IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フラマトムの特許一覧

特表2024-547099原子炉用流動沈静化アセンブリおよび関連する原子炉および方法
<>
  • 特表-原子炉用流動沈静化アセンブリおよび関連する原子炉および方法 図1
  • 特表-原子炉用流動沈静化アセンブリおよび関連する原子炉および方法 図2
  • 特表-原子炉用流動沈静化アセンブリおよび関連する原子炉および方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】原子炉用流動沈静化アセンブリおよび関連する原子炉および方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 15/02 20060101AFI20241219BHJP
   G21C 1/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G21C15/02 S
G21C1/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537819
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2021000948
(87)【国際公開番号】W WO2023118920
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593128105
【氏名又は名称】フラマトム
【氏名又は名称原語表記】FRAMATOME
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】カウエ,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ガイヤール,オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ポリエ,ドゥニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェセット,バスティアン
(57)【要約】
本発明は、容器(12)および容器(12)内に位置するエンクロージャ(14)を含み、流体が容器(12)の底部部分で容器(12)からエンクロージャ(14)まで循環している原子炉のための流動沈静化アセンブリ(10)に関する。流動沈静化アセンブリ(10)は、流体通過用の開口部を有する外側沈静化装置(28)を含み、外側沈静化装置(28)は、上位部分(34)と下位部分(36)とを含み、上位部分(34)は、上位端部(38)と下位端部(40)の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分(36)は、主軸(D)に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分(36)は、上位部分(34)の下位端部(40)から延在している。本発明はさらに、関連する原子炉および設置方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(12)および容器(12)内に位置するエンクロージャ(14)を含み、流体が容器(12)の底部部分で容器(12)からエンクロージャ(14)まで循環している原子炉のための流動沈静化アセンブリ(10)において、
外側沈静化装置(28)を含み、外側沈静化装置(28)が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置(28)が上位部分(34)と下位部分(36)とを含み、上位部分(34)が、上位端部(38)と下位端部(40)の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分(36)が主軸(D)に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分(36)が上位部分(34)の下位端部(40)から延在していることを特徴とする、流動沈静化アセンブリ(10)。
【請求項2】
容器(12)からエンクロージャ(14)への流体の流動を分配するための流動分配装置(26)を含み、外側沈静化装置(28)が流動分配装置(26)を半径方向に取囲んでいる、請求項1に記載の流動沈静化アセンブリ(10)。
【請求項3】
外側沈静化装置(28)が、容器(12)のいずれの加圧要素とも全く接触しないように構成されている、請求項1または2に記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項4】
上位部分(34)の上位端部(38)が、下位端部(40)よりも大きい寸法を有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項5】
上位部分(34)が、円形基部を伴うフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分(36)が、円筒形である、請求項1から4のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項6】
下位部分(36)には貫通孔の複数の横列(44)が具備されており、横列が、隣接する横列との関係において互い違いに置かれている、請求項1から5のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項7】
上位部分(34)には、複数の穴(42)が具備されている、請求項1から6のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項8】
下位部分(36)が、流動分配装置(26)を半径方向に取り囲んでいる、請求項1から7のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項9】
外側沈静化装置(28)が、エンクロージャ(14)の底部部分から、容器(12)の底部表面(19)まで0.5センチメートル~10センチメートルの距離のところまで延在するように適応されている、請求項1から8のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項10】
外側沈静化装置(28)には、容器(12)の内部で外側沈静化装置(28)を締結するために前記外側沈静化装置(28)の上位端部に取付けられる複数の締結具(48)が具備されている、請求項1から9のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項11】
外側沈静化装置(28)には、複数の指標要素(56)が具備されており、指標要素(56)が、前記外側沈静化装置(28)を容器内に挿入するかまたはそこから引抜くために挿入および/または引抜き工具(100)と協働するように適応されている、請求項1から10のいずれか一つに記載の流動沈静化アセンブリ。
【請求項12】
容器(12)および容器(12)内に位置するエンクロージャ(14)を含み、流体が容器(12)の底部部分で容器(12)からエンクロージャ(14)まで循環している原子炉において、流動沈静化アセンブリ(10)が具備されている原子炉であって、
流動沈静化アセンブリ(10)が、外側沈静化装置(28)を含み、外側沈静化装置(28)が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置(28)が上位部分(34)と下位部分(36)とを含み、上位部分(34)が、上位端部(38)と下位端部(40)の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分(36)が主軸(D)に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分(36)が上位部分(34)の下位端部(40)から延在していることを特徴とする、原子炉。
【請求項13】
容器(12)および容器(12)内に位置するエンクロージャ(14)を含む原子炉内に外側沈静化装置(28)を設置するための方法において、原子炉がエンクロージャ(14)内に位置設定された原子炉炉心を含み、流体が容器(12)の底部部分で容器(12)からエンクロージャ(14)まで循環しており、該方法が、
- 容器(12)から内部構造および核燃料集合体を出すステップと、
- 外側沈静化装置(28)を提供するステップであって、外側沈静化装置(28)が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置(28)が上位部分(34)と下位部分(36)とを含み、上位部分(34)が、上位端部(38)と下位端部(40)の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分(36)が主軸(D)に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分(36)が上位部分(34)の下位端部(40)から延在している、外側沈静化装置(28)を提供するステップステップと、
- 容器(12)内で外側沈静化装置(28)を下降させるステップと、
- 容器(12)内部で外側沈静化装置(28)を締結するステップと、
- 内部構造および核燃料集合体を容器(12)内に再設置するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
外側沈静化装置(28)が、容器(12)の内側表面(17)から半径方向に突出する突出部(18)に対しておよび/または原子炉炉心の下位プレート(24)に対して締結されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
外側沈静化装置(28)は、エンクロージャ(14)の底部部分から容器(12)の底部表面(19)に対して0.5センチメートル~10センチメートルの距離のところまで延在するような形で締結されている、請求項13または14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器および容器内に位置するエンクロージャを含み、流体が容器の底部部分で容器からエンクロージャまで循環する原子炉のための流動沈静化アセンブリに関する。
【0002】
本発明はさらに、関連する原子炉および原子炉内に外側沈静化装置を設置するための関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流体が、容器の底部に達し方向転換して原子炉炉心を含むエンクロージャ内に入るとき、流体流量は変動し得る。このことは、観察対象の原子力の変動を導く可能性があり、その結果、原子炉出力がさらに制限され得る。
【0004】
欧州特許第3729464号明細書は、容器と、容器の内部に位置設定されたエンクロージャであって、注入回路から容器底部まで流体が循環しその後エンクロージャに進入してそれを通って循環することを可能にするような形で開放している下端部を有するエンクロージャと、エンクロージャ内に均一に入る流動を作るように構成された流動の拡散要素と、を含む原子炉について記述している。拡散要素は、前記拡散要素と容器底部の間に障害物が一切無い混合ゾーンを画定する。
【0005】
拡散要素は、複数のオリフィスを伴う実質的に円形または多角形の平坦な表面部分を含み、平坦部分は、支持体から第1の距離のところ、そして容器底部の下限から第2の距離のところに位置設定され、第2の距離は第1の距離よりも大きい。
【0006】
しかしながら、これによって、異なる注入回路から来る流動の合流領域が容器の底部にもたらされ、これが不安定で強い渦の原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第3729464号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の1つの目的は、容器とエンクロージャの間の流動を効果的に沈静するための流動沈静化アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的で、本発明は、上述のタイプの流動沈静化アセンブリにおいて、外側沈静化装置を含み、外側沈静化装置が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置が上位部分と下位部分とを含み、上位部分が、上位端部と下位端部の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分が主軸に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分が上位部分の下位端部から延在していることを特徴とする、流動沈静化アセンブリに関する。
【0010】
外側沈静化装置の存在および形状は、流動を効果的に沈静し、下部プレナム内部の流動の適正な方向転換に有利に作用する。適正な方向転換の結果、合流領域における渦が安定しかつ制御されたものとなり、これにより、混合は改善され、エンクロージャ入口における質量流量の空間的および時間的不均質性が制限される。実際、混合が改善されればされるほど、エンクロージャ内部の炉心の動作は改善される。
【0011】
本発明の具体的実施形態によると、流動沈静化アセンブリは、単独で考慮された、あるいは任意の技術的に可能な組合せにしたがって考慮された以下の特徴の1つ以上を有する:
- 容器からエンクロージャへの流体の流動を分配するための流動分配装置を含み、外側沈静化装置は流動分配装置を半径方向に取囲んでいる;
- 外側沈静化装置は、容器のいずれの加圧要素とも全く接触しないように構成されている;
- 上位部分の上位端部は、下位端部よりも大きい寸法を有する;
- 上位部分は、円形基部を伴うフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分は円筒形である;
- 下位部分には貫通孔の複数の横列が具備されており、横列は、隣接する横列との関係において互い違いに置かれている;
- 上位部分には、複数の穴が具備されている;
- 下位部分は、流動分配装置を半径方向に取り囲んでいる;
- 外側沈静化装置は、エンクロージャの底部部分から、容器の底部表面まで0.5センチメートル~10センチメートルの距離のところまで延在するように適応されている;
- 外側沈静化装置には、容器の内部で外側沈静化装置を締結するために前記外側沈静化装置の上位端部に取付けられる複数の締結具が具備されている;および/または、
- 外側沈静化装置には複数の指標要素が具備されており、指標要素は、前記外側沈静化装置を容器内に挿入するかまたはそこから引抜くために挿入および/または引抜き工具と協働するように適応されている。
【0012】
本発明はさらに、容器および容器内に位置するエンクロージャを含み、流体が容器の底部部分で容器からエンクロージャまで循環している原子炉において、流動沈静化アセンブリが具備されている原子炉であって、ここで流動沈静化アセンブリが、外側沈静化装置を含み、外側沈静化装置が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置が上位部分と下位部分とを含み、上位部分が、上位端部と下位端部の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分が主軸に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分が上位部分の下位端部から延在していることを特徴とする、原子炉に関する。
【0013】
本発明はさらに、容器および容器内に位置するエンクロージャを含む原子炉内に外側沈静化装置を設置するための方法において、原子炉がエンクロージャ内に位置設定された原子炉炉心を含み、流体が容器の底部部分で容器からエンクロージャまで循環しており、該方法が、
- 容器から内部構造および核燃料集合体を出すステップと、
- 外側沈静化装置を提供するステップであって、外側沈静化装置が流体通過用の開口部を有し、外側沈静化装置が上位部分と下位部分とを含み、上位部分が、上位端部と下位端部の間に延在するフレア状または円錐状の環状部を含み、下位部分が主軸に沿って対称性を呈する形状を有し、下位部分が上位部分の下位端部から延在している、外側沈静化装置を提供するステップと、
- 容器内で外側沈静化装置を下降させるステップと、
- 容器内部で外側沈静化装置を締結するステップと、
- 内部構造および核燃料集合体を容器内に再設置するステップと、
を含む方法に関する。
【0014】
本発明の具体的実施形態によると、該方法は、単独で考慮された、あるいは任意の技術的に可能な組合せにしたがって考慮された以下の特徴の1つ以上を有する:
- 外側沈静化装置は、容器の内側表面から半径方向に突出する突出部に対しておよび/または原子炉炉心の下位プレートに対して締結されている;および/または
- 外側沈静化装置は、エンクロージャの底部部分から容器の底部表面に対して0.5センチメートル~10センチメートルの距離のところまで延在するように締結されている。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、単に一例として提供され添付図面を参照して記されている以下の説明を読んだ時点で明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の流動沈静化アセンブリの一例を伴う原子炉の容器の底部部分の概略図である。
図2図1の流動沈静化アセンブリの外側沈静化装置を三次元で表している。
図3】挿入および/または引抜き工具を伴う、図2の外側沈静化装置を三次元で表している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
流動沈静化アセンブリの一例が、図1に表されている。
【0018】
流動沈静化アセンブリ10は、容器12と容器12内に位置するエンクロージャ14とを含む原子炉に適応されている。
【0019】
容器12は、外側壁16によって境界画定されている。
【0020】
前記外側壁16は、容器12の内側表面17を画定する。前記内側表面17はここでは、前記内側表面17から容器の内部に向かって、詳細にはエンクロージャ14に向かって半径方向に突出する突出部18を含む。
【0021】
前記外側壁16は、容器12の底部表面19を画定している。
【0022】
前記底部表面19は、内側表面17の一部である。
【0023】
エンクロージャ14は、内側壁20によって境界画定されている。
【0024】
内側壁20は、主軸&#8558;に沿って対称性を呈する。
【0025】
内側壁20は、軸に沿って移動させた所与の輪郭に対応する。
【0026】
代表的な実施形態において、前記内側壁20はここでは円筒形である。
【0027】
エンクロージャ14は、エンクロージャ14の下位端部において開放している。
【0028】
外側壁16は、エンクロージャ14の内側壁20を半径方向に取り囲む側面部分22を含む。
【0029】
側面部分22は、実質的に円筒形である。
【0030】
炉心が、エンクロージャ14の内部に位置設定される。
【0031】
炉心は、例えば、核燃料棒を含む核燃料集合体を含む。
【0032】
炉心は、孔が具備された下部プレート24の上方に位置設定される。
【0033】
容器12の底部部分において容器12からエンクロージャ14へと流体が循環する。
【0034】
より詳細には、流体は、容器12とエンクロージャ14の間の空間内、より正確には、外側壁16と内側壁20の間の空間を下向きに、次にエンクロージャ14の下位端部において容器12からエンクロージャ14へと循環する。
【0035】
こうして、流体はエンクロージャ14に進入し、エンクロージャ14内を循環する。
【0036】
容器12とエンクロージャ14の間、詳細には外側壁16の側面部分22と内側壁20の間の空間は、実質的に環状の横断面を有する注入回路に対応する。
【0037】
流動沈静化アセンブリ10はここでは、外側沈静化装置28を含む。
【0038】
描かれた実施形態において、流動沈静化アセンブリ10はさらに、流動分配装置26を含む。
【0039】
流動分配装置26は、例えば公知の方法で、容器12からエンクロージャ14への流体の流動を分配する。詳細には、流動分配装置26は、エンクロージャ14に入る流体の流動を均一にするように構成されている。
【0040】
流動分配装置26は例えば、側壁30および界面32を含む。
【0041】
側壁30には、流体の通過用の開口部が設けられていない。
【0042】
側壁30は、主軸Dに沿って対称性を呈している。
【0043】
側壁30は、軸に沿って移動された所与の輪郭に対応している。
【0044】
代表的な実施形態において、側壁30は実質的に円筒形である。
【0045】
代替的には、所与の輪郭は多角形である。
【0046】
側壁30および内側壁20は、同軸である。
【0047】
界面32は、側壁30の下位端部を閉鎖する。
【0048】
界面32は、側壁30が周囲に延在している軸に直交する。
【0049】
界面32は、例えば、ディスクの形状をしている。代替的には、界面32は多角形の形状をしている。
【0050】
界面32は、例えば格子である。
【0051】
格子は、例えば、燃料集合体の見積もりサイズと燃料集合体間のピッチのサイズの半分との間のサイズの開口部を有する。
【0052】
外側沈静化装置28は、流動分配装置26を半径方向に取り囲んでいる。
【0053】
外側沈静化装置28は、エンクロージャ14の上流側で、かつ該当する場合には流動分配装置26の前に、流体の流動を沈静するように適応されている。
【0054】
外側沈静化装置28は、1つの実施形態が以下で記述される通り、流体の通過用の開口部を有する。
【0055】
外側沈静化装置28は、エンクロージャ14の底部部分から、詳細にはエンクロージャ14の下位端部から、容器の底部表面に対して10センチメートル未満、より正確には5センチメートル未満の距離のところまで延在する。
【0056】
より詳細には、外側沈静化装置28の下位端部と容器12の底部表面19の間の距離は、0.5センチメートル~10センチメートルである。
【0057】
突出部18を除いて、外側沈静化装置28と容器12の間には接触が一切無い。
【0058】
外側沈静化装置28は、容器のいずれの加圧壁とも接触しておらず、突出部は圧力を受けていない。
【0059】
外側沈静化装置28は、容器12のいずれの加圧要素とも全く接触していない。
【0060】
代表的な実施形態において、外側沈静化装置28は、上位部分34と下位部分36を含む。
【0061】
上位部分34は、フレア状または円錐状の環状部を含み、より正確には、フレア状または円錐状の環状部である。
【0062】
環状部、より正確には上位部分34は、例えば基部から頂点に向かってテーパの付いた円錐の一部の形状を有し、前記頂点はここでは、上位部分の下方に位置設定されている。代替的には、環状部、より正確には上位部分34は、例えば基部からテーパの付いた形状を有する。
【0063】
代表的な実施形態において、上位部分34は、1本の軸を中心として詳細には主軸Dを中心として実質的に回転対称である全体的な形状を有する。
【0064】
基部はここでは円形である。したがって、上位部分34は、円形基部を伴う円錐状の環状部を含み、より正確には環状部である。
【0065】
代替的には、基部は円形でない。
【0066】
基部は、例えば多角形の形状を有する。
【0067】
上位部分34は、上位端部38と下位端部40の間に延在する。
【0068】
上位端部38は、下位端部40よりも大きい寸法、詳細にはより大きい直径を有する。
【0069】
上位部分34には、複数の穴42が具備されている。
【0070】
穴42は、縦列状に配設されている。1本の縦列内の穴は、例えば、隣接する縦列内の穴との関係において互い違いに置かれている。
【0071】
各穴42は、例えば丸いものである。
【0072】
穴の全表面は、上位部分34の表面、ここでは円錐の表面の10%~60%に等しい。
【0073】
各穴は、例えば、30~100mmの直径を有する。
【0074】
前記直径は、調査対象の原子炉の水圧的最適化によって左右される。
【0075】
穴42を通って進む流体は、炉心周辺に直接補給される。詳細には、穴42を通って進む流体は、流動分配装置26を通って進まない。
【0076】
下位部分36の形状は、主軸Dに沿って対称性を呈する。
【0077】
下位部分36の形状は、前記主軸に沿って移動された所与の輪郭に対応する。
【0078】
所与の輪郭は、例えば、上位部分34の下位端部40の輪郭である。
【0079】
代表的な実施形態において、下位部分36は円筒形である。
【0080】
代替的には、輪郭は、多角形の形状を有する。
【0081】
下位部分36はここでは、主軸Dを中心として延在している。
【0082】
主軸Dは、円筒形の軸である。
【0083】
下位部分36は、上位部分34の下位端部40から延在する。
【0084】
上位部分34の下位端部40は、下位部分36の上位端部と一致する。
【0085】
下位部分36は、上位部分34の下位端部40と一体であるかまたはこれと共に固定されている。代表的な実施形態において、下位部分36は上位部分34と一体であり、外側沈静化装置28は一体的に作られている。
【0086】
下位部分36は、上位部分34の下位端部40と同じ直径を有する。
【0087】
下位部分は、例えば、主軸Dに沿った外側沈静化装置28の高さの40%~60%の高さを有する。
【0088】
下位部分36には、貫通孔44の複数の横列が具備されており、横列は例えば、隣接する横列との関係において互い違いに置かれている。
【0089】
例えば、少なくとも3つの貫通孔の横列44、例えば3つまたは4つの横列が存在する。
【0090】
各横列は、下位部分36の外周に対応する。
【0091】
貫通孔44は、ここでは隅に縁のある矩形である。
【0092】
貫通孔44は、下位部分36の帯状部分46内に配設されている。
【0093】
前記帯状部分46は、下位部分36の下位端部から延在する。
【0094】
帯状部分46は、下位部分36の少なくとも半分に相当する。
【0095】
貫通孔44は、帯状部分46の表面の少なくとも75%に相当する。
【0096】
各貫通孔44は、150cm~350cmの表面積を有する。
【0097】
各貫通孔44は例えば、15cm~40cmの長さと5cm~15cmの幅を有する。
【0098】
下位部分36は、流動分配装置26、詳細には流動分配装置26の界面32を半径方向に取り囲んでいる。
【0099】
貫通孔44を通過する流体はさらに、流動分配装置26の界面32を通って進む。
【0100】
代表的な実施形態において、外側沈静化装置28には、外側沈静化装置28を容器12と連結するため、前記外側沈静化装置28の上位端部、ここでは上位端部38に取付けられた複数の締結具48が具備されている。
【0101】
締結具48は、外側沈静化装置28の上位端部から突出する耳状部50に対して取付けられる、詳細にはここではボルト留めされる。
【0102】
耳状部50には、締結具48を対応する耳状部50に対し締結するため、ここではボルト留めするための孔、詳細にはネジ孔が具備されている。
【0103】
耳状部は、半径方向に突出する。
【0104】
各締結具48について1対の耳状部50が存在する。
【0105】
代表的な実施形態において、締結具48は例えば、U字形プレートである。
【0106】
締結具48は、2つのアーム52と、2つのアーム52を連結する中央部分54とを含む。
【0107】
各アーム52は、耳状部50に取付けられる、詳細にはここではボルト留めされる。
【0108】
各アーム52は、耳状部50から上向きに延在する。
【0109】
各アーム52はここでは、主軸Dに対し実質的に平行に延在する。
【0110】
したがって、中央部分54は、対応するアーム52よりも高い。各々の中央部分54はここでは、外側沈静化装置に対し局所的な接線方向に沿って、主軸Dに直交して延在する。
【0111】
各中央部分54は、対応する突出部18の上位面に対面しこの上に載るように適応された表面を有する。
【0112】
一変形実施形態においては、締結具48はさらに、2つのアームを連結する下位連結部分を含む。
【0113】
下位連結部分は、対応する突出部18の遠位表面と部分的に対面し、詳細にはこの表面と接触するように適応されている。
【0114】
代表的な実施形態においては、突出部18と同数の締結具48が存在する。
【0115】
代替的には、締結具48よりも多くの突出部18が存在する。詳細には、締結具の数は、突出部の数の半分と突出部の数の間である。半分から全ての突出部の間で締結が行なわれると考えられる。
【0116】
各締結具48は、それぞれの突出部18の上に載っている。
【0117】
各締結具48、詳細には各中央部分54はさらに、それぞれの突出部に取付けられる、詳細には、ここではボルト留めされる。
【0118】
外側沈静化装置28は、突出部18に締結される。
【0119】
外側沈静化装置28は、例えば、突出部18の通過のためのノッチ55をさらに含む。
【0120】
詳細には、各耳状部対50の耳状部の間に、外側沈静化装置28は1つのノッチ55を含む。
【0121】
したがって、各突出部18は、中央部分54の下方で締結具48を通って、そしてノッチ55を通る。
【0122】
したがって、各突出部18は、上方にそして大部分の側面の上に位置設定された対応する締結具48と、下方にそして部分的には側面の上に位置設定された対応するノッチ55との間に配設されている。
【0123】
該当する場合、締結具の下位連結部分は、対応する突出部を取り囲むように、対応するノッチを通って延在する。
【0124】
代替的には、外側沈静化装置28は、原子炉炉心の下位プレートに締結される。
【0125】
代表的な実施形態において、外側沈静化装置28にはさらに、複数の指標要素56が具備されている。
【0126】
指標要素56は例えば、ここでは、外側沈静化装置の上位端部にある孔である。
【0127】
指標要素56は、より正確には、例えばいくつかの耳状部対50から延在する延在部分の中に具備された孔の対である。
【0128】
指標要素56は、後述する通り、前記外側沈静化装置28を容器12内に挿入またはそこから引抜くための挿入および/または引抜き工具と協働するように適応されている。
【0129】
動作中、注入回路からエンクロージャ14に向かって流れる流体は、まず、外側沈静化装置28を通って、詳細には外側沈静化装置28の下位部分36を通って、貫通孔44を通って進む。
【0130】
外側沈静化装置28の下位端部と容器の底部表面の間の距離によって、大部分の流体が、まず外側沈静化装置28を通って進むことが可能となる。
【0131】
外側沈静化装置28は、エンクロージャ、そして該当する場合には流動分配装置26の上流側で流体の流動を沈静する。
【0132】
大部分の流体は、外側沈静化装置28の貫通孔44を通って進み、次に流動分配装置26、詳細には界面32を通って進み、こうして容器12からエンクロージャ14へ流体の流動を分配することになる。流体は最終的に、前記流動分配装置26を通ってエンクロージャ14に入る。
【0133】
したがって前記流体は、まず沈静され、その後分配され、こうして乱流が削減されることになる。
【0134】
代表的な実施形態において、流体の一部は、穴42を通って進み、直接炉心の周辺に補給される。前記流体は、外側沈静化装置28によって直接沈静される。
【0135】
外側沈静化装置28の形状は、エンクロージャの上流側で流体の流動を沈静するために特に有利である。この形状は、下位プレナム内での流動の適切な方向転換に有利に作用する。
【0136】
ここで、原子炉、詳細には既存の原子炉内に外側沈静化装置を設置するための方法について説明する。
【0137】
原子炉は、先に説明した通り、容器とこの容器内に位置するエンクロージャを含む。
【0138】
説明された実施形態において、原子炉にはさらに、容器からエンクロージャへの流体の流動を分配するため、例えば先に説明した通りの流動分配装置が具備されている。
【0139】
しかしながら原子炉には、先に説明した通り、外側沈静化装置が設けられていない。
【0140】
該方法は、以下のステップを含む:
- 容器から内部構造および核燃料集合体を出すステップ;
- 外側沈静化装置を提供するステップ;
- 容器内で外側沈静化装置を下降させるステップ;
- 容器内部で外側沈静化装置を締結するステップ;および、
- 内部構造および核燃料集合体を容器内に再設置するステップ。
【0141】
容器から内部構造および核燃料集合体を出すステップによって、容器の底部にアクセスできることになる。
【0142】
容器の全ての内部構造は、前記容器から取出される。
【0143】
内部構造は、内側壁20を含む。
【0144】
内部構造は、下位内部構造と上位内部構造を含む。
【0145】
内部構造、詳細には下位内部構造は、流動分配装置26を含む。
【0146】
下位内部構造は、炉心の重量を担持し、燃料集合体を保持し、クラスタおよび器具類の整列を制御し、熱伝導流体の流動を導き、炉心が発出する放射線から容器を防護し、かつ、必要なアライメント精度を考慮して高度の剛性を必ず維持する。
【0147】
上位内部構造は、燃料集合体と厳密に一直線上に制御クラスタを位置付けする。
【0148】
先に説明した通りの外側沈静化装置が提供され、容器内部を下降させられる。
【0149】
外側沈静化装置は、例えば、図3に描かれている通り、挿入および/または引抜き工具100によって取扱われる。
【0150】
工具100は、中心104に一緒に取付けられている複数の、少なくとも3つのビーム102を含む。
【0151】
ビーム102は、各ビームの中央が中心104に来るように共に連結されている。
【0152】
ビーム102は、同じ平面内で延在する。
【0153】
ビーム102は、類似の長さを有する。
【0154】
ビーム102の端部は、外接円がビームの全ての端部を通過するようになっている。
【0155】
工具100はさらに、中心104でビーム102を繋ぎ合わせる補強用構造106を含む。
【0156】
ビーム102のいくつかの端部には、指標要素56の相補的要素108が具備されている。
【0157】
相補的要素108は、工具100と外側沈静化装置28を共にしっかり固定するために、指標要素56と協働するように適応されている。
【0158】
工具100および外側沈静化装置28は例えば、ねじ留めまたはボルト留めによってしっかり固定される。
【0159】
ここでは、工具100は、外側沈静化装置28にしっかり固定される。
【0160】
したがって、工具100は、外側沈静化装置28を容器12の内部で下降させる。
【0161】
外側沈静化装置28は、流動分配装置を半径方向に取り囲み、容器の底部表面まで10センチメートル未満、より正確には5センチメートル未満の距離のところまでエンクロージャの底部部分から延在するように、下降させられる。
【0162】
前記距離は、0.5センチメートル~10センチメートルである。
【0163】
詳細には、外側沈静化装置28は、締結具48が突出部18に接触するまで下降させられる。
【0164】
工具100は、次に、外側沈静化装置28から分離され除去される。
【0165】
外側沈静化装置28は、次に、容器14の内部で、例えば突出部18に対して締結される。
【0166】
詳細には、各締結具48は、対応する突出部18に締結される。
【0167】
一実施形態において、少なくとも1つのボルトが、各締結具48を通して、ここでは中央部分54を通って、かつ該当する場合には下位連結部分を通って、対応する突出部18内へ直接ねじ留めされる。
【0168】
代替的には、外側沈静化装置28は、原子炉炉心の下位プレートに締結される。
【0169】
その後、撤去ステップ中に容器から除去された全ての要素が、容器の内部に再設置される。
【0170】
この方法は、既存の原子炉に外側沈静化装置を追加することを可能にし、こうして、既存の原子炉は、本発明に係る流動沈静化アセンブリを有することになる。
【0171】
さらに、前記工具100は、詳細には何らかのメンテナンス作業のために、容器12から外側沈静化装置28を引抜くようにさらに適応される。
【0172】
このような場合には、外側沈静化装置28は例えば、締結具48から結合解除され、こうして締結具48は突出部18の上にとどまり、外側沈静化装置28は締結具無しで容器12から引抜かれることになる。
【0173】
後に、外側沈静化装置28は容器の内部に再設置され、締結具は外側沈静化装置28に、こうしてここでは耳状部50に対し再度取付けられることになる。
【0174】
代替的には、締結具48は、突出部18から結合解除され、こうして外側沈静化装置28は、締結具と共に容器12から引抜かれ、外側沈静化装置28は、容器の内部に再設置され、締結具は、突出部上に再度位置付けされる。
【0175】
外側沈静化装置は、圧力容器壁に直接取付けられておらず、特に容器底部全体を検査するために取外されてよい。
【0176】
本発明の流動沈静化アセンブリは、容器から外側沈静化装置を引抜くことによって、メンテナンス作業を受けることができる。
【0177】
本発明の流動沈静化装置は、流体の流動をこうしてまず沈静させ、その後分配し、こうして原子炉炉心の入口における流体流の乱流が削減されることになるため、極めて有利である。
【符号の説明】
【0178】
10 流動沈静化アセンブリ
12 容器
14 エンクロージャ
26 流動分配装置
28 外側沈静化装置
34 上位部分
36 下位部分
38 上位端部
40 下位端部

図1
図2
図3
【国際調査報告】