(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】リール式閉鎖システム
(51)【国際特許分類】
A43C 11/00 20060101AFI20241219BHJP
A61F 5/02 20060101ALI20241219BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20241219BHJP
A44B 11/25 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A43C11/00
A61F5/02 N
A44B99/00 611N
A44B11/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539660
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022054364
(87)【国際公開番号】W WO2023129727
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】デューラー,ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ホスケンス,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】キトリッジ,ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】カーンズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リントン,レベッカ
【テーマコード(参考)】
3B090
4C098
4F050
【Fターム(参考)】
3B090BB01
4C098AA02
4C098BB12
4C098BC18
4F050MA28
(57)【要約】
物品を締め付けるためのリール式閉鎖装置が、ハウジングと、ハウジング内に配置されたスプールとを含む。スプールは、スプールのチャネルの周りに引張部材を巻き付けるためにハウジング内で回転可能である。ノブが、ハウジングによって支持され、ノブの回転によってスプールがハウジング内で回転するようにスプールに動作可能に結合する。爪構成要素が、ノブに動作可能に結合可能である。爪構成要素は、近位端において爪構成要素に固定に接続された爪アームを有する1つ以上の爪を含む。爪アームの遠位端は、1つ以上の爪歯を含む。爪構成要素は、リップを含み、爪アームは、爪構成要素のリップと係合して、爪構成要素に対する爪アームの半径方向移動を制御するタブを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールであって、前記スプールが締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられ、前記スプールが緩め方向に回転するときに前記引張部材が繰り出されるチャネルが形成されているスプールと、
前記ハウジングによって支持されたノブであって、前記ハウジングに対して回転可能であり、前記ノブの回転が前記スプールを前記締め付け方向に回転させるように、前記スプールに動作可能に結合したノブと、
前記ノブとは別個であり、前記ノブに動作可能に結合することができる爪構成要素であって、前記爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する爪アームを備える1つ以上の爪を含んでいる爪構成要素と
を備えており、
前記爪構成要素は、リップまたは壁を含み、
前記爪アームは、前記爪構成要素の前記リップまたは壁と係合して、前記爪構成要素に対する前記爪アームの半径方向移動を制御する突出部またはタブを含む、リール式閉鎖装置。
【請求項2】
前記爪構成要素は、円板状である、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項3】
前記リップまたは壁は、爪構成要素の外周縁に形成または画定されている、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項4】
前記突出部またはタブは、爪アームの半径方向内側の縁部に形成されている、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項5】
前記突出部またはタブは、前記爪アームの前記遠位端に位置する、請求項4に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項6】
前記1つ以上の爪は、前記ノブが係合位置にあるときに歯と係合し、前記1つ以上の爪は、前記ノブが非係合位置にあるときに前記歯から外れる、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項7】
前記ノブは、前記係合位置と前記非係合位置との間を前記ハウジングに対して軸方向に移動可能である、請求項6に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項8】
前記爪アームの前記近位端は、前記爪構成要素に固定に結合している、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、
前記スプールに動作可能に結合したノブであって、前記ノブの回転によって前記スプールの回転が生じるノブと、
1つ以上の爪アームを含んでいる爪構成要素であって、前記1つ以上の爪アームは、前記爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有している、爪構成要素と
を備えており、
前記爪構成要素は、リップまたは壁を含み、
前記爪アームは、前記爪構成要素の前記リップまたは壁と係合して、前記爪構成要素に対する前記爪アームの半径方向移動を制御する突出部またはタブを含む、リール式閉鎖装置。
【請求項10】
前記爪構成要素は、円板状である、請求項9に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項11】
前記リップまたは壁は、爪構成要素の外周縁に形成または画定されている、請求項9に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項12】
前記突出部またはタブは、爪アームの半径方向内側の縁部に形成されている、請求項9に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項13】
前記突出部またはタブは、前記爪アームの前記遠位端に位置する、請求項12に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項14】
前記1つ以上の爪歯は、前記ノブが係合位置にあるときに前記リール式閉鎖装置の歯と係合し、前記1つ以上の爪歯は、前記ノブが非係合位置にあるときに前記リール式閉鎖装置の前記歯から外れる、請求項9に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項15】
前記ノブは、前記係合位置と前記非係合位置との間を前記ハウジングに対して軸方向に移動可能である、請求項14に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項16】
前記爪アームの前記近位端は、前記爪構成要素に固定に結合している、請求項9に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項17】
リール式閉鎖装置を組み立てる方法であって、
ハウジングを取得するステップと、
スプールを前記ハウジング内に、前記スプールが前記ハウジング内で回転できるように配置するステップと、
爪構成要素を前記ハウジングに結合させるステップであって、前記爪構成要素は、前記爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する1つ以上の爪アームを含んでおり、前記爪構成要素は、リップまたは壁を含み、前記爪アームは、前記爪構成要素の前記リップまたは壁と係合して、前記爪構成要素に対する前記爪アームの半径方向移動を制御する突出部またはタブを含んでいる、ステップと、
ノブを、前記ノブが前記スプールに動作可能に結合するように、前記ハウジングに結合させるステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記爪アームの半径方向外向きの移動によって前記爪アームの前記突出部またはタブが前記爪構成要素の前記リップまたは壁と係合するように、前記爪アームの前記突出部またはタブを前記爪構成要素の前記リップまたは壁の半径方向内側に配置するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記爪構成要素を前記ノブの下端部へと軸方向に挿入するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記リール式閉鎖装置を履物に取り付けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
リール式閉鎖装置のためのスプールであって、
上側フランジと、
下側フランジと、
前記上側フランジと前記下側フランジとの間に形成された中央本体であって、引張部材を、前記スプールが第1の方向に回転するときに前記中央本体の周囲に巻き付けることができ、前記スプールが第2の方向に回転するときに前記中央本体から繰り出すことができるように構成された中央本体と、
前記中央本体の一方側から前記中央本体の反対側へと前記中央本体を貫いて延びるチャネルと
を備えており、
前記引張部材を、前記引張部材を前記スプールに結合させるために前記チャネルを通って挿入することができ、
前記中央本体の断面輪郭は、前記スプールの中心軸に直交する平面に沿って得たときに非対称である、スプール。
【請求項22】
前記スプールは、単一のチャネルを含む、請求項21に記載のスプール。
【請求項23】
前記チャネルは、第1のチャネルであり、前記スプールは、第2のチャネルを含み、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルは、前記スプールの中央開口の両側に位置する、請求項21に記載のスプール。
【請求項24】
前記スプールの前記中央本体は、長円形の輪郭を有する、請求項21に記載のスプール。
【請求項25】
前記中央本体の前記断面輪郭は、前記チャネルの開口部の付近の直線状の部分を有する、請求項21に記載のスプール。
【請求項26】
前記断面輪郭の前記直線状の部分は、第1の直線状の部分であり、前記断面輪郭は、前記チャネルの第2の開口部の付近の第2の直線状の部分を有し、前記第2の直線状の部分は、前記第1の直線状の部分の長さよりも短い長さを有する、請求項25に記載のスプール。
【請求項27】
前記中央本体の前記断面輪郭の大部分は、円形である、請求項25に記載のスプール。
【請求項28】
前記中央本体の前記断面輪郭のうちの前記チャネルに隣接する部分は、三角形の形状を有する、請求項21に記載のスプール。
【請求項29】
リール式閉鎖装置のためのスプールであって、
上側フランジと、
下側フランジと、
前記上側フランジと前記下側フランジとの間に形成された中央本体と、
前記中央本体内へと延びるチャネルまたは凹部と
を備えており、
前記中央本体の断面輪郭は、前記スプールの中心軸に直交する平面に沿って得たときに非円形である、スプール。
【請求項30】
前記スプールは、単一のチャネルまたは凹部を含む、請求項29に記載のスプール。
【請求項31】
前記チャネルまたは凹部は、第1のチャネルまたは凹部であり、前記スプールは、第2のチャネルまたは凹部を含み、前記第1のチャネルまたは凹部ならびに前記第2のチャネルまたは凹部は、前記スプールの中央開口の両側に位置する、請求項29に記載のスプール。
【請求項32】
前記スプールの前記中央本体は、長円形の輪郭を有する、請求項29に記載のスプール。
【請求項33】
前記中央本体の前記断面輪郭は、直線状の部分またはセグメントを有する、請求項29に記載のスプール。
【請求項34】
前記直線状の部分またはセグメントは、第1の直線状の部分またはセグメントであり、前記断面輪郭は、前記第1の直線状の部分またはセグメントとは別の第2の直線状の部分またはセグメントを有し、前記第2の直線状の部分またはセグメントは、前記第1の直線状の部分またはセグメントよりも短い長さを有する、請求項33に記載のスプール。
【請求項35】
前記中央本体の前記断面輪郭の大部分は、円形である、請求項33に記載のスプール。
【請求項36】
前記中央本体の前記断面輪郭のうちの前記チャネルに隣接する部分は、三角形の形状を有する、請求項29に記載のスプール。
【請求項37】
リール式閉鎖装置を組み立てる方法であって、
上側フランジと、
下側フランジと、
前記上側フランジと前記下側フランジとの間に形成された中央本体と、
前記中央本体内へと延びるチャネルまたは凹部と
を備えるスプールであって、
前記中央本体の断面輪郭は、前記スプールの中心軸に直交する平面に沿って得たときに非円形である、スプールを取得するステップと、
前記スプールを前記リール式閉鎖装置のハウジングへと、前記スプールが前記ハウジング内で回転可能であるように挿入するステップと
を含む方法。
【請求項38】
引張部材を前記スプールに取り付けるために前記引張部材を前記チャネルまたは凹部に結合させるステップを含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記引張部材を前記チャネルまたは凹部に結合させるステップは、前記引張部材を前記チャネルまたは凹部を通って挿入し、前記引張部材に結び目を作り、あるいは前記引張部材にストッパ構成要素を取り付け、前記ストッパ構成要素を前記チャネルまたは凹部へと引き込むことを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記リール式閉鎖装置を履物に取り付けるステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたスプールであって、前記ハウジングに対して回転可能であり、前記スプールが締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられ、前記スプールが緩め方向に回転するときに前記引張部材が繰り出されるチャネル備えているスプールと、
前記ハウジングによって支持され、前記ハウジングに対して回転可能であり、前記スプールに動作可能に結合したノブと、
前記ノブの回転によって前記スプールが前記締め付け方向に回転するように、前記ノブおよびスプールに動作可能に結合した駆動構成要素と
を備えており、
前記スプールは、複数の軸方向に延びた歯を含み、
前記駆動構成要素は、前記スプールの前記軸方向に延びた歯と係合するように構成された複数の軸方向に延びた歯を含み、
前記スプールまたは駆動構成要素の前記軸方向に延びた歯の各々の歯の表面または面の角度が、前記各々の歯の軸方向長さに沿って変化している、リール式閉鎖装置。
【請求項42】
前記スプールの前記軸方向に延びた歯の各々の歯の表面または面の角度、および前記駆動構成要素の前記軸方向に延びた歯の各々の歯の表面または面の角度が、前記各々の歯の軸方向長さに沿って変化している、請求項41に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項43】
前記スプールまたは駆動構成要素の前記軸方向に延びた歯の各々の歯の表面または面は、第1の傾斜部分および第2の傾斜部分を備え、前記第2の傾斜部分は、前記第1の傾斜部分よりも垂直に配向されている、請求項41に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項44】
前記スプールの前記複数の軸方向に延びた歯は、前記スプールの上面に位置する、請求項41に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項45】
前記駆動構成要素の前記複数の軸方向に延びた歯は、前記駆動構成要素の下面に位置する、請求項44に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項46】
前記駆動構成要素は、前記駆動構成要素の前記軸方向に延びた歯が前記スプールの前記軸方向に延びた歯と係合する係合位置と、前記駆動構成要素の前記軸方向に延びた歯が前記スプールの前記軸方向に延びた歯から外れる非係合位置との間を、前記スプールに対して軸方向に移動可能である、請求項41に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項47】
前記スプールの前記緩め方向の回転を防止するために歯と係合するように構成された複数の爪
をさらに備える、請求項41に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項48】
前記複数の爪の各々の爪は、前記駆動構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する爪アームを含む、請求項47に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項49】
ハウジングと、
チャネルを備えるスプールであって、前記スプールが締め付け方向に回転するときに引張部材が前記チャネルに巻き付けられるスプールと、
前記ハウジングに回転可能に結合したノブと、
前記ノブの回転によって前記スプールが前記締め付け方向に回転するように、前記ノブおよびスプールに動作可能に結合した駆動構成要素と
を備えており、
前記スプールは、複数の歯を含み、
前記駆動構成要素は、前記スプールの前記歯と係合するように構成された複数の歯を含み、
前記スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の噛合面の角度が、前記各々の歯の長さに沿って変化している、リール式閉鎖装置。
【請求項50】
前記スプールの各々の歯の噛合面の角度、および前記駆動構成要素の各々の歯の噛合面の角度が、前記各々の歯の長さに沿って変化している、請求項49に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項51】
前記スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の前記噛合面は、第1の部分および第2の部分を備え、前記第1の部分は、前記第2の部分に対して角度を有する、請求項49に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項52】
前記スプールの前記複数の歯は、前記スプールの上面に位置する、請求項49に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項53】
前記駆動構成要素の前記複数の歯は、前記駆動構成要素の下面に位置する、請求項52に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項54】
前記駆動構成要素は、前記駆動構成要素の前記歯が前記スプールの前記歯と係合する係合位置と、前記駆動構成要素の前記歯が前記スプールの前記歯から外れる非係合位置との間を、前記スプールに対して軸方向に移動可能である、請求項49に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項55】
前記スプールの緩め方向の回転を防止するために歯と係合するように構成された複数の爪をさらに備える、請求項49に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項56】
前記複数の爪の各々の爪は、前記駆動構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する爪アームを含む、請求項55に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項57】
リール式閉鎖装置を組み立てる方法であって、
ハウジングを用意するステップと、
複数の歯を備えるスプールを前記ハウジング内に配置するステップと、
前記スプールの前記歯と係合するように構成された複数の歯を備える駆動構成要素を、前記スプールに動作可能に結合させるステップと、
ノブを前記ハウジングに、前記ノブの回転によって前記スプールが締め付け方向に回転するように結合させるステップと
を含み、
前記スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の噛合面の角度が、前記各々の歯の長さに沿って変化している、方法。
【請求項58】
前記スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の前記噛合面は、第1の部分および第2の部分を備え、前記第1の部分は、前記第2の部分に対して角度を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記スプールの各々の歯の噛合面の角度、および前記駆動構成要素の各々の歯の噛合面の角度が、前記各々の歯の長さに沿って変化している、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記リール式閉鎖装置を履物に取り付けるステップをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
内部領域およびハウジング壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部領域に配置されたスプールであって、前記ハウジングに対して回転可能であり、前記スプールが締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられるチャネルを備えているスプールと、
前記ハウジングによって支持され、前記ハウジングに対して回転可能であり、前記スプールを前記ハウジングの前記内部領域において前記締め付け方向に回転させるために前記スプールに動作可能に結合するノブと、
前記ハウジング壁に形成され、前記スプールに隣接して前記ハウジング壁に沿って軸方向に延びる複数のチャネルまたは凹部と
を備えており、
前記複数のチャネルまたは凹部は、隣接するチャネル間に位置する表面を定め、
前記スプールは、前記スプールが前記ハウジングの前記内部領域において前記締め付け方向に回転するときに、少なくとも一時的に、定められた前記表面のうちの1つ以上に接触する、リール式閉鎖装置。
【請求項62】
前記ハウジングは、開いた下端を有する、請求項61に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項63】
前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記ハウジングの前記開いた下端まで延びる、請求項62に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項64】
前記ハウジングは、前記ハウジングの上部と下部との間の前記内部領域内に位置した環状リブを含む、請求項61に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項65】
前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記環状リブまで軸方向に延びる、請求項64に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項66】
前記リール式閉鎖装置は、4~20個のチャネルまたは凹部を含む、請求項61に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項67】
爪構成要素をさらに備え、前記爪構成要素は、前記爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する爪アームを備える1つ以上の爪を含み、前記爪構成要素は、前記スプールの緩め方向の回転を防止するように構成される、請求項61に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項68】
前記スプールの軸方向下方に配置され、前記ハウジングの下端に解放可能に取り付けることができるベース構成要素をさらに備える、請求項61に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項69】
内壁および前記内壁に形成された複数のチャネルまたは凹部を有しているハウジングと、
前記ハウジング内に位置するスプールであって、前記スプールが前記ハウジング内で締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられるチャネルを備えているスプールと、
前記スプールを前記締め付け方向に回転させるために前記スプールに動作可能に結合したノブと
を備えており、
前記複数のチャネルまたは凹部は、前記内壁に沿って軸方向に延び、隣接するチャネル間に位置する表面を定め、
前記スプールは、前記スプールが前記ハウジング内で前記締め付け方向に回転するときに、少なくとも一時的に、定められた前記表面のうちの1つ以上に接触する、リール式閉鎖装置。
【請求項70】
前記ハウジングは、開いた下端を有する、請求項69に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項71】
前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記ハウジングの前記開いた下端まで延びる、請求項70に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項72】
前記ハウジングは、前記ハウジングの上部と下部との間の前記内壁上に形成または画定された環状リブを含む、請求項69に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項73】
前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記環状リブまで延びる、請求項72に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項74】
前記リール式閉鎖装置は、4~20個のチャネルまたは凹部を含む、請求項69に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項75】
1つ以上の爪を含む爪構成要素をさらに備え、前記爪構成要素は、前記スプールの緩め方向の回転を防止するように構成される、請求項69に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項76】
前記スプールの軸方向下方に配置され、前記ハウジングの下端に解放可能に取り付けることができるベースをさらに備える、請求項69に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項77】
リール式閉鎖装置を組み立てる方法であって、
内壁および前記内壁に形成された複数のチャネルまたは凹部を有しているハウジングを用意するステップと、
前記ハウジング内にスプールを配置するステップと、
ノブを前記ハウジングおよびスプールに、前記ノブの回転によって前記スプールが締め付け方向に回転するように、動作可能に結合させるステップと
を含み、
前記複数のチャネルまたは凹部は、前記ハウジングの前記内壁に沿って軸方向に延び、隣接するチャネル間に位置する表面を定め、
前記スプールは、前記スプールが前記ハウジング内で前記締め付け方向に回転するときに、少なくとも一時的に、定められた前記表面のうちの1つ以上に接触する、方法。
【請求項78】
前記ハウジングは、開いた下端を有し、前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記ハウジングの前記開いた下端まで延びる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ハウジングは、前記ハウジングの前記内壁上に形成または画定された環状リブを含み、前記複数のチャネルまたは凹部の各々のチャネルまたは凹部は、前記環状リブまで延びる、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記リール式閉鎖装置を履物に取り付けるステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
リール式閉鎖装置と共に使用されるストラップであって、
近位端と、
遠位端と、
前記ストラップの前記近位端と前記遠位端との間に位置する中間部と、
前記ストラップの前記中間部に形成された窓または細長いチャネルとを備えており、前記窓または細長いチャネルは、前記ストラップの前記中間部によって前記リール式閉鎖装置を完全に取り囲んだ状態で、前記ストラップを前記リール式閉鎖装置に被せて配置することができ、かつ前記ストラップの前記中間部によって前記リール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、前記ストラップを長手方向に移動させることができるように、前記リール式閉鎖装置の長さまたは直径よりも大きい長手方向長さと、前記リール式閉鎖装置の幅または直径よりも大きい横方向幅とを有する、ストラップ。
【請求項82】
前記ストラップの前記中間部は、前記ストラップの前記近位端および前記遠位端に対して補強されている、請求項81に記載のストラップ。
【請求項83】
補強材料または補強層が、前記窓または細長いチャネルあるいは前記窓または細長いチャネルの付近において、前記ストラップの前記中間部に結合している、請求項82に記載のストラップ。
【請求項84】
前記ストラップの前記近位端および前記遠位端は、弾性材料または半弾性材料で形成されている、請求項81に記載のストラップ。
【請求項85】
前記ストラップは、前記ストラップの別のストラップまたは他の材料への締結を可能にする締結機構をさらに備える、請求項81に記載のストラップ。
【請求項86】
前記締結機構は、面ファスナ、クランプ、バックル、スナップ、磁気締結具、またはこれらの組合せを備える、請求項85に記載のストラップ。
【請求項87】
請求項81に記載のストラップを備える装具。
【請求項88】
前記装具は、足首装具であり、前記ストラップは、前記足首装具の下端に取り付けられる、請求項87に記載の装具。
【請求項89】
リール式閉鎖装置と共に使用されるストラップであって、
近位端と、
遠位端と、
前記ストラップの前記近位端と前記遠位端との間に位置する中間部と、
前記ストラップの前記中間部に形成された窓または細長いチャネルと
を備えており、
前記窓または細長いチャネルを、前記ストラップの前記中間部によって前記リール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、前記ストラップが前記リール式閉鎖装置に対して移動可能であるように、前記リール式閉鎖装置に被せて配置することができる、ストラップ。
【請求項90】
前記窓または細長いチャネルは、前記リール式閉鎖装置の長さまたは直径よりも大きい長手方向長さを有する、請求項89に記載のストラップ。
【請求項91】
前記窓または細長いチャネルは、前記リール式閉鎖装置の幅または直径よりも大きい横方向幅を有する、請求項90に記載のストラップ。
【請求項92】
前記ストラップは、前記ストラップの前記中間部によって前記リール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、前記リール式閉鎖装置に対して長手方向に移動可能である、請求項89に記載のストラップ。
【請求項93】
前記ストラップの前記中間部は、前記ストラップの前記近位端および前記遠位端に対して補強されている、請求項89に記載のストラップ。
【請求項94】
補強材料または補強層が、前記窓または細長いチャネルあるいは前記窓または細長いチャネルの付近において、前記ストラップの前記中間部に結合している、請求項93に記載のストラップ。
【請求項95】
前記ストラップの前記近位端および前記遠位端は、弾性材料または半弾性材料で形成されている、請求項89に記載のストラップ。
【請求項96】
前記ストラップは、前記ストラップの別のストラップまたは他の材料への締結を可能にする締結機構をさらに備える、請求項89に記載のストラップ。
【請求項97】
前記締結機構は、面ファスナ、クランプ、バックル、スナップ、磁気締結具、またはこれらの組合せを備える、請求項96に記載のストラップ。
【請求項98】
装具を製造する方法であって、
装具を用意するステップと、
前記装具にリール式閉鎖装置を取り付けるステップと、
前記装具にストラップを結合させるステップと
を含み、
前記ストラップは、
近位端と、
遠位端と、
前記ストラップの前記近位端と前記遠位端との間に位置する中間部と、
前記ストラップの前記中間部に形成された窓または細長いチャネルと
を備え、
前記窓または細長いチャネルを、前記ストラップの前記中間部によって前記リール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、前記ストラップが前記リール式閉鎖装置に対して移動可能であるように、前記リール式閉鎖装置に被せて配置することができる、方法。
【請求項99】
前記装具は、足首装具である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記装具に前記ストラップを結合させるステップは、前記足首装具が着用者の足の周りに配置されたときに前記ストラップの一部分が前記着用者の足の下方に位置するように、前記ストラップを前記足首装具の下端に取り付けることを含む、請求項99に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月30日に出願された「Reel Based Closure System」という名称の米国仮特許出願第63/295,395号の優先権を主張し、その開示の全体が、あらゆる目的のために、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、装具、医療装置、靴、衣類、衣服、などのさまざまな物品のためのリール式閉鎖装置に関する。そのような物品は、典型的には、物品を身体部分の周囲に配置して閉じ、あるいは締め付けることを可能にする何らかの閉鎖システムを含む。閉鎖システムは、典型的には、物品を身体部分の周りに維持または固定するために使用される。例えば、靴が、典型的には、個人の足を覆って配置され、靴ひもが、靴を足の周りに閉じて固定するために、引っ張られて結ばれる。同様に、装具が、典型的には、身体の周りに取り付けられ、面ファスナまたは同様の機構によって閉じられ、締め付けられる。
【0003】
[0003]従来からの閉鎖システムが、身体部分の周囲における物品の適合性および/または快適性を高める努力において改良されている。例えば、靴ひもの構成および/またはパターンが、靴の着用の適合性および/または快適性を高める試みにおいて改良されている。また、従来からの閉鎖システムが、物品を身体部分の周囲に閉じて固定する時間を短縮する努力において改良されている。これらの改良は、物品を着用者の身体の周りに迅速に閉じて固定することを可能にするさまざまな引張コード、ストラップ、および締め付け装置の使用をもたらしている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本明細書に記載の実施形態は、一般に、リール式閉鎖装置および装着型装具に関する。一態様によれば、リール式閉鎖装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、ノブとを含み、ノブは、ノブの回転によってスプールも回転するようなやり方でスプールに動作可能に結合する。さらに、リール式閉鎖装置は、爪構成要素を含み、爪構成要素は、爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを含む1つ以上の爪アームを有する。爪構成要素は、リップまたは壁を含み、爪アームは、爪構成要素のリップまたは壁と係合して、爪構成要素に対する爪アームの半径方向移動を制御する突出部またはタブを含む。
【0005】
[0005]爪構成要素は、一般に、円板状であるが、他の形状も利用することができる。爪構成要素のリップまたは壁は、一般に、爪構成要素の外周縁に形成または画定される。爪アームの突出部またはタブは、典型的には、爪アームの半径方向内側の縁部に形成される。特定の事例において、突出部またはタブは、爪アームの遠位端に位置する。爪アームの1つ以上の爪歯は、ノブが係合位置にあるときにリール式閉鎖装置の歯と係合するように構成される。ノブが非係合位置にあるとき、1つ以上の爪歯は、リール式閉鎖装置の歯との係合から外れる。ノブは、一般に、係合位置と非係合位置との間でハウジングに対して軸方向に移動可能である。爪アームの近位端は、典型的には、爪構成要素に固定に結合し、あるいは取り付けられる。爪構成要素は、典型的には、ノブとは別個の構成要素である。
【0006】
[0006]リール式閉鎖装置を組み立てる方法が、ハウジングを得ることと、ハウジング内にスプールを、スプールがハウジング内で回転可能であるように配置することとを含むことができる。本方法は、爪構成要素をハウジングに結合させることと、ノブをハウジングに、ノブがスプールに動作可能に結合するように結合させることとを含むことができる。爪構成要素は、爪構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する1つ以上の爪アームを含むことができる。爪構成要素は、リップまたは壁を含むことができ、爪アームは、爪構成要素のリップまたは壁と係合して、爪構成要素に対する爪アームの半径方向移動を制御する突出部またはタブを含むことができる。
【0007】
[0007]いくつかの場合に、本方法は、爪アームの半径方向外向きの移動によって爪アームの突出部またはタブが爪構成要素のリップまたは壁と係合するように、爪アームの突出部またはタブを爪構成要素のリップまたは壁の半径方向内側に配置することを、さらに含むことができる。本方法は、爪構成要素をノブの下端部へと軸方向に挿入すること、および/またはリール式閉鎖装置を履物に取り付けることをさらに含むことができる。
【0008】
[0008]別の態様によれば、リール式閉鎖装置のためのスプールが、上側フランジと、下側フランジと、上側フランジと下側フランジとの間に形成、配置、または画定される中央本体とを含む。中央本体を、引張部材をスプールが第1の方向に回転するときに中央本体の周囲に巻き付けることができ、スプールが第2の方向に回転するときに中央本体から繰り出すことができるように構成することができる。チャネルまたは凹部が中央本体内に延在する。チャネルまたは凹部は、中央本体の一方側から中央本体の反対側まで中央本体を貫いて延びてよい。スプールの中心軸に直交する平面に沿って取得または観察される中央本体の断面輪郭は、非円形または非対称である。この平面は、スプールの中心軸に沿ったおおむね中央で中央本体と交差してよい。
【0009】
[0009]いくつかの場合、スプールは単一のチャネルまたは凹部を含む。他の場合に、チャネルまたは凹部は第1のチャネルまたは凹部であってよく、スプールは、第2のチャネルまたは凹部を含んでよい。第1のチャネルまたは凹部ならびに第2のチャネルまたは凹部は、スプールの中央開口の両側に位置してよい。スプールの中央本体は、長円形の輪郭を有することができる。中央本体の断面輪郭は、直線状の部分またはセグメントを有してよい。いくつかの場合、直線状の部分またはセグメントは、第1の直線状の部分またはセグメントであり、断面輪郭は、第1の直線状の部分またはセグメントとは別の第2の直線状の部分またはセグメントを有してよい。第2の直線状の部分またはセグメントは、第1の直線状の部分またはセグメントよりも短い長さを有してよい。中央本体の断面輪郭の大部分は、円形であってよい。中央本体の断面輪郭のうちのチャネルに隣接する部分は、三角形の形状を有してよい。
【0010】
[0010]リール式閉鎖装置を組み立てる方法が、上述のような非円形または非対称形状を有するスプールを得ることと、スプールがハウジング内で回転可能であるように、スプールをリール式閉鎖装置のハウジングに挿入することとを含むことができる。本方法は、引張部材をスプールに取り付けるために引張部材をチャネルまたは凹部に結合させることをさらに含むことができる。引張部材をチャネルまたは凹部に結合させることは、引張部材をチャネルまたは凹部を通って挿入し、引張部材に結び目を作り、あるいは引張部材にストッパ構成要素を取り付け、ストッパ構成要素をチャネルまたは凹部へと引き込むことを含むことができる。本方法は、リール式閉鎖装置を履物に取り付けることをさらに含むことができる。
【0011】
[0011]別の態様によれば、リール式閉鎖装置が、ハウジングと、スプールと、ハウジングに回転可能に結合したノブと、ノブの回転によってスプールが締め付け方向に回転するようにノブおよびスプールに動作可能に結合した駆動構成要素とを含む。スプールは、スプールが締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられるチャネルを含む。さらに、スプールは、駆動構成要素の複数の歯と係合するように構成された複数の歯を含む。スプールおよび駆動構成要素の歯は、典型的には、対向する方向に軸方向に延びる。スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の噛合する表面または面の角度が、それぞれの歯の長さに沿って変化している。
【0012】
[0012]スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の噛合する表面または面は、第1の部分または領域と、第2の部分または領域とを含むことができる。第1の部分または領域は、第2の部分または領域に対して傾斜していてよい。例えば、第2の部分または領域は、リール式閉鎖装置の中心軸に対して、第1の部分または領域よりも垂直に配向されていてよい。いくつかの場合、スプールの各々の歯の噛合する表面または面の角度、および駆動構成要素の各々の歯の噛合する表面または面の角度が、スプールおよび駆動構成要素の両者の歯がそれぞれの歯の長さに沿って変化する角度を有するように、それぞれの歯の長さに沿って変化している。
【0013】
[0013]スプールの複数の歯は、スプールの上面に配置されてよく、駆動構成要素の複数の歯は、駆動構成要素の下面に配置されてよい。駆動構成要素は、駆動構成要素の歯がスプールの歯と係合する係合位置と、駆動構成要素の歯がスプールの歯から外れる非係合位置との間を、スプールに対して軸方向に移動可能であってよい。リール式閉鎖装置は、スプールの緩め方向の回転を防止するためにリール式閉鎖装置の歯と係合するように構成された複数の爪をさらに含んでよい。複数の爪の各々の爪は、駆動構成要素に結合した近位端と、1つ以上の爪歯を含む遠位端とを有する爪アームを含んでよい。
【0014】
[0014]リール式閉鎖装置を組み立てる方法が、ハウジングを用意することと、ハウジング内にスプールを配置することと、駆動構成要素をスプールに動作可能に結合させることと、ノブをハウジングに、ノブの回転によってスプールが締め付け方向に回転するように結合させることとを含む。上述のように、スプールまたは駆動構成要素の各々の歯の噛合する表面または面の角度が、それぞれの歯の長さに沿って変化していてよい。本方法は、リール式閉鎖装置を履物に取り付けることをさらに含むことができる。
【0015】
[0015]別の態様によれば、リール式閉鎖装置は、内壁および内壁に形成または画定された複数のチャネルまたは凹部を有するハウジングと、ハウジング内に配置されたスプールと、スプールを締め付け方向に回転させるためにスプールに動作可能に結合したノブとを含む。スプールは、スプールがハウジング内で締め付け方向に回転するときに引張部材が巻き付けられるチャネルを含む。ハウジングの内壁に形成または画定された複数のチャネルまたは凹部は、内壁に沿って軸方向に延在し、隣接するチャネル間に位置する表面を画定する。スプールは、スプールがハウジング内で締め付け方向に回転するときに、少なくとも一時的に、画定された表面のうちの1つ以上に接触する。
【0016】
[0016]ハウジングは、開いた下端を有してよい。そのような場合、各々のチャネルまたは凹部は、ハウジングの開いた下端まで延びてよい。ハウジングは、ハウジングの上部と下部との間の内壁上に形成または画定された環状リブを含んでよい。そのような場合、各々のチャネルまたは凹部は、環状リブまで延びてよい。リール式閉鎖装置は、4~20個のチャネルまたは凹部を含んでよい。さらに、リール式閉鎖装置は、1つ以上の爪を含む爪構成要素を含んでよい。爪構成要素は、スプールの緩め方向の回転を防止するように構成されてよい。リール式閉鎖装置は、スプールの軸方向下方に配置され、ハウジングの下端に解放可能に取り付けることができるベースをさらに含んでよい。
【0017】
[0017]リール式閉鎖装置を組み立てる方法は、内壁と、内壁に形成された複数のチャネルまたは凹部とを有するハウジングを用意することを含む。スプールがハウジング内に配置され、ノブが、ノブの回転によってスプールが締め付け方向に回転するように、ハウジングおよびスプールに動作可能に結合する。上述したように、複数のチャネルまたは凹部は、ハウジングの内壁に沿って軸方向に延在し、隣接するチャネル間に位置する表面を画定する。スプールは、スプールがハウジング内で締め付け方向に回転するときに、少なくとも一時的に、画定された表面のうちの1つ以上に接触する。本方法は、リール式閉鎖装置を履物に取り付けることをさらに含むことができる。
【0018】
[0018]別の態様によれば、リール式閉鎖装置と共に使用されるストラップが、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に位置する中間部と、ストラップの中間部に形成または画定された窓または細長いチャネルとを含む。窓または細長いチャネルを、ストラップの中間部によってリール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、ストラップをリール式閉鎖装置に対して移動させることができるようなやり方で、リール式閉鎖装置に被せて配置することができる。
【0019】
[0019]窓または細長いチャネルは、典型的には、リール式閉鎖装置の長さまたは直径よりも大きい長手方向長さを有する。窓または細長いチャネルは、典型的には、リール式閉鎖装置の幅または直径よりも大きい横方向幅を有する。ストラップは、ストラップの中間部によってリール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、リール式閉鎖装置に対して長手方向に移動可能であってよい。ストラップの中間部を、ストラップの近位端および遠位端に対して補強することができる。特定の場合に、補強材料または補強層を、窓または細長いチャネルあるいは窓または細長いチャネルの付近において、ストラップの中間部に結合させることができる。ストラップの近位端および/または遠位端は、弾性材料または半弾性材料で形成されてよい。ストラップは、ストラップの別のストラップまたは他の材料への締結を可能にする締結機構をさらに備えてもよい。締結機構の具体的な例は、面ファスナ、クランプ、バックル、スナップ、磁気締結具、などを含み、あるいはこれらの組合せを含む。ストラップは、物品を閉じるため、および/または締め付けるために使用されてよい。ストラップにとくに適し得る物品の具体例は、足首装具などの装具である。ストラップを足首装具の下端に取り付けることができる。
【0020】
[0020]装具を製造する方法が、装具を用意することと、リール式閉鎖装置を装具に取り付けることと、ストラップを装具に結合させることとを含む。上述のように、ストラップは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に位置する中間部と、ストラップの中間部に形成または画定された窓または細長いチャネルとを含む。窓または細長いチャネルを、ストラップの中間部によってリール式閉鎖装置を完全に取り囲みつつ、ストラップを装具の周りでリール式閉鎖装置に対して移動させることができるように、リール式閉鎖装置に被せて配置することができる。
【0021】
[0021]特定の場合に、装具は足首装具である。そのような場合、装具にストラップを結合させることは、足首装具が着用者の足の周りに配置されたときにストラップの一部分が着用者の足の下方に位置するように、ストラップを足首装具の下端に取り付けることを含むことができる。
【0022】
[0022]本発明を、添付の図面と併せて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図1B】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図1C】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図2A】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図2B】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図2C】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図2D】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図3A】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図3B】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図3C】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図4】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図5】ひもまたは引張部材を引っ張ることによる物品または他のアイテムの閉鎖および/または締め付けに使用することができるリール式閉鎖装置を示している。
【
図6A】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第1の実施形態を示している。
【
図6B】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第1の実施形態を示している。
【
図6C】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第1の実施形態を示している。
【
図7A】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第2の実施形態を示している。
【
図7B】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第2の実施形態を示している。
【
図7C】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第2の実施形態を示している。
【
図8A】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第3の実施形態を示している。
【
図8B】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第3の実施形態を示している。
【
図8C】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第3の実施形態を示している。
【
図8D】膝蓋骨の周囲に配置することができるペタル構成を含む膝装具の第3の実施形態を示している。
【
図9】膝蓋骨を取り囲んで支持するように構成された膝装具の第4の実施形態を示している。
【
図10A】膝蓋骨の支持および/または緩衝のための支持部材を含む膝装具の第5の実施形態を示している。
【
図10B】膝蓋骨の支持および/または緩衝のための支持部材を含む膝装具の第5の実施形態を示している。
【
図10C】膝蓋骨の支持および/または緩衝のための支持部材を含む膝装具の第5の実施形態を示している。
【
図11A】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の一実施形態を示している。
【
図11B】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の一実施形態を示している。
【
図11C】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の一実施形態を示している。
【
図11D】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の一実施形態を示している。
【
図12A】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12B】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12C】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12D】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12E】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12F】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【
図12G】足首を支持および強化するために足首の周囲に取り付けることができる足首装具の別の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0031]添付の図面において、類似する構成要素および/または特徴は、同じ数字の参照符号を有し得る。さらに、同じ種類の種々の構成要素は、類似する構成要素および/または特徴を区別する文字を参照符号の後ろに続けることによって区別され得る。先頭の数字の参照符号のみが明細書において使用される場合、その説明は、末尾に添えられた文字にかかわらず先頭の数字の参照符号が同一である任意の同様の構成要素および/または特徴にも当てはまる。
【0025】
[0032]以下の説明は、例示的な実施形態を提供するにすぎず、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図していない。むしろ、例示的な実施形態の以下の説明は、1つ以上の例示的な実施形態の実施を可能にする説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置において、さまざまな変更を行うことができると理解される。
【0026】
[0033]
図1A~
図5の実施形態が、ひもまたは引張部材を引っ張ることによって物品または他のアイテムを締め付けるために使用することができるリール式閉鎖装置(以下では、閉鎖システムまたはリール式装置/システム)を提供する。物品は、パック(すなわち、バックパック、ブックバッグ、など)、衣料品(すなわち、帽子、手袋、ベルト、など)、スポーツ衣料品(ブーツ、スノーボードブーツ、スキーブーツ、など)、医療用装具(すなわち、背中装具、膝装具、手首装具、足首装具、など)、ならびに種々の他のアイテムまたは衣料品を含むさまざまなアイテムであってよい。閉鎖システムを使用することができる特定の実施形態は、靴、ブーツ、サンダル、などの履物を含む。
【0027】
[0034]
図1A~
図5を参照すると、靴、ブーツ、または他の履物などの物品を締め付けるために使用することができるリール式閉鎖装置100の実施形態が示されている。さらに、リール式閉鎖装置100を、バックパック、ヘルメット、ジャケット、などの他の履物ではない物品を締め付けるために使用してもよい。リール式閉鎖装置100を、引張部材、コード、ひも、ロープ、などを介して閉鎖および/または締め付けされる本質的にあらゆるものを締め付けるために使用することができる。
図1Aが、リール式閉鎖装置100の組み立て後の図を示す一方で、
図1Bは、リール式閉鎖装置の断面図を示し、
図1Cは、リール式閉鎖装置100の分解斜視図を示している。さまざまな内部構成要素が、
図1Bおよび
図1Cの図に示されている。
【0028】
[0035]リール式閉鎖装置100は、リール式閉鎖装置100の種々の構成要素が配置される内部領域を有するハウジング110を含む。例えば、スプール120が、ハウジング110の内部領域に配置される。スプール120は、引張部材(図示せず)をスプールの周りに巻き付けるためにハウジングの内部領域において第1の方向に回転可能であり、引張部材をスプール120の周囲から繰り出すためにハウジング110の内部領域において第2の方向に回転可能である。スプール120は、典型的には、引張部材が巻き付けられたり、繰り出されたりする環状チャネルまたは中央円柱体を含む。ノブ102が、スプール120およびハウジング110に動作可能に結合する。ノブ102を、スプール120を第1の方向に回転させることによって引張部材をスプール120の周囲に巻き付けるために、ユーザが締め付け方向に回転させることができる。いくつかの実施形態において、ノブを、スプール120を第2の方向に回転させることによって引張部材をスプール120の周囲から繰り出すために、ユーザが緩め方向に回転させることも可能である。締め付け方向は、典型的には、第1の方向(例えば、時計回り)と同じ回転方向であるが、場合によっては、締め付け方向は、第1の方向の反対方向であってもよい。同様に、緩め方向は、典型的には、第2の方向(例えば、反時計回り)と同じ回転方向であるが、場合によっては、緩め方向は、第2の方向とは反対であってもよい。リール式閉鎖装置100の説明の便宜上、以下では、スプール120を、引張部材を巻き取るために締め付け方向に回転可能であり、引張部材を繰り出すために緩め方向に回転可能であるものとして説明する。リール式閉鎖装置100の他の構成要素として、爪ディスク140、座構成要素130(本明細書において、ベース構成要素とも呼ばれる)、およびベース部材104が挙げられる。
【0029】
[0036]ハウジング110を、物品に取り付けることができるベース部材104またはバヨネット(以下では、ベース部材104)内に配置することができる。ハウジング110をベース部材104に結合させるとき、ハウジング110の1対のひもポート112が、ベース部材104の対応する開口部または窓106内に配置される。ひもポート112をベース部材104の開口部106内に配置することにより、リール式閉鎖装置100によりシームレスな外観を持たせることが可能になる。ひもポート112は、引張部材に内部へのアクセスを提供し、引張部材をスプールの周囲に巻き付けること、およびスプールの周囲から繰り出すことが可能であるように、引張部材のスプールへのアクセスを可能にする。さらに、ハウジング110は、ハウジング110の内部領域を取り囲み、内部領域を上部と下部とに仕切る内側環状隆起部116を含む。いくつかの実施形態において、内側環状隆起部116は、ハウジングの下部に配置された構成要素の上部への移動を防止し、ハウジングの上部に配置された構成要素の下部への移動を防止するように機能する。
【0030】
[0037]ハウジング110は、爪ディスク140の1つ以上の歯と係合するように構成された凹部または歯118をさらに含む。歯118は、
図1Cに示されるように、歯118が半径方向内側を向くようにハウジング110の内面に形成されてよい。他の場合に、歯118は、歯118が軸方向上側を向くようにハウジング110の上面に形成されてよい(図示せず)。さらに他の場合に、歯118は、ハウジング110に結合させることができる別個の構成要素(図示せず)に形成されてよい。歯118は、この別個の構成要素上で、必要に応じて軸方向または半径方向を向いてよい。歯118は、三角形の構成を有することができ、あるいは底部構成要素または座構成要素130(以下では、座構成要素130)の歯138と同様の空隙または開口から形成されてよい。
【0031】
[0038]ハウジング110は、ハウジング110とノブ102とのスナップ嵌合結合を可能にする結合機構を含む。一例において、ハウジングの結合機構は、ハウジング110の上面の周りを部分的に、または完全に延びる環状隆起部またはリング114である。ノブ102は、ノブ102をハウジング110に取り付けるために、ハウジングの環状隆起部114をスナップ式で乗り越えるように構成された1つ以上の半径方向内側に突出したタブ103を含む。環状隆起部114は、1つ以上の半径方向内側に突出したタブ103によって定められる内径よりも大きい直径を有する。したがって、ノブ102をハウジング110に軸方向に整列させ、ノブ102をハウジング110の周りで軸方向に下方へと押すと、ノブ102は撓み、あるいは半径方向外側にわずかに曲がり、これにより、ノブ102をハウジング110に対して軸方向下方に移動させることができ、半径方向内側に突出したタブ103を
図1Bに示されるように環状隆起部114の下方に位置させることができる。環状隆起部114の上端部および1つ以上の半径方向内側に突出したタブ103の下端部は、面取りされ、あるいは角度がつけられており、これは、本明細書に記載のとおりのノブ102とハウジング110とのスナップ嵌合結合を助ける。より大きな直径の環状隆起部114は、ノブ102のハウジング110からの分離または脱落を防止する。ノブ102とハウジング110とのスナップ嵌合結合は、ボルト、ねじ、リベット、または他の同様の機械的締結具の使用を必要としないリール式閉鎖装置100の結合を可能にする。ノブ102とハウジング110との結合のさらなる詳細は、2020年5月1日に出願された「Reel Based Closure System」という名称の米国特許出願第16/864,849号に提示されており、その開示の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
[0039]座構成要素130は、スプール120の軸方向下方に配置され、ハウジング110の下端部に解放可能に結合する。座構成要素130は、典型的には、円形ベースと、座構成要素130がハウジング110の下端部に結合したときに円形ベースからハウジング110の内部領域へと軸方向上方に突出する中央ボスまたは突起132とを含む。円形ベースは、座構成要素130がハウジング110に取り付けられたときに、ハウジング110の底面として機能する。円形ベースは、座構成要素130がハウジング110と結合したときに、ハウジング110の下端部が円形ベースによって完全に覆われて閉じられるように、ハウジング110の下端部の開口部と一致する。中央ボス132は、スプール120の開口を通って挿入されるように構成される。さらに、中央ボス132は、爪ディスク140の中央開口142を通って軸方向に挿入可能である。中央ボス132および爪ディスク140は、リール式閉鎖装置100を係合状態および非係合状態に移行させることができるように、動作可能に係合する。
【0033】
[0040]スプール120は、中央ボス132をスプールの中央開口を通って挿入することによって、座構成要素130の周りに回転可能に配置される。スプール120は、無視できる摩擦で中央ボス132の周りをスピンまたは回転することができる。座構成要素130は、ハウジング110の下端部の対応する凹部(図示せず)に位置するように構成された複数の半径方向に延びるフィンガ136を含む。半径方向に延びるフィンガ136を凹部に挿入することで、2つの構成要素の相対回転を防止することによって、座構成要素130はハウジング110に対して回転に関してロックされる。さらに、座構成要素130は、座構成要素130の両側に配置され、座構成要素130をハウジング110に結合させる1対の結合アーム131を含む。結合アーム131は、座構成要素130から半径方向に延び、ハウジング110の下端部に解放可能に係合して、座構成要素130をハウジング110の下端部に解放可能に結合させる。結合アーム131は、座構成要素130をハウジング110の下端部に固定するために、ハウジング110の下縁部の周りで撓み、曲がり、もしくは湾曲し、あるいはハウジング110の下縁部を越えて撓み、曲がり、もしくは湾曲するように構成された上向きに曲がったリップを含む。ハウジング110の下端部は、座構成要素130がハウジング110と結合したときに座構成要素130の下面がハウジング110の下面と整列するように、結合アーム131を配置することができる1対の小さなチャネルを含む。
【0034】
[0041]各々の上向きに曲がったリップは、ハウジング110の外側の小さな凹部に配置されるように設計された半径方向内側を向いた突起を含む。各々の突起を対応する凹部に配置することにより、座構成要素130がハウジング110に固定される。座構成要素130を、突起がハウジングの凹部から外れるように、上向きに曲がったリップを半径方向外側に撓ませ、あるいは曲げることによって、ハウジング110から取り外すことができる。同時に、軸方向下向きの力を座構成要素130に加えて、座構成要素130をハウジング110に対して軸方向下向きに移動させることができる。
【0035】
[0042]爪ディスク140は、典型的には、爪ディスク140の中央本体またはベース146に取り付けられた複数の爪アーム145を含む。図示の実施形態において、爪ディスク140は3つの爪アーム145を含むが、他の実施形態において、爪ディスク140は、必要に応じて、より多数またはより少数の爪アーム145を含んでもよい(例えば、単一の爪アーム、2つの爪アーム、4つの爪アーム、など)。各々の爪アーム145は、それぞれの爪アーム145の近位端において中央本体146に固定に取り付けられる。さらに、各々の爪アーム145は、それぞれの爪アーム145の遠位端に配置された1つ以上の歯144を含む。1つ以上の爪歯144は、ハウジング110に対する爪ディスク140およびスプール120の一方向の回転運動を可能にするために、ラチェット状の様相でハウジング110の歯118と係合するように構成される。1つ以上の爪歯144がハウジングの歯118と係合することで、爪ディスク140およびスプール120のノブ102およびハウジング110に対する回転位置がロックされる。スプール120のハウジング110に対する回転位置は、スプールの歯126と爪ディスクの歯147との係合によってロックされる。各々の爪アーム145は、1つ以上の爪歯144を半径方向外側に付勢して、ハウジング110の歯118に係合させるばね部材として機能する。さらに、爪アーム145は、ハウジング110の歯118と接触するように半径方向外側に撓むことができ、これは、爪ディスク140とハウジング110とのロックされた係合を補強することができる。
【0036】
[0043]爪ディスク140を、ノブ102にスナップ結合させることができる。爪ディスク140をノブ102に結合させるために、ノブは、爪ディスク140の中央本体146とスナップ係合する1つ以上の軸方向に延びるタブ(図示せず)を含むことができる。例えば、ノブの軸方向に延びるタブの遠位端が、爪ディスクの中央本体146の凹部またはポケットに配置されるような形状およびサイズのリップを含むことができる。ノブ102と爪ディスク140とを結合させるために、爪ディスク140をノブ102に軸方向に整列させ、次いで爪ディスク140をノブ102の内部へと軸方向上方に押し、これにより、ノブの軸方向に延びるタブが、半径方向外側へと爪ディスク140の本体の周りに撓む。
【0037】
[0044]爪ディスク140は、スプール120と動作可能に係合し、スプール120の緩め方向の回転を防止する。爪アーム145に作用する引張部材の張力からの力または荷重は、ハウジング110の歯118と係合することによってスプール120の回転を防止する1つ以上の爪歯144に伝達される。さらに、爪ディスク140は、ノブ102が締め付け方向に回転させられるときに爪ディスク140も締め付け方向に回転するように、ノブ102に動作可能に係合する。爪ディスク140を締め付け方向に回転させると、1つ以上の爪歯144が半径方向内側に撓み、歯118との係合から逐次に外れる。爪アーム145は、爪ディスク140の回転が停止し、あるいは爪ディスク140が引張部材の張力によって緩め方向に回転させられるとき、1つ以上の爪歯144を付勢して歯118に再び係合させる。爪ディスク140とスプール120との動作係合により、ノブ102に加えられた回転力がスプール120に伝達され、スプール120をハウジング110内で締め付け方向に回転させる。スプール120が締め付け方向に回転すると、引張部材がスプール120に巻き取られる。
【0038】
[0045]場合によっては、1つ以上の爪歯144は、軸方向に向けられた歯118と係合するように向けられてもよい。そのような実施形態において、1つ以上の爪歯144は、締め付け方向への爪ディスク140の回転に応答して軸方向に変位または移動することができる。
【0039】
[0046]爪ディスク140は、爪ディスク140および/またはノブ102を係合位置および非係合位置の2つの位置のうちの一方に支持することを可能にするようなやり方で、中央ボス132と動作可能に係合する。係合位置において、爪ディスク140および/またはノブ102は、ハウジング110およびスプール120に対して軸方向下方に配置され、本明細書で説明されるように、ノブ102を操作して引張部材を締め付けることを可能にする。
図1Bが、係合位置にある爪ディスク140およびノブ102を示している。非係合位置において、爪ディスク140および/またはノブ102は、ハウジング110およびスプール120に対して軸方向上方に配置され、スプール120が緩め方向に自由に回転して引張部材の張力を自由に緩めることを可能にする。
【0040】
[0047]非係合位置において、スプール120の軸方向に向けられた歯126は、爪ディスク140の軸方向に向けられた歯147から離され、接触していない。スプール120および爪ディスク140の軸方向に向けられた歯126および147が係合していないため、スプール120は、ハウジング110内で緩め方向に自由にスピンまたは回転することができる。非係合位置において、爪ディスク140の1つ以上の爪歯144は、ハウジングの歯118から外れることができ、ノブ102および/または爪ディスク140の緩め方向の回転を可能にすることができる。他の実施形態において、1つ以上の爪歯144は、ハウジングの歯118と係合したままであってもよく、ノブ102および/または爪ディスク140の緩め方向の回転を防止することができる。
【0041】
[0048]いくつかの実施形態において、非係合位置への爪ディスク140の軸方向上方への移動を、ノブ102を軸方向上方に引っ張ることによって達成することができる。ノブ102をハウジング110に対して軸方向上方に移動させると、ノブ102の半径方向内側に突出したタブ103が、ハウジングの環状隆起部114に接触することができる。他の実施形態においては、ノブ102がハウジング110およびスプール120に対して軸方向に不動のままであってよい一方で、爪ディスク140が非係合位置へと軸方向上方に動かされる。そのような実施形態において、爪ディスク140の軸方向上方への移動を、ノブ102を緩め方向に回転させること、ならびに/あるいはレバー、ボタン、クランプ、などの別個の解放機構またはボタンを使用することによって、達成することができる。例えば、爪ディスク140を軸方向上方に移動させるために、ノブ102および/または爪ディスク140は、カム面、傾斜面、またはスロープ面、あるいはノブ102が緩め方向に回転するときに爪ディスク140を軸方向上方に移動させる別の機構を含むことができる。
【0042】
[0049]
図1Bは、爪ディスク140がハウジング110およびスプール120に対して軸方向下方に位置するリール式閉鎖装置100の係合位置を示している。係合位置において、スプールの軸方向に向けられた歯126は、爪ディスクの軸方向に向けられた歯147と係合し、直接接触する。スプール120および爪ディスク140の軸方向に向けられた歯126および147の係合は、爪ディスク140およびスプール120を互いに動作可能にロックし、したがって爪ディスク140が締め付け方向に回転すると、スプール120が締め付け方向に回転する。さらに、スプール120および爪ディスク140は、スプール120が緩め方向に回転すると、爪ディスク140が緩め方向に回転するように、動作可能にロックされる。係合位置において、爪ディスク140の爪145は、ハウジングの歯118と係合し、本明細書で説明されるように、爪ディスク140およびスプール120のハウジング110に対する回転位置をロックする。ノブ102も、係合位置においてハウジング110およびスプール120に対して軸方向下方に配置される。
【0043】
[0050]中央ボス132は、環状突起または部材134を介して爪ディスク140および/またはノブ102を係合位置および非係合位置に支持および維持する。環状部材134は、爪ディスクの中央開口142の直径よりも大きい直径を有し、これにより、環状部材134は、中央ボス132の上端の周囲において爪ディスク140と干渉し、爪ディスク140の軸方向上方および下方への移動を妨げる。環状部材134は、爪ディスク140の軸方向移動を妨げるが、環状部材134は、中央ボス132が半径方向内側に変位でき、あるいは撓むことができるがゆえに、爪ディスク140の軸方向移動を防止しない。具体的には、中央ボス132は、座構成要素130の円形ベースから軸方向上方に延びる1対のフィンガまたは突出部で形成される。1対の突出部は、爪ディスク140が環状部材134に対して軸方向上方および下方に移動するとき、お互いに向かって半径方向内側に撓む。具体的には、爪ディスク140が環状部材134の周りで軸方向上方および下方に移動するとき、環状部材134と爪ディスクの中央開口142との係合が、1対の突出部を内側に撓ませる。1対の突出部は、爪ディスク140が環状部材134の周りで軸方向上方および下方に移動した後に、外側へと弾性的に撓み、未偏向の状態を回復する。動作時、爪ディスクの中央開口142は、爪ディスク140および/またはノブ102を係合位置または非係合位置のいずれかに支持および維持する環状部材134の上方または下方に位置する。
【0044】
[0051]リール式閉鎖装置100は、座構成要素130の1対の突出部を強化および補強するための補強ばね(図示せず)を含んでよい。1対の突出部を補強するために、補強ばねは、座構成要素130の1対の突出部の間の軸方向に延びるすき間に軸方向に挿入される。補強ばねは、ばね鋼または無金属(例えば、PEAK)材料などの可撓な弾性材料で作られる。補強ばねは、爪ディスク140が環状部材134の周りで軸方向上方および下方に移動するときに、1対の突出部の弾性的な偏向を助ける。さらに、補強ばねは、1対の突出部を強化し、リール式閉鎖装置100の長期使用に起因する1対の突出部の塑性変形を防止することができる。
【0045】
[0052]
図1Cに示されるように、座構成要素130は、引張部材の張力が減少するにつれてスプール120の下端部と係合するように構成されたスプール係合機構138を含む。典型的には、スプール係合機構138およびスプール120は、引張部材の張力が公称またはゼロ量の張力などの張力しきい値またはその付近になるまで係合しない。スプール120の下端部とスプール係合機構138との係合は、スプール120の緩め方向の回転を防止する。換言すると、スプール120は、スプール120の下端部がスプール係合機構138に接触および係合するまで、緩め方向に回転可能である。スプール120とスプール係合機構138との係合後に、スプール120の緩め方向の回転は防止される。
【0046】
[0053]一実施形態において、スプール120は、スプール120の底面に配置され、スプール120の底面から軸方向に延びる歯(図示せず)を含む。スプールの歯は、座構成要素の円形ベースに形成された周方向に離間した開口と係合するように構成される。開口は、スプールの歯が周方向に離間した開口と係合することで緩め方向のスプール120の回転が防止されるように、スプール係合機構138(以下では、開口138)として機能する。他の実施形態において、スプール係合機構は、円形ベース上に形成された歯であってもよく、あるいはゴム類のガスケットまたは材料、摩耗材料、粘着性材料、などの他の摩擦構成要素であってもよい。
【0047】
[0054]スプールの歯と開口138とは、引張部材の張力が張力しきい値またはその近くになるまで係合しない。スプールの歯と開口138とが係合するまで、スプール120は、引張部材を引っ張ったり、緩めたりするために、本明細書に記載のように締め付け方向および緩め方向に回転することができる。スプールの歯と開口138との係合後に、スプール120の緩め方向のさらなる回転は、防止または制限される。スプールの歯と開口138との係合および非係合を可能にするために、スプール120は、ハウジング110に対して軸方向上方および下方に移動するように構成される。
【0048】
[0055]スプールの歯126と爪ディスクの歯147との係合は、爪ディスク140が締め付け方向に回転するときに、スプール120を軸方向上方に移動させる。スプールの歯126と爪ディスクの歯147とは、引張部材に或る程度の張力が存在する場合に係合し、なぜならば、張力がスプール120を爪ディスク140に対して緩め方向に回転させようとし、これにより、スプールの歯126が、歯126および147のテーパ/傾斜の形状ゆえに、爪ディスクの歯147に対して軸方向上方に摺動し、爪ディスクの歯147とさらに深く係合するからである。
【0049】
[0056]引張部材の張力が減少するとき、或る時点において張力が張力しきい値を達成し、あるいは超え、これによりスプール120がハウジング110に対して軸方向下方に移動し、スプール120が座構成要素の歯138と接触して係合する。スプール120と座構成要素の歯138との摩擦係合は、スプール120の緩め方向のさらなる回転運動を防止または制限する。スプール120の緩め方向の回転は、ノブ102が緩め方向に回転させられるときでも防止される。スプール120は、爪ディスク140が締め付け方向に回転して、すでに述べたようにスプール120を軸方向上方に移動させるまで、軸方向下方の位置にとどまる。
【0050】
[0057]
図2A~
図2Dが、爪ディスク140をさらに詳細に示している。
図2Aは、軸方向に向けられた歯147を見て取ることができるように、爪ディスク140の下端部を示している。爪アーム145、1つ以上の爪歯144、中央本体146、および中央開口142も、はっきりと見て取ることができる。
図2Aおよび
図2Bにさらに示されるように、爪アーム145の遠位端は、爪アーム145の下面から軸方向下方に、歯147とおおむね同じ方向に延びるクリップまたはタブ148(以下では、クリップ148)を含む。クリップ148は、爪アーム145の遠位端の1つ以上の歯144とは反対側に配置される。クリップ148は、爪ディスク140の中央本体146の外縁に形成された小さなリップまたは壁149(以下では、壁149)と係合するように構成される。壁149を
図2Dにおいて見て取ることができる。
【0051】
[0058]
図2Dに示されるように、クリップ148を、中央本体146の外縁に形成された凹部またはチャネルにおいて、壁149の内面に配置することができる。クリップ148は、壁149とほぼ同じ高さであり、壁149の内面と係合する。クリップ148と壁149との係合は、クリップ148が壁149の半径方向外側に移動するのを防止し、これにより、それぞれの爪アーム145の半径方向外側への移動を抑制する。より具体的には、各々の爪アーム145は、そのそれぞれのクリップ148が中央本体146のそれぞれの壁149に接触して係合するまで、半径方向外側に移動することができる。クリップ148と壁149とが係合すると、それぞれの爪アーム145の半径方向外側へのさらなる移動が防止される。クリップ148および壁149の1つの機能は、爪ディスク140をノブ102およびハウジング110と組み立てるための理想的な向きに爪アーム145を維持することであってよい。クリップ148および壁149の別の機能は、爪ディスク140が非係合位置と係合位置との間を移動または移行するときに、爪ディスクの1つ以上の歯144とハウジングの歯118との再係合を容易にすることであってよい。
【0052】
[0059]クリップ148および壁149は、爪ディスク140がハウジング110内に挿入されて係合位置にあるときに、爪ディスクの1つ以上の歯144がハウジングの歯118と係合するように配置される。換言すると、クリップ148および壁149は、リール式閉鎖装置100の使用中に、爪ディスクの1つ以上の歯144とハウジングの歯118との係合を妨げず、阻止せず、あるいは妨害しない。いくつかの実施形態においては、爪ディスク140がハウジング110およびノブ102と組み立てられた後に、クリップ148と壁149とが係合しなくてもよい。他の実施形態においては、爪ディスク140が前述の非係合位置へと軸方向上方に移動するとき、クリップ148と壁149とが一時的に係合してもよい。そのような実施形態において、クリップ148および壁149は、爪ディスク140とスプール120との係合が外れる際に爪アーム145の半径方向外側への動きを抑制することによって、爪ディスクの1つ以上の歯144とハウジングの歯118との再係合を容易にすることができる。クリップ148および壁149は、爪ディスクの1つ以上の歯144がハウジングの歯118内に容易に摺動または軸方向に移動することを可能にする中央本体146およびハウジング110に対する半径方向の向きに爪アーム145を維持することによって、爪ディスクの1つ以上の歯144とハウジングの歯118との再係合を容易にすることができる。
【0053】
[0060]いくつかの実施形態において、クリップ148の外面または縁部は、クリップ148を半径方向内側に壁149を越えて移動させるのに役立つ面取りされた向きまたは傾斜した向き(
図2Dを参照)を有することができる。そのような実施形態において、壁149の外面は、対応する面取りされた向きまたは傾斜した向きを有することができる。クリップ148は、典型的には、それぞれの爪アーム145の遠位端の本体から半径方向内側に延びるタブまたはナブ上に形成される。半径方向に延びるタブまたはナブ上にクリップ148を配置することにより、爪アーム145の遠位端の半径方向外側への所望の程度の移動を達成することができる。
【0054】
[0061]クリップ148および壁149は、リール式閉鎖装置100において、より強い爪アーム145を使用することを可能にすることができる。より強い爪アーム145を、爪アーム145の壁を厚くすること、より弾性的な材料を使用すること、ならびに/あるいは補強ばねまたは材料を爪アーム145に結合させることによって形成することができる。強化された爪アーム145は、リール式閉鎖装置100が引張部材のより大きな引張荷重を処理し、あるいは受け入れることを可能にすることができる。クリップ148および壁149は、爪ディスク140が係合位置へと移動または移行するときに、強化された爪アーム145が、ハウジングの歯118などのリール式閉鎖装置100を損傷させ、さらには/あるいは爪ディスクの1つ以上の歯144とハウジングの歯118との再係合を妨げるような様相で、外側へと移動し、あるいは跳ねることを、防止することができる。さらに、クリップ148および壁149は、1つ以上の内部構成要素または機構を省略することを可能にすることによって、リール式閉鎖装置100の全高を低減することができる。リール式閉鎖装置100の高さの低減は、リール式閉鎖装置をより多様な用途に使用することを可能にし、さらには/あるいはリール式閉鎖装置100と外部の物体との望ましくない接触を低減することができる。
【0055】
[0062]
図3A~
図3Cが、爪ディスク歯147およびスプール歯126をさらに詳細に示している。
図3Aは、爪ディスク歯147とスプール歯126との係合を示している。爪ディスク歯147および/またはスプール歯126は、対向する方向に軸方向に延在し、爪ディスク140が本明細書に記載の非係合位置と係合位置との間を移動または移行するときの歯の係合を容易にするように設計される。爪ディスク歯147とスプール歯126との容易な係合は、ノブ102がノブ102を或る程度枢動または傾斜させるような様相で外部の物体と接触する場合に重要であり得る。爪ディスク歯147とスプール歯126とが容易に係合できないと、そのような接触によってノブ102が意図せずに上方に移動することで、引張部材の張力が解放される可能性がある。この望ましくない動作(すなわち、引張部材の意図せぬ緩み)を、爪ディスク歯147とスプール歯126とが容易に再係合できる場合、大幅に低減することができる。
【0056】
[0063]爪ディスク歯147とスプール歯126との係合を容易にするために、各々の爪ディスク歯147および/またはスプール歯126の係合または嵌合する表面または面の輪郭または形状は、線形または直線でなくてもよい。むしろ、各々の爪ディスク歯147および/またはスプール歯126の係合する表面または面は、係合する表面のテーパ/勾配または角度が垂直基準線と比較して変化するように構成されてよい。換言すると、各々の爪ディスク歯147および/またはスプール歯126の嵌合する表面または面の角度は、それぞれの歯の軸方向長さに沿って変化する。より具体的には、各々の爪ディスク歯147および/またはスプール歯126の係合する表面/面の遠位部分または先端は、各々の爪ディスク歯147および/またはスプール歯126の係合する表面/面の近位部分と比較して、より垂直に配向されてよい。
【0057】
[0064]
図3Bが、係合する表面または面172を有する例示的な歯170を示しており、係合する表面または面172の角度が、歯170の長さに沿って変化している。歯170は、各々の爪ディスク歯147および/または各々のスプール歯126を代表することができる。図示のとおり、歯170は、遠位部分またはセクション(本明細書において、第2の傾斜部分とも呼ばれる)174と、近位部分またはセクション(本明細書において、第1の傾斜部分とも呼ばれる)176とを含む。垂直基準線と比較した遠位部分174の角度は、同じ垂直基準線と比較した近位部分176の角度とは異なる。より具体的には、遠位部分174は、近位部分176と比較してより垂直な配向を有する。いくつかの実施形態においては、遠位部分174の角度が、垂直基準線と比較して5度未満、4度未満、3度未満、または2度未満であってよい一方で、近位部分176の角度は、垂直基準線と比較して3度より大きく、4度より大きく、5度より大きく、あるいは6度より大きくてよい。遠位部分174の角度が、典型的には1度より大きい一方で、近位部分176の角度は、典型的には15度または10度未満である。図示の実施形態においては、遠位部分174が、垂直基準線と比較して約2.5度の角度を有する一方で、近位部分176は、約6度の角度を有する。
図3Bに示した値が、例示のみを目的としており、所与の用途に応じ、あるいは必要に応じて、変更することができることに留意されたい。したがって、例示した値は、決して本明細書または特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。
【0058】
[0065]遠位部分174は、典型的には、近位部分176よりも長さが小さく、いくつかの実施形態においては、歯170の長さの40%未満、歯170の長さの35%未満、または歯170の長さの30%未満について延びてよい。近位部分176は、必要に応じて、歯170の長さの残りの部分に沿って延びてよい。一実施形態においては、爪ディスク140の歯147のみが、
図3Bに示されるような変化した角度構造を有してもよい。あるいは、他の実施形態においては、スプール120の歯126のみが、
図3Bに示されるような変化した角度構造を有してもよい。他の実施形態においては、爪ディスク140の歯147およびスプール120の歯126の両方が、
図3Bに示されるような変化した角度構造を有してもよい。
【0059】
[0066]両方の歯126および147が変化した角度構造を有する後者の実施形態は、各々の歯のより垂直に配向された先端または遠位端が、歯126および147の再係合または再嵌合を大幅に向上させるため、好ましいかもしれない。各々の歯126および147のより垂直に配向された表面は、爪ディスク140を軸方向上方に移動させてスプール120との係合から外すために必要な力をさらに低減し、各々の歯126および147の面および先端の摩耗を低減する。これらの利点は、歯126および147のサイズを小さくすることを可能にし、リール式閉鎖装置100の全体的なサイズまたは高さを減少させることができる。各々の歯126および147の近位部分の大きな角度は、とくには引張部材の張力が増加するときに、爪ディスク140とスプール120との係合の維持を容易にする。爪ディスク140とスプール120とのこの係合の向上は、引張部材の望ましくない緩みを引き起こしかねない2つの構成要素の係合の偶発的な外れを最小限に抑える。
【0060】
[0067]
図3Cは、上述の変化した角度構造を有するスプール120の歯126を示している。具体的には、各々の歯126が、近位部分、または第1の傾斜部分127aと、遠位部分、または第2の傾斜部分127bとを含み、遠位部分127bが、垂直基準線または平面と比較して、近位部分127aよりも垂直な配向を有する。いくつかの例において、近位部分127aは遠位部分127bに直接当接または接触してよいが、他の例においては、
図3Cの陰になった近位部分127aと遠位部分127bとの間の領域によって示されるように、近位部分127aと遠位部分127bとの間に移行部分またはゾーンが形成されてもよい。
【0061】
[0068]
図4が、ハウジング110の底面斜視図を示している。底面斜視図は、内側環状隆起部116の軸方向下方に位置するハウジング110の下部の内部を示している。図示のように、ハウジング110の下部は、ハウジング壁の内面に形成され、ハウジング壁に沿って軸方向に延びる複数のチャネル、凹部、またはくぼみ113(以下では、チャネル113)を含む。いくつかの実施形態において、チャネル113は、内側環状隆起部116から、開口していてよいハウジング110の下縁または下面まで延びてよい。他の実施形態において、チャネル113は、ハウジング110の一部分のみに沿って延在し、下縁/下面および/または内側環状隆起部116までは延びていなくてもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング110は、4~20個のチャネル113、より一般的には5~12個のチャネル113、最も一般的には6~10個のチャネル113を含んでよい。特定の実施形態において、ハウジング110は、8つまたは9つのチャネル113を含むことができる。
【0062】
[0069]チャネル113は、隣接するチャネル113の間に位置する内側延在面115を定める。内側延在面115は、ハウジング壁に沿って軸方向に延在し、内側環状隆起部116から、開口していてよいハウジング110の下縁または下面まで、完全にまたは部分的に延在してよい。ハウジング壁の内面にチャネル113を形成することにより、引張部材とハウジング110との間の摩擦接触が減少する。具体的には、チャネル113を使用することで、スプール120がハウジングの内部で締め付け方向または緩め方向に回転するときに、引張部材(図示せず)は、ハウジング110の1つ以上の表面115に接触する。スプール120の上部および下部フランジも、スプール120がハウジングの内部で回転するときに、ハウジング壁の1つ以上の表面115に短く接触することができる。チャネル113がハウジング110の内壁へとくぼんでいるため、引張部材またはスプールのフランジは、チャネル113内の材料に接触せず、代わりにハウジング110の1つ以上の表面115上の材料に接触するだけである。このようにして、引張部材またはスプールのフランジとハウジング110の内壁との間の接触が低減され、引張部材またはスプールのフランジに生じる摩擦または抗力が低減される。摩擦または抗力の低減は、入力エネルギーのより多くが引張部材に直接伝達されるため、引張部材がスプール120の周りに巻き付けられるときに引張部材に生じる張力を増加させる。同様に、摩擦または抗力の低減は、引張部材を緩める際に、スプール120からの引張部材のより容易な繰り出しをもたらす。
【0063】
[0070]
図5は、スプール120の上面または下面断面図を示している。スプール120は、引張部材を締め付けたり、緩めたりする際に引張部材が巻き付けられたり、繰り出されたりする中央円柱体125を含む。さらに、スプール120は、スプールの中央円柱体125内に延び、あるいはスプールの中央円柱体125内に定められるチャネルまたは凹部121を含む。チャネルまたは凹部121(以下では、チャネル121)は、典型的には、中央円柱体125の一方側から中央円柱体125の反対側まで中央円柱体125を通って延びる。チャネル121は、スプール120の中央開口の片側に配置される。チャネル121は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Closure System Components for Enabling Easy Attachment of Lace」という名称の2015年1月8日に出願された米国特許出願第62/101,283号にさらに記載されているように、引張部材をスプールに取り付ける際に使用される。
【0064】
[0071]スプール120は、一般に、単一のチャネル121を含むが、いくつかの実施形態において、スプール120は、中央開口の反対側に配置された別のチャネル121を含んでもよい。
図5にさらに示されるように、スプール120の円柱体125は完全には円柱形ではない。むしろ、円柱体125は、
図5のように上面図または底面図からの断面で見ると、より長円形の輪郭を有する。円柱体125のより長円形の輪郭により、スプール120の円柱体125は非対称形状を有する。この形状は、引張部材上の摩耗および/または圧力点を低減し、それにより、長期使用後の引張部材の不具合を低減する。
【0065】
[0072]リール式閉鎖装置100の構成要素のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/101,283号に記載されている。種々の構成要素を、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年5月1日に出願された「Reel Based Closure System」という名称の米国特許出願第16/864,849号に記載されたリール式閉鎖装置と共に使用することができる。
【0066】
[0073]
図6A~
図12Gの実施形態は、四肢を支持して、治癒を促進し、さらには/あるいは四肢に支持および補強を提供するために、四肢の周囲に配置することができる矯正用装具に関する。特定の実施形態において、装具は、脚の周りに配置可能であり、膝の膝蓋骨を支持するように構成された膝装具である。本明細書に記載の実施形態は、単一の締め付け機構を使用して膝蓋骨を中心に保持する。本明細書における実施形態の説明を容易にするために、矯正用装具は、一般に、膝装具と呼ばれる。
【0067】
[0074]本明細書に記載のリール式閉鎖装置に加えて、使用され得る他の締め付け機構として、プルコードシステム、電動システムまたは装置、従来からのひも、あるいはひもまたはコードを引っ張ることができる任意の他のシステムが挙げられる。そのような装置の例示的な実施形態は、2011年4月29日に出願された「Reel Based Lacing System」という名称の米国特許出願第13/098,276号、2014年7月10日に出願された「Closure Devices Including Incremental Release Mechanisms and Methods Therefor」という名称の米国特許出願第14/328,521号、および2009年11月20日に出願された「Reel Based Lacing System」という名称の米国特許出願第12/623,362号にさらに記載されており、これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
[0075]いくつかの実施形態において、膝装具は、膝蓋骨の周りに配置することができるペタル構成を含む。ペタル構成は、複数のくさび形ペタルを含むことができ、ペタルを引っ張って膝蓋骨の周りの膝に接触させることによって膝蓋骨および膝関節を支持するために、ペタルを引き張ることが可能である。
図6A~
図6Cが、ペタル構成を含む膝装具200の第1の実施形態を示している。膝装具200は、装具本体202と、装具本体202に縫合、接着、インサート成形、などによって取り付けられる支持部材210とを有する。支持部材210は、装具本体202に取り付けられると、膝蓋骨を少なくとも部分的に取り囲む開口部204を形成または画定する。図示の実施形態において、支持部材210は、支持部材210に切れ目または不連続部がなく膝蓋骨を完全に取り囲む単一の環状部材である。他の実施形態において、支持部材は、支持部材210が膝蓋骨を取り囲むように装具本体202上に配置される2つ以上のピースから形成されてもよい。
【0069】
[0076]支持部材210は、複数のペタルまたはフィンガ212(以下では、ペタル212)を含み、各々のペタルは、膝または膝蓋骨の中心に向かって径方向内側に突出している。ペタル212は、くさび形の構成要素であってよく、膝を快適にしてクッションを与えるために、膝に接触するペタル212の下側にパッドを有してもよい。隣接するペタル212の間に小さなスリットまたは開口部を形成することにより、複数のペタル212が膝および膝蓋骨の周りに内側へと収縮することを可能にでき、あるいは助けることができる。ペタル212は、ペタルの内部に発泡くさびパッドを有してもよく、これにより、膝蓋骨の周りに快適に圧力を集中させることができる。
【0070】
[0077]ガイド部材214が、ペタル212の各々に動作可能に結合している。ガイド部材214の一例が
図6Bに示されている。図示の実施形態において、ガイド部材214は、各々のペタル212の内側に配置される。他の実施形態において、ガイド部材214は、各々のペタルの外側に配置されてもよく、あるいはガイド部材は、ペタル212に一体化されてもよい。例えば、1つ以上のペタル212を、引張部材が挿入または配置されるチャネルを形成するために、内側にループさせることができる。各々のペタル212が、同じガイド部材構成を有してもよいし、各々のペタル212にガイド部材が異なって配置されてもよい。例えば、1つ以上のペタル212が、内向きのガイド部材214を有してよく、1つ以上のペタル212が、1つ以上の外向きのガイド部材214を有してよく、さらには/あるいは1つ以上のペタルが、一体化されたガイド部材214を有してよい。
【0071】
[0078]リール式閉鎖装置220も、支持部材210に隣接して装具本体202に取り付けられる。いくつかの実施形態において、リール式閉鎖装置220は、リール式閉鎖装置220が支持部材210の垂直上方に位置するように装具本体202上に配置されるが、リール式閉鎖装置220は、必要に応じて他の場所に配置されてもよい。リール式閉鎖装置220は、支持部材210の水平方向の中心に配置されてもよく、あるいは
図6A~
図6Cに示されるように水平方向の中心からオフセットして配置されてもよい。いくつかの実施形態において、リール式閉鎖装置220は、リール式閉鎖装置220が脚の内側部分に近づくように水平方向の中心からオフセットして配置されてもよく、これにより、リール式閉鎖装置220に望ましくない損傷を引き起こす可能性があり、さらには/あるいはリール式閉鎖装置220の望ましくない開放および引張部材の緩みを引き起こす可能性がある外部の物体との接触から、リール式閉鎖装置220を保護することができる。
【0072】
[0079]引張部材またはひもが、リール式閉鎖装置220の動作(例えば、ノブの回転)によって引張部材が引っ張られるように、リール式閉鎖装置220に動作可能に結合する。本明細書で述べられるように、引張部材(図示せず)は、各々のガイド部材の開口部を通って引張部材を挿入するなどにより、各々のガイド部材214と動作可能に結合し、その結果、引張部材を引っ張ることで、ペタル212が膝蓋骨の周囲または周りに内側へと収縮する。引張部材のひも経路は、
図6Cに破線216で示されている。引張部材のひも経路は、膝蓋骨の周りにループまたは円を形成または画定する。引張部材を引っ張ることで、ループまたは円の直径が収縮または減少し、ペタル212が膝の中心に向かって内側に引っ張られる。この作用により、ペタルが膝蓋骨の周りの脚および膝に内向きかつ下向きの圧力を作用させ、膝蓋骨を支持および補強する。ペタル212は、膝蓋骨に接触し、かつ/または膝蓋骨を直接取り囲む組織に接触するように配置されてよい。
【0073】
[0080]
図6Cに示されるように、引張部材のひも経路は、引張部材がリール式閉鎖装置220の近くで自身と交差するように配置されてもよい。他の実施形態において、ひも経路は、ひも経路の全長にわたって自身と交差しなくてもよい。
図6Cに示されるようなひも経路の交差は、ひもシステムに摩擦を導入し、これにより、ガイド部材214における引張部材のずれを抑制することにより、膝蓋骨の周りへの支持部材210の適合および保持を維持することができる。
【0074】
[0081]
図7A~
図7Cが、ペタル構成を含む膝装具240の第2の実施形態を示している。膝装具240は、装具本体242と、装具本体242に縫合、接着、インサート成形、などによって取り付けられる支持部材250とを有する。図示の実施形態において、支持部材250は、膝蓋骨を部分的に取り囲む単一のU字形部材である。U字形の支持部材250は、単一の連続した部材から形成されても、またはU字形の支持部材250を形成するように装具本体242上に配置されて装具本体242に取り付けられる複数のピースから形成されてもよい。他の例において、支持部材250は、支持部材250に切れ目または不連続部がなく膝蓋骨を完全に取り囲むことができる。
【0075】
[0082]支持部材250は、膝蓋骨の上に配置される支持パッド244を部分的にまたは完全に取り囲む。特定の実施形態において、支持パッド244は、膝蓋骨ならびに膝の外側および内側を取り囲むゲルドーナツ状のパッドである。支持部材250は、支持パッド244を部分的にまたは完全に取り囲む。支持部材250は、支持パッド244の上にキャノピー効果をもたらす複数または1組の重なり合うペタルまたはフィンガ(以下では、ペタル)を含む。支持部材250は、ドーナツ状の支持パッド244を含む膝装具にとくに有用であり得る。具体的には、支持部材250は、支持パッド244の基部に配置された第1組のペタル254と、支持パッド244の上に配置された第2組のペタル252とを含む。第1組254および第2組252の各々のペタルは、引張部材222をそれぞれのペタルによって経路に沿って案内または誘導できるように構成される。第1組のペタル254および第2組のペタル252は、ペタルの内側部分に配置され、ペタルの外側部分に配置され、さらには/あるいは前述のようにそれぞれのペタルと一体化されたガイドを含むことができる。引張部材222は、ペタルによって引張部材222をひも経路に沿って誘導または案内できるように、ペタルのそれぞれのガイドを通って挿入されてよい。
【0076】
[0083]第1組254および第2組252の各々のペタルは、膝蓋骨または膝の中心に向かって半径方向内側に突出する。第2組252のペタルは、第1組254のペタルよりもさらに半径方向内側に突出する。この第1組のペタル254および第2組のペタル252は、支持パッド244に内向きかつ下向きの圧力を生じさせ、これが、膝蓋骨および膝に内向きかつ下向きの圧力を生じる。第1組254および第2組252のペタルは、くさび形の構成要素であってよく、必要に応じてペタルの下側にパッドを有してもよい。第1組254および第2組252の隣接するペタルの間に小さなスリットまたは開口部を形成することができ、これは、複数のペタルが支持パッド244の周りで内側へと収縮することを可能にでき、あるいは助けることができる。
【0077】
[0084]リール式閉鎖装置220も、支持部材250に隣接して装具本体242に取り付けられる。いくつかの実施形態において、リール式閉鎖装置220は、リール式閉鎖装置220が支持部材250の垂直上方、かつU字形の支持部材250の両端部の間に位置するように、装具本体242上に配置される。リール式閉鎖装置220は、必要に応じて他の場所に配置されてもよい。リール式閉鎖装置220は、図示のように支持部材250の水平方向の中心に配置されてよい。
【0078】
[0085]引張部材222が、リール式閉鎖装置220の動作(例えば、ノブの回転)によって引張部材が引っ張られるように、リール式閉鎖装置220に動作可能に結合する。引張部材222は、引張部材222によって一続きの経路が形成されるように、各々のペタルに動作可能に結合する。具体的には、リール式閉鎖装置220から始まり、反時計回り方向のひも経路に従って、引張部材は、リール式閉鎖装置220から第2組のペタル252のガイドの各々を通って導かれる。次いで、引張部材222は、第2組252のうちの右上のペタルから、支持パッド244の頂部258を越えて、第1組のペタル254のガイドの各々を通って導かれる。引張部材222は、第1組254のうちの右上のペタルからリール式閉鎖装置220へと導かれる。このようにして、引張部材222は、支持パッド244を完全に取り囲む。引張部材222を引っ張ることで、第1組のペタル254は半径方向内側に収縮し、支持パッド244にほぼ内向きの圧力を発生させる。また、引張部材222を引っ張ることで、第2組のペタル252は半径方向内側に収縮し、支持パッド244に内向きの圧力およびより大きい下向きの圧力を発生させる。支持部材250は、膝蓋骨を支持および補強する。さらに、支持部材250は、単一のリール式閉鎖装置220で二重レベル調整を可能にする。
【0079】
[0086]
図8A~
図8Dが、ペタル構成を含む膝装具300の第3の実施形態を示している。膝装具300は、装具本体302と、装具本体302に縫合、接着、インサート成形、などによって取り付けられる支持部材310とを有する。図示の実施形態において、支持部材310は膝蓋骨を完全に取り巻き、あるいは取り囲んでいるが、他の実施形態において、支持部材310は膝蓋骨を部分的にのみ取り囲んでもよい。支持部材310は、単一の連続した部材から形成されても、装具本体302上に配置されて装具本体302に取り付けられる複数のピースから形成されてもよい。
【0080】
[0087]先行の実施形態と同様に、支持部材310は、膝蓋骨の上に配置される支持パッド(図示せず)を部分的に、または完全に取り囲むことができる。支持パッドは、膝蓋骨ならびに膝の外側および内側を取り囲むゲルドーナツ状のパッドまたは任意の他のパッド付き部材であってよい。場合によっては、膝装具300は、支持パッドを含まなくてもよく、支持部材310は、膝を快適にしてクッションを与えるために、膝蓋骨あるいは脚または膝の他の部分とより直接的に係合してもよい。
【0081】
[0088]支持部材310は、支持パッドまたは膝蓋骨の上にキャノピー効果をもたらす複数のペタルまたはフィンガ312(以下では、ペタル)を含む。隣接するペタル312の間に、ペタル312が支持パッドまたは膝蓋骨の周りで内側に収縮することを可能にし、あるいは補助する開口部が形成される。ペタル312は、膝蓋骨の周りに快適に圧力を集中させることができる内部パッドを含んでよい。各々のペタル312は、引張部材222をそれぞれのペタルによって経路に沿って案内または誘導できるように構成される。ペタル312は、ペタルの内側部分に配置され、ペタルの外側部分に配置され、さらには/あるいは前述のようにそれぞれのペタルに一体化されるガイドを含む。引張部材222は、ペタルによって引張部材222をひも経路に沿って誘導または案内できるように、ペタル312のそれぞれのガイドを通って挿入される。リール式閉鎖装置220を操作する(例えば、ノブを回転させる)ことによって引張部材222が引っ張られると、前述のように、ペタル312は膝蓋骨または支持パッドの周りで内側に収縮する。
【0082】
[0089]リール式閉鎖装置220は、ひも経路の最も上方の位置または場所に配置されてよい。そのような場合、引張部材222は、リール式閉鎖装置220から、リール式閉鎖装置220の両側に配置された隣接するペタル312に直ちに導かれる。引張部材222は、系に一定量の摩擦を導入することが望ましいかどうかに応じて、リール式閉鎖装置220の近くで自身と交差しても、しなくてもよい。引張部材222が自身と交差しない場合、ペタル312は、脚の曲げおよび屈曲などによる膝の動きにより容易に適合することができる。
【0083】
[0090]いくつかの実施形態において、1つ以上のパネルまたはストラップ320(以下では、パネル320)を支持部材310に取り付けることができる。1つ以上のパネル320は、典型的には、支持部材310の1つ以上の側面に取り付けられ、膝または膝蓋骨に所望の力または圧力を導入するように動作可能である。例えば、図示の実施形態において、膝装具300は、支持部材310の両側に取り付けられた2つのパネル320を含む。より具体的には、各々のパネル320の前縁が、縫合、接着、成型、などによって支持部材310に取り付けられる。各々のパネル320の本体は、膝装具300を中心にして移動可能である。例えば、各々のパネル320の前縁は、膝装具300および支持部材310に対するパネル320の唯一の取り外し不能な取り付けであってよい。この結合は、パネル320を前縁の取り付け部を中心に枢動させること、および膝装具300を中心に横方向または後方に引っ張ることを可能にする。
【0084】
[0091]さらに、各々のパネル320は、パネル320を膝装具300の本体に取り付けることを可能にする締結具322を含む。図示の実施形態において、パネル320は、膝装具300の本体に配置された面ファスナ324に締結するように構成された面ファスナ322を含む。他の実施形態において、パネル320は、磁気締結具、バックル、スナップ、クランプ、などの他の締結具を含んでもよい。パネル320は、膝装具300に対して後方に引っ張られ、膝装具の本体に取り付けられるように設計される。この作用は、支持部材310に横方向(すなわち、膝/脚の周りの周方向)の力を加え、これが、支持部材310を引っ張って膝蓋骨との接触を強めることで、膝蓋骨および膝への支持を増す。膝装具300が
図8Cおよび
図8Dに示されるように1対のパネル320を含む場合、1対のパネル320は、膝蓋骨に反対方向の等しい力または圧力を付与することができる。
図8Cおよび
図8Dに示されるようなパネル320の使用は、支持部材310のみの使用によってもたらされる支持と比較して、膝蓋骨への側方支持を増加させることができる。
図8Cおよび
図8Dに示される1対のパネル320によって付与される力または圧力を、脚の後ろに導くことができ、かつ/または膝の周りの下方に導くことができる。
【0085】
[0092]
図8Cおよび
図8Dには1対のパネル320が使用されるものとして示されているが、他の例では、膝装具300が単一のパネル320を含んでもよく、さらには/あるいはパネルが所望に応じて他の場所に配置されてよいことに、留意されたい。例えば、膝装具300は、支持部材310の下方に配置され、足へと向けられた下向きの力を支持部材310に加えるように構成されたパネルを含むことができる。同様に、膝装具300は、支持部材310の上方に配置され、大腿へと向けられた上向きの力を支持部材310に加えるパネル320を含むことができる。いくつかの実施形態において、膝装具は、支持部材310を取り囲み、所望に応じて支持部材310に力を加えるように独立して動作することができる複数のパネル320を含んでもよい。このようにして、膝蓋骨および膝に及ぼされる力または圧力を、所望に応じて変更および/またはカスタマイズすることができる。
【0086】
[0093]
図9が、膝蓋骨または膝支持構成を含む膝装具400の第4の実施形態を示している。膝装具400は、装具本体402と、装具本体402に結合し、前述の支持部材と同様に機能するように配置された複数のストラップ410とを含む。各々のストラップ410は、縫合、接着、インサート成形、などによって装具本体402に取り付けられる近位端を有する。ストラップ410は、ストラップの遠位端が膝蓋骨または膝へと向けられるように配置される。さらに、ストラップ410は、各々のストラップ410の遠位端が円形または楕円形の様相で膝蓋骨を取り巻くように配置される。ストラップ410の各々は、隣接するストラップ410に対して或る角度に向けられてよい。
【0087】
[0094]ひもガイドが、各々のストラップの遠位端に形成され、あるいは取り付けられる。ひもガイドは、前述のように膝蓋骨を取り巻く経路を巡って引張部材222を案内または誘導するように構成される。例えば、各々のストラップ410の遠位端は、引張部材222が挿入されるループを形成するように後方に折り返されてよい。他の実施形態においては、プラスチックガイド構成要素などの別個のガイドが、1つ以上のストラップ410の遠位端に取り付けられてよい。ストラップ410の遠位端にループを形成する利点は、ストラップ410が可撓性であり、脚および膝の形状に適合することができるため、圧力点が排除または低減されることである。
【0088】
[0095]引張部材222は、各々のストラップを通って挿入され、所望に応じてひも経路の最上点または膝装具300の周りの他の場所に配置されてよいリール式閉鎖装置220から導かれる。リール式閉鎖装置220の操作によって引張部材222を引っ張ると、ストラップ410の各々が膝に対して内側に引っ張られ、膝蓋骨および膝への内向きかつわずかに下向きの圧力を生じさせる。この圧力は、膝蓋骨を支持し、さらには/あるいは膝に対するクッションおよび快適性を高めることができる。ストラップ410の使用は、それぞれのストラップ410の近位端で始まり、膝蓋骨に向かって膝を包み込む膝の周りの「包む」力を生み出すことができる。いくつかの実施形態においては、1つ以上のストラップ410または各々のストラップ410が、快適性を高め、かつ/または脚および膝の周りの所望の位置に圧力をもたらすパッドまたはクッションを、内面上に含むことができる。ストラップ410の数および位置を、脚および膝に所望の力または圧力を付与するように変えることができる。同様に、ストラップ410の長さおよび幅を、脚および膝に所望の力または圧力を生じさせるように変えることができる。
【0089】
[0096]
図10A~
図10Cが、膝蓋骨および膝の支持および/または緩衝のための支持部材510を含む膝装具500の第5の実施形態を示している。膝装具500は、装具本体502とリール式閉鎖装置220とを含む。リール式閉鎖装置220は、装具本体502に取り付けられ、装具本体502の外面に配置される。リール式閉鎖装置220は、前述のようにひも経路の最上点に配置されてよく、あるいは必要に応じて装具本体502および膝装具500の他の場所に配置されてよい。
【0090】
[0097]
図10Bおよび
図10Cを参照すると、膝装具500の内部の図が、例えば裏返しになるように膝装具を反転させることによって示されている。先行の実施形態とは対照的に、支持部材510は、膝装具500の内部に配置される。したがって、支持部材510とリール式閉鎖装置220とが、膝装具500の反対の表面に配置される。支持部材510は、膝装具500の内部に配置され、膝蓋骨を部分的に、または完全に取り囲む。リール式閉鎖装置220は、支持部材510を膝蓋骨の周りに収縮させることによって膝蓋骨および膝を支持および/または緩衝するように引っ張ることができる引張部材222に動作可能に結合する。引張部材222は、着用者の皮膚に接触せず、膝装具500の外部から見えないように、支持部材510の内部を導かれる。引張部材を、1つ以上のクッション部材またはパッド512(以下では、パッド512)に結合させてもよい。
【0091】
[0098]いくつかの実施形態において、パッド512は、膝蓋骨の周りで引張部材222を誘導または案内するガイドを含み、あるいはそのようなガイドとして機能する。他の実施形態では、引張部材222を引っ張ることでパッド512が支持部材510内で移動または摺動して膝蓋骨の周りに収縮するように、引張部材222を1つ以上のパッド512片に取り付けることができる。特定の実施形態において、パッド512は、くさび形であり、互いに重なって摺動するように構成された2つのパッド片を含む。くさびが互いに重なって摺動すると、支持部材510内の材料の体積が増加するため、膝蓋骨または膝に加わる下向きの力が増加する。例えば、パッド512は、上向きの1つのU字形くさび片および下向きの1つのU字くさび片と重なる2つのU字形くさびを含んでよい。対向するU字形くさび片が互いに重なって摺動すると、膝蓋骨および膝の周りに下向きの圧力が生じる。
【0092】
[0099]リール式閉鎖装置220の動作によって引張部材222が引っ張られると、支持部材510が内側に収縮することによって膝蓋骨および膝に内向きかつわずかに下向きの圧力が加わり、膝蓋骨および膝を支持および/または緩衝する。
図10A~
図10Cの膝装具500は、支持部材510を膝の上に直接配置することができ、膝装具500の外側材料層を下向きおよび内向きに押す必要がないため、膝蓋骨により直接的な力を加えることを可能にすることができる。さらに、
図10A~
図10Cの膝装具500は、支持部材510および引張部材222が外観から隠されているため、より望ましい視覚的訴求力を提供することができる。
【0093】
[0100]さらなる膝蓋骨の支持の考え方が、図面の付録に示される。これらのシステムの各々は、膝蓋骨および膝に支持および/または緩衝力を付与するように動作することができるリール式閉鎖装置および引張部材を含む。種々の構成要素の配置および向きは、支持部材または膝蓋骨支持構成要素の動作および機能と同様に、付録の種々の実施形態の外観検査によって容易に明らかである。出願人は、将来の出願において種々の実施形態の特徴を記載する権利を留保し、実施形態の外観検査で容易に明らかになる特徴の説明は新規事項を構成しないと認識される。
【0094】
[0101]
図11A~
図11Dを参照すると、足首の周りに装着されて足首を支持および強化することができる足首装具600の実施形態が示されている。足首装具600は、着用者の足の両側に位置するように設計された外側610および内側620を有する装具本体602を含む。外側610および内側620は、典型的には、着用者の脚の後ろに位置する後部に沿い、かつ着用者の足の下方に位置する下部に沿って取り付けられる。外側610および内側620は、典型的には、前部に沿っては取り付けられず、したがって、足首装具600を開いて着用者の足の周りに取り付けることが可能である。
【0095】
[0102]さらに、足首装具600は、足の周りで足首装具600を閉じ、足首装具を快適な支持の様相で足に固定するように設計された一次閉鎖システムおよび二次閉鎖システムを含む。一次閉鎖システムは、リール式閉鎖装置220と、引張部材222と、足首装具600に沿った経路を巡って引張部材222を案内または誘導する複数のガイドとを備え、あるいはこれらで構成される。これらの構成要素は、本明細書に記載のやり方で機能する。リール式閉鎖装置220は、
図11A~
図11Dに示されるように足首装具の上部またはカフの近くに配置されてよく、あるいは必要に応じて足首装具600の周りの他の場所に配置されてよい。
【0096】
[0103]二次閉鎖システムは、着用者によって足首装具600の周りに巻き付けられて固定されてよい1つ以上のストラップ604からなる。一次閉鎖システムが、着用者の下腿の周りの足首装具600の全体的な閉鎖および適合などの第1の種類の閉鎖を提供することができる一方で、二次閉鎖システムは、足の周りの足首装具600の確実な適合などの第2の種類の閉鎖を提供する。
【0097】
[0104]
図11Bは、装具本体602の外側610および内側620が容易に明らかになるように、装具本体602から切り離されたストラップ604を示している。外側610は、着用者の足の周りで外側610、より具体的には外側の縁部を安定させるスタビライザ(輪郭で示されている)を含む。スタビライザは、足首装具600が閉じられて足の周りに締め付けられるとき、および足首装具600が着用されるときに、外側610の座屈を低減する。スタビライザは、ループ状布帛の1つ以上の層および織布ポリマー(TPU)裏地などの材料の複数の層を含んでもよい。
図11Cに示されるように、内側620も、着用者の足の周りで装具本体602の内側620を安定させるスタビライザ(輪郭で示されている)を含む。特定の実施形態において、内側620は、
図11Cに示されるように、1対のスタビライザを含む。内側620のスタビライザは、別個または独立したパネルまたは部材であり、或る程度までお互いに対して移動可能である。別個の可動スタビライザ部材を使用することにより、中足部の周りのより良好な適合および調和を達成することが可能になる。内側620のスタビライザは、ループ状布帛の1つ以上の層および織布ポリマー(TPU)裏地などの複数の材料層を含んでもよい。
【0098】
[0105]外側610および/または内側620のスタビライザを、着用者の足の形状およびサイズに適合するように形作ることができる。スタビライザは、或る程度の適合性または弾力性を提供しながら、ほぼ静的な支持システムを提供する。
図11Dに示されるように、1つ以上のガイドが、外側610および/または内側620のスタビライザに恒久的または取り外し可能に結合する。外側610は、上部ガイド612と、1対の下部ガイド614および616とを含む。上部ガイド612が、内側の上部ガイド626と中間ガイド627との間で引張部材222を案内または誘導する一方で、下部ガイド614および616は、内側の中間ガイド627と下部ガイド628との間で引張部材222を案内または誘導するように協働して機能する。協働して機能する下部ガイド614および616の使用は、引張部材が180度以上導かれるときに引張部材222の張力を緩和し、装具本体602の外側610の底部の座屈を低減する。上部ガイド626および中間ガイド627が、内側620の上部スタビライザに取り付けられる一方で、下部ガイド628は、内側620の下部スタビライザに取り付けられる。
【0099】
[0106]引張部材222を引っ張ることにより、外側610および内側620がお互いに向かって引っ張られ、着用者の足首の周りで足首装具600を収縮させる。次いで、ストラップ604を装具本体602の周りに巻き付け、着用者の好みに応じて互いに固定することができる。ストラップ604を、面ファスナ、クランプ、バックル、スナップ、磁気締結を介し、あるいは任意の他の機構締結手段を使用して固定することができる。
【0100】
[0107]
図12A~
図12Gが、足首を支持および強化するために足首の周りに適合させることができる足首装具700の別の実施形態を示している。足首装具700は、着用者の足の両側に位置するように設計された外側および内側を有する装具本体702を含む。外側および内側は、典型的には、着用者の脚の後ろに位置する後部に沿い、かつ着用者の足の下方に位置する下部に沿って取り付けられる。外側および内側は、典型的には、前部に沿っては取り付けられず、したがって、足首装具700を開いて着用者の足の周りに取り付けることが可能である。
【0101】
[0108]足首装具700は、足の周りで足首装具700を閉じ、足首装具を快適な支持の様相で足に固定するように設計された一次閉鎖システム(例えば、リール式閉鎖装置220、引張部材222、およびガイド)および二次閉鎖システム(例えば、1つ以上のストラップ)を含む。リール式閉鎖装置220は、足首装具の上部またはカフの近くに配置されてよく、あるいは必要に応じて足首装具700の周りの他の場所に配置されてよい。特定の実施形態において、リール式閉鎖装置220は、
図12Bに示されるように、外側の中間点の近く、または引張部材222のひも経路の中間点の近くに配置される。このようにリール式閉鎖装置220を配置することにより、より均一な適合を提供し、ひも経路の周りの引張部材222の望ましくないずれまたは移動を低減することができる。ひも経路の中間点へのリール式閉鎖装置220の配置は、本明細書で以下に説明されるようにダイヤルストラップ720を使用することによって可能になる。一次閉鎖システムが、着用者の下腿の周りの足首装具700の全体的な閉鎖および適合などの第1の種類の閉鎖を提供することができる一方で、二次閉鎖システムは、足の周りの足首装具700の確実な適合などの第2の種類の閉鎖を提供する。
【0102】
[0109]
図12Bは、装具本体702の外側および内側がより容易に明らかになるように、装具本体702から分離された1対のストラップ720および730を示している。外側は、着用者の足の周りで外側、より具体的には外側の縁部を安定させるスタビライザ(輪郭で示されている)を含む。スタビライザは、足首装具700が閉じられて足の周りに締め付けられるとき、および足首装具700が着用されるときに、外側の座屈を低減する。スタビライザは、ループ状布帛の1つ以上の層および織布ポリマー(TPU)裏地などの材料の複数の層を含んでもよい。
【0103】
[0110]
図12Cに示されるように、内側も、着用者の足の周りで装具本体702の内側を安定させるスタビライザ(輪郭で示されている)を含む。特定の実施形態において、内側は、
図12Cに示されるように、1対のスタビライザを含む。内側のスタビライザは、別個または独立したパネルまたは部材であり、或る程度までお互いに対して移動可能である。別個の可動スタビライザ部材を使用することにより、中足部の周りのより良好な適合および調和を達成することが可能になる。内側のスタビライザは、ループ状布帛の1つ以上の層および織布ポリマー(TPU)裏地などの複数の材料層を含んでもよい。
【0104】
[0111]外側および/または内側のスタビライザを、着用者の足の形状およびサイズに適合するように形作ることができる。スタビライザは、或る程度の適合性または弾力性を提供しながら、ほぼ静的な支持システムを提供する。
図12Bおよび
図12Cに示されるように、1つ以上のガイドが、外側および/または内側のスタビライザに恒久的または取り外し可能に結合する。図示の実施形態において、外側は3つのガイド706を含み、1つのガイドはリール式閉鎖装置220の上方に配置され、2つのガイドはリール式閉鎖装置220の下方に配置される。内側は4つのガイド710を含み、3つの上部ガイド710が上部スタビライザに取り付けられ、最も下方のガイド710は下部スタビライザに取り付けられる。3つの外側ガイド706および4つの内側ガイド710の配置は、一様かつ均一な適合の達成を可能にする。
【0105】
[0112]いくつかの実施形態において、上部スタビライザは、上部712および下部714に分けられてよく、両者は2つの部分の間の溝またはチャネルによってわずかに分離されてよい。上部ガイドを上部712および下部714に分けることにより、上部スタビライザを着用者の脚の形状によりよく適合させて調整することが可能になる。下部スタビライザ716は、上部スタビライザとは別個であり、上部スタビライザとは無関係に移動させ、ずらし、調整することが可能であり、これにより、とくには中足部の周りで、より良好な適合および装着が可能になる。下部スタビライザ716の材料は、パネルの縁部への圧力を低減するために下側において先細りであってもよい。
【0106】
[0113]
図12Dおよび
図12Eに示されるように、いくつかの実施形態において、上部外側ガイド706は、解放可能なガイドであってもよく、これは、引張部材222がガイド706から取り外されてもよいことを意味する。ガイド706は、引張部材222をガイド706に定められたチャネルに迅速に出し入れできるようにする開いた後端を含む。引張部材222をガイド706のチャネルに出し入れすることで、足首装具700の張力を迅速に調整することが可能になり、着用者の足の周りの足首装具700の着脱が容易になる。
図12Dが、ガイド706のチャネル内に位置する引張部材222を示す一方で、
図12Eは、ガイド706から取り外された引張部材222を示している。
【0107】
[0114]ダイヤルストラップ720が
図12Fに示されている。ダイヤルストラップ720は、リール式閉鎖装置220を収容するように設計された窓または細長いチャネル724(以下では、細長いチャネル724)を有する中央セクションまたは本体722を含む。具体的には、細長いチャネル724は、リール式閉鎖装置220の幅よりもわずかに広い幅を有し、それにより、リール式閉鎖装置220がダイヤルストラップ720の細長いチャネル724内に配置された状態で、ダイヤルストラップ720をリール式閉鎖装置220に被せて配置することができる。さらに、細長いチャネル724は、リール式閉鎖装置220が細長いチャネル724内に位置しているときに、ダイヤルストラップ720が長手方向にスライドまたは移動することを可能にする長手方向長さを有する。このようにして、足首装具700上のリール式閉鎖装置220の位置が、足首装具700の周りのダイヤルストラップ720の配置および/または閉鎖を妨げることがない。さらに、ダイヤルストラップ720における細長いチャネル724の使用は、足首装具700の周りのダイヤルストラップ720の配置および閉鎖に悪影響を及ぼすことなく、リール式閉鎖装置220をひも経路の中間点または中間点付近に配置することを可能にする。いくつかの実施形態において、ダイヤルストラップ720の本体722は、ダイヤルストラップ720の残りの部分と比較して補強され、これにより、細長いチャネル724またはその近傍におけるダイヤルストラップ720の破損が低減または防止される。補強材料または補強層を、本体722を補強するために、細長いチャネル724またはその付近においてダイヤルストラップ720に結合させることができる。
【0108】
[0115]
図12Gが、足首装具700の周りに巻き付けられ、リール式閉鎖装置220に被せて装着または配置されたダイヤルストラップ720を示しており、リール式閉鎖装置220がダイヤルストラップの本体722の細長いチャネル724に位置している。さらに、
図12Gは、二次ストラップ730が足首装具700の周りにダイヤルストラップ720を覆って巻き付けられることを示している。二次ストラップ730の遠位端732は、足首装具700の外側の上縁または上端付近に取り付けられる。二次ストラップ730の遠位端732は、ダイヤルストラップ720の遠位端を覆って配置されてよく、ダイヤルストラップ720を装具本体702にしっかりと保持でき、あるいはダイヤルストラップ720の装具本体702への取り付けを補強することができる。場合によっては、二次ストラップ730が最初に足首装具700の周りに巻き付けられ、その後にダイヤルストラップ720が二次ストラップ730の上に巻き付けられるように、ダイヤルストラップ720および二次ストラップ730の巻き付けを逆にしてもよい。
【0109】
[0116]二次ストラップ730および/またはダイヤルストラップ720は、弾性または半弾性材料で形成されてよく、あるいはこれらのストラップの一方または両方が非弾性材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ダイヤルストラップ720および二次ストラップ730は、同じストラップの反対向きの端部または部分である。ダイヤルストラップ720および/または二次ストラップ730を、着用者の足またはその下方に位置するように足首装具700に結合させることができる。
【0110】
[0117]引張部材222を引っ張ることにより、外側および内側がお互いに向かって引っ張られ、着用者の足首の周りで足首装具700を収縮させる。次いで、ダイヤルストラップ720および二次ストラップ730を装具本体702の周りに巻き付け、着用者の好みに応じて互いに固定することができる。ストラップ720および730を、面ファスナ、クランプ、バックル、スナップ、磁気締結を介し、あるいは任意の他の機構締結手段を使用して固定することができる。
【0111】
[0118]さまざまな構成要素のいくつかの実施形態および配置が本明細書に記載されているが、さまざまな実施形態に記載されたさまざまな構成要素および/または構成要素の組合せは、修正、再配置、変更、調整、などが可能であることを理解されたい。例えば、記載された実施形態のいずれかにおける構成要素の配置は、調整または再配置されてもよく、かつ/または、さまざまな記載された構成要素は、それらが現在記載または採用されていない実施形態のいずれかにおいて採用されてもよい。したがって、さまざまな実施形態が、本明細書に記載の特定の配置および/または構成要素の構造に限定されないことを理解されたい。
【0112】
[0119]さらに、本明細書に開示された特徴および要素の任意の実行可能な組合せも、開示されていると見なされることを理解されたい。さらに、或る特徴が本開示の或る実施形態に関して説明されていないときはいつでも、当業者は、本発明のいくつかの実施形態が、そのような特徴を暗黙的かつ具体的に除外することができ、したがって否定的な特許請求の範囲の限定をサポートすることに気付くべきである。
【0113】
[0120]いくつかの実施形態を説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、さまざまな修正、代替構成、および均等物を使用することができることが、当業者によって認識されるであろう。さらに、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかの周知のプロセスおよび要素は説明されていない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0114】
[0121]値の範囲が提示される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各々の値も、文脈上明確に指示されない限りは下限の単位の10分の1まで、具体的に開示されていると理解される。記載された範囲内の任意の記載された値または介在する値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間のより小さい各範囲が包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲に含まれても、除外されてもよく、これらのより小さい範囲に限界のいずれかが含まれ、どちらも含まれず、あるいは両方が含まれる各範囲もまた、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外した範囲も含まれる。
【0115】
[0122]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「一プロセス(a process)」への言及は、複数のそのようなプロセスを含み、「装置(the device)」への言及は、1つ以上の装置およびその当業者に知られた均等物への言及を含み、以下同様である。
【0116】
[0123]また、「・・・を備える(comprise)」、「・・・を備えている(comprising)」、「・・・を含む(include)」、「・・・を含んでいる(including)」、および「・・・を含む(includes)」という用語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される場合、記載された特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を指定することを意図しているが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を排除するものではない。
【国際調査報告】