(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】2つの双極子アレイを有するアンテナデバイス及び関連する通信システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/16 20060101AFI20241219BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20241219BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01Q9/16
H01Q21/08
H01Q1/12 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538135
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2022080870
(87)【国際公開番号】W WO2023117192
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502197150
【氏名又は名称】ティーディーエフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カドリ ベルカセム
(72)【発明者】
【氏名】パリュ セバスチャン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA07
5J021AB03
5J021FA23
5J021HA05
5J047AA12
5J047AB02
5J047AB07
(57)【要約】
本発明は、いわゆる垂直軸(A1)上に整列したそれぞれの中心(112c)を有する低周波双極子(112)の低周波アレイ(104)と、垂直に互いに続くそれぞれの中心(114c)を有する高周波双極子(114)の高周波アレイ(106)と、低周波双極子(112)及び前記高周波双極子(114)のための支持体(115)と、を備えるアンテナデバイス(102)に関する。本デバイスは、各低周波双極子(112)の中心(112c)が2つの高周波双極子(114)の一対(P1;P2)の中心(114c)間に垂直に配置されるように、高周波双極子(114)が配置されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-いわゆる垂直軸(A1)上に整列したそれぞれの中心(112c)を有する低周波双極子(112;212;312)の低周波アレイ(104;204;304)と、
-垂直に互いに続くそれぞれの中心(114c)を有する高周波双極子(114;214;314)の高周波アレイ(106;206;306)と、
-前記低周波双極子(112;212;312)及び前記高周波双極子(114;214;314)のための支持体(115)と
を備える、アンテナデバイス(102;202;302;402;502;602;702;802)において、
各低周波双極子(112;212;312)の前記中心(112c)が、2つの高周波双極子(114;214;314)の一対(P1;P2)の前記中心(114c)間に垂直に配置されるように、前記高周波双極子(114;214;314)が配置されることを特徴とする、アンテナデバイス(102;202;302;402;502;602;702;802)。
【請求項2】
前記支持体(115)が、
-主支持体(116;216;316)であって、前記主支持体(116;216;316)に沿って、前記低周波双極子(112;212;312)が垂直に配置される、主支持体(116;216;316)と、
-補助支持体(118;118a,118b;218;318a,318b)であって、前記補助支持体(118;118a;118b;218;318a,318b)に沿って、前記高周波双極子(104;214;314)が垂直に配置され、前記補助支持体が、前記主支持体に固定される、補助支持体(118;118a,118b;218;318a,318b)と
を備える、請求項1に記載のデバイス(102;202;302;402;502;602;702;802)。
【請求項3】
前記主支持体が、中空の導電性の主マスト(116;216;316)であり、前記デバイスが、前記低周波双極子(112)を、前記低周波アレイの同じ入力/出力コネクタ(120)に電気的に接続する少なくとも1つの内部導体(122a,122b)を備える同軸線(122)を更に備え、これにより、前記主マストが、共通の電気グランドへの戻り線を構成する、請求項2に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項4】
前記主マスト(116;216)上に、前記高周波双極子(114;214)に対する前記低周波双極子(112;212)の分離デバイス(126;226;140)を更に備え、前記分離デバイスが、前記主マストに固定され、前記低周波アレイの前記同軸線(122)の前記内部導体(112a,112b)に接続される、請求項3に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項5】
前記分離デバイスが、前記低周波アレイの前記入力に配置された同軸ローパスフィルタ(140)であり、前記フィルタ(140)が、高インピーダンスと低インピーダンスとの同軸セクション(141.1,142.1,141.2,142.2,141.3,142.3,141.4)の交互を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
各低周波双極子(112;212;312)の前記中心(112c)が、高周波双極子(114)の前記一対(P1;P2)の前記中心(114c)の中央に垂直に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項7】
各対(P1;P2)の前記高周波双極子(114)の前記中心(114c)が、垂直に
整列している、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項8】
少なくとも1つの対(P1)の前記高周波双極子(114)の前記中心(114c)が、前記低周波双極子(112)の前記中心(112c)の一方の側に水平にオフセットされる一方で、高周波双極子(114)の少なくとも1つの他の対(P2)の前記中心(114c)が、前記低周波双極子(112)の他方の側に水平にオフセットされる、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(102;402;502)。
【請求項9】
高周波双極子(114)の前記対(P1,P2,P3,P4)が、前記低周波双極子(112)の両側に交互に配置される、請求項8に記載のデバイス(102;402)。
【請求項10】
2つの連続する低周波双極子に関連付けられた高周波双極子の前記2対(G1;G2)が、前記低周波双極子の同じ側で水平にオフセットされる、請求項8に記載のデバイス(602;802)。
【請求項11】
前記低周波双極子(212)及び前記高周波双極子(214)が、互いに対して傾斜している、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス(202;302)。
【請求項12】
少なくとも1つの高周波双極子(314’)が、低周波双極子(312)の前記中心に配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス(302)。
【請求項13】
前記低周波双極子(112;212;312)及び/又は前記高周波双極子(114;214;314)が、前記それぞれのアレイの動作周波数に関連付けられた波長の1/4に好ましくは等しく、同一線上にある、同じ長さの2つの腕部(112a;212a;312a;114a;214a;314a)を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項14】
前記補助支持体が、少なくとも1つの中空の導電性の補助マスト(118;118a,118b;218;318a,318b)を備え、前記デバイスが、前記少なくとも1つの補助マストの内側を通って、前記高周波双極子(114)を前記高周波アレイの同じ入力/出力コネクタ(128)に電気的に接続する、少なくとも1つの内部導体(130a,130b,130c,130a’、130b’、130c’)を備える同軸線を、更に備え、これにより、前記少なくとも1つのマストが、共通の電気グランドへの戻り線を構成する、請求項3から13のいずれか一項とともに実施される請求項2に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項15】
前記低周波双極子から前記高周波双極子を分離するためのデバイスを更に備え、前記分離デバイスが、前記低周波アレイの前記同軸線の前記内部導体に接続される、請求項14に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項16】
前記分離デバイスが、1つ又は複数の周波数リジェクタフィルタ(126;136)を備える、請求項4又は15に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項17】
低周波双極子(112)ごとに、前記低周波双極子(112)の脚部(112b)周りに配置される少なくとも1つの1/4ウェーブトラップ(150)を更に備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項18】
前記双極子(112;114)の前記脚部(112b;114b)が、互いに平行な2つの固定管を備え、前記1/4ウェーブトラップが、各々が平坦面(150a)を有する
ように長手方向に切り取られた2つの中空円筒体(150)を備え、前記2つの円筒体の前記平坦面(150a)が互いに面するように、前記2つの円筒体(150)が、前記2つの固定管(112b;114b)の各々の周りにそれぞれ配置される、請求項17に記載のデバイス(102;202;302)。
【請求項19】
少なくとも2つの異なる周波数帯域で無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成される通信システム(100)において、前記通信システム(100)が、請求項1から18のいずれか一項に記載のアンテナデバイス(102;202;302;402;502;602;702)を備える、ことを特徴とする、通信システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの双極子アレイを有するアンテナデバイス及び関連する通信システムに関する。
【0002】
本発明は、例えば、FM(Frequency Modulation:周波数変調)放送サービス、及び頭字語でDTRとも呼ばれる地上波デジタル無線サービスなど、様々な周波数帯域で動作する2つの異なるサービスを同じ無線インフラストラクチャ上にプールするための好ましい用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
英国特許第1247629号明細書は、UHF(Ultra High Frequency:超高周波)信号を放送するための高方位角開口部を有するアンテナデバイスを記載している。このアンテナデバイスは、垂直に整列した低周波双極子のアレイと、同じく垂直に整列した高周波双極子のアレイと、を備える。アンテナデバイスはまた、垂直マストの形態の双極子のための支持体を備える。
【0004】
アレイ間の結合を制限するために、英国特許第1247629号明細書は、マストに沿って、一方のアレイを他方のアレイの上に配置することを提案している。このため、マストは極めて高い高さに達する可能性があり、マストの安定した堅牢な支持を保証するために強い機械的制約を課す可能性がある。
【0005】
高周波数サービスを既にホストしている既存のパイロンに低周波数サービスを追加することは、マストに既に存在するアレイとの干渉を制限しつつ、マスト周りの準対称放射を保存するために、パイロンの上部に低周波アレイが配置される必要があり、特に制限される。
【0006】
したがって、例えば、87.5MHz~108MHz間で動作するFM放送サービスを提供することを意図した低周波アレイを追加することは、パイロンの上部をこのサービスのみに限定するという欠点を有し、したがって、例えば、174MHz~240MHz間で動作する地上デジタル無線サービスのような、高い周波数での新規のサービスの追加を妨げる。
【0007】
したがって、前述の問題及び制約の少なくとも一部を克服することを可能にするアンテナデバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
そのため、いわゆる垂直軸上に整列したそれぞれの中心を有する低周波双極子の低周波アレイと、垂直に互いに続くそれぞれの中心を有する高周波双極子の高周波アレイと、低周波双極子及び高周波双極子のための支持体と、を備えるアンテナデバイスであって、各低周波双極子の中心が、2つの高周波双極子の一対の中心間に垂直に配置されるように、高周波双極子が配置される、アンテナデバイスを提案する。
【0009】
したがって、高周波双極子は、支持体の高さを低減しつつ、高周波双極子と低周波双極子との間の結合を制限するように、低周波双極子と垂直に入れ子式になっている。
【0010】
本発明は、任意の技術的に可能な組合せで、以下に記載する任意選択の特徴の1つ又は複数を更に含んでもよい。
【0011】
支持体は、主支持体を備え、それに沿って低周波双極子が垂直に配置される。支持体は、補助支持体を更に備え、それに沿って高周波双極子が垂直に配置される。好ましくは、補助支持体は、主支持体に取り付けられる。
【0012】
主支持体は、中空の導電性の主マストである。アンテナデバイスは、主マストが共通の電気グランドへの戻り線を構成するように、低周波双極子を、低周波アレイの同じ入力/出力コネクタに電気的に接続する少なくとも1つの内部導体を備える同軸線を更に備える。
【0013】
アンテナデバイスは、高周波双極子から低周波双極子を分離するためのデバイスを、主マスト上に更に備える。分離デバイスは、主マストに固定され、低周波アレイの同軸線の内部導体に接続される。
【0014】
分離デバイスは、低周波アレイの入力に配置された同軸ローパスフィルタである。フィルタは、交互の高インピーダンス及び低インピーダンス同軸セクションからなる。
【0015】
各低周波双極子の中心は、高周波双極子の一対の中心の中央に垂直に配置される。
【0016】
各対の高周波双極子の中心は、垂直に整列している。
【0017】
高周波双極子の少なくとも1つの対の高周波双極子の中心は、低周波双極子の中心の一方の側に水平にオフセットされる一方で、高周波双極子の少なくとも1つの他の対の中心は、低周波双極子の他方の側に水平にオフセットされる。
【0018】
高周波双極子の対は、低周波双極子の両側に交互に配置される。
【0019】
2つの連続する低周波双極子に関連付けられた高周波双極子の2対は、低周波双極子の同じ側で水平にオフセットされる。
【0020】
低周波双極子及び高周波双極子は、互いに対して傾斜している。
【0021】
少なくとも1つの高周波双極子は、低周波双極子の中心に配置される。
【0022】
低周波双極子及び/又は高周波双極子は、上記それぞれのアレイの動作周波数に関連付けられた波長の1/4に好ましくは等しい同じ長さの2つの同一線上の腕部を備える。
【0023】
補助支持体は、少なくとも1つの中空で、導電性の補助マストを備える。上記少なくとも1つの補助マストの内側を通って、高周波双極子を高周波アレイの同じ入力/出力コネクタに電気的に接続する、少なくとも1つの内部導体を備える同軸線を、アンテナデバイスは更に備え、これにより、上記少なくとも1つのマストが、共通の電気グランドへの戻り線を構成する。
【0024】
アンテナデバイスは、低周波双極子から高周波双極子を分離するためのデバイスを更に備え、その分離デバイスは、低周波アレイの同軸線の内部導体に接続される。
【0025】
分離デバイスは、1つ又は複数の周波数除去フィルタを備える。
【0026】
アンテナデバイスは、低周波双極子ごとに、低周波双極子の脚部周りに配置される少なくとも1つの1/4ウェーブトラップを更に備える。
【0027】
低周波双極子の脚部は、互いに平行な2つの固定管を備え、1/4ウェーブトラップは、各々が平坦面を有するように長手方向に切り取られた2つの中空円筒体を備える。2つの円筒体の平坦面が対向するように、2つの円筒体は、2つの固定管の各々の周りにそれぞれ配置される。
【0028】
本発明の別の目的は、少なくとも2つの異なる周波数帯域で無線周波数信号を送信及び/又は受信するように構成される通信システムである。通信システムは、上述のように、本発明によるアンテナデバイスを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、単に例として、添付の図面を参照して与える以下の説明を用いて好適に理解されるであろう。
【
図1】本発明の第1の実施形態によるアンテナデバイスを含む通信システムの斜視図である。
【
図2】
図1によるアンテナデバイスの概略上面図である。
【
図3】
図1によるアンテナデバイスの低周波双極子に対する高周波双極子の配置の正面図を概略的に示す図である。
【
図4】
図1によるアンテナデバイスの低周波アレイの側断面図である。
【
図5】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの概略斜視図である。
【
図6】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの支持体の配置の2つの変形例を概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの側断面図である。
【
図8】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの分離接続部の断面図である。
【
図9】
図1によるアンテナデバイスの低周波アレイの方位角放射パターンを示す図である。
【
図10】
図1によるアンテナデバイスの低周波アレイの仰角放射パターンを示す図である。
【
図11】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの方位角放射パターンを示す図である。
【
図12】
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの仰角放射パターンを示す図である。
【
図13】分離デバイスの有無にかかわらず、
図1によるアンテナデバイスの送信パラメータS12を示す図である。
【
図14】分離デバイスの代替的な実施形態を示す、
図1によるアンテナデバイスの低周波アレイの縦断面図である。
【
図15】双極子の接続のための代替的な実施形態を示す、
図1によるアンテナデバイスの高周波アレイの縦断面図である。
【
図17】低周波アレイ上の1/4ウェーブトラップを示す、
図1によるアンテナデバイスの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図18】1/4ウェーブトラップの有無にかかわらず、
図17によるアンテナデバイスの高周波アレイの方位角放射パターンを示す図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態によるアンテナデバイスの斜視図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態によるアンテナデバイスの斜視図である。
【
図21】
図1によるアンテナデバイスの第1の変形実施形態による双極子の配置を概略的に示す図である。
【
図22】
図1によるアンテナデバイスの第2の変形実施形態による双極子の配置を概略的に示す図である。
【
図23】
図1によるアンテナデバイスの第3の変形実施形態による双極子の配置を概略的に示す図である。
【
図24】
図1によるアンテナデバイスの第4の変形実施形態による双極子の配置を概略的に示す図である。
【
図25】
図19によるアンテナデバイスの別の実施形態による双極子の配置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、特許請求の範囲と同様に、記載した要素の相対位置の用語は、いわゆる垂直方向Z、いわゆる左右方向Y、及びいわゆる前後方向Xを含む、直交基準座標系(X、Y、Z)に対して取られる。特に、垂直、及び垂直に、という用語は、図に示すように垂直方向Zを指す。更に、垂直方向Zは、特に、通常の垂直方向に対応するように意図している。
【0031】
図1を参照して、本発明を実施する通信システム100の一例を、ここで説明する。
【0032】
この通信システム100は、2つの異なるそれぞれのサービスからの2つの無線周波数信号を同時に送信及び/又は受信するように構成される。例えば、一方のサービスは、FM(Frequency Modulation:周波数変調)放送サービスであり、他方のサービスは、地上波デジタル無線サービス(DAB、すなわち、デジタルオーディオブロードキャストとしても知られている)である。
【0033】
2つのサービスは、第1の周波数帯域、及び第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域で、それぞれ動作する。したがって、第1の周波数帯域は、低周波数帯域と呼ばれる一方で、第2の周波数帯域は、高周波数帯域と呼ばれる。低周波数帯域は、例えば、メトリック周波数範囲、すなわち30~300MHz間に含まれる。更に、高周波数帯域は、例えば、デシメトリック周波数範囲、すなわち300~3000MHz間に含まれる。
【0034】
一般的に言えば、低周波及び高周波は、必ずしも異なる周波数領域(すなわち、メトリック、デシメトリックなど)に属するとは限らない。例えば、低周波数はFM周波数(例えば、88、98又は108MHz)であり、高周波数はDAB周波数(例えば、174、200又は225MHz)であり、この場合、低周波数と高周波数とは両方とも同じメトリック周波数領域に属する。
【0035】
したがって、通信システム100は、アンテナデバイス102を備え、
-第1のサービスについて、低周波双極子112の低周波アレイ104、及び送信機/受信機108と、
-第2のサービスについて、高周波双極子114の高周波アレイ106、及び送信機/受信機110と、
をグループ化する。
【0036】
各双極子アレイは、いわゆる中央周波数を中心とする周波数帯域で送信及び/又は受信するように設計される。続いて、この中央周波数が送信時又は受信時における双極子アレイの動作周波数であると考える。
【0037】
送信モードでは、各送信機/受信機108、110は、関連するサービスから送信されるデータを、関連するアレイ104、106の双極子112、114に供給される無線周波数信号に、変換するように設計される。次いで、これらの双極子112、114は、自由空間において無線周波数信号を送信するように設計される。
【0038】
受信モードでは、各アレイ104、106の双極子112、114は、関連する送信機
/受信機108、110について前述のサービスから受信する自由空間無線周波数信号を捕捉するように設計される。受信機は、次いで、この受信した無線周波数信号を、考慮されるサービスのために受信したデータに、変換するように設計される。
【0039】
各双極子112、114は、アイソレートされると、全方向性放射パターンに従って、電磁波を送信及び/又は受信するように設計された基本アンテナであり、すなわち、方位角と呼ばれる水平面内に(すなわち、Z軸に垂直なすべての方向において)、準一定利得(すなわち、3dB以内まで)を有する。
【0040】
構造的には、各双極子112、114は、2つの導電性腕部112a、114aを備える。好ましくは、同じ双極子112、114の腕部112a、114aは、同一であり、特に、同じ長さで、同一直線上にある。したがって、各双極子の2つの腕部は、双極子の電磁放射不安定性を抑制するために同じ電流密度である。
【0041】
したがって、双極子112、114の腕部112a、114aは、中間点を有する間隙によって分離された中央端部と呼ばれる、互いに面する2つのそれぞれの端部を有する。この中間点は、双極子112、114の中心112c、114cを構成する。双極子112、114の腕部112a、114aは、λ/8~λ/2間の長さを有し、ここで、λは、関連するサービスに使用される周波数帯域の中央周波数に関連付けられた基準波長を示す。
【0042】
好ましくは、低周波双極子112の腕部112aは、高周波双極子114の腕部114aよりも長い。既知の方法では、双極子の腕部の長さが長いほど、双極子は、低周波数で放射するように適合される。
【0043】
図1の例では、低周波双極子112及び高周波双極子114の腕部112a、114aは、すべて垂直である。この方向は、2つのアレイ104、106が垂直偏波を送信し、受信することを可能にする。
【0044】
各双極子112、114は、2つの腕部112a、114aを固定するための脚部112b、114bを更に備える。脚部112b、114bは、例えば、2つの腕部112a、114aの中央端部に取り付けられる。脚部112b、114bは、それぞれ1つ又は2つの中空管で構成されているという点で、単一又は二重であってもよい。管は、任意の断面、例えば、正方形、長方形、円形又は楕円形であってもよい。二重脚部の場合、2つの管はそれぞれ、腕部112a、114aの中央端部に固定される。
【0045】
本出願に記載したすべての実施形態では、各双極子112、114は、二重脚部を有する。しかしながら、説明していない他の実施形態によれば、各双極子は、単一の脚部、特に、低周波双極子及び/又は高周波双極子を有してもよい。
【0046】
腕部112a、114aの長さ、一般的には、脚部の管の厚さ、脚部の長さなど、双極子112、114の全体寸法は、アンテナデバイス102の様々な構成要素間の相互結合を考慮して、所望の放射及びインピーダンス整合を実現するように適合されてもよい。更に、同じアレイ内のすべての双極子が必ずしも同一であるとは限らない。
【0047】
一般に、各双極子の腕部は、同一直線上にあり、それぞれ自由端部を有する。これは、この自由端部が他の要素に接続されていないことを意味する。例えば、各双極子の腕部の自由端部は、双極子支持体に接続されていない。したがって、双極子は、米国特許第5,497,166号明細書に記載されているように、2つのM字型腕部からなるbatwing又はSchmetterling(ドイツ語)タイプのアンテナとは明確に区別され
る。双極子とは異なり、そのようなアンテナの各M字形腕部は、例えば、T字形の脚部のみが支持体に固定されるT字形双極子の場合のように、自由端部がない。
【0048】
図1の例では、低周波アレイ104は、2つの低周波双極子112を備える。他の実施形態では、それらは、複数とすることができる。
【0049】
低周波双極子112の中心112cは、同じ垂直軸A1に沿って整列している。「整列」とは、低周波双極子112が垂直線に沿って実質的に整列していること、すなわち、それらの中心112cが、例えば、先に定義したような低周波アレイ104に関連付けられた基準波長の1/15未満で、垂直軸A1に対して水平にオフセットされ得ることを意味する。
【0050】
例えば、低周波アレイ104がFM帯域で100MHzに等しい周波数f1で動作する場合、関連する基準波長λ1は、3m(λ1=c/f1、ここで、c=3.108m/s)に等しい。この場合、低周波双極子112は、軸A1に垂直なλ1/15=0.2mを超えてずれなければ、垂直に整列していると考えられる。
【0051】
更に
図1の例では、高周波アレイ106は、4つの高周波双極子114を備える。他の実施形態では、各低周波双極子が2つの高周波双極子の一対の中心間に垂直に配置されるように、高周波双極子の数を、特に低周波双極子の数に応じて調整してもよい。
【0052】
高周波双極子114の第1の対(上側対と呼ぶ)は、補助マスト118aの上側部分に固定される一方で、高周波双極子114の第2の対(下側対と呼ぶ)は、別の補助マスト118bの下側部分に固定される。
【0053】
本発明の特徴によれば、下側対の双極子の中心114cは、低周波双極子112の中心112cの左に水平にオフセットされる一方で、高周波双極子114の下側対の中心114cは、低周波双極子112の右に水平にオフセットされる。
【0054】
図1に示すように、それぞれのマストの端部に位置する高周波双極子114(末端双極子と呼ぶ)は、他の高周波双極子(中央双極子と呼ぶ)よりも大きい寸法である。特に、各限界双極子は、中央双極子の長さよりも長い脚部を有するので、2つの対ごとに、限界双極子及び中央双極子の腕部は同一直線上になく、すなわち、すべての腕部は、同じ直線に沿って整列せず、同じ垂直面に含まれる。
【0055】
本発明の特徴によれば、各対の高周波双極子114の中心114cは、垂直に整列し、これにより、中心のすべての対は、垂直軸Zに平行な同じ方向に整列する。
【0056】
したがって、上側対の双極子は、上側と呼ぶ垂直対称面を有し、下側対の双極子は、下側と呼ぶ垂直対称面を有する。したがって、上側対の双極子は、上側垂直面(図示せず)に沿って整列する一方で、下側対の双極子は、下側垂直面πに沿って整列する。図示のように、下側対の双極子の脚部は、下側垂直面πに含まれる。
図1を過度に煩雑にしないように、下側対の高周波双極子114については、下側垂直面πのみを示している。
【0057】
この構成により、高周波アレイの端部におけるエッジ効果を補正することができ、これは、アレイの放射パターンを(例えば、方位角平面における対称化、及び/又は放射減衰の低減)、並びに相互インピーダンスを利用することによるアレイの全体的なインピーダンス整合を、改善する効果がある。
【0058】
他の実施形態では、特に機械的観点からアレイの製造を極めて単純化するために、末端
双極子は、中央双極子と同一直線上にあってもよい。
【0059】
他の実施形態では、高周波双極子114は、例えば、低周波双極子112の数に応じて、当然ながら多くてもよい。
【0060】
すべての場合において、高周波双極子114は、2つのアレイ間の分離を確実にしつつ、アンテナデバイス102の高さを制限するために、低周波双極子112と垂直に入れ子式になっている。
【0061】
双極子112、114を支持するために、アンテナデバイス102は、双極子112、114がそれぞれの脚部112b、114bによって固定される支持体115を更に備える。
【0062】
支持体115は、例えば、低周波双極子112を保持する垂直主マスト116と、高周波双極子114を保持する少なくとも1つの垂直補助マスト118a、118bと、を備える。
図1の例では、2つの補助マスト118a、118bが、主マスト116の両側のすべての高周波双極子114を保持するために設けられている。
【0063】
好ましくは、補助マスト118a、118bは、主マスト116に取り付けられる。したがって、追加のサービスを展開するために、高周波アレイ106を、以前に展開された低周波アレイ104に容易に追加することができる。逆に、低周波アレイ104を以前に展開された高周波アレイ106に追加するために、主マスト116を、補助マストに取り付けることができる。
【0064】
例えば、2つの補助マスト118a、118bの場合、支持体は、2つの補助マスト118a、118b間に介在する少なくとも1つの横材1180を備え、各横材は、主マスト116に取り付けられ、固定される。
図1に示す例では、3つの横材1180は、Y軸に沿ったそれらの端部で2つの補助マスト118a、118bを水平に接続する。第3の中央横材(
図1に図示せず)は、2つの補助マスト118a、118bの支持を補強するように、2つの他の横材1180から等距離に、好ましくは配置される。
【0065】
支持体115は、例えば、
図1に示すように、中空管状構造及び円形断面である。しかしながら、他の実施形態では、この断面は、当然、正方形、長方形、三角形、楕円形又は長円形などの他の形状であってもよい。
【0066】
一般的に言えば、支持体115は、任意の断面、好ましくは円形又は楕円形などの丸みを帯びた、少なくとも2つの管状長手方向部(すなわちマスト)を備えるという意味で、多管状構造である。
【0067】
したがって、リフレクタ面が存在するので、-3dBでの方位角開口部が、正確には一般に120°に制限されている移動無線アレイで通常使用されるセクタアンテナの場合とは異なり、支持体115は平面リフレクタではない。
【0068】
本発明の文脈において、各双極子アレイは、同じ放射パターンに寄与する相互接続された双極子のセットとして定義される。例えば、同じアレイの双極子は、アレイの放射パターンを形成するために、すべて一緒に駆動される。この定義は、当然ながら、任意のサブアレイ、すなわち、このアレイの双極子のサブセットをグループ化する同じアレイの任意の部分を除外する。
【0069】
したがって、一方では、低周波アレイのすべての低周波数双極子、他方では、高周波ア
レイのすべての高周波双極子がそれぞれ、特に、方向Xにおいて支持体115の後方に向かう放射とともに、-3dBで少なくとも180°の方位角開口を有するそれぞれの周波数帯域の放射パターンの形成に寄与するように、支持体115は設計される。
【0070】
主マスト116は、例えば、建物、又は好ましくはパイロン(標準的な使用事例)に固定されることによって、直接的又は間接的にグランドに対して垂直に固定されるように設計される。主マスト116は、通信システムの構造によって課される機械的応力に耐えるように寸法決めされる。
【0071】
図2は、主マスト116と、2つの補助マスト118a、118bと、を備える支持体115の寸法を特に視覚化するために、上方から、すなわち、(X、Y)平面内から見たアンテナデバイス102を概略的に示している。
【0072】
支持体115は、高周波双極子114の放射の、及び低周波双極子112の放射の、変形を制限するように寸法決めされる。したがって、低周波放射及び高周波放射は、A1軸周りで依然として準一定であり得る。
【0073】
例えば、支持体115は、20°未満、好ましくは15°に等しい、軸A1周りの水平角度サイズEを有する。言い換えれば、支持体115は、低周波双極子112を水平に最大で20°遮蔽する。
【0074】
この角度量Eは、二等分線A2を有する。前後方向Xは、この二等分線A2に沿っている。したがって、支持体115は、方向Xにおいて、低周波双極子112の後方に位置するとともに、高周波双極子114の後方に位置する。
【0075】
一般に、支持体115は、アレイの各々が少なくとも180°の-3dBの方位角開口を呈する放射パターンを有することを可能にするように、十分に小さいフットプリントである。
【0076】
特に、支持体115は、双極子からの放射のマスキングを制限するように、十分に小さい幅である。好ましくは、主マスト116は、低周波アレイ104の中央動作波長の10%未満、好ましくは5%未満の直径D1を有する。同様に、補助マスト118a、118bは、高周波アレイ106の中央動作波長の10%未満の直径D2を有する。
【0077】
例えば、DTRサービスの場合、高周波アレイの中央動作波長(すなわち、200MHzの中央周波数に対応する)は、1.5m未満であり、これにより、補助マスト118a、118bの各々の直径は、15cm未満である。FMサービスの場合、低周波アレイの動作波長(すなわち、100MHzの中央周波数に対応する)は、3m未満であり、これにより、主マスト116の直径は、30cm未満である。したがって、支持体115は、補助マストが同じ直径D2を有すると仮定すると、主マスト116の直径D1と、補助マスト118a、118bの直径D2との合計、すなわちD1+2xD2=30+2*15=60cmにほぼ等しい、Y方向における支持体の寸法を画定する幅Lを有する。
【0078】
図2の例では、支持体115の幅Lが3つのマストの直径の合計に対応するように、3つのマストが配置される。図示していない変形実施形態によれば、2つの補助マスト118a、118bは、Y方向において互いに接近され、これにより、それらを隔てる距離は、主マストの直径D1未満である。この場合、支持体の寸法は、3つのマストの直径の合計未満である。このような配置は、特に、支持体の後方で放射を促進することによって、双極子アレイの各々の方位角開口部を拡大することを可能にし、これは、従来技術の平面反射器アンテナには当てはまらない。
【0079】
図3を参照して、アンテナデバイス102の2つのアレイ104、106の双極子112、114の相対的な位置決めを、ここで詳細に説明する。
【0080】
この図では、低周波双極子112の中心112cを、星*で表し、高周波双極子114の中心114cを、十字+で表している。この表記法は、後述する
図21~
図25にも適用する。
【0081】
前述したように、低周波双極子112を、垂直軸A1に沿って垂直に整列する。これらは、低周波アレイのピッチに対応する距離d1だけ規則的に離隔される。低周波アレイの放射パターンの垂直面における二次ローブの存在を制限又は排除するように、この距離d1の値を調整してもよい。例えば、低周波数が100MHzに等しい場合、距離d1は、d1=0.72.λになるように調整され、ここで、λは、低周波アレイの動作周波数に関連付けられた波長を表す。一般的に言えば、他の制約なしに、低周波アレイのピッチd1は、水平面に含まれるすべての方向の放射を最大にするように0.7.λ~0.8.λ間であり、一般的には0.5.λ~λ間である。
【0082】
一方、各低周波双極子112が、高周波双極子114のそれぞれの対P1、P2間に垂直に配置されるように、高周波双極子114は、補助マスト118a、118b上に配置される。
【0083】
例えば、高周波双極子114は、低周波双極子112にそれぞれ関連付けられた別個の対P1、P2に分割される。「別個の対」という表現は、同じ高周波双極子114がただ1つの対P1、P2に属することを意味する。
【0084】
各対P1、P2の2つの高周波双極子114は、関連する低周波双極子112を垂直に組み立てる。例えば、各低周波双極子112は、関連する対P1、P2の高周波双極子114の中央に垂直に配置される。これは、軸A1に沿って、各低周波双極子112が、関連する対P1、P2の2つの高周波双極子114から同じ高さhだけ垂直に等距離にあることを意味する。
【0085】
好ましくは、各対P1、P2の高周波双極子114は、垂直に整列している。
【0086】
図3に示す例では、対P1、P2ごとに、高周波双極子114は、同じピッチd2だけ離隔される。対P1の下側双極子は、対P2の上側双極子から対間距離d12だけ離隔される。対間距離d12は、高周波アレイの放射パターンの形状を変更するように調整されてもよい。特に、対間距離d12は、高周波アレイのピッチd2に等しくすることができ、これにより、d12=d2であり、アレイの製造を単純化する。
【0087】
更に、好ましくは、高周波双極子114の少なくとも一対は、低周波双極子112を含む平面(A1,A2)の右に水平に(すなわち、Y方向に対して)オフセットされ、少なくとも一対は、平面(A1,A2)の左に水平にオフセットされる。このようにして、高周波双極子114は、低周波双極子112の両側に分配される。
【0088】
左にオフセットされた高周波双極子114の各対P1を、補助マスト118a上に固定することができ、右にオフセットされた各対P2を、他方の補助マスト118b上に固定することができるので、この左右のオフセットは、高周波双極子114の追加を単純化する。
【0089】
更に、右及び左へのこのオフセットのおかげで、右の高周波双極子114の対によって
導入される低周波双極子112の放射パターンの変形は、左の高周波双極子114の対によって少なくとも部分的に補償され、逆もまた同様である。
【0090】
好ましくは、補助マスト118a、118bの各々が、双極子の対の同じ数を有するように、高周波双極子114の対は、左右にバランスよく分配される。言い換えれば、低周波双極子の右と左とに(低周波双極子112の数が奇数であるときには一対内に)、同数の高周波双極子が存在する。これにより、低周波双極子112の放射パターンの変形に対する補償を改善する。
【0091】
より好ましくは、高周波双極子114の対P1,P2は、右及び左に交互にオフセットされる。これにより更に、低周波双極子112の放射パターンの変形の補償を改善する。
【0092】
更にこの補償を改善するために、右及び左へのオフセットは、好ましくは同じであり、
図3の参照「e」によって示す。より正確には、第1の対P1は、低周波双極子112の左に距離eだけ水平に(すなわち、Y軸に沿って)オフセットされる一方で、第2の対P2は、Y軸に沿って、同じ距離eだけ低周波双極子112の右に水平にオフセットされる。
【0093】
他の実施形態(図示せず)では、対のオフセットは、低周波双極子112の左右で異なってもよい。
【0094】
低周波アレイ104の平面(A1,A2)に沿った断面図を示す
図4を参照すると、アンテナデバイス102は、送信機/受信機108から低周波双極子112への低周波と呼ばれる電気接続部119を備える。
【0095】
この低周波電気接続部119は、例えば、送信機/受信機108を支持体115に接続する外部電気接続部121を備える。この外部電気接続部121は、例えば、同軸ケーブルである。
【0096】
支持体115によって保持され、外部電気接続部121が配線されるように設計される、低周波と呼ぶ入力/出力コネクタ120を、低周波電気接続部119は更に備える。特に、低周波コネクタ120は、主マスト116によって保持される。好ましくは、低周波コネクタ120は、同軸コネクタである。
【0097】
低周波電気接続部119は、支持体115内で、考慮される低周波双極子112に低周波コネクタ120を電気的に接続する内部導電体122a、122bを、低周波双極子112ごとに、更に備える。各内部導電体は、分岐点Cで低周波コネクタ120に接続される。特に、内部導体122a、122bは、低周波コネクタ120から、主マスト116の内側、次いで、考慮される低周波双極子112の脚部112bの内側を通って、その腕部112aの一方に到達する。脚部112bが二重である場合、内部導体120は、その一方の管内を通る。
【0098】
内部導体122a、122bが到達する腕部112aは、
図4の例では下方を向いている。
【0099】
他方の腕部112aは、腕部112a間の間隙を通過する導電性セクション124によって内部導電体122a、122bに接続されてもよい。
【0100】
あるいは、導電性セクション124は、下向きの腕部112aに電気的に接続されていないが、低周波双極子112の2つの腕部112a間の間隙を介して下向きの腕部に容量
結合されている。
【0101】
内部導電体122aは、
図4に示すように端部から端部まで配置された複数の電気接合部を備えても良い。
【0102】
各内部導体122a、122bは、
図4に示すように、その長さに沿って可変断面を有してもよい。したがって、低周波アレイ104のインピーダンスをコネクタ120のインピーダンスに好適に適合させ、したがってインピーダンス不整合による損失を回避するように、この断面の寸法を、適切なインピーダンス変換を実施するように局所的に調整することができる。
【0103】
更に、主マスト116、及び各低周波双極子112の脚部112bは、互いに電気的に接触しており、したがって、すべての低周波双極子112を同じ基準電位、例えば、共通のグランド又はアースに接続するための戻り線として機能する。したがって、主マスト116と、内部導体122a、122bを囲む脚部112bとは、同軸接続を形成する。
【0104】
主マスト116及び各脚部112bを戻り線として使用することには、いくつかの利点がある。
【0105】
一方では、それは、アンテナデバイス102を電気的に対称にすることに寄与し、これにより、アンテナデバイスは、(送信又は受信において)主マスト116の内側を、及び低周波双極子112の腕部112aを、循環する電流の不均衡をほとんど生成しない。特に、戻り線として主マスト116を使用することにより、マストの外側で同軸ケーブルを使用することを回避することができ、これは、導体の等価断面を増加させ、したがってマストの後方での放射を妨げる効果を有する。
【0106】
他方では、同軸線121が低周波コネクタ120に接続されているとき、低周波アレイ104のインピーダンスを同軸線121の特性インピーダンス(一般に50Ω程度)に合わせて整合させることが容易になる。
【0107】
更に、支持体115は、例えば、低周波アレイ104上で、例えば、相互変調現象によって、高周波アレイ106によって生成される外乱を制限するように構成される複数の分離デバイス126を備える。
【0108】
これらの分離デバイス126は、支持体115、例えば、主マスト116に固定される。各分離デバイスは、例えば、低周波双極子112のうちの1つと関連付けられ、この低周波双極子112の内部導体122a、122bに電気的に接続される。図示の例では、2つの分離デバイス126が、各低周波双極子112に関連付けられている。しかしながら、各低周波双極子に関連付けられている分離デバイス126の数は、例えば、1~4間で様々であってもよい。
【0109】
好ましくは、分離デバイス126は、例えば、開放傾斜同軸線を備える除去フィルタである。傾斜同軸線126は、外部導体126bと、外部導体126bの内側に延在し、外部導体126bから電気的に絶縁される内部導体126aと、を含む。本例では、電気絶縁は、空気が実施する。しかしながら、他の実施形態では、空気は、低い誘電損失、すなわち、0.001以下の誘電正接tan(ε’’/ε’)を有する任意の他の誘電材料で置換されてもよい、ここで、ε’’及びε’は、それぞれ電気誘電率の虚数部及び実数部を表す。
【0110】
内部導体126aは、内部導電性線122a,122bに接している。図示のように、
開放傾斜同軸線は、L字形であり、Z軸に沿って主マスト116に平行に延在する長さL1zの長手方向部分と、X方向に沿って主マスト116に垂直に延在する長さL1xの横方向部分と、を有する。したがって、各開放傾斜同軸線は、長手方向部分及び横方向部分の長さの合計に等しい展開長さL1を有し、すなわち、L1=L1z+L1xである。
【0111】
好ましくは、各開放傾斜線の展開長さL1は、λg/6~λg/3間であり、ここで、λgは、高周波アレイ106の中央動作周波数に対応する誘導波長である。中央周波数とは、これは、上記で定義したように、高周波アレイによって提供される無線サービスの周波数帯域の中央周波数であることが理解されよう。
【0112】
他の実施形態(説明していない)では、導体のない開放同軸線、又は任意の他の同等のデバイスなど、他の分離デバイスが考慮されてもよい。
【0113】
図4の例では、4つの除去フィルタ126が、2つの対を形成するように主マスト116に沿って分配され、各対は、それぞれの双極子に位置している。126個のリジェクタフィルタは、2つずつ頭部から尾部に(又は背中合わせに)取り付けられる。リジェクタフィルタの角度の他の方向もまた、リジェクタフィルタの角度の相対的な方向が分離性能に大きな影響を与えないことを知って考慮することができる。
【0114】
例えば、リジェクタフィルタ126の一対のフィルタは、イントラ対と呼ぶ、同じ対の2つのフィルタ間の分離距離L4だけ互いに垂直に離隔され、分離距離L4は、誘導波長λgの3倍未満、すなわち、L4<3×λgである。
【0115】
低周波双極子112に対する除去フィルタ126の配置を、低周波双極子112との相互作用を可能な限り制限するように調整してもよい。この目的のために、除去フィルタ126は、例えば、それぞれの双極子の脚部、すなわち、低周波双極子112の腕部の反対側に2つずつ配置される。一般に、低周波アレイをできるだけ妨害しないように、言い換えれば、低周波アレイの放射パターンをできるだけ変形させないように、分離デバイス126の位置を最適化してもよい。
【0116】
代替的な実施形態(図示せず)によれば、主マスト116の端部に位置する除去フィルタを、マスト116の内側に挿入することができる。
【0117】
他のアレイに関連付けられた周波数帯域を可能な限り除去することによって、それらが設置されているアレイのインピーダンス整合を容易にするか、又は少なくとも劣化させないことによって、並びに、考慮される用途に応じて必要とされる平均及びピーク電力容量を達成することを可能にすることによって、展開長さL1及びイントラ対分離長さL4を、アレイ間周波数間隔及びそれらのそれぞれの帯域幅を考慮するように調整してもよい。
【0118】
好ましくは、外部導体126bは、内部導体126aよりもZ方向にわずかに長い。この長さL4の差により、開放線の端部における内部導体126aからの放射を制限することができる。また、その端部に位置する金属プラグとの起こり得る相互作用を低減することもできる。
【0119】
内部導体126a及び外部導体126bは、10~200Ω間の開放傾斜同軸線126のインピーダンスを得て、受信及び/又は送信に必要な平均及び最大(ピーク)電力をサポートするように調整され得る、それぞれの直径を有する。
【0120】
好ましくは、分離デバイス126は、すべて同一であり、主マスト116に沿って配置され、これにより、分離デバイス126は、同軸線122の中心Cに対して対称的なアセ
ンブリを形成し、この中心Cは、コネクタ120に接続されるように内部導電性線122a、122bが交わる場所に対応する。好ましくは、同軸線122の中心Cは、コネクタ120に位置する。実際には、分離デバイス126は、ほぼ等しい、すなわち、中央値付近で約+/-10%変化する長さなどの寸法を有する同じ構造を有する限り同一である、と考えられた。
【0121】
高周波アレイ106の三次元概略図を示す
図5を参照すると、アンテナデバイス102は、送信機/受信機110から高周波双極子114への高周波と呼ばれる電気接続部127を備える。
【0122】
この高周波電気接続部127は、単純な点線で示され、例えば、送信機/受信機110を支持体115に接続する外部電気接続部125を備える。この外部電気接続部125は、例えば、同軸ケーブルである。
【0123】
高周波電気接続部127は、支持体115によって保持され、かつ高周波と呼ばれる入力/出力コネクタ128を更に備え、それに外部電気接続部125が配線されるように設計される。特に、高周波コネクタ128は、補助マスト118a、118bの一方によって保持される。好ましくは、高周波コネクタ128は同軸コネクタである。
【0124】
高周波アレイ106は、アレイの高周波双極子114のすべてを高周波コネクタ128に優先的に並列に接続するように構成される同軸線130を更に備える。したがって、高周波コネクタ128から、同軸線130は、
図5に示すように、2つの別個の分岐103c、130’cに分割され、それ自体が2つの副分岐{130a,130b}、{130’a、130’b}にそれぞれ分割される。並列接続は、すべての双極子が線に沿って分岐することなく、交互に、慣例的に、直列に接続される直列接続と比較して、アレイに拡張した帯域幅を与える。
【0125】
代替的な実施形態(図示せず)では、同軸接続は、意図される用途に応じて、シリアルアーキテクチャとパラレルアーキテクチャとを組み合わせるという意味で、シリアル又は混合されてもよい。
【0126】
低周波アレイの同軸線と同様に、高周波アレイ106の同軸線130は、内部導電性部分と、内部導電性部分を囲む外部導電性部分と、を備える。内部及び外部導電性部分は、導電性であるが、空気又は任意の他の誘電材料によって互いに電気的に絶縁される。
【0127】
同軸線の内部導電性部分は、双極子の各々の腕部114aの一方を高周波コネクタ128に接続するために、補助マスト118a、118bの内側を、及びそれぞれの双極子の脚部の内側を、通る糸状導電体である。糸状導電体は、1つ又は複数のセクション130a、130b、130c、130’a、130’b、130’cを備える。各セクションは、それ自体が異なるインピーダンスのサブセクションを有することができる。
【0128】
図示の例では、補助マスト118aの上側部分に固定された2つの双極子は、セクション130a、130b、130cを介してコネクタ128に接続される。他方の補助マスト118bの下側部分に固定された2つの双極子は、セクション130’a、130’b、130’cを介してコネクタ128に接続される。セクション130’cは、2つの補助マスト118a、118bを接続する中空横材132の内側を通る部分を備える。
【0129】
横材132の内側を通るセクション130’cが長さhyを有すると仮定すると、高周波コネクタ128は、高周波双極子の一方の対から距離hz1で、かつ高周波双極子の他方の対から距離hz2で、垂直に配置され、これにより、高周波双極子の各々は、同じ長
さ、すなわちhz1=hz2+hyの電気経路に沿って高周波コネクタ128に接続され、これにより、線の内側を流れる電流は、高周波双極子114間で平衡される。
【0130】
同軸線の外部導電性部分は、補助マスト118a、118bと、高周波双極子114の脚部114bと、を備える。このようにして形成された外部導電性部分は、同軸線の電流の戻り線として機能し、これにより、高周波アレイ114のすべての双極子は、同じ基準電位に接続される。基準電位は、各補助マスト118a、118bを共通のグランド要素又はアースに接続することによって得ることができる。低周波双極子112及び高周波双極子114をすべて同じ基準電位にすることによって、低周波アレイ104及び高周波アレイ106の放射パターンが安定する。
【0131】
好ましくは、各双極子の脚部は、それが属するアレイの動作周波数に関連付けられた波長の約1/4に等しい長さを有する。この特定の長さには、いくつかの利点がある。
【0132】
一方では、それは、特に、ほぼ非対称であり得る同軸線と、双極子の対称構造との間の均一な界面を確保することによって、同じアレイの双極子の各々を接続する同軸線にわたる電流の分配に関して、アンテナシステムを更に対称にすることに寄与する。
【0133】
他方では、双極子と、それらの支持マストとの相互作用に起因し得る双極子アレイの方位角放射パターンの過度の変形を回避することが可能になる。例えば、脚部の長さが長すぎると、パターンが双方向になるまで方位角放射パターンを壊す影響がある。
【0134】
図6に示すように、高周波アレイは、高周波双極子116を保持する2つの補助マスト118a、118bを接続するように構成される接続デバイス129を備える。この接続デバイス129は、垂直に、特に、2つのマスト118のうちの一方の一部に沿って、延在する長手方向中空管状部129aを備える。接続デバイス129は、2つのマスト118a、118bを互いに横方向に接続する少なくとも1つの中空横材129bを更に備える。
【0135】
好ましくは、管状部129aは、右の注記b)の図に示すように、マスト118aに固定される。左の注記a)の図に示すような代替の実施形態によれば、追加の横材129bが、管状部129a上に配置され、これにより、管状部129aはまた、この追加の横材によって他方の支柱に固定される。
【0136】
全体として、接続デバイス129は、高周波双極子114をコネクタ128に接続するために、同軸線のための通過経路を提供するように中空である。
【0137】
図5の平面(X、Z)に沿った、正確には、「A」によって識別される切断線に沿った、側断面図を示す
図7を参照して、高周波アレイ106を、ここで説明する。
【0138】
図7の左部には、補助マスト118aによって保持された高周波双極子114の上側対を拡大して示している。
【0139】
図5を参照して前述したように、上側対の高周波双極子は、同軸線130を介して高周波コネクタ128に電気的に接続される。
【0140】
図7に示すように、同軸線130の内部部分は、複数のセクション130a、130bを備える。これらのセクションは、異なる寸法(すなわち、直径、長さ)であり、異なるインピーダンスを有する。
【0141】
上側対の双極子は、補助マスト118aを備えるπ1で示す同じ垂直面に属する一方で、下側対の双極子は、
図7の平面に従って補助マスト118aの背後に隠された補助マスト118bを備える同じ他の垂直面π2に属する。したがって、各対の高周波双極子は、垂直に整列している。
【0142】
高周波アレイが複数の上側対を備える場合(
図7に示すような単一の対の代わりに)、これらの対のすべての双極子は、補助マスト118a上に配置された双極子がすべて垂直に整列するように、同じ垂直面π1に属する。
【0143】
同様に、高周波アレイが複数の下側対を備える場合(
図7に示すような単一の対の代わりに)、これらは、補助マスト118bに配置された双極子がすべて垂直に整列するように、同じ垂直面π2に属する。
【0144】
一般に、双極子は、同じ垂直面(すなわち、Z方向を含む)に属する場合、垂直に整列していると見なされる。
【0145】
上述したように、双極子の2対ごとに、限界双極子は、中央双極子よりも大きい。例えば、限界双極子は、中央双極子の脚部の長さH2よりも長い長さH1の脚部を有する。限界双極子は、中央双極子のセクションの直径よりも大きい直径のセクションを有する。
【0146】
図8を参照して、
図6に示す接続デバイス129を、ここで詳細に説明する。
【0147】
有利には、接続デバイス129は、低周波アレイ104が動作する周波数帯域を拒否するように構成される。この目的のために、高周波双極子が低周波双極子の存在によって妨害されないように、接続デバイス129は、低周波双極子から高周波双極子を分離するための分離デバイス136を備える。分離デバイス136は、2つの補助マスト118a、118b間を通る同軸線130’cに接続される。これは、接続デバイス129の管状部129aに沿って固定される。
【0148】
分離デバイス136は、低周波数を除去するように構成される2つのリジェクタフィルタ136a、136bを備える。各リジェクタフィルタは、横材129bの近くの管状部129aの両側に頭部から尾部に配置された開放傾斜同軸線138の一対を備える。
【0149】
各リジェクタフィルタは、高周波双極子の一対に関連付けられる。しかしながら、他の実施形態(図示せず)では、除去フィルタの複数の対が、高周波双極子の各対に関連付けられてもよく、フィルタの数は、通常1~3間で変化してもよい。
【0150】
低周波アレイについて前述したように、各開放傾斜同軸線138は、高周波双極子を接続するために使用される管状部129aの内側を通る同軸線130’cと接触する内部導体を含む。各開放傾斜同軸線138は、λ’g/6~λ’g/3間の展開長さを有し、λ’gは、高周波アレイの中央動作周波数に対応する誘導波長を表す。
【0151】
低周波アレイについて前述したように、これらの傾斜同軸線138の外部導体は、線の開放端部における放射を、又は端部に位置する金属プラグとの可能な相互作用を、制限するように、内部導体に対してわずかに細長いことが好ましい。上記開放傾斜同軸線を構成する内部導体及び外部導体の直径の比を、10~200Ω間のインピーダンスを得て、かつ考慮される用途に応じて所望の平均及びピーク電力抵抗を可能にするように、有利に調整することができる。内部導体と外部導体との間に存在する誘電体は、空気であっても、又は低損失正接を有する任意の誘電体材料であってもよい。
【0152】
図1、
図3~
図8を参照して上述した第1の実施形態によるアンテナデバイス102の送信性能結果を、
図9~
図13を参照して、ここで提示する。
【0153】
図9は、FM放送サービスの周波数帯域から選択された3つの異なる動作周波数(88MHz,98MHz,108MHz)について得られた低周波アレイ104の方位角放射パターンを示している。
【0154】
この図は、方位角平面(X、Y)において、度で表した方位角φに応じて、dBで表した低周波アレイの0dBにおける正規化された放射パターンを示している。
【0155】
このパターンは、低周波アレイ104の放射が対称的であるが、完全に等方性ではなく(すなわち、準/擬似全方向性)、アレイの後方(φ=0°)では前方(φ=180°)よりも低い利得になることを示している。利得は、アレイの前部において、すなわち、-180°~-90°間及び90°~180°間の方位角φに対して、約-2dB以内までほぼ一定である。低周波アレイ104の後方では、減衰は、方位角φに応じて、すなわち-90°<φ<0°及び-0°<φ<90°で、2dB~6dB間で変化する。
【0156】
このような放射は、低周波アレイが少なくとも180°に等しい-3dBの方位角開口を有することを示す。これらの結果は、試験した3つのFM周波数に対して一般的に有効なままである。
【0157】
図10は、
図9と同じ条件下で得られた低周波アレイ104の仰角放射パターンを示している。
【0158】
この図は、度で表した仰角0に応じて、垂直面(X、Y)において、dBで表した正規化された放射パターンを示している。
【0159】
このパターンは、いくつかの二次ローブの存在を示すが、これらは、全体的に無視できるままであり、これにより、エネルギーの大部分は、水平方向、すなわち、-120°<θ<-60°(アレイの前面)、及び60°<θ<120°(アレイの背面)で放射される。
【0160】
図11は、DTRサービスの周波数帯域において選択された3つの別個の動作周波数(174MHz,200MHz,225MHz)について得られた高周波アレイ106の方位角放射パターンを示している。
【0161】
このような放射は、高周波アレイ106が、アレイの前面(すなわち、-180°<φ<-90°及び90°<φ<180°の場合)で少なくとも180°の-3dBの方位角開口部を有することを示している。アンテナの後方における利得は、動作周波数が高いほど更に低減される。
【0162】
図12は、
図11と同じ条件下で得られた高周波アレイ106の仰角放射パターンを示している。
【0163】
このパターンを考慮すると、2つの二次ローブが存在するにもかかわらず、水平面の両側で、高周波アレイ106は、少ない程度で実質的に前方(θ=-90°)、及び後方(θ=90°)に放射することが分かる。
【0164】
図13を参照して、低周波アレイ104と高周波アレイ106との間の伝送における分離の結果を、ここで説明する。
【0165】
図13のパターンは、FMサービスの周波数帯域(88~108MHz)、及びDTRサービスの周波数帯域(174~225MHz)で動作するアンテナデバイス102について、MHzで表す動作周波数に応じて、S12で示し、dBで表す送信におけるパラメータSの振幅を示しており、これらの帯域は、
図9~
図12を参照して前述した放射パターンを生成するために既に使用されているものに対応する。
【0166】
図13において、実線で示している曲線は、
図4、
図7、及び
図8を参照して、それぞれ低周波アレイ104及び高周波アレイ106で説明したように、アンテナデバイス102が分離デバイス126、136を備える場合のパラメータS12を表す。これに対して、点線の曲線は、低周波アレイ上、及び高周波アレイ上にそれぞれ分離デバイス126、136が存在しない場合のパラメータS12を表す。
【0167】
これらの結果は、174~225MHz間のDTR帯域について、分離デバイス126、136のおかげで約40dBの追加の最大アイソレーションが得られることを示している。
【0168】
このように、低周波アレイ104の除去フィルタ126の使用により、高周波アレイ106の動作周波数帯域において、低周波アレイ104から高周波アレイ106に伝送される無線波の量を極めて大幅に低減(すなわち、約40dBの最大低減)することができる。
【0169】
同様に、FM領域(88~108MHz)における2つの曲線を比較することによって、高周波アレイ106のリジェクタフィルタ136の使用により、低周波アレイ104の動作周波数帯域において、高周波アレイ106から低周波アレイ104に伝送される無線波の量を少ない程度に低減(すなわち、約10dBの最大低減)し得ることが明らかである。
【0170】
図14は、
図4を参照して説明した低周波アレイ104の代替実施形態を示し、それによれば、低周波アレイ104の分離デバイス126は、高周波アレイ106の周波数を除去するように構成される同軸ローパスフィルタ140によって置換される。
【0171】
低周波アレイ104の入力/出力コネクタ120は、同軸ローパスフィルタ140の端部に移動する。しかしながら、同軸ローパスフィルタ自体が、それ自体の同軸入力及び出力コネクタを備えている場合には、それを元の場所に残すことができる。
【0172】
好ましくは、同軸ローパスフィルタ140は、それぞれ141.k及び142.k-1で表す高インピーダンス及び低インピーダンス同軸セクションの交互を備え、ここで、kは、好ましくは2~6まで変化する自然整数である。図示の例では、同軸ローパスフィルタ140は、4つの高インピーダンスセクション141.1、141.2、141.3,141.4と、3つの低インピーダンスセクション部142.1、142.2、142.3と、を含む。
【0173】
同軸セクションは、それらのインピーダンスが、好ましくは10~200Ω間で、かつ本発明の実施の文脈においてサポートされるべき平均及びピーク電力定格に合わせて、変動するように寸法決めされる。
【0174】
同様に、このように構成されたフィルタ140の順序は、所望の除去レベルに達するように調整される。定義により、フィルタの順序は、それを構成する極の数に対応し、この場合、各セクションは、1つの極に対応する。
【0175】
同軸セクションの長さは、好ましくは、λg/20~λg/5間にあり、ここで、λgは、高周波アレイ106の中央動作周波数に関連付けられた誘導波長を表す。
【0176】
同軸要素(セクション)は、好ましくは、連続又は不連続の誘電体要素、例えば、ポリテトラフルオロエチレンによって定位置に保持され、その比誘電率は、好ましくは3未満であり、損失正接は、好ましくは0.001未満である。
【0177】
図15及び
図16を参照して、高周波アレイの代替の実施形態を、ここで説明する。この変形は、参照番号206によって示している。
【0178】
この変形の特殊性によれば、高周波アレイの分離デバイス126は部分的に一体化され、補助マスト118a、118b内の同軸線127は、入力/出力コネクタが低周波アレイの支持体116に対して等距離で、対称的に配置されることを可能にする。
【0179】
図15は、参照番号206を有する、この変形実施形態による高周波アレイの(X、Z)平面における断面図を示している。
【0180】
前述したように、高周波双極子214は、上側双極子対に給電するための複数の接合部130a、130b、130cと、下側双極子対に給電するための複数の接合部130’a、130’b、130’cと、を備える同軸線230によって高周波アレイの入力/出力に接続される。しかしながら、
図6を参照して前述したものとは異なり、管状部129aによってではなく、Y方向に延在し、横方向セクション130c、130c’が通る、3つの中空管状横材249a、249b、249cによって、2つの補助マスト118a、118bは接続される。これらの管状横材249a、249b、249cは、以下に説明する
図16において明確に示している。
【0181】
高周波アレイ206は、異なる寸法の4つの双極子214a、214b、214c、214dを備える。例えば、限界双極子214a、214dは、中央双極子214b、214cと同じ寸法ではない。2つの限界双極子214a、214d自体は、互いに対して異なる寸法である。更に、中央双極子214b、214c自体は、互いに対して異なる寸法である。
【0182】
有利には、高周波双極子214a、214b、214c、214dの寸法は、高周波アレイ206内に特定の位相分布を生成するように、例えば、垂直放射パターンの特定のデポインティングを、又はこの同じ垂直面内の放射ゼロの充填(すなわち、抑制)を、得るように、調整されてもよい。
【0183】
図16は、
図15の高周波アレイ206を横断面(Y、Z)で示している。
【0184】
図8を参照して前述したように、高周波アレイ206は、2つの分離デバイス236を備える。
【0185】
本変形の特定の特徴によれば、各分離デバイス236は、傾斜同軸線238bと、開放同軸線238aと、を備え、開放同軸線238aは、補助マスト118a、118bの内側に一体化される。
【0186】
更に、高周波アレイの入力/出力コネクタ228が配置され、すなわち、分岐部230c、230c’が合流する中心において、第3の横材249cが、2つの補助マスト118a、118bを接続するために設けられる点で、この変形は、
図6の変形a)を参照し
て説明した実施形態とは、特に異なる。
【0187】
無線電気の観点から、本実施形態の変形は、入力/出力コネクタ228を高周波双極子の2つの対(すなわち、下側対(214c,214d)及び上側対(214a,214b))から等距離に配置することができる限り、アンテナデバイスがその外部で完全に対称であるという利点を有する。更に、高周波アレイ206の双極子の2つの対は、等価の電気経路に沿って入力/出力コネクタ228に電気的に接続される。したがって、この実施形態の変形によるアンテナデバイスは、(X,Y)平面において対称な方位角放射パターンを有する。
【0188】
したがって、特に、管状横材249a、249b、249cのおかげで、高周波双極子を接続するために使用される高周波同軸線全体だけでなく、分離に使用される開放線238aも補助マスト118a、118bに一体化することによって、アンテナデバイスは、同等で、余り一体化されていない解決策と比較して、支持体118a、118bの電気的寸法が小さくなり、高周波アレイの放射パターンの前後比が改善される。
【0189】
図17を参照して、
図1によるアンテナデバイス102の変形実施形態を、ここで説明する。
【0190】
この変形によれば、アンテナデバイス102は、高周波アレイ106の放射に対する低周波双極子の脚部の影響を制限するように、低周波双極子112の各々に関連付けられた少なくとも1つの1/4ウェーブトラップ150を更に備える。
【0191】
図17では、単一の低周波双極子112を示しているが、
図1によるアンテナデバイス102の他の低周波双極子も同じ1/4ウェーブトラップを装備し得ることが理解されよう。
【0192】
より一般的には、低アレイの低周波双極子の全部又は一部は、1つ又は複数の1/4ウェーブトラップを装備してもよい。
【0193】
図17に示す例によれば、1/4ウェーブトラップ150が、低周波双極子112の脚部を構成する各管112b上に配置される。
【0194】
例えば、各1/4ウェーブトラップ150は、中空の金属円筒体で構成される。各円筒体150は、双極子の脚部を構成する管112bの外部表面に直接接触する閉断面を形成する一端部を有する。円筒体150の他端部150bは、開断面を形成する。各円筒体150は、関連する管112b周りに配置される。
【0195】
低周波双極子112に関連付けられた1/4ウェーブトラップ150は、開断面を形成する端部150bの位置で正確に管112bに高インピーダンスを生成し、したがって、高周波アレイ106の放射に対する低周波双極子104の寄与を制限するように設計される。
【0196】
各1/4ウェーブトラップ150は、対象の周波数、すなわち、低周波アレイ104によって使用されるサービス帯域の中央周波数fcの周りの周波数帯域で動作するように構成される。好ましくは、対象の周波数f=fcは、その対応する波長が1/4ウェーブトラップ150の長さの4倍に相当するようなものである。言い換えれば、1/4ウェーブトラップ150は、以下の式f=c/(4xL5)に従って、対象の周波数fにリンクされる長さL5を有し、ここで、c=3.108m/sである。
【0197】
このように構成された1/4ウェーブトラップ150は、その動作周波数帯域にわたって、高周波アレイ106の方位角放射パターンの変形を回避又は少なくとも制限する効果がある。
【0198】
図17の例によれば、本発明者らは、174MHzに等しい最小周波数(f
min)と192MHzに等しい最大周波数(f
max)との間で、その相対帯域幅の約10%にわたって、高周波アレイ106の放射パターンの著しい改善を観察し、上記相対帯域幅は、f
max-f
min/f
cで表される。しかしながら、この結果は、トラップの寸法に応じて変化する。
【0199】
好ましくは、これらの1/4ウェーブトラップ150の各々は、低周波アレイ104の動作周波数に関連付けられた波長の1/4にほぼ等しい長さL5を有する。
【0200】
例えば、1/4ウェーブトラップ150は、低周波アレイ104の放射パターンが低周波双極子112の脚部を構成する管112bの存在によって影響を受けやすい周波数範囲を除去するように構成される。
【0201】
図示の例では、各円筒体は、円形断面を有する。しかしながら、他の実施形態(図示せず)では、この断面は、双極子の脚部の断面の形状に応じて適合させることができる。例えば、断面は、正方形、長方形、又は楕円形を選択することができる。
【0202】
有利には、円筒体は、水平面(X、Y)に沿って長手方向に切断され、すなわち、低周波双極子112の脚部112bの延長寸法に平行である。したがって、円筒体150は、本体の全長L5にわたって延在する平坦部分150a(すなわち、切断部分)を備え、これにより、本体は、非対称である。
【0203】
有利には、
図17に示すように、平面(切断)部150aが、互いに面するように、2つの切断円筒体150は、脚部を構成する管112b上にそれぞれ配置される。このような配置は、同じ双極子の1/4ウェーブトラップ間の容量効果の制限を可能にする。
【0204】
2つの切断円筒体150が対である限りにおいて、これらの2つのシリンダによって構成されるアセンブリは、二重脚部双極子の1/4ウェーブトラップを形成すると考えることができる。双極子の脚部が単一である代替の実施形態(すなわち、単一の管で構成される)では、1/4ウェーブトラップは、単一の管周りに配置された単一の円筒で構成されることが理解されよう。
【0205】
このようなトラップの追加は、低周波双極子の脚部が、高周波アレイ上で放送される周波数に関連付けられた波長の半分にほぼ等しい長さを有する場合に、特に有利である。
【0206】
図18は、
図17を参照して前述したように、低周波双極子112が、1/4ウェーブトラップ150をすべて装備しているときに、高周波アレイ106の放射パターンを実線で示している。
【0207】
この放射パターンによれば、高周波アレイ106は、アレイの前面で、すなわち、90°~180°間、及び-180°~-90°間の方位角について、均一な放射を有する、180°より大きい-3dBの方位角開口部を有する。
【0208】
更に、
図18は、低周波アレイ104の1/4ウェーブトラップ150を除去することによって得られた高周波アレイ106の放射パターンを点線で示している。
【0209】
図18の2つの放射パターンを比較することによって、低周波双極子112上に1/4ウェーブトラップ150が存在することにより、高周波アレイ106が、アレイの前面でほぼ一定の放射で、0~-3dB間のレベルで少なくとも180°の方位角開口を維持し得ることが明らかに分かる。
【0210】
低周波アレイ上に1/4ウェーブトラップがない場合、高周波アレイの方位角放射パターンは、
図18の点線に示すように壊れている状態を呈する。これは、低周波アレイがアクティブであるか非アクティブであるかにかかわらず、高周波アレイからの直接放射と破壊的に相互作用する低周波双極子の脚部からの誘導放射に起因する。したがって、低周波双極子112aの脚部112bに1/4ウェーブトラップ150を追加することは、これらの脚部の励起を低減し、その結果、高周波アレイの動作周波数における放射パターンの変形を低減する効果がある。
【0211】
図18の放射パターンは、高周波アレイ106がDTR周波数帯域、特に、174MHzで信号を送信するように構成される場合に得られた。したがって、174MHzに等しい高い動作周波数で上記の効果が示されたが、約192MHzまでの高周波数でも漸進的な減少を示す同様の効果を観察することができた。
【0212】
図19を参照して、参照番号202を有する、本発明の第2の実施形態によるアンテナデバイスを、ここで説明する。
【0213】
第1の実施形態と同様に、アンテナデバイス202は、低周波アレイと、高周波アレイと、を備える。図示の例では、低周波アレイは、二重脚部212bを有する2つの低周波双極子212を備える。高周波アレイは、二重脚部214bを有する4つの高周波双極子214と、低周波コネクタ220と、を含む。
【0214】
第2の実施形態は、低周波双極子212が垂直に方向付けされたままである高周波双極子214に対して傾斜している点で、主に、第1の実施形態と異なる。
【0215】
したがって、高周波双極子214の腕部214aが方向付けされる方向に対して(すなわち、垂直に対して)、低周波双極子212の腕部212aは、好ましくは45°に等しい非ゼロ角度αを形成するように方向付けされる。
【0216】
本実施例では、各双極子の2つの腕部は互いに同一直線上にある。この場合、双極子の方向は、2つの腕部が整列する線に対応する。より一般的には、双極子の方向は、双極子の2つの腕部間に形成される角度の二等分線に垂直な線によって画定される。
【0217】
逆に、変形実施形態(図示せず)では、低周波双極子が主マスト上に垂直に整列している間に、高周波双極子は、低周波双極子に対して傾斜している(又は方向付けられている)。
【0218】
したがって、より一般的には、本発明によれば、低周波双極子212及び高周波双極子214は、互いに対して傾斜している。
【0219】
-90°~0°間、又は0°~90°間の角度で他方のアレイの双極子の方向に対する一方のアレイの双極子の傾斜は、偏波分離を追加することによって、サービス間分離(又は各アレイが別個の周波数帯域でサービスを提供するときはアレイ間)を促進することを可能にする。
【0220】
図示の例では、低周波双極子は、水平成分及び垂直成分を含む放射を送信及び/又は受
信するためのそれらの方向に起因して適切である一方で、高周波双極子は、それらの垂直方向に起因して、垂直偏波電界を送信する、及び/又はそれをのみを受信することになる。
【0221】
双極子の傾斜はまた、アレイの後方放射に対する双極子支持体の影響を低減することを可能にし、したがって、双極子が傾斜しているアレイの放射パターンの前後比を低減する。
【0222】
第1の実施形態について説明したように、低周波アレイは、主マスト216に沿って配置されるリジェクタフィルタ226を含む分離デバイスを備える。
【0223】
例えば、アレイの一方が、水平偏波(すなわち、その双極子の水平方向を有する)で送信及び/又は受信するように構成され、他方のアレイが、垂直偏波(すなわち、その双極子の垂直方向を提示する)で送信及び/又は受信するように構成されている極端な場合には、低周波アレイ及び高周波アレイにそれぞれ関連付けられた分離デバイスを排除し得る可能性がある。これにより、必要なアレイ間分離が最大30~40dBである場合に、アンテナデバイスの構造及び重量を単純化することが可能になる。
【0224】
図19に示す例では、すべての高周波双極子214が、単一の補助マスト218によって保持される一方で、低周波双極子212は、主マスト216と、単一の補助マスト218との両方、すなわち各マストのそれぞれの脚部212bに固定されて、傾斜双極子の固定を可能にする。明らかに、例えば、双極子の脚部が単一であるか二重であるかに応じて、他の双極子支持構成(例えば、1つ又は複数の補助マスト)が考慮され得る。
【0225】
次に、
図20を参照して、本発明の第3の実施形態によるアンテナデバイスを、ここで説明する。
【0226】
この第3の実施形態の特徴は、低周波双極子312及び高周波双極子314が、鉛直方向Zに対応するマスト316、318a、318bの延伸方向に対してそれぞれ-45°及び+45°だけ傾斜していることである。言い換えれば、低周波双極子312は、直角(β=90°)を形成するように、高周波双極子314に対して方向付けされる。2つのアレイのこの空間的直交構成は、それぞれの分離を容易にするという利点を有する。
【0227】
代替の実施形態(図示せず)では、他の傾斜を明らかに考慮することができる。
【0228】
第1及び第2の実施形態に関して、各低周波双極子312は、高周波双極子314の一対によって垂直に組み立てられているが、第3の実施形態の別の特徴は、高周波双極子314’が各低周波双極子312の中心に配置されていることである。
【0229】
図示の例では、3つのマストを、すべてY方向に整列している。
【0230】
本発明によるアンテナデバイスの双極子の配置の他の変形は、
図21~
図25を参照して以下に説明し、ここで、高周波双極子の位置を、十字+で概略的に表し、低周波双極子の位置を、星*で表す。高周波双極子の対又はグループを、閉じた点線の輪郭によって表す。
【0231】
図21~
図24の例では、低周波双極子の支持体が、主マスト116によって構成される一方で、高周波双極子の支持体が、第1の実施形態を参照して説明したような2つの補助マスト118a、118bによって構成される場合を考える。
【0232】
この場合、双極子の配置が対称になるように、高周波双極子を、2つの補助マスト118a、118b上にバランスよく分配していると仮定する。明らかに、代替の実施形態(図示せず)によれば、マストの数を、双極子の脚部が単一であるか二重であるかに応じて適合させることができる。
【0233】
図21は、第1の変形402を示し、これは、高周波双極子の対P1、P2、P3、P4が、低周波双極子の左から右に交互に配置される。
【0234】
したがって、低周波双極子に関連して、高周波双極子の対、すなわち、交互に、一方の側と他方の側とを交互に配置することにより、2つのアレイを低減した高さにわたって入れ子にすることが可能になり、したがって、アンテナデバイスの大きさを制限する一方で、方位角面内のそれぞれの放射の対称性をもたらす、アレイの効果的な分離を保証する。
【0235】
図22は、第2の変形502を示し、これは、高周波双極子の対が、補助マスト118aの一方の上側部分に配置された高周波双極子のいわゆる上側グループG1と、他方の補助マスト118bの下側部分に配置された高周波双極子の別のいわゆる下側グループG2と、を形成するように、2つの補助マストに分配される。
【0236】
この例では、各グループG1、G2は、高周波双極子の2対で構成され、これにより、これら2つのグループの配置は低周波アレイの中心点Oに対して対称である。
【0237】
この中心対称性は、双極子の一方のグループによって誘発される放射パターンの変形が他方のグループによって補償され、これにより、放射パターンが方位角平面内で対称のままであることを保証する。
【0238】
図23は、第3の変形602を示し、これは、低周波双極子の左に配置された高周波双極子の対のみが、低周波双極子をそれぞれ垂直に組み立てる。
【0239】
この実施形態はまた、対の各々の高周波双極子が隣接する対と共通であるという特殊性を有する。言い換えれば、各高周波双極子は、補助マスト118aの2つの端部にそれぞれ位置する2つの双極子を除いて、2つの隣接する対に属する。
【0240】
この例では、各低周波双極子は、高周波双極子の一対によって左に垂直に組み立てられ、高周波双極子とともに右に対向する。したがって、低周波双極子の右に配置されたすべての高周波双極子は、Y軸に沿って(水平に)低周波双極子に整列する。
【0241】
図24は、第4の変形702を示し、これは、高周波双極子が低周波双極子の右及び左に交互に分配され、これにより、2つの連続する低周波双極子は、垂直に対して斜めの方向に低周波双極子を組み立てる。
【0242】
各低周波双極子は、それが関連付けられた対の2つの高周波双極子に対して、好ましくは同じ高さh/2だけ垂直に分離される。したがって、各低周波双極子は、高周波双極子の一対によって斜めに組み立てられ、これにより、高周波双極子が低周波双極子から等距離にある2つの別個の補助マスト118a、118b上に固定される。
【0243】
代替的な実施形態(図示せず)では、各低周波双極子は、関連する対の高周波双極子から等距離に配置されなくてもよい。
【0244】
図25は、実施形態802を示し、これは、すべての高周波双極子が、低周波双極子の同じ側(例えば、図示のように左)に配置される。この場合、すべての高周波双極子が同
じ補助マスト118上に配置される。
【0245】
上記の実施形態のいずれか1つ、又はその変形のいずれかによる、アンテナデバイス、又はそのようなアンテナデバイスを含む通信システムは、高周波及び低周波アレイを垂直に入れ子にして、これらのアレイ間の結合を制限しつつ、垂直のフットプリントを低減し得ることが明らかである。
【0246】
本発明は、上記の実施形態又は変形に限定されないことにも留意されたい。まさに当業者に開示した教示に照らして、上述の実施形態又は変形に対して様々な修正を行い得ることは、当業者には明らかであろう。
【0247】
先に実施した本発明の詳細な提示において、使用する用語は、本発明を本明細書に記載した実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、まさに当業者に開示した教示の実施に当業者の一般知識を適用することによって予測が当業者の手の届く範囲内にあるすべての均等物を含むと解釈されるべきである。
【国際調査報告】