(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】物体を滅菌/消毒装置内に保持するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61L2/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536430
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 AU2022051521
(87)【国際公開番号】W WO2023115108
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510339197
【氏名又は名称】サバン ベンチャーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンタナロ,ティモシー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アスパ,リゴール デル ムンド
(72)【発明者】
【氏名】オルモード,ジョセフ サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ボルトルッジ,ジャンルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ヒバード,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ファルジア,スティーブン ポール
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058EE03
4C058EE12
4C058EE22
(57)【要約】
本発明は医療装置を滅菌又は消毒装置内に保持するためのデバイスであり、前記デバイスは、使用時に前記医療装置の一部を完全に取り囲むように構成された閉鎖クレードルであって、前記医療装置と接触するための複数の突起を含む医療装置に面する側を有するクレードルと、前記滅菌又は消毒装置とインタフェースし前記滅菌又は消毒装置の動作中に前記クレードルを前記滅菌又は消毒装置内に保持するように構成されたクレードルサポートと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を滅菌又は消毒装置内に保持するためのデバイスであって、
使用時に前記医療装置の一部を完全に取り囲むように構成された閉鎖クレードルであって、前記医療装置と接触するための複数の突起を含む医療装置に面する側を有するクレードルと、
前記滅菌又は消毒装置とインタフェースし前記滅菌又は消毒装置の動作中に前記クレードルを前記滅菌又は消毒装置内に保持するように構成されたクレードルサポートと、を含む、デバイス。
【請求項2】
前記クレードルサポートは、細長いシャフトと前記クレードルの間を延在する少なくとも1つのアームを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記クレードルサポートは、前記少なくとも1つのアームと前記細長いシャフトの間にあるスペーサーを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアームは、前記シャフトの縦軸に対して片側にオフセットされる、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記クレードルサポートは、前記細長いシャフトと前記クレードルの間を延在する2つのアームを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記クレードルサポートは、前記少なくとも1つのアームと前記細長いシャフトの間にあるスペーサーを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アームは、前記シャフトの縦軸に対して片側にオフセットされる、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記細長いシャフトは、前記滅菌又は消毒装置における開口に着座するためのテーパ部分を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アーム上又は前記複数のアーム上に位置する1つ又は複数のリブを含む、請求項2から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記スペーサー上の1つ又は複数のリブを含む、請求項2から9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記リブは機械的支持を提供する、請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記リブは前記デバイスを前記滅菌又は消毒装置内で方向指定する、請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアームより遠位にある平坦部分を含む、請求項2から12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアームより遠位にあるループを含む、請求項2から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
単一形態である、請求項1から14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の突起の1つ又は複数が取り外し可能である、請求項1から14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記突起は前記クレードル内のソケットに係合するキャップの形である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記突起は前記クレードル上のスタブに係合するキャップの形である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
過酸化水素又は過酢酸等のような所定の消毒剤又は滅菌剤に耐性のある材料から形成された、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
ナイロン、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリカーボネート、PET、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はそれらの混合物から形成された、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
UV透過性の材料から形成された、先行する請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物体を滅菌装置内に保持するためのデバイスに関する。より具体的には、本発明は、超音波プローブ等のような医療装置を滅菌装置内に保持するためのデバイスに関する。説明の便宜上、本出願の大部分はその文脈を参照するが、本発明はこの特定の使用分野に限定されないことは理解されるであろう。
【背景技術】
【0002】
以下の先行技術についての検討は、本発明を適切な技術的文脈に位置付け、関連利点を十分に理解可能にすることを目的とする。しかし、明細書全体を通じて先行技術についてのいかなる検討も、かかる技術が広く知られているか又は当分野の一般的な常識の一部を形成していることを認めるものと見なすべきではない。
【0003】
超音波プローブは、直腸内、膣内及び食道検査を含む様々な腔内処置及び表面用途に使用される。これらのプローブは、典型的に、プローブを制御コンソールと接続するための電源コード及びデータコードと一体的に構築される。
【0004】
プローブは、比較的高価であり、相互汚染を避けるために患者使用の合間に消毒又は滅菌が必要である。用語「消毒」及び「滅菌」は、記載される概念が両方の文脈に適用できるため、本出願全体を通じて互換的に使用されることを理解すべきである。同様に、用語「消毒する」及び「殺菌する」は、本出願全体を通じて互換的に使用される。
【0005】
プローブは、使用後に手動で洗浄できるが、高スループットで確実に再現可能な、証明可能な消毒、及び操作者の安全のために、自動消毒又は滅菌プロセスが望ましい。自動消毒又は滅菌装置は、典型的に、中空のチャンバー内でプローブの消毒又は滅菌を実行する。かかる装置が使用される場合、プローブは通常、弾性クランプを使用してプローブのコードを係止することでチャンバー内の所定位置に保持され、それによってプローブはキャビティ内の所定位置に吊り下げることができる。プローブの表面は、他のいかなる物体又は表面とも接触しない。プローブが適切に位置決めされると、消毒又は滅菌装置のチャンバーが密閉される。
【0006】
次に、消毒又は滅菌プロセスが始まり、ここで通常はペルオキシ化合物である消毒又は滅菌ガス、スプレー又はエアロゾルが、プローブの露出表面に所定時間塗布される。この段階が完了した後、プローブとチャンバーが真空にされ、必要に応じて乾燥される。次に、チャンバーの密閉が解除され、プローブが取り外されて使用に備える。
【0007】
代替アプローチにおいて、消毒又は滅菌プロセスには、UV又は他の形態の消毒又は滅菌放射線が使用される。チャンバー内のプローブの露出表面は、放射線に所定時間さらされ、その後、放射線が停止し、プローブが取り外されて使用に備える。
【0008】
化学及びUV滅菌又は消毒の両方が順次、任意の順序、又は同時に適用されるアプローチも採用できる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態に係るシステム及び方法は、消毒/滅菌媒体に関して消毒における遮蔽を低減できるように消毒/滅菌チャンバー内の消毒/滅菌物体を保持するように作用する。
【0010】
一実施形態において、本発明は、医療装置を滅菌又は消毒装置内に保持するためのデバイスであって、
使用時に前記医療装置の一部を完全に取り囲むように構成された閉鎖クレードルであって、前記医療装置と接触するための複数の突起を含む医療装置に面する側を有するクレードルと、
前記滅菌又は消毒装置とインタフェースし前記滅菌又は消毒装置の動作中に前記クレードルを前記滅菌又は消毒装置内に保持するように構成されたクレードルサポートと、を含む、デバイスを提供する。
【0011】
前記医療装置はプローブ、例えば、超音波プローブであってもよい。より具体的には、前記装置は、無線、例えば無線プローブ又は無線超音波プローブであってもよい。
【0012】
前記クレードルサポートは、細長いシャフトと前記クレードルの間を延在する少なくとも1つのアームを含み得る。前記クレードルサポートは前記少なくとも1つのアームと前記細長いシャフトの間にあるスペーサーも含み得る。前記少なくとも1つのアームは前記シャフトの縦軸に対して片側にオフセットされ得る。
【0013】
一実施形態において、前記クレードルサポートは前記細長いシャフトと前記クレードルの間を延在する2つのアームを含む。前記クレードルサポートは前記少なくとも1つのアームと前記細長いシャフトの間にあるスペーサーも含み得る。前記アームは前記シャフトの縦軸に対して片側にオフセットされ得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記細長いシャフトは前記滅菌又は消毒装置における開口に着座するためのテーパ部分を含み得る。他の実施形態において、前記シャフトはテーパを含まない(例えば、前記消毒チャンバー内に保持されるアクセサリにはテーパが必要でない場合がある)。
【0015】
1つ又は複数のリブは前記アーム上又は複数のアーム上及び/又は前記スペーサー上に位置し得る。前記リブは機械的支持を提供し得及び/又は前記デバイスを前記消毒又は滅菌装置内で方向指定し得る。
【0016】
前記デバイスは前記少なくとも1つのアームより遠位にある平坦部分及び/又はループを含み得る。
【0017】
前記デバイスは単一(即ち一体構造)形態である。いくつかの実施形態において、前記デバイスは複数の部品から構成され得る。例えば、前記クレードルは、1つの部品を定義し得、前記突起(複数可)は他の各部品を定義し得る。
【0018】
前記デバイスは任意の好適な材料(複数可)から形成され得る。例えば、好適な材料は、利用される消毒剤に耐性のある材料、及び/又は接合面(例えば前記医療装置と前記突起(複数可)の間のインタフェースによって定義された接合)への前記消毒剤の送達を容易にする材料を含む。考慮された消毒剤は過酸化水素及び/又は過酢酸を含み得る。例示的な材料は、ナイロン、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリカーボネート、PET、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はそれらの混合物を含む。
【0019】
前記デバイスは、UV透過性の材料から形成され得る。例示的な材料は、石英ガラス及び/又は透明/半透明メタクリレート系ポリマーを含み得る。
【0020】
この明細書全体を通じて「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、前記実施形態に関連して説明される特定の機能、構造又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、この明細書全体を通じて多くの箇所に現れる「1つの実施形態において」、「いくつかの実施形態において」又は「一実施形態において」といった語句は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではないが、そうである場合もある。更に、1つ又は複数の実施形態において、前記特定の機能、構造又は特徴は、この開示から当業者に自明であるように、任意の適切な方式で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【0022】
【
図2】本発明の1つの実施形態に係るデバイスと滅菌又は消毒装置の係合を示す。
【
図3】本発明のデバイスの1つの実施形態に係るスペーサー及びアーム部分の拡大詳細図である。
【
図4】本発明のデバイスの1つの実施形態に係る上平坦部分及びループの使用の例を提供する。
【
図5A】本発明の1つの実施形態に係るデバイスにプローブを装着・脱着する各方法を図示する。
【
図5B】本発明の1つの実施形態に係るデバイスにプローブを装着・脱着する各方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最近、コード付きプローブの望ましい代替としてコードレスプローブが登場している。無線接続及び電池技術の進展に伴い、それらはより一般的になっている。
【0024】
コードレスプローブは、使用できる場所の制限が少なく、患者の検査中により操作しやすく、一般に取り扱いと保管がより容易であるため、臨床現場においてユーザに好まれることが多い。
【0025】
しかし、コードレスプローブへの移行は、新たな課題をもたらす。プローブへの電力供給及びそこからのデータ送信に加えて、これらのコードは、プローブの保管及び洗浄中に事実上のサポートとして使用されており、プローブを表面と接触しない方式で維持することを可能にし、これはプローブが汚染された場合に望ましく、プローブが清潔である場合に重要である。コードを失われると、新たにサポート手段を探さなければならないことになる。
【0026】
コードレスインスツルメントは、プローブ表面とのいかなる接触点も消毒又は滅菌を妨げるという事前の予想により、従来から消毒又は滅菌チャンバーに吊り下げることはできなかった。しかし、これまでの研究では、接触点の材料及びサイズが制御される場合に、好適な検証レベルの消毒又は滅菌が達成できることが立証されている。
【0027】
コードレスプローブを吊り下げる以前のアプローチは、様々な構成のデバイスを収容できる網袋又はメッシュ袋を含んでいる。しかし、何らかの状況では、コードレスプローブを吊り下げる他の手段が好ましい場合がある。
【0028】
以下に添付図面を参照しながら本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。図面全体を通じて、同じ要素は同じ参照番号で表示する。以下の説明において、説明を簡潔で明確にするために、本明細書に組み込まれる既知の機能及び構成の詳細な説明は省略する。
【0029】
超音波プローブは、直腸内、膣内及び食道検査を含む腔内処置、及び出生前検査と他の検査等のような表面用途に使用される。これらのプローブは、プローブに給電し制御コンソールへ接続するために、典型的に電源/データコードと一体的に構築されている。ほとんどの場合、プローブは完全に滅菌する必要がないが、定期的な消毒が必要である。通常、相互汚染を防ぐために使用の合間に少なくとも高レベルの消毒が行われる。この点について、相互汚染の可能性を最小限に抑えるために、消毒プロセスによって達成される汚染物質の除去レベルは、典型的に、関連医療基準によって規制される。
【0030】
典型的に、使用時、滅菌又は消毒装置の扉が開かれて内部チャンバーが露出し、次に要滅菌又は要消毒のプローブがチャンバー内に配置され、所定の位置に固定される。続いて扉が閉じられ、滅菌又は消毒プロセスが開始される。
【0031】
1つの実施形態において、ミスト化/気化滅菌又は消毒流体の形態の滅菌又は消毒媒体が滅菌又は消毒チャンバーに導入される。流体は、所望レベルの滅菌又は消毒を確保するために、滅菌又は消毒プロセス中に超音波プローブの周りを所定時間旋回するように分散される。次に、この流体がチャンバーから分散され(出口で触媒的に破壊され)、その後、プローブの外面を乾燥させるために空気の流れが導入され得る。このプロセスの完了時に、プローブの外面は滅菌又は消毒されたと認められ、プローブから取り外されて使用することができる。
【0032】
ミスト化滅菌又は消毒流体は、ある量の制御された超微細過酸化水素(H2O2)又は過酢酸を含み得、それらはサイドポートを通ってチャンバーに入り、プローブの表面全体を覆うように周囲を緩やかに旋回する。ミスト粒子は、プローブ表面上の隙間、溝及び欠陥によって形成されたシャドウ領域を含むプローブの露出領域を通過し得る。滅菌又は消毒プロセスの一環として、ミスト流を停止し、チャンバーの内側に空気の流れを導入し、それによってプローブの露出表面が十分なレベルまで乾燥できるようにする。この点について、プローブ表面の乾燥は、ミスト化滅菌又は消毒流体を使用する場合、滅菌又は消毒流体がプロセス完了時にプローブ表面から実質的に除去できるように、滅菌又は消毒プロセスの重要な態様であり得ることを理解されたい。
【0033】
プローブは、通常、チャンバーの頂部に配置されたクランプによって滅菌又は消毒装置のチャンバー内に固定される。このクランプは、プローブの電源/データコードと係合することで、滅菌又は消毒プロセス中にプローブをチャンバーに吊り下げることが可能になる。しかし、上述したように、超音波プローブ、及び実際には滅菌又は消毒を必要とする他の医療物体が、外部コードを必要としないように内部電源及び無線通信デバイスを備えて開発されているという問題が存在する。チャンバー内にプローブを吊り下げる背景において、コードの不在は、単にチャンバー内に無線プローブを載置すると、チャンバー壁と接触するこれらの領域に消毒媒体が到達することが阻害され得るという点で、問題があることを理解されたい。無線プローブをチャンバー壁上に載置すると、温度によってプローブが損傷されるか又は乾燥段階で消毒剤が除去できなくなる可能性もある。
【0034】
同様に、従来のブラケットを用いてチャンバー内でプローブを吊り下げると、ブラケットが滅菌又は消毒媒体を遮断するため、ブラケットと接触しているプローブの領域が十分に滅菌又は消毒されない結果となる可能性がある。言い換えれば、そのような支持構造は、滅菌又は消毒媒体がそれぞれの遮蔽表面に到達するのを妨げ得る。このような状況では、汚染物質の除去レベルが規制医療基準を満たすには不十分である可能性がある。
【0035】
この問題を念頭に置きながら、本発明の実施形態に係るデバイスは、滅菌又は消毒の目標物を滅菌又は消毒チャンバー内に保持する一方で、遮蔽の発生を減らし、発生する場合に遮蔽の悪影響を軽減するように作用し、このような遮蔽は対応する支持構造から生じる場合がある。
【0036】
図1は、本発明の特定の実施形態に係る、物体を滅菌/消毒チャンバー内に保持するデバイスの1つの実施形態を示す。示された実施形態は、スペーサー2に取り付けられた細長いシャフト1を含み、該細長いシャフト1には、スペーサー2から下向き且つ外向きに延在する2つのアーム3が接続される。アーム3は、閉鎖ループの形のクレードル4を支持し、該クレードル4は、使用時にプローブ等のような医療デバイスの周辺を完全に取り囲むように構成される。ループの内側の面は、プローブ又は他の医療デバイスと接触するための複数のドーム又は突起5を有する。
【0037】
本出願では、用語「周辺の(circumferential)」、「取り囲む」は、例えば、クレードルがプローブを完全に囲むことを意味すると理解されてもよく、これらの用語は必ずしもクレードルを円形に限定するものではない。クレードルは、例えば、長方形のクレードル、六角形のクレードル、正方形のクレードル、楕円形、菱形のクレードル等であってもよい。
【0038】
シャフト1は、シャフトがスペーサーに向かって内側に先細になるテーパ領域6を含む。このテーパ部分は、プローブホルダ使用時に医療デバイスの開口への摩擦嵌め又は圧力嵌めを提供するように機能する。デバイスは、シャフトの任意の部分との接触によって保持され得る。1つの実施形態において、シャフトはクランプ又はカムによって把持される。別の実施形態において、プローブホルダは、重力の影響で下向きにされ、テーパ部分を押して、プローブ電源コード等の通過又は保持を実現するために通常使用される開口と係合させる。開口は、シャフト及びテーパ領域と同様に、一般に、円形の断面を有するが、プローブホルダは、滅菌又は消毒デバイスの開口に対応する任意の好適な断面を有し得ることが理解される。テーパ部分6上方のシャフト20の部分は、一般に、滅菌/消毒デバイスの開口の直径以上の直径としてもよく、一方、テーパ部分下方(即ちテーパ部分6とスペーサー2の間)のシャフト21の部分は、一般に、滅菌/消毒デバイスの開口の直径以下の直径としてもよい。
【0039】
図1は物体を滅菌/消毒デバイス内に保持するためのデバイスの1つの特定のフォームファクタを示すが、提案されたデバイスは、本発明の実施形態に係る閉鎖ループクレードルを支持できる任意の好適なフォームファクタとしてもよいことを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態において、クレードルを支持するために1つのみのアームが使用される。いくつかの実施形態において、突起はピラミッド形としてもよい。
【0040】
図2は、本発明の実施形態に従って
図1の実施形態を消毒/滅菌デバイスにインストールする方法を示す。
図2中、テーパ部分6は、コードを収容するために通常使用される滅菌又は消毒デバイス10における開口9との圧力嵌めを形成する。この場合、テーパ部分6は、矢印11の方向(一般的には下方向)に移動してテーパ部分6を開口9のリムと周方向に係合させることが見える。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、デバイス内のプローブの重量は、テーパ部分6と開口9のリムとの密閉係合を維持するのに役立ち得る。
【0042】
テーパシャフト6は、様々なクランプ機構(異なるバネ式クランプ及び異なるサイズのコード開口等)との互換性を提供する。
【0043】
また、
図2は開示されたデバイスが滅菌/消毒チャンバーとインタフェースする方式の1つを示すが、物体を滅菌/消毒チャンバー内に保持するためのデバイスは、本発明の様々な実施形態に従って、様々な方式のいずれかで滅菌/消毒チャンバーとインタフェースできることを理解すべきである。例えば、特定の実施形態に従って取り付け機構がシャフトに統合され得る。
【0044】
【0045】
図3から見えるように、スペーサー2は、アームがスペーサーから外側に延在し、更に両方のアームが片持ち支持されてシャフトによって定義された軸31の片側にオフセットされるような配置で、2つのアーム3を支持する。この配置は、プローブがクレードル内に位置する場合、アームがプローブの片側の隅に向かって位置することを意味する。
【0046】
この配置は、プローブの重心がシャフト31の垂直軸に又はそのすぐ近くに維持されるような配置である。更に、プローブはアーム3によって画定された領域内に支持される。このように、デバイスは、保持時にプローブの安定性を提供でき、更にホルダの疲労及び応力を最小化するように機能でき、ここでホルダの様々な点での曲げ力が回避又は最小化され、引張力のみが支配的となる。
【0047】
本発明の様々な実施形態に係るデバイスは、必要に応じて、様々な箇所で、リブ等のような強化構造を含み得る。例えば、アームは、1つ又は複数のリブを更に含み得る。これらのリブ、例えばアームがスペーサーに取り付けられたリブ32等は、曲げ部又は断面が変化する箇所若しくはその近くで、片持ちアームに機械的支持を提供することができる。本発明は、二つ(2)超のアームを実装する実施形態も包含し、例えば、デバイスは三つ(3)のアーム又は四つ(4)のアームを含み得る。各アームは同じであってもよく、又は、例えば、代替チャンバー構成を収容するために、異なる構成であってもよい。
【0048】
更に、デバイスは、滅菌器内でホルダを正しい位置又は好ましい位置に位置決め又は方向指定するのを支援する手段として、1つ又は複数のリブ又は1つ又は複数の他の突起を含み得る。1つの実施形態において、デバイスは、滅菌器内での誤った位置決めを防止するために、スペーサー部分上に位置決めされた突起又はリブ33を含む。
【0049】
アーム3は、任意の長さとしてもよいが、滅菌又は消毒流体がデバイスと自由に接触でき且つアームがデバイスを滅菌剤から遮蔽したりシャドウしたりすることなく、クレードル内の無線プローブを収容するのに十分な長さにされる。アームは、滅菌又は消毒チャンバーに適合するサイズにする必要もある。
【0050】
クレードル4は、把持されるように設計された適切なサイズのプローブの全周にわたっている。クレードルは、プローブの全周にわたって十分なクリアランスを提供し、良好な滅菌又は消毒を確保し、可能なシャドウ領域の存在を回避するようなサイズにされる。
【0051】
多くの実施形態において、クレードル自体は、プローブと直接接触するのではなく、クレードルの内面は、プローブと接触しプローブを、クレードル4及び/又はアーム3又はスペーサー2等のようなデバイスの他の部分と離間した配置に維持するように位置決めされた複数の突起5を含む。つまり、使用時に、プローブとデバイスとの間の唯一の接触点は、クレードルの内面上の突起5である。
【0052】
突起は、一般に、プローブホルダによるプローブ表面の遮蔽の程度を最小化するように構成される。
【0053】
したがって、突起5は、プローブと接触する表面積が可能な限り小さくなるように円錐、ドーム等の形に形成されてもよく、それによって、プローブとの接合面を最小化し、滅菌又は消毒流体との接触を最大化することができる。
【0054】
1つの実施形態において、クレードル4の内面に4つの突起5が設けられる。プローブを安定化する必要性と、突起に接触するプローブの総表面積を最小化する必要性とを考慮して、任意の数の突起を使用してもよい。
【0055】
突起5は、デバイスもクレードル4から離間してシャドウイングを回避しプローブ表面と滅菌又は消毒流体との自由な接触を可能にするような高さとする。
【0056】
いくつかの実施形態において、突起(複数可)は、クレードルの内面以外のデバイス部分にも存在し得る。例えば、突起は、クレードルの外面上、アームの1つ又は複数上、スペーサー上又はシャフト上に存在し得る。突起は、例えば、滅菌装置内でのホルダのアライメントを補助するか又はホルダと他の物体との接触干渉を最小化するように機能し得る。
【0057】
突起はホルダと一体に形成されてもよく、又は取り外し可能にしてもよい。例えば、突起は別々に形成された消耗品であってもよく、ここで突起及びホルダは突起とホルダの接触を維持する補完的な戻り止め手段を有する。1つのかかる実施形態において、突起は、ホルダ上のソケットに差し込む(又はねじ込むかあるいは係合する)キャップの形である。代替実施形態において、突起は、スタブに嵌合する(例えば圧力嵌め、螺合又は他の係合方式)キャップの形である。そして、突起は、滅菌サイクルの合間に又は摩耗次第に交換できる。
【0058】
別々に形成された突起は、様々な形状及びサイズで設けられ得、これにより、様々なプローブタイプに合わせて適切に構成された突起を選択することができ、例えば、収容されるプローブが小さいほど、内面上の突起を大きく選択してもよい。突起を組み合わせてマッチさせることができるため、滅菌のために保持されるプローブの構成が幅広くなる。
【0059】
突起(クレードルと一体に形成されたもの又は消耗品)は、突起に嵌着可能なアダプター、例えば、突起が更に突出できるように突起上に置かれ得るキャップに適応するように構成されてもよい。かかるキャップは、例えば、簡単な圧力嵌めによって突起上に保持し、必要に応じて使用後に取り外すことができる。
【0060】
ホルダは、ホルダ及び/又はホルダ内に保持されたプローブの取り扱い及び/又は認識を容易にする上部分も有し得る。図面を参照すると、
図4は、デバイスの頂部に向かってテーパ部分の上方に位置する平坦部分7を示す。平坦部分7は使用時に滅菌器から突出し、テーパ部分の下方のクレードル内に位置する汚染されたプローブ(消毒前)又は滅菌プローブ(消毒後)と接触することなくホルダを掴んだり扱ったりすることを可能にするように機能する。
【0061】
平坦部分は、手動接触点を提供するだけでなく、ホルダ及び/又はプローブの追跡に使用できる標識41等、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、及びRFIDチップ等を載せるためにも役立ち得る。
【0062】
加えて、デバイスは、例えばフックに吊り下げられるようにデバイスの保管を支援し、タグ42又は他の識別子の添付も可能にするために使用できるループ8も含み得、該ループ8も滅菌部分の上方に位置する。これらの識別子は、ホルダ及び/又はプローブを追跡し、プローブ及び/又はプローブホルダの状態及び位置に関するリアルタイム情報を提供するために使用できる。また、タグは、例えば、バーコード、QRコード、及びRFIDチップ等であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイス又はプローブを特定の滅菌又は消毒サイクルまで追跡できるように、一意の識別子を添付することができる。一意の識別子は、RFIDタグ又はバーコード/QRコード等のようなデジタルソリューションの形としてもよい。あるいは、一意の識別子は、シリアル番号等のようなアナログソリューションとしてもよい。別の実施形態において、支持部材は、特定の滅菌又は消毒サイクルまで支持部材を追跡できるように、埋め込まれた一意の識別子を有するものとする。
【0064】
開示されたフォームファクタは、保持機構の使いやすさを増加させることができる。
図5は、本発明の実施形態に従ってプローブを開示された保持具で挿入する方法を示す。1つの実施形態において、プローブ51は、まずクレードル4内に装着されて、突起5とインタフェースする。「頂部装着(top-loading)」性質の手順により、簡潔さ及びほぼ確実な動作が可能になる。例えば、重力により、プローブが常に所望の配置/配向で突起と相互作用することができる。装着の容易さは脱着の容易さにも当てはまることを理解すべきである。脱着のプロセスはプローブをクレードル4から取り出す逆のプロセスである。
【0065】
プローブが突起5上に装着されると、プローブの重量がシャフト1によって支持され、その後、滅菌器内にこのアセンブリを挿入でき、そこで、シャフト1のみが支持され、アセンブリが滅菌又は消毒のために保持される。
【0066】
あるいは、保持機構をまず滅菌器内に配置し、その後プローブを装着してもよい。
【0067】
滅菌又は消毒が完了した後、保持機構発明を滅菌器から一緒に取り外してもよく、又はプローブを保持機構から取り外してもよい。
【0068】
開示された保持機構は、滅菌又は消毒を損ない得る継手及び接合面の形成を回避するために単一構造としてもよい。いくつかの実施形態において、デバイスは、複数の部品から構成されてもよい。例えば、クレードルは1つの部品を定義し得、突起(複数可)は他の各部品を定義し得る。
【0069】
デバイスは、例えば射出成形のように成形されてもよく、印刷されてもよく、又は造形によって形成されてもよい。
【0070】
デバイスの表面は、微生物が潜む可能性のある部位を除去するために研磨されてもよく、又はデバイスは、円滑な表面、及び/又は抗菌性表面、及び/又は滅菌剤又は消毒剤に対する耐性が増強された表面を確保するために、好適な材料のコーティングが施されてもよい。
【0071】
デバイスは任意の好適な材料(複数可)から形成され得る。例えば、好適な材料は、利用される消毒剤に耐性のある材料、及び/又は接合面(例えば医療装置と突起(複数可)の間のインタフェースによって定義された接合)への消毒剤の送達を容易にする材料を含む。考慮された消毒剤は、過酸化水素及び/又は過酢酸を含み得る。例示的な材料は、ナイロン、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリカーボネート、PET、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はそれらの混合物を含む。これらの材料は、液体化学消毒剤が接合面に浸透しやすくなるような好ましい吸上特性を有し得る。理解できるように、異なる部品は異なる材料から形成できる。
【0072】
いくつかの消毒/滅菌装置は、内部に実装されたランプ(複数可)又は他の放射線源(複数可)から放射されて消毒中の物体の外部表面に到達するUV(紫外線)又はガンマ線を、消毒媒体として利用する。UV又はガンマ線は、強力な殺菌効果を有する。それらは存在するあらゆる微生物のDNAに吸収されて、その構造を破壊し、任意の生細胞を不活性化することができる。ウイルス、細菌、酵母、真菌等のような微生物は、UV照射によって数秒内に無害化され得る。
【0073】
したがって、開示された保持機構は、本発明の様々な実施形態に従って、UV線及び/又はガンマ線を透過させる材料から作製されてもよい。例えば、好適な材料は、石英ガラス及び/又は透明/半透明メタクリレート系ポリマーを含み得る。当然、本発明の実施形態に従って任意の好適な材料が使用され得ることを理解すべきである。
【0074】
このように、電磁放射線の適用に基づいた滅菌又は消毒チャンバー内で使用するためのアクセサリは実現できる。
【0075】
開示された保持機構は、放射線透過性材料から作製される場合、滅菌流体及び電磁放射線の両方が使用される混合モードの消毒、例えば、UV/過酸化物又はUV/過酢酸組み合わせ滅菌システムに特に適する可能性がある。例えば、UV線と消毒化学物質の両方を効果的に透過させる材料を利用することで達成できる。あるいは、機構の本体はUV透過性材料から作製されてもよく、機構の突出部品(複数可)は、接合面への消毒剤化学物質の送達を容易にするのに適した材料から作製されてもよい。このように、(1)消毒化学物質が消毒すべき物体全体に到達でき、(2)消毒放射線(例えばUV及び/又はガンマ線)が消毒すべき物体の大部分に到達できる(この例では放射線が突起によって遮蔽される可能性がある)。
【0076】
上述の例は、本発明の実施形態に従って、様々な方式で増強及び強化できる。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明のデバイスは、使い捨ての又は限定使用のアイテムであってもよい。このような状況では、支持部材の少なくとも一部は、支持部材が所定回数の滅菌又は消毒プロセスの完了時に色を変えるように、滅菌又は消毒媒体に反応する色素で含浸されてもよい。このように、視覚表示がユーザに提供され、デバイスが使用に適しているか否かを容易に決定できる。
【0078】
本発明の例示的実施形態の上記の説明において、開示を合理化し、様々な発明の態様の1つ又は複数の理解を助ける目的で、本発明の様々な特徴が単一の実施形態、図、又はその説明においてしばしばグループ化されることは理解されるべきである。しかし、この開示方法は、特許請求された発明が各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が表すように、決して先に開示した単一の実施形態の全ての特徴に発明の態様が存在するわけではない。したがって、特許請求の範囲は、各請求項が本発明の別個の実施形態としてそれ自身に立脚しているとして、この詳細な説明に明示的に組み込まれる。
【0079】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載される。しかし、本発明の実施形態を、こうした特定の詳細なしで実施し得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造及び技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために、詳細に示されていない。
【0080】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、他の修正及び更なる修正を本発明に加えることができ、このような変更及び修正が本発明の範囲内に収まることを意図していることに認識するであろう。ステップは、本発明の範囲内で説明される方法に追加又は削除されてもよい。
【国際調査報告】