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特表2024-547076解剖学的構造の既知の位置を使用した超音波プローブの方向付け
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】解剖学的構造の既知の位置を使用した超音波プローブの方向付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537130
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2022060766
(87)【国際公開番号】W WO2023118994
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/555,836
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン・アンドレス・クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】イラン・イド
(72)【発明者】
【氏名】ジブ-アリ・モリス
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD15
4C601EE07
4C601EE09
4C601FE01
4C601FE04
4C601GA19
4C601GA25
4C601JC06
4C601KK31
(57)【要約】
方法は、患者の臓器の内部で、超音波トランスデューサアレイを含むカテーテルを操作して、臓器の少なくとも一部の超音波画像を取得することを含む。臓器内又はその近くの1つ以上のそれぞれの基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置が特定される。超音波画像は、特定された基準解剖学的構造を示す注釈が付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療撮像システムであって、
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
患者の臓器の内部又はその近くの超音波カテーテルによって生体内で取得された前記臓器の少なくとも一部の超音波画像を受信し、
前記臓器内又はその近くの1つ以上の基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置を特定し、
前記特定された基準解剖学的構造を示す注釈を用いて、前記超音波画像に注釈を付ける、
ように構成されている、医療撮像システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数の基準解剖学的構造を撮像する間に前記カテーテルが位置決めされる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録することによって、前記基準位置を特定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、位置追跡システムを用いて前記カテーテル位置を測定することによって、前記カテーテル位置を記録するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、超音波画像と位置合わせされて表示される解剖学的マップに注釈を付け、前記解剖学的マップ上の前記注釈を使用して前記超音波画像に注釈を付けることによって、前記超音波画像に注釈を付けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記解剖学的マップは、前記超音波画像が取得されるのと同じ侵襲的処置中に取得される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記カテーテルによって取得された超音波画像にリアルタイムで注釈を付けることによって、前記超音波画像に注釈を付けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記注釈を使用して、前記カテーテルを位置決めし直して、前記臓器の標的解剖学的構造を撮像することを推奨するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記臓器の幾何学的モデルに対する前記カテーテルの標的位置を計算することによって前記カテーテルを位置決めし直すことを推奨するように構成され、前記モデルは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との相対位置を指定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との間の既知の相対的位置及び相対的向きに基づいて、前記標的解剖学的構造に対する前記カテーテルの相対的位置及び相対的向きを推定することによって、前記カテーテルを位置決めし直すことを推奨するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記カテーテルを変位させること及び前記カテーテルを回転させることのうちの少なくとも1つを推奨するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記臓器が、心臓である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記1つ以上の基準位置及び前記臓器の一般的に既知の解剖学的構造を使用して、追加のランドマーク位置の相対的位置を予測するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記臓器の解剖学的構造の相対的な既知の位置及び予測された位置に付けられたラベルを含む抽象ラベリングマップを生成及び提示することによって、ランドマーク位置を予測するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
カテーテルの超音波トランスデューサアレイから患者の臓器の少なくとも一部の超音波画像を受信することと、
前記臓器内又はその近くの、1つ以上の基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置を特定することと、
前記特定された基準解剖学的構造を示す注釈を用いて、前記超音波画像に注釈を付けることと、
を含む方法。
【請求項15】
前記基準位置を特定することは、前記複数の基準解剖学的構造を撮像する間に前記カテーテルが位置付けられる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテル位置を記録することは、位置追跡システムによって前記カテーテル位置を測定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記超音波画像に注釈を付けることは、超音波画像と位置合わせされて表示される解剖学的マップに注釈を付けることと、前記超音波画像に注釈を付けるために、前記解剖学的マップ上の前記注釈を使用することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記解剖学的マップは、前記超音波画像が取得されるのと同じ侵襲的処置中に取得される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波画像に注釈を付けることは、前記カテーテルによって取得された超音波画像にリアルタイムで注釈を付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記注釈を使用して、前記カテーテルを位置決めし直して、前記臓器の標的解剖学的構造を撮像することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記カテーテルを位置決めし直すことは、前記臓器の幾何学的モデルに対する前記カテーテルの標的位置を計算することを含み、前記モデルは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との相対位置を指定する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記カテーテルを位置決めし直すことは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との間の既知の相対的位置及び相対的向きに基づいて、前記標的解剖学的構造に対する前記カテーテルの相対的位置及び相対的向きを推定することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記超音波カテーテルを位置決めし直すことは、前記カテーテルを変位させること及び前記カテーテルを回転させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記臓器が、心臓である、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の基準位置及び前記臓器の一般的に既知の解剖学的構造を使用してランドマーク位置を予測することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
ランドマーク位置を予測することは、前記臓器の解剖学的構造の相対的な既知の位置及び予測された位置に付けられたラベルを含む抽象ラベリングマップを生成及び提示することを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、体内医療用プローブに関し、特に、医療用超音波(ultrasound、US)プローブを用いた解剖学的構造の撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
実際には、超音波を使用して処置を行う医師が、臓器の解剖学的構造に対する超音波プローブの視野(field of view、FOV)の向きを理解することは困難であることが多い。この問題は、2D画像スライス及び3D画像(4D USの場合)に対して存在し得る。医師は、関心領域(region of interest、ROI)を見るために空間内でプローブの位置及び回転をどのように調整するのが最善であるかを直感的に理解できない場合がある。
【0003】
医療用超音波プローブを用いて臓器を撮像するための様々な方法が提案されている。例えば、米国特許第7,604,601号は、位置センサ及び超音波撮像センサを有するカテーテルを含む、患者の身体を撮像するための医療撮像システムを説明している。位置センサは、患者の体内での、カテーテルの一部の位置情報を示す電気信号を送信し、超音波撮像センサは、患者の体内の標的に超音波エネルギーを送信し、患者の体内の標的から反射された超音波エコーを受信し、患者の体内の標的から反射された超音波エコーに関連する信号を送信する。位置決めプロセッサは、カテーテルに動作可能に接続され、位置センサによって送信された電気信号に基づいて、カテーテルの部分の位置情報を決定する。システムはまた、ディスプレイと、カテーテル、位置決めプロセッサ、及びディスプレイに動作可能に接続された画像プロセッサと、を含む。画像プロセッサは、位置センサから導出される位置情報に基づいて、患者の身体内のカテーテルの部分の向きと同じ向きで、カテーテルのアイコンをディスプレイ上に表示する。画像プロセッサはまた、超音波センサによって送信された信号に基づいて標的の超音波画像を生成し、位置センサから導出された位置情報に基づいて、患者の体内のカテーテルの部分の向きと同じ向きで、生成された超音波画像をディスプレイ上にリアルタイムで描写する。
【0004】
別の一例として、米国特許第6,711,429号は、体内での医療処置中に、身体の少なくとも1つの関心点を表示するシステム及び方法を記載している。この方法は、(a)身体の位置を確定することと、(b)身体の少なくとも一部を撮像するための撮像器具の位置を確立することと、(c)撮像機器の投影面に関連する少なくとも1つの投影面を定義することと、(d)身体の少なくとも1つの関心点を取得することと、(e)少なくとも1つの投影面上に少なくとも1つの関心点を投影することと、により実現されるが、その結果、その処置の過程において、身体及び撮像器具の位置が既知であり、それにより、身体及び撮像器具の相対的な位置が変化する場合であっても、少なくとも1つの関心点が、少なくとも1つの投影面上に投影可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、体内の関心領域(ROI)を撮像するプロセスを誘導及び/又は自動化するための、より高速で、より直観的で、かつ正確なモードが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に説明される本発明の一実施形態は、超音波トランスデューサアレイを含むカテーテルを、患者の臓器内部で操作して、臓器の少なくとも一部の超音波画像を取得することを含む方法を提供する。臓器内又はその近くの1つ以上のそれぞれの基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置が特定される。超音波画像は、特定された基準解剖学的構造を示す注釈が付けられる。
【0007】
いくつかの実施形態では、基準位置を特定することは、複数の基準解剖学的構造を撮像する間にカテーテルが位置決めされる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテル位置を記録することは、位置追跡システムによってカテーテル位置を測定することを含む。
【0009】
一実施形態では、超音波画像に注釈を付けることは、超音波画像と位置合わせされて表示される解剖学的マップに注釈を付けることと、解剖学的マップ上の注釈を使用して超音波画像に注釈を付けることとを含む。
【0010】
別の一実施形態において、解剖学的マップは、超音波画像が取得されるのと同じ侵襲的処置中に取得される。
【0011】
いくつかの実施形態では、超音波画像に注釈を付けることは、カテーテルによって取得された超音波画像にリアルタイムで注釈を付けることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は更に、注釈を使用することと、カテーテルを位置決めし直して、臓器の標的解剖学的構造を撮像することを含む。
【0013】
他の実施形態では、カテーテルを位置決めし直すことは、臓器の幾何学的モデルに対するカテーテルの標的位置を計算することを含み、モデルは、基準解剖学的構造と標的解剖学的構造との相対位置を指定するものである。
【0014】
一実施形態では、カテーテルを位置決めし直すことは、基準解剖学的構造と標的解剖学的構造との間の既知の相対的位置及び相対的向きに基づいて、標的解剖学的構造に対するカテーテルの相対的位置及び相対的向きを推定することを含む。
【0015】
別の一実施形態では、超音波カテーテルを位置決めし直すことは、カテーテルを変位させること及びカテーテルを回転させることのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、臓器は心臓である。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は更に、1つ以上の基準位置及び臓器の一般的に既知の解剖学的構造を使用して、ランドマーク位置を予測することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ランドマーク位置を予測することは、臓器の解剖学的構造の相対的な既知の位置及び予測された位置に付けられたラベルを含む抽象ラベリングマップを生成及び提示することを含む。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、カテーテル及びプロセッサを含むシステムが追加的に提供される。超音波トランスデューサアレイを含むカテーテルは、患者の臓器の少なくとも一部の超音波画像を取得するために、臓器内部で操作されるように構成される。プロセッサは、(i)臓器内又はその近くの1つ以上の基準解剖学的構造の1つ以上のそれぞれ対応する基準位置を特定し、(ii)特定された基準解剖学的構造を示す注釈で、超音波画像に注釈を付けるように構成される。
【0020】
本明細書に開示される方法及びシステムは、2D又は4D超音波システムと共に使用するために採用され得るということに留意されたい。「4D超音波カテーテル」という用語は、超音波トランスデューサの2Dアレイを組み込んだカテーテルを指す。「4D超音波画像」という用語は、2Dアレイによって取得された特定の立体の3D超音波画像の時系列を指す。4D画像は、第4の次元が時間である3D動画とみなすことができる。4D画像(又はレンダリング)を説明する別の方法は、時間依存型3D画像(又はレンダリング)としてのものである。心臓に使用される場合、4D超音波カテーテルは、「4D心腔内心エコー法(Intracardiac Echocardiography、ICE)」カテーテルと呼ばれることがある。
【0021】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による、超音波アレイと、位置センサとを備える遠位端アセンブリを備えたカテーテルを使用する、カテーテルベースの超音波撮像システムの概略描写図である。
図2】本発明の一実施形態による、解剖学的構造の既知の位置を使用して超音波ファンを方向付ける第1の方法を概略的に説明するフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による、解剖学的ランドマークの位置を予測する際に使用される、図1に見られる右心房の自動的に更新された抽象ラベリングマップの概略描写図である。
図4】本発明の一実施形態による、図1のシステムによってリアルタイムで取得された超音波画像上の、基準解剖学的構造に注釈を付ける際に使用される解剖学的マップの概略描写図である。
図5】本発明の一実施形態による、解剖学的構造の既知の位置を使用して超音波ファンを方向付ける第2の方法を概略的に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
概要
本明細書に記載される本発明の実施形態は、選択された標的解剖学的構造の超音波画像を生成するための、超音波トランスデューサのアレイを有する、例えばカテーテルなどのプローブを使用する方法及びシステムを提供する。
【0024】
開示される実施形態では、プロセッサ又はユーザは、選択された標的解剖学的構造を撮像するために医師(又はロボット)がカテーテルの超音波アレイを操作する必要がある位置及び/又は向きを推定するために、カテーテルによって遭遇される解剖学的構造、又はカテーテルによって撮像される、かつ/又は解剖学的マップ上で識別される構造の既知の位置及び/又は向きを使用する。
【0025】
それでもなお、カテーテルによって遭遇される情報は、部分的(不完全)であり、一例では、開示される技法は、ユーザに、予測に基づいて、オンザフライでそれを完成させる。予測は、既知の心臓の一般的な解剖学的構造に基づく。ユーザがカテーテルを前進/移動させるにつれて、ユーザは、いくつかの解剖学的構造を識別し、次いで、ユーザが識別したものに基づいて、追加の解剖学的構造の位置を推測することができる。このプロセスは、例えば、臓器の解剖学的特徴の既知の位置及び予測される位置のラベルを用いて、臓器の超音波スキャンを実行するユーザに与えられる自動的に更新された抽象的なラベリングマップの形式で明示される。このマップにおいて、ラベルは、実際の解剖学的ランドマークの予想される相対位置に従って配置され、予測される相対位置は、超音波カテーテルの前進と共に漸進的により正確になる。したがって、臓器の実際の解剖学的構造を示す各撮像ステップは、図3に示されるように、撮像を実行する医師が、超音波カテーテルをそのような予測位置にナビゲートするのを支援する。
【0026】
その際に、開示された技術は、様々な解剖学的構造の相対的な空間的配置を含む、心臓の一般的な解剖学的構造(又は他の関連する解剖学的構造)が既知であり、異なる患者について類似しているということに依存する。追加的又は代替的に、関連する解剖学的構造の解剖学的モデルが利用可能であるべきであり、例えば、高速解剖学的モデル(fast anatomical model、FAM)が、解剖学的構造(例えば、心臓)の解剖学的ランドマークの相対的な空間配置がそのモデルを参照することによって、既知であるように生成されるべきである。したがって、心臓の座標系に対するカテーテルの位置(すなわち、位置及び向き)が分かると、標的である任意の解剖学的構造を撮像するようにカテーテルを移動及び/又は配向させることが可能である。プローブを配向させることは、手動で行われてもよく、又はロボット制御によって自動化されてもよい。
【0027】
この目的のために、プロセッサは、リアルタイムで取得された超音波画像に、基準となる(例えば、ランドマークとなる)解剖学的特徴を注釈付けする。注釈に基づいて、超音波プローブは、任意の所望の解剖学的構造に対して、手動で又は自動的に配向され得る。注釈を行うために、以下に開示する2つの例示的な方法を使用することができる。それらの一方又は両方を一緒に使用してよい。両方の方法(全体又はその一部)を組み合わせることにより、改善された結果、例えば、より高い精度が実現され得る。典型的には、プロセッサは、リアルタイム超音波(US)画像上に、注釈を表示する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の方法は以下のステップを含む:
1.カテーテルプローブが身体を通って目的の臓器に移動するにつれて、ランドマークとなる解剖学的特徴の位置に関する情報を、漸進的に収集するステップ。それらのランドマークは、医師によってマークされてもよく、かつ/又は自動的に検出されてもよい。例示的な心臓関連ランドマークとしては、胸骨、上大静脈、下大静脈、三尖弁が挙げられる。
2.同時に、3D空間におけるプローブの動きに関する情報を収集するステップ。
3.任意選択的に、収集した情報に基づいて、予測を使用して追加のランドマークの位置を特定するステップ。予測は、自動化されたプロセスであってもよい。
4.検出されたランドマークで、リアルタイム超音波(US)画像に注釈を付けるステップ。
5.超音波(US)画像上のランドマークとなる解剖学的特徴の位置及びカテーテルの既知の移動経路に基づいて、臓器内のカテーテルの向きを決定するステップ。
6.任意選択的に、カテーテルを所望の構造、例えば卵円窩に対して配向させるステップ。配向させることは、ロボット制御によって自動化されてもよい。任意選択的に、配向させることは、カテーテルを移動させる方法に関する命令を受信することに基づいて、半自動化されてもよい。配向させることは、注釈付きリアルタイム超音波(US)画像の表示に基づいて、手動で行われてもよい。
【0029】
例えば、一次元(1D)又は二次元(2D)の超音波アレイを有する超音波カテーテルを操作する心臓専門医師が、(典型的には、経中隔穿刺を行う前に)卵円窩を撮像したいと仮定する。医師は、下大静脈(IVC)を通してカテーテルを挿入する。カテーテルが下大静脈(IVC)内にあるとき、医師は、下大静脈(IVC)を識別し、その位置及び/又は向きをマークする。カテーテルが電極を有し、高度現在位置(advanced current location、ACL)追跡システムが実装されている場合、識別は自動的であってもよい。
【0030】
次いで、医師は、カテーテルが別の構造、この例では上大静脈(SVC)を撮像するまで、カテーテルを前進させる。これはまた、カテーテルに対する上大静脈(SVC)の位置及び/又は向きが分かるように、医師によって記録される。一実施形態では、医師は、例えば、基準向きを有するものとして上大静脈(SVC)を記録する。
【0031】
下大静脈(IVC)及び上大静脈(SVC)の位置及び/又は向きが記録され(例えば、座標としてプロセッサによって記録され、視覚的ユーザインターフェース上又はマップ上にタグ付けされ)ると、心臓内のカテーテルの(下大静脈(IVC)及び上大静脈(SVC)に対する)位置及び/又は向きが既知のものとなり、したがって、カテーテルの超音波ビームが、任意の所望の解剖学的構造(例として卵円窩であると仮定される)を撮像することができるように位置付けられ、かつ/又は配向されるための十分な情報が存在することとなる。(カテーテルは、自動で又は手動で配向され得る。)
【0032】
上記の説明は、2つの心臓構造(下大静脈(IVC)及び上大静脈(SVC))のみが、カテーテルを並進及び/又は配向させるために使用されるということを仮定している。これらの2つの構造が不十分である(例えば、それらが十分に画定されていない、又はそれらの位置及び/又は向きに、比較的大きな誤差がある)場合、例えば右心房の内側の、任意の他の容易に識別される構造(例えば、三尖弁)が使用されてもよい。
【0033】
本明細書で説明されるシステムは、他の心臓構造、例えば、特定の肺静脈、左心耳、及び左心室又は右心室を撮像するために使用されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2の方法は以下のステップを含む:
1.解剖学的マッピング(いくつかの実施形態では、高速解剖学的マッピング(FAM))を、(例えば、少数のデータ点/輪郭を取得することによって)実行して、識別されたキーとなる解剖学的特徴を有する心臓の少なくとも一部のモデルを構築するステップ。高速解剖学的マッピング(FAM)は、通常、以下で説明するように、超音波(US)画像が取得されるセッションと同じセッションで実行される。
2.位置合わせを実行して、超音波(US)画像内の画像ピクセル(又は3D/4D超音波(US)画像の場合はボクセル)の座標を、解剖学的マップの座標に関連付けるステップ。
3.解剖学的モデルが、リアルタイム超音波(US)画像と同じ視野(FOV)で同じ向きで表示されるように、超音波リアルタイム画像をモデルと並べて示すステップ。
4.解剖学的マップ、リアルタイム画像、又はその両方に注釈を付けて、高速解剖学的マッピング(FAM)から決定されたキーとなる解剖学的特徴の位置を示し、注釈付きの超音波(US)画像をユーザに表示するステップ。
5.任意選択的に、カテーテルを、所望の構造、例えば卵円窩に対して配向させるステップ。
【0035】
いくつかの実施形態では、超音波(US)カテーテルはまた、超音波アレイと事前に位置合わせされた、例えば磁気位置センサなどの、一体型の位置センサを備える。アレイは、ファン形状又は扇形の超音波ビームを生成し、したがって、例えば心臓腔などの臓器の、解剖学的構造を撮像することができる。一体型の位置センサにより、カテーテル及び解剖学的構造のボクセルの空間座標(例えば、位置及び/又は向き)は既知のものとなる。そのような実施形態では、プロセッサは、センサを使用した追跡システムから、カテーテルの位置及び/又は向きを受信する。プロセッサは、解剖学的構造が超音波アレイによって視覚化されるときに座標を選び出して、基準位置及び/又は向きを生成し、ユーザがカテーテルを、標的となる解剖学的構造、例えば、医師が撮像することを必要とする解剖学的構造を、撮像するために必要とされる所定の位置に持って来る(例えば、変位又は配向させる)ようにする。
【0036】
いくつかの実施形態では、超音波撮像方法が提供され、その方法は、(a)臓器の複数の基準解剖学的構造を撮像するように、患者の臓器の内側で、超音波トランスデューサアレイを備えるカテーテルを操作するステップと、(b)複数の基準解剖学的構造を撮像する間にカテーテルが位置決めされる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録するステップと、(c)(i)基準解剖学的構造のアイデンティティ、及び(ii)基準解剖学的構造を撮像する間のそれぞれの記録されたカテーテル位置に基づいて、臓器の標的解剖学的構造を撮像するようにカテーテルを位置決めし直すステップと、を含む。
【0037】
一実施形態では、カテーテルを位置決めし直すことは、臓器の幾何学的モデルに対するカテーテルの標的位置を計算することを含み、モデルは、基準解剖学的構造と標的解剖学的構造との相対位置を指定するものである。例えば、幾何学的モデルは心臓の少なくとも一部のものである。
【0038】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、超音波アレイ65と位置センサ67とを備える遠位端アセンブリ60(挿入図25に図示)を有するカテーテル21を使用する、カテーテルベースの超音波撮像システム20の概略描写図である。超音波アレイ65は、2D又は3D超音波画像を生成するために、それぞれ1D又は2Dであり得る。一体型位置センサ67は、カテーテル21のアレイ65とあらかじめ位置合わせされている。
【0039】
具体的には、センサ67は、臓器内の超音波トランスデューサアレイ65の位置及び向きを示す信号を出力するように構成されている。システムのプロセッサは、センサの信号出力を使用して、超音波トランスデューサアレイ65に対して様々な向きに配向された、それぞれ対応する解剖学的構造の1つ以上の超音波画像を取得するように構成されている。
【0040】
図に見られるように、遠位端アセンブリ60は、カテーテルのシャフト22の遠位端に取り付けられている。シャフト22は、シース23を通して、手術台29上に横たわる患者28の心臓26内に挿入される。シャフト22の近位端は、制御コンソール24に接続されている。
【0041】
医師30は、下大静脈(IVC)43を介して、カテーテル21の遠位端アセンブリ60をナビゲートして、(典型的には、経中隔穿刺を行う前に)卵円窩48を撮像する。下大静脈(IVC)43内にあるとき、下大静脈(IVC)は医師によって識別される。カテーテルが電極を有し、ACL(高度現在位置特定)システムが実装されている場合、識別は自動的であってもよい。
【0042】
挿入図25に図示されるように、次に、遠位端アセンブリ60は、アレイ65が、本明細書では上大静脈(SVC)44であると想定される別の構造を撮像するまで、右心房42の内側に前進させられる。これは、医師によって記録され、カテーテルに対する上大静脈(SVC)44の向きが既知となる。向きが記録されると、心臓内のカテーテルの、(上大静脈(SVC)44及び下大静脈(IVC)43に対する)位置及び向きが既知となる。したがって、カテーテルの超音波ファンが、任意の所望の構造に配向される(ここでは卵円窩48に向かっていると想定される)ために、十分な情報が存在することとなる。(カテーテルは、自動で又は手動で配向され得る。)
【0043】
この目的のために、一実施形態では、ユーザ又はプロセッサは、識別された構造にタグを付け、配向のための必要な計算を実行する。その結果、プロセッサは、カテーテルをどこに配置させ、どの向きに配向させるかを推奨することができる。プロセッサの推奨に基づいて、又はユーザが敢えて既知の向きを使用して、プロセッサ又はユーザは、示唆された位置及び向きに、ファンアイコンを配置することができる。
【0044】
超音波アレイを必要な向きに回転させるために、医師は、例えば、カテーテルの近位端の近くのマニピュレータ32を使用することができる。
【0045】
上記の説明は、2つの心臓構造(下大静脈(IVC)及び上大静脈(SVC))のみが、カテーテルを配向させるために使用されると仮定している。これらの2つの構造が不十分である(例えば、それらが十分に画定されていない、又はそれらの向きに比較的大きな誤差がある)場合、任意の他の容易に識別される構造(例えば、三尖弁47又は右心房42の他の基準(例えば、ランドマーク)となる解剖学的特徴)が使用されてもよい。
【0046】
本明細書で説明されるシステムは、他の構造、例えば、心房間の隔壁50、特定の肺静脈55及び左心房45、左心房付属器57、並びに左心室又は右心室を撮像するために使用されてもよい。
【0047】
制御コンソール24は、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ41を含み、そのプロセッサ41は、カテーテル21から信号を受け取るための好適な、フロントエンド回路及びインターフェース回路38を有する。コンソール24はまた、磁場発生器36を駆動するように構成されたドライバ回路34を備える。心臓26における遠位端部22のナビゲーション中に、コンソール24は、外部の磁場発生器36からの磁場に応じて、位置センサ52から位置信号及び方向信号を受信する。磁場発生器36は、患者28の外部の既知の位置、例えば、患者が横たわっている台29の下に配置されている。これらの位置信号及び方向信号は、位置追跡システムの座標系における、超音波アレイ65の位置及び方向を示す。
【0048】
外部磁場を使用する位置及び向きの感知方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Websterにより製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号、及び同第2004/0068178号に詳細に記述されており、それらの開示は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
撮像された標的となる解剖学的構造(例えば、右心房42の部分、又は肺静脈55口などの左心房45の部分)は、プロセッサ41によってモニタ27上で、例えば立体レンダリング33として医師30に提示される。
【0050】
本明細書に記載の実施形態では、カテーテル21は、超音波ベースの診断目的のために使用されるが、カテーテルは、例えば、遠位端に配設されている1つ以上の電極(不図示)を使用して、心臓26内の組織の電気的感知及び/又はアブレーションを行うために更に使用することができる。
【0051】
プロセッサ41は、本明細書に記載される機能を実施するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形式でコンピュータのメモリ35にダウンロードされてもよく、或いは、代替的又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は格納されてもよい。特に、プロセッサ41は、図2に含まれている本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実行し、これは、以下で更に記載のように、プロセッサ41が本開示のステップを行うことを可能にする。
【0052】
図1に示される例示的な構成は、単に概念を明確化する目的で選択される。開示された技術は、別の静脈又は動脈を介するなど、下大静脈(IVC)43を通る以外のカテーテルアクセスを使用して同様に適用され得る。
【0053】
解剖学的構造の既知の位置を使用して超音波ファンを方向付ける第1の方法
図2は、本発明の一実施形態による、解剖学的構造の既知の位置を使用して、超音波ファン(例えば、図1のアレイ65によって生成される)を方向付ける方法を概略的に説明するフローチャートである。本実施形態によれば、アルゴリズムは、標的撮像受信ステップ202において、プロセッサ41が、カテーテル21を使用して撮像される標的となる解剖学的構造を、(例えば、医師30から)受信することから始まるプロセスを実行する。
【0054】
次に、医師は、第1の撮像ステップ204において、アレイ65が第1の基準解剖学的構造(例えば、下大静脈(IVC)43)を撮像することができるように、超音波カテーテル21を操作する。
【0055】
プロセッサ又はユーザは、第1の記録ステップ206において、カテーテルのそれぞれの第1の座標(これらは、アレイの位置及び/又は向きであり得る)を記録する。
【0056】
次に、医師は、第2の撮像ステップ208において、アレイ65が第2の基準解剖学的構造(例えば、上大静脈(SVC)44)を撮像することができるように、超音波カテーテル21を操作する(例えば、遠位方向に進める)。
【0057】
プロセッサ又はユーザは、第2の記録ステップ210において、カテーテルのそれぞれの第2の座標(これらは、アレイの位置及び/又は向きであり得る)を記録する。
【0058】
最後に、撮像ステップ212において、記録された座標を使用して、医師は、アレイ65が標的解剖学的構造(例えば、上窩48)を撮像することができるように、超音波カテーテルを操作する。
【0059】
図2に示されている例示的なフローチャートは、純粋に概念を明確にする目的で選択されたものである。例えば、第3の基準解剖学的構造を撮像するなどの、追加のステップが実行されてもよい。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態による、図1に見られる右心房42の自動的に更新された抽象ラベリングマップ310の概略描写図であり、ラベリングマップは、すでにマッピングされた位置及び一般的な解剖学的構造に基づいて、解剖学的ランドマークの位置を予測する際に使用される。初期ラベリングマップ310において、ラベル312は、右心房42内への、下大静脈(IVC)入口の既知の位置、すなわち超音波プローブで観察された位置を示す。ラベル312及び一般的に既知の心臓の解剖学的構造に基づいて、プロセッサ28は、マップ310に、上大静脈(SVC)44、卵円窩48、及び三尖弁47の予測されたランドマーク位置のラベル314を追加する。
【0061】
超音波カテーテルが三尖弁を撮像すると、このランドマークが既知のものになる。ラベル322及び一般的に既知の心臓の解剖学的構造に基づいて、プロセッサ28は、ラベル314の相対位置を、更新されたラベリングマップ320上のそれぞれ対応するラベル324の、より正確な相対位置に調整する。更に、プロセッサ28は、ラベル326によって示される洞結節(SA結節)及びラベル328によって示される房室結節(AV結節)の予測されたランドマーク位置のラベル326をマップ320に追加する。
【0062】
解剖学的構造の既知の位置を使用して超音波ファンを方向付ける第2の方法
上述したように、第2の方法は、高速解剖学的マッピング(FAM)を実行して、特定されたキーとなる解剖学的特徴を有する心臓の少なくとも一部のモデルを構築することを含む。モデルを使用して、超音波(US)ビームは、ユーザ又はプロセッサがマップ上に注釈を付ける基準解剖学的構造に対して既知の関係を有する標的解剖学的構造に向けて、リアルタイムで方向付けられる。
【0063】
図4は、本発明の一実施形態による、図1のシステム20によってリアルタイムで取得された超音波画像上の、基準解剖学的構造に注釈を付ける際に使用される解剖学的マップ342の概略描写図である。典型的には、解剖学的マップは、多電極カテーテル(例えば、マルチアームPentaray(登録商標)カテーテル又はLasso(登録商標)カテーテル、共にBiosense Webster社製)などの追加のマッピングカテーテル(図示せず)を挿入することによって取得される。これらのカテーテルを用いて高速解剖学的マッピング(FAM)を実行することは、例えば、米国特許第10,918,310号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
図4は、図1に見られる右心房42の解剖学的マップを概略的に示す。マッピングされた右心房の概略図342は、図1に現れるランドマークを示す。例えば、解剖学的マップ342は、下大静脈(IVC)口概略図343、上大静脈(SVC)口概略図344、三尖弁概略図347、卵円窩概略図348、及び心房中隔概略図350を示す。
【0065】
高速解剖学的マッピング(FAM)から決定される、上記のキーとなる解剖学的特徴343、344、347、348、及び350のうちの少なくともいくつかの位置を示すように、解剖学的マップ342に注釈を付けることは、超音波カテーテルを別の解剖学的特徴に向かって方向付けるための前述の第2の方法におけるステップである。
【0066】
マップ342は、例として示したものであり、提示を明確にするために簡略化されている。実際のマップは、例えば、心臓組織の電気的活動のマップ層などのより多くのマップ層、及び/又はマップと位置合わせされた超音波画像を含むことができる。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態による、解剖学的構造の既知の位置を使用して、超音波ファン(例えば、図1のアレイ65によって生成される)を方向付ける第2の方法を概略的に説明するフローチャートである。本実施形態によれば、アルゴリズムは、標的撮像受信ステップ502において、プロセッサ41が、カテーテル21を使用して撮像される標的となる解剖学的構造を、(典型的には、医師30から)受信することから始まるプロセスを実行する。
【0068】
次に、マッピングカテーテルを使用して、システム20は、モデル高速解剖学的マッピング(FAM)ステップ504において、高速解剖学的マッピング(FAM)を実行して、例えばマップ342などの、特定されたキーとなる解剖学的特徴を有するモデルマップを構築する。代替として、システム20は、カテーテル21に類似するが、その遠位端にわたって配設された1つ以上の電極を有する超音波(US)カテーテルを使用して、高速解剖学的マッピング(FAM)を行ってもよい。
【0069】
位置合わせステップ506において、システム20のプロセッサ41は、カテーテル21によって取得された超音波(US)画像を、解剖学的マップと位置合わせする。
【0070】
提示ステップ508において、プロセッサ41は、モデルと共に超音波リアルタイム画像を示す。典型的には、解剖学的モデルは、リアルタイム画像と同じ視野(FOV)及び同じ向きで表示される。例えば、表示されたリアルタイム画像がスライスである場合、モデルの同じスライスビューがリアルタイム画像の横に表示される。
【0071】
注釈ステップ510において、医師30又はプロセッサ41は、解剖学的マップ、リアルタイム画像、又はその両方に注釈を付けて、高速解剖学的マッピング(FAM)から決定されたキーとなる解剖学的特徴の位置を示す。
【0072】
表示ステップ512において、プロセッサ41は、注釈付きの超音波(US)画像をユーザに対して表示する。
【0073】
最後に、超音波(US)カテーテルの配向し直しステップ514において、注釈を使用して、医師30(又はロボットシステム)は、カテーテルを所望の(すなわち、標的となる)解剖学的構造に対して配向させる。カテーテルを配向させることができる1つの例示的なロボットシステムは、米国特許第7,974,681号によって説明されており、その開示は、本明細書に組み込まれる。
【0074】
本明細書に記載される実施形態は、心臓の、カテーテルを用いた超音波撮像に主に対処するが、本明細書に記載される技術は、消化器系などの他の臓器の撮像にも使用することができる。
【0075】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に説明される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれた文献は、本出願の不可欠な部分とみなされるべきであり、ただし、これらの組み込まれた文献においていずれかの用語が、本明細書で明示的又は暗黙的になされた定義と矛盾する方法で定義されている限り、本明細書の定義のみが考慮されるべきである。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルの超音波トランスデューサアレイから患者の臓器の少なくとも一部の超音波画像を受信することと、
前記臓器内又はその近くの、1つ以上の基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置を特定することと、
前記特定された基準解剖学的構造を示す注釈を用いて、前記超音波画像に注釈を付けることと、
を含む方法。
(2) 前記基準位置を特定することは、前記複数の基準解剖学的構造を撮像する間に前記カテーテルが位置付けられる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記カテーテル位置を記録することは、位置追跡システムによって前記カテーテル位置を測定することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記超音波画像に注釈を付けることは、超音波画像と位置合わせされて表示される解剖学的マップに注釈を付けることと、前記超音波画像に注釈を付けるために、前記解剖学的マップ上の前記注釈を使用することとを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記解剖学的マップは、前記超音波画像が取得されるのと同じ侵襲的処置中に取得される、実施態様4に記載の方法。
【0077】
(6) 前記超音波画像に注釈を付けることは、前記カテーテルによって取得された超音波画像にリアルタイムで注釈を付けることを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記注釈を使用して、前記カテーテルを位置決めし直して、前記臓器の標的解剖学的構造を撮像することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記カテーテルを位置決めし直すことは、前記臓器の幾何学的モデルに対する前記カテーテルの標的位置を計算することを含み、前記モデルは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との相対位置を指定する、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記カテーテルを位置決めし直すことは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との間の既知の相対的位置及び相対的向きに基づいて、前記標的解剖学的構造に対する前記カテーテルの相対的位置及び相対的向きを推定することを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記超音波カテーテルを位置決めし直すことは、前記カテーテルを変位させること及び前記カテーテルを回転させることのうちの少なくとも1つを含む、実施態様7に記載の方法。
【0078】
(11) 前記臓器が、心臓である、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記1つ以上の基準位置及び前記臓器の一般的に既知の解剖学的構造を使用してランドマーク位置を予測することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) ランドマーク位置を予測することは、前記臓器の解剖学的構造の相対的な既知の位置及び予測された位置に付けられたラベルを含む抽象ラベリングマップを生成及び提示することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 医療撮像システムであって、
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
患者の臓器の内部又はその近くの超音波カテーテルによって生体内で取得された前記臓器の少なくとも一部の超音波画像を受信し、
前記臓器内又はその近くの1つ以上の基準解剖学的構造の、それぞれ対応する1つ以上の基準位置を特定し、
前記特定された基準解剖学的構造を示す注釈を用いて、前記超音波画像に注釈を付ける、
ように構成されている、医療撮像システム。
(15) 前記プロセッサは、前記複数の基準解剖学的構造を撮像する間に前記カテーテルが位置決めされる、複数のカテーテル位置をそれぞれ記録することによって、前記基準位置を特定するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
【0079】
(16) 前記プロセッサは、位置追跡システムを用いて前記カテーテル位置を測定することによって、前記カテーテル位置を記録するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記プロセッサは、超音波画像と位置合わせされて表示される解剖学的マップに注釈を付け、前記解剖学的マップ上の前記注釈を使用して前記超音波画像に注釈を付けることによって、前記超音波画像に注釈を付けるように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(18) 前記解剖学的マップは、前記超音波画像が取得されるのと同じ侵襲的処置中に取得される、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記プロセッサは、前記カテーテルによって取得された超音波画像にリアルタイムで注釈を付けることによって、前記超音波画像に注釈を付けるように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(20) 前記プロセッサは、前記注釈を使用して、前記カテーテルを位置決めし直して、前記臓器の標的解剖学的構造を撮像することを推奨するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
【0080】
(21) 前記プロセッサは、前記臓器の幾何学的モデルに対する前記カテーテルの標的位置を計算することによって前記カテーテルを位置決めし直すことを推奨するように構成され、前記モデルは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との相対位置を指定する、実施態様20に記載のシステム。
(22) 前記プロセッサは、前記基準解剖学的構造と前記標的解剖学的構造との間の既知の相対的位置及び相対的向きに基づいて、前記標的解剖学的構造に対する前記カテーテルの相対的位置及び相対的向きを推定することによって、前記カテーテルを位置決めし直すことを推奨するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(23) 前記プロセッサは、前記カテーテルを変位させること及び前記カテーテルを回転させることのうちの少なくとも1つを推奨するように構成されている、実施態様20に記載のシステム。
(24) 前記臓器が、心臓である、実施態様14に記載のシステム。
(25) 前記プロセッサは、前記1つ以上の基準位置及び前記臓器の一般的に既知の解剖学的構造を使用して、追加のランドマーク位置の相対的位置を予測するように更に構成されている、実施態様14に記載のシステム。
【0081】
(26) 前記プロセッサは、前記臓器の解剖学的構造の相対的な既知の位置及び予測された位置に付けられたラベルを含む抽象ラベリングマップを生成及び提示することによって、ランドマーク位置を予測するように構成されている、実施態様25に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】