(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリマー組成物中の配合活性薬剤および製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/59 20170101AFI20241219BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20241219BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20241219BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20241219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241219BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20241219BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K47/59
A61K31/155
A61L29/06
A61L29/16
A61K45/00
A61K9/20
A61P31/04
A61P7/02
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539745
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022082235
(87)【国際公開番号】W WO2023129866
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TELEFLEX MEDICAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】グプタ ニシャ
(72)【発明者】
【氏名】セクリスト ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】マルチーズ エリック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA51
4C076AA62
4C076CC31
4C076EE22
4C076EE26
4C076EE49
4C076FF70
4C076GG07
4C081AC08
4C081CA21
4C081CE01
4C084AA17
4C084AA18
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA34
4C084MA36
4C084ZA541
4C084ZA542
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB351
4C084ZB352
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA31
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA54
4C206MA56
4C206ZA54
4C206ZB11
4C206ZB35
(57)【要約】
活性薬剤成分(API)を熱可塑性ポリマーと一体化する方法において、熱可塑性ポリマーおよびAPIを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給し、または、熱可塑性ポリマーを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給し、熱可塑性ポリマーを加熱状態の多軸スクリュー押出機に沿って運搬する一方で、熱可塑性ポリマーを熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱し、APIを加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせる。配合混合物を加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出しそして空冷装置により冷却して配合混合物が開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬剤成分(API)を熱可塑性ポリマーと一体化する方法であって、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記APIを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
または、前記熱可塑性ポリマーを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを加熱された前記多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを前記熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップを含み、
前記第2の供給ポートは、前記APIを前記加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して前記溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、
前記配合混合物を前記加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップを含み、
前記押し出された配合混合物を空冷装置に通して前記押し出された配合混合物を冷却し、前記押し出された配合混合物が前記開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第2の供給ポートは、前記多軸スクリュー押出機の長さに沿って少なくとも半分のところに配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記空冷装置は、毎秒2~20メートルの流速で空気の流れを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記配合混合物をコンベヤベルトで前記出口から運び出すステップと、
前記配合混合物に接触している前記コンベヤベルトおよび空気のうち少なくとも一方をチルドプラテンで冷却することによって前記配合混合物を冷却するステップとをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記冷却された配合混合物をペレット化し、その結果、ペレットが前記開始API含有量のうちの85~100%を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定した抗菌薬、抗血栓薬および/また抗炎症薬である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したビグアナイド剤の塩である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したクロルヘキシジンの塩である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したアレキシジンの塩である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリマーは、5~40%吸水率の親水性ポリウレタンポリマーを含む、請求項1~10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
医療器具であって、
請求項1~11のうちいずれか一に記載の方法によって活性薬剤成分(API)のバルク分布を呈する配合された熱可塑性ポリマーを含む、医療器具。
【請求項13】
APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーをさらに含み、前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記APIを含まない前記第2の熱可塑性ポリマーと同時押し出し成形される、請求項12記載の医療器具。
【請求項14】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の内側部分上に押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の外側部分上に押し出される、請求項13記載の医療器具。
【請求項15】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るために観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項13記載の医療器具。
【請求項16】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るために観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項13記載の医療器具。
【請求項17】
医療器具であって、
活性薬剤成分(API)と一体化された熱可塑性ポリマーを含み、前記APIを前記熱可塑性ポリマーと一体化する方法は、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記APIを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
または、前記熱可塑性ポリマーを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを加熱された前記多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを前記熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップを含み、
前記第2の供給ポートは、前記APIを前記加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して前記溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、
前記配合混合物を前記加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップを含み、
前記押し出された配合混合物を空冷装置に通して前記押し出された配合混合物を冷却し、前記押し出された配合混合物が前記開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップを含む、医療器具。
【請求項18】
前記第2の供給ポートは、前記多軸スクリュー押出機の長さに沿って少なくとも半分のところに配置されている、請求項17記載の医療器具。
【請求項19】
前記空冷装置は、毎秒2~20メートルの流速で空気の流れを提供する、請求項17記載の医療器具。
【請求項20】
前記配合混合物を前記出口から運び出すコンベヤベルトと、
前記配合混合物に接触している前記コンベヤベルトおよび空気のうち少なくとも一方を冷却することによって前記配合混合物の冷却を容易にするよう構成されたチルドプラテンとをさらに有する、請求項17記載の医療器具。
【請求項21】
前記冷却された配合混合物をペレット化し、その結果、ペレットが前記開始API含有量のうちの85~100%を含有する、請求項17記載の医療器具。
【請求項22】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定した抗菌薬、抗血栓薬および/また抗炎症薬である、請求項17記載の医療器具。
【請求項23】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したビグアナイド剤の塩である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したクロルヘキシジンの塩である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したアレキシジンの塩である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、請求項17記載の方法。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマーは、5~40%吸水率の親水性ポリウレタンポリマーを含む、請求項17記載の方法。
【請求項28】
第2の熱可塑性ポリマーをさらに含む、請求項17記載の医療器具。
【請求項29】
APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーをさらに含み、前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記APIを含まない前記第2の熱可塑性ポリマーと同時押し出し成形される、請求項28記載の医療器具。
【請求項30】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の内側部分上に押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の外側部分上に押し出される、請求項28記載の医療器具。
【請求項31】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るための観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項28記載の医療器具。
【請求項32】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るための観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項28記載の医療器具。
【請求項33】
前記医療器具は、カテーテルである、請求項17~32のうちいずれか一に記載の医療器具。
【請求項34】
前記カテーテルは、治療、栄養摂取、流体のドレナージ、血液ガスモニタリング、採血および他の介入的医療処置のためのアクセスを提供するために体腔中に挿入される、請求項33記載の医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、抗菌性、抗血栓性、および/または抗炎症性を有する医療器具用の配合ポリウレタン組成物に関する。特に、本発明は、抗菌性、抗血栓性、および/または抗炎症性を有する医療器具用の溶融状態の加工可能なポリウレタン組成物に関する。
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年12月30日に出願された米国特許仮出願第63/295,132号の権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0002】
医療器具は、外科的処置を受けた患者のケアや治療を容易にするために常用されている。かかる器具の例としては、カテーテル、グラフト、ステント、縫合糸等が挙げられる。残念ながら、細菌、真菌のような微生物がこれら医療器具に浸潤し、かつ/あるいは医療器具上に生物膜(バイオフィルム)を形成する場合があり、かかる生物膜は、処理するのが困難な場合がある。かかる汚染の結果として、感染が起こるとともに、不快感または疾患が生じる場合がある。
【0003】
一般に、種々の医療器具において、抗菌性を備えた医療器具を使用すると、患者の感染の発生率を減少させることができるということが知られている。典型的には、抗菌薬が従来型医療器具に被膜として被着され、あるいは従来型医療器具を抗菌薬の溶液に浸漬させることによって抗菌薬がこの医療器具中に注入される。抗菌薬を医療器具に導入するこれら従来方法や他の方法では、この余分な被覆又は浸漬ステップは、時間がかかるとともに、コストが増大する。
【0004】
ステップの追加および生産時間の増加に加えて、被覆又は浸漬は、医療器具のベース材料中に比較的高い抗生物質濃度を達成することができない。所要時間が数時間という比較的短期の手技では、この比較的低い抗生物質濃度で十分であると言える。しかしながら、数日にわたって続く長期の手技に関し、従来型器具中に存在する抗生物質は不十分な場合がある。それ故、これら従来型器具は、抗生物質が有効レベルを下回ると頻繁に交換されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本明細書において説明した欠点を少なくともある程度は解決することができる抗菌性医療器具および抗菌薬を医療器具に導入する方法を提供することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記要望は、一観点において、医療器具向きにポリマーが活性薬剤成分(API)と配合され、そしてポリマーとAPIを配合する方法を提供する本発明によって、大幅に満たされる。
【0007】
本発明の一実施形態は、活性薬剤成分(API)を熱可塑性ポリマーと一体化する方法に関する。本方法は、熱可塑性ポリマーおよびAPIを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップ、または、熱可塑性ポリマーを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップと、熱可塑性ポリマーを加熱された多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップと、熱可塑性ポリマーを熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップとを含み、第2の供給ポートは、APIを加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、本方法は、配合混合物を加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップと、押し出された配合混合物を空冷装置に通して押し出された配合混合物を冷却し、押し出された配合混合物が開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップとをさらに含む。
【0008】
本発明のもう1つの実施形態は、医療器具に関する。医療器具は、活性薬剤成分(API)と一体化された熱可塑性ポリマーを含む。APIを熱可塑性ポリマーと一体化する方法は、熱可塑性ポリマーおよびAPIを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップ、または、熱可塑性ポリマーを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップと、熱可塑性ポリマーを加熱された多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップと、熱可塑性ポリマーを熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップとを含み、第2の供給ポートは、APIを加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量の85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、本方法は、配合混合物を加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップと、押し出された配合混合物を空冷装置に通して押し出された配合混合物を冷却し、押し出された配合混合物が開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップとをさらに含む。
【0009】
かくして、本発明を良く理解することができるようにするために、また、本技術分野に対する本発明の貢献を良く認識することができるようにするために、本発明のある幾つかの実施形態をかなりおおざっぱに概要説明した。当然のことながら、以下において説明し、また、本明細書に添付された特許請求の範囲の主題をなす本発明の追加の実施形態がある。
【0010】
この点に関し、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が以下の説明に記載し、または図示するコンポーネントの構成および配置の細部に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、説明する実施形態に加えて諸実施形態をとることができ、しかも、種々の仕方で具体化して実施できる。なお、本明細書ならびに要約書で用いる語句および用語は、本発明の説明を目的としているのであって、本発明を限定するものと見なされるべきではないこともまた、理解されるべきである。
【0011】
それ故、当業者であれば、本発明が立脚する技術的思想は、本発明の幾つかの目的を達成する他の構造、方法およびシステムを設計する基礎として容易に利用できることを理解するであろう。したがって、重要なこととして、請求項の記載は、これらが本発明の真の精神および範囲から逸脱しない限り、かかる均等構成を含むものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】サーモポリマーを活性薬剤成分(API)と配合するシステムの略図である。
【
図2】API含有量と樹脂の構成の関係を表すグラフ図である。
【
図4】API含有量と樹脂の構成の関係を表すグラフ図である。
【
図8】10分間かけて210℃の温度に加熱されたクロルヘキシジンジアセテート(CHA)の280nmの波長での分析値を示す高速液体クロマトグラフ図である。
【
図9】加熱しなかったCHAの280nmの波長での分析値を示す高速液体クロマトグラフ図である。
【
図10】10分間かけて210℃の温度に加熱されたクロルヘキシジンジヒドロクロリド(CHD)の280nmの波長での分析値を示す高速液体クロマトグラフ図である。
【
図11】加熱しなかったCHDの280nmの波長での分析値を示す高速液体クロマトグラフ図である。
【
図12】本発明の一実施形態としての押出機および空冷装置の単純化された図である。
【
図13】配合および水冷後における実際のAPI百分率と互いに異なるポリマー調合物の関係を示すプロット図である。
【
図14】配合および空冷後におけるAPI百分率のプロット図である。
【
図15】配合および空冷後におけるAPI百分率のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、活性薬剤成分(API)をポリマー中に配合するシステムおよび装置を提供する。APIの実施例は、活性抗菌薬、抗血栓薬、抗炎症薬などを含む。適当な抗菌薬の特定の実施例としては、ビグアナイド、例えばクロルヘキシジンやアレキシジンが挙げられる。適当なポリマーの例としては、溶融温度が160℃~280℃の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
【0014】
APIを押出機、例えば2軸または多軸スクリュー押出機内で配合する際、熱可塑性ポリマーをポリマーの溶融温度まで加熱する。いったん溶融すると、ポリマーは、この温度が凝固温度に下がるまで溶融状態のままである。ポリマーに応じて、これら状態を分ける幾つかの数℃が存在する場合がある。本明細書において説明するように、APIをポリマー入口から下流側に導入する。この作用により、ポリマーを溶融温度まで積極的に加熱していないスクリュー押出機の部分でAPIを溶融ポリマーに導入し、押出機の上流側部分よりも低温になり得るという利点がある。加うるに、APIを短い持続時間にわたって溶融ポリマーの高くなった温度に当てることによって、APIの熱的劣化が低くなる場合がある。
【0015】
配合ポリマーおよびAPIを徹底的な混合および押し出し後に迅速に冷却する。しかしながら、驚くべきこととして、幾つかの水による冷却方法により、配合ポリマーからAPIがかなり失われる場合のあることが判明した。本開示の目的上、APIの相当な損失は、15%以上のAPIの損失である。失われたAPIの追加のコストに加えて、ポリマーに追加されるAPIの初期量を増大させると、悪影響、例えばAPIの濁り、結晶化などが生じる場合がある。例えば、水が冷却のために用いられる場合、APIの相当な損失を防ぐために暴露時間を最小限に抑える必要がある。変形例として、有利には、十分な空冷量の使用により、配合ポリマー中のAPIを保持した状態で、同一の冷却性能が得られるということが判明した。
【0016】
図1は、サーモポリマーを活性薬剤成分(API)と配合するシステム10の略図である。
図1に示すように、システム10は、本体14、内部スクリュー(図示せず)を回転させるためのモーター16、およびヒータ18を備えた押出機12を含む。本体14は、ポリマー22を導入するための第1のポート20を有する。本体14は、API26を導入するための第2のポート24を有する。図示のように、API26は、第1のポート20およびヒータ18から下流側に導入される。幾つかの実施例では、第2のポート24は、本体14の長さに沿って少なくとも半分のところに設けられている。
【0017】
ポリマー22およびAPI26の配合用混合物は、この配合用混合物が混合されながら出口28に向かって押される。いったん混合されて出口28から押し出されると、配合混合物30は、空冷装置32を経て冷却される。幾つかの実施例では、空冷装置32は、1つ以上の空気リングを有する。他の実施例では、空冷装置32は、1つ以上のファンを有する。オプションとして、システム10は、配合混合物30を出口28から運搬するコンベアベルト34を含むのがよい。チルドプラテン36がコンベアベルト34を冷却し、それにより配合混合物30の冷却を促進するよう構成されているのがよい。種々の実施例では、コンベアベルト34は、熱伝導性材料、例えばステンレス鋼からなるのがよい。チルドプラテン36は、冷水または冷却剤の流れのための管類を有してもよく、あるいは、チルドプラテン36は、冷却を可能にするよう圧電チラーを有してもよい。
【0018】
幾つかの実施例では、配合混合物30は、医療器具、例えば、医療用管類、ステント、カテーテルの形態に押し出される。他の実施例では、配合混合物30は、ペレットの状態に加工され、さらに、医療器具の形態に加工される。
【0019】
特に、本発明は、医療器具であって、この医療器具は、臨床適応ために体内に留まる期間にわたって医療器具から放出されるAPIに起因して、医療器具が長期間抗菌効果、抗血栓効果および抗炎症効果を与えることができるようにする材料で構成され、この医療器具は、抗菌性ビグアナイド薬(クロルヘキシジン、アレキシジン、オクテニジン)や親水性材料、例えばPEGを含むポリエーテルポリウレタンまたはポリエーテルブロックアミド材料を医療器具からの抗菌薬の放出を促進するバルク器具ポリマーマトリックス中に入れ込んで1つにする方法を用いることによって構成されることを特徴とする医療器具に関する。
【0020】
ポリマーは、芳香族ポリウレタン(Tecothane、Isoplast)、および脂肪族ポリウレタン(例えばTecoflex、Carbothane、Quadrathane)であり、抗菌薬は、クロルヘキシジン、アレキシジン、オクテニジン、および親水性ポリマー(例えば、PEBAX (登録商標)=ポリエーテルブロックアミド(共重合体)材料、Tecophillic(登録商標)=PEGをポリオールとするポリエーテルポリウレタン)である。長期間にわたって抗菌薬の制御された放出を可能にする以下の組み合わせのうちの1つで構成されたポリマーマトリックスからなる器具が提供される。適当な配合ポリウレタンAPI混合物の幾つかの実施例としては、脂肪族ポリウレタン+抗菌薬+ポリエーテルブロックアミド、芳香族ポリウレタン+抗菌薬+ポリエーテルブロックアミド、脂肪族ポリカーボネートポリウレタン+抗菌薬+ポリエーテルブロックアミド、芳香族ポリカーボネートポリウレタン+抗菌薬+ポリエーテルブロックアミド、および芳香族ポリカーボネートシリコーンポリウレタン+抗菌薬+ポリエーテルブロックアミドが挙げられる。
【0021】
本発明の配合混合物用の適当な医療器具は、体内の血管または腔と接触するようになっているのがよい。適当なポリマーの例は、溶融温度が200℃を超えるバルク分散抗菌配合物を含む芳香族または脂肪族ポリウレタンであるのがよく、抗菌薬の量は、0.5~15.0wt/wt%であり、バルク分散親水性ポリマーが5~35wt/wt%で器具による吸湿という結果をもたらし、その結果、器具からの抗血栓効果と抗菌効果の両方が得られる。抗菌薬としては、溶融温度が200℃を超える抗菌薬のビグアナイドクラス、例えばCHX‐DH(クロルヘキシジンジヒドロクロライド)や、ALX‐DH(アレキシジンジヒドロクロライド)が挙げられる。抗菌薬は、好ましくは、安定したままであって200℃未満の温度では劣化しない抗菌薬のビグアナイドクラスを含む。
【0022】
配合APIの溶出速度を制御するため、バルク分布親水性ポリマーは、好ましくは、少なくとも15~50%の吸湿率を有し、その結果、器具から5~35%の吸湿率が得られる。このように、医療器具は、APIの全投入量のうちの少なくとも1%のAPIの放出を容易にする。好ましい実施例では、医療器具は温度を200℃未満に維持する配合プロセスを用いて構成される。
【0023】
本明細書において説明するように、配合プロセスは、水を排除する冷却剤またはプロセスを含む。本明細書において説明するように、配合混合物を冷やすために水を使用すると、その結果として、配合混合物からAPIのうちの約50%が失われる。したがって、空冷は、押出物を冷却して医療器具の形態にし、またはペレットの状態に切断するのに有利である温度に冷却するための好ましい手段またはプロセスである。
【0024】
実施例1:Tecothane+ALX+PEBAX(0%、20%、40%)‐調合組成物、含有量、溶出量、抗菌有効性
Tecothaneポリウレタン材料を5%アレキシジンと配合し、次に押し出しを行って7フレンチ3‐ルーメンカテーテルを形成し、そして、かかる材料を含有量、溶出量、および有効性について検査した。アレキシジン含有量は、結果として、887μg/cmであった。これらカテーテルを抗菌効果の有無について検査すると、性能がよくなく、その理由として、溶出量が低かったからである。アレキシジン溶出を促進するため、親水性材料、すなわちPEBAX を20%および40%の比率割合で配合プロセス中に添加した。
図2は、ブレンドの各々の含有量を示している。
図3は、溶出試験の結果を示している。20%および40%のPEBAX を添加すると、アレキシジンの溶出速度を促進させたという結果が得られた。表1は、C. albicans、E. faecalis、K. pneumoniaeに対する有効性検査の結果を示しており、20%および40%が14日目のチャレンジに4logよりも大きな減少率を示した。
表1‐Tecothane+ALX+PEBAX (20%および40%)で構成された押出物の外面の抗菌有効性
【0025】
実施例2:Tecoflex+ALX+PEBAX(0%、20%)‐調合組成物、含有量、溶出量、抗菌有効性
Tecoflexポリウレタン材料を2.5%アレキシジンおよび20%PEBAXと配合し、次に、押し出しを行って7フレンチ3‐ルーメンカテーテルを形成し、そして、かかる材料を含有量、溶出量、および有効性について検査した。含有量の結果が
図4に示され、溶出量の結果が
図5に示され、有効性の結果が表2に示されている。表2の結果は、このカテーテルが試験した8種類の微生物全てにおいて少なくとも4log
10の減少を示した。
表2‐Tecoflex+5%ALX+20%PEBAXで構成された押出物の外面の抗菌有効性
【0026】
実施例3:Pellethane+ALX(2%、3%)+PEBAX(0%、20%)‐調合組成物、含有量、溶出量、抗菌有効性
Pellethaneポリウレタン材料を2%または3%アレキシジン、および20%PEBAX と配合し、次に、押し出しを行って単一ルーメンカテーテル延長ライン押出物を形成するとともに、含有量、溶出量、および有効性について試験した。含有量の結果が
図6に示され、溶出量の結果が
図7に示され、有効性の結果が表3に示されている。表3の結果は、有効性が結果として、3つの微生物のうちの3つについて少なくとも4log
10の死滅をもたらしたことを示している。
表3‐Pellethane+2%または3%ALX+20%PEBAXで構成された押出物の外面の抗菌有効性
【0027】
実施例4:CHA(クロルヘキシジンジアセテート)、CHD(クロルヘキシジンジヒドロクロライド)およびALX-D(アレキシジンジヒドロクロライド)の熱的安定性評価
抗菌薬を10分間にわたり210℃に設定されたオーブン中に導入した(抗菌薬が配合および押出プロセス中に熱にさらされる模倣状態においた)。同一抗菌薬のもう1つの組を熱には全く当てなかった。次に、加熱しなかったサンプルと加熱したサンプルを分解物(余分なピーク)が存在しているかどうかについてHPLC方法により調べた。CHAおよびCHDの結果が
図8、
図9、
図10、および
図11に示されている。
図8のCHA結果は、加熱したサンプルのものであり、加熱しなかったサンプルである
図9と比較すると、ベースラインに沿って検出された分解物から数個の余分なピークが存在した。
図10と
図11は、それぞれCHDの加熱したサンプルと加熱しなかったサンプルであるが、いずれのサンプルにも余分なピークは存在せず、CHDの熱安定性を示しており、したがって、配合プロセスを通じて器具に含めるのに適している。CHDと同様、ALX-Dもまた、10分間にわたり210℃で安定していたことが判明するとともに、配合プロセス中、器具内に含まれるのに適当であることが判明した。
【0028】
実施例5:配合プロセス中における冷却
ポリウレタンポリマー中へのAPIの配合は、外部ベンダーで行われた。このベンダーは、通常の配合手順を用いるとともに、水面下ペレット化セットアップを用いた。
図12に示すように、この結果、ポリマーマトリックス中に入れられた薬剤のうち約50%が失われた。
【0029】
実施例6:空冷装置
この実施例では、水タンクをなくし、そして複数の空気リングで押出物を冷却することによって、配合ポリマーからのAPIの溶脱量を減少させた。第1の実験では、2つの空気リングを用いて押出物を冷却したが、押出物は、ペレタイザー内で切れるのに足る程冷却されなかった。次の実験では、より多くの空気リングをベースおよびジグに追加し、空気リングの配置を適当な距離に合わせて調整することができた。この実験における開始%アレキシジンは、3%であった。
図12は、空気リングのセットアップを示している。
【0030】
図12に示すように、配合混合物30を押出機12から押し出す。この実施例では、空冷装置32は、可調式ジグ42に設けられていて、空気供給源44経由で加圧空気を提供する一連の空気リング40である。いったん冷却されると、配合混合物30はペレタイザー46中に供給される。ペレタイザー46は、配合混合物を切断してこれをペレット50の状態に形成するよう構成されている。かかる結果は、空気リングの実施後、水冷方法で観察された50%の損失と比較して、アレキシジンの損失を20%に減少させた。
【0031】
実施例7:押出機内のAPIの供給位置
アレキシジンをポリウレタン中に配合する時点における本発明者の先の試みでは、ベースポリウレタン樹脂、親水性樹脂、およびアレキシジンを同一の供給口中に供給していた。このやり方の結果として、粉末のうちの何割かがスクリュー上にケークとなって付着して、コンパウンダを通って樹脂と一緒に流れなかった。この問題を解決するため、アレキシジンをポリマー供給口の下流側でポリマーのメルト流中に導入した。これにより、押出プロセスによるAPIの損失測定値を減少させるのに役立つことが確かであった。
図14は、測定API%が配合プロセス中の10%理論%と15%理論%との間であることを示すグラフ図である。
【0032】
実施例8:押出機の金属表面上におけるAPI堆積を減少させるためのイオナイザの使用
アレキシジン損失の減少にあたって、幾つかの改善が配合プロセスで観察されたが、アレキシジンがフィーダおよび供給口の金属部分にくっつくという問題は依然としてあり、しかも、アレキシジンがポリマーのバルク中に良好には分布しなかったということが観察された。この問題を解決するため、イオナイザを押出機に取り付けて静電気をなくすことができるとともに、アレキシジンが金属部分にくっつくのを阻止した。含有量の小規模な増加がイオナイザを用いた場合に観察された。これが起こった理由は、ファンがアレキシジンを空気中にエアロゾル化することができたからである。
【0033】
本発明の多くの特徴および多くの利点は、詳細な説明から明らかであり、かくして、本発明の真の精神および範囲に属する本発明のかかる全ての特徴および利点を含むことが特許請求の範囲によって意図されている。さらに、多くの改造例および変形例が当業者には容易に想到されるので、本発明を図示するとともに説明した構成および作業そのものに限定することは望ましくなく、したがって、本発明の範囲に属する全ての適当な改造例および均等例が想到できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬剤成分(API)を熱可塑性ポリマーと一体化する方法であって、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記APIを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
または、前記熱可塑性ポリマーを多軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを加熱された前記多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを前記熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップを含み、
前記第2の供給ポートは、前記APIを前記加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して前記溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、
前記配合混合物を前記加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップを含み、
前記押し出された配合混合物を空冷装置に通して前記押し出された配合混合物を冷却し、前記押し出された配合混合物が前記開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第2の供給ポートは、前記多軸スクリュー押出機の長さに沿って少なくとも半分のところに配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記空冷装置は、毎秒2~20メートルの流速で空気の流れを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記配合混合物をコンベヤベルトで前記出口から運び出すステップと、
前記配合混合物に接触している前記コンベヤベルトおよび空気のうち少なくとも一方をチルドプラテンで冷却することによって前記配合混合物を冷却するステップとをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記冷却された配合混合物をペレット化し、その結果、ペレットが前記開始API含有量のうちの85~100%を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定した抗菌薬、抗血栓薬および/また抗炎症薬である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したビグアナイド剤の塩である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したクロルヘキシジンの塩である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したアレキシジンの塩である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリマーは、5~40%吸水率の親水性ポリウレタンポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
医療器具であって、
請求項1~11のうちいずれか一に記載の方法によって活性薬剤成分(API)のバルク分布を呈する配合された熱可塑性ポリマーを含む、医療器具。
【請求項13】
APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーをさらに含み、前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記APIを含まない前記第2の熱可塑性ポリマーと同時押し出し成形される、請求項12記載の医療器具。
【請求項14】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の内側部分上に押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の外側部分上に押し出される、請求項13記載の医療器具。
【請求項15】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るために観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項13記載の医療器具。
【請求項16】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るために観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項13記載の医療器具。
【請求項17】
医療器具であって、
活性薬剤成分(API)と一体化された熱可塑性ポリマーを含み、前記APIを前記熱可塑性ポリマーと一体化する方法は、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記APIを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
または、前記熱可塑性ポリマーを二軸スクリュー押出機の第1の供給ポート中に供給するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを加熱された前記多軸スクリュー押出機に沿って運搬するステップを含み、
前記熱可塑性ポリマーを前記熱可塑性ポリマーが第2の供給ポートを過ぎて運搬される前に160℃~280℃の溶融温度に加熱するステップを含み、
前記第2の供給ポートは、前記APIを前記加熱された多軸スクリュー押出機中に供給して前記溶融状態の熱可塑性ポリマーと混合し、それにより開始API含有量のうちの85~100%を含有した配合混合物を生じさせ、
前記配合混合物を前記加熱された多軸スクリュー押出機の出口から押し出すステップを含み、
前記押し出された配合混合物を空冷装置に通して前記押し出された配合混合物を冷却し、前記押し出された配合混合物が前記開始API含有量のうちの85~100%を含有するようにするステップを含む、医療器具。
【請求項18】
前記第2の供給ポートは、前記多軸スクリュー押出機の長さに沿って少なくとも半分のところに配置されている、請求項17記載の医療器具。
【請求項19】
前記空冷装置は、毎秒2~20メートルの流速で空気の流れを提供する、請求項17記載の医療器具。
【請求項20】
前記配合混合物を前記出口から運び出すコンベヤベルトと、
前記配合混合物に接触している前記コンベヤベルトおよび空気のうち少なくとも一方を冷却することによって前記配合混合物の冷却を容易にするよう構成されたチルドプラテンとをさらに有する、請求項17記載の医療器具。
【請求項21】
前記冷却された配合混合物をペレット化し、その結果、ペレットが前記開始API含有量のうちの85~100%を含有する、請求項17記載の医療器具。
【請求項22】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定した抗菌薬、抗血栓薬および/また抗炎症薬である、請求項17記載の医療器具。
【請求項23】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したビグアナイド剤の塩である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したクロルヘキシジンの塩である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記APIは、200℃~280℃の温度範囲では熱的に安定したアレキシジンの塩である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、請求項17記載の方法。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマーは、5~40%吸水率の親水性ポリウレタンポリマーを含む、請求項17記載の方法。
【請求項28】
第2の熱可塑性ポリマーをさらに含む、請求項17記載の医療器具。
【請求項29】
APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーをさらに含み、前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記APIを含まない前記第2の熱可塑性ポリマーと同時押し出し成形される、請求項28記載の医療器具。
【請求項30】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の内側部分上に押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の外側部分上に押し出される、請求項28記載の医療器具。
【請求項31】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の長手方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るための観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項28記載の医療器具。
【請求項32】
前記バルク分布APIを含む配合熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第1の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、前記医療器具の第2の軸方向部分に沿って押し出され、前記APIを含まない第2の熱可塑性ポリマーは、ユーザが前記医療器具の内部を見るための観察ポートとなるよう透明に構成されている、請求項28記載の医療器具。
【請求項33】
前記医療器具は、カテーテルである、請求項17~32のうちいずれか一に記載の医療器具。
【請求項34】
前記カテーテルは、治療、栄養摂取、流体のドレナージ、血液ガスモニタリング、採血および他の介入的医療処置のためのアクセスを提供するために体腔中に挿入される、請求項33記載の医療器具。
【国際調査報告】