(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】FAK阻害剤としての化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/10 20060101AFI20241219BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20241219BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20241219BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20241219BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20241219BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20241219BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20241219BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20241219BHJP
C07D 487/10 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20241219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07D471/10 101
C07D401/12 CSP
C07D403/12
C07D491/107
C07D401/14
C07D403/14
C07D471/04 108A
C07D498/04 101
C07D471/04 101
C07D487/10
C07D498/04 111
A61K31/506
A61K31/5386
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537471
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2022138955
(87)【国際公開番号】W WO2023116527
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111574916.4
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210377379.2
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519416819
【氏名又は名称】ウィゲン・バイオメディシン・テクノロジー・(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WIGEN BIOMEDICINE TECHNOLOGY (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 11, LIBING ROAD 67, ZHANGJIANG HI‐TECH PARK, SHANGHAI 201203, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンジョン
(72)【発明者】
【氏名】チエン,リフゥイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086CB02
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB22
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
FAK阻害剤としての一群の化合物およびその使用が、本発明において開示される。具体的には、本発明は、一般式(1)の化合物、その調製方法、ならびに一般式(1)の化合物およびその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物のFAK阻害剤としての使用に関する。本発明の一般式(1)の化合物、およびその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物は、FAKによって介在される関連疾患を処置または予防するための医薬を調製するために使用され得る。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【化1】
(一般式(1)中、
Lは、-CH
2-、-O-、または-S-から選択され;
Xは、化学結合、
【化2】
から選択され、
*は、フェニル環への結合を表し;
Gは、(9員~18員)ヘテロシクロアルキル、(C9~C18)シクロアルキル、または(9員~18員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(9員~18員)ヘテロシクロアルキル、前記(C9~C18)シクロアルキル、または前記(9員~18員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
1は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
a、-NR
aR
b、-C(O)R
a、-CO
2R
a、-CONR
aR
b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、または(5員~14員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、または前記(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
2は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
a、-NR
aR
b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、または(5員~14員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、または前記(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
3は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
3a、-NR
3aR
3b、-C(O)R
3a、-CO
2R
3a、-S(O)
pR
3a、-S(O)
pNR
3aR
3b、-CONR
3aR
3b、-C(=NR
3a)-NR
3bR
3c、-NR
3aCOR
3b、-NR
3aCONR
3bR
3c、-NR
3aCO
2R
3b、-NR
3aS(O)
pNR
3bR
3c、-NR
3aS(O)
pR
3b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C1~C8)アルコキシ、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、および-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;あるいは2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR
3は、それらに結合している前記2つの隣接する炭素原子とともに、1つの部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは前記部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、1、2、3、4または5つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、前記(5員~14員)ヘテロアリール、前記-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、前記-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または前記-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
cは、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
xa、-NR
xaR
xb、-(CH
2)
mOR
xa、-(CH
2)
mNR
xaR
xb、-C(O)R
xa、-CO
2R
xa、-S(O)
pR
xa、-S(O)
pNR
xaR
xb、-CONR
xaR
xb、-C(=NR
xa)-NR
xbR
xc、-NR
xaCOR
xb、-NR
xaCONR
xbR
xc、-NR
xaCO
2R
xb、-NR
xaS(O)
pNR
xbR
xc、-NR
xaS(O)
pR
xb、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C1~C8)アルコキシ、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;あるいは、2つのR
cが同じ原子に結合している場合、2つのR
cは1つのオキソを形成してもよく;
R
xa、R
xb、およびR
xcは、それぞれ独立して、-H、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;
R
3a、R
3bおよびR
3cは、それぞれ独立して、-H、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり、
pは、0、1または2の整数であり;
mは、0、1、2または3の整数であり;
nは、0、1、2または3の整数である。)
【請求項2】
一般式(1)において、Lが、-CH
2-または-O-であり、Lが、好ましくは-O-である、請求項1に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項3】
一般式(1)において、Gが、(9員~15員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記(9員~15員)ヘテロシクロアルキルが、以下の基:-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、
【化3】
、または、-CF
3のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基は、1つのオキソを形成してもよい、請求項1または2に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
一般式(1)において、Gが、(9員~12員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記(9員~12員)ヘテロシクロアルキルが、以下の基:-H、-D、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、
【化4】
、または-OCH
3、好ましくは、-H、または-CH
3、のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基が、1つのオキソを形成してもよく;好ましくは、Gが、(9員~11員)複素環スピロシクロアルキルである、請求項3に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項5】
一般式(1)において、Gが、
【化5】
から選択され;Gが、好ましくは、
【化6】
である、請求項4に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項6】
一般式(1)において、Xが、化学結合、
【化7】
から選択され;Xが、好ましくは、化学結合、
【化8】
から選択され;Xが、より好ましくは、化学結合、
【化9】
から選択され;Xが、より好ましくは、
【化10】
であり;Xが、より好ましくは、
【化11】
であり、;Xが、より好ましくは化学結合であり;ここで、
*が、フェニル環への結合を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項7】
一般式(1)において、R
1が、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、または-CF
3から選択され;R
1が、好ましくは、-F、-Cl、-Br、-CN、-NO
2、-CF
3、または-C(O)NH
2であり;R
1が、より好ましくは-CF
3であり;R
1は、より好ましくは、-Cl、-Br、-CN、または-NO
2である、請求項1から6のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項8】
一般式(1)において、R
2が、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCF
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-NHCH
2CH
3、-N(CH
2CH
3)
2、(C1~C3)アルキル、(C1~C3)アルコキシ、(C1~C3)ハロアルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3~C6)シクロアルキル、(3員~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、または(5員~10員)ヘテロアリールであり、ここで、前記(C1~C3)アルキル、前記(C1~C3)アルコキシ、前記(C1~C3)ハロアルキル、前記(C2~C4)アルケニル、前記(C2~C4)アルキニル、前記(C3~C6)シクロアルキル、前記(3員~6員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C10)アリール、または前記(5員~10員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、以下の基:-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、または-CF
3のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよい、請求項1から7のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項9】
一般式(1)において、R
2が、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、
【化12】
から選択され;R
2が、好ましくは、-D、-F、-Cl、-OCH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CF
3、
【化13】
であり、nが、1または2であり;R
2が、より好ましくは、-F、-Cl、-OCH
3、-OCF
3、-CH
2CH
3、
【化14】
であり、nが、1または2であり;R
2が、より好ましくは、-F、-Cl、または-OCH
3であり、nが、1または2であり;R
2が、より好ましくは、-F、または-OCH
3であり、nが、1または2である、請求項8に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項10】
一般式(1)において、R
3が、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
3a、-NR
3aR
3b、-C(O)R
3a、-CO
2R
3a、-S(O)
pR
3a、-S(O)
pNR
3aR
3b、-CONR
3aR
3b、-C(=NR
3a)-NR
3bR
3c、-NR
3aCOR
3b、-NR
3aCONR
3bR
3c、-NR
3aCO
2R
3b、-NR
3aS(O)
pNR
3bR
3c、-NR
3aS(O)
pR
3b、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C1~C6)ハロアルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C10)シクロアルキル、(3員~10員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5員~10員)ヘテロアリール、-(C1~C3)アルキレン-(C1~C6)アルコキシ、-(C1~C3)アルキレン-(C3~C10)シクロアルキル、-(C1~C3)アルキレン-(3員~10員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C3)アルキレン-(C6~C10)アリール、または-(C1~C3)アルキレン-(5員~10員)ヘテロアリールから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項11】
一般式(1)において、R
3が、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、
【化15】
から選択され;R
3が、好ましくは、-H、-D、-F、-Cl、-CN、
【化16】
から選択され;R
3が、より好ましくは、-H、
【化17】
である、請求項10に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項12】
一般式(1)において、構造単位:
【化18】
が、
【化19】
から選択され、好ましくは、
【化20】
である、請求項11に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項13】
一般式(1)において、2つの隣接する炭素原子に結合した2つのR
3が、それらに結合している2つの隣接する炭素原子とともに、1つの部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは前記部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、-H、-D、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3または-OCH
3、好ましくは-H、-CH
3、または-OCH
3のうちの1、2、3、4または5つの置換基で任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基が、1つのオキソを形成していてもよく;好ましくは、2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR
3は、それらに結合している2つの隣接する炭素原子と一緒になって、1つの部分不飽和(C5)シクロアルキルまたは部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C5)シクロアルキルまたは前記部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルが、それぞれ独立して、-D、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3または-OCH
3のうちの1、2または3つの置換基で任意に置換されていてもよく、前記置換基が、好ましくは、-CH
3または-OCH
3のうちの1、2または3個の基であり;より好ましくは、2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR
3が、それらに結合している前記2つの隣接する炭素原子とともに、1つのオキソで置換された部分不飽和(C5)シクロアルキルまたは1つのオキソで置換された部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記1つのオキソで置換された部分不飽和(C5)シクロアルキルまたは前記1つのオキソで置換された部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルが、それぞれ独立して、-CH
3または-OCH
3のうちの1、2、または3つの置換基で任意に置換されていてもよい、請求項1から9のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項14】
一般式(1)において、構造単位:
【化21】
は、
【化22】
から選択され、好ましくは、
【化23】
から選択され、より好ましくは、
【化24】
から選択される、請求項13に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項15】
前記化合物が、以下の構造:
【化25】
のうちの1つを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項16】
薬学的に許容される賦形剤または担体と、有効成分として、請求項1から15のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物と、を含有する医薬組成物。
【請求項17】
FAKキナーゼに関連する疾患を処置するための医薬の調製における、請求項1から15のいずれか一項に記載の、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、または請求項16に記載の医薬組成物、の使用。
【請求項18】
前記FAKキナーゼに関連する疾患が、癌であり、前記癌が、血液癌または固形癌である、請求項17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それらの全体が参照により本明細書中で援用される、2021年12月21日に出願された中国特許出願第202111574916.4号および2022年4月11日に出願された中国特許出願第202210377379.2号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、製薬化学の分野に属し、特に、接着斑キナーゼ(FAKキナーゼ)に対する阻害作用を有する一群の化合物、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物、ならびにFAKによって介在される関連疾患の治療または予防における当該化合物、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
接着斑キナーゼ(FAK)は、細胞間接合部に位置する非受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーである。細胞外マトリックス(ECM)が細胞膜表面のインテグリン受容体に結合すると、FAKは活性化され、それによってインテグリン受容体の下流シグナル伝達経路がアップレギュレートされる。FAKのTyr397の自己リン酸化は、FAKキナーゼ活性のバイオマーカーである。FAKは細胞の生存、増殖、接着、遊走、および浸潤において重要な役割を果たしていることが研究で示されている(McLeanら,2005,Nat Rev cancer,5:505-515)。FAKの発現と活性は癌細胞によってアップレギュレートされ、それによって癌細胞の増殖と浸潤が促進され、in vivoでの腫瘍転移が増加する。
【0004】
FAKのmRNAレベルは、卵巣癌細胞の約37%、乳癌細胞の26%で高度に発現している。FAK阻害剤は腫瘍細胞の増殖と浸潤を阻害する。FAKキナーゼの機能が阻害されると、乳癌の転移は大幅に減少する。癌細胞の機能を促進することに加え、FAKは血管新生因子の下流で様々なシグナル伝達の活性化に介在し、血管内皮細胞の増殖、遊走、および分化に関与している。血管内皮細胞にFAKが特異的に存在しないことは、FAKが発生過程において血管の安定性を維持することを示している。したがって、FAK阻害剤は病的な血管新生にアンタゴナイズするために用いられ得る。したがって、FAK阻害剤は、腫瘍細胞の機能の抑制および抗血管新生することにより、直接的および間接的に腫瘍の発生および進行にアンタゴナイズすることができ、腫瘍の治療に使用される。FAK阻害剤は、癌に加えて、網膜疾患などの病的な血管増殖に関連する非癌性適応症にも、使用され得る。
【0005】
現在、FAK阻害剤は市販されていない。FAK阻害剤として機能する一連のピリミジン化合物が国際公開第2010058032A2号において報告されており、高選択的FAK阻害剤としてBI853520が、現在臨床第I相段階にある。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010058032A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、製薬化学の分野に属し、特に、接着斑キナーゼ(FAKキナーゼ)に対する阻害作用を有する一群の化合物、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物、ならびにFAKによって介在される関連疾患の治療または予防における当該化合物、その薬学的に許容される塩、およびその医薬組成物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
本発明は、一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
【化2】
(一般式(1)中、
Lは、-CH
2-、-O-、または-S-から選択され;
Xは、化学結合、
【化3】
から選択され、
*は、フェニル環への結合を表し;
Gは、(9員~18員)ヘテロシクロアルキル、(C9~C18)シクロアルキル、または(9員~18員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(9員~18員)ヘテロシクロアルキル、前記(C9~C18)シクロアルキル、または前記(9員~18員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
1は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
a、-NR
aR
b、-C(O)R
a、-CO
2R
a、-CONR
aR
b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、または(5員~14員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、または前記(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
2は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
a、-NR
aR
b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、または(5員~14員)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、または前記(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
3は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
3a、-NR
3aR
3b、-C(O)R
3a、-CO
2R
3a、-S(O)
pR
3a、-S(O)
pNR
3aR
3b、-CONR
3aR
3b、-C(=NR
3a)-NR
3bR
3c、-NR
3aCOR
3b、-NR
3aCONR
3bR
3c、-NR
3aCO
2R
3b、-NR
3aS(O)
pNR
3bR
3c、-NR
3aS(O)
pR
3b、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C1~C8)アルコキシ、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、および-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;あるいは2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR
3は、それらに結合している前記2つの隣接する炭素原子とともに、1つの部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C4~C7)シクロアルキルまたは前記部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、1、2、3、4または5つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり、ここで、前記(C1~C8)アルキル、前記(C1~C8)アルコキシ、前記(C1~C8)ハロアルキル、前記(C2~C8)アルケニル、前記(C2~C8)アルキニル、前記(C3~C14)シクロアルキル、前記(3~14員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C14)アリール、前記(5員~14員)ヘテロアリール、前記-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、前記-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、前記-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または前記-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、1、2、3または4つのR
cで任意に置換されていてもよく;
R
cは、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR
xa、-NR
xaR
xb、-(CH
2)
mOR
xa、-(CH
2)
mNR
xaR
xb、-C(O)R
xa、-CO
2R
xa、-S(O)
pR
xa、-S(O)
pNR
xaR
xb、-CONR
xaR
xb、-C(=NR
xa)-NR
xbR
xc、-NR
xaCOR
xb、-NR
xaCONR
xbR
xc、-NR
xaCO
2R
xb、-NR
xaS(O)
pNR
xbR
xc、-NR
xaS(O)
pR
xb、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C1~C8)アルコキシ、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;あるいは、2つのR
cが同じ原子に結合している場合、2つのR
cは1つのオキソを形成してもよく;
R
xa、R
xb、およびR
xcは、それぞれ独立して、-H、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり;
R
3a、R
3bおよびR
3cは、それぞれ独立して、-H、(C1~C8)アルキル、(C1~C8)アルコキシ、(C1~C8)ハロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C3~C14)シクロアルキル、(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C14)アリール、(5員~14員)ヘテロアリール、-(C1~C8)アルキレン-(C3~C14)シクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(3員~14員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C8)アルキレン-(C6~C14)アリール、または-(C1~C8)アルキレン-(5員~14員)ヘテロアリールであり、
pは、0、1または2の整数であり;
mは、0、1、2または3の整数であり;
nは、0、1、2または3の整数である。)
【0009】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、Lは-CH2-または-O-であり、Lは好ましくは-O-である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、Gは、(9員~15員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記(9員~15員)ヘテロシクロアルキルは、以下の基:-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、
【化4】
、または、-CF
3のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基は、1つのオキソを形成してもよい。
【0011】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、Gは、(9員~12員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記(9員~12員)ヘテロシクロアルキルは、以下の基:-H、-D、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-OCH
3、
【化5】
、好ましくは、-H、または-CH
3、のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基は、1つのオキソを形成してもよく;好ましくは、Gは、(9員~11員)複素環スピロシクロアルキルであり、ここで、前記(9員~11員)複素環スピロシクロアルキルは、以下の基:-H、-D、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、
【化6】
のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよい。
【0012】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、Gは、
【化7】
から選択され;Gは、好ましくは、
【化8】
である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、Xは、化学結合、
【化9】
から選択され;Xは、好ましくは、化学結合、
【化10】
から選択され;Xは、より好ましくは、化学結合、
【化11】
から選択され;Xは、より好ましくは、
【化12】
であり;Xは、より好ましくは、
【化13】
であり、;Xは、より好ましくは化学結合であり;ここで、
*は、フェニル環への結合を表す。
【0014】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、R1は、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH2、-CN、-NO2、-OCH3、-NHCH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OCH2CH3、-OCF3、-CH3、-CD3、-CH2CH3、-CH2F、-CHF2、または-CF3から選択され;R1は、好ましくは、-F、-Cl、-Br、-CN、-NO2、-CF3、または-C(O)NH2であり;R1は、好ましくは-F、-Cl、-Br、-CN、-NO2または-CF3であり;R1は、より好ましくは-CF3であり;R1は、より好ましくは、-Cl、-Br、-CN、または-NO2である。
【0015】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、R2は、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH2、-CN、-NO2、-OCF3、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH2CH3)2、(C1~C3)アルキル、(C1~C3)アルコキシ、(C1~C3)ハロアルキル、(C2~C4)アルケニル、(C2~C4)アルキニル、(C3-C6)シクロアルキル、(3員~6員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、または(5員~10員)ヘテロアリールであり、ここで、前記(C1~C3)アルキル、前記(C1~C3)アルコキシ、前記(C1~C3)ハロアルキル、前記(C2~C4)アルケニル、前記(C2~C4)アルキニル、前記(C3~C6)シクロアルキル、前記(3員~6員)ヘテロシクロアルキル、前記(C6~C10)アリール、または前記(5員~10員)ヘテロアリールは、それぞれ独立して、以下の基:-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH2、-CN、-NO2、-OCH3、-NHCH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OCH2CH3、-OCF3、-CH3、-CD3、-CH2CH3、-CH2F、-CHF2、または-CF3のうちの1、2、3または4つで任意に置換されていてもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、R
2は、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、
【化14】
から選択され;R
2は、好ましくは、-D、-F、-Cl、-OCH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CF
3、
【化15】
であり、nは、1または2であり;R
2は、より好ましくは、-F、-Cl、-OCH
3、-OCF
3、-CH
2CH
3、
【化16】
であり、nは、1または2であり;R
2は、より好ましくは、-F、-Cl、または-OCH
3であり、nは、1または2であり;R
2は、より好ましくは、-Fまたは-OCH
3であり、nは、1または2である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、R3は、-H、-D、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、-OR3a、-NR3aR3b、-C(O)R3a、-CO2R3a、-S(O)pR3a、-S(O)pNR3aR3b、-CONR3aR3b、-C(=NR3a)-NR3bR3c、-NR3aCOR3b、-NR3aCONR3bR3c、-NR3aCO2R3b、-NR3aS(O)pNR3bR3c、-NR3aS(O)pR3b、(C1~C6)アルキル、(C1~C6)アルコキシ、(C1~C6)ハロアルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、(C3~C10)シクロアルキル、(3員~10員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C10)アリール、(5員~10員)ヘテロアリール、-(C1~C3)アルキレン-(C1~C6)アルコキシ、-(C1~C3)アルキレン-(C3~C10)シクロアルキル、-(C1~C3)アルキレン-(3員~10員)ヘテロシクロアルキル、-(C1~C3)アルキレン-(C6~C10)アリール、または-(C1~C3)アルキレン-(5員~10員)ヘテロアリールから選択される。
【0018】
本発明の別の実施態様では、一般式(1)において、R
3は、-H、-D、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NH
2、-CN、-NO
2、-OCH
3、-NHCH
3、-N(CH
3)
2、-C(O)NH
2、-OCH
2CH
3、-OCF
3、-CH
3、-CD
3、-CH
2CH
3、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、
【化17】
から選択され;R
3は、好ましくは、-H、-D、-F、-Cl、-CN、
【化18】
から選択され;R
3は、より好ましくは、-H、
【化19】
である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、構造単位:
【化20】
は、
【化21】
から選択され、好ましくは、
【化22】
である。
【0020】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、2つの隣接する炭素原子に結合した2つのR3は、それらに結合している2つの隣接する炭素原子とともに、1つの部分不飽和(C4~C7)シクロアルキル、または部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C4~C7)シクロアルキル、または前記部分不飽和(4員~7員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、-H、-D、-CH3、-CD3、-CH2CH3、または-OCH3、好ましくは-H、-CH3、または-OCH3のうちの1、2、3、4または5つの置換基で任意に置換されていてもよく;あるいは、同じ原子に結合している2つの置換基は、1つのオキソを形成していてもよく;好ましくは、2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR3は、それらに結合している2つの隣接する炭素原子と一緒になって、1つの部分不飽和(C5)シクロアルキル、または部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記部分不飽和(C5)シクロアルキル、または前記部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、-D、-CH3、-CD3、-CH2CH3、または-OCH3のうちの1、2または3つの置換基で任意に置換されていてもよく、前記置換基は、好ましくは、-CH3または-OCH3のうちの1、2または3個の基であり;より好ましくは、2つの隣接する炭素原子に結合している2つのR3は、それらに結合している前記2つの隣接する炭素原子とともに、1つのオキソで置換された部分不飽和(C5)シクロアルキル、または1つのオキソで置換された部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記1つのオキソで置換された部分不飽和(C5)シクロアルキル、または前記1つのオキソで置換された部分不飽和(5員)ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、-CH3または-OCH3のうちの1、2、または3つの置換基で任意に置換されていてもよい。
【0021】
本発明の別の実施形態では、一般式(1)において、構造単位:
【化23】
は、
【化24】
から選択され、好ましくは、
【化25】
から選択され、より好ましくは、
【化26】
から選択される。
【0022】
本発明の別の具体的な実施形態では、一般式(1)の化合物は、以下の構造:
【化27】
のうちの1つを有する。
【0023】
本発明はさらに、薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤と、有効成分として、本発明の一般式(1)の化合物またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物と、を含有する医薬組成物を提供することを目的とする。
【0024】
本発明はさらに、FAKタンパク質キナーゼに関連する疾患を処置、調節または予防するための医薬の調製における、本発明の一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、または上記の医薬組成物、の使用を提供することを目的とし、ここで、前記疾患は、好ましくは癌であり、前記癌は、血液癌または固形癌である。
【0025】
本発明はさらに、FAKタンパク質キナーゼにより介在される疾患を処置、調節または予防するための方法であって、治療有効量の、本発明の一般式(1)の化合物、またはその異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、または上記医薬組成物を対象に投与すること、を含む方法、を提供することを意図している。
【0026】
本発明の前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものであり、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図するものと理解されたい。
【0027】
(化合物の合成)
本発明の一般式(1)の化合物を調製するための方法を以下に具体的に記載するが、これらの具体的な方法は、本発明を何ら限定しない。
【0028】
上記の式(1)の化合物は、本明細書に記載の方法と組み合わせた標準的な合成技術、周知の技術を使用して、合成され得る。さらに、本明細書に記載される溶媒、温度および他の反応条件は異なっていてもよい。化合物の合成のための出発物質は、合成により得てもよいし、市販のものでもよい。本明細書に記載の化合物および異なる置換基を有する他の関連化合物は、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,4th Ed.,(Wiley 1992);CareyおよびSundberg,ADVANCED ORGANICCHEMISTRY,4thEd.,Vols.AおよびB(Plenum 2000、2001)、ならびにGreenおよびWuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANICSYNTHESIS,3rdEd.,(Wiley 1999)に見出される方法を含む、周知の技術および出発物質を用いて合成され得る。化合物を調製するための一般的な方法は、本明細書に記載される分子式に様々な基を導入するための適切な試薬および条件を使用することによって、変更され得る。
【0029】
1つの態様において、本明細書に記載された化合物は、当該技術分野で周知の方法に従って調製される。ただし、反応物、溶媒、塩基、使用する化合物の量、反応温度、反応に要する時間などの方法の条件は、以下の記載に限定されない。また、本発明の化合物は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の種々の合成方法を任意に組み合わせて簡便に調製され得、このような組み合わせは、本発明が関連する当業者によって容易に決められ得る。1つの態様において、本発明は、さらに、以下の一般反応スキーム1~3を使用して製造される、一般式(1)の化合物の製造方法を提供する。
【0030】
一般反応スキーム1
【0031】
【0032】
一般式(1)の化合物は、一般反応スキーム1に従って調製され得、ここで、R1、R2、R3、X、G、mおよびnは上記で定義した通りである。一般反応スキーム1に示すように、化合物1-1を、アルカリ条件下で化合物1-2と反応させて化合物1-3を得、化合物1-3を酸化して化合物1-4を得、化合物1-4を適切な条件下で化合物1-5と反応させて目的化合物(1)を得る。
【0033】
一般反応スキーム2
【0034】
【0035】
一般式(1)の化合物は、一般反応スキーム2に従って調製され得、ここで、R1、R2、R3、X、G、m、およびnは、上記で定義した通りである。一般反応スキーム2に示すように、化合物1-1を、化合物1-6とカップリング反応させて化合物1-7を得、化合物1-7を酸化して化合物1-8を得、化合物1-8を適当な条件下で化合物1-5と反応させて目的化合物(1)を得る。
【0036】
一般反応スキーム3
【0037】
【0038】
一般式(1)の化合物は、一般反応スキーム3に従って調製され得、ここで、R1、R2、R3、X、G、mおよびnは上記で定義した通りである。一般反応スキーム2に示すように、化合物1-4を適切な条件下で化合物1-9と反応させて化合物1-10を得、化合物1-10を加水分解して化合物1-11を得、化合物1-11をフラグメントS1と縮合反応させて目的化合物(1)を得る。
【0039】
化合物のさらなる形態
【0040】
本明細書において「薬学的に許容される」とは、担体や希釈剤など、化合物における生物学的活性または特性の消失を引き起こさず、比較的無毒の物質を指す。例えば、個体に、ある物質を投与する場合、前記物質は、望ましくない生物学的作用、またはその含有成分のいずれかと有害な相互作用を、引き起こさない。
【0041】
用語「薬学的に許容される塩」は、投与を受ける生物体に著しい刺激を与えず、または化合物の生物学的活性および特性を消滅させない化合物の形態を指す。特定の具体的な態様において、薬学的に許容される塩は、一般式の化合物を酸または塩基との反応に供することによって得られ、ここで、酸または塩基としては、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:properties,Selection,and Use,1stEd.,(Wiley,2002)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
薬学的に許容可能な塩は、溶媒付加形態または結晶形態、特に溶媒和物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含み、水およびエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒における結晶化の際に選択的に形成される。溶媒が水の場合は水和物が、溶媒がエタノールの場合はアルコラートが形成される。一般式(1)の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載の方法に従って好都合に調製または形成される。例えば、一般式(1)の化合物の水和物は、水/有機溶媒の混合溶媒における再結晶によって好都合に調製され、使用される有機溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノールまたはメタノールを含むが、これらに限定されない。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態または溶媒和形態のいずれかで存在し得る。一般に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物および方法の目的のために、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
【0043】
他の特定の例では、一般式(1)の化合物は、非晶質形態、粉砕形態、およびナノ粒子形態を含むが、これらに限定されない異なる形態で調製される。さらに、一般式(1)の化合物は、結晶形態を含み、多形体であってもよい。多形体は、化合物の同じ元素の異なる格子配列を含む。多形体は、一般に、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形態、光学的特性、電気的特性、安定性、および溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、および保存温度などの様々な要因により、単一の優勢な結晶系がもたらされる場合がある。
【0044】
別の態様では、一般式(1)の化合物は、キラル中心および/または軸不斉を有し得、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー化合物、単一ジアステレオマーおよびシス-トランス異性体の形態で存在し得る。各キラル中心または軸不斉は、独立して2つの光学異性体を生成し、すべての可能な光学異性体、ジアステレオマー混合物および純粋または部分的に純粋な化合物が、本発明の範囲に含まれる。本発明は、これらの化合物のすべてのそのような異性体を含むことを意味する。
【0045】
本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つ以上において、不自然な割合の原子同位体を含んでいてもよい。例えば、前記化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)およびC-14(14C)などの放射性同位体で標識され得る。他の例として、重水素を用いて水素原子を置換して重水素化化合物を形成することができる。重水素と炭素とによって形成される結合は、通常の水素と炭素とによって形成される結合よりも強い。重水素化されていない医薬と比較して、一般に、重水素化医薬は、毒性作用および副作用の低減、医薬の安定性の向上、効力の増強、医薬的in vivo半減期の延長などの利点を有している。本発明の化合物のすべての同位体バリエーションは、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲に含まれる。
【0046】
用語の説明
【0047】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載されたものを含め、本明細書で使用される用語は、以下のように定義される。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a)」および「1つの(an)」は、特に明記しない限り、複数の意味を含むことに留意されたい。特に明記しない限り、質量分析法、核磁気共鳴分光法、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が用いられる。本明細書において、「または」または「および」は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。
【0048】
特に明記しない限り、「アルキル」は、1~6個の炭素原子を含む直鎖および分岐基を有する飽和脂肪族炭化水素基を指す。メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルなどの1~4個の炭素原子を含む低級アルキル基が好ましい。本明細書で使用される場合、「アルキル」には、非置換アルキルおよび置換アルキル、特に1つ以上のハロゲンで置換されたアルキルが、含まれる。好ましいアルキルは、CH3、CH3CH2、CF3、CHF2、CF3CH2、CF3(CH3)CH、iPr、nPr、iBu、nBu、またはtBuから選択される。
【0049】
特に明記しない限り、「アルキレン」は、上記で定義した2価のアルキルを指す。アルキレンの例としては、メチレンおよびエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
特に明記しない限り、「アルケニル」は、1~14個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の基を含む、炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を指す。ビニル、1-プロペニル、1-ブテニル、または2-メチルプロペニルなどの1~4個の炭素原子を含む低級アルケニル基が好ましい。
【0051】
特に明記しない限り、「アルケニレン」は、上記で定義した2価のアルケニルを指す。
【0052】
特に明記しない限り、「アルキニル」は、1~14個の炭素原子を含む直鎖および分岐基を含む、炭素-炭素三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を指す。エチニル、1-プロピニル、または1-ブチニルなどの1~4個の炭素原子を含む低級アルキニル基が、好ましい。
【0053】
特に明記しない限り、「アルキニレン」は、上記で定義した2価のアルキニルを指す。
【0054】
特に明記しない限り、「シクロアルキル」は、非芳香族炭化水素環系(単環式、二環式、または多環式)を指し、部分的に不飽和のシクロアルキルは、炭素環が少なくとも1つの二重結合を含む場合、「シクロアルケニル」、または炭素環が少なくとも1つの三重結合を含む場合、「シクロアルキニル」と呼ばれることがある。シクロアルキルは、単環式基または多環式基(例えば、2個、3個、または4個の縮合環を有する)、およびスピロ環を含み得る。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは単環式である。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、単環式または二環式である。シクロアルキルの環炭素原子は、任意に、酸化されてオキソ基またはチオ基を形成し得る。シクロアルキルは、シクロアルキレンをさらに含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、0個、1個または2個の二重結合を含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、1個または2個の二重結合を含む(部分不飽和シクロアルキル)。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルと縮合していてもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルと縮合していてもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、アリールおよびヘテロシクロアルキルと縮合していてもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、アリールおよびシクロアルキルと縮合していてもよい。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルカンファニル、ノルピナニル、ノルカルニル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシルなどが挙げられる。
【0055】
特に明記しない限り、「シクロアルキレン」とは、上記で定義した2価のシクロアルキルを指す。
【0056】
特に明記しない限り、「アルコキシ」は、エーテル酸素原子を介して分子の残りの部分に結合するアルキル基を指す。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシなどの1~6個の炭素原子を有するものである。本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、非置換および置換アルコキシ、特に1つ以上のハロゲンで置換されたアルコキシを含む。好ましいアルコキシは、OCH3、OCF3、CHF2O、CF3CH2O、i-PrO、n-PrO、i-BuO、n-BuO、およびt-BuOから選択される。
【0057】
特に明記しない限り、「アリール」は、単環式または多環式である芳香族炭化水素基を指す。例えば、単環式のアリール環は、1つ以上の炭素環式芳香族基と縮合し得る。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、およびフェナントリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
特に明記しない限り、「アリールオキシ」は、エーテル酸素原子を介して分子の残りの部分に結合するアリール基を指す。前記アリールオキシの例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
特に明記しない限り、「アリーレン」は、上記で定義された2価のアリールを指す。アリーレンの例としては、フェニレン、ナフチレン、およびフェナントリレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
特に明記しない限り、「ヘテロアリール」は、1つ以上のヘテロ原子(O、S、またはN)を含む芳香族基を指し、前記「ヘテロアリール」は単環式または多環式である。例えば、単環式ヘテロアリール環は、1つ以上の炭素環式芳香族基または他の単環式ヘテロシクロアルキル基と縮合する。ヘテロアリールの例としては、ピリジル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、フラニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピリジニル、ピロロピリミジニル、1H-ピロロ[3,2-b]ピリジニル、1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピロロ[3,2-c]ピリジニル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、
【化31】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
特に明記しない限り、「ヘテロシクロアルキル」は、ホウ素、リン、窒素、硫黄、酸素、およびリンから独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子環員を有する、環状構造の部分として任意に1つ以上のアルケニレンを含み得る非芳香族環または環系を指す。部分不飽和ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクロアルキルが少なくとも1つの二重結合を含む場合、「ヘテロシクロアルケニル」と呼ばれることがあり、前記ヘテロシクロアルキルが少なくとも1つの三重結合を含む場合、「ヘテロシクロアルキニル」と呼ばれることがある。ヘテロシクロアルキルは、単環式、二環式、スピロ環式、または多環式系(例えば、2つの縮合環または架橋環を有する)を含み得る。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、窒素、硫黄および酸素から独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する単環式基である。ヘテロシクロアルキルの環炭素原子およびヘテロ原子は、任意に、酸化されて、オキソ基もしくはチオ基または他の酸化結合(例えば、C(O)、S(O)、C(S)もしくはS(O)2、N-オキシドなど)を形成していてもよく、または窒素原子は4級化されていてもよい。ヘテロシクロアルキルは、環炭素原子または環ヘテロ原子を介して結合していてもよい。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、0~3個の二重結合を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、0~2個の二重結合を含む。また、ヘテロシクロアルキルの定義には、ヘテロシクロアルキル環に縮合した(すなわち、結合を共有する)1つ以上の芳香族環を有する部分(部分不飽和複素環とも呼ばれる)、例えば、ピペリジン、モルホリン、アゼピン、チエニルなどのベンゾ誘導体も含まれる。縮合芳香環を含むヘテロシクロアルキルは、縮合芳香環の環原子を含む任意の環原子を介して結合していてもよい。ヘテロシクロアルキルの例としては、アゼチジニル、アゼピニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、N-モルホリニル、3-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデシル、1-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デシル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキソピペラジニル、ピラニル、ピロリジニル、キニニル(quininyl)、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、トロパニル、4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン、N-メチルピペリジニル、テトラヒドロイミダゾリル、ピラゾリジニル、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノニル(imidazolidinonyl)、ヒダントイニル、ジオキソラニル、フタルイミジル、ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニル-S-オキシド、チオモルホリニル-S,S-オキシド、ピペラジニル、ピラニル、ピリドニル、3-ピロリニル、チオピラニル、ピロニル、テトラヒドロチエニル、2-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、インドリニル、
【化32】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
特に明記しない限り、「複素環スピロシクロアルキル」とは、2つ以上の飽和または部分不飽和単環式環の間で1つの炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を共有することによって形成される多環式ヒドロカルビルを指し、ここで1つ以上(例えば、1、2または3)の環原子は、窒素、酸素またはS(O)
p(式中、pは0~2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素原子である。ヘテロ原子が窒素原子である場合、窒素原子は置換されていても置換されていなくてもよい(すなわち、NまたはNRであり、Rは水素または本明細書で既に定義されている他の置換基である)。各単環式環は、1つ以上の二重結合を含み得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有していない。環間で共有されるスピロ原子の数に応じて、スピロヘテロシクリルは、モノスピロヘテロシクリル、ビススピロヘテロシクリル、またはポリスピロヘテロシクリルであり得る。用語「(5~15員)複素環スピロシクロアルキル」は、5~15個の環原子を有する複素環スピロシクロアルキルを指し、スピロ原子を共有する単環式環は、3~8員単環式環であり、少なくとも1つの単環式環はヘテロシクロアルキル環である。9~18個の環原子を有し、そのうち1~3個の環原子がヘテロ原子である(6~18員)複素環スピロシクロアルキルが、好ましい。9~15個の環原子を有し、そのうち1~3個の環原子がヘテロ原子である(7員~15員)複素環スピロシクロアルキルが、より好ましい。9員(4員単環式(ヘテロシクリル)環/6員単環式(ヘテロシクリル)環、5員単環式(ヘテロシクリル)環/5員単環式(ヘテロシクリル)環)モノスピロヘテロシクリル、10員(5員単環式(ヘテロシクリル)環/6員単環式(ヘテロシクリル)環)モノスピロヘテロシクリル、または11員(6員単環式(ヘテロシクリル)環/6員単環式(ヘテロシクリル)環)モノスピロヘテロシクリルが、最も好ましい。複素環スピロシクロアルキルの具体例としては、
【化33】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
特に明記しない限り、「オキソ」は、=Oを意味する。例えば、炭素が1つのオキソで置換されて形成される基は、カルボニル
【化34】
であり;硫黄が1つのオキソで置換されて形成される基は、スルフィニル
【化35】
であり、硫黄が2つのオキソで置換されて形成される基は、スルホニル
【化36】
である。
【0064】
特に明記しない限り、「ハロゲン」(またはハロ)は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。基名の前の用語「ハロ」(または「ハロゲン化」)は、その基が部分的または完全にハロゲン化されていること、すなわち、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClによって任意の組み合わせで置換されていることを示す。
【0065】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載される事象または状況が生じる可能性があるが、必ずしも生じないことを意味し、その記載には、その事象または状況が生じる例および生じない例が含まれる。
【0066】
置換基「-O-CH
2-O-」は、置換基中の2個の酸素原子が、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール中の2個の隣接する炭素原子に結合していることを意味し、例えば、以下のとおりである。
【化37】
【0067】
リンカー基の番号が-(CH2)0-のように0である場合、そのリンカー基が単結合であることを意味する。
【0068】
変数の1つが化学結合から選択される場合、この変数によってリンクされる2つの基が直接リンクされることを意味する。例えば、X-L-YのLが化学結合を表す場合、実際にはX-Yの構造であることを意味する。
【0069】
用語「員環」は、任意の環状構造を含む。用語「員」は、環を形成する主鎖原子の数を指す。例えば、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラニルおよびチオピラニルは、6員環であり、シクロペンチル、ピロリル、フラニル、およびチエニルは、5員環である。
【0070】
用語「部分」は、分子の特定の部分または官能基を指す。化学部分は、一般に、分子に含まれる、または分子に結合する化学物質を指すとみなされる。
【0071】
特に記載のない限り、立体中心の絶対配置は、くさび形実線結合
【化38】
およびくさび形破線結合
【化39】
により表され、立体中心の相対配置は、直線実線結合
【化40】
および直線破線結合
【化41】
により表される。波線
【化42】
は、くさび形実線結合
【化43】
またはくさび形破線結合
【化44】
を表し、あるいは波線
【化45】
は直線実線結合
【化46】
または直線破線結合
【化47】
を表す。
【0072】
特に記載のない限り、単結合または二重結合は、
【化48】
により表される。
【0073】
具体的な医薬品・医療用語
【0074】
本明細書で使用される「許容可能な」という用語は、処方成分または活性成分が、一般的な治療対象の健康に過度にかつ有害な作用を及ぼさないことを意味する。
【0075】
本明細書で使用される用語「処置」、「処置経過」、および「治療」は、疾患の症状または状態を緩和、阻害、または改善すること、合併症の発生を阻害すること、基礎となるメタボリック症候群を改善または予防すること、疾患または状態の発生を阻害すること(例えば、疾患または状態の進行を制御すること)、疾患または症状を緩和すること、疾患または症状を退行させること、および疾患または症状によって引き起こされる合併症を緩和すること、または疾患もしくは症状によって引き起こされる兆候を予防もしくは処置することを含む。本明細書で使用される場合、化合物または医薬組成物は、投与されると、疾患、症状、または状態を改善することができ、特に、疾患の重症度を改善させる、発症を遅らせる、進行を遅らせる、または持続期間を短縮することができる。固定投与もしくは一時投与、または継続投与もしくは間欠投与は、投与に起因するか、または投与に関連し得る。
【0076】
「有効成分」は、一般式(1)の化合物、および一般式(1)の化合物の薬学的に許容可能な無機塩または有機塩を指す。本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心(キラル中心または軸不斉)を含んでいてもよく、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー化合物、および単一ジアステレオマーの形態で存在し得る。存在し得る不斉中心は、分子上の様々な置換基の特性に依存して存在し得る。このような不斉中心はそれぞれ独立して2つの光学異性体を生成し、すべての可能な光学異性体、ジアステレオマー混合物、および純粋なまたは部分的に純粋な化合物が、本発明の範囲に含まれる。本発明は、これらの化合物のすべてのそのような異性体形態を含むことを意味する。
【0077】
本明細書では、「化合物」、「組成物」、「薬剤」または「医薬または医薬品」などの用語は、互換的に用いられ、いずれも、個体(ヒトまたは動物)に投与されると、局所および/または全身作用により所望の薬理的および/または生理学的反応を誘発することができる化合物または組成物を指す。
【0078】
「投与される、投与する、または投与」という用語は、本明細書では化合物もしくは組成物の直接投与、または活性化合物のプロドラッグ、誘導体、アナログ等の投与を意味する。
【0079】
本発明の広い範囲を定義する数値範囲およびパラメータは近似値であるが、特定の実施形態に示される関連する値は、可能な限り正確に本明細書に示されている。しかし、どのような数値も本質的に、ある種の試験方法から必然的に生じる標準偏差を含んでいる。ここで、「約」とは、一般に、実際の値が特定の値または範囲±10%、5%、1%、または0.5%以内であることを意味する。あるいは、「約」という用語は、当業者が考えるように、実際の数値が平均値の許容できる標準誤差の範囲内にあることを示す。実験例を除きまたは特に明記されない限り、本明細書で使用されるすべての範囲、量、値および百分率(例えば、物質の量、時間の長さ、温度、運転条件、量の割合などを記載するために)は、用語「約」によって修正されることが理解される。したがって、特に明記されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、すべて所望により変化し得る近似値である。少なくとも、これらの数値パラメータは、示された有効数字または従来の丸め規則を使用して得られた数値と解釈されるべきである。
【0080】
本明細書で使用される科学技術用語は、本明細書で別途定義されない限り、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用される単数形の名詞は、文脈と矛盾しない限り、それらの複数形を包含し、使用される複数形の名詞は、それらの単数形も包含する。
【0081】
治療用途
【0082】
本発明は、一般式(1)の化合物または本発明の医薬組成物を用いて、FAKタンパク質キナーゼが関与する関連疾患(例えば、癌)を含むがこれらに限定されない疾患を処置するための方法を、提供する。
【0083】
いくつかの実施形態において、癌を処置するための方法が提供され、当該方法は、構造一般式(1)の化合物を含む有効量の任意の前述の医薬組成物を、必要とする個体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、癌はFAKキナーゼに関連する。他の実施形態において、前記癌は、白血病、乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、膀胱癌、脳腫瘍、尿路上皮癌、前立腺癌、肝臓癌、卵巣癌、頭頸部癌、胃癌、中皮腫、またはすべての癌転移を含むが、これらに限定されない、血液癌および固形癌である。
【0084】
投与経路
【0085】
本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は、安全かつ有効な量の、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤または担体とを含む種々の製剤にすることができ、ここで「安全かつ有効な量」とは、重篤な副作用を引き起こすことなく状態を著しく改善するのに充分な化合物の量を意味している。化合物の安全かつ有効な量は、処置される対象の年齢、状態、処置の経過、および他の特定の状態に従って決定される。
【0086】
「薬学的に許容可能な賦形剤または担体」とは、ヒトでの使用に適し、かつ、充分な純度および低毒性を有していなければならない、1つ以上の適合性のある固体または液体の充填剤またはゲル物質を指す。「適合性」とは、本明細書では、組成物の成分が、化合物の医薬的効力を著しく低下させることなく、本発明の化合物と相互混合することが可能であることを意味する。薬学的に許容可能な賦形剤または担体の例としては、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウムまたは酢酸セルロース)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ゴマ油、落花生油、またはオリーブ油)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、またはソルビトール)、乳化剤(例えば、Tween(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、香料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水、などが挙げられる。
【0087】
本発明の化合物を投与する場合、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内、もしくは皮下)または局所的に投与することができる。
【0088】
経口投与のための固形剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、散剤(pulvises)および顆粒が含まれる。これらの固形剤形において、前記活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの従来の不活性賦形剤(または担体)、または以下の成分:(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤;(b)ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤;(c)グリセロールなどの保湿剤;(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(e)パラフィンなどの溶液遅延剤;(f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(h)カオリンなどの吸着剤;および(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、またはこれらの混合物、と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、前記剤形は、緩衝剤をさらに含んでもよい。
【0089】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒などの固体剤形は、腸溶性コーティングおよび当技術分野で周知の他の材料などのコーティングおよびシェルを用いて、調製され得る。これらは不透明化剤を含んでもよく、そのような組成物中の活性化合物または化合物は、消化管の特定の部分で遅延して放出され得る。使用され得る埋め込み成分の例としては、高分子物質およびワックス系物質が挙げられる。必要に応じて、前記活性化合物は、1つ以上の上記賦形剤とともにマイクロカプセルを形成し得る。
【0090】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルなどが含まれる。活性化合物に加えて、前記液体剤形は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、および油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、またはこれらの物質の混合物などの、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。
【0091】
このような不活性希釈剤に加えて、前記組成物はさらに、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、および香料などのアジュバントを含み得る。
【0092】
活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメチラート、ならびに寒天、またはこれらの物質の混合物などの、懸濁剤を含み得る。
【0093】
非経口注射用組成物は、生理学的に許容可能な滅菌水溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および滅菌注射用溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤には、水、エタノール、ポリオール、およびそれらの適切な混合物が含まれる。
【0094】
本発明の化合物を局所投与するための剤形としては、軟膏、散剤、パッチ、スプレー、および吸入剤などが挙げられる。前記有効成分は、生理学的に許容可能な担体、および必要に応じて要求され得る任意の保存剤、緩衝剤または噴霧剤と無菌条件下で混合される。
【0095】
本発明の化合物は、単独で、または他の薬学的に許容可能な化合物と組み合わせて投与され得る。本発明の医薬組成物が使用される場合、処置対象となる哺乳動物(ヒトなど)に対して、安全かつ有効な量の本発明の化合物が投与され、ここで、投与量は、薬学的に有効な用量である。60kgのヒトの場合、1日の投与量は、通常1~2000mg、好ましくは50~1000mgである。もちろん、具体的な投与量において、投与経路、患者の健康状態等の要因も考慮されるが、これらは当業者には周知である。
【0096】
本発明で述べた特徴、または実施形態において上記の特徴は、任意に組み合わせることができる。本明細書に開示される全ての特徴は、任意の組成物の形態で使用することができ、本明細書に開示される様々な特徴は、同一、同等または類似の目的を提供する任意の代替の特徴で置き換えることができる。従って、特に明記しない限り、本明細書で開示された特徴は、同等または類似の特徴の一般的な例に過ぎない。
【発明を実施するための形態】
【0097】
詳細な説明
【0098】
上記の化合物、方法および医薬組成物の様々な特定の態様、特徴および利点は、以下のように詳細に記載され、これにより本発明の内容が非常に明確になるであろう。以下の詳細な説明および実施例は、参考のみのために特定の実施例を記述していることを理解されたい。本発明の説明を読んだ後、当業者は、本発明に対して様々な変更または修正を加えることができ、そのような均等物も、本明細書で定義される本出願の範囲内に入る。
【0099】
すべての実施例において、1H-NMRスペクトルはVarian Mercury 400核磁気共鳴装置で記録し、化学シフトはδ(ppm)で表した。分離用シリカゲルは、特に指定がなければ200~300メッシュのシリカゲルを用い、溶離液の比率は体積比とした。
【0100】
本発明では、以下の略語が使用される:ACNはアセトニトリル;AcOHは氷酢酸;(Boc)2Oはジ-tert-ブチルジカーボネート;BPOは過酸化ベンゾイル;CCl4は四塩化炭素;CDCl3は重水素化クロロホルム;CD3Iは重水素化ヨードメタン;CuBr2は臭化銅;Cs2CO3は無水炭酸セシウム;DCMはジクロロメタン;DIPEAはジイソプロピルエチルアミン;Dioxaneは1,4-ジオキサン;DMFはN,N-ジメチルホルムアミド;DMAPは4-(ジメチルアミノ)ピリジン;DMSOはジメチルスルホキシド;EAは酢酸エチル;EDCIは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;Flashはフラッシュ分取中圧液体クロマトグラフィーによる精製;H2は水素;HCHOはホルムアルデヒド;Hexaneはn-ヘキサン;HOBtは、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLCは、高速液体クロマトグラフィー;hは時間;HCl/Dioxは塩化水素の1,4-ジオキサン溶液;IPAはイソプロパノール;IVは静脈内投与;K2CO3は炭酸カリウム;KOAcは酢酸カリウム;K3PO4はリン酸カリウム;LiOHは水酸化リチウム;minは分;MeOHはメタノール;mLはミリリットル;MSは質量分析;MsOHはメタンスルホン酸;m-CPCAは、m-クロロ過安息香酸;NaBH(OAc)3は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム;NaNO2は亜硝酸ナトリウム;NBSはN-ブロモスクシンイミド;n-BuLiはn-ブチルリチウム;NaBH4は水素化ホウ素ナトリウム;n-BuOHはn-ブタノール;NH3/THFはアンモニアのテトラヒドロフラン溶液:NMPは、N-メチルピロリドン;NMRは核磁気共鳴;Oxoneはペルオキシ一硫酸カリウム;Pd/Cはパラジウム炭素;Pd(PPh3)4はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;Pd2(dba)3はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);PEは石油エーテル;PPTSはp-トルエンスルホン酸ピリジニウム;POは経口投与;QDは1日1回投与;QWは週1回投与;SOCl2は塩化チオニル;TFAはトリフルオロ酢酸;THFはテトラヒドロフラン;TLCは薄層クロマトグラフィー;Tolueneはメチルベンゼン;T3Pは1-プロパンホスホン酸無水物;XantPhosは、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン;XPhosは、2-ジシクロヘキシルホスホニウム-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル;Znは亜鉛粉末、を表す。
【0101】
実施例1:2-フルオロ-5-メトキシ-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-4-((4-(2-(メチルカルバモイル)フェノキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(化合物1)の合成
【化49】
【0102】
【0103】
1-1の合成:
2-ヒドロキシ-N-メチルベンズアミド(250mg、1.65mmol)および無水炭酸カリウム(456mg、3.3mmol)をDMF(11mL)に加え、混合溶液をアルゴンでパージした。4-クロロ-2-(メチルチオ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン(378mg、1.65mmol)のDMF(5mL)溶液を、室温で滴下添加した。滴下終了後、混合溶液を室温で3時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、系を水(30mL)でクエンチした。混合溶液を室温で30分間撹拌した後、濾過して不純な生成物を得た。この不純な生成物をFlashで精製し、白色固体生成物を得た(299mg、収率:53%)。
ESI-MS m/z:344.0 [M+H]+。
【0104】
1-2の合成:
化合物1-1(200mg、0.583mmol)をTHF(10mL)/水(2mL)の混合溶液に加え、Oxone(1.8g、2.93mmol)を加えた。混合物を、室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、水(20mL)を系に加え、次いでEA(20mL)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濾液を濃縮乾固して、淡褐色固体の粗生成物(248mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z:376.0 [M+H]+。
【0105】
1-3の合成:
2-フルオロ-5-メトキシ-4-ニトロ安息香酸(610mg、2.08mmol)、tert-ブチル2-アミノ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(500mg、2.08mol)、HOBt(420mg、3.1mmol)、EDCI(598mg、3.1mg)およびDIPEA(1.1mL)を、DMF(10mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージし、続いて室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液に水(20mL)を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した後、濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、真空下で乾燥して生成物(930mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 438.2 [M+H]+。
【0106】
1-4の合成:
上記の1-3(930mg、粗生成物、2.08mmol)をEA(10mL)に加えた。完全に溶解した後、4M HCl/Diox(10mL、40mmol)を加えた。混合物を、室温で3時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合物を濃縮乾固した。EA(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を、残渣に加えた。得られた混合物を撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL×2)で2回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。濾液を濃縮乾固し、褐黄色油(508mg、収率:72.4%)を得た。
ESI-MS m/z: 338.1 [M+H]+。
【0107】
1-5の合成:
上記の化合物1-4(508mg、1.51mmol)をTHF(10mL)に加え、氷酢酸(136mg、2.265mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(147mg、37%、1.8mmol)を室温で加えた。混合溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、NaBH(OAc)3(479mg、2.26mmol)を加え、混合溶液を室温でさらに20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液にEA(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を加えた。得られた混合溶液を20分間撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL×2)で2回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。濾液を濃縮乾固し、粗生成物(630mg、収率:>100%)を褐色油として得た。
ESI-MS m/z: 352.1 [M+H]+。
【0108】
1-6の合成:
上記の1-5(630mg、粗生成物、1.51mmol)および10%湿潤Pd/C(100mg、50~55%の水分含有)を、MeOH(20mL)に加えた。混合溶液を水素で3回パージし、常圧下、室温で20時間激しく撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をセライトで濾過した。濾過ケークをMeOHで洗浄し、濾液を濃縮乾固して白色固体の生成物(433mg、収率:89%)を得た。
ESI-MS m/z: 322.1 [M+H]+.
【0109】
化合物1の合成:
上記の化合物1-6(50mg、0.156mmol)および1-2(70mg、0.187mmol)をイソプロパノール(5mL)に加え、室温でTFA(35.6mg、0.312mmol)を加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱し、3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製し、凍結乾燥して、オフホワイトの固体生成物(18mg、収率:18.7%)を得た。
ESI-MS m/z: 617.2 [M+H]+。
【0110】
実施例2~実施例18:化合物2~化合物18の合成
異なる出発原料を用い、実施例1と同様の合成方法を参照して、表1の目的化合物2~18を得た。
【0111】
【0112】
実施例19:2-フルオロ-5-メトキシ-4-((4-((2-メチル-3-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ベンズアミド(化合物19)の合成
【化51】
【0113】
【0114】
化合物19-1の合成:
7-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(1.7g、10.44mmol)および無水炭酸カリウム(2.42g、17.5mmol)をDMF(60mL)に加え、混合溶液をアルゴンでパージした。DMF(10mL)中の4-クロロ-2-(メチルチオ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン(2g、8.7mmol)の溶液を室温で滴下添加した。滴下終了後、混合溶液を室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、系を水(30mL)でクエンチした。混合溶液を室温で30分間撹拌した後、濾過した。濾過ケークを水でリンスし、真空下で乾燥して、オフホワイトの固体生成物(3.048g、収率:98%)を得た。
ESI-MS m/z: 356.0 [M+H]+。
【0115】
化合物19-2の合成:
化合物19-1(3.048g、8.6mmol)をDCM(50mL)に加え、mCPBA(6.1g、30.1mmol)を氷浴中で数回に分けて加えた。混合溶液を室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が確認された後、混合溶液を飽和チオ硫酸ナトリウム(50mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)でクエンチした。得られた混合物を室温で15分間撹拌し、次いで液体分離を行った。水相をDCM(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL×2)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥して濾過し、濾液を濃縮乾固して粗生成物(3.38g、収率:>100%)を白色固体として得た。
ESI-MS m/z:388.0 [M+H]+。
【0116】
化合物19-3の合成:
2-フルオロ-5-メトキシ-4-ニトロ安息香酸(32g、0.149mol)および10%湿潤Pd/C(3g、50%~55%の水分を含む)を、MeOH(300mL)に加えた。混合溶液を水素で3回パージし、常圧下、室温で20時間激しく撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をセライトで濾過した。濾過ケークをMeOHでリンスし、濾液を濃縮乾固して淡灰色の生成物(29g、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 186.0 [M+H]+。
【0117】
化合物19-4の合成:
上記の化合物19-3(29g、0.149mol)をMeOH(300mL)に加え、SOCl2(35.7g、0.3mol)を氷浴中でゆっくりと滴下した。滴下が完了した後、混合溶液を40℃の一定温度で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣にEA(300mL)を加えた。次に、飽和炭酸ナトリウム溶液(300mL)を注意深く加え、pHを7~8に調整した。混合溶液を室温で10分間撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(100mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固して褐色の固体生成物(27g、収率:91%)を得た。
ESI-MS m/z:200.0 [M+H]+。
【0118】
化合物19-5の合成:
上記の化合物19-4(1.028g、5.2mmol)および19-2(2g、粗生成物、5.2mmol)をDiox(20mL)に加え、TFA(593mg、5.2mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、95℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了を検出した後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製し、凍結乾燥してオフホワイトの固体生成物(1.432g、収率:43%)を得た。
ESI-MS m/z:507.1 [M+H]+。
【0119】
化合物19-6の合成:
上記の化合物19-5(1.4g、2.76mmol)をTHF(20mL)/MeOH(10mL)/水(10mL)に加え、水酸化リチウム一水和物(464mg、11.06mmol)を室温で加えた。混合溶液を、室温で6時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を少量まで濃縮し、水(10mL)を加えた。2N HCl水溶液でpHを2~3に調整し、得られた混合物をEA(30mL×3)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固して、淡褐色の固体生成物(1.029g、収率:71%)を得た。
ESI-MS m/z: 493.0 [M+H]+。
【0120】
化合物19の合成:
上記の化合物19-6(100mg、0.203mmol)、7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-アミン(32mg、0.208mol)、HOBt(42mg、0.31mmol)、EDCI(60mg、0.31mg)およびDIPEA(0.11mL)を、DMF(5mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージし、室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をFlashで精製し、凍結乾燥して白色固体生成物(56mg、収率:44%)を得た。
ESI-MS m/z:629.2 [M+H]+。
【0121】
実施例20~実施例48:化合物20~化合物48の合成
異なる出発原料を用い、実施例2と同様の合成方法を参照して、表2の目的化合物20~48を得た。
【0122】
【0123】
実施例49:2-フルオロ-5-メトキシ-4-((4-((2-メチル-3-オキソイソインドリン-4-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ベンズアミド(化合物49)の合成
【化53】
【0124】
【0125】
49-1の合成:
4-クロロ-2-(メチルチオ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン(5g、21.93mmol)、無水リン酸カリウム(13.9g、65.8mmol)、およびメチルボロン酸(4g、65.8mmol)を、DMF(100mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(1.61g、2.2mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を室温まで冷却し、セライトを通して濾過し、濾過ケークをEA(50mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して生成物(3.28g、収率:72%)を得た。
ESI-MS m/z: 209.0 [M+H]+。
【0126】
49-2の合成:
上記の化合物49-1(3.2g、15.38mmol)およびBPO(372mg、1.538mmol)を、四塩化炭素(100mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、NBS(3.29g、18.456mmol)をバッチで加えた。混合溶液を80℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮乾固し、残渣をFlashで精製して生成物(1.62g、収率:36.8%) を得た。
ESI-MS m/z: 287.0/289.0 [M+H]+。
【0127】
49-3の合成:
上記の化合物49-2(1.62g、5.644mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.15g、8.467mmol)、および酢酸カリウム(1.66g、16.932mmol)をトルエン(50mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(402mg、0.55mmol)を加えた。混合溶液を50℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物(1.31g、収率:69.5%)を得た。
ESI-MS m/z: 335.1 [M+H]+。
【0128】
49-4の合成:
上記の化合物49-3(1.22g、3.653mmol)、7-ブロモ-2-メチルイソインドリン-1-オン(0.991g、4.383mmol)、およびリン酸カリウム(2.323g、10.96mmol)を、Diox(50mL)/水(10mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(270mg、0.37mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して生成物(735mg、収率:57%)を得た。
ESI-MS m/z: 354.1 [M+H]+。
【0129】
49-5の合成:
上記の化合物49-4(700mg、1.983mmol)をTHF(10mL)/水(2mL)の混合溶液に加え、Oxone(4.9g、7.93mmol)を加えた。混合物を室温で6時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、水(20mL)を系に加え、EA(20mL)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固して、淡褐色固体の粗生成物(760mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 386.0 [M+H]+。
【0130】
49-6の合成:
上記の化合物49-5(500mg、1.3mmol)および19-4(259mg、1.3mmol)をDiox(10mL)に加え、TFA(296mg、2.6mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、95℃に加熱して5時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製し、凍結乾燥してオフホワイトの固体生成物(472mg、収率:72%)を得た。
ESI-MS m/z:505.1 [M+H]+。
【0131】
49-7の合成:
上記の化合物49-6(450mg、0.893mmol)をTHF(10mL)/MeOH(5mL)/水(5mL)に加え、室温で水酸化リチウム一水和物(188mg、4.465mmol)を加えた。混合溶液を室温で6時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を少量に濃縮し、次に水(10mL)を加えた。2N HCl水溶液でpHを2~3に調整し、得られた混合物をEA(20mL×3)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固して淡褐色の固体生成物(271mg、収率:62%)を得た。
ESI-MS m/z: 491.0 [M+H]+。
【0132】
化合物49の合成:
上記の化合物49-7(50mg、0.102mmol)、7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-アミン(16mg、0.104mol)、HOBt(21mg、0.155mmol)、EDCI(30mg、0.155mg)、およびDIPEA(39mg、0.302mmol)を、DMF(5mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージし、室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をpre-TLC (DCM:MeOH=20:1)で精製し、白色固体生成物(12mg、収率:18.8%)を得た。
ESI-MS m/z: 627.2 [M+H]+。
【0133】
実施例50~実施例60:化合物50~化合物60の合成
異なる出発原料を用い、実施例49と同様の合成方法を参照して、表3の目的化合物50~60を得た。
【0134】
【0135】
実施例61:2-(2-フルオロ-5-メトキシ-4-((4-((2-メチル-3-オキソインドール-4-イル)オキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)-8-メチル-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン(化合物61)の合成
【化55】
【0136】
【0137】
61-1の合成:
1,2-ジフルオロ-4-メトキシ-5-ニトロベンゼン(250mg、1.323mmol)および無水炭酸セシウム(864mg、2.65mmol)を、Diox(10mL)に加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、50℃に加熱して4時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、系を水(20mL)でクエンチした。混合溶液を室温で 30分間撹拌し、その後濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、真空下で乾燥させて、褐色の固体生成物(321mg、収率:72%)を得た。
ESI-MS m/z: 338.1 [M+H]+。
【0138】
61-2の合成:
上記の化合物61-1(321mg、0.953mmol)および10%湿潤Pd/C(50mg、50%~55%の水分を含む)を、MeOH(10mL)に加えた。混合溶液を水素で3回パージし、常圧下、室温で20時間激しく撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をセライトで濾過した。濾過ケークをMeOHでリンスし、濾液を濃縮乾固して茶黒色の固体生成物(320mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 308.1 [M+H]+。
【0139】
化合物61の合成:
上記の化合物61-2(50mg、0.163mmol)および19-2(50mg、0.129mmol)をDiox(5mL)に加え、TFA(18.6mg、0.163mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をPre-TLC(DCM:MeOH=20:1)で精製して、オフホワイトの固体生成物(9mg、収率:11.4%)を得た。
ESI-MS m/z: 615.2 [M+H]+。
【0140】
実施例62~実施例66:化合物62~化合物66の合成
異なる出発原料を用い、実施例61と同様の合成方法を参照して、表4の目的化合物62~66を得た。
【0141】
【0142】
実施例67:2-(2-フルオロ-5-メトキシ-4-((4-((2-メチル-3-オキソイソインドール-4-イル)オキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)-8-メチル-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン(化合物67)の合成
【化57】
【0143】
【0144】
67-1の合成:
上記の化合物1-ブロモ-2-フルオロ-5-メトキシ-4-ニトロベンゼン(1.0g、4.016mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.04g、8.032mmol)、および酢酸カリウム(1.41g、16mmol)を、Diox(20mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(293mg、0.4mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して生成物(620mg、収率:52%)を得た。
ESI-MS m/z: 298.1 [M+H]+。
【0145】
67-2の合成:
上記の化合物67-1(280mg、0.943mmol)、tert-ブチル3-ブロモ-1-オキサ-2,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-2-エン-8-カルボキシレート(200mg、0.629mmol)、およびリン酸カリウム(400mg、1.887mmol)を、Diox(10mL)/水(2mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(73mg、0.1mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で5時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して、生成物(122mg、収率:47.4%)を得た。
ESI-MS m/z: 410.1 [M+H]+。
【0146】
67-3の合成:
上記の67-2(122mg、0.298mmol)をEA(5mL)に加えた。完全に溶解した後、4M HCl/Diox(2mL、8mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合物を濃縮乾固した。EA(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を残渣に加えた。得られた混合物を撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL×2)で2回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮乾固して、黄褐色油(95mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 310.1 [M+H]+。
【0147】
67-4の合成:
上記の化合物67-3(95mg、0.298mmol)をTHF(10mL)に加え、氷酢酸(30mg、0.5mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(122mg、37%、1.5mmol)を室温で加えた。混合溶液を室温で30分間撹拌した。次にNaBH(OAc)3(318mg、1.5mmol)を加え、混合溶液を室温でさらに2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、EA(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を混合溶液に加えた。得られた混合物を20分間撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL×2)で2回抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮乾固し、粗生成物を茶色の油状物(110mg、収率:>100%)として得た。
ESI-MS m/z:324.1 [M+H]+。
【0148】
67-5の合成:
上記の化合物67-4(110mg、0.298mmol)および亜鉛粉末(192mg、3.0mmol)をTHF(10mL)に加え、氷酢酸(180mg、3mmol)のTHF(3mL)溶液を室温で滴下した。滴下が完了した後、混合物を室温で5時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をFlashで精製し、凍結乾燥して淡褐色の固体生成物(47mg、収率:53.8%)を得た。
ESI-MS m/z:294.1 [M+H]+。
【0149】
化合物67の合成:
上記の化合物67-5(47mg、0.160mmol)および19-2(50mg、0.129mmol)をDiox(5mL)に加え、TFA(18.6mg、0.163mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をPre-TLC(DCM:MeOH=20:1)で精製してオフホワイトの固体生成物(13mg、収率:16.8%)を得た。
ESI-MS m/z: 601.2 [M+H]+。
【0150】
実施例68および実施例69:化合物68および化合物69の合成
異なる出発原料を用い、実施例67と同様の合成方法を参照して、表5の目的化合物68および69を得た。
【0151】
【0152】
実施例70:4-((4-((1,2-ジメチル-3-オキソイソインドール-4-イル)オキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ベンズアミド(化合物70)の合成
【化59】
【0153】
【0154】
70-1の合成:
メチル2-アセチル-6-(ベンジルオキシ)ベンゾエート(1.0g、3.52mmol)、メチルアミン/エタノール溶液(2mL)、およびPPTS(250mg、1.0mmol)をトルエン(50mL)に加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を混合溶液に加えた。得られた混合物を撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮乾固して粗生成物(1.1g、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 266.1 [M+H]+。
【0155】
70-2の合成:
上記の70-1(1.1g、粗生成物、3.52mmol)および10%湿潤Pd/C(100mg、50%~55%の水分を含む)をMeOH(20mL)に加えた。混合溶液を水素で3回パージし、常圧下室温で20時間激しく撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をセライトで濾過した。濾過ケークをMeOHでリンスし、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体生成物(442mg、収率: 71%)を得た。
ESI-MS m/z: 178.0 [M+H]+。
【0156】
70-3の合成:
上記の化合物70-2(400mg、2.26mmol)および無水炭酸カリウム(624mg、4.52mmol)をDMF(10mL)に加え、混合溶液をアルゴンでパージした。4-クロロ-2-(メチルチオ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン(518mg、2.26mmol)のDMF(5mL)溶液を室温で滴下した。滴下終了後、混合溶液を室温で3時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、系を水(30mL)でクエンチした。混合溶液を室温で30分間撹拌した後、濾過して不純な生成物を得た。この不純な生成物をFlashで精製して、白色の固体生成物(509mg、収率:61%)を得た。
ESI-MS m/z: 370.1 [M+H]+。
【0157】
70-4の合成:
上記の化合物70-3(455mg、1.232mmol)をTHF(10mL)/水(2mL)の混合溶液に加え、Oxone(3.78g、6.16mmol)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、水(20mL)を系に加え、EA(20mL)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固して、淡褐色の固体として粗生成物を得た(480mg、収率:>100%)。
ESI-MS m/z: 376.0 [M+H]+。
【0158】
化合物70の合成:
上記の化合物70-4(100mg、粗生成物)および1-6(50mg、0.156mmol)をDiox(5mL)に加え、TFA(35.6mg、0.312mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製して凍結乾燥し、オフホワイトの固体生成物(12mg、収率:12%)を得た。
ESI-MS m/z: 643.2 [M+H]+。
【0159】
実施例71~実施例73:化合物71~化合物73の合成
異なる出発原料を用い、実施例70と同様の合成方法を参照して、表6の目的化合物71~73を得た。
【0160】
【0161】
実施例74:4-((4-((1,2-ジメチル-3-オキソイソインドール-4-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-フルオロ-5-メトキシ-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ベンズアミド(化合物74)の合成
【化61】
【0162】
【0163】
74-1の合成:
7-アミノ-2,3-ジメチルイソインドリン-1-オン(250mg、1.42mmol)をTHF(10mL)および1N HCl(3mL)に加え、次にNaNO2水溶液(196mg、2.84mmol)を室温で滴下した。滴下終了後、混合物を室温で10分間撹拌し、続いてCuBr2(636mg、2.84mmol)を加えた。混合物を加熱還流し、8時間反応させた。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して、生成物(162mg、収率:47.5%)を得た。
ESI-MS m/z: 240.0/242.0 [M+H]+。
【0164】
74-2の合成:
上記の化合物74-1(162mg、0.675mmol)および化合物49-3(225mg、0.675mmol)とリン酸カリウム(430mg、2.025mmol)とを、Diox(10mL)/水(2mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(73mg、0.1mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して生成物(86mg、収率:34.7%)を得た。
ESI-MS m/z: 368.1 [M+H]+。
【0165】
74-3の合成:
上記の化合物74-2(86mg、0.234mmol)をTHF(10mL)/水(2mL)の混合溶液に加え、Oxone(723mg、1.17mmol)を加えた。混合物を室温で6時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、水(10mL)を系に加え、EA(10mL)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(10mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固して、淡褐色固体の粗生成物(110mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 400.1 [M+H]+。
【0166】
化合物74の合成:
上記の化合物74-3(50mg、粗生成物)および化合物1-6(40mg、0.125mmol)をDiox(5mL)に加え、TFA(28mg、0.25mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をpre-TLCで精製して、オフホワイトの固体生成物(8mg、収率:10%)を得た。
ESI-MS m/z: 641.2 [M+H]+。
【0167】
実施例75~実施例84:化合物75~化合物84の合成
異なる出発原料を用い、実施例70~実施例74と同様の合成方法を参照して、表7の目的化合物75~84を得た。
【0168】
【0169】
実施例85:2-フルオロ-4-((4-((2-メチル-3-オキソイソインドール-4-イル)オキシ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-N-(7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-5-エチルベンズアミド(化合物85)の合成
【化63】
【0170】
【0171】
85-1の合成:
メチル4-アミノ-5-ブロモ-2-フルオロベンゾエート(1.0g、4.032mmol)、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(1.08g、8.06mmol)、およびリン酸カリウム(2.54g、12mmol)を、Diox(50mL)/水(10mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd(dppf)2Cl2(293mg、0.4mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して生成物(512mg、収率:65%)を得た。
ESI-MS m/z: 196.0 [M+H]+。
【0172】
85-2の合成:
上記の85-1(200mg、1.026mmol)および10%湿潤Pd/C(30mg、50%~55%の水分を含む)を、MeOH(10mL)に加えた。混合溶液を水素で3回パージし、常圧下、室温で20時間激しく撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をセライトで濾過した。濾過ケークをMeOHでリンスし、濾液を濃縮して白色固体生成物(212mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z: 198.0 [M+H]+。
【0173】
85-3の合成:
上記の化合物85-2(212mg、1.026mmol)を、THF(10mL)/MeOH(5mL)/水(5mL)に加え、室温で水酸化リチウム一水和物(188mg、4.465mmol)を加えた。混合溶液を室温で6時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を少量に濃縮し、水(10mL)を加えた。2N HCl水溶液でpHを2~3に調整し、得られた混合物をEAで3回抽出した(20mL×3)。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、濾液を濃縮乾固してオフホワイトの固体生成物(135mg、収率:72%)を得た。
ESI-MS m/z: 184.0 [M+H]+。
【0174】
85-4の合成:
上記の化合物85-3(65mg、0.355mmol)、7-メチル-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-アミン(55mg、0.355mol)、HOBt(68mg、0.5mmol)、EDCI(97mg、0.5mg)、およびDIPEA(129mg、1.0mmol)を、DMF(10mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージし、室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液をFlashで精製し、白色固体生成物(55mg、収率:48.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 322.1 [M+H]+。
【0175】
化合物85の合成:
上記の化合物85-4(55mg、0.171mmol)および化合物19-2(50mg、0.129mmol)を、Diox(5mL)に加え、TFA(28mg、0.25mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、80℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了を検出した後、混合物を濃縮し、残渣をpre-TLCで精製して、オフホワイトの固体生成物(16mg、収率:19.8%)を得た。
ESI-MS m/z: 627.2 [M+H]+。
【0176】
実施例86~実施例88:化合物86~化合物88の合成
異なる出発原料を用い、実施例85と同様の合成方法を参照して、表8の目的化合物86~化合物88を得た。
【0177】
【0178】
実施例89:7-((2-((5-フルオロ-2-メトキシ-4-(7-メチル-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物89)の合成
【化65】
【0179】
【0180】
89-1の合成:
上記の化合物1-ブロモ-2-フルオロ-5-メトキシ-4-ニトロベンゼン(770mg、3.079mmol)、tert-ブチル2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(697mg、3.079mmol)、キサントホス(Xantphos)(178mg、0.308mmol)および炭酸セシウム(2.0g、6.158mmol)を、Diox(10mL)に加えた。混合物をアルゴンでパージした後、Pd2(dba)3(141mg、0.154mmol)を加えた。混合溶液を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濾過した。濾過ケークをEA(40mL)で洗浄し、濾液に水(20mL)を加えた。得られた混合物を撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物(890mg、収率:73.1%)を得た。
ESI-MS m/z:396.2 [M+H]+。
【0181】
89-2の合成:
上記の化合物89-1(450mg、1.138mmol)およびTFA(1mL)を、DCM(2mL)に加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮して粗生成物(737mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z:296.1 [M+H]+。
【0182】
89-3の合成:
上記の化合物89-2(737mg、粗生成物、1.138mmol)およびDIPEA(455mg、3.527mmol)を、THF(10mL)/MeOH(2mL)に加えた。混合溶液を室温で10分間撹拌した。次に氷酢酸(137mg、2.276mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(111mg、37%水溶液、1.366mmol)を加え、混合溶液を室温で20分間撹拌した。次にNaBH(OAc)3(482mg、2.276mmol)を加え、混合溶液を室温でさらに1時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して黄色の固体生成物(335mg、収率:95%)を得た。
ESI-MS m/z: 310.1 [M+H]+。
【0183】
89-4の合成:
上記の化合物89-3(335mg、1.083mmol)および10%Pd/C(34mg)をMeOH(10mL)に加えた。混合溶液をH2で3回パージし、常圧下、室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が確認された後、混合溶液を濾過し、濾液を濃縮乾固して暗紫色の油状生成物(303mg、収率:100%)を得た。
ESI-MS m/z: 280.1 [M+H]+。
【0184】
化合物89の合成:
上記の化合物89-4(270mg、0.966mmol)および19-2(374mg、0.966mmol)を、Diox(10mL)に加え、TFA(110mg、0.966mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、90℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製して凍結乾燥し、オフホワイトの固体生成物(195mg、収率:34.4%)を得た。
ESI-MS m/z: 587.2 [M+H]+。
【0185】
実施例90:7-((2-((2-メトキシ-4-(7-メチル-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物90)の合成
【化67】
【0186】
【0187】
90-1の合成:
上記の化合物4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(794mg、4.64mmol)、tert-ブチル2,7-ジアザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(1g、4.42mmol)、無水炭酸カリウム(1.3g、9.28mmol)を、アセトニトリル(10mL)に加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、85℃に加熱して40時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了を検出した後、混合溶液を濃縮した。残渣にEA(20mL)および水(20mL)を加えた。得られた混合物を撹拌し、液体分離を行った。水相をEA(20mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物(1.5g、収率:90%)を得た。
ESI-MS m/z:378.2 [M+H]+。
【0188】
90-2の合成:
上記の化合物90-1(680mg、1.8mmol)およびTFA(2mL)をDCM(4mL)に加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮した。EA(5mL)およびPE(5mL)を残渣に加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、その後濾過した。濾過ケークを真空下で乾燥させ、黄色の固体生成物(730mg、収率:>100%)を得た。
ESI-MS m/z:278.1 [M+H]+。
【0189】
90-3の合成:
上記の化合物90-2(730mg、1.8mmol)およびDIPEA(233mg、1.8mmol)を、THF(20mL)/MeOH(4mL)に加えた。混合溶液を室温で10分間撹拌した。次に氷酢酸(216mg、3.6mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(175mg、37%水溶液、2.16mmol)を加え、混合溶液を室温で20分間撹拌した。次にNaBH(OAc)3(763mg、3.6mmol)を加え、混合溶液を室温でさらに1時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して黄色の泡状固体生成物(516mg、収率:98%)を得た。
ESI-MS m/z: 292.1 [M+H]+。
【0190】
90-4の合成:
上記の化合物90-3(512mg、1.757mmol)および10%Pd/C(50mg)をMeOH(10mL)に加えた。混合溶液をH2で3回パージし、常圧下、室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が確認された後、混合溶液を濾過し、濾液を濃縮乾固して暗紫色の油状生成物(460mg、収率:100%)を得た。
ESI-MS m/z: 262.1 [M+H]+。
【0191】
化合物90の合成:
上記の化合物90-4(220mg、0.843mmol)および19-2(327mg、0.843mmol)をDiox(10mL)に加え、TFA(96mg、0.843mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、90℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製し、凍結乾燥してオフホワイトの不純な生成物(210mg)を得た。次に、不純な生成物をpre-TLC(DCM:MeOH=10:1)で精製して、オフホワイトの固体生成物(127mg、収率:26.5%)を得た。
ESI-MS m/z: 569.2 [M+H]+。
【0192】
実施例91~実施例106:化合物91~化合物106の合成
異なる出発原料を用い、実施例89および実施例90と同様の合成方法を参照して、表9の目的化合物91~106を得た。
【0193】
【0194】
実施例107:7-((2-((5-フルオロ-2-メトキシ-4-(2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物107)の合成
【化69】
【0195】
【0196】
107-1の合成:
上記の化合物89-1(150mg、0.38mmol)および10%Pd/C(30mg)を、MeOH(10mL)に加えた。混合溶液をH2で3回パージし、常圧下、室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、混合溶液を濾過し、濾液を濃縮乾固して紫色の油状生成物(142mg、収率:100%)を得た。
【0197】
107-2の合成:
上記の化合物107-1(142mg、0.38mmol)および19-2(147mg、0.38mmol)をDiox(5mL)に加え、室温でTFA(43mg、0.38mmol)を加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、90℃に加熱して3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を濃縮して茶黒色の固体生成物を得、粗生成物を次のステップで使用した。
ESI-MS m/z: 673.2 [M+H]+。
【0198】
化合物107の合成:
上記の化合物107-2(450mg、0.38mmol)およびTFA(2mL)を、DCM(5mL)に加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、室温で2時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了を検出した後、混合溶液を濃縮し、残渣をFlashで精製して凍結乾燥し、オフホワイトの固体生成物(78mg、収率:35.8%)を得た。
ESI-MS m/z: 573.2 [M+H]+。
【0199】
実施例108:7-((5-クロロ-2-((5-フルオロ-2-メトキシ-4-(7-(メチル-d3)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物108)の合成
【化71】
【0200】
【0201】
化合物108の合成:
上記の化合物107(65mg、0.114mmol)およびK2CO3(47mg、0.34mmol)をDMF(3mL)に加え、CD3I(18mg、0.125mmol)を室温で加えた。混合溶液を室温で3時間撹拌した。LC-MSにより反応の基本的な完了が検出された後、混合物を直接ロードし、Flashで精製し、凍結乾燥してオフホワイトの固体生成物(23mg、収率:34%)を得た。
ESI-MS m/z:590.2 [M+H]+。
【0202】
実施例109:7-((2-((2-メトキシ-4-(7-(メチル-d3)-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物109)の合成
【化73】
【0203】
異なる出発原料を用い、実施例107および実施例108と同様の合成方法を参照して、目的化合物109を得た。
【0204】
実施例110:7-((5-クロロ-2-((5-フルオロ-2-メトキシ-4-(7-メチル-2,7-ジアザスピロ[3.5]ノン-2-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)オキシ)-2-メチルイソインドリン-1-オン(化合物110)の合成
【化74】
【0205】
【0206】
110-1の合成:
7-ヒドロキシ-2-メチルイソインドリン-1-オン(0.85g、5.22mmol)および無水炭酸カリウム(1.44g、10.44mmol)を、DMF(10mL)に加え、混合溶液をアルゴンでパージした。4,5-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン(1.02g、5.22mmol)のDMF(5mL)溶液を室温で滴下した。滴下終了後、混合溶液を室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が検出された後、系を水(30mL)でクエンチした。混合溶液を室温で30分間撹拌した後、濾過した。濾過ケークを水でリンスし、真空乾燥して、オフホワイトの固体生成物(1.42 g、収率:84.5%)を得た。
ESI-MS m/z: 322.0 [M+H]+。
【0207】
110-2の合成:
化合物110-1(1.40g、4.35mmol)をDCM(30mL)に加え、mCPBA(3.5g、17.4mmol)を氷浴中で数回に分けて加えた。混合溶液を室温で20時間撹拌した。LC-MSにより反応の完了が確認された後、混合溶液を、飽和チオ硫酸ナトリウム(30mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)でクエンチした。得られた混合物を室温で15分間撹拌し、液体分離を行った。水相をDCM(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL×2)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固して粗生成物を白色固体(1.56g、収率:>100%)として得た。
ESI-MS m/z:354.0 [M+H]+。
【0208】
化合物110の合成:
上記の化合物110-2(100mg、0.283mmol)および89-4(79mg、0.283mmol)をDiox(5mL)に加え、TFA(97mg、0.85mmol)を室温で加えた。混合溶液をアルゴンでパージし、90℃に加熱して20時間撹拌した。少量の出発物質が残っていることが、LC-MSにより検出された。混合物を濃縮し、残渣をFlashで精製し、凍結乾燥してオフホワイトの固体生成物(32mg、収率:20.4%)を得た。
ESI-MS m/z:553.2 [M+H]+。
【0209】
実施例111~実施例117:化合物111~化合物117の合成
異なる出発原料を用い、実施例110と同様の合成方法を参照して、表10の目的化合物111~117を得た。
【0210】
【0211】
本発明の化合物のうちのいくつかの核磁気水素スペクトルを、以下の表11に示す。
【0212】
【0213】
実施例118:FAK酵素に対する本発明の化合物の阻害活性のアッセイ
DMSOで連続希釈した化合物とFAK組換えタンパク質とを混合し、混合物を室温で10分間放置した。次いで、ビオチン標識TK基質(TK)およびATPを加えた。室温で40分間反応させた後、Sa-XL665およびCrytate標識TK抗体を添加した。混合物を室温で1時間インキュベートした後、615nmおよび665nmでの蛍光強度を測定した。665nmと615nmとの蛍光強度の比を算出した。DMSO対照群と比較して、当該化合物の阻害率およびIC50を算出した。結果を以下の表12に示す。
【0214】
【0215】
実施例119:PC3細胞増殖に対する本発明の化合物の阻害活性のアッセイ
2D活性の検出:1200個のPC3細胞を96ウェルプレートに播種した。一晩接着培養した後、連続希釈した化合物を添加した。添加72時間後にCell Titer-Lumi(Beyotime C0068XL)を添加し、細胞内のATP含量を測定した。細胞の増殖を評価し、細胞増殖に対する当該化合物のIC50を算出した。
【0216】
3D活性の検出:PC3細胞を96ウェルプレートに1200細胞数/ウェルで播種し、3D培養を行った。連続希釈した化合物を添加してから14日後に、細胞の増殖を測定した。DMSO対照群と比較して、当該化合物の阻害率およびIC50を算出した。
【0217】
PC3細胞に対する本発明の化合物の2D/3D阻害活性の結果を、以下の表13に示す。
【0218】
【0219】
上記の表のデータからわかるように、本発明の化合物はPC3 2D細胞に対しては実質的に阻害活性を示さなかったが、PC3 3D細胞に対しては強い阻害活性を示した。また、いくつかの化合物は、対照化合物BI853520よりも有意に強い阻害活性を示した。
【0220】
実施例120:本発明の化合物によるPC3細胞接着の阻害アッセイ
PC3細胞を、8000細胞数/ウェルで添加した。当該細胞を化合物で処理した4時間後、接着細胞数をカウントした。当該化合物の阻害率とIC50とを、DMSO群と比較して算出した。結果を以下の表14に示す。
【0221】
【0222】
上記の表のデータからわかるように、PC3細胞の接着に対する、本発明の化合物のうちのいくつかの阻害活性は、対照化合物BI853520の阻害活性よりも有意に優れていた。
【0223】
実施例121:本発明の化合物によるFAK Y397リン酸化の阻害のアッセイ
PC3細胞を、8000細胞数/ウェルで添加した。細胞を化合物で処理してから3時間後、FAK Y397部位におけるリン酸化を特異的に認識する抗体を用いた酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により、細胞内のFAK Y397部位におけるリン酸化レベルを検出した。当該化合物の阻害率とIC50とを、DMSO群と比較して算出した。
【0224】
実施例122:本発明の化合物のin vivo薬物動態実験
7~10週齢のCD-1雌性マウスに、それぞれ2mg/kgおよび10mg/kgを静脈内投与および経口投与した。投与前に少なくとも12時間、マウスを絶食させ、投与4時間後に餌を与え、実験中は自由に水を飲ませた。
【0225】
実験当日、静脈内投与群の動物には、対応する化合物を10mL/kgの投与量で尾静脈から単回注射し、経口投与群の動物には対応する化合物を10mL/kgの投与量で胃内注射により単回投与した。投与前に動物の体重を測定し、体重に応じて投与量を算出した。サンプル採取時間は、0.083時間、0.167時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間とし、各時点で眼窩静脈叢から全血約200μLを採取し、高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析(LC-MS/MS)による濃度測定のための血漿調製に用いた。血漿中濃度はWinnolin薬物動態ソフトウェアの非コンパートメントモデルを用いて処理し、薬物動態パラメータは対数線形台形法を用いて算出した。マウスにおけるPK特性の評価結果を、表15に示す。
【0226】
【0227】
上記の表のデータからわかるように、化合物19、化合物89、および化合物90は、良好な経口バイオアベイラビリティおよび良好な経口吸収特性を有しており、医薬品の有効性を向上させ、投与量を低減し、投与コストを低減する上で、これらには大きな意義がある。
【0228】
実施例123:MiaPaCa-2モデルにおける本発明の化合物のin vivo有効性試験
Vital River Laboratory Animal Technology Co. Ltd.(中国)から提供された雌性BALB/cヌードマウス(6週齢、18~22g)を、検疫および順応の1週間後に使用した。すべての動物は23±2℃、相対湿度50±5%の室内で飼育され、毎日8:00時から20:00時まで人工照明を当て、1時間に13~18回空気を交換した。標準的な実験用飼料および水は、自由に摂取させた。
【0229】
ヒト膵臓癌Mia PaCa-2細胞を、37℃/5%CO2インキュベーター内で、10%ウシ胎児血清を含む1640培地で従来の方式で培養した。継代培養後、所望の量に達したところで細胞を回収した。1×107個のMia PaCa-2細胞を各ヌードマウスの左背側に注射し、腫瘍が100~200mm3に成長した後、投与のために動物を無作為に群に分けた。溶媒対照群のマウスには0.5%MC-Tween-80を1日2回胃内投与し、化合物群のマウスには0.5%MC-Tween-80懸濁液を1日1回胃内投与した。毎週火曜日と木曜日にマウスの腫瘍体積と体重を測定し、投与後21日目にヌードマウスを屠殺した。
【0230】
化合物の腫瘍増殖抑制能力は、腫瘍増殖抑制率(TGI)=1-(処置群28日目の腫瘍体積-処置群1日目の腫瘍体積)/(対照群28日目の投与体積-対照群1日目の腫瘍体積)で評価した。化合物の毒性を、マウスの体重に基づき評価した。
【0231】
各群は以下の通りである:
1)溶媒対照群、2)対照化合物BI853520群、3)対照化合物B群、4)化合物19群、5)化合物89群、6)化合物90群、7)化合物111群。
【0232】
結果を以下の表16に示す。
【0233】
【0234】
上記のin vivo実験の結果からわかるように、本発明の化合物は、ヒト膵臓癌MiaPaCa-2モデルにおける腫瘍増殖に対して有意な抑制効果を示し、また対照化合物と比較して有意な利点を有していた。また、すべての化合物は良好な毒性耐性を示した。
【0235】
実施例124:PC-3モデルにおける本発明の化合物のin vivo有効性試験
Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.(中国)から提供された雌性BALB/cヌードマウス(6週齢、18~22g)を、検疫および順応の1週間後に使用した。すべての動物は23±2℃、相対湿度50±5%の室内で飼育され、毎日8:00時から20:00時まで人工照明を当て、1時間に13~18回空気を交換した。標準的な実験用飼料および水は、自由に摂取させた。
【0236】
ヒト前立腺癌PC3細胞を、37℃/5%CO2インキュベーター内で、10%ウシ胎児血清を含む1640培地で従来の方式で培養した。継代培養後、所望の量に達したところで細胞を回収した。1×107個のPC3細胞を各ヌードマウスの左背側に注射し、腫瘍が100~200mm3に成長した後、投与のために動物を無作為に群に分けた。溶媒対照群のマウスには0.5% MC-Tween-80を1日2回胃内投与し、化合物群のマウスには0.5% MC-Tween-80懸濁液を1日1回胃内投与した。毎週火曜日と木曜日にマウスの腫瘍体積と体重を測定し、投与後21日目にヌードマウスを屠殺した。
【0237】
化合物の腫瘍増殖抑制能力は、腫瘍増殖抑制率(TGI)=1-(処置群28日目の腫瘍体積-処置群1日目の腫瘍体積)/(対照群28日目の投与体積-対照群1日目の腫瘍体積)で評価した。化合物の毒性を、マウスの体重に基づき評価した。
【0238】
各群は以下の通りである:
1)溶媒対照群、2)対照化合物BI853520群、3)化合物89群、4)化合物90群、5)化合物111群。
【0239】
結果を以下の表17に示す。
【0240】
【0241】
上記のin vivo実験の結果からわかるように、本発明の化合物は、ヒト前立腺癌PC-3モデルにおける腫瘍増殖に対して有意な抑制効果を示し、また対照化合物と比較して有意な利点を有していた。また、すべての化合物は良好な毒性耐性を示した。
【0242】
実施例125:MC38モデルにおける本発明の化合物のin vivo有効性試験
Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.(中国)から提供された雌性BALB/cヌードマウス(6週齢、18~22g)を、検疫および順応の1週間後に使用した。すべての動物は23±2℃、相対湿度50±5%の室内で飼育され、毎日8:00時から20:00時まで人工照明を当て、1時間に13~18回空気を交換した。標準的な実験用飼料および水は、自由に摂取させた。
【0243】
マウス結腸癌MC38細胞を、37℃/5%CO2インキュベーター内で、10%ウシ胎児血清を含む1640培地で従来の方式で培養した。継代培養後、所望の量に達したところで細胞を回収した。1×106個のMC38細胞を、BALB/cマウスの右側に皮下注射し、腫瘍を形成させた。腫瘍が約100mm3に成長した後、動物を無作為に溶媒対照群、試験化合物単剤群、試験化合物+PD-1併用群、PD-1単剤(Bio X Cell社より購入)群に分け、次いで投与を開始した。投与後3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、および21日目にノギスで腫瘍体積を測定した。
【0244】
化合物の腫瘍増殖抑制能力は、腫瘍増殖抑制率(TGI)=1-(処置群28日目の腫瘍体積-処置群1日目の腫瘍体積)/(対照群28日目の投与体積-対照群1日目の腫瘍体積)で評価した。化合物の毒性を、マウスの体重に基づき評価した。
【0245】
各群は以下の通りである:
1)溶媒対照群、2)対照化合物BI853520群、3)PD-1モノクローナル抗体群、4)化合物89群、5)化合物90群、6)化合物111群、7)対照化合物BI853520+PD-1モノクローナル抗体群、8)化合物89+PD-1モノクローナル抗体群、9)化合物90+PD-1モノクローナル抗体群、10)化合物111+PD-1モノクローナル抗体群。
【0246】
結果を以下の表18に示す。
【0247】
【0248】
上記のin vivo実験の結果からわかるように、本発明の化合物とPD-1モノクローナル抗体との併用は、マウス結腸癌MC-38モデルにおける腫瘍増殖に対して良好な抑制効果を示したが、対照化合物の同モデルに対する併用効果は有意ではなかった。また、すべての化合物は、良好な毒性耐性を示した。
【0249】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、これらの実施形態は単なる例示であり、本発明の原理および趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に多くの変更または修正を加えることができることが当業者には理解されよう。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【国際調査報告】