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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】粉末化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241219BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537030
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022083660
(87)【国際公開番号】W WO2023117331
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216563.3
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベクト,ハシバ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーシット,ジェナ・クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ケムラー,ケイラ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,アンジン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD262
4C083CC23
4C083DD17
4C083EE01
(57)【要約】
本明細書では、パーソナルケア組成物が開示される。詳細には、本明細書では、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、脂肪アルコール若しくはそれらの組み合わせ、及び水分促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物を含む四級アンモニウム化合物混合物;及び安定化担体を含む、急速に水和可能な粉末化粧品組成物が開示される。このような粉末化粧品組成物は、予想外に、高湿度及び/又は高温条件下でも自由流動性を維持し、パッケージから取り出すのに便利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)四級アンモニウム化合物;C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ;及び水和促進剤を含む四級混合物;及び
b)安定化担体
を含む粉末化粧品組成物であって、
前記四級混合物が、硬度250~600正加力(g)及び平均粒径20~250ミクロンを有する粉末化粧品組成物。
【請求項2】
前記四級アンモニウム化合物が下記化学構造を有する、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【化1】
[式中、
RはC14-22アルキル基、好ましくはC16-22アルキル基であり、
Xは、ハロゲン、リン酸、硫酸又は炭酸アニオンである。]
【請求項3】
前記四級アンモニウム化合物が塩化ベヘントリモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及びベヘントリモニウムメトサルフェートを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項4】
前記四級混合物が、当該四級混合物の10~55重量%、好ましくは15~50重量%、より好ましくは、20~45重量%四級アンモニウム化合物を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項5】
前記C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせが40℃を超える、好ましくは45℃を超える、より好ましくは49℃を超える融点を特徴とし、前記四級混合物の30~65重量%、好ましくは35~60重量%、より好ましくは40~55重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項6】
前記四級アンモニウム化合物混合物が、四級アンモニウム化合物と脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせを20:80~80:20、好ましくは25:75~75:25、より好ましくは30:70~70:30の重量比で含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項7】
前記水和促進剤が、Zea mays(トウモロコシ)デンプン、タピオカデンプン、Oryza sativa(米)デンプン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、及びそれらの組み合わせを前記粉末化粧品組成物の最大50重量%、好ましくは、2.5~40重量%、より好ましくは5~20重量%の水和促進剤の量で含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項8】
前記粉末化粧品組成物が、当該粉末化粧品組成物の2~70重量%、好ましくは5~65重量%、より好ましくは7~60重量%、最も好ましくは15~45重量%の四級アンモニウム化合物混合物を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項9】
前記安定化担体が、Zea mays(トウモロコシ)デンプン、タピオカデンプン、Oryza sativa(コメ)デンプン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム、粘土又は粘土鉱物、シリコーン及び/又はエラストマー粉末、又はそれらの混合物を、前記粉末化粧品組成物中、20~90重量%、好ましくは22~80重量%、より好ましくは25~70重量%の安定化担体の量で含む、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項10】
前記組成物が、手、顔、体、毛髪、爪、又は無生物対象化粧品組成物の前駆体である、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項11】
前記クレンジング粉末組成物が安定であり、高湿及び高温(40℃で75%相対湿度)の条件下で少なくとも2週間にわたり凝集しない、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項12】
前記粉末化粧品組成物が、小さいオリフィスを通して容易にディスペンス可能な自由流動粉末の形態である、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項13】
水で水和させた前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物を含む粉末化粧品組成物。
【請求項14】
最終用途化粧品組成物を製造するために前記粉末化粧品組成物とともに使用される水の重量が、使用される粉末化粧品組成物の重量の1~12倍、好ましくは3~10倍、最も好ましくは4~8倍である、前記請求項のいずれか1項に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項15】
a)請求項1~14のいずれか1項による粉末化粧品組成物を水和させて粉末化粧品組成物を製造する段階;及び
b)皮膚、毛髪、爪又は無生物対象を前記最終用途化粧品組成物と接触させる段階
を含むコンディショニング方法であって、
皮膚、毛髪、爪又は無生物対象との接触前又は接触後に、前記粉末化粧品組成物をせん断力によって水和させて前記化粧品組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、パーソナルケア組成物が開示される。詳細には、本明細書では、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、脂肪アルコール若しくはそれらの組み合わせ、及び水分促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物、及び安定化担体を含む、急速に水和可能な粉末化粧品組成物が開示される。このような粉末化粧品組成物は、予想外に、高湿度及び/又は高温条件下でも自由流動性を維持し、パッケージから取り出すのに便利である。
【背景技術】
【0002】
世界の海では、まもなく魚よりプラスチックの方が多くなると宣伝されることが多い。環境への懸念と地球のためにもっと貢献したいという消費者や意識の高い企業の願いを考慮すると、消費者製品を含む製品の販売時にプラスチックの使用を減らしたいという強い要望がある。これを考慮して、製品を濃縮物形態で販売し、従って水分の少ない製品を出荷する努力がなされてきた。濃縮物に伴う問題は、多くのものが防水性及び/又は耐熱性ではないために望ましくない凝集を生じることから、消費者が濃縮物をディスペンスするのが困難を感じることが多いという点である。これは、濃縮物を住宅の浴室などの蒸気の多い環境で使用することを意図している場合に特に重要である。他の苦情としては、濃縮物が十分に水和しない、又は均質な最終用途製品が作られないなどがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
持ち運びや水和が容易で、せん断や水分が制限された、消費者が望む均質な最終用途製品を生じる粉末化粧品組成物の開発への関心が徐々に高まっている。また、使い捨て用途の製品を製造するのに容易に使用できる粉末化粧品組成物を得ることにも徐々に関心が高まっている。したがって、本発明は、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせ、及び水和促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物の粉末四級アンモニウム化合物混合物;及び安定化担体とを含む粉末化粧品組成物に関する。このような粉末化粧品組成物は、予想に反して凝集せず、パッケージから取り出すのに便利であり、使い捨て用途のために水和させるのが容易である。
【0004】
したがって、本発明者らは、凝集せず、包装から取り出しやすく、使い捨て用途で水和させやすい粉末化粧品組成物を開発する必要があることを認識した。したがって、本明細書では、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ、及び水和促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物の粉末四級アンモニウム化合物混合物;及び安定化担体とを有する粉末化粧品組成物が開示される。
【0005】
追加情報
粉末化粧品組成物を製造するための取り組みが開示されている。
【0006】
米国特許第5,472,688号は、アスコルビン酸及び第2銅及び/又は第2銅塩とを含む、髪に光沢、柔らかさ及び弾力を与えるヘアコンディショナーを得る方法を開示している。一つのバージョンでは、コンディショナーは粉末形態である。
【0007】
米国特許第7,670,998号には、固体を形成するためにカカオバター、セテアリルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸グリセリル及びPEG-100ステアレートを有する、そしてさらにラノリン及び臭化セトリモニウムなどの少なくとも一つのヘアコンディショニング成分を含む、ヘアコンディショニング用の化粧品が記載されている。
【0008】
米国特許出願公開番号US2008138308は、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含むベース組成物を開示しており、このベース組成物を用いて、水と混合することによってヘアコンディショナーが調製される。
【0009】
米国特許出願公開番号US20030103930は、エステル基、アミノ基及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの基を有する四級アンモニウム化合物;及び無水担体とを含む化粧品組成物に関するものである。
【0010】
これら追加情報のいずれも、本出願に記載及び特許請求されているような粉末化粧品組成物について記載していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、四級アンモニウム化合物、脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせを含む四級アンモニウム化合物混合物及び水和促進剤;及び安定化担体の粉末四級アンモニウム化合物混合物を有する粉末化粧品組成物であって、その粉末化粧品組成物は凝集せず、パッケージから取り出すのに便利であり、使い捨て用途用に水和させるのが容易である粉末化粧品組成物を見出した。
【0012】
したがって、第1の態様において、本発明の組成物は、
a)四級アンモニウム化合物;C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ;及び水和促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物;及び
b)安定化担体
を含む粉末化粧品組成物であって、
前記四級混合物が、硬度250~600正加力(g)及び平均粒径20~250ミクロンを有する粉末化粧品組成物に関するものである。
【0013】
第2の態様において、開示される本発明の組成物は、第1の態様の粉末化粧品組成物をせん断によって水和させて最終用途化粧品組成物を生成し、皮膚、毛髪、爪又は無生物対象をその最終用途化粧品組成物と接触させることにより、第1の態様の粉末化粧品組成物でコンディショニングする方法である。
【0014】
第3の態様において、本明細書に開示されるのは、皮膚、毛髪、爪又は無生物対象をコンディショニングするための、
a)四級アンモニウム化合物;C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ;及び水和促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物;及び
b)安定化担体
を含む組成物の使用に関するものである。
【0015】
本発明の化粧品組成物の他のすべての態様は、下記の詳細な説明及び実施例を考慮するとより容易に明らかになるであろう。
【0016】
本明細書で使用される場合、「四級アンモニウム化合物混合物」又は「四級混合物」とは、アンモニウム四級アンモニウム化合物、C10-22脂肪アルコール、及び水和促進剤を含む混合物を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「水和促進剤」とは、水溶性又は水分散性の物質を意味する。本明細書で使用される場合、「乾燥」、「固体」又は「無水」という用語は互換的に使用され、本質的に水を含まないことを意味する(すなわち、指定成分の0~5重量%、好ましくは0.01~3重量%、最適には0.05~1重量%の水分が存在)。水和の水は無水の定義に関する水とはみなされないが、水和の水を最小限に抑え、好ましくは完全に排除することが好ましい。「安定化担体」とは、水分を安定化させ保持できる粘土若しくはタルクなどの天然素材、及び/又は炭水化物又はデンプン質素材を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「皮膚」という用語は、顔、首、胸、背中、腕、脇の下、臀部、手、足及び頭皮の皮膚を含む。本明細書で用いられる皮膚有益剤は、局所適用後にそれの皮膚特性及び/又は効果のような顔面又は身体の特徴を改善する成分を含むことを意味し、その皮膚有益剤はクリーム、ポンプ又はエアロゾルスプレー、美容液、ローション、バルム、脱臭剤、ジェル、又は非発泡性若しくは低発泡性洗浄組成物中の皮膚有益剤であることができ、好ましくはそれらである。水和(すなわち、水と混合)後の粉末化粧品組成物は、本明細書では、「水和製品」と互換的である最終用途(化粧品)組成物と称される。したがって、粉末化粧品組成物自体は、最終用途組成物の前駆物質である。最終用途化粧品組成物には、コンディショナー、ローション、クリーム、バルム、脱臭剤、シェービングクリーム、マスク、及び非発泡性洗浄剤などがある。本明細書で使用される「粉末流」とは、粉末の凝集や静的凝集が目視で観察されない状態で、振盪機から容易に振り落とされることを意味する。同様に、本明細書で使用される「自由流動性」という用語は、連続した安定した流れで移動する粉末を説明することを意味する。本明細書で使用される高湿及び高温の条件とは、40℃で相対湿度75%を指す。本明細書で使用される「実質的に含まない」とは、組成物の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満を占めることを意味する。
【0019】
明示的に別途記載がない限り、本明細書に記載のすべての範囲は、そこに含まれるすべての範囲を含むものとする。含むという用語は、「本質的に~からなる」及び「~からなる」という用語を包含するものとする。疑義を避けるために、四級アンモニウム化合物混合物及び安定化担体を含む組成物は、本質的にそれからなる組成物及びそれからなる組成物を含むものとする。本明細書で使用されているパーセントに関しては、別途記載がない限り、成分の重量基準であるものとする(例えば、一緒に供給され得る水は含まない)。操作例及び比較例以外、又は別途明示的に示されている場合を除き、材料の量又は比率及び/又はそれらの使用を示す本説明で使用されるすべての数値は、「約」という語で修飾されているものと理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で開示の粉末化粧品組成物は、四級アンモニウム化合物;C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ;及びさらに安定化担体とともに水和促進剤を含む四級アンモニウム化合物混合物を含む。好ましい態様において、開示の粉末化粧品組成物は無水である。
【0021】
望ましい四級アンモニウム化合物は、好ましくは25℃で固体である。開示の粉末化粧品組成物で使用するのに望ましい四級アンモニウム化合物は、以下の化学構造を有する。
【化1】
式中、RはC14-22アルキル基、好ましくはC16-22アルキル基であり、
Xはハロゲン、リン酸、硫酸又は炭酸アニオンである。
【0022】
好ましい態様において、Xは塩化物アニオンである。
【0023】
本明細書で開示の組成物で使用するのに望ましい四級アンモニウム化合物としては、塩化ベヘントリモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及びベヘントリモニウムメトサルフェートなどのカチオン性ヘッド基に結合した単一の脂肪鎖を特徴とする化合物などがある。塩化ベヘントリモニウムは、Clariant社からGenamin(登録商標) BTLFとして、そしてAmbeed社からAMBH2D6EDE6Aとして市販されている。塩化ステアリルトリメチルアンモニウムは、供給者KCI LimitedからSTAC 808KCとして市販されている。ベヘントリモニウムメトサルフェートは、Clariant社からGenamin(登録商標) BTMSとして市販されている。四級アンモニウム化合物は、四級混合物の10~55重量%、好ましくは15~50重量%、さらに好ましくは20~45重量%の量で粉末化粧品組成物に含まれ得る。
【0024】
開示された粉末化粧品組成物の四級アンモニウム化合物混合物は、C14-22脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせも含む。好ましい態様において、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールは、鎖長C16-22、より好ましくはC18-22のものである。望ましい脂肪酸及び脂肪アルコールは、融点が40℃を超え、好ましくは45℃を超え、より好ましくは49℃を超える。脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせを、四級混合物の30~65重量%、好ましくは35~60重量%、より好ましくは40~55重量%の量で粉末化粧品組成物に含ませることができる。
【0025】
開示の本発明の組成物の四級混合物は、四級アンモニウム化合物の脂肪酸及び/又は脂肪アルコールに対する重量比が20:80~80:20、好ましくは25:75~75:25、より好ましくは30:70~70:30であることを特徴とする。好ましい態様において、四級アンモニウム化合物混合物は、40:60~60:40重量比の四級アンモニウム化合物:脂肪酸/アルコールを含む。
【0026】
望ましい水和促進剤は、タピオカデンプン、米デンプン、コーンスターチ、柑橘繊維、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、及びそれらの組み合わせを含む。理論に縛られたり制限されたりする意図はないが、水和促進剤は組成物に水を引き込み、十分かつ迅速な水和を可能にすると考えられている。開示の組成物のような四級アンモニウム化合物混合物は、組成物の最大50重量%、好ましくは2.5~40重量%、より好ましくは5~20重量%の水和促進剤を含む。
【0027】
硬度を識別パラメータとして使用して四級混合物を評価して、当業者に知られている粉砕又はスプレー冷却技術によって混合物自体が本明細書に開示の望ましい粒径まで効率的に縮小できるか否かを判定する。硬度は、Stable Micro Systems社製のTA.XT Plus Texture Analyzerなどの当該分野で認められた計測機器で、そのような測定に30°円錐プローブを使用して測定することができる。本明細書に開示されている硬度の測定値は、試験モードを圧縮に設定し、ターゲットモードを距離に設定して測定した。詳細な条件には、試験前速度10mm/s、試験速度1mm/s、距離1mm、及びトリガー力0.005キログラム(kg)などがある。四級アンモニウム化合物混合物の望ましい硬度は、250~600正加力(g)、好ましくは300~550gの範囲内であることが認められる。
【0028】
本発明の粉末化粧品組成物に使用される四級混合物は、代表的には、粉末化粧品組成物の合計2~70重量%、好ましくは5~65重量%、より好ましくは7~60重量%を占める。1態様において、四級混合物は、粉末化粧品組成物の10~55重量%の量で含まれていても良い。別の態様において、四級混合物は、粉末化粧品組成物の15~45重量%を占める。
【0029】
開示の粉末化粧品組成物は、安定化担体も含む。このような安定化担体は、予想外に、高湿及び高温を特徴とする条件での安定性の向上に寄与することが確認されている。高湿及び高温の代表的な条件は、2週間(つまり14日間)にわたって40℃で相対湿度(RH)75%である。理論に拘束されることを望むものではないが、このようなシステムは、高湿及び高温の条件下で粉末化粧品組成物中の粉末材料が固まったり沈殿したりするのを防ぐのに役立つと考えられる。
【0030】
使用される安定化担体は、それが局所組成物に使用するのに適する程度にのみ限定される。これらには、繊維、デンプン、粘土(例えばカオリン、ベントナイト)又は粘土鉱物(タルクなど)、シリコーン及び/又はエラストマー粉末、及び非改質セルロース(セルロース微小繊維、セルロースナノ結晶又は微結晶セルロースなど)などがある。デンプンの代表的なものとしては、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム及びオクテニルコハク酸アルミニウムデンプンなどの化学的に改質されたデンプン及びコーンスターチ、米デンプン、タピオカデンプン、及びマルトデキストリンなどの非改質デンプンがある。安定化担体は、コーンスターチ、タピオカデンプン、米デンプン、微結晶セルロース、粘土又は粘土鉱物、シリコーン及び/又はエラストマー粉末、又はそれらの混合物を含むことが好ましい。粉末化粧品組成物で使用される安定化担体に関しては、粉末化粧品組成物中、20~90重量%、好ましくは22~80重量%、より好ましくは25~70重量%の安定化担体が使用される。特に好ましい態様では、粉末化粧品組成物中、27~60重量%の安定化担体を使用する。
【0031】
本出願の1態様において、使用される安定化担体は、米デンプン及び/又はINCI:Zea mays(トウモロコシ)デンプンと呼ばれるコーンスターチであり、例えば、Ingredionによって商品名Farmal(商標名)CS3757で販売されている製品である。本出願の別の態様において、使用される安定化担体は、INCI:Oryza sativa(米)デンプンと呼ばれる未改質米デンプンであり、これもIngredionからNativacare(商標名)という商品名で市販されている。本出願のさらに別の態様において、使用される安定化担体は、Active OrganicsによってActicel(登録商標)12という商品名で販売されている微結晶セルロース(CAS9004-34-6)である。
【0032】
本出願のさらに別の態様において、望ましい安定化担体には、例えばベントナイト、カオリン、又はタルクなどの粘土又は粘土鉱物などがある。さらなる態様において、安定化担体には、Dow(登録商標)によってDOWSIL(商標名) EP-9801 Hydro Cosmetic Powder(INCI:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)シリカ(及び)ブチレングリコール)として市販されているようなシリコーン及び/又はエラストマー粉末も含まれ得る。
【0033】
セルロース微小繊維の望ましい供給源としては、二次細胞壁材料(例えば、木材パルプ、綿)、バクテリアセルロース、及び一次細胞壁材料などがある。好ましくは、一次細胞壁材料の供給源は、果実、根、球根、塊茎、種子、葉、及びそれらの組み合わせからの実質組織から選択され、より好ましくは、柑橘果実、トマト果実、桃果実、カボチャ果実、キウイ果実、リンゴ果実、マンゴー果実、テンサイ、ビートの根、カブ、アメリカボウフウ、トウモロコシ、カラスムギ、小麦、エンドウ豆、及びそれらの組み合わせから選択され、さらにより好ましくは柑橘果実、トマト果実及びそれらの組み合わせから選択される。一次細胞壁材料の最も好ましい供給源は、柑橘果実の実質組織である。Herbacel(登録商標)によりAQ Plusとして入手可能になっているものなどの柑橘類繊維も、セルロース微小繊維の供給源として使用することができる。セルロース源は、Colloidal Polymer Science, Kalia et al., ″Nanofibrillated cellulose: surface modification and potential applications″ (2014), Vol 292, pp.5-31に記載されている方法などの公知の方法のいずれかによって表面改質することができる。
【0034】
安定化担体は、概ね丸い粒子又は不定形の粒子として存在することができる。このような粒子は、親水性であることが望ましい。本発明の粉末化粧品組成物の1態様において、粒子は0.5~350ミクロン、好ましくは5~300ミクロン、最も好ましくは20~250ミクロンの平均粒径を有することができる。本明細書で使用される平均粒径とは、水性分散液中の粒子の直径を指す体積平均粒径を意味する。球状でないポリマー粒子の場合、粒子の直径は、粒子の長軸と短軸の平均である。粒径は、当該技術分野で認められた篩又はその他の当該技術分野で認められた装置を備えたBeckman-Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析装置で測定することができる。
【0035】
1態様において、本明細書に開示の粉末化粧品組成物は、無機発熱剤を実質的に含まない。好ましい態様において、本明細書に開示の粉末化粧品組成物は、水と混合すると熱を発生することが当該分野で知られている無機発熱剤を含まない。具体例としては、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムなどの金属塩化物;酸化カルシウム及び酸化マグネシウムなどの金属酸化物;炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩;及び硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム及び硫酸亜鉛などの金属硫酸塩などがある。
【0036】
本発明の粉末化粧品組成物を使用する場合、粉末及び水を、特に順序は問わず、混合容器に入れ、中程度のせん断力で振盪、撹拌及び/又はかき混ぜることができる。得られた最終用途化粧品組成物は、必要に応じて(例えば、手、顔、体、及び/又は毛髪に)使用することができる。製造される最終用途化粧品組成物の量は、消費者の好みによって決定される。手、顔、体又は毛髪への使い捨て使用では、代表的には、粉末化粧品組成物0.25~12グラム、好ましくは0.3~10グラム、最も好ましくは0.5~8グラムが使用される。最終用途組成物を製造するために粉末化粧品組成物とともに使用される水の量も、消費者の好みによって決定される。多くの場合、最終用途化粧品組成物を製造するために粉末化粧品組成物とともに使用される水の量/重量は、使用される粉末化粧品組成物の量/重量の1~12倍、好ましくは3~10倍、最も好ましくは4~8倍である。
【0037】
1実施形態において、粉末化粧品組成物と水を、特に順序は決めずに手の中に置く。両手で混ぜてせん断することで、最終用途化粧品組成物が生成される。ヘアコンディショニング用の最終用途化粧品組成物も、手の中で生成することができる。本発明の1実施形態において、水及びクレンジング組成物を手に置き、その後顔又は頭に供給し、その適用動作がせん断力を提供することで、場合によっては顔又は毛髪の組成物が作られる。
【0038】
本発明の粉末化粧品組成物で使用できる任意成分には、最終用途の化粧品組成物を製造する際に潜在的に有害な微生物の増殖を防ぐのに役立つ防腐剤などがある。使用できる好適な従来の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び各種の四級アンモニウム化合物などがある。多くの場合、好ましい防腐剤は、ソルビン酸カリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ワサビベースの防腐剤、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びベンジルアルコールである。本発明の粉末化粧品組成物に使用するのに適した特に好ましい添加剤は、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオールなどの1,2-アルカンジオール、又はそれらの混合物である。1態様において、粉末化粧品組成物は、ホルムアルデヒドを含まない、パラベンを含まない、又はその両方である防腐剤系を含むことができる。別の態様において、粉末化粧品組成物は防腐剤を含まなくてもよい。さらに別の態様において、粉末化粧品組成物はシリコーン、硫酸塩、又はそれらの組み合わせを実質的に含まない。さらに別の態様において、粉末化粧品組成物はシリコーン、硫酸塩、又はその両方を含まない。
【0039】
オイゲノール、クマリン、酢酸リナリル、シトロネラール、アイリス濃縮物、酢酸テルピニル、テルピネオール、チモール、ピネン(例えば、アルファピネン及びベータピネン)及びシトロネロールなどの従来の芳香成分も粉末化粧品組成物に任意に添加することができる。
【0040】
使用される場合、従来の防腐剤、隣接ジオール及び/又は香料成分は、本発明の最終用途化粧品組成物の2重量%以下、好ましくは1%重量以下、最も好ましくは0.2~0.85重量%を構成する。本発明の1実施形態において、最終用途化粧品組成物の総重量基準で、0.2~0.8重量%の任意の防腐剤、隣接ジオール及び/又は香料成分が使用される。本発明の1実施形態において、最終用途化粧品組成物では、従来の防腐剤、隣接ジオール及び/又は香料成分(最終用途化粧品組成物に使用される香料中で提供されるものを除く)は使用されない。なぜなら、そのような化粧品組成物は、所望の場合に必要に応じて製造及び使用することができ、防腐剤を含まない化粧品製品を有する選択肢が消費者に与えられるからである。
【0041】
使用に適した他の任意成分としては、特に最終用途化粧品組成物がフケ防止効果を提供するコンディショナーである場合に、亜鉛ピリチオン、オクトピロックス、又はそれらの混合物などがある。これらの物質はそれぞれ、最終用途化粧品組成物の総重量の0.05~3重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲であることができる。
【0042】
使用できる追加の任意成分には、感覚オイル及び/又は角質除去剤などがある。望ましいオイルには、ローズ、ライム、ココナッツ、ラベンダー、アルガン、スイートアーモンドオイル、又はそれらの混合物などがある。使用に望ましい例示的な角質除去剤には、塩、砂糖、アプリコット、クルミの殻、米、ナツメグ、及び/又はオートミール粉末などがある。使用する場合、感覚オイル及び角質除去剤は、最終用途化粧品組成物の0.1~2重量%を占めることができるが、ただし、香料及び感覚オイルの合計量は組成物の2.5重量%を超えず、好ましくは最終用途化粧品組成物の2.0重量%以下である。
【0043】
本明細書に開示の化粧品粉末組成物はビタミンを含んでいてもよい。ビタミンの例としては、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びビオチンなどがある。ビタミンの誘導体も使用できる。例えば、ビタミンC誘導体には、アスコルビルテトライソパルミテート、アスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビルグリコシドがある。ビタミンEの誘導体には、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル、リノール酸トコフェリルなどがある。DL-パンテノール及び誘導体も使用できる。ビタミンが存在する場合、その総量は最終用途化粧品粉末組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、最適には0.1~3重量%の範囲であることができる。
【0044】
使用に望ましいその他の任意の添加剤としては、4-エチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、ジメトキシトルイルプロピルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール、チアミドールなどのレゾルシノール;α-及び/又はβ-ヒドロキシ酸;レチノイン酸及びそれの誘導体(例えば、シス及びトランス);レチナール;レチノール;例えば酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル及びプロピオン酸レチニルなどのレチニルエステル;ペトロセリン酸;共役リノール酸;12-ヒドロキシステアリン酸;それらの混合物などがある。エタノール、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セトリモニウム、塩化ベンザルコニウムなど)のようなさらに他の任意の添加剤も含有させることができる。乳化剤などのさらなる任意の添加剤を、分裂(cleaving)粉末組成物で使用することができる。polyquaternium化合物(例えば、polyquaternium-67)などのコンディショニング剤も、本発明に含めるのに望ましいものであり得る。そのような添加剤は、使用される場合、総称して、最終用途化粧貧組成物の0.001~3重量%、好ましくは0.01~2重量%、最も好ましくは0.1~1.5重量%を構成する。
【0045】
落屑促進剤が存在してもよい。例としては、α-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。「酸」という用語は、遊離酸だけでなく、それの塩、C-C30アルキル若しくはアリールエステル、及び水を除去して環状又は直鎖ラクトン構造を形成することによって生成されるラクトンも含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸及びそれの誘導体、乳酸及びリンゴ酸である。これらの物質が存在する場合の量は、最終用途化粧品組成物の0.01~3重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲であることができる。
【0046】
本発明の化粧用組成物には、任意に、多様なハーブエキスを含めることができる。代表的なエキスとしては、緑茶、ノコギリソウ、高麗人参、マリーゴールド、ハイビスカス、イチョウ、カモミール、甘草、アロエベラ、ブドウ種子、温州みかん、柳の樹皮、セージ及びローズマリーから抽出したものなどがある。グリセロール及び他のポリオールなどの保湿剤も含めることができる。保湿剤及び/又はソルビトールなどのエキスは、使用する場合、代表的には最終用途組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.01~4重量%、最も好ましくは0.02~3重量%を占める。
【0047】
使用に適した別の任意の添加剤としては、2.5~25重量%のカンナビゲロール及び/又は0.5~10重量%のカンナビジオールを含む大麻油などがある。使用する場合、このような油は、最終用途組成物の0.0001~12重量%、好ましくは液体組成物の0.01~5重量%を占め、その中に含まれるすべての範囲を含む。
【0048】
また、使用に任意に好適なものには、キレート剤(例えば、EDTA)、乳白剤(TiO、粒径50~1200nm、好ましくは50~350nm)、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、雲母、C8-22脂肪酸置換された糖類、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Clariant Corp.からSilcare 1M-75の商品名で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、又はそれらの混合物などの材料などがある。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B、及びセラミド6など)及びシュードセラミドも、10-及び/又はは12-ヒドロキシステアリン酸と同様に、任意に含めることができる。抽出物及びこれらの追加的材料が使用される場合、その量は、最終用途化粧品組成物の0.0001~3重量%、好ましくは0.001~2重量%、最も好ましくは0.001~1.5重量%の範囲であり得る。
【0049】
着色剤又は色素も開示の組成物に含まれていてもよい。これらの物質は、当該組成物の0.05~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲であることができる。
【0050】
ヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、5-ウレイドヒダントイン及び/又はグリオキシルジウレイドなどのコンディショニング剤が使用可能である。使用される場合、これらの成分は、粉末化粧品組成物の0.5~4重量%、好ましくは0.75~4重量%、最も好ましくは1~3重量%を占める。
【0051】
開示の化粧品粉末組成物には、任意に日焼け止め活性剤も含まれ得る。特に好ましいのは、Parsol MCX(登録商標)として入手可能なp-メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、Parsol 1789(登録商標)として入手可能なAvobenzene、及びOxybenzoneとしても知られるベンゾフェノン-3などの物質である。微粒子二酸化チタン、酸化亜鉛、ポリエチレン、及び各種の他のポリマーなどの無機日焼け止め活性剤を使用してもよい。存在する場合の日焼け止め剤の量は、一般に最終用途化粧品組成物の0.01~3重量%、好ましくは0.5~2重量%、最適には0.75~1.5重量%の範囲であることができる。
【0052】
最終用途化粧品組成物においては、従来の緩衝剤/pH調整剤を使用できる。これらには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、クエン酸/クエン酸緩衝液、トリエタノールアミン、又はそれらの混合物などの一般的に使用される添加剤などがある。これらの材料は、最終用途化粧品組成物の所望のpHを得る量で加えられる。所望の水和を行うと、粉末化粧品組成物のpHは3.5~7.5、好ましくは4.0~6.5、最も好ましくは4.5~5.5の範囲となるものと予想され、pHはThermo Fisher Scientific pH計を使用して測定される。
【0053】
化粧品粉末組成物の嵩密度は、代表的には0.2~1.2、好ましくは0.3~0.9、最も好ましくは0.35~0.7g/cmであり、嵩密度は、例えば、Microtrac MRB社が市販しているガス比重びんを使用する当該技術分野で認められた技術によって測定される。
【0054】
粉末化粧品組成物を調製する場合、成分は大気圧で混和及び/又は撹拌することができる。混和及び攪拌が行われる温度は代表的には20℃~50℃である。均質な混合物が得られ、得られた粉末化粧品組成物が凝集した粒子を含まなくなったら、混和及び/又は攪拌を停止する。粉末化粧品組成物の粒子は、本明細書に記載の篩などの当業界で認められた装置を用いて測定される平均粒径0.5~300ミクロン、及び好ましくは5~250ミクロン、最も好ましくは10~175ミクロンを有することになる。
【0055】
本発明の化粧品組成物を保存及び供給するために、多くの種類のパッケージを使用することができる。パッケージの選択は、パーソナルケアの最終用途及び組成物自体の粘度によって決まる。1例として、皮膚用のリーブオンローション及びクリームは、代表的には、適切な閉鎖具で覆われたディスペンス端の開口部を備えたプラスチック容器を使用する。従来の閉鎖具には、押し上げ式ヒンジ蓋、スクリューキャップ、及び非エアゾールポンプなどがある。別の例として、制汗剤、脱臭剤及び脱毛剤に使用する適切なパッケージには、組成物が流体で粘度が低い場合、ディスペンス端にローラーボールアプリケータを備えた容器などがある。組成物がスティック形式の場合、スティックがディスペンスオリフィスに向かって台に固定される推進-反発機構を備えた容器が適切である。組成物がエアロゾル形式の場合、推進剤によって加圧され、スプレーノズルを備えた金属缶が適切である。概して、貼付剤、瓶、チューブ、ローラーボールアプリケータ、スクイーズ容器、又は蓋付き瓶が好ましい。
【0056】
以下、本発明の化粧品組成物をより良く理解するために、特定の非限定的な例の文脈で化粧品組成物について説明する。当業者であれば、本発明の組成物の教示から逸脱することなく、提供される実施例とは異なる本発明の組成物のバリエーションを実施できることが分かるであろう。
【実施例
【0057】
すべての四級混合物サンプルは、中程度のせん断、22℃~30℃、大気圧の条件下で前述の成分を混合し、その混合物を70℃~85℃及び大気圧で加熱して溶融混合物にすることによって作った。得られた溶融混合物は、スプレー冷却して所望の粒径とすることができるか、又は冷却して固体ブロックにし、それをその後粉砕して所望の粒径とすることで粉末を製造することができる。その後、安定化担体を室温(22℃~30℃及び大気圧)で四級混合物に加えた。
【0058】
実施例1:サンプル製剤
本発明に従って、実施例1に記載された成分及び量で粉末化粧品組成物を製造した。大気圧及び25℃で撹拌して成分を混合した。驚くべきことに、製品を代表的な高温多湿条件(40℃で75%RH)で2週間保管した後でも、組成物の目に見える凝塊化や凝集は観察されなかった。さらに、粉末化粧品組成物は、嵩密度が0.4~0.6g/cmであり、目に見える静的凝集がなく、容易に流動可能であった。
【表1】
実施例1の表に記載された粉末化粧品組成物約1グラムを、熟練したパネリストの左前腕に塗布し、続いて水約4グラムを塗布した。パネリストは、右手で中等度のせん断力を用いて、水と粉末化粧品組成物を混合して、粒状でなく、使用時に消費者が許容できるコンディショニングを提供する最終用途の化粧品組成物を生成することができた。粉末の流動性により、開口オリフィス及び生分解性の小袋若しくはポーチを備えたパッケージから簡単に取り出すことができた。パネリストが使用する前に、本発明の組成物に従って製造されたサンプルD~Jの粉末化粧品組成物を評価して、容易に水和し、自由流動粉末として容易に分配できることを確認した。サンプルCは、結果として生じた硬度が開示の所望の範囲内になかったため、柔らかすぎることも指摘された。したがって、サンプルCを加工可能な粉末に加工することは不可能であった。
【0059】
実施例2:四級混合物成分を変えることによる影響
【表2】
予想外に、本明細書に開示の本発明の組成物に従って製造された望ましい粉末化粧品組成物は、四級アンモニウム化合物混合物の成分によって制限されることが確認され、その結果得られる粉末化粧品組成物が加工可能であり、及び/又は即座に水和するか否かを決定した。データは、各サンプルが即座に水和し、硬度が250~600正加力(g)の望ましい範囲内に入ったことを示している。実施例2で製造された製剤の成分は、実施例1で説明した方法と同様の方法で混合された。
【0060】
サンプル1の粉末組成物は、本発明の組成物に従って製造されておらず、その結果として柔らかさが観察された。サンプル2~5は、四級混合物においてカチオン性界面活性剤(すなわち、四級アンモニウム化合物が属する種類の界面活性剤)を変えることの影響を示している。サンプル5は、開示の粉末化粧品組成物に従って製造されなかった。カチオン性ヘッド基に結合した二重脂肪鎖を特徴とする塩化ジステアリルジモニウム(供給者EvonikからVarisoft(登録商標) TA100として市販されている)を使用したが、開示の望ましい範囲より高い硬度が得られ、望ましい速度で水中で水和できないことから明らかなように、望ましい四級混合物は生成されなかった。
【0061】
サンプル2及び6~8は、得られる四級アンモニウム化合物混合物で最適な硬度が達成されることでわかるように、評価した非イオン性界面活性剤のうち、脂肪アルコールが本明細書に開示の本発明の組成物での使用に望ましいことを示している。特に、サンプル2及び6は、異なる鎖長からなる脂肪酸が、開示の粉末化粧品組成物に使用できることを示している。サンプル2でのセチルアルコール:ステアリルアルコールの比30:70の混合物であるステアリルアルコールの使用は、脂肪アルコールの混合物も範囲内であることを示している。しかしながら、モノステアリン酸グリセリル及びステアレス-2を使用しても、硬度基準が満たされなかったことから、望ましい四級混合物にはならない。
【0062】
サンプル9~13は、水和促進剤の種類を変えることが、得られる四級アンモニウム化合物混合物に与えた影響を示している。従って、サンプル9~13は、本発明の組成物で使用するのに望ましい水和促進剤を示した。サンプル14は、開示の範囲の範囲外の量のデンプン(例えば、ここでは全デンプンの51重量%)を使用すると、均一な構造が十分に作られない、加工ができない四級混合物が生成されることを示している。結果的に、硬度及び水和は測定できなかった。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)四級アンモニウム化合物;C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせ;及び水和促進剤を含む四級混合物;及び
b)安定化担体
を含む粉末化粧品組成物であって、
前記四級混合物が、硬度250~600正加力(g)及び平均粒径20~250ミクロンを有する粉末化粧品組成物。
【請求項2】
前記四級アンモニウム化合物が下記化学構造を有する、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【化1】
[式中、
RはC14-22アルキル基、好ましくはC16-22アルキル基であり、
Xは、ハロゲン、リン酸、硫酸又は炭酸アニオンである。]
【請求項3】
前記四級アンモニウム化合物が塩化ベヘントリモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム及びベヘントリモニウムメトサルフェートを含む、請求項1又は2に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項4】
前記四級混合物が、当該四級混合物の10~55重量%、好ましくは15~50重量%、より好ましくは、20~45重量%四級アンモニウム化合物を含む、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項5】
前記C14-22脂肪酸、脂肪アルコール又はそれらの組み合わせが40℃を超える、好ましくは45℃を超える、より好ましくは49℃を超える融点を特徴とし、前記四級混合物の30~65重量%、好ましくは35~60重量%、より好ましくは40~55重量%の量で存在する、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項6】
前記四級アンモニウム化合物混合物が、四級アンモニウム化合物と脂肪酸、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせを20:80~80:20、好ましくは25:75~75:25、より好ましくは30:70~70:30の重量比で含む、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項7】
前記水和促進剤が、Zea mays(トウモロコシ)デンプン、タピオカデンプン、Oryza sativa(米)デンプン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、及びそれらの組み合わせを前記粉末化粧品組成物の最大50重量%、好ましくは、2.5~40重量%、より好ましくは5~20重量%の水和促進剤の量で含む、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項8】
前記粉末化粧品組成物が、当該粉末化粧品組成物の2~70重量%、好ましくは5~65重量%、より好ましくは7~60重量%、最も好ましくは15~45重量%の四級アンモニウム化合物混合物を含む、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項9】
前記安定化担体が、Zea mays(トウモロコシ)デンプン、タピオカデンプン、Oryza sativa(コメ)デンプン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム、粘土又は粘土鉱物、シリコーン及び/又はエラストマー粉末、又はそれらの混合物を、前記粉末化粧品組成物中、20~90重量%、好ましくは22~80重量%、より好ましくは25~70重量%の安定化担体の量で含む、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項10】
前記組成物が、手、顔、体、毛髪、爪、又は無生物対象化粧品組成物の前駆体である、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項11】
前記クレンジング粉末組成物が安定であり、高湿及び高温(40℃で75%相対湿度)の条件下で少なくとも2週間にわたり凝集しない、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項12】
前記粉末化粧品組成物が、小さいオリフィスを通して容易にディスペンス可能な自由流動粉末の形態である、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項13】
水で水和させた請求項1に記載の粉末化粧品組成物を含む粉末化粧品組成物。
【請求項14】
最終用途化粧品組成物を製造するために前記粉末化粧品組成物とともに使用される水の重量が、使用される粉末化粧品組成物の重量の1~12倍、好ましくは3~10倍、最も好ましくは4~8倍である、請求項1に記載の粉末化粧品組成物。
【請求項15】
a)請求項1に記載の粉末化粧品組成物を水和させて粉末化粧品組成物を製造する段階;及び
b)皮膚、毛髪、爪又は無生物対象を前記最終用途化粧品組成物と接触させる段階
を含むコンディショニング方法であって、
皮膚、毛髪、爪又は無生物対象との接触前又は接触後に、前記粉末化粧品組成物をせん断力によって水和させて前記化粧品組成物を製造する方法。
【国際調査報告】