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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】同期化されたロボット骨切削
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536448
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 IB2022058972
(87)【国際公開番号】W WO2023118984
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,459
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523352332
【氏名又は名称】レム サージカル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LEM SURGICAL AG
【住所又は居所原語表記】Murtenstrasse 143a, 3008 Bern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バール, ヨシ
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA04
4C130AA22
4C130AB01
4C130AD01
4C130AD04
(57)【要約】
本明細書に説明されるものは、安全かつ効率的な脊椎減圧および骨切削のための、ロボット的に調整されるシステムおよび方法である。種々の実施形態では、ロボット脊椎外科手術システムは、単一の移動式基部上の同じ場所に位置する、少なくとも3つのロボットアームを提供され、ロボットアームの移動は、基部上の中央制御ユニットによって調整される。本システムはさらに、脊椎減圧のための器具と、神経組織の保護のための要素と、ナビゲーションカメラとを備える。神経保護要素は、骨解剖学的構造と神経構造との間に設置され、脊椎減圧器具と神経構造の接触を防止する。神経保護要素はさらに、随意に、減圧器具を用いて電気回路を閉鎖し、神経構造を感知または刺激し得る、安全コンポーネントを含む。本発明のシステムを外科手術に展開する方法もまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全な外科手術のためのシステムであって、
単一のカート上に配置される、少なくとも3つのロボットアームと、前記カート内に配置される、中央制御ユニットとを備える、ロボット外科手術装置と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの1つによって保持される、骨切削器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの別のものによって保持される、感受性臓器保護器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの第3のものによって保持される、カメラまたはセンサと
を備え、
前記ロボットアームの移動は、前記保護器具が、臨界感受性構造に保護を提供するように位置付けられるように、前記中央制御ユニットによって調整される、システム。
【請求項2】
前記単一のカートは、可動式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの少なくとも1つは、患者の各側において展開される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記臨界感受性構造は、臨界神経系構造である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記感受性臓器保護器具は、
前記骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
前記臨界神経系構造を保護するように構成される、第2の部分と
を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の部分は、加えて、前記臨界神経系構造を感知または刺激するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カメラまたはセンサは、ナビゲーションシステムと、追跡システムと、X線と、MRIとから成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの小さい能動または受動的マーカは、脊椎減圧手技の一部として、患者の椎骨の骨解剖学的構造上に設置される、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも2つの小さい能動または受動的な小さいマーカは、患者の椎骨の前記骨解剖学的構造上に設置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造に近接して保持される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記小さいマーカは、サイズが1cm未満であり、前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造から50cm未満に保持される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
付加的カメラまたはセンサは、前記骨切削器具を保持する前記ロボットアーム上と、前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアーム上とに設置される、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記骨切削器具を保持する前記ロボットアームおよび前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアームは、トルク感知能力を装備される、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
安全な脊椎減圧外科手術を実施する方法であって、
単一の可動式カート上に配置される、少なくとも3つのロボットアームと、前記可動式カート内に配置される、中央制御ユニットとを備える、ロボット外科手術装置と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの1つによって保持される、骨切削器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの別のものによって保持される、神経保護器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの第3のものによって保持される、カメラまたはセンサと
を術野の中に展開することであって、前記ロボットアームの移動は、前記神経保護器具が臨界神経系構造に保護を提供するように位置付けられるように、前記中央制御ユニットによって調整され、前記神経保護器具は、
前記骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
神経組織を保護、感知、および/または刺激するように構成される、第2の部分と
を備える、ことと、
前記骨切削器具を前進させ、前記電気回路が閉鎖されるまで、または前記神経保護器具の前記第2の部分が前記骨切削器具からの危険に一貫する神経アクティビティを感知するまで、所望の脊椎減圧を達成することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの少なくとも1つは、患者の各側において展開される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記臨界感受性構造は、臨界神経系構造である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記感受性臓器保護器具は、
前記骨切削器具と接触または近接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
前記臨界神経系構造を保護するように構成される、第2の部分と
を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の部分は、加えて、前記臨界神経系構造を感知または刺激するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの小さい能動または受動的マーカは、脊椎減圧手技の一部として、患者の椎骨の骨解剖学的構造上に設置される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造に近接して保持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記小さいマーカは、サイズが1cm未満であり、前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造から50cm未満に保持される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
付加的カメラまたはセンサは、前記骨切削器具を保持する前記ロボットアーム上と、前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアーム上とに設置される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記骨切削器具を保持する前記ロボットアームおよび前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアームは、トルク感知能力を装備される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ロボット的に制御および調整される外科手術手技に関する。具体的には、本発明は、ロボット外科手術のために有用である、ロボットアーム、エンドエフェクタ、外科手術器械、解剖学的構造保護器具、カメラ、撮像デバイス、追跡デバイス、または他のデバイス等の両側性の複数のロボット要素を備える、ロボットシステムに関する。本発明はまた、ロボット要素の設置および移動が、単一の制御ユニットによって制御および調整され、ロボット要素の全てが、単一の可動式剛性シャーシに基づき、したがって、単一の起点においてロボット的に調整される、ロボットシステムに関する。具体的には、複数のロボット要素が、単一の制御ユニットに取り付けられ、それによって制御されてもよく、調整された方式において、ロボット外科手術手技の一部として、外科手術器械、追跡器、カメラ、および他の外科手術器具を展開する、および/またはそれに関連するように使用されてもよい。より具体的には、ロボット脊椎外科手術の文脈において、複数のエンドエフェクタが、複数のロボットアーム上に両側性に展開され、単一の制御ユニットによって制御されてもよく、一元的に調整された方式において、中央制御ユニットによって調整されている、各ロボット要素の相対移動を用いて、ロボット外科手術手技を実施するために使用されてもよい。最も具体的には、ロボット脊椎外科手術における骨切削(減圧)の文脈において、骨を切削し、神経等の解剖学的要素を保護するための器具が、同期化および調整された方式において、安全かつ効果的な外科手術手技を実施するように制御される、複数のロボットアーム上に展開されてもよい。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ロボット外科手術は、脊椎減圧(骨切削)等の脊椎外科手術手技へのロボット技法の適用におけるように、当技術分野において周知である。Intuitive Surgical製のda Vinciロボット外科手術システム等の多くのロボット外科手術システムが、遠隔動作される。例えば、Cambridge Medical Roboticsによって提供されるもの等のマルチアームロボット外科手術システムが、当分野において利用可能であるが、これらの公知のシステムも、多くの場合、また、遠隔動作され、全てが、別個のカートまたはシャーシ上に別個に展開される単一のアームから成り、遠隔に位置付けられた制御ユニットによって提供される、あるレベルの調整を伴う。複数のカート上に複数のアームを備える、システムは、手術室内の望ましくない程に大きい占有面積に加えて、外科手術ワークフローへの統合に関する、有意な欠点を有する。また、遠隔に位置付けられた制御ユニットによって遠隔動作されるユニットの制御は、特に、脊椎外科手術の場合には、外科手術手技の全範囲に関して要求されるレベルの制御を提供しない。正確度は、全てのロボットアームが制御ユニットを備える単一のシャーシに固定され、それによって調整されるシステムよりも、必然的に劣るであろう。
【0003】
ロボット脊椎減圧を含む、ロボット脊椎外科手術手技の全範囲の実施は、今日利用可能ではない、ロボット的に調整されるナビゲーション/感知を要求する。典型的手技は、ロボットアームによって展開される、1つ以上のエンドエフェクタの操作、他の器械の展開、骨上および/または軟質組織上への複数の受動または能動的マーカの設置、術野から種々の距離および角度部分に設置され得る、1つ以上のロボット的に制御および操作されるカメラ/センサ、およびロボットアームによって展開される1つ以上のエンドエフェクタを要求し得る。1つのカート上に搭載され、それによって制御される、そのような両側性のマルチアーム/マルチカメラ/センサシステムは、当技術分野の現在の状態においては利用可能ではない。現在可能ではないレベルの正確度における、ロボット的に調整される制御およびナビゲーションを伴う脊椎外科手術手技の全範囲の実施を可能にするであろうため、そのようなシステムの強く、長く認知されている必要性が、存在する。
【0004】
一元的に調整される多面的アプローチの必要性が、脊椎減圧手技において、強く認知される。脊椎減圧では、種々の方法、形状、外形、および配向において骨を切削する必要性が、存在する。多くの場合では、減圧プロセスが、骨解剖学的構造が感受性神経上に印加している圧力を解放するために実施される。多くのそのような場合では、神経および/または脊髄は、脊椎の骨解剖学的構造によって完全には押圧および/またはそれに付着されないにしても、実践的には触れている(例えば、「瘢痕組織」)。これは、ロボット的に実施されるか、または他の技法によって実施されるかどうかにかかわらず、骨切削と関連付けられる基本的問題および危険を実証する。すなわち、従来のロボットまたは非ロボットアプローチは、正確である程度にかかわらず、切削器具が骨切削を行うときには、繊細な神経または脊髄構造に直接隣接するか、または実際にそれに触れている。これは、壊滅的損傷の許容不可能なリスクをもたらす。
【0005】
従来の手技では、ロボット的に実施されるか、または非ロボット的に実施されるかどうかにかかわらず、保護外科手術器具が、骨解剖学的構造と神経または脊髄構造との間に設置され、切削器具からそれらの神経系構造を保護する、および/またはそれらの間を分離するように試行し得る。本アプローチは、外科医にとって時間がかかり、ストレスが多く、非常に困難である。既存のロボット技術は、マルチアームが、分離されるが、調整されるロボット運動の本必要性をサポートしない。故に、既存のロボット技術を使用するように試行することは、必然的に、2つの外科手術器械間の精度の欠如をもたらすであろう。精度の欠如の結果として生じるリスクが、存在する場合、保護器具が神経または脊髄を完全には防護していないリスクが、存在し、したがって、それらの構造への損傷のリスクが、存在する。また、保護器具および切削器具のロボットによる正確な同期化が、自動ロボット切削を可能にし、これは、要求される切削の先行する計画立案およびロボットシステムによる正確な実行を可能にし、これは、必然的に、臨床転帰を改善するであろう。
【0006】
骨切削器具および解剖学的保護器具の設置および移動をロボット的に同期化するシステムは、本器具が、その移動が相互と同期化され、したがって、損傷のリスクを低減させる、ロボットアームによって保持されるであろうため、本懸念をかなりの程度まで改善するであろう。同期化されたロボットアームによる器具の保持および設置は、さらなる正確度、したがって、さらなる安全性を提供する。そのようなシステムが、本発明の文脈において提供される。さらに、該システムおよび自律ロボット能力を利用するとき、切削器具および保護器具が、従来のナビゲーション技法によって調整されるだけではなく、ロボット的にも調整される必要性が、有意により高く、より重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本明細書に提供されるものは、ロボット的に制御される外科手術システムである。具体的には、本発明のシステムは、骨切削用途(例えば、脊椎減圧、整形外科用途、頭蓋骨、ENT等)のために一元的に調整および同期化されたロボットシステムである。本システムは、それぞれが、関連のある用途、例えば、脊椎減圧手技における使用のために、少なくとも1つのエンドエフェクタ、カメラ/センサ、またはナビゲーション要素を保持し得る、複数のロボットアームを備える。エンドエフェクタは、切削器具と、脊椎解剖学的構造の神経または脊髄要素を保護する目的のための器具、例えば、へら等の解剖学的保護器具とを含んでもよい。カメラ/センサおよびナビゲーション要素は、ロボットアームおよび/または解剖学的構造部分の移動のための誘導および/または追跡、およびエンドエフェクタおよび器具の展開を提供するためのものである。
【0008】
本発明は、エンドエフェクタおよび/またはカメラ/センサの保持および展開を通して、骨を切削し、解剖学的構造を保護し、それらがロボット的に同期化されるため、自動的かつ安全な方法においてナビゲーションサポートを提供し得る、複数のロボットアームを備える。一実施形態では、1つが切削器具を保持し、1つが保護器具を保持し、1つがナビゲーション/追跡センサ、例えば、ナビゲーションカメラを保持する、3つのロボットアームが、存在してもよい。そのような実施形態では、第1のアームは、切削されようとしている骨解剖学的構造から感受性臓器、例えば、神経、脊髄等を後退させる、偏向させる、保護する、または操る役割を果たし得る、保護器械を保持する。第2のアームは、骨を切削する、切削器具(例えば、高速バー)を保持する。第3のアームは、最適な距離および角度部分からのプロセスの画像および/または他の重要なデータを提供する、監視カメラ/センサを保持する。カメラは、これが適切に定寸されること、および適切に定寸および位置付けられたロボットアーム上へのその展開のため、最適な距離および角度部分から動作することが可能である。随意に、切削器具または保護器具を保持するロボットアームはまた、付加的な撮像またはナビゲーションカメラを保持し、冗長性および多様な情報を提供してもよい。
【0009】
ロボットアームの同期化された移動は、ナビゲーションカメラと、手技の開始時またはその間において骨解剖学的構造上に設置される能動または受動的マーカの相互作用によって可能にされる。ロボットアームの移動は、中央制御ユニットによって、マーカおよびカメラによって提供されるナビゲーション情報に基づいて、アームが存在する場所を把握する、単一の可動式基部から同期化される。
【0010】
故に、本発明のシステムの種々の実施形態では、受動または能動的マーカが、骨解剖学的構造上または付加的な表面、例えば、患者の皮膚、外科手術台等の上に設置されてもよく、脊椎減圧手技または他の切削適用の間のナビゲーション/追跡を補助するために使用されてもよい。これらの手技は、1つまたは複数の椎骨の骨解剖学的構造上への単一または複数の受動または能動的マーカの設置を要求し得る。特定の実施形態では、小型マーカが、好ましくあり得る。椎骨は、比較的に小さく、そのため、異なる椎骨上に(実際には、椎骨の骨解剖学的構造の異なる構成要素上に)複数のマーカを設置するために、比較的に非常に小さいマーカ(サイズが1cmまたはそれ未満)を使用することが、有利であり得る。小さいマーカを使用するとき、マーカが、可視化され得るように、1つ以上のカメラ/センサを、術野に非常に近接して、例えば、術野から30cmまたはそれ未満の距離を空けて、また、術野に対して有利な角度部分に展開させることが、有利であり得る。例えば、小さいマーカが、患者の身体の内側における非便宜的角度に展開される場合、カメラ/センサを近接する距離および適切な角度に位置付けることが、有利であろう。本配列は、したがって、適切なナビゲーション/感知情報を中央制御ユニットに提供し、切削器具および保護器具の調整された移動を提供することができる。また、カメラ/センサを臓器または標的に近接して、かつ最適な角度部分内にもたらすための能力以外にも、一元的に調整されるシステムが、ロボットアームを、また、相互に、とりわけ、患者および常に変化する臨床スタッフの位置に関連して、衝突を防止し、便宜的なワークフローを可能にするように設置するための最良位置を計算および判定することができる。
【0011】
本発明のアプローチは、複数のロボットアームの同期化された動作を可能にし、多くの実施形態では、3つのアームが、選定される。切削器具を保持する切削アームは、常時、保護器具およびセンサ/ナビゲーションカメラを保持するアームと同期して稼働している。
【0012】
随意に、3つのロボットアームは、存在する任意のナビゲーション要素に加えて、2つの切削器具と、1つの保護器具とを保持することができる。本実施形態では、3つのアームの間には、同期化された稼働パターンが、存在する。2つの切削アームは、常時、切削される骨が中心にある状態で、切削器具および保護器具と同期して稼働している。このように、骨が、常時、保護されている間、両方のアームが、常時、骨に関連して相互と整合されることができる。また、カメラを保持する第3のアームもまた、同期化され、そのため、また、骨マーカおよび切削される骨を視認するために最適な場所に位置付けられる一方、自然なこととして、外科手術アームはまた、付加的なナビゲーションカメラを装備され、加えて、付加的感知角度を提供することができる。また、本システムは、患者の両側からのアームの(両側性)展開を可能にするため、ロボットアームの質量は、主として、患者の両側に位置付けられ、そのため、術野は、外科手術のために、かつ第3のアームによるクリアな撮像/感知のためにクリアである。
【0013】
本発明の代替実施形態では、2つのエンドエフェクタ(例えば、切削エンドエフェクタおよび保護エンドエフェクタ)は、それらの間の接触または近接触を感知するための能力を有する。これは、導電性、磁気誘導性、および静電容量感知等の種々の技術を用いて達成されることができる。単に実施例として、切削先端が保護器具と接触した状態に近接している、または接触していることを意味する、信号が、生成されると、システムコントローラが、切削アクションを停止させること、または切削を異なる方向において継続することのようないくつかのアクションを実施することができる。本発明のシステムのロボット同期化は、切削器具および保護器具と骨解剖学的構造および神経構造の完璧な整合を提供し、最適な骨切削を達成する。電気回路を閉鎖することによって相互を感知するための切削器具および保護器具の能力は、リスクまたは遅滞を伴うことなく、極めて重要な安全特徴を提供し、過剰切削を防止し、脊椎減圧手技の平滑な継続を可能にする。
【0014】
本発明の種々の実施形態では、保護エンドエフェクタまたは保護器具は、最も多くの場合、器具の両側に配置される、少なくとも2つの部分を備える。片側は、多くの場合、排他的ではないが、骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖し得るように、金属から作製される。保護器具の他側は、神経構造を感知することが可能であるように構築および構成される。これは、神経構造の存在および/または近接度を検出するように構成されてもよく、加えて、神経構造を刺激するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの代替実施形態では、神経に触れる保護エンドエフェクタまたは器具の第2の部分は、神経条件に対するセンサとしての役割を果たす、異なる材料から成る。これは、単に、神経条件または近接度を感知し(例えば、インピーダンス測定)、メインコントローラに報告する、感知部分であることができる、または、これはまた、測定された刺激(例えば、10ma)を神経に提供し、フィードバック信号を受信する、刺激装置であることもできる。本能力は、骨を切削しながら繊細な神経構造を保護するための第2のフィードバックループとしての役割を果たすことができる。中央コントローラが、例えば、エンドエフェクタが神経上に多すぎる圧力を設置することとして解釈され得る信号を受信する場合、メインコントローラは、2つのアーム間の相対的切削位置を修正し、神経により少ない圧力を印加する、2つのアーム間のより良好な切削姿勢を生成することができる。
【0016】
さらに、(例えば)保護器具および切削器具が、異なるロボットアームに接続され、1つのロボットアーム上で1つのデバイスとしてともに利用されるだけではないという事実から、別の利点が、生じる。さらに、当然ながら、ロボット的に接続および同期化される、別個のアーム上にあることによって、ロボットコントローラは、その中に組み込まれるアルゴリズムを通して、最適な切削および安全手段のためのいくつかの選択肢を有することができる。例えば、ある場合には、安全手段として、単に高速バーを回転しないように停止させることが、より好ましいが、本アクションは、時として、切削の間に高速バーを単に停止させることが、これを骨の中で停滞させるであろうため、外科手術では、常時最適であるわけではない。時として、最適な安全手段は、高速バーを解剖学的構造から数ミリメートル離れるように後方に下げることであろう。時として、臨床的または利便性考慮点から、切削器具および/または保護器具は、具体的角度/場所等からその面積に近接するべきであり、すなわち、保護器具から切削器具を分離するが、依然として、それらが相互と連動して正確に稼働することを可能にすることは、ロボット骨切削手技において有意な価値を有する。異なる同期化されたロボットアームを通して保護器具から切削器具を分離することの恩恵の別の実施例は、本方法が、例えば、アームが、他のアームが依然として神経を保持および保護している間に、横に移動し、切削器具を交換することを可能にするであろうことであろう。また、2つを上回るアームが、切削でビジー状態である場合、一方が、他方が依然として稼働している間に、進行し、器具を交換することができる。これは、外科手術プロセスの効率を有意に改良するための潜在力を有する。
【0017】
これらの必要性および要素は全て、本発明の単一カートでマルチアームの両側性非遠隔動作式ロボットシステムの一元的調整および同期化された制御から、多大に恩恵を享受する。標的解剖学的構造およびマーカに対する適切な距離および配向における、適切に定寸されたマーカの設置およびナビゲーションカメラの設置に基づいて、エンドエフェクタおよびカメラを担持する、ロボットアームの移動は、安全かつ精密なロボット脊椎減圧手技を提供するように調整されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a図1a、1b、および1cは、神経または脊髄構造に隣接する、切削を要求し得る骨の部分を伴う、脊椎解剖学的構造の種々の図を示す。
図1b図1a、1b、および1cは、神経または脊髄構造に隣接する、切削を要求し得る骨の部分を伴う、脊椎解剖学的構造の種々の図を示す。
図1c図1a、1b、および1cは、神経または脊髄構造に隣接する、切削を要求し得る骨の部分を伴う、脊椎解剖学的構造の種々の図を示す。
図2図2は、神経構造に直接隣接する、切削を要求し得る、椎骨の部分の拡大図である。
図3図3は、複数の一元的に調整されるロボットアームが切削器具および保護器具を保持する、本発明の代表的実施形態によるロボットシステムを示す。
図4図4は、伝導性の感知要素を備える、本発明の代表的実施形態による保護エンドエフェクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
ここで本発明の図およびいくつかの代表的実施形態を参照すると、以下の詳細な説明が、提供される。
【0020】
図1によって例示される、本発明の実例では、脊椎骨解剖学的構造のいくつかの図が、示される。3つの図のそれぞれにおいて、椎骨104が、示される。各場合において、椎骨104の一部101は、例えば、これが隣接する神経構造を押圧しているため、切削を要求する。図の種々のものでは、神経根102および/または脊髄103が、示される。例えば、3つのアームによって展開されている切削器具と、神経保護器具と、カメラとを伴う、例えば、3つの調整されるロボットアームを伴う本発明のシステムの使用は、骨の一部101の精密な切削を可能にしながら、神経根102または脊髄103もしくは他の神経構造に対する壊滅的損傷のリスクを大幅に最小限化する。
【0021】
図2は、神経根202または他の神経構造に直接隣接する、骨解剖学的構造201の一部の拡大図を示す。骨および神経構造の本配列を用いると、骨の切削(すなわち、減圧)が、多くの場合、神経根202または他の神経構造を押圧またはそれに突き当たる骨解剖学的構造201の部分に起因して、適切な外科手術治療として要求されるであろう。外科手術を要求する、本問題は、多くの場合、年齢的変性、先天性および非先天性変形、外傷等の種々の理由によって引き起こされ得る、狭窄または他の圧迫によって引き起こされる。
【0022】
図3は、本発明のある実施形態による、骨切削のためのロボットシステムを示す。本発明のシステムのロボットアームは、一元化制御ユニットを備え、ロボットアームの同期化された移動および制御を可能にする、単一の可動式剛性シャーシ上に搭載される。脊椎減圧手技の文脈において、本同期化された制御は、最適な角度および配向における精密な骨切削を可能にする。
【0023】
本システムの構造および形態は、患者の両側からの複数のロボットアームの最適な展開を両側性に可能にする。ロボットアームの本特別な展開は、その主質量を患者の両側に保ち、そのため、術野は、第3のアームおよび/または外科医による外科手術および撮像/感知のためにクリアである。また、ロボットアームの展開および位置付けの該方法は、アームが、部分的に折畳された位置にある間に、外科手術面積、具体的には、殆どの場合、切削される骨に接近することを可能にする。ロボットが、部分的に折畳される、すなわち、完全に拡張された位置にないときに、より剛性であり、故に、より正確であることが、当技術分野において周知である。本発明のシステムと異なり、今日、当技術分野において公知である標準的ロボットシステムは、相互および患者から比較的に遠方にアームを位置付けており、これは、アームに、遠方に、多くの場合、完全に拡張された構成に到達すること、したがって、正確度を喪失することを要求する。
【0024】
図3では、ロボットアーム307、308、および309が、随意に可動式であり得る、剛性シャーシ301に搭載された状態で示される。ロボットアーム307は、切削器具311を保持する。ロボットアーム308は、神経保護器具312を保持する。ロボットアーム309は、カメラ310を保持する。本実施形態では、「ナビゲーションカメラ」は、ロボット/器具/患者追跡のための主要方法として使用されながら、可視光撮像、X線、MRI、磁気追跡、レーザ感知、およびさらなるもの等のいくつかの代替技術から成ることができる。図3にまた示されるものは、ロボットシステムがその下に嵌合する外科手術台302(可動式である場合、随意に、台の下に展開される、および/または外科手術手技の前、間、および後に除去され得る)および患者身体303である。患者身体内には、神経構造304および切削を要求する骨解剖学的構造305の一部が、示される。保護器具312は、切削器具311が、神経構造304に対する損傷の恐れを伴うことなく精密な切削を行い得るように、神経構造304と骨解剖学的構造305の一部との間に設置される。カメラ310は、外科手術手技の開始時に設置される、小型マーカ306の助けを借りて、ロボットアーム307、308、および309を術野に対して適切な位置にもたらすことに役立つ。カメラ310は、次いで、最適な角度から外科手術手技の進捗を監視することができる。
【0025】
今日では、手術される臓器、例えば、骨解剖学的構造および/またはより具体的には、椎体を追跡するための一般的方法は、マーカをその上に設置することである一方で、マーカは、これが、1~3メートル離れるように受動的に設置されるカメラ/センサに対して視認可能である必要であるという基本的理由に起因して、開放創の、例えば、5~25cm上方で高く際立たなければならない。このように、骨解剖学的構造に対してその位置を保つための、本長く軽量なマーカの能力は、限定され、したがって、その正確度は、非常に低い。本理由から、今日まで、本追跡技術は、脊椎減圧等の繊細で正確なタスクのためには殆ど使用されていない。本発明では、カメラ/センサを保持し、これを開放創に近接近範囲内にもたらすことが可能である、能動近接範囲および操作ロボットアームのおかげで、マーカは、非常に小さくあることができ(例えば、1cmまたはそれ未満)、それによって、切削される骨に堅性に接続され、非常に正確な状態であることができる。マーカは、受動または能動的マーカであることができ、いくつかの追跡/感知技術、例えば、可視光の異なる色の組み合わせおよびコントラスト、赤外線反射、磁気共鳴、レーザ、およびさらなるものをサポートすることができる。また、その小型サイズ、すなわち、小さいサイズおよび数グラムの重量のおかげで、それらは、骨に直接螺合され(例えば、3~6mmのねじ山)、固着された状態であり、それによって、先例のない正確度を提供する。当業者は、本小さいサイズのマーカと、最適な角度を達成するように術野に近接して保持されているナビゲーションカメラとを用いて、複数の小さい能動または受動的マーカが、最適な可視化のために単一の椎骨のいくつかの側面に設置され得ることを理解するであろう。
【0026】
本発明の代替実施形態では、付加的なナビゲーションカメラが、切削器具を保持する、ロボットアーム上に設置されることができる。別の代替策では、付加的なナビゲーションカメラが、また、切削器具を保持するロボットアームによって保持されるエンドエフェクタ上に設置されることができる。手術/外科手術アーム上への付加的カメラの設置は、さらに、術野のビューを向上させ、小さいマーカを提供するための付加的情報を提供することができる。当業者は、カメラがそれぞれ、中央制御ユニットを伴う単一の可動式シャーシ上に搭載される、ロボットアームの調整された移動に起因して、優れた精度を伴って設置され、術野の向上されたビューを提供し得ることを理解するであろう。
【0027】
図4は、本発明のある実施形態による、神経保護器具400の拡大図を提供する。保護器具400は、金属部分401と、感知部分402とを有する。器具は、種々の減圧および骨切削技法に適合するような、いくつかのサイズと、形状とを有することができる。いくつかのものは、1~2mmの幅から開始し、長く、湾曲状または平坦なへらになる、小さいスプーン形状の外形にある。また、今日では、数百の骨切削高速バーと、外科医によって「保護器具」として手動で使用される、数十の器具とが、市場において一般的に存在する。切削バーおよび保護器具の具体的設計は、用途に依存するだけではなく、具体的な外科医の個人的嗜好、選好、外科手術哲学、および訓練等によっても左右される。ロボットアームは、外科医の計画立案および選定される技法および器具に従って、そのロボット運動および切削技法を調節することができる。
【0028】
金属部分401が、骨解剖学的構造404に隣接して着座することができ、手技の間に切削器具と相互作用することができる。一実施形態では、切削器具が、金属部分に接触すると、回路が、閉鎖され、信号が、ロボットシステムの剛性シャーシ内の制御ユニットに送信され、これは、次いで、切削器具を停止させる、切削器具を反転させる、または外科手術手技における精度および安全性を確実にするためのある他のアクションを講じるためのフィードバックを送信することができる。本要件を促進し得る、いくつかの材料組み合わせが、存在し得、これは、1つの具体的材料に限定されない。切削器具と保護器具との間の電気閉回路が、任意の生体適合性金属物質(例えば、鋼鉄、チタン、アルミニウム等)によってほぼ達成されることができる。付加的な関連のある技術が、磁気誘導、静電容量感知、およびさらなるものの使用から成ることができる。全ては、一元的に統制される、切削器具および保護器具の近接近性に基づく。保護器具400の感知部分402は、外科手術手技の間に神経構造403を感知または刺激することのいずれかを行い、手技を行うことにおける精度および安全性を再び確実にすることができる。
【0029】
保護器具は、切削器具と感受性臓器との間の障壁の役割を果たし、これは、積極的な、能動的で動的な、持続的に変化する保護を要求する。本器具は、いくつかの機能を有する。一方では、これは、感受性臓器を、すぐに切削された骨にならないように物理的に分離する(時として、本臓器は、骨に対して圧迫され、物理的に付着される)。本器具は、少なくとも2つの異なる機能性を伴う、少なくとも2つの異なる材料から成ってもよい。骨および切削器具に面している上側部分は、切削器具を用いて回路を閉鎖するために選定される技術に適合する材料から成る。感受性臓器、例えば、神経に触れる、下側部分もまた、いくつかの材料から成ることができる。これは、軟質材料、例えば、プラスチック、シリコン等から受動的であることができ、これは、神経へのいかなる電気流動も防止するような非伝導性絶縁材料、例えば、プラスチック、セラミック等から作製されることができ、これはまた、神経(神経系)からの化学および/または電気信号を一方的に感知するための能力を有する、感知/電極物質から作製されることもできる。これはまた、低電流、例えば、10maを伝達し、また、神経反応を感知するための能力を有することによって、能動的であることができる。本感知技術は、当技術分野において良好に確立されるが、マルチアームロボットシステムと併せた状態では、そうではない。本システム、器具、および技法は、骨を切削し、感受性臓器を保護し、手技の任意の所与のステップにおいて受動的または能動的に感知するための複数のツールおよび方法を提供することができる。本感知は、具体的周期またはアクション毎に、外科医の選定によって、ロボットのアルゴリズムによって、またはランダムに行われることができる。ロボット、感知、およびインテリジェント器具の本組み合わせが、いくつかの安全層を伴う、多層システムを可能にすることができる。
【0030】
図1-4に示される実施形態の全てが、脊椎減圧手技を行う、本発明の方法において使用されることができる。1つのそのような実施例において、図3に示されるロボットシステムは、ロボットアーム307上に切削器具311を、ロボットアーム308上に保護器具312を、およびロボットアーム309上にカメラ310を展開することができる。カメラ310およびエンドエフェクタは、マーカ306の設置によって可能にされる、ナビゲーションによって、部分的に手技のために最適な位置に展開される。いったんロボットアーム307、308、および309が、最適な場所および角度部分に入ると、保護器具312が、切削を要求する骨解剖学的構造305の部分と保護を要求する神経構造304との間に展開されることができ、切削が、進行することができる。本発明のシステムおよび方法の使用は、緻密で安全な切削が、要求に応じて切削を停止または反転させるために、適切な安全防護を伴って行われることを可能にする。
【0031】
本発明の代替実施形態では、手術/外科手術ロボットアーム(減圧/切削または他のタスクのために外科手術器具を保持するもの)はまた、トルク感知能力を装備される。脊椎の骨解剖学的構造は、患者の移動、また、外科手技の間に印加される力に起因して、脊椎外科手術手技の間に移動することが公知である。故に、ロボットアームが、トルクフィードバックを感知することが可能である場合、これは、(骨解剖学的構造上に設置されるマーカを追跡するナビゲーションカメラによって提供される情報に加えて)骨解剖学的構造の追跡において役立つことができる。再び、ロボットアームは、中央制御ユニットによって、単一の可動式シャーシ上でロボット的に調整されるため、トルク情報が、(例えば、ナビゲーション情報に加えて)中央制御ユニットによって、解剖学的構造およびロボットアームをより正確に追跡するために考慮されることができる。これは、ひいては、骨切削等の繊細な手技のより正確な結果をもたらす。
【0032】
当業者は、開示される実施形態乗のいくつかの変形例が、本発明の境界内に留まりながら、可能性として考えられることを理解するであろう。単に実施例として、ナビゲーションカメラ、ロボットアーム、マーカ、およびエンドエフェクタの数の異なる変形例が、本発明から逸脱することなく、使用されることができる。別の実施例として、種々のサイズのマーカが、使用されることができる。提供される実施形態は、本質的に、代表的なものである。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全な外科手術のためのシステムであって、
単一のカート上に配置される、少なくとも3つのロボットアームと、前記カート内に配置される、中央制御ユニットとを備える、ロボット外科手術装置と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの1つによって保持される、骨切削器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの別のものによって保持される、感受性臓器保護器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの第3のものによって保持される、カメラまたはセンサと
を備え、
前記中央制御ユニットは、前記保護器具が、臨界感受性構造に保護を提供するように位置付けられるように、前記ロボットアームの移動を自動的に調整するように構成される、システム。
【請求項2】
前記単一のカートは、可動式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの少なくとも1つは、患者の各側において展開される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記臨界感受性構造は、臨界神経系構造である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記感受性臓器保護器具は、
前記骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
前記臨界神経系構造を保護するように構成される、第2の部分と
を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の部分は、加えて、前記臨界神経系構造を感知または刺激するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カメラまたはセンサは、ナビゲーションシステムと、追跡システムと、X線と、MRIとから成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの小さい能動または受動的マーカは、脊椎減圧手技の一部として、患者の椎骨の骨解剖学的構造上に設置される、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも2つの小さい能動または受動的な小さいマーカは、患者の椎骨の前記骨解剖学的構造上に設置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造に近接して保持される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記小さいマーカは、サイズが1cm未満であり、前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造から50cm未満に保持される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
付加的カメラまたはセンサは、前記骨切削器具を保持する前記ロボットアーム上と、前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアーム上とに設置される、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記骨切削器具を保持する前記ロボットアームおよび前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアームは、トルク感知能力を装備される、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
これらの必要性および要素は全て、本発明の単一カートでマルチアームの両側性非遠隔動作式ロボットシステムの一元的調整および同期化された制御から、多大に恩恵を享受する。標的解剖学的構造およびマーカに対する適切な距離および配向における、適切に定寸されたマーカの設置およびナビゲーションカメラの設置に基づいて、エンドエフェクタおよびカメラを担持する、ロボットアームの移動は、安全かつ精密なロボット脊椎減圧手技を提供するように調整されることができる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
安全な外科手術のためのシステムであって、
単一のカート上に配置される、少なくとも3つのロボットアームと、前記カート内に配置される、中央制御ユニットとを備える、ロボット外科手術装置と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの1つによって保持される、骨切削器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの別のものによって保持される、感受性臓器保護器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの第3のものによって保持される、カメラまたはセンサと
を備え、
前記ロボットアームの移動は、前記保護器具が、臨界感受性構造に保護を提供するように位置付けられるように、前記中央制御ユニットによって調整される、システム。
(項目2)
前記単一のカートは、可動式である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの少なくとも1つは、患者の各側において展開される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記臨界感受性構造は、臨界神経系構造である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記感受性臓器保護器具は、
前記骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
前記臨界神経系構造を保護するように構成される、第2の部分と
を備える、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記第2の部分は、加えて、前記臨界神経系構造を感知または刺激するように構成される、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記カメラまたはセンサは、ナビゲーションシステムと、追跡システムと、X線と、MRIとから成る群から選択される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
少なくとも1つの小さい能動または受動的マーカは、脊椎減圧手技の一部として、患者の椎骨の骨解剖学的構造上に設置される、先行する項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
少なくとも2つの小さい能動または受動的な小さいマーカは、患者の椎骨の前記骨解剖学的構造上に設置される、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造に近接して保持される、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記小さいマーカは、サイズが1cm未満であり、前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造から50cm未満に保持される、項目10に記載のシステム。
(項目12)
付加的カメラまたはセンサは、前記骨切削器具を保持する前記ロボットアーム上と、前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアーム上とに設置される、先行する項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
前記骨切削器具を保持する前記ロボットアームおよび前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアームは、トルク感知能力を装備される、先行する項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
安全な脊椎減圧外科手術を実施する方法であって、
単一の可動式カート上に配置される、少なくとも3つのロボットアームと、前記可動式カート内に配置される、中央制御ユニットとを備える、ロボット外科手術装置と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの1つによって保持される、骨切削器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの別のものによって保持される、神経保護器具と、
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの第3のものによって保持される、カメラまたはセンサと
を術野の中に展開することであって、前記ロボットアームの移動は、前記神経保護器具が臨界神経系構造に保護を提供するように位置付けられるように、前記中央制御ユニットによって調整され、前記神経保護器具は、
前記骨切削器具と接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
神経組織を保護、感知、および/または刺激するように構成される、第2の部分と
を備える、ことと、
前記骨切削器具を前進させ、前記電気回路が閉鎖されるまで、または前記神経保護器具の前記第2の部分が前記骨切削器具からの危険に一貫する神経アクティビティを感知するまで、所望の脊椎減圧を達成することと
を含む、方法。
(項目15)
前記少なくとも3つのロボットアームのうちの少なくとも1つは、患者の各側において展開される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記臨界感受性構造は、臨界神経系構造である、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記感受性臓器保護器具は、
前記骨切削器具と接触または近接触すると、電気回路を閉鎖するように構成される、部分と、
前記臨界神経系構造を保護するように構成される、第2の部分と
を備える、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記第2の部分は、加えて、前記臨界神経系構造を感知または刺激するように構成される、項目17に記載の方法。
(項目19)
少なくとも1つの小さい能動または受動的マーカは、脊椎減圧手技の一部として、患者の椎骨の骨解剖学的構造上に設置される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造に近接して保持される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記小さいマーカは、サイズが1cm未満であり、前記カメラまたはセンサは、前記患者の前記椎骨の前記骨解剖学的構造から50cm未満に保持される、項目20に記載の方法。
(項目22)
付加的カメラまたはセンサは、前記骨切削器具を保持する前記ロボットアーム上と、前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアーム上とに設置される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記骨切削器具を保持する前記ロボットアームおよび前記感受性臓器保護器具を保持する前記ロボットアームは、トルク感知能力を装備される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】