(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】血流を測定するための身体装着型装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0295 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B5/0295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537093
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022081770
(87)【国際公開番号】W WO2023122493
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】マッカーナ, ジェームズ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】タン, エリック エドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ディロン, マーシャル シン
(72)【発明者】
【氏名】バネット, マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン, スン
(72)【発明者】
【氏名】マクピーク, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ステューダー, ジム
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AA19
4C017AA20
4C017AC40
4C017BC11
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、血流を測定するためのシステム、装置、および方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
前記血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、前記注入された電流および前記血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備えるインピーダンスシステムであって、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性材料を含み、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、再吸収性材料を含み、前記電極が前記血管に直接接続される、インピーダンスシステムと、
前記インピーダンスシステムからの前記インピーダンス信号、または前記インピーダンス信号から決定された信号を受信し、前記受信した信号を処理して前記血管内の前記血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【請求項2】
前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性ポリマー、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびマンガンからなるグループから選択される材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インピーダンスシステムが、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの前記少なくとも1つに接続する身体装着型パッチをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記身体装着型パッチが、インピーダンス回路を含む回路基板を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記回路基板が、ケーブルを介して前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの前記少なくとも1つに接続する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ケーブルが導電性材料を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ケーブルが再吸収性材料を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ケーブルが、導電性ポリマー、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびマンガンからなるグループから選択される材料を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記インピーダンス信号が、時間領域波形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理システムが、前記時間領域波形を処理して、1つまたは複数の心拍誘発パルスを測定するようにさらに構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理システムが、前記心拍誘発パルスを処理して、前記血管内の血流に関連する前記パラメータを決定するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記インピーダンスシステムが、前記血管の容量値を測定するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理システムが、前記容量値を処理して、前記血管内の血流に関連する前記パラメータを決定するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記容量値が、前記血管に対応する共振周波数である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記インピーダンスシステムが、単一の周波数で前記血管に電流を注入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記インピーダンスシステムが、複数の固有の周波数で前記血管に電流を注入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記血管からの光信号を測定するように構成された光学システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学システムが、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光源が、前記赤外スペクトル領域の光放射を放出するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記光学システムが、赤外スペクトル領域の光スペクトルを測定するようにさらに構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
加速度計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理システムが、前記加速度計からの動き関連信号を測定して、患者に対応する動きを決定するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
無線送信機をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記無線送信機が、前記血管内の前記血流に関連する前記パラメータ、またはそれから導出されたパラメータを遠隔システムに送信するようにさらに構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記遠隔システムが、コンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、サーバ、およびクラウドベースのシステムからなるグループから選択される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記無線送信機が、BLUETOOTH(登録商標)、Wi-Fi、およびセルラープロトコルで動作する送信機からなるグループから選択される、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
前記血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、前記注入された電流および前記血管内の血流の影響を受ける電気信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備える電気システムであって、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性材料を含み、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、再吸収性材料を含み、前記電極が前記血管に直接接続される、電気システムと、
前記電気システムからの前記電気信号、または前記電気信号から決定された信号を受信し、前記受信した信号を処理して前記血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【請求項28】
血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
前記血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、前記注入された電流および前記血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備えるインピーダンスシステムであって、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性材料を含み、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、再吸収性材料を含み、前記電極が前記血管に直接接続される、インピーダンスシステムと、
光源と光検出器とを備える光学システムであって、前記光源が、前記血管を光放射で照らすように構成され、前記光検出器が、前記血管を照らした後の前記光放射を検出して光信号を生成するように構成される、光学システムと、
前記インピーダンスシステムからの前記インピーダンス信号および前記光学システムからの前記光信号、またはそれから決定された信号を受信し、前記受信した信号をまとめて処理して前記血管内の前記血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【請求項29】
血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
インピーダンス回路を備える身体装着型パッチと、
前記血管に直接取り付けられ、前記インピーダンス回路に電気的に接続された電極システムであって、前記血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、前記注入された電流および前記血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備え、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性材料を含み、前記電流注入電極および前記信号測定電極のうちの少なくとも1つが、再吸収性材料を含む、電極システムと、
前記インピーダンス回路からの信号を受信し、前記受信した信号を処理して前記血管内の血流を推定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【請求項30】
前記血管が静脈または動脈である、請求項1~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載のシステムを血流が測定される範囲に適用するステップを含む、血管内の血流の特性を示すための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月20日に出願された米国仮出願第63/291,653号の利益を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本明細書は、例えば手術後の患者の血管(動脈および静脈など)の灌流を、病院および家庭の両方の環境において監視するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]血流の測定は、例えば術後の組織環境において極めて重要である。現在のシステムは、通常、ドップラベースの技術で術後の血流を測定するもので、患者に接触することはできるが、装着することはできない。そのようなシステムでは、連続的な測定は容易ではない。先行技術は、下にある血管に直接取り付けて血流を測定する身体装着型システムがいくつか記載されているが、これらは通常、容量センサに基づいており、信号対雑音比が低くなりやすい。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、容量ではなくインピーダンス信号を利用する、新規クラスの血流測定システム、装置、および方法を提供する。即座に開示されたシステムおよび装置は、当技術分野で以前知られていた関連技術と比較して、より高い信号対雑音比を有し、それにより、下にある血管における動脈血流および静脈血流のより正確な測定が可能となる。
【0005】
[0005]例えば、実施形態において、開示された流量センサシステムは、
a.血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備え、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続されるインピーダンスシステムと、
b.インピーダンスシステムからのインピーダンス信号、またはインピーダンス信号から決定された信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備えることができる。
【0006】
[0006]さらに開示される実施形態は、
a.血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受ける電気信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備え、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続される電気システムと、
b.電気システムからの電気信号、または電気信号から決定された信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える。
【0007】
[0007]さらに開示される実施形態は、
a.血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備え、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続されるインピーダンスシステムと、
b.光源および光検出器を備え、光源は血管を光放射で照らすように構成され、光検出器は血管を光放射で照らした後の光放射を検出して光信号を生成するように構成される、光学システムと、
c.インピーダンスシステムからのインピーダンス信号および光学システムからの光信号、またはそれから決定された信号を受信し、受信した信号をまとめて処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える。
【0008】
[0008]さらに開示される実施形態は、
a.インピーダンス回路を備える身体装着型パッチと、
b.血管に直接取り付けられ、インピーダンス回路に電気的に接続された電極システムと、
c.インピーダンス回路からの信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流を推定するように構成された処理システムと、
を備える。
【0009】
[0009]開示された実施形態は、送信機をさらに備えることができる。
【0010】
[0010]開示された実施形態は、ハウジングをさらに備えることができる。
【0011】
[0011]開示された実施形態はまた、開示されたシステムおよび装置を含むキットを備える。
【0012】
[0012]開示された実施形態はまた、開示されたシステムおよび装置の使用方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示による下にある血管の灌流を監視するためのパッチを装着した患者の写真である。
【
図2】患者の静脈の灌流を測定するために
図1のパッチで使用されるインピーダンスシステムの概略図である。
【
図3】灌流を判定するために静脈からインピーダンス測定を行う
図2のインピーダンスシステムを示す概略図である。
【
図4】
図3のインピーダンスシステムを用いて異なる周波数で測定されたインピーダンス値を示すグラフである。
【
図5】灌流を判定するために静脈から容量測定を行う
図2のインピーダンスシステムを示す概略図である。
【
図6】
図5のインピーダンスシステムを用いて異なる周波数で測定した容量値を示すグラフである。
【
図7】低周波および高周波の両方で変調された電流が、下にある血管内に配列する血球の周囲および中を流れるのを示す概略図である。
【
図8】静脈からの灌流を測定するために
図1のパッチの代替実施形態で使用される近赤外分光システムの概略図である。
【
図9】合成血液が流れていない期間と血管内を流れている期間に、人間の血管の「ファントム」から
図2のインピーダンスシステムで測定された時間依存波形のグラフである。
【
図10A】本開示に係るパッチに用いられる回路基板の画像である。
【
図10B】本開示に係るパッチに用いられる回路基板の写真である。
【
図12A】本開示のさらなる実施形態に係る、患者からの灌流を測定するために使用される電極パッチの概略図である。
【
図12B】患者からの灌流を測定するために
図12Aに示した電極パッチに接続する回路基板の底面の概略図である。
【
図13】患者、無線ゲートウェイ、クラウドベースのシステム、およびデータ分析を含む開示された実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0028]開示された実施形態は、装着可能血流測定システムおよび装置を含む。
【0015】
[0029]
図1に示すように、開示された実施形態は、患者10が装着する装着可能な「パッチ」12を備え、以下でより詳細に説明するセンサの集合を用いて、下にある血管、例えば静脈や動脈の血流を監視する。実施形態では、センサは、血管に直接接続するか、または血管を取り囲む組織の上に配置することができる。実施形態では、パッチ12は、パッチ12の機能、例えば患者10からの生理学的信号を測定するためのセンサの動作と、下にある血管内の血流に関連する情報を決定するための生理学的信号の分析と、以後の評価のための外部システムへの情報の無線送信(
図13により詳細に示される)とを制御する回路基板(
図2、
図10A、および
図10Bにより詳細に示される)を包含する電子ユニット18を特徴とする。実施形態では、粘着性成分11、例えば複数のヒドロゲル電極を支持する粘着性発砲裏打ちは、パッチ12を患者10に固定し、それにより一定期間、例えば入院中またはその後数週間、パッチを連続的に装着することができる。例えば、実施形態では、開示された装置は入院期間中装着することができる。さらなる実施形態では、装置は退院後1週間以上、またはそれ以上にわたって装着することができる。実施形態では、装置は断続的に装着することができる。
【0016】
[0030]実施形態では、臨床医は、手術後、例えば皮膚弁を伴う再建手術(乳房再建手術など)後に、パッチ12を患者10に貼付する。皮膚弁などの組織に貼付されると、パッチ12内のセンサは、下にある組織内の血流(すなわち灌流)を監視し、それによって、弁が十分に灌流されており、患者が術後に効果的に回復しているかどうかを示す。実施形態では、灌流が良好であると、回復が順調であることを示し、対照的に、灌流が不良であると、皮膚弁が十分な量の血液を受けておらず、壊死する危険性があることを示す。例えば、実施形態では、「良好な」灌流値は、より従来的な手段(例えば心電図)で測定されるような、患者の「真の」心拍数に一致する周波数で生じる準周期的な拍動成分を特徴とする信号によって特徴付けられる。例えば、
図9の約30秒後の信号を参照されたい。この文脈で使用される「一致」という用語は、信号から測定された心拍数が患者の真の心拍数の15%以内であることを意味し、これは一般的には30~200拍/分である。そのような信号は、心拍誘発血液が血管内を適切に流れていることを示す。対照的に、「不良な」灌流値は、拍動成分(例えば、
図9の約30秒の前の信号を参照)を完全に欠く信号か、または患者の真の心拍数と一致しない散発的で非周期的な拍動成分もしくは準周期的な拍動成分を特徴とする信号によって特徴付けられる。
【0017】
[0031]
図2から
図6は、開示されたパッチ12が、下にある血管、この場合は静脈25、内の血流に関連する生理学的信号をどのように測定するかをより詳細に示す。
図2に示す実施形態では、パッチ12は、粘着性成分11を用いて皮膚表面27に接着する。パッチ12内の電子ユニット18は、再吸収性材料で作られた細い4線ケーブル20を介して、下にある静脈25の外面に直接取り付けられる電極システム24に接続する。電極システム24は、「複素」生体インピーダンス測定を実行し、これは通常、
図4および
図6を参照して説明したように、実数成分および虚数成分の両方を特徴とする数学的方程式によってモデル化される。そのような数学的方程式は、最終的に、測定範囲における静脈25の時間依存抵抗および容量を決定する。これらのパラメータのさらに分析すると、その中に血流があることがわかる。
【0018】
[0032]実施形態では、4線ケーブル20内の再吸収性材料は、主に、副作用を引き起こすことなく患者の体内で安全に溶解することができる導電性材料を含む。そのような材料は、例えば、導電性ポリマーと、マグネシウム、マンガン、鉄および亜鉛などの良性金属、またはそれらの組合せ(例えば合金)を含むことができる。実施形態では、ステントに一般的に使用される導電性再吸収性材料であるRESOLOY(登録商標)(https://www.meko.de/innovations/resoloy)、のような、これらの金属および他の添加剤を含む合金も使用され得る。
【0019】
[0033]実施形態では、電極システム24は、電極22a~22dが互いに接触するのを防ぐ絶縁性および再吸収性の高分子材料28によって分離された4つの別個の電極22a~22dを特徴とする。実施形態では、電極システム24内には、「感知」電極22b、22cと、「駆動」電極22a、22dとの対があり、感知電極22b、22cは通常、遠位駆動電極22a、22d内に位置する。実施形態では、測定中、駆動電極22a、22dは、高周波低アンペア電流を血管に注入する。開示された実施形態では、電流の周波数は、例えば5~500kHzの範囲で変動することができ、その平均ACアンペア数は、例えば0.1~1.0mAの範囲で変動することができる。実施形態では、一方の駆動電極22aから注入される電流は、一般的には、対向する駆動電極22dから注入される電流と位相がずれており、例えば90度位相がずれている。実施形態では、電子ユニット18内の回路基板14は、
図3から
図6により詳細に示すように、抵抗(生体インピーダンスの「実数」成分)およびリアクタンス(生体インピーダンスの「虚数」成分)の測定を順次実行するインピーダンス回路を備える。
【0020】
[0034]
図10Aは、回路基板14およびその電気素子をより詳細に示す。実施形態では、インピーダンス回路は、
図11により詳細に示すように、例えば演算増幅器、抵抗器、およびコンデンサなどの別個の電気部品の集合を備える。さらなる実施形態では、インピーダンス回路は、Maxim Semiconductor(カリフォルニア州サニーベール)によって製造されたMAX30009などの単一の小規模半導体アナログフロントエンドまたは「チップ」に集積される。バッテリー19は通常、回路基板14に電力を供給し、例えば充電可能なリチウムイオンバッテリーなどである。
【0021】
[0035]以下の式1に示すように、システムのインピーダンスは、一般的には、複素量「Z」として表され、Zの極性形態は、その大きさおよび位相の両方の特性を含む。
Z=|Z|e^(iarg(Z)) …(1)
【0022】
[0036]ここで、大きさ|Z|は、電流振幅に対する電圧振幅の比を表し、引数arg(Z)は、電圧と電流との間の位相差である。式1は、以下のようにデカルト形式で表すことができる。
Z=R+iX …(2)
【0023】
[0037]ここで、インピーダンスの実部は抵抗R、虚部はリアクタンスXである。
【0024】
[0038]システムのリアクタンスには、その容量およびインダクタンスの両方からの寄与が含まれる。血管(例えば、動脈または静脈のいずれか)のような生物学的システムの場合、システムのインダクタンスは小さく、事実上存在しないので、システムのリアクタンスが事実上システムの容量を示すことになる。
【0025】
[0039]
図3および
図5は、ヒト組織(例えば、静脈および/または動脈を含む皮膚弁)に貼付されるインピーダンス測定をより詳細に示す。上述したように、測定中、遠位駆動電極22a、22dは、矢印30a、30bによってそれぞれ示されるように、高周波低アンペア電流を静脈25に注入する。静脈25(または代わりに動脈)が十分に灌流されている場合、血液は、患者の心臓特性、例えば心拍数(本明細書では「HR」、通常は拍動/分で表される)、一回拍出量(本明細書では「SV」、通常は容積/拍動の単位、例えばmLで表される)、および心拍出量(HRとSVの積、通常はリットル/分で表される)によって決まる拍動様式で、そこを流れる。より具体的には、血液は、主に赤血球内の鉄含有ヘモグロビンタンパク質のために、効果的な導電体である。したがって、流れる血液は、
図9に示すものと同様に時間依存的に、すなわち、患者のHRおよびSVによってそれぞれ規定される速度および大きさで発生するパルスの集合を特徴とする「波形」で、静脈25の抵抗およびリアクタンスを変調する(そして通常は低下させる)。
【0026】
[0040]実施形態では、測定中、アルゴリズム14を作動させる回路基板内のマイクロプロセッサは、インピーダンス回路によって測定されたパルスを分析して、血液が血管を通って流れている(良好な灌流を示す)か否(不良な灌流を示す)かを判定する。実施形態では、インピーダンス回路は、構成要素32に示される「V(t)」によって示されるように、感知電極22b、22cによって測定される時間依存アナログ電圧を生成する。実施形態では、インピーダンス回路に結合されたアナログ-デジタル変換器が、時間依存アナログ電圧をデジタル化してデジタル電圧を生成し、マイクロプロセッサがデジタル電圧を分析する。より具体的には、実施形態では、マイクロプロセッサ上で動作するアルゴリズム(通常は「ビートピッキング」アルゴリズムと呼ばれる)は、インピーダンス回路によって生成されたデジタル化された時間依存波形を分析して、血液が静脈25を流れているかどうかを判定する。
【0027】
[0041]
図9に示すデータは、V(t)を表し、例えばデジタル化された時間依存波形である。これは、寒天(周囲の結合組織を表す)に埋め込まれた合成静脈を特徴とする外科用皮膚弁を表すベンチトップ「ファントム」と、ヒトの血液に適合した機械的および電気的特性を有する粘弾性流体を送り込む蠕動ポンプとを使用して生成された。合成皮膚層が寒天および合成静脈を覆い、インピーダンス回路を特徴とするパッチが皮膚に貼り付けられた。4線ケーブルはインピーダンス回路を、合成静脈に縫合された別個の感知電極および駆動電極を有する電極システムに接続した。インピーダンス回路は、図に示す時間依存波形を測定した。約30秒前に蠕動ポンプをオフにし、粘弾性流体が静脈を通って流れていなかったことを意味する。これは非灌流血管をシミュレートしたもので、静的インピーダンスと拍動成分を欠いた時間依存波形とをもたらす。図に破線50で示すように、約30秒でポンプがオンになり、時間依存波形に拍動成分が明確に現れる。マイクロプロセッサ上で動作するビートピッキングアルゴリズムは、波形のこれらの異なる要素を分析して、ベンチトップファントム内の「無流動」および「流動」期間を決定した。
【0028】
[0042]
図4に示すように、実施形態では、DC電流でサンプリングされると、容器内で測定される抵抗は駆動電極によって注入される電流の周波数に依存し、抵抗は低周波数で徐々に増加し、漸近的に無限値に近づく。以下でより詳細に説明するように、さらなる実施形態は、複数の周波数で順次行われるインピーダンス測定(「インピーダンス分光法」と呼ばれる)を含み、血管を含む組織における灌流を示すこともできる血管のさらなる特性を決定する。
【0029】
[0043]実施形態では、感知電極22b、22cを使用して、一旦処理されると従来の心電図波形(本明細書では「ECG」)をもたらす生体電気信号を検出することもできる。実施形態では、パッチのマイクロプロセッサ上で動作するアルゴリズムは、ECG波形をさらに分析して、患者のHRや、不整脈などのより高度なパラメータを決定することができる。通常、ECG波形は、患者の腹部、例えば胸部から測定するのが最も効果的である。さらに、上述したように、ECG波形から患者の真のHRを得ることができる。次いで、そのような値は、下にある血管からのインピーダンス回路によって測定されたHR値と比較することができ、真のHRの15%以内の値であれば灌流が良好であることを示す。
【0030】
[0044]
図5は、静脈のインダクタンスが小さく本質的に存在しないため、事実上、時間依存容量(図では構成要素34に「C(t)」として示されている)として上述した静脈25の時間依存リアクタンスを測定するように設計された別の実施形態を示す。一実施形態では、測定システムを単純化するために、電極システム24は、システム24の片側の感知電極22aおよび駆動電極22bが互いに短絡され(構成要素31aで示されるように)、システムの反対側の遠位側の感知電極22cおよび駆動電極22dも互いに短絡された(構成要素31bで示されるように)、2端子システムとして設計される。
図3に示すものと同様に、電極システム24の一方の遠位端にある短絡された感知電極22aおよび駆動電極22bは、(矢印30aで示されるように)高アンペア低周波電流を静脈25内に1つの位相で注入し、同時に、電極システム24の反対側の遠位端にある短絡された感知電極22cおよび駆動電極22dは、(矢印30bで示されるように)最初に注入された電流とは位相が90度ずれている高アンペア低周波電流を注入する。このような測定から、容器の時間依存リアクタンス(つまり容量C(t))が上述のように測定される。
図5は、互いに短絡された感知電極と駆動電極との対を示しているが、
図3に示したものと同様の従来の4電極構成も、本出願で使用できることに留意されたい。
【0031】
[0045]十分に灌流した組織の場合、静脈から測定されるC(t)は通常、
図9に示すものと同様の血流誘導パルスを特徴とする時間依存波形で表される。さらに、本明細書に記載のインピーダンス測定と同様に、実施形態では、
図5に示す容量測定における注入電流の周波数は「掃引」することができ、
図6に示すように静脈の周波数依存直列容量が得られる。そのような測定には、静脈の「共振周波数」を示すという利点があり、これは、(静脈に対しては小さいが)コンデンサの直列インダクタンスがその容量と等しいが反対となる周波数である。例えば皮膚弁を用いた実際の測定では、その中の静脈の共振周波数は、血液がその中を流れているかどうかに強く依存する。したがって、マイクロプロセッサは、共振周波数を検出するアルゴリズムを作動させることができる。そこから測定される時間依存波形(すなわち、V(t)および/またはC(t))の拍動特性と同様に、アルゴリズムは共振周波数の値を分析して血管が灌流されているか否かを判定することができる。
【0032】
[0046]関連する実施形態では、開示されたシステムは、インピーダンスの多周波測定を行って、血管内の赤血球の存在を決定するだけでなく、その中の血球の濃度を推定することもできる。例えば、
図7は、血液の血清を表す流体媒体43に浸漬された一連の赤血球42a~42fを含む、この現象の図解を示す。細胞42a~42fおよび流体媒体43の両方は、上述のパッチによって行われるインピーダンス測定に影響を与える。しかしながら、破線40a~40cで示すように、比較的低い周波数の注入電流は細胞42a~42fの周囲を通過する。ここでは、細胞膜の容量は電流の通過を妨げる。これは、比較的低い周波数の注入電流が、静脈内の細胞外流体をサンプリングしやすく、したがってより感度が高いことを示している。逆に、実施形態では、実線41a~41bで示すように、比較的高い周波数の注入電流は、血液細胞膜の固有の容量を克服し、細胞42a~42fと流体媒体42の両方を通過することができる。このようにして、本明細書に記載のインピーダンス測定は、その中の血液量の準連続的な相対濃度を決定することもできる。実施形態では、そのような測定は、例えば、静脈内の部分的な灌流を判定するために、マイクロプロセッサによって作動するアルゴリズムと組み合わせることができる。
【0033】
[0047]
図8は、近赤外分光法(本明細書では「NIRS」)の測定を行う光学センサ51を含むパッチ13の代替的なバージョンを特徴とする別の実施形態を示す。この実施形態では、NIRS測定は、組織範囲、例えば皮膚弁の灌流を測定するために、上述のインピーダンス測定の代わりとして使用することができ、より好ましくは、パッチは相補的な測定としてインピーダンスおよびNIRSの両方を組み合わせる。本明細書に開示されるように、NIRS測定は静脈の上方に配置されたセンサを使用し、インピーダンス測定は静脈に直接縫合されたセンサを使用する。このようにして、NIRSは、インピーダンス測定によってサンプリングされる単一の特定の血管とは対照的に、比較的広範囲の皮膚弁に配置された複数の血管をサンプリングする。したがって、NIRSは、特定の血管における灌流とは対照的に、皮膚弁の全体的な灌流を判定するのにより効果的となり得る。
【0034】
[0048]実施形態では、NIRSは一般に、ヘモグロビンと、ミオグロビンと、酸素の利用可能性の変化に応答して近赤外光の可変吸収を示す他の化合物とを含むので、血液含有血管内の異なる深さにおける灌流を判定するのに有効であり得る。したがって、NIRS信号の分析は、下にある組織の2つのパラメータを得ることができる。
a.異なる深さの血流
b.組織酸素化および局所血液量の変化
【0035】
[0049]NIRSの間、血管内を脈動的に伝播する血液は、ベールの法則に従って入射赤外線の一部を吸収し、吸収の程度は、血管の断面幅と、血管中の光吸収血液の酸素化の程度とに依存する。灌流する血管は、近赤外線放射源から離れた1つまたは複数の光検出器によって測定されるような、対応する拍動波形(
図9に示すものと同様)をもたらす。実施形態では、異なる光波長で測定されたNIRS信号の分析により、下にある組織の異なる深さにおける灌流血管の存在、ならびに所与のセンサの下にある動脈、毛細血管、および静脈のヘモグロビン源を組み合わせた組織酸素化および局所酸素化総ヘモグロビン比(本明細書では「rSO
2」)が得られる。解剖学的には、いつでも、個々の組織セグメント内に含まれる血液は、一般に受け入れられている約20%の動脈、約75%の静脈、および約5%の毛細血管という血管分布で存在する。したがって、NIRSは、主に毛細血管以外の組織の酸素化情報を提供するので、局所的な組織灌流および酸素利用の代用推定値と考えることができる。
【0036】
[0050]再び
図8を参照すると、NIRS測定を行うためのパッチ13は通常、下にある血管、この場合は静脈25を含む皮膚弁などの組織範囲の表面27上に配置される。パッチ13内の光学システム51は、第1の赤外周波数(例えば、□□=700nm)で光放射を放出する第1の光源46a(例えば、発光ダイオード、本明細書では「LED」)と、第2の赤外周波数(例えば、□=950nm)で光放射を放出する第2の光源46bとを含む。実施形態では、両方の光源46a、46bから放射された照射は、バナナ型の軌跡で皮膚弁を通って伝播し、一部の照射は、実線の曲線矢印48a、49aで示すように比較的浅い深さを貫通し、他の照射は、破線の曲線矢印48b、49bで示すように、組織の比較的深い深さを貫通する。下にある組織(皮膚27、静脈25、および他の結合性間質組織など)からの光吸収や散乱などの要因によって、浸透の深さが決定される。
図8は、それぞれ、第1の光源46aおよび第2の光源46bからの光が1つの特定の静脈25を照らしているのを示す曲線矢印48a、48bおよび49a、49bを示すが、実際には、光源46a、46bは、下にある組織の静脈および動脈の集合を照らし、そうして、皮膚弁の灌流についての高レベルな概観がなされる。実施形態では、一対の横方向に離間した光検出器47a、47bが、第1の光源46aおよび第2の光源46bからの照射を検出し、最も近位の光検出器47aは比較的浅く透過する照射(実線の曲線矢印48a、49aで示される)を検出し、最も遠位の光検出器47bは比較的深く透過する照射(破線の曲線矢印48b、49bで示される)を検出する。通常、光検出器47a、47bは、光源46a、46bから20mm、25mm、30mm、35mm、または40mmなど、約20~40mm離間しており、離間距離が大きいほど、より深く透過する照射を検出することができ、したがって組織のより深くに配置された血管を検出することができる。20~40mmの離間距離は、通常、離間距離の約0.33~0.5、例えば1cm、2cm、3cmのような約1~3cmの透過深度のサンプリングを可能にする。
【0037】
[0051]実施形態では、パッチの電子モジュール18内の回路は、光源46a、46bおよび光検出器47a、47bの活性化を制御する。これにより、特定の赤外線波長に対応する各光検出器から時間依存アナログ電圧が得られる。上述のインピーダンス測定と同様に、電子モジュール18内のアナログ-デジタル変換器は、光検出器47a、47bから時間依存アナログ電圧を受信してデジタル化し、各光源46a、46bおよび各光検出器47a、47bに対応する一組の時間依存光波形(一般的には、「光電脈波」と呼ばれ、本明細書では「PPG」と呼ぶ)を生成する。このような波形は、その起点となる組織が灌流される場合、
図9に示す拍動インピーダンス波形と同様の形状を有する。この信号と同様に、PPG中の拍動成分の存在は、下にある組織中の血流を示し、逆に、PPG中の拍動成分の欠如は、灌流不良の組織を示す。
【0038】
[0052]さらなる実施形態では、マイクロプロセッサ上で作動するアルゴリズムは、拍動信号の大きさの比を比較して、下にある組織内の血液の相対的酸素化を決定することができる。このようなアルゴリズムは、従来のパルスオキシメータで使用されるものと同様であり、通常、単一の光検出器と、赤色(例えば、□□~650nm)および赤外(例えば□~900nm)スペクトル領域を中心とする光源とを特徴とする。NIRSでは、周知の吸収スペクトルに依存する当該技術分野で知られた技術を用いて、拍動信号の比を比較して、ヘモグロビン(本明細書では「Hb」)、酸素化ヘモグロビン(本明細書では「HbO2」)、および水(本明細書では「H2O」)を決定することができる。上述のように、これらのパラメータは、単独で、または本明細書に記載のインピーダンスシステムから測定されたパラメータと組み合わせて、下にある組織内の血管の灌流、ならびに血管内の血球の濃度を示すことができる。
【0039】
[0053]
図10Aおよび
図10Bは、それぞれ、パッチを制御するために使用される回路基板14の画像および写真を示す。図に示す回路基板14は、4層ガラス繊維/金属構造を備え、他の構成要素のうち、アナログ-デジタル変換器68、加速度計75、演算増幅器71a~71f、および電力レギュレータ72a~72bに取り付けられた、例えばはんだ付けされた、金属パッドを含む。より具体的には、実施形態では、演算増幅器71a~71dは、アナログハイパスフィルタとローパスフィルタとを備え、演算増幅器71e~71fおよび電力レギュレータ72a~72bは、回路基板14内の様々な構成要素の電力レベルを一括して調整する。実施形態では、加速度計75は、回路基板62の動きを測定し、そうすることで、回路基板が取り付けられている患者の身体のあらゆる部分の動きを測定する。例えば、パッチを装着した患者が動いているかどうかを判定するための加速度計75からの信号は、
図9に示すような時間依存波形における動き関連アーチファクトの存在を示し得る。アナログ-デジタル変換器68は、フィルタリングされた後のアナログインピーダンス波形および光波形をデジタル化し、16ビット分解能と200Kサンプル/秒(本明細書では「Ksps」)の最大デジタル化率を有するデジタル波形に変換する。
【0040】
[0054]実施形態では、回路基板14はさらに、外部システム(例えばLEDS、フォトダイオード)に接続する4ピンコネクタ69、2つの6ピンコネクタ77、78、および3ピンコネクタ79を支持する金属めっき孔のセットを含む。コネクタ79を介して、回路基板は、外部電源、例えばパッチ内に配置されたバッテリーから電力(+5Vと、+3.3Vと、アース)を受け取る。これらの電力レベルは、本開示の他の実施形態では異なっていてもよい。実施形態では、アナログ-デジタル変換器68からのデジタル信号および対応するアースは、コネクタ78で終端する。コネクタ77は、主にテストとデバッグの目的で使用され、特に、アナログインピーダンスおよび光信号が、アナログハイパスフィルタとローパスフィルタとを通過した後に、例えばオシロスコープなどの外部装置で測定できるようにする。
【0041】
[0055]実施形態では、回路基板14はさらに、アナログ-デジタル変換器68によってデジタル化されたデータを処理、記憶、および送信するための構成要素を備える。例えば、回路基板14は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または同様の集積回路を含むことができ、さらにパッチ用のアナログおよびデジタル回路を提供することができる。実施形態では、マイクロプロセッサまたはその上にあるマイクロコントローラは、光波形およびインピーダンス波形を処理するためにコンピュータコードを動作させて、バイタルサイン、例えばHR、または心拍変動(本明細書では「HRV」)、呼吸数(本明細書では「RR」)、血圧(本明細書では「BP」)、パルスオキシメトリ(本明細書では「SpO2」)、皮膚温度(本明細書では「TEMP」)、CO、SV、および患者の灌流状態に関連する他のパラメータ、などの他のパラメータを決定することができる。本明細書で使用する、このようなマイクロプロセッサによる「処理」は、コンピュータコードまたは同等の手法を使用して、波形および当該技術分野で知られているアルゴリズムを用いてそこから得られたパラメータおよび構築物を、(例えば、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、および/またはバンドパスフィルタを用いて)デジタル的にフィルタリングし、数学的に操作し、一般に処理および分析することを意味する。そのようなアルゴリズムの例には、以下の発行された特許に記載されているものが含まれ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。「NECK-WORN PHYSIOLOGICAL MONITOR」、米国特許第11,123,020号明細書、「NECKLACEーSHAPED PHYSIOLOGICAL MONITOR」、米国特許第11,141,072号明細書、「BODYーWORN SENSOR FOR characterizing patients with heart failure」、米国特許11,129,537号明細書。
【0042】
[0056]関連する実施形態では、回路基板は、マイクロプロセッサによる処理の前後いずれかに、時間依存波形と数値とを記憶するためのフラッシュメモリおよびランダムアクセスメモリの両方を備えることができる。さらに他の実施形態では、回路基板は、例えば無線ゲートウェイ、携帯電話、タブレットコンピュータ、および従来のコンピュータなどの遠隔システムに情報を送受信するためのBLUETOOTH(登録商標)および/またはWi-Fiトランシーバを備えることができる。
【0043】
[0057]
図11は、
図10に示す回路基板に含まれる、本開示によるインピーダンス測定を行うアナログ回路134を示す。図は、回路134の可能な一実施形態を示すに過ぎず、図に示すものとは異なる電気部品の設計および集合を用いるさらなる実施形態においても、同様の監視結果を達成することができる。
【0044】
[0058]回路134は、患者に関連する皮膚弁などの組織範囲に高周波低アンペア電流(I1)を注入する第1の電流注入電極領域138aを備える。これが電流源となる。実施形態では、電流ポンプ140は変調電流を供給し、変調周波数は通常5~500KHzであり、電流の大きさの平均は0.1mA~1mAである。電流ポンプ140は、第1の電流注入電極領域138aを通って70kHzで変調された電流を供給することが好ましい。実施形態では、第2の電流注入電極領域138bもまた、例えば患者の胸腔内に高周波低アンペア電流(I2)を注入し、第2の電流注入領域138bによって注入される電流は、第1の電流注入電極領域によって注入される電流(I1)に対して90度位相がずれている。
【0045】
[0059]実施形態では、感知電極領域142aおよび142bは、それぞれ伝搬電流I1およびI2によって遭遇する時間依存電圧を感知する。これらの検知電極領域は、図ではS1およびS2として示されている。オームの法則により、これらの感知電極領域142a、142bによって感知された電圧を注入電流の大きさで割ると、下にある血管内の血流に関連する時間依存抵抗(すなわちインピーダンス)が得られる。図の波形144で示されるように、時間依存抵抗は、通常「Z0」と呼ばれるパラメータによって特徴付けられる緩やかに変動するDCオフセットを特徴とし、これは注入電流によって遭遇するベースラインインピーダンスを示す。通常のインピーダンス測定の場合、これは例えば、その範囲内の脂肪、骨、筋肉、および血液量と共に、皮膚弁などの組織範囲内の流体量に依存する。Z0は、通常約10~約150Ωの値を有し、特にパッチが患者の胸部に装着されている場合、呼吸などの低周波時間依存処理の影響も受ける。そのような処理は、インピーダンスが測定する胸部領域付近の固有の容量に影響を及ぼし、波形144に示すような低周波起伏によって波形に現れる。比較的小さい(通常約0.1~0.5Ω)AC成分(本明細書では「Z(t)」)はZ0の上にあり、上記で詳細に説明したように、下にある血管内を伝播する心拍誘発血液によって引き起こされる抵抗の変化に起因する。Z(t)は、ハイパスフィルタで処理されて、上述のように、下にある血管内の灌流を判定するために最終的に処理される個々のパルス146の集合を特徴とするインピーダンス信号を形成する。
【0046】
[0060]実施形態では、第1の検知電極領域142a(S1)および第2の検知電極領域142b(S2)によって測定された電圧信号は、差動増幅器148に供給されて、電流ポンプ140の変調周波数(例えば、70kHz)に従って変調される単一の差動電圧信号を形成する。実施形態では、信号は次に復調器150に流れ、復調器もまた電流ポンプ140から搬送波周波数を受信して、インピーダンス測定のみに対応する信号成分を選択的に抽出する。差動増幅器148および復調器150の集合的な機能は、ACインピーダンス信号などの微弱信号をノイズから抽出するように設計された多くの異なる回路を使用して達成することができる。例えば、これらの構成要素を組み合わせて、明確に定義された搬送波周波数で発生する信号成分を選択的に増幅する「ロックイン増幅器」と同等のものを形成することができる。あるいは、信号および搬送波周波数は、1つまたは複数のダイオードを特徴とする回路を使用して、従来のAMラジオで使われるものとほぼ同じ方法で、デコンボリューションすることができる。
【0047】
[0061]復調信号の位相はまた、増幅処理中に位相調整構成要素152によって調整されてもよい。本開示によるセンサの実施形態では、上述のMAX30009チップセットをこの用途に使用することができる。後者の測定は、デジタル差動増幅、復調、および位相調整のための構成要素(インピーダンス測定に使用されるものなど)を用いて実行され、実施形態では、チップセットに直接集積されている。
【0048】
[0062]実施形態では、インピーダンス信号が抽出されると、インピーダンス信号は、Z0およびZ(t)信号から外来ノイズを除去する、回路134内の一連のアナログフィルタ154、156、158に流れる。第1のローパスフィルタ154(30Hz)は、信号を破損する可能性のある高周波ノイズ成分(例えば、60Hzの電力線成分)を除去する。Z0を示す、フィルタ154を通過する信号の一部は、アナログ-デジタル変換器160内の回路に直接移送される。信号の残りの部分は、ハイパスフィルタ156(0.1Hz)に供給され、個々のパルス146の形状に関与する高周波信号成分を通過する。次いで、この信号は、最終のローパスフィルタ158(10Hz)を通過して、高周波ノイズをさらに除去する。最後に、フィルタリングされた信号は、プログラマブル利得増幅器(PGA)162を通過し、1.65V基準を用いて、コンピュータ制御された利得で結果信号を増幅する。増幅された信号はZ(t)を示し、アナログ-デジタル変換器160の別の回路に移送され、Z0と共にデジタル化される。アナログ-デジタル変換器およびPGAは、上述のMAX30009チップセットに直接集積される。チップセットは、24ビットの分解能および生理的波形に適したサンプリングレート(例えば500Hz)で、Z0およびZ(t)などの波形を同時にデジタル化することができる。したがって、理論的には、この1つのチップセットで、差動増幅器148、復調器150、PGA162、およびアナログ-デジタル変換器160の機能を実行することができる。これらの複数の機能の実行を単一のチップセットに頼ることで、最終的にインピーダンス回路134のサイズと消費電力の両方が減少する。
【0049】
[0063]実施形態では、マイクロプロセッサ136は、SPIまたはI2Cインターフェースなどの従来のデジタルシリアルインターフェースを通じて、デジタル化されたZ0信号およびZ(t)信号を受信する。波形を実際の灌流の測定値に変換するためのアルゴリズムは、マイクロプロセッサ136によって実行される。マイクロプロセッサ136はまた、搭載された加速度計からデジタル動き関連波形を受信し、これらの波形を処理して、運動の程度/大きさ、動きの頻度、姿勢、活動レベルなどのパラメータを決定する。
【0050】
[0064]
図12Aから
図12Cは、上述したものと同様のインピーダンスセンサを用いて組織灌流を測定するための単一電極パッチ247を特徴とする本開示の別の実施形態を示す。電極パッチ247は、感知電極248a、248bおよび駆動電極249a、249bという4つの別個の電極を含む。電極パッチ247は、中央に開口部250を有する環状リングの形状である。環状リングの底面は、開口部250を取り囲む感知電極248a、248bおよび駆動電極249a、249bの両方を支持する。電極パッチ247は通常、例えば、3M社製のTEGADERM(登録商標)(https://www.3m.com/3M/en_US/p/c/b/tegaderm/i/health-care/medical/)と同様の伸縮性材料から構成され、感知電極248a、248bおよび駆動電極249a、249bは、例えば、伸縮性材料に一体化された導電性の湿潤または乾燥ハイドロゲルから構成される。測定中、電極パッチ247は、下にある組織内の血流を測定する装置265の主要構成要素を形成する円形の電池式回路基板257の底面259に接続する。回路基板257は、感知電極248a、248bに嵌合された第1組の電気接点260a、260bと、駆動電極249a、249bに嵌合された第2組の電気接点261a、261bとを特徴とする。電気接点260a、260bは、一般的に金属薄膜であり、使用中、ハイドロゲル電極248a、248b、249a、249bに電気的に接続する。実施形態では、測定中、上記で詳細に説明したように、接点261a、261bは、駆動電極249a、249bを介して患者の皮膚に交流を送信し、接点260a、260bは、対応する生体電気信号を回路基板257上のECGおよびインピーダンス回路に移送する。
【0051】
[0065]実施形態では、回路基板257上の個別の回路は、生体電気信号を処理(例えば、フィルタリングおよび増幅)して、それぞれアナログ時間依存ECG、インピーダンス、およびリアクタンス波形を生成する。次いで、これらをアナログ-デジタル変換器でデジタル化して、以後の処理に適したデジタル波形が得られる。回路基板257上で作動するマイクロプロセッサは、アルゴリズムを使用してこれらのタイプの波形を処理するコンピュータコードを実行、任意の関連する特徴(例えば、インピーダンス波形およびリアクタンス波形の信号レベル、ECG波形からの成分)を抽出し、次いでこれらを処理して、下にある組織内の血流、および灌流や他の疾患状態(不整脈など)を示す可能性のある患者の他の生理学的状態(例えば、HR、HRV、RR)を推定する。
【0052】
[0066]さらに、実施形態では、上述したように、回路基板257は、実施形態では、下にある組織のNIRS測定を行うために反射モード形状で動作する光源263および光検出器264の集合を特徴とする光学センサ262を備える。実施形態では、例えば、光源263の集合は、各々が異なる波長の照射を放射する光源(一般的には、LEDまたはレーザダイオード)の配列であってもよい。あるいは、光源263の集合は、可視、赤外および紫外のスペクトル全体にわたって波長の集合を放射する「白色」光源(例えば、多波長LEDまたはタングステンランプ)であってもよい。光検出器264の集合は、通常、単一のフォトダイオードまたはフォトダイオードの配列を備える。あるいは、下にある皮膚の空間画像を収集するように構成された撮像システムであり得る。例えば、実施形態では、CCDカメラは下にある皮膚の空間画像を収集するように構成することができる。
【0053】
[0067]実施形態では、電極パッチ247は、その底面に粘着層を有する発泡基材から構成される。感知電極248a、248bおよび駆動電極249a、249bは、通常は粘着性があり、導電性で、患者の皮膚に適合した電気インピーダンスを特徴とするハイドロゲル材料から一般的に作られる。電気トレースおよび接点は、通常、金属薄膜や導電性インクなどの導電性材料で構成される。実施形態では、電極はまた、金属(例えば、錫、銀、焼結Ag/AgCl、金、白金、ステンレス鋼)またはポリマー(例えば、添加剤入りゴム)で作られた乾式電極であってもよい。
【0054】
[0068]
図13は、例えば病院の臨床医が、血流を測定するパッチ12を装着した患者10を、どのように遠隔監視できるかを示す。このような実施形態は、例えば、自宅で回復している術後の患者の特性を示すために使用される。使用中、パッチ10は、本明細書に記載のように患者からの血流を測定し、患者12の灌流の程度を示す情報(矢印100で示す)を無線ゲートウェイ装置102に送信する。送信は通常、BLUETOOTH(登録商標)またはWi-Fiに基づく無線システムで行われる。無線ゲートウェイ装置102は、通常、パッチ12との無線通信を管理するダウンロード可能なソフトウェアアプリケーションを作動させる。パッチ12から情報を受信した後、無線ゲートウェイ装置102は、内部セルラネットワークまたはWi-Fiネットワークを介して、クラウドベースのシステム108に情報を送信する(矢印106で示す)。クラウドベースのシステム108は、通常、遠隔のデータセンタで動作するソフトウェアシステムである。実施形態では、クラウドベースのシステム108は、病院データ管理システム(または別のサードパーティソフトウェアシステム)の一部であり、ウェブサービスインターフェースなどのソフトウェアインターフェースを介して他のソフトウェアシステムと通信することができる。実施形態では、クラウドベースのシステム108からの情報がデータ分析システム112に送信され(矢印106で示す)、そこでソフトウェアアルゴリズムが患者からのパッチ生成情報を分析して、関心領域内の血流をより良く推定する。実施形態では、例えば、データ分析システム112は、従来の「決定木」論理に基づいたアルゴリズムを作動させて、患者の関心領域内の灌流を判定する。あるいは、データ分析システム112は、灌流の程度を推定するために、機械学習または人工知能に基づいたアルゴリズムを作動させてもよい。そのようなアルゴリズムは、パッチ12が複数の検知モダリティ、例えば本明細書に記載するような光学センサおよびインピーダンスセンサの両方を含む場合に、特に有用となり得る。
【0055】
[0069]開示された実施形態は、機械的ハウジングをさらに備えることができる。例えば、実施形態では、機械的ハウジングは、患者の身体に装着され、制御モジュール、プロセッサ、および送信機のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に囲むことができる。
【0056】
[0070]本開示のさらに他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0057】
[0071]市販製品/キット
[0072]本発明のシステムおよび装置は、本分野で行われる通常の工程、例えば適切な滅菌および包装工程によって、市販品として完成させることができる。本開示による材料は、使用まで無菌性を保持するように最終的に滅菌包装され、適切な容器(箱など)に(例えば、特定の製品情報リーフレットを追加して)包装することができる。
【0058】
[0073]さらなる実施形態によれば、開示されたシステムおよび装置は、所望の使用に必要な他の構成要素と組み合わせたキットの形態で提供することもできる。
【0059】
[0074]使用方法
[0075]開示された実施形態の使用方法は、開示されたシステムまたは装置を患者に貼付することを含むことができる。開示された実施形態は、システムまたは装置によって記録されたデータを監視すること、ならびに将来の分析のためにデータを記録することをさらに含むことができる。例えば、実施形態では、開示されたセンサは組織範囲に可逆的に貼付され、その範囲内の血液灌流の程度を決定する。例えば、乳房再建手術後に、開示されたセンサが皮膚弁に可逆的に貼付される。
【0060】
[0076]さらなる実施形態は、対象者の心血管の健康状態の変化を特定するために、血液灌流を経時的に監視することを含む。例えば、一実施形態では、患者は、開示されたセンサを毎月、脚などの予め定められた組織範囲に可逆的に取り付けて、組織灌流レベルの経時的な変化を測定する。
【0061】
[0077]以下の非限定的な実施例は、代表的な実施形態のより完全な理解を促進するために、例示目的でのみ提供される。この例は、本明細書に記載されたいずれの実施形態をも限定するものと解釈されるべきではない。
【0062】
[0078]実施例1
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、乳房再建手術を受けた患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。
【0063】
[0079]実施例2
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、大きな創傷を治療するために弁を配置した後、患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。
【0064】
[0080]実施例3
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、大きな火傷を治療するために弁を配置した後、患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0065】
[0081]実施例4
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、切断創傷を治療するために弁を配置した後、患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、BLUETOOTH(登録商標)およびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0066】
[0082]実施例5
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、切断創傷を治療するために弁を配置した後、患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは入院期間中装着され、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0067】
[0083]実施例6
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、乳房再建手術を受けた患者の「皮膚弁」組織範囲に貼付され、7日間その場所に留まる。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0068】
[0084]実施例7
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、手術後に「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは10日間、一日の決まった時間に断続的に装着され、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0069】
[0085]実施例8
術後血流の監視
開示された装着型血流システムは、手術後に「皮膚弁」組織範囲に貼付される。このシステムは30日間、一日の決まった時間に断続的に装着され、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、BLUETOOTH(登録商標)およびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0070】
[0086]実施例9
血流の監視
開示された装着型血流システムは、灌流データを収集する患者の組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0071】
[0087]実施例10
血流の監視
開示された装着型血流システムは、灌流データを30日間にわたり断続的に収集する患者の組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0072】
[0088]実施例11
血流の監視
開示された装着型血流システムは、灌流データを60日間にわたり断続的に収集する患者の組織範囲に貼付される。このシステムは、組織が適切に灌流されていることを示すリアルタイムの血流データを提供する。システムによって収集されたデータは、WiFiおよびウェブサービスインターフェースを介して、治療範囲内の灌流を評価する医師に送信される。
【0073】
[0089]開示された実施形態
[0090]実施形態1.血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
[0091]血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備えるインピーダンスシステムであって、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続される、インピーダンスシステムと、
[0092]インピーダンスシステムからのインピーダンス信号、またはインピーダンス信号から決定された信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【0074】
[0093]実施形態2.電流注入電極および信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性材料を含む、実施形態1に記載のシステム。
【0075】
[0094]実施形態3.電流注入電極および信号測定電極のうちの少なくとも1つが、再吸収性材料を含む、実施形態2に記載のシステム。
【0076】
[0095]実施形態4.電流注入電極および信号測定電極のうちの少なくとも1つが、導電性ポリマー、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびマンガンからなるグループから選択される材料を含む、実施形態3に記載のシステム。
【0077】
[0096]実施形態5.インピーダンスシステムが、電流注入電極および信号測定電極のうちの少なくとも1つに接続する身体装着型パッチをさらに備える、実施形態1に記載のシステム。
【0078】
[0097]実施形態6.身体装着型パッチが、インピーダンス回路を含む回路基板を備える、実施形態5に記載のシステム。
【0079】
[0098]実施形態7.回路基板が、ケーブルを介して電流注入電極および信号測定電極のうちの少なくとも1つに接続する、実施形態6に記載のシステム。
【0080】
[0099]実施形態8.ケーブルが導電性材料を含む、実施形態7に記載のシステム。
【0081】
[0100]実施形態9.ケーブルが再吸収性材料を含む、実施形態8に記載のシステム。
【0082】
[0101]実施形態10.ケーブルが、導電性ポリマー、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびマンガンからなるグループから選択される材料を含む、実施形態9に記載のシステム。
【0083】
[0102]実施形態11.インピーダンス信号が、時間領域波形である、実施形態1に記載のシステム。
【0084】
[0103]実施形態12.処理システムが、時間領域波形を処理して、1つまたは複数の心拍誘発パルスを測定するようにさらに構成される、実施形態11に記載のシステム。
【0085】
[0104]実施形態13.処理システムが、心拍誘発パルスを処理して、血管内の血流に関連するパラメータを決定するようにさらに構成される、実施形態12に記載のシステム。
【0086】
[0105]実施形態14.インピーダンスシステムが、血管の容量値を測定するようにさらに構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0087】
[0106]実施形態15.処理システムが、容量値を処理して、血管内の血流に関連するパラメータを決定するようにさらに構成される、実施形態14に記載のシステム。
【0088】
[0107]実施形態16.容量値が、血管に対応する共振周波数である、実施形態15に記載のシステム。
【0089】
[0108]実施形態17.インピーダンスシステムが、単一の周波数で血管に電流を注入するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0090】
[0109]実施形態18.インピーダンスシステムが、複数の固有の周波数で血管に電流を注入するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0091】
[0110]実施形態19.血管からの光信号を測定するように構成された光学システムをさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
【0092】
[0111]実施形態20.光学システムが、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを備える、実施形態19に記載のシステム。
【0093】
[0112]実施形態21.少なくとも1つの光源が、赤外スペクトル領域の光放射を放出するように構成される、実施形態20に記載のシステム。
【0094】
[0113]実施形態22.光学システムが、赤外スペクトル領域の光スペクトルを測定するようにさらに構成される、実施形態21に記載のシステム。
【0095】
[0114]実施形態23.加速度計をさらに備える、実施形態1に記載のシステム。
【0096】
[0115]実施形態24.処理システムが、加速度計からの動き関連信号を測定して、患者に対応する動きを決定するようにさらに構成される、実施形態23に記載のシステム。
【0097】
[0116]実施形態25.無線送信機をさらに備える、実施形態1に記載のシステム。
【0098】
[0117]実施形態26.無線送信機が、血管内の血流に関連するパラメータ、またはそれから導出されたパラメータを遠隔システムに送信するようにさらに構成される、実施形態25に記載のシステム。
【0099】
[0118]実施形態27.遠隔システムが、コンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、サーバ、およびクラウドベースのシステムからなるグループから選択される、実施形態26に記載のシステム。
【0100】
[0119]実施形態28.無線送信機が、BLUETOOTH(登録商標)、Wi-Fi、およびセルラープロトコルで動作する送信機からなるグループから選択される、実施形態25に記載のシステム。
【0101】
[0120]実施形態29.血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
[0121]血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受ける電気信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備える電気システムであって、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続される、電気システムと、
[0122]電気システムからの電気信号、または電気信号から決定された信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【0102】
[0123]実施形態30.血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
[0124]血管内に電流を注入するように構成された少なくとも1つの電流注入電極と、注入された電流および血管内の血流の影響を受けるインピーダンス信号を測定するように構成された少なくとも1つの信号測定電極とを備えるインピーダンスシステムであって、電流注入電極および信号測定電極が血管に直接接続される、インピーダンスシステムと、
[0125]光源と光検出器とを備える光学システムであって、光源が血管を光放射で照らすように構成され、光検出器が血管を照らした後の光放射を検出して光信号を生成するように構成される光学システムと、
[0126]インピーダンスシステムからのインピーダンス信号および光学システムからの光信号、またはそれから決定された信号を受信し、受信した信号をまとめて処理して血管内の血流に関連するパラメータを決定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【0103】
[0127]実施形態31.血管内の血流の特性を示すためのシステムであって、
[0128]インピーダンス回路を備える身体装着型パッチと、
[0129]血管に直接取り付けられ、インピーダンス回路に電気的に接続された電極システムと、
[0130]インピーダンス回路からの信号を受信し、受信した信号を処理して血管内の血流を推定するように構成された処理システムと、
を備える、血管内の血流の特性を示すためのシステム。
【0104】
[0131]実施形態32.前記血管が静脈または動脈である、実施形態1~31のいずれか1つに記載のシステム。
【0105】
[0132]実施形態33.実施形態1~32のいずれか1つに記載のシステムを血流が測定される範囲に適用するステップを含む、血管内の血流の特性を示すための方法。
【0106】
[0133]最後に、本明細書の態様は、特定の実施形態を参照することによって強調されているが、当業者は、これらの開示された実施形態は、本明細書に開示された主題の原理の例示に過ぎないことを容易に認識するであろうことを理解されたい。したがって、開示された主題は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル、および/または試薬などに決して限定されないことを理解されたい。このように、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、開示された主題に対する様々な修正または変更、あるいは代替的な構成を行うことができる。最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ定義される本開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本開示の実施形態は、正確に図示および説明されたものに限定されない。
【0107】
[0134]本明細書に記載の方法および装置を実行するための、本発明者に公知の最良の態様を含む特定の実施形態を本明細書に記載する。当然ながら、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形例は当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、適用法によって許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、上記の実施形態のあらゆる可能な変形例の任意の組合せが本開示に包含される。
【0108】
[0135]本開示の代替的な実施形態、要素、または工程のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。グループの各要素は、個別に、または本明細書に開示される他のグループの要素と任意に組み合わせて、参照および特許請求することができる。利便性および/または特許性の理由から、グループの1つまたは複数の要素がグループに含まれてもよいし、グループから削除されてもよいことが予想される。そのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含むものとみなされ、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記載を満たすことになる。
【0109】
[0136]別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される特徴、項目、量、パラメータ、特性、期間などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、その特定の特徴、項目、量、パラメータ、特性、または期間が、記載された特徴、項目、量、パラメータ、特性、または期間の値の上下にプラスマイナス10%の範囲を包含することを意味する。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値表示は少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、通常の四捨五入の手法を適用することによって解釈されるべきである。本開示の広い範囲を示す数値範囲や値は近似値であるにもかかわらず、具体例で示される数値範囲や値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、どのような数値範囲や値も、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の数値範囲の記載は、単に、その範囲に含まれるそれぞれの別個の数値を個別に参照するための略記法としての役割を意図したものである。本明細書において別段の指示がない限り、数値範囲の個々の値はそれぞれ、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0110】
[0137]本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」および同様の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な文言(例えば、「~のような」)の使用は、単に本開示をより良く説明することを意図したものであり、特許請求される範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる文言も、本明細書に開示された実施形態の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0111】
[0138]本明細書で開示される特定の実施形態は、~からなるという文言、または、本質的に~からなるという文言を用いて、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲において使用される場合、出願時のものであれ、補正により追加されたものであれ、「~からなる」という移行用語は、特許請求の範囲に明記されない要素、工程、または成分を除外する。「本質的に~からなる」という移行用語は、特許請求の範囲を、特定の材料または工程、ならびに基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。このように特許請求される本開示の実施形態は、本明細書に本質的または明示的に記載され、可能にされる。
【国際調査報告】