(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20241219BHJP
F16K 5/18 20060101ALI20241219BHJP
F16K 11/076 20060101ALI20241219BHJP
F16K 11/085 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F16K5/04 B
F16K5/18
F16K11/076 Z
F16K11/085 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537859
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 DK2022050200
(87)【国際公開番号】W WO2023116997
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524232509
【氏名又は名称】フレーセ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】デービズ ナッジ
【テーマコード(参考)】
3H054
3H067
【Fターム(参考)】
3H054AA02
3H054BB02
3H054CA02
3H054CA34
3H054CE03
3H054GG02
3H067AA23
3H067CC02
3H067DD03
3H067EA02
3H067EA34
3H067GG13
(57)【要約】
弁は、内室壁を有する弁室を備えた弁ハウジングを備える。複数のポートは、弁室に開口しており、弁体(6)は任意選択的にポートの1つ(5a)をシールするために移動可能である。シール部材溝(8)に位置するエンドレスの弾性シール部材(7)は、弁体と内室壁との間をシールしている。シール部材溝は、キャビティ(9)及び開口を画定する断面を有する。シール部材は、キャビティに位置し、開口は、シール部材の断面寸法(D
1)よりも狭く、シール部材溝のキャビティと弁体の周囲とを接続する少なくとも1つの流路(11)が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室(3)を備えた弁ハウジング(2)であって、前記弁室(3)は内室壁(4)を有する、弁ハウジング(2)と;前記弁室(3)内に開口する複数のポート(5)と;前記弁室(3)に対して前記複数のポート(5)の1つ(5a)を任意選択的にシールするために移動可能な弁体(6)と;前記弁体(6)と前記内室壁(4)との間をシールするためにシール部材溝(8)内に位置するエンドレスの弾性シール部材(7)とを備える、弁(1)において、前記シール部材溝(8)が、キャビティ(9)及び開口(10)を画定する断面を有し、前記シール部材(7)が、前記キャビティ(9)内に位置し、前記開口(10)が、前記シール部材(7)の断面寸法(D
1)よりも狭く、かつ、前記シール部材溝(8)の前記キャビティ(9)と前記弁体(6)の周囲とを接続する少なくとも1つの流路(11)が設けられていることを特徴とする、弁。
【請求項2】
前記弁体は、回転軸(A)を中心に回転可能である、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記シール部材溝(8)は、底壁(8c)を備える、請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
前記シール部材(7)は、前記底壁(8c)と前記内室壁(4)との間をシールしている、請求項3に記載の弁。
【請求項5】
使用時に、前記弁体(6)の周囲から前記流路(11)を通って前記溝(8)に流体が入り、前記周囲の圧力において、又は前記周囲の圧力によって、前記シール部材(7)を前記溝(8)の前記開口(10)に向かって付勢することができる、請求項1~4のいずれか一項に記載の弁。
【請求項6】
前記シール部材(7)は、前記溝(8)の前記開口(10)を閉じる、請求項5に記載の弁。
【請求項7】
前記シール部材(7)は、前記開口(10)を閉じながら、前記溝(8)の前記開口(10)を通って膨らむことができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の弁。
【請求項8】
前記弁体(6)は、前記弁体(6)が前記複数のポートの1つ(5a)をシールする回転位置にあるときに、前記複数のポート(5)の1つ(5a)を取り囲む前記内室壁(4)の一部(13)に隣接して配置されるように適合されたシール面(12)を有し、前記シール部材溝(8)は、前記シール部材(7)が、前記弁体(6)の前記シール面(12)と前記内室壁(4)との間をシールするように前記複数のポートの1つ(5a)を囲んでいる、請求項1~7のいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流路(11)は、前記弁体(6)が前記複数のポートの1つ(5a)をシールする回転位置にあるときに、前記シール部材溝(8)の前記キャビティ(9)と前記複数のポートの1つ(5a)とを流れ/圧力接続するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の弁。
【請求項10】
前記内室壁は、前記回転軸(A)と同軸の円筒部(4a)を備え、前記複数のポート(5)の少なくとも1つは、前記円筒部(4a)を貫通して前記弁室(3)内に開口している、請求項1~9のいずれか一項に記載の弁。
【請求項11】
前記弁体(6)の前記シール面(12)は、前記回転軸(A)と同軸の円筒面の一部である、請求項10に記載の弁。
【請求項12】
複数の前記流路(11)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の弁。
【請求項13】
前記シール部材(7)は、Oリングである、請求項1~12のいずれか一項に記載の弁。
【請求項14】
前記シール部材溝(8)の前記キャビティ(9)は、前記開口(10)の断面寸法(D
3)と平行な方向において、前記開口(10)の断面寸法(D
3)よりも大きい断面寸法(D
2)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の弁。
【請求項15】
前記シール部材溝(8)は、ダブテール状の断面を有し、前記開口(10)は、前記ダブテール状の断面の狭い部分を構成する、請求項1~14のいずれか一項に記載の弁。
【請求項16】
前記弁(1)は、3つのポート(5)を備える三方弁である、請求項1~15のいずれか一項に記載の弁。
【請求項17】
前記シール部材溝(8)は、弁体(6)において、前記弁体の前記シール面(12)に開口するように位置する、請求項5~16のいずれか一項に記載の弁。
【請求項18】
前記弁体(6)は、約75°~200°の範囲内の角度、好ましくは約90°~180°の範囲内の角度にわたり、より好ましくは、約75°~105°及び約165°~200°の範囲のうちの1つの範囲内の角度にわたる、請求項1~17のいずれか一項に記載の弁。
【請求項19】
前記弁ハウジング及び前記弁体は、耐海水性金属を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の弁。
【請求項20】
弁(1)の使用であって、前記弁(1)は、弁室(3)を備えた弁ハウジング(2)であって、前記弁室(3)は内室壁(4)を有する、弁ハウジング(2)と;前記弁室(3)に開口する複数のポート(5)と;前記弁室(3)に対して前記複数のポートの1つ(5a)を任意選択的にシールするために、回転軸(A)を中心に回転可能な弁体(6)と;前記回転可能な弁体(6)と前記内室壁(4)との間をシールするためにシール部材溝(8)に位置するエンドレスの弾性シール部材(7)と、を備える弁(1)であって、前記シール部材溝(8)は、キャビティ(9)及び開口(10)を画定する断面を有し、前記シール部材(7)は、前記キャビティ(9)に位置し、前記開口(10)は、前記シール部材(7)の断面寸法(D
1)より狭く、かつ、前記シール部材溝(8)の前記キャビティ(9)と前記回転可能な弁体(6)の周囲とを接続する少なくとも1つの流路(11)が設けられており、流体圧力が前記弁体の前記周囲から前記流路を通って前記溝に入り、前記周囲の圧力において、又は前記周囲の圧力によって、前記シール部材を前記溝の前記開口に向かって付勢する、弁(1)の使用。
【請求項21】
弁(1)の使用であって、前記弁(1)は、弁室(3)を備えた弁ハウジング(2)であって、前記弁室(3)は内室壁(4)を有する、弁ハウジング(2)と;前記弁室(3)に開口する複数のポート(5)と;前記弁室(3)に対して前記複数のポートの1つ(5a)を任意選択的にシールするために移動可能な弁体(6)と;前記弁体(6)と前記内室壁(4)との間をシールするためにシール部材溝(8)に位置するエンドレスの弾性シール部材(7)と、を備える弁(1)であって、前記シール部材溝(8)は、キャビティ(9)及び開口(10)を画定する断面を有し、前記シール部材(7)は、前記キャビティ(9)に位置し、前記開口(10)は、前記シール部材(7)の断面寸法(D
1)より狭く、かつ、前記シール部材溝(8)の前記キャビティ(9)と前記弁体(6)の周囲とを接続する少なくとも1つの流路(11)が設けられており、流体圧力が前記弁体の前記周囲から前記流路を通って前記溝に入り、前記周囲の圧力において、又は前記周囲の圧力によって、前記シール部材を前記溝の前記開口に向かって付勢する、弁(1)の使用。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか一項に記載の弁を備える、液体のシステム、特に水のシステム、さらに特に冷却水のシステム。
【請求項23】
請求項1~19のいずれか一項に記載の弁を備える船舶。
【請求項24】
液体のシステム、特に水のシステム、さらに特に冷却水のシステムを備える船舶であって、前記システムは請求項1~19のいずれか一項に記載の弁を備える、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁室を備えた弁ハウジングであって、上記弁室は内室壁を有する、弁ハウジングと;弁室内に開口する複数のポートと;弁室に対して複数のポートの1つを任意選択的にシールするために移動可能な弁体と;弁体と内室壁との間をシールするためにシール部材溝に位置するエンドレスの弾性シール部材とを備える、弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の弁は、例えば、1つのポートから流入し、残る2つのポートから流れ出るように分流するために使用される三方弁であってもよく、これにより、上記2つのポートから流出する流れの相互の比率は、場合によっては上記2つのポートの一方又は他方がシールされ、そのポートを通る流れがゼロになる程度まで、弁体の回転位置を調節することによって、調節され得る。他の可能性としては、3つのポートのそれぞれ2つを通して三方弁に入る2つの流れを混合し、混合流が3つ目のポートを通して三方弁から出るようにすることが挙げられる。この場合も、弁体の回転位置を調節し、場合によっては上記2つのポートの一方又は他方がシールされ、上記ポートを通る流れがゼロになる程度まで、上記2つのポートの一方又は他方をより多く又はより少なく制限することにより、混合流中の2つの流入する流れの相互の比率を調節することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような弁に関連する問題は、特に、一定時間作動後、シール部材が摩耗している場合に、ポートのシールが完全でない場合があることである。したがって、シールが意図されたポートは漏れを起こす場合があり、弁が組み込まれたシステムの特性に応じて、エネルギーや効率の損失などの問題を引き起こす可能性があり、例えば、このような弁が冷却水システムなどにおいて、船などの船舶において使用されるとき、ポンプのエネルギー消費量の増加、清水の生産量の減少、さらには主エンジン燃料消費量の増加といった問題が生じる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、弁の漏れという上述の問題に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、シール部材溝が、キャビティ及び開口を画定する断面を有し、シール部材がキャビティ内に位置し、開口が、シール部材の断面寸法よりも狭く、シール部材溝のキャビティと弁体の周囲とを接続する少なくとも1つの流路が設けられていることを特徴とする上記の種類の弁によって得られる。シール部材を、シール部材の断面寸法よりも狭い開口を備える溝内に配置することにより、シール部材は溝内に捕捉され、流体が流路を通って弁体の周囲から溝内に入り、周囲の圧力において、又は周囲の圧力によって、シール部材を溝の開口に向けて付勢することができ、これによりシール部材は、シール部材の断面寸法がより大きく、弾性があることにより、溝の開口を閉じながら、溝の開口を通って膨らむことができる。代替的に又は追加的に、流路を通って入る圧力が、溝の底壁と内室壁との間のシール部材上に作用してもよい。それにより、シール部材が摩耗した場合でも、シール部材が溝に対向する壁に押し付けられ、内室壁と弁本体の間をシールすることができる。したがって、シールされたポートからの漏れを最小限に抑え、実質的に回避することができる。
【0007】
特許文献1は、内室壁を有する弁室を備えた弁ハウジングと;弁室に開口する複数のポートと;弁室に対して複数のポートの1つを任意選択的にシールするために回転可能な弁体と;弁体と内室壁との間をシールするためにシール部材溝内に位置するOリングとを備える弁を開示している。溝は内壁と;それに平行な外壁と;底壁とを有する。内壁は圧力差を受けたときにOリングが凹部に向けて変位することを可能にするために、流路によって相互接続される複数の凹部を備え、それにより、弁が1つのポートを開き、他のポートを閉じるように操作された際、Oリングが弁ハウジング内のポートの縁を横切って通過するときに損傷したり、挟み込まれたりすることを防止する。この先行技術の弁のシール部材溝は、楕円形状であり、弁体の回転軸の周りに約140°にわたって延びており、したがってOリングがいったん配置されると、シール部材溝内に確実に保持される。使用中、シールされたポートは圧力がかからない。
【0008】
一実施形態では、弁体は、回転軸を中心に回転可能である。
【0009】
一実施形態では、シール部材溝は、底壁を備える。
【0010】
一実施形態では、シール部材(7)は、底壁と内室壁の間をシールしている。
【0011】
一実施形態では、使用時に、流体は、弁体の周囲から流路を通って溝内に入り、周囲の圧力において、又は周囲の圧力によって、シール部材を溝の開口に向かって付勢することができる。
【0012】
一実施形態では、シール部材は、溝の開口を閉じる。
【0013】
一実施形態では、シール部材は、開口を閉じながら、溝の開口を通って膨らむことができる。
【0014】
実用的な実施形態では、弁体は、弁体が複数のポートの1つをシールする回転位置にあるときに、複数のポートの1つを取り囲む内室壁の一部に隣接して配置されるように適合されたシール面を有し、それにより、シール部材溝は、シール部材が弁体のシール面と内室壁との間をシールするように複数のポートの1つを囲んでいる。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの流路は、弁体が複数のポートの1つをシールする回転位置にあるときに、シール部材溝のキャビティと複数のポートの1つとを流れ/圧力接続するように構成される。
【0016】
「流れ/圧力接続」という用語に関しては、一般的に、流路が、溝と弁体の周囲、例えばシールされるポートとを接続し、それによって流体はシール部材溝に進入することができるが、シール部材が溝の開口を閉じるため、流体は溝から流れることができず、また、それ以上流れることができないために流路を通って流体は溝に流入することはできないが、周囲、例えばシールされるポート内の流体の圧力は、溝の開口に対してシール部材の反対側の溝に伝達され、存在することができるため、シール部材を溝の開口に向かって付勢する背圧を提供する、ということが理解されるべきである。
【0017】
一実施形態では、内室壁は回転軸と同軸の円筒部を備え、複数のポートの少なくとも1つは上記円筒部を貫通して弁室内に開口している。内室壁の円筒形状は、弁の製造を容易にし、さらに、微細な公差での製造を容易にする。
【0018】
さらなる実施形態では、弁体のシール面は、回転軸と同軸の円筒面の一部である。
【0019】
一実施形態では、弁は、複数の上記流路を備える。
【0020】
実用的な実施形態では、シール部材はOリングである。Oリングは当技術分野で一般的に知られていることに留意すべきである。たとえば、Oリングは、パッキン又は円環状ジョイントとして知られ、円環の形をした機械的ガスケットであり、円形の断面を有するエラストマーの輪である。
【0021】
一実施形態では、シール部材溝のキャビティは、開口の断面寸法と平行な方向の断面寸法を有し、この断面寸法は、開口の断面寸法よりも大きい。
【0022】
実用的な実施形態では、シール部材溝はダブテール状の断面を有し、開口はダブテール状の断面の狭い部分を構成する。
【0023】
実用的な実施形態では、弁は、3つのポートを備える三方弁である。
【0024】
一実施形態では、弁ハウジング及び弁体は、耐海水性金属を備える。「金属」という用語は、鋼鉄だけでなく、例えばアルミニウム青銅のような非鋼鉄金属を含んでいてもよいことを理解すべきである。
【0025】
本開示はまた、流体圧力が弁体の周囲から流路を通って溝に入り、周囲の圧力において、又は、周囲の圧力によって、シール部材を溝の開口に向かって付勢する、本開示による弁の使用に関する。
【0026】
本開示はまた、本開示による弁を備える液体のシステム、特に水のシステム、さらに特に冷却水のシステムに関する。
【0027】
本開示はまた、本開示による弁を備える船舶に関する。
【0028】
本開示はまた、液体のシステム、特に水のシステム、さらに特に冷却水のシステムを備える船舶に関し、上記システムは、本開示による弁を備える。
【0029】
以下では、概略図面を参照した実施形態の例により、本開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】
図3は、
図2において線III-IIIで示される断面図である。
【
図4】
図4は、
図3において円Bで示される拡大詳細図である。
【
図4b】
図4bは、弁の代替的な又は追加的な機能の仕方を示す、
図4と同様の追加拡大図である。
【
図5a-5c】
図5a~5cは、第1の構成における三方弁による流れの分流を示す図である。
【
図6a-6c】
図6a~6cは、第1の構成における三方弁による2つの流れの混合を示す図である。
【
図7a-7c】
図7a~7cは、第2の構成における三方弁による流れの分流を示す図である。
【
図8a-8c】
図8a~8cは、第2の構成における三方弁による2つの流れの混合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1~
図4は、弁室3を備えた弁ハウジング2を備える弁1を示している。弁室3は内室壁4を有し、複数のポート5が弁室3内に開口している。弁体6は、弁室3に対して複数のポート5の1つのポート5aを任意選択的にシールするために、回転軸Aを中心に回転可能に弁室3内に設けられている。好ましくはOリングの形態である、エンドレスの弾性シール部材7(
図3及び
図4参照)が、回転可能な弁体6と内室壁4との間をシールするためにシール部材溝8内に配置されている。
【0032】
本開示によれば、シール部材溝8は、キャビティ9、開口10、及び開口10に対向する底壁8c(
図4a及び
図4b参照)を画定する断面を有し、外壁8a及び内壁8bは、開口10の両側から底壁8cに向かって斜めに延び、相互に広がっている。シール部材7はキャビティ9内に位置している。開口10は、シール部材7の断面寸法D
1よりも狭い断面寸法D
3を有し、少なくとも1つの流路11、図示の実施形態では4つの流路11が、シール部材溝8のキャビティ9と回転可能な弁体6の周囲とを接続するように設けられている。
【0033】
本実施形態では、回転可能な弁体6は、回転可能な弁体6が複数のポート5の1つのポート5aをシールする回転位置にあるときに、内室壁4の一部13に隣接して配置されるように適合されたシール面12を有し、上記一部13は、複数のポート5の1つのポート5aを取り囲んでいる。シール部材溝8は、シール部材7が弁体6のシール面12と内室壁4との間をシールするために、複数のポートのうちの上記1つのポート5aを囲んでいる。
【0034】
本実施形態では、シール部材溝8は、弁体のシール面12に開口するように弁体6に位置してている。流路11は、キャビティ9から延びてシール面12の浅い凹部12aに開口し、それによりキャビティ9と回転可能な弁体6の周囲とを接続している。
【0035】
図示の実施形態では、(1つ又は複数の)流路11は、回転可能な弁体6が複数のポートの上記1つのポート5aをシールする回転位置にあるときに、シール部材溝8のキャビティ9と複数のポートの上記1つのポート5aとを流れ/圧力接続するように構成されている。
【0036】
図示の実施形態では、内室壁4は、回転軸Aと同軸の円筒部4aを備え、複数のポート5の少なくとも1つ、本実施形態では3つ全てのポートが、上記円筒部4aを貫通して弁室3内に開口している。
【0037】
円筒部4aは、本実施形態では、回転可能な弁体6のシール面12と協働し、上記シール面は、回転軸Aと同軸の別の円筒面の一部である。
【0038】
図示の実施形態では、シール部材溝8のキャビティ9は、開口の断面寸法D3に平行な方向の断面寸法D2を有し、これは開口の断面寸法D3よりも大きい。したがって、シール部材溝8はダブテール状の断面を有し、開口10はダブテール状の断面の狭い部分を構成する。
【0039】
シール部材溝8のダブテール状の断面は、開口10と;対向する底壁8cと;開口10の両側から底壁8cに向かって斜めに相互に広がって延び、後半は対向する円筒部4aと実質的に平行に延びる、外壁8a及び内壁8bと、によって画定される。
【0040】
各ポート5は、それ自体公知の方法で、チューブなどのシステムの構成要素と接続するためのフランジ14を備えている。さらに、図示の実施形態では、各ポート5には、圧力及び/又は温度を測定するための、いわゆるPTプラグ15が設けられている。たとえば、PTプラグは、ポート5内の流体の圧力又は温度を測定するために、ポート5内に延びるボア16に貫通するようにカニューレを挿入することができる1つ又は複数の、たとえば2つのエラストマー体を含む管状体である。
【0041】
三方弁として具体化された弁1は、例えば、流れを2つの流れに分流させるため、あるいは流れを1つの流れに混合させるために使用することができる。
【0042】
図5a~5c、
図6a~6c、
図7a~7c、
図8a~8cは、弁1の様々な用途を示している。弁1のポートは、それぞれA、B、Cと示されており、Cは、分流される流れが弁1に流入するポート、又は混合流が弁1から流出するポートを示す。対応して、A及びBは、分流の2つの分岐のうちの1つが弁1から出るポート、又は混合される2つの流れのうちの1つが弁1に入るポートを示す。
【0043】
図5a~5cは、流れの分流を示しており、
図5bは、ポートA及びポートBを通る相互の流量が弁体6の位置によって調節される調整状態を示している。
図5a及び
図5cは、それぞれポートB及びポートAがシールされ、ポートCを通って入る全流量がそれぞれポートA又はBを通って出ることを示している。
【0044】
図5a~5c及び
図6a~6cに示された実施形態では、シール面12は回転軸の周りに約180°の角度にわたっており、これにより弁本体は、ポートBのシールからポートAのシールに変更するために、又はその逆に変更するために、
図5a又は
図6aの位置から、
図5b又は
図6bの位置を経て
図5c又は
図6cの位置まで、約90°回転させるだけでよいことに留意すべきである。
【0045】
図6a~6cは、2つの流れの混合を示しており、
図6bは、ポートA及びBを通る相互の流量が弁体6の位置によって調節される調整状態を示している。
図6a及び
図6cはそれぞれポートB及びポートAがシールされ、ポートCから出る全流量がそれぞれポートA又はBから入ることを示している。
【0046】
図7a~7cは、再び流れの分流を示しており、
図7bは、ポートA及びBを通る相互の流量が弁体6の位置によって調節される調整状態を示している。
図7a及び
図7cはそれぞれポートB及びポートAがシールされ、ポートCを通って入る全流量がそれぞれポートA又はBを通って出ることを示している。
【0047】
弁1は、1つの枝がT字形のステム又は中間枝を構成し、他の2つの枝がT字形のアームを構成するT字形のものとして構成されていることに留意すべきである。
図5a~5c及び
図6a~6cでは、ポートCがT字形のステムを構成し、
図7a~7c及び
図8a~8cでは、ポートCがT字形の右アームを構成している。当業者であれば、ポートCがTの左アームをどのように構成し得るかを把握するであろう。
【0048】
図7a~7c及び
図8a~8cに示される実施形態では、シール面12は、ポートA又はポートBを覆ってシールすることができるように、回転軸の周りに約90°の角度にわたっており、したがって、弁体は、ポートAのシールからポートBのシールに変更するために、又はその逆に変更するために、
図7a又は
図8aの位置から、
図7b又は
図8bの位置を経て、
図7c又は
図8cの位置まで、約90°回転させる必要がある。
【0049】
図8a~8cは、2つの流れを混合する様子を示しており、
図8bは、ポートA及びBを通る相互の流量が弁体6の位置によって調節される調整状態を示している。
図8a及び
図8cはそれぞれポートA及びポートBがシールされ、これにより、ポートCから出る全流量がそれぞれポートB又はAから入ることを示している。
【0050】
シール部材7の断面寸法D
1よりも狭い開口10を有する溝8にシール部材7を配置することによって、シール部材7は溝8内に捕捉され、流路11を通って流体が弁体6の周囲から、特にシールされているポート5aから溝8内に進入し、上記周囲、すなわち、本実施形態では、シールされているポート5aの、圧力において、又は圧力によって、シール部材7を溝8の開口10に向かって付勢することができ、シール部材7は、より大きな断面寸法D
1とシール部材7の弾力性により、前記開口8を閉じながら、溝8の開口10を通って膨らむことができる。これにより、シール部材7は、溝8に対向する内室壁4の円筒部4aに押し付けられ、シール部材7が摩耗した場合でも、内室壁4と弁本体6との間をシールすることができる。この状況は、
図4aに図示されており、シール部材7の反対側の、弁室3aの部分の圧力に対して、シールされているポート5aの過圧が、流路11に入り、時計回り方向に位置Cから位置Dへとシール部材7の領域に作用し、それによって、開口10を閉じながら(図示せず)、シール部材7を内室壁の対向する円筒部4aに向かって付勢していることが図示されている。
【0051】
追加的に又は代替的に、流路11を通って入る圧力は、底壁8cと円筒部4aとの間のシール部材7に作用することができる。それにより、たとえシール部材7が摩耗している場合であっても、シール部材7は、溝8に対向する内室壁4の円筒部4aに押し付けられ、内室壁4と弁体6との間をシールすることができるが、これは、シール部材7は、流路11を通って進入する圧力によって変形するが、
図3の軸A方向に圧縮される傾向があり、それに対応して、軸A方向に直交する方向、すなわち底壁8cから円筒部4aに向かう方向(又はその逆)に拡張される傾向があることによる。この状況は、
図4bに示されており、シール部材7の反対側の弁室3aの部分における圧力に対して、シールされているポート5aにおける過圧が、流路11に入り、時計回り方向に位置Eから位置Fへとシール部材7の領域に作用し、それによって、シール部材7を溝8の外壁8aに向かって付勢し、シール部材7を円筒部4a及び底壁8cに平行な方向に圧縮する(図示せず)ことを示している。
【0052】
したがって、シールされたポート5aからの漏れは最小限に抑えられ、実質的に回避される可能性がある。
【0053】
上記では、図面に示した実施例を参照して開示したが、特許請求される発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲に定義される発明の範囲内で変形例を提供することができ、そのような変形例は特許請求される発明の範囲内であることを理解されたい。
【国際調査報告】