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特表2024-547084肺超音波検査の臨床スコアリングのための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】肺超音波検査の臨床スコアリングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20241219BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20241219BHJP
【FI】
G16H50/00
G16H30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537388
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022086428
(87)【国際公開番号】W WO2023117785
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,215
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22150460.8
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン アルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ラジュ バラサンダー イヤヴ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
(57)【要約】
超音波検査スコアを生成するための方法100である。この方法は、(i)患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々についての超音波画像データの時間的シーケンスを受信すること(104)と、(ii)特徴特定アルゴリズムを使用して、各ゾーンについて、肺の1つ又は複数の特徴を特定すること(106)と、(iii)特定された各特徴について、信頼度スコアを決定すること(108)と、(iv)複合スコアアルゴリズムを使用して、疾患若しくは状態の深刻度、又は診断を示す、各ゾーンについての複合スコアを決定すること(110)と、(v)肺スコアアルゴリズムを使用して、肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は診断を示す肺スコアを決定すること(112)と、(vi)ユーザインターフェースを介して、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供すること(114)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波検査スコアを生成するための方法であって、
患者の超音波検査から取得される超音波画像データの時間的シーケンスを、前記患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々について、受信するステップと、
特徴特定アルゴリズムを使用して、前記超音波画像データの前記時間的シーケンスから、前記複数の異なるゾーンの各々について、前記肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップと、
特定された前記1つ又は複数の特徴の各々について、信頼度スコアを決定するステップと、
各ゾーンに対応する、決定された前記信頼度スコアを組み合わせることによって、前記複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアを決定するステップであって、ゾーンの前記複合スコアは、(i)ゾーンの疾患若しくは状態の深刻度、又は(ii)ゾーンの診断のいずれかを示す、決定するステップと、
複数の決定された前記複合スコアを組み合わせることによって、肺スコアを決定するステップであって、前記肺スコアは、(i)前記肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は(ii)前記肺の診断のいずれかを示す、決定するステップと、
ユーザインターフェースを介して、前記肺スコア、前記複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての前記複合スコア、及び特定された前記1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての前記信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複合スコアを決定するステップはさらに、特定された前記特徴の決定されたサイズに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特定された各特徴に対応する前記信頼度スコアを組み合わせることによって、特徴ごとのスコアを決定するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波画像データの前記時間的シーケンスは、前記複数のゾーンの各々についての複数のフレームを含み、さらに、前記信頼度スコアは、前記複数のフレームの各フレームについて決定されたフレームごとの信頼度スコアの集約に基づいて決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップは、前記特徴の有無を決定するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の前記複合スコアに重み付けをするステップをさらに含み、肺スコアアルゴリズムが、前記肺スコアを決定するときに、重み付けされた前記複合スコアを利用する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザインターフェースを介して、ユーザ選択の肺ゾーンに関する追加情報の要求を受信するステップと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザ選択の肺ゾーンに関する、要求された前記追加情報を提供するステップであって、前記追加情報は、前記ユーザ選択の肺ゾーンの超音波画像データの前記時間的シーケンス、前記ユーザ選択の肺ゾーンの前記複合スコア、及び前記ユーザ選択の肺ゾーンの前記信頼度スコアのうちの1つ又は複数を含む、提供するステップと、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
超音波検査スコアを生成するための方法であって、
患者の超音波検査から取得される超音波画像データの時間的シーケンスを、前記患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々について、受信するステップと、
特徴特定アルゴリズムを使用して、前記超音波画像データの前記時間的シーケンスから、前記複数の異なるゾーンの各々について、前記肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップと、
特定された前記1つ又は複数の特徴の各々について、信頼度スコアを決定するステップと、
すべてのゾーンについての複数の決定された前記信頼スコアを組み合わせることによって、肺スコアを決定するステップであって、前記肺スコアは、(i)前記肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は(ii)前記肺の診断のいずれかを示す、決定するステップと、
ユーザインターフェースを介して、前記肺スコア、及び特定された前記1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての前記信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
超音波検査スコアを生成するための方法であって、
患者の超音波検査から取得される超音波画像データの時間的シーケンスを、前記患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々について、受信するステップと、
特徴特定アルゴリズムを使用して、前記超音波画像データの前記時間的シーケンスから、前記複数の異なるゾーンの各々について、前記肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップと、
特定された前記1つ又は複数の特徴の各々について、特定された前記特徴のサイズを決定するステップと、
すべてのゾーンについての複数の決定された前記サイズを組み合わせることによって、肺スコアを決定するステップであって、前記肺スコアは、(i)前記肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は(ii)前記肺の診断のいずれかを示す、決定するステップと、
ユーザインターフェースを介して、前記肺スコア、及び特定された前記1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての前記信頼度スコア、のうちの1つ又は複数を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
超音波検査スコアを生成する超音波解析システムであって、
患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々についての超音波画像データの時間的シーケンスと、
プロセッサであって、(ii)特徴特定アルゴリズムを使用して、前記超音波画像データの前記時間的シーケンスから、前記複数の異なるゾーンの各々について、前記肺の1つ又は複数の特徴を特定することと、(ii)特定された前記1つ又は複数の特徴の各々について、信頼度スコアを決定することと、(iii)前記複数の異なるゾーンの各々についての各ゾーンに対応する決定された前記信頼度スコアを組み合わせることによって、複合スコアを決定することであって、ゾーンの前記複合スコアは、(a)ゾーンの疾患若しくは状態の深刻度、又は(b)ゾーンの診断のいずれかを示す、決定することと、(iv)複数の決定された前記複合スコアを組み合わせることによって、肺スコアを決定することであって、前記肺スコアは、(a)前記肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は(b)前記肺の診断のいずれかを示す、決定することとを実行するプロセッサと、
前記肺スコア、前記複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての前記複合スコア、及び特定された前記1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての前記信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するユーザインターフェースと、
を備える、超音波解析システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、特定された前記特徴の決定されたサイズにさらに基づいて、前記複合スコアを決定する、請求項10に記載の超音波解析システム。
【請求項12】
前記プロセッサはさらに、特定された各特徴に対応する前記信頼度スコアを組み合わせることによって、特徴ごとのスコアを決定する、請求項10又は11に記載の超音波解析システム。
【請求項13】
前記超音波画像データの前記時間的シーケンスは、前記複数のゾーンの各々についての複数のフレームを含み、さらに、前記信頼度スコアは、前記複数のフレームの各フレームについて決定されたフレームごとの信頼度スコアの集約に基づいて決定される、請求項10から12のいずれか一項に記載の超音波解析システム。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、1つ又は複数の前記複合スコアに重み付けをし、肺スコアアルゴリズムが、前記肺スコアを決定するときに、重み付けされた前記複合スコアを利用する、請求項10から13のいずれか一項に記載の超音波解析システム。
【請求項15】
前記プロセッサはさらに、前記ユーザインターフェースを介して、ユーザ選択の肺ゾーンに関する追加情報の要求を受信し、前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザ選択の肺ゾーンに関する、要求された前記追加情報を提供し、前記追加情報は、前記ユーザ選択の肺ゾーンの超音波画像データの前記時間的シーケンス、前記ユーザ選択の肺ゾーンの前記複合スコア、及び前記ユーザ選択の肺ゾーンの前記信頼度スコアのうちの1つ又は複数を含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の超音波解析システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の利益
この発明は、米国保健社会福祉省から交付番号HHS/ASPR/BARDA75A50120C00097の下で与された米国政府の支援を受けてなされた。米国は、この発明において一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、概して、超音波検査スコアを生成するための方法及びシステムを対象としている。
【背景技術】
【0003】
肺超音波撮像は、疾患のスクリーニング、モニタリング、診断支援、及び管理のための重要なツールである。重要な臨床的特徴(とりわけ、Bライン、結合Bライン、胸膜ラインの変化、コンソリデーション、胸水など)を、肺超音波検査を使用して特定できる。これらの特徴が組み合わさって存在することは、COVID-19肺炎を含むさまざまな肺疾患及び感染症の予測因子である。しかし、肺超音波検査を使用して臨床的特徴を特定することは、習得するのが難しいスキルであり、成功には通常、広範な専門的なトレーニングと経験が必要である。
【0004】
超音波検査では、複数の肺ゾーン(1回の検査で最大14個のゾーン)で画像又はビデオが収集される。次に、これらのゾーンを個別に検査し、結果を集計して、検査全体の総合的な診断又は重大度を決定する。各ビデオの肺超音波特徴の適切な解釈、及び検査レベルでの総合的な解釈には、専門的なトレーニングと専門知識が必要である。
【0005】
自動定量化ツールは、超音波解析を含む画像解釈タスクを簡素化し、標準化する可能性を提供する。研究では、自動肺超音波特徴と専門家の評価との間に相関関係があること、並びに血液検査や胸部CTなどのゴールドスタンダード測定との相関関係が示されている。自動解析は、COVID-19肺炎などの状態の診断に使用することもできる。ただし、自動定量化ツールには著しい制限がある。これらのツールの制限の1つは、ブラックボックスの性質であり、そのため、ツールの意思決定プロセスを理解したり解釈したりすることが困難である。その結果、臨床的な採用に課題が生じ、規制当局への認可の負担が増大する。この透明性の欠如は、複数のビデオにわたる結果を集約することを含むため、肺超音波検査の場合に特に問題となる。ビデオレベルでの解釈の欠如により、臨床医が総合的に意味のある検査レベルの決定に到達するのは困難である。
【0006】
米国特許第10667793B2号では、超音波ビデオクリップの各画像でBラインを検出し、検出されたBラインの数に基づいて、ビデオクリップの各画像にスコアを割り当てることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、検査レベルの情報をわかりやすく、解釈可能なやり方で作成及び提示できる自動肺超音波検査定量化ツールが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、超音波肺撮像の解析のための発明方法及びシステムを対象としている。本明細書におけるさまざまな実施形態及び実装形態は、患者の肺の複数の異なるゾーンの各々の超音波画像データの時間的シーケンスを含む患者の肺の超音波画像を取得するように構成された超音波デバイスを含む超音波解析システムを対象としている。システムは、特徴特定アルゴリズムを使用して、超音波画像データの時間的シーケンスから複数の異なるゾーンの各々について、肺の1つ又は複数の特徴を特定する。次に、特定された各特徴の信頼度スコアが決定される。複合スコアアルゴリズム、特定された特徴、及び決定された信頼度スコアを使用して、複数の異なるゾーンの各々について、複合スコアが決定される。複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、肺スコアが決定される。ユーザインターフェースを使用して、場合によって、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコアのうちの1つ又は複数を含む情報をユーザに提供する。
【0009】
概して、一態様において、超音波検査スコアを生成するための方法が提供されている。この方法は、(i)患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々についての超音波画像データの時間的シーケンスを受信するステップと、(ii)特徴特定アルゴリズムを使用して、超音波画像データの時間的シーケンスから、複数の異なるゾーンの各々について、肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップと、(iii)特定された1つ又は複数の特徴の各々について、信頼度スコアを決定するステップと、(iv)特定された特徴及び決定された信頼度スコアを解析する複合スコアアルゴリズムを使用して、複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアを決定するステップであって、ゾーンの複合スコアは、ゾーンの疾患若しくは状態の深刻度か、又はゾーンの診断のいずれかを示す、決定するステップと、(v)複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、肺スコアを決定するステップであって、肺スコアは、肺の疾患若しくは状態の深刻度か、又は肺の診断のいずれかを示す、決定するステップと、(vi)ユーザインターフェースを介して、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するステップとを含む。
【0010】
ある実施形態によれば、超音波画像データの時間的シーケンスは、複数のゾーンの各々についての複数のフレームを含み、さらに、信頼度スコアは、複数のフレームの各フレームについて決定されたフレームごとの信頼度スコアの集約に基づいて決定される。
【0011】
ある実施形態によれば、肺の1つ又は複数の特徴を特定するステップは、特徴の有無を決定するステップを含む。
【0012】
ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズムは、ゾーンの2つ以上の複合スコアを集約することによって、ゾーンの複合スコアを決定する。
【0013】
ある実施形態によれば、方法は、1つ又は複数の複合スコアに重み付けをするステップをさらに含み、肺スコアアルゴリズムは、肺スコアを決定するときに、重み付けされた複合スコアを利用する。
【0014】
ある実施形態によれば、方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザ選択の肺ゾーンに関する追加情報の要求を受信するステップと、ユーザインターフェースを介して、ユーザ選択の肺ゾーンに関する、要求された追加情報を提供するステップであって、追加情報は、ユーザ選択の肺ゾーンの超音波画像データの時間的シーケンス、ユーザ選択の肺ゾーンの複合スコア、及びユーザ選択の肺ゾーンの信頼度スコアのうちの1つ又は複数を含む、提供するステップとをさらに含む。
【0015】
ある実施形態によれば、複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアは、それぞれのゾーンの特定された特徴を集約することによって決定される。
【0016】
ある実施形態によれば、複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアは、複数のゾーンにわたって特定された同じ特徴を集約することによって決定される。
【0017】
別の態様によれば、超音波検査スコアを生成するための方法である。この方法は、(i)患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々についての超音波画像データの時間的シーケンスを受信するステップと、(ii)超音波画像データを解析する複合スコアアルゴリズムを使用して、複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアを決定するステップであって、ゾーンの複合スコアは、ゾーンの疾患若しくは状態の深刻度、又はゾーンの診断のいずれかを示す、決定するステップと、(iii)複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、肺スコアを決定するステップであって、肺スコアは、肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は肺の診断のいずれかを示す、決定するステップと、(iv)ユーザインターフェースを介して、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するステップとを含む。
【0018】
別の態様によれば、超音波検査スコアを生成するように構成された超音波解析システムである。このシステムは、患者の一方又は両方の肺の複数の異なるゾーンの各々についての超音波画像データの時間的シーケンスと、(ii)特徴特定アルゴリズムを使用して、超音波画像データの時間的シーケンスから、複数の異なるゾーンの各々について、肺の1つ又は複数の特徴を特定することと、(ii)特定された1つ又は複数の特徴の各々について、信頼度スコアを決定することと、(iii)特定された特徴及び決定された信頼度スコアを解析する複合スコアアルゴリズムを使用して、複数の異なるゾーンの各々についての複合スコアを決定することであって、ゾーンの複合スコアは、(a)ゾーンの疾患若しくは状態の深刻度、又は(b)ゾーンの診断のいずれかを示す、決定することと、(iv)複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、肺スコアを決定することであって、肺スコアは、(a)肺の疾患若しくは状態の深刻度、又は(b)肺の診断のいずれかを示す、決定することとを実行するように構成されたプロセッサと、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコアのうちの1つ又は複数を提供するように構成されたユーザインターフェースとを含む。
【0019】
前述の概念と、以下に詳述する追加の概念とのすべての組み合わせ(ただし、これらの概念が相互に矛盾していないならば)は、本明細書に開示されている発明の主題の一部と企図されることを理解すべきである。特に、本開示の終わりに登場する特許請求に係る主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示されている発明の主題の一部であると企図される。
【0020】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して解明される。
【0021】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して同じ部分を指している。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、概して、発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態による、超音波解析システムを使用して超音波検査スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図2】実施形態による、超音波解析システムの概略図である。
図3】実施形態による、超音波解析システムによって導出された複合深刻度スコアの概略図である。
図4】実施形態による、超音波解析システムによる複合深刻度スコア及び肺スコアの報告の概略図である。
図5】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図6】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図7A】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図7B】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図8】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図9】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図10】実施形態による、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。
図11】実施形態による、超音波解析システムによる肺スコアの報告の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、超音波解析システム及び方法のさまざまな実施形態について説明する。より一般的に、出願人は、自動的に肺検査スコア又は診断を生成する超音波解析を提供することが有益であることを認識し、理解している。例えば、超音波解析システムは、患者の肺の複数の異なるゾーンの各々について超音波画像データを受信又は取得する。システムは、特徴特定アルゴリズムを使用して、超音波画像データの時間的シーケンスから複数の異なるゾーンの各々について、肺の1つ又は複数の特徴を特定する。次に、特定された各特徴の信頼度スコアが決定される。複合スコアアルゴリズム、特定された特徴、及び決定された信頼度スコアを使用して、複数の異なるゾーンの各々について、複合スコアが決定される。複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、肺スコアが決定される。ユーザインターフェースを使用して、場合によって、肺スコア、複数の異なるゾーンのうちの1つ又は複数についての複合スコア、及び特定された1つ又は複数の特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコア、のうちの1つ又は複数を含む情報をユーザに提供する。
【0024】
本明細書に開示されている、又はそうでなければ想定されている超音波解析システム及び方法は、先行技術と比べて多くの利点を提供する。肺疾患又は肺状態の自動検出及び診断を、わかりやすく、解釈可能なやり方で可能にする超音波解析システム及び方法を提供することは、深刻な肺障害を防ぎ、患者の転帰を改善し、潜在的に命を救うことができる。
【0025】
図1を参照すると、一実施形態において、超音波解析システムを使用して超音波検査スコアを生成するための方法100のフローチャートである。なお、図に関連して説明されている方法はあくまでも例として提供されているものであり、本開示の範囲を制限するものではないことが理解されるべきである。超音波解析システムは、本明細書に説明されている、又はそうでなければ想定されているシステムのいずれであってもよい。超音波解析システムは、単一のシステムであっても、複数の異なるシステムであってもよい。
【0026】
方法のステップ102では、超音波解析システム200が提供される。図2に示す超音波解析システム200の実施形態を参照すると、例えば、システムは、1つ又は複数のシステムバス212を介して相互接続されている、プロセッサ220、メモリ230、ユーザインターフェース240、通信インターフェース250、ストレージ260、及び超音波デバイス270のうちの1つ又は複数を含む。図2は、いくつかの側面で、抽象的概念を構成しており、システム200のコンポーネントの実際の組織化は、図示するものと異なり、より複雑であり得ることが理解されるであろう。さらに、超音波解析システム200は、本明細書に説明されている、又はそうでなければ、想定されているシステムのいずれであってもよい。システム200の他の要素及びコンポーネントは、本明細書の他の場所で開示されているか、及び/又は想定されている。
【0027】
方法のステップ104では、システムによって、超音波画像データが送信されたり、取得されたり、又はそうでなければ受信されたりする。超音波画像データは、例えば、複数のフレームを含むビデオなどの超音波画像データの時間的シーケンスを含む。超音波画像データは、患者の肺の1つの領域又はゾーンについて取得されても、複数の異なるゾーンについて取得されてもよい。例えば、超音波画像データは、1つ、2つ、又はそれ以上のゾーンについて取得される。検査によっては、14個以上のゾーンを含むことができるが、より多い又は少ない数のゾーンも可能である。超音波画像データは、システムによってリアルタイムで受信されても、ローカル及び/又はリモートメモリに保存され、将来の時点でシステムによって受信されてもよい。
【0028】
超音波画像データは、患者の超音波画像データの取得、又はそうでなければ受信に適した任意のデバイス又はシステムであり得る任意の超音波デバイス又はシステムを使用して取得できる。超音波デバイスの1つ又は複数のパラメータは、医療従事者が設定、調整、事前プログラム、又は別の手段で決定できる。超音波デバイス又はシステムは、超音波解析システム200からリモートであっても、ローカルであっても、そのコンポーネントであってもよい。
【0029】
方法のステップ106では、超音波解析システムは、超音波画像データを使用して、肺の1つ又は複数の特徴(臨床的特徴とも呼ばれる)を特定する。ある実施形態によれば、特徴とは、肺の任意の認識可能な側面である。特徴は、肺の正常な側面又は異常な側面である場合がある。特徴は、健康な肺、疾患若しくは障害のある肺、又は肺に関連する任意の種類の症状がある肺を示すものである。したがって、特徴は、例えば、超音波画像データ内又は超音波画像データから特定できるものであれば何でもよい。特徴の例としては、Aライン、Bライン、結合Bライン、胸膜ラインの異常、コンソリデーション、胸水、及びその他多数が挙げられる。
【0030】
ある実施形態によれば、超音波解析システムは、特徴特定アルゴリズムを使用して、超音波画像データから肺の1つ又は複数の特徴を特定する。特徴特定アルゴリズムは、超音波画像データから特徴を特定できる任意のアルゴリズムである。特徴特定アルゴリズムは、例えば、特徴トレーニングデータのセットを用いてトレーニングすることができる。特徴特定アルゴリズムは、あらゆる種類の特徴を特定するために構成又はトレーニングされた単一のアルゴリズムを含んでいても、特徴特定アルゴリズムは、各々が特定の特徴を特定するように構成又はトレーニングされた異なるアルゴリズム又は態様を含んでいてもよい。ある実施形態によれば、特徴特定アルゴリズムは、特徴検出又はセグメンテーションアルゴリズムを利用して、境界ボックスを描画するなどして、各フレーム内の特徴の位置を特定する。各境界ボックスなどの検出された各特徴は、本明細書で説明するように、予測信頼度スコアを含むことができる。
【0031】
一実施形態によれば、超音波解析システムは、特徴特定アルゴリズムを使用して、有無に基づいて超音波画像データから肺の特徴を特定する。システムは、フレーム単位で特徴を特定することができる。
【0032】
一実施形態によれば、超音波解析システムは、特徴特定アルゴリズムを使用して、肺ゾーンについての単一のビデオにわたる超音波画像データから肺の特徴を特定する。これは、例えば、有無に基づいていてもよい。単なる一例として、特徴特定アルゴリズムは、個々のフレームではなくビデオのみを使用して特徴を特定することができる。例えば、システムは、ビデオクリップ全体を入力として受け取り、特徴の特定を出力するディープニューラルネットワークモデルを含んでいてもよい。別の例として、特徴特定アルゴリズムは、ビデオ内の1つ又は複数のフレームについて特徴を特定し、複数のフレームにわたって特定された特徴を集約することができる。
【0033】
一実施形態によれば、超音波解析システムは、複数の異なる撮像されたゾーンの各撮像されたゾーンの超音波画像データから肺の特徴を特定する。システムは、各ゾーンにおける特徴を順番に特定しても、2つ以上のゾーンにおける特徴を同時に特定してもよい。
【0034】
方法のステップ108では、超音波解析システムは、特定された1つ又は複数の特徴の各々についての信頼度スコアを決定する。例えば、超音波解析システムが、超音波画像データから肺の特徴を、特徴特定アルゴリズムを用いて、有無に基づいて特定する場合、この特定は、0と1との間の信頼度スコアを含む。
【0035】
信頼度スコアは、特徴特定アルゴリズムによって特定された特徴が正しく特定された尤度を示す。
【0036】
超音波解析システムが、特徴特定アルゴリズムを用いて、肺の領域についての単一のビデオにわたる超音波画像データから肺の特徴を特定するある実施形態によれば、アルゴリズムは、ビデオクリップ全体を入力として使用し、各特徴の信頼度スコアを出力することができる。別の例として、特徴特定アルゴリズムは、ビデオ内の1つ又は複数のフレームについて、特徴と信頼度スコアを特定し、複数のフレームにわたって特定された特徴と信頼度スコアとを集約することができる。例えば、各特徴について、システムは、フレームごとの信頼度スコアの合計又は平均に基づいて、ビデオレベルの総信頼度スコアを計算できる。或いは、システムは、信頼度スコアの代わりに特徴のサイズを使用することもできる。或いは、システムは、例えば、(特徴のサイズ)×(特徴の信頼度スコア)など、これらの実施形態の組み合わせを使用して特徴を特定することができ、又は集約若しくは組み合わせのための任意の他の方法若しくは方程式を使用することができる。システムは、特定された特徴の信頼度スコアを順番に決定することも、2つ以上の特定された特徴の信頼度スコアを同時に決定することもできる。
【0037】
方法のステップ110では、超音波解析システムは、各撮像されたゾーンの1つ又は複数の複合スコアを決定する。ある実施形態によれば、システムは、特定された特徴及び決定された信頼度スコアのうちの1つ又は複数を入力として利用する複合スコアアルゴリズムを含む。ゾーンについて決定された1つ又は複数の複合スコアは、そのゾーンの疾患若しくは状態の深刻度に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、ゾーンについて決定された複合スコアは、そのゾーンの疾患若しくは状態の診断に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。ゾーンについて決定された複合スコアは、そのゾーンに関する他の情報を含む場合がある。
【0038】
ある実施形態によれば、超音波解析システムは、撮像されたゾーンの複数の複合スコアを決定する。例えば、複合スコアアルゴリズムは、所与のゾーンの入力を利用して、Bラインの深刻度又は診断を示すBラインについての第1の複合スコア、胸膜ラインに付いての第2の複合スコアなどを生成することができる。
【0039】
したがって、ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズムは、各ゾーンの各フレーム又はビデオについて複合深刻度スコア及び/又は診断を導出する。これは、ルールベースのアルゴリズムや、機械学習ベースのアルゴリズムのような予測モデルであってもよい。複合スコアは、個々のフレームごとに計算されてから集約されるか、ビデオに対して直接計算されてもよい。通常、走査した肺ゾーンごとに1つのビデオが収集され、これにより、肺ゾーンごとに異なる深刻度スコアが得られる。
【0040】
ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズムの出力は、2進数のはい/いいえ、0と1との間の連続的な測定値、整数の深刻度スケール(0~3など)、又は任意の他の情報伝達的若しくは有用な出力を含む。出力はトリアージ推奨又は転帰予測であってもよい。
【0041】
ある実施形態によれば、複合スコアは、2つ以上の肺超音波特徴の組み合わせたパネルに基づいていてもよい。特徴のパネルの一例は、Aライン、Bライン、結合Bライン、胸膜ラインの異常、コンソリデーション、及び胸水である。より多い、より少ない、及び/又は他の特徴を有する他のパネルが可能である。
【0042】
ある実施形態によれば、複合スコアは、ルールベースのアルゴリズムを使用して導出することができる。ルールは、確立されたガイドライン又は国際的な合意の勧告から得られるか、又は導出することができる。呼吸器疾患及び感染症管理のための肺超音波検査の場合、このようなガイドラインが文献で報告されている。このアプローチの利点は、アルゴリズムがすでに検証され、より広いコミュニティ内で受け入れられていることである。
【0043】
ある実施形態によれば、ルールベースのアルゴリズムの代わりに、複合スコア予測モデルを使用することができる。これには、他の可能性がある中でも、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークなどの機械学習ベースのアプローチが含まれる。1つの利点は、特定の診断又は深刻度評価タスクに合わせてモデルを最適化できることである。
【0044】
ある実施形態によれば、複合スコアは、ゾーンの生の超音波ビデオデータから直接導出される。これは、例えば、ビデオクリップ全体をシステムと複合スコアアルゴリズムに供給し、総合的な深刻度を単一の数値として予測することによって実現できる。通常、走査した肺ゾーンごとに1つのビデオが収集されるため、肺ゾーンごとに異なる深刻度スコアが得られる。ある実施形態によれば、複合スコアは、フレーム単位で計算されて、集約される。
【0045】
図3を参照すると、一実施形態では、ルールベースのアルゴリズムと、0~3のスケール(0は最も深刻でない(つまり、恐らく健康である)ことであり、3が最も深刻であることである)とを使用して、ゾーンについての複合スコアアルゴリズムによって導出可能である可能な複合深刻度スコアの要約である。例えば、0~3のスケールに基づくビデオレベルの深刻度スコアは、ビデオに存在する特徴の組み合わせから決定することができる。
【0046】
図3に示されるように、超音波解析システムは、肺スライディング、Aライン、Bライン、胸膜ライン、及びコンソリデーションを含むが、これらに限定されない複数の特徴を解析するように構成されている。複合スコアアルゴリズムは、各特徴について及び各ゾーンについて、特定された特徴及び/又は特徴信頼度スコアを使用して複合スコアを決定する。例えば、Bライン特徴の場合、2つ以下のBラインでは、深刻度スコアは0であり、3つ以上のBラインでは、深刻度スコアは1であり、50%未満の結合Bラインでは、深刻度スコアは2であり、50%以上の結合Bラインでは、深刻度スコアは3である。図3は、複合スコアアルゴリズムの解析及び結果の複合スコアの単一の可能な実施形態のみを表している。多くの他の実施形態が可能である。
【0047】
方法のステップ112では、超音波解析システムは、総合的な肺スコアを決定する。ある実施形態によれば、システムは、複数の撮像された肺ゾーンについて決定された複数の複合スコアを入力として利用する肺スコアアルゴリズムを含む。決定された肺スコアは、患者の肺の疾患若しくは状態の深刻度に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、決定された肺スコアは、患者の肺の疾患若しくは状態の診断に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、決定された肺スコアは、肺に関する他の情報を含む場合がある。
【0048】
超音波検査は、通常、複数の撮像されたゾーンを含む。これには、14個以上のゾーンが含まれるが、より多い又は少ない数のゾーンも可能である。肺スコアは、各肺ゾーンについて決定された複合スコアの合計又は平均であってもよい。ただし、総合的な検査レベルの肺スコアを導出する他の手法も可能であり、これらの実施形態のいくつかは、本明細書に説明されているか、又はそうでなければ想定されている。
【0049】
図4を参照すると、一実施形態では、複数の複合スコアから生成された総合的な肺スコア(この例では深刻度スコア)の一例である。超音波解析システムによって超音波撮像が解析されて、特徴特定アルゴリズムを使用して複数のゾーン(つまり、R1~R4及びL1~L4の8つのゾーン)の特徴が特定された。次に、表1に示されるように、複合スコアアルゴリズムを利用して、複数の異なるゾーンの各々について複合スコアを決定した。複数の決定された複合スコアを解析する肺スコアアルゴリズムを使用して、最終的な肺スコアが決定された。この例では、8つの撮像されたゾーンの複合スコアを合計して、8(0+0+0+0+3+2+1+2=8)の肺スコアを生成した。図4に示されているように、また、本明細書にさらに説明されているように、複合スコア及び総合的スコアは、対応する複合スコア(例えば、「R1」と複合スコア「0」)と、総合的スコア(「総合的スコア8」)とを用いて、肺を含む図を介してユーザに提示される。
【0050】
【表1】
【0051】
ある実施形態によれば、肺スコアアルゴリズムは、各肺ゾーンの特徴別スコアを決定し、すべてのゾーンのスコアを集約し、検査レベルで特徴を組み合わせるように構成又はトレーニングされる。
【0052】
ある実施形態によれば、いくつかの肺ゾーンは、他の肺ゾーンよりも重要である場合がある。これを考慮するために、各肺ゾーンの相対的な重要性に基づいて総合的なスコアを重み付けすることができる。したがって、方法のオプションのステップ111では、超音波解析システムは、対応する肺ゾーンの重要性に基づいて、決定された複合スコアのうちの1つ又は複数に重み付けをする。肺ゾーンの重要性は、システムのユーザが事前に決定したり、肺検査中又は肺検査後に、フラグを付けたり、又は別の手法で示されたりすることができる。方法のステップ112では、肺スコアアルゴリズムは、肺スコアを決定する際に、1つ又は複数の重み付けされた複合スコアを使用する。肺スコアアルゴリズムは、1つ又は複数の重み付けされた複合スコアを利用した結果として、複合スコアを加算する、又はそうでなければ組み合わせる若しくは解析するときに、最終的な肺スコアを増加させる場合がある。例として、L2が試験のために又は検査において特に重要なゾーンである場合、L2に対して生成された任意の複合スコアは、重み付けされる。L2の複合スコアが0の場合、スコアは重み付けされない。或いは、L2の複合スコアが0より大きく、問題の可能性を示す場合、複合スコアに自動的に重み付けして、L2ゾーンの所定の重要性を反映させることもできる。別の例として、検査において、Bラインの異常が特に懸念される又は重要である場合、Bラインの異常による0よりも大きい複合スコアは、決定された総合的肺スコアを増加させるか、又はそうでなければ影響を与える若しくは及ぼすように、システムによって重み付けされる。
【0053】
ある実施形態によれば、肺スコアは、同じ患者の複数回の検査に基づいて決定することもできる。これは、入院中に患者が異なる時点に検査を受けた場合に発生する。例えば、2回以上の検査の超音波撮像データが、データベースに保存され、システムがアクセスして、又はそうでなければ受信して、本書に説明されている、又はそうでなければ想定されている方法に従って解析を行うことができる。肺スコアは、検査ごとに計算され、その後に組み合わされるか、又はそうでなければ集約される。経時的な変化を示すために、スコアの増減などの肺スコアの違いもユーザに報告される。
【0054】
ある実施形態によれば、総合的な診断又は深刻度評価に、超音波以外の追加情報が必要な場合、これは、最終的なアルゴリズム又はモデルへの二次入力として提供される場合がある。
【0055】
図5を参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法500のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、フレーム510、ビデオ520、又は検査530レベルで特定又は決定されて、Bライン、結合Bラインなど、検査における肺超音波(LUS)特徴540のセットの予測が生成される。フレーム、ビデオ、及び/又は検査から生成された特徴のセットは、方法の下流のステップで使用される。
【0056】
ある実施形態によれば、生成又は抽出された特徴からのデータを組み合わせて、最終的な肺スコア550を生成する。これは、疾患及び/若しくは状態の深刻度、並びに/又は状態若しくは疾患の診断を示す。
【0057】
図6を参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法600のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、フレームレベルで特定又は決定される。つまり、特徴は、単一のゾーンについて、複数の異なるフレームの各々において、システムによって個別に特定され、後続のゾーンについて繰り返すことができる。特徴のビデオレベルの特定又は予測を生成するために、システムは、信頼度スコアや特徴検出境界ボックスサイズに基づく平均化スキームなど、さまざまな手法でフレームレベルの特徴決定を組み合わせることができる。例えば、アプローチ1を使用して、システムは、異なる特徴について決定された信頼度スコア(pred)を平均化することができる(pred+pred+pred+pred+pred・・・pred)。アプローチ2を使用すると、システムは、異なる特徴について決定されたサイズ(size)を平均かすることができる(size+size+size+size+size・・・size)。アプローチ3を使用すると、システムは、例えば、次式を使用して、信頼度スコアと特徴サイズの両方から最終的な肺スコアを生成できる:
【数1】
【0058】
図7Aを参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、ビデオレベルで特定又は決定される。したがって、各ゾーン(Zoneなど)について、特徴予測(pred)が行われ、予測は、平均化されて、次式を使用して検査レベルの予測が生成される:
【数2】
【0059】
図7Bを参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して最終的な肺スコアを生成するための方法のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、フレームレベルで特定又は決定される。したがって、各ゾーン(Zoneなど)について、各フレームについての特徴予測(predなど)が行われ、予測は、組み合わされて、次式を使用して検査レベルの予測が生成される:
【数3】
【0060】
図8を参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して肺スコア(SeverityFinal)を生成するための方法のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、ビデオレベルで特定又は決定される。各特徴についてのビデオレベルの予測を組み合わせて、その肺ゾーンのビデオの総合的な深刻度スコア(SeverityZoneK)を生成する。検査全体の総合的な深刻度(SeverityFinal)は、ビデオごと(肺ゾーンごと)のスコアから導出される。これは、例えば、複数の肺ゾーンの深刻度の合計である。出力(SeverityFinal)は、深刻度であるか、又は総合的な深刻度の代わりに又はそれに加えて、診断(2進数のはい/いいえなど)であり得る。
【0061】
図9を参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して肺スコア(PredFinal)を生成するための方法のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、各ゾーンの各特徴についてビデオレベルで特定又は決定され(BラインでのPredZone1…PredZoneK、胸膜ラインの異常でのPredZone1…PredZoneKなど)、信頼度スコアを生成するために使用される。したがって、各特徴のビデオレベルの予測はすべての肺ゾーンで集約されて、すべてのゾーンの特徴ごとの検査レベルの予測(BラインでのPredExam、胸膜ラインの異常でのPredExamなど)が生成され、これは、他の集約方法の中でもとりわけ、予測を合計することを含む。検査レベルの特徴予測は、最終的なモデルに供給される。例えば、5つの特徴がある場合、最終的なモデルは5つの入力を受け取り、利用する。出力(PredFinal)は、総合的な深刻度及び/又は診断(2進数のはい/いいえなど)であり得る。
【0062】
図10を参照すると、一実施形態において、方法100の実施形態である、超音波解析システムを使用して肺スコア(PredFinal)を生成するための方法のフローチャートである。この実施形態によれば、特徴は、各ゾーンの各特徴についてビデオレベルで特定又は決定される(BラインでのPredZone1…PredZoneK、胸膜ラインの異常でのPredZone1…PredZoneKなど)。その後、ゾーン予測は、最終的なモデル又はアルゴリズムに直接供給され、肺スコアが生成される。例えば、5つの特徴が解析された場合、最終的なモデルは、5*K個の入力を使用して肺スコアを生成する。
【0063】
図1に示される方法100に戻ると、方法のステップ114では、超音波解析システムは、ユーザインターフェースを介して、解析からの情報をユーザに提供する。この情報は、決定された肺スコア、撮像された肺ゾーンのうちの1つ又は複数についての1つ又は複数の特徴の複合スコア、及び/又は特定された特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコア、のうちの1つ又は複数を含み得る。患者の身元、患者の人口統計学的情報、診断又は治療情報、及び他のさまざまな可能な情報を含むが、これらに限定されない他の情報も可能である。情報は、情報を伝達又は表示するための任意の方法を使用してユーザインターフェースを介して提供することができ、また、ユーザインターフェースは、伝達又は表示された情報を提供するための任意のデバイス、インターフェース、又はメカニズムであり得る。
【0064】
図11を参照すると、一実施形態において、ユーザインターフェースを介してユーザに提供される情報の例である。この情報は、各肺ゾーンの複合スコア(「L1」は「3」など)を、総合的な検査のスコア(「総合的スコア」は「8」)とともに表示する視覚的なダッシュボードを含む。ユーザは、各肺ゾーンをクリックして、その肺ゾーン内の各特徴のフレーム/ビデオレベルの検出など、より詳細な情報を確認できる。同様に、肺ゾーンをクリックすると、その肺ゾーンで収集された肺超音波ビデオを、個々に検出された特徴とともに再生できる。
【0065】
ある実施形態によれば、ユーザインターフェースは、複数の検査(つまり、複数の時点)にわたっての情報をまとめることができる。一実装形態では、各時点のサマリダッシュボードが表示される。第2の実装形態では、各時点の検査レベルの総合的なスコアを単一のグラフにプロットする。例えば、肺の深刻度スコアを経時的にチャート化する疾患進行プロットなどである。
【0066】
したがって、本明細書に説明されている、又はそうでなければ想定されている方法及びシステムは、先行技術と比べて多くの利点を提供する。例えば、システムは、最終的な肺スコアを提供する個々の特徴を臨床医がよりよく評価できるため、先行技術のシステムと比べて超音波撮像の解釈性が改善されている。重要なことに、関連する肺の特徴を検出して視覚化し、フレーム/ビデオ/検査レベルで中間結果を提供することで、ユーザは、超音波検査の所見を他の患者の医療情報とともに解釈し、より多くの情報に基づいた最終的な判断を下すことができ、それによって患者の転帰を改善することができる。
【0067】
ある実施形態によれば、本明細書に説明されている、又はそうでなければ想定されている方法及びシステムは、多数の応用を含む。例えば、このシステムは、入院前の環境において、救急室での初期評価として、治療後のフォローアップのために、また、他の多くの環境において利用できる。方法は、特に、ポイントオブケア応用で、すべての超音波撮像システムに適用可能である。方法及びシステムは、救急車、ER若しくは救命救急診療、又は手術状況(急性呼吸器疾患や胸部疾患の緊急事態を含む)などのさまざまな場面で使用できる。
【0068】
方法のステップ116では、超音波解析システムは、ユーザインターフェースを介して、1つ又は複数の肺ゾーンに関する追加情報の要求を受信する。例えば、方法のステップ114では、決定された肺スコア、撮像された肺ゾーンのうちの1つ又は複数についての1つ又は複数の特徴の複合スコア、及び/又は特定された特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコア、のうちの1つ又は複数に関する情報が、ユーザインターフェースに表示される。ステップ116では、ユーザは、ユーザインターフェースを使用して、拡張情報のための1つ又は複数の肺ゾーンを特定できる。ユーザは、例えば、肺ゾーン、複合スコア、若しくはディスプレイの他の側面をクリック若しくはタッチするか、又は別の手段で選択して、追加情報の要求を示すことができる。
【0069】
例えば、図11を参照すると、ユーザは、追加情報のために、ゾーンL4をクリック、タッチ、又は別の手段で選択している。ユーザインターフェースは、この選択をL4(ユーザが選択した肺ゾーン)に関するより多くの情報の要求として解釈する。
【0070】
方法のステップ118では、超音波解析システムは、1つ又は複数の肺ゾーンに関する追加情報の受信要求に応じて、ユーザインターフェースを介して、要求された情報の一部又はすべてを提供する。ある実施形態によれば、追加情報は、ユーザが選択した肺ゾーンの超音波画像データの時間的シーケンス、ユーザが選択した肺ゾーンの複合スコア、ユーザが選択した肺ゾーンの信頼度スコア、及び/又は肺ゾーンに関する他の情報のうちの1つ又は複数を含む。
【0071】
例えば、図11を再び参照すると、ユーザは、追加情報のために、ゾーンL4をクリック、タッチ、又は別の手段で選択している。超音波解析システムは、図の右側の拡張パネルに示される追加情報を、ユーザインターフェースを介して、ユーザに提供する。追加情報には、その肺ゾーン内の各特徴のフレーム/ビデオレベルの検出(Bライン予測や複合スコア(1と2との間のどこか)など)が含まれる。予測又は複合スコアは、整数であっても、又はより細かい内訳であってもよい。
【0072】
図2を参照すると、超音波解析システム200の概略図である。システム200は、本明細書に説明されているか、又はそうでなければ想定されているシステムのいずれかであり、また、本明細書に説明されているか、又はそうでなければ想定されているコンポーネントのいずれかを含み得る。図2は、いくつかの側面で、抽象的概念を構成しており、システム200のコンポーネントの実際の組織化は、図示するものと異なり、より複雑であり得ることが理解されるであろう。
【0073】
ある実施形態では、システム200は、メモリ230又はストレージ260に保存された命令を実行するか、又はそうでなければ、データを処理して、例えば、方法の1つ又は複数のステップを行うことができるプロセッサ220を含む。プロセッサ220は、1つ又は複数のモジュールで形成され得る。プロセッサ220は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、単一プロセッサ、又は複数プロセッサを含むが、これらに限定されない任意の適切な形態をとり得る。
【0074】
メモリ230は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む、任意の適切な形態をとり得る。メモリ230には、例えば、L1、L2、若しくはL3キャッシュ、又はシステムメモリなどのさまざまなメモリが含まれ得る。そのため、メモリ230は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、又は他の類似のメモリデバイスを含み得る。メモリには、特にオペレーティングシステムを保存できる。RAMは、データの一時保存のためにプロセッサによって使用される。ある実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されると、システム200の1つ又は複数のコンポーネントの動作を制御するコードを含み得る。プロセッサがハードウェアで本明細書で説明する機能のうちの1つ又は複数を実装する実施形態では、他の実施形態において、そのような機能に対応するものとして説明されるソフトウェアは省略されてもよいことが明らかであろう。
【0075】
ユーザインターフェース240は、ユーザとのやり取りを可能にするための1つ又は複数のデバイスを含み得る。ユーザインターフェースは、情報の送受信を可能にする任意のデバイス又はシステムであり、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース240は、通信インターフェース250を介してリモート端末に提示され得るコマンドラインインターフェース又はグラフィカルユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、システムの1つ又は複数の他のコンポーネントとともに設置されていても、システムから離れて設置されて、有線及び/又はワイヤレス通信ネットワークを介して通信してもよい。
【0076】
通信インターフェース250には、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスが含まれ得る。例えば、通信インターフェース250は、イーサネットプロトコルに従って通信するように構成されたネットワークインターフェースカード(NIC)を含み得る。さらに、通信インターフェース250は、TCP/IPプロトコルに従って通信するためのTCP/IPスタックを実装していてもよい。通信インターフェース250のさまざまな代替又は追加のハードウェア若しくは構成は明らかであろう。
【0077】
ストレージ260は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイス、又は同様のストレージ媒体など、1つ又は複数の機械可読ストレージ媒体を含み得る。さまざまな実施形態では、ストレージ260には、プロセッサ220による実行のための命令又はプロセッサ220が作用するデータが保存されていてもよい。例えば、ストレージ260には、システム200のさまざまな動作を制御するためのオペレーティングシステム261が保存されている。
【0078】
ストレージ260に保存されているものとして説明されたさまざまな情報は、追加的に又は代替的に、メモリ230に保存されてもよいことが明らかであろう。この点において、メモリ230はまた、ストレージデバイスを構成しているとみなされ、ストレージ260は、メモリとみなされることがある。他のさまざまな配置が明らかであろう。さらに、メモリ230及びストレージ260はともに、非一時的機械可読媒体とみなされる場合がある。本明細書で使用される場合、「非一時的」という用語は、一時的な信号は除外するが、揮発性及び不揮発性メモリを含むすべての形態のストレージを含めることを意味する。
【0079】
システム200は、説明されている各コンポーネントの1つを含むものとして示されているが、さまざまなコンポーネントがさまざまな実施形態で重複していてもよい。例えば、プロセッサ220は、本明細書に説明されている機能を達成するために複数のプロセッサが協働するように、本明細書に説明されている方法を独立して実行する、又は、本明細書に説明されている方法のステップ若しくはサブルーチンを行うように構成されている複数のマイクロプロセッサを含んでいてもよい。さらに、システム200の1つ又は複数のコンポーネントがクラウドコンピューティングシステムに実装されている場合、さまざまなハードウェアコンポーネントが別々の物理システムに属していてもよい。例えば、プロセッサ220は、第1のサーバにある第1のプロセッサ及び第2のサーバにある第2のプロセッサを含み得る。多くの他の変形例及び構成が可能である。
【0080】
ある実施形態では、システム200のストレージ260は、本明細書に説明されているか、又はそうでなければ想定されている方法の1つ又は複数の機能若しくはステップを実行するための1つ又は複数のアルゴリズム、モジュール、及び/又は命令を保存していてもよい。例えば、システムは、他の命令やデータの中でもとりわけ、他の多くの可能な命令及び/又はデータの中でもとりわけ、超音波撮像データ262、特徴特定アルゴリズム263、複合スコアアルゴリズム264、肺スコアアルゴリズム265、及び/又は報告命令266を含んでいてもよい。
【0081】
ある実施形態によれば、超音波撮像データ262は、システムに送信される、システムによって取得される、又はそうでなければシステムによって受信される任意の超音波撮像データである。超音波画像データは、例えば、複数のフレームを含むビデオなどの超音波画像データの時間的シーケンスを含む。超音波画像データは、患者の肺の1つの領域又はゾーンについて取得されても、複数の異なるゾーンについて取得されてもよい。例えば、超音波画像データは、1つ、2つ、又はそれ以上のゾーンについて取得される。検査によっては、14個以上のゾーンを含むことができるが、より多い又は少ない数のゾーンも可能である。超音波画像データは、システムによってリアルタイムで受信されても、ローカル及び/又はリモートメモリに保存され、将来の時点でシステムによって受信されてもよい。超音波画像データは、患者の超音波画像データの取得、又はそうでなければ受信に適した任意のデバイス又はシステムであり得る任意の超音波デバイス又はシステムを使用して取得できる。超音波デバイス又はシステムは、超音波解析システム200からリモートであっても、ローカルであっても、そのコンポーネントであってもよい。
【0082】
ある実施形態によれば、特徴特定アルゴリズム263は、超音波画像データを使用して、肺の特徴を特定するようにトレーニング若しくは構成された任意のモデル又はアルゴリズムであり、特徴は、超音波画像データ内又は超音波画像データから特定できるものであれば何でもよい。特徴の例としては、Aライン、Bライン、結合Bライン、胸膜ラインの異常、コンソリデーション、胸水、及びその他多数が挙げられる。ある実施形態によれば、特徴特定アルゴリズム263は、個々のフレーム又はビデオから特徴を特定するようにトレーニング又は構成されている。
【0083】
ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズム264は、撮像されたゾーンの複合スコアを決定するためにトレーニング若しくは構成された任意のモデル又はアルゴリズムであり、特定された特徴及び決定された信頼度スコアのうちの1つ又は複数を入力として使用する。ゾーンについて決定された複合スコアは、そのゾーンの疾患若しくは状態の深刻度に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、ゾーンについて決定された複合スコアは、そのゾーンの疾患若しくは状態の診断に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。ゾーンについて決定された複合スコアは、そのゾーンに関する他の情報を含む場合がある。ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズムは、各ゾーンの各フレーム又はビデオについて複合深刻度スコア及び/又は診断を導出する。これは、ルールベースのアルゴリズムや、機械学習ベースのアルゴリズムのような予測モデルであってもよい。ある実施形態によれば、複合スコアアルゴリズムの出力は、2進数のはい/いいえ、0と1との間の連続的な測定値、整数の深刻度スケール(0~3など)、又は任意の他の情報伝達的若しくは有用な出力を含む。出力はトリアージ推奨又は転帰予測であってもよい。
【0084】
ある実施形態によれば、肺スコアアルゴリズム265は、肺スコアを決定するためにトレーニング若しくは構成された任意のモデル又はアルゴリズムであり、複数の撮像された肺ゾーンについて決定された複数の複合スコアを入力として使用する。決定された肺スコアは、患者の肺の疾患若しくは状態の深刻度に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、決定された肺スコアは、患者の肺の疾患若しくは状態の診断に関する情報を含むか、又はそうでなければそれを示す。さらに、又は或いは、決定された肺スコアは、肺に関する他の情報を含む場合がある。超音波検査は、通常、複数の撮像されたゾーンを含む。これには、14個以上のゾーンが含まれるが、より多い又は少ない数のゾーンも可能である。肺スコアは、各肺ゾーンについて決定された複合スコアの合計又は平均であってもよい。ただし、総合的な検査レベルの肺スコアを導出する他の手法も可能であり、これらの実施形態のいくつかは、本明細書に説明されているか、又はそうでなければ想定されている。
【0085】
ある実施形態によれば、報告命令265は、超音波解析システム200のユーザインターフェース240を介して、ユーザに報告書又は視覚化を生成して提供するようにシステムに指示する。報告書又は視覚化には、例えば、決定された肺スコア、撮像された肺ゾーンのうちの1つ又は複数についての1つ又は複数の特徴の複合スコア、及び/又は特定された特徴のうちの1つ又は複数についての信頼度スコア、のうちの1つ又は複数に関する情報を含む。患者の身元、患者の人口統計学的情報、診断又は治療情報、及び他のさまざまな可能な情報を含むが、これらに限定されない他の情報も可能である。情報は、情報を伝達又は表示するための任意の方法を使用してユーザインターフェースを介して提供することができ、また、ユーザインターフェースは、伝達又は表示された情報を提供するための任意のデバイス、インターフェース、又はメカニズムであり得る。ある実施形態によれば、指示は、システムのユーザインターフェース又はディスプレイに情報を表示するようにシステムに指示してもよい。報告書は、有線及び/又はワイヤレス通信によって別のデバイスに通信されてもよい。例えば、システムは、報告書を携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、及び/又は報告書の表示や他の通信を可能とするように構成された他のデバイスに通知できる。
【0086】
信頼度スコアは、特徴特定アルゴリズムによって出力される。多くの特徴特定アルゴリズムは、その出力についての信頼度スコアを出力する。信頼度スコアは、アルゴリズムが出力に対して持っている「信頼度」を示す。言い換えると、信頼度スコアは、特定された特徴が実際に所望の特徴である尤度を示す。当然ながら、信頼度スコアを決定するために別のアルゴリズムを使用してもよい。信頼度スコアは、例えば、取得した画像の品質に基づいている(例えば、ぼやけた画像で特定された特徴の信頼度は比較的低くなる)。
【0087】
信頼度スコアは、一般に、所与のゾーンの特徴を示すスコアを提供する。信頼度スコアは、ゾーンごとの特徴ごとの予測と呼ばれることもある。当然ながら、特徴の信頼度スコアは、多くのフレームごとの特徴ごとの信頼度スコアに基づいていてもよい(つまり、時間的シーケンスにおける各フレームで特定された各特徴に、フレームごとの特徴ごとの信頼度スコアを与える)。次に、所与のゾーンのフレームごとの特徴ごとの信頼度スコアを組み合わせて、[ゾーンごとの特徴ごとの]信頼度スコアを決定できる。次に、ゾーン内のすべての特徴についての[ゾーンごとの特徴ごとの]信頼度スコアを組み合わせて、[ゾーンごとの]複合スコアを生成できる。当然ながら、各ゾーンの[ゾーンごとの]複合スコアをさらに組み合わせて、最終的な肺スコアを決定することもできる。
【0088】
なお、ある特徴に対応するすべてのゾーンについての[ゾーンごとの特徴ごとの]信頼度スコアを組み合わせて、各特徴の最終的な特徴スコアを決定することもできることに留意されたい。
【0089】
また、すべてのゾーン及びすべての特徴についての[ゾーンごとの特徴ごとの]信頼度スコアを組み合わせて、最終的な肺スコアを生成できることにも留意されたい。
【0090】
したがって、多くの信頼度スコア(例えば、各フレームにおける各特徴のスコア)を、単一の最終的な肺スコア(又は比較的小さな最終的な特徴スコアのセット)に減らすことができる。
【0091】
特定された特徴のサイズは、画像自体に対する特徴のサイズであり得る。一般に、特定された特徴のサイズが大きいほど、特徴が存在する可能性が高くなる。したがって、特定された特徴のサイズは、特定された特徴の疑似信頼度スコアを提供する。現在の特徴特定アルゴリズムの多くが、特定された特徴の境界ボックスを出力すると考えると、サイズは境界ボックスのサイズである場合もある。
【0092】
上記の方法及びシステムは、他のタイプの超音波検査(肺超音波検査以外)でも使用できることが理解されるであろう。例えば、心臓超音波検査や腹部超音波検査では、多くの場合、臓器のさまざまなゾーンを撮像する必要がある。したがって、これらの臓器の[ゾーンごとの特徴ごとの]信頼度スコアを見出し、組み合わせて、最終的な心臓/腹部スコアを生成することができる。
【0093】
本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先されることを理解されるべきである。
【0094】
単数形の要素は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「少なくとも1つ」を意味するものとして理解されるべきである。
【0095】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される語句「及び/又は」は、そのように等位接続されている要素(つまり、接続的に存在する場合もあれば、離接的に存在する場合もある要素)の「いずれか又は両方」を意味するものとして理解されるべきである。「及び/又は」を用いてリストされた複数の要素は、同じように、つまり、そのように等位接続されている要素のうちの「1つ又は複数」と解釈されるべきである。「及び/又は」句によって特に特定された要素以外の他の要素も、特に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在していてもよい。
【0096】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義されている「及び/又は」と同じ意味を有するとして理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的であると解釈される。つまり、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つの包含であるが、2つ以上の要素、また、任意選択で、追加のリストされていないアイテムも含まれている。その反対を明確に示す用語のみ(例えば、「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちのちょうど1つ」、又は、特許請求の範囲で使用されたときに、「~からなる」)が、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書で使用される場合、用語「又は」は、排他性の用語(例えば、「どちらか一方」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、又は「~のうちのちょうど1つ」)が先行するときに、排他的な代替手段(すなわち、「~のどれか一方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。
【0097】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ又は複数の要素のリストを参照しての語句「少なくとも1つ」は、要素リスト内の要素のいずれか1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するものとして理解されるべきである。ただし、要素のリスト内に具体的にリストされている各要素の少なくとも1つを含める必要はなく、また、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外しない。この定義では、語句「少なくとも1つ」が参照する要素のリスト内で特定された要素以外の要素が、特定された要素に関連するかどうかに関係なく、任意選択で存在していてもよい。
【0098】
また、特に明記のない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されている任意の方法では、方法のステップ又は行為の順序は、方法のステップ又は行為が記載された順序に必ずしも限定されるわけではないことも理解されるべきである。
【0099】
特許請求の範囲だけでなく、上記の明細書においても、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「収容する」、「伴う」、「保持する」、「~で構成される」などのすべての移行句は、オープンエンドであることを理解されるべきである。つまり、「含んでいるが、限定されない」ことを意味する。米国特許局の特許審査手続便覧のセクション2111.03に記載されているように、移行句「~からなる」及び「本質的に~からなる」のみが、閉鎖型又は半閉鎖型の移行句である。
【0100】
本明細書では、いくつかの発明実施形態について説明し、示しているが、当業者であれば、本明細書に説明されている機能を行ったり、結果や1つ又は複数の利点を得たりするためのさまざまな他の手段や構造を容易に想像できるであろう。また、これらの変形や変更の各々は、本明細書に説明されている発明実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に説明されているすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成が模範的であること、また、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示内容が使用されている特定の用途に依存することを容易に理解できるであろう。当業者であれば、本明細書に説明されている特定の発明実施形態に相当する多くの均等物を、日常の実験以上のものを使用することなく認識又は確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、例として提示されたものにすぎず、添付の特許請求の範囲及び均等物の範囲内で、発明実施形態を、特に説明され請求されているものとは別の手段で実践し得ることを理解されるべきである。本開示の発明実施形態は、本明細書で説明されている個々の特徴、システム、品物、材料、キット、及び/又は方法の各々を対象としている。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、品物、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、品物、材料、キット、及び/又は方法は、相互に矛盾していなければ、本開示の発明範囲に含まれる。

図1
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【国際調査報告】