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特表2024-547082空気感染疾患、特に呼吸器疾患を検出するセンサ、関連するシステム及び方法
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  • 特表-空気感染疾患、特に呼吸器疾患を検出するセンサ、関連するシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】空気感染疾患、特に呼吸器疾患を検出するセンサ、関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B10/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537346
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082300
(87)【国際公開番号】W WO2023117227
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】FR2114141
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523154068
【氏名又は名称】ザイノン・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】アブサレハ・ハレド
(57)【要約】
【課題】個人の空気感染性疾患の発生及び進行を早期に検出する装置を提案する。
【解決手段】本発明、個人における空気感染性疾患、特に呼吸器感染症の発生を判定する装置(1)に関し、この装置(1)は、・赤外線カメラ又はセンサと、・マイクロフォンと、・周囲空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、・二酸化炭素(CO)濃度を測定するセンサと、・周囲空気温度センサと、・周囲空気相対湿度センサと、・気圧センサとを備える。装置(1)は、収集した情報をクラウド(3)のリモートサーバに送信するものとされた無線通信手段(5)を備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的な情報の収集用に、
- 赤外線センサ又はカメラと、
- マイクロフォンと、
- 周囲空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、
- 二酸化炭素(CO)濃度を計測するセンサと、
- 周囲空気温度センサと、
- 周囲空気の相対湿度センサと、
- 気圧センサと、
を備える、1個人における空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する装置(1)であって、
- その場にいる人の数と、人と人との間の距離とを計測するレーダーセンサ又はライダーセンサと、
- 揮発性有機化合物、特にエタノール、二水素(H)又は総揮発性有機化合物(TVOCs)の濃度を計測するセンサと、
- 気流センサと、
- 紫外線率センサと
の中で少なくともどれか1つを好ましくは備える、
1個人における空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する装置(1)。
【請求項2】
前記装置が、地理的位置センサ、好ましくは衛星による地理的位置センサを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、前記収集した情報の処理手段を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記収集した、未処理又は処理した情報をリモートサーバ、好ましくはクラウド(3)内のサーバに送信する無線手段(5)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記収集した情報を遅延送信する記憶手段を備えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置を少なくとも1台と、
前記収集した情報を処理するリモートサーバと、
前記リモートサーバによって処理された情報を、前記個人又は別の人のどちらかに送信する無線手段(4)であって、前記無線手段が好ましくは咳を認識する人工知能アルゴリズムを備える、前記無線手段(4)と
を備えることを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定するシステム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置を少なくとも3台備えたことを特徴とする、請求項6に記載の肺感染症の発生を判定するシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のシステムを使うことと、
10分の1マイクロメートル(0.1μm)及び150マイクロメートル(150μm)の間の直径を持つ液滴の濃度を計測することであって、好ましくは、直径が1マイクロメートル(1μm)未満の液滴、直径が1マイクロメートル(1μm)を超える液滴、及び直径が100マイクロメートル(100μm)を超える液滴用である、前記液滴の濃度を計測することと
を備えることを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する方法。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムによって収集されたデータを使うことを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の地理的進展を判定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の健康状態を監視する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染を避けるため、又は流行の広がりを抑えるためには、病気の出現を非常に早期に発見しなければならない。特に、呼吸器疾患は、患者が発するエアロゾル、特に会話時又はくしゃみ時に発するエアロゾルによって運ばれ、非常に迅速に広がる可能性がある。
【0003】
しかし、患者が病気の初期段階で自己診断することは困難である。加えて、多くの人々、特に高齢者は一人暮らしである。また、老人ホームには、特に夜間、入所者を常時監視するのに十分なスタッフが必ずしもいない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、個人の呼吸器疾患の発生及び進行を早期に検出する装置を提案することである。
【0005】
本発明の第1の目的では、1個人における呼吸器感染症の発生を判定する装置が、局所的な情報収集用に、
- 赤外線センサ又はカメラと、
- マイクロフォンと、
- 周囲空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、
- 二酸化炭素(CO)濃度を計測するセンサと、
- 周囲空気温度センサと、
- 周囲空気の相対湿度センサと、
- 気圧センサと、
を備えて、
- その場にいる人の数と、人と人との間の距離とを計測するレーダーセンサ又はライダーセンサと、
- 揮発性有機化合物、特にエタノール、二水素(H)又は総揮発性有機化合物(TVOCs)の濃度を計測するセンサと、
- センサ装置が設置されている室内の空気の更新(入れ替わったこと)を定量化するための、気流センサと、
- 紫外線率センサであって、紫外線は空気中のウイルスの生存に影響を持つ、紫外線率センサと
の中で少なくともどれか1つを好ましくは備える。
【0006】
このようなセンサ装置は、好ましくは衛星による地理的位置センサを備える。また、収集した情報の処理手段を備えてもよい。
【0007】
収集された情報を、生又は処理された状態で、遠隔地のサーバ、好ましくはクラウド上のサーバに送信する非有線手段を、有利に備える。また、収集した情報を遅延送信する記憶手段を備えてよい。
【0008】
本発明の第2の目的は、本発明による少なくとも1つの装置と、収集された情報を処理するリモートサーバと、リモートサーバによって処理された情報を個人又は別の人に送信する非有線手段とを備える監視システムに関し、前記リモートサーバは、好ましくは、咳の認識を可能にする人工知能アルゴリズムを備える。
【0009】
有利には、このようなシステムは、本発明の装置を少なくとも3台備える。
【0010】
本発明の第3の目的は、肺感染症の発生を判定する方法に関し、この方法は、本発明のシステムの使用と、
10分の1マイクロメートル(0.1μm)と150μmとの間の直径を持つ液滴の濃度の計測(好ましくは、直径が1μm未満の液滴と、直径が1μmを超える液滴と、直径が100μmを超える液滴との濃度の計測)と
を備える。
【0011】
本発明の第4の目的は、本発明による少なくとも3つの装置を備えるシステムによって収集されたデータを使う、肺感染症の地理的進展を判定する方法に関する。
【0012】
以下、本発明の複数の実施形態を、非限定的な例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、呼吸器感染症による汚染の最初の5日間における異なる症状変数の推移の一例を示す図である。
図2図2は、呼吸器感染の発生の判定用の、本発明によるシステム及び方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、一例として、個体における呼吸器感染症の最初の5日間における、それぞれの変数P1からP6の推移を示す曲線を示している。この例では
- 第1の曲線P1は、個人の体温の変化を示す。
- 第2の曲線P2は、個体が滞在している部屋の二酸化炭素(CO)レベル(濃度の程度)の変動を示す。
- 第3の曲線P3は、個体の咳、例えば咳の頻度の変化を示す。
- 第4の曲線P4は、個体が滞在している部屋の気温の変化を示す。
- 第5の曲線P5は、個体が滞在している部屋のエアロゾルレベルの変動を示す。
- 第6の曲線P6は、個体が滞在している部屋の湿度変化を示す。
【0015】
これらの曲線から、これらの変数に基づいて呼吸器感染の発生を非常に早期に評価することが可能であることがわかる。有利なことに、特に1つ又はそれより多くの変数に基づいて、そのような感染の発生を検出する装置1(図2参照)が提案される。
【0016】
装置1は、生理学的症状の計測(複数)と、環境を特徴付ける計測(複数)とを組み合わせた非接触型マルチパラメトリックセンサ(マルチパラメータセンサ)である。呼吸器感染のリスクを評価するため、密閉された部屋2を分析すべく使われる。この部屋は、高齢者又は扶養家族用の住居の一室、又は家庭の居間である。
【0017】
この装置は、クラウド3上のリモートサーバをベースとする人工知能ソリューションと組み合わせて使われ、感染リスクの指標を生成し、警告と是正措置の勧告を提供する。
【0018】
このハードウェア及びクラウドソリューションは、家族、代理人又は介護者に重要な情報を提供し、例えば、大事な高齢者の生活状況についての洞察を提供する。呼吸器感染症のリスクを早期に発見できるため、高齢者の健康増進及び自宅での安全確保に役立つ。また、これは老人ホームにとっても興味深い解決策であり、室内空間のリスクを早期に検知することで、呼吸器感染症の広がりを防げる。
【0019】
計測装置には、生理的症状に対応する変数を監視すべく、以下のセンサが備わる。
- 特に人体の温度を遠隔で計測する赤外線センサ又はカメラ。
- 咳を認識する人工知能アルゴリズムを実装した処理手段によって補完されるマイクロフォン。
- その場にいる人の数と、人と人との間の距離とを計測可能なレーダー又はライダー。
【0020】
咳を伴っていた(人の)体温計測で、90%超の症例で呼吸器感染症を特定可能とわかっている。
【0021】
この計測装置には、環境変数を監視すべく以下のセンサも備わる。
- 空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及び大きさを計測するセンサ。
- 二酸化炭素(CO2)濃度を計測するセンサ。
- 揮発性有機化合物の濃度、特にエタノール、二水素(H)又は総揮発性有機化合物(TVOC)の濃度を計測するセンサ。
- 外気温度センサ。
- 周囲空気の相対湿度センサ。
- 気圧センサ。
【0022】
このセンサ装置は、衛星地理的位置センサも備え得る。このようなセンサは、それが装備する構内が可動部、例えば輸送車両である場合に特に有利である。この車両は、例えばスクールバス又はクルーズ船である。
【0023】
装置1はさらに、室内で収集された情報をクラウド3のリモートサーバに送信するリモート送信手段5を備える。好ましくは、送信手段は無線(非有線)手段であり、例えば、セルラーと、ブルートゥース(登録商標)と、Wi-Fiとの中の少なくとも1種類の接続手段を備えてよい。有線接続がないことで、特に部屋の構成が変更された場合、もしくは監視する人が移動した場合でも、柔軟な設置の維持が可能になる。
【0024】
装置は、収集された情報をリアルタイムで送信するように設計可能であることと、この情報を記憶し、遅延送信するメモリを含むように設計可能であることとの一方又は両方である。
【0025】
送信手段は、装置1において、データ、特に設定データと、処理手段にホストされているソフトウェアの更新との一方又は両方の受信も可能にする。
【0026】
エアロゾルの濃度とその大きさを計測することで、部屋にいる少なくとも1人の呼吸器感染症の存在確認を可能にしている。感染者は、健康な人と比較して、呼吸時又は会話時又は咳をしている時に、より多くのエアロゾル及び飛沫を発生することが確認されてきた。
【0027】
加えて、飛沫及びエアロゾルの大きさにより、その起源の特定が可能である。よって、(身体の)部位に依存して、
- 気管支の体液膜は、呼吸時に直径1μm未満の液滴を生成する。
- 呼吸器を覆う液体は、喉頭(声門)の状態で咳や発声の際には、直径が1μmを超える液滴になる。
- 咳及び発声時に(口などの)空洞の液滴は、100マイクロメートル(100μm)を超える直径を持つ。
【0028】
ウイルス及び細菌は、領域(気管支、気道又は口腔)の一部や他などに多く存在する。そのため、10分の1マイクロメートル(0.1μm)から150マイクロメートル(150μm)の間に直径を持つ粒子、液滴、エアロゾルの濃度を監視し、その大きさを計測することは重要であり、感染の種類と感染源の区別が可能になる。
【0029】
人の体温の計測に主に使われているセンサは赤外線センサである。人体の体温は、人体の外部にあるいくつかの変数(特に周囲温度、周囲湿度、照明レベル及び周囲紫外線指数など)によって変化するため、このセンサによって計測された変数のみに依存すると、測定値が正しくなくなるおそれがある。
【0030】
赤外線による体温計測を補正し、そしてより正確で精密なものにするために、この計測値は、製品に存在する他のセンサによる他の計測値と相関を持つ。赤外線計測値は、他のセンサを計測した変数に応じて補正される。同時に、同じ場所で、異なるセンサから提供される計測結果及び情報により、人体温度の計測がより確実なものとなる。
【0031】
各センサについて、計測した変数をそのまま使ってもよく、又は他の計測した変数に応じて補正してもよい。
【0032】
装置は、自律的及び自動的に動作すべく設計されている。このため、センサ装置1は、複数のセンサを使うことで、自己診断機能を実現している。よって、赤外線センサは、特に周囲温度、周囲湿度、大気圧、光入射又は紫外線レベルの間隔において、既知及び指定された使用限界を持つ。装置1の最適な作動を保証すべく、特に赤外線センサによる計測が信頼できることを保証すべく、赤外線センサが正しい間隔で作動することを検証すべく他の様々なセンサの計測が使われる。
【0033】
装置1は、個人、特に一人暮らしの高齢者の安全用に使える。
【0034】
この装置は個人の温度の計測をし、それにより室内の人の存在を判定する。装置はまた、その人が動いていないか否かの判定もできる。動けない状態が長引いた場合、そして室内の音響レベル(大きさの程度)が著しく低下した場合、装置は、例えば、その人の転倒や落下を推測して、警報を作動可能、もしくは対応する人に連絡可能である。
【0035】
各装置がクラウドに接続されているので、各装置によって収集されたデータは、所定の地理的範囲に関する情報を提供すべく相互の相関を取れる。例えば、COの増加を示す複数の装置があれば、この汚染に関する情報及びこの汚染の移動方向に関する情報を提供可能である。揮発性化合物を計測する場合も同様である。
【0036】
このように、装置によって計測された1つ又はそれより多くの変数の組み合わせから得られる情報の提供は、個人の健康状態を監視する以外の用途を持ち得る。例えば、装置によって、地震によって発生するような振動の計測が可能になり、(計測の)メッシュが十分であれば、その振幅と震源地の判定が可能になる。
【0037】
また、特定の地域における、以下の事項の進展の測定及び監視も可能である。
- 音のレベル。
- 圧力と、温度と、湿度との中の少なくとも1つのレベル。
- 明るさ及び日照の一方又は両方のレベル。
【0038】
もちろん、本発明は今述べた実施例に限定されるものではない。それどころか、本発明は、後に続く特許請求の範囲によって定義される。
【0039】
当業者には、ここに開示した教示に照らして、上述した実施形態に様々な修正を加えられることは、確かに明らかであろう。
【0040】
よって、この装置は、特に、複数の角度区間で温度を計測するように設計された赤外線センサを備えてよい。これにより、室内の複数の人及び物体の一方又は両方の温度を同時及び個別に計測可能である。これにより、物体を人から区別可能であり、もしくは2人の人を互いに区別可能である。
【0041】
本発明によるセンサ及びシステムは、以下の3つの主な機能を満たす。
- 体温、咳及びくしゃみといった生理的症状を計測する。
- 空気中の感染性、特にエアロゾル、飛沫、気流によるものを計測する。
- 空気中のウイルスの生存可能性を、特に紫外線、空気の温度及び湿度の関数として計測する。
【0042】
本発明による装置及びシステムは、多くの有利点を持つ。
- 複数のセンサを持つため、同時に物理的な計測を実行可能であり、例えばエアロゾル及び揮発性化合物の一方又は両方による汚染と体温との間のような、異なる変数間の相関分析が可能となる。また、人工知能アルゴリズムを使って、異なる変数間の複雑な相関関係を見つけられる。
- リモートサーバ、特にクラウド上のサーバに接続することで、装置によって収集された情報のリモート分析が可能になる。したがって、リモートサーバのコンピュータープログラムを変更するだけで、装置の使い方を変更可能であり、収集された情報から提供されるサービスは、その使い方によって異なり得る。
【0043】
もちろん、このような装置及びシステムは、教室又はオフィスでも使える。
【0044】
本発明による装置及びシステムは、空気伝染性疾患の監視に限定されるものではなく、例えば胃腸炎といった、空気を通して伝染する他の疾患の監視もできよう。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された部屋にいる個人の空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定するシステムであって、
- 室内に設置され、生理的症状の計測と環境を特徴付ける計測とを組み合わせる少なくとも1つの非接触型マルチパラメータセンサと、
- 収集された情報を処理するリモートサーバと、
- 前記リモートサーバによって処理された情報を、前記個人又は別の人に送信する無線手段(4)であって、前記リモートサーバは、好ましくは、咳の認識を可能にする人工知能アルゴリズムを備えて、前記システムが、以下の3つの機能、
・ 生理的症状の計測と、
・ 空気中の感染性の計測と、
・ 空気中でのウイルスの生存可能性の計測と
を確立するのに適した、無線手段(4)と
を備えることを特徴とする、密閉された部屋にいる個人の空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定するシステム。
【請求項2】
生理的症状を計測する前記機能が、個人の体温計測と、咳及びくしゃみの検出とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
空気中の感染性を計測する前記機能が、エアロゾルと、液滴と、空気流との存在の検出を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
空気中のウイルスの生存可能性を計測する前記機能が、紫外線、温度の計測及び空気中の湿度の計測を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生理的症状の計測が、以下のセンサ、
- 遠隔で温度、特に個人の温度を計測する赤外線センサ又はカメラと、
- 咳を認識する人工知能アルゴリズムを実装した処理手段に接続するマイクと、
- 室内にいる人の数と、人と人の間の距離との計測に適したレーダー又はライダーと
によって実施される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサ又は赤外線カメラは、複数の角度区間で温度を計測するようになっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
環境変数の前記計測が、以下のセンサ、
- 空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、
- 二酸化炭素(CO )濃度を計測するセンサと、
- 揮発性有機化合物の濃度、特にエタノール、二水素(H )又は総揮発性有機化合物(TVOC)の濃度を計測するセンサと、
- 周囲空気の温度センサと、
- 周囲空気の相対湿度センサと、
- 気圧センサと
によって実施される、請求項1に記載のシステム
【請求項8】
前記マルチパラメータセンサが、地理的位置センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記マルチパラメータセンサが、
- 赤外線センサ又はカメラと、
- マイクロフォンと、
- 周囲空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、
- 二酸化炭素(CO )濃度を計測するセンサと、
- 周囲空気温度センサと、
- 周囲空気の相対湿度センサと、
- 気圧センサと、
を備えて、前記マルチパラメータセンサが好ましくは、
- その場にいる人の数と、人と人との間の距離とを計測するレーダー又はライダーと、
- 揮発性有機化合物の濃度、特にエタノール、二水素(H )又は総揮発性有機化合物(TCOV)の濃度を計測するセンサと、
- 気流センサと、
- 紫外線率センサと
の中で少なくともどれか1つを好ましくは備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマルチパラメータセンサが、前記収集した情報の処理手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのマルチパラメータセンサが、前記収集した、未処理又は処理した情報をリモートサーバ(3)に送信する無線手段(5)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記マルチパラメータセンサが、前記収集した情報を遅延送信する記憶手段を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが前記マルチパラメータセンサを少なくとも3つ備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムによって、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する方法において、
- 10分の1マイクロメートル(0.1μm)及び150マイクロメートル(150μm)の間の直径を持つ液滴の濃度を計測することであって、好ましくは、直径が1マイクロメートル(1μm)未満の液滴、直径が1マイクロメートル(1μm)を超える液滴、及び直径が100マイクロメートル(100μm)を超える液滴用である、前記液滴の濃度を計測するステップと、
- 個人の体温及び室内の音の大きさを計測することによって、前記室内の個人の存在及び個人が動いていないことの一方又は両方を判定するステップと、
- 前記センサ又は赤外線カメラにより、室内に存在する個人の体温を判定し、前記体温の計測値を前記システムの他のセンサの他の計測値と相関させるステップと、
- 他のセンサを計測することにより、赤外線センサの自己診断用の計測を行うステップと、
- 他の計測した変数によって計測した変数を補正するステップと、
- リモートサーバによって、各マルチパラメータセンサから収集されたデータを相関させるステップと、
- 同時に物理測定を行い、異なる計測変数間の相関分析を行うステップと、
- 前記リモートサーバのプログラムを変更することにより、少なくとも1つのマルチパラメータセンサの使い方を変更するステップと
の中から1ステップ又は複数ステップを備えることを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する方法。
【請求項15】
前記方法が、少なくとも3つのマルチパラメータセンサによって収集されたデータを使うことを特徴とする、請求項1に記載のシステムによって空気感染症、特に呼吸器感染症の地理的進展を判定する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本発明による装置及びシステムは、空気伝染性疾患の監視に限定されるものではなく、例えば胃腸炎といった、空気を通して伝染する他の疾患の監視もできよう。
本願は例えば以下の観点を提供する。
[観点1]
局所的な情報の収集用に、
- 赤外線センサ又はカメラと、
- マイクロフォンと、
- 周囲空気中の粒子及びエアロゾルの一方又は両方の、数及びサイズを計測するセンサと、
- 二酸化炭素(CO )濃度を計測するセンサと、
- 周囲空気温度センサと、
- 周囲空気の相対湿度センサと、
- 気圧センサと、
を備える、1個人における空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する装置(1)であって、
- その場にいる人の数と、人と人との間の距離とを計測するレーダーセンサ又はライダーセンサと、
- 揮発性有機化合物、特にエタノール、二水素(H )又は総揮発性有機化合物(TVOCs)の濃度を計測するセンサと、
- 気流センサと、
- 紫外線率センサと
の中で少なくともどれか1つを好ましくは備える、
1個人における空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する装置(1)。
[観点2]
前記装置が、地理的位置センサ、好ましくは衛星による地理的位置センサを備えることを特徴とする、観点1に記載の装置。
[観点3]
前記装置が、前記収集した情報の処理手段を備えることを特徴とする、観点1又は2に記載の装置。
[観点4]
前記装置が、前記収集した、未処理又は処理した情報をリモートサーバ、好ましくはクラウド(3)内のサーバに送信する無線手段(5)を備えることを特徴とする、観点1から3のいずれか一つに記載の装置。
[観点5]
前記装置が、前記収集した情報を遅延送信する記憶手段を備えることを特徴とする、観点4に記載の装置。
[観点6]
観点1から5のいずれか一つに記載の装置を少なくとも1台と、
前記収集した情報を処理するリモートサーバと、
前記リモートサーバによって処理された情報を、前記個人又は別の人のどちらかに送信する無線手段(4)であって、前記無線手段が好ましくは咳を認識する人工知能アルゴリズムを備える、前記無線手段(4)と
を備えることを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定するシステム。
[観点7]
観点1から5のいずれか一つに記載の装置を少なくとも3台備えたことを特徴とする、観点6に記載の肺感染症の発生を判定するシステム。
[観点8]
観点6又は7に記載のシステムを使うことと、
10分の1マイクロメートル(0.1μm)及び150マイクロメートル(150μm)の間の直径を持つ液滴の濃度を計測することであって、好ましくは、直径が1マイクロメートル(1μm)未満の液滴、直径が1マイクロメートル(1μm)を超える液滴、及び直径が100マイクロメートル(100μm)を超える液滴用である、前記液滴の濃度を計測することと
を備えることを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の発生を判定する方法。
[観点9]
観点7に記載のシステムによって収集されたデータを使うことを特徴とする、空気感染症、特に呼吸器感染症の地理的進展を判定する方法。
【国際調査報告】