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特表2024-547077四次元超音波画像における医療用プローブの視覚化
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  • 特表-四次元超音波画像における医療用プローブの視覚化 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】四次元超音波画像における医療用プローブの視覚化
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537133
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 IB2022060769
(87)【国際公開番号】W WO2023118996
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,588
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/975,283
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン・アンドレス・クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ウルマン・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジブ-アリ・モリス
(72)【発明者】
【氏名】ザール・リオール
(72)【発明者】
【氏名】トラン・ブランドン・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】メイタブ・シャクド
(72)【発明者】
【氏名】コーエン-サコムスキー・ハンナ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD15
4C601FE01
4C601FF11
4C601GA19
4C601GA25
4C601JC21
4C601JC26
4C601JC37
4C601KK02
4C601KK31
(57)【要約】
プロセッサが、3D超音波画像を受信し、位置追跡デバイスから、3D超音波画像に対する対応するプローブの位置を示す位置信号を受信する医療システム及び方法が提供される。プローブ位置に基づいて、3D超音波画像内の医療用プローブの位置を含む関心領域が選択され、選択された関心領域が、医療用プローブの表現と一緒にディスプレイにレンダリングされ、医療用プローブの表現が、関心領域上に重ね合わされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療撮像システムであって、
ディスプレイスクリーンと、
生体の体内に挿入され、前記体内の組織の三次元(3D)超音波画像を生成するように構成された超音波撮像プローブと、
前記体内に挿入されるように構成されており、位置追跡デバイスと、前記組織に接触するように構成されたトランスデューサとを備える医療用プローブと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、前記3D超音波画像を受信し、前記位置追跡デバイスから、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの位置を示す位置信号を受信し、示された前記位置に応答して、前記3D超音波画像内で、前記医療用プローブの前記位置を含む関心領域を選択し、選択された前記関心領域を、前記医療用プローブの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングするように構成され、前記医療用プローブの前記表現が、レンダリングされた前記関心領域上に重ね合わせられている、医療撮像システム。
【請求項2】
前記超音波撮像プローブが、更なる位置追跡デバイスを備え、前記プロセッサが、前記更なる位置追跡デバイスから、前記超音波撮像プローブの位置及び配向を示す更なる信号を受信し、前記位置信号及び前記更なる信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの前記位置を見つけるように構成されている、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項3】
前記関心領域が、前記3D超音波画像の二次元(2D)スライスを含む、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項4】
前記2Dスライスが、前記医療用プローブの長手方向軸を含むように選択される、請求項3に記載の医療撮像システム。
【請求項5】
前記2Dスライスが、前記トランスデューサによって接触される前記組織の表面に垂直であるように選択される、請求項3に記載の医療撮像システム。
【請求項6】
前記関心領域が、前記3D超音波画像の3Dサブボリュームを含む、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項7】
前記トランスデューサが、少なくとも1つの電極を備える、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記位置信号に応答して、前記3D超音波画像に対する前記プローブの前記位置の変化を検出し、前記変化に応答して、前記選択された関心領域を更新するように構成されている、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記医療用プローブの前記位置を含む初期関心領域を示す入力を前記システムのユーザから受信し、前記入力に応答して前記関心領域を選択及び更新するように構成されている、請求項8に記載の医療撮像システム。
【請求項10】
前記医療用プローブが、それぞれの位置追跡デバイスを備え、かつ前記体内に挿入されるように構成されている、一組の少なくとも第1の医療用プローブ及び第2の医療用プローブのうちの1つであり、
前記プロセッサが、前記3D超音波画像内で、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの位置を含む第1の関心領域及び第2の関心領域を選択し、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域の両方を、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングするように構成されている、請求項1に記載の医療撮像システム。
【請求項11】
前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる形状を有するアイコンを含む、請求項10に記載の医療撮像システム。
【請求項12】
前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる色を有するアイコンを含む、請求項10に記載の医療撮像システム。
【請求項13】
撮像のための方法であって、
生体の体内の組織の三次元(3D)超音波画像を前記体内の超音波撮像プローブから受信することと、
前記体内に挿入されている医療用プローブ内の位置追跡デバイスから位置信号を受信することであって、前記医療用プローブが、前記組織に接触するように構成されたトランスデューサを備える、受信することと、
前記位置信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの位置を計算することと、
前記3D超音波画像内で、計算された前記位置に応答して、前記医療用プローブの前記位置を含む関心領域を選択することと、
選択された前記関心領域を、前記医療用プローブの表現と一緒にディスプレイスクリーンにレンダリングすることであって、前記医療用プローブの前記表現が、レンダリングされた前記関心領域上に重ね合わせられる、レンダリングすることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記超音波撮像プローブが、更なる位置追跡デバイスを備えて、前記位置を計算することが、前記更なる位置追跡デバイスから、前記超音波撮像プローブの位置及び配向を示す更なる信号を受信することと、前記位置信号及び前記更なる信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの前記位置を見つけることと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記関心領域が、前記3D画像の二次元(2D)スライスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記2Dスライスが、前記医療用プローブの長手方向軸を含むように選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2Dスライスが、前記トランスデューサによって接触される前記組織の表面に垂直であるように選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記関心領域が、前記3D画像の3Dサブボリュームを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記トランスデューサが、少なくとも1つの電極を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記位置を計算することが、前記位置信号に応答して、前記3D超音波画像に対する前記プローブの前記位置の変化を検出することを含み、前記関心領域を選択することが、前記変化に応答して、前記選択された関心領域を更新することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記関心領域を選択することが、前記医療用プローブの前記位置を含む初期関心領域を示す入力をユーザから受信することと、前記入力に応答して前記関心領域を選択及び更新することと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記医療用プローブが、それぞれの位置追跡デバイスを備え、かつ前記体内に挿入されている、一組の少なくとも第1の医療用プローブ及び第2の医療用プローブのうちの1つであり、
前記関心領域を選択することが、前記3D超音波画像内で、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの位置を含む第1の関心領域及び第2の関心領域を選択することを含み、選択された前記領域をレンダリングすることが、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域の両方を、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる形状を有するアイコンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる色を有するアイコンを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月20日に出願された、Govariらの米国特許仮出願第63/291,588号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療システム、具体的には体内医療用プローブ及び超音波撮像に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元(three-dimensional、3D)超音波は、例えば、胎児、心臓、経直腸、及び血管内の用途においてしばしば使用される医療用超音波技術である。3D超音波とは、具体的には、超音波データのボリュームレンダリングを指す。経時的に収集された一連の3Dボリュームを伴う場合、それは一般に4D超音波(3つの空間次元に加えて1つの時間次元)と称される。
【0004】
超音波撮像は、組織に挿入された医療用プローブが組織に対して診断又は治療処置を行うために使用されている間、身体組織を撮像するために使用され得る。
【0005】
本発明は、図面と一緒に、本開示の実施例の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一態様による、医療システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一態様による、医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図2B】本発明の一態様による、医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図2C】本発明の一態様による、医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図3A】本発明の一態様による、複数の医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図3B】本発明の一態様による、複数の医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図3C】本発明の一態様による、複数の医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓の超音波画像の概略図である。
図4】本発明の一態様による、4D超音波画像において医療用プローブを視覚化するための方法を概略的に例解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
トランスデューサを備える医療用プローブは、生体の体内の組織に対して、診断及び/又は治療処置などの医療処置を行うために使用される。そのような医療処置を行う医師は、医療用プローブが患者の体内のどこに位置決めされているかを見るために、1つ又は2つ以上の医療用撮像モダリティを利用してもよい。そのような撮像モダリティの1つは4D超音波撮像であり、これは、患者の体内の選択された組織の、一般に3D超音波画像と称される3Dボリュームの超音波データを、時間的に連続する瞬間にわたって生成する。しかしながら、多くの場合、医師が医療用プローブを明確に見ること、及び3D超音波画像内でその変化する位置をリアルタイムで追跡することは困難である。更に、複数のプローブが使用される場合、医師は、それらのうちの各1つを迅速かつ高レベルの信頼度で識別することができない場合がある。
【0008】
この問題に対処するために、本発明の態様において、医療用プローブは、トランスデューサに加えて、超音波プローブに対する、ひいては、3D超音波画像に対する医療用プローブの位置のリアルタイム3D追跡を可能にする追跡デバイスを備える。医療用プローブのこの既知の位置は、撮像システムが医療用プローブを含む画像の関心領域を選択することを可能にする。選択された関心領域は、ディスプレイスクリーンにレンダリングされ、医療用プローブの位置は、別個の形状及び/又は色を有するアイコンとして関心領域上に重ね合わされる。
【0009】
関心領域は、元の3D画像の二次元(two-dimensional、2D)スライス又は3Dサブボリュームのいずれかとして選択することができる。2D画像スライスは、医療用プローブの長手方向軸を含むスライス、及び/又は医療用プローブのトランスデューサが接触している組織の表面に垂直なスライスとして定義され得る。超音波画像に対する医療用プローブの位置の変化が検出されると、選択された関心領域は、ユーザによる介入を必要とせずに、検出された変化に基づいて自動的に更新される。初期関心領域が選択されると、医療用プローブの位置の変化に起因する任意の画像更新が、その関心領域に限定され得る。3D超音波画像の全視野は更新される必要がなく、したがって、選択された関心領域に対して利用可能なフレームレートが増加し、医療用プローブの位置のリアルタイムの観察を可能にする。
【0010】
開示された例では、医療用プローブのトランスデューサは、診断及び/又は治療目的で使用される1つ又は2つ以上の電極を備える。代替的に、トランスデューサは、熱又は音響トランスデューサなど、組織にエネルギーを印加する、又は組織からエネルギーを受け取るための異なるタイプのものであってもよい。
【0011】
それぞれの位置追跡デバイスを各々備える複数の医療用プローブが患者の体内に同時に挿入されるとき、プローブのうちの1つ(又は1つ以上)のそれぞれの位置を各々含む複数の関心領域が定義され得る。医師が個々のプローブを識別するのを支援するために、各プローブは、そのプローブに固有の形状及び/又は色を有するアイコンによって、ディスプレイスクリーンにレンダリングされる、そのそれぞれの関心領域内に表され得る。別々の2Dスライスがプローブのそれぞれの関心領域として選択される場合、2Dスライスは、同時に又は連続的にかのいずれかでディスプレイスクリーンにレンダリングされ得る。
【0012】
したがって、開示される例では、医療システムは、ディスプレイスクリーンと、超音波撮像用プローブと、少なくとも1つの医療用プローブと、プロセッサとを備える。超音波撮像プローブは、生体の体内に挿入され、体内の組織の3D超音波画像を生成する。各医療用プローブは、それぞれの位置追跡デバイスと、組織に接触するように構成されたトランスデューサとを備える。プロセッサは、3D超音波画像を受信し、各位置追跡デバイスから、3D超音波画像に対する対応するプローブの位置を示す位置信号を受信する。プローブ位置に基づいて、プロセッサは、3D超音波画像内の医療用プローブの各々の位置を含む関心領域を選択し、選択された関心領域を、医療用プローブの表現と一緒にディスプレイスクリーンにレンダリングし、医療用プローブの表現が、関心領域に重ね合わされる。
【0013】
図1は、本発明の一態様による、医療システム20の概略描画図である。医療システム20は、3D超音波撮像サブシステム、アブレーションサブシステム、及び位置追跡サブシステムを備える。
【0014】
例として、医療システム20は、本説明では、手術台29上に横たわる患者30の心臓28の無線周波数(radio-frequency、RF)アブレーション処置において使用される。この処置は、アブレーションカテーテル53の形態で医療用プローブを使用する。(心臓28内のカテーテル53の遠位端は、拡大挿入図34に示されている。)代替的又は追加的に、本発明の原理は、患者の心臓又は他の器官の内部の他のタイプの1つ又は2つ以上の医療用プローブを監視することに適用されてもよい。
【0015】
超音波撮像サブシステムは、2D超音波トランスデューサアレイ40と、2D超音波アレイと予め位置合わせされている位置追跡デバイス42とを備える遠位端を有する超音波カテーテル39を備える。カテーテル39の近位端44は、両方とも制御コンソール48内に位置する、超音波コントローラ46及び位置追跡コントローラ64(以下に詳述される)に接続されている。超音波コントローラ46は、2D超音波トランスデューサアレイ40を(例えば、超音波ビームをステアリングすることを含むフェーズドアレイ方式で)駆動し、アレイからエコー信号を受信し、コンソール48内に位置するプロセッサ66と通信するための電子ドライバ及びインターフェース回路を備える。
【0016】
アブレーションサブシステムは、アブレーションコントローラ58と共にアブレーションカテーテル53を備える。カテーテル53は、位置追跡デバイス54と、カテーテルの遠位端に沿って配置されており、心臓28内の組織に接触する電極32の形態で複数の電気トランスデューサとを備える。電極32は、位置追跡デバイス54に予め位置合わせされている。カテーテル53の近位端56は、アブレーションコントローラ58と、制御コンソール48内の位置追跡コントローラ64とに接続されている。アブレーションコントローラ58は、プロセッサ66の制御下で、電極32を通してアブレーション電流を駆動するため、並びにプロセッサ66と通信するための電子ドライバ及びインターフェース回路を備える。追加的又は代替的に、コンソール48は、心臓組織から電極32によって受信される電気信号を受信及び処理するための感知回路を備えてもよい。
【0017】
位置追跡サブシステムは、手術台29に取り付けられ、ケーブル62によって位置追跡コントローラ64に接続される磁場発生器60を備える。位置追跡コントローラ64は、発生器60への電流を駆動するため、並びにプロセッサ66と通信するための電子ドライバ及びインターフェース回路を備える。位置追跡コントローラ64によって発生器60に送られる電流は、それぞれの位置追跡デバイス42及び54に位置信号を誘導する磁場を発生させる。これらの位置信号は、それぞれ、カテーテル39及び53を介して位置追跡コントローラ64に結合されている。コントローラ64は、プロセッサ66への入力のために追跡デバイス42及び54の位置及び配向座標を計算するために、位置信号を処理する。この種の磁気位置追跡サブシステムは、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)によって販売されているCARTO(登録商標)システムにおいて使用される。代替的又は追加的に、システム20は、電気インピーダンスの感知に基づくサブシステムなど、当技術分野で知られている他の種類の位置追跡サブシステムを備えてもよい。
【0018】
制御コンソール48は、コントローラ46、58、64及びプロセッサ66に加えて、ディスプレイスクリーン68及びユーザ入力デバイス70(例えば、キーボード及びトラックボールマウスなど)を備える。
【0019】
プロセッサ66は、典型的には、コントローラ46、58、及び64、並びにディスプレイスクリーン68及び入力デバイス70と通信するための好適なインターフェース回路を伴う、汎用コンピュータを備える。プロセッサ66は、典型的には、本明細書に記載の機能を実施するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、あるいは、ソフトウェアは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリなどの非一時的な有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。プロセッサ66はまた、データ及びプログラムを記憶するためのメモリを含んでもよい。
【0020】
アブレーション処置に備えて、医師72は、カテーテル39及び53を、シース55を通して(又は代替的に2つの別個のシースを通して)患者30の心臓28に挿入する。医師72は、2つのカテーテルの近位端付近のマニピュレータ57を使用して、カテーテルの遠位端を心臓28内の標的位置にナビゲートする。
【0021】
アブレーション処置の前及び最中に、プロセッサ66は、超音波コントローラ46から3D超音波画像を受信し、位置追跡コントローラ64から、3D超音波画像に対するカテーテル53の位置を示す位置座標を受信する。示された位置に基づいて、プロセッサ66は、3D超音波画像内のカテーテル53の遠位端を含む関心領域100を選択し、選択された関心領域の画像74をディスプレイスクリーン68にレンダリングする。プロセッサ66は、位置追跡コントローラ64によって提供される相対的3D位置に基づいて、画像74上に、カテーテル53の遠位端の表現として、アイコン76を更に表示する。アイコン76は、別個の形状として及び/又は別個の色で示され、そのため、画像74に対して容易に認識可能である。
【0022】
関心領域100は、3D超音波画像の2Dスライス又は3Dサブボリュームであってもよい。いずれの場合も、関心領域100が選択された後、この領域のみが3D超音波撮像サブシステムによって撮像される必要があり、したがって、利用可能なフレームレートが増加し、処置中のアブレーションカテーテル53の遠位端の位置のリアルタイム観察を可能にする。2Dスライスは、アブレーションカテーテル53の遠位端の長手方向軸を含む平面に沿って、又は遠位端が接触している心臓28の組織の表面に垂直な平面に沿って取られ得る。アブレーションカテーテル53が偏向されるとき、2Dスライスは、偏向平面と一致するように選択されてもよい。しかしながら、スライスの配向は、アブレーションカテーテル53の位置及び配向に限定されないが、代替的に、他のカテーテルの位置及び配向に基づいて、又は解剖学的マーカーの位置及び配向に基づいて選択されてもよい。
【0023】
プロセッサ66は、関心領域100を自律的に選択することができる。代替的に、医師72は、例えば、3D超音波画像内のアイコン76を含むフレーム102をマークするために入力デバイス70を使用することによって、3D超音波画像内の初期関心領域を選択してもよい。関心領域100として2Dスライスを選ぶために、医師72は、例えば入力デバイス70を使用して3D超音波画像全体を回転させることによって、及び/又は様々な配向及び空間的位置で選択された2Dスライスをディスプレイスクリーン68上で見ることによって、3D超音波画像全体を操作することができる。関心領域として3Dサブボリュームを選択するために、医師72は、2Dスライスを選択するのと同様に、入力デバイス70を使用することによって、及び操作された画像をディスプレイスクリーン68上で見ることによって、3D画像全体を操作する。医師が初期関心領域を選択した後、プロセッサ66は、必要に応じて、例えばカテーテル53の遠位端の位置及び配向に基づいて、画像75に示される関心領域の位置及び配向を自動的に更新する。
【0024】
図2A図2B、及び図2Cは、本発明の一態様による、アブレーションカテーテル53の遠位端を視覚化するための関心領域100の選択のプロセスを例解する、心臓28の超音波画像の概略図である。簡略化のために、関心領域100は、カテーテル53の遠位端を表すアイコン76と共に、ディスプレイスクリーン68にレンダリングされた超音波画像74の2Dサブセットとして図2B及び図2Cに示されている。しかしながら、上述したように、選択プロセスは、概して、3D超音波画像全体を回転させることと、画像の選択された2Dスライスを様々な配向及び位置で見ることとを伴う。
【0025】
図2Aは、医師72が初期関心領域100を選択する前にディスプレイスクリーン68にレンダリングされた心臓28の超音波画像74を示す。図2Bは、初期関心領域を定義するために医師72によって画像74上に重ね合わされたフレーム102を示す。図2Cは、関心領域のみが超音波撮像サブシステムによって撮像され、ディスプレイスクリーン68上に提示された後の、アイコン76を有する関心領域100を示す。
【0026】
図3A図3B、及び図3Cは、本発明の別の態様による、心臓内の複数の医療用プローブを視覚化するための関心領域の選択のプロセスを例解する、心臓28の超音波画像の概略図である。
【0027】
図3Aは、ディスプレイスクリーン68にレンダリングされた心臓28の超音波画像150を示す。アイコン152、154、及び156が、画像内のそれぞれの医療用プローブの位置を表すように、画像150上に重ね合わされている。各アイコン152、154、及び156は、医師72が超音波画像150において各プローブを迅速かつ高レベルの信頼度で識別するのを支援するために、固有の形状及び/又は固有の色を有する。(異なる色は、異なるハッチパターンによって図中に示されている。)。
【0028】
(上述した)単一の医療用プローブを視覚化するための手順と同様に、医師72は、画像150から、3つの関心領域162、164、及び166を3つのプローブの各々に対して1つ選択する。選択は、図3Bにおいて、それぞれのフレーム172、174、及び176によってマークされる。
【0029】
選択後、超音波撮像サブシステムは、図3Cに示されるように、選択された関心領域162、164、及び166のみを撮像及び表示する。図3Cでは、関心領域162、164、及び166が、ディスプレイスクリーン68上に並んで配置されている。代替的に、関心領域162、164、及び166は、時間的に連続して一度により大きいサイズで表示されてもよい。
【0030】
関心領域162、164、及び166は、3D超音波画像全体の2Dスライス又は3Dサブボリューム(あるいは2Dスライス及び3Dサブボリュームの組み合わせ)のいずれかとして選択され得る。2Dスライスが選択されるとき、各スライスは、3D超音波画像全体の異なる平面に対応してもよく、したがって、視覚的に関連する環境においてアイコンの各々を提示することを可能にする。2Dスライス又は3Dサブボリュームを選択することは、前述したように、より高いフレームレート及びプローブのリアルタイム観察を可能にする。
【0031】
複数の電極32を有するアブレーションカテーテル53の場合(図1)、電極は位置追跡デバイス54と予め位置合わせされており、各電極は、選択された関心領域内の別個のアイコンとして示され得る。
【0032】
図4は、本発明の一態様による、4D超音波画像においてアブレーションカテーテル53の遠位端を視覚化するための方法を概略的に例解するフローチャート200である。図1及び図2A図2Cを参照すると、フローチャート200は、医師72がアブレーションカテーテル53を心臓28に既に挿入した後の遠位端の視覚化を例解する。
【0033】
検証ステップ202において、医師72は、ディスプレイスクリーン68にレンダリングされた超音波画像74内に、アブレーションカテーテル53の遠位端の位置を表すアイコン76が見えることを検証する。(医師72が超音波画像74内でアイコン76が見えない場合、カテーテル39及び53の一方又は両方を操作して、アイコンを画像内にもたらす)。選択ステップ204において、医師72は、アイコン76を含む初期関心領域100を画像74の2Dスライス又は3Dサブボリュームとして選択する。
【0034】
位置判定ステップ206において、プロセッサ66は、それぞれの追跡デバイス42及び54によって出力される信号に基づいて、超音波カテーテル39に対するアブレーションカテーテル53の遠位端の位置をリアルタイムで見出す。更新ステップ208において、プロセッサ66は、アブレーションカテーテル53の遠位端のリアルタイム位置に基づいて関心領域100を更新する。このステップでは、プロセッサ66は、アブレーションカテーテルの遠位端の位置の変化に対応するように、関心領域の場所及び/又は配向をシフトさせてもよく、その結果、関心領域は、位置の変化にもかかわらず遠位端を含み続ける。表示ステップ210において、プロセッサ66は、更新された関心領域100をアイコン76と一緒にディスプレイスクリーン68にレンダリングする。ループバックステップ212において、プロセッサ66は、処置中のカテーテルの更なる移動を考慮するために、アブレーションカテーテル53の遠位端の位置を更新するために位置判定ステップ206に戻る。
【0035】
上述した特徴は例として引用したものであり、本発明は、上記で特に図示及び説明されているものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の明細書を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含む。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 医療撮像システムであって、
ディスプレイスクリーンと、
生体の体内に挿入され、前記体内の組織の三次元(3D)超音波画像を生成するように構成された超音波撮像プローブと、
前記体内に挿入されるように構成されており、位置追跡デバイスと、前記組織に接触するように構成されたトランスデューサとを備える医療用プローブと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、前記3D超音波画像を受信し、前記位置追跡デバイスから、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの位置を示す位置信号を受信し、示された前記位置に応答して、前記3D超音波画像内で、前記医療用プローブの前記位置を含む関心領域を選択し、選択された前記関心領域を、前記医療用プローブの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングするように構成され、前記医療用プローブの前記表現が、レンダリングされた前記関心領域上に重ね合わせられている、医療撮像システム。
(2) 前記超音波撮像プローブが、更なる位置追跡デバイスを備え、前記プロセッサが、前記更なる位置追跡デバイスから、前記超音波撮像プローブの位置及び配向を示す更なる信号を受信し、前記位置信号及び前記更なる信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの前記位置を見つけるように構成されている、実施態様1に記載の医療撮像システム。
(3) 前記関心領域が、前記3D超音波画像の二次元(2D)スライスを含む、実施態様1に記載の医療撮像システム。
(4) 前記2Dスライスが、前記医療用プローブの長手方向軸を含むように選択される、実施態様3に記載の医療撮像システム。
(5) 前記2Dスライスが、前記トランスデューサによって接触される前記組織の表面に垂直であるように選択される、実施態様3に記載の医療撮像システム。
【0037】
(6) 前記関心領域が、前記3D超音波画像の3Dサブボリュームを含む、実施態様1に記載の医療撮像システム。
(7) 前記トランスデューサが、少なくとも1つの電極を備える、実施態様1に記載の医療撮像システム。
(8) 前記プロセッサが、前記位置信号に応答して、前記3D超音波画像に対する前記プローブの前記位置の変化を検出し、前記変化に応答して、前記選択された関心領域を更新するように構成されている、実施態様1に記載の医療撮像システム。
(9) 前記プロセッサが、前記医療用プローブの前記位置を含む初期関心領域を示す入力を前記システムのユーザから受信し、前記入力に応答して前記関心領域を選択及び更新するように構成されている、実施態様8に記載の医療撮像システム。
(10) 前記医療用プローブが、それぞれの位置追跡デバイスを備え、かつ前記体内に挿入されるように構成されている、一組の少なくとも第1の医療用プローブ及び第2の医療用プローブのうちの1つであり、
前記プロセッサが、前記3D超音波画像内で、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの位置を含む第1の関心領域及び第2の関心領域を選択し、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域の両方を、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングするように構成されている、実施態様1に記載の医療撮像システム。
【0038】
(11) 前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる形状を有するアイコンを含む、実施態様10に記載の医療撮像システム。
(12) 前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる色を有するアイコンを含む、実施態様10に記載の医療撮像システム。
(13) 撮像のための方法であって、
生体の体内の組織の三次元(3D)超音波画像を前記体内の超音波撮像プローブから受信することと、
前記体内に挿入されている医療用プローブ内の位置追跡デバイスから位置信号を受信することであって、前記医療用プローブが、前記組織に接触するように構成されたトランスデューサを備える、受信することと、
前記位置信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの位置を計算することと、
前記3D超音波画像内で、計算された前記位置に応答して、前記医療用プローブの前記位置を含む関心領域を選択することと、
選択された前記関心領域を、前記医療用プローブの表現と一緒にディスプレイスクリーンにレンダリングすることであって、前記医療用プローブの前記表現が、レンダリングされた前記関心領域上に重ね合わせられる、レンダリングすることと、を含む、方法。
(14) 前記超音波撮像プローブが、更なる位置追跡デバイスを備えて、前記位置を計算することが、前記更なる位置追跡デバイスから、前記超音波撮像プローブの位置及び配向を示す更なる信号を受信することと、前記位置信号及び前記更なる信号に基づいて、前記3D超音波画像に対する前記医療用プローブの前記位置を見つけることと、を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記関心領域が、前記3D画像の二次元(2D)スライスを含む、実施態様13に記載の方法。
【0039】
(16) 前記2Dスライスが、前記医療用プローブの長手方向軸を含むように選択される、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記2Dスライスが、前記トランスデューサによって接触される前記組織の表面に垂直であるように選択される、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記関心領域が、前記3D画像の3Dサブボリュームを含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記トランスデューサが、少なくとも1つの電極を備える、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記位置を計算することが、前記位置信号に応答して、前記3D超音波画像に対する前記プローブの前記位置の変化を検出することを含み、前記関心領域を選択することが、前記変化に応答して、前記選択された関心領域を更新することを含む、実施態様13に記載の方法。
【0040】
(21) 前記関心領域を選択することが、前記医療用プローブの前記位置を含む初期関心領域を示す入力をユーザから受信することと、前記入力に応答して前記関心領域を選択及び更新することと、を含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記医療用プローブが、それぞれの位置追跡デバイスを備え、かつ前記体内に挿入されている、一組の少なくとも第1の医療用プローブ及び第2の医療用プローブのうちの1つであり、
前記関心領域を選択することが、前記3D超音波画像内で、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの位置を含む第1の関心領域及び第2の関心領域を選択することを含み、選択された前記領域をレンダリングすることが、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域の両方を、前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブのそれぞれの表現と一緒に前記ディスプレイスクリーンにレンダリングすることを含む、実施態様13に記載の方法。
(23) 前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる形状を有するアイコンを含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記第1の医療用プローブ及び前記第2の医療用プローブの前記それぞれの表現が、異なる色を有するアイコンを含む、実施態様22に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】