IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2024-547051車両を制動する方法、および車両のブレーキシステムのための制御装置
<>
  • 特表-車両を制動する方法、および車両のブレーキシステムのための制御装置 図1
  • 特表-車両を制動する方法、および車両のブレーキシステムのための制御装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両を制動する方法、および車両のブレーキシステムのための制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20241219BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20241219BHJP
   B60T 13/16 20060101ALI20241219BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20241219BHJP
   B60L 7/10 20060101ALI20241219BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60T8/17 C
B60T7/12 C
B60T13/16
B60T13/74 D
B60L7/10
B60L15/20 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536532
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022085418
(87)【国際公開番号】W WO2023117545
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021214997.9
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】レーフェルマン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】マルカルト,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュレイニヒ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
5H125
【Fターム(参考)】
3D048CC05
3D048CC41
3D048CC49
3D048HH15
3D048QQ04
3D246BA02
3D246BA08
3D246EA05
3D246GB30
3D246GB39
3D246JA03
3D246JB11
3D246LA10Z
3D246LA52Z
5H125AA01
5H125BA00
5H125CA02
5H125CB02
5H125CB05
5H125EE44
5H125EE61
5H125FF02
(57)【要約】
液圧ブレーキ設備によって、およびホイールにリンクされた電気機械によって、ホイールでブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステムによって車両を自律的に制動する方法が記載される。液圧ブレーキ設備は、ホイールブレーキと、ペダルにリンクされてホイールブレーキと液圧接続されたブレーキブースタとを含む。周囲データが検出されることと、検出された周囲データをベースとして車両の目標減速が判定されることと、事前決定された第1の限界値と目標減速が比較されることとが行われる。目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、電気機械によって目標減速に準じて車両のホイールでブレーキトルクが生成される。そうでない場合には、少なくとも部分的に液圧ブレーキ設備により、たとえばブレーキブースタにより、ホイールブレーキでブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じてブレーキトルクの生成が行われる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ブレーキ設備(150)によって、およびホイール(202)にリンクされた電気機械(220)によって、前記ホイール(202)でブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステム(100)によって車両(200)を自律的に制動する方法(M)において、前記液圧ブレーキ設備(150)は、ホイールブレーキ(1)と、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)と、前記ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧を生成するために前記ブレーキブースタ(4)と関わりなく操作可能である、前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続された圧力生成デバイス(50)を備えたブレーキ圧コントロール設備(5)とを有し、前記方法は、
前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データが検出(M1)されることと、
検出された周囲データをベースとして前記車両(200)の目標減速が判定(M2)されることと、
事前決定された第1の限界値と目標減速が比較(M3)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、発電機としての前記電気機械(220)の動作によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M6)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、少なくとも部分的に前記液圧ブレーキ設備(150)により前記ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M7)されることとを含む、方法(M)。
【請求項2】
前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記圧力生成デバイス(50)によって生成される、請求項1に記載の方法(M)。
【請求項3】
ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定(M4)されることと、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較(M5)されることとを追加的に含み、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、請求項1または2に記載の方法(M)。
【請求項4】
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に限り、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、請求項3に記載の方法(M)。
【請求項5】
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、前記車両(200)の前記ホイール(202)でのブレーキトルクが目標減速に準じて発電機としての前記電気機械(220)の動作によって生成される、請求項3または4に記載の方法(M)。
【請求項6】
前記ペダル(3)は、前記ブレーキブースタ(4)の、少なくとも2つの部分部材を有する入力ロッド(41)にリンクされ、前記部分部材はばね作用により互いに結合され、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、先行請求項のうちいずれか1項に記載の方法(M)。
【請求項7】
液圧ブレーキ設備(150)によって、およびホイール(202)にリンクされた電気機械(220)によって、前記ホイール(202)でブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステム(100)によって車両(200)を自律的に制動する方法(M)において、前記液圧ブレーキ設備(150)は、ホイールブレーキ(1)と、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)とを有し、前記ペダル(3)は、前記ブレーキブースタ(4)の、少なくとも2つの部分部材を有する入力ロッド(41)にリンクされ、前記部分部材はばね作用により互いに結合され、前記方法は、
前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データが検出(M1)されることと、
検出された周囲データをベースとして前記車両(200)の目標減速が判定(M2)されることと、
事前決定された第1の限界値と目標減速が比較(M3)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、前記電気機械(220)によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M6)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)により前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M7)されることとを含む、方法(M)。
【請求項8】
ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定(M4)されることと、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較(M5)されることとを追加的に含み、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、発電機としての前記電気機械(220)の動作によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でのブレーキトルクが生成される、請求項7に記載の方法(M)。
【請求項9】
第1の限界値が0.3gであり、ここでgは9.81m/sの重力加速度の値に相当する、先行請求項のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
車両(200)のブレーキシステム(100)のための制御装置(6)において、
センサシステム(210)との接続のためにセットアップされた、前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データを前記センサシステム(210)から受信するためのセンサインターフェース(63)と、
前記車両(200)のホイール(202)にリンクされた、モータおよび発電機として作動可能な電気機械(220)との接続のための第1の出力インターフェース(64)と、
ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧を生成するためにセットアップされた、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)を有する、前記ブレーキシステム(100)の液圧ブレーキ設備(150)との接続のための第2の出力インターフェース(65)とを含み、
前記制御装置(6)は、周囲データをベースとして制御信号を生成して前記出力インターフェース(64,65)で出力し、それにより先行請求項のうちいずれか1項に記載の方法を実施するように前記ブレーキシステム(100)へ指図するためにセットアップされる、制御装置(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を、特に乗用車などの道路走行車両を、制動する方法に関し、および、車両のブレーキシステムのための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両の液圧式のブレーキシステムは、典型的には、ペダルにリンクされた電気液圧式のブレーキブースタを有していて、ペダルが操作されると、ピストンによりホイールブレーキでブレーキ圧を生成するために、このブレーキブースタがペダルに印加された操作力を電気駆動装置により増強する。ブレーキブースタは、ホイールブレーキでブレーキ圧を生成ないし変更するために、ペダルの操作に関わりなく作動させることもできる。ブレーキブースタの入力ロッドとペダルとの間の機械的なリンクに基づき、ブレーキブースタの動作は、通常、運転者が引き起こすのではないペダルの運動につながる。ブレーキブースタによって高いブレーキ圧が生成されると、このことは、ペダルでの高い力につながる。
【0003】
さらに、再生式または回生式の制動方法が知られており、この場合、全面的または部分的に電気で駆動される車両において、車両のそれぞれのホイールにリンクされた電気機械が発電機として作動して、一方ではブレーキトルクを生成するとともに、他方では、車両の運動エネルギーを電気エネルギーへと変換する。
【0004】
特許文献1には、距離センサによって周囲データが特に距離データの形態で検出されて、車両の周囲にある物体との距離が限界値よりも短いことを距離データが示している場合に、ホイールブレーキによってブレーキ力が生成される、車両を自律的に制動する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8694222号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、請求項1の構成要件を有する車両を制動する方法、請求項7の構成要件を有する車両を制動する方法、および、請求項10の構成要件を有するブレーキシステムのための制御装置を提供する。
【0007】
好ましい実施形態と発展形態は、その他の従属請求項から、ならびに図面の図を参照する説明から、明らかとなる。
【0008】
本発明の第1の態様では、液圧ブレーキ設備によって、およびホイールにリンクされた電気機械によって、ホイールでブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステムによって車両を自律的に制動する方法が意図され、液圧ブレーキ設備は、ホイールブレーキと、ペダルにリンクされてホイールブレーキと液圧接続されたブレーキブースタと、ホイールブレーキでブレーキ圧を生成するためにブレーキブースタと関わりなく操作可能である、ホイールブレーキと液圧接続された圧力生成デバイスを備えたブレーキ圧コントロール設備とを有する。本発明のこの態様に基づく方法は、車両の周囲にある他の物体に対する、たとえば他の交通関与者や障害物に対する、車両の距離を表す周囲データが検出されることと、検出された周囲データをベースとして車両の目標減速が判定されることと、事前決定された第1の限界値と目標減速が比較されることと、目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、好ましくは発電機としての電気機械の動作のみによって目標減速に準じて車両のホイールでブレーキトルクが生成されることと、目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、任意選択として発電機としての電気機械の動作に追加して、少なくとも部分的に液圧ブレーキ設備によりホイールブレーキでブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて車両のホイールでブレーキトルクが生成されることとを含む。
【0009】
本発明のこの態様の根底にある思想は、車両の達成されるべき目標減速についての限界値に達していない場合には、いわゆる機能ブレーキングを、すなわち運転者によるペダルの操作なしで自律的に行われるブレーキングを、電気機械による回生式のブレーキングによって行い、限界値に達しているか、またはこれを上回っている場合に初めて、液圧ブレーキ設備を追加的に利用することにある。
【0010】
このことは、多くの機能ブレーキング状況について、液圧ブレーキ設備および特にブレーキブースタが操作されなくてすむという利点をもたらす。したがって、運転者の介入なしにペダル運動が行われる状況の回数も減るという利点がある。
【0011】
いくつかの実施形態では、ホイールブレーキでのブレーキ圧は少なくとも部分的に圧力生成デバイスによって生成されることが意図されていてよい。たとえばブレーキ圧コントロール設備は、たとえばABS機能やESP機能を実行するために、ブレーキ圧をホイール個別的に変更するために構成されていてよい。そのために必要な、たとえばポンプまたはプランジャの形態の圧力生成デバイスは、ホイールブレーキでの圧力生成のために、ブレーキブースタとは関わりなく利用することができる。このことは、限界値よりも大きい、またはこれに等しい、目標減速が必要とされる機能ブレーキングのケースでも、必ずしもブレーキブースタの操作は必要とされず、それに伴って、その他のブレーキ状況では起こり得るペダル運動が回避されるという利点をもたらす。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定されることと、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較されることとを追加的に含むことができ、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に、ホイールブレーキでのブレーキ圧が少なくとも部分的にブレーキブースタによって生成される。ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量は、基本的に、ブレーキトルクの生成の要求される速度ないし要求される時間勾配を特徴づける。たとえば非常ブレーキングなどのケースにおいて、ブレーキトルクが非常に迅速に生成されなくてはならない場合、このことをブレーキブースタによって効率的な方式で行うことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に限り、ホイールブレーキでのブレーキ圧が少なくとも部分的にブレーキブースタによって生成されることが意図されていてよい。それに応じて、ブレーキ圧コントロール設備の圧力生成デバイスによって、要求されるブレーキトルクを要求されるダイナミクスないし要求される勾配をもって生成可能でない場合に限り、ブレーキブースタが利用される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、車両のホイールでのブレーキトルクが目標減速に準じて発電機としての電気機械の動作によって生成されることが意図されていてよい。すなわち特に、目標減速が第1の限界値よりも小さいケースにおいて、ブレーキブースタによって、および/またはブレーキ圧コントロール設備の圧力生成デバイスによって、ブレーキ圧生成が行われるのは、すなわちブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合であることが意図されていてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、ペダルは、ブレーキブースタの、複数の部分部材を有する入力ロッドにリンクされることが意図されていてよく、これらの部分部材はばね作用により互いに結合され、ホイールブレーキでのブレーキ圧が少なくとも部分的にブレーキブースタによって生成される。ばね作用によるリンクは、一般に、入力ロッドの2つの部分部材の間に、たとえばロッド部分の間に、配置された弾性変形可能な部材によって、たとえばばね、弾性的なブロック、空気圧シリンダを介して、またはこれに類似する方式で、具体化することができる。このようにして、ブレーキブースタがブレーキ圧生成のために利用される場合に、ペダル運動が低減されるという利点があり、特に、ペダルで作用する力をばね作用によって低減することができる。
【0016】
本発明の第2の態様では、液圧ブレーキ設備によって、およびホイールにリンクされた電気機械によって、ホイールでブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステムによって車両を自律的に制動する方法が意図され、液圧ブレーキ設備は、ホイールブレーキと、ペダルにリンクされてホイールブレーキと液圧接続されたブレーキブースタとを有し、ペダルは、ブレーキブースタの、複数の部分部材を有する入力ロッドにリンクされ、これらの部分部材はばね作用により互いに結合される。本発明のこの態様に基づく方法は、車両の周囲にある他の物体に対する車両の距離を表す周囲データが検出されることと、検出された周囲データをベースとして車両の目標減速が判定されることと、事前決定された第1の限界値と目標減速が比較されることと、目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、目標減速に準じて電気機械によって車両のホイールでブレーキトルクが生成されることと、目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、少なくとも部分的にブレーキブースタによりホイールブレーキでのブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて車両のホイールでブレーキトルクが生成されることとを含む。
【0017】
本発明のこの態様の根底にある思想は、車両の達成されるべき目標減速についての限界値に達していない場合には、機能ブレーキングを、すなわち運転者によるペダルの操作なしで自律的に行われるブレーキングを、電気機械による回生式のブレーキングによって行い、限界値に達しているか、またはこれを上回っている場合に初めて、ブレーキブースタを追加的に利用することにあり、その入力ロッドは弾性変形可能な部材を介して、たとえばばね、弾性的なブロック、空気圧シリンダを介して、またはこれに類似する方式で、ペダルと接続される。したがって、機能ブレーキングのためにブレーキブースタが利用される状況の回数が減り、このことは、運転者介入なしでのペダル運動の頻度を低減する。それにも関わらずブレーキブースタがブレーキ圧生成のために利用される場合、ペダル運動が低減されるという利点があり、特に、ペダルで作用する力を、ばね作用によるリンクによって低減することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定されることと、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較されることとを含むことができ、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、目標減速に準じて車両のホイールでのブレーキトルクが発電機としての電気機械の動作によって生成される。ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量についてはすでに上で説明した。
【0019】
本発明の第3の態様では、車両のブレーキシステムのための制御装置は、センサシステムとの接続のためにセットアップされた、車両の周囲にある他の物体に対する車両の距離を表す周囲データをセンサシステムから受信するためのセンサインターフェースと、車両のホイールにリンクされた、モータおよび発電機として作動可能な電気機械との接続のための第1の出力インターフェースと、ホイールブレーキでブレーキ圧を生成するためにセットアップされた、ペダルにリンクされてホイールブレーキと液圧接続されたブレーキブースタを有する、ブレーキシステムの液圧ブレーキ設備との接続のための第2の出力インターフェースとを含み、制御装置は、周囲データをベースとして制御信号を生成して出力インターフェースで出力し、それにより本発明の第1または第2の態様に基づく方法を実施するようにブレーキシステムへ指図するためにセットアップされる。
【0020】
制御装置は特に電子制御装置であってよく、たとえば1つまたは複数のCPU、ASIC、FPGAなどの形態のプロセッサと、たとえばフラッシュメモリ、SDメモリ、ハードディスクなどの形態のデータ記憶装置、特に不揮発性のデータ記憶装置とを含むことができる。データ記憶装置はプロセッサによって可読であり、周囲データをベースとして出力インターフェースへ制御信号を出力するようにプロセッサによって実行可能であるソフトウェアを保存することができる。当然ながら、制御装置は必ずしも単一の構造単位によって具体化されている必要はなく、ブレーキシステムないし車両のさまざまな制御機器に、特にさまざまなプロセッサおよびデータ記憶装置に、機能性が分散されていてよい。
【0021】
上で挙げた第1の限界値は特に0.3gであってよく、ここでgは9.81m/sの重力加速度の値に相当する。
【0022】
本発明の1つの態様との関連でここに挙げている構成要件や利点は、本発明のそれぞれ他の態様についても開示している。
【0023】
次に、図面の図を参照しながら本発明について説明する。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の1つの実施例に基づく制御装置を有するブレーキシステムを有する車両のブロック図を示す模式図である。
図2】本発明の1つの実施例に基づく方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面においては、別段の断りがない限り、同一の符号は同じコンポーネントまたは機能が同じコンポーネントを表す。
【0026】
図1は、車両200の、特にたとえば乗用車などの道路走行車両の、ブロック図を模式的に示している。図1に示すように、車両200は、複数のホイール202と、センサシステム210と、電気機械220と、ブレーキシステム100とを有している。
【0027】
図1では純粋に例示として、4つのホイール202を有する2軌道の車両200が示されており、それぞれ2つのホイール202が1つのアクスルに据え付けられている。電気機械220は、たとえば三相機械であってよい。一般に、電気機械220はモータおよび発電機として作動可能である。図1に例示として示すように、電気機械220は1つのアクスルのホイール202に運動学的にリンクされていてよい。その代替として、車両200のすべてのホイール202が電気機械220にリンクされることも考えられる。さらにその代替として、各々のホイール202が独自の電気機械220にリンクされることも考えられるであろう。一般に電気機械220は、車両200の少なくとも1つのホイール202に運動学的にリンクされる。機械220がモータとして作動すると、機械はそれぞれのホイール202を駆動する。機械220が発電機として作動すると、機械はそれぞれのホイール202を制動し、ないしはホイール202でブレーキトルクを生成する。
【0028】
センサシステム210は、周囲データを検出するためにセットアップされた1つまたは複数のセンサ211を有することができる。周囲データは、特に、車両200の周囲にある物体に対する、たとえば他の交通関与者、車道の区切り、標識、家屋、またはその他の障害物に対する、車両200の距離を表す。センサシステム210は、たとえばレーダーセンサ、ライダーセンサ、超音波センサ、光学センサ、またはこれらに類似するセンサをセンサ211として有することができる。このように、センサシステム210は特に距離センサを有することができ、距離センサは時間分解式に距離を検出することができるのが好ましく、それにより、周囲データは距離の時間的変化も表すことができる。
【0029】
ブレーキシステム100は、制御装置6と液圧ブレーキ設備150とを有している。図1に例示として示すように、液圧ブレーキ設備150は、ホイールブレーキ1と、電気液圧式のブレーキブースタ(BKV)4と、ブレーキ圧コントロール設備5とをホイール202ごとに含んでいる。
【0030】
BKV4は、車両の運転者によってマニュアル操作可能であるペダル3に運動学的にリンクされた入力ロッド41を有している。BKV4は、ペダル3を介して入力ロッド41に印加される操作力を増幅してシリンダ(図示せず)の中でピストン(図示せず)をスライドさせる電気駆動装置(図示せず)を含んでいる。シリンダは液圧配管を介してホイールブレーキ1と接続されており、それにより、ピストンの運動がホイールブレーキ1のブレーキ圧の変化を惹起する。BKV4は、ホイールブレーキ1でブレーキ圧を生成するために、または全般に変更するために、ペダル3の操作と関わりなく操作可能でもある。そのようなケースでは、BKV4の入力ロッド41によってペダル3も共に引き出され、ないしは引き戻される。
【0031】
図1に模式的に示すように、ペダル3は入力ロッド41と結合されており、入力ロッド41は、たとえば図1に示すようなばね35の形態の弾性部材を介して互いにリンクされた複数の部分部材を有している。それにより、ペダル3のマニュアル操作なしにBKV4が作動したとき、ペダル3に及ぼされる力が低減ないし制限されるという利点がある。
【0032】
ブレーキ圧コントロール設備5は、ホイールブレーキ1のうちの少なくとも1つと液圧導通式に接続された圧力生成デバイス50を有している。特に圧力生成デバイス50は、BKV4に対して液圧的に並列につながれる。さらにブレーキ圧コントロール設備5は、切換可能な入力弁51と、切換可能な出力弁52とを有することができる。図1に著しく簡略化した形で純粋に模式的に示すように、入力弁51は、圧力生成デバイス50の圧力出力部をそれぞれのホイールブレーキ1と接続する液圧経路に配置されていてよく、出力弁52は、圧力生成デバイス50の吸込接続部を、ホイールブレーキ1と入力弁51の間に位置する個所と接続する液圧経路に配置されていてよい。圧力生成デバイス50が作動して弁51,52が的確に開閉されることで、ブレーキ圧コントロール設備5は、たとえばABS機能やESP機能を実行するために、ホイール個別的なブレーキ圧変更を行うことができる。
【0033】
制御装置6は特に電子制御装置であってよく、たとえば1つまたは複数のCPU、ASIC、FPGAなどの形態のプロセッサ(図示せず)と、たとえばフラッシュメモリ、SDメモリ、ハードディスクなどの形態のデータ記憶装置(図示せず)、特に不揮発性のデータ記憶装置とを有することができる。データ記憶装置はプロセッサによって可読であり、入力信号をベースとして出力信号を出力するようにプロセッサによって実行可能であるソフトウェアを保存することができる。当然ながら、制御装置は必ずしも単一の構造単位によって具体化されている必要はなく、ブレーキシステム100ないし車両200のさまざまな制御機器に、特にさまざまなプロセッサおよびデータ記憶装置に、機能性が分散されていてよい。
【0034】
図1に記号で示すように、制御装置6は、センサインターフェース63と、第1の出力インターフェース64と、第2の出力インターフェース65とを有している。インターフェース63,64,65はたとえば有線インターフェースとして、たとえばバス・インターフェース、特にCANバス・インターフェースとして、または無線インターフェースとして、たとえばWiFi、NFCなどとして、構成されていてよい。インターフェース63,64,65は、物理的ないし構造的に分離されたインターフェースとして製作されていてよい。しかしながら、インターフェース63,64,65のうちのいくつかが単一の物理的インターフェースに、たとえば1つのバス接続部に、まとめられることも考えられる。
【0035】
さらに図1に示すように、センサインターフェース63はセンサシステム210と信号導通式に接続されており、それにより制御装置6は、センサシステム210により検出された周囲データをセンサインターフェース63で受信する。第1の出力インターフェース64は、電気機械220と、たとえば電気機械220のパワーエレクトロニクス(図示せず)と、信号導通式に接続されている。さらに第2の出力インターフェース65は、BKV4およびブレーキ圧コントロール設備5と、特に圧力生成デバイス50と、および任意選択として弁51,52とも、信号導通式に接続される。
【0036】
制御装置6は、周囲データをベースとして制御信号を生成して、出力インターフェース64,65で出力し、それにより、たとえば図2に示す、以下において図1の車両200を参照しながら説明するように、車両200を制動する方法Mを実施するように、ブレーキシステム100へ指図するためにセットアップされている。
【0037】
図2に模式的に示す方法手順では、第1のステップM1で、センサシステム210により周囲データが検出される。たとえばセンサ211は、車両の周囲にある物体との距離を時間分解式に検出することができる。
【0038】
ステップM2で、検出された周囲データをベースとして、制御装置6が車両200の目標減速を判定する。このことは、たとえば、車両の周囲にある物体に対する車両200の距離が、事前決定された最小距離よりも小さくならないためにホイール202に印加されなければならないブレーキトルクが判定されることを含むことができる。目標減速は、ホイール202へのブレーキトルクの印加によって実現されるべき、車両200の負の加速度に相当する。
【0039】
ステップM3で、たとえば0.3gであってよい、事前決定された第1の限界値と目標減速とを制御装置6が比較し、ここでgは9.81m/sの重力加速度の値に相当する。ステップM3での比較の結果、図1に記号「-」で図示するように、目標減速が第1の限界値よりも小さい場合、方法(M)は、ステップM6へそのまま進むか、または図1に例示として示すように、任意選択のステップM4へと進むことができる。
【0040】
任意選択のステップM4で、制御装置6は、周囲データを参照してブレーキトルク生成ダイナミクス特性量を判定する。ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量は、事前決定されたタイムスパン内に目標減速を達成するためにブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表す。たとえばブレーキトルク生成ダイナミクス特性量は、ブレーキトルク生成の勾配によって形成されていてよく、この勾配は、たとえば周囲データの勾配に依存して決めることができる。すなわち、周囲データによって表される、物体に対する車両200の距離が急速に変化している場合、このことは、急速なブレーキトルク生成を必要とする可能性があり、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量の高い値によってそれが表現される。
【0041】
ステップM4から、本方法は、制御装置6がブレーキトルク生成ダイナミクス特性量を事前決定された第2の限界値と比較するステップM5へと進む。図2に記号「-」で示すように、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合、方法MはステップM6に進む。
【0042】
ステップM6で、制御装置6は第1の出力インターフェース64で、電気機械220とリンクされた車両200のホイール202で目標減速に準じてブレーキトルクを生成するために、発電機動作へと移行するように、または発電機動作を維持するように、電気機械220へ指図する制御信号を出力する。任意選択として、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、発電機としての電気機械220の動作によってブレーキトルクが生成されることが意図されていてよい。
【0043】
図2に記号「+」で示すように、ステップM3で、目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しいことが判定された場合、本方法はステップM7へと進む。ステップM5を記号で表す決定ブロックに付した記号「+」で図2に示すように、任意選択のステップM5で、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きいことが判定された場合、同様に方法MはステップM7へと進む。
【0044】
ステップM7で制御装置6は、車両200のホイール202でのブレーキトルクを目標減速に準じて少なくとも部分的にホイールブレーキ1でのブレーキ圧の生成によって生成するよう液圧ブレーキ設備150へ指図するために、第2の出力インターフェース65で制御信号を出力する。一般に、圧力生成デバイス50およびBKV4のうち少なくとも一方または両方が、ホイールブレーキ1でブレーキ圧を生成するために、制御装置6によって制御されることが意図されていてよい。
【0045】
本発明の第1の代替案では、ステップM7で、ペダル3がリンクされたブレーキブースタ4の入力ロッド41が、ばね作用により互いにリンクされた複数の部分部材を有している場合、ホイールブレーキ1でのブレーキ圧がBKV4のみによって生成される。このようにして、システム100の簡易な制御が実現される。それと同時に、ペダル3で発生する力を低減することができ、高ダイナミックなブレーキ圧生成を実現することができる。この方法代替案では、任意選択として、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しいことがステップM5で判定された場合に限り、電気機械220にリンクされている車両200のホイール202におけるブレーキトルクが、発電機としての電気機械220の動作によって目標減速に準じて生成されることが意図されていてよい。
【0046】
本発明の第2の代替案では、ステップM7で、ホイールブレーキ1でブレーキ圧を生成するために、圧力生成デバイス50とBKV4のうち少なくとも一方または両方が制御装置6によって制御されることが意図される。たとえば、特に、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しいことがステップM5で判定されているが、目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しいことがステップM3で判定されていた場合に、ホイールブレーキ1でのブレーキ圧が少なくとも部分的に、任意選択として全面的に、圧力生成デバイス50によって生成されることが意図されていてよい。それによってBKV4の動作が回避され、運転者介入なしにペダル3が動く状況の頻度が低減される。ブレーキ圧コントロール設備5による圧力生成の代替または追加として、ステップM7で、ホイールブレーキ1でのブレーキ圧を少なくとも部分的にBKV4によって生成することができ、それは特に、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きいことがステップM5で判定された場合である。任意選択として、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に限り、BKV4がそもそも介入をすることが意図されていてよい。それに伴ってBKV4の利用は依然としていくつか少数の状況に限定され、特に、高ダイナミクスのブレーキ圧生成が必要である状況に限定される。
【0047】
本発明の第2の代替案においても、ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、車両200のホイール202のブレーキトルクがステップM6で目標減速に準じて発電機としての電気機械220の動作によって生成されることが考えられるであろう。
【0048】
方法Mが第1または第2のいずれの代替案に基づいて実施されるかに関わりなく、ステップM6で液圧ブレーキ設備150によってブレーキ圧がホイールブレーキ1で生成される場合にも、目標減速の達成に必要なブレーキトルクを部分的に生成するために、発電機としての電気機械220の動作を行うことができる。
【0049】
さらに制御装置6は、任意選択として、電気機械220の減速ポテンシャルを第1の出力インターフェース64で入力信号として、たとえば電気機械220のパワーエレクトロニクスから受け取ることができる。減速ポテンシャルは、電気機械220によって現在提供可能なブレーキトルクと、提供可能なブレーキトルクを生成することができるダイナミクスとを表す特性量によって定義されていてよい。ステップM3およびM5で、制御装置6は、目標減速を達成するために、ないし要求されるダイナミクスでブレーキトルクを生成するために、電気機械220の減速ポテンシャルがそのつど十分であるか否かをさらに判定することができる。ステップM3およびM5でチェックされるこれらの条件の一つが満たされていない場合、すなわち、電気機械220が要求されるブレーキトルクを供給できない場合、もしくは要求されるブレーキトルクを要求されるダイナミクスで供給できない場合、方法MはステップM7へと進む。
【0050】
上記において実施例を参照しながら本発明を例示として説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、多様な仕方で改変可能である。特に、上記の各実施例の組み合わせも考えられる。
【符号の説明】
【0051】
1 ホイールブレーキ
3 ペダル
4 ブレーキブースタ
5 ブレーキ圧コントロール設備5
6 制御装置
41 入力ロッド
50 圧力生成デバイス
64 出第1の力インターフェース
65 第2の出力インターフェース
100 ブレーキシステム
150 液圧ブレーキ設備
200 車両
210 センサシステム
202 ホイール
220 電気機械
M 方法
M1 検出
M2 判定
M3 比較
M4 判定
M5 比較
M6 生成
M7 生成
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ブレーキ設備(150)によって、およびホイール(202)にリンクされた電気機械(220)によって、前記ホイール(202)でブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステム(100)によって車両(200)を自律的に制動する方法(M)において、前記液圧ブレーキ設備(150)は、ホイールブレーキ(1)と、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)と、前記ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧を生成するために前記ブレーキブースタ(4)と関わりなく操作可能である、前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続された圧力生成デバイス(50)を備えたブレーキ圧コントロール設備(5)とを有し、前記方法は、
前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データが検出(M1)されることと、
検出された周囲データをベースとして前記車両(200)の目標減速が判定(M2)されることと、
事前決定された第1の限界値と目標減速が比較(M3)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、発電機としての前記電気機械(220)の動作によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M6)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、少なくとも部分的に前記液圧ブレーキ設備(150)により前記ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M7)されることとを含む、方法(M)。
【請求項2】
前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記圧力生成デバイス(50)によって生成される、請求項1に記載の方法(M)。
【請求項3】
ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定(M4)されることと、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較(M5)されることとを追加的に含み、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、請求項1または2に記載の方法(M)。
【請求項4】
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも大きい場合に限り、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、請求項3に記載の方法(M)。
【請求項5】
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、前記車両(200)の前記ホイール(202)でのブレーキトルクが目標減速に準じて発電機としての前記電気機械(220)の動作によって生成される、請求項に記載の方法(M)。
【請求項6】
前記ペダル(3)は、前記ブレーキブースタ(4)の、少なくとも2つの部分部材を有する入力ロッド(41)にリンクされ、前記部分部材はばね作用により互いに結合され、前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)によって生成される、請求項1または2に記載の方法(M)。
【請求項7】
液圧ブレーキ設備(150)によって、およびホイール(202)にリンクされた電気機械(220)によって、前記ホイール(202)でブレーキトルクを生成可能である、ブレーキシステム(100)によって車両(200)を自律的に制動する方法(M)において、前記液圧ブレーキ設備(150)は、ホイールブレーキ(1)と、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)とを有し、前記ペダル(3)は、前記ブレーキブースタ(4)の、少なくとも2つの部分部材を有する入力ロッド(41)にリンクされ、前記部分部材はばね作用により互いに結合され、前記方法は、
前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データが検出(M1)されることと、
検出された周囲データをベースとして前記車両(200)の目標減速が判定(M2)されることと、
事前決定された第1の限界値と目標減速が比較(M3)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも小さい場合に、前記電気機械(220)によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M6)されることと、
目標減速が第1の限界値よりも大きいか、またはこれに等しい場合に、少なくとも部分的に前記ブレーキブースタ(4)により前記ホイールブレーキ(1)でのブレーキ圧が生成されることによって、目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でブレーキトルクが生成(M7)されることとを含む、方法(M)。
【請求項8】
ブレーキトルクが生成されなければならないダイナミクスを表すブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が周囲データを参照して判定(M4)されることと、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が事前決定された第2の限界値と比較(M5)されることとを追加的に含み、
ブレーキトルク生成ダイナミクス特性量が第2の限界値よりも小さいか、またはこれに等しい場合に限り、発電機としての前記電気機械(220)の動作によって目標減速に準じて前記車両(200)の前記ホイール(202)でのブレーキトルクが生成される、請求項7に記載の方法(M)。
【請求項9】
第1の限界値が0.3gであり、ここでgは9.81m/sの重力加速度の値に相当する、請求項1または7に記載の方法。
【請求項10】
車両(200)のブレーキシステム(100)のための制御装置(6)において、
センサシステム(210)との接続のためにセットアップされた、前記車両(200)の周囲にある他の物体に対する前記車両(200)の距離を表す周囲データを前記センサシステム(210)から受信するためのセンサインターフェース(63)と、
前記車両(200)のホイール(202)にリンクされた、モータおよび発電機として作動可能な電気機械(220)との接続のための第1の出力インターフェース(64)と、
ホイールブレーキ(1)でブレーキ圧を生成するためにセットアップされた、ペダル(3)にリンクされて前記ホイールブレーキ(1)と液圧接続されたブレーキブースタ(4)を有する、前記ブレーキシステム(100)の液圧ブレーキ設備(150)との接続のための第2の出力インターフェース(65)とを含み、
前記制御装置(6)は、周囲データをベースとして制御信号を生成して前記出力インターフェース(64,65)で出力し、それにより請求項1または7に記載の方法を実施するように前記ブレーキシステム(100)へ指図するためにセットアップされる、制御装置(6)。

【国際調査報告】