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特表2024-547062リサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置およびそれを使用する方法
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  • 特表-リサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置およびそれを使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/52 20060101AFI20241219BHJP
   B29D 7/01 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 43/44 20060101ALI20241219BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B29C43/52
B29D7/01
B29C43/44
B29K101:12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537037
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 ES2022070775
(87)【国際公開番号】W WO2023126553
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P202131217
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524230974
【氏名又は名称】アソシエーション デ インベスティゲーション デ ラ インダストリア テクスティル (エーアイティイーエックス)
【氏名又は名称原語表記】ASOCIACION DE INVESTIGACION DE LA INDUSTRIA TEXTIL (AITEX)
【住所又は居所原語表記】Carretera de Baneres, n 10, 03802 Alcoy - (Alicante) SPAIN
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス・モスカルド・オスカル
(72)【発明者】
【氏名】ファギエス・サンタナ・エデュアルド
【テーマコード(参考)】
4F204
4F213
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD16
4F204AG04
4F204AG18
4F204AJ08
4F204AK04
4F204AR06
4F204FA06
4F204FB02
4F204FN11
4F204FN15
4F213AD08
4F213AD16
4F213AG05
4F213AG18
4F213AR02
4F213AR08
4F213WA04
4F213WB02
4F213WF51
(57)【要約】
本発明は、高い機械的強度を有するリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置に関し、提案された構成により、最適化された運転幅で高速生産が可能となる。この目的のために、この装置は、供給されたシートを連続的に加熱および加圧するための領域、冷却領域、カレンダー処理領域および成形領域を含む。有利なことに、成形領域は、成形ローラの表面に連続した列をなして配置された突起を備えた成形ローラを含み、この列はシートの供給方向に対して交差して配置されている。このようにして、リサイクル可能なハニカムプレートが得られる。本発明はまた、記載された熱圧着装置を用いて実施される方法に関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地及び熱可塑性材料を含むリサイクル可能な材料のシート(4)で供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置であって、複数の駆動ローラ(3)と、複数の加熱された熱圧着ローラ(1)と、半六角形の幾何学的形状を有する突起(5)を有する複数の成形ローラ(2)とを備え、熱圧着ローラ(1)と成形ローラ(2)とが対をなして配置され、熱圧着装置が以下によって規定されることを特徴とする熱圧着装置、すなわち、
・少なくとも第1の赤外線放射加熱要素(6)および熱圧着ローラ(1)を有し、前記連続的に加熱および加圧するための領域の温度がシート(4)の熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い、シート(4)を連続的に加熱および加圧するための領域(8)と、
・水冷式冷却要素(7)を有する、シート(4)を冷却するための冷却領域(9)と、
・シート(4)の熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれよりも高い温度の、少なくとも第2の赤外線放射加熱要素(6’)を有する、シート(4)をカレンダー処理するためのカレンダー処理領域(10)と、
・成形ローラ(2)がカレンダー処理領域(10)の温度よりも低い温度で配置される成形領域(11)とを備え、
成形ローラ(2)の突起(5)が、成形ローラ(2)の表面に連続した列をなして配置され、前記列がシート(4)の供給方向に対して交差して配置されている。
【請求項2】
連続して加熱及び加圧される領域(8)および成形領域(11)において、少なくとも7MPaの圧力が加えられることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル可能な材料のシート(4)が供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置。
【請求項3】
リサイクル可能な材料のシート(4)の供給速度が少なくとも4m/分であることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル可能な材料のシート(4)を供給するタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための改良された熱圧着装置。
【請求項4】
シート(4)の布地が、不織布、40~150g/mの低坪量の布地、またはフィラメント糸を有する布地であることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル可能な材料のシート(4)が供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための改良された熱圧着装置。
【請求項5】
シート(4)の熱可塑性材料が、20~75g/mの熱可塑性繊維または熱可塑性フィルムからなることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル可能な材料のシート(4)が供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための改良された熱圧着装置。
【請求項6】
成形領域(11)で得られるハニカムプレートが100~200cmの幅を有することを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル可能な材料のシート(4)が供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための改良された熱圧着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱圧着装置によるリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法、すなわち、
・布地と熱可塑性材料とを含むシート(4)を、駆動ローラ(3)によって連続的に加熱及び加圧する領域(8)に供給する工程と、
・第1の加熱要素(6)および熱圧着ローラ(1)によって、熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度でシート(4)を加熱および加圧する工程と、
・駆動ローラ(3)によってシート(4)を冷却領域(9)に供給する工程と、
・水冷式冷却エレメント(7)によってシート(4)を冷却する工程と、
・駆動ローラ(3)により、シート(4)をカレンダー処理領域(10)に供給する工程と、
・シート(4)の熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で、第2の加熱要素(6’)を用いて加熱及び加圧することにより、シート(4)をカレンダー処理する工程と、
・成形ローラ(2)によってシート(4)を成形領域(11)に供給する工程と、
・成形ローラ(2)の半六角形状の突起(5)によってシート(4)を冷却して成形し、リサイクル可能なハニカムプレートを製造する工程。
【請求項8】
シート(4)を冷却して成形する工程で得られるハニカムプレートは、100~200cmの幅を有することを特徴とする、請求項7に記載のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法。
【請求項9】
シート(4)を冷却して成形する工程で得られたハニカムプレートは、粘着剤を配することによって別のハニカムプレートに接着する工程に付されることを特徴とする、請求項7に記載のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法。
【請求項10】
シート(4)を冷却して成形する工程で得られたハニカムプレートは、ホットプレートによって別のハニカムプレートに接着する工程に付されることを特徴とする請求項7に記載のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法。
【請求項11】
連続的に加熱及び加圧するための領域(8)における加熱及び加圧の工程、並びに成形領域(11)における冷却及び成形の工程において、少なくとも7MPaの圧力が加えられることを特徴とする、請求項7に記載のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法。
【請求項12】
シート(4)を熱圧着装置に供給する速度が少なくとも4m/分であることを特徴とする請求項7に記載のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された熱圧着装置、および高速で最適化された作動幅で製造される高い機械的強度を有するリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための方法に関する。
【0002】
この方法において、熱圧着装置は、加熱ローラと非加熱ローラの複数の対によって連続プロセスを適用し、異なる性質の繊維と熱可塑性繊維との組み合わせで製造されたカード状の不織布、低坪量の布地、および熱可塑性フィルムと組み合わせたハイブリッド布地のような異なる材料の使用に基づいて、数種類のセル開口サイズを有するリサイクル可能なハニカムプレートを製造することを可能にする。
【0003】
有利なことに、改良された熱圧着装置により、作動速度を向上させることができるとともに、その表面全体にわたって均質であるリサイクル可能なハニカムプレートを製造することができ、これは機械的強度の向上につながる。
【背景技術】
【0004】
高い機械的性能を有するハニカムプレートは、建設的な解決策として従来技術で知られている。しかしながら、高い機械的性能を有するこれらのプレートは、高コストである。あるいは、より低い経済的コストである一方、不十分な機械的性能を提供するハニカムプレートが知られている。
【0005】
さらに、既知のハニカムプレートは、リサイクルが極めて困難である。この意味で、アルミニウム、ガラス、紙およびポリプロピレンは、ハニカムプレートの形成に一般的に使用される材料の中でも際立っている。
【0006】
ハニカムプレート製造業界に存在する基本技術を以下に簡単に説明する。
【0007】
<ペーパーハニカムプレート拡張技術>: この技術は基本的に、六角形の形状を形成するために拡張される薄い紙やボール紙の連続した層を接着するための粘着ストリップの塗布から構成される。これらのハニカムプレートは、大きなコア厚と小さなセルサイズでは製造できないという制限がある。
【0008】
<プラスチックシート押出技術>: このシステムは、100%熱可塑性ポリマー(主にPP)の薄いシートの押し出しから成り、その後、半溶融状態で真空ローラと半六角形形状の突起の上を通過し、半六角形形状のプレートを形成する。その後、これらの板は切断され、特定の方法で連続的に曲げられる。このシステムは、コアの厚さ、密度、使用可能なポリマー、セルの大きさに制限があり、さらに、ハニカムを製造するためには、ハニカムの2つの面に低坪量のウェブが常に必要である。
【0009】
<高性能ハニカムプレート拡張技術>: このシステムには、製造工程に熟練したオペレーターを要する。この技術では、ノーメックス紙、ケブラー(登録商標)、ガラス、石英、カーボンの低坪量の工業用布などの材料を使用することができる。まず、粘着ストリップを前述の材料の連続する層の接着のために塗布し、六角形の形状を形成するために膨張させる。これらのブロックは樹脂タンクに浸され、オーブンで硬化される。この含浸・硬化工程は数回(使用条件により最大16回)繰り返すことができる。この技術は、製造コストが高いため、上記の材料と特定の高性能用途に限定される。
【0010】
<アルミハニカムプレートの膨張>: このシステムは、基本的に前述と同じ接着と膨張プロセスから成るが、アルミは一度膨張すると半六角形の鈍さを維持するため、樹脂浸漬とその後の硬化は必要ない。このシステムは、アルミ板にしか使えないという意味で制限がある。
【0011】
先の段落に記載された内容に基づいて、ハニカムプレート形成のための一般的に使用される製造工程は、一般的に使用される材料とは異なる材料の使用を妨げる、すなわち、ハニカムプレート製造技術は、上記の材料に合わせているため、リサイクル可能なハニカムプレートを製造するための現在知られている装置を用いて、異なる性質の繊維からなる不織布及び熱可塑性繊維を使用することは不可能である。
【0012】
さらに、本発明の出願人が有するスペイン実用新案ES1265289に開示されているような、カード状の不織布と熱可塑性繊維のリサイクル可能なシートからハニカムプレートを製造することを目的とした連続熱圧着装置が知られており、これらの装置は、半六角形状の突起を備えた複数の加熱熱圧着ローラから構成されている。
【0013】
その意味で、実用新案ES1265289の熱圧着装置は、シートの溶融温度より低い温度の成形領域を画定する一方、突起の高さはシートに半六角形形状を生成するために徐々に増加する。次に、一対のローラがリサイクル可能な材料のシートの溶融温度よりも高い温度を有し、一対のローラの突起の高さが成形領域の最終セグメントの最大高さに対して一定のままである取り付け領域が定義される。その意味で、シートの熱可塑性繊維は付着領域で溶融され、その後、一対のローラが付着領域の温度よりも低い温度を有し、一対のローラの突起の高さが付着領域に対して一定のままである冷却領域に移動する。
【0014】
したがって、シートの熱可塑性繊維の溶融はこの領域で起こり、初めは織物の外観と挙動を有していた不織布が、硬いボール紙やベニア板のような強度を有するようになる。
【0015】
しかしながら、上述した構成を有する装置は、1m/分の最大速度および15cmの最大幅で作動することができるため、高速で作動することができず、これは工業生産においてより大きな作動コストにつながる。実用新案ES1265289に記載された熱圧着装置に関連する別の欠点は、熱成形される材料が操作中に凝集する虞があることであり、これは溶融した熱可塑性繊維が均質に分散していない材料になるため、得られるハニカムプレートの機械的強度が低くなる。このような材料の障害は、材料障害を解消するために生産を停止する必要さえ生じさせる。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、他の公知のシートに加えて、リサイクル可能な材料のシートを用いてリサイクル可能なハニカムプレートを製造することを可能にする装置に関する。
【0017】
リサイクル可能な材料のシートは、好ましくは、繊維または熱可塑性フィルムの形態とすることができる熱可塑性材料と組み合わせた、異なる性質の繊維からなる不織布、低坪量の布地、またはフィラメント糸の布地からなる。
【0018】
不織布からなるシートの場合、好ましくは、不織布は、シートの組成物の20重量%~50重量%を占め、一方、繊維の形態の熱可塑性材料は、装置に供給されるシートの組成物の50重量%~80重量%を占める。
【0019】
好ましくは、シートの不織布を構成する繊維は、30~70mmの長さを有し、これにより、製造されたリサイクル可能なハニカムプレートに高い機械的強度が付与される。
【0020】
有利なことに、好ましくはカーディングおよびエアレイド技術(水の代わりに空気を使用する技術)により製造された不織布を使用することにより、例えば以下のような異なる性質の繊維を組み合わせることができる、すなわち、
・天然繊維、特に、リネン、綿、麻、竹繊維など。
・再生繊維、特に、再生炭素繊維、再生アラミド繊維、各種織物繊維など。リサイクル繊維を使用することにより、提案された装置は環境にやさしいものとなる。
・耐火技術繊維、特に、アラミド繊維、Pyrotex(登録商標)繊維、Kynol(登録商標)繊維など、また、高機械強度繊維、特に、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維など。
【0021】
さらに、シートが不織布を有する場合、これと組み合わせて使用される熱可塑性材料は、特に、ポリプロピレン(以下、PPという)、ポリエチレン(以下、PEという)、ポリエステル(PET)、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエステル/ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンの複合繊維などの熱可塑性繊維からなる。熱可塑性繊維は、六角形の形状を持つハニカムプレートを形成するための温度と圧力の付加によって、装置に供給されるシートを形成する異なる繊維の接着を可能にする。
【0022】
公知の装置とは異なり、本発明の装置では、低坪量の布地(好ましくは40~150g/m)からなるシートの使用が可能であることに留意すべきである。この場合、シートの熱可塑性材料は熱可塑性フィルム(好ましい目付は20~75g/m)の形態であり、このフィルムは低坪量の布地の両面に塗布され、本発明で提案する熱圧着装置に供給されるシートを生成する。
【0023】
この意味で、本発明の熱圧着装置は、リサイクル可能なハニカムプレートを製造することを可能にし、この目的のために、布地と熱可塑性材料とを含むリサイクル可能な材料のシートが、前述の装置に供給される。
【0024】
本発明の熱圧着装置は、以下の領域を有する、すなわち、
・少なくとも第1の赤外線放射加熱要素および熱圧着ローラを有するシートを連続的に加熱および加圧するための領域であって、連続的に加熱および加圧するための領域の温度が、シートの熱可塑性材料の溶融温度に等しいかそれよりも高い領域と、
・水冷式冷却要素を有するシートを冷却するための冷却領域と、
・シートの熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で、少なくとも第2の赤外線放射加熱要素を有する、シートをカレンダー処理するためのカレンダー処理領域と、
・カレンダー処理領域の温度より低い温度で成形ローラが配置される成形領域。
【0025】
このようにして、熱圧着ローラと成形ローラは対をなして配置され、成形ローラは半六角形の幾何学的形状を有する突起を有する。したがって、前述の突起は、成形ローラの表面に分布する連続した列に配置され、その列は、熱圧着装置におけるシート供給方向に対して交差して配置される。
【0026】
有利なことに、提案された装置の新規な構成は、同様に、装置に供給されるシートを製造するために、熱可塑性繊維と組み合わせたフィラメント糸の布地の使用を可能にする。
【0027】
本発明の改良された熱圧着装置は、前述の装置へのシートの供給速度を少なくとも4m/分まで高めることができる新規な構成を有する。換言すれば、少なくとも4m/分のリサイクル可能なハニカムプレートの生産が達成され、工業生産に理想的である。
【0028】
さらに、本発明の製造方法は、最適化された機械的性能を有し、非常に競争力のある品質/価格比を有する新世代のリサイクル可能なハニカムプレートの製造を可能にする。ハニカム形状または六角形形状を有するこれらの新しいコアは、特に、不織布(強化繊維および熱可塑性繊維からなる)のような、その製造のために使用することができる基材の1つにおいて、市販のものとは異なる。現在のコアの生産技術は、かかる不織布形式を可能にしないため、(カード状またはエアレイド状の)不織布形式の使用は、この分野では新規なものである。
【0029】
したがって、ベースとして不織布を使用することで、最終製品のコストを削減することができ、また非常に異なる補強材を使用する可能性もある。これは、コアの組成を使用中のアプリケーションの物理力学的要件の特性に特に適合させることができるため、市販のハニカムプレートと比較して、コスト/性能の最適化がより大きくなる可能性につながる。
【0030】
この意味において、上記で詳細に説明した熱圧着装置を使用する、本発明のリサイクル可能なハニカムプレートの製造方法は、以下の工程からなる、すなわち、
・布地と熱可塑性材料とを含むシートを、連続的に加熱及び加圧するための領域に連続的に供給し、そのために駆動ローラを使用する工程と、
・前工程で得られたシートを、熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で加熱及び加圧する工程-このために、第1の加熱要素と熱圧着ローラが使用される-と、
・前工程で得られたシートを、駆動ローラによって冷却領域に供給する工程と、
・水冷式冷却エレメントにより、前工程で得られたシートを冷却する工程と、
・前工程で得られたシートを、駆動ローラによってカレンダー処理領域に供給する工程と、
・シートの熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で、第2の加熱要素を用いて熱と圧力を加えることによって、前工程で得られたシートをカレンダー処理する工程と、
・成形ローラにより、前工程で得られたシートを成形領域に供給する工程と、
・成形ローラの半六角形状の突起により、前工程で得られたシートを冷却して成形し、リサイクル可能なハニカムプレートを製造する工程。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の説明を完全にするため、及び本発明の特徴をよりよく理解する目的で、図面一式を当該説明の不可欠な部分として添付する。この図面には、以下のことが例示的かつ非限定的な方法で描かれている。
【0032】
図1】公知の熱圧着装置を構成する熱圧着ローラの描写を示す。
図2】公知の熱圧着装置を構成する熱圧着ローラの一例の詳細な正面図である。
図3】公知の熱圧着装置を構成する2つの熱圧着ローラから得られたシートを示す。
図4】本発明の好ましい実施形態による熱圧着装置を示す。
図5】前図に描かれた熱圧着装置の成形領域に配置された成形ローラの斜視図の詳細を示す。
図6】前図に描かれた成形ローラの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図3図4図5および図6は、布地および熱可塑性材料を含むリサイクル可能な材料のシート(4)で供給されるタイプのリサイクル可能なハニカムプレートを製造するための熱圧着装置の好ましい実施形態を示す。
【0034】
その意味で、提案された熱圧着装置は、複数の駆動ローラ(3)と、複数の加熱された熱圧着ローラ(1)と、半六角形の幾何学的形状を有する突起(5)を有する複数の成形ローラ(2)とを含み、熱圧着ローラ(1)及び成形ローラ(2)は、図4に描かれているように、対になって配置されている。
【0035】
熱圧着装置には以下の領域が定義されている、すなわち、
・シート(4)を連続的に加熱及び加圧するための領域(8)は、少なくとも第1の赤外線放射加熱要素(6)と熱圧着ローラ(1)からなる加熱要素を有し、連続的に加熱及び加圧するための領域(8)の温度は、シート(4)の熱可塑性材料の溶融温度に等しいか、またはそれよりも高い。
好ましくは、連続的に加熱及び加圧するための領域(8)には少なくとも7MPaの圧力が加えられる。有利には、少なくとも7MPaの圧力で熱可塑性材料を溶融させることにより、シート(4)の収縮が防止される。
・シート(4)を冷却するための冷却領域(9)は、水冷冷却要素(7)を有する。したがって、加熱用領域(8)に供給されるシート(4)の厚さに対してより小さい厚さのシートが達成され、不織布のシート(4)の全延長にわたって熱可塑性材料の均質な分布が達成される。この均質な分布は、最適な機械的強度を有する最終的なプレートにつながる。
・カレンダー処理するためのカレンダー処理領域(10)は、シート(4)の熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で、少なくとも第2の赤外線放射加熱要素(6’)からなる加熱要素を有する。この工程の目的は、ハニカムプレートを製造するために、その成形前にシート(4)の熱可塑性材料を再びわずかに溶融させることである。
・成形領域(11)は、成形ローラ(2)がカレンダー処理領域(10)の温度よりも低い温度で配置される。好ましくは、少なくとも7MPaの圧力が成形領域(11)に加えられ、半六角形の形状を有する成形ローラ(2)がシート(4)を冷却し、後者でシート(4)が固形形式となり、ハニカム構造を永久的に獲得する。一対の各成形ローラ(2)の突起(5)は、シート(4)の熱圧着を容易にするために、互いに対してオフセットして配置されている。
【0036】
従って、本発明の改良された熱圧着装置を用いてリサイクル可能なハニカムプレートを製造するには、以下の方法に従う、すなわち、
・布地と熱可塑性材料を含むシート(4)を、駆動ローラ(3)によって連続的に加熱及び加圧する領域(8)に供給する。
・第1の加熱要素(6)および熱圧着ローラ(1)によって、熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度でシート(4)を加熱および加圧する。好ましくは、連続的に加熱及び加圧するための領域(8)における加熱加圧の工程では、少なくとも7MPaの圧力が掛けられる。
・駆動ローラ(3)によってシート(4)を冷却領域(9)に供給する。
・冷却エレメント(7)によってシート(4)を冷却する。
・駆動ローラ(3)によってシート(4)をカレンダー処理領域(10)に供給する。
・シート(4)の熱可塑性材料の溶融温度と同じかそれより高い温度で、第2の加熱要素(6’)を用いて加熱及び加圧することにより、シート(4)をカレンダー処理する。
・成形ローラ(2)によってシート(4)を成形領域(11)に供給する。
・リサイクル可能なハニカムプレートを製造するために、成形ローラ(2)の半六角形状の突起(5)によってシート(4)を冷却し、成形する。成形領域(11)における冷却および成形の工程において少なくとも7MPaの圧力が掛けられる。
【0037】
ハニカムプレートが製造されると、プレートを接着する工程で、ハニカム構造のパネルが製造される。この目的のために、一般的に「ホットメルト・リップ」として知られる技術である、粘着剤の塗布によって、2枚のプレートを接着する工程がなされ、プレートの対を徐々に組み合わせることによって、最大1mの大きさの立方体ブロックを得ることができる。これらのブロックは、次に所望の寸法に切断される。
【0038】
あるいは、2枚のハニカムプレートを接着する工程は、ホットプレートによって行われ、ハニカムプレートに含まれる熱可塑性材料そのものが加熱されたときにプレートの接着を可能にするので、追加の粘着剤を省くことができる。
【0039】
連続的に加熱及び加圧するための領域(8)及び冷却領域(9)の組込みは、公知の装置に対して生産速度を向上させ、また、製造されるハニカムプレートの均質性を確保するために極めて重要であることに留意すべきである。これは、前述の領域(8)および(9)を欠く公知の装置においては高い生産速度を適用することができない特定の温度にさらされたときの不織布の特殊な性質によるものである。このようにして、2つの最初の領域(8)および(9)において完全に平坦なシートが製造され、その後、領域(10)および(11)において所望の領域が前記シート上に形成されるので、これら4つの領域の組み合わせにより、不織布と熱可塑性材料とを有するシートが使用される場合、製造速度を向上させることができる。
【0040】
本発明の改良された熱圧着装置の新規な態様の1つは、成形ローラ(2)における突起(5)の配置にある。この意味において、図5および図6に見られるように、成形ローラ(2)の突起(5)は、成形ローラ(2)の表面に連続する列に配置され、その列はシート供給方向(4)に対して直交方向に配置されている。この直交配置は、同様に、生産速度を向上させ、シート(4)の全延長にわたって均質性を確保し、その全幅が利用されるので、その表面を最大限に利用することを可能にする。
【0041】
本発明の装置の成形ローラ(2)における突起(5)の新規な配置は、図1図2および図3に描かれた公知のローラ(101)では達成できなかった非常に有利な効果を生み出す。
【0042】
この意味で、公知の装置では、成形ローラ(101)の突起(100)は、図3に見られるように、シート(102)を供給する方向に対して長さ方向に配置されていることが分かる。
【0043】
公知の装置は、最高速度1m/分(この速度は非常に遅いと考えられる)および形成幅15cm(工業レベルでは、これは約100~200cmであろう)の両方に制限されており、生産速度が高くなったり形成幅が大きくなったりすると、生産が実質的に不可能になるほど加工が極めて困難になる。
【0044】
しかし、本発明の改良された熱圧着装置では、突起(5)はシートの供給方向に対して交差して配置されており、このことは、より迅速で、より効率的で、より均質な方法につながる。
【0045】
本願で提案する本発明の熱圧着装置は、リサイクル可能な材料のシート(4)を供給するのに少なくとも4m/分という速度で作業することができる。
【0046】
同様に、シート(4)の布地は、好ましくは不織布、40から150g/mの間のグラム数の低坪量の布地、またはフィラメント糸を有する布地であり、一方、シート(4)の熱可塑性材料は、20から75g/mの間のグラム数の熱可塑性繊維または熱可塑性フィルムで構成されていることが指摘される。
【0047】
最後に、成形領域(11)、すなわちシート(4)を冷却して成形する工程の後に得られるハニカムプレートは、100~200cmの幅を有し、最適化された機械的強度を有する均質なリサイクル可能なハニカムプレートが得られることが指摘される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】