(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】素子の直接接合及び剥離
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537070
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022081864
(87)【国際公開番号】W WO2023122513
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518065991
【氏名又は名称】アデイア セミコンダクター ボンディング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】タイル ジェレミー アルフレッド
(57)【要約】
接合方法が開示される。本接合方法は、デバイス部分と、デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料とを有する第1の素子を準備することを含むことができる。本接合方法は、担体を含む第2の素子を準備することを含むことができる。第2の素子は、基板と、基板の上に配置された第2の非導電性接合材料とを有する。本接合方法は、第1の素子のデバイス部分と第1の非導電性接合材料との間、又は第2の素子の基板と第2の非導電性接合材料との間に離型層を堆積することを含むことができる。本接合方法は、接着剤を介在させることなく第1の素子の第1の非導電性接合材料を第2の素子の第2の非導電性接合材料に直接接合することを含むことができる。本接合方法は、熱エネルギを離型層に伝達して、それにより揮発性化学種を含むガスの離型層からの拡散を誘発することによって、第2の素子を第1の素子から取り外すことを含むことができる。
【選択図】
図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合方法であって、
デバイス部分と、前記デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料と、を有する第1の素子を準備することと、
担体を含む第2の素子であって、前記第2の素子が、基板と、前記基板の上に配置された第2の非導電性接合材料と、を有する、第2の素子を準備することと、
前記第1の素子の前記デバイス部分と前記第1の非導電性接合材料との間、又は前記第2の素子の前記基板と前記第2の非導電性接合材料との間に、離型層を堆積することと、
接着剤を介在させることなく前記第1の素子の前記第1の非導電性接合材料を前記第2の素子の前記第2の非導電性接合材料に直接接合することと、
熱エネルギを前記離型層に伝達し、伝達することにより揮発性化学種を含むガスの前記離型層からの拡散を誘発することによって、前記第2の素子を前記第1の素子から取り外すことと、
を含む接合方法。
【請求項2】
前記揮発性化学種は、水素を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記揮発性化学種は、ハロゲンを含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項4】
前記揮発性化学種は、水素及びフッ素を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項5】
前記離型層は、プラズマ強化蒸着(PECVD)によって堆積される、請求項1に記載の接合方法。
【請求項6】
前記離型層は、10nmと3μmの間の範囲の厚さを有する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項7】
前記離型層は、炭素を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項8】
前記離型層は、非晶質炭素を含む、請求項7に記載の接合方法。
【請求項9】
前記非晶質炭素は、水素を含む、請求項8に記載の接合方法。
【請求項10】
前記非晶質炭素は、フッ素を含む、請求項9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記熱エネルギを伝達することは、前記直接接合された第2の素子及び第1の素子を加熱することを含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項12】
前記熱エネルギを伝達することは、前記第2の素子の前記基板を通して前記離型層を照射することを含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項13】
前記照射することは、レーザラスタ処理することを含み、前記基板は、前記レーザラスタ処理に使用されるレーザ光に対して透明である、請求項12に記載の接合方法。
【請求項14】
前記熱エネルギを伝達することは、急速熱アニール、熱アニール、又はマイクロ波加熱を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項15】
前記熱エネルギを伝達することは、前記離型層に揮発性化学種をガス放出させ、それによって前記第1の素子と前記第2の素子との間の接合を弱化させ、前記第1の素子からの前記第2の素子の取り外しを実現する、請求項1に記載の接合方法。
【請求項16】
前記揮発性化学種は、水素を含む、請求項15に記載の接合方法。
【請求項17】
前記揮発性化学種は、ハロゲンを含む、請求項15に記載の接合方法。
【請求項18】
前記揮発性化学種は、水素及びフッ素を含む、請求項15に記載の接合方法。
【請求項19】
前記直接接合することは、前記第1の素子と前記第2の素子とを接触させ、前記接触させた第1の素子及び第2の素子を、前記直接接合させた第2の素子及び第1の素子を加熱して取り外すために使用される第2の温度よりも低い第1の温度で加熱することを含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項20】
前記第2の温度は、100℃~400℃の範囲にある、請求項19に記載の接合方法。
【請求項21】
前記第2の温度は、200℃~250℃の範囲にある、請求項20に記載の接合方法。
【請求項22】
前記直接接合することの前に、前記第1の非導電性接合材料の表面及び前記第2の非導電性接合材料の表面のうちの少なくとも一方を活性化することをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項23】
前記第1の非導電性接合材料は、無機誘電体材料を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項24】
前記第2の非導電性接合材料は、無機誘電体材料を含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項25】
前記離型層を堆積することは、介在層の上で行われ、前記介在層は、前記第2の素子の前記基板と前記離型層との間に配置されるようになっている、請求項1に記載の接合方法。
【請求項26】
前記介在層は、前記離型層と前記基板との間で接着機能を果たすように構成されている、請求項25に記載の接合方法。
【請求項27】
前記直接接合することの後に、前記第1の素子を加工することをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項28】
前記第1の素子を加工することは、前記第1の素子の裏面を薄化することを含み、前記裏面は、前記第1の非導電性接合材料の反対側にある、請求項27に記載の接合方法。
【請求項29】
前記第1の素子を加工することは、前記第1の素子の前記裏面に相互接続を形成することを含む、請求項28に記載の接合方法。
【請求項30】
前記第1の素子の薄化された前記裏面に剥離テープを接合することをさらに含む、請求項28に記載の接合方法。
【請求項31】
前記取り外すことは、前記剥離テープを前記第1の素子に接合した後に行われる、請求項30に記載の接合方法。
【請求項32】
第2の第1の素子を前記第1の素子に直接接合することをさらに含む、請求項27に記載の接合方法。
【請求項33】
前記取り外すことは、前記第2の第1の素子を前記第1の素子に直接接合した後に行われる、請求項32に記載の接合方法。
【請求項34】
前記取り外すことの後に、前記第2の素子から取り外された前記第1の素子の表面をアッシングすることをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項35】
前記取り外すことの後に、前記第1の素子を個片化して複数の個片化された第1の素子にすることをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項36】
前記取り外すことの前に、前記第2の素子及び前記第1の素子を個片化して複数の接合構造にすることをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項37】
前記離型層を堆積することは、前記第1の素子の前記デバイス部分の上の介在層の上で行われ、前記介在層は、前記第1の素子の前記デバイス部分と前記離型層との間に配置されるようになっている、請求項1に記載の接合方法。
【請求項38】
前記離型層を堆積することは、前記第2の非導電性接合材料を形成する前に前記第2の素子の上で行われる、請求項1に記載の接合方法。
【請求項39】
前記離型層の占有面積は、前記第2の非導電性接合材料の占有面積よりも小さく、前記離型層の端部は、前記第2の非導電性接合材料の端部に対して差し込まれるようになっている、請求項38に記載の接合方法。
【請求項40】
前記離型層の前記端部は、前記第2の非導電性接合材料で覆われている、請求項39に記載の接合方法。
【請求項41】
前記第1の素子の前記デバイス部分と前記第1の非導電性接合材料との間に第2の離型層を堆積することをさらに含む、請求項38に記載の接合方法。
【請求項42】
前記第2の離型層は、前記離型層がガスを放出する温度よりも高い温度でガスを放出するように構成されている、請求項41に記載の接合方法。
【請求項43】
前記離型層を堆積するための堆積プロセスを調整して前記離型層内の揮発性ガスの量を調整することをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項44】
前記揮発性ガスの量を調整することは、フッ素-水素の比率を調節することを含む、請求項43に記載の接合方法。
【請求項45】
前記揮発性ガスの量を調整することは、プラズマ強化化学蒸着プロセスの基板バイアス又は堆積前駆体の流量を調節することを含む、請求項43に記載の接合方法。
【請求項46】
前記離型層と前記第1の素子との間に反射層を提供することをさらに含む、請求項1に記載の接合方法。
【請求項47】
前記第1の素子を第3の素子に直接接合することをさらに含み、前記第1の素子の非導電性フィールド領域が前記第3の素子の非導電性フィールド領域に直接接合され、前記第1の素子の導電性特徴部が前記第3の素子の導電性特徴部に直接接合されるようになっている、請求項1に記載の接合方法。
【請求項48】
接合方法であって、
デバイス部分と、前記デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料と、を有する第1の素子を準備することと、
基板と、前記基板上に配置された介在層と、前記介在層上に配置された揮発性ガス状化学種を含む非晶質炭素層と、前記非晶質炭素層上に配置された第2の非導電性接合材料と、を有する第2の素子を準備することと、
接着剤を介在させることなく前記第1の素子の前記第1の非導電性接合材料を前記第2の素子の前記第2の非導電性接合材料に直接接合することと、
を含む接合方法。
【請求項49】
前記揮発性ガス状化学種は、フッ素及び水素を含む、請求項48に記載の接合方法。
【請求項50】
前記第2の素子を準備することは、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって前記非晶質炭素層を堆積することを含む、請求項48に記載の接合方法。
【請求項51】
熱エネルギを前記非晶質炭素層に伝達して前記非晶質炭素層からのガス拡散を誘発することによって、前記第1の素子から前記第2の素子を取り外すことをさらに含む、請求項48に記載の接合方法。
【請求項52】
前記熱エネルギを伝達することは、前記直接接合された第2の素子及び第1の素子を加熱することを含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項53】
前記熱エネルギを伝達することは、前記第2の素子の前記基板を通して前記非晶質炭素層を照射することを含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項54】
前記照射することは、レーザラスタ処理をすることを含み、前記基板は、前記レーザラスタ処理に使用されるレーザ光に対して透明である、請求項53に記載の接合方法。
【請求項55】
前記熱エネルギを伝達することは、急速熱アニール、熱アニール、又はマイクロ波加熱を含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項56】
前記熱エネルギを伝達することは、前記非晶質炭素層に水素及びフッ素をガス放出させ、それによって前記非晶質炭素層を弱化させ、前記第1の素子からの前記第2の素子の取り外しを実現する、請求項51に記載の接合方法。
【請求項57】
前記直接接合することは、前記第1の素子と前記第2の素子とを接触させ、前記接触させた第1の素子及び第2の素子を、前記直接接合させた第2の素子及び第1の素子を加熱して取り外すために使用される第2の温度よりも低い第1の温度で加熱することを含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項58】
前記直接接合することの前に、前記第1の非導電性接合材料の表面及び前記第2の非導電性接合材料の表面のうちの少なくとも一方を活性化することをさらに含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項59】
前記第1の非導電性接合材料は、誘電体材料を含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項60】
前記第2の非導電性接合材料は、誘電体材料を含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項61】
前記直接接合することの後に、前記第1の素子の裏面を薄化することをさらに備え、前記裏面は、前記非導電性接合材料の反対側にある、請求項51に記載の接合方法。
【請求項62】
前記第1の素子の前記薄化された裏面に剥離テープを接合することをさらに含む、請求項61に記載の接合方法。
【請求項63】
前記取り外すことは、前記剥離テープを前記第1の素子に接合した後に行われる、請求項62に記載の接合方法。
【請求項64】
第2の第1の素子を前記第1の素子に直接接合することをさらに含む、請求項61に記載の接合方法。
【請求項65】
前記取り外すことは、前記第2の第1の素子を前記第1の素子に直接接合した後に行われる、請求項64に記載の接合方法。
【請求項66】
前記取り外すことの後に、前記第2の素子から取り外された前記第1の素子の表面をアッシングすることをさらに含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項67】
前記取り外すことの後に、前記第1の素子を個片化して複数の個片化された第1の素子にすることをさらに含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項68】
前記取り外すことの前に、前記第2の素子及び前記第1の素子を個片化して複数の接合構造にすることをさらに含む、請求項51に記載の接合方法。
【請求項69】
前記非晶質炭素層の占有面積は、前記第2の非導電性接合材料の占有面積よりも小さい、請求項48に記載の接合方法。
【請求項70】
前記デバイス部分と前記第1の非導電性接合材料との間に第2の非晶質炭素層を堆積することをさらに含み、前記非晶質炭素層は、前記基板と前記第2の非導電性接合材料との間に配置される、請求項48に記載の接合方法。
【請求項71】
前記非晶質炭素層の堆積条件を調整することによって前記非晶質炭素層内の揮発性ガスの量を調整することをさらに含む、請求項48に記載の接合方法。
【請求項72】
前記揮発性ガスの量を調整することは、フッ素-水素の比率を調節することを含む、請求項71に記載の接合方法。
【請求項73】
前記非晶質炭素層と前記第1の素子との間に反射層を提供することをさらに含む、請求項48に記載の接合方法。
【請求項74】
基板と、
前記基板上の介在層と、
加熱されるとガスを放出するように構成された堆積炭素層と、
半導体素子に直接接合させるように構成された、前記堆積炭素層上の非導電性接合層と、
を備える担体。
【請求項75】
前記堆積炭素層は、非晶質炭素を含む、請求項74に記載の担体。
【請求項76】
前記非晶質炭素は、フッ素及び水素を含む、請求項75に記載の担体。
【請求項77】
前記堆積炭素層は、3%以内の厚さ均一性を有する、請求項76に記載の担体。
【請求項78】
前記フッ素及び水素は、前記堆積炭素層の10wt%と85wt%の間を占める、請求項76に記載の担体。
【請求項79】
前記非導電性接合層は、直接接合のために調製されている、請求項74に記載の担体。
【請求項80】
前記非導電性接合層の表面は、2nm未満の二乗平均平方根(rms)表面粗さを有し、直接接合用に構成されている、請求項79に記載の担体。
【請求項81】
デバイス部分と、
前記デバイス部分上の介在層と、
加熱されると水素及びフッ素をガス放出するように構成された堆積離型層と、
素子に直接接合させるように構成された、前記堆積離型層上の非導電性接合層と、
を備える半導体素子。
【請求項82】
前記堆積離型層は、水素及びフッ素を含む非晶質炭素層である、請求項81に記載の半導体素子。
【請求項83】
前記フッ素及び水素は、前記堆積炭素層の10wt%と85wt%の間を占める、請求項82に記載の半導体素子。
【請求項84】
前記堆積離型層は、3%以内の厚さ均一性を有する、請求項81に記載の半導体素子。
【請求項85】
前記非導電性接合層は、直接接合のために調製されている、請求項81に記載の半導体素子。
【請求項86】
前記非導電性接合層の表面は、2nm未満の二乗平均平方根(rms)表面粗さを有する、請求項85に記載の半導体素子。
【請求項87】
仮接合方法であって、
デバイス部分と、前記デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料と、を有する第1の素子を準備することと、
基板と、前記基板の上に配置された第2の非導電性接合材料と、を有する第2の素子を準備することと、
前記第1の素子の前記デバイス部分と前記第1の非導電性接合材料との間、又は前記第2の素子の前記基板と前記第2の非導電性接合材料との間に、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって離型層を堆積することと、
接着剤を介在させることなく前記第1の素子の前記第1の非導電性接合材料を前記第2の素子の前記第2の非導電性接合材料に直接接合することと、
を含む仮接合方法。
【請求項88】
熱エネルギを前記離型層に伝達し、伝達により前記離型層からのガス拡散を誘発することによって、前記第1の素子から前記第2の素子を取り外すことをさらに含む、請求項87に記載の仮接合方法。
【請求項89】
前記熱エネルギを伝達することは、水素及びフッ素の拡散を誘発する、請求項88に記載の仮接合方法。
【請求項90】
前記離型層は、水素及びフッ素を含む非晶質炭素層を備え、前記取り外すことは、水素及びフッ素をガス放出することを含む、請求項88に記載の仮接合方法。
【請求項91】
接合方法であって、
デバイス部分と、前記デバイス部分の上に配置された第1の非導電性材料と、を有する第1の素子を準備することと、
基板と、前記基板の上に配置された第2の非導電性材料と、を有する第2の素子を準備することと、
前記第1の素子の前記第1の非導電性材料、又は前記第2の素子の前記第2の非導電性材料の上に、プラズマ化学強化蒸着(PECVD)によって離型層を堆積することと、
前記離型層上に第3の非導電性材料を提供することと、
接着剤を介在させることなく前記第1の非導電性材料又は前記第2の非導電性材料を前記第3の非導電性材料に直接接合することと、
を含む接合方法。
【請求項92】
熱エネルギを前記離型層に伝達し、伝達により前記離型層からのガス拡散を誘発することによって、前記第2の素子を前記第1の素子から取り外すことをさらに含む、請求項91に記載の接合方法。
【請求項93】
前記第1、第2及び第3の非導電性材料は、無機誘電体材料を含む、請求項91に記載の接合方法。
【請求項94】
前記離型層は、非晶質炭素層を備え、前記非晶質炭素層は、加熱に応えてガスを放出することのできる水素及びフッ素を含む、請求項91に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月20日出願の米国特許仮出願第63/265761号「素子の直接接合及び剥離」に対する優先権を主張するものであり、その開示内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明の分野は、半導体素子を担体に直接接合すること、直接接合後に半導体素子から担体を除去すること、及びそのための構造に関する。
【背景技術】
【0003】
一部の用途では、半導体素子(ウェハ及びダイなど)が中間加工のために一時的に担体に接合される。しかしながら、従来の仮接合材料(接着剤)を用いて加工する(例えば、薄くする又は裏面加工を行う)ことは、困難な場合がある。従って、仮接合のために改良された方法及び構造が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9564414号明細書
【特許文献2】米国特許第9391143号明細書
【特許文献3】米国特許第10434749号明細書
【特許文献4】米国特許第9716033号明細書
【特許文献5】米国特許第9852988号明細書
【特許文献6】米国特許第11195748号明細書
【0005】
ここで以下の図面を参照して具体的な実装態様を説明するが、図面は一例であって、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】直接ハイブリッド接合前の2つの素子の概略断面側面図である。
【
図1B】
図1Aに示す2つの素子の直接ハイブリッド接合後の概略断面側面図である。
【
図2A-2E】
図2Aは担体の概略断面側面図、
図2Bは直接接合の準備をした後の担体の概略断面側面図、
図2Cは接合層を備えた半導体素子の概略断面側面図、
図2Dは接合層を備えた半導体素子の、直接接合の準備をした後の概略断面側面図、
図2Eは接合構造の概略断面側面図である。
【
図2F-2I】
図2Fは説明のために再現した、
図2Eの接合構造の概略断面側面図、
図2Gは剥離後の担体及び半導体素子の概略断面側面図、
図2Hは剥離テープ上の担体及び半導体素子の概略断面側面図、
図2Iは剥離後の担体及び半導体素子の概略断面側面図である。
【
図3】一実施形態による接合構造の概略断面側面図である。
【
図4】別の実施形態による接合構造の概略断面側面図である。
【
図5A-5B】
図5Aは別の実施形態による接合構造の概略断面側面図、
図5Bは
図5Aに示す接合構造の一部分の拡大図である。
【
図6A-6E】
図6Aは接合層を備えた半導体素子の概略断面側面図、
図6Bは直接接合の準備をした後の、接合層を備えた半導体素子の概略断面側面図、
図6Cは担体の概略断面側面図、
図6Dは直接接合の準備をした後の担体の概略断面側面図、
図6Eは接合構造の概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載する実施形態は、直接接合又はハイブリッド直接接合の技術を、直接接合された素子を離型又は剥離するように構成される仮接合層と組み合わせることができる。
【0008】
本明細書に開示する様々な実施形態は、接着剤を介在させることなく2又は3以上の素子を互いに直接接合することのできる直接接合構造に関する。
図1A及び
図1Bは、一部の実施形態に従って、接着剤を介在させることなく直接ハイブリッド接合された構造を形成するプロセスを概略的に示す。
図1A及び
図1Bにおいて、接合構造100は、接着剤を介在させることなく接合界面118で互いに直接接合することのできる2つの素子102及び104を備える。2又は3以上のマイクロ電子素子102及び104(例えば、集積デバイスダイ、ウェハ、受動デバイス、電源スイッチなどの個々の能動デバイス等を含む半導体素子など)は、互いに積層又は接合して接合構造100を形成することができる。第1の素子102の導電性特徴部106a(例えば、コンタクトパッド、ビアの露出端(例えば、TSV)、又は基板貫通電極)は、第2の素子104の対応する導電性特徴部106bに電気接続することができる。接合構造100では、何らかの適切な数の素子を積層することができる。例えば、第3の素子(図示せず)は、第2の素子104の上に積層することができる、第4の素子(図示せず)は、第3の素子の上に積層することができ、以下同様である。追加的に又は代替的に、1又は2以上の追加の素子(図示せず)は、第1の素子102に沿って互いに隣接して横方向に積層することができる。一部の実施形態では、横方向に積層された追加の素子は、第2の素子よりも小さい場合がある。一部の実施形態では、横方向に積層された追加の素子は、第2の素子の2分の1の大きさとすることができる。
【0009】
一部の実施形態では、素子102及び104は、接着剤なしで互いに直接接合される。様々な実施形態において、非導電性又は誘電性材料を含む非導電性フィールド領域は、第1の素子102の第1の接合層108aとして機能することができ、この第1の接合層108aは、第2の素子104の第2の接合層108bとして機能する非導電性又は誘電性材料を含む対応する非導電性フィールド領域に、接着剤なしで直接接合することができる。非導電性接合層108a及び108bは、素子102、103の半導体(例えば、ケイ素)部分などのデバイス部分110a及び110bのそれぞれの前面114a及び114bの上に配置することができる。能動デバイス及び/又は回路は、デバイス部分110a及び110bの内部又はその上にパターン形成すること及び/又は別の方法で配置することができる。能動デバイス及び/又は回路は、デバイス部分110a及び110bの前面114a及び114bに又はその近傍に、及び/又はデバイス部分110a及び110bの反対側の裏面116a及び116bに又はその近傍に配置することができる。接合層は、素子の前面及び/又は裏面に設けることができる。非導電性材料は、第1の素子102の非導電性接合領域又は接合層108aと呼ぶことができる。一部の実施形態では、第1の素子102の非導電性接合層108aは、誘電体-誘電体接合技術を用いて、第2の素子104の対応する非導電性接合層108bに直接接合することができる。例えば、少なくとも米国特許第9564414号、第9391143号、及び第10434749号に開示される直接接合技術を用いて、接着剤なしで誘電体-誘電体接合を形成することができ、上記特許の各々の開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。様々な実施形態において、接合層108a及び/又は108bは、例えば、酸化ケイ素などの誘電体材料又は非ドープケイ素などの非ドープ半導体材料などの非導電性材料を含むことができることを理解されたい。直接接合に適した誘電体接合面又は材料は、限定されるものではないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素などの無機誘電体を含む、又は、炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、低K誘電体材料、SiCOH誘電体、炭窒化ケイ素又はダイヤモンド状炭素、又はダイヤモンド表面を備える材料などの、炭素を含むことができる。このような炭素含有セラミック材料は、炭素を含むにも拘わらず、無機物と見なすことができる。一部の実施形態では、誘電体材料は、エポキシ、樹脂又は成形材料などの高分子材料を含まない。
【0010】
一部の実施形態では、デバイス部分110a及び110bは、ヘテロ構造を規定する著しく異なった熱膨張係数(CTE)を有することができる。デバイス部分110aと110bの間、特にデバイス部分110a、110bのバルク半導体、典型的には単結晶部分間のCTEの差は、5ppmを超える又は10ppmを超える場合がある。例えば、デバイス部分110aと110bのCTEの差は、5ppm~100ppm、5ppm~40ppm、10ppm~100ppm、又は10ppm~40ppmの範囲とすることができる。一部の実施形態では、デバイス部分110a及び110bの一方は、光圧電又は焦電用途に有用なペロブスカイト材料を含む、光電子単結晶材料を含むことができ、デバイス部分110a、110bの他方は、より従来型の基板材料を含む。例えば、デバイス部分110a、110bの一方は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)又はニオブ酸リチウム(LiNbO3)を含み、デバイス部分110a、110bの他方は、ケイ素(Si)、石英、溶融シリカガラス、サファイア、又はガラスを含む。別の実施形態では、デバイス部分110a及び110bの一方は、砒化ガリウム(GaAs)又は窒化ガリウム(GaN)などのIII-V族単一半導体材料を含み、デバイス部分110a及び110bの他方は、ケイ素(Si)などの非III-V族半導体材料を含むこと、又は、石英、溶融シリカガラス、サファイア、又はガラスなどの同様のCTEを有する他の材料を含むことができる。
【0011】
様々な実施形態では、接着剤を介在させることなく直接ハイブリッド接合を形成することができる。例えば、非導電性接合面112a及び112bは、高い平滑度に研磨することができる。接合面112a及び112bは、洗浄して、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して接合面112a及び112bを活性化することができる。一部の実施形態では、接合面112a及び112bは、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種で終端させることができる。理論に限定されることなく、一部の実施形態では、活性化プロセスを実行して接合面112a及び112bの化学結合を破壊することができ、終端プロセスは、直接接合中の結合エネルギを向上させる追加の化学種を接合面に与えることができる。一部の実施形態では、活性化及び終端処理は、同じステップで提供され、例えば例えば、接合面112a及び112bを活性化及び終端処理するためにプラズマが施される。他の実施形態では、接合面112a及び112bを別の処理で終端させて、直接接合のための付加的な化学種を施すことができる。様々な実施形態において、終端化学種は、窒素を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、接合面(複数可)112a、112bは、窒素含有プラズマに曝すことができる。さらに、一部の実施形態では、接合面112a及び112bは、フッ素に曝すことができる。例えば、第1の素子102と第2の素子104の接合界面118に又はその近傍に、1つ又は複数のフッ素ピークが存在することができる。従って、直接接合構造100では、2つの非導電性材料(例えば、接合層108aと108b)間の接合界面118は、高い窒素含有量及び/又はフッ素ピークを接合界面118に備えた、非常に平滑な界面を備えることができる。活性化及び/又は終端処理のさらなる例は、米国特許第9564414号、米国特許第9391143号、及び米国特許第10434749号を通して見出すことができ、それらの開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0012】
様々な実施形態では、第1の素子102の導電性特徴部106aは、第2の素子104の対応する導電性特徴部106bに直接接合することもできる。例えば、直接ハイブリッド接合技術は、上記のように準備された、共有結合的に直接接合された非導電性-非導電性(例えば、誘電体―誘電体)表面を含む接合界面118に沿って導体-導体の直接接合を提供するために用いることができる。様々な実施形態において、導体-導体(例えば、導電性特徴部106a-導電性特徴部106b)の直接接合及び誘電体-誘電体のハイブリッド接合は、少なくとも米国特許第9716033号及び米国特許第9852988号に開示される直接接合技術を用いて形成することができ、それらの開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する直接ハイブリッド接合の実施形態では、導電性特徴部は、非導電性接合層内に設けられ、導電性特徴部及び非導電性特徴部の両方は、上述の平坦化、活性化及び/又は終端処理などによって直接接合のために準備される。従って、直接接合のために準備された接合面は、導電性特徴部及び非導電性特徴部の両方を含む。
【0013】
例えば、非導電性(例えば、誘電体)接合面112a、112b(例えば、無機誘電体表面)を準備し、上述のように接着剤を介在させることなく互いに直接接合させることができる。また、導電性コンタクト特徴部(例えば、接合層108a、108bの中で非導電性誘電体フィールド領域によって少なくとも部分的に取り囲むことができる導電性特徴部106a及び106b)は、接着剤を介在させることなく互いに直接接合させることができる。様々な実施形態において、導電性特徴部106a、106bは、非導電性フィールド領域に少なくとも部分的に埋め込まれた個別のパッド又はトレースを備えることができる。一部の実施形態では、導電性コンタクト特徴部は、基板貫通ビア(例えば、ケイ素貫通ビア(TSV))の露出したコンタクト面を備えることができる。一部の実施形態では、それぞれの導電性特徴部106a及び106bは、誘電体フィールド領域又は非導電性接合層108a及び108bの外面(例えば、上面)(非導電性接合面112a及び112b)の下方に陥凹させることができ、例えば、30nm未満、20nm未満、15nm未満、又は10nm未満だけ、例えば、2nm~20nmの範囲、又は4nm~10nmの範囲で陥凹させることができる。様々な実施形態では、直接接合の前に、対向する素子の凹部は、対向するコンタクトパッド間の合計隙間が15nm未満、又は10nm未満になるようにサイズ設定することができる。本明細書に記載する接合ツールの一部の実施形態では、非導電性接合層108a及び108bは、一部の実施形態では、室温で接着剤なしで互いに直接接合させることができ、その後、接合構造100は、アニールすることができる。アニールした状態で、導電性特徴部106a及び106bは、膨張して互いに接触し、金属-金属直接接合を形成することができる。有利には、米国カリフォルニア州サンノゼのAdeia社から入手可能なDirect Bond Interconnect、つまりDBI(登録商標)技術を使用することで、直接接合界面118を横切って高密度の導電性特徴部106a及び106bを接続すること(例えば、規則的配列に関する小ピッチ又は微細ピッチ)が可能となる。一部の実施形態では、接合素子の一方の接合面に埋め込まれた導電性トレースなどの、導電性特徴部106a及び106bのピッチは、100ミクロン未満、又は10ミクロン未満、又はさらに2ミクロン未満とすることができる。一部の適用例では、接合パッドの寸法の1つ(例えば、直径)に対する導電性特徴部106a及び106bのピッチの比率は、20未満、又は10未満、又は5未満、又は3未満であり、場合によっては望ましくは2未満である。別の適用例では、接合素子の一方の接合面に埋め込まれた導電性トレースの幅は、0.3~20ミクロンの範囲とすることができ、例えば0.3~3ミクロンの範囲である。様々な実施形態では、導電性特徴部106a及び106b、及び/又はトレースは、銅又は銅合金を含むことができるが、他の金属も適する場合がある。例えば、導電性特徴部106a及び106bなどの本明細書に開示する導電性特徴部は、細粒金属(例えば、細粒銅)を含むことができる。
【0014】
従って、直接接合プロセスでは、接着剤を介在させることなく第1の素子102を第2の素子104に直接接合することができる。一部の構成では、第1の素子102は、個片化された集積デバイスダイなどの個片化素子を備えることができる。別の構成では、第1の素子102は、個片化された場合に複数の集積デバイスダイを形成する複数(例えば、数十、数百、又はそれ以上)のデバイス領域を備える担体又は基板(例えば、ウェハ)を備えることができる。同様に、第2の素子104は、個片化された集積デバイスダイなどの個片化素子を備えることができる。別の構成では、第2の素子104は、担体又は基板(例えば、ウェハ)を備えることができる。従って、本明細書に開示する実施形態は、ウェハ対ウェハ(W2W)、ダイ対ダイ(D2D)、又はダイ対ウェハ(D2W)の接合プロセスに適用することができる。ウェハ対ウェハ(W2W)プロセスでは、2又は3以上のウェハを互いに直接接合し(例えば、直接ハイブリッド接合し)、適切な個片化プロセスを用いて個片化することがでる。個片化後、個片化された構造の側端(例えば、2つの接合素子の側端)は実質的に面一にすることができ、接合構造に関する共通の個片化プロセスを示す模様(例えば、鋸個片化プロセスを使用する場合の鋸マーク)を含むことができる。
【0015】
本明細書で説明するように、第1の素子102及び第2の素子104は、接着剤なしで互いに直接接合することができ、これは堆積プロセスとは異なり、堆積と比較して構造的に異なる界面もたらす。1つの適用例では、接合構造の第1の素子102の幅は、第2の素子104の幅と類似する。一部の他の実施形態では、接合構造100の第1の素子102の幅は、第2の素子104の幅とは異なる。同様に、接合構造の大きい方の素子の幅又は面積は、小さい方の素子の幅又は面積よりも少なくとも10%大きい場合がある。従って、第1の素子102及び第2の素子104は、非堆積型素子を備えることができる。さらに、直接接合構造100は、接合界面118に沿ってナノスケールの空隙(ナノボイド)が存在する欠陥領域を含む可能性がある。ナノボイドは、接合面112a及び112bの活性化(例えば、プラズマへの曝露)に起因して形成される可能性がある。上述したように、接合界面118は、活性化プロセス及び/又は最終化学処理プロセスから得られる物質の集中を含む可能性がある。例えば、活性化のために窒素プラズマを利用する実施形態では、接合界面118に窒素ピークが形成される可能性がある。窒素ピークは、二次イオン質量分析法(SIMS)技術を用いて検出することができる。様々な実施形態では、例えば、窒素終端処理(例えば、接合面を窒素含有プラズマに曝すこと)により、加水分解された(OH-終端化)表面のOH基をNH2分子と置換して、窒素終端化表面を生成することができる。活性化に酸素プラズマを利用する実施形態では、接合界面118に酸素ピークが形成される可能性がある。一部の実施形態では、接合界面118は、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含むことができる。本明細書で説明するように、直接接合は、ファンデルワールス結合よりも強い共有結合を含むことができる。接合層108a及び108bは、高い平滑度に平坦化された研磨面を含むこともできる。
【0016】
様々な実施形態では、導電性特徴部106aと106bの間の金属-金属接合は、金属粒が接合界面118を横切って互いに向かって成長するように接合させることができる。一部の実施形態では、この金属は銅であるか又は銅を含み、接合界面118を横切る銅の拡散を向上させるために、銅は(111)結晶面に沿って配向した粒を有することができる。一部の実施形態では、導電性特徴部106a及び106bは、ナノ双晶銅粒構造を含むことができ、これはアニール中に導電性特徴部を融合させるのに役立つ可能性がある。接合界面118は、接合された導電性特徴部106a及び106bの少なくとも一部分まで実質的に完全に広がることができるので、接合された導電性特徴部106a及び106bの又はその近傍の非導電性接合層108aと108bの間には、実質的に隙間が存在しない。一部の実施形態では、バリア層は、導電性特徴部106a及び106b(例えば、銅を含むことができる)の下に及び/又はそれらを横方向に取り囲んで設けることができる。しかしながら、別の実施形態では、例えば米国特許第11195748号に記載されるように、導電性特徴部106a及び106bの下にバリア層が存在しない場合があり、これらの開示内容全体は、全ての目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0017】
有利には、本明細書に記載するハイブリッド接合技術の使用により、隣接する導電性特徴部106a及び106bの間のピッチを極めて細かくすること、及び/又はパッドサイズを小さくすることが可能となる。例えば、様々な実施形態において、隣接する導電性特徴部106a(又は106b)間のピッチp(すなわち、
図1Aに示すように、端部から端部までの距離又は中心から中心までの距離)は、0.5ミクロン~50ミクロンの範囲、0.75ミクロン~25ミクロンの範囲、1ミクロン~25ミクロンの範囲、1ミクロン~10ミクロンの範囲、又は1ミクロン~5ミクロンの範囲とすることができる。さらに、主要な横寸法(例えば、パッドの直径)も小さくすることができ、例えば、0.25ミクロン~30ミクロンの範囲、0.25ミクロン~5ミクロンの範囲、又は0.5ミクロン~5ミクロンの範囲とすることができる。
【0018】
上述のように、非導電性接合層108a及び108bは、接着剤なしで互いに直接接合させることができ、その後、接合構造100をアニールすることができる。アニールした状態で、導電性特徴部106a、106bが膨張して互いに接触し、金属-金属直接接合を形成する。一部の実施形態では、導電性特徴部106a、106bの材料は、アニールプロセス中に相互拡散することができる。
【0019】
一部の用途では、例えばメモリデバイスなどの多素子デバイススタックにおいて、薄型半導体素子を利用することが望ましい場合がある。例えば、半導体素子(半導体デバイスウェハなど)は、熱硬化性又はUV硬化性接着剤などの接着剤(例えば、高分子薄膜又は有機接着剤)を介して担体(例えば、ガラス又はケイ素の担体ウェハ)に仮接合させることができる。半導体素子の裏面は、例えば研削及び/又は化学機械研磨(CMP)によって、薄くすることができる。さらに、半導体素子を担体に接着した状態で、半導体素子の裏面に追加の裏面加工を施すこともできる。例えば、薄くなった半導体素子上に、メタライゼーション層又は配線工程(BEOL)層を堆積すること又は別の方法で設けることができる。
【0020】
しかしながら、仮接合に接着剤を使用することは、多くの点で困難となる可能性がある。例えば、デバイスウェハが薄くなると、BEOL薄膜からの残留応力と共にいずれかの熱処理によってダイサイズの横方向拡大が発生する場合があり、これは、有機接着剤がデバイスウェハの横方向伸長を抑制するのに十分な接合強度を提供できないからである。さらに、薄化プロセス(例えば、研削プロセス)中のデバイスウェハと担体ウェハとの接着剤接合の機械的安定性は、薄化中に加わる力によって低下する場合又は信頼性のないものとなる場合がある。接着剤は、接合面に沿って厚さの不均一性、又は一様でない厚さを有する可能性がある。場合により、薄化プロセスによってデバイスウェハの厚さが大幅に変動し、望ましい全厚変動(TTV)を超えることもある。例えば、デバイスウェハと担体ウェハとの間に介在する仮接着剤には、薄化時に過度の厚さ変動をもたらす不均一性が存在する可能性がある。さらに、仮接着剤接合は、様々なプロセスに曝された場合に、十分な熱的及び/又は化学的な安定性をもたない可能性がある。例えば、仮接着剤は、ウェハ洗浄、電気化学堆積(ECD)、及び/又はCMPに使用される化学物質に曝されると劣化する可能性がある。代替的に又は追加的に、仮接着剤は、堆積及び/又はエッチングプロセス(例えば、化学蒸着(CVD)、プラズマ強化CVD、物理蒸着など)中に分解する可能性がある。別の例として、有機接着剤は、相対的に低い熱伝導率を有する可能性がある。さらに、担体と接着剤をデバイスウェハから除去した時に、デバイスウェハに接着剤の残渣が含まれる可能性があり、余分な洗浄ステップを使用する原因となることがある。従って、素子を仮接合して素子を加工する(例えば、薄化する)ための改良された方法及び構造が依然として必要とされている。
【0021】
図2A-
図2Eは接合方法を示し、
図2F-
図2Iは、様々な実施形態による剥離又は離型方法を示す。接合方法と剥離方法を順に行って、加工された(例えば、薄化された)素子を形成することができる。
図2Aは、第1の素子(例えば、担体10)の概略な断面側面図である。担体10は、基板12上の介在層14(酸化ケイ素などの無機層とすることができる)、介在層14上の離型層16、及び離型層16上の接合層18(これも酸化ケイ素層などの誘電体層とすることができる)を備えることができる。図示の実施形態では、離型層16は担体10と一緒に準備される。しかしながら、一部の他の実施形態では、離型層16は、半導体素子20と一緒になって、
図2Cのデバイス部分22の上に準備することができる(
図6A-
図6I参照)。一部の実施形態では、基板12はウェハを含むことができる。基板12は、例えばガラス、低ドープケイ素などのいずれかの適切な材料を含むことができる。一部の実施形態では、基板12は、バルク担体部分を含むことができる。介在層14及び接合層18の各々は、限定されるものではないが、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素などを含む、直接接合に適していると上述の材料などの非導電性材料を含むことができる。介在層14は薄くてもよい。例えば、介在層14は、50nmと500nmの間、又は100nmと200nmの間の範囲とすることができる。介在層14は、離型層16と基板12との間で接着機能を果たすことができる。バリア機能も接着機能も必要としない場合、例えば、ガラス基板などの犠牲担体又は非活性担体の場合には、介在層14は省くことができる。
【0022】
離型層16は、熱エネルギの印加に応えてガスを放出するように構成された材料を含むことができる。一部の実施形態では、離型層16は、加熱又は照射に応えてガスを放出することができる。例えば、離型層16は、照射加熱、レーザラスタ処理、急速熱アニール、熱アニール、又はマイクロ波加熱に応えてガスを放出するように構成することができる。一部の実施形態では、離型層16は、炭素主体層などの炭素含有層を含むことができる。離型層16は、混入物質(contaminant)を含む非晶質炭素を含むことができる。混入物質は、エネルギを吸収すると揮発性になってガスとして放出される化学種を含むことができる。一部の実施形態では、揮発性化学種は水素を含む。一部の実施形態では、揮発性化学種は塩素又はフッ素などのハロゲンを含む。混入物質は、揮発性化学種に加えて、ガスを放出しない化学種を含むこともできる。
【0023】
一部の実施形態では、離型層16は、水素及びフッ素を含む非晶質炭素を含むことができる。離型層16は、エネルギの吸収時に機械的離型を可能にするに十分な揮発可能成分を含むことができるが、本明細書に記載するような後続の加工を支援するために機械的に堅固な組成を有する。一部の実施形態では、水素及びフッ素は、離型層16の約10wt%と85wt%の間、より詳細には約30wt%と65wt%の間を占めることができる。
【0024】
離型層16は、介在層14の上に堆積させることができる。例えば、離型層16は、化学蒸着(CVD)、より詳細にはプラズマ強化CVD(PECVD)、又は物理蒸着(PVD)によって堆積させることができる。離型層16は、例えば10nm~3μm、10nm~500nmの範囲、より詳細には、例えば200nm~500nmの範囲にある厚さを有することができる。別の実施形態では、離型層は約500nm~1μmの厚さを有することができる。一般に、この厚さは、物理的な分離を可能にするに十分なガス放出を生じるように選択することができ、利用可能な機器を用いて容易に堆積させることができる。離型層16の機能の1つは、ガスを放出するために熱エネルギを吸収することであるため、厚さの均一性を維持できるのであれば、層を厚くすることが望ましい場合がある。離型層16の厚さは、例えば3%未満、又は例えば1.5%未満の厚さ均一性を有することができる。
【0025】
離型層16をPECVDで施すことによって、有利には、低温での堆積が可能となり、堆積パラメータを調整して離型層16の放出ガス(複数可)含有量を調整することができる。例えば、α-C:H,F層のPECVDは、炭化水素及び/又はハイドロフルオロカーボン前駆体(例えば、CHF3、CH4、CF4、C2H6、C3F6、C4F8、C6F6、C6H5F、HFPO、SF6、NF3、H2、N2、He、Ar、CH4、C2H2、C6H6など)及び不活性ガスを用いることができる。部分的に又は完全にフッ素化されており、気相で真空チャンバ内に容易に送り込むことのできる他のアルカン類を用いることもできる。さらに、アルケン類似体材料を用いることができる。数あるパラメータの中でも、堆積温度、プラズマ出力及び圧力を調整して、水素及び/又はフッ素の含有量を調整することができる。その含有量は、以下で説明するように、加熱時に膜厚の10%と95%の間、より詳細には膜厚の50%と90%の間を揮発させるのに十分であることが望ましい。同時に、α-C:H,F(元々半導体相互接続層の低k用途に開発された)は、仮接合構造の所望の加工に耐えるほどに堅牢であり、その上を覆う平坦な接合層18を施すのに十分な均一厚さを提供することができる。当然、詳細な設定は、堆積に採用されるツールに依存することになる。限定されない一例は、ECRプラズマを2mTorr、印加プラズマ生成出力600Wで使用することである。堆積温度は、例えば50℃~300℃、望ましくは200℃未満とすることができる。離型層16を施すための堆積温度は、離型層16を離型させるための離型温度よりも低い。有利には、水素及びフッ素含有量の損失を回避するために、堆積後のアニールは実行されない。
【0026】
図2Bでは、離型層の上に接合層18を堆積した後、直接接合のために接合層18を調製することができる。接合層18の接合面は、高い平滑度まで研磨することができる。例えば、接合面は、2nm未満、例えば1nm未満、0.5nm未満などの二乗平均平方根(rms)表面粗さまで研磨することができる。接合面を洗浄し、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して接合面を活性化し、それによって、調製された表面18aを少なくとも部分的に画定することができる。一部の実施形態では、接合面は、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種で終端させることができる。
【0027】
図2Cは、第2の素子、この場合には接合層24を備えた半導体素子20の概略断面側面図である。担体10の接合層18と同様に、第2の素子の接合層24は、例えばケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素などの無機非導電性材料を含むことができる。半導体素子20は、ウェハ形態で又は個片化された集積デバイスダイとして半導体デバイス素子を含むことができる。半導体素子20は、内部に能動回路及び/又はデバイスを有するデバイス部分22を備えることができる。上述のように、一部の他の実施形態では、担体10と一緒に離型層16を準備するのではなく、半導体素子20と一緒に離型層16を準備することができる。
【0028】
図2Dでは、直接接合用に接合誘電体層24を準備することができる。接合誘電体層24の接合面は、高い平滑度まで研磨することができる。例えば、接合面は、2nm未満、例えば1nm未満、0.5nm未満などの二乗平均平方根(rms)表面粗さまで研磨することができる。接合面を洗浄し、プラズマ及び/又はエッチング液に曝して接合面を活性化し、それによって、調製された表面24aを少なくとも部分的に画定することができる。一部の実施形態では、接合面は、活性化後又は活性化中(例えば、プラズマ及び/又はエッチングプロセス中)に化学種で終端させることができる。
【0029】
図2Eでは、半導体素子20は、担体10に接合することができる。半導体素子20の調製された表面24aと担体10の調製された表面18aは、接合界面26に沿って接着剤を介在させることなく互いに直接接合させることができる。上述のように、直接接合は室温で、外部から圧力を加えることなく(例えば、接合面伝播を開始させるための軽い接触を除いて)、直接接合を強化するための後続アニールの有無にかかわらず実施することができる。
【0030】
図2Fは、
図2Eで形成された接合構造30の概略断面側面図である。接合構造30は、担体10に直接接合された半導体素子20を含む。半導体素子20のデバイス部分22は加工することができる。一部の実施形態では、半導体素子20のデバイス部分22は、接合構造30である間に薄化する又は別の方法で加工する(例えば、BEOL層の追加による)ことができる。例えば、デバイス部分22の裏面22aは、研削及び/又は化学機械研磨(CMP)によって薄化することができる。この段階での他の加工は、ロボット搬送と、半導体素子20の裏面を第3の素子(図示せず)に接合することを含むことができる。
【0031】
図2Gでは、いずれかの加工の後、接合構造30の担体10は、熱エネルギを離型層16に伝達し、それにより離型層16からのガス拡散を誘発することによって、半導体素子20から取り外すことができる。一部の実施形態では、離型層16は、水素及び/又はフッ素をガス放出することができる。熱エネルギは、例えば、照射、レーザラスタ処理、熱アニール、急速熱アニール、マイクロ波加熱などによって離型層16に伝達することができる。照射熱又はレーザラスタを用いて熱エネルギを離型層16に伝達する場合、基板12は、光に対して透明な材料を含むことができる。レーザ又は照射加熱光は、基板12を介して離型層16に照射することができ、それにより離型層16を加熱してガス放出を引き起こす。一部の実施形態では、離型層16は、局所的に加熱することができる。一部の他の実施形態では、接合構造30全体を加熱することができる。一部の実施形態では、熱エネルギは、離型層16を約100℃~400℃、詳細には約200℃~250℃の温度に加熱することができる。一部の実施形態では、離型層16を加熱する温度は、離型層16の堆積に使用される堆積温度よりも少なくとも50℃だけ高くすることができる。
【0032】
離型層16から放出されるガスの量は制御することができる。一部の実施形態では、離型層16に加えられる温度を制御して、離型層16から放出されるガスの量を変化させることができる。一部の実施形態では、離型層16の堆積プロセスを制御することによって、離型層16に取り込まれるガス状元素の量を調節し、加熱時に離型層16から放出されるガスの量を変化させることができる。例えば、離型層16内の揮発性ガスの量は、離型層堆積プロセスにおけるプラズマ出力、基板バイアス、前駆体流量、圧力及び/又は基板温度の制御などによって、離型層16内のフッ素及び/又は水素含有量を調節することで調節することができる。
【0033】
あるいは、
図2Hでは、担体10を半導体素子20から取り外す前に、剥離テープ32又は他の素子を基板12に貼り付けることができる。一部の実施形態では、剥離テープ32は、ダイシングテープを含むことができる。
【0034】
図2Iでは、接合構造30の担体10は、熱エネルギを離型層16に伝達し、それにより離型層16からのガス拡散を誘発することによって半導体素子20から取り外すことができる。
【0035】
一部の実施形態では、半導体素子20の表面は、担体10を半導体素子20から取り外した後にアッシングして、離型層16の残渣を取り除くことができる。図示の実施形態では、担体10と共に離型層16を準備するが、様々な実施形態では、半導体素子20と共に離型層16を準備することができる(
図6A~
図6E参照)。また、様々な実施形態において、担体10は、半導体素子を含むことができ、2つの半導体素子は、直接接合すること及び剥離させることができる。
【0036】
半導体素子20を加工した後、半導体素子20は、他の素子(図示せず)に接合することができる。一部の実施形態では、半導体素子20は、接着剤を介在させることなく別の素子に直接接合することができる。例えば、半導体素子20と他方の素子は、
図1A及び
図1Bに関して説明した方法で互いに直接接合させることができる。例えば、半導体素子20は、
図1A及び
図1Bの第1の素子102を含むことができ、他方の素子は第2の素子104を含むことができる。
【0037】
図3は、一実施形態による接合構造34の概略断面側面図である。特に明記しない限り、
図3の構成要素は、
図1A~
図2Iの同様の構成要素と類似する又は同じとすることができる。離型層16は、担体10の基板12又は介在層14の占有面積よりも小さい占有面積を有することができる。離型層16の占有面積は、半導体素子20を加工する(薄化する)ために十分な、及びガス放出時に素子を離型させるために十分な接合強度を提供するようにサイズ設定することができる。一部の実施形態では、離型層16の側端は、介在層14又は接合層18の材料で覆うことができる。介在層14又は接合層18は、離型層16を離型させる前に介在するプロセスステップで使用される化学物質から離型層16の側端を保護することができる。
【0038】
図4は、一実施形態による接合構造36の概略断面側面図である。特に明記しない限り、
図4の構成要素は、
図1A~
図3の同様の構成要素と類似する又は同じとすることができる。接合構造36は、2つの離型層(第1の離型層16及び第2の離型層16’)を含むことができる。一部の実施形態では、第1の離型層16は担体10と一緒に準備することができ、第2の離型層16’は半導体素子20と一緒に準備することができる。例えば、半導体素子20は、デバイス部分22、デバイス部分22上の介在層38、介在層38上の第2の離型層16’、及び第2の離型層16’上の接合層24を含むことができ、担体10は、基板12、基板12上の介在層14、介在層14の上の第1の離型層16、及び介在層14の上の接合層18を含むことができる。接合層18、24は、
図4に示すように、接合界面26に沿って接合させることができる。
【0039】
一部の実施形態では、第1の離型層16及び第2の離型層16’は、同じ材料又は異なる材料を含むことができる。例えば、第1の離型層16及び第2の離型層16’は、異なる比率のフッ素及び/又は水素を含むことができる。第1及び第2の離型層16、16’に関して異なる離型層を備えることにより、第1及び第2の離型層16、16’がガスを放出する温度を制御することができる。
【0040】
図5Aは、一実施形態による接合構造40の概略断面側面図である。
図5Bは、
図5Aに示す接合構造40の一部分の拡大図である。特に明記しない限り、
図5A及び
図5Bの構成要素は、
図1A~
図4の同様の構成要素と類似する又は同じとすることができる。接合構造40は、反射層42と、反射層42と基板12との間に配置された誘電体層44とを含むことができる。反射層42は、照射エネルギ(例えば、レーザラスタ処理)を用いて離型層16からのガス拡散を誘発する場合に有利となる可能性がある。例えば、レーザ光は基板12を通って離型層16に到達し、レーザ光の一部は離型層16を通過することができる。反射層42は、離型層16を通過したレーザ光を反射して離型層16に戻すことができ、それによってレーザ光源から離型層16へのエネルギ伝達を強化又は最大化される。一部の実施形態では、反射層42は、照射エネルギの波長に対して反射性の反射金属を含むことができる。従って、反射層42はレーザ光を反射して離型層16内に戻し、分解を促進することができる。一部の実施形態では、反射層42は部分的に透明とすることができる。
【0041】
図2A及び
図2Bでは、離型層16は、担体10と一緒に準備される。しかしながら、本明細書で記載したように、一部の他の実施形態では、離型層16は、半導体素子20と一緒にデバイス部分22の上に準備することができる。
図6A-
図6Eは、離型層16が半導体素子20と一緒に準備される、様々な実施形態による接合方法を示す。
図6A-
図6Eは、
図2A-
図2Eと概ね同じとすることができる。特に明記しない限り、
図6A-
図6Eの構成要素は、本明細書で開示した他の図の同様の構成要素と類似する又は同じとすることができる。
【0042】
一態様では、接合方法が開示される。本接合方法は、デバイス部分と、デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料とを有する第1の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、担体を含む第2の素子を準備するステップを含むことができる。第2の素子は、基板と、基板の上に配置された第2の非導電性接合材料とを有する。本接合方法は、第1の素子のデバイス部分と第1の非導電性接合材料との間、又は第2の素子の基板と第2の非導電性接合材料との間に離型層を堆積するステップを含むことができる。本接合方法は、接着剤を介在させることなく第1の素子の第1の非導電性接合材料を第2の素子の第2の非導電性接合材料に直接接合するステップを含むことができる。本接合方法は、熱エネルギを離型層に伝達し、それにより揮発性化学種を含むガスの離型層からの拡散を誘発することによって、第2の素子を第1の素子から取り外すステップを含むことができる。
【0043】
1つの実施形態では、揮発性化学種は、水素を含む。
【0044】
1つの実施形態では、揮発性化学種は、ハロゲンを含む。
【0045】
1つの実施形態では、揮発性化学種は、水素及びフッ素を含む。
【0046】
1つの実施形態では、離型層は、プラズマ強化蒸着(PECVD)によって堆積される。
【0047】
1つの実施形態では、離型層は、10nmと3μmの間の範囲にある厚さを有する。
【0048】
1つの実施形態では、離型層は炭素を含む。離型層は、非晶質炭素を含むことができる。非晶質炭素は、水素を含むことができる。非晶質炭素は、フッ素を含むことができる。
【0049】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、直接接合された第2の素子及び第1の素子を加熱するステップを含む。
【0050】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、第2の素子の基板を通して離型層を照射するステップを含む。照射するステップはレーザラスタ処理を含むことができる。基板は、レーザラスタ処理に使用されるレーザ光に対して透明とすることができる。
【0051】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、急速熱アニール、熱アニール、又はマイクロ波加熱を含む。
【0052】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、離型層に揮発性化学種をガス放出させ、それによって第1の素子と第2の素子との接合を弱化させ、第1の素子からの第2の素子の取外しを実現する。揮発性化学種は、水素を含むことができる。揮発性化学種は、ハロゲンを含むことができる。揮発性化学種は、水素及びフッ素を含むことができる。
【0053】
1つの実施形態では、直接接合するステップは、第1の素子と第2の素子とを接触させ、接触させた第1の素子及び第2の素子を、直接接合させた第2の素子及び第1の素子を加熱して取り外すために使用される第2の温度よりも低い第1の温度で加熱するステップとを含む。第2の温度は、100℃~400℃の範囲とすることができる。第2の温度は、200℃~250℃の範囲とすることができる。
【0054】
1つの実施形態では、本接合方法はさらに、直接接合するステップの前に、第1の非導電性接合材料の表面及び第2の非導電性接合材料の表面のうちの少なくとも一方を活性化するステップを含む。
【0055】
1つの実施形態では、第1の非導電性接合材料は、無機誘電体材料を含む。
【0056】
1つの実施形態では、第2の非導電性接合材料は、無機誘電体材料を含む。
【0057】
1つの実施形態では、離型層を堆積するステップは、介在層の上で行われ、介在層は、第2の素子の基板と離型層との間に位置決めされるようになっている。介在層は、離型層と基板との間で接着機能を果たすように構成することができる。
【0058】
1つの実施形態では、本接合方法は、直接接合するステップの後に、第1の素子を加工するステップをさらに含む。第1の素子を加工するステップは、第1の素子の裏面を薄化するステップを含むことができる。裏面は、第1の非導電性接合材料の反対側にある。第1の素子を加工するステップは、第1の素子の裏面に相互接続を形成するステップを含むことができる。本接合方法は、第1の素子の薄化された裏面に剥離テープを接合するステップをさらに含むことができる。取り外すステップは、剥離テープを第1の素子に接合した後に行うことができる。本接合方法は、第2の第1の素子を第1の素子に直接接合するステップをさらに含むことができる。取り外すステップは、第2の第1の素子を第1の素子に直接接合した後に行うことができる。
【0059】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの後に、第2の素子から取り外された第1の素子の表面をアッシングするステップをさらに含む。
【0060】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの後に、第1の素子を個片化して複数の個片化された第1の素子にするステップをさらに含む。
【0061】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの前に、第2の素子及び第1の素子を個片化して複数の接合構造にするステップをさらに含む。
【0062】
1つの実施形態では、離型層を堆積するステップは、第1の素子のデバイス部分の上の介在層の上で行われ、介在層は、第1の素子のデバイス部分と離型層との間に位置決めされるようになっている。
【0063】
1つの実施形態では、離型層を堆積するステップは、第2の非導電性接合材料を形成する前に第2の素子の上で行われる。離型層の占有面積は、第2の非導電性接合材料の占有面積よりも小さくすることができ、離型層の端部は、第2の非導電性接合材料の端部に対して差し込まれるようになっている。離型層の端部は、第2の非導電性接合材料で覆うことができる。本接合方法は、第1の素子のデバイス部分と第1の非導電性接合材料との間に離型層を堆積するステップをさらに含むことができる。第2の離型層は、離型層がガスを放出する温度よりも高い温度でガスを放出するように構成することができる。
【0064】
1つの実施形態では、本接合方法は、離型層を堆積するための堆積プロセスを調整して離型層内の揮発性ガスの量を調整するステップをさらに含む。揮発性ガスの量を調整するステップは、フッ素-水素の比率を調節するステップを含むことができる。揮発性ガスの量を調整するステップは、プラズマ強化化学蒸着プロセスの基板バイアス又は堆積前駆体の流量を調節するステップを含むことができる。
【0065】
1つの実施形態では、本接合方法は、離型層と第1の素子との間に反射層を提供するステップをさらに含む。
【0066】
一態様では、接合方法が開示される。本接合方法は、デバイス部分と、デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料とを有する第1の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、基板と、基板上に配置された介在層と、介在層上に配置された揮発性ガス状化学種を含む非晶質炭素層と、非晶質炭素層上に配置された第2の非導電性接合材料とを有する第2の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、接着剤を介在させることなく第1の素子の第1の非導電性接合材料を第2の素子の第2の非導電性接合材料に直接接合するステップを含むことができる。
【0067】
1つの実施形態では、揮発性ガス状化学種は、フッ素及び水素を含む。
【0068】
1つの実施形態では、本方法は、熱エネルギを非晶質炭素層に伝達して非晶質炭素層からのガス拡散を誘発することによって、第1の素子から第2の素子を取り外すステップをさらに含む。
【0069】
1つの実施形態では、第2の素子を準備するステップは、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって非晶質炭素層を堆積するステップを含む。
【0070】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、直接接合された第2の素子及び第1の素子を加熱するステップを含む。
【0071】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、第2の素子の基板を通して非晶質炭素層を照射するステップを含む。照射するステップはレーザラスタ処理を含むことができ、基板は、レーザラスタ処理に使用されるレーザ光に対して透明である。
【0072】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、急速熱アニール、熱アニール、又はマイクロ波加熱を含む。
【0073】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、非晶質炭素層に水素及びフッ素をガス放出させ、それによって非晶質炭素層を弱化させ、第1の素子からの第2の素子の取り外しを実現する。
【0074】
1つの実施形態では、直接接合するステップは、第1の素子と第2の素子とを接触させ、接触させた第1の素子と第2の素子を、直接接合させた第2の素子及び第1の素子を加熱して取り外すために使用される第2の温度よりも低い第1の温度で加熱するステップとを含む。
【0075】
1つの実施形態では、本接合方法は、直接接合するステップの前に、第1の非導電性接合材料の表面及び第2の非導電性接合材料の表面のうちの少なくとも一方を活性化するステップをさらに含む。
【0076】
1つの実施形態では、第1の非導電性接合材料は、誘電体材料を含む。
【0077】
1つの実施形態では、第2の非導電性接合材料は、誘電体材料を含む。
【0078】
1つの実施形態では、本接合方法は、直接接合するステップの後に、第1の素子の裏面を薄化するステップをさらに含み、裏面は非導電性接合材料の反対側にある。本接合方法は、第1の素子の薄化された裏面に剥離テープを接合するステップをさらに含むことができる。取り外すステップは、剥離テープを第1の素子に接合した後に行うことができる。本接合方法は、第2の第1の素子を第1の素子に直接接合するステップをさらに含むことができる。取り外すステップは、第2の第1の素子を第1の素子に直接接合した後に行うことができる。
【0079】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの後に、第2の素子から取り外された第1の素子の表面をアッシングするステップをさらに含む。
【0080】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの後に、第1の素子を個片化して複数の個片化された第1の素子にするステップをさらに含む。
【0081】
1つの実施形態では、本接合方法は、取り外すステップの前に、第2の素子及び第1の素子を個片化して複数の接合構造にするステップをさらに含む。
【0082】
1つの実施形態では、非晶質炭素層の占有面積は、第2の非導電性接合材料の占有面積よりも小さい。
【0083】
1つの実施形態では、本接合方法は、デバイス部分と第1の非導電性接合材料との間に非晶質炭素層を堆積するステップをさらに含む。非晶質炭素層は、基板と第2の非導電性接合材料との間に配置することができる。
【0084】
1つの実施形態では、本接合方法は、非晶質炭素層の堆積条件を調整することによって非晶質炭素層内の揮発性ガスの量を調整するステップをさらに含む。揮発性ガスの量を調整するステップは、フッ素-水素の比率を調節するステップを含むことができる。
【0085】
1つの実施形態では、本接合方法は、非晶質炭素層と第1の素子との間に反射層を提供するステップをさらに含む。
【0086】
一態様では、担体が開示される。担体は、基板と、基板上の介在層と、加熱されるとガスを放出するように構成された堆積炭素層と、堆積炭素層上の非導電性接合層とを含むことができる。非導電性接合層は、半導体素子に直接接合させるように構成されている。
【0087】
1つの実施形態では、堆積炭素層は、非晶質炭素を含む。非晶質炭素は、フッ素及び水素を含むことができる。堆積炭素層は、3%以内の厚さ均一性を有することができる。フッ素及び水素は、堆積炭素層の10wt%と85wt%の間を占めることができる。
【0088】
1つの実施形態では、非導電性接合層は直接接合のために調製される。非導電性接合層の表面は、2nm未満の二乗平均平方根(rms)表面粗さを有することができ、直接接合用に構成されている。
【0089】
一態様では、半導体素子が開示される。半導体素子は、デバイス部分と、デバイス部分上の介在層と、加熱されると水素及びフッ素をガス放出するように構成された堆積離型層と、堆積離型層上の非導電性接合層とを含むことができる。非導電性接合層は、素子に直接接合させるように構成される。
【0090】
1つの実施形態では、堆積離型層は、水素及びフッ素を含む非晶質炭素層である。フッ素及び水素は、堆積炭素層の10wt%と85wt%の間を占めることができる。
【0091】
1つの実施形態では、堆積離型層は3%以内の厚さ均一性を有する。
【0092】
1つの実施形態では、非導電性接合層は直接接合のために調製されている。非導電性接合層の表面は、2nm未満の二乗平均平方根(rms)表面粗さを有する。
【0093】
一態様では、仮接合方法が開示される。本接合方法は、デバイス部分と、デバイス部分の上に配置された第1の非導電性接合材料とを有する第1の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、基板と、基板の上に配置された第2の非導電性接合材料とを有する第2の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、第1の素子のデバイス部分と第1の非導電性接合材料との間、又は第2の素子の基板と第2の非導電性接合材料との間にプラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって離型層を堆積するステップを含むことができる。本接合方法は、接着剤を介在させることなく第1の素子の第1の非導電性接合材料を第2の素子の第2の非導電性接合材料に直接接合するステップを含むことができる。
【0094】
1つの実施形態では、熱エネルギを伝達するステップは、水素及びフッ素の拡散を誘発する。
【0095】
1つの実施形態では、本接合方法は、熱エネルギを離型層に伝達し、それにより離型層からのガス拡散を誘発することによって、第1の素子から第2の素子を取り外すステップをさらに含む。離型層は、水素及びフッ素を含む非晶質炭素層を含むことができる。取り外すステップは、水素及びフッ素をガス放出するステップを含むことができる。
【0096】
一態様では、接合方法が開示される。本接合方法は、デバイス部分と、デバイス部分の上に配置された第1の非導電性材料とを有する第1の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、基板と、基板の上に配置された第2の非導電性材料とを有する第2の素子を準備するステップを含むことができる。本接合方法は、第1の素子の第1の非導電性材料又は第2の素子の第2の非導電性材料の上にプラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって離型層を堆積するステップを含むことができる。本接合方法は、離型層上に第3の非導電性材料を設けるステップと、接着剤を介在させることなく第1の非導電性材料又は第2の非導電性材料を第3の非導電性材料に直接接合するステップを含むことができる。
【0097】
1つの実施形態では、本接合方法は、熱エネルギを離型層に伝達し、それにより離型層からのガス拡散を誘発することによって、第1の素子から第2の素子を取り外すステップをさらに含む。
【0098】
1つの実施形態では、第1、第2及び第3の非導電性材料は無機誘電体材料を含む。
【0099】
1つの実施形態では、離型層は、非晶質炭素層を含み、非晶質炭素層は、加熱に応えてガスを放出することのできる水素及びフッ素を含む。
【0100】
関連上明らかに他を意味しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して単語「備える」、「備えている」、「含む」、及び「含んでいる」などは、限定的又は包括的な意味に対立するものとして包括的な意味、すなわち、「含むがこれに限定されない」という意味で解釈されるものとする。本明細書で一般的に使用する単語「結合された」は、直接に接続されるか又は1又は2以上の中間要素を通して接続されるかのいずれかである2又は3以上の要素を指す。同様に、本明細書で一般的に使用する単語「接続された」は、直接に接続されるか又は1又は2以上の中間要素を通して接続されるかのいずれかである2又は3以上の要素を指す。これに加えて、単語「本明細書で」、「上記に」、「下記に」、及び類似の主旨を有する単語は、この出願に使用する場合に全体としてこの出願を指し、この出願のいずれかを特定の部分に言及しないものである。更に、本明細書に使用するように、第1の要素が第2の要素「上に」又は「それにわたって」あると説明する場合に、第1の要素は、第1及び第2の要素が直接接触するように直接的に第2の要素上に又はそれにわたってあるとすることができ、又は第1の要素は、第1の要素と第2の要素の間に1又は2以上の要素が介在するように間接的に第2の要素上に又はそれにわたってあるとすることができる。状況が許す限り、上述の詳細説明で単数又は複数を使用する単語は、それぞれ複数又は単数も包含することができる。2又は3以上の項目のリストに関連付けられた単語「又は」は、その単語に対して以下の解釈、すなわち、リスト中の項目のいずれか、リスト中の項目の全て、及びリスト中の項目のあらゆる組合せの全てを網羅する。
【0101】
さらに、取りわけ、「することができる」、「することができると考えられる」、「場合があると考えられる」、「場合がある」、「例えば」、「例えると」、及び「のような」などのような本明細書に使用する条件付き言語は、特に別段の記載がない限り、又は使用する関連内で別様に理解されない限り、ある一定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むのに対して、他の実施形態は含まないことを伝えるように一般的に意図している。従って、そのような条件付き用語は、一般的に、特徴、要素、及び/又は状態が1又は2以上の実施形態にいずれかの方法で必要であることと示唆するように意図していない。
【0102】
ある一定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として提示したに過ぎず、開示の範囲を限定することは意図していない。実際に、本明細書に説明した新しい装置、方法、及びシステムは、異なる他の形態に具現化することができ、更に、本発明の開示の精神から逸脱することなく本明細書に説明した方法及びシステムの形態に様々な省略、置換、及び修正を行うことができる。例えば、ブロックを所与の配置で提示したが、代替実施形態では、異なる構成要素及び/又は回路トポロジーを使用して類似の機能を実行することができ、一部のブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正が可能である。これらブロックの各々は、様々な異なる方法で実施することができる。上述の様々な実施形態の要素及び作動に対していずれかの適切な組合せを行って更に別の実施形態を提供することができる。特許請求の範囲及びその均等物は、本発明の開示の範囲及び精神に属するような形態又は修正を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0103】
12 基板
18 接合層
22 デバイス部分
24 接合層
26 接合界面
【国際調査報告】