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特表2024-547160多層共振器アセンブリ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】多層共振器アセンブリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20241219BHJP
   H03H 9/05 20060101ALI20241219BHJP
   H03H 9/58 20060101ALI20241219BHJP
   H03H 9/60 20060101ALI20241219BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20241219BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20241219BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H03H3/02 C
H03H9/05
H03H9/58 A
H03H9/60
H03H9/17 F
H01L29/80 H
H10N30/853
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539581
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 US2022054347
(87)【国際公開番号】W WO2023129717
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】17/566,144
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ソワレズ,ラヴレース
(72)【発明者】
【氏名】ラロシュ,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
5F102
5J108
【Fターム(参考)】
5F102GL04
5J108AA07
5J108BB08
5J108DD06
5J108EE03
5J108EE04
5J108EE07
5J108KK00
5J108MM11
(57)【要約】
多層共振器アセンブリを製造する方法は、複数の垂直に積層される共振器層を順次製造するステップであって、複数の共振器層の各共振器層について、誘電体層を堆積すること、堆積された誘電体層において少なくとも1つの薄膜バルク音響共振器(FBAR)キャビティを形成すること、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填すること、及び少なくとも1つのFBARキャビティの上にFBAR材料スタックを堆積することを含む、順次製造するステップを含む。堆積されているFBAR材料スタックは、犠牲材料ブロック及び誘電体層と接触している。方法は、さらに、複数の共振器層を順次製造した後に、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティから犠牲材料ブロックを除去することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層共振器アセンブリを製造する方法であって、
垂直に積層される複数の共振器層を順次製造するステップであって、前記複数の共振器層の各共振器層について、
誘電体層を堆積すること、
前記堆積されている誘電体層において少なくとも1つの薄膜バルク音響共振器(FBAR)キャビティを形成すること、
前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填すること、及び、
前記少なくとも1つのFBARキャビティの上にFBAR材料スタックを堆積することであって、前記堆積されているFBAR材料スタックは、前記犠牲材料ブロック及び前記誘電体層と接触する、前記FBAR材料スタックを堆積すること、を含む、前記順次製造するステップと、及び、
前記複数の共振器層を順次製造した後に、前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティから前記犠牲材料ブロックを除去するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのFBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することは、化学蒸着、物理蒸着、または原子層堆積のうちの1つを使用して前記犠牲材料ブロックを堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティから前記犠牲材料ブロックを除去するステップは、前記複数の共振器層を二フッ化キセノン(XeF2)、水酸化カリウム(KOH)、過酸化水素(H2O2)、または酸素(O2)プラズマのうちの1つにさらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の共振器層を製造した後であって、かつ、前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティから前記犠牲材料ブロックを除去する前に、前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティの前記犠牲材料ブロックは、前記複数の共振器層のうちの垂直に隣接する共振器層の内部に配置された垂直に隣接する犠牲材料ブロックと接触している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の共振器層の各共振器層について、前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することの後に、前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティの内部の前記誘電体層及び前記犠牲材料ブロックを平坦化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の共振器層の各共振器層について、前記誘電体層に1つ以上の導電層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の共振器層の各共振器層について、前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することの後であって、かつ、前記少なくとも1つのFBARキャビティの上に前記FBAR材料スタックを堆積することの前に、前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティの内部の前記誘電体層及び前記犠牲材料ブロックに誘電体コーティングを堆積することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の共振器層の各共振器層について、前記少なくとも1つのFBARキャビティの上に前記FBAR材料スタックを堆積することの前に、前記誘電体コーティングの1つ以上の部分を除去することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記堆積されているFBAR材料スタックは、圧電層及び少なくとも1つの導電層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記圧電層は、前記少なくとも1つの導電層の上部導電層と前記少なくとも1つの導電層の下部導電層との間に挟まれている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲材料ブロックは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、タングステン、窒化チタン(TiN)、またはポリイミドのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
多層共振器アセンブリであって、
複数の薄膜バルク音響共振器(FBAR)を含む垂直に積層される複数の共振器層であって、前記複数の共振器層の各共振器層は、
上面と下面とを有する誘電体層であって、前記誘電体層の内部に少なくとも1つのFBARキャビティを画定し、前記少なくとも1つのFBARキャビティが前記上面から前記下面まで延びている、誘電体層と、
前記誘電体層の前記上面に配置されている、前記複数のFBARのうちの少なくとも1つのFBARであって、前記少なくとも1つのFBARの各FBARが前記少なくとも1つのFBARキャビティのFBARキャビティにわたって延びている、前記少なくとも1つのFBARと、を含む、前記垂直に積層される複数の共振器層を含み、
前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティは、前記複数の共振器層の各々の垂直に隣接する共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティのそれぞれのFBARキャビティと垂直に整列される、
多層共振器アセンブリ。
【請求項13】
さらに複数の犠牲材料ブロックを備え、前記複数の犠牲材料ブロックの各犠牲材料ブロックは、前記複数の共振器層の各共振器層の前記少なくとも1つのFBARキャビティのそれぞれのFBARキャビティに配置されている、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項14】
前記複数の犠牲材料ブロックのうちの各犠牲材料ブロックは、前記複数の共振器層の各々の垂直に隣接する共振器層の前記複数の犠牲材料ブロックの垂直に隣接する犠牲材料ブロックと接触している、請求項13に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項15】
前記複数の犠牲材料ブロックは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、タングステン、窒化チタン(TiN)、またはポリイミドのうちの1つを含む、請求項13に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項16】
前記複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、ラダー構成で互いに電気的に接続され、前記一部のFBARは、前記複数の共振器層の第1の共振器層に配置されているFBARの第1の副次的部分と、前記第1の共振器層に垂直に隣接する前記複数の共振器層の第2の共振器層に配置されているFBARの第2の副次的部分と、を含む、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項17】
前記複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、格子構成で互いに電気的に接続され、前記一部のFBARは、前記複数の共振器層の第1の共振器層に配置されているFBARの第1の副次的部分と、前記第1の共振器層に垂直に隣接する前記複数の共振器層の第2の共振器層に配置されているFBARの第2の副次的部分と、を含む、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項18】
前記複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、ラダー格子構成で互いに電気的に接続され、前記一部のFBARは、前記複数の共振器層の第1の共振器層に配置されているFBARの第1の副次的部分、前記第1の共振器層に垂直に隣接する前記複数の共振器層の第2の共振器層に配置されているFBARの第2の副次的部分、及び前記第2の共振器層に垂直に隣接する前記複数の共振器層のうちの第3の共振器層に配置されるFBARの第3の副次的部分を含む、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項19】
前記複数のFBARのうちの1つ以上のFBARは、上部導電層と下部導電層との間に挟まれている圧電層を含む、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【請求項20】
前記複数の共振器層に垂直に隣接して配置されているベース層をさらに含み、前記ベース層は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含む、請求項12に記載の多層共振器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月30日に出願された米国特許出願第17/566,144号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般には、無線周波数(RF)フィルタに関し、より具体的には、薄膜バルク音響共振器(FBAR)を含む多層共振器アセンブリに関する。
【0003】
多くの無線周波数(RF)の適用では、信号を調整し、伝送を改善するためのフィルタの中で電気共振器が使用される。電気コンポーネントのサイズと占有面積を削減するよう継続的な努力がなされているにも関わらず、多くの既知のフィルタ技術は、容易に小型化に助力していない。圧電ベースの共振器は、圧電材料において音響共振モードを生成し、これらの音波は、電気の用途で使用するために電波に変換される。
【0004】
圧電共振器の一種である薄膜バルク音響共振器(FBAR)は、占有面積が小さく、集積回路(IC)製造プロセスの中に組み込むことができる。図1A~Cに示すように、FBAR100は、2つの電極104の間に挟まれた圧電材料層102を含んでもよい音響材料スタックである。FBAR100は、電極104と、空隙108(例えば、キャビティ)の上に浮いた状態の圧電材料102の一部と、を備える基板106に形成される。音波は、音響材料スタック全体で共振し、特定の共振周波数は、層の材料と電極104の形状によって決まる。
【0005】
しかしながら、高密度FBARフィルタネットワークは、特に、今日の最先端のRFシステムに必要な小型フォームファクタで製造が困難である場合がある。例えば、同じチップ内部の複数のレベル(層など)にFBARと関連するキャビティを含むマルチレベルFBARアーキテクチャを製造することは困難である場合がある。したがって、当技術分野では、改良された共振器アセンブリ及び関連する製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載される機構または実施形態のいずれかまたはすべては、別段の記載がない限り、本明細書に記載される他のあらゆる機構または実施形態と、任意の組み合わせで使用できるまたは組み合わせられることを、理解されたい。
【0007】
本開示の態様によれば、多層共振器アセンブリを製造する方法は、垂直に積層される複数の共振器層を順次製造するステップであって、複数の共振器層の各共振器層について、誘電体層を堆積することと、堆積された誘電体層において少なくとも1つの薄膜バルク音響共振器(FBAR)キャビティを形成することと、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することと、及び少なくとも1つのFBARキャビティの上にFBAR材料スタックを堆積することと、を含む、順次製造するステップを含む。堆積されたFBAR材料スタックは、犠牲材料ブロック及び誘電体層と接触している。方法は、さらに、複数の共振器層を順次製造するステップの後に、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティから犠牲材料ブロックを除去するステップを含む。
【0008】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1つのFBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することは、化学蒸着、物理蒸着、または原子層堆積の1つを使用して犠牲材料ブロックを堆積することを含んでもよい。
【0009】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティから犠牲材料ブロックを除去するステップは、複数の共振器層を二フッ化キセノン(XeF2)、水酸化カリウム(KOH)、過酸化水素(H2O2)、または酸素(O2)プラズマの1つにさらすことを含んでもよい。
【0010】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数の共振器層を製造した後であって、かつ、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティから犠牲材料ブロックを除去する前に、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティの犠牲材料ブロックは、複数の共振器層のうちの垂直に隣接する共振器層の内部に配置された垂直に隣接する犠牲材料ブロックと接触してもよい。
【0011】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、方法は、複数の共振器層の各共振器層について、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することの後に、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティ内部の誘電体層及び犠牲材料ブロックを平坦化することをさらに含んでもよい。
【0012】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、方法は、複数の共振器層の各共振器層について、誘電体層に1つ以上の導電層を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0013】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、方法は、複数の共振器層の各共振器層について、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティを犠牲材料ブロックで充填することの後であって、かつ、少なくとも1つのFBARキャビティの上にFBAR材料スタックを堆積することの前に、少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティ内部の誘電体層及び犠牲材料ブロックに誘電体コーティングを堆積することをさらに含んでもよい。
【0014】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、方法は、複数の共振器層の各共振器層について、少なくとも1つのFBARキャビティの上にFBAR材料スタックを堆積することの前に、誘電体コーティングの1つ以上の部分を除去することをさらに含んでもよい。
【0015】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、堆積されているFBAR材料スタックは、圧電層及び少なくとも1つの導電層を含んでもよい。
【0016】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、圧電層は、少なくとも1つの導電層の上部導電層と少なくとも1つの導電層の下部導電層との間に挟まれてもよい。
【0017】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、犠牲材料ブロックは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、タングステン、窒化チタン(TiN)、またはポリイミドのうちの1つを含んでもよい。
【0018】
本開示の別の態様によれば、多層共振器アセンブリは、複数の薄膜バルク音響共振器(FBAR)を含む垂直に積層される複数の共振器層を含む。複数の共振器層の各共振器層は、上面と下面とを有する誘電体層を含む。誘電体層は、誘電体層内部に少なくともFBARキャビティを画定する。少なくとも1つのFBARキャビティは、上面から下面まで延びている。複数の共振器層の各共振器層は、誘電体層の上面に配置された、複数のFBARのうちの少なくとも1つのFBARをさらに含む。少なくとも1つのFBARの各FBARは、少なくとも1つのFBARキャビティのFBARキャビティにわたって延びている。複数の層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティの各FBARキャビティは、複数の共振器層の各垂直に隣接する共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティのそれぞれのFBARキャビティと垂直に整列される。
【0019】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、多層共振器アセンブリは、さらに複数の犠牲材料ブロックを含んでもよく、複数の犠牲材料ブロックの各犠牲材料ブロックは、複数の共振器層の各共振器層の少なくとも1つのFBARキャビティのそれぞれのFBARキャビティに配置されている。
【0020】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数の犠牲材料ブロックのうちの各犠牲材料ブロックは、複数の共振器層の各々の垂直に隣接する共振器層の複数の犠牲材料ブロックの垂直に隣接する犠牲材料ブロックと接触してもよい。
【0021】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数の犠牲材料ブロックは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、タングステン、窒化チタン(TiN)、またはポリイミドのうちの1つを含んでもよい。
【0022】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、ラダー構成で互いに電気的に接続されてもよい。一部のFBARは、複数の共振器層のうちの第1共振器層に配置されてもよいFBARの第1の副次的部分と、第1共振器層に垂直に隣接する複数の共振器層のうちの第2共振器層に配置されてもよいFBARの第2の副次的部分と、を含む。
【0023】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、格子構成で互いに電気的に接続されてもよい。一部のFBARは、複数の共振器層のうちの第1共振器層に配置されてもよいFBARの第1の副次的部分と、第1共振器層に垂直に隣接する複数の共振器層のうちの第2共振器層に配置されてもよいFBARの第2の副次的部分と、を含む。
【0024】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数のFBARのうちの少なくとも一部のFBARは、ラダー格子構成で互いに電気的に接続されてもよい。一部のFBARは、複数の共振器層の第1共振器層に配置されてもよいFBARの第1の副次的部分と、第1共振器層に垂直に隣接する複数の共振器層の第2共振器層に配置されてもよいFBARの第2の副次的部分と、を含み、第2共振器層に垂直に隣接する複数の共振器層のうちの第3共振器層に配置されてもよいFBARの第3の副次的部分を含む。
【0025】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、複数のFBARのうちの1つ以上のFBARは、上部導電層と下部導電層との間に挟まれている圧電層を含んでもよい。
【0026】
上記及び本明細書で説明した態様または実施形態のいずれかにおいて、多層共振器アセンブリは、複数の共振器層に垂直に隣接して配置されているベース層をさらに含んでもよい。ベース層は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含んでもよい。
【0027】
本開示、ならびに本開示に関連するすべての態様、実施形態、及び利点は、添付の図面を含む下記に提供される発明を実施するための形態を考慮することにより、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】A~Cは、基板に取り付けられた例示的な薄膜バルク音響共振器(FBAR)の断面図を示す。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、多層共振器アセンブリの一部の側面の切欠き図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、図2の多層共振器アセンブリの一部の上面の切欠き図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ラダー構成で電気的に接続されたFBARの概略図を示す。
図5】本開示の1つ以上の実施形態に従った、格子構成で電気的に接続されたFBARの概略図を示す。
図6】本開示の1つ以上の実施形態に従った、ラダー格子構成で電気的に接続されたFBARの概略図を示す。
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、多層共振器アセンブリを形成する方法のフローチャートを示す。
図8A】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8B】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8C】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8D】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8E】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8F】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8G】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
図8H】本開示の1つまたは複数の実施形態に従った、形成の様々な段階における多層共振器アセンブリの一部の一連の側面の切欠き図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2及び図3を参照すると、本開示による多層共振器アセンブリ20(以下、「共振器アセンブリ20」)は、集積回路(IC)として構成されている複数の垂直に積層された共振器層22を含む。いくつかの実施形態では、共振器アセンブリ20は、複数の共振器層22に垂直に隣接するベース層24をさらに含んでもよい。図2及び図3は、ベース層24及び3つの共振器層22を含む例示的な共振器アセンブリ20の一部を示す。ただし、本開示は、図2及び図3に示す共振器アセンブリ20の特定の構成に限定されるものではなく、共振器層22のいずれかの特定の数にも限定されないことを理解されたい。ここで使用される「垂直」または「垂直に」という用語は、製造中に共振器アセンブリ20が処理され、概ね水平な方向を定めると考えることができる主要な面に対して、概ね直交する方向を指す。
【0030】
ベース層24は、集積回路の最初の層であってもよく、図2に示すように、裸の基板ウェーハ28に形成されてもよい。あるいは、ベース層24は、例えば、窒化ガリウム(GaN)スイッチネットワークなどのより複雑なICの最終層であってもよい。ベース層24は、一般に、誘電体層30、導体層32、及び入力/出力回路34を含んでもよい。例えば、コンデンサやインダクタなどの他の受動式構造も、ベース層24に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ベース層24は、GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)とそれに付随するIC構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、GaN HEMT回路を共振器アセンブリ20に組み込むことは、GaN HEMT回路の上部に複数の共振器層22を直接的に形成することによって実現できる。
【0031】
複数の共振器層22は、電気的に接続されて少なくとも1つのフィルタネットワーク38を形成する複数の薄膜バルク音響共振器(FBAR)36を含む。いくつかの実施形態では、フィルタネットワーク38は、さらに詳細に説明されるように、複数のFBAR36の3次元(例えば、多層の)FBARアレイとして構成されてもよい。各共振器層22は、誘電体層40と、複数のFBAR36のうちの少なくとも1つのFBAR36と、を含む。誘電体層40は、上面42と、上面42の反対側にある下面44と、を有する。誘電体層40及び誘電体層30は、窒化シリコン(例えば、SiNまたはSi3N4)、二酸化シリコン(SiO2)などの適切な誘電体材料から作製されてもよい。誘電体層40は、誘電体層40の上面42から下面44まで垂直に延びる少なくとも1つのFBARキャビティ46を含む。複数の共振器層22のうちの各共振器層22の各FBAR36は、各FBAR36がそれぞれの共振器層22に配置されているFBARキャビティ46にわたって延びるように配置される。複数の共振器層22のうちの各共振器層22の各FBAR36の少なくとも一部は、それぞれの共振器層22の誘電体層40の上面42と接触してもよい。
【0032】
複数のFBAR36のうちの各FBAR36は、通常、圧電層48と、少なくとも1つの導電層50(例えば、電極)と、を含む。いくつかの実施形態では、複数のFBAR36のうちの1つ以上のFBAR36は、例えば、図2に示すように、圧電層48が2つの導電層50(例えば、上部導電層と下部導電層)の間に挟まれている構成であってもよい。いくつかの実施形態では、複数のFBAR36のうちの1つ以上のFBAR36は、「上部電極のみ」の構成を有してもよく、それらの複数のFBAR36のうちのそれぞれのFBAR36は、圧電層48の上部に上部導電層50を含み、圧電層48の下部には導電層が存在しない。いくつかの実施形態では、上部導電層50は、それぞれのFBAR36の特定の共振周波数または他の性能の要件を目標にするために、リソグラフィによってパターン化されてもよい。圧電層48の材料の非限定的な例は、窒化アルミニウム(AlN)、スカンジウムドープ窒化アルミニウム(ScAlN)、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)などを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの導電層50は、典型的には、金属材料から作られてもよい。導電層50の材料の非限定的な例としては、アルミニウム(Al)またはモリブデン(Mo)が挙げられるが、これらに限定されない。複数のFBAR36は、例えば、フィルタリングする所望の周波数の範囲に応じて、異なる厚さ、サイズ、形状、及び構成を有するFBAR36を含んでもよい。
【0033】
複数の共振器層22のうちの各共振器層22は、複数のFBAR36を含む共振器アセンブリ20のコンポーネントを電気的に接続するために構成される導電層52をさらに含む。図2に示すように、複数の共振器層22のうちの共振器層22に含まれる導電層52は、複数の共振器層22のうちの垂直に隣接する共振器層22の導電層52と電気的に接触してもよい。導電層52は、概して、例えば、銅(Cu)(例えば銅ダマシン)、アルミニウム(Al)などの金属材料から作製される。
【0034】
図2及び図3に示すように、各共振器層22の各FBARキャビティ46は、複数の共振器層22のうちの各々の垂直に隣接する共振器層22の1つまたは複数のFBARキャビティ46と、垂直方向に整列している。言い換えれば、各FBARキャビティ46の少なくとも一部は、垂直に隣接する共振器層22の内部に配置されている垂直に隣接するFBARキャビティ46の少なくとも一部と垂直に整列される。したがって、複数の共振器層22の各共振器層22に関連付けられた少なくとも1つのFBARキャビティ46は、組み合わせて、例えば、垂直で最も外側の共振器層22から垂直で最も内側の共振器層22まで、複数の共振器層22を貫通する、1つ以上の途切れのないエッチング通路54を画定してもよい。図3に示すように、各共振器層22の1つ以上のFBARキャビティ46は、複数の共振器層22のうち垂直に隣接する共振器層22の1つ以上のFBARキャビティ46から水平方向にずらして配置(例えば、オフセット)されてもよい。
【0035】
共振器アセンブリ20は、複数の共振器層22のうちの垂直に隣接する共振器層22の間に、ならびにベース層24と複数の共振器層22のうちの垂直に隣接する共振器層22との間に配置される薄いキャッピング誘電体コーティング56(以下、「誘電体コーティング56」)を含んでもよい。誘電体コーティング56は、シリコン窒化物(例えば、SiNまたはSi3N4)などの適切な誘電体材料から作られ、複数の共振器層22のうち垂直に隣接する共振器層22のコンポーネントから各共振器層22のコンポーネント(例えば、導電層52)を電気的に分離することができる。誘電体コーティング56の一部は、例えば、共振器アセンブリ20のコンポーネント(例えば、複数のFBAR36)の位置決め、垂直に隣接するコンポーネント(例えば、導電層52)の間の電気的接触などを可能にするために除去されてもよい。共振器アセンブリ20は、複数のFBAR36のうちのFBAR36の1つ以上と電気的に接触する1つ以上のパッドアウト構造58をさらに含んでもよい。
【0036】
図2及び図3は、前述のように、複数のFBAR36がFBARの多層アレイとして配置される例示的な共振器アセンブリ20の一部の部分的な切欠き図を示す。特に、図2は、例示的な共振器アセンブリ20の側面図を示し、図3は、図2の共振器アセンブリ20の上面図を示す。複数の共振器層22は、図2では、第1共振器層22A、第2共振器層22B、及び第3共振器層22Cとして示されている。理解を容易にするために、図2及び図3では、複数のFBAR36をFBAR36A~Fとして示し、FBARキャビティ46をFBARキャビティ46A~Fとして示し、導電層52を導電層52A~Lとして示している。
【0037】
これより図4図6を参照すると、複数のFBAR36が導電層52と電気的に接続され、1つ以上の多層フィルタネットワーク38を形成することができる。図4図6に示すように、複数の共振器層22のうちの第1共振器層22内部に配置される導電層52は、破線で概略的に示され、複数の共振器層22のうちの第2共振器層22内部に配置される導電層52は、点線で概略的に示され、複数の共振器層22のうちの第3共振器層22内部に配置される導電層52は、一点鎖線で概略的に示され、複数の共振器層22のうちの第4共振器層22の内部に配置される導電層52は実線で概略的に示される。図4図6のFBARの構成は、フィルタネットワーク38の多層構成を説明するために含まれており、本開示のフィルタネットワーク38は、図4図6に示されるFBAR構成に限定されない。
【0038】
図4に示すように、複数のFBAR36のうちの少なくとも一部のFBAR36は、「ラダー構成」で互いに電気的に接続されてもよい。FBAR36の第1の副次的部分は、複数の共振器層22の第1共振器層22Aに配置されてもよく、FBAR36の第2の副次的部分は、複数の共振器層22の第2共振器層22Bに配置されてもよい。第1共振器層22Aは、複数の共振器層22のうち第2共振器層22Bに垂直に隣接して配置されてもよい。
【0039】
図5に示すように、複数のFBAR36のうちの少なくとも一部のFBAR36は、「格子構成」で互いに電気的に接続されてもよい。FBAR36の第1の副次的部分は、複数の共振器層22の第1共振器層22Aに配置されてもよく、FBAR36の第2の副次的部分は、複数の共振器層22の第2共振器層22Bに配置されてもよい。第1共振器層22Aは、複数の共振器層22のうち第2共振器層22Bに垂直に隣接して配置されてもよい。
【0040】
図6に示すように、複数のFBAR36のうちの少なくとも一部のFBAR36は、「ラダー格子構成」で互いに電気的に接続されてもよい。FBAR36の第1の副次的部分は、複数の共振器層22の第1共振器層22Aに配置されてもよく、FBAR36の第2の副次的部分は、複数の共振器層22の第2共振器層22Bに配置されてもよく、FBAR36の第3の副次的部分は、複数の共振器層22の第3共振器層22Cに配置されてもよい。第1共振器層22A、第2共振器層22B、及び/または第3共振器層22Cは、第1共振器層22A、第2共振器層22B、及び第3共振器層22Cのうちの別の層に垂直に隣接して配置されてもよい。
【0041】
図7は、これらには限定されないが、共振器アセンブリ20などの多層共振器アセンブリを製造する方法700のフローチャートを示す。方法700の様々なステップは、形成の様々な段階における共振器アセンブリ20の部分を示す図8A~Hの側面の切欠き図を参照して説明される。
【0042】
ステップ702では、共振器層22のための誘電体層40が堆積される。複数の共振器層22のうち最初の共振器層22のための誘電体層40は、図8Aに示すように、基板28またはベース層24の上に、堆積されまたは配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ702は、誘電体層40を平坦化して、誘電体層40の実質的に平坦な上面42を画定することを含んでもよい。誘電体層40は、化学機械研磨(CMP)法またはその他の適切なIC平坦化法を使用して平坦化されてもよい。
【0043】
ステップ704では、誘電体層40から誘電体材料を除去することによって、誘電体層40に1つ以上のFBARキャビティ46が形成される。例えば、誘電体層40は、適切なウェットエッチングまたはドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)プロセスを使用してエッチングされてもよい。ステップ706では、図8Aに示すように、形成されたFBARキャビティ46に犠牲材料ブロック60が充填される。犠牲材料ブロック60は、各FBARキャビティ46を充填してもよく、誘電体層40の下面44と上面42との間に延びてもよい。犠牲材料ブロック60は、例えば、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)、原子層堆積法(ALD)などによってFBARキャビティ46に堆積されてもよい。犠牲材料ブロック60の材料の非限定的な例は、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、タングステン、窒化チタン(TiN)、またはポリイミドを含んでもよい。
【0044】
ステップ708では、各FBARキャビティ46の中に堆積される犠牲材料ブロック60は、周囲の誘電体層40(例えば、誘電体層40の上面42)と同じ高さになるように平坦化されてもよい。いくつかの実施形態では、誘電体層40は、代替的に、ステップ708で犠牲材料ブロック60の平坦化と同時に平坦化されてもよい。犠牲材料ブロック60は、化学機械研磨(CMP)法またはその他の適切なIC平坦化法を使用して平坦化されてもよい。
【0045】
ステップ710では、図8Bに示すように、誘電体層40に導電層52が形成される。導電層52を形成することは、まず、誘電体層40をエッチングして、内部に導電層52の導電材料を堆積できるチャネルを形成することを含んでもよい。導電層52を形成することは、さらに、先行する垂直に隣接する共振器層22の誘電体コーティング56の1つ以上の部分をエッチングして、導電層52を先行する垂直に隣接する共振器層22の1つ以上の導電層52と電気的に接触するように配置することを含んでもよい。ステップ712では、図8Bに示すように、誘電体層40、導電層52、及び犠牲材料ブロック60が、誘電体コーティング56で覆われる。ステップ714では、図8Cに示すように、誘電体コーティング56の1つ以上の部分をエッチングして、その後、内部にFBAR材料を堆積することができる少なくとも1つのFBAR開口部62を形成してもよい。
【0046】
ステップ716では、図8Cに示すように、少なくとも1つのFBAR開口部62の各々の内部にFBAR材料スタック64が配置され、共振器層22のそれぞれのFBARキャビティ46の内部に配置される犠牲材料ブロック60の上部にFBAR材料スタック64が配置されるようにする。FBAR材料スタック64は、追加的に、誘電体層40及び/または導電層52と接触して堆積されてもよい。FBAR材料スタック64は、例えば、CMOS互換堆積プロセスを使用して堆積されてもよい。CMOS互換堆積プロセスの非限定的な例は、低温スパッタ堆積または物理蒸着(PVD)、低温分子線エピタキシー(MBE)、低温原子層堆積(ALD)、または一般に約350℃(約662°F)未満で実行されてもよいその他の化学的なまたは物理的な堆積プロセスを含むが、これらには限定されない。ただし、CMOSデバイスの温度適合性は350℃に限定されない。例えば、高温処理時間が比較的短く保たれる場合には、より高温の堆積プロセスが許容される。高温堆積プロセスでは、CMOSデバイスの性能と信頼性の問題を防ぐために、通常、加工時間をより短くする必要がある場合がある。複数のFBAR36に関して前述したように、FBAR材料スタック64は、また、圧電層48及び少なくとも1つの導電層50を含んでもよい。ステップ718では、共振器層22のFBAR材料スタック64がエッチングされ、共振器層22のFBAR36が形成される。
【0047】
ステップ702~718は、必要に応じて各共振器層22に対して繰り返され、共振器アセンブリ20の複数の垂直に積層される共振器層22を順次製造してもよい。図8D~Gは、複数の共振器層22を様々な連続的な段階で連続して製造する様子を示す。複数の共振器層22が順次製造されるのにしたがい、複数の共振器層22の各共振器層22の各FBARキャビティ46の犠牲材料ブロック60は、複数の共振器層22の垂直に隣接する共振器層22の内部に配置される垂直に隣接する犠牲材料ブロック60と接触する。例えば、最初の共振器層22の後に製造される共振器層22の場合には、各犠牲材料ブロック60は、少なくとも部分的に、先行する垂直に隣接する共振器層22からの垂直に隣接する犠牲材料ブロック60の上に堆積されてもよい。
【0048】
ステップ720では、図8Hに示すように、複数の共振器層22の連続的な製造が完了すると、共振器アセンブリ20のパッドアウト構造58が製造される。パッドアウト構造58は、複数のFBAR36のうちの1つ以上のFBAR36に電気的に接続されて、1つ以上のフィルタネットワーク38を外部電気システムまたはそれぞれのICの後続の層もしくは他の機構に電気的に接続してもよい。パッドアウト構造58は、アルミニウム(Al)、窒化チタン(TiN)、またはその他いずれかの適切な導電性材料を含んでもよい。
【0049】
ステップ722では、図8Hに示すように、複数の共振器層22の各共振器層22の各FBARキャビティ46から犠牲材料ブロック60が除去される。例えば、共振器アセンブリ20の犠牲材料ブロック60のすべてが、複数のFBAR36の各FBAR36に隣接する各FBARキャビティ46から除去され、これにより、複数のFBARキャビティ46のそれぞれのFBARキャビティ46の上に複数のFBAR36が浮いた状態を保つことになり、フィルタネットワーク38が完成する。前述のように、各共振器層22のFBARキャビティ46の各々は、複数の共振器層22の各々の垂直に隣接する共振器層22の1つ以上のFBARキャビティ46と垂直に整列しているため、複数の共振器層22の共振器層22のすべての犠牲材料ブロック60のすべてに対して、犠牲材料の除去を行うことができる。したがって、本開示の方法700の態様は、FBARキャビティ46のすべてを単一のステップで形成することを可能にする(例えば、犠牲材料ブロック60を除去することによって)。各FBARキャビティ46からの犠牲材料ブロック60の除去は、例えば、エッチングプロセスを使用して達成されてもよい。例えば、複数の共振器層22を含む共振器アセンブリ20は、これらには限定されないが、二フッ化キセノン(XeF2)、水酸化カリウム(KOH)、高温過酸化水素(H2O2)、または酸素(O2)プラズマなどのエッチング化合物にさらされてもよい。
【0050】
前述の説明及び図面では、複数の要素の間の様々な接続が示されているということに留意されたい。これらの接続は、一般的なものであり、特に指定のない限り、直接的な接続または間接的な接続であってもよく、この点において本明細書は限定することを意図していないということに留意されたい。2つ以上のエンティティの間の結合は、直接的な接続または間接的な接続を指してもよい。間接的な接続の場合には、1つ以上の介在エンティティが組み込まれてもよい。本開示の実施形態の様々な方法またはプロセスステップが下記の説明及び図面で説明されるということにさらに留意されたい。説明では、方法及び/またはプロセスステップが特定の順序で提示されてもよい。しかし、方法またはプロセスが本明細書に記載されるステップの特定の順序に依存しない限り、方法またはプロセスは、記載されるステップの特定の順序に限定されるべきではない。当業者には理解されるように、ステップの他の順序も可能であってもよい。よって、説明に記載されるステップの特定の順序は、限定として解釈されるべきではない。
【0051】
さらに、本開示の要素、コンポーネント、または方法のステップは、要素、コンポーネント、または方法のステップが特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかに関係なく、一般に公開されることを意図していない。本明細書における特許請求の範囲の要素は、「~ための手段(means for)」という語句を使用して要素が明示的に挙げられない限り、米国特許法第112(f)条に基づいて解釈されるべきではない。本明細書で使用される用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を指すことが意図され、よって、要素のリストを含むプロセス、方法、製品、または機器は、これらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素、またはこのようなプロセス、方法、製品、もしくは機器に特有な他の要素も含んでもよい。
【0052】
本開示の様々な態様が開示されたが、本開示の範囲内で、さらに多くの実施形態及び実施態様が可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に説明される本開示には、特定の特徴を含むいくつかの態様及び実施形態が含まれる。これらの特定の特徴は個々に説明されてもよいが、本開示の範囲内であり、これらの特徴のうちのいくつかまたはすべてが、態様のうちのいずれか1つと組み合わされても、本開示の範囲内に留まってもよい。「様々な実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいことを示すが、あらゆる実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むわけではない。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合、別の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性が用いられることは、明示的に記載されているか否かにかかわらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物を考慮すること除いて、限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
【国際調査報告】