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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】動物用注射器
(51)【国際特許分類】
   A61D 7/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61D7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537467
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2022084758
(87)【国際公開番号】W WO2023117424
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021134597.9
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518342216
【氏名又は名称】ヘンケ-ザッス・ヴォルフ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】HENKE-SASS, WOLF GMBH
【住所又は居所原語表記】Keltenstrasse 1, 78532 Tuttlingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ、メラニー
(57)【要約】
本発明は、投薬される流体を受け入れるための、前方投薬端部(4)及び後端部(11)を有する注射器バレル(3)を含む本体(2)と、注射器バレル(3)内に変位方向(10)に沿って変位可能に配置される、ピストン(K)を備える前端部分(9)及び注射器バレル(3)の外側に位置決めされる後端部分(12)を有するピストンロッド(8)と、本体(2)上の前方把持部(14)及び前方把持部(14)に枢動可能に締結される後方把持部(15)を有するハンドル(13)と、投薬される流体量を設定するための計量デバイス(50)とを有する動物用注射器であって、ピストンロッド(8)の後端部分(12)は、後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、本体(2)の方向における後方把持部(15)の枢動により、ピストンロッド(8)及びしたがってピストン(K)は、注射器バレル(3)内に存在する流体を投薬するために注射器バレル(3)内で前方投薬端部(4)まで移動され、計量デバイス(50)は、本体(2)上に配置され、且つピストンロッド(8)のための調整可能な前方止め部(58)を提供し、前記止め部は、ピストン(K)が注射器バレル(3)内で前方投薬端部(4)まで移動されるときにピストン(K)と前方投薬端部(4)との間で到達され得る最小距離を画定し、計量デバイス(50)の調整可能な前方止め部は、変位方向(10)における前方止め部(58)の位置が異なる、少なくとも2つの所定の設定位置にされ得、したがって設定位置の1つを設定することにより、ピストンロッド(8)の最大ストローク及びしたがって投薬され得る最大流体量が設定され得、ピストンロッド(8)の後端部分(12)は、後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、ピストンロッド(8)と後方把持部(15)との間の相対的な枢動運動は、ピストンロッド(8)と後方把持部(15)との間の唯一の可能な相対運動である、動物用注射器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用注射器であって、
投薬される流体を受け入れるための、前方投薬端部(4)及び後端部(11)を有する注射器シリンダ(3)を含む本体(2)と、
前記注射器シリンダ(3)内に変位方向(10)に沿って変位可能に配置される、プランジャ(K)を備える前端部分(9)及び前記注射器シリンダ(3)の外側に位置決めされる後端部分(12)を有するプランジャロッド(8)と、
前記本体(2)上の前方把持部(14)及び前記前方把持部(14)に枢動可能に締結される後方把持部(15)を有するハンドル(13)と、
投薬される流体量を設定するための計量デバイス(50)と
を有し、
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、前記本体(2)の方向における前記後方把持部(15)の枢動により、前記プランジャロッド(8)及びしたがって前記プランジャ(K)は、前記注射器シリンダ(3)内に存在する流体を投薬するために前記注射器シリンダ(3)内で前記前方投薬端部(4)まで移動され、
前記計量デバイス(50)は、前記本体(2)上に配置され、且つ前記プランジャロッド(8)のための調整可能な前方止め部(58)を提供し、前記止め部は、前記プランジャ(K)が前記注射器シリンダ(3)内で前記前方投薬端部(4)まで移動されるときに到達され得る、前記プランジャ(K)と前記前方投薬端部(4)との間の最小距離を画定し、
前記計量デバイス(50)の前記調整可能な前方止め部は、前記変位方向(10)における前記前方止め部(58)の位置が異なる、少なくとも2つの所定の設定位置にされ得、したがって前記設定位置の1つの設定により、前記プランジャロッド(8)の最大ストローク及びしたがって投薬され得る最大流体量が設定され得、
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、前記プランジャロッド(8)と前記後方把持部(15)との間の相対的な枢動運動は、前記プランジャロッド(8)と前記後方把持部(15)との間の唯一の可能な相対運動である、動物用注射器。
【請求項2】
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)の、前記前方把持部(14)に面する部分(42)に枢動可能に締結される、請求項1に記載の動物用注射器。
【請求項3】
前記後方把持部(15)の、前記本体(2)から離れる方に面する側(41)は、連続面として構成される、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項4】
前記後方把持部(15)の、前記本体(2)から離れる方に面する前記側(41)は、前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)の反対側に位置する部分において連続面として構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項5】
前記プランジャロッド(8)は、前記プランジャ(K)が前記注射器シリンダ(3)内で前記変位方向(10)に沿ってのみ変位可能であるように案内され、
前記プランジャロッド(8)は、前記後方把持部(15)が前記前方把持部(14)に向かって枢動されるときに前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)で発生する前記変位方向(10)に対して横方向の移動成分が前記プランジャロッド(8)の曲げによって補償されるような弾性を与えられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項6】
前記計量デバイス(50)は、回転要素(51)を有し、
前記回転要素(51)は、前記本体に回転可能に取り付けられ、且つ前記所定の設定位置の各々のための止め要素(58)を含み、
前記止め要素(58)は、前記回転要素(51)の回転方向において互いに離間して配置され、
前記回転要素(51)の回転により、前記所望の止め要素(58)は、前記前方止め部として位置決めされ得る、請求項1~5のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項7】
前記止め要素(58)は、前記プランジャロッド(8)が延在するチャネル(56)を取り囲むらせん状主経路(57)に配置される、請求項6に記載の動物用注射器。
【請求項8】
前記回転要素(51)は、溝(60)を備える円筒状ラッチ部分(53)を有し、
各溝(60)は、前記止め要素(58)の1つに割り当てられ、及び前記本体(2)は、前記所定の設定位置において前記溝(60)の1つと係合する係合要素(62)を有する、請求項6又は7に記載の動物用注射器。
【請求項9】
前記プランジャロッド(8)は、前記最小距離に到達するときに前記前方止め部(58)と接触するプランジャロッド止め部(65)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項10】
前記後方把持部(15)に流体リザーバを接続するための接続部(26)は、前記後方把持部(15)に提供され、前記接続部(26)から前記プランジャロッド(8)内の供給チャネル(20)を通して前記注射器シリンダ(3)まで第1の流体接続部がある、請求項1~9のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項11】
前記プランジャロッド(8)の前記前端部分(9)は、逆止弁(22)を有し、
前記逆止弁(22)は、前記第1の流体接続部を遮断し、且つ前記供給チャネル(20)内の圧力が前記注射器シリンダ(3)内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く、請求項10に記載の動物用注射器。
【請求項12】
前記前方投薬端部(4)は、投薬チャネル(5)を介して前記注射器(1)の前端部(7)との第2の流体接続部にあり、
逆止弁(6)が、前記投薬チャネル(5)内に配置され、
前記逆止弁は、前記第2の流体接続部を遮断し、且つ前記注射器シリンダ(3)内の前記圧力が所定の値を超える場合にのみ開く、請求項1~11のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【請求項13】
自己充填注射器として構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の動物用注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、異なる予め選択可能な量で薬剤を投与するための計量デバイスを有する動物用注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の動物用注射器の既知のよくある難点は、注射器が、異なる予め選択可能な量を設定するために操作するうえが複雑であることと、注射器で再度投与するときに望ましくなく薬剤が失われることと、例えばプランジャロッドがハンドルを越えて後方に突出するため、人間工学的な操作の容易性が不十分であることとである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改良された動物用注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、請求項1に定義される。有利な発展形態は、従属請求項に明記される。
【0005】
動物用注射器は、投薬される流体を受け入れるための、前方投薬端部を有する注射器シリンダを含む本体と、注射器シリンダ内に変位方向に沿って変位可能に配置される、プランジャを備える前端部分及び注射器シリンダの外側に位置決めされる後端部分を有するプランジャロッドと、本体上の前方把持部及び前方把持部に枢動可能に締結される後方把持部を有するハンドルと、投薬される流体量を設定するための計量デバイスとを有し得る。プランジャロッドの後端部分は、後方把持部(好ましくは後方把持部の、前方把持部に面する部分)に枢動可能に締結され得る。それにより、本体の方向における後方把持部の枢動により、プランジャロッド及びしたがってプランジャは、注射器シリンダ内に存在する流体を投薬するために注射器シリンダ内で前方投薬端部まで移動される。計量デバイスは、本体上に配置され得、且つプランジャロッドのための調整可能な前方止め部を提供し得る。前記止め部は、プランジャロッドの前端部分が注射器シリンダ内で前方投薬端部まで移動されるときに到達され得る、プランジャ(例えば、プランジャのプランジャ表面)と前方投薬端部との間の最小距離を画定する。これにより、プランジャが前方投薬端部の方向に最大でどの程度移動可能であるかが規定される。計量デバイスの調整可能な前方止め部は、変位方向における前方止め部の位置が異なる、少なくとも2つの所定の設定位置に位置決め可能であり得る。したがって、設定位置の1つの設定により、プランジャロッドの最大ストローク及びしたがって投薬され得る最大流体量が設定され得る。
【0006】
プランジャロッドの後端部分が後方把持部に枢動可能に締結されるため、プランジャロッドは、後方把持部の上に突出しない。したがって、後方把持部を人間工学的に構成することができる。したがって、プランジャロッドの一部(例えば、プランジャロッドの後端部分)は、後方把持部の、本体から離れる方に面する側の上に突出しない。特に、後方把持部の、本体から離れる方に面する側を連続面として構成することができる。プランジャロッドの後端部分が後方把持部(好ましくは後方把持部の、前方把持部に面する部分)に枢動可能に締結可能であるため、特に後端部分の枢動可能な締結部の反対側に位置する部分でも、後方把持部の、本体から離れる方に面する側を連続面として構成することができる。さらに、後方把持部の、本体から離れる方に面する側は、人間工学的に成形され得る。当然のことながら、前方把持部も人間工学的に構成され得る。
【0007】
後方把持部は、好ましくは、前方把持部に対して第1の枢動軸を中心に枢動され得る。第1の枢動軸は、変位方向に対して垂直に延在し得る。ピストンロッドの後端部分は、特に接続領域で後方把持部に固定される。それにより、接続領域を通して延びる第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能である。この接続領域は、好ましくは、後方把持部の、前方把持部に面する部分に形成される。第2の枢動軸は、変位方向に対して垂直に且つ/又は第1の枢動軸に対して平行に延在し得る。
【0008】
前方止め部が変位方向に調整可能であるため、設定される流体の分量又は流体量のみが排出される。その後、注射器シリンダが充填されたとき、完全に充填された注射器シリンダが再び存在し、前方止め部の調整によって注射器シリンダ内の流体のいかなる損失も引き起こされない。流体は、特に液体であり得る。流体は、薬剤又はワクチン等であり得る。
【0009】
計量デバイスは、回転要素を有し得る。回転要素は、本体に回転可能に取り付けられ、所定の注射位置の各々のための止め要素(例えば、リブ)を含む。止め要素は、回転要素の回転方向に互いに離間して配置され得る。回転要素の回転により、所望の止め要素を前方止め部として位置決めし得る。
【0010】
したがって、投薬することができる最大流体量は、簡単な方法で(回転要素を回転させるのみで)確実に設定され得る。
【0011】
止め要素は、ピストンロッドが延在するチャネルを取り囲むらせん状主経路に配置され得る。
【0012】
したがって、計量デバイスのコンパクトな構成が可能である。
【0013】
回転要素は、溝を備える円筒状ラッチ部分を有し得る。各溝は、止め要素の1つに割り当てられる。本体は、所定の設定位置で溝の1つと係合する係合要素を有する。したがって、所望の止め位置を確実に選択して設定することができる。
【0014】
ラッチ部分の溝は、回転要素(例えば、シリンダ部分)の外周面に形成され得る。
【0015】
プランジャロッドは、最小距離に到達するときに前方止め部と接触するプランジャロッド止め部を有し得る。プランジャロッド止め部は、ウェブ状であり得、プランジャロッドの長手方向且つ半径方向に延在し得る。
【0016】
プランジャロッド止め部は、例えば、凹状に湾曲した止め面を有し得る。この場合、止め要素によって提供される止め面が、一方ではプランジャロッド止め部及び他方では対応して選択された止め要素の、2つの止め面の確実な接触が確実にされるように、凸状に湾曲していることが好ましい。当然のことながら、止め要素の止め面が凹状に構成され、プランジャロッド止め部の止め面が凸状に構成されることも可能である。さらに、止め面がそれぞれ平坦であることも可能である。
【0017】
プランジャロッドの後端部分は、特に、プランジャロッドと後方把持部との間の相対的な枢動運動がプランジャロッドと後方把持部との間の唯一の可能な相対運動になるように、後方把持部に枢動可能に締結される。したがって、例えば、プランジャロッドと後方把持部との間のプランジャロッドの長手方向における且つ長手方向に対して横方向の相対運動は、不可能である。こうしたプランジャロッドの後端部分の後方把持部への枢動可能な締結は、固定プランジャロッド取り付けと称することもできる。
【0018】
プランジャロッド(特に注射器シリンダ内のプランジャ)は、本体内において、プランジャロッド(又はプランジャ)が変位方向に沿ってのみ変位可能又は移動可能であるように案内され得る。固定されたプランジャロッドの取り付けにより、後方把持部が前方把持部に向かって枢動されるとき、プランジャロッドの後端部分で変位方向に対して横方向(又はプランジャロッドの長手方向に対して横方向)の移動成分が生じ得る。これは、後方把持部が枢動するとき、後方把持部への枢動可能な締結の接続領域が円弧上を移動し、その円弧の中心点が2つの把持部の枢動軸線上に位置するという事実からもたらされる。したがって、プランジャロッドに対して、特に変位方向に対して横方向の前記移動成分が補償されるような弾性(又は例えば可撓性)を与えることができる。したがって、この補償は、特にプランジャロッドに与えられた弾性のために可能であるプランジャロッドの曲げ又は撓みをもたらす、変位方向に対して横方向の移動成分によって達成され得る。
【0019】
ハンドルは、2つの把持部を押し広げるばね要素が設けられるように構成され得る。したがって、動物用注射器の基本的な位置を提供することができる。注射器を使用するために、ユーザは、後方把持部をばね力に対して反対方向に前方把持部の方向に移動させなければならない。
【0020】
特に、注射器(特に本体又は本体の主部分)は、前方投薬端部からの変位方向に対して反対方向のプランジャロッドの移動を制限する後方止め部を有し得る。後方止め部の位置は、好ましくは、固定され、変更することができない。したがって、後方止め部の位置は、注射器の基本位置(又は前方把持部に対する後方把持部の可能な最大の枢動)を画定する。
【0021】
本発明による注射器は、流体リザーバのためのコネクタを有し得る。このコネクタは、流体接続部を介して注射器シリンダに流体接続される。注射器シリンダへの流体接続部内に逆止弁が配置され得る。前記逆止弁は、流体接続部を遮断し、且つ逆止弁の上流の流体接続部内の圧力が注射器シリンダ内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く。
【0022】
流体リザーバを接続するためのコネクタは、後方把持部に形成され得る。コネクタから、プランジャロッドを通して延在する供給チャネルを通して注射器シリンダまで流体接続部があり得る。
【0023】
特に、この目的のために、プランジャロッド(好ましくはその前端部分)に逆止弁が提供され得る。前記流防止弁は、供給チャネル内の圧力が注射器シリンダ内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く。
【0024】
さらに、前方投薬端部は、投薬チャネルを介して注射器の前端部に流体接続され得る。投薬チャネル内に逆止弁が配置され得る。前記逆止弁は、シリンダ内の圧力が(外圧に対して)所定の値を超えた場合にのみ開く。
【0025】
したがって、所定の流体量が投薬チャネル内の逆止弁を介して投薬された後、ばねのプレテンションによって後方把持部が投薬端部から再び離れる方に移動するため、動物用注射器は、好ましくは、自己充填注射器として構成される。これにより、プランジャが対応して移動することにもなる。その結果、注射器シリンダ内に負圧が発生し、プランジャロッド内の逆止弁が開く。それにより、注射器シリンダから流体リザーバまでここでは自由な流体接続部があるため、流体を流体リザーバから注射器シリンダ内に吸い込むことができる。プランジャロッドが注射器の後端部まで移動すると直ちに、プランジャロッド内の逆止弁が再び閉じ、及び注射器シリンダが再び完全に充填される。
【0026】
しかしながら、自己充填注射器を提供するための他の任意の設計も可能である。したがって、本体又は注射器シリンダ自体に流体リザーバのための接続部を設けることもできる。前記接続部は、注射器シリンダ内に負圧がある場合にのみ開く逆止弁を介して閉じられる。この場合、プランジャロッドに供給チャネルを形成する必要はない。
【0027】
動物用注射器では、プランジャを前端部分に解放可能に接続することができる。プランジャが端部分から取り外された後、逆止弁は、保守目的で(例えば、洗浄するために)アクセス可能である。さらに、作動可能な安全機構を形成することができる。作動可能な安全機構は、安全機構が作動された後にのみプランジャの前端部分からの取り外しが可能であることにより、プランジャの意図されない取り外しを防止する。
【0028】
着脱可能な接続は、例えば、ねじ接続、バヨネット接続又は他の接続であり得る。
【0029】
安全機構は、プランジャロッドに対する(好ましくはプランジャロッドの長手方向軸を中心とする)プランジャの回転(例えば、ねじが緩むこと)を阻止する回転ロックとして構成され得る。
【0030】
安全機構は、第1の固定要素としての固定凹部と、第2の固定要素としての固定ラグとを有し得る。固定目的のため、固定ラグが固定凹部内に入れられ(固定ラグが固定凹部と係合し)、それによりプランジャが前端部分から取り外されることを防止する。2つの固定要素の一方がプランジャに形成され得、及び2つの固定要素の他方が前端部分に形成され得る。
【0031】
固定凹部は、例えば、対応する壁の通路開口部又は(壁の厚さ全体を通して延在しない)一種の止まり孔として構成され得る。
【0032】
プランジャは、プランジャ表面を備えるプランジャ部分と、中空円筒状締結部分とを有し得る。第1の固定要素は、中空円筒状締結部分の壁に形成される。第1の固定要素は、例えば、プランジャ部分から離れる方に面する締結部分の端部に形成され得る。さらに、中空円筒状締結部分は、雌ねじ部を有し得、及び前端部分は、雌ねじ部と相互作用する雄ねじ部を有し得る。
【0033】
雌ねじ部は、中空円筒状締結部の長手方向に(好ましくは直線状に)延在する少なくとも1つのねじなし領域を有し得る。したがって、雌ねじ部は、断続的な雌ねじ部とも称することができる。少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、プランジャ部分から離れる方に面する雌ねじ部の端部において雌ねじ部の端部領域に延在する。ねじなし領域は、雌ねじ部の全長にわたって延在することもできる。
【0034】
雌ねじ部は、好ましくは、互いに対向して位置する2つのねじなし領域を有し得る。
【0035】
雌ねじ部の少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、第1の固定要素に対して周方向にオフセットして配置される。
【0036】
中空円筒状締結部分は、好ましくは、弾性があり、且つ変形可能であるように構成される。
【0037】
雄ねじ部は、プランジャロッドの長手方向に(好ましくは直線状に)延在する少なくとも1つのねじなし領域を有し得る。したがって、雄ねじ部は、断続的な雄ねじ部と称することもできる。少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、プランジャ部分に面する雄ねじ部の端部において雄ねじ部の端部領域に延在する。ねじなし領域は、雄ねじ部の全長にわたって延在することもできる。
【0038】
雄ねじ部は、好ましくは、互いに対向して位置する2つのねじなし領域を有し得る。
【0039】
特に、雄ねじ部の少なくとも1つのねじなし領域は、第2の固定要素に対して周方向にオフセットして配置され得る。
【0040】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述した特徴及び以下にさらに説明する特徴は、指定された組合せのみならず、他の組合せにおいて又は単独で使用され得ることが理解されるであろう。
【0041】
以下では、本発明について、例示的な実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。同様に本発明にとって本質的な特徴を開示する添付図面を参照する。これらの例示的な実施形態は、単に例示的なものであり、限定的なものとして解釈されるべきではない。例えば、複数の要素又は構成要素を有する例示的な実施形態の説明は、これらの要素又は構成要素のすべてが実施に必須であることを意味するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の例示的な実施形態は、代替的な要素及び構成要素、より少ない要素若しくは構成要素又は追加の要素若しくは構成要素も含み得る。異なる例示的な実施形態の要素又は構成要素は、別段の定めのない限り、互いに組み合わされ得る。例示的な実施形態の1つについて記載する変更形態及び変形形態は、他の例示的な実施形態にも適用可能であり得る。繰返しを避けるために、異なる図における同じ要素又は対応する要素は、同じ参照符号で指定され、何度も説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による動物用注射器1の一実施形態の断面図を示す。
図2】プランジャKを伴うプランジャロッド8の等角図を示す。
図3】プランジャロッド8及びプランジャKの正面図を示す。
図4図3の断面線A-Aに沿った、プランジャKとともにプランジャロッド8の断面図を示す。
図5図4の細部Cの拡大図を示す。
図6図4の断面線B-Bに沿った、プランジャKを伴うプランジャロッド8の断面図を示す。
図7】プランジャロッド8の等角図を示す。
図8図7のプランジャロッド8の正面図を示す。
図9図8の断面線A-Aに沿ったプランジャロッド8の断面図を示す。
図10】プランジャKの等角図を示す。
図11】プランジャKの正面図を示す。
図12図11の断面線A-Aに沿ったプランジャKの断面図を示す。
図13】接続片23の上面図を示す。
図14】接続片23の等角図を示す。
図15】接続片23の正面図を示す。
図16図15の断面線A-Aに沿った接続片23の断面図を示す。
図17】後方把持部15の正面図を示す。
図18図17の断面線A-Aに沿った後方把持部15の断面図を示す。
図19】後方把持部15の等角図を示す。
図20】回転要素51の等角図を示す。
図21】回転要素51の上面図を示す。
図22図20及び図21の回転要素51の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示す実施形態では、本発明による動物用注射器1は、投薬される流体(例えば、液体状の薬剤又はワクチン)を受け入れるための、注射器シリンダ3を有する本体2を含む。注射器シリンダ3は、ここでは本体2の主部分2にねじ接続によって着脱可能に接続され、第1の逆止弁6が位置する投薬チャネル5に開口する前方投薬端部4を含む。投薬チャネル5の前端部7には、例えば、図示しないカニューレを取り付けることが可能である。
【0044】
注射器1は、プランジャロッド8をさらに含む。このプランジャロッド8は、前端部分9を有し、注射器シリンダ3内の変位方向10に沿って変位可能に配置される。前端部分9にプランジャKが配置される。前記プランジャは、前方投薬端部4の方向に変位したとき、プランジャの移動によって注射器シリンダ3内で圧力が増大することで第1の逆止弁6が開くため、前方投薬端部4及び投薬チャネル5を介した注射器シリンダ3からの流体の投薬をもたらす。
【0045】
プランジャロッド8は、本体2から注射器シリンダ3の後端部11を越えて延在し、後により詳細に記載するように、その後端部分12によって注射器1のハンドル13の後方把持部15に関節式に接続される。
【0046】
ハンドル13は、本体2上(ここでは主部分2内)に形成された前方把持部14と、後方把持部15とを有する。前方把持部14は、本体2から上向きに突出する上方部分16と、本体2から下向きに突出する下方部分17とを有する。前方把持部14の下方部分17の自由端18では、後方把持部15は、(ここでは図1の図面の面に対して垂直に延びる)第1の枢動軸を中心に枢動可能に取り付けられる。2つの把持部14、15間に設けられたばねFが2つの把持部14、15を押し広げる。図1の断面図で容易に分かるように、ハンドル13は、実質的にV字の形状である。
【0047】
図1に示す注射器1の基本位置では、プランジャロッド8の前端部分9は、主部分2に形成された後方止め部19に当接し、したがって変位方向10とは反対に前方投薬端部4から離れてさらに移動することができない。ばねFにより、後方把持部15に外力が作用しない場合にこの基本位置が存在する。
【0048】
特に、図1図4図5図6及び図9から判断することができるように、プランジャロッド8は、プランジャロッド主部分8を含む。供給チャネル20は、このプランジャロッド主部分8を通してプランジャロッド8の長手方向に延在し、前端部分9の接続チャネル21及びプランジャKの通路開口部70を介して注射器シリンダ3の内部と流体接続される。接続チャネル21に第2の逆止弁22が配置される。
【0049】
第2の逆止弁22を前端部分9に嵌め込むことができ、例えば保守目的のために第2の逆止弁22を洗浄することができるように、プランジャKは、前端部分9にねじ接続を介して着脱可能に締結される。
【0050】
詳細には、特に図5から判断することができるように、プランジャKは、プランジャ表面72と、プランジャ封止リング74が位置する環状のプランジャ溝73とを有するプランジャ部分71を含む。プランジャ部分71には、中空円筒状締結部分75が隣接する。この中空円筒状締結部分75は、雌ねじ部76を有する。雌ねじ部76は、周方向に連続的に構成されず、逆に2つの対向するねじなし領域77を有する(図10及び図12)。
【0051】
中空円筒状締結部分75の壁において、プランジャ部分71から離れる方に面する端部78に固定凹部79(又は第1の固定要素)が形成される。さらに、中空円筒状締結部分75の壁にマーク80も設けられる。このマークは、第2の逆止弁22を接続チャネル21内にどのように挿入すべきかを示す。
【0052】
通路開口部70は、中空円筒状締結部分75の内部までプランジャ部分71全体を通して延在するため、プランジャKが前端部分9の上にねじ込まれたとき、注射器シリンダ3の内部への供給チャネル20への所望の流体接続部を提供することができる。
【0053】
ねじ込み操作のために、前端部分9の外側に雄ねじ部81が形成される。この雄ねじ部は、好ましくは、互いに対向する2つのねじなし領域82によって周方向に中断される(図7図9)。前端部分9の前端部には、封止リング84(図5)が位置する環状溝83が形成される。
【0054】
さらに、前端部分9は、半径方向に突出した固定ラグ85(又は第2の固定要素)を含む。この固定ラグ85は、プランジャロッド8の後端部分12の方向に雄ねじ部81から離間される(図7及び図8)。
【0055】
雄ねじ部81の周方向におけるねじなし領域82の寸法決めは、プランジャKの雌ねじ部76のねじなし領域77の寸法とともに、プランジャKを前端部分9の上にねじ込むことができ、恒久的なねじ接続が可能となるように選択される。ねじ込み操作中に中空円筒状締結部分75の端部78が固定ラグ85に突き当たる前に行う必要があるのは、中空円筒状締結部分75をねじなし領域77の領域で押し付けることのみである。その結果、締結部分75が変形するため、ねじ込み操作中、中空円筒状締結部分75の端部78を固定ラグ85上に移動させることができる。それにより、上述した押付けが終了した後、中空円筒状締結部分75がその弾性のためにその主な形状に弛緩するように、固定凹部79を位置決めすることもできる(したがって中空円筒状締結部分75の変形が可逆的となる)。プランジャKは、固定凹部79が固定ラグ85に対向して位置するように位置決めされるため、図2図6に示すように、固定ラグ85が固定凹部79内に入れられる。したがって、固定ラグ85が固定凹部79内に係合し、その結果、回転に対して保護されるか又は回転しないように固定される。
【0056】
プランジャKに回転力がかけられた場合でも、固定ラグ85が固定凹部79内に入れられ、したがって前端部分9からのプランジャKのゆるみが確実に防止されるため、前端部分9からのプランジャKの望ましくないゆるみを確実に防止することができる。例えば、例えば汚れのために、シリンダ3とプランジャKとの間の摩擦がプランジャKと前端部分9との間の摩擦よりも高い場合、洗浄の目的でシリンダ3を本体2の主部分2からねじって外すとき、プランジャKに対する望ましくない回転力が生じ得る。
【0057】
本発明による注射器1の使用後、第2の逆止弁22を洗浄又は保守しなければならない場合、最初に本体2の主部分2からシリンダ3をねじって外すことができる。固定ラグ85及び固定凹部79による回転ロックにより、プランジャKは、ここでは前端部分9にあり続ける。ここで、前端部分9からプランジャKを取り外すために、中空円筒状締結部分75の断面形状が固定凹部79の領域で円形でなくなり、楕円形になるように、2つの対向するねじなし領域77の領域で圧縮することにより、中空円筒状締結部分75を変形させなければならない。その結果、固定凹部79がガイドラグ85の範囲の半径方向に沿って前端部分9から離れて移動する。それにより、固定ラグ85が固定凹部79と係合しなくなる。この状態でプランジャKをねじって外すことを開始し得る。プランジャロッド8の長手方向における固定ラグ85及び固定凹部79の寸法は、記載した実施形態では、プランジャKの1回転(360°)後、中空円筒状締結部分75の壁の端部78が明確に固定ラグ85に接触しなくなるように選択される。したがって、回転ロックがなくなるため、プランジャKをさらにねじって外すことができる。
【0058】
プランジャKがねじって外された後、弁本体22、弁ばね22及びシール22を有する第2の逆止弁22に自由にアクセスすることができ、第2の逆止弁22を洗浄及び保守することができる。
【0059】
その後、固定ラグ85が固定凹部79に係合することによって所望の回転ロックがかかるように、上述した方法でプランジャKを再びねじ込むことができる。
【0060】
ピストンロッド8の後端部分12は、接続片23(図1及び図13図16)に接続される。接続片23は、後方把持部15に回転可能に取り付けられ、チューブ取り付け部24を有する。
【0061】
後方把持部15の上方自由端25(図1図17図19)において、穿孔マンドレル27(図1)を有するボトルアダプタ26が取り付けられる。穿孔マンドレル27は、例えば、薬剤ボトル(図示せず)がボトルアダプタ26に締結されたとき、ボトルアダプタ26に締結された薬剤ボトルの膜を穿孔し得る。ボトルアダプタ26は、穿孔マンドレル27に流体接続されるチューブ取り付け具28をさらに有する。チューブ29の両端が2つのチューブ取り付け具28及び24に押し付けられる。それにより、穿孔マンドレル27(したがって対応する薬剤ボトルの内容物)は、接続片23を介してプランジャロッド8の供給チャネル20に流体接続される。
【0062】
ボトルアダプタ26は、穿孔マンドレル27内を通る通気チャネル30も有する。通気チャネル30は、液体の抽出中に薬剤ボトル内に過度の負圧が形成されることを回避するために、第3の逆止弁31を介して環境に接続される。
【0063】
注射器1は、排出操作が行われた後、排出された液体の量を注射器シリンダ3に自動的に充填する、いわゆる自己充填注射器と称されるものとして構成される。
【0064】
したがって、注射器1のユーザは、人差し指が前方把持部14の上方部分16に当接し、中指、薬指及び小指が前方把持部14の下方部分17に当接し、掌及び親指が後方把持部15に当接するように、ハンドル13を手で保持することができる。その後、ユーザは、手を握りしめた場合、後方把持部15をばねFの力に対して反対方向に本体2の方向に移動させる。その結果、プランジャロッド8は、その前端部分9とともに、したがってプランジャKとともに注射器シリンダ3内の変位方向10に沿って前方投薬端部4まで移動する。これにより、注射器シリンダ3内で正圧が増大し、第1の逆止弁6が開き、したがって投薬チャネル5を介して液体を投薬することができるようになる。ユーザが再び手を開くと、ばねFのばね力によって後方把持部15が本体2から離れて移動する。その結果、プランジャロッド8は、前端部分9及びプランジャKとともに注射器シリンダ3内で変位方向10とは反対方向に移動する。これにより、第1の逆止弁6が閉じ、注射器シリンダ3の内部で負圧が増大し、前端部分9内の第2の逆止弁22が開き、それにより流体が薬剤ボトルから注射器シリンダ3の内部に吸い込まれる。後方把持部15の後方への移動は、前端部分9が後方止め部19に当接したときに終了する。第2の逆止弁22が再び閉じ、注射器シリンダ3の内部は、投薬される流体で再び完全に充填される。
【0065】
図13図16に示すように、接続片23に形成されたチャネル35は、実質的にV字形である。接続片23は、プランジャロッド8の後端部分12のための接続部37を有する主要素36と、接続部37に対して斜めに延在するチューブ取り付け部24とを有する。主要素36には、2つの横方向に延在する回転ピン38、39が形成される。これらは、後方把持部15の対応する受け部40(図17図19)に挿入される。したがって、接続片23が回転可能に取り付けられる。
【0066】
したがって、注射器1のこの構成により、プランジャロッド8の後端部分12は、プランジャロッド8と後方把持部15との間の長手方向又は横方向の相対移動が可能でないように、後方把持部15に回転可能に取り付けられる。プランジャロッド8の後端部分12は、接続領域において後方把持部15に、接続領域を通して延びる第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能であるように固定されると言うこともできる。特に、図1とともに図17図19から判断することができるように、この接続領域は、後方把持部15の、前方把持部14に面する部分42に形成される。
【0067】
第2の枢動軸は、好ましくは、変位方向に対して垂直に、且つ/又は後方把持部15を前方把持部14に対して枢動させることができる第1の枢動軸に対して平行に延在する。プランジャロッド8の後端部分12を後方把持部15に固定するこの構成により、後方把持部15の、本体2から離れる方に面する後側41を、注射器1の操作性を向上させるように人間工学的に形成することが可能になる。後側41、したがって特に後側41の接続領域とは反対側の部分もこのように連続的に(隙間も孔もなく)構成され得、ユーザの手に対応する人間工学的形状を有し得る。
【0068】
プランジャロッド8の後端部分12は、第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能であるように接続領域で後方把持部15に固定される。そのため、プランジャロッド8に対して、プランジャロッド8が撓むことを可能にする所定の弾性を与えられる。したがって、後方把持部15が前方把持部14に向かって枢動する間、変位方向に対して横方向(又はプランジャロッドの長手方向に対して横方向)(例えば、図1では底部から上向き)に移動成分が生じ得る。これは、後方把持部15が枢動するとき、後方把持部15に対する枢動可能な締結の接続領域が円弧上を移動し、その円弧の中心点が2つの把持部14、15の枢動軸上に位置するという事実からもたらされる。プランジャロッド8の所定の弾性により、変位方向に対して横方向の移動成分によってプランジャロッド8が曲がる。それにより、変位方向に対して横方向の移動成分が補償される。この弾性は、ここでは、プランジャロッド8の、その前端部分9及びしたがってプランジャKを伴う、注射器シリンダ3内での変位方向10に沿った前方投薬端部4までの移動が影響を受けない程度にのみ、プランジャロッド8が撓み、したがってプランジャKが注射器シリンダ3内で容易に変位するように構成される。
【0069】
注射器1は、本体2上に配置された計量デバイス50をさらに有する。この計量デバイス50により、最大の投薬可能な流体量を調整及び設定することができる。この目的のために、計量デバイス50は、本体2の後端部に配置され、エンドキャップ61(図1)を有する回転要素51を含む。回転要素51は、特に図20図22で容易に分かるように、円筒状把持部分52と、把持部分52に隣接する円筒状ラッチ部分53と、前記ラッチ部分に隣接し、ラッチラグ55を有する円筒状内部部分54とを含む。図20図22には、エンドキャップ61が示されていない。回転要素51の内部には、プランジャロッド8が案内される円筒状チャネル56が形成される。チャネル56の周囲において、らせん状主経路57で周方向に互いに離間された止め要素58(例えば、リブ58)が形成される。それらは、好ましくは、ここでは主経路57から離れる方に面するそれらの止め面59が前方投薬端部4から変位方向10に異なる距離にあるように同じ高さを有する。
【0070】
円筒状ラッチ部分53の他方側には、各止め要素58に対して長手方向に延びる溝60が設けられる。
【0071】
図1に示す挿入状態では、回転要素51は、本体2に回転可能に取り付けられ、プランジャロッド8は、チャネル56を通して延在する。
【0072】
円筒状のラッチ部分53の領域では、本体2の主部分2は、突出した係合要素62を有する。この係合要素62は、回転要素51の回転位置に応じて長手方向溝60の1つと係合する。
【0073】
例えば、図1図2図4図7及び図8で明らかであるように、プランジャロッド8は、プランジャロッド止め部65を有する。このプランジャロッド止め部65は、プランジャロッド主部分8から半径方向に延在し、止め面66を有する。後方把持部15の移動により、ここで、プランジャロッド止め部65の止め面66がらせん状主経路57における対応する止め要素58の止め面59に接触するまで、プランジャロッド8を前方投薬端部4の方向に移動させることができる。したがって、投薬操作のためのプランジャロッド8の最大ストロークが画定される。その結果、注射器シリンダ3の内部で流体の最大排出量も画定される。
【0074】
注射器1が、図1に示される基本位置にある場合、把持部分52の作動による回転要素51の回転により、所望の最大排出量を画定することができる。前記排出量は、らせん状主経路57において、プランジャロッド止め部65に対向して位置する止め要素58によって画定される。
【0075】
したがって、最大排出量を簡単な方法で画定することができる。それにより、したがって、ユーザが注射器シリンダ内の画定された量の液体を前方投薬端部4から常に投薬できることが確実になる。
【0076】
本明細書に記載した実施形態では、例えば、直接隣接する止め要素の止め面59は、変位方向10に1.3mmだけ互いに離間され得る。その結果、0.5ml~10mlの排出量を0.5ml刻みで設定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、異なる予め選択可能な量で薬剤を投与するための計量デバイスを有する動物用注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の動物用注射器の既知のよくある難点は、注射器が、異なる予め選択可能な量を設定するために操作するうえが複雑であることと、注射器で再度投与するときに望ましくなく薬剤が失われることと、例えばプランジャロッドがハンドルを越えて後方に突出するため、人間工学的な操作の容易性が不十分であることとである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ニュージーランド特許出願公開第521084号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/200861号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/26153号明細書
【特許文献4】米国特許第6554161号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、改良された動物用注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に定義される。有利な発展形態は、従属請求項に明記される。
動物用注射器は、投薬される流体を受け入れるための、前方投薬端部を有する注射器シリンダを含む本体と、注射器シリンダ内に変位方向に沿って変位可能に配置される、プランジャを備える前端部分及び注射器シリンダの外側に位置決めされる後端部分を有するプランジャロッドと、本体上の前方把持部及び前方把持部に枢動可能に締結される後方把持部を有するハンドルと、投薬される流体量を設定するための計量デバイスとを有し得る。プランジャロッドの後端部分は、後方把持部(好ましくは後方把持部の、前方把持部に面する部分)に枢動可能に締結され得る。それにより、本体の方向における後方把持部の枢動により、プランジャロッド及びしたがってプランジャは、注射器シリンダ内に存在する流体を投薬するために注射器シリンダ内で前方投薬端部まで移動される。計量デバイスは、本体上に配置され得、且つプランジャロッドのための調整可能な前方止め部を提供し得る。前記止め部は、プランジャロッドの前端部分が注射器シリンダ内で前方投薬端部まで移動されるときに到達され得る、プランジャ(例えば、プランジャのプランジャ表面)と前方投薬端部との間の最小距離を画定する。これにより、プランジャが前方投薬端部の方向に最大でどの程度移動可能であるかが規定される。計量デバイスの調整可能な前方止め部は、変位方向における前方止め部の位置が異なる、少なくとも2つの所定の設定位置に位置決め可能であり得る。したがって、設定位置の1つの設定により、プランジャロッドの最大ストローク及びしたがって投薬され得る最大流体量が設定され得る。
【0006】
プランジャロッドの後端部分が後方把持部に枢動可能に締結されるため、プランジャロッドは、後方把持部の上に突出しない。したがって、後方把持部を人間工学的に構成することができる。したがって、プランジャロッドの一部(例えば、プランジャロッドの後端部分)は、後方把持部の、本体から離れる方に面する側の上に突出しない。特に、後方把持部の、本体から離れる方に面する側を連続面として構成することができる。プランジャロッドの後端部分が後方把持部(好ましくは後方把持部の、前方把持部に面する部分)に枢動可能に締結可能であるため、特に後端部分の枢動可能な締結部の反対側に位置する部分でも、後方把持部の、本体から離れる方に面する側を連続面として構成することができる。さらに、後方把持部の、本体から離れる方に面する側は、人間工学的に成形され得る。当然のことながら、前方把持部も人間工学的に構成され得る。
【0007】
後方把持部は、好ましくは、前方把持部に対して第1の枢動軸を中心に枢動され得る。第1の枢動軸は、変位方向に対して垂直に延在し得る。ピストンロッドの後端部分は、特に接続領域で後方把持部に固定される。それにより、接続領域を通して延びる第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能である。この接続領域は、好ましくは、後方把持部の、前方把持部に面する部分に形成される。第2の枢動軸は、変位方向に対して垂直に且つ/又は第1の枢動軸に対して平行に延在し得る。
【0008】
前方止め部が変位方向に調整可能であるため、設定される流体の分量又は流体量のみが排出される。その後、注射器シリンダが充填されたとき、完全に充填された注射器シリンダが再び存在し、前方止め部の調整によって注射器シリンダ内の流体のいかなる損失も引き起こされない。流体は、特に液体であり得る。流体は、薬剤又はワクチン等であり得る。
【0009】
計量デバイスは、回転要素を有し得る。回転要素は、本体に回転可能に取り付けられ、所定の注射位置の各々のための止め要素(例えば、リブ)を含む。止め要素は、回転要素の回転方向に互いに離間して配置され得る。回転要素の回転により、所望の止め要素を前方止め部として位置決めし得る。
【0010】
したがって、投薬することができる最大流体量は、簡単な方法で(回転要素を回転させるのみで)確実に設定され得る。
【0011】
止め要素は、ピストンロッドが延在するチャネルを取り囲むらせん状主経路に配置され得る。
【0012】
したがって、計量デバイスのコンパクトな構成が可能である。
【0013】
回転要素は、溝を備える円筒状ラッチ部分を有し得る。各溝は、止め要素の1つに割り当てられる。本体は、所定の設定位置で溝の1つと係合する係合要素を有する。したがって、所望の止め位置を確実に選択して設定することができる。
【0014】
ラッチ部分の溝は、回転要素(例えば、シリンダ部分)の外周面に形成され得る。
【0015】
プランジャロッドは、最小距離に到達するときに前方止め部と接触するプランジャロッド止め部を有し得る。プランジャロッド止め部は、ウェブ状であり得、プランジャロッドの長手方向且つ半径方向に延在し得る。
【0016】
プランジャロッド止め部は、例えば、凹状に湾曲した止め面を有し得る。この場合、止め要素によって提供される止め面が、一方ではプランジャロッド止め部及び他方では対応して選択された止め要素の、2つの止め面の確実な接触が確実にされるように、凸状に湾曲していることが好ましい。当然のことながら、止め要素の止め面が凹状に構成され、プランジャロッド止め部の止め面が凸状に構成されることも可能である。さらに、止め面がそれぞれ平坦であることも可能である。
【0017】
プランジャロッドの後端部分は、特に、プランジャロッドと後方把持部との間の相対的な枢動運動がプランジャロッドと後方把持部との間の唯一の可能な相対運動になるように、後方把持部に枢動可能に締結される。したがって、例えば、プランジャロッドと後方把持部との間のプランジャロッドの長手方向における且つ長手方向に対して横方向の相対運動は、不可能である。こうしたプランジャロッドの後端部分の後方把持部への枢動可能な締結は、固定プランジャロッド取り付けと称することもできる。
【0018】
プランジャロッド(特に注射器シリンダ内のプランジャ)は、本体内において、プランジャロッド(又はプランジャ)が変位方向に沿ってのみ変位可能又は移動可能であるように案内され得る。固定されたプランジャロッドの取り付けにより、後方把持部が前方把持部に向かって枢動されるとき、プランジャロッドの後端部分で変位方向に対して横方向(又はプランジャロッドの長手方向に対して横方向)の移動成分が生じ得る。これは、後方把持部が枢動するとき、後方把持部への枢動可能な締結の接続領域が円弧上を移動し、その円弧の中心点が2つの把持部の枢動軸線上に位置するという事実からもたらされる。したがって、プランジャロッドに対して、特に変位方向に対して横方向の前記移動成分が補償されるような弾性(又は例えば可撓性)を与えることができる。したがって、この補償は、特にプランジャロッドに与えられた弾性のために可能であるプランジャロッドの曲げ又は撓みをもたらす、変位方向に対して横方向の移動成分によって達成され得る。
【0019】
ハンドルは、2つの把持部を押し広げるばね要素が設けられるように構成され得る。したがって、動物用注射器の基本的な位置を提供することができる。注射器を使用するために、ユーザは、後方把持部をばね力に対して反対方向に前方把持部の方向に移動させなければならない。
【0020】
特に、注射器(特に本体又は本体の主部分)は、前方投薬端部からの変位方向に対して反対方向のプランジャロッドの移動を制限する後方止め部を有し得る。後方止め部の位置は、好ましくは、固定され、変更することができない。したがって、後方止め部の位置は、注射器の基本位置(又は前方把持部に対する後方把持部の可能な最大の枢動)を画定する。
【0021】
本発明による注射器は、流体リザーバのためのコネクタを有し得る。このコネクタは、流体接続部を介して注射器シリンダに流体接続される。注射器シリンダへの流体接続部内に逆止弁が配置され得る。前記逆止弁は、流体接続部を遮断し、且つ逆止弁の上流の流体接続部内の圧力が注射器シリンダ内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く。
【0022】
流体リザーバを接続するためのコネクタは、後方把持部に形成され得る。コネクタから、プランジャロッドを通して延在する供給チャネルを通して注射器シリンダまで流体接続部があり得る。
【0023】
特に、この目的のために、プランジャロッド(好ましくはその前端部分)に逆止弁が提供され得る。前記流防止弁は、供給チャネル内の圧力が注射器シリンダ内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く。
【0024】
さらに、前方投薬端部は、投薬チャネルを介して注射器の前端部に流体接続され得る。投薬チャネル内に逆止弁が配置され得る。前記逆止弁は、シリンダ内の圧力が(外圧に対して)所定の値を超えた場合にのみ開く。
【0025】
したがって、所定の流体量が投薬チャネル内の逆止弁を介して投薬された後、ばねのプレテンションによって後方把持部が投薬端部から再び離れる方に移動するため、動物用注射器は、好ましくは、自己充填注射器として構成される。これにより、プランジャが対応して移動することにもなる。その結果、注射器シリンダ内に負圧が発生し、プランジャロッド内の逆止弁が開く。それにより、注射器シリンダから流体リザーバまでここでは自由な流体接続部があるため、流体を流体リザーバから注射器シリンダ内に吸い込むことができる。プランジャロッドが注射器の後端部まで移動すると直ちに、プランジャロッド内の逆止弁が再び閉じ、及び注射器シリンダが再び完全に充填される。
【0026】
しかしながら、自己充填注射器を提供するための他の任意の設計も可能である。したがって、本体又は注射器シリンダ自体に流体リザーバのための接続部を設けることもできる。前記接続部は、注射器シリンダ内に負圧がある場合にのみ開く逆止弁を介して閉じられる。この場合、プランジャロッドに供給チャネルを形成する必要はない。
【0027】
動物用注射器では、プランジャを前端部分に解放可能に接続することができる。プランジャが端部分から取り外された後、逆止弁は、保守目的で(例えば、洗浄するために)アクセス可能である。さらに、作動可能な安全機構を形成することができる。作動可能な安全機構は、安全機構が作動された後にのみプランジャの前端部分からの取り外しが可能であることにより、プランジャの意図されない取り外しを防止する。
【0028】
着脱可能な接続は、例えば、ねじ接続、バヨネット接続又は他の接続であり得る。
【0029】
安全機構は、プランジャロッドに対する(好ましくはプランジャロッドの長手方向軸を中心とする)プランジャの回転(例えば、ねじが緩むこと)を阻止する回転ロックとして構成され得る。
【0030】
安全機構は、第1の固定要素としての固定凹部と、第2の固定要素としての固定ラグとを有し得る。固定目的のため、固定ラグが固定凹部内に入れられ(固定ラグが固定凹部と係合し)、それによりプランジャが前端部分から取り外されることを防止する。2つの固定要素の一方がプランジャに形成され得、及び2つの固定要素の他方が前端部分に形成され得る。
【0031】
固定凹部は、例えば、対応する壁の通路開口部又は(壁の厚さ全体を通して延在しない)一種の止まり孔として構成され得る。
【0032】
プランジャは、プランジャ表面を備えるプランジャ部分と、中空円筒状締結部分とを有し得る。第1の固定要素は、中空円筒状締結部分の壁に形成される。第1の固定要素は、例えば、プランジャ部分から離れる方に面する締結部分の端部に形成され得る。さらに、中空円筒状締結部分は、雌ねじ部を有し得、及び前端部分は、雌ねじ部と相互作用する雄ねじ部を有し得る。
【0033】
雌ねじ部は、中空円筒状締結部の長手方向に(好ましくは直線状に)延在する少なくとも1つのねじなし領域を有し得る。したがって、雌ねじ部は、断続的な雌ねじ部とも称することができる。少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、プランジャ部分から離れる方に面する雌ねじ部の端部において雌ねじ部の端部領域に延在する。ねじなし領域は、雌ねじ部の全長にわたって延在することもできる。
【0034】
雌ねじ部は、好ましくは、互いに対向して位置する2つのねじなし領域を有し得る。
【0035】
雌ねじ部の少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、第1の固定要素に対して周方向にオフセットして配置される。
【0036】
中空円筒状締結部分は、好ましくは、弾性があり、且つ変形可能であるように構成される。
【0037】
雄ねじ部は、プランジャロッドの長手方向に(好ましくは直線状に)延在する少なくとも1つのねじなし領域を有し得る。したがって、雄ねじ部は、断続的な雄ねじ部と称することもできる。少なくとも1つのねじなし領域は、好ましくは、プランジャ部分に面する雄ねじ部の端部において雄ねじ部の端部領域に延在する。ねじなし領域は、雄ねじ部の全長にわたって延在することもできる。
【0038】
雄ねじ部は、好ましくは、互いに対向して位置する2つのねじなし領域を有し得る。
【0039】
特に、雄ねじ部の少なくとも1つのねじなし領域は、第2の固定要素に対して周方向にオフセットして配置され得る。
【0040】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述した特徴及び以下にさらに説明する特徴は、指定された組合せのみならず、他の組合せにおいて又は単独で使用され得ることが理解されるであろう。
【0041】
以下では、本発明について、例示的な実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。同様に本発明にとって本質的な特徴を開示する添付図面を参照する。これらの例示的な実施形態は、単に例示的なものであり、限定的なものとして解釈されるべきではない。例えば、複数の要素又は構成要素を有する例示的な実施形態の説明は、これらの要素又は構成要素のすべてが実施に必須であることを意味するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の例示的な実施形態は、代替的な要素及び構成要素、より少ない要素若しくは構成要素又は追加の要素若しくは構成要素も含み得る。異なる例示的な実施形態の要素又は構成要素は、別段の定めのない限り、互いに組み合わされ得る。例示的な実施形態の1つについて記載する変更形態及び変形形態は、他の例示的な実施形態にも適用可能であり得る。繰返しを避けるために、異なる図における同じ要素又は対応する要素は、同じ参照符号で指定され、何度も説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による動物用注射器1の一実施形態の断面図を示す。
図2】プランジャKを伴うプランジャロッド8の等角図を示す。
図3】プランジャロッド8及びプランジャKの正面図を示す。
図4図3の断面線A-Aに沿った、プランジャKとともにプランジャロッド8の断面図を示す。
図5図4の細部Cの拡大図を示す。
図6図4の断面線B-Bに沿った、プランジャKを伴うプランジャロッド8の断面図を示す。
図7】プランジャロッド8の等角図を示す。
図8図7のプランジャロッド8の正面図を示す。
図9図8の断面線A-Aに沿ったプランジャロッド8の断面図を示す。
図10】プランジャKの等角図を示す。
図11】プランジャKの正面図を示す。
図12図11の断面線A-Aに沿ったプランジャKの断面図を示す。
図13】接続片23の上面図を示す。
図14】接続片23の等角図を示す。
図15】接続片23の正面図を示す。
図16図15の断面線A-Aに沿った接続片23の断面図を示す。
図17】後方把持部15の正面図を示す。
図18図17の断面線A-Aに沿った後方把持部15の断面図を示す。
図19】後方把持部15の等角図を示す。
図20】回転要素51の等角図を示す。
図21】回転要素51の上面図を示す。
図22図20及び図21の回転要素51の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示す実施形態では、本発明による動物用注射器1は、投薬される流体(例えば、液体状の薬剤又はワクチン)を受け入れるための、注射器シリンダ3を有する本体2を含む。注射器シリンダ3は、ここでは本体2の主部分2にねじ接続によって着脱可能に接続され、第1の逆止弁6が位置する投薬チャネル5に開口する前方投薬端部4を含む。投薬チャネル5の前端部7には、例えば、図示しないカニューレを取り付けることが可能である。
【0044】
注射器1は、プランジャロッド8をさらに含む。このプランジャロッド8は、前端部分9を有し、注射器シリンダ3内の変位方向10に沿って変位可能に配置される。前端部分9にプランジャKが配置される。前記プランジャは、前方投薬端部4の方向に変位したとき、プランジャの移動によって注射器シリンダ3内で圧力が増大することで第1の逆止弁6が開くため、前方投薬端部4及び投薬チャネル5を介した注射器シリンダ3からの流体の投薬をもたらす。
【0045】
プランジャロッド8は、本体2から注射器シリンダ3の後端部11を越えて延在し、後により詳細に記載するように、その後端部分12によって注射器1のハンドル13の後方把持部15に関節式に接続される。
【0046】
ハンドル13は、本体2上(ここでは主部分2内)に形成された前方把持部14と、後方把持部15とを有する。前方把持部14は、本体2から上向きに突出する上方部分16と、本体2から下向きに突出する下方部分17とを有する。前方把持部14の下方部分17の自由端18では、後方把持部15は、(ここでは図1の図面の面に対して垂直に延びる)第1の枢動軸を中心に枢動可能に取り付けられる。2つの把持部14、15間に設けられたばねFが2つの把持部14、15を押し広げる。図1の断面図で容易に分かるように、ハンドル13は、実質的にV字の形状である。
【0047】
図1に示す注射器1の基本位置では、プランジャロッド8の前端部分9は、主部分2に形成された後方止め部19に当接し、したがって変位方向10とは反対に前方投薬端部4から離れてさらに移動することができない。ばねFにより、後方把持部15に外力が作用しない場合にこの基本位置が存在する。
【0048】
特に、図1図4図5図6及び図9から判断することができるように、プランジャロッド8は、プランジャロッド主部分8を含む。供給チャネル20は、このプランジャロッド主部分8を通してプランジャロッド8の長手方向に延在し、前端部分9の接続チャネル21及びプランジャKの通路開口部70を介して注射器シリンダ3の内部と流体接続される。接続チャネル21に第2の逆止弁22が配置される。
【0049】
第2の逆止弁22を前端部分9に嵌め込むことができ、例えば保守目的のために第2の逆止弁22を洗浄することができるように、プランジャKは、前端部分9にねじ接続を介して着脱可能に締結される。
【0050】
詳細には、特に図5から判断することができるように、プランジャKは、プランジャ表面72と、プランジャ封止リング74が位置する環状のプランジャ溝73とを有するプランジャ部分71を含む。プランジャ部分71には、中空円筒状締結部分75が隣接する。この中空円筒状締結部分75は、雌ねじ部76を有する。雌ねじ部76は、周方向に連続的に構成されず、逆に2つの対向するねじなし領域77を有する(図10及び図12)。
【0051】
中空円筒状締結部分75の壁において、プランジャ部分71から離れる方に面する端部78に固定凹部79(又は第1の固定要素)が形成される。さらに、中空円筒状締結部分75の壁にマーク80も設けられる。このマークは、第2の逆止弁22を接続チャネル21内にどのように挿入すべきかを示す。
【0052】
通路開口部70は、中空円筒状締結部分75の内部までプランジャ部分71全体を通して延在するため、プランジャKが前端部分9の上にねじ込まれたとき、注射器シリンダ3の内部への供給チャネル20への所望の流体接続部を提供することができる。
【0053】
ねじ込み操作のために、前端部分9の外側に雄ねじ部81が形成される。この雄ねじ部は、好ましくは、互いに対向する2つのねじなし領域82によって周方向に中断される(図7図9)。前端部分9の前端部には、封止リング84(図5)が位置する環状溝83が形成される。
【0054】
さらに、前端部分9は、半径方向に突出した固定ラグ85(又は第2の固定要素)を含む。この固定ラグ85は、プランジャロッド8の後端部分12の方向に雄ねじ部81から離間される(図7及び図8)。
【0055】
雄ねじ部81の周方向におけるねじなし領域82の寸法決めは、プランジャKの雌ねじ部76のねじなし領域77の寸法とともに、プランジャKを前端部分9の上にねじ込むことができ、恒久的なねじ接続が可能となるように選択される。ねじ込み操作中に中空円筒状締結部分75の端部78が固定ラグ85に突き当たる前に行う必要があるのは、中空円筒状締結部分75をねじなし領域77の領域で押し付けることのみである。その結果、締結部分75が変形するため、ねじ込み操作中、中空円筒状締結部分75の端部78を固定ラグ85上に移動させることができる。それにより、上述した押付けが終了した後、中空円筒状締結部分75がその弾性のためにその主な形状に弛緩するように、固定凹部79を位置決めすることもできる(したがって中空円筒状締結部分75の変形が可逆的となる)。プランジャKは、固定凹部79が固定ラグ85に対向して位置するように位置決めされるため、図2図6に示すように、固定ラグ85が固定凹部79内に入れられる。したがって、固定ラグ85が固定凹部79内に係合し、その結果、回転に対して保護されるか又は回転しないように固定される。
【0056】
プランジャKに回転力がかけられた場合でも、固定ラグ85が固定凹部79内に入れられ、したがって前端部分9からのプランジャKのゆるみが確実に防止されるため、前端部分9からのプランジャKの望ましくないゆるみを確実に防止することができる。例えば、例えば汚れのために、シリンダ3とプランジャKとの間の摩擦がプランジャKと前端部分9との間の摩擦よりも高い場合、洗浄の目的でシリンダ3を本体2の主部分2からねじって外すとき、プランジャKに対する望ましくない回転力が生じ得る。
【0057】
本発明による注射器1の使用後、第2の逆止弁22を洗浄又は保守しなければならない場合、最初に本体2の主部分2からシリンダ3をねじって外すことができる。固定ラグ85及び固定凹部79による回転ロックにより、プランジャKは、ここでは前端部分9にあり続ける。ここで、前端部分9からプランジャKを取り外すために、中空円筒状締結部分75の断面形状が固定凹部79の領域で円形でなくなり、楕円形になるように、2つの対向するねじなし領域77の領域で圧縮することにより、中空円筒状締結部分75を変形させなければならない。その結果、固定凹部79がガイドラグ85の範囲の半径方向に沿って前端部分9から離れて移動する。それにより、固定ラグ85が固定凹部79と係合しなくなる。この状態でプランジャKをねじって外すことを開始し得る。プランジャロッド8の長手方向における固定ラグ85及び固定凹部79の寸法は、記載した実施形態では、プランジャKの1回転(360°)後、中空円筒状締結部分75の壁の端部78が明確に固定ラグ85に接触しなくなるように選択される。したがって、回転ロックがなくなるため、プランジャKをさらにねじって外すことができる。
【0058】
プランジャKがねじって外された後、弁本体22、弁ばね22及びシール22を有する第2の逆止弁22に自由にアクセスすることができ、第2の逆止弁22を洗浄及び保守することができる。
【0059】
その後、固定ラグ85が固定凹部79に係合することによって所望の回転ロックがかかるように、上述した方法でプランジャKを再びねじ込むことができる。
【0060】
ピストンロッド8の後端部分12は、接続片23(図1及び図13図16)に接続される。接続片23は、後方把持部15に回転可能に取り付けられ、チューブ取り付け部24を有する。
【0061】
後方把持部15の上方自由端25(図1図17図19)において、穿孔マンドレル27(図1)を有するボトルアダプタ26が取り付けられる。穿孔マンドレル27は、例えば、薬剤ボトル(図示せず)がボトルアダプタ26に締結されたとき、ボトルアダプタ26に締結された薬剤ボトルの膜を穿孔し得る。ボトルアダプタ26は、穿孔マンドレル27に流体接続されるチューブ取り付け具28をさらに有する。チューブ29の両端が2つのチューブ取り付け具28及び24に押し付けられる。それにより、穿孔マンドレル27(したがって対応する薬剤ボトルの内容物)は、接続片23を介してプランジャロッド8の供給チャネル20に流体接続される。
【0062】
ボトルアダプタ26は、穿孔マンドレル27内を通る通気チャネル30も有する。通気チャネル30は、液体の抽出中に薬剤ボトル内に過度の負圧が形成されることを回避するために、第3の逆止弁31を介して環境に接続される。
【0063】
注射器1は、排出操作が行われた後、排出された液体の量を注射器シリンダ3に自動的に充填する、いわゆる自己充填注射器と称されるものとして構成される。
【0064】
したがって、注射器1のユーザは、人差し指が前方把持部14の上方部分16に当接し、中指、薬指及び小指が前方把持部14の下方部分17に当接し、掌及び親指が後方把持部15に当接するように、ハンドル13を手で保持することができる。その後、ユーザは、手を握りしめた場合、後方把持部15をばねFの力に対して反対方向に本体2の方向に移動させる。その結果、プランジャロッド8は、その前端部分9とともに、したがってプランジャKとともに注射器シリンダ3内の変位方向10に沿って前方投薬端部4まで移動する。これにより、注射器シリンダ3内で正圧が増大し、第1の逆止弁6が開き、したがって投薬チャネル5を介して液体を投薬することができるようになる。ユーザが再び手を開くと、ばねFのばね力によって後方把持部15が本体2から離れて移動する。その結果、プランジャロッド8は、前端部分9及びプランジャKとともに注射器シリンダ3内で変位方向10とは反対方向に移動する。これにより、第1の逆止弁6が閉じ、注射器シリンダ3の内部で負圧が増大し、前端部分9内の第2の逆止弁22が開き、それにより流体が薬剤ボトルから注射器シリンダ3の内部に吸い込まれる。後方把持部15の後方への移動は、前端部分9が後方止め部19に当接したときに終了する。第2の逆止弁22が再び閉じ、注射器シリンダ3の内部は、投薬される流体で再び完全に充填される。
【0065】
図13図16に示すように、接続片23に形成されたチャネル35は、実質的にV字形である。接続片23は、プランジャロッド8の後端部分12のための接続部37を有する主要素36と、接続部37に対して斜めに延在するチューブ取り付け部24とを有する。主要素36には、2つの横方向に延在する回転ピン38、39が形成される。これらは、後方把持部15の対応する受け部40(図17図19)に挿入される。したがって、接続片23が回転可能に取り付けられる。
【0066】
したがって、注射器1のこの構成により、プランジャロッド8の後端部分12は、プランジャロッド8と後方把持部15との間の長手方向又は横方向の相対移動が可能でないように、後方把持部15に回転可能に取り付けられる。プランジャロッド8の後端部分12は、接続領域において後方把持部15に、接続領域を通して延びる第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能であるように固定されると言うこともできる。特に、図1とともに図17図19から判断することができるように、この接続領域は、後方把持部15の、前方把持部14に面する部分42に形成される。
【0067】
第2の枢動軸は、好ましくは、変位方向に対して垂直に、且つ/又は後方把持部15を前方把持部14に対して枢動させることができる第1の枢動軸に対して平行に延在する。プランジャロッド8の後端部分12を後方把持部15に固定するこの構成により、後方把持部15の、本体2から離れる方に面する後側41を、注射器1の操作性を向上させるように人間工学的に形成することが可能になる。後側41、したがって特に後側41の接続領域とは反対側の部分もこのように連続的に(隙間も孔もなく)構成され得、ユーザの手に対応する人間工学的形状を有し得る。
【0068】
プランジャロッド8の後端部分12は、第2の枢動軸を中心とする相対的な枢動のみが可能であるように接続領域で後方把持部15に固定される。そのため、プランジャロッド8に対して、プランジャロッド8が撓むことを可能にする所定の弾性を与えられる。したがって、後方把持部15が前方把持部14に向かって枢動する間、変位方向に対して横方向(又はプランジャロッドの長手方向に対して横方向)(例えば、図1では底部から上向き)に移動成分が生じ得る。これは、後方把持部15が枢動するとき、後方把持部15に対する枢動可能な締結の接続領域が円弧上を移動し、その円弧の中心点が2つの把持部14、15の枢動軸上に位置するという事実からもたらされる。プランジャロッド8の所定の弾性により、変位方向に対して横方向の移動成分によってプランジャロッド8が曲がる。それにより、変位方向に対して横方向の移動成分が補償される。この弾性は、ここでは、プランジャロッド8の、その前端部分9及びしたがってプランジャKを伴う、注射器シリンダ3内での変位方向10に沿った前方投薬端部4までの移動が影響を受けない程度にのみ、プランジャロッド8が撓み、したがってプランジャKが注射器シリンダ3内で容易に変位するように構成される。
【0069】
注射器1は、本体2上に配置された計量デバイス50をさらに有する。この計量デバイス50により、最大の投薬可能な流体量を調整及び設定することができる。この目的のために、計量デバイス50は、本体2の後端部に配置され、エンドキャップ61(図1)を有する回転要素51を含む。回転要素51は、特に図20図22で容易に分かるように、円筒状把持部分52と、把持部分52に隣接する円筒状ラッチ部分53と、前記ラッチ部分に隣接し、ラッチラグ55を有する円筒状内部部分54とを含む。図20図22には、エンドキャップ61が示されていない。回転要素51の内部には、プランジャロッド8が案内される円筒状チャネル56が形成される。チャネル56の周囲において、らせん状主経路57で周方向に互いに離間された止め要素58(例えば、リブ58)が形成される。それらは、好ましくは、ここでは主経路57から離れる方に面するそれらの止め面59が前方投薬端部4から変位方向10に異なる距離にあるように同じ高さを有する。
【0070】
円筒状ラッチ部分53の他方側には、各止め要素58に対して長手方向に延びる溝60が設けられる。
【0071】
図1に示す挿入状態では、回転要素51は、本体2に回転可能に取り付けられ、プランジャロッド8は、チャネル56を通して延在する。
【0072】
円筒状のラッチ部分53の領域では、本体2の主部分2は、突出した係合要素62を有する。この係合要素62は、回転要素51の回転位置に応じて長手方向溝60の1つと係合する。
【0073】
例えば、図1図2図4図7及び図8で明らかであるように、プランジャロッド8は、プランジャロッド止め部65を有する。このプランジャロッド止め部65は、プランジャロッド主部分8から半径方向に延在し、止め面66を有する。後方把持部15の移動により、ここで、プランジャロッド止め部65の止め面66がらせん状主経路57における対応する止め要素58の止め面59に接触するまで、プランジャロッド8を前方投薬端部4の方向に移動させることができる。したがって、投薬操作のためのプランジャロッド8の最大ストロークが画定される。その結果、注射器シリンダ3の内部で流体の最大排出量も画定される。
【0074】
注射器1が、図1に示される基本位置にある場合、把持部分52の作動による回転要素51の回転により、所望の最大排出量を画定することができる。前記排出量は、らせん状主経路57において、プランジャロッド止め部65に対向して位置する止め要素58によって画定される。
【0075】
したがって、最大排出量を簡単な方法で画定することができる。それにより、したがって、ユーザが注射器シリンダ内の画定された量の液体を前方投薬端部4から常に投薬できることが確実になる。
【0076】
本明細書に記載した実施形態では、例えば、直接隣接する止め要素の止め面59は、変位方向10に1.3mmだけ互いに離間され得る。その結果、0.5ml~10mlの排出量を0.5ml刻みで設定することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用注射器であって、
投薬される流体を受け入れるための、前方投薬端部(4)及び後端部(11)を有する注射器シリンダ(3)を含む本体(2)と、
前記注射器シリンダ(3)内に変位方向(10)に沿って変位可能に配置される、プランジャ(K)を備える前端部分(9)及び前記注射器シリンダ(3)の外側に位置決めされる後端部分(12)を有するプランジャロッド(8)と、
前記本体(2)上の前方把持部(14)及び前記前方把持部(14)に枢動可能に締結される後方把持部(15)を有するハンドル(13)と、
投薬される流体量を設定するための計量デバイス(50)と
を有し、
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、前記本体(2)の方向における前記後方把持部(15)の枢動により、前記プランジャロッド(8)及びしたがって前記プランジャ(K)は、前記注射器シリンダ(3)内に存在する流体を投薬するために前記注射器シリンダ(3)内で前記前方投薬端部(4)まで移動され、
前記計量デバイス(50)は、前記本体(2)上に配置され、且つ前記プランジャロッド(8)のための調整可能な前方止め部(58)を提供し、前記止め部は、前記プランジャ(K)が前記注射器シリンダ(3)内で前記前方投薬端部(4)まで移動されるときに到達され得る、前記プランジャ(K)と前記前方投薬端部(4)との間の最小距離を画定し、
前記計量デバイス(50)の前記調整可能な前方止め部は、前記変位方向(10)における前記前方止め部(58)の位置が異なる、少なくとも2つの所定の設定位置にされ得、したがって前記設定位置の1つの設定により、前記プランジャロッド(8)の最大ストローク及びしたがって投薬され得る最大流体量が設定され得、
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)に枢動可能に締結され、それにより、前記プランジャロッド(8)と前記後方把持部(15)との間の相対的な枢動運動は、前記プランジャロッド(8)と前記後方把持部(15)との間の唯一の可能な相対運動である、動物用注射器。
【請求項2】
前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)は、前記後方把持部(15)の、前記前方把持部(14)に面する部分(42)に枢動可能に締結される、請求項1に記載の動物用注射器。
【請求項3】
前記後方把持部(15)の、前記本体(2)から離れる方に面する側(41)は、連続面として構成される、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項4】
前記後方把持部(15)の、前記本体(2)から離れる方に面する前記側(41)は、前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)の反対側に位置する部分において連続面として構成される、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項5】
前記プランジャロッド(8)は、前記プランジャ(K)が前記注射器シリンダ(3)内で前記変位方向(10)に沿ってのみ変位可能であるように案内され、
前記プランジャロッド(8)は、前記後方把持部(15)が前記前方把持部(14)に向かって枢動されるときに前記プランジャロッド(8)の前記後端部分(12)で発生する前記変位方向(10)に対して横方向の移動成分が前記プランジャロッド(8)の曲げによって補償されるような弾性を与えられる、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項6】
前記計量デバイス(50)は、回転要素(51)を有し、
前記回転要素(51)は、前記本体に回転可能に取り付けられ、且つ前記所定の設定位置の各々のための止め要素(58)を含み、
前記止め要素(58)は、前記回転要素(51)の回転方向において互いに離間して配置され、
前記回転要素(51)の回転により、前記所望の止め要素(58)は、前記前方止め部として位置決めされ得る、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項7】
前記止め要素(58)は、前記プランジャロッド(8)が延在するチャネル(56)を取り囲むらせん状主経路(57)に配置される、請求項6に記載の動物用注射器。
【請求項8】
前記回転要素(51)は、溝(60)を備える円筒状ラッチ部分(53)を有し、
各溝(60)は、前記止め要素(58)の1つに割り当てられ、及び前記本体(2)は、前記所定の設定位置において前記溝(60)の1つと係合する係合要素(62)を有する、請求項6に記載の動物用注射器。
【請求項9】
前記プランジャロッド(8)は、前記最小距離に到達するときに前記前方止め部(58)と接触するプランジャロッド止め部(65)を有する、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項10】
前記後方把持部(15)に流体リザーバを接続するための接続部(26)は、前記後方把持部(15)に提供され、前記接続部(26)から前記プランジャロッド(8)内の供給チャネル(20)を通して前記注射器シリンダ(3)まで第1の流体接続部がある、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項11】
前記プランジャロッド(8)の前記前端部分(9)は、逆止弁(22)を有し、
前記逆止弁(22)は、前記第1の流体接続部を遮断し、且つ前記供給チャネル(20)内の圧力が前記注射器シリンダ(3)内の圧力を所定の値だけ上回る場合にのみ開く、請求項10に記載の動物用注射器。
【請求項12】
前記前方投薬端部(4)は、投薬チャネル(5)を介して前記注射器(1)の前端部(7)との第2の流体接続部にあり、
逆止弁(6)が、前記投薬チャネル(5)内に配置され、
前記逆止弁は、前記第2の流体接続部を遮断し、且つ前記注射器シリンダ(3)内の前記圧力が所定の値を超える場合にのみ開く、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【請求項13】
自己充填注射器として構成される、請求項1又は2に記載の動物用注射器。
【国際調査報告】