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特表2024-547052船舶の最適航路を導出するサーバ、方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】船舶の最適航路を導出するサーバ、方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 3/00 20060101AFI20241219BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241219BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241219BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G3/00 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536533
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2021020347
(87)【国際公開番号】W WO2023128028
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189761
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518362834
【氏名又は名称】ウェザーアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンド
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181BB04
5H181CC27
5H181EE12
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
(57)【要約】
船舶の最適航路を導出する最適航路導出サーバは、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納する格納部と、前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出する補正船舶速度導出部と、前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出する速度低下曲線導出部と、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出する航路決定部とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の最適航路を導出する最適航路導出サーバにおいて、
船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納する格納部と、
前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出する補正船舶速度導出部と、
前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出する速度低下曲線導出部と、
前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出する航路決定部と、
を含むことを特徴とする最適航路導出サーバ。
【請求項2】
前記補正船舶速度導出部は、前記各位置での風向及び風速に基づいて前記第2の補正船舶速度を導出し、前記各位置での波向及び波高に基づいて前記第3の補正船舶速度を導出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の最適航路導出サーバ。
【請求項3】
前記速度低下曲線導出部は、各風向毎に風速別の前記船舶の基本速度に対する前記第1の補正船舶速度の割合を含む前記第1の速度低下曲線を導出し、各波向毎に波高別の前記船舶の基本速度に対する前記第1の補正船舶速度の割合を含む前記第2の速度低下曲線を導出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の最適航路導出サーバ。
【請求項4】
前記航路決定部は、前記各位置での前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度の間の比較を通じて、前記第1の速度低下曲線及び前記第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出し、
前記導出された影響度の優先順位に基づき、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線のうち何れか1つを適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の最適航路導出サーバ。
【請求項5】
前記格納部は、前記各運航毎に前記第1の速度低下曲線及び前記第2の速度低下曲線を更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の最適航路導出サーバ。
【請求項6】
前記運航データは、前記各運航に対する前記船舶の位置、針路、速力のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の最適航路導出サーバ。
【請求項7】
最適航路導出サーバにおいて船舶の最適航路を導出する方法において、
船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納するステップと、
前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出するステップと、
前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出するステップと、
前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出するステップと、
を含むことを特徴とする最適航路導出方法。
【請求項8】
前記補正船舶速度を導出するステップは、
前記各位置での風向及び風速に基づいて前記第2の補正船舶速度を導出するステップと、
前記各位置での波向及び波高に基づいて前記第3の補正船舶速度を導出するステップとを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の最適航路導出方法。
【請求項9】
前記速度低下曲線を導出するステップは、
各風向毎に風速別の前記船舶の基本速度に対する前記第1の補正船舶速度の割合を含む前記第1の速度低下曲線を導出するステップと、
各波向毎に波高別の前記船舶の基本速度に対する前記第1の補正船舶速度の割合を含む前記第2の速度低下曲線を導出するステップとを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の最適航路導出方法。
【請求項10】
前記最適航路を導出するステップは、
前記各位置での前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度の間の比較を通じて、前記第1の速度低下曲線及び前記第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出するステップと、
前記導出された影響度の優先順位に基づき、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線のうち何れか1つを適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出するステップとを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の最適航路導出方法。
【請求項11】
前記各運航毎に前記第1の速度低下曲線及び前記第2の速度低下曲線を更新するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の最適航路導出方法。
【請求項12】
前記運航データは、前記各運航に対する前記船舶の位置、針路、速力のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の最適航路導出方法。
【請求項13】
船舶の最適航路を導出する命令語のシーケンスを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータプログラムは、コンピューティング装置によって実行される場合、
船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納し、
前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出し、
前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出し、
前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出するようにする命令語のシーケンスを含む、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の最適航路を導出するサーバ、方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶速度低下アルゴリズム(SRA、Speed Reduction Algorithm)は、気象要素(Weather Factor)と海流要素(Current Factor)の影響による船舶の速度低下を分析し、船舶の位置を計算するのに利用される。
【0003】
また、船舶速度低下アルゴリズムは、船舶性能速度(Ship Performance Speed)を評価するところにも使用される。船舶性能速度を計算するために、全体航海において速度低下曲線(Speed Down Curve)を分析する方法が使用されており、これは、船舶の速度が気象要素と海流要素の影響をどの程度受けたかを計算する方法である。
【0004】
つまり、船舶速度低下アルゴリズムは、船舶性能速度及び船舶の位置を計算するのに利用され、これは、船舶の航路を決定するための主要資料になる。このとき、船舶性能速度及び船舶の位置を正確に計算するためには、船舶の速度低下曲線の正確度がカギとなる。
【0005】
このような船舶の速度を分析して船舶の航路を提供する技術に関し、先行技術である韓国特許第10-2006925号は、船舶航路及び速度決定装置、船舶航路及び速度決定方法、記録媒体を開示している。
【0006】
従来は、個別船舶毎に風、波、海流によって影響を受ける程度が異なるにもかかわらず、各船舶に対して固定された速度低下曲線を一律的に反映して推薦航路が提供されていた。つまり、個別船舶に対する速度低下曲線ではなく、船舶類型又は姉妹船(同じ船種又は船団)に当たる速度低下曲線が所定割合に調整されて利用されることに従い、各船舶の航海特性を反映した最適の推薦航路が提供できていなかった。
【0007】
また、従来は、船社を通って個別船舶に対する運航レポートを受信しなければ船舶の位置及び航海情報を取得することができなかったので、既存の速度低下アルゴリズムから大きく変わらないアルゴリズムが利用されるしかなかった。
【0008】
このように、従来は、個別船舶の実際の航海特性が反映できていないことに従い、船舶の最適な推薦航路についての正確度が低いという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2021/106096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
各運航毎に船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、第1の補正船舶速度に海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び第1の補正船舶速度に各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
船舶の基本速度、第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出し、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0013】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本発明の一実施例は、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納する格納部と、前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出する補正船舶速度導出部と、前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出する速度低下曲線導出部と、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出する航路決定部とを含む最適航路導出サーバを提供しても良い。
【0015】
本発明の他の実施例において、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納するステップと、前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出するステップと、前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出するステップと、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出するステップとを含む最適航路導出方法を提供しても良い。
【0016】
本発明のさらに他の実施例は、コンピュータプログラムは、コンピューティング装置によって実行される場合、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納し、前記各運航毎に前記船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、前記第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び前記第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出し、前記船舶の基本速度、前記第2の補正船舶速度及び前記第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出し、前記第1の速度低下曲線又は前記第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して前記船舶に対する最適航路を導出するようにする命令語のシーケンスを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムを提供しても良い。
【0017】
上述した課題を解決するための手段は、単なる例示であり、本発明を制限する意図で解釈されてはならない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載された追加の実施例が存在し得る。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明の課題を解決するための手段の何れか1つによれば、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納することで、資料の量が膨大で収集及び利用が容易な運航データと、位置基盤の海洋データとのマッチングを通じて、船舶別の運航特性が考慮された最適航路を提供するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【0019】
各運航毎に船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度及び波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【0020】
船舶の基本速度、第2の補正船舶速度及び第3の船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出し、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出することで、船舶の運航特性が考慮された固有の速度低下曲線を利用して最適航路を導出するサーバ、方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る最適航路導出サーバの構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る第1の速度低下曲線を導出する過程を説明するための例示的な図である。
図3】本発明の一実施例に係る第2の速度低下曲線を導出する過程を説明するための例示的な図である。
図4】本発明の一実施例に係る最適航路導出サーバにおいて実行される船舶の最適航路を導出する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。ところが、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0023】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0024】
本明細書において「部」とは、ハードウェアによって実現されるユニット(unit)、ソフトウェアによって実現されるユニット、両方を利用して実現されるユニットを含む。また、1つのユニットが2つ以上のハードウェアを利用して実現されても良く、2つ以上のユニットが1つのハードウェアによって実現されても良い。
【0025】
本明細書において、端末又はデバイスが行うと記述された動作や機能のうち一部は、当該端末又はデバイスと連結されたサーバにおいて代わりに行われても良い。それと同様に、サーバが行うと記述された動作や機能のうち一部も、当該サーバと連結された端末又はデバイスにおいて行われても良い。
【0026】
以下、添付された図面を参照しながら、本発明の一実施例を詳しく説明することとする。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に係る最適航路導出サーバの構成図である。図1を参照すると、最適航路導出サーバ100は、格納部110と、補正船舶速度導出部120と、速度低下曲線導出部130と、航路決定部140とを含んでいても良い。ここで、最適航路導出サーバ100は、各運航毎に船舶の速度から風の影響を考慮した第2の補正船舶速度及び波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出し、これに基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出することで、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出することができる。以下では、最適航路導出サーバ100の各部を通じて船舶に対する最適航路を導出する過程について説明することとする。
【0028】
格納部110は、船舶に設けられた船舶自動識別装置(AIS、Automatic Identification System)から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納しても良い。ここで、船舶自動識別装置とは、船舶に設けられた送受信機を利用する自動追跡システムであり、主に船舶交通サービスにおいて利用される。例えば、船舶自動識別装置は、衛星に船舶の船舶自動識別装置の署名を探知させ、海上における船舶間の衝突を防止することができる。このような船舶自動識別装置は、例えば、船名、位置、速力、船種、出港予想時間、入港する港への予想到着時間などを表示しても良い。運航データは、各運航に対する船舶の位置、針路、速力などを含んでいても良い。
【0029】
補正船舶速度導出部120は、各運航毎に船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出しても良い。補正船舶速度導出部120は、例えば、次の式1に基づいて第1の補正船舶速度を算出しても良い。
【0030】
第1の補正船舶速度=SOG(Speed of Ground)-[海流(Current Factor)]・・・(式1)
【0031】
式1を参照すると、船舶の速度(SOG)は、衛星によって測定された海上での船舶の速力である対水速力を意味しても良い。海流(Current Factor)は、航路中において船舶が遭遇する海流の数値を意味し、船舶の航路に沿って各位置で海流を分析することにより、各位置で海流が船舶に与える影響を把握することができる。このような海流は、例えば、Vcurrentcos(φ)を通じて算出されても良い。ここで、船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出する理由は、船舶の速度に対する風と波による影響のみを分析するためである。
【0032】
補正船舶速度導出部120は、第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び第1の補正船舶速度に各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出しても良い。
【0033】
速度低下曲線導出部130は、船舶の基本速度、第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出しても良い。ここで、第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線を導出する過程については、図2及び図3を参照しながら詳しく説明することとする。
【0034】
図2は、本発明の一実施例に係る第1の速度低下曲線を導出する過程を説明するための例示的な図である。図2を参照すると、補正船舶速度導出部120は、各位置での風向及び風速に基づいて第2の補正船舶速度200を導出しても良い。
【0035】
例えば、補正船舶速度導出部120は、風速201(W、Wind’s speed)及び風向202(Wind’s angle on the bow)に応じた第2の補正船舶速度200を導出しても良い。例えば、補正船舶速度導出部120は、風向202が0゜である際、風速201が50knの場合、第2の補正船舶速度200を80knと導出しても良い。他の例において、補正船舶速度導出部120は、風向202が180゜である際、風速201が20knの場合、第2の補正船舶速度200を103knと導出しても良い。
【0036】
速度低下曲線導出部130は、船舶の基本速度、第2の補正船舶速度200に基づいて風に対する第1の速度低下曲線210を導出しても良い。例えば、速度低下曲線導出部130は、各風向203毎に船舶の基本速度(例えば、100kn)に対する第1の補正船舶速度の割合211を含む第1の速度低下曲線210を導出しても良い。
【0037】
図3は、本発明の一実施例に係る第2の速度低下曲線を導出する過程を説明するための例示的な図である。図3を参照すると、補正船舶速度導出部120は、各位置での波向及び波高に基づいて第3の補正船舶速度300を導出しても良い。
【0038】
例えば、補正船舶速度導出部120は、波高301(Wave’s height)及び波向302(wave’s angle on the bow)に応じた第3の補正船舶速度300を導出しても良い。例えば、補正船舶速度導出部120は、波向302が0゜である際、波高301が10hの場合、第3の補正船舶速度300を40knと導出しても良い。他の例において、補正船舶速度導出部120は、船首での波向302が180゜である際、波高301が4hの場合、第3の補正船舶速度300を96knと導出しても良い。
【0039】
速度低下曲線導出部130は、船舶の基本速度、第3の補正船舶速度300に基づいて波に対する第2の速度低下曲線310を導出しても良い。例えば、速度低下曲線導出部130は、各波向303毎に船舶の基本速度(例えば、100kn)に対する第1の補正船舶速度の割合311を含む第2の速度低下曲線310を導出しても良い。
【0040】
再び図1に戻り、航路決定部140は、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出しても良い。
【0041】
航路決定部140は、各位置での第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度の間の比較を通じて、第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出しても良い。例えば、航路決定部140は、各位置での第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度の間の比較を通じて、船舶の速度が風又は波のうち何により影響されるのかに基づき、第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出しても良い。
【0042】
例えば、航路決定部140は、複数の航海区間のそれぞれに対して第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出したり、全航海区間に対して第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線に対する影響度の優先順位を導出しても良い。
【0043】
航路決定部140は、導出された影響度の優先順位に基づき、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線のうち何れか1つを適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出しても良い。例えば、航路決定部140は、導出された影響度の優先順位が、例えば、第1の速度低下曲線>第2の速度低下曲線である場合、船舶の速度に対して波よりも風が与える影響の方がより大きいので、第1の速度低下曲線を適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出することができる。他の例において、航路決定部140は、導出された影響度の優先順位が、例えば、第2の速度低下曲線>第1の速度低下曲線である場合、船舶の速度に対して風よりも波が与える影響の方がより大きいので、第2の速度低下曲線を適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出することができる。
【0044】
さらに他の例において、航路決定部140は、各航海区間毎に第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線のうち何れか1つを適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して各航海区間に対する最適航路を導出しても良い。
【0045】
例えば、第1の航海区間に対しては第1の速度低下曲線の方が第2の速度低下曲線よりも影響度の優先順位が高い場合、航路決定部140は、第1の速度低下曲線を適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して第1の航海区間に対する最適航路を導出し、第2の航海区間に対しては第2の速度低下曲線の方が第1の速度低下曲線よりも影響度の優先順位が高い場合、航路決定部140は、第2の速度低下曲線を適用した船舶速度低下アルゴリズムを利用して第2の航海区間に対する最適航路を導出しても良い。
【0046】
格納部110は、各運航毎に第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線を更新しても良い。例えば、格納部110は、船舶の運航を通じて取得された運航データが格納される度に、速度低下曲線導出部130によって第1の速度低下曲線及び第2の減少曲線が導出された場合、第1の速度低下曲線及び第2の速度低下曲線を更新することで、船舶の最適化された航路を提供し、最適航路の正確度を向上させることができる。
【0047】
これにより、本発明は、船社から船舶の運航レポートを受信することなく、当該船舶の実際運航を通じて生成された運航データを利用することで、資料の量が膨大で、収集及び利用が容易である点を利用し、様々な船舶に適用可能であるという長所を提供することができる。また、位置基盤の全世界の海洋データとの融合及びマッチングが自由で、活用度が高いという長所を提供することができる。
【0048】
このような最適航路導出サーバ100は、船舶の最適航路を導出する命令語のシーケンスを含む媒体に格納されたコンピュータプログラムにより実行されても良い。コンピュータプログラムは、コンピューティング装置によって実行される場合、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納し、各運航毎に船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び第1の補正船舶速度に前記各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出し、船舶の基本速度、第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出し、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出するようにする命令語のシーケンスを含んでいても良い。
【0049】
図4は、本発明の一実施例に係る最適航路導出サーバにおいて実行される船舶の最適航路を導出する方法のフローチャートである。図4を参照すると、最適航路導出サーバ100において実行される船舶の最適航路を導出する方法は、図1乃至図3に示された実施例により時系列的に処理されるステップを含む。よって、以下、省略された内容であるとしても、図1乃至図3に示された実施例に係る最適航路導出サーバ100において実行される船舶の最適航路を導出する方法にも適用される。
【0050】
ステップS410において、最適航路導出サーバ100は、船舶に設けられた船舶自動識別装置から取得された各運航に対する運航データに含まれた時間と位置毎に風、波高及び海流を含む海洋データをマッチングして格納しても良い。
【0051】
ステップS420において、最適航路導出サーバ100は、各運航毎に船舶の速度から海流の影響を排除した第1の補正船舶速度を導出し、第1の補正船舶速度に各位置での風の影響を考慮した第2の補正船舶速度、及び第1の補正船舶速度に各位置での波の影響を考慮した第3の補正船舶速度を導出しても良い。
【0052】
ステップS430において、最適航路導出サーバ100は、船舶の基本速度、第2の補正船舶速度及び第3の補正船舶速度に基づいて風に対する第1の速度低下曲線及び波による第2の速度低下曲線を導出しても良い。
【0053】
ステップS440において、最適航路導出サーバ100は、第1の速度低下曲線又は第2の速度低下曲線が適用された船舶速度低下アルゴリズムを利用して船舶に対する最適航路を導出しても良い。
【0054】
上述した説明において、ステップS410乃至S440は、本発明の具現例によって追加のステップにさらに分割されたり、より少ないステップに組み合わせられても良い。また、一部のステップは必要に応じて省略されても良く、ステップ間の順番が変更されても良い。
【0055】
図1乃至図4を通じて説明された最適航路導出サーバにおいて実行される船舶の最適航路を導出する方法は、コンピュータにより実行される媒体に格納されたコンピュータプログラム又はコンピュータにより実行可能な命令語を含む記録媒体の形態に具現されても良い。また、図1乃至図4を通じて説明された最適航路導出サーバにおいて実行される船舶の最適航路を導出する方法は、コンピュータにより実行される媒体に格納されたコンピュータプログラムの形態に具現されても良い。
【0056】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の可用媒体であっても良く、揮発性及び不揮発性の媒体、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。また、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ格納媒体を含んでいても良い。コンピュータ格納媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令語、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータのような情報格納のための任意の方法又は技術で具現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。
【0057】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0058】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】