(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】太陽電池の電極アセンブリのための一体型フィルム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20241219BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539593
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022085158
(87)【国際公開番号】W WO2023126154
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,トー シン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,イーティン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251CB13
5F251CB24
5F251DA07
5F251DA15
5F251EA19
5F251FA06
5F251FA10
5F251FA14
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251JA09
(57)【要約】
太陽電池の電極アセンブリのための一体型フィルムであって、一体型フィルムが、使用中に、太陽電池の表面上に配置され、電極アセンブリの複数の導電性素子が、一体型フィルムと太陽電池の表面との間に介在しており、一体型フィルムが、ポリマー材料から形成され、第1の基準及び第2の基準のうちの少なくとも1つを満たすことによって特徴付けられ、第1の基準は、ポリマー材料が、以下の方法を使用して示差走査熱量測定によって測定して40℃~200℃の温度範囲に少なくとも2つの吸熱ピークを有することを要件とし、方法が、一体型フィルムを、標準試験法ASTM D3418に従って第1の熱サイクル及び第2の熱サイクルで順次加熱して、それぞれ、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースを生成すること、並びに第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々において、40℃~200℃の温度範囲の第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークを特定及び決定することであり、第2の基準は、一体型フィルムが、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを要件とし、剥離強度が、以下の方法に従って180度の剥離試験によって決定され、方法が、一体型フィルムを基板の表面に熱的に接合すること、標準試験方法ASTM D903に従って一体型フィルムを表面から剥離して、剥離力トレースを提供すること、及び剥離力トレースから、一体型フィルムが、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを決定することである、一体型フィルム。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の電極アセンブリのための一体型フィルムであって、前記一体型フィルムが、使用時に、前記太陽電池の表面上に配置され、前記電極アセンブリの複数の導電性素子が、前記一体型フィルムと前記太陽電池の前記表面との間に介在し、
前記一体型フィルムが、ポリマー材料から形成され、第1の基準及び第2の基準のうちの少なくとも1つを満たすことによって特徴付けられ、
前記第1の基準は、前記ポリマー材料が、以下の方法を使用して示差走査熱量測定によって測定して40℃~200℃の温度範囲に少なくとも2つの吸熱ピークを有することを要件とし、前記方法が、
前記一体型フィルムを、標準試験方法ASTM D3418に従って第1の熱サイクル及び第2の熱サイクルで順次加熱して、それぞれ、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースを生成すること、並びに
前記第1の加熱トレース及び前記第2の加熱トレースの各々において、40℃~200℃の前記温度範囲における第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークを特定及び決定することであり、
前記第2の基準は、前記一体型フィルムが、前記一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを要件とし、前記剥離強度が、以下の方法に従って180度の剥離試験によって決定され、前記方法が、
前記一体型フィルムを基板の表面に熱的に接合すること、
標準試験方法ASTM D903に従って前記一体型フィルムを前記表面から剥離して、剥離力トレースを提供すること、及び
前記剥離力トレースから、前記一体型フィルムが、前記一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを決定すること、を含む、一体型フィルム。
【請求項2】
前記第1の加熱トレース及び前記第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つにおける前記第1の吸熱ピーク及び前記第2の吸熱ピークのうちの少なくとも1つが、80℃~160℃である、請求項1に記載の一体型フィルム。
【請求項3】
前記第1の加熱トレース及び前記第2の加熱トレースの各々における前記第1の吸熱ピークが、40℃~130℃である、請求項1又は2に記載の一体型フィルム。
【請求項4】
前記第2の加熱トレースにおける前記第1の吸熱ピークが、80℃~130℃である、請求項3に記載の一体型フィルム。
【請求項5】
前記第1の加熱トレース及び前記第2の加熱トレースの各々における前記第2の吸熱ピークが、100℃~160℃である、先行請求項のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項6】
前記第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々における前記第2の吸熱ピークが、100℃~145℃である、請求項5に記載の一体型フィルム。
【請求項7】
前記一体型フィルムが、前記第1及び第2の加熱トレースにおいて、130℃~200℃の温度範囲の第3の吸熱ピークを有する、請求項6に記載の一体型フィルム。
【請求項8】
前記第1及び第2の加熱トレースにおける前記第3の吸熱ピークが、130℃~160℃である、請求項7に記載の一体型フィルム。
【請求項9】
前記一体型フィルムが、前記示差走査熱量測定方法によって測定して0℃~200℃の範囲の温度に発熱ピークを有し、前記示差走査熱量測定方法が、
標準試験方法ASTM D3418に従って、前記第1の熱サイクル中に前記ポリマー材料の冷却を測定して、冷却トレースを生成することと、
前記0℃~200℃の範囲の温度における前記発熱ピークを特定及び決定することと、を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項10】
前記発熱ピークが、40℃~130℃である、請求項9に記載の一体型フィルム。
【請求項11】
前記一体型フィルムの前記剥離力トレースが、少なくとも15Nである、請求項1から10のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項12】
前記一体型フィルムの前記剥離力トレースが、最大30Nである、請求項1から11のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項13】
前記一体型フィルムを前記基板に熱的に接合することが、前記一体型フィルムを少なくとも50℃まで加熱することを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項14】
前記一体型フィルムが、前記第1の基準及び前記第2の基準の両方を満たす、請求項1から13のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項15】
前記ポリマー材料が、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリビニルブチラール(PVB)炭化水素イオノマー、熱可塑性オルガノシリコン、シリコンゴム、ポリウレタン、熱可塑性シリコーンエラストマー(TPSE)、及びエチレン-ビニルアセテート(EVA)のうちの少なくとも1つを含むポリマー樹脂から形成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項16】
前記一体型フィルムが、35%未満のヘイズパラメータを有するように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項17】
前記一体型フィルムが、280nm~1100nmの波長を有する入射光の少なくとも70%を透過するように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項18】
前記一体型フィルムが、少なくとも25μmの厚さを有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の一体型フィルム。
【請求項19】
複数の導電性素子と、請求項1から18のいずれか一項に記載の一体型フィルムとを、備える電極アセンブリであって、前記複数の導電性素子が、前記一体型フィルムの表面上に配置される、電極アセンブリ。
【請求項20】
前記複数の導電性素子が、前記一体型フィルムと前記太陽電池の表面との間に介在している、請求項19に記載の太陽電池及び電極アセンブリを備える太陽電池アセンブリ。
【請求項21】
太陽電池の電極アセンブリを製造する方法であって、前記電極アセンブリが、複数の導電性素子及び請求項1から18のいずれか一項に記載の一体型フィルムを備え、前記方法が、前記一体型フィルムを前記複数の導電性素子に熱的に接合することを含む、方法。
【請求項22】
太陽電池と、請求項19に記載の電極アセンブリとを備える太陽電池アセンブリを製造する方法であって、
前記一体型フィルムと前記太陽電池の表面との間に前記複数の導電性素子を介在させることと、
前記一体型フィルムを前記複数の導電性素子及び/又は前記太陽電池の前記表面に熱的に接合することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記方法が、前記一体型フィルムを前記複数の導電性素子及び前記太陽電池の前記表面に実質的に同時に熱的に接合することを含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記一体型フィルムを前記複数の導電性素子及び/又は前記太陽電池の前記表面に熱的に接合することが、前記一体型フィルムを、前記第2の加熱トレースの前記第1の吸熱ピークと実質的に同じである温度まで加熱することを含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、前記一体型フィルムを前記複数の導電性素子及び/又は前記太陽電池の前記表面に熱的に接合する前に、前記一体型フィルムを、前記第1の加熱トレースの前記第1の吸熱ピークの前記温度と実質的に同じである接合前温度まで加熱することを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池の電極アセンブリのための一体型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気エネルギーを提供するための太陽モジュールは、電池のアレイを備え、電池は各々、光起電力素子又は基板を備える。太陽電池は、典型的には、電流が、電気コネクタを介して、1つの太陽電池の前面から第2の太陽電池の裏面に、又はその逆に送られるように接続される。電気コネクタの各々は、太陽電池のそれぞれの前面及び裏面上に配置された電極と電気接続を形成する複数の導電性素子(例えば、相互接続ワイヤ)を備える。
【0003】
太陽電池開発のための一般的な目的は、生産コストの削減に対する必要性とバランスのとれた高い変換効率を達成することである。これを達成するための取り組みは、太陽電池間の電気接続に焦点を当てている。
【0004】
1つのアプローチは、各太陽電池の表面上に配置されたフィンガー電極に直接接続する箔ワイヤ電極を提供することであった。箔ワイヤ電極の例は、SmartWire(登録商標)太陽電池コネクタである。箔ワイヤ電極は、太陽モジュールの性能に対する電池損傷の影響を最小化することによって、電気損失を低減する。更に、箔ワイヤ電極の使用はまた、従来の印刷されたバスバー電極を用いて太陽電池の表面を構成することによって引き起こされる光シェーディングから生じるモジュール生産コスト及び光学損失の大幅な低減につながり得る。
【0005】
箔ワイヤ電極の箔は、多層透明フィルムである。箔は、箔の支持構造を提供する支持層と、箔をワイヤコネクタ及び太陽電池表面に取り付ける接着剤層と、を備える。箔ワイヤ電極が太陽電池の前面上に配置される場合、箔は、太陽電池から離れる方向を向いている前面と、太陽電池の方を向いている裏面と、を有するように構成され得る。支持層は、箔の前面に配置され、接着剤層は、前面の反対側の箔の裏面上に配置される。
【0006】
箔は、支持層及び接着剤層を一緒に積層することによって構築される。接着剤層は、例えば、接続ワイヤとの熱接合を形成するために加熱することができるポリマー材料で作られる。
【0007】
箔電極の構築中、箔は、接着剤層が接続ワイヤと接触するように、接続ワイヤ上に重ねられる。箔に熱及び圧力が加えられ、箔を接続ワイヤに熱的に接合する。
【0008】
2つの太陽電池は、箔電極によって一緒に電気接続されて、太陽電池アセンブリを形成する。箔ワイヤ電極の第1の端部は、接続ワイヤが箔と太陽電池表面との間に介在するように、第1の太陽電池の表面上に重ねられる。熱及び圧力が箔に加えられて、接着剤層に箔を太陽電池表面に熱的に接合させる。箔ワイヤの第2の端部は、同じ様式で第2の太陽電池の表面に接続される。したがって、箔ワイヤ電極は、太陽電池アセンブリの太陽電池間に電気接続を形成する手段を提供する。
【0009】
これらの開発にもかかわらず、太陽電池アセンブリの太陽電池間の電気接続を改善するための必要性が残っている。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によれば、太陽電池の電極アセンブリ(例えば、箔ワイヤ電極アセンブリ)のための一体型フィルムが提供される。一体型フィルムは、使用中に、太陽電池の表面上に配置され、電極アセンブリの複数の導電性素子が、一体型フィルムと太陽電池の表面との間に介在する。ここで、一体型フィルムは、ポリマー材料から形成され、第1の基準及び第2の基準のうちの少なくとも1つを満たすことによって特徴付けられる。
【0011】
第1の基準は、ポリマー材料が、以下の方法を使用して示差走査熱量測定によって測定して40℃~200℃の温度範囲に少なくとも2つの吸熱ピーク(例えば、吸熱溶融ピーク)を有することを要件とし、方法は、
一体型フィルムを、標準試験方法ASTM D3418に従って第1の熱サイクル及び第2の熱サイクルで順次加熱して、それぞれ、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースを生成すること、並びに
第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々において、40℃~200℃の温度範囲における第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークを特定及び決定することである。
【0012】
第2の基準は、一体型フィルムが、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを要件とする。剥離強度は、以下の方法に従って、180度剥離試験によって決定され(例えば、測定され)、本方法は、
一体型フィルムを基板の表面(例えば、受け入れ表面)に熱的に接合すること、
標準試験方法ASTM D903に従って基板から一体型フィルムを剥離して、剥離力トレースを提供すること、及び
剥離力トレースから、一体型フィルムが、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを決定することである。
【0013】
一体型フィルムは、単一又は均一な存在物を形成する(例えば、異なる材料から形成された複数の層を含まない)フィルムを画定し得ることが分かるはずである。
【0014】
第1及び第2の基準は各々、均一なフィルムの材料の物理的特性を特定及び決定する方法を含むことが分かるはずである。また、これらの方法は、特許請求された一体型フィルムを必ずしも限定するものではないことが分かるはずである。むしろ、それらは、一体型フィルムが本開示による特徴的な物理的特性のうちの1つ以上を有するかどうかを決定する方式を単に提供するだけである。
【0015】
第1の基準は、示差走査熱量測定によるポリマーの融合及び結晶化の転移温度及びエンタルピーのための標準的な試験方法である、標準試験方法ASTM D3418を参照する。第1の基準によって特徴付けられるように、一体型フィルムの技術的利点は、それが有利な相転移温度範囲を呈することであり、このことは、使用中の一体型フィルムにおける不安定性を防止するために有用である。例えば、一体型フィルムが(例えば、電極アセンブリを形成するために)導電性素子に熱的に接合される状況、又は一体型フィルムが(例えば、太陽電池アセンブリを形成するために)太陽電池の表面に熱的に接合される状況においてである。第1の基準は、一体型フィルムのポリマー材料の吸熱ピークの少なくとも1つの温度を特定及び決定する方法を参照する。この試験方法を使用して、候補のポリマー材料が、本開示の範囲内に入るように必要とされる温度範囲に吸熱相転移を呈するかどうかを特定及び決定することができる。
【0016】
第2の基準は、接着剤接合の剥離(又は剥ぎ取り)強度のための標準的な試験方法である、標準試験方法ASTM D903を参照する。剥離強度は、フィルムと基板との間の接合線における単位幅当たりの平均荷重を表し、これは、一体型フィルムをおよそ180°の角度及び152mm/分の分離速度で基板から漸進的に分離するための要件とされる。剥離強度は、単位幅当たりの力(例えば、一体型フィルムの幅のミリメートル当たりのニュートン(又はキログラム))として表され得る。接合線は、一体型フィルムの幅に平行に延在し、フィルムと基板の表面との間の接触線を画定する。
【0017】
第2の基準によって特徴付けられるように、一体型フィルムの技術的利点は、一体型フィルムの改善された接着特性に関連付けられる有利な範囲の剥離強度を呈することである。例えば、第2の基準の試験方法を使用して、候補のポリマーフィルムが、本開示の範囲内に入るように必要とされる範囲(例えば、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも5N)の剥離強度を呈するかどうかを特定及び決定することができる。
【0018】
剥離強度は、標準試験方法ASTM D903によって決定されるフィルムの接着特性の標準的な尺度を表す。一体型フィルムの幅方向は、180度剥離試験中に一体型フィルムに剥離力が加えられる方向に実質的に垂直であることが分かるはずである。接着特性はまた、一体型フィルムの剥離強度によって定義され得、これは、一体型フィルムの幅1mm当たりのkgの単位で表される。
【0019】
第1及び/又は第2の基準の要件を満たす一体型フィルムは、使用中に、複数の導電性素子と一体型フィルムとの間、及び/又は太陽電池と一体型フィルムとの間の接着力の増加を提供させる。更に、フィルムが一体型であるという性質は、(例えば、異なる特性を有し得る別個のバッキング層及び接着剤層を含む多層フィルムと比較して)実質的に均一な物理的及び熱的特性を呈することを意味する。例えば、一体型フィルムは、層間剥離を起こしにくい。したがって、一体型フィルムは、太陽電池アセンブリの製作中、より安定し、取り扱いが容易であり、これは、製作プロセスの効率の改善をもたらすことができる。
【0020】
次に任意選択の機能について述べる。これらは、単独で、又は任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0021】
一体型フィルムは、第1及び第2の基準(例えば、第1の基準及び第2の基準)のうちの少なくとも1つ又は両方によって画定され得ることが分かるはずである。
【0022】
上記したように、第1の基準のDSC試験方法は、示差走査熱量測定によって生成されたトレース(例えば、加熱又は冷却トレース)における少なくとも2つの吸熱ピークを特定することを含む。当該トレースは、調査中の材料の熱転移に関連付けられた温度及び熱流を決定するように構成された示差走査熱量計によって生成され得る。概して、熱転移は、トレース内の対応する吸熱又は発熱のピーク又はベースラインのシフトをもたらす、サンプルによるエネルギーの吸収又は放出によって特徴付けられ得る。例えば、試験材料の結晶化発熱又は融合吸熱の下のエリアが、十分に特徴付けられた標準を試験することによって得られたトレースの対応するエリアと比較され得る。
【0023】
トレースを得るために、材料(例えば、ポリマー材料のサンプル)を、空の参照電池に結合された熱量計の試験電池に入れるようにしてもよい。熱量計は、2つの電池が加熱されると、それらの電池間の熱流を監視する。材料が相転移を受けていない場合、電池間の熱流は通常一定である。温度が上昇すると(例えば、加熱トレースの場合)、材料は、ある温度で、参照電池から試験電池に伝達される熱を必要とする転移(例えば、吸熱転移)を受ける場合がある。
【0024】
熱量計は、試験電池に向かって、又は試験電池から離れるように導かれる熱の流れに対応するトレース(すなわち、試験トレース)を出力するように構成してもよい。別個のトレースもまた、典型的には平坦な線である参照電池(すなわち、参照トレース)に対応して生成される。試験トレースと参照トレースとの間の差は、温度の変化を伴う試験電池への熱流の変化を表す。そのような変化は、試験中の材料の転移に対応し得る。
【0025】
熱量測定データは、調査中の材料の特徴的な特性を決定するために評価することができると分かるはずである。データは、温度(℃)及び/又は時間に対してプロットされた熱流(W/g)のグラフ上のトレースとして提示され得る。熱流値は、熱量計の電池間に導かれる単位質量当たりの電力を表す。温度値は、電池の測定温度に対応する。時間値は、試験中に電池の温度が増加する速度を表す。
【0026】
ピークは、結果として生じるグラフ上に、実質的に線形の参照トレースから逸脱する試験トレースの領域として現れる場合がある。吸熱転移の場合、結果として生じるピークは、負のピーク又はトラフとして試験トレースに現れる場合がある。
【0027】
上述したように、第1の基準の示差走査熱量測定試験方法は、第1及び第2の加熱トレースの各々における第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークの存在を特定及び決定することと、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々における第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークが40℃~200℃の温度にあることを決定することと、を含む。例示的な配置によれば、第1及び/又は第2の加熱トレースは、定義された温度範囲(例えば、40℃~200℃)内の2つの吸熱ピークのみを含むようにしてもよい。
【0028】
加熱トレース(例えば、第1及び第2の吸熱ピーク)に2つ以上のピークが特定される状況では、第1のピークは、最低温度(例えば、第1のピーク温度)を有するピークとして定義してもよく、第2のピークは、第1のピークの温度よりも大きい(例えば、より高い)ピーク温度(例えば、第2のピーク温度)を有するピークとして定義してもよい。ある特定の例示的な配置では、トレースの第1のピークと第2のピークとの間に位置決めされた1つ以上のピークがあってもよいことが分かるはずである。トレースが3つのピークを有する場合、第3のピークは、第1及び第2のピーク温度よりも大きいピーク温度(例えば、第3のピーク温度)を呈するピークとして定義してもよい。
【0029】
第1の加熱トレースは、示差走査熱量計によって実行される第1の熱サイクル中に測定してもよい。一方、第2の加熱トレースは、第2の熱サイクル中に測定してもよい。第1及び第2の熱サイクルは、標準試験方法ASTM D3418に従って順次実行してもよい。
【0030】
吸熱ピーク(例えば、第1の吸熱ピーク又は第2の吸熱ピーク)の温度は、吸熱ピークのピーク温度(Tp)(例えば、それぞれ、第1の吸熱ピーク又は第2のピーク温度)を定義してもよい。ピーク温度は、吸熱転移(例えば、吸熱溶融)の特徴的な温度を表してもよい。
【0031】
ピーク温度は、熱流対温度のグラフにプロットされたトレース(例えば、第1又は第2の加熱トレース)から計算してもよい。ピーク温度は、ピークの最小値、すなわちその最も近い隣接値よりも小さい値を特定することによって計算してもよい。そのようなポリマー材料の場合、最小温度は、材料中の結晶の平均溶融温度を示し得る。第2の次の相転移(例えば、ガラス転移)について、最小温度は、相転移の特徴的な温度であってもよい。
【0032】
第1のピーク温度は、第1の吸熱ピークに対応する領域内の試験トレース(例えば、第1又は第2の加熱トレース)の最低点の温度を定義してもよい。したがって、第1のピーク温度は、トレースの局所的な最小熱流値(例えば、単位質量当たりの電力、W/gで測定される)を定義してもよい。
【0033】
第1の加熱トレースの第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークのうちの少なくとも1つ又は各々は、80℃~160℃であってもよい。代替的に又は追加的に、第2の加熱トレースの第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークのうちの少なくとも1つ又は各々は、80℃~160℃であってもよい。例示的な配置によれば、第1及び/又は第2の加熱トレースは、定義された温度範囲(例えば、80℃~160℃)内の2つの吸熱ピーク(例えば、第1及び第2のピーク)のみを含んでもよい。
【0034】
第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々の第1の吸熱ピークは、40℃~130℃であってもよい。
【0035】
第2の加熱トレースにおける第1の吸熱ピークは、80℃~130℃であってもよい。
【0036】
第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々の第2の吸熱ピークは、100℃~160℃であってもよい。
【0037】
第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々の第2の吸熱ピークは、100℃~145℃であってもよい。
【0038】
一体型フィルムの例示的な形態によれば、第1の加熱トレース内の第2の吸熱ピーク(例えば、第1の加熱トレースのみ)は、100℃~135℃であってもよい。更なる例示的な形態によれば、第1及び第2の加熱トレースにおける第2の吸熱ピークは、100℃~145℃、任意選択的に100℃~135℃の温度にあってもよい。
【0039】
第1の基準の示差走査熱量測定法は、第1及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々の第3の吸熱ピークを特定することを含んでもよい。本方法は、第3の吸熱ピーク(例えば、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々)が130℃~200℃の温度にあることを決定することを更に含んでもよい。第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースのうちの少なくとも1つ又は各々の第3の吸熱ピークは、130℃~160℃であってもよい。例示的な形態によれば、第1及び/又は第2の加熱トレースは、定義された温度範囲(例えば、80℃~160℃)内の最大で3つの吸熱ピーク(例えば、第1、第2、及び第3のピーク)を含んでもよい。
【0040】
したがって、一体型フィルムは、第1及び第2の加熱トレースにおいて、130℃~200℃の温度範囲の第3の吸熱ピークを有し得てもよい。
【0041】
第1の基準の示差走査熱量測定法は、標準試験方法ASTM D3418に従って、第1の熱サイクル(例えば、第1の熱サイクルの冷却段階)中のポリマー材料の冷却を測定して、冷却トレースを生成することを含んでもよい。
【0042】
加熱トレースと同様に、冷却トレースは、温度(℃)及び/又は時間(秒)に対してプロットされた熱流(W/g)を有するように構成してもよい。ただし、この場合、サンプル材料が冷却されているときにトレースが記録される。
【0043】
一体型フィルムは、0℃~200℃の範囲の温度における発熱ピーク(例えば、発熱結晶化ピーク)を含んでもよい。発熱ピークは、示差走査熱量測定法(例えば、標準試験方法ASTM D3418に従って)によって測定してもよい。示差走査熱量測定法によって、第1の熱サイクル中のポリマー材料の冷却を測定して、冷却トレースを生成することと、0℃~200℃の温度における発熱ピークを特定及び決定することとを更に含んでもよい。発熱ピークは、40℃~130℃であり得る。
【0044】
熱サイクル(例えば、第1及び/又は第2の熱サイクル)は、試験及び参照材料が経時的に加熱される加熱段階を含んでもよい。加熱段階中、熱量計は、加熱トレースを生成するために、参照材料と試験材料との間の熱入力の差を(例えば、温度センサを用いて)連続的に監視するように制御してもよい。例えば、第1の熱サイクルの加熱段階は、第1の加熱トレースを生成し、第2の熱サイクルの加熱段階は、第2の加熱トレースを生成してもよい。
【0045】
熱サイクル(例えば、第1及び/又は第2の熱サイクル)はまた、冷却段階を含んでもよく、この冷却段階は加熱段階に続き得、その間に、試験及び参照材料が経時的に冷却することが可能になる。冷却段階中、参照及び試験材料の温度は、冷却トレースを生成するために継続的に監視してもよい。例えば、第1の熱サイクルの冷却段階は、第1の熱サイクルの加熱段階に続いてもよく、冷却トレースを生成してもよい。冷却トレースは、加熱段階中に吸収された試験材料からの熱エネルギーの放出を示している。
【0046】
熱サイクル(例えば、第1及び第2の熱サイクル)のうちの少なくとも1つ又は各々は、制御された速度(例えば、制御された加熱及び/又は冷却速度)で試験材料を加熱及び/又は冷却することを含んでもよい。例えば、熱サイクルの加熱速度は、10℃/分であってもよい。サンプル温度の変化速度は、±0.1℃/分の誤差範囲内に維持してもよい。冷却速度は、加熱速度(例えば、10℃/分)と実質的に同じであってもよい。加熱段階の終わりに(例えば、熱サイクルの途中で)、サンプルは、第1の保持温度(例えば、約300℃)で約5分間保持してもよい。同様に、冷却段階の終了時(例えば、熱サイクルの終了時)に、サンプルは、第2の保持温度(例えば、約-50℃)で約5分間保持してもよい。
【0047】
示差走査熱量測定法は、不活性雰囲気中(例えば、不活性ガスのパージ又はフロー下)で実行してもよい。試験環境(例えば、試験及び/又は参照サンプルを含む)は、50mL/分のパージ流量で不活性ガスでパージされ得る。不活性ガスは、窒素であってもよい。
【0048】
上述したように、第2の基準の試験方法は、標準試験方法ASTM D903に従って、基板から一体型フィルムを剥離して剥離力トレースを提供することを含む。方法はまた、剥離力トレースから、一体型フィルムが、フィルムの幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することを決定することを含んでもよい。
【0049】
剥離試験は、一体型フィルムと熱的に一緒に接合された基板との間の接着を決定する(例えば、測定する)ために使用され得ることが分かるはずである。剥離試験装置は、剥離試験を実行するために使用してもよい。剥離試験装置は、一体型フィルムと基板との間に引張力を加えるように構成された電動引張計を備えてもよい。アパラットは、試験中に加えられる引張荷重を決定するための引張力測定センサ(例えば、ロードセル)を含んでもよい。剥離試験装置は、一体型フィルム及び基板を保持するように構成されたグリップ又はグリッパーのセットを含んでもよい。剥離試験装置は、試験方法を実行するために、電動引張計を動作させるように構成されるコントローラを備えてもよい。特に、コントローラは、引張計によってグリッパーに加えられる力を制御することができてもよく、それによって、一体型フィルムに加えられる力(例えば、「剥離力」)を決定する。
【0050】
例示的な形態では、剥離試験方法は、剥離力トレースから、一体型フィルムの剥離強度が少なくとも10Nであることを決定することを含んでもよい。代替的に、剥離強度は、一体型フィルムの幅10mm当たり少なくとも15Nであり得る。一体型フィルムの剥離強度は、一体型フィルムの幅10mm当たり最大で30Nであってもよい。
【0051】
上述したように、第2の基準はまた、一体型フィルムを基板に熱的に接合することによって特徴付けられる。この方法ステップは、一体型フィルムを少なくとも40℃まで加熱することを含んでもよい。剥離試験は、一体型フィルムの剥離力分析を実行する前(例えば、基板からフィルムを剥離する前)に、所定の期間(例えば、少なくとも30分)、一体型フィルムを冷却する(例えば、室温(例えば、約20℃))ことを含んでもよい。
【0052】
第2の基準の剥離試験方法は、一体型フィルムが基板の受け入れ面上に実質的に平坦になるように配置することを含んでもよい。これは、フィルムが基板に熱的に接合(例えば、積層)される前に行うようにしてもよい。一体型フィルムの一部分のみを、基板に熱的に接合するようにしてもよい。したがって、フィルムは、剥離試験装置のグリッパーに容易に結合することができる自由端(例えば、非接合端)を有するように構成してもよい。
【0053】
一体型フィルムは、長手方向ストリップに配置してもよい。複数の長手方向ストリップは、基板の表面上に(例えば、互いに平行に)配置してもよい。長手方向ストリップは、約10mmの幅を備えてもよい。長手方向ストリップの長さは、少なくとも100mmの長さを備え得る。長手方向のストリップは、ストリップの幅が剥離力が加えられる方向に実質的に垂直であるように基板上に配置してもよい。
【0054】
剥離試験は、約100mmの距離(例えば、ひずみ)にわたって適用してもよい。一体型フィルムは、約100mm/分の剥離スピードで基板から剥離してもよい。剥離力は継続的に監視される。例えば、剥離力は、最大剥離距離(例えば、100mm)に達するまで、10μmの間隔で測定してもよい。
【0055】
剥離強度は、剥離力トレースに記録されたデータの平均を取ることによって決定してもよい。平均剥離力は、最小剥離距離又はひずみ(例えば、20mm)の後に記録されるデータを平均化することによって決定してもよい。剥離距離の前に取られたデータは、各試験実行の開始時に存在するデータのノイズによって引き起こされる測定のゆがみを防ぐために無視してもよい。
【0056】
基板は、ガラス又は金属(例えば、金属合金)などの剛性材料から形成してもよい。基板は、太陽電池(例えば、結晶シリコン太陽電池)を備えるようにしてもよい。
【0057】
一体型フィルムは、使用中に、複数の導電性素子(例えば、導電性ワイヤ又は導電性ワイヤ部分)に機械的に取り付けられる(例えば、熱的に接合される)ように構成してもよい。一体型フィルムは、素子を受け入れるための表面(例えば、素子受け入れ表面)を有するように構成してもよい。素子が一体型フィルムの表面上に配置されると、それらは、電極アセンブリを形成するために所定の位置に機械的に固定してもよい。
【0058】
一体型フィルムは、絶縁性及び/又は光学的に透明であるように構成してもよい。ポリマー材料は、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリビニルブチラール(PVB)炭化水素イオノマー、熱可塑性オルガノシリコン、シリコンゴム、ポリウレタン、熱可塑性シリコーンエラストマー(TPSE)、及びエチレン-ビニルアセテート(EVA)のうちの少なくとも1つを含むポリマー樹脂から形成してもよい。
【0059】
一体型フィルムは、以下の特徴、すなわち、高い延性、低い導電性、高い光学透明性、熱安定性、及び収縮に対する耐性のうちの少なくとも1つを有するポリマー材料から形成してもよい。
【0060】
一体型フィルムは、35%未満、任意選択的に最大で18%、更に任意選択的に最大で25%のヘイズパラメータを有するように構成してもよい。ポリマー材料のヘイズパラメータは、2.5°を超えて散乱される入射光の割合の尺度として定義してもよいと分かるはずである。材料のヘイズパラメータは、ヘイズメーター又は分光光度計を使用して測定することができると分かるはずである。
【0061】
一体型フィルムは、280nm~1100nmの波長を有する入射光の少なくとも70%を透過するように構成してもよい。代替的に、フィルムは、280nm~1100nmの波長を有する入射光の少なくとも85%を透過するように構成してもよい。一体型フィルムは、少なくとも25μmの厚さを有してもよい。一体型フィルムの厚さは、55μm~180μmであってもよい。
【0062】
本開示の第2の態様では、太陽電池と、先行する記述のいずれか1つに記載の電極アセンブリと、を備える電極アセンブリが提供される。複数の導電性素子は、電極アセンブリを太陽電池の表面上に配置することができるように、一体型フィルムの表面(例えば、導電性素子受け入れ面)上に配置され、そのため、複数の導電性素子は、一体型フィルムと太陽電池の表面との間に介在している。(例えば、第1及び/又は第2の基準によって特徴付けられるように)一体型フィルムの有利な物理的特性に起因して、電極アセンブリは、太陽電池の表面との堅牢で導電性の電気接続を形成するように効果的に構成される。
【0063】
本開示の第3の態様によれば、少なくとも1つの太陽電池と、先行する記述のいずれか1つに記載の電極アセンブリと、を備える、太陽電池アセンブリが提供される。複数の導電性素子は、一体型フィルムと太陽電池の表面(例えば、電極アセンブリ受け入れ面)との間に介在してもよい。太陽電池アセンブリは、先行する記述のいずれか1つに記載の方法に従って製造してもよい。上述したように、電極アセンブリは、一体型フィルム及び複数の導電性素子を備える。
【0064】
例示的な配置によれば、太陽電池アセンブリは、第1の太陽電池と、第2の太陽電池と、を備えてもよい。太陽電池の少なくとも1つ又は各々は、当業者であれば理解するように、光を吸収し、電荷キャリアを生成することができる光起電力素子を含む層状構造を備えてもよい。電極アセンブリは、太陽電池の導電性表面(又は表面の導電性部分)との電気接続を形成して、光生成された電荷キャリアを太陽電池から取り出すように構成してもよい。
【0065】
太陽電池の少なくとも1つ又は各々は、前面及び裏面を備えてもよい。前面は、太陽電池アセンブリが使用されているときに光が入射する太陽電池の表面(例えば、太陽電池の最前面)を画定してもよい。裏面は、前面の反対側にある太陽電池の表面(例えば、太陽電池の最裏面)を画定してもよい。太陽電池の裏面は、使用中に入射光に直接曝されない場合がある。太陽電池アセンブリは、太陽電池を通って前から裏に透過する(例えば、吸収されない)光が、次いで、太陽電池の裏面に向かって反射されるように構成してもよく、これにより、光が吸収される更なる機会を提供する。
【0066】
導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、ワイヤ又はワイヤの部分などの細長い形態を備えてもよい。導電性素子は、単一の一体的に形成された素子(例えば、ワイヤ)を備えてもよい。このように導電性素子を構成することで、隣接する太陽電池間に別個の接続(銅リボンなど)を提供する必要性を取り除き、それによって、太陽電池アセンブリを製作するために必要な製造ステップの数と複雑さが軽減される。
【0067】
導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、幅、軸方向長さ、及び深さを備えてもよい。導電性素子の各々は、その軸方向長さが、その幅及び/又は深さよりも実質的に大きくなるように構成してもよい。導電性素子の幅及び軸方向長さは、導電性素子が配置されている太陽電池の表面の平面(例えば、太陽電池の前面又は裏面)と整合した垂直方向で測定され得る。深さは、太陽電池の同じ平面に垂直な方向で測定してもよい。
【0068】
導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、Ag、Al、Au、及びCuのうちの少なくとも1つを含み得る金属又は金属合金材料などの導電性材料から形成してもよい。
【0069】
導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、導電性素子上のコーティングに熱及び圧力を加えることによって太陽電池表面に接続可能とし、太陽電池の表面との機械的及び電気接続を形成してもよい。コーティング(例えば、はんだ付け可能なコーティング)は、導電性素子の融点よりも低い融点を有する導電性材料を含んでもよい。コーティングは、少なくとも2つ以上の成分から形成された金属合金を含んでもよい。
【0070】
上述したように、太陽電池アセンブリは、第1の太陽電池と、第2の太陽電池と、を備えてもよく、複数の導電性素子は、第1の太陽電池の前面を第2の太陽電池の裏面と電気的に結合するように構成される。太陽電池アセンブリの構築中に、電極アセンブリは、第1及び第2の太陽電池のそれぞれの前面及び裏面上に接続(例えば、積層)してもよい。第1及び第2の太陽電池のうちの少なくとも1つは、それらの前面が、実質的に下方向(例えば、実質的に鉛直下方向)に向くように配置され、それらの裏面が、実質的に上方向(例えば、実質的に鉛直上方向)に向くように配置されるように、反転させてもよい。
【0071】
電極アセンブリが使用されているとき、少なくとも1つの導電性素子の第1の表面は、第1の太陽電池の前面に接触し、第2の太陽電池の裏面から離れる方を向くように配置してもよい。したがって、少なくとも1つの導電性素子の第2の表面は、第2の太陽電池の裏面に接触し、第1の太陽電池の前面から離れる方を向くように配置してもよい。
【0072】
第1の表面及び第2の表面は、それぞれ、導電性素子の上面及び下面を画定してもよい。第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも1つ又は各々は、導電性素子の長さに沿って長手方向に延在してもよい。第1の表面は、導電性素子の第2の表面と正反対の側に配置してもよい。
【0073】
第1の太陽電池の前面に接触する電極アセンブリの第1の部分は、電極アセンブリの前接続部分又は前コネクタを画定してもよい。第2の太陽電池の裏面に接触する電極アセンブリの第2の部分は、電極アセンブリの裏接続部分又は裏コネクタを画定してもよい。
【0074】
複数の導電性素子の各々の第1の部分は、電極アセンブリの前コネクタを画定してもよい。複数の導電性素子の各々の第2の部分は、電極アセンブリの裏コネクタを画定してもよい。したがって、複数の導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、電極アセンブリの前コネクタから裏コネクタに延在してもよい。
【0075】
導電性素子は、電極アセンブリが第1の太陽電池及び第2の太陽電池のそれぞれの前面と裏面との間に結合されることを可能にするように(すなわち、導電性素子が前コネクタと裏コネクタとの間に電気接続を提供することを可能にするように)、導電性素子の軸方向に沿って曲がるように構成してもよい。
【0076】
裏コネクタの導電性素子の第1の表面は、電極アセンブリの裏面(すなわち、最裏面)を画定するように配置してもよい。前コネクタの導電性素子の第2の表面は、電極アセンブリの前面(すなわち、最前面)を画定するように配置してもよい。
【0077】
上述したように、前コネクタ及び裏コネクタの導電性素子は、それぞれ、複数の導電性素子の第1の部分及び第2の部分を画定してもよい。複数の導電性素子の第1の部分は、第1の一体型フィルム(例えば、絶縁性及び/又は光学的に透明なフィルム)内又はフィルム上に配置してもよい。複数の導電性素子の第2の部分は、第2の一体型フィルム(例えば、絶縁性及び/又は光学的に透明な一体型フィルム)内又はその上に配置してもよい。したがって、第1の表面は、第1の一体型フィルムから露出して、第1の太陽電池の前面と電気的接触を形成し、かつ/又は第2の表面は、第2の一体型フィルムから露出して、第2の太陽電池の裏面と電気的接触を形成してもよい。
【0078】
複数の導電性素子の第3の部分は、複数の導電性素子の第1の部分と第2の部分との間に配置してもよい。第3の部分は、電極アセンブリがそれらの間に接続されたときに、第1の太陽電池と第2の太陽電池との間に配置されるように構成してもよい。第3の部分は、この部分の導電性素子が一体型フィルム内に配置されないように構成してもよい(すなわち、第1及び第2の部分とは対照的に)。
【0079】
導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、それぞれの第1及び第2の一体型フィルムの表面上に配設してもよい。代替的に、又は追加的に、導電性素子のうちの少なくとも1つは、一体型フィルム内に少なくとも部分的に配置してもよい。このようにして、少なくとも1つの導電性素子は、導電性素子の表面が一体型フィルムの表面から突出するように、一体型フィルム内に埋め込んでもよい。
【0080】
使用されるとき、前コネクタの第1の一体型フィルムは、電極アセンブリの前一体型フィルムを画定してもよい。同様に、裏コネクタの第2の一体型フィルムは、電極アセンブリの裏一体型フィルムを画定してもよい。前一体型フィルムは、前コネクタの導電性素子の第1の表面の少なくとも一部分が露出するように構成してもよい。裏一体型フィルムは、裏コネクタの導電性素子の第2の表面の少なくとも一部分が露出するように構成してもよい。
【0081】
前コネクタの一体型フィルムは、裏面(すなわち、太陽電池の方を向いている)と、裏面の反対側の前面(すなわち、太陽電池から離れる方を向いている)と、を有してもよい。複数の導電性素子のうちの第1の部分の少なくとも1つの導電性素子は、前一体型フィルムの裏面上に配設してもよい。
【0082】
裏コネクタの一体型フィルムは、前面(すなわち、太陽電池の方を向いている)と、前面の反対側の裏面(すなわち、太陽電池から離れる方を向いている)と、を有してもよい。複数の導電性素子の第2の部分の少なくとも1つの導電性素子は、裏一体型フィルムの前面上に配設してもよい。
【0083】
第1及び第2の太陽電池の各々は、長さ、幅、及び深さを備え得る。太陽電池の長さはその幅よりも小さくてもよく、深さは幅及び長さの両方よりも小さくてもよい。太陽電池の前面及び裏面にわたる長手方向及び横方向は、それぞれ、太陽電池の長さ方向及び幅方向と平行であってもよい。したがって、複数の導電性素子は、太陽電池の長さにわたって延在し、その幅に沿って離隔するように構成してもよい。
【0084】
導電性素子の各々は、それが重ねられている太陽電池の表面に対して長手方向に、縦方向に延在するように構成してもよい。各導電性素子は、導電性素子の間に長手方向に延在する空間を画定するために、太陽電池表面に対して横方向に離隔してもよい。導電性素子は、互いに平行であってもよく、又は実質的に平行であってもよい。導電性素子は、横方向に等しく又は実質的に等間隔に離隔してもよい。したがって、複数の導電性素子は、平行な横方向に離隔された(例えば、等間隔に離隔された)導電性素子のアレイを形成してもよい。
【0085】
上述したように、導電性素子は、太陽電池の導電性表面(例えば、表面の導電性部分)と電気的接触を形成するように構成してもよい。導電性面は、層状構造の前面及び裏面上に配置される(例えば、印刷される)1つ以上のフィンガー電極を備えてもよい。1つ以上のフィンガー電極は、層構造によって生成された電荷キャリアを伝導するように構成してもよい。
【0086】
太陽電池の導電性表面の各々は、当業者であれば理解するように、それぞれの太陽電池表面をわたって延在する複数のフィンガー電極を備えてもよい。フィンガー電極は、それらが太陽電池の表面上に便利に堆積されることを可能にする印刷材料を使用して形成してもよい。
【0087】
太陽電池アセンブリの太陽電池は、光起電力素子を含む複数の層、又は素子を備え得、複数の層のうちの少なくとも1つは、半導体材料から形成される。光起電力素子(又は層)は、結晶性シリコンウェハから形成してもよい。
【0088】
太陽電池は、任意のタイプの太陽電池構造を画定するように構成され得ることが分かるはずである。例えば、太陽電池は、ヘテロ接合型太陽電池を画定してもよい。代替的に、太陽電池は、タンデム接合太陽電池を画定してもよい。
【0089】
太陽電池の表面は、当業者であれば理解するように、不均一な表面に対応するか、又は不均一な特徴を有する、テクスチャ加工された表面を形成するようにテクスチャ加工され得る。テクスチャ加工された表面は、太陽電池の前面及び/又は裏面に配置された反射防止層又はコーティングを画定してもよい。
【0090】
太陽電池は、太陽電池の前面及び/又は裏面に配置された透明の導電性酸化物コーティングを備えてもよい。透明な導電性酸化物コーティングは、太陽電池のそれぞれの表面上に配置されたフィンガー電極への横方向のキャリア移動を増加させるように構成してもよい。
【0091】
例示的な形態によれば、導電性素子は、太陽電池アセンブリを画定するために第1及び第2の太陽電池に適用される電極アセンブリを少なくとも部分的に形成してもよい。更に、本発明による1つ以上の太陽電池アセンブリは、一緒に電気的に結合され、太陽モジュールを画定するためにハウジング内に配置してもよい。
【0092】
例示的な形態によれば、第2の電極アセンブリは、第2の太陽電池の前面を第3の太陽電池の裏面に結合するために提供してもよい。第2の電極アセンブリ内の導電性素子は、第1の電極アセンブリについて上述したようなものであってもよい。この状況では、第2及び第3の太陽電池は、第2の電極アセンブリと組み合わされて、第2の太陽電池アセンブリを画定してもよい。第1の電極アセンブリの裏コネクタの導電性素子は、第2の電極アセンブリの前コネクタの導電性素子と整合してもよく、それらの間に第2の太陽電池が介在する。
【0093】
太陽モジュールは、複数の太陽電池アセンブリを収容するためのフレームを備えてもよい。フレームは、それぞれ、複数の太陽電池アセンブリの前面及び裏面に配置される前板及び裏板を備えてもよい。前板及び裏板のうちの少なくとも1つ又は各々は、ガラス(例えば、ガラスシート)から形成してもよい。太陽モジュールは、前板及び裏板と複数の太陽電池アセンブリとの間の接着を提供するように構成される封入材を備えしてもよい。このようにして、封入材は、太陽モジュールのガラスシートと、複数の太陽電池アセンブリのうちの1つの絶縁性の光学的に透明な一体型フィルムとの間に配置してもよい。また、封入材は、太陽モジュールの裏シートと、複数の太陽電池アセンブリのうちの1つの絶縁性の光学的に透明な一体型フィルムとの間に配置してもよい。封入材は、太陽モジュールへの水分の侵入を防ぐように構成してもよい。したがって、封入材は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、又は任意の他の好適に耐湿性の材料から形成してもよい。
【0094】
第4の態様では、第2の態様の電極アセンブリは、本開示の製造方法に従って形成してもよい。本方法は、一体型フィルムを複数の導電性素子に熱的に接合することを含む。一体型フィルムは、先行する記述のいずれか1つに記載のポリマー材料から形成される(例えば、上述したように、第1の基準及び/又は第2の基準によって特徴付けられる)。
【0095】
本開示の第5の態様によれば、第3の態様による太陽電池アセンブリを製造する方法が提供される。方法は、一体型フィルムと太陽電池の表面との間に複数の導電性素子を介在させることを含む。方法は、一体型フィルムを複数の導電性素子及び/又は太陽電池の表面に熱的に接合することを更に含む。
【0096】
一体型フィルムを複数の素子及び/又は太陽電池の表面に熱的に接合する方法は、赤外線ランプ、対流加熱素子、熱風送風機、又は誘導加熱素子のうちの少なくとも1つを使用して一体型フィルムを加熱することを含んでもよい。
【0097】
方法は、一体型フィルムを複数の導電性素子に熱的に接合する第1の方法ステップと、一体型フィルムを太陽電池(例えば、太陽電池の表面)に熱的に接合する第2の方法ステップと、を含んでもよい。
【0098】
方法は、一体型フィルムを複数の導電性素子に熱接合する前に、一体型フィルムを、第1の吸熱ピークの温度に対応する接合前温度まで加熱することを含んでもよい。
【0099】
上述したように、複数の導電性素子のうちの少なくとも1つ又は各々は、使用中に一体型フィルムに熱的に接合してもよい。一体型フィルムは、導電性素子を太陽電池表面に取り付けるように(例えば、導電性素子と太陽電池との間の機械的接続を提供するために)更に構成してもよい。一体型フィルムは、導電性素子が太陽電池表面上で正しく整合されるように、導電性素子の横方向の間隔を維持するように構成してもよい。例示的な配置では、一体型フィルムは、それが重ねられる太陽電池のそれぞれの前面及び/又は裏面を全て覆わなくてもよい。
【0100】
本方法は、一体型フィルムを導電性素子及び/又は太陽電池の表面に接着させるために、一体型フィルムを加熱する及び/又はそれに圧力を加える(例えば、積層する)ことを含んでよい。方法は、導電性素子を太陽電池に重ねる、及び/又は取り付ける前に、導電性素子に一体型フィルムを取り付けることを含んでもよい。一体型フィルムを導電性素子に取り付ける方法は、関連する導電性素子を太陽電池の表面に結合する方法の間に実行してもよい。このようにして、フィルムを導電性素子に取り付ける(例えば、フィルムに熱及び/又は圧力を加える)方法はまた、フィルムを太陽電池の関連する表面に取り付けることを含んでもい。
【0101】
太陽電池アセンブリの製作中に、力を加えることで導電性素子への一体型フィルムの接着を可能にするために、ポリマー材料が軟化するように一体型フィルムに熱及び/又は圧力が加えてもよい。このようにして、導電性素子は、一体型フィルムに少なくとも部分的に埋め込んでもよい。各導電性素子の表面の少なくとも一部分は、太陽電池のそれぞれの表面と電気接続を形成することを可能にするために露出したままであってもよい。
【0102】
一体型フィルムは、導電性素子が取り扱われているとき、例えば、太陽電池上に配置される前に、導電性素子に構造的支持を提供するように構してもよい。一体型フィルムは、導電性素子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分がフィルムから露出して太陽電池のそれぞれの表面と電気的接触を形成するように構成してもよい。
【0103】
電極アセンブリが太陽電池表面上に設置されると、一体型フィルムは、一体型フィルムと太陽電池との間に挟まれた導電性素子の形状に適合するように変形してもよい。言い換えれば、一体型フィルムの表面は、導電性素子の上に隆起/突起を形成し得、導電性素子のない領域では実質的に平面であってもよい。このようにして、一体型フィルムは、非平面プロファイルを有する導電性素子接触領域を含んでもよい。
【0104】
例示的な形態によれば、太陽電池アセンブリは、第1の太陽電池と、第2の太陽電池と、を備えてもよい。電極アセンブリは、第1の太陽電池を第2の太陽電池に電気的に接続するように構成してもよい。具体的には、少なくとも1つの導電性素子は、第1の太陽電池の前面を第2の太陽電池の裏面と電気的に結合するように構成してもよい。
【0105】
本方法は、その裏面が実質的に上方向(例えば、垂直に上方)に向くように、第2の太陽電池を配置することを含んでもよい。方法は、少なくとも1つの導電性素子の第2の表面が裏面に接触して配置されるように、電極アセンブリの第1のセクションを第2の太陽電池の裏面上に重ねることを更に含んでもよい。方法は、少なくとも1つの導電性素子の第2の表面を第2の太陽電池の裏面上に(例えば、電気的及び/又は機械的に)接続することを更に含んでもよい。本方法は、少なくとも1つの導電性素子の第1の表面が前面と接触して配置されるように、電極アセンブリの第2の部分上に、第1の太陽電池の前面を重ねることを含んでもよい。本方法は、少なくとも1つの導電性素子の第1の表面を第1の太陽電池の前面上に接続する(例えば、電気的及び/又は機械的に)ことを更に含んでもよい。
【0106】
太陽電池は各々、裏面(例えば、最裏面)及び裏面の反対側にある前面(例えば、最前面)を備えてもよい。したがって、方法は、裏コネクタを画定するように、第2の太陽電池の裏面上に電極アセンブリの一部分を配置することを含んでもよい。方法は、前コネクタを画定するように、第1の太陽電池の前面上に電極アセンブリの別の部分を配置することを更に含んでもよい。
【0107】
導電性素子は、導電性素子が形成される材料よりも低い融点を有するはんだ付け可能な材料でコーティングしてもよい。
【0108】
本方法は、導電性素子の第1の部分(すなわち、前コネクタの)に熱及び/又は圧力を加えて(例えば、はんだ付けして)、導電性素子が重ねられている第1の太陽電池の導電性表面(例えば、フィンガー電極)との電気接触を形成することを含んでもよい。本方法は、導電性素子の第2の部分(すなわち、裏コネクタの)に熱及び/又は圧力(例えば、はんだ付け)を加えて、導電性素子が重ねられている第2の太陽電池の導電性表面(例えば、フィンガー電極)との電気的接触を形成することを含んでもよい。
【0109】
本方法は、最初に前コネクタ及び裏コネクタのうちの一方をそれぞれの第1及び第2の太陽電池に取り付け、次に前コネクタ及び裏コネクタのうちの他方をそれぞれの第1及び第2の太陽電池の他方に取り付けることを含んでもよい。
【0110】
本方法は、第1及び第2の太陽電池の前面及び裏面のうちの少なくとも1つ、又は各々に、複数のフィンガー電極を配置(例えば、堆積)することを更に含んでもよい。フィンガー電極を配置する方法は、電極アセンブリを太陽電池に接続する前に実行され得ることが理分かるはずである。フィンガー電極は、それが太陽電池の表面上に便利に堆積されることを可能にする印刷材料を使用して形成してもよい。印刷材料は、金属粉末(例えば、Ag、Al、Au粉末)と有機バインダー(エポキシなど)の混合物を含み得る導電性ペーストなどの印刷可能な前駆体を使用して形成してもよい。印刷可能な前駆体/導電性ペーストは、印刷されたフィンガー電極を形成するために焼成又は硬化してもよい。代替的に、フィンガー電極は、蒸発、めっき、印刷などを含む様々な他の方法によって堆積させてもよい。前フィンガー電極及び裏フィンガー電極は、同時に(すなわち、単一の堆積プロセスを使用して)堆積させてもよく、又はそれらは別々に堆積させてもよい。
【0111】
本明細書で使用される「導電性」及び「絶縁性」という用語は、それぞれ、導電性及び電気的な絶縁を意味することが明示的に意図されることが分かるはずである。これらの用語の意味は、本開示の技術的文脈、すなわち光起電力太陽電池デバイスの文脈を考慮すると、特に明らかとなるはずである。「電気接触」という用語は、非整流電気接合部(すなわち、実質的に線形の電流電圧(I-V)特徴を呈する2つの導体間の接合部)を意味することが意図されることも分かるはずである。
【0112】
当業者は、相互に排他的な場合を除き、上記の態様のいずれか1つに関連して記載された特徴又はパラメータが任意の他の態様に適用され得ることが分かる。更に、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載される任意の特徴又はパラメータは、任意の態様に適用され得、かつ/又は本明細書に記載される任意の他の特徴又はパラメータと組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
次に、図面を参照しながら、実施形態を例としてのみ説明する。
【0114】
【
図1】太陽電池アセンブリを含む太陽モジュールの拡大断面側面図であり、太陽電池アセンブリは、電極アセンブリによって第2の太陽電池に結合された第1の太陽電池を備える。
【
図2A】それぞれ、
図1に示されるように、それぞれ、第1及び第2の太陽電池の頂面(前面)及び底面(裏面)の平面図(1)である。
【
図2B】それぞれ、
図2A及び
図2Cに示されるように、第1の太陽電池及び第2の太陽電池を通って取られた横断面図(1)である。
【
図2C】それぞれ、
図1に示されるように、それぞれ、第1及び第2の太陽電池の頂面(前面)及び底面(裏面)の平面図(2)である。
【
図2D】それぞれ、
図2A及び
図2Cに示されるように、第1の太陽電池及び第2の太陽電池を通って取られた横断面図(2)である。
【
図3】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(1)である。
【
図4】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(2)である。
【
図5】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(3)である。
【
図6】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(4)である。
【
図7】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(5)である。
【
図8】太陽電池アセンブリを製造する方法の異なる段階を示す、太陽電池アセンブリの側面図(6)である。
【
図9】
図3~
図8に示されるように、太陽電池アセンブリを製造する方法を例解するフローチャートである。
【
図10】材料における熱転移を決定するための示差走査熱量計の概略図である。
【
図11】太陽電池の電極アセンブリのための一体型フィルムのポリマー材料の特徴的な特性を決定する方法を例解するフローチャートである。
【
図12】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(1)である。
【
図13】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(2)である。
【
図14】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(3)である。
【
図15】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(4)である。
【
図16】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(5)である。
【
図17】
図10に示されるように、及び
図11に示される方法に従って、熱量計を使用して決定された異なるポリマー材料の示差走査熱量計トレース(6)である。
【
図18】ポリマー一体型フィルムの剥離強度を決定するための180度剥離テスターの概略図(1)である。
【
図19】ポリマー一体型フィルムの剥離強度を決定するための180度剥離テスターの概略図(2)である。
【
図20】太陽電池の電極アセンブリの一体型フィルムの剥離強度を決定する方法を例解するフローチャートである。
【
図21】
図18及び
図19に示されるように、
図20に示される方法に従って、180度剥離テスターを使用して決定された異なるポリマー材料の剥離力トレース(1)である。
【
図22】
図18及び
図19に示されるように、
図20に示される方法に従って、180度剥離テスターを使用して決定された異なるポリマー材料の剥離力トレース(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
次に、本開示の態様及び実施形態について添付図面を参照して説明する。更なる態様及び実施形態は、当業者には明らかとなるはずである。
【0116】
本開示の方法に従って製造される例示的な太陽電池アセンブリ10は、
図1及び
図2A~
図2Dを参照して説明される。図面において、層、フィルム、素子などの厚さは、明瞭にするために誇張されている。更に、層、フィルム、領域、又は基板などの素子が別の素子の「上に」あるものとして言及される場合、それは他の素子の上に直接存在し得るか、又は介在する素子もまた存在し得ることが分かるはずである。対照的に、素子が別の素子の「直接上に」あるものとして言及される場合、介在する素子は存在しない。
【0117】
図1は、太陽モジュール100(例えば、太陽パネル)の支持アセンブリ102内に配置された太陽電池アセンブリ10を示している。太陽電池アセンブリ10は、第1の太陽電池20と、第2の太陽電池30と、第1の太陽電池20の前面22を第2の太陽電池30の裏面34に電気的に結合するように配置される電極アセンブリ12と、を含む。
【0118】
また、電極アセンブリ12は、複数の導電性素子を備え、これらは、第1の太陽電池20と第2の太陽電池30との間に改善された電気経路を提供すると同時に、第1の太陽電池20の前面22における光散乱及び吸収条件を強化するように構成される。
【0119】
電極アセンブリ12の第1の部分は、第1の太陽電池20の前面22に接触して、電極アセンブリ12の前接続部分又は前コネクタ12aを画定するように配置される。電極アセンブリ12の第2の部分は、第2の太陽電池30の裏面34に接触して、電極アセンブリ12の裏接続部分又は裏コネクタ12bを画定する。第1のコネクタ12a及び第2のコネクタ12bは、太陽電池アセンブリ10の隣接して位置付けられた太陽電池20、30のそれぞれの前面22と裏面34との間で曲がる第3の相互接続部分12cによって、一緒に電気的に結合される。
【0120】
太陽電池アセンブリ10は、支持アセンブリ102内に配置される複数の太陽電池アセンブリのうちの1つである。例えば、第2の太陽電池30の前面32は、第2の電極アセンブリ14によって、第3の太陽電池(図示せず)の裏面に電気的に結合される。また、第3の電極アセンブリ16は、第1の太陽電池20の裏面24を第4の太陽電池(図示せず)の前面に結合するために提供される。
【0121】
例えば、この配置の第2及び第3の太陽電池は、第2の電極アセンブリ14によって一緒に電気的に結合されて、第2の太陽電池アセンブリを画定することが理解されるであろう。それによって、複数の太陽電池20、30は、単一のストリングを画定するために、電極アセンブリ12、14、16によって一緒に結合される。
【0122】
支持アセンブリ102の前板104は、太陽電池アセンブリ10が載せられている中央チャンバ106に光が通過することを可能にするように構成される透明(例えば、ガラス)シートを備える。
図1の上部の矢印は、太陽電池アセンブリ10に入射する太陽放射の方向を示す。
【0123】
支持アセンブリ102の裏板108は、太陽電池アセンブリ10を中央チャンバ106内に囲むように配置される。裏板108は、その上面に入射するあらゆる光を太陽電池アセンブリ10に向かって反射するように構成される反射シートを備える。中央チャンバ106は、外部の液体が侵入するか又は気体が入るのを防ぐ封入材料(
図1に示される網掛けエリア)で満たされる。
【0124】
図2A及び
図2Cは、それぞれ、太陽電池アセンブリ10の第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30の頂面(前面)及び底面(裏面)図を例解する。
図2B及び
図2Dは、
図2A及び
図2Cに示されるように、それぞれ、破線A-A及びB-Bに沿って取られた第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30の横断面図を示す。
【0125】
太陽電池20、30の各々は、
図2A及び
図2Cの垂直寸法である長さ、及び
図2A及び
図2Cの水平寸法である幅を有する。第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30は、それらの幅方向及び長さ方向の寸法が互いに平行になるように、共通の横断面(
図1に示すように)に配置される。それぞれの太陽電池の前面22、32の各々は、太陽電池アセンブリ10が使用されているときに光が入射する表面を画定する。裏面24、34は各々、
図2B、
図2Dに示されるように、それぞれの前面22、32とは反対側にある表面を画定する。
【0126】
各太陽電池20、30は、そのそれぞれの前面と裏面との間に配置された層状構造(図示せず)を含む。層状構造は、入射放射の吸収から電荷キャリアを生成するように構成される光起電力素子(又は層)を含む多層半導体アセンブリである。前フィンガー電極及び裏フィンガー電極26、36、28、38は各々、それぞれの太陽電池20、30によって生成された電荷キャリアを伝導するように構成される。
【0127】
第1の太陽電池20は、その前面22に配置された第1の複数のフィンガー電極26(すなわち、前フィンガー電極)と、その裏面24に配置された第2の複数のフィンガー電極28(すなわち、裏フィンガー電極)と、を含む。同様の、第2の太陽電池30は、その前面32上に配置された第1の複数のフィンガー電極36と、その裏面34上に配置された第2の複数のフィンガー電極38と、を含む。
【0128】
電極アセンブリ12は、
図2A~
図2Dに示されるように、複数の導電性素子18を備える。導電性素子18は、それぞれ、第1及び第2の太陽電池の前面22及び裏面34上に配置されたフィンガー電極26、38と電気接触を形成するように構成される。導電性素子18は各々、導電性材料から形成されるワイヤなどの一体的な細長い形態を有する。例えば、導電性素子18は、Ag、Al、Au、及びCuのうちの少なくとも1つを含む金属合金材料を含む。導電性素子18は各々、
図2B及び
図2Dに最も明確に示されるように、光学的に透明な絶縁フィルム40内に配置される。
【0129】
複数の導電性素子18の第1の部分18aは、電極アセンブリ12の前コネクタ12aを画定する。複数の導電性素子18の第2の部分18bは、電極アセンブリ12の裏コネクタ12bを画定する。したがって、複数の導電性素子18の各々は、前コネクタ12aから電極アセンブリ12の裏コネクタ12bまで延在する。複数の導電性素子18の第3の部分18cは、それぞれの第1の部分12a及び第2の部分12bを一緒に電気的に結合するように構成される。
【0130】
導電性素子18の各々は、電極アセンブリ12の集電体を画定する。更に、導電性素子18は、第1の太陽電池20の前フィンガー電極26から電荷キャリアを収集し、第2の太陽電池30の裏フィンガー電極38に移動させ、又はその逆も同様であるように構成される。導電性素子18の各々は、幅、長さ、及び深さを備える。各導電性素子18の長さは、その幅及び深さよりも実質的に大きい軸方向の長さを画定する。
【0131】
次に、
図2A~
図2Dを参照して、複数のフィンガー電極26、28、36、38及び導電性素子18の各々の形態をより詳細に説明する。
【0132】
複数の前フィンガー電極及び裏フィンガー電極26、28、36、38は、太陽電池20、30を横方向(
図2A、
図2Cの水平方向)にわたって延在するように配置され、長手方向(
図2A、
図2Cの垂直方向)に等間隔で離隔される。各フィンガー電極26、28、36、38の寸法は、他の全てのフィンガー電極26、28、36、38の寸法と実質的に同じである。更に、フィンガー電極の各々は、長方形の断面を有する(これは、電極の長さに垂直に測定される)。
【0133】
太陽電池20、30の前面26、36及び裏面28、38の各々上に配置されたフィンガー電極は、互いに、及び太陽電池の反対側に、対応するフィンガー電極と平行に整合している。
図2A及び
図2Cに示されるように、複数の前フィンガー電極及び裏フィンガー電極26、28、36、38の各々は、12個のフィンガー電極を備える。
【0134】
フィンガー電極26、28、36、38は、導電性材料から形成され、これは、Agを含む金属合金から形成される。導電性材料は、フィンガー電極を太陽電池のそれぞれの表面上に便利に堆積することを可能にする印刷材料であることが分かるはずである。
【0135】
複数の導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bは、長手方向(
図2Aの垂直方向)に、太陽電池の前面22及び裏面34に対して平行であり、長さ方向に延在している。導電性素子18はまた、導電性素子18の間に長手方向に延在する空間を画定するように、前面22及び裏面34(
図2Aの水平方向)に対して横方向に等間隔に離隔される。したがって、第1の部分18a及び第2の部分18bのうちの各1つは、平行で横方向に離隔された導電性素子18のアレイを画定する。
【0136】
複数の導電性素子18の第1の部分18aの各々は、同じ電極アセンブリ12の導電性素子18の対応する第2の部分18bと軸方向に整合している。また、第1の電極アセンブリ12の導電性素子18の第2の部分18bは、第2の電極アセンブリ14の導電性素子18の第1の部分18aと軸方向に整合しており、その間に第2の太陽電池30が介在する。したがって、
図2A及び
図2Cに示されるように、複数の前フィンガー電極26及び裏フィンガー電極38は、複数の導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bに垂直に配置される。
【0137】
電極アセンブリ12の導電性素子18の数は、4~20個である。本明細書に記載する実施形態によれば、第1の電極アセンブリ12は、
図2A~
図2Dに示されるように、16個の導電性素子18を有する。いくつかの他の実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる数の導電性素子及び/又はフィンガー電極が存在し得ることが分かるはずである。
【0138】
導電性素子18は各々、
図2B及び
図2Dに示されるように、円形の横断面形状(すなわち、導電性素子18の軸方向長さに対して横方向)を有する。しかしながら、導電性素子18は、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる断面形状を有するように構成され得る。
【0139】
導電性素子18の各々は、
図1に示されるように、第1の太陽電池20の前面22に電気的に接触するように構成される第1の表面50を備える。各導電性素子18はまた、
図1に示されるように、第2の太陽電池30の裏面34に電気的に接触するように構成された第2の表面52を備える。
【0140】
導電性素子18の各々は、単一のワイヤ部分から形成される(すなわち、各導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bは、互いに一体的に形成される)。このようにして、導電性素子18は、第1の太陽電池20と第2の太陽電池30との間に直接電気接続を提供し、それらの間の電流の流れを増加させる。複数の導電性素子18は、使用中に、それぞれの第1の表面50及び第2の表面52を、それらが重ねられている太陽電池20、30のそれぞれの表面にはんだ付けするように構成されるコーティング(図示せず)で覆われている。コーティングは、導電性素子18の融点よりも低い融点を有する導電性材料である。
【0141】
図2A及び
図2Bは、第1の太陽電池20の前面22上の導電性素子18の第1の部分18a(すなわち、電極アセンブリ12の前面コネクタ12a)を示し、一方、
図2C及び
図2Dは、第2の太陽電池30の裏面34上の同じ導電性素子18の第2の部分18b(すなわち、電極アセンブリ12の裏面コネクタ12b)を示すことが分かるはずである。
【0142】
上述したように、電極アセンブリ12は、導電性素子18に熱的に接合される絶縁性の光学的に透明なフィルム40を備える。概して、フィルムは、一体型構造(すなわち、複数の別個の層ではなく、単一の材料層から形成される)を有し、ポリマー材料から形成される。一体型フィルム40が導電性素子、及び/又は太陽電池表面にどのように接着するかを決定するポリマー材料のある特定の特徴的な特性は、以下で詳細に説明するように、示差走査熱量測定(DSC)分析を使用して決定することができる。
【0143】
ポリマー材料は、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリビニルブチラール(PVB)炭化水素イオノマー、熱可塑性オルガノシリコン、シリコンゴム、ポリウレタン、熱可塑性シリコーンエラストマー(TPSE)、及びエチレン-ビニルアセテート(EVA)のうちの少なくとも1つを含むポリマー樹脂から形成してもよい。ポリマー材料は、以下の特徴、すなわち、高い延性、低い導電性、高い光学透明性、熱安定性、及び収縮に対する耐性を包含するように選択される。
【0144】
一体型フィルムは、35%未満、代替的に最大で25%、任意選択的に最大で18%のヘイズパラメータを有するように構成される。
【0145】
ポリマー材料のヘイズパラメータは、分光光度計によって測定して2.5°を超えて散乱される入射光の割合の尺度として定義され得ることが分かるはずである。
【0146】
一体型フィルムは、280nm~1100nmの波長を有する入射光の少なくとも85%を透過するように構成される。
【0147】
一体型フィルムは、少なくとも25μm、任意選択的に少なくとも55μm、及び/又は最大で180μmの厚さを有する。前フィルム部分42及び裏フィルム部分44は、導電性素子18よりも薄い。例えば、導電性素子18は、200μm~300μmの厚さを有する。
【0148】
複数の導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bは各々、それぞれの太陽電池の前面22及び裏面34上に配置される別個のフィルム部分に配置される。例えば、前コネクタ12aは、前フィルム部分42を画定する第1のフィルム部分を含み、裏コネクタ12bは、裏フィルム部分44を画定する第2のフィルム部分を含む。しかしながら、第3の部分18cの導電性素子18は、いずれのフィルムにも覆われていないことに留意されたい。
【0149】
太陽電池アセンブリ10の例示的な形態によれば、導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bの各々は、太陽電池を向くそのそれぞれの一体型フィルム42、44の表面に取り付けられる。したがって、各一体型フィルム部分42、44の「太陽電池を向いている」表面は、第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30のそれぞれの表面22、34に熱的に接合される。
【0150】
図2B及び
図2Dを参照すると、前コネクタ12aの場合、フィルム42は、導電性素子18と前フィンガー電極26との間のエリアにおいて、太陽電池の前面22に接触するように配置される。裏フィルム部分44は、裏コネクタ12bについても同じ方式で構成される。フィルム42、44の各々は、
図2B及び
図2Dに示されるように、それぞれの導電性素子18及びそれぞれのフィンガー電極26、38を少なくとも部分的に(例えば、完全に)包囲する、又は取り囲むように構成される。
【0151】
前フィルム部分42及び裏フィルム部分44は、太陽電池と導電性素子18との間に接着を提供するように配置され、導電性素子が太陽電池上に正しく配置される(すなわち、フィンガー電極と整合される)。例示的な実施形態では、前フィルム部分42及び裏フィルム部分44は、太陽電池のそれぞれの表面を完全に覆わなくてもよい。
【0152】
一方、図面に示される前フィルム部分42及び裏フィルム部分44は、それぞれ、実質的に平坦な底面及び頂面を備える。フィルムは、太陽電池及び/又は導電性素子の構造的構成要素に適合するように構成してもよいことが分かるはずである。例えば、フィルム40は、裏面34の導電性素子の間の太陽電池表面の領域内の太陽電池に向かって凹んだ細長いチャネルで構成してもよいし、構造電極(例えば、フィンガー電極及び導電性素子)が存在する場合には、それらの上に隆起/突起を形成してもよい。
【0153】
次に、製造方法のステップを例解する
図3~
図8を参照して、太陽電池アセンブリ10を製造する例示的な方法について説明する。対応する方法ステップのフローチャートを示す
図9も参照する。
【0154】
本方法は、複数の導電性素子18が一体型フィルム40に熱的に接合されて電極アセンブリ12を形成する第1の方法ステップ202から始まる。上述したように、一体型フィルム40は、別個の第1のフィルム部分40a及び第2のフィルム部分40bを備える。
図3及び
図4に示されるように、方法は、電極アセンブリ12の前コネクタ12aを画定するために、複数の導電性素子18の第1の部分18aを第1の一体型フィルム部分40a上に配置することを含む。方法は、電極アセンブリ12の裏部分12bを画定するために、複数の導電性素子18の第2の部分18b上に第2の一体型フィルム部分42を配置することを更に含む。
【0155】
熱及び圧力は、
図4に示されるように、一体型フィルム部分42、44に加えられ、フィルムのポリマー材料を軟化させ、それによってフィルム部分を導電性素子18に接着させる。これにより、導電性素子18は、それぞれの太陽電池20、30と電気接触を形成するように、各導電性素子の少なくとも一部分が露出したままになるように、一体型フィルム部分42、44に少なくとも部分的に埋め込まれる。一体型フィルム40は、赤外線ランプ(図示せず)を使用して加熱される。代替的に、必要な熱は、対流加熱素子、熱風送風機、又は誘導加熱素子などの任意の好適な加熱手段によって加えてもよい。加熱手段は、以下でより詳細に説明するように、接合プロセス中に一体型フィルム40の温度を制御するように構成可能である。
【0156】
複数の導電性素子18の第1の部分18a及び第2の部分18bは、同時に、又は別個のプロセス中に、それぞれの一体型フィルム部分42、44に取り付けることができることが分かるはずである。電極アセンブリ12が使用中であるとき、複数の導電性素子の第1の部分18aは、電極アセンブリ12の前コネクタ12aを画定し、一方、第2の導電性素子部分18bは、裏コネクタ12aを画定する。同様に、第1の一体型フィルム部分42及び第2の一体型フィルム部分44は、それぞれ、前一体型フィルム部分及び裏一体型フィルム部分を画定する。
【0157】
第2の方法ステップ204では、第1の太陽電池20は、電極アセンブリ12の前コネクタ12aに熱的に接合される。導電性素子の第1の部分18aは、
図5に示されるように、第1の太陽電池20の前面22と接触させられる。前コネクタ12aの導電性素子は、
図2Aに示されるように、それらが前フィンガー電極に垂直に位置するように、第1の太陽電池22の前面22上に重ねられる。方法は、
図6に例解されるように、圧縮力の下で第1の太陽電池の前面22にそれらを物理的に接合するために、前コネクタ12aの導電性素子18を加熱する及び/又はそれに圧力を加えることを更に伴う。熱及び圧力を加えることはまた、前一体型フィルム部分42を第1の太陽電池20の前面22上に積層する。
【0158】
第3の方法ステップ206では、
図7及び
図8に示されるように、第2の太陽電池30は、電極12の裏コネクタ12bに熱的に接合される。方法は、
図2Dに示されるように、フィンガー電極38に垂直に位置するように、第2の太陽電池30の裏面34上に裏面コネクタ12bを重ねることを含む。第3の方法ステップ206は、
図8に例解されるように、圧縮力の下で電極アセンブリ12を第2の太陽電池の裏面34に接合するために、第2のコネクタ12b内の導電性素子18を加熱する及び/又はそれに圧力を加えることを更に伴う。熱及び圧力の適用はまた、第2の太陽電池30の裏面34上に裏面一体型フィルム部分44を積層する。
【0159】
第2の方法ステップ204及び第3の方法ステップ206中に、熱及び圧力を加えることは、導電性素子18上のコーティングは溶融し、太陽電池20、30のそれぞれの表面上のフィンガー電極に向かって流れる。コーティングが冷却され固化すると、
図2B及び
図2Dに示されるように、その下にあるフィンガー電極38と電気的接触を形成する。
【0160】
上述の方法の結果として、電極アセンブリ12の前コネクタ12a及び裏コネクタ12bは、両方ともそれぞれの第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30に機械的及び電気的に結合されて、本発明による太陽電池アセンブリ10を形成する。
【0161】
上記の方法ステップのうちの少なくともいくつかは、同時に又は任意の順序で行われ得ることが分かるはずである。例えば、前コネクタ12a及び裏コネクタ12bはまた、第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30のそれぞれの前面22及び裏面34に同時に接続してもよい。
【0162】
少なくとも第2の方法ステップ204の前に、太陽電池は、当業者であれば理解するように、従来の様式で製造される。特に、方法は、例えば、それぞれ、複数の前フィンガー電極36及び裏フィンガー電極38を形成するために、それぞれの前面及び裏面上に導電性表面(又は導電性部分)を有する太陽電池の各々を構成することを含む。フィンガー電極36、38は、当業者であれば理解するように、スクリーン印刷プロセスを使用して、それらのそれぞれの表面上に堆積される。複数のフィンガー電極36、38が第1の太陽電池20及び第2の太陽電池30の表面上に堆積されると、電極アセンブリ12は、太陽電池20、30に接続されて、太陽アセンブリ10を画定することができる。
【0163】
上述したように、一体型フィルム40の材料(例えば、前一体型フィルム部分及び裏一体型フィルム部分42、44)は、ポリマー材料である。一体型フィルム40のポリマー材料は、基準のセットに従ってその物理的特性を決定することによって特徴付けられる。特に、それぞれ、第1の基準及び第2の基準を使用して、一体型フィルム40の熱特性及び剥離力特性を決定することができる。
【0164】
一体型フィルムの第1の基準
第1の基準は、ポリマー材料が、示差走査熱量測定(DSC)によって測定して40℃~200℃の温度に少なくとも2つの吸熱ピークを有することを決定するために使用される。
【0165】
第1の基準のDSC試験方法は、ポリマー材料のサンプルを加熱及び/又は冷却することと、経時的に材料に向かって(及び/又は材料から離れる)流れる熱を測定して、吸熱ピークを特定及び測定することと、を含む。分析は、
図10に示されるように、示差走査熱量計60を使用して実行される。吸熱ピークは、ポリマー材料の熱転移に対応することが分かるはずである。
【0166】
次に、一体型フィルム40の第1の基準による例示的なDSC試験方法210について、対応する方法ステップのフローチャートを示す
図11を参照して説明する。また、ポリマー材料を試験するために使用される熱量計60の概略図を示す
図10、及び調査中の様々な異なるポリマー材料の加熱及び冷却トレースを示す
図12~
図17を参照する。DSC試験方法210は、ポリマー材料が一体型フィルム40に必要な熱特性を満たすかどうかを特定及び決定するために使用される。
【0167】
DSC試験方法210は、標準試験方法ASTM D3418を組み込んでおり、これは、示差走査熱量測定によるポリマーの融合及び結晶化の転移温度及びエンタルピーの標準試験方法である。DSC試験方法210は、一体型フィルム40のポリマー材料66のサンプルに対して第1の熱サイクル及び第2の熱サイクルを実行することを伴う第1の方法ステップ212を含む。第1及び第2の熱サイクルは、標準試験方法ASTM D3418に従って順次実行される。
【0168】
第1の熱サイクルは、サンプルが10°/分の加熱速度で0℃ 300℃まで徐々に加熱される加熱段階を含む。第1の熱サイクルの加熱段階は、フィルムを作るために使用される製造プロセスから生じ得るサンプルの熱機械的履歴を除去する。第1の熱サイクルの加熱段階が完了した後、材料サンプル66は、熱量計60によって、300℃の保持温度で5分間保持される。
【0169】
方法ステップ212は、コネクタ70によって空の参照電池64に熱的に結合される試験電池62にポリマー材料サンプル66を入れることを含む。熱量計60の制御モジュール68は、一対の電気加熱素子72を制御して、試験電池62及び参照電池64の温度及び加熱速度を制御するように構成される。
【0170】
DSC分析中、制御モジュール68は、両方の電池が加熱されるときの試験電池62と参照電池64との間の熱流を監視する。測定されたDSCデータは、
図12に示されるように、温度(℃)及び/又は時間(秒)のいずれかに対してプロットされた熱流(W/g)のトレース(例えば、加熱トレース)の形態で出力される。
【0171】
熱流は、試験電池62と参照電池64との間を流れる単位質量当たりの電力(W/g)を表す。
図12~
図15では、y軸は、同じ軸のセット上に複数のトレースを示すために正規化されているが、
図16及び
図17では、熱流値はW/gの単位で示されていることが分かるはずである。
図12~
図17に示される下部x軸上の温度値は、試験電池62及び参照電池64の温度(℃)に対応する。上部x軸に示される時間値は、秒単位で測定されるDSC分析の期間を表す。
【0172】
第1の熱サイクルはまた、加熱段階に連続して続く冷却段階を含む。冷却段階は、ポリマー材料サンプル66を300℃~-50℃の温度まで10°/分の速度で冷却することを含む。冷却段階中、制御モジュール68は、
図13に示されるように、試験電池62と参照電池64との間の熱流を監視し、熱流(W/g)対温度(℃)及び/又は時間(秒)の冷却トレースを出力する。冷却段階が完了すると、材料サンプル66は、-50℃の保持温度で5分間、熱量計60によって保持される。
【0173】
5分経過すると、方法ステップ212は、サンプル66上で第2の熱サイクルを実行することによって開始する。第2の熱サイクルは、サンプル66が-50℃~300℃まで10°/分の加熱速度で徐々に加熱される加熱段階を含む。第1の熱サイクルと同様に、制御モジュール68は、
図14及び
図15に示されるように、第2の加熱段階を通して試験電池62及び参照電池64を監視し、第2の加熱トレースを出力する。
【0174】
したがって、第1の加熱トレースは、第1の熱サイクルの加熱段階中に測定され、第2の加熱トレースは、第2の熱サイクルの加熱段階中に決定される。
【0175】
様々なDSC分析(例えば、第1及び第2の熱サイクルの加熱及び冷却段階)を通して、ポリマー材料サンプル66は、材料サンプル66が大気と反応する(例えば、酸化する)ことを防ぐために、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)に保持される。例示的な方法によれば、熱量計60は、50mL/分のパージ流量で窒素ガスでパージされる。
【0176】
6つの例示的なポリマー材料(PM1-6)のDSCトレースが
図12~
図17に示される。
図12及び
図16に示されるトレースは、第1の熱サイクルの加熱段階(すなわち、サンプルが0℃~300℃まで10°/分の加熱速度で加熱される)に対応する。
図13に示されるトレースは、第1の熱サイクルの冷却段階(すなわち、サンプルPM1-PM5が、10°/分の冷却速度で、300℃~-50℃まで冷却される)に対応する。
図14、
図15、及び
図17に示されるトレースは、第2の熱サイクルの加熱段階(すなわち、サンプルが-50℃~300℃まで10°/分の加熱速度で加熱される)に対応する。
【0177】
材料PM1-6の各々が分析されて、試験トレース(すなわち、試験電池62に対応する)、及び参照トレース64(すなわち、参照電池64に対応する)を含む複合DSCトレースを生成する。参照電池64内には何も含まれていないため、参照トレースは実質的に平坦である。サンプル材料PM1-6の相転移は、参照トレースから逸脱する試験トレースのピークとして現れる。吸熱転移の場合、ピークは、それが溶融するにつれて、試験電池62内の材料サンプル66によって吸収される熱流により、負のピークとして現れる。
【0178】
更なる方法ステップ214は、ポリマー材料サンプル66に対応する、第1及び第2の加熱トレースにおける2つの吸熱ピークの存在を特定することを含む。特に、方法ステップ214は、第1及び第2の加熱トレースの各々における第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークの存在を特定することと、第1及び第2の加熱トレースの各々における第1及び第2の吸熱ピークが40℃~200℃の温度にあることを決定することと、を含む。
【0179】
DSCトレース内のピーク(例えば、吸熱ピーク)の存在を特定することは、局所最小値(すなわち、負のピーク)を形成するために参照トレースから逸脱する試験トレースの領域を特定することを伴う。吸熱ピークの場合、ピークは、試験電池62に向かって熱流を導くポリマー材料における吸熱転移に対応するため、参照トレースを下回る。
【0180】
吸熱ピークが特定されたら、これを特徴付けて、関連するピーク温度(Tp)を決定することができる。ピーク温度は、溶融ピークの最小熱流値、すなわち、その最も近い隣接値よりも小さい値を特定することによって決定される。第1の吸熱ピークのピーク温度(すなわち、第1のピーク温度)は、調査中のポリマー材料に対応する吸熱の特徴的な温度を表す。
【0181】
図12及び
図14に示されるトレースの各々において分かるように、40℃を下回るピーク及び200℃を上回るピークは存在しない。このことから、この温度範囲に吸熱転移がないと決定することができる。また、予想されるように、各サンプルの参照トレースは、全温度範囲にわたって実質的に一定のままであることに留意されたい。
【0182】
図12に示されるDSCトレースから、PM1、PM2、PM3、PM4、及びPM5の各々が、40℃~200℃の対応する第1及び第2のピーク温度を有する少なくとも2つの吸熱ピーク(例えば、第1及び第2の吸熱ピーク)を有することが明らかである。対照的に、PM6は、
図16のトレースによって示されるように、必要な温度範囲(すなわち、40℃及び200℃)に入る1つの吸熱ピークのみを有する。
【0183】
加熱トレース(例えば、第1及び第2の吸熱ピーク)に複数のピークが特定される状況では、第1のピークは、最低のピーク温度を有するピークに対応し、第2のピークは、より高いピーク温度を呈するピークを表す。同様に、トレースが3つのピークを有する場合、第3のピークは、第1のピーク及び第2のピークのピーク温度よりも大きいピーク温度を有するものとして特定され得る。
【0184】
したがって、ポリマー材料PM1-5は各々、DSC試験方法210によって決定されるように、第1の基準を満たし、したがって、その場合であれば、本開示の一態様による一体型フィルム40の範囲内に入るはずである。更に、そのような一体型フィルム40であれば、本開示の態様による電極アセンブリ及び/又は太陽電池アセンブリにおける使用に好適であろう。
【0185】
対照的に、PM6材料は、DSC試験方法210によって決定されるように、ポリマー材料が第1の基準を満たさないため、本開示の態様の範囲内に入らない。
【0186】
ポリマー材料PM1-6の方法ステップ214のDSC分析の結果の要約を表Aに示す。材料PM1-5の各々は、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々において、40℃~200℃の範囲内に少なくとも2つの吸熱ピークを有し、一方、PM6材料は、必要な範囲内に(例えば、第1及び第2の加熱トレースの)1つのピークのみを有することに留意されたい。
【0187】
第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピークの各々は、材料PM1-3及びPM5の第1及び第2の加熱トレース、並びに材料PM4の第1の加熱トレースにはっきりと見ることができる。材料PM4の第2の加熱トレースの拡大版が
図15に示され、それぞれ、2つの別個の吸熱ピーク105.39℃及び122.70℃が強調表示されている。
【表1】
【0188】
一体型フィルム40の代替の例示的な形態によれば、第1の基準は、80℃~160℃の温度範囲内で、第1の加熱トレース内に2つの別個のピーク(例えば、第1及び第2の吸熱ピーク)の存在を要件とする。表A(及び
図12)から分かるように、トレースの各々は、必要な温度範囲内に2つの別個の吸熱ピークを示すため、材料PM1-5の各々は、この基準を満たす。したがって、これらのポリマー材料から形成された一体型フィルム40は、太陽電池電極アセンブリ12の箔として使用されるとき、特に有益な接着特性を呈することになる。
【0189】
第1の基準の更なる条件は、第2の加熱トレースが、80℃~160℃の間の温度内で2つの異なる吸熱ピーク(例えば、第1の吸熱ピーク及び第2の吸熱ピーク)を有することである。ここでもまた、上記の表Aに示されるように、材料PM1-5の各々は、この基準を満たす。しかしながら、材料PM6は、基準を満たさない(例えば、必要な範囲内で、それが1つの吸熱ピーク、145.45℃のみを有するため)。
【0190】
第1の基準の更なる要件は、第1及び第2の加熱トレースの各々における少なくとも1つ(例えば、第1の吸熱ピーク)が40℃~130℃であることである。これは、PM1-5の材料の各々に当てはまるが、PM6には当てはまらない。したがって、PM6は条件を満たさず、本開示による一体型フィルム40の範囲内に入らない。
【0191】
第1の基準の追加の例示的な条件は、第2の加熱トレースが、80℃~130℃の温度にある吸熱ピーク(例えば、上述した第1の吸熱ピーク)を有することである。加えて、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々は、100℃~160℃の少なくとも1つの更なる吸熱ピーク(例えば、上述したような第2及び/又は第3の吸熱ピーク)を含むことを要件としてもよい。更に、第1の基準の要件は、第1の加熱トレースの少なくとも1つの更なる吸熱ピークが100℃~145℃であることであってもよい。材料PM1-5の各々は、これらの条件の各々を満たし、したがって、本開示による一体型フィルム40の範囲内に入るはずである。
【0192】
第1の基準の代替の例示的な条件によれば、第1の加熱トレースにおける更なる吸熱ピークは、100℃~135℃である。材料PM1、PM2、PM4、及びPM5の各々は、この条件を満たす。第1の基準の更なる例示的な条件によれば、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレースの各々は、少なくとも1つの更なる吸熱ピーク(例えば、上述の第2及び/又は第3の吸熱ピーク)を100℃~145℃の温度に含むことを要件としてもよい。材料PM1、PM2、PM4、及びPM5の各々は、これらの条件を満たす。
【0193】
DSC試験方法210は、ポリマー材料(例えば、PM1-5)が一体型フィルム40として使用するための所望の熱特性を有することを決定する更なる手段を含む。例示的な方法によれば、方法ステップ214は、第1の加熱トレース及び第2の加熱トレース(例えば、
図12及び
図14に示されるように、PM2のDSCトレースに存在する第3のピーク)の各々における第3の吸熱ピークを特定することを含む。これはまた、第3の吸熱ピーク(例えば、第3のピーク温度)のピーク温度が、130℃~200℃の必要な温度範囲内にあることを決定することを含む。表Aに示されるように、材料PM2は、その第1及び第2の加熱トレースの各々において第3の吸熱ピークを呈する唯一のサンプルである。更に、PM2の第3の吸熱ピークの各々が必要な温度範囲内にあることに留意されたい。したがって、材料PM2は、基準の要件を満たし、好ましくは、本開示の例示的な態様による一体型フィルム40での使用に好適なはずである。
【0194】
DSC試験方法210の更なる例示的な形態によれば、方法ステップ212は、第1の熱サイクルの冷却段階中に、試験電池62と参照電池64との間の熱流を監視し、冷却トレースを出力することを含む(上述したように)。次いで、方法ステップ214は、0℃~200℃の温度における発熱ピークを特定及び決定することを含んでもよい。
【0195】
ポリマー材料PM1-5の一連の冷却トレースが
図13に示され、結果の要約が以下の表Bに提示される。このことから、材料PM1-5の各々は、必要な温度範囲内に発熱ピークを呈し、したがって基準を満たすことが明らかである。
【表2】
【0196】
第1の基準の更なる条件は、発熱ピークが40℃~130℃であることであってもよい。ここでもまた、材料PM1-5の各々はこの要件を満たす。第1及び第2の加熱トレースの分析と同様に、冷却トレースDSC分析は、必要な温度範囲内のピーク温度を有する少なくとも第2の(及び第3の)吸熱ピークを特定することを含んでもよい。
【0197】
DSC試験方法210の結果は、
図9に示されるように、太陽電池アセンブリ200を製造する方法を最適化するために使用することができる。特に、製造方法200は、一体型フィルム40を複数の導電性素子18に熱的に接合する前に、DSC試験方法210に基づいて、一体型フィルム40を接合前温度(例えば、接合前加熱ステップ)に加熱するように適合される。製造方法200への接合前加熱ステップの導入は、一体型フィルム40の複数の導電性素子18への接着を改善する。接合前温度は、DSC試験方法ステップ210によって決定されるように、第1の加熱トレースの第1の吸熱ピーク温度(すなわち、第1の熱サイクルの加熱段階に対応する)に基づいて決定される。
【0198】
一体型フィルムの第2の基準
第2の基準によれば、一体型フィルム40のポリマー材料は、180度の剥離試験によって測定されるとき、一体型フィルム40の幅10mm当たり少なくとも5Nの剥離強度を有することが決定される。剥離試験は、基板の表面(例えば、太陽電池の受け入れ面)に熱的に接合される一体型フィルム40間の接着を決定する(例えば、測定する)ために使用される。剥離試験は、試験中の各サンプルフィルムについての剥離力トレースを提供するために、標準試験方法ASTM D903に従って実行される。
【0199】
剥離試験方法は、
図18及び
図19に示すように、180度剥離試験装置80を使用して実行される。剥離試験装置80は、試験方法中に加えられる引張荷重を決定するために引張力測定センサ(例えば、ロードセル)を装備する電動引張計(図示せず)を備える。剥離試験装置80はまた、試験中に一体型フィルム40及び基板82を保持するように構成される一対のグリップ84(又はグリッパー)を含む。
【0200】
剥離試験装置80はまた、グリップを(例えば、
図18及び
図19の矢印の方向で示されるように垂直方向に)移動させるために、電動引張計を操作するように構成されるコントローラ(図示せず)を含む。コントローラは、グリッパー84の動きを制御するように構成され、それによって、一体型フィルム40を基板82から剥離するために加えられる剥離力を決定する。
【0201】
次に、一体型フィルム40の第2の基準による例示的な剥離試験方法410が、対応する方法ステップのフローチャートを示す
図20を参照して説明される。また、いくつかのポリマー材料(PM1-PM6)を試験するために使用される試験装置80の概略図を示す
図18及び
図19、並びに調査中の異なるポリマーフィルムの剥離力(一体型フィルムの10mm幅当たり)トレースを示す
図21及び
図22を参照する。
【0202】
第1の方法ステップ412では、均一なフィルム40は、基板82に熱的に接合される。基板82は、ガラス又は金属(例えば、金属合金)などの実質的に剛性の材料から形成される。代替的に、基板82は、太陽電池(例えば、結晶シリコン太陽電池)であり得る。本明細書に記載の方法の結果(
図21及び
図22に示され、以下の表Cに要約されるもの)は、結晶太陽電池の表面から一体型フィルム40を剥離することによって生成された。
【0203】
方法ステップ412は、均一なフィルム40を複数の長手方向ストリップに切断することによって開始される。ストリップの一端(例えば、全長の約半分)が基板82の上方を向いた表面上に配置される。複数の長手方向ストリップは、単一の基板表面上に同時に(例えば、実質的に平行なストリップのアレイを形成するために)配置され得る。各長手方向のストリップは、ストリップの幅が剥離力が加えられる方向に実質的に垂直であるように基板上に配置される。
【0204】
各ストリップの幅は約10mm、長さは約200mmである。各ストリップは、少なくとも25μm(例えば、約100μm)の厚さを有し、これは、+/-6μmの許容範囲内にあることが測定される。一体型フィルムストリップは各々、剥離試験中にフィルムに構造的支持を提供するバッキングシートに装着される。バッキングシートは、少なくとも175μm(例えば、約185μm)の厚さを有し、これは、+/-17μmの許容範囲内にあると測定される。フィルム及びバッキングシートの組み合わされた厚さは、200μm~500μm(例えば、約285μm)であり、これは、+/-6の許容範囲内にあると測定される。
【0205】
ストリップが基板82の表面上に配置されると、(例えば、PTFEから形成された)耐熱シートが、フィルムストリップの対向する自由端と基板82との間に介在する。シートは、後続の接合方法ステップ中に基板82とストリップの自由端との間の接着を防止するように構成される。
【0206】
ストリップが基板表面上の所定の位置に配置されると、それらはラミネータに入れられ、少なくとも50℃まで加熱される。ストリップが表面82に接合されると、(例えば、基板82からフィルムを剥離する前に)剥離力分析を実行する前に、所定の期間(例えば、少なくとも30分間)冷却することが可能になる。
【0207】
各ストリップの一部分のみが基板82に熱的に接合されることが分かるはずである。したがって、各ストリップは、剥離試験装置80のグリッパー84に容易に結合することができる自由端(例えば、非接合端)を有するように構成される。
【0208】
第2の方法ステップ314では、フィルムのストリップは、剥離試験装置に装填され、分析されて各材料の特徴的な剥離強度を決定する。方法ステップ314は、まず、ストリップ及び基板82を剥離試験装置80に装填することを含む。ストリップは、
図18に示されるように、上部グリッパーに装填され、基板は、下部グリッパー84にクランプされる。次に、標準試験方法ASTM D903に従って剥離試験が実行され、分析されている特定の一体型フィルム40に対応する剥離力トレースを生成する。
【0209】
剥離試験は、100mmの距離(例えば、ひずみ)にわたって適用される。一体型フィルム40は、100mm/分の剥離スピードで基板82から剥離される。剥離試験を通して、引張計によってフィルムストリップに及ぼされる剥離力は、コントローラによって継続的に監視される。例えば、剥離力は、最大剥離距離(例えば、100mm)に達するまで、10μmの間隔で測定される。剥離試験に使用される剥離スピードは、そのようなポリマー一体型フィルムの実験結果を確実に得るように最適化される。剥離スピードは、剥離試験の期間を増加させるより遅いスピードと、一体型フィルムに損傷を引き起こす可能性のあるより速いスピードとの間のバランスである。
【0210】
材料の剥離力は、剥離力トレースに記録されたデータから平均を取ることによって決定される。特に、平均剥離力が、各試験実行の開始時に存在するデータのノイズによって引き起こされる測定値のゆがみを防止するために、最小剥離距離(例えば、20mm)に達した後に記録されたデータのみを使用して計算される。
【0211】
剥離試験が完了すると、ストリップがグリッパー84から除去され、異なるストリップが試験の準備ができた状態で装填される。剥離試験は、基板82に配置及び接合されるストリップの各々に対して繰り返される。
【0212】
第3の方法ステップ316では、ストリップの各々についての剥離力トレースが分析されて、対応するサンプルフィルムの各々についての剥離強度を決定する。ポリマーフィルム材料が第2の基準を満たし、それによって本開示による一体型フィルム40の範囲内に入るためには、材料は、一体型フィルム40の単位幅(例えば、10mm)当たり少なくとも5ニュートン(N)の剥離強度を呈する必要がある。
【0213】
ポリマー材料PM1-6の各々についての剥離試験分析の結果の要約が、以下の表Cに提示される。剥離試験測定の各々は、10mmの幅を有する一体型フィルム40のストリップ上で実施した。材料PM1-6の各々は、第2の基準を満たすために必要な範囲内にある剥離強度(例えば、一体型フィルム40の幅10mm当たり5N)を有する。
図20及び
図21は、それぞれ、材料PM3及びPM6の剥離力トレースを示す。表Cに示されるように、材料PM3の平均剥離力は30Nであり、材料PM6の平均剥離力は11Nである。したがって、材料PM3は(相対的)高い剥離強度の材料を定義し、一方、PM6は(相対的)低い剥離強度の材料を定義する。
【表3】
【0214】
第2の基準の更なる例示的な条件によれば、剥離強度は、一体型フィルム40の幅10mm当たり少なくとも15Nでなければならない。したがって、材料PM1-3のみが第2の基準のこの条件を満たすが、材料PM4-6は満たさない。本開示の例示的な態様によれば、材料PM1~3から形成された一体型フィルム40は、太陽電池の電極アセンブリ12における使用に特に好適である。これは、一体型フィルム40が、太陽電池アセンブリの、導電性素子18及び/又は太陽電池の表面との接着性の向上を提供するからである。
【0215】
例示的な剥離試験方法310によれば、剥離強度は、第2の基準を満たすために、一体型フィルム40の幅10mm当たり、15N~30Nの範囲内にあることが要件とされる。ここでもまた、材料PM1-3の各々は、第2の基準のこの例示的な条件を満たす。
【0216】
第1及び/又は第2の基準に従って特徴付けられる一体型フィルム40は、(例えば、フィルムと太陽電池及び/又は太陽電池アセンブリの導電性素子との間の機械的接続を確実にするために)良好な接着特性を有するように効果的に構成される。各フィルムはまた、別の素子と過度に、又は制御不能なほど強い接合を形成しないように効果的に構成される。このようにして、一体型フィルム40は、電極及び/又は太陽電池アセンブリの製造が中断されないことを確実にするのに役立つ。
【0217】
本発明は、上述した実施形態には限定されず、様々な修正及び改良が、本明細書に記載された概念から逸脱することなく行うことができることが理解されるであろう。相互に排他的な場合を除いて、いかなる特徴も、任意の他の特徴とは別個に、又はそれらと組み合わせて用いることができ、本開示は、本明細書に記載された1つ以上の特徴の全ての組み合わせ、及び部分組み合わせに拡張され、これらを包含する。
【国際調査報告】