(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ペンダント官能基を含むパーフルオロポリエーテルポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 65/00 20060101AFI20241219BHJP
C08G 65/331 20060101ALI20241219BHJP
C08G 65/333 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G65/00
C08G65/331
C08G65/333
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537333
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2022086028
(87)【国際公開番号】W WO2023117657
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベア, ミケラ
(72)【発明者】
【氏名】ロティエルゾ, アンドレア
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA01
4J005AA09
4J005AB00
4J005BA00
4J005BD00
4J005BD02
4J005BD03
4J005BD05
(57)【要約】
本特許出願は、パーオキシドパーフルオロポリエーテルと官能化過フッ素化不飽和エーテルとの反応から得られる、パーフルオロポリエーテル骨格に沿った官能化ペンダント基を含む、パーフルオロポリエーテルポリマーに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が2つの鎖末端を有する、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P)]であって、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端がコポリマー(P)の鎖末端であり、各々が、1~6個の炭素原子を含む過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び-C(=O)Fから選択される基を含み、前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端が、式(I)のブロックを介して互いに結合しており:
(I) -[A-B]
z-
式中、
zが、1~100の整数であり、
(A)が、PFPE鎖であり、
(B)が、式(II)の、少なくとも1つの基であり:
【化1】
式中、
nが、1~5、好ましくは、1~2の整数であり、
R
1~R
4が、各々独立して、-F、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び式(III)の基を含むか、好ましくは、これらからなる群において選択され:
(III) -R
10-(X)
b
式中、
R
10が、1~12個の炭素原子を含み、好ましくは、少なくとも1個の酸素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖であり、
Xが、好ましくは、以下から選択される官能基であり:-COOH、-COF、-CN、-Br、-CONH
2、
bが、1又は2に等しい整数であり、
ここで、
*前記式(I)において、前記(A)及び(B)が、統計的に(ランダムに)配置され、
*式(II)において、R
1~R
4の少なくとも1つ、好ましくは1つが、式(III)の基であり、
*前記コポリマー(P)中の前記基Bの総数が、1~100である、コポリマー(P)。
【請求項2】
2つの鎖末端の少なくとも1つ、好ましくは1つが、基-C(=O)Fを含み、他方の鎖末端が、1~3個の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖を含む、請求項1に記載のコポリマー(P)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコポリマー(P)であって、
- 前記少なくとも1つのブロック(A)が、シグマ結合、又は-CF
2-、-CF
2CF
2-、若しくは-O-から選択される基-(C)-を介して、1つの鎖末端、及び/又は前記少なくとも1つのブロック(B)に結合しており、並びに/又は
- 前記少なくとも1つのブロック(B)が、シグマ結合、又は-CF
2-、-CF
2CF
2-、若しくは-O-から選択される基-(C)-を介して、1つの鎖末端、及び/又は前記少なくとも1つのブロック(A)に結合している、コポリマー(P)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のコポリマー(P)であって、前記PFPE鎖の各々が、繰り返し単位R°を含む、完全にフッ素化された鎖[鎖(R
f)]であり、前記繰り返し単位が、以下:
(i)-CFXO-であって、式中、Xは、-F、又は-CF
3である-CFXO-;
(ii)-CFXCFXO-であって、式中、Xは、各出現で、同一であるか又は異なり、-F、又は-CF
3であり、ただし、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とする-CFXCFXO-;
(iii)-CF
2CF
2CF
2O-;
(iv)-CF
2CF
2CF
2CF
2O-;
(v)-(CF
2)
j-CFZ-O-であって、式中、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式-O-R
(f-a)-Tの基であり、R
(f-a)は、0~10個の繰り返し単位の数を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下:-CFXO-、-CF
2CFXO-、-CF
2CF
2CF
2O-、-CF
2CF
2CF
2CF
2O-の中で選択され、Xの各々は、独立して、-F、又は-CF
3であり、Tは、C
1~C
3パーフルオロアルキルアルキル鎖である-(CF
2)
j-CFZ-O-
からなる群から独立して選択される、コポリマー(P)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のコポリマー(P)であって、
- 式(II)において、置換基R
1~R
4の少なくとも1つが、式(III)の基であり、他の置換基が、各々独立して、-F、又は1~3個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖から選択され、
- 前記式(III)において、bが、1であり、並びに/又は
- 前記式(III)において、前記R
10が、1~9個の炭素原子及び1個若しくは2個の酸素原子を含む、直鎖若しくは分岐鎖パーフルオロアルキル鎖である、コポリマー(P)。
【請求項6】
前記R
10が、以下の式:
(R
10-i) -(CF
2)
dO-R
CF-
(式中、
dが、0又は1であり、
R
CFが、1~3個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖パーフルオロアルキル鎖、又は1~6個の炭素原子及び少なくとも1個の酸素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖パーフルオロアルキル鎖である)
に従う、請求項5に記載のコポリマー(P)。
【請求項7】
ブロック(I)が、式(I-a):
-[A-(B1)
n1-(B2)
n2-(Bx)
nx]z- (I-a)
(式中、
z及びAの各々が、請求項1に定義される通りであり、
B1、B2、及びBxの各々が、請求項1に定義される、式(II)の少なくとも1つの基であり、
ここで、
*B1、B2、及びBxが、ブロック(I)内に、ランダムに配置され、
*n1、n2、及びnxの各々が、0、又は1~5の整数であり、ただし、n1、n2、及びnxの少なくとも2つは0とは異なることを条件とする)
に従う、請求項1~6のいずれか一項に記載のコポリマー(P)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に定義される、2つ以上のコポリマー(P)を含む、混合物[混合物(P)]。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に定義されるコポリマー(P)の、又は請求項8に定義される混合物(P)の製造方法[方法(P)]であって、前記方法が、
(a)
- パーオキシド基を含む、少なくとも1つのパーフルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]と、
- 式(X-p):
【化2】
(式中、
R
21~R
23の各々が、独立して、-F、又は1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、
R
10、X、及びbが、請求項1に定義された通りである)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物とを接触させることと、
(b)前記PFPEパーオキシと、式(X-p)の前記化合物とを、UV照射又は加熱の存在下で反応させることとを含む、方法(P)。
【請求項10】
請求項9に記載の方法(P)であって、
- 前記PFPEパーオキシが、2つの鎖末端を有し、各々が、1~6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖過フッ素化アルキル鎖、又は-C(=O)Fから選択される基を含み、前記2つの鎖末端が、請求項4に定義される式(i)~(v)からなる群から独立して選択される、繰り返し単位(R°)を含むパーフルオロポリエーテル鎖[鎖(R
f)]の反対側に結合しており、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素のグラム数(Mw=16)として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間で有する、パーオキシドパーフルオロポリエーテルポリマーであり、
及び/又は
- 前記式(X-p)の少なくとも1つの化合物が、以下:
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2COOH、
CF
2=CFOCF
2COOH、
CF
2=CFO(CF
2)
5COOH、
CF
2=CFOCF
2CF
2OCF
2COOH、
CF
2=CFOCF
2CF
2COOH、
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2COF、
CF
2=CFOCF
2COF、
CF
2=CFO(CF
2)
3OCF(CF
3)COF、
CF
2=CFO(CF
2)
5COF、
CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CN、
CF
2=CFOCF
2CN、
CF
2=CFO(CF
2)
5CN、
CF
2=CFO(CF
2)
3OCF(CF
3)CN、
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CN、
CF
2=CFOCF
2CF
2Br、
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2Br、
CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2Br、
CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2CONH
2、
CF
2=CFOCF
2CONH
2、
CF
2=CFOCF
2CF
2CONH
2
から選択される、方法(P)。
【請求項11】
各々が2つの鎖末端を有する、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P
F)]であって、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端が、コポリマー(P
F)の鎖末端であり、各々が、以下:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖;-COOH及びその有機カチオン又は無機カチオンとの塩;-COORであって、式中、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-COOR;-COF;-CONH
2;-CON(R
100)(R
101)であって、式中、R
100及びR
100の各々は、Rについて定義されるのと同一意味を有する-CON(R
100)(R
101);-(R)
cOHであって、式中、cは、0、又は1であり、Rは、上記で定義された通りである-(R)
cOH;-C(O)-O-C(O)Rであって、式中、Rは、上記で定義された通りである-C(O)-O-C(O)Rから選択される基を含み、
ただし、(i)前記第1の及び第2のPFPE鎖の少なくとも1つの鎖末端が、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖とは異なる基を含み、(ii)一方の鎖末端が基-COFを含む場合、他方の鎖末端が、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖、又は-COFを含まず、
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端が、式(I)のブロックを介して、互いに結合しており:
(I) -[A-B]
z-
式中、
zが、1~100の整数であり、
(A)が、PFPE鎖であり、
(B)が、式(II)の少なくとも1つの基であり:
【化3】
式中、
nが、1~5の整数であり、
R
1~R
4が、各々独立して、-F、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び式(III)の基を含む群において選択され:
(III) -R
10-(X)
b
式中、
R
10が、任意選択的に、1個以上の酸素原子を含有する、1~12個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖であり、
Xが、好ましくは、以下:-COOH及びその有機カチオン又は無機カチオンとの塩;-COORであって、式中、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-COOR;-COF;-CON(R
100)(R
101)であって、式中、R
100及びR
100の各々は、水素原子であるか、又はRについて定義されるのと同一意味を有する-CON(R
100)(R
101);-(R)
cOHであって、式中、cは、0、又は1であり、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-(R)
cOH;-C(O)-O-C(O)Rであって、式中、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-C(O)-O-C(O)R;-Br;-CNから選択される官能基であり、及び
bが、1又は2の整数であり、
ここで、
*前記式(I)において、前記(A)及び(B)が、統計的に(ランダムに)配置され、
*式(II)において、R
1~R
4の少なくとも1つ、好ましくは1つが、式(III)の基であり、
*前記コポリマー(P
F)中の前記基Bの総数が、1~100である、コポリマー(PF)。
【請求項12】
請求項11に定義される2つ以上のコポリマー(P
F)を含む、混合物[混合物(P
F)]。
【請求項13】
式A、又は(Rf
O-O)に従う、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P
O-O)]であって、式中、Aが、上記で定義された通りであり、(Rf
O-O)が、(R°)について上記で定義された、式(i)~(v)のいずれか1つに従う繰り返し単位であり、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素のグラム数(Mw=16)として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間で有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々は、2つの鎖末端を有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端が、コポリマー(P)の鎖末端であり、各々が、以下:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖;-COOH及びその有機カチオン又は無機カチオンとの塩;-COORであって、式中、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-COOR;-COF;-CONH
2;-CON(R
100)(R
101)であって、式中、R
100及びR
100の各々は、Rについて定義されるのと同一意味を有する-CON(R
100)(R
101);-(R)
cOHであって、式中、cは、0又は1であり、Rは、上記で定義された通りである-(R)
cOH;-C(O)-O-C(O)Rであって、式中、Rは、上記で定義された通りである-C(O)-O-C(O)Rから選択される基を含み、及び
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端が、式(I
O-O)のブロックを介して、互いに結合しており、
(I
O-O) -[A-B-(Rf
O-O)]
z-
式中、
z、A、Bが、請求項1に定義される通りであり、
(Rf
O-O)が、上記で定義された通りであり、
ここで、
*式(I
O-O)において、A、B、及び(Rf
O-O)が、統計的に(ランダムに)配置され、
*前記コポリマー(P
O-O)中の前記基Bの総数が、1~100である、コポリマー(P
O-O)。
【請求項14】
請求項1~7に記載の少なくとも1つのコポリマー(P)、及び請求項10に記載の前記PFPEパーオキシの少なくとも1つ、及び/又は請求項13に記載の前記コポリマー(P
O-O)の1つ以上を含む、混合物[混合物(M1)]。
【請求項15】
式A、又は(Rf
O-O)に従う、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P
F-O-O)]であって、式中、Aが、請求項1に定義される通りであり、(Rf
O-O)が、請求項4に定義される式(i)~(v)のいずれか1つに従う繰り返し単位であり、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素のグラム数(Mw=16)として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間で有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々は、2つの鎖末端を有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端が、コポリマー(P
F-O-O)の鎖末端であり、各々が、以下:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖;-COOH及びその有機カチオン又は無機カチオンとの塩;-COORであって、式中、Rは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である-COOR;-COF;-CONH
2;-CON(R
100)(R
101)であって、式中、R
100及びR
100の各々は、Rについて定義されるのと同一意味を有する-CON(R
100)(R
101);-(R)
cOHであって、式中、cは、0又は1であり、Rは、上記で定義された通りである-(R)
cOH;-C(O)-O-C(O)Rであって、式中、Rは、上記で定義された通りである-C(O)-O-C(O)Rから選択され、
ただし、(i)前記第1の及び第2のPFPE鎖の少なくとも1つの鎖末端が、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖とは異なる基を含み、(ii)一方の鎖末端が基-COFを含む場合、他方の鎖末端が、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖、又は-COFを含まず、
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端が、式(I
O-O)のブロックを介して、互いに結合しており:
(I
O-O) -[A-B-(Rf
O-O)]
z-
z、A、Bが、請求項1に定義される通りであり、
(Rf
O-O)が、上記で定義された通りであり、
ここで、
*式(I
O-O)において、A、B、及び(Rf
O-O)が、統計的に(ランダムに)配置され、
*前記コポリマー(P
F-O-O)中の前記基Bの総数が、1~100である、コポリマー(P
F-O-O)。
【請求項16】
請求項11に定義される少なくとも1つのコポリマー(P
F)、及び請求項1~7に定義される少なくとも1つの前記コポリマー(P)、請求項10に定義される前記PFPEパーオキシ、請求項13に定義される前記1つ以上のコポリマー(P
O-O)、及び/又は請求項15に定義される前記1つ以上のコポリマー(P
F-O-O)を含む、混合物[混合物(M2)]。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2021年12月21日出願の欧州特許出願第21216316.6号の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、パーフルオロポリエーテル骨格に沿って官能化ペンダント基を含む、新規なパーフルオロポリエーテルポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
フッ素化ポリマーの中でも、(パー)フルオロポリエーテルポリマー(PFPE)は、それらの化学的及び物理的特性で、よく知られており、且つ大変興味深い。
【0004】
骨格に沿った官能基を含むPFPEポリマーは、当技術分野で開示されており、反応性中間体化合物として有用である。
【0005】
紫外線照射の存在下での、ポリパーオキシドパーフルオロポリエーテルとフッ素化オレフィンとの反応から得られる、パーフルオロポリエーテルポリマーは、米国特許第4,500,739号明細書(Montedison S.p.A.,February 19,1985)に開示されている。
【0006】
米国特許第6,403,539号明細書(Ausimont S.p.A.,June 11,2002)は、主鎖に沿ってペンダントするスルホニルフルオリド基を含有する、パーフルオロポリエーテルポリマーを開示している。しかしながら、パーオキシド基の存在は、安全上の懸念から望ましくない。
【0007】
多官能性(パー)フルオロポリエーテルポリマーは、米国特許第5,719,259号明細書(E.I.Du Pont de Nemours and Company,February 17,1998)、同4,853,097号明細書(Ausimont S.r.l.,August 1,1989)、及び同5,104,911号明細書(Ausimont S.r.l.,April 14,1992)に、更に開示されている。
【0008】
米国特許出願公開第2011/0230631号明細書(Solvay Solexis S.p.A,September 22,2011)は、式、-CF2-CF(CF2O-SO2F)-O-の、少なくとも1つの繰り返し単位を含む、少なくとも1つの(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖を含む、(パー)フルオロポリエーテルを開示しており、式中、括弧内のフルオロ硫酸基はペンダント基であり、これは、その後、求核剤と反応して、特に、カルボン酸、フッ化アシル、アミド、及びエステルなどの、官能基を提供する。
【0009】
中国特許第103724559号明細書(ZHONGHAO CHENGUANG RES INST CHEMICAL IND,April 16,2014)は、光酸化法によって調製されたパーフルオロポリエーテルパーオキシドを、不活性フッ素含有溶媒中に置き、紫外線照射条件下でパーフルオロオレフィンを導入し、パーフルオロオレフィンとパーオキシドとを反応させて、安定なパーフルオロポリエーテル化合物を形成する方法が開示されている。
【0010】
国際公開第2019/048394号パンフレット(Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.,March 14,2019)は、-SO3Xa、-PO3Xa、及び-COOXa(式中、Xaは、H、アンモニウム基、又は一価金属である)からなる群から選択される、複数のイオン化可能な基を含む、多官能性パーフルオロポリエーテル誘導体を開示している。
【発明の概要】
【0011】
本出願人は、パーフルオロポリエーテル骨格に沿って、少なくとも1つの非対称オレフィンの挿入を介して得ることができる、新規なパーフルオロポリエーテルポリマーを開発した。
【0012】
したがって、第1の態様では、本発明は、各々が2つの鎖末端を有する、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P)]に関し、第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端は、コポリマー(P)の鎖末端であり、各々は、1~6個の炭素原子を含む過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び-C(=O)Fから選択される基を含み、第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、式(I)のブロックを介して、互いに結合しており:
(I) -[A-B]
z-
式中、
zは、1~100の整数であり、
(A)は、PFPE鎖であり、
(B)は、式(II)の少なくとも1つ基であり:
【化1】
式中、
nは、1~5、好ましくは、1~2の整数であり、
R
1~R
4は、各々独立して、-F、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び式(III)を含む群から選択され、好ましくは、それらからなり:
(III) -R
10-(X)
b
式中、
R
10は、1~12個の炭素原子を含む、好ましくは、少なくとも1個の酸素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖であり、
Xは、好ましくは、以下から選択される官能基であり:-COOH、-COF、-CN、-Br、及び-CONH
2、
bは、1、又は2に等しい整数であり、
ここで、
*前記式(I)において、前記(A)、及び(B)は、統計的に(無作為に)配置され、
*式(II)において、R
1~R
4の少なくとも1つ、好ましくは、1つは、式(III)であり、
*前記コポリマー(P)中の前記基Bの総数は、1~100である。
【0013】
第2の態様では、本発明は、上記で定義されたコポリマー(P)の製造方法[方法(P)]に関する。
【0014】
有利には、本発明のコポリマー(P)は、下記を含む方法(P)を介して調製される:
(a)
- パーオキシド基を含む、少なくとも1つのパーフルオロポリエーテルポリマー[PFPEパーオキシ]と、
- 式(X-p):
【化2】
(式中、
R
21~R
23の各々は、独立して、-F、又は1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であり、
R
10、X、及びbは、式(III)について上記で定義された通りである)
の少なくとも1つの過フッ素化化合物とを接触させることと、
(b)前記PFPEパーオキシと、式(X-p)の前記化合物とを、UV照射又は加熱の存在下で反応させることとを含む、方法(P)を介して調製される。
【0015】
本発明による方法(P)では、式(X-p)の少なくとも1つの過フッ素化化合物の量は、前記コポリマー(P)の骨格に沿った低含有量又は高含有量のペンダント官能基のいずれかを特徴とする、コポリマー(P)を提供するために、適切に選択することができる。
【0016】
更なる態様では、本発明は、上記の方法(P)を介して得られる、コポリマー(P)に関する。
【0017】
精製工程は、前記方法(P)の最後に実施され得るが、本発明によるコポリマー(P)が、混合物として方法(P)の最後に得られることは、当業者に明らかであろう。
【0018】
したがって、更なる態様では、本発明は、上記で定義された2つ以上のコポリマー(P)を含む、混合物[混合物(P)]に関する。
【0019】
混合物(P)が、上記の方法(P)を介して得られることは、当業者に明らかであろう。
【0020】
有利には、前記混合物(P)を、1つ以上の精製工程(「分画」工程とも呼ばれる)に供することができ、したがって、19F-NMRによって測定した異なる数平均分子量、及び/又は官能性(F)、好ましくは、3~102によって特徴付けられる、別個のコポリマー(P)を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書の及び以下の特許請求の範囲の目的のために:
- 例えば「ポリマー(P)」等のような表現における、式を特定する記号又は数字の周囲の括弧の使用は、本文の他の部分から記号又は数字をよりよく区別するという、単なる目的を有し、そのため、前記括弧は、省略することもでき、
- 頭字語「PFPE」は、「(パー)フルオロポリエーテル」を表し、名詞として用いられる場合、文脈に依存して、単数形又は複数形のいずれかを意味することを意図し、
- 「官能性(F)」という用語は、本発明によるコポリマー中の、官能基の数を示すことを意図しており、式(II)及び(X-p)で表される基(X)に由来する官能基と、コポリマー(P)の各鎖末端の官能基との両方を含む。
【0022】
コポリマー(P)では、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の前記第1の鎖末端は、互いに同一であるか又は異なり得、1~3個の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖、及び-C(=O)Fから選択される。
【0023】
好ましい実施形態によれば、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の前記第1の鎖末端の一方は、基-C(=O)Fを含み、他方の鎖末端は、1~3個の炭素原子を含む過フッ素化アルキル鎖を含む。
【0024】
好ましくは、コポリマー(P)において、前記少なくとも1つのPFPE鎖(A)は、シグマ結合、又は-CF2-、-CF2CF2-、又は-O-から選択される基-(C)-を介して、一方の鎖末端、及び/又は前記少なくとも1つの基(B)に結合している。
【0025】
好ましくは、コポリマー(P)において、前記少なくとも1つの基(B)は、シグマ結合、又は上記で定義された基-(C)-を介して、一方の鎖末端、及び/又は前記少なくとも1つのPFPE鎖(A)に結合している。
【0026】
好ましくは、前記コポリマー(P)において、前記PFPE鎖の各々は、繰り返し単位R°を含む、好ましくは、これらからなる、完全にフッ素化された鎖[鎖(Rf)]であり、前記繰り返し単位は、以下からなる群から独立して選択される:
(i)-CFXO-(式中、Xは、-F又は-CF3である)、
(ii)-CFXCFXO-(式中、Xは、各出現で、同一であるか又は異なり、-F、又はCF3であり、ただし、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とする)、
(iii)-CF2CF2CF2O-、
(iv)-CF2CF2CF2CF2O-、
(v)-(CF2)j-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式、-O-R(f-a)-Tの基であり、R(f-a)は、0~10の繰り返し単位の数を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下から選択される:-CFXO-、-CF2CFXO-、-CF2CF2CF2O-、-CF2CF2CF2CF2O-の中から選択され、Xの各々は、独立して、F、又はCF3であり、及びTは、C1~C3パーフルオロアルキルアルキル鎖である)。
【0027】
好ましくは、鎖(Rf)は、以下の式に従う:
(Rf-I)
-[(CFX1O)g1(CFX2CFX3O)g2(CF2CF2CF2O)g3(CF2CF2CF2CF2O)g4]-、
式中、
- X1は、-F、及び-CF3から独立して選択され、
- X2、X3は、互いに同一あるか又は異なり、及び、各出現ごとに、独立して、-F、-CF3であり、ただし、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とし、
- g1、g2、g3、及びg4は、互いに同一であるか又は異なり、独立して、0以上の整数であり、それにより、g1+g2+g3+g4は、2~300、好ましくは、2~100の範囲であり、g1、g2、g3、及びg4の少なくとも2つは、0と異なり、異なる繰り返し単位は、鎖に沿って、概して統計的に分布している。
【0028】
より好ましくは、鎖(Rf)は、以下の式の鎖から選択される:
(Rf-IIA) -[(CF2CF2O)a1(CF2O)a2]-、
式中、
- a1、及びa2は、独立して、0以上の整数であり、それにより、数平均分子量は、400~100,000の間、好ましくは、400~50,000の間であり、a1、及びa2の両方は、好ましくは、0ではなく、比a1/a2は、好ましくは、0.1~10の間に含まれ、
(Rf-IIB) -[(CF2CF2O)b1(CF2O)b2(CF(CF3)O)b3(CF2CF(CF3)O)b]-、
式中、
b1、b2、b3、b4は、独立して、0以上の整数であり、それにより、数平均分子量は、400~100,000の間、好ましくは、4400~50,000の間であり、好ましくは、b1、b2、b3、b4は、0より大きく、
(Rf-IIC) -[(CF2CF2O)c1(CF2O)c2(CF2(CF2)cwCF2O)c3]-、
式中、
cw=1、又は2であり、
c1、c2、及びc3は、独立して、0以上の整数であるように選択され、それにより、数平均分子量は、400~100,000の間、好ましくは、400~50,000の間であり、好ましくは、c1、c2、及びc3は、全て0より大きく、比c3/(c1+c2)は、概して、0.2より小さい。
【0029】
更により好ましくは、鎖(Rf)は、本明細書で、以下の式(Rf-III)に従う:
(Rf-III) -[(CF2CF2O)a1(CF2O)a2]-
式中、
- a1、及びa2は、0より大きい整数であり、それにより、数平均分子量は、400~100,000の間、好ましくは、400~50,000の間であり、比a1/a2は、概して、0.1~10の間、より好ましくは、0.2~5の間である。
【0030】
好ましくは、式(II)において、置換基R1~R4の少なくとも1つは、式(III)の基であり、及び他の置換基は、各々独立して、-F、又は1~3個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル鎖、より好ましくは、-F、又は-CF3から選択される。
【0031】
好ましくは、前記式(III)において、bは、1である。
【0032】
好ましくは、前記式(III)において、前記R10は、1~9個、より好ましくは、1~6個の炭素原子、及び1個又は2個の酸素原子を含む、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖である。
【0033】
好ましくは、式(III)において、前記R10は、以下の式に従う:
(R10-i) -(CF2)dO-RCF-
式中、
dは、0、又は1であり、
RCFは、1~3個の炭素原子を含む、直鎖若しくは分岐鎖パーフルオロアルキル鎖、又は1~6個の炭素原子及び少なくとも1個の酸素原子を含む、直鎖若しくは分岐鎖パーフルオロアルキル鎖である。
【0034】
より好ましくは、前記RCFは、任意選択的に、1個の酸素原子によって中断された、1~5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖である。
【0035】
本発明によるコポリマー(P)は、容易にスケールアップできる、特許請求される方法(P)を介して、有利に調製され得る。
【0036】
工程(a)の前に、PFPEパーオキシは、例えば、化学的還元、又はUV処理又は熱処理による、過酸化物結合の部分還元に供することができる。
【0037】
好ましくは、前記PFPEパーオキシは、各々が、1~6個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐鎖過フッ素化アルキル鎖、又は-C(=O)Fから選択される基を含む、2つの鎖末端を有するパーオキシドパーフルオロポリエーテルポリマーであり、前記2つの鎖末端は、上記で定義された、式(i)~(v)からなる群から独立して選択される、繰り返し単位(R°)を含む、好ましくは、それからなる、パーフルオロポリエーテル鎖[鎖(Rf)]の反対側に結合しており、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素のグラム(Mw=16)として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間、好ましくは、0.1~3.5の間で有する。
【0038】
好ましくは、前記PFPEパーオキシにおいて、鎖(Rf)は、上記で定義された、式(Rf-I)、又は(Rf-IIA)、(Rf-IIB)、(Rf-IIC)、又は(Rf-III)に従う。
【0039】
特に好ましい実施形態によれば、式(X-p)の前記少なくとも1つの化合物は、以下から選択される:
CF2=CFCF2OCF2CF2COOH、
CF2=CFOCF2COOH、
CF2=CFO(CF2)5COOH、
CF2=CFOCF2CF2OCF2COOH、
CF2=CFOCF2CF2COOH、
CF2=CFCF2OCF2CF2COF、
CF2=CFOCF2COF、
CF2=CFO(CF2)3OCF(CF3)COF、
CF2=CFO(CF2)5COF、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、
CF2=CFOCF2CN、
CF2=CFO(CF2)5CN、
CF2=CFO(CF2)3OCF(CF3)CN、
CF2=CFCF2OCF2CF2CN、
CF2=CFOCF2CF2Br、
CF2=CFCF2OCF2CF2Br、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2Br、
CF2=CFCF2OCF2CF2CONH2、
CF2=CFOCF2CONH2、
CF2=CFOCF2CF2CONH2。
【0040】
工程(a)において、前記化合物(X-p)の量は限定されず、PFPEパーオキシの量、並びにその過酸化物含有量及び所望の最終ポリマーの両方に基づいて、当業者によって有利に選択することができる。例えば、パーオキシド基の当量に対する、前記化合物(X-p)の二重結合の当量は、1:100~5000:100の範囲であり得る。当業者によって理解されるように、前記化合物(X-p)は、溶媒(すなわち、非常に過剰)であり得、反応の終了時に、例えば、蒸留によって、本発明のコポリマー(P)によって分離され得る。
【0041】
方法(P)の工程(a)は、前記PFPEパーオキシを、式(X-p)の1つの化合物と接触させることによって、有利に実施することができる。本実施形態によれば、コポリマー(P)中の基(B)は、上記で定義された、式(II)の1つの基である。
【0042】
あるいは、前記工程(a)は、前記PFPEパーオキシを、式(X-p)の2つ以上の化合物と接触させることによって、実施することができる。本実施形態によれば、コポリマー(P)中の基(B)は、上記で定義された、式(II)の各々2つ以上の基である。
【0043】
換言すれば、本実施形態では、前記ブロック(I)は、以下の式に従う:
(I-a):
-[A-(B1)n1-(B2)n2-(Bx)nx]z- (I-a)
式中、
z及びAの各々は、上記で定義された通りであり、
B1は、第1の化合物(X-p)に由来し、B2は、第2の化合物(X-P)に由来し、Bxは、第xの化合物(X-p)に由来し、B1、B2、及びBxは、ブロック(I)内に、ランダムに配置され、n1、n2、及びnxの各々は、0、又は1~5、好ましくは、1又は2の整数であり、ただし、n1、n2、及びnxの少なくとも2つは、0とは異なる、に従う。
【0044】
工程(a)、及び工程(b)は、フッ素化溶媒の存在下で、実施することができる。好ましくは、前記フッ素化溶媒は、パーフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロポリエーテル類、ハイドロフルオロポリエーテル類を含む群において、選択される。
【0045】
好ましくは、工程(b)は、2~150時間、好ましくは、5~100時間、UV放射の存在下で実施される。
【0046】
好ましくは、工程(b)は、-60℃~+150℃、より好ましくは、-20℃~+100℃、更により好ましくは、0℃~60℃の温度で、UV放射の存在下で実施される。
【0047】
代替として、工程(b)は、好ましくは、150℃~250℃の温度で加熱することによって、熱処理下で実施することができる。
【0048】
好ましくは、前記工程(b)は、不活性雰囲気中で実施される。
【0049】
有利には、前記コポリマー(P)の骨格に沿ってペンダント基として導入された官能基、例えば、特に、-COOH、-COF、-CN、-Br、及び-CONH2、並びにコポリマー(P)の鎖末端の官能基、例えば、特に、-COFを、適切に反応させて、他の異なる官能基を得ることができる。
【0050】
「反応させることができる」という表現は、そのような官能基が、例えば、塩化、加水分解、又は異なる化学反応を受けて、コポリマー(P)の最終用途を考慮して、所望の反応性を有する官能基を提供することができると示すことを、意図している。
【0051】
別の態様では、本発明は、各々が2つの鎖末端を有する、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(P
F)]に関し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端は、コポリマー(P
F)の鎖末端であり、各々は、以下から選択される基を含み:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、-COOH及びその有機カチオン、好ましくは、オニウムカチオン、より好ましくは、アンモニウム、又は無機カチオン、好ましくは、アルカリ金属、より好ましくは、Na
+、K
+との塩、-COOR(式中、Rは、1~6個の炭素原子、好ましくは、1~3個の炭素原子、より好ましくは、1個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である)、-COF、-CONH
2、-CON(R
100)(R
101)(式中、R
100及びR
100の各々は、Rについて定義されたのと同一意味を有する)、-(R)
cOH(式中、cは、0、又は1であり、Rは上記で定義された通りである)、-C(O)-O-C(O)R(式中、Rは上記で定義された通りである)、
ただし、(i)前記第1の及び第2のPFPE鎖の少なくとも1つの鎖末端は、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖とは異なる基を含み、(ii)一方の鎖末端が基-COFを含む場合、他方の鎖末端は、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖、又は-COFを含まず、
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、式(I)のブロックを介して、互いに結合されることを条件とする:
(I) -[A
F-B
F]
z-
式中、
zは、1~100の整数であり、
(A)は、PFPE鎖であり、
(B)は、式(II)の、少なくとも1つの基であり:
【化3】
式中、
nは、1~5、好ましくは、1~2の整数であり、
R
1~R
4は、各々独立して、-F、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、及び式(III)の基を含む群において選択され:
(III) -R
10-(X)
b
式中、
R
10は、任意選択的に、1個以上の酸素原子を含有する、1~12個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル鎖であり、
Xは、好ましくは、以下から選択される官能基であり:-COOH及びその有機カチオン、好ましくは、オニウムカチオン、より好ましくは、アンモニウム又は無機カチオン、好ましくは、アルカリ金属、より好ましくは、Na
+、K
+とのその塩、-COOR(式中、Rは、上記で定義された通りである)、-COF、-CON(R
100)(R
101)(式中、R
100及びR
100の各々は、水素原子であるか、又はRについて定義されるのと同一意味を有する)、-(R)
cOH(式中、cは、0、又は1であり、Rは、上に定義される通りである)、-C(O)-O-C(O)R(式中、Rは、上に定義される通りである)、Br、-CN、
bは、1又は2の整数であり;
ここで、
*前記式(I)において、前記(A)、及び(B)は、統計的に(ランダムに)配置され、
*式(II)において、R
1~R
4の少なくとも1つ、好ましくは、1つは、式(III)の基であり、
*前記コポリマー(P
F)中の前記基Bの総数は、1~100である。
【0052】
有利には、本発明によるコポリマー(PF)は、上記の方法(P)から得られ、前記方法(P)は、前記工程(b)の後に、塩化、加水分解、酸化、還元、又は目的の官能基を提供することができる別の化学反応を含む、少なくとも1つの工程(c)を更に含む。
【0053】
本発明は更に、方法(P)の工程(c)の最後に得られる、コポリマー(PF)を包含する。
【0054】
更なる態様では、本発明は、上記で定義された2つ以上のコポリマー(PF)を含む、混合物[混合物(PF)]に関する。
【0055】
本発明による方法(P)は制御することができ、精製工程は、方法(P)の、工程(b)又は工程(c)の後に実施することができるが、1つ以上のコポリマー(P)、又はコポリマー(PF)の混合物が、典型的に得られる。前記混合物は、出発材料として使用されるPFPEパーオキシを更に含有することができ、及び/又はパーオキシ基を含有するコポリマー(P)の混合物[コポリマー(PO-O)]、及び/又はパーオキシ基を含有するコポリマー(PF)の混合物[コポリマー(PF-O-O)]を得ることができる。
【0056】
別の態様では、本発明は、上記で定義された少なくとも1つのコポリマー(P)と、出発材料として使用される前記PFPEパーオキシの少なくとも1つと、及び/又は前記コポリマー(PO-O)の1つ以上とを含む、混合物[混合物(M1)]に関する。
【0057】
別の態様では、本発明は、上記で定義された少なくとも1つのコポリマー(PF)と、並びに上で定義される前記コポリマー(P)の少なくとも1つと、出発材料として使用される前記PFPEパーオキシと、前記1つ以上のコポリマー(PO-O)と、及び/又は前記1つ以上のコポリマー(PF-O-O)の少なくとも1つとを含む、混合物[混合物(M2)]に関する。
【0058】
有利には、前記コポリマー(PO-O)、及び/又は前記コポリマー(PF-O-O)を単離し、他の方法における中間体として使用することができる。
【0059】
本発明のコポリマー(P)、又はコポリマー(PF)を含有する混合物中に存在し得る、パーオキシ基の量は、PFPEパーオキシ中の出発パーオキシ基の量に基づいて、最大99%であり得るが、最終用途に応じて、前記パーオキシ基の量は、例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5%まで、適切に調整することができる。
【0060】
より好ましくは、前記パーオキシ基の量は、最大1、更により好ましくは、最大0.5%、更により好ましくは、最大0.1%である。
【0061】
別の態様では、本発明は、式A、又は(RfO-O)に従う、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(PO-O)]に関し、(式中、Aは上記に定義された通りであり、(RfO-O)は、(R°)について上記で定義された、式(i)~(v)のいずれか1つに従い、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素のグラム数(Mw=16)として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間、好ましくは、0.1~3.5の間で有する、繰り返し単位であり)、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々は、2つの鎖末端を有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端は、コポリマー(P)の鎖末端であり、各々は、以下から選択される基を含む:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、-COOH及びその有機カチオン、好ましくは、オニウムカチオン、より好ましくは、アンモニウム、又は無機カチオン、好ましくは、アルカリ金属、より好ましくは、Na+、K+との塩、-COOR(式中、Rは、1~6個の炭素原子、好ましくは、1~3個の炭素原子、より好ましくは、1個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である)、-COF、-CONH2、-CON(R100)(R101)(式中、R100及びR100の各々は、Rについて定義されるのと同一意味を有する)、-(R)cOH(式中、cは、0、又は1であり、Rは、上記で定義された通りである)、-C(O)-O-C(O)R(式中、Rは、上記で定義された通りである)、
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、式(IO-O)のブロックを介して、互いに結合しており:
(IO-O) -[A-B-(RfO-O)]z-
式中、z、A、B、及び(RfO-O)は、上記で定義された通りであり、
ここで、
*式(IO-O)において、A、B、及び(RfO-O)は、統計的に(ランダムに)配置され、
*前記コポリマー(PO-O)中の前記基Bの総数は、1~100である、のブロックを介して、互いに結合する。
【0062】
更に別の実施形態では、本発明は、式A、又は(RfO-O)に従う、第1の及び第2のパーフルオロポリエーテル鎖[PFPE鎖]を含む、ブロックコポリマー[コポリマー(PF-O-O)]に関し、(式中、Aは、上記に定義された通りであり、(RfO-O)は、(R°)について上記に定義された、式(i)~(v)のいずれか1つに従い、100gのPFPEパーオキシ中の活性酸素(Mw=16)のグラム数として定義される、過酸化物含有量(PO)を、0.1~4の間、好ましくは、0.1~3.5の間で有する、繰り返し単位であり)、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々は、2つの鎖末端を有し、前記第1の及び第2のPFPE鎖の各々の第1の鎖末端は、コポリマー(PF-O-O)の鎖末端であり、各々は、以下から選択される基を含む:1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖、-COOH及びその有機カチオン、好ましくは、オニウムカチオン、より好ましくは、アンモニウム、又は無機カチオン、好ましくは、アルカリ金属、より好ましくは、Na+、K+との塩、-COOR(式中、Rは、1~6個の炭素原子、好ましくは、1~3個の炭素原子、より好ましくは、1個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖アルキル鎖である)、-COF、-CONH2、-CON(R100)(R101)(式中、R100及びR100の各々は、Rについて定義されるのと同一意味を有する)、-(R)cOH(式中、cは、0、又は1であり、Rは、上記で定義された通りである)、-C(O)-O-C(O)R(式中、Rは、上記で定義された通りである)、
ただし、(i)前記第1の及び第2のPFPE鎖の少なくとも1つの鎖末端は、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖又は分岐鎖アルキル鎖とは異なる基を含み、(ii)一方の鎖末端が基-COFを含む場合、他方の鎖末端は、1~6個の炭素原子を有する過フッ素化直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖、又は-COFを含まず、
前記第1の及び第2のPFPE鎖の第2の鎖末端は、式(IO-O)のブロックを介して、互いに結合しており、
(IO-O) -[A-B-(RfO-O)]z-
式中、z、A、B、及び(RfO-O)は、上記で定義された通りであり、
ここで、
*式(IO-O)において、A、B、及び(RfO-O)は、統計的に(ランダムに)配置され、
*前記コポリマー(PF-O-O)中の前記基Bの総数は、1から100である。
【0063】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が、ある用語を不明確にし得る程度にまで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0064】
本発明はこれから以下の実施例に関連して説明され、その目的は、例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0065】
材料
パーオキシドパーフルオロポリエーテル油は、Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.によって入手し、下記式に従う:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n(O)h-X’
式中、
X、及びX’は、-CF3、-CF2COF、-COFであり、以下の特性を有する:
PFPEパーオキシ(1) Mn=40900g/mol、P.O.=1.45%、m/n=1.1、
PFPEパーオキシ(2) Mn=37800g/mol、P.O.=1.47%、m/n=1.1、
PFPEパーオキシ(3) Mn=25000g/mol、P.O.=1.34%、m/n=1.1、
PFPEパーオキシ(4) Mn=39000g/mol、P.O.=1.54%、m/n=1.0、
PFPEパーオキシ(5) Mn=46000g/mol、P.O.=1.61%、m/n=1.0、
PFPEパーオキシ(6) Mn=47000g/mol、P.O.=1.61%、m/n=1.0、
PFPEパーオキシ(7) Mn=37000g/mol、P.O.=1.53%、m/n=1.0、
【0066】
以下は、Anles LTDによって購入され、そのまま使用された:
パーフルオロアリル酸(PFAA)CF2=CFCF2OCF2CF2COOH、
パーフルオロアリルアシルフルオリド(PFAAF)CF2=CFCF2OCF2CF2COF、
パーフルオロビニルシアノ(8-CNVE)CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、
【0067】
過フッ素化溶媒Galden SV70、Galden HT200及びGalden D100は、Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.によって、入手した。
【0068】
方法:
19F核種について動作した19F-NMR-Varian Mercury 200MHzスペクトロメーターを、パーフルオロポリエーテル油の、構造、分子量、鎖末端組成を得るために使用した。19F-NMRスペクトルは、内部標準としてCFCl3を使用して、純粋な試料に関して得た。
【0069】
過酸化物含有量(PO)は、ポリマー100gあたりのパーオキシド酸素のグラムとして表される。パーオキシド含有量の分析は、白金電極を備えた、Mettler DL40装置を用いる、ヨードメトリー滴定によって実施した。
PO決定の感度限界は、0.0002%であった。
【0070】
実施例1-熱的経路による、ポリカルボン酸パーフルオロポリエーテルの調製
150gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(1)]、3.4gのPFAA、及び100gのGalden(登録商標)HT200を、マグネチックスターラー及び温度計を備えた、フラスコに導入した。混合物を80℃で加熱して均質化し、次いで、N2雰囲気中で、14時間、温度を、160℃から230℃まで徐々に上昇させた。最後に、生成物を、真空中、240℃で、1時間維持した。生成物の19F-NMR分析によって、パーオキシド単位及び未反応オレフィンの、完全な除去が確認された。
見出された構造は、以下の通りであった:
X-O-(CF2CF2O)m(CF2O)n[CF2CF(CF2OCF2CF2COOH)]a-X’、
式中、m/n=1.1、
a=3.3(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COF、
数平均分子量(Mn)=43300g/mol。
【0071】
実施例2-光化学的経路による、ポリシアノパーフルオロポリエーテルの調製
800mLの円筒形光化学反応器に、高圧水銀ランプモデルHANAU TQ150を装備した。反応器は、熱電対及び凝縮器を備えた。
【0072】
250gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(2)]に、680gのGalden(登録商標)SV70、及び8.6gの8-CNVEを投入し、均一な混合物を有するように撹拌した。UVランプのスイッチを入れた。反応時間中、氷/水混合物を用いて、反応器を約10℃に維持した。反応を、N2不活性雰囲気中で行った。
【0073】
96時間後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を回収した。次いで、溶媒を、真空下で、70℃で蒸留した。生成物の19-NMR分析により、パーオキシド単位及び以下の構造の完全な除去が確認された:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n(CF2CFO(CF2CF(CF3)OCF2CF2CN))a-X’、
式中、m/n=1.1、
a=2.5(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COF、
数平均分子量(Mn)=39500g/mol。
【0074】
-CN官能基の導入は、FT-IR分光測定によっても確認され、2269cm-1に、ピークの存在が確認された。
【0075】
実施例3-光化学的経路による、ポリカルボン酸パーフルオロポリエーテルの調製
1000mLの円筒形光化学反応装置に、高圧水銀ランプモデルHANAU TQ150を装備した。反応器は、熱電対及び凝縮器を備えた。
【0076】
780gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(3)]を、776gのPFAAと共に反応器に投入し、混合物を撹拌して均質化した。反応は、N2雰囲気下で行った。UVランプのスイッチを入れた。反応時間中、氷/水混合物を用いて、反応器を約20℃に維持した。
【0077】
36時間後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を、マグネチックスターラー及び温度計を備えた、フラスコに移した。混合物を、160から240℃まで、11時間にわたって加熱することによって、残留PO及び未反応オレフィンを除去した。
【0078】
生成物の19F-NMR分析によって、パーオキシド単位及び未反応オレフィンの、完全な除去が確認された。
【0079】
フッ化アシル末端基を、以下の手順に従って、加水分解によって、対応するカルボン酸に変換した。
【0080】
生成物を、820gのGalden(登録商標)SV70に溶解し、300gの水中20% HClを添加した。混合物を、80℃で、2時間加熱し、次いで、2つの相を、室温で分離した。フッ素化物相を、300mLの20% HClで2回洗浄し、次いで、真空下、120℃で蒸留して、水及びHClトレースを除去した。最終生成物(794g)を、19F-NMRで分析し、全てのフッ化アシル基が、対応するカルボン酸基に変換されたことを確認した。
【0081】
19F-NMR分析から、次の構造を確認した:
X-O-(CF2CF2O)m(CF2O)n[CF2CF(CF2OCF2CF2COOH)]a-X’、
式中、
m/n=1.1,
a=18(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COOH。
【0082】
実施例4-熱的経路による、低当量重量の、ポリカルボン酸パーフルオロポリエーテルの調製
750gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(4)]、及び750gのPFAAを、マグネチックスターラー及び温度計を備えた、フラスコに導入した。混合物を80℃で加熱して均質化し、次いで、温度を、25時間にわたって、160℃から220℃に上昇させた。最後に、生成物を、真空中で、220℃で、1時間維持した。
【0083】
フッ化アシル基を、水による加水分解によって、対応するカルボン酸に変換した。
【0084】
生成物を、300gの蒸留水と共に、室温で、4時間撹拌した。フッ素化生成物を、水相から分離し、新鮮な水で、2回洗浄した。最終生成物は、真空装置内で、150℃で乾燥させた後に回収した。最終生成物を19F-NMRで分析し、全てのフッ化アシル基が対応するカルボン酸基に変換され、全てのパーオキシド結合が首尾よく除去されたことを確認した。
【0085】
構造は、以下の通りであった:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n[CF2CF(CF2OCF2CF2COOH)]a-X’、
式中、m/n=1.0、
a=24(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COOH。
【0086】
実施例5-光化学的経路による、ポリアシルフルオリドパーフルオロポリエーテルの調製
800mLの円筒形光化学反応装置に、高圧水銀ランプモデルHANAU TQ150を装備した。反応器は、熱電対及び凝縮器を備えた。
【0087】
N2不活性雰囲気下、207gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(5)]を、溶媒としての554gのGalden(登録商標)D100、及び199gのPFAAFと共に、反応器に投入した。混合物を、十分に撹拌して均質化した。UVランプのスイッチを入れた。反応時間中、氷/水混合物を用いて、反応器を約20℃に維持した。
【0088】
25時間後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を、マグネチックスターラー及び温度計を備えたフラスコ内で、乾燥N2雰囲気下で回収した。残留PO及び未反応オレフィンを、フラスコを130℃から230℃まで加熱することによって、除去した。最後に、POの最後のトレースを、真空下230℃で除去した。
【0089】
19F-NMR分析によって、過酸化物単位及び未反応オレフィン、並びに以下の構造の、完全な除去が確認された:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n[CF2CF(CF2OCF2CF2COF)]a-X’、
式中、m/n=1.0、
a=33(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COF、
数平均分子量(Mn)=40200g/mol。
【0090】
実施例6-光化学的経路による、ポリシアノパーフルオロポリエーテルの調製
1000mLの円筒形光化学反応装置に、高圧水銀ランプモデルHANAU TQ150を装備した。反応器は、熱電対及び凝縮器を備えた。
【0091】
352gのそのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(6)]に、1180gのGalden(登録商標)D100、及び212.8gの8-CNVEを投入し、均一な混合物を有するように撹拌した。UVランプのスイッチを入れた。反応時間中、氷/水混合物を用いて、反応器を約20℃に維持した。反応を、N2不活性雰囲気中で行った。
【0092】
56時間後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を回収した。混合物をフラスコに導入し、溶媒及び未反応オレフィンを、真空下で、120℃で蒸留した。
【0093】
生成物の19F-NMR分析によって、パーオキシド単位及び未反応オレフィン、並びに以下の構造の、完全な除去が確認された:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n[CF2CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN)]a-X’、
式中、
m/n=1.0、
a=52(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COF、
数平均分子量(Mn)=56400g/mol。
【0094】
また、-CN官能基の導入は、2269(シャープ)cm-1のピークの存在を確認することによって、FT-IR分光測定によって確認した。
【0095】
実施例7-光化学的経路による、ポリカルボン酸パーフルオロポリエーテルの調製
250gのパーオキシドパーフルオロポリエーテル油[PFPE(7)]を、680gのGalden(登録商標)SV70、及び5.7gのPFAAと共に、反応器に投入し、混合物を撹拌して均質化した。反応を、N2不活性雰囲気中で実施する。UVランプのスイッチを入れた。反応時間中、氷/水混合物を用いて、反応器を約10℃に維持した。
【0096】
6時間後、ランプのスイッチを切り、反応混合物を回収した。生成物を、マグネチックスターラーを備えたフラスコに導入し、蒸留に供して、溶媒を除去した。温度を240℃に上げ、5時間、一定に保った。生成物の19F-NMRは、パーオキシド単位の完全な除去を確認した。
【0097】
フッ化アシル基を、水による加水分解によって、対応するカルボン酸に変換した。生成物を、300gの蒸留水と共に、室温で、4時間撹拌した。最終的な塊を、水相から分離し、新規な水で2回洗浄した。最終生成物を、真空中、150℃で乾燥させた後に回収した。最終生成物を19F-NMRで分析し、全てのフッ化アシル基が、対応するカルボン酸基に変換されたことを確認した。
【0098】
見出された構造は、以下の通りであった:
XO-(CF2CF2O)m(CF2O)n(CF2CF(CF2OCF2CF2COOH))a-X’、
式中、Mn=40400g/mol、
m/n=1.0、
a=3.5(平均として)、
X、及びX’=-CF3、-CF2COOH。
【国際調査報告】