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特表2024-547071トレオース核酸アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】トレオース核酸アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20241219BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/712
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537092
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2022086286
(87)【国際公開番号】W WO2023117738
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21215919.8
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ブライヒャー コンラート
(72)【発明者】
【氏名】シャオブリン アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】リ メイリン
(72)【発明者】
【氏名】コラー エーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン ジェシカ マリン オロール
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンセン ヘレ
(72)【発明者】
【氏名】ニューマーク ヘレ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
(57)【要約】
1個以上のα-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、並びにTNAヌクレオシドの導入によってアンチセンスオリゴヌクレオチドの特性を調節する方法が記載される。これらは、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに特に適用可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボヌクレアーゼ(RNase)Hを動員することができる、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドであって、
Gが、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシドを含む18個までの連結されたヌクレオシドのギャップ領域であり、
FおよびF’の各々が、独立して、1~15個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる、15個までの連結されたヌクレオシドのフランキング領域であり、かつ
F、F’、およびGのうちの少なくとも1つが、α-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドである糖修飾ヌクレオシドを含む、
アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
Fが、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含む、請求項1に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
Fが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
Fの全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
F’が、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
F’が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
F’の全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
F、F’、またはFとF’の両方の前記糖修飾ヌクレオシドが、以下:
2’-メトキシ-リボース(2’-OMe)、
2’-O-メトキシエチル-リボース(2’-O-MOE)、
5’-メチル-2’-O-メトキシエチルリボース(5’-Me-2’-O-MOE)、
2’-O-[2-(メチルチオ)エチル]-リボース(2’-O-MTE)、
2-(N-メチルカルバモイル)-エチル]-リボース(2’-O-MCE)、
2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]-リボース(2’-O-NMA)、
2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボース(2’-デオキシ-2’-フルオロリボ-核酸;2’-F-RNAにおけるような)、
2’-フルオロ-2’-アラビノース(2’-フルオロ-2’-アラビノース-核酸;2’-F-ANAにおけるような)、
2’-O-ベンジル-リボース、
オキシ、アミノまたはチオβ-D-ロックドリボース(β-D-LNAにおけるような)、
オキシ、アミノまたはチオα-L-ロックドリボース(α-L-LNAにおけるような)、
2’,4’拘束2’-O-エチルリボース(拘束エチルロックド核酸;cEtにおけるような)、
トリシクロ-デオキシリボース(トリシクロ-デオキシリボースDNA;TcDNAにおけるような)、
3’-デオキシ-リボース(3’-デオキシ-リボースDNA;3’-DNAにおけるような)、
アンロックドリボース(アンロックド核酸;UNAにおけるような)、
グリコール(グリコール核酸;GNAにおけるような)、
ヘキシトール(ヘキシトール核酸;HNAにおけるような)、
3’-フルオロヘキシトール(3’-フルオロヘキシトール核酸;FHNAにおけるような)、
3’-アラビノ-フルオロヘキシトール(3’-アラビノ-フルオロ-ヘキシトール核酸;Ara-FHNAにおけるような)、
シクロヘキセン(シクロヘキセン核酸;CeNAにおけるような)、および
フルオロ-シクロヘキセニル(2’-フルオロ-シクロヘキセニル核酸;F-CeNAにおけるような)
からなる群から選択される修飾糖部分を含む少なくとも1個の糖修飾ヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
F、F’、またはFとF’の両方の前記糖修飾ヌクレオシドが、1個以上の2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-O-MOE)ヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
少なくとも1個のいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’およびF中の全てのヌクレオシドが、2’-O-MOEヌクレオシドである、請求項9に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
Gが、少なくとも1個のTNAヌクレオシド、例えば少なくとも1、2、または3個のTNAヌクレオシドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
G中の少なくとも5’最末端および3’最末端のヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
少なくとも1個のいずれのTNAヌクレオシドも除いて、Gの全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
式5’-F-G-F’-3’(I)の前記連続ヌクレオチド配列が、12~32個のヌクレオシド、例えば12~28個のヌクレオシド、例えば12~26個のヌクレオシド、例えば14~26個のヌクレオシド、例えば14~24個のヌクレオシド、例えば14~22個のヌクレオシド、例えば16~22個のヌクレオシド、例えば16~20個のヌクレオシドの長さを有する、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
前記連続ヌクレオチド配列が、以下の式:
1~15-G3~18-F’1~15(IV)、例えば、F1~15-G3~18-F’1~12(IVa)若しくはF1~12-G3~18-F’1~15(IVb);
1~12-G3~18-F’1~12(V)、例えば、F1~12-G3~18-F’1~9(Va)若しくはF1~9-G3~18-F’1~12(Vb);
1~12-G4~16-F’1~12(VI)、例えば、F1~12-G4~16-F’1~9(VIa)若しくはF1~9-G4~16-F’1~12(VIb);または
3~12-G4~10-F’3~12(VII)、例えば、F3~12-G4~10-F’3~9(VIIa)若しくはF3~9-G4~10-F’3~12(VIIb)
のものであり、式中、数値範囲は、F、G及びF’中のそれぞれ連結されたヌクレオシドの数を表す、請求項14に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
式IVaの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)F中の5’最末端のヌクレオシドおよびF中のヌクレオシドが、独立して、3、4、または5個の高親和性糖修飾ヌクレオシドであり、
(b)F中の残りのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドであり、かつ
(c)G中の全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
請求項15に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
Gが、最大で10個の連続DNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個の連続DNAヌクレオシドを含む、請求項16に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
式IVの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’が、それぞれ独立して、3、4、または5個のヌクレオシドからなり、
(b)FおよびF’中の全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドであり、
(c)G中の全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
請求項15に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
式IVの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’が、それぞれ独立して、3、4、若しくは5個の連結された高親和性糖修飾ヌクレオシドを含むか、またはそれらからなり、かつ、いかなるTNAヌクレオシドも含まず、かつ
(b)G中の5’最末端から2番目、3番目、4番目、または5番目のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドであり、かつG中の残りのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
請求項15に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
前記請求項のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと、前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを、任意にリンカーを介して含む、コンジュゲート。
【請求項22】
請求項1~20のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドまたは請求項21に記載のコンジュゲートの、薬学的に許容され得る塩。
【請求項23】
請求項1~20のいずれか一項に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド、請求項21に記載のコンジュゲート、または請求項22に記載の薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項24】
医薬として使用するための、請求項1~20のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、請求項21に記載のコンジュゲート、請求項22に記載の薬学的に許容され得る塩、または請求項23に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1個以上のα-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、並びにTNAヌクレオシドの導入によってアンチセンスオリゴヌクレオチドの特性を調節する方法に関する。本発明は、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
治療薬としての合成オリゴヌクレオチドは、近年著しい進歩を遂げており、リボヌクレアーゼH(RNアーゼH)活性化ギャップマー、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、マイクロRNA阻害剤、低分子干渉RNA(siRNA)およびアプタマー(S.T.Crooke,Antisense drug technology:principles,strategies,and applications,2nd ed.Boca Raton,FL:CRC Press,2008(非特許文献1))等のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む多様な機構によって作用する臨床的に検証された分子の幅広いポートフォリオをもたらしている。
【0003】
ほぼ間違いなく、最も成功した修飾の1つは、非架橋のリン酸酸素原子の1つが硫黄原子に置き換えられた、ホスホロチオエート結合の導入である(Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009;10:117-121(非特許文献2))。ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドは、タンパク質結合の増加、並びに核酸分解に対する明らかに高い安定性、したがってそれらの未修飾ホスホジエステル類似体よりも高い血漿、組織および細胞における半減期を示す。これらの重要な特徴は、第1世代のオリゴヌクレオチド治療薬の開発を可能にするとともに、ロックド核酸(LNA)等の後の世代の修飾による更なる改善の扉を開いた。他の修飾としては、ロックド核酸(LNA)並びに様々な他の修飾ヌクレオシドが挙げられる。例えば、TNAは、例えば、二本鎖siRNA分子で、およびオリゴマーの形態で使用されている(Matsuda et al.,XXIII International Round Table on Nucleosides,Nucleotides and Nucleic acids;2018(非特許文献3)、Liu et al.,ACS Appl.Mater.Interfaces 2018;10:9736-9743(非特許文献4)、国際公開公報第2012/078536号(特許文献1)、国際公開公報第2012/118911号(特許文献2)、および国際公開公報第2013/179292号(特許文献3))。
【0004】
しかしながら、安定で安全で効率的なアンチセンスオリゴヌクレオチドに基づく治療薬が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開公報第2012/078536号
【特許文献2】国際公開公報第2012/118911号
【特許文献3】国際公開公報第2013/179292号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.T.Crooke,Antisense drug technology:principles,strategies,and applications,2nd ed.Boca Raton,FL:CRC Press,2008
【非特許文献2】Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009;10:117-121
【非特許文献3】Matsuda et al.,XXIII International Round Table on Nucleosides,Nucleotides and Nucleic acids;2018
【非特許文献4】Liu et al.,ACS Appl.Mater.Interfaces 2018;10:9736-9743
【発明の概要】
【0007】
本発明者(ら)は、1つ以上のα-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドをアンチセンスオリゴヌクレオチド、特にアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに導入して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの特性を調節することができることを見出した。驚くべきことに、TNA修飾は、本明細書に記載されるようなギャップマー設計に導入されると、治療的使用のための好ましい特性を有する強力な分子をもたらすことができる。
【0008】
したがって、本発明は、少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、特に少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに関する。
【0009】
本発明はまた、リボヌクレアーゼ(RNase)Hを動員することができる、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに関し、連続ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む。
【0010】
本発明はまた、RNアーゼHを動員することができる式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに関し、式中、
Gは、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシドを含む18個までの連結ヌクレオシドのギャップ領域であり、
FおよびF’の各々は、独立して、1~15個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる、15個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、かつ
F、F’、およびGのうちの少なくとも1つは、α-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドである糖修飾ヌクレオシドを含む。
【0011】
本発明はまた、本発明によるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと、任意にリンカーを介してアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含むコンジュゲートに関する。
【0012】
本発明はまた、本発明によるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスギャップマーコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩に関する。
【0013】
本発明はまた、本発明によるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド、コンジュゲートまたは薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物に関する。
【0014】
本発明はまた、医薬として使用するための、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、コンジュゲート、薬学的に許容され得る塩または医薬組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの修飾バージョンを調製する方法であって、親アンチセンスギャップマーが、RNアーゼHを動員することができる式5’F-G-F’3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含み、式中、Gは、5~18個の連結されたDNAヌクレオシドのギャップ領域であり、FおよびF’の各々は、独立して、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる8個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、修飾バージョンにおいて、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドのF、F’および/またはG中の少なくとも1つのヌクレオシドは、TNAヌクレオシドで置換されており、
方法は、ヌクレオチド単位を反応させて、オリゴヌクレオチドに含まれる共有結合した連続ヌクレオチド単位を形成することによって修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを製造する工程を含み、ヌクレオチド単位の少なくとも1つは、TNAヌクレオシドを含み、
任意に、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを精製または単離することを含む、方法に関する。
【0016】
本発明はまた、本発明の方法によって得られるかまたは得ることができるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドに関する。
【0017】
本発明はまた、本発明によるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの調製におけるTNAヌクレオチドの使用に関する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の態様および実施形態の更なる詳細は、以下の詳細な開示および特許請求の範囲に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な開示
定義
本発明をより容易に理解され得るように、特定の用語を以下に定義し説明する。
【0020】
本明細書を通して、「含む(comprise)」という語またはその文法的変形は、言及された整数(若しくは成分)または整数(若しくは成分)の群を言外に含み、いずれの他の整数(若しくは成分)または整数(若しくは成分)の群も除外しない。
【0021】
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者によって一般に理解されるものとして定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子またはオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチド配列に言及する場合、共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分またはその修飾の配列または順序を参照する。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工であり、化学的に合成され、典型的には精製または単離される。ヌクレオシドは、ホスホジエステル(PO)結合または修飾されたヌクレオシド間結合によって連結され得る。
【0022】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。企図されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAまたは短いヘアピンRNA(shRNA)ではない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、自己内または自己間の相補性の程度がオリゴヌクレオチドの全長にわたって50%超であれば、ヘアピンまたは分子間二重構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成することができるものと理解される。
【0023】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語および「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に用いられる。例えば、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を構成し得る。或いは、オリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列、例えばF-G-F’ギャップマー領域を含んでもよく、任意に、更なるヌクレオチド(複数可)、例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に結合するのに使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含んでもよい。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的であってもよく、または相補的でなくてもよい。有利には、連続ヌクレオチド配列は、標的核酸に100%相補的である。
【0024】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの構成要素であり、本発明の目的のためには、天然に存在するヌクレオチドおよび非天然のヌクレオチドの両方を含む。本来、DNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチド等のヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、および1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシドおよびヌクレオチドはまた、「単位」または「モノマー」と互換的に称されてもよい。
【0025】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドに存在するプリン(例えばアデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えばウラシル、チミンおよびシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチン等の天然に存在する核酸塩基と天然に存在しない変異体の両方を指す。このようなバリアントは、例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45.page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37,1.4.1.に記載されている。
【0026】
核酸塩基部分は、任意に、プリンまたはピリミジンを修飾プリンまたはピリミジン、例えば置換プリンまたは置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾することができる。
【0027】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUにより示されてもよく、各文字は、任意に等価な機能の修飾核酸塩基を含んでもよい。例えば、いくつかのオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、Cおよび5-メチルシトシン(C)から選択される。
【0028】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分または(核酸)塩基部分の1つ以上修飾の導入によって、同等のDNAまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましくは、修飾ヌクレオシドは修飾された糖部分を含む。「修飾ヌクレオシド」という用語は、本明細書では用語「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「モノマー」とも区別せずに使用され得る。非修飾DNAまたはRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNAまたはRNAヌクレオシドと称される。DNAまたはRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対合可能な場合には、依然として一般的にDNAまたはRNAと称される。
【0029】
糖修飾ヌクレオシド
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾糖部分、すなわち、DNAおよびRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。
【0030】
リボース糖部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドが、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性等のオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0031】
そのような修飾には、例えばヘキソース環(HNA)または二環式環(典型的には、リボース環(LNA)のC2とC4炭素の間に架橋を有する)、または典型的にはC2とC3炭素の間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開公報第2011/017521号)または三環式核酸(国際公開公報第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)またはモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0032】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、またはDNAおよびRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’、または5’位で導入され得る。
【0033】
修飾された糖部分の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
α-L-トレオフラノシル(トレオース核酸;TNAにおけるような)、
2’-メトキシ-リボース(2’-OMe)、
2’-O-メトキシエチル-リボース(2’-O-MOE)、
5’-メチル-2’-O-メトキシエチルリボース(5’-Me-2’-O-MOE)、
2’-O-[2-(メチルチオ)エチル]-リボース(2’-O-MTE)、
2-(N-メチルカルバモイル)-エチル]-リボース(2’-O-MCE)、
2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]-リボース(2’-O-NMA)、
2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボース(2’-デオキシ-2’-フルオロリボ-核酸;2’-F-RNAにおけるような)、
2’-フルオロ-2’-アラビノース(2’-フルオロ-2’-アラビノース-核酸;2’-F-ANAにおけるような)、
2’-O-ベンジル-リボース、
オキシ、アミノまたはチオβ-D-ロックドリボース(β-D-LNAにおけるような)、
オキシ、アミノまたはチオα-L-ロックドリボース(α-L-LNAにおけるような)、
2’,4’拘束2’-O-エチルリボース(拘束エチルロックド核酸;cEtにおけるような)、
トリシクロ-デオキシリボース(トリシクロ-デオキシリボースDNA;TcDNAにおけるような)、
3’-デオキシ-リボース(3’-デオキシ-リボースDNA;3’-DNAにおけるような)、
アンロックドリボース(アンロックド核酸;UNAにおけるような)、
グリコール(グリコール核酸;GNAにおけるような)、
ヘキシトール(ヘキシトール核酸;HNAにおけるような)、
3’-フルオロヘキシトール(3’-フルオロヘキシトール核酸;FHNAにおけるような)、
3’-アラビノ-フルオロヘキシトール(3’-アラビノ-フルオロ-ヘキシトール核酸;Ara-FHNAにおけるような)、
シクロヘキセン(シクロヘキセン核酸;CeNAにおけるような)、および
フルオロ-シクロヘキセニル(2’-フルオロ-シクロヘキセニル核酸;F-CeNAにおけるような)。
【0034】
別段特定されない限り、または文脈に矛盾しない限り、「MOE」という用語は、本明細書では、リボース環の2’位にO-メトキシエチル基を含むいかなるヌクレオシドも指し得、2’-O-MOEおよび5’-Me-2’-O-MOEが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
トレオース核酸(TNA)
本明細書で使用される場合、「α-L-トレオフラノシルヌクレオシド」、「α-L-トレオース核酸ヌクレオシド」、「TNAヌクレオシド」、「TNA修飾ヌクレオシド」、「TNA単位」、「TNA部分」等は、α-L-トレオフラノシル部分を含む糖修飾ヌクレオシドを指す。
【0036】
TNAヌクレオシドは、隣接する2つのTNAヌクレオシドについて以下に示すように、(2’→3’)ヌクレオシド間結合、例えばホスホジエステル(PO)または修飾ヌクレオシド間結合によって隣接するヌクレオシドに連結される。
【0037】
核酸塩基(B)がシトシンである場合、TNAヌクレオシドは有利には5-メチル-シトシン(C)TNAヌクレオシドである。
【0038】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有するヌクレオシド(2’置換ヌクレオシド)である。これは、リボース環内の2’炭素と第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合バイラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’架橋)ヌクレオシドを含む。
【0039】
本開示の目的のために、TNAヌクレオシドは2’置換ヌクレオシドではない。
【0040】
多数の2’置換ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドに組み込まれたときに有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾された糖は、結合親和性の向上および/またはヌクレアーゼ耐性の増大をオリゴヌクレオチドに付与し得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-O-MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-F-ANA、およびLNAのような2’架橋分子である。更なる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443 and Uhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213,and Deleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937.を参照されたい。以下のスキーム1は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示を示す。
スキーム1:
【0041】
ロックド核酸(LNA)
「LNAヌクレオシド」は、リボース環の立体構造を制限または固定する、当該ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを連結するバイラジカル(「2’-4’架橋」とも称される)を含む2’修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNAまたはDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定され得る。
【0042】
非限定的で例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開公報第99/014226号、国際公開公報第00/66604号、国際公開公報第98/039352号、国際公開公報第2004/046160号、国際公開公報第00/047599号、国際公開公報第2007/134181号、国際公開公報第2010/077578号、国際公開公報第2010/036698号、国際公開公報第2007/090071号、国際公開公報第2009/006478号、国際公開公報第2011/156202号、国際公開公報第2008/154401号、国際公開公報第2009/067647号、国際公開公報第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.2002,12,73-76,Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81、およびMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238、およびWan and Seth,J.Medical Chemistry 2016,59,9645-9667を参照されたい。
【0043】
更なる非限定的な例示的LNAヌクレオシドを、スキーム2に開示する。
スキーム2:
【0044】
特定のLNAヌクレオシドは、ベータ-D-オキシ-LNA、6’-メチル-ベータ-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-ベータ-D-オキシ-LNA(ScET)およびENAである。特に有利なLNAは、ベータ-D-オキシ-LNAである。
【0045】
ヌクレオシド間結合
「ヌクレオシド間結合」という用語は、当業者によって一般的に理解されるように、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する結合として定義される。本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、ヌクレオシド間結合は、隣接するヌクレオシドを互いに共有結合し、典型的には隣接するヌクレオシドの糖部分間に結合を形成する。ヌクレオシド間結合の非限定的な例としては、ホスホジエステル(PO)結合および修飾ヌクレオシド間結合が挙げられる。
【0046】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に一般的に理解されるように定義される。修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させ得る。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボ使用のためのオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、オリゴヌクレオチド中のDNAまたはRNAヌクレオシドの領域、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、並びに修飾ヌクレオシドの領域、例えば領域FおよびF’においてヌクレアーゼ切断から保護され得る。
【0047】
ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすることにより、またはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を用いることにより決定され得、これらは両方とも当技術分野で周知である。いくつかのオリゴヌクレオチドにおいて、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合またはその連続ヌクレオチド配列は、ヌクレアーゼ耐性のヌクレオシド間結合であり得る。オリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基、例えばコンジュゲートに連結するヌクレオシドは、ホスホジエステルであってもよいことが企図される。
【0048】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合
好ましい修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(PS)である。ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態、および製造の容易さに起因して、特に有用である。いくつかのオリゴヌクレオチドにおいて、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合またはその連続ヌクレオチド配列は、ホスホロチオエート結合である。
【0049】
ホスホロチオエート結合等のヌクレアーゼ耐性結合は、標的核酸と二重鎖を形成するときにヌクレアーゼを動員することができるオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマーの領域Gにおいて特に有用である。しかしながら、ホスホロチオエート結合は、非RNase H動員領域および/または親和性増強領域、例えばギャップマーの領域FおよびF’においても有用であり得る。
【0050】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crick塩基対形成の能力を表す。ワトソン・クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)およびアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでいてもよく、例えば5-メチルシトシンは、しばしばシトシンの代わりに用いられ、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック塩基対合を包含することが理解されよう(例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45,page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37,1.4.1を参照)。
【0051】
本明細書で使用される場合、「相補性%」という用語は、個別の核酸分子(例えば、標的核酸または標的配列)の所与の位置のヌクレオチドの連続配列に所与の位置において相補的な(すなわち、Watson Crick塩基対を形成する)、核酸分子内の連続ヌクレオチド配列(例えばオリゴヌクレオチド)のヌクレオチドの数を%で表したものを指す。百分率は、(標的配列5’-3’とオリゴヌクレオチド配列3’-5’を整列させたとき)2つの配列間で対を形成する整列した塩基の数を計数し、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除し、100を乗じることにより計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。好ましくは、挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の相補性%の計算において許容されない。
【0052】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0053】
同一性
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、配列モチーフ)と同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性の百分率は、2つの配列(例えば、本発明の化合物の連続ヌクレオチド配列および参照配列)の間で同一の(一致する)整列された塩基の数を計数し、その数を整列された領域内のヌクレオチドの総数で除し、100を乗ずることにより計算される。したがって、同一性の百分率=(一致数×100)/整列された領域(例えば、連続ヌクレオチド配列)の長さ。挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性の百分率の計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、同一性%を計算する目的では、シトシンと同一であると見なされる)。
【0054】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズ」または「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二重鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性が、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として規定される、融解温度(T)によって説明されることが多い。生理学的条件では、Tは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix,2003,Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表しており、ΔG°=-RTln(K)(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)によって反応の解離定数(K)と関連付けられている。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水溶液濃度が1M、pHが7、温度が37℃である反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合のΔG°は、ゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.Comm.36-38 and Holdgate et al.,2005,Drug Discov Todayに記載される等温滴定熱量測定(ITC)により、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°はまた、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216およびMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405によって記載された適切に導出された熱力学パラメータを使用して、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465によって記載された最近傍モデルを使用することによって数値的に推定することができる。その意図した核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を確保するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。例えば、ハイブリダイゼーションの程度または強度は、標準状態Gibbs自由エネルギーΔG°によって測定することができる。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、および例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal、または-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズし得る。
【0055】
標的核酸
標的核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし、それによって標的遺伝子の発現を調節することができる核酸である。標的核酸は、例えば、遺伝子、RNA、mRNA、プレ-mRNA、長い非コードRNA(lncRNA)、成熟mRNA若しくはcDNA配列、またはDNA若しくはRNAに由来する合成核酸であり得る。RNAである標的核酸は、「RNA標的配列」、「標的RNA配列」等と称され得る。
【0056】
標的配列
本明細書で使用される場合、「標的配列」という用語は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。標的配列は、例えば、標的核酸上の、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な領域からなり得る。
【0057】
標的細胞
本明細書で使用される場合、「標的細胞」という用語は、標的核酸を発現している細胞を指す。適切には、標的細胞は、そのゲノム中に標的遺伝子の少なくとも1つのコピーを含む。標的細胞は、インビボまたはインビトロであり得る。標的細胞は、例えば、哺乳動物細胞、例えばげっ歯類細胞、例えばマウス細胞若しくはラット細胞、または霊長類細胞、例えばサル細胞(例えばカニクイザル細胞)若しくはヒト細胞であり得る。
【0058】
発現の調節
本明細書で使用される場合、「発現の調節」という用語は、標的遺伝子から発現されるタンパク質または転写されるRNAの量を変化させるオリゴヌクレオチドの能力の全体的な用語として理解されるべきである。発現の調節は、対照実験を参照することによって決定され得る。対照は、生理食塩水組成物で処置した個体若しくは標的細胞、または非標的オリゴヌクレオチド(モック)で処置した個体若しくは標的細胞であり得る。
【0059】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾されたヌクレオチドであり、これは、オリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、例えば融解温度(T)によって測定されるように、その相補的標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める。高親和性修飾ヌクレオシドは、好ましくは、修飾ヌクレオシドあたり+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃の融解温度の上昇をもたらす。多くの高親和性修飾ヌクレオシドが当技術分野で公知であり、例えば、多くの2’糖置換ヌクレオシド、例えば2’-O-MOE、2’-F-RNAおよびLNA並びにそれらの類似体(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443 and Uhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213を参照)が挙げられる。
【0060】
RNase Hの活性および動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのリボヌクレアーゼ(RNase)H活性とは、相補的RNA分子との二重鎖にあるときにRNase Hを動員するその能力を指す。国際公開公報第01/23613号は、RNaseH活性を決定するためのインビトロ法を提供し、これはRNaseHをリクルートする能力を決定するために使用され得る。組換えヒトRNase H1は、Lubio Science GmbH(スイス国ルツェルン)から入手可能である。典型的には、オリゴヌクレオチドは、相補的な標的核酸配列が提供される場合、pmol/l/分で測定される標的RNA分子の初期切断速度が、試験されるアンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するオリゴヌクレオチドを使用し、国際公開公報第01/23613号の実施例91~95(参照により本明細書に組み込まれる)によって提供される方法論を使用した場合に決定される初期切断速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%または20%超であれば、RNase Hを動員することができると見なされる。
【0061】
ギャップマー
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列は、ギャップマーであり得るか、ギャップマーを含み得る。ギャップマーは、通常、RNase H媒介分解を介した標的核酸の阻害に使用される。ギャップマーは、本明細書では5’-F-G-F’-3’(式I)として表され、「5→3」の向きの少なくとも3つの異なる構造領域、すなわち5’-フランク、ギャップ、および3’-フランクを含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNase Hを動員することを可能にする一続きの連続するDNAヌクレオチドを含む。ギャップ領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む5’フランキング領域(F)と、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む3’フランキング領域(F’)とに隣接している。領域FおよびF’における1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高めてもよく(すなわち、高親和性修飾ヌクレオシド等の親和性増強糖修飾ヌクレオシド)、または所望に応じて他の特性を調節してもよい。
【0062】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の5’最末端および3’最末端のヌクレオシドは、典型的にはDNAヌクレオシドであり、それぞれ、5’(F)または3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクは更に、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち5’フランクの5’末端および3’フランクの3’末端に少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義されてもよい。
【0063】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列は、式Iのギャップマー、すなわちF-G-F’を含み得るか、またはそれからなり得る。
【0064】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、典型的には、12~32個のヌクレオシド、例えば12~28個、例えば12~26個、例えば14~26個、例えば14~24個、例えば14~22個、例えば16~22個、例えば16~20個のヌクレオシドである。
【0065】
TNAヌクレオシドを含まない従来のギャップマー設計には、例えばF1~8-G5~18-F’1~8(II)、例えばF1~8-G7~16-F’2~8(III)が含まれるが、典型的にはギャップマー領域F-G-F’の全長は少なくとも12、例えば少なくとも14個のヌクレオチド長であることを条件とする。
【0066】
本発明によるTNAギャップマーに適した設計には、例えば、F1~15-G3~18-F’1~15(IV)が含まれるが、ただし、ギャップマー領域F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。そのようなギャップマーの追加の設計(例えば、式IV~式VII)は、本明細書の他の箇所に更に詳細に記載されている。
【0067】
領域F、G、およびF’は、以下に更に記載され、F-G-F’式のいずれかに組み込まれ得る。
【0068】
ギャップマー-領域G
ギャップマーの領域G(ギャップ領域)は、オリゴヌクレオチドがRNaseH、例えばヒトRNaseH1を動員することを可能にするヌクレオシド、典型的にはDNAヌクレオシドの領域である。RNaseHは、DNAとRNAとの間の二重鎖を認識し、RNA分子を酵素的に切断する細胞性酵素である。
【0069】
TNAヌクレオシドを含まない従来のギャップマーは、例えば、少なくとも5または6連続DNAヌクレオシド、例えば5~16連続DNAヌクレオシド、例えば6~15連続DNAヌクレオシド、例えば7~14連続DNAヌクレオシド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド、例えば8~12連続DNAヌクレオチド長のギャップ領域(G)を含む。
【0070】
本発明による適切なギャップマー、特に本明細書に記載の1つ以上のTNAヌクレオシドを含むギャップマーは、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシドを含むギャップ領域(G)を有し得る。ギャップ領域Gは、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個の連続DNAヌクレオシドを含むかまたはそれからなり得る。好ましくは、ギャップ領域Gは、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも6個の連続DNAヌクレオシドを含む。
【0071】
本明細書に記載の1つ以上のTNAヌクレオシドを含むギャップ領域(G)は、ギャップの5’末端に(領域Fの3’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有し、ギャップの3’末端に(領域F’の5’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有し、典型的には、ギャップ領域の5’末端、3’末端、またはその両方のいずれかに少なくとも3または4個の連続DNAヌクレオシドの領域を保持する。
【0072】
ギャップ領域Gの全長は、典型的には、18個までの連続ヌクレオシドである。例えば、ギャップ領域Gの全長は、3~18個の連続ヌクレオシド、例えば3~16個の連続ヌクレオシド、例えば4~18個、4~16個、4~14個、4~12個、または4~10個の連続ヌクレオシド、例えば5~18個、5~16個、5~14個、5~12個、または5~10個の連続ヌクレオシド、例えば6~18個、6~16個、6~14個、6~12個、または6~10個の連続ヌクレオシドであり得る。より短いギャップ領域、例えば4、5、6、7、8、または9個の連続ヌクレオシド、例えば連続DNAヌクレオシドを含むまたはそれらからなる領域Gも企図される。
【0073】
ギャップ領域中の1つ以上のシトシン(C)DNAヌクレオシドは、場合によってはメチル化されていてもよい(例えば、C DNAヌクレオシドの後にグアニン(G)DNAヌクレオシドが続き、5-メチル-シトシン(meCまたはC)としてアノテーションが付けられる場合)。
【0074】
企図されるオリゴヌクレオチドには、ギャップ中の全ての修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であるオリゴヌクレオチド、またはギャップ中の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であるオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0075】
従来のギャップマーはDNAギャップ領域を有するが、ギャップ領域内で用いられる場合にRNase Hの動員を可能にする修飾ヌクレオシドの例が数多く存在する。ギャップ領域内に含まれる場合にRNase Hを補充することができると報告されている修飾ヌクレオシドには、例えば、アルファ-L-LNA、C4’アルキル化DNA(PCT/EP2009/050349および Vester et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.18(2008)2296-2300(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に記載される)、ANAおよび2’F-ANAのようなアラビノース由来ヌクレオシド(Mangos et al.2003 J.AM.CHEM.SOC.125,654-661)、UNA(アンロックド核酸)(Fluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される)が含まれる。UNAまたは「アンロックド核酸」は、典型的には、リボースのC2とC3との間の結合が除去され、アンロックド「糖」残基を形成している場合である。ギャップマーに使用される修飾ヌクレオシドは、ギャップ領域に導入されると2’-エンド(DNA様)構造をとるヌクレオシドであり得、RNアーゼH動員を可能にする。本明細書に記載のDNA Gap領域(G)は、例えば、任意に、1つ以上(例えば、1~3個)の糖修飾ヌクレオシドを含んでいてもよい。ギャップ中の任意の2つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、連続していてもよく、または1つ以上のDNAヌクレオシドによって分離されていてもよい。
【0076】
本明細書に記載されるように、ギャップ領域で使用され得る修飾ヌクレオシドには、TNAヌクレオシドが含まれる。
【0077】
領域G-「ギャップブレーカー」
いくつかのRNase H活性を保持しながら、ギャップマーのギャップ領域に3’エンド配座を付与する修飾ヌクレオシドの挿入に関する多数の報告もある。1つ以上の3’エンド修飾ヌクレオシドを含むギャップ領域を有するギャップマーは、「ギャップブレーカー」または「ギャップ破壊」ギャップマーと称され、例えば、WO2013/022984を参照されたい。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドは、RNaseH動員を可能にするために、ギャップ領域内にDNAヌクレオシドの十分な領域を保持する。RNaseHを動員するためのギャップブレーカーオリゴヌクレオチド設計の能力は、典型的には、配列特異的、または化合物特異的でさえあり(Rukov et al.2015 Nucl.Acids Res.Vol.43 pp.8476-8487を参照)、当該文献は、いくつかの場合、標的RNAのより特異的な切断を提供するRNaseHを動員する「ギャップブレーカー」オリゴヌクレオチドを開示している。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内で使用される修飾ヌクレオシドは、例えば、3’エンドコンフォメーションを付与する修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチル(OMe)若しくは2’-O-MOE(MOE)ヌクレオシド、またはベータ-D LNAヌクレオシド(ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’との間の架橋が、ベータ立体配座である)、例えばベータ-D-オキシLNA若しくはScETヌクレオシドであってもよい。
【0078】
TNAヌクレオシドは、ギャップブレーカーとしても企図され得る。
【0079】
上述した領域Gを含むギャップマーと同様に、ギャップブレーカーまたはギャップ破壊ギャップマーのギャップ領域は、ギャップの5’末端に(領域Fの3’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有し、ギャップの3’末端に(領域F’の5’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有する。破壊されたギャップを含むギャップマーは、典型的には、ギャップ領域の5’末端、3’末端、またはその両方のいずれかに少なくとも3または4個の連続DNAヌクレオシドの領域を保持する。
【0080】
本明細書に記載のギャップブレーカギャップマーの例示的な設計は、
1~15-[D3~4-E-D3~4F’1~15
1~15-[D1~4-E-D3~4]-F’1~15
1-15-[D3-4-E-D1-4]-F’1-15
を含み、領域Gは角括弧[D-E-D]内であり、DはDNAヌクレオシドの連続する配列であり、Eは修飾ヌクレオシド(ギャップブレーカーまたはギャップ破壊ヌクレオシド)であり、FおよびF’は本明細書に定義したフランキング領域であるが、ただし、ギャップマー領域F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0081】
本明細書に記載のギャップ破壊ギャップマーの領域Gは、少なくとも4つのDNAヌクレオシド、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個のDNAヌクレオシドを含み得る。上記のように、DNAヌクレオシドは連続であってもよく、任意に、1つ以上の修飾ヌクレオシドが散在してもよいが、ただし、ギャップ領域Gが、RNaseH動員を媒介できることを条件とする。
【0082】
ギャップマー-フランキング領域、FおよびF’
領域F’は、領域Gの5’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域Fの3’最末端のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。有利には、領域Fの5’最末端の1または2個のヌクレオシドも糖修飾ヌクレオシドである。本明細書に記載のギャップマー、特に1つ以上のTNAヌクレオシドを含むギャップマーにおいて、領域Fは、少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3個の連続ヌクレオチド長である。典型的には、領域Fは、15個までの連続ヌクレオチド長である。例えば、領域Fは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の連続ヌクレオチド長、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の連続ヌクレオチド長であり得る。
【0083】
領域F’は、領域Gの3’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域F’の5’最末端のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。有利には、領域F’の3’最末端の1または2個のヌクレオシドも糖修飾ヌクレオシドである。本明細書に記載のギャップマー、特に1つ以上のTNAヌクレオシドを含むギャップマーにおいて、領域F’は、少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3個の連続ヌクレオチド長である。典型的には、領域F’は、15個までの連続ヌクレオチド長である。例えば、領域F’は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の連続ヌクレオチド長、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の連続ヌクレオチド長であり得る。
【0084】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがRNアーゼHを動員する能力および任意の他の所望の特性を保持することを条件として、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの領域Fおよび/またはF’において任意の糖修飾ヌクレオチドを使用することができる。F、F’、またはFとF’の両方で使用するための糖修飾ヌクレオシドの例は、本明細書に記載されており、限定されないが、「トレオース核酸(TNA)」、「2’糖修飾ヌクレオシド」および「ロックド核酸」と題するセクションでより詳細に記載されているものを含めて、「糖修飾ヌクレオシド」と題するセクションで開示されているものを含む。本明細書に記載のTNAギャップマーは、例えば、1つ以上のTNAヌクレオシド、LNAヌクレオシド、MOEヌクレオシド、またはそれらの混合物を含み得る。
【0085】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方がLNAヌクレオシドを含むかまたはLNAヌクレオシドからなるギャップマーである。ベータ-D-オキシギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方に、ベータ-D-オキシLNAヌクレオシドを含むか、若しくはそれからなるギャップマーである。LNAギャップマーは、例えば、以下の式を有することができる。[LNA]1-5-[領域G]-[LNA]1-5(式中、領域Gは、「ギャップマー-領域G」と題されたセクションに記載されるとおりである。具体的なLNAギャップマー設計の例は、3-10-3(LNA-DNA-LNA)である。
【0086】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方がMOEヌクレオシド、例えば2’-O-MOEヌクレオシドを含むかまたはそれからなるギャップマーである。MOEギャップマーは、例えば、式MOE]1-8-[領域G]-[MOE]1-8、例えば[MOE]2-7-[領域G]5-16-[MOE]2-7、例えば[MOE]3-6-[領域G]-[MOE]3-6を有することができ、式中、領域Gは、「ギャップマー-領域G」と題するセクションに記載されているとおりである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当該技術分野で広く使用されている。
【0087】
TNAギャップマー
「TNAギャップマー」または「TNA修飾ギャップマー」は、領域F、F’、およびGの1つ以上の連結ヌクレオシドが少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むギャップマーである。
【0088】
TNAギャップマーは、例えば、F、F’、またはFとF’の両方のヌクレオシドがTNAヌクレオシドからなる式を有することができる。TNAギャップマーの具体的な設計の例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0089】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーは、領域Fおよび領域F’の一方または両方が2種類以上の糖修飾ヌクレオシドを含むギャップマーである。多くの糖修飾ヌクレオシドが当技術分野で公知であり、この目的のために企図される。フランク領域中の2つ以上の異なる糖修飾ヌクレオシドは、例えば、「トレオース核酸(TNA)」、「2’糖修飾ヌクレオシド」および「ロックド核酸」と題するセクションに開示されているものを含むがこれらに限定される、「糖修飾ヌクレオシド」と題するセクションに開示されているものから選択することができる。
【0090】
企図される混合ウイングギャップマーとしては、例えば、領域Fおよび領域F’の少なくとも一方がTNAヌクレオシドを含むものが挙げられる。次いで、他の糖修飾ヌクレオシド(複数可)は、例えば、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位および2’-フルオロ-ANA単位、例えばMOEヌクレオシドからなる群から独立して選択される2’置換ヌクレオシド等の2’置換ヌクレオシドから選択されてもよい。
【0091】
領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方が少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む場合、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドが、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される、混合ウイングギャップマーも企図される。領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含む場合、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドは、例えば、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択することができる。いくつかの混合ウイングギャップマーにおいて、領域FおよびF’の一方または両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドを更に含んでもよい。
【0092】
混合ウイングギャップマー設計は、国際公開公報第2008/049085号および国際公開公報第2012/109395号(これらの両方は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0093】
交互フランクギャップマー
交互フランクを有するオリゴヌクレオチドはギャップマーオリゴヌクレオチドであり、フランクの少なくとも1つ(FまたはF’)は、糖修飾ヌクレオシド、例えば、「トレオース核酸」、「2’糖修飾ヌクレオシド」および「ロックド核酸」と題するセクションに記載されているものを含むがこれらに限定される、「糖修飾ヌクレオシド」と題するセクションに本明細書に記載されているものから選択される糖修飾ヌクレオシドに加えてDNAを含む。例えば、DNAとは別に、交互フランクギャップマーは、TNA、LNAおよび/またはMOEヌクレオシド(複数可)を含み得る。
【0094】
例えば、領域F若しくはF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方は、糖修飾ヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドの両方を含み得る。フランキング領域F若しくはF’、またはFとF’の両方は、典型的には少なくとも3つのヌクレオシドを含み、Fおよび/またはF’領域の5’および3’大部分のヌクレオシドは糖修飾ヌクレオシドである。
【0095】
領域D’またはD’’
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸に完全に相補的ではない更なる5’および/または3’ヌクレオシドを含み得る。更なる5’および/または3’ヌクレオシドは、本明細書では領域D’およびD’’と称され得る。
【0096】
領域D’またはD’’の付加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分または別の官能基に連結する目的のために使用され得る。連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分と連結するために使用される場合、切断可能なリンカーとしての役割を果たすことができる。それはまた、または代替的に、エキソヌクレアーゼ保護を提供するために、または合成若しくは製造を容易にするために使用され得る。
【0097】
領域D’およびD’’は、それぞれ、領域Fの5’末端または領域F’の3’末端に結合されて、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D’’、またはD’-F-G-F’-D’’の設計を生成することができる。この場合、F-G-F’はオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’またはD’’は、オリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0098】
領域D’またはD’’は、独立して、1、2、3、4、または5の追加のヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、これは、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。FまたはF’領域に隣接するヌクレオチドは、DNA若しくはRNAまたはこれらの塩基修飾バージョン等の、糖修飾ヌクレオチドではない。D’またはD’’領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る。例えば、追加の5’および/または3’末端ヌクレオチドは、DNAまたはRNAヌクレオチドであり得、ホスホジエステル結合によって連結され得る。
【0099】
領域D’またはD’’としての使用に好適なヌクレオチドベースの生体切断可能なリンカーは、国際公開公報第2014/076195号に開示されており、これには例としてホスホジエステルで連結されたDNAジヌクレオチドが含まれる。ポリオリゴヌクレオチドコンストラクトにおける生体切断可能なリンカーの使用は国際公開公報第2015/113922号に開示されており、それらは複数のアンチセンスコンストラクト(例えば、ギャップマー領域)を単一のオリゴヌクレオチド内で連結するのに使用されている。
【0100】
コンジュゲート
本明細書で使用される場合、コンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分または領域Cまたは第3の領域)に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す。
【0101】
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの1つ以上の非ヌクレオチド部分へのコンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取り込みまたは安定性に影響を及ぼすことによって、オリゴヌクレオチドの薬理学を改善し得る。コンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの細胞分布、バイオアベイラビリティ、代謝、排泄、透過性および/または細胞取り込みを改善することによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を修飾または増強し得る。特に、コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを特定の器官、組織、または細胞型に標的化し、それによって、その器官、組織、または細胞型におけるオリゴヌクレオチドの有効性を高め得る。同時に、コンジュゲートは、非標的細胞型、組織または器官内のオリゴヌクレオチドの活性を低下させるのに役立ち得る(例えば、非標的細胞型、組織または器官におけるオフターゲット活性または活性)。
【0102】
非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、例えば、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、キャプシド)またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0103】
リンカー
結合またはリンカーは、1つ以上共有結合を介して関心対象の1つの化学基またはセグメントを関心対象の別の化学基またはセグメントに連結する、2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接または連結部分(例えば、リンカーまたはテザー)を介してオリゴヌクレオチドに連結させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えばオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列またはギャップマー領域F-G-F’(領域A)に共有結合する役割を果たす。
【0104】
コンジュゲートまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、任意に、標的核酸に対して相補的なオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列(領域Aまたは第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域または領域Bおよび/または領域Y)を含み得る。
【0105】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇するまたは遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、またはそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、pH、温度、酸化条件若しくは還元条件または酸化剤若しくは還元剤等の化学条件、並びに哺乳動物の細胞で見られるまたは遭遇するものに類似した塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素または加水分解酵素またはヌクレアーゼ等の哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。生体切断可能なリンカーは、例えば、S1ヌクレアーゼ切断を受けやすいものであり得る。DNAホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開公報第2014/076195号(参照により本明細書に組み込まれる)に更に詳細に記載されている。本明細書の領域D’またはD’’も参照されたい。
【0106】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)をオリゴヌクレオチド(領域Aまたは第1の領域)に共有結合によって接続させる役割を果たすリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位またはアミノアルキル基等の反復単位の鎖構造またはオリゴマーを含み得る。オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の領域要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-CまたはA-Y-Cから構築することができる。リンカー(領域Y)は、例えば、C~C12アミノアルキル基を含むC~C36アミノアルキル基等のアミノアルキルであり得る。好ましくは、リンカー(領域Y)はCアミノアルキル基である。
【0107】
処置
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書では疾患または障害と呼ばれる)の処置、または疾患の予防(prevention)、すなわち予防(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される処置は、予防的であり得ることが認識されよう。
【0108】
TNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド
非天然であるにもかかわらず、トレオース核酸(TNA)は、安定なワトソン-クリック二本鎖を形成することができ、相補的RNA標的に対して強い親和性および特異性を示す。本明細書に示されるように、TNA修飾ギャップマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチド用途のための新しい設計戦略を提供する。カスパーゼ3/7活性化、インビトロ標的ノックダウンおよび熱融解アッセイを使用して、標的核酸に対する標的ノックダウン有効性および親和性を依然として維持しながら、TNA修飾を使用して毒性を緩和することができることが実証された。例えば、LNAまたはMOEギャップマー等の技術水準の設計のギャップマーでは、TNAユニットは、フランク領域内の1つ以上または全てのLNAまたはMOEユニットを置き換えることができる。TNA単位はまた、技術水準の設計のギャップマーのギャップ領域内の1つ以上の、または3つ若しくは4つを除く全ての連続DNA単位を置換することができ、例えば、5’または3’フランクの拡張およびギャップの縮小を効果的にもたらし得る。さらに、TNAは、ヌクレアーゼによってほとんど認識されない。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列に設計される場合、TNA単位は、代謝安定性の増加、作用持続時間の延長またはその両方をもたらし得る。したがって、TNA修飾ギャップマーは、古典的なギャップマー設計と比較して増大した治療指数を有する長時間作用性治療薬をもたらすことができる。
【0109】
したがって、本発明は、1つ以上のTNAヌクレオシドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、特に1つ以上のTNAヌクレオシドを含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを提供する。アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、特に、リボヌクレアーゼ(RNase)Hを動員することができる、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含み得る。少なくとも1つのTNA残基を含む式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列は、本明細書では「TNAギャップマー」と呼ぶことができる。TNAギャップマーについて企図される設計には、
Gが、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシドを含む18個までの連結ヌクレオシドのギャップ領域であり、
FおよびF’の各々が、独立して、1~15個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる、15個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、
F、F’、およびGのうちの少なくとも1つが、TNAヌクレオシドである糖修飾ヌクレオシドを含む
ものが含まれる。
【0110】
以下のセクションは、本発明によるTNAギャップマーに関する更なる詳細を提供するが、特に指示しない限り、または文脈と矛盾しない限り、それらは、TNAギャップマーを含むか、またはTNAギャップマーからなるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドまたはそのコンジュゲートにも等しく適用されることを理解されたい。
【0111】
有利には、TNAギャップマーは、典型的には標的核酸にハイブリダイズすることによって、mRNAおよび/またはタンパク質へのその発現を減少または阻害することによって標的遺伝子の発現を調節することができる。標的核酸がRNA、例えばプレ-mRNA、mRNA、ウイルスRNA、マイクロRNAまたはlncRNA標的核酸である場合、TNAギャップマーは標的RNAの発現を低減または阻害することができる。これは、TNAギャップマーと標的RNAとの間の相補性、および適切には、RNase H等の細胞RNaseの動員によって達成される。TNAギャップマーは、マイクロRNA阻害、プレmRNAのスプライス調節の減少、またはlncRNAとクロマチンとの間の相互作用の遮断をもたらす立体的遮断機構等の非RNアーゼH媒介機構によって標的RNAの発現を減少または阻害することが更に可能であり得る。
【0112】
好ましくは、TNAギャップマーは、標的の発現レベルを、標的の正常発現レベルと比較して少なくとも約20%、より好ましくは、標的の正常発現レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%低下させることができる。TNAギャップマーは、好ましくはまた、または代替的に、標的の正常発現レベルと比較して少なくとも約20%、より好ましくは標的の正常発現レベルと比較して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、標的の発現を阻害することができる。
【0113】
発現レベルの低下または特定の標的の発現の阻害を評価するためのアッセイは、当業者に公知である。適切なアッセイには、ゲノム中に標的遺伝子の少なくとも1つのコピーを含み、標的、例えば標的RNAを発現する標的細胞を使用するインビトロアッセイが含まれる。例えば、標的細胞を約25μMのTNAギャップマーと共にインキュベートするインビトロアッセイでは、TNAギャップマーは、RNA標的の正常発現レベルと比較して、RNA標的の発現レベルを少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%低下させることができる。そのようなアッセイでは、TNAギャップマーはまた、または代替として、RNA標的の正常発現と比較して、RNA標的の発現を少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%阻害することができる。約25μMの濃度で、TNAギャップマーはまた、標的の正常発現レベルと比較して、RNA標的の発現レベルを少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%低下または阻害することができ得る。
【0114】
RNA標的の正常発現レベルは、標的細胞をTNAギャップマーなしで(例えば、ビヒクルのみの存在下で)または無関係の対照オリゴヌクレオチドと共にインキュベートする対照を使用して決定することができる。インビトロアッセイのための標的細胞は、(例えば、細胞株の形態の)商業的供給源から得ることができ、またはヒト若しくは実験動物の血液若しくは他の組織から単離することができる。標的細胞は、例えば、TNAギャップマーまたは対照と共に約1~5日間、例えば約2、3、または4日間、例えば約3日間インキュベートされ得る。次いで、RNAを抽出し、遺伝子発現分析によって試験試料および対照試料中の残存標的RNAのレベルを決定することができる。或いは、残りの標的RNAを決定する代わりに、標的RNAに由来するRNA種(例えば、mRNA)またはタンパク質のレベルを試験試料および対照試料において決定することができる。他の標的および標的細胞に適合させることができる、TNAギャップマーによる標的RNAの発現レベルの低下または発現の阻害を評価するための典型的なアッセイの例を実施例2に提供する。
【0115】
TNAギャップマーが標的の発現レベルを低下させるかまたは標的の発現を阻害する能力はまた、IC50値、すなわち標的核酸の発現レベルが半分に低下するTNAギャップマーの濃度を決定することによって評価することができる。ゲノム中に標的遺伝子の少なくとも1つのコピーを含み、標的、例えば標的RNAを発現する標的細胞を使用するインビトロアッセイでは、IC50は、好ましくは約20μM以下、例えば約10μM以下、例えば約5μM以下である。典型的には、IC50値は、標的細胞をIC50値に及ぶTNAギャップマーの希釈系列と共にインキュベートすることを除いて、既に記載したものと同様の細胞アッセイで決定される。他の標的および標的細胞に適合させることができるTNAギャップマーによる発現レベルのIC50低下または標的RNAの発現の阻害を評価するための典型的なアッセイの例を実施例3に提供する。
【0116】
TNAギャップマーの能力はまた、TNAギャップマーが由来し、いかなるTNAヌクレオシドも含まない対照または「親」ギャップマーに関して評価することもできる。TNAギャップマーのIC50値は、好ましくは、対照または「親」ギャップマーのIC50値の約10倍以下、約8倍以下、約6倍以下、約4倍以下、または約2倍以下である。
【0117】
本明細書に記載のTNAギャップマーは、低い毒性を有することを特徴とすることもできる。例えば、TNAギャップマーは、そのヌクレオシドがいかなるTNAヌクレオシドも含まないという点でTNAギャップマーとは異なる技術水準の参照ギャップマーまたは「親」ギャップマー等の対応する対照ギャップマーよりも低い毒性を有し得る。ギャップマーまたはアンチセンスヌクレオチドの毒性を評価するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、例えば、カスパーゼ3/7アッセイ等のインビトロアッセイが挙げられる。カスパーゼ3/7アッセイは、化合物によって誘導されるアポトーシスのレベルを反映し、例えば、肝細胞または細胞株に対する試験に基づいて化合物の肝毒性のリスクを評価するのに適している。簡潔には、商業的供給源からのHepG2細胞を、適切なビヒクル中の100nM TNAまたは対照ギャップマーでトランスフェクトし、トランスフェクションの約24時間後にカスパーゼ3/7活性化を決定することができる。好ましくは、TNAギャップマーによるトランスフェクションからのカスパーゼ3/7活性化は、対応する対照ギャップマーの最大で約70%、例えば最大で約60%、例えば最大で約50%、例えば最大で約40%、例えば最大で約30%、例えば最大で約20%である。或いは、実施例4に記載されるカスパーゼ3/7アッセイを使用して、TNAギャップマーについて決定されるパーセンテージ(全細胞に対するアポトーシス細胞を反映するアッセイウィンドウ%)は、好ましくは最大で約200%、より好ましくは最大で約150%、最大で約100%、最大で約80%、最大で約60%、最大で約50%、最大で約40%、最大で約30%、最大で約20%または最大で約10%である。好ましくは、実施例4に記載されるカスパーゼ3/7アッセイを使用して、TNAギャップマーについて決定されるパーセンテージ(アッセイウィンドウ%)は、最大で約60%である。
【0118】
本明細書に記載のTNAギャップマーは、標的核酸、例えば標的RNA、特にその核酸塩基配列が相補的である標的配列にハイブリダイズすることができる。TNAギャップマーがその標的核酸にハイブリダイズする能力は、当技術分野で公知の任意のアッセイに従って評価することができる。有利には、熱融解(Tm)分析を使用して、TNAギャップマーとそのRNA標的配列との間の二重鎖がどの温度で変性するかを決定することができ、これは融解温度または単にTmと表すことができる。TNAギャップマー(すなわち、相補的RNA標的配列との二重鎖の形態)のTmを決定するための典型的なアッセイを実施例5に記載する。簡潔には、TNAギャップマーおよびRNA標的配列を20mMリン酸二ナトリウム緩衝液、200mM NaClおよび0.2mM EDTA(pH7)に添加して、1.5μMの最終濃度を得ることができる。試料を95℃に5分間加熱し、次いで1時間かけて室温までゆっくり冷却し、温度勾配を用いて、例えば25°Cから95°Cまで5°C/分上昇させ、次いで25°Cまで低下させて、260nmで熱融解曲線を記録することができる。両方の曲線の導関数から、融解温度(Tm)を決定することができる。好ましくは、TNAギャップマーは、少なくとも約50℃、例えば少なくとも約52℃、例えば少なくとも約54℃、例えば少なくとも約56℃、例えば少なくとも約58℃、例えば少なくとも約60℃、例えば少なくとも約65℃、例えば少なくとも約70℃のTmを有する。
【0119】
いくつかの場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つまたは2つのミスマッチ等のミスマッチが存在し得る。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的を調節する所望の能力を示すのに依然として十分であり得る。
【0120】
好ましくは、本発明によるTNAギャップマーは、
(a)標的核酸の発現レベルを、標的の正常発現レベルと比較して、少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%低下させることができるか、
(b)標的核酸の発現レベルを低下させるための約20μM以下、例えば約10μM以下、例えば約5μM以下のIC50を有するか、
(c)実施例4に記載されるカスパーゼ3/7アッセイを使用する場合、アッセイウィンドウパーセンテージ(AW%)は、好ましくは最大で約60%、例えば最大で約40%、例えば最大で約20%、例えば最大で約10%であるか、
(d)アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドとRNA標的配列との二重鎖の形態で、少なくとも約50℃、例えば少なくとも約52℃、例えば少なくとも約54℃、例えば少なくとも約56℃、例えば少なくとも約58℃、例えば少なくとも約60℃の融解温度(Tm)を有するか、または
(e)(a)~(d)のうちのいずれか2つ以上の組み合わせである。
【0121】
例えば、いくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(b)の両方を特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(c)の両方を特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(d)の両方を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(b)と(c)の両方を特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(b)と(d)の両方を特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(c)と(d)の両方を特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(b)と(c)とを特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(b)と(d)とを特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)と(c)と(c)とを特徴とし得るいくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(b)と(c)と(d)とを特徴とし得るさらに、いくつかの実施形態では、好ましいTNAギャップマーは、特徴(a)~(d)の全てを特徴とし得る。
【0122】
好ましくは、(a)および(b)の標的核酸はRNAであり、(c)のRNA標的配列は、TNAギャップマーの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する。(a)および(b)の発現レベルの低下は、例えば、既に上に記載したように、標的核酸を発現する、約25μMの濃度でアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと共に約3日間インキュベートされた標的細胞において決定することができる。
【0123】
本発明によるいくつかのTNAギャップマーでは、領域Fは少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む。TNAギャップマーの領域Fは、例えば、15個までのTNAヌクレオシドを含み得る。
【0124】
いくつかのTNAギャップマーでは、Fのヌクレオシドは、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含み得る。Fのヌクレオシドはまた、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個または少なくとも12個のTNAヌクレオシド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のTNAヌクレオシドを含み得る。Fのヌクレオシドが1つのTNAヌクレオシドを含むかまたは1つのTNAヌクレオシドからなるTNAギャップマーも企図される。
【0125】
いくつかのTNAギャップマーでは、Fのヌクレオシドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の隣接するTNAヌクレオシド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドを含む。Fのヌクレオシドはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドからなってもよい。
【0126】
いくつかのTNAギャップマーでは、F中の少なくとも3’最末端のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドである。適切には、F中の3’最末端の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。例えば、F中の3’最末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0127】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’中の少なくとも5’最末端のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドである。適切には、F中の5’最末端の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。例えば、F’中の5’最末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0128】
いくつかのTNAギャップマーでは、F中の3’最末端のヌクレオシドと5’最末端のヌクレオシドの両方がTNAヌクレオシドである。例えば、F中の3’最末端および/または5’最末端のヌクレオシドは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシドから選択することができる。
【0129】
F中の任意の残りのヌクレオシド(複数可)は、TNAヌクレオシド(例えば、混合ウイングギャップマーの形態で)または1つ以上のDNAヌクレオシド(例えば、交互フランクギャップマーの形態で)以外の1つ以上の他の糖修飾ヌクレオシドであり得る。例えば、Fは、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の2、3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドを更に含み得る。糖修飾ヌクレオシドの非限定的な例としては、「糖修飾ヌクレオシド」と題するセクションに記載されているものが挙げられる。
【0130】
Fの全ての糖修飾ヌクレオシドがTNAヌクレオシドであるTNAギャップマーも企図される。TNAギャップマーは、例えば、FのヌクレオシドがDNAおよび例えば1、2、または3個のDNAヌクレオシドを有するTNAからなる交互フランクギャップマーであり得る。適切には、Fの少なくとも5’最末端および3’最末端のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドである。
【0131】
Fのヌクレオシドはまた、TNAヌクレオシドからなり得る。或いは、Fのヌクレオシドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシド等の2以上のTNAヌクレオシドからなっていてもよい。Fのヌクレオシドが13、14、または15個のTNAヌクレオシドからなるTNAヌクレオシドも企図される。典型的には、Fのヌクレオシドが2つ以上のTNAヌクレオシドからなる場合、Fは連結されたTNAヌクレオシドの連続配列である。
【0132】
いくつかのTNAギャップマーでは、FはTNAヌクレオシドを含まない。
【0133】
本発明によるいくつかのTNAギャップマーでは、領域F’は少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む。TNAギャップマーの領域F’は、例えば、15個までのTNAヌクレオシドを含み得る。
【0134】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’のヌクレオシドは、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含み得る。F’のヌクレオシドはまた、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、13、14、または15個のTNAヌクレオシドを含み得る。F’のヌクレオシドが1つのTNAヌクレオシドを含むかまたは1つのTNAヌクレオシドからなるTNAギャップマーも企図される。
【0135】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’のヌクレオシドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の隣接するTNAヌクレオシド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドを含む。F’のヌクレオシドはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドからなってもよい。
【0136】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’のヌクレオシドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドを含む。F’のヌクレオシドはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の隣接するTNAヌクレオシドからなってもよい。
【0137】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’中の少なくとも5’最末端のヌクレオシドはTNAヌクレオシドである。適切には、F’中の5’最末端の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。例えば、F’中の5’最末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0138】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’中の少なくとも3’最末端のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドである。適切には、F’中の3’最末端の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または少なくとも12個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。例えば、F’中の3’最末端の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0139】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’中の3’最末端のヌクレオシドと5’最末端のヌクレオシドの両方がTNAヌクレオシドである。例えば、F’中の3’最末端および/または5’最末端のヌクレオシドは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシドから選択することができる。
【0140】
F’中の任意の残りのヌクレオシド(複数可)は、TNAヌクレオシド(例えば、混合ウイングギャップマーの形態で)または1つ以上のDNAヌクレオシド(例えば、交互フランクギャップマーの形態で)以外の1つ以上の他の糖修飾ヌクレオシドであり得る。例えば、F’は、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の2、3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドを更に含み得る。糖修飾ヌクレオシドの非限定的な例としては、「糖修飾ヌクレオシド」と題するセクションに記載されているものが挙げられる。
【0141】
F’の全ての糖修飾ヌクレオシドがTNAヌクレオシドであるTNAギャップマーも企図される。TNAギャップマーは、例えば、F’のヌクレオシドがDNAおよび例えば1、2、または3個のDNAヌクレオシドを有するTNAからなる交互フランクギャップマーであり得る。適切には、F’の少なくとも5’最末端および3’最末端のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドである。
【0142】
F’のヌクレオシドはまた、TNAヌクレオシドからなり得る。或いは、F’のヌクレオシドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシド等の2以上のTNAヌクレオシドからなっていてもよい。F’のヌクレオシドが13、14、または15個のTNAヌクレオシドからなるTNAヌクレオシドも企図される。典型的には、F’のヌクレオシドが2つ以上のTNAヌクレオシドからなる場合、F’は連結されたTNAヌクレオシドの連続配列である。
【0143】
いくつかのTNAギャップマーでは、F’はTNAヌクレオシドを含まない。
【0144】
Gは、アンチセンスオリゴヌクレオチドがRNase Hを動員することを可能にする一続きの連続DNAヌクレオシドを含む。適切には、Gは、DNAヌクレオシド等の18個までのヌクレオシドを含み得る。典型的には、G中の少なくとも5’最末端のヌクレオシドおよびG中の3’最末端のヌクレオシドはDNAヌクレオシドである。
【0145】
本発明によるいくつかのTNAギャップマーでは、GはTNAヌクレオシドを含まない。例えば、Gは、少なくとも4つのDNAヌクレオシド、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個の連続DNAヌクレオシドを含み得る。
【0146】
本発明によるいくつかのTNAギャップマーでは、Gは少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む。例えば、領域Gの全長に応じて、G中の5’最末端から2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、または8番目のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。或いは、領域Gの全長に応じて、G中の3’最末端から2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、または8番目のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0147】
Gが2つまたは3つのTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーも企図される。2つまたは3つのTNAヌクレオシドは、連続していても非連続であってもよい。
【0148】
Gが少なくとも2つまたは少なくとも3つのTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーも企図される。少なくとも2つまたは少なくとも3つのTNAヌクレオシドは、連続していても非連続であってもよい。領域Gは、例えば、任意に連続する、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含み得る。
【0149】
さらに、本明細書に記載されるように、他の修飾ヌクレオシドは、ギャップ領域内に含まれる場合にRNase Hを動員することができると報告されており、またまたは代替的に、TNAギャップマーのギャップ領域に含まれてもよく、含まれてもよい。好ましくは、少なくとも1つ、例えば1、2若しくは3個のTNAヌクレオシドまたは他の修飾ヌクレオシドを含むTNAギャップマーにおいて、例えばギャップ領域Gにおいて、ギャップ領域Gは、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシド、例えば少なくとも4個の連続DNAヌクレオシド、例えば少なくとも5個の連続DNAヌクレオシド、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個の連続DNAヌクレオシドを依然として含む。いくつかのTNAギャップマーでは、1つ、2つ、または3つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、Gの全てのヌクレオシドは、DNAヌクレオシドである。いくつかのTNAギャップマーでは、全てのヌクレオシドがDNAヌクレオシドである。
【0150】
いくつかのTNAでは、任意の1、2、または3つのTNAヌクレオシド、特に2つ以上のTNAヌクレオシドの任意の連続ストレッチが、領域Gの3’末端よりも領域Gの5’末端の近くに位置する。領域G内の2つ以上のTNAヌクレオシドの任意の連続ストレッチは、例えば、領域G内の5’最末端のヌクレオシドに隣接して位置し得て、典型的にはDNAヌクレオシドである。
【0151】
本明細書に示されるように、TNAギャップマーは、RNアーゼHの動員を依然として可能にしながら、3つまたは4つの連続DNAヌクレオシドのみのストレッチを含み得る。理論に限定されるものではないが、従来のギャップマー設計のギャップ領域よりも短いギャップ領域を有するおよび/またはギャップ領域内に1つ以上のTNA残基を有するTNAギャップマーは、従来のギャップマー設計と比較して、エンドヌクレアーゼ媒介性分解に対する耐性の増加および/またはオフターゲット結合の減少をもたらし得ることが企図される。その結果、本発明によるいくつかのTNAギャップマーにおいて、Gは、最大で10個のDNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個のDNAヌクレオシドを含む。任意に、Gは、最大で10個の連続DNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個の連続DNAヌクレオシドを含む。さらに、以下により詳細に記載されるように、TNAギャップマー中のGが9、8、7、6、5、または4個の連続DNAヌクレオシドを含む場合、F’およびFは、任意に異なる長さであってもよく、その結果、例えば、FがF’よりも多くの連結ヌクレオシドを含む。
【0152】
各それぞれの領域F、G、および/またはF’における少なくとも1つのTNAヌクレオシドの数および配置に関する詳細は上記に記載されており、一般的なギャップマー式5’-F-G-F’-3’(I)に組み込むことができる。具体的に企図されるTNAギャップマーとしては、
(i)領域Fは少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域F’およびGはTNAヌクレオシドを含まない;
(ii)領域F’は少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域FおよびGはTNAヌクレオシドを含まない;
(iii)領域Gは少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域FおよびF’はTNAヌクレオシドを含まない;
(iv)領域FおよびF’はそれぞれ少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域GはTNAヌクレオシドを含まない;
(v)領域FおよびGはそれぞれ少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域F’はTNAヌクレオシドを含まない;
(vi)領域GおよびF’はそれぞれ少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含むが、領域FはTNAヌクレオシドを含まない;並びに
(vii)領域F、G、およびF’はそれぞれ、少なくとも1つのTNAヌクレオシドを含む
ものが挙げられる。
【0153】
例えば、項目(iv)または(vii)に記載のTNAギャップマーでは、FおよびF’はそれぞれ、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。
【0154】
項目(iv)または(vii)に記載のTNAギャップマーでは、例えば、FおよびF’は、それぞれ独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のTNAヌクレオシドを含み得る。FおよびF’がそれぞれ独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の連続したTNAヌクレオシドを含む、項目(iv)または(vii)に記載のTNAギャップマーも企図される。
【0155】
或いは、(iii)以外の任意の項目によるTNAギャップマーにおいて、FおよびF’は、一緒になって、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個のTNAヌクレオシド、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のTNAヌクレオシドを含んでもよい。例えば、項目(iv)に記載のTNAギャップマーでは、FおよびF’は一緒に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のTNAヌクレオシドを含み得る。
【0156】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’の各々は、独立して、連結された糖修飾ヌクレオシドの連続した配列を含むかまたはそれからなり得る。
【0157】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’の少なくとも一方は、1種類の糖修飾ヌクレオシドのみからなり得る。例えば、糖修飾ヌクレオシドは、高親和性ヌクレオシドまたはTNAヌクレオシドであり得る。
【0158】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は両方とも、1種類の糖修飾ヌクレオシドのみからなり得る(均一なフランクまたは均一なギャップマー設計)。例えば、糖修飾ヌクレオシドは、高親和性ヌクレオシドまたはTNAヌクレオシドであり得る。いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’のヌクレオシドは全てTNAヌクレオシドである。いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’のヌクレオシドは全て、TNAヌクレオシド以外の糖修飾ヌクレオシドである。
【0159】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域FおよびF’の一方または両方は、独立して、2つの異なる糖修飾ヌクレオシドを含み得る(混合ウイング設計)。2つの異なる糖修飾ヌクレオシドの一方はTNAヌクレオシドであり得、他方の糖修飾ヌクレオシドは、例えば高親和性ヌクレオシドであり得る。
【0160】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域Fの全てのヌクレオシドはTNAヌクレオシドであり得る。次いで、領域F’のヌクレオシドは、例えば、TNAヌクレオシド以外の糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性ヌクレオシド等の2’糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。任意に、領域F’は、2つの異なる糖修飾ヌクレオシドを含んでもよく、そのうちの1つはTNAであってもよい。例えば、F’は、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドを含み得る。或いは、F’は、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドからなっていてもよい。
【0161】
いくつかのTNAギャップマーでは、領域F’の全てのヌクレオシドはTNAヌクレオシドであり得る。次いで、領域Fのヌクレオシドは、例えば、TNAヌクレオシド以外の糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性ヌクレオシド等の2’糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。任意に、領域Fは、2つの異なる糖修飾ヌクレオシドを含んでもよく、そのうちの1つはTNAであってもよい。例えば、Fは、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドを含み得る。或いは、Fは、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドからなっていてもよい。
【0162】
F、F’、またはFとF’の両方がTNAヌクレオシド以外の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなるTNAギャップマーにおいて、糖修飾ヌクレオシドの非限定的な例としては、以下からなる群から選択される修飾糖部分を有するものが挙げられる:
2’-メトキシ-リボース(2’-OMe)、
2’-O-メトキシエチル-リボース(2’-O-MOE)、
5’-メチル-2’-O-メトキシエチルリボース(5’-Me-2’-O-MOE)、
2’-O-[2-(メチルチオ)エチル]-リボース(2’-O-MTE)、
2-(N-メチルカルバモイル)-エチル]-リボース(2’-O-MCE)、
2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]-リボース(2’-O-NMA)、
2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボース(2’-デオキシ-2’-フルオロリボ-核酸;2’-F-RNAにおけるような)、
2’-フルオロ-2’-アラビノース(2’-フルオロ-2’-アラビノース-核酸;2’-F-ANAにおけるような)、
2’-O-ベンジル-リボース、
オキシ、アミノまたはチオβ-D-ロックドリボース(β-D-LNAにおけるような)、
オキシ、アミノまたはチオα-L-ロックドリボース(α-L-LNAにおけるような)、
2’,4’拘束2’-O-エチルリボース(拘束エチルロックド核酸;cEtにおけるような)、
トリシクロ-デオキシリボース(トリシクロ-デオキシリボースDNA;TcDNAにおけるような)、
3’-デオキシ-リボース(3’-デオキシ-リボースDNA;3’-DNAにおけるような)、
アンロックドリボース(アンロックド核酸;UNAにおけるような)、
グリコール(グリコール核酸;GNAにおけるような)、
ヘキシトール(ヘキシトール核酸;HNAにおけるような)、
3’-フルオロヘキシトール(3’-フルオロヘキシトール核酸;FHNAにおけるような)、
3’-アラビノ-フルオロヘキシトール(3’-アラビノ-フルオロ-ヘキシトール核酸;Ara-FHNAにおけるような)、
シクロヘキセン(シクロヘキセン核酸;CeNAにおけるような)、および
フルオロ-シクロヘキセニル(2’-フルオロ-シクロヘキセニル核酸;F-CeNAにおけるような)。
【0163】
F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドが、高親和性2’糖修飾ヌクレオシド等の1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれからなるTNAギャップマーが特に企図される。
【0164】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のLNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、LNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のLNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のLNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。適切なLNAヌクレオシドとしては、オキシ、アミノ若しくはチオβ-D-ロックドリボース(β-D-LNA)から選択されるか、またはオキシ、アミノ若しくはチオα-L-ロックドリボース(α-L-LNA)、例えばβ-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA(ScET)およびENAから選択される修飾糖部分を有するもの、並びにスキーム2に開示されるLNAヌクレオシドが挙げられる。特に企図されるLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNAである。
【0165】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のMOEヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、MOEヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のMOEヌクレオシド、例えば3、4、または5個のMOEヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。適切なMOEヌクレオシドには、2’-O-MOEおよび5’-Me-2’-O-MOEが含まれる。特に企図されるMOEヌクレオシドは、2’-O-MOEである。
【0166】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-OMeヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-OMeヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-OMeヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-OMeヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0167】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-O-MTEヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-O-MTEヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-O-MTEヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-O-MTEヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0168】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-O-MCEヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-O-MCEヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-O-MCEヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-O-MCEヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0169】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-O-NMAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-O-NMAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-O-NMAヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-O-NMAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0170】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボースヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボースヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボースヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボースヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。
【0171】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-フルオロ-2’-アラビノースヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-フルオロ-2’-アラビノースヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-フルオロ-2’-アラビノースヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-フルオロ-2’-アラビノースヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。
【0172】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の2’-O-ベンジル-リボースヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、2’-O-ベンジル-リボースヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の2’-O-ベンジル-リボースヌクレオシド、例えば3、4、または5個の2’-O-ベンジル-リボースヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり得る。
【0173】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のcEtヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、cEtヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のcEtヌクレオシド、例えば3、4、または5個のcEtヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0174】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のTcDNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、TcDNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のTcDNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のTcDNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0175】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上の3’-DNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、3’-DNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個の3’-DNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個の3’-DNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0176】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のUNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、UNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のUNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のUNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0177】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のGNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、GNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のGNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のGNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。
【0178】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のHNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、HNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のHNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のHNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。適切なHNAヌクレオシドには、HNA、FHNAおよびAra-FHNAが含まれる。
【0179】
いくつかのTNAギャップマーでは、F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドは、1つ以上のCeNAヌクレオシドを含む。例えば、少なくとも1つのいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’、F、またはFとF’の両方における1、2、3、4、5、6、7、8個または全てのヌクレオシドは、CeNAヌクレオシドであり得る。領域Gのみが1つ以上のTNAヌクレオシドを含むTNAギャップマーでは、領域FおよびF’は、例えば、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8個のCeNAヌクレオシド、例えば3、4、または5個のCeNAヌクレオシドを含むかまたはそれらからなってもよい。適切なCeNAヌクレオシドには、CeNAおよびF-CeNAが含まれる。
【0180】
式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列が、12~32個のヌクレオシド、例えば12~28個のヌクレオシド、例えば12~26個のヌクレオシド、例えば14~26個のヌクレオシド、例えば14~24個のヌクレオシド、例えば14~22個のヌクレオシド、例えば16~22個のヌクレオシド、例えば16~20個のヌクレオシドの長さを有するTNAギャップマーが特に企図される。しかしながら、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および32個の連結ヌクレオシドを含むがこれらに限定される、任意の適切な長さをF-G-F’設計に使用することができる。
【0181】
例として、本発明によるTNAギャップマーは、領域F-G-F’の全長が少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件として、領域F-G-F’についての以下の式(式I)のうちの1つ以上によって表すことができる:
1~15-G3~18-F’1~15(IV)、例えば、F1~15-G3~18-F’1~12(IVa)またはF1~12-G3~18-F’1~15(IVb);
1~12-G3~18-F’1~12(V)、例えば、F1~12-G3~18-F’1~9(Va)またはF1~9-G3~18-F’1~12(Vb);
1~12-G4~16-F’1~12(VI)、例えば、F1~12-G4~16-F’1~9(VIa)またはF1~9-G4~16-F’1~12(VIb);および
3~12-G4~10-F’3~12(VII)、例えば、F3~12-G4-10-F’3~9(VIIa)またはF3~9-G4~10-F’3~12(VIIb)。
【0182】
本明細書に記載の領域F、G、およびF’の各々は、F-G-F’式のいずれかに組み込むことができる。
【0183】
いくつかのTNAギャップマーでは、式IVaの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)F’中の5’最末端のヌクレオシドおよびF中のヌクレオシドは、独立して、3、4、または5個の高親和性糖修飾ヌクレオシドであり、
(b)F中の残りのヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり、かつ
(c)G中の全てのヌクレオシドは、DNAヌクレオシドである。
【0184】
例えば、Gは、最大で10個の連続DNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個の連続DNAヌクレオシド、例えば4、5、または6個の連続DNAヌクレオシドを含み得る。Fは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の連続したTNAヌクレオシドを含み得る。
【0185】
いくつかのTNAギャップマーでは、式IVの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’は、それぞれ独立して、3個、4個または5個のヌクレオシドからなり、FおよびF’中のヌクレオシドの少なくとも1つはTNAヌクレオシドであり、残りのヌクレオシドは高親和性糖修飾ヌクレオシドであり、かつ
(b)G中の全てのヌクレオシドはDNAヌクレオシドである。
【0186】
例えば、FおよびF’中の全てのヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり得る。
【0187】
いくつかのTNAギャップマーでは、式IVの連続ヌクレオチド配列は、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’は、それぞれ独立して、3、4、若しくは5個の連結された高親和性糖修飾ヌクレオシドを含むか、またはそれらからなり、かつ、いかなるTNAヌクレオシドも含まず、かつ
(b)G中の5’最末端から2番目、3番目、4番目、または5番目のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドであり、かつG中の残りのヌクレオシドは、DNAヌクレオシドである。
【0188】
例えば、TNAヌクレオシドは、Gの3’末端よりも領域Gの5’末端の近くに位置し得る。
【0189】
TNAギャップマーの特に企図される設計は以下の通りである:
TTTTTddddddddddTTTTT(設計A)、式中、TはTNAであり、dはDNAである。
MMMMMTTTTTTddddMMMMM(設計B)、式中、MはMOE(例えば、2’-O-MOE)であり、TはTNAであり、dはDNAである。
TTTTTTTTTTdddddMMMMM(設計C)、式中、Mは2’-O-MOEであり、TはTNAであり、dはDNAである。
【0190】
TNAギャップマーを含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド、すなわち、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列は、TNAギャップマーの3’および/または5’末端に、追加の連結ヌクレオシド、例えば、1~100、1~40、40、1~30、1~20、1~10、または1~5個の連結ヌクレオシドを含み得る。追加の連結ヌクレオシドは、例えば、意図された部位へのアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの送達を促進し得るか、または第2の分子を標的化し得る。アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、より長い核酸コンストラクトであってもよく、またはその一部であってもよい。しかしながら、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドがTNAギャップマーからなり得ることも企図される。
【0191】
一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであるTNAギャップマーおよびアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、本発明について特に企図される。本発明によるTNAギャップマーまたはアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの調製において、TNAギャップマーまたはアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、TNAギャップマー分子またはアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド分子の大部分が一本鎖形態であるように、本質的に一本鎖である。
【0192】
製造方法
ヌクレオチド単位を反応させ、それによってオリゴヌクレオチドからなる共有結合した連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、本発明のオリゴヌクレオチドを製造するための方法も提供される。好ましくは、この方法は、ホスホラミダイト化学を使用する(例えば、Caruthers et al,1987,Methods in Enzymology vol.154,pages 287-313を参照)。
【0193】
TNAモノマーの合成およびオリゴヌクレオチドへのそれらの組み込みは、例えば、Zhang and Chaput,’’Synthesis of Threose Nucleic Acid(TNA)Phosphoramidite Monomers and Oligonucleotide Polymers,Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,4.51.1-4.51.26,2012’’、国際公開公報第2012/078536号、国際公開公報第2012/118911号および国際公開公報第2013/179292号A1に開示されている。
【0194】
特に、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの修飾バージョンを調製する方法であって、親アンチセンスギャップマーが、RNアーゼHを動員することができる式5’F-G-F’3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含み、式中、Gは、5~18個の連結されたDNAヌクレオシドのギャップ領域であり、FおよびF’の各々は、独立して、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる8個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、修飾バージョンにおいて、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドのF、F’および/またはG中の少なくとも1つのヌクレオシドは、TNAヌクレオシドで置換されており、
方法は、ヌクレオチド単位を反応させて、オリゴヌクレオチドに含まれる共有結合した連続ヌクレオチド単位を形成することによって修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを製造する工程を含み、ヌクレオチド単位の少なくとも1つは、TNAヌクレオシドを含み、
任意に、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを精製または単離することを含む、方法が提供される。
【0195】
一実施形態では、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して、毒性、任意に、肝毒性が低下している。一実施形態では、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、任意に、カスパーゼ3/7アッセイによって決定されるように、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドよりもHepG2細胞に対して毒性が低い。一実施形態では、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して、エキソヌクレアーゼ耐性が増加している。一実施形態では、修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して、エンドヌクレアーゼ耐性が増加している。
【0196】
任意に、親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、LNAギャップマーまたはMOEギャップマー、例えば全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であるLNAギャップマーまたはMOEギャップマーであり得る。さらに、製造工程で使用されるヌクレオチド単位は、有利にはヌクレオシドホスホラミダイトである。
【0197】
修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドは、例えば、領域F、G、およびF’、並びにF-G-F’設計に関して、本明細書に記載の任意のTNAギャップマーの特徴を含み得る。
【0198】
本発明によって、上記方法によって得られるまたは得ることができるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドも提供される。
【0199】
この方法は、連続ヌクレオチド配列をコンジュゲーティング部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに共有結合させることを更に含み得る。
【0200】
更なる態様では、オリゴヌクレオチドまたはコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、および/またはアジュバントと混合することを含む、組成物を製造するための方法が提供される。
【0201】
医薬組成物
更なる態様では、本発明は、前述のオリゴヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩、および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物を提供する。
【0202】
更なる態様では、本発明は、前述のオリゴヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩またはアジュバントとを含む、医薬組成物を提供する。
【0203】
薬学的に許容され得る希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、限定するものではないが、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る希釈剤は、無菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、50~300μM溶液の濃度で薬学的に許容され得る希釈剤中で使用される。
【0204】
本発明によるオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、それらの薬学的に許容され得る塩の形態で存在し得る。「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、適切な非毒性の有機若しくは無機酸または有機若しくは無機塩基から形成される従来の酸付加塩または塩基付加塩を指す。酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸等の無機酸に由来するもの、並びにp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の有機酸に由来するもの等が挙げられる。塩基付加塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウムおよび第四級アンモニウムヒドロキシド、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに由来するものが挙げられる。薬学的化合物の塩への化学修飾は、化合物の改善された物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性並びに溶解性を得るために、薬学者に周知の技術である。これは例えば、Bastin,Organic Process Research&Development 2000,4,427-435 or in Ansel,In:Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,6th ed.(1995),pp.196 and 1456-1457.に記載されている。例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩であり得る。
【0205】
本発明での使用に適した製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.,1985.に見られる。薬物送達の方法の簡単な概説については、例えば、Langer(Science 249:1527-1533,1990)を参照されたい。国際公開公報第2007/031091号は、薬学的に許容され得る希釈剤、担体およびアジュバントの適切で好ましい更なる例を提供する(参照により本明細書に組み込まれる)。適切な用量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療薬との組合せ、プロドラッグ製剤もまた、国際公開公報第2007/031091号に提供されている。
【0206】
本発明のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、医薬組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容され得る活性または不活性物質と混合され得る。医薬組成物の調製のための組成物および方法は、限定されるものではないが、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含む多くの基準に依存する。
【0207】
これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌されても、または滅菌フィルタにかけられてもよい。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装するか、または凍結乾燥され得て、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9または6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5であろう。得られた固体形態の組成物は、錠剤またはカプセルの密封パッケージ等のように、各々が上記の薬剤または薬剤群の固定量を含む複数の単回用量単位で包装され得る。固体形態の組成物はまた、局所適用可能なクリームまたは軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブ等の柔軟な量の容器に包装することもできる。
【0208】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートはプロドラッグである。特にオリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞に送達されると、コンジュゲート部分はオリゴヌクレオチドから切断される。
【0209】
用途
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、研究試薬として、または診断薬、治療薬および予防薬として利用され得る。
【0210】
研究において、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、細胞(例えば、インビトロ細胞培養物における)および実験動物における標的核酸の発現を特異的に調節するために使用されてもよく、それにより、標的の機能的分析または治療的介入のための標的としてのその有用性の評価が容易になる。典型的には、標的調節は、タンパク質を生成するmRNAを分解または阻害し、それによりタンパク質形成を防止することによって、またはタンパク質を生成する遺伝子若しくはmRNAのモジュレータを分解若しくは阻害することによって達成される。
【0211】
研究または診断においてオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートを用いる場合、標的核酸は、cDNAまたはDNA若しくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0212】
標的核酸を含む、標的細胞における標的遺伝子の発現を調節するためのインビボまたはインビトロ方法であって、本発明のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートを有効量で当該細胞に投与することを含む方法も提供される。
【0213】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は、ヒト等の哺乳動物の組織の一部を形成するインビトロ細胞培養物またはインビボ 細胞であり得る。
【0214】
オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートを使用して、ノーザンブロッティング、in-situハイブリダイゼーションまたは同様の技術によって細胞および組織における標的遺伝子の発現を検出および定量し得る診断用途も提供される。
【0215】
医薬として使用するための本明細書に記載のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または医薬組成物も提供される。
【0216】
オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物が使用される疾患または障害は、典型的には、標的遺伝子の発現に関連する。好ましくは、疾患または障害は、標的遺伝子の発現を調節することによって処置され得るものである。
【0217】
オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物は、例えば、標的遺伝子または標的遺伝子由来の発現産物、例えばRNA若しくはタンパク質の異常なレベルおよび/または活性によって引き起こされる疾患または障害を処置または予防するために使用され得る。疾患または障害はまた、または代替的には、標的遺伝子における突然変異に関連し得る。したがって、いくつかの実施形態では、標的核酸は、標的遺伝子の変異型である。標的遺伝子の非限定的な例としては、1つ以上の癌、感染性疾患、神経学的疾患若しくは障害、眼疾患若しくは障害、または心血管疾患若しくは障害に関連する遺伝子が挙げられる。
【0218】
本発明に従ったオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物は、典型的には有効量で投与される。
【0219】
オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または医薬組成物が、疾患または障害に罹患しているか、または疾患または障害を有すると疑われる動物またはヒトにおける疾患または障害の処置または予防に使用するための治療用途も提供される。典型的には、疾患または障害は、標的遺伝子の発現を調節することによって処置することができるものである。
【0220】
疾患または障害に罹患しているか、または疾患または障害を有すると疑われる動物またはヒトにおける疾患または障害を処置または予防するための医薬の製造におけるオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用も提供される。典型的には、疾患または障害は、標的遺伝子の発現を調節することによって処置することができるものである。
【0221】
また、疾患または障害を処置または予防する方法であって、治療有効量または予防有効量のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物を、疾患または障害に罹患しているかまたは罹患しやすい対象に投与することを含む方法も提供される。
【0222】
投与
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を、経口投与され得る。更なる実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物は、局所または腸内または非経口(静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、または髄腔内等)で投与され得る。
【0223】
好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物は、非経口経路、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内注射若しくは注入、または髄腔内若しくは頭蓋内投与、例えば脳内または脳室内投与、または硝子体内投与によって投与される。一実施形態では、活性オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、静脈内投与される。別の実施形態では、活性オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、皮下投与される。
【0224】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物は、0.1~15mg/kg、例えば0.2~10mg/kg、例えば0.25~5mg/kgの用量で投与される。投与は、週に1回、2週に1回、3週に1回、または月に1回であり得る。
【0225】
併用療法
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物は、別の治療薬との併用処置で使用される。治療薬は、例えば、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物で処置される疾患または障害の標準治療であり得る。
【0226】
実施形態
以下の番号が付けられた実施形態が特に企図される。
【0227】
1.リボヌクレアーゼ(RNase)Hを動員することができる、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドであって、
Gが、少なくとも3個の連続DNAヌクレオシドを含む18個までの連結ヌクレオシドのギャップ領域であり、
FおよびF’の各々が、独立して、1~15個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる、15個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、
F、F’、およびGのうちの少なくとも1つが、α-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドである糖修飾ヌクレオシドを含む、
アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0228】
2.Fが、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含む、実施形態1に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0229】
3.Fが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0230】
4.Fが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含むまたはそれからなる、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0231】
5.F中の少なくとも3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0232】
6.F中の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13、または14個の3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0233】
7.F中の2、3、4、5、6、7、8、9、12、13、または14個の3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0234】
8.F中の少なくとも5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0235】
9.F中の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、または14個の5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0236】
10.F中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個の5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0237】
11.Fの全ての糖修飾ヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0238】
12.Fの全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0239】
13.F’がいかなるTNAヌクレオシドも含まない、実施形態1~12のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0240】
14.F’が少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0241】
15.F’が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0242】
16.F’が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含むまたはそれからなる、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0243】
17.F’中の少なくとも5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0244】
18.F’中の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個の5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0245】
19.F’中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個の5’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0246】
20.F’中の少なくとも3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0247】
21.F’中の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個の3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0248】
22.F’中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個の3’最末端のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0249】
23.F’の全ての糖修飾ヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0250】
24.F’の全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0251】
25.F’がいかなるTNAヌクレオシドも含まない、実施形態1および14~24のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0252】
26.FおよびF’の各々が、独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のTNAヌクレオシドを含むまたはそれからなる、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0253】
27.FおよびF’が一緒になって、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のTNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0254】
28.F、F’、またはFとF’の両方が、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシド、例えばTNAヌクレオシド以外の3、4、または5個の糖修飾ヌクレオシドを更に含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0255】
29.F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドが、以下:
2’-メトキシ-リボース(2’-OMe)、
2’-O-メトキシエチル-リボース(2’-O-MOE)、
5’-メチル-2’-O-メトキシエチルリボース(5’-Me-2’-O-MOE)、
2’-O-[2-(メチルチオ)エチル]-リボース(2’-O-MTE)、
2-(N-メチルカルバモイル)-エチル]-リボース(2’-O-MCE)、
2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]-リボース(2’-O-NMA)、
2’-デオキシ-2’-フルオロ-リボース(2’-デオキシ-2’-フルオロリボ-核酸;2’-F-RNAにおけるような)、
2’-フルオロ-2’-アラビノース(2’-フルオロ-2’-アラビノース-核酸;2’-F-ANAにおけるような)、
2’-O-ベンジル-リボース、
オキシ、アミノまたはチオβ-D-ロックドリボース(β-D-LNAにおけるような)、
オキシ、アミノまたはチオα-L-ロックドリボース(α-L-LNAにおけるような)、
2’,4’拘束2’-O-エチルリボース(拘束エチルロックド核酸;cEtにおけるような)、
トリシクロ-デオキシリボース(トリシクロ-デオキシリボースDNA;TcDNAにおけるような)、
3’-デオキシ-リボース(3’-デオキシ-リボースDNA;3’-DNAにおけるような)、
アンロックドリボース(アンロックド核酸;UNAにおけるような)、
グリコール(グリコール核酸;GNAにおけるような)、
ヘキシトール(ヘキシトール核酸;HNAにおけるような)、
3’-フルオロヘキシトール(3’-フルオロヘキシトール核酸;FHNAにおけるような)、
3’-アラビノ-フルオロヘキシトール(3’-アラビノ-フルオロ-ヘキシトール核酸;Ara-FHNAにおけるような)、
シクロヘキセン(シクロヘキセン核酸;CeNAにおけるような)、および
フルオロ-シクロヘキセニル(2’-フルオロ-シクロヘキセニル核酸;F-CeNAにおけるような)
からなる群から選択される修飾糖部分を含む少なくとも1個の糖修飾ヌクレオシドを含むか又はそれからなる、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0256】
30.F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドが、1個以上の2’糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性2’糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれからなる、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0257】
31.F、F’、またはFとF’の両方の糖修飾ヌクレオシドが、1個以上のLNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0258】
32.少なくとも1個のいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’およびF中の全てのヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、実施形態31に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0259】
33.F、F’、またはFとF’の両方の前記糖修飾ヌクレオシドが、1個以上の2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-O-MOE)ヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0260】
34.少なくとも1個のいずれのTNAヌクレオシドも除いて、F’およびF中の全てのヌクレオシドが、2’-O-MOEヌクレオシドである、実施形態33に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0261】
35.Gが、いかなるTNAヌクレオシドも含まない、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0262】
36.Gが、少なくとも1個のTNAヌクレオシド、例えば少なくとも1、2、または3個のTNAヌクレオシドを含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0263】
37.G中の5’最末端から2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、または8番目のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、実施形態36に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0264】
38.G中の3’最末端から2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、または8番目のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、実施形態36または37に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0265】
39.G中の少なくとも5’最末端および3’最末端のヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0266】
40.少なくとも1個のいずれのTNAヌクレオシドも除いて、Gの全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0267】
41.前記ギャップ領域Gが、少なくとも4個のDNAヌクレオシド、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個の連続DNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0268】
42.Gが最大で10個のDNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個のDNAヌクレオシドを含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマー。
【0269】
43.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0270】
44.ヌクレアーゼ耐性修飾ヌクレオシド間結合を含む、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0271】
45.全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0272】
46.式5’-F-G-F’-3’(I)の前記連続ヌクレオチド配列が、12~32個のヌクレオシド、例えば12~28個のヌクレオシド、例えば12~26個のヌクレオシド、例えば14~26個のヌクレオシド、例えば14~24個のヌクレオシド、例えば14~22個のヌクレオシド、例えば16~22個のヌクレオシド、例えば16~20個のヌクレオシドの長さを有する、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0273】
47.前記連続ヌクレオチド配列が、以下の式:
1~15-G3~18-F’1~15(IV)、例えば、F1~15-G3~18-F’1~12(IVa)若しくはF1~12-G3~18-F’1~15(IVb);
1~12-G3~18-F’1~12(V)、例えば、F1~12-G3~18-F’1~9(Va)、若しくはF1~9-G3~18-F’1~12(Vb);
1~12-G4~16-F’1~12(VI)、例えば、F1~12-G4~16-F’1~9(VIa)若しくはF1~9-G4~16-F’1~12(VIb);または
3~12-G4~10-F’3~12(VII)、例えば、F3~12-G4~10-F’3~9(VIIa)若しくはF3~9-G4~10-F’3~12(VIIb)
のものであり、式中、数値範囲は、F、GおよびF’中のそれぞれ連結ヌクレオシドの数を表す、実施形態46に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0274】
48.前記アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、
(a)標的核酸の前記発現レベルを、前記標的の正常発現レベルと比較して、少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%低下させることができる、
(b)標的核酸の発現レベルを低下させるための約20μM以下、例えば約10μM以下、例えば約5μM以下のIC50を有する、
(c)実施例4に記載されるカスパーゼ3/7アッセイを使用する場合、アッセイウィンドウパーセンテージ(AW%)は、好ましくは最大で約60%、例えば最大で約40%、例えば約最大で20%、例えば最大で約10%である、
(d)アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドとRNA標的配列との二重鎖の形態で、少なくとも約50℃、例えば少なくとも約52℃、例えば少なくとも約54℃、例えば少なくとも約56℃、例えば少なくとも約58℃、例えば少なくとも約60℃の融解温度(Tm)を有する、または
(e)(a)と(b)、(a)と(c)、(a)と(d)、(b)と(c)、(b)と(d)、(a)と(b)と(c)、(a)と(b)と(d)、(a)と(c)と(d)、(b)と(c)と(d)の組み合わせ、または(a)~(d)の全てである、
前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0275】
49.前記標的核酸がRNA標的配列であり、前記RNA標的配列が、式Iの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有し、任意に、(a)および(b)が、前記標的核酸を発現する標的細胞において決定され、約25μMの濃度で約3日間、前記アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと共にインキュベートされる、実施形態48に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0276】
50.リボヌクレアーゼ(RNase)Hを動員することができる、式5’-F-G-F’-3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドであって、連続ヌクレオチド配列が、少なくとも1個のTNAヌクレオシドを含む、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0277】
51.式5’-F-G-F’-3’(I)の前記連続ヌクレオチド配列が、12~32個のヌクレオシド、例えば12~28個のヌクレオシド、例えば12~26個のヌクレオシド、例えば14~26個のヌクレオシド、例えば14~24個のヌクレオシド、例えば14~22個のヌクレオシド、例えば16~22個のヌクレオシド、例えば16~20個のヌクレオシドの長さを有する、実施形態50に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0278】
52.前記連続ヌクレオチド配列が、以下の式:
1~15-G3~18-F’1~15(IV)、例えば、F1~15-G3~18-F’1~12(IVa)若しくはF1~12-G3~18-F’1~15(IVb);
1~12-G3~18-F’1~12(V)、例えば、F1~12-G3~18-F’1~9(Va)若しくはF1~9-G3~18-F’1~12(Vb);
1~12-G4~16-F’1~12(VI)、例えば、F1~12-G4~16-F’1~9(VIa)若しくはF1~9-G4~16-F’1~12(VIb);または
3~12-G4~10-F’3~12(VII)、例えば、F3~12-G4~10-F’3~9(VIIa)若しくはF3~9-G4~10-F’3~12(VIIb)
のものであり、式中、数値範囲は、F、GおよびF’中のそれぞれ連結ヌクレオシドの数を表す、実施形態50および51のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0279】
53.実施形態2~49のいずれか1つの特徴を更に含む、実施形態50~52のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマー。
【0280】
54.式IVaの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)F中の5’最末端のヌクレオシドおよびF中のヌクレオシドが、独立して、3、4、または5個の高親和性糖修飾ヌクレオシドであり、
(b)F中の残りのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドであり、かつ
(c)G中の全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
実施形態47~53のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0281】
55.Gが、最大で10個の連続DNAヌクレオシド、例えば9、8、7、6、5、または4個の連続DNAヌクレオシドを含む、実施形態54に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0282】
56.式IVの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’が、それぞれ独立して、3、4、または5個のヌクレオシドからなり、
(b)FおよびF’中のヌクレオシドの少なくとも1個が、TNAヌクレオシドであり、残りのヌクレオシドが、高親和性糖修飾ヌクレオシドであり、
(c)G中の全てのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
実施形態47~53のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0283】
57.FおよびF’中の全てのヌクレオシドが、TNAヌクレオシドである、実施形態56のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0284】
58.式IVの前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも16個のヌクレオシドの長さを有し、かつ
(a)FおよびF’が、それぞれ独立して、3、4、若しくは5個の連結された高親和性糖修飾ヌクレオシドを含むか、またはそれらからなり、かつ、いかなるTNAヌクレオシドも含まず、かつ
(b)G中の5’最末端から2番目、3番目、4番目、または5番目のヌクレオシドが、TNAヌクレオシドであり、かつG中の残りのヌクレオシドが、DNAヌクレオシドである、
実施形態47~53のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0285】
59.前記高親和性糖修飾ヌクレオシドが、実施形態29の糖修飾ヌクレオシドから選択される、実施形態54~58のいずれか1に記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0286】
60.前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0287】
61.前記実施形態のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと、前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを、任意にリンカーを介して含む、コンジュゲート。
【0288】
62.前記コンジュゲート部分が、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素、ビタミン、ウイルスタンパク質、およびそれらの組合せから選択される、実施形態61に記載のコンジュゲート。
【0289】
63.前記コンジュゲート部分が、脳血液関門を通過する送達を促進する、実施形態61または62に記載のコンジュゲート。
【0290】
64.実施形態1~60のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドまたは実施形態61~63のいずれか1つに記載のコンジュゲートの、薬学的に許容され得る塩。
【0291】
65.実施形態1~60のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド、実施形態61~63のいずれか1つに記載のコンジュゲート、または実施形態64に記載の薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物。
【0292】
66.医薬として使用するための、実施形態1~60のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、実施形態61~63のいずれか1つに記載のコンジュゲート、実施形態64に記載の薬学的に許容され得る塩、または実施形態65に記載の医薬組成物。
【0293】
67.親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの修飾バージョンを調製する方法であって、前記親アンチセンスギャップマーが、RNアーゼHを動員することができる式5’F-G-F’3’(I)の連続ヌクレオチド配列を含み、式中、Gは、5~18個の連結されたDNAヌクレオシドのギャップ領域であり、FおよびF’の各々は、独立して、TNAヌクレオシド以外の1~8個の糖修飾ヌクレオシドを含むかまたはそれらからなる8個までの連結ヌクレオシドのフランキング領域であり、前記修飾バージョンにおいて、前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドのF、F’および/またはG中の少なくとも1個のヌクレオシドは、TNAヌクレオシドで置換されており、
前記方法は、ヌクレオチド単位を反応させて、前記オリゴヌクレオチドに含まれる共有結合した連続ヌクレオチド単位を形成することによって前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを製造する工程を含み、前記ヌクレオチド単位の少なくとも1つは、TNAヌクレオシドを含み、
任意に、前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドを精製または単離することを含む、方法。
【0294】
68.前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して、毒性、任意に肝毒性が低下している、実施形態67に記載の方法。
【0295】
69.前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、任意に、カスパーゼ3/7アッセイによって決定される場合、前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドよりもHepG2細胞に対して毒性が低い、実施形態67および68のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
70.前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して増大したエキソヌクレアーゼ耐性を有する、実施形態67~69のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
71.前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドと比較して増大したエンドヌクレアーゼ耐性を有する、実施形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
72.前記親アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマーまたはMOEギャップマーであり、任意に、全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、実施形態67~71のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
73.前記ヌクレオチド単位が、ヌクレオシドホスホラミダイトである、実施形態67~72のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
74.前記修飾アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドが、実施形態1~60のいずれか1つの特徴を含む、実施形態67~73のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
75.実施形態67~74のいずれか1つに記載の方法によって得られるまたは得ることができる、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド。
【0302】
76.実施形態1~60のいずれか1つに記載のアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドまたは実施形態61~63のいずれか1つに記載のコンジュゲートの調製における、TNAヌクレオチドの使用。
【実施例
【0303】
実施例1:TNA修飾を用いたオリゴヌクレオチド合成
BioautomationによるMerMade12自動DNAシンセサイザーを使用して、オリゴヌクレオチドを合成した。合成は、ユニバーサルリンカーを備えた制御された細孔ガラス支持体(500Å)を使用して1μmolスケールで実施した。
【0304】
DNA、MOEおよびLNAホスホラミダイトのカップリングのための標準サイクル手順において、4,4-ジメトキシトリチル(DMT)脱保護を、CHCl中3%(w/v)トリクロロ酢酸を用いて230μLの8回の適用で70秒間行った。それぞれのホスホラミダイトを、アセトニトリル(またはLNA-C構成要素についてはアセトニトリル/CHCl 1:1)中0.1M溶液95μLおよび活性化剤としての無水アセトニトリル中5-ベンジルチオ-1-H-テトラゾールの0.3M溶液110μLと、180秒のカップリング時間で3回カップリングさせた。
【0305】
新たに調製したα-L-トレオフラノシル(TNA)ホスホラミダイトを、95μLのアセトニトリル中0.1M溶液および110μLの活性化剤としての無水アセトニトリル中5-ベンジルチオ-1-H-テトラゾールの0.3 M溶液と、360秒のカップリング時間で3回カップリングさせた。3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンのアセトニトリル/ピリジン:1/1中0.1M溶液を用いて、200μLを80秒間2回適用して硫化を行った。酸化は、THF/pyr/HO:88/10/2中の0.02M Iを使用して2回の適用で80秒間行った。THF/ルチジン/AcO 8:1:1(CapA、125μL)およびピリジン中0.625%DMAP(CapB、125μL)を用いて85秒間2回キャッピングを行った。合成後、制御された細孔ガラス(CPG)を次に4mLバイアルに慎重に移し、1mLの25%NHOHを添加し、55℃で24時間放置した。粗DMTオンオリゴヌクレオチドを、C18カラムを使用するRP-HPLC精製、続いて80%酢酸水溶液でDMTを除去することによって、またはカートリッジ精製によって精製した。オリゴヌクレオチドを、高分解能エレクトロスプレー質量分析と組み合わせた逆相超高速液体クロマトグラフィーによって特徴付けた。
【0306】
TNAホスホラミダイトは、Zhang and Chaput,’’Synthesis of Threose Nucleic Acid(TNA)Phosphoramidite Monomers and Oligonucleotide Polymers,Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,4.51.1-4.51.26,2012’’に記載されているように合成した。他の全ての試薬は、Sigma Aldrichから購入した。
【0307】
上記手順に従って、表1に示す分子を調製した。
【0308】
(表1)TNA部分を含む合成分子(転移関連肺腺癌転写物1(Malat-1)を標的とする)
CMP ID番号=化合物ID番号
【0309】
表1~6の配列において、
A、G、CおよびT(太字)は、α-L-トレオフラノシル(TNA)ヌクレオシドを表し、
A、G、CおよびT(下線)は、2’-O-MOEヌクレオシドを表し、
A、G、CおよびTは、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドを表し、
a、g、cおよびtはDNAヌクレオシドを表す。
【0310】
全ての結合をホスホロチオエート結合として調製した。
【0311】
表1の分子に関する更なる詳細を表2に示し、表2では、合成された各分子の構造は、高分子の階層編集言語(HELM)によって定義される(詳細については、Zhang et al.,Chem.Inf.Model.2012,52,10,2796-2806を参照)。さらに、それぞれの合成された各分子が基づく核酸塩基配列の配列番号を示す。以下のHELM注釈キーが使用される:
[LR](G)は、ベータ-D-オキシ-LNAグアニンヌクレオシドであり、
[LR](T)は、ベータ-D-オキシ-LNAチミンヌクレオシドであり、
[LR](A)は、ベータ-D-オキシ-LNAアデニンヌクレオシドであり、
[LR]([5meC])は、ベータ-D-オキシ-LNA5-メチルシトシンヌクレオシドであり、
[dR](G)は、DNAグアニンヌクレオシドであり、
[dR](T)は、DNAチミンヌクレオシドであり、
[dR](A)は、DNAアデニンヌクレオシドであり、
[dR]([C]はDNAシトシンヌクレオシドであり、
[MOE]([5meC])は、2’-O-MOE[2’O-(2-メトキシエチル)]5-メチルシチジンヌクレオシドであり、
[MOE](A)は、2’-O-MOE[2’O-(2-メトキシエチル)]アデニンヌクレオシドであり、
[MOE](T)は、2’-O-MOE[2’O-(2-メトキシエチル)]チミンヌクレオシドであり、
[MOE](G)は、2’-O-MOE[2’O-(2-メトキシエチル)]グアニンヌクレオシドであり、
[TNA]([5meC])は、TNA 5-メチルシチジンヌクレオシドである。
[TNA](A)は、TNAアデニンヌクレオシドであり、
[TNA](T)は、TNAチミンヌクレオシドであり、
[TNA](G)は、TNAグアニンヌクレオシドであり、
[sP]は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0312】
(表2)HELMアノテーションにおける合成分子
【0313】
HELMのための更なる情報およびオープンソースのツールは、インターネットアドレスwww.pistoiaalliance.org/helm-tools/およびwww.pistoiaalliance.org/membership/(いずれも2022年12月2日にアクセス)で見つけることができる。
【0314】
実施例2:2つの異なる濃度(5および25μM)でのA549細胞におけるMalat1 RNAを標的とするオリゴヌクレオチドのインビトロ有効性
A549細胞株をATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%COの加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3000細胞/ウェルを96マルチウェルプレートに完全培養培地中において播種した。細胞を24時間インキュベートした後、示される最終濃度のPBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を採取した。RNeasy 96 RNA精製キット(Qiagen)を製造者の説明書に従って使用してRNAを抽出し、50μlの水に溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0315】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqRT-PCRに使用した:MALAT1、Hs00273907_s1[FAM-MGB]および内因性対照GAPDH、Hs99999905_m1[VIC-MGB-PL]。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientific社から購入した。ノックダウン(KD)値とも呼ばれる相対的なMALAT1 RNA発現レベルを、対象(PBS処置細胞)に対するパーセントとして計算した。
【0316】
結果を表3に示す。「/」で区切られた値は、化合物または対照を2つ以上の試験バイアルで試験した場合の個々の結果を示す。
【0317】
(表3)インビトロ有効性結果(KD)
【0318】
実施例3:用量応答曲線に対する異なる濃度でのA549細胞におけるMALAT1 mRNAを標的とするオリゴヌクレオチドのインビトロ効力
A549細胞株はATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%COの加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3500細胞/ウェル(A549)を培地中の96マルチウェルプレートに播種した。細胞を24時間インキュベートした後、PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの濃度範囲:最高濃度25μM、8段階で1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を採取した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水(Gibco)で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0319】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqPCRに使用した:MALAT1、Hs00273907_s1(FAM-MGB)と、内因性対照のGAPDH。全てのプライマーセットは、Thermo Fisher Scientific社から購入した。IC50値は、n=2の生物学的反復からのデータに対してGraphPad Prism8を使用して決定した。結果を表4に示す。
【0320】
(表4)インビトロ効力結果(IC50)
【0321】
実施例4:カスパーゼ3/7活性化
HepG2細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清を補充したGlutaMax(Gibco#41090)を含むMEM培地でおよそ70%コンフルエンスで培養した。細胞を0.25%トリプシン-EDTA溶液(Gibco#25200056)で剥離し、1×10細胞/ウェルの密度で黒色の透明な96ウェルプレート(Corning#3904、米国ニューヨーク州)に播種した。HepG2播種の24時間後、Opti-MEM(Gibco番号31985)に溶解した100nMオリゴヌクレオチドを使用して、Lipofectamine 2000(Life Technologies番号11668019)で細胞を一過性にトランスフェクトした。カスパーゼ-3/7活性を、Caspase-Glo(登録商標)3/7アッセイ(Promega Corporation、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用して決定した。再構成カスパーゼ-Glo(登録商標)3/7試薬をトランスフェクションの24時間後に細胞に添加し、60分間インキュベートし、細胞溶解物を不透明な96ウェルプレート(Corning番号3600、米国ニューヨーク州)に移した後、製造者の指示に従ってEnspireマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)で発光を決定した。結果を表5に示し、百分率(アッセイウィンドウ%)は、ビヒクル(PBSでのみ処置した細胞)に基づく細胞アポトーシスの程度を示す。値が高いほど、アポトーシス活性が高くなり、それによってインビトロ細胞傷害性が高くなる。
【0322】
(表5)インビトロ細胞毒性結果
ASO=アンチセンスオリゴヌクレオチド
【0323】
実施例5:RNAにハイブリダイズしたTNA修飾を含有するオリゴヌクレオチドの熱融解温度(Tm)
変性点(熱融解温度=Tm)を以下の手順に従って測定した:
ギャップマーASOおよび相補的RNAを20mMリン酸二ナトリウム緩衝液、200mM NaClおよび0.2mM EDTA(pH7)に添加して、1.5μMの最終濃度を得た。試料を95℃に5分間加熱し、次いで1時間かけて室温までゆっくり冷却した。Peltier Temperature Programmerを備えたAgilent Cary 3500で、25℃から95℃まで5℃/分で上昇させ、次いで25℃まで低下させた温度勾配を用いて、260nmで熱融解曲線を記録した。両方の曲線の一次導関数を使用して融解温度(Tm)を決定した。値は、3つの加熱および冷却曲線にわたって平均化される(値±標準偏差として報告される)。結果を表6に示す。
【0324】
(表6)熱融解温度(Tm)の結果
【0325】
参考文献一覧
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【国際調査報告】