成された磁気的に対向する磁極の各対の前に連続的且つ周期的に配置され、同じ対の両方の磁極がバー350の前に同時にあるように、バー350およびワイヤコイル410が配置される。換言すると、同じ1つのワイヤコイル410によって生成された磁気的に対向する磁極の同じ対の磁極は、同じ1つのバー350の前に同時且つ周期的に配置される。また、本実施形態において、回転軸302を中心とするロータ300の回転時に、丸みを帯びた外面304および複数のバー350がワイヤコイル410および/またはステータ400によって画定されたインダクタンスコアの第1および第2の端部に十分に接近して配置されて、磁気的に対向する磁極が一般にロータ本体310および複数のバー350と磁気的に相互作用するように、ロータ300およびステータ400の幾何学的寸法が設定される。例えば、所与のワイヤコイル410とロータ300との間の、回転軸302に対して直交して測定された距離は、1ミリメートルである。広義には、ロータ300は、回転軸302を中心とするロータ300の回転時に、ワイヤコイル410のうちの1つによってロータ300の最も近い部分(すなわち、ロータ本体310の一部にあるバー350のうちの1つ)に加えられる磁力の大きさが所定の閾値を上回るように、ステータ400内に配置される。これにより、ワイヤコイル410とロータ300との間の磁気相互作用が確保される。そのため、ロータ300は、ステータ400に隣接しているといえる。
【0063】
また、バー350およびワイヤコイル410は、使用時に、ステータ400によって生成された磁気的に対向する磁極のすべての対が同時に1つのバー350に対向するように配置される。
図1に示すアセンブリ10について説明したように、同じ原理および計算が、インダクタンスを変化させるアセンブリ500のインダクタンスL’(t)にも適用される。これにより、L’(t)は、高インダクタンス値L’
maxと低インダクタンス値L’
minとの間で周期的に変化するようになる。これは、次式で表すことができる。
【数4】
ここで、μ
0は自由空間の透磁率、μ’
r0はステータ400を形成する材料の有効透磁率、μ’
r2はバー350を形成する材料の有効透磁率、μ’
r1はロータ本体310を形成する材料の有効透磁率、N’はワイヤコイル410の巻数、mはワイヤコイル410の数(すなわち、ステータ400によって生成された磁気的に対向する磁極の対の数)、A’
0はワイヤコイル410の断面積、A’
1はロータ本体310の断面積、A’
2は所与のバー350の断面積、l’
0は主軸402に沿ったインダクタンスコア405の長さ、l’
1は主軸402に沿ったロータ本体310の長さ、l’
2は主軸402に沿ったバー350の長さを表す。
【0064】
本実施形態において、インダクタンスコア405の有効透磁率およびバー350の有効透磁率は等しい(すなわち、μ’
r0=μ’
r2)。また、インダクタンスコア405の断面積A’
0は、バー350の断面積A’
2に等しい。したがって、高インダクタンス値L’
maxは次式で表すことができる。
【数5】
【0065】
このため、アセンブリ500のインダクタンスは次式で表すことができる。
【数6】
ここで、L’
0はアセンブリ500のインダクタンスの平均値を表し、ΔLはΔL=(L
max-L
min)/2であるようにインダクタンスの変化における振幅を表し、ω
1はω
1=2πf
1を満たす。ここで、f
1はアセンブリ500のインダクタンスの変化における周波数を表し、特にワイヤコイル410の数に依存する。本実施形態において、f
1=m’.f
rotである。ここで、f
rot=ω
rot/2πであり、ω
rotは回転軸302を中心とするロータ300の回転速度を表す。少なくとも一部の実施形態において、m’はmよりも大きい。
【0066】
図6は、静電容量Cを有するキャパシタ20に電気的に接続され、それによって共振電気回路60が形成されるアセンブリ500の電気回路図である。本実施形態において、構成要素30は、共振電気回路60の内部固有抵抗率(すなわち、アセンブリ500、キャパシタ20、および電気回路60の構成要素を接続する電線の抵抗率)を表す。実際、アセンブリ500はインダクタンスL’(t)を有し、共振電気回路60は固有振動数f’
0で共振する。固有振動数f’
0は、アセンブリ500の抵抗率R、静電容量C、および平均インダクタンスL’
0の値に少なくとも部分的に依存する。
【0067】
本実施形態において、固有振動数f’
0は次式で表すことができる。
【数7】
【0068】
アセンブリ500のワイヤコイル410に収集されるエネルギーは次式で表すことができる。
【数8】
ここで、i(t)は回路60に流れる電流、φは任意の定位相を表す。
【0069】
本実施形態において、ステータ300の回転速度は、f
1=2.f’0であるように設定され、これにより、電気回路60の共振と一致する。このため、アセンブリ500が受け取る磁気エネルギーは、インダクタンスが変化しない場合に比べて、その振動中に
【数9】
が増加したときに増加する。そのため、ロータ300の作動エネルギーは、アセンブリ500を介して磁気エネルギーに変換され、その後、静電エネルギーの形態でキャパシタ20によって蓄積されてもよい。
【0070】
本実施形態において、キャパシタCは、可変透磁率要素200の作動開始時に電荷が空である。換言すると、キャパシタによって蓄積された電荷Q(t)はヌルであり、Q(t=0)=0である。代替的な実施形態において、キャパシタは、ロータ300の作動前に充電されてもよく、この場合、Q(t=0)=Q0>0である。
【0071】
図7の例示的な実施形態が示すように、電気回路60は、電力が供給される負荷700をさらに含む。負荷700は、例えば、キャパシタ20に並列に接続されてもよい。これにより、静電エネルギーは、キャパシタ20から負荷700に伝達される。このようにして、回路60から負荷700に電力が供給される。負荷700は、例えば、自動車のエンジン、または電力が供給され得る他の負荷であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0072】
少なくとも一部の実施形態において、回転軸302を中心とするロータ300の回転を提供するアクチュエータ550は、回路60に電気的に接続される。これにより、アクチュエータ550の電力入力が電気回路60自体によって部分的に提供される。例えば、回路60は、風車に実装されてもよい。この場合、風の運動エネルギーがアクチュエータ550の入力エネルギーの少なくとも一部を提供する。これにより、回転軸302を中心とするロータ300の回転が開始される。したがって、電流の共振振動が電気回路60に生成され、キャパシタ20によって収集された電気エネルギーが負荷700(例えば風車のモータ)にさらに伝達されてもよい。このように、使用時に、風の運動エネルギーから受け取ったエネルギーは、アセンブリ500のアクチュエータ550を動作するために使用されてもよく、且つ/またはその蓄積のために収集されてもよい。これにより、風車は、標準的な電力源なしで動作することができる。
【0073】
以上、特定の特徴および構造を参照して実施形態を説明したが、そのような開示から逸脱することなく、様々な修正および組み合わせが可能であることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、単に、特許請求の範囲で定義される上述した実施例または実施形態およびそれらの原理の例示としてみなされるものであり、本開示が包含する任意およびすべての修正、変形、組み合わせ、または均等物を含むことが企図されている。
【国際調査報告】