(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ用天然ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 7/00 20060101AFI20241219BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20241219BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20241219BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20241219BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08L7/00
C08L15/00
C08L9/00
C08K3/36
B60C1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539782
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2022082519
(87)【国際公開番号】W WO2023129997
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コクシス,ローラ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,セス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ジェイミー・リン
(72)【発明者】
【氏名】バガット,ヴルシャリ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シャオユー
(72)【発明者】
【氏名】アフメド,シャミー
(72)【発明者】
【氏名】曽根 遼大
(72)【発明者】
【氏名】サラマント,ウォルター エー.
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA06
3D131AA11
3D131AA14
3D131AA15
3D131AA19
3D131BA02
3D131BA04
3D131BA05
3D131BB03
3D131BB04
3D131BB05
3D131BB07
3D131BB18
3D131LA28
4J002AC011
4J002AC033
4J002AC083
4J002AC112
4J002AC113
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
【解決手段】 (a)天然ゴム、(b)官能化合成ポリイソプレン、及び(c)任意選択的にブタジエン系合成ゴムを含むゴム構成成分と、シリカ充填剤と、硬化剤と、を含む加硫性ゴム組成物が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫性ゴム組成物であって、
(i)(a)天然ゴム、(b)官能化合成ポリイソプレン、及び(c)任意選択的にブタジエン系合成ゴムを含むゴム構成成分と、
(ii)シリカ充填剤と、
(iii)硬化剤と、を含む、加硫性ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム構成成分は、天然ゴム、官能化合成ポリイソプレン、及びブタジエン系合成ゴムを含む、請求項1に記載の加硫性組成物。
【請求項3】
前記加硫性組成物は、前記加硫性ゴム組成物の総重量に基づいて、約20~約90重量パーセントの前記ゴム構成成分を含む、請求項1又は2に記載の加硫性組成物。
【請求項4】
前記ゴム構成成分は、前記ゴム構成成分の総重量に基づいて、約40~約90重量パーセントの前記天然ゴムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項5】
前記ゴム構成成分は、前記ゴム構成成分の総重量に基づいて、約10~約40重量パーセントの前記官能化合成ポリイソプレンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項6】
前記ゴム構成成分は、前記ゴム構成成分の総重量に基づいて、約0~約40重量パーセントの前記ブタジエン系合成ゴムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項7】
前記ブタジエン系ゴムは、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、又はそれらの組み合わせである、請求項1~6のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項8】
前記ブタジエン系ゴムは官能化ブタジエン系ゴムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項9】
前記ブタジエン系ゴムは、90kg/モル超の数平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項10】
前記官能化合成ポリイソプレンは、シリカ相互作用基を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項11】
前記官能化合成ポリイソプレンは、アルコキシシラン基を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項12】
前記官能化合成ポリイソプレンは、約100~約500kg/モルのベース数平均分子量を有する合成ポリイソプレンから調製される、請求項1~11のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項13】
前記官能化合成ポリイソプレンは、約100~約600kg/モルのベース重量平均分子量を有する合成ポリイソプレンから調製される、請求項1~12のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項14】
前記組成物は、30分を超えるt90を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項15】
前記組成物は、前記ゴム構成成分100重量部当たり約5~約80重量部のシリカ充填剤を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項16】
前記加硫性組成物は、シリカカップリング剤を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の加硫性組成物から調製された加硫物。
【請求項18】
前記加硫物は、重車両用タイヤの部品である、請求項17に記載の加硫物。
【請求項19】
前記加硫物は、重車両用タイヤのトレッド又はアンダートレッドである、請求項17又は18に記載の加硫物。
【請求項20】
前記重車両用タイヤはオフロード用タイヤである、請求項17~19のいずれか一項に記載の加硫物。
【請求項21】
前記重車両用タイヤは、少なくとも17.5インチの直径を有する、請求項17~20のいずれか一項に記載の加硫物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気入りタイヤ用ゴム組成物、特にポリイソプレン系ゴム配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ゴムなどのポリイソプレンゴムは、空気入りタイヤの部品の製造に使用されることが多い。比較的高レベルの天然ゴムを含むタイヤトレッドなどのタイヤ部品は、典型的には、良好な引張特性、高い引裂強度、並びに耐衝撃性及び耐摩耗性を特徴とする。これらの有利な特性の1つ以上は、天然ゴムが歪み誘起結晶化を受けるという事実に由来すると考えられる。結果として、天然ゴムは有利にも、例えばトラック用タイヤ、バス用タイヤ、地下鉄用タイヤ、トラクタートレーラー用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用タイヤ、アースムーバー用タイヤ、及び他のオフロード(off-the-road、OTR)用タイヤなどの重車両用タイヤの部品に、比較的大量に使用されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つ以上の実施形態は、(a)天然ゴム、(b)官能化合成ポリイソプレン、及び(c)任意選択的にブタジエン系合成ゴムを含むゴム構成成分と、シリカ充填剤と、硬化剤と、を含む加硫性ゴム組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の実施形態は、少なくとも部分的に、改善された特性を有する加硫ゴム構成成分を調製するのに有用な天然ゴムベースのシリカ充填加硫性組成物の発見に基づく。1つ以上の実施形態では、天然ゴムベースのシリカ充填加硫性組成物は、シリカ相互作用官能基を有する合成ポリイソプレンを含む。シリカ強化材はゴム構成成分、特にタイヤトレッドにおいて有用であることが証明されているが、有用な強化材はシリカと相互作用するように適合された合成ポリマーの使用を必要とする。天然ゴムは、シリカと反応するように容易には改質されず、したがって、天然ゴム組成物は、典型的にはシリカで強化されない。更に、天然ゴム相は、加硫性組成物において天然ゴムと共にしばしば使用されるほとんどのブタジエン系合成ゴムから分離することが観察されている。したがって、これらの天然ゴムドメインは、シリカ充填配合物中でポリマーと充填剤との相互作用を欠く。合成ポリイソプレンはこれらのゴム配合物中の天然ゴムドメインと混和性があり、シリカ相互作用官能基を有する合成ポリイソプレンはシリカ充填配合物内のこれらのドメインにポリマー-充填剤相互作用を付与することが今や観察されている。結果として、本発明は、予想外に改善された特性を有するシリカ充填天然ゴム加硫物を提供する。これらの予想外の特性は、ポリマー-シリカ相互作用によって実現される特性を含むだけでなく、有利な引張強度、引裂強度、耐摩耗性、及び耐衝撃性のうちの少なくとも1つを含む、天然ゴムから典型的に得られる特性も含む。したがって、本発明の実施形態は、オフロードラジアルタイヤ用のトレッドを含む、これらの特性の全体的なバランスから利益を得る加硫物に関する。
【0005】
天然ゴムベースの加硫性組成物
上記のように、本発明の加硫物は、単に加硫性組成物と呼ばれることもある天然ゴムベースの加硫性組成物から調製される。1つ以上の実施形態によれば、天然ゴムベースの加硫性組成物は、(i)天然ゴム、(ii)シリカ相互作用官能基を有する合成ポリイソプレン、及び(iii)任意選択的に合成ブタジエン系ゴムを含む加硫性ゴム構成成分を含む。加硫性組成物はまた、シリカ充填剤及び加硫剤も含む。更に、本発明の加硫性組成物はまた、有用な加硫性組成物中に含まれ得る他の成分、例えば、限定されないが、シリカ充填剤及びポリマーを連結するためのカップリング剤、シリカ以外の充填剤、ステアリン酸、金属化合物、例えば、酸化亜鉛又は誘導体酸化亜鉛、加工油及び/又はエクステンダー油、樹脂、蝋、硬化促進剤、スコーチ防止剤、劣化防止剤、酸化防止剤、並びに当該技術分野において公知の他のゴム配合添加剤を含んでもよい。
【0006】
加硫性ゴム構成成分
上記のように、加硫性ゴム構成成分は、(i)天然ゴム、(ii)シリカ相互作用官能基を有する合成ポリイソプレン、及び(iii)任意選択的に合成ブタジエン系ゴムを含む。
【0007】
1つ以上の実施形態において、天然ゴムベースの加硫性組成物の加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、40重量%超、他の実施形態においては50重量%超、また他の実施形態においては55重量%超の天然ゴムを含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、90重量%未満、他の実施形態においては80重量%未満、また他の実施形態においては75重量%未満の天然ゴムを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、約40~約90重量%、他の実施形態においては約50~約80重量%、また他の実施形態においては約55~約75重量%の天然ゴムを含む。
【0008】
1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、10重量%超、他の実施形態においては12重量%超、また他の実施形態においては15重量%超の官能化合成ポリイソプレンを含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、40重量%未満、他の実施形態においては30重量%未満、また他の実施形態においては25重量%未満の官能化合成ポリイソプレンを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、約10~約40重量%、他の実施形態においては約12~約30重量%、また他の実施形態においては約15~約25重量%の官能化合成ポリイソプレンを含む。
【0009】
1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、5重量%超、他の実施形態においては10重量%超、また他の実施形態においては15重量%超の合成ブタジエン系ゴムを含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、40重量%未満、他の実施形態においては35重量%未満、また他の実施形態においては30重量%未満の合成ブタジエン系ゴムを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性ゴム構成成分は、加硫性ゴム構成成分の全重量に基づいて、約0~約40重量%、他の実施形態においては約10~約35重量%、また他の実施形態においては約15~約30重量%の合成ブタジエン系ゴムを含む。
【0010】
天然ゴム
当業者が理解するように、天然ゴムは、天然ポリイソプレン又は天然シス-1,4-ポリイソプレンとも称され得る天然由来のポリイソプレンを含む。このポリマーは、種々の樹木、低木及び植物、例えば、パラゴムノキ(すなわち、アマゾンゴムの木)、カステラエラスチカ(すなわち、パナマゴムの木)、種々のランドルフィアブドウ(Landophia vines)(L.kirkii、L.heudelotis、及びL.owariensis)、種々のタンポポ(すなわち、タンポポ属の植物)、及びパルテニウムアルゲンタタム(Parthenium argentatum)(グアユール低木)に見出される。
【0011】
合成官能化ポリイソプレン
1つ以上の実施形態において、シリカ相互作用官能基を有する合成ポリイソプレンは、官能化合成ポリイソプレン又は単に官能化IRと呼ばれることもあり、イソプレンモノマーの合成重合によって得られるポリマーを含む。1つ以上の実施形態において、ポリマーは、アニオン性重合技術を用いることにより合成される。以下により詳細に説明されるように、これらの技術は、反応性ポリマーを官能化剤と反応させ、それによってポリマーにシリカ反応性基又は相互作用性基を付与することによって末端官能化することができる反応性ポリマーを生成する。
【0012】
アニオン性重合技術を用いることによるポリマーの調製は、概ね知られている。アニオン性重合の重要なメカニズムの特徴は、書籍(例えば、Hsieh,H.L.;J.Quirk,R.P.Anionic Polymerization:Principles and Practical Applications;Marcel Dekker:New York,1996)及び総説論文(例えば、Hadjichristidis,N.Pitsikalis,M.Pispas,S.Iatrou,H.Chem.Rev.2001,101(12),3747-3792)に記載されている。アニオン性開始剤は、有利なことに、クエンチング前に、更なる連鎖成長のために追加のモノマーと反応可能な、又は特定の官能化剤と反応して官能化ポリマーを与えることが可能な、反応鎖末端を有するポリマー(例えば、リビングポリマー)を生成することができる。反応性ポリマー鎖末端を有するポリマーを単に反応性ポリマーと称する場合もある。当業者には理解されるように、これらの反応性ポリマーは反応性鎖末端を含み、この反応性鎖端はイオン性であると考えられ、この反応性鎖端において官能化剤とポリマーの反応性鎖末端との間の反応が起こり、それによって、ポリマー鎖末端に官能性若しくは官能基を付与することができる、又は複数のポリマーを互いにカップリングさせることができる。
【0013】
本発明の実施は、何らかの特定アニオン性開始剤の選択によって限定されることはない。例示的なアニオン性開始剤としては、有機リチウム化合物が挙げられる。1つ以上の実施形態では、有機リチウム化合物には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。これらの又は他の実施形態では、有機リチウム化合物には、1つ以上の複素環基が含まれていてもよい。有機リチウム化合物のタイプとしては、アルキルリチウム化合物、アリールリチウム化合物、及びシクロアルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム化合物の具体例には、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、n-アミルリチウム、イソアミルリチウム、及びフェニルリチウムが挙げられる。更に他のアニオン性開始剤としては、有機ナトリウム化合物、例えばフェニルナトリウム及び2,4,6-トリメチルフェニルナトリウムが挙げられる。
【0014】
アニオン性重合は、極性溶媒、非極性溶媒、及びこれらの混合物内で行われてもよい。1つ以上の実施形態では、溶媒を担体として用いて、開始剤を溶解するか又は懸濁させて、開始剤を重合系に送達するのを容易にしてもよい。
【0015】
1つ以上の実施形態では、好適な溶媒としては、有機化合物として、触媒の存在下でモノマーを重合する間に伝搬ポリマー鎖への重合も取り込みも受けないものが挙げられる。1つ以上の実施形態では、これらの有機種は、周囲温度及び圧力で液体である。1つ以上の実施形態では、これらの有機溶媒は、触媒に対して不活性である。例示的な有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素などの低い又は比較的低い沸点を有する炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2-ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、及び石油スピリットが挙げられる。また、脂環式炭化水素の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、及びメチルシクロヘキサンが挙げられる。上記の炭化水素の混合物を使用することもできる。低沸点の炭化水素溶媒は、典型的には、重合が終了した際、ポリマーから分離される。有機溶媒の他の例としては、パラフィン系油、芳香族油、又は一般に油展ポリマーに使用される他の炭化水素油など、高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるため、それらは、典型的には分離する必要がなく、ポリマー内に取り込まれたままである。
【0016】
アニオン性重合は、触媒改質剤(極性コーディネーターと称される場合もある)又はビニル改質剤の存在下で実施してよい。当業者が理解するように、これらの化合物は、ジエンから誘導されるマー単位のビニル含有量を改変する。触媒改質剤として有用な化合物としては、酸素又は窒素ヘテロ原子及び非結合電子対を有するものが挙げられる。例には、直線状及び環式オリゴマーオキソラニルアルカン;モノ及びオリゴアルキレングリコールのジアルキルエーテル(グリムエーテルとしても知られている);「クラウン」エーテル;三級アミン;直鎖状THFオリゴマー;などが挙げられる。直線状及び環式オリゴマーオキソラニルアルカンは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,429,091号及び同第9,868,795号に記載されている。改質剤として有用な化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。ランダマイザーとして有用な化合物の具体例としては、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン(2,2-ジテトラヒドロフリルプロパンとしても知られる)、メソ-2,2-ジテラヒドロフリルプロパン(diterahydrofurylpropane)、DL-2,2,-ジテラヒドロフリルプロパン(ditetrahdydrofurlypropane)、及びこれらの混合物、1,2-ジメトキシエタン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジピペリジルエタン、ジピペリジルメタン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’-ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トリ-n-ブチルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
用いるべき改質剤の量は、種々の要因(例えば、所望のポリマー微細構造、重合温度、並びに用いる特定の改質剤の性質)に依存する場合がある。1つ以上の実施形態において、使用される改質剤の量は、アニオン性開始剤1ミリモル当たりの改質剤0.01~100ミリモル、又は他の実施形態において約0.02~約10ミリモル、又は約0.03~約0.1ミリモルの範囲にあってもよい。
【0018】
アニオン性開始剤及び改質剤は、種々の方法によって重合系に導入することができる。1つ以上の実施形態では、アニオン性開始剤及び改質剤は、段階的に又は同時に、重合されるモノマーに別個に添加することができる。
【0019】
当業者が理解するように、有効量の開始剤の存在下でのイソプレンモノマーの重合は、反応性ポリイソプレンポリマーを生成する。開始剤、イソプレンンモノマー、及び溶媒の導入により、重合混合物が形成され、その中で反応性ポリマーが形成される。溶媒内で重合させると、ポリマー生成物が溶媒に溶解又は懸濁している重合混合物が生成される。この重合混合物は、ポリマーセメントと称される場合もある。
【0020】
用いられる開始剤の量は、種々の要因(例えば、用いられる開始剤のタイプ、成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び重合転化率、所望の分子量、及び多くの他の要因)の相互作用に依存する場合がある。1つ以上の実施形態では、用いられる開始剤の量は、モノマーの重量当たりの開始剤のミリモル数として表現され得る。1つ以上の実施形態では、開始剤装填量は、モノマー100グラム当たりの開始剤約0.05~約50ミリモル、他の実施形態では約0.1~約25ミリモル、更に他の実施形態では約0.2~約2.5ミリモル、他の実施形態では約0.4~約0.7ミリモルで変動し得る。
【0021】
1つ以上の実施形態では、重合は、当該技術分野で公知の任意の従来の重合容器内で行ってよい。例えば、従来の攪拌槽型反応器内で重合を行うことができる。1つ以上の実施形態では、重合に使用する成分を全て単一容器(例えば、従来の撹拌槽型反応器)内で混合することができ、重合プロセスの全ての工程をこの容器内で行うことができる。他の実施形態では、2つ以上の成分を1つの容器内で事前に組み合わせてから別の容器に移し、そこでモノマーの重合(又は少なくともその大部分)を行うことができる。本発明の様々な実施形態は、複数の反応器又は反応ゾーンの使用を含むため、重合が行われる容器(例えば、槽型反応器)は、第1の容器又は第1の反応ゾーンと称される場合がある。
【0022】
重合は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスとして行うことができる。半連続プロセスでは、モノマーを必要に応じて断続的に充填して、すでに重合したモノマーと置き替える。1つ以上の実施形態では、重合が進む条件を制御して、重合混合物の温度を、約-10℃~約200℃、他の実施形態では、約0℃~約150℃、また他の実施形態では、約20℃~約110℃の範囲に維持し得る。1つ以上の実施形態では、重合の熱を取り除くことを、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続された還流凝縮器を用いることによるモノマーの気化及び凝縮による内部冷却、又は2つの方法の組み合わせによって行ってもよい。また、約0.1気圧~50気圧、他の実施形態では約0.5気圧~約20気圧、また他の実施形態では約1気圧~約10気圧の圧力下で重合を行うように条件を制御してもよい。1つ以上の実施形態では、重合を行い得る圧力には、大部分のモノマーが確実に液相となる圧力が含まれる。これらの又は他の実施形態では、重合混合物を嫌気条件下で維持してもよい。
【0023】
ベースポリイソプレンの特性
1つ以上の実施形態において、官能化前のポリマーであるベースポリイソプレンポリマーは、以下のように特徴付けられ得る。
【0024】
1つ以上の実施形態において、ベースポリイソプレンは、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)、及び分子量分布(Mw/Mn)によって特徴付けられてもよく、これは多分散性と呼ばれてもよい。当業者には理解されるように、Mn及びMwは、適切な較正標準を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって求めることができる。本明細書の目的のために、GPC測定は、ポリスチレン標準及び溶媒としてのTHFを用いる。また、特に明記しない限り、官能化は、例えば、ポリマーの重量を倍増させることになる効果を有する縮合によるポリマーカップリング又は二量化をもたらし得るので、分子量は、官能化前のポリマー(ベースポリマーと称され得る)の重量を指す。官能単位の重量は、そうでなければ、ポリマー分子量に対して感知可能な影響を有さないので、官能化合成ポリイソプレンの重量という用語は、したがって、別段の指定がない限り、カップリング又は二量体化を伴わないベースポリマーと同じであると見なされる。
【0025】
1つ以上の実施形態では、ベース合成ポリイソプレンは、100kg/モル超、他の実施形態では150kg/モル超、また他の実施形態では200kg/モル超のピーク分子量(Mp)によって特徴付けられてもよい。これらの又は他の実施形態では、ベース合成ポリイソプレンは、700kg/モル未満、他の実施形態では600kg/モル未満、他の実施形態では500kg/モル未満、他の実施形態では450kg/モル未満、他の実施形態では400kg/モル未満、他の実施形態では370kg/モル未満、また他の実施形態では350kg/モル未満のMpによって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、ベース合成ポリイソプレンは、約100~約700kg/モル、他の実施形態では約150~約450kg/モル、また他の実施形態では約200~約350kg/モルのMpを有し得る。
【0026】
1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、100kg/モル超、他の実施形態では150kg/モル超、また他の実施形態では200kg/モル超の数平均分子量(Mn)によって特徴付けられてもよい。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、700kg/モル未満、他の実施形態では600kg/モル未満、他の実施形態では500kg/モル未満、他の実施形態では450kg/モル未満、また他の実施形態では400kg/モル未満のMnによって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、約100~約700kg/モル、他の実施形態では約150~約450kg/モル、他の実施形態では約100~約350kg/モル、また他の実施形態では約200~約400kg/モルのMnを有し得る。
【0027】
1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、110kg/モル超、他の実施形態では220kg/モル超、また他の実施形態では330kg/モル超の重量平均分子量(Mw)によって特徴付けられてもよい。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、少ない900kg/モル、他の実施形態では800kg/モル未満、他の実施形態では700kg/モル未満、他の実施形態では600kg/モル未満、また他の実施形態では約550kg/モル未満のMwによって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、ベース合成ポリイソプレンは、約110~約900kg/モル、他の実施形態では約220~約700kg/モル、また他の実施形態では約330~約550kg/モルのMwを有し得る。
【0028】
1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、ビニル含有量によって特徴付けることができ、これは、ポリマー鎖内の全不飽和に対する3,4微細構造での不飽和の数として記載することができる。当業者には理解されるように、ビニル含有量は、(例えば、CDCl3を溶媒として使用して)NMR分析によって求めることができる。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、2%超、他の実施形態では3%超、また他の実施形態では5%超のビニル単位を含む。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、45%未満、他の実施形態では20%未満、また他の実施形態では15%未満のビニル単位を含む。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、約2~約45%、他の実施形態では約3~約30%、また他の実施形態では約4~約20%のビニル単位を含む。1つ以上の実施形態では、マー単位の残りは1,4-シス又は1,4-トランス微細構造であり、1,4-シス対1,4-トランスの比は約1:1~約3:1、あるいは他の実施形態では約1:3~約2.5:1の範囲にある。
【0029】
1つ以上の実施形態において、ベースポリイソプレンは、その1,4-シス含有量及び1,4-トランス含有量によって特徴付けられ得る。当業者には理解されるように、微細構造(例えば、1,4-シス含有量及び1,4-トランス含有量)は、NMR分析(例えば、溶媒としてCDCl3を使用する)によって決定することができる。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、シス-1,4微細構造中に40%超、他の実施形態では55%超、また他の実施形態では65%超のその単位を含む。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、シス-1,4微細構造中に90%未満、他の実施形態では80%未満、また他の実施形態では70%未満のその単位を含む。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、シス-1,4微細構造中に約40~約90%、他の実施形態では約45~約85%、また他の実施形態では約50~約75%のその単位を含む。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、トランス-1,4微細構造中に5%超、他の実施形態では10%超、また他の実施形態では15%超のその単位を含む。これらの又は他の実施形態では、ベースポリイソプレンは、トランス-1,4微細構造中に50%未満、他の実施形態では40%未満、また他の実施形態では30%未満のその単位を含む。1つ以上の実施形態では、ベースポリイソプレンは、シス-1,4微細構造中に約5~約50%、他の実施形態では約10~約40%、また他の実施形態では約15~約35%のその単位を含む。
【0030】
ポリイソプレン官能化
上に示したように、重合に続いて、反応性ポリイソプレンポリマーは末端官能化され、これは末端変性された、又は単に官能化若しくは変性されたと称されることもある。すなわち、ポリマーの反応性末端は、ポリマーの末端にシリカ相互作用基を付与する、官能化剤又は改質剤と称され得る化合物と反応する。ポリマー鎖末端は官能化剤又は改質剤と反応して、ポリマー鎖の末端に官能化剤の残基を提供すると考えられる。したがって、ポリマーと官能化剤との間の反応により、官能化剤又は改質剤に由来する末端基を含む1つ以上のポリマー鎖を含むポリマー組成物が生成される。1つ以上の実施形態では、ポリマー組成物内のポリマー鎖の50モル%超、他の実施形態では70モル%超、また他の実施形態では90モル%超が反応性であり、官能化剤と反応することができる。1つ以上の実施形態では、ポリマー組成物内のポリマー鎖の約50~約100モル%、他の実施形態では約60~約97モル%、また他の実施形態では約70~約95モル%が、官能化剤と反応することができる反応性末端を含む。
【0031】
本発明の実施は、官能化がシリカ相互作用官能基をポリマー鎖末端に付与する限り、いかなる特定の官能化剤の選択によっても限定されない。1つ以上の実施形態において、官能化剤は、加水分解性基をポリマー鎖の末端に付与する。これらの又は他の実施形態では、官能化剤はケイ素含有官能化剤である。
【0032】
1つ以上の実施形態において、有用なケイ素含有官能化剤(シロキサン停止剤、ヒドロカルビルオキシシラン官能化剤、又はヒドロカルビルオキシシラン停止剤とも呼ばれ得る)は、次式によって定義され得る。
(R1)4-z-ySi(R2)y(OR2)z
式中、R1はハロゲン原子又は一価の有機基であり、各R2は一価の有機基であり、zは1~4の整数であり、yは0~2の整数である。一実施形態において、ハロゲン原子は塩素である。
【0033】
1つ以上の実施形態では、一価の有機基には、限定するものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリル基、又はアルキニル基などのヒドロカルビル基が挙げられる。ヒドロカルビル基には置換ヒドロカルビル基も含まれている。置換ヒドロカルビル基は、1つ以上の水素原子が置換基(例えばヒドロカルビル基)によって交換されているヒドロカルビル基を指す。1つ以上の実施形態では、これらの基には、1個(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)~約20個の炭素原子が含まれていてもよい。これらの基にはへテロ原子が含まれていても良いし含まれていなくても良い。好適なへテロ原子としては、限定することなく、窒素、ボロン、酸素、シリコン、イオウ、スズ、及びリン原子が挙げられる。1つ以上の実施形態において、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリール基は非複素環基である。これらの又は他の実施形態において、置換ヒドロカルビル基を形成する置換基は非複素環基である。
【0034】
シロキサン末端停止剤の好適な例には、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、アリールアルコキシシラン、アルケニルアルコキシシラン、及びハロアルコキシシランが挙げられる。
【0035】
テトラアルコキシシラン化合物の例には、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、オルトケイ酸テトラ(2-エチルヘキシル)、オルトケイ酸テトラフェニル、及びテトラトルイルオキシシランが挙げられる。
【0036】
アルキルアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ-n-プロポキシシラン、エチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ-n-プロポキシシラン、ジメチルジ-n-ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランが挙げられる。
【0037】
アリールアルコキシシラン化合物の例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ-n-プロポキシシラン、フェニルトリ-n-ブトキシシラン、及びフェニルトリフェノキシシランが挙げられる。
【0038】
アルケニルアルコキシシラン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ-n-プロポキシシラン、ビニルトリ-n-ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、及びジビニルジメトキシシランが挙げられる。
【0039】
ハロアルコキシシラン化合物としては、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリ-n-プロポキシクロロシラン、トリ-n-ブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジ-n-プロポキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、n-プロポキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、トリメトキシブロモシラン、トリエトキシブロモシラン、トリ-n-プロポキシブロモシラン、トリフェノキシブロモシラン、ジメトキシジブロモシラン、ジエトキシジブロモシラン、ジ-n-プロポキシジブロモシラン、ジフェノキシジブロモシラン、メトキシトリブロモシラン、エトキシトリブロモシラン、n-プロポキシトリブロモシラン、フェノキシトリブロモシラン、トリメトキシヨードシラン、トリエトキシヨードシラン、トリ-n-プロポキシヨードシラン、トリフェノキシヨードシラン、ジメトキシジヨードシラン、ジ-n-プロポキシジヨードシラン、ジフェノキシジヨードシラン、メトキシトリヨードシラン、エトキシトリヨードシラン、n-プロポキシトリヨードシラン、及びフェノキシトリヨードシランが挙げられる。
【0040】
ヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いることによって官能化ポリマーを調製する技術は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,244,664号、同第6,008,295号、同第6,228,908号、及び同第4,185,042号に記載されている。
【0041】
1つ以上の実施形態において、ヒドロカルビルオキシシラン官能化剤としては、次式によって定義され得るイミノ含有ヒドロカルビルオキシシランが挙げられる:
【0042】
【化1】
(式中、R
2、R
3及びR
7は一価の有機基であり、R
4は二価の有機基であり、R
5及びR
6はそれぞれ独立してヒドロカルビルオキシ基又はヒドロカルビル基である)。
【0043】
1つ以上の実施形態において、二価の有機基は、限定するものではないが、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、シクロアルケニレン、又はアリーレン基などのヒドロカルビレン基である。ヒドロカルビレン基には置換ヒドロカルビレン基が含まれており、置換ヒドロカルビレン基は、1つ以上の水素原子が置換基(例えばヒドロカルビル基)によって交換されているヒドロカルビレン基を指す。1つ以上の実施形態では、これらの基には、1個(又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子)~約20個の炭素原子が含まれていてもよい。これらの基にはへテロ原子が含まれていても良いし含まれていなくても良い。好適なへテロ原子としては、限定するものではないが、窒素、ボロン、酸素、シリコン、イオウ、スズ、及びリン原子が挙げられる。1つ以上の実施形態において、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、及びアリーレン基は非複素環基である。これらの又は他の実施形態において、置換ヒドロカルビレン基を形成する置換基は非複素環基である。
【0044】
これらのイミノ含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンなどのトリエトキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(シクロヘキシリデン)-3-(トリメトキシシリル)-1-プロパンアミンなどのトリメトキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(シクロヘキシリデン)-3-(メチルジエトキシシリル)-1-プロパンアミンなどのメチルジエトキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(シクロヘキシリデン)-3-(エチルジメトキシシリル)-1-プロパンアミンなどのエチルジメトキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
イミノ含有ヒドロカルビルオキシ化合物を使用することによって官能化ポリマーを調製するための技術は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0009979号、同第2010/0113683号、及び同第2011/0092633号に開示されている。
【0046】
1つ以上の実施形態において、ヒドロカルビルオキシシラン官能化剤としては、次式によって定義されるヒドロカルビルオキシシランが挙げられる:
【0047】
【化2】
(式中、R
4は二価の有機基であり、R
5及びR
6はそれぞれ独立してヒドロカルビルオキシ基又はヒドロカルビル基であり、R
5は一価の有機基であり、Aはカルボン酸エステル、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、シラザン、イソシアナト、シアノ、カルボン酸無水物、エポキシ、及びスルフィド基からなる群から選択される)。
【0048】
カルボン酸エステル基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-メタクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
環状第三級アミン基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリメトキシシラン、2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘプタメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ドデカメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシメチルシラン、及び3-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-4-オキサゾリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
非環状第三級アミン基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、及び3-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
ピリジン基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、2-トリメトキシシリルエチルピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
シラザン基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、及びN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
イソシアナト基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
シアノ基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、2-シアノエチルプロピルトリエトキシシランが挙げられるが、これに限定されない。
【0055】
カルボン酸無水物基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、及び3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
エポキシ基を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物の例としては、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)-メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
1つ以上の実施形態において、合成官能化ポリイソプレンポリマーを調製するために用いられる官能化剤の量は、開始剤に関連したリチウム又は金属カチオンの当量に関して最良に表現される。例えば、リチウムのモル当たりの官能化剤のモル数は、約0.1~約10、他の実施形態では約0.2~約2、他の実施形態では約0.3~約3、他の実施形態では約0.6~約1.5、他の実施形態では約0.7~約1.3、他の実施形態では約0.8~約1.1、また他の実施形態では約0.9~約1.0であり得る。この説明のために、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、ほぼ定量的であると考えられる。
【0058】
1つ以上の実施形態において、使用される官能化剤の量は、官能化されるポリマーの量を参照して表現され得る。1つ以上の実施形態において、官能化度は、官能化剤で処理されている反応性ポリマー分子の総数に基づいて、少なくとも50%、他の実施形態では少なくとも60%、また他の実施形態では少なくとも70%である。これらの又は他の実施形態において、所望の官能化度は、官能化剤で処理されている反応性ポリマー分子の総数に基づいて、約50~約100%、他の実施形態では約60~約95%、また他の実施形態では約70~約90%である。
【0059】
1つ以上の実施形態において、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、約10℃~約150℃、また他の実施形態では約20℃~約100℃の温度で起こり得る。官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応が完了するのに必要な時間は、反応性ポリマーの調製に用いられる触媒又は開始剤のタイプ及び量、官能化剤のタイプ及び量、並びに官能化反応が行われる温度など、種々の要因に依存する。1つ以上の実施形態では、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、約10~60分間、行われ得る。
【0060】
後官能化
1つ以上の実施形態において、結合及び/又は官能化が達成又は完了された後、残留する反応性ポリマー鎖及び/又は開始剤残留物を全て不活性化するために、急冷剤が重合混合物に添加され得る。1つ以上の実施形態において、急冷剤の添加は任意であり、そのため、1つ以上の実施形態において、急冷剤は重合混合物に導入されない。急冷剤としては、プロトン性化合物を挙げることができ、これには、アルコール、カルボン酸、無機酸、水、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。酸化防止剤、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを添加することを、急冷剤の添加と一緒に、添加する前に、又は添加した後に行ってもよい。使用する酸化防止剤の量は、ポリマー生成物の重量に対して0.2重量%~1重量%の範囲であってもよい。
【0061】
1つ以上の実施形態において、ポリマー生成物は、当該技術分野において周知である任意の従来型の脱溶媒手順及び乾燥手順を用いることにより、重合混合物から回収され得る。例えば、ポリマーの回収を、ポリマーセメントに蒸気脱溶媒を施し、続いて、結果として得られるポリマークラムを熱風トンネル内で乾燥させることによって行うことができる。あるいは、ポリマーの回収は、ポリマーセメントをドラム乾燥機上で直接乾燥させることにより行っても良い。乾燥ポリマー内の揮発性物質の含有量は、ポリマーの1重量%未満、及び他の実施形態では0.5重量%未満であり得る。1つ以上の実施形態では、ポリマーの形成後、加工助剤、及びオイルなどの他の任意選択の添加剤が、ポリマーセメントに添加され得る。次いで、ポリマー及び他の任意成分が、溶媒から分離され、任意選択的に乾燥され得る。従来の脱溶媒手順及び乾燥手順が使用され得る。一実施形態において、ポリマーは、溶媒の蒸気脱溶媒又は熱水凝固、及びその後に続く濾過によって、溶媒から分離され得る。残留溶媒は、オーブン乾燥又はドラム乾燥などの従来の乾燥技術を用いることにより、除去され得る。あるいは、セメントが直接ドラム乾燥されても良い。
【0062】
1つ以上の実施形態において、反応性ポリマーへの官能化剤の導入後、任意選択的には急冷剤及び/又は酸化防止剤の添加後、及び任意選択的には官能化ポリマーの回収又は分離後、縮合促進剤が重合混合物に添加され得る。有用な縮合促進剤には、スズ及び/又はチタンカルボキシレート並びにスズ及び/又はチタンアルコキシドが挙げられる。一具体例は、チタン2-エチルヘキシルオキシドである。有用な縮合触媒及びそれらの使用は、米国特許出願公開第2005/0159554(A1)号に開示されており、この特許文献は参照により本明細書に組み込まれている。
【0063】
1つ以上の実施形態において、反応性ポリマーと官能化剤との間の反応が達成又は完了された後、任意選択的には急冷剤及び/又は縮合触媒の添加後、及び任意選択的には官能化ポリマーの回収又は分離後、官能化ポリマーとの更なる反応が行われ得る。例えば、官能化ポリマー生成物は、アルコール、任意選択的には適切な触媒の存在下で処理されることができ、これは、ポリマーの官能基と関連付けられ得るヒドロキシ基又はハロゲン原子の代わりにヒドロカルビルオキシ基の形成をもたらすと考えられている。これらの又は他の実施形態において、本発明の実施によりもたらされる官能化ポリマーは、存在し得るか又はポリマーの官能基に関連付けられ得る任意の加水分解性保護基を開裂又は置換するために、任意選択的には触媒の存在下で、水に曝露され得るか又は水で処理され得る。本明細書に記載されているような強酸触媒が、この目的のために使用され得る。
【0064】
官能化合成ポリイソプレンは、カップリング率によって特徴付けることができ、当業者はこれをGPC分析によって決定することができることを理解している。1つ以上の実施形態では、官能化合成ポリイソプレンは、50%超、他の実施形態では60%超、また他の実施形態では70%超のカップリング率によって特徴付けることができる。これらの又は他の実施形態において、官能化合成ポリイソプレンは、90%未満、他の実施形態では85%未満、また他の実施形態では80%未満のカップリング率によって特徴付けることができる。1つ以上の実施形態では、官能化合成ポリイソプレンは、約50~約90%、他の実施形態では約55~約85%、また他の実施形態では約60~約75%がカップリングされ得る。
【0065】
官能化合成ポリイソプレンは、ムーニー粘度(ML 1+4@100℃)によって特徴付けることができる。1つ以上の実施形態では、官能化合成ポリイソプレンは、45超、他の実施形態では50超、また他の実施形態では55超のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)によって特徴付けられ得る。これらの又は他の実施形態では、官能化合成ポリイソプレンは、100未満、他の実施形態では90未満、また他の実施形態では85未満のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)によって特徴付けられ得る。1つ以上の実施形態では、官能化合成ポリイソプレンは、約45~約100、他の実施形態では約50~約90、また他の実施形態では約55~約85のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)によって特徴付けられ得る。
【0066】
合成ブタジエン系ゴム
1つ以上の実施形態において、合成ブタジエン系ゴムは、1,3-ブタジエンの合成重合によって、任意選択的に、1,3-ブタジエンモノマーを、他の共役ジエンモノマー(例えば、イソプレン)、ビニル置換芳香族モノマー(例えば、スチレン)、又はエチレン若しくは1つ以上のα-オレフィン類などの他の共重合可能なモノマーと共重合することによって得られるポリマーを含む。
【0067】
例示的な合成ブタジエン系ポリマーとしては、例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリ(ブタジエン-co-イソプレン)、及びポリ(スチレン-co-イソプレン-co-ブタジエン)が挙げられる。1つ以上の実施形態において、ポリ(ブタジエン)は、高シス-1,4-ポリ(ブタジエン)を含んでもよく、これは、一般に、シス-1,4-微細構造において80モル%超、他の実施形態において90モル%超、また他の実施形態において95モル%超の単位のシス含有量を有する。ポリ(ブタジエン)がアニオン技術によって合成される場合などの他の実施形態では、ポリ(ブタジエン)は、中程度のシス含有量及び比較的低いビニル含有量によって特徴付けられ得る。1つ以上の実施形態では、中シス、低ビニルポリ(ブタジエン)は、シス-1,4-微細構造において、約40~約80モル%単位、他の実施形態では約45~約70モル%単位、また他の実施形態では約50~約60モル%単位のシス含有量を有し得る。これらの又は他の実施形態において、中シス、低ビニルポリ(ブタジエン)は、20モル%未満、他の実施形態では18モル%未満、また他の実施形態では15モル%未満のビニル含有量によって特徴付けられ得る。
【0068】
1つ以上の実施形態において、合成ブタジエン系ポリマーは、一般に、タイヤ部品の構築において典型的に使用される種類の高分子ポリマーである。例えば、これらのポリマーは、典型的には、90kg/モル超、他の実施形態では120kg/モル超、また他の実施形態では150kg/モル超のベース数平均分子量(すなわち、カップリング前)を有する。
【0069】
1つ以上の実施形態において、ブタジエン系ポリマーは官能化される。本明細書で使用するとき、官能化ポリマーは、ヘテロ原子をポリマー鎖(例えば、鎖末端)に付加又は付与する官能化化合物で修飾された(すなわち官能化された)ポリマーを含む。特定の実施形態において、これらの官能化剤は、官能基をポリマー鎖に付与して官能化ポリマーを形成し、官能化ポリマーは、官能化ポリマーから調製されるカーボンブラック充填された加硫物の50℃ヒステリシス損を、非官能化ポリマーから調製される同様のカーボンブラック充填された加硫物と比べて低減する。これらの又は実施形態では、官能化剤は、官能基をポリマー鎖に付与して官能化ポリマーを形成し、官能化ポリマーは、官能化ポリマーから調製されるシリカブラック充填された加硫物の50℃ヒステリシス損を、非官能化ポリマーから調製される同様のシリカ充填された加硫物と比べて低減する。1つ以上の実施形態では、このヒステリシス損の低減は(カーボンブラック充填された組成物又はシリカ充填された組成物のいずれにおいても)、少なくとも5%、他の実施形態では少なくとも10%、また他の実施形態では少なくとも15%である。
【0070】
シリカ充填剤
好適なシリカ充填剤の例としては、沈殿非晶質シリカ、湿潤シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0071】
1つ以上の実施形態において、シリカは、その表面積によって特徴付けることができるが、表面積は、その補強特性の尺度となるものである。Brunauer,Emmet and Teller(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載されている)は、表面積を決定する方法として認知されている。シリカのBET表面積は、概して450m2/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32~約400m2/g、約100~約250m2/g、及び約150~約220m2/gが挙げられる。
【0072】
1つ以上のシリカを用いる場合には、シリカのpHは、概して、約5~約7、又はわずかに7より高い値とするが、他の実施形態においては、約5.5~約6.8である。
【0073】
1つ以上の実施形態において、シリカを充填剤として(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)用いる場合、混合中にカップリング剤及び/又は遮蔽剤をゴム組成物に加えて、シリカとエラストマーとの相互作用を高めてもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤は、米国特許第3,842,111号、同第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,674,932号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号、同第6,608,145号、同第6,667,362号、同第6,579,949号、同第6,590,017号、同第6,525,118号、同第6,342,552号、及び同第6,683,135号に開示されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。硫黄含有シリカカップリング剤の例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド又はメルカプト-オルガノアルコキシシランが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの種類としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。
【0074】
硬化剤
上述のように、本発明の加硫性組成物は、硬化系を含む。硬化系は、ゴム硬化剤又は加硫剤とも称され得る硬化剤を含む。硬化剤は、Kirk-Othmer,ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY,Vol.20,pgs.365-468,(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390-402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING,(2nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。1つ以上の実施形態において、有用な硬化系は、硫黄又は硫黄系硬化剤を含む。好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker's)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性加硫剤、及び不溶性ポリマー性硫黄が挙げられる。加硫剤は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、加硫剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0075】
1つ以上の実施形態において、硬化剤は、硬化促進剤と組み合わせて用いられる。1つ以上の実施形態において、促進剤を使用して、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫ゴムの特性を改善する。促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤(例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、及びN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazyl-sulfenamide、CBS)など)、及びグアニジン加硫促進剤(例えば、ジフェニルグアニジン(diphenylguanidine、DPG)など)が挙げられる。当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、硬化促進剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0076】
金属活性化剤及び有機酸
上述のように、本発明の加硫性組成物は、金属化合物を含む。1つ以上の実施形態において、金属化合物は活性化剤(すなわち、ゴムの加硫又は硬化を補助するもの)である。他の実施形態において、金属活性化剤は金属酸化物である。特定の実施形態において、金属活性化剤は、酸化亜鉛と有機酸(例えばステアリン酸)との間の反応又は相互作用を通じてその場で形成される亜鉛種である。他の実施形態において、金属化合物は、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物である。他の実施形態において、金属化合物は、酸化鉄などの鉄化合物である。他の実施形態において、金属化合物は、カルボン酸コバルトなどのコバルト化合物である。1つ以上の実施形態において、有機酸はカルボン酸である。特定の実施形態において、カルボン酸は、飽和及び不飽和脂肪酸を含む脂肪酸である。特定の実施形態において、ステアリン酸などの飽和脂肪酸が用いられる。他の有用な酸としては、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、及びアラキドン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
シリカカップリング剤
1つ以上の実施形態において、カップリング剤及び/又は遮蔽剤が加硫性ゴム組成物に添加されてもよい。当業者が理解するように、カップリング剤は、シリカと官能化ポリマー(例えば、合成官能化ポリイソプレン)との相互作用を増強することができる。有用なカップリング剤及び遮蔽剤は、米国特許第3,842,111号、同第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,674,932号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号、同第6,608,145号、同第6,667,362号、同第6,579,949号、同第6,590,017号、同第6,525,118号、同第6,342,552号、及び同第6,683,135号に開示されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。硫黄含有シリカカップリング剤の例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド又はメルカプト-オルガノアルコキシシランが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの種類としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。
【0078】
カーボンブラック充填剤
上述のように、本発明の加硫性組成物は、1つ以上の充填剤を含んでもよい。これらの充填剤材料には、補強充填剤及び非補強充填剤が含まれてもよい。例示的な充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、及び種々の無機充填剤が挙げられる。
【0079】
有用なカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックが挙げられる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高摩耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
【0080】
1つ以上の実施形態において、カーボンブラックは、ASTM D1510によって決定されるヨウ素吸収数によって定義されるように、60g/kg超の表面積を有し得、他の実施形態においては70g/kg超、他の実施形態においては80g/kg超、また他の実施形態においては90g/kg超の表面積を有し得る。これらの又は他の実施形態では、カーボンブラックは、Brunauer,Emmet and Teller(「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.、vol.60、p.309以降に記載)によって測定して、約70~200m2/g、他の実施形態では約100~約180m2/g、また他の実施形態では約110~約160m2/gの表面積を有してもよい。カーボンブラックは、ペレット化された形態であっても、ペレット化されていない綿状形態であってもよい。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機器の種類に左右され得る。
【0081】
1つ以上の実施形態では、有用なカーボンブラックは、ASTM D1765によるN-300シリーズ又はそれ以下のカーボンブラックとして特徴付けることができる。これらのカーボンブラックとしては、例えば、N-100シリーズ、N-200シリーズ、及びN-300シリーズのカーボンブラックが挙げられ得る。例示的なN-100シリーズカーボンブラックとしては、N-100、N-115、N-120、N-121、N-125、N-134、及びN-135カーボンブラックが挙げられる。例示的なN-200シリーズカーボンブラックとしては、N-220、N-231、N-294、及びN-299が挙げられ得る。例示的なN-300シリーズカーボンブラックとしては、N-326、N-330、N-335、N-343、N-347、N-351、N-356、N-358、及びN-375が挙げられ得る。
【0082】
他の任意の充填剤
他の有用な充填剤材料としては、種々の無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。有機充填剤の例としては、デンプンが挙げられる。無機充填剤の例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化鉄、マイカ、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、及びクレイ(含水ケイ酸アルミニウム)が挙げられる。
【0083】
樹脂
1つ以上の実施形態において、本発明の加硫性組成物は、1種以上の樹脂を含んでもよい。当業者には理解されるように、樹脂は、可塑化樹脂及び硬化性又は熱硬化性樹脂を含み得る。有用な可塑化樹脂としては、脂環式樹脂、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、テルペン樹脂、及びこれらの組み合わせなどの炭化水素樹脂が挙げられる。有用な樹脂が、様々な商標名で、様々な企業から市販されており、そうした企業には、例えば、Chemfax、Dow Chemical Company、Eastman Chemical Company、Idemitsu、Neville Chemical Company、Nippon、Polysat Inc.、Resinall Corp.、Pinova Inc.、Yasuhara Chemical Co.、Ltd.、Arizona Chemical、及びSI Group Inc.、及びZeonが挙げられる。
【0084】
1つ以上の実施形態において、有用な炭化水素樹脂は、約30~約160℃、他の実施形態においては約35~約60℃、他の実施形態においては約70~約110℃のガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態において、有用な炭化水素樹脂はまた、その軟化点がそのガラス転移温度(Tg)よりも高いことによって特徴付けられてもよい。ある特定の実施形態において、有用な炭化水素樹脂は、約70~約160℃、他の実施形態においては約75~約120℃、他の実施形態においては約120~約160℃の軟化点を有する。
【0085】
ある特定の実施形態において、1つ以上の脂環式樹脂が、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の脂環式樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量%、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の脂環式樹脂を含む。
【0086】
1つ以上の実施形態において、脂環式樹脂は、脂環式ホモポリマー樹脂と脂環式コポリマー樹脂との両方を含み、脂環式コポリマー樹脂には、任意選択的に1つ以上の他の(非脂環式)モノマーと組み合わせた脂環式モノマー由来のものが含まれる(ただし、全てのモノマーの量の大部分を占めるのは脂環式である)。好適で有用な脂環式樹脂の非限定的な例としては、シクロペンタジエン(cyclopentadiene、「CPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、「DCPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。環式脂肪族コポリマー樹脂の非限定例としては、CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、DCPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、CPD/テルペンコポリマー樹脂、DCPD/テルペンコポリマー樹脂、CPD/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C5留分コポリマー樹脂)、DCPD/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C5留分コポリマー樹脂)、CPD/芳香族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C9留分コポリマー樹脂)、DCPD/芳香族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C9留分コポリマー樹脂)、CPD/芳香族-脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C5及びC9留分コポリマー樹脂)、DCPD/芳香族-脂肪族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C5及びC9留分コポリマー樹脂)、CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂)、DCPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/スチレンコポリマー樹脂)、CPD/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/CPDコポリマー樹脂)、及びDCPD/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/DCPDコポリマー樹脂)が挙げられる。特定の実施形態において、脂環式樹脂は、上記の脂環式樹脂のうちの1種類の水素添加形態(すなわち、水素添加脂環式樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、脂環式樹脂は、いずれの水素添加脂環式樹脂も除外する。言い換えれば、脂環式樹脂は水素添加されていない。
【0087】
ある特定の実施形態において、1つ以上の芳香族樹脂が、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1種以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の芳香族樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量%、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の芳香族樹脂を含む。
【0088】
1つ以上の実施形態において、芳香族樹脂は、芳香族ホモポリマー樹脂と芳香族コポリマー樹脂との両方を含み、芳香族コポリマー樹脂には、1つ以上の芳香族モノマーに、1つ以上の他の(非芳香族)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのは芳香族である)に由来のものが含まれる。有用な芳香族樹脂の非限定例としては、クマロン-インデン樹脂及びアルキル-フェノール樹脂、並びにビニル芳香族ホモポリマー又はコポリマー樹脂を含み、例えば、これらの樹脂は、アルファ-メチルスチレン、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はC9留分若しくはC8~C10留分から得られる任意のビニル芳香族モノマーのうちの1つ以上に由来するものである。ビニル芳香族コポリマー樹脂の非限定例としては、ビニル芳香族/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/C5留分樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂、及びDCPD/スチレンコポリマー樹脂)が挙げられる。アルキル-フェノール樹脂の非限定例としては、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(例えば、低重合度を有する樹脂などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂が挙げられる。特定の実施形態において、芳香族樹脂は、上記の芳香族樹脂のうちの1種類の水素添加形態(すなわち、水素添加芳香族樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、芳香族樹脂は、いずれの水素添加芳香族樹脂も除外する。言い換えれば、芳香族樹脂は水素添加されていない。
【0089】
ある特定の実施形態において、1つ以上の脂肪族樹脂が、脂環式樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の脂肪族樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の脂肪族樹脂を含む。
【0090】
1つ以上の実施形態において、脂肪族樹脂は、脂肪族ホモポリマー樹脂と脂肪族コポリマー樹脂との両方を含み、脂肪族コポリマー樹脂には、1つ以上の脂肪族モノマーに、1つ以上の他の(非脂肪族)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのは脂肪族である)に由来のものが含まれる。有用な脂肪族樹脂の非限定的な例としては、C5留分のホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、C5留分/脂環式コポリマー樹脂、及びC5留分/C9留分/脂環式コポリマー樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。環式脂肪族モノマーの非限定例としては、シクロペンタジエン(「CPD」)及びジシクロペンタジエン(「DCPD」)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、脂肪族樹脂は、上記の脂肪族樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加脂肪族樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、脂肪族樹脂は、いずれの水素添加脂肪族樹脂も除外する。言い換えれば、このような実施形態では、脂肪族樹脂は水素添加されていない。
【0091】
1つ以上の実施形態において、テルペン樹脂は、テルペンホモポリマー樹脂とテルペンコポリマー樹脂との両方を含み、テルペンコポリマー樹脂には、1つ以上のテルペンモノマーに、1つ以上の他の(非テルペン)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのはテルペンである)に由来のものが含まれる。有用なテルペン樹脂の非限定的な例としては、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L-リモネン、D-リモネン、更にはL-異性体及びD-異性体のラセミ混合物であるジペンテン)、β-フェランドレン、δ-3-カレン、δ-2-カレン、ピネン-リモネンコポリマー樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び芳香族変性テルペン樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、テルペン樹脂は、上記のテルペン樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加テルペン樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、テルペン樹脂は、いずれの水素添加テルペン樹脂も除外する。言い換えれば、このような実施形態では、テルペン樹脂は水素添加されていない。
【0092】
加工油
1つ以上の実施形態において、本発明の加硫性組成物は、エクステンダー油とも称され得る加工油を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、加工油を欠いているか、又は実質的に欠いている。
【0093】
特定の実施形態において、用いられる油としては、従来からエクステンダー油として用いられるものが挙げられる。使用してもよい有用な油類又はエクステンダーとしては、芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、植物油(ヒマシ油以外)、低PCA油(例えば、MES、TDAE、及びSRAEなど)、及び重ナフテン系油が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定的な例としては、ダイズ油(soy or soybean oil)、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野において一般的に理解されているように、油は、樹脂などの加硫性組成物の他の構成成分と相対的に比較される粘度を有する化合物を指す。
【0094】
1つ以上の実施形態において、油は、1分子当たり15個超の炭素原子を有する炭化水素化合物を含み、他の実施形態においては20個超、他の実施形態においては25個超、他の実施形態においては30個超の炭素原子、他の実施形態においては35個超の炭素原子、また他の実施形態においては40個超の炭素原子を有する炭化水素化合物を含む。これらの又は他の実施形態において、油は、1分子当たり250個未満の炭素原子を有する炭化水素化合物を含み、他の実施形態においては200個未満、他の実施形態においては150個未満、他の実施形態においては120個未満、他の実施形態においては100個未満、他の実施形態においては90個未満、他の実施形態においては80個未満、他の実施形態においては70個未満、他の実施形態においては60個未満、他の実施形態においては50個未満の炭素原子を有する炭化水素化合物を含む。1つ以上の実施形態において、油は、約15~約250個の炭素原子を有する炭化水素化合物を含み、他の実施形態においては約20~約200個、他の実施形態においては1分子当たり約25~約100個の炭素原子、他の実施形態においては1分子当たり約25~約70個の炭素原子、他の実施形態においては1分子当たり約25~約70個の炭素原子、他の実施形態においては1分子当たり約25~約60個の炭素原子、また他の実施形態においては1分子当たり約25~約40個の炭素原子を有する炭化水素化合物を含む。
【0095】
1つ以上の実施形態において、油は、25℃で、5mPa・s超の動的粘度を有する化合物を含み、他の実施形態においては10mPa・s超、他の実施形態においては15mPa・s超、他の実施形態においては20mPa・s超、他の実施形態においては25mPa・s超、他の実施形態においては30mPa・s超、他の実施形態においては35mPa・s超、また他の実施形態においては40mPa・s超の動的粘度を有する化合物を含む。これらの又は他の実施形態において、油は、25℃で、3000mPa・s未満の動的粘度を有する化合物を含み、他の実施形態においては2500mPa・s未満、他の実施形態においては2000mPa・s未満、他の実施形態においては1500mPa・s未満、他の実施形態においては1000mPa・s未満、他の実施形態においては750mPa・s未満、他の実施形態においては500mPa・s未満、他の実施形態においては250mPa・s未満、他の実施形態においては100mPa・s未満、また他の実施形態においては75mPa・s未満の動的粘度を有する炭化水素化合物を含む。1つ以上の実施形態において、油は、25℃で、約5~約3000mPa・sの動的粘度を有する化合物を含み、他の実施形態においては約15~約2000mPa・s、他の実施形態においては約20~約1500mPa・s、他の実施形態においては約25~約1000mPa・s、他の実施形態においては約30~約750mPa・s、他の実施形態においては約35~約500mPa・s、また他の実施形態においては約50~約250mPa・sの動的粘度を有する化合物を含む。
【0096】
その他の任意成分
ゴム配合において典型的に用いられる他の成分も、ゴム組成物に加えることができる。これらには、促進剤、促進活性剤、添加可塑剤、蝋、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化用樹脂、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、解膠剤、及び劣化防止剤(例えば酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤)が含まれる。
【0097】
成分量
ゴム
上記のように、ゴムベースの加硫性組成物は加硫性ゴム構成成分を含む。1つ以上の実施形態において、ゴムベースの加硫性組成物は、組成物の全重量に基づいて、20重量%超、他の実施形態においては30重量%超、また他の実施形態においては40重量%超の加硫性ゴム構成成分(単に加硫性組成物と呼ぶことができる)を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、加硫性組成物の全重量に基づいて、90重量%未満、他の実施形態においては70重量%未満、また他の実施形態においては60重量%未満のゴム構成成分を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、加硫性組成物の全重量に基づいて、約20~約90重量%、他の実施形態においては約30~約70重量%、また他の実施形態においては約40~約60重量%のゴム構成成分を含む。
【0098】
充填材
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、0重量部(pbw)超の充填剤を含み、他の実施形態においては10pbw超、他の実施形態においては25pbw超、他の実施形態においては35pbw超、他の実施形態においては45pbw超、他の実施形態においては55pbw超、また他の実施形態においては65pbw超の充填剤を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、200pbw(phr)未満のシリカを含み、他の実施形態においては150pbw(phr)未満、他の実施形態においては120pbw(phr)未満、他の実施形態においては100pbw(phr)未満、他の実施形態においては80pbw(phr)未満、また他の実施形態においては70pbw(phr)未満の充填剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約20~約100pbw(phr)、他の実施形態においては約35~約80pbw(phr)、また他の実施形態においては約40~約70pbw(phr)の充填剤を含む。
【0099】
カーボンブラック
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、0重量部(pbw)超、他の実施形態においては1pbw超、他の実施形態においては2pbw超、他の実施形態においては5pbw超、他の実施形態においては10pbw超、また他の実施形態においては15pbw超のカーボンブラックを含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、60pbw(phr)未満、他の実施形態においては40pbw(phr)未満、また他の実施形態においては、30pbw(phr)未満のカーボンブラックを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約1~約60pbw(phr)、他の実施形態においては約5~約50pbw(phr)、また他の実施形態においては約10~約40pbw(phr)のカーボンブラックを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、カーボンブラックを欠いているか、あるいは実質的に欠いている。
【0100】
シリカ
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、5重量部(pbw)超、他の実施形態においては7pbw超、他の実施形態においては10pbw超、他の実施形態においては15pbw超、また他の実施形態においては20pbw超のシリカを含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、80pbw(phr)未満、他の実施形態においては70pbw(phr)未満、他の実施形態においては60pbw(phr)未満、他の実施形態においては50pbw(phr)未満、また他の実施形態においては40pbw(phr)未満のシリカを含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約5~約80pbw(phr)、他の実施形態においては約10~約60pbw(phr)、また他の実施形態においては約15~約40pbw(phr)のシリカを含む。
【0101】
充填剤比
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、シリカとカーボンブラックなどの他の充填剤化合物との比によって特徴付けることができる。1つ以上の実施形態では、シリカは、カーボンブラックなどの他の充填剤に対して過剰に使用される。1つ以上の実施形態において、シリカとカーボンブラックシリカとの量の比は、重量比に基づいて、1:1より大きく、他の実施形態においては1.3:1より大きく、他の実施形態においては1.5:1より大きく、また他の実施形態においては2:1より大きい。1つ以上の実施形態において、シリカとカーボンブラックとの重量比は、約1:1~約3:1、他の実施形態においては約1.3:~約2.5:1、また他の実施形態においては約1.5:1~約2:1である。
【0102】
シリカカップリング剤
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、1重量部(pbw)超のシリカカップリング剤を含み、他の実施形態においては2pbw超、また他の実施形態においては5pbw超のシリカカップリング剤を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、20pbw未満のシリカカップリング剤を含み、他の実施形態においては15pbw未満、また他の実施形態においては10pbw未満のシリカカップリング剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、約1~約20pbw、他の実施形態においては約2~約15pbw、他の実施形態においては約5~約10pbwのシリカカップリング剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、シリカカップリング剤を欠いているか、又は実質的に欠いている。
【0103】
可塑化樹脂
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部(phr)当たり、0.1重量部(pbw)超の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含み、他の実施形態においては0.5pbw超、他の実施形態においては1.0pbw超、他の実施形態においては1.5pbw超、他の実施形態においては15pbw超、また他の実施形態においては25pbw超の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、150pbw(phr)未満の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含み、他の実施形態においては120pbw(phr)未満、他の実施形態においては90pbw(phr)未満、他の実施形態においては80pbw(phr)未満、他の実施形態においては60pbw(phr)未満、他の実施形態においては45pbw(phr)未満、他の実施形態においては15pbw(phr)未満、他の実施形態においては10pbw(phr)未満、また他の実施形態においては3.0pbw(phr)未満の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約1~約150pbw(phr)の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含み、他の実施形態においては約0.5~約15pbw(phr)、他の実施形態においては約1~約10pbw(phr)、他の実施形態においては約1.5~約3pbw(phr)、他の実施形態においては約15~約100pbw(phr)、また他の実施形態においては約25~約80pbw(phr)の可塑化樹脂(例えば、炭化水素樹脂)を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、可塑化樹脂を欠いているか、又は実質的に欠いている。
【0104】
加工/エクステンダー油
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.1重量部(pbw)超の加工油(例えば、ナフテン系油)を含み、他の実施形態においては0.5pbw超、他の実施形態においては1pbw超、他の実施形態においては1.5pbw超、また他の実施形態においては2pbw超の加工油(ナフテン系油)を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、20pbw(phr)未満の加工油を含み、他の実施形態においては18(phr)未満、他の実施形態においては15pbw(phr)未満、他の実施形態においては12pbw(phr)未満、他の実施形態においては10pbw(phr)未満、他の実施形態においては8pbw(phr)未満、他の実施形態においては5pbw(phr)未満、また他の実施形態においては3pbw(phr)未満の加工油を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約0.1~約20pbw(phr)の油を含み、他の実施形態においては約0.5~約18pbw(phr)、他の実施形態においては約0.5~約15pbw(phr)、他の実施形態においては約1~約10pbw(phr)、他の実施形態においては約0.5~約18pbw(phr)、他の実施形態においては約1.5~約3.0pbw(phr)、また他の実施形態においては約2~約12pbw(phr)の油を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、油を欠いているか、又は実質的に欠いている。
【0105】
可塑化添加剤
1つ以上の実施形態では、可塑化樹脂及び加工油は、集合的に可塑化添加剤、可塑化成分、可塑化構成成分、又は可塑化系と呼ばれ得る。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.5重量部(pbw)超の可塑化添加剤を含み、他の実施形態においては1pbw超、また他の実施形態においては1.5pbw超の可塑化添加剤を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、15pbw(phr)未満の可塑化添加剤を含み、他の実施形態においては12pbw(phr)未満、他の実施形態においては10pbw(phr)未満、他の実施形態においては5pbw(phr)未満、また他の実施形態においては3pbw(phr)未満の可塑化添加剤を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約0.5~約15pbw(phr)の可塑化添加剤を含み、他の実施形態においては約1~約10pbw(phr)、他の実施形態においては約1.5~約3pbw(phr)の可塑化添加剤を含む。
【0106】
硬化性樹脂
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、2pbw(phr)未満の硬化性樹脂を含み、他の実施形態においては1pbw(phr)未満、また他の実施形態においては0.5pbw(phr)未満の硬化性樹脂を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約0.1~約8pbw(phr)の硬化性樹脂を含み、他の実施形態においては約0.5~約6pbw(phr)、また他の実施形態においては約2~約4pbw(phr)の硬化性樹脂を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、硬化性樹脂を欠いているか、又は実質的に欠いている。
【0107】
硫黄
1つ以上の実施形態では、加硫性組成物は、硬化剤として硫黄を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.1重量部(pbw)超の硫黄を含み、他の実施形態においては0.3pbw超、また他の実施形態においては0.9pbw超の硫黄を含む。これらの又は他の実施形態において、加硫性組成物は、6pbw(phr)未満の硫黄を含み、他の実施形態においては4pbw(phr)未満、他の実施形態においては3.0pbw(phr)未満、また他の実施形態においては2.0pbw(phr)未満の硫黄を含む。1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、約0.1~約5.0pbw(phr)の硫黄を含み、他の実施形態においては約0.8~約2.5pbw(phr)、他の実施形態においては約1~約2.0pbw(phr)、また他の実施形態においては約1.0~約1.8pbw(phr)の硫黄を含む。
【0108】
プロセスの概要
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、加硫性ゴムと充填剤とを混合してマスターバッチを作成することによって調製され、続いて硬化剤がマスターバッチに添加される。マスターバッチの調製は、1つ以上の補助的な混合工程を用いて行われてもよく、その混合工程では、例えば、2つ以上の成分を混合することによって最初の混合物を調製した後で、1つ以上の成分を順次、組成物に加えてもよい。また、従来技術を使用して、加硫性組成物の調整に追加的な成分を加えることもでき、そのような追加的な成分としては、カーボンブラック、追加の充填剤、シリカ、シリカカップリング剤、シリカ分散剤、加工油、加工助剤(例えば酸化亜鉛及び脂肪酸など)、及び劣化防止剤(又は抗酸化剤又はオゾン劣化防止剤など)が挙げられるが、これらに限られない。
【0109】
混合条件
1つ以上の実施形態において、ゴム構成成分の様々な構成成分(例えば、天然ゴム、官能化合成ポリイソプレン、及びブタジエン系ゴム)は、任意選択的にカーボンブラック及びシリカ充填剤と共に、ゴムマスターバッチの形成における初期成分として加硫性ゴムに導入される。結果として、これらの構成成分は、高剪断、高温での混合を受ける。1つ以上の実施形態において、このマスターバッチ混合工程は、110℃を超える最低温度で、他の実施形態においては130℃を超える最低温度で、また他の実施形態においては150℃を超える最低温度で行われる。1つ以上の実施形態において、高剪断、高温での混合は、約110℃~約170℃の温度で行われる。1つ以上の実施形態において、マスターバッチ混合工程、又はマスターバッチ混合工程の1つ以上の副工程は、混合中に組成物が到達するピーク温度によって特徴付けることができる。このピーク温度は、落下温度とも称され得る。1つ以上の実施形態において、マスターバッチ混合工程中の組成物のピーク温度は、少なくとも140℃、他の実施形態においては少なくとも150℃、他の実施形態においては少なくとも160℃であってもよい。これら又は他の実施形態において、マスターバッチ混合工程中の組成物のピーク温度は、約140~約200℃、他の実施形態においては約150~約190℃、他の実施形態においては約160~約180℃であってもよい。
【0110】
最初の混合の後、組成物(すなわち、マスターバッチ)を、100℃未満、他の実施形態においては80℃未満の温度まで冷却してから、硬化剤を加える。ある特定の実施形態においては、約90~約110℃、他の実施形態においては約95~約105℃の温度で混合を続け、最終的な加硫性組成物を調製する。マスターバッチ混合工程に続いて、硬化剤又は硬化剤系を組成物に導入し、混合を継続して、最終的に加硫性組成物を形成する。この混合工程は、最終混合工程、硬化剤混合工程、又は生産混合工程と称されてもよい。この混合工程から得られる生成物は、加硫性組成物と称されてもよい。
【0111】
1つ以上の実施形態において、最終混合工程は、最終混合中に組成物が到達するピーク温度によって特徴付けることができる。当業者であれば認識するように、この温度は、最終落下温度とも称され得る。1つ以上の実施形態において、最終混合中の組成物のピーク温度は、最高で130℃、他の実施形態においては最高で110℃、他の実施形態においては最高で100℃であってもよい。これら又は他の実施形態において、最終混合中の組成物のピーク温度は、約80~約130℃、他の実施形態においては約90~約115℃、他の実施形態においては約95~約105℃であってもよい。
【0112】
混合機器
加硫性組成物の全ての成分は、標準的な混合機器、例えば内蔵混合機(例えば、Banbury又はBrabenderミキサー、押出機、捏和機、及び2ロールミルを用いて、混合可能である。混合は、単独で又は並行して行うことができる。上述のように、成分は、単一の段階、他の実施形態においては2段階以上の多段階で混合することができる。例えば、第1の段階(すなわち、混合段階)において、マスターバッチ(典型的にはゴム構成成分及び充填剤を含む)が調製される。マスターバッチが調製されると、最終混合段階において、加硫剤をマスターバッチ内に導入して混合してもよく、この最終混合段階は、典型的には、比較的低温で実施され、それにより加硫のタイミングが早くなりすぎる可能性を減少させる。リミル(remill)と呼ばれることもある追加の混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終混合段階の間に採用することも可能である。
【0113】
タイヤの調製
本加硫性組成物は、標準的なゴムの成形、成型、及び硬化技術を含む、通常のタイヤ製造技術に従って、タイヤ部品に加工され得る。典型的には、加硫は、加硫性組成物を成形型内で加熱することによって行われ、例えば、これは、約140℃~約180℃に加熱され得る。硬化又は架橋されたゴム組成物は、加硫物と称されてもよく、この加硫物は、概して、熱硬化性の三次元ポリマー網状組織を含有する。充填剤及び加工助剤などの他の成分は、架橋された網状組織全体にわたって一様に分散してもよい。空気入りタイヤは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記載されるように作製され得る。
【0114】
産業上の利用性
上記のように、本発明の加硫性組成物を硬化させて、様々なタイヤ部品を調製することができる。これらのタイヤ部品としては、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、ベルトスキム、インナーライナ、プライスキム、及びビード頂点が挙げられるが、これらに限定されない。これらのタイヤ部品は、乗用車用タイヤを含む様々な車両用タイヤに含まれ得る。
【0115】
特定の実施形態において、本発明の加硫物は、重車両用タイヤのトレッド又はアンダートレッドなどの重車両用タイヤの1つ以上の部品を含む。当業者には理解されるように、重車両用タイヤとしては、例えば、トラック用タイヤ、バス用タイヤ、TBR(トラック及びバス用タイヤ)、地下鉄用タイヤ、トラクター用タイヤ、トレーラー用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用タイヤ、アースムーバー用タイヤ、他のオフロード(OTR)用タイヤが挙げられる。1つ以上の実施形態では、重車両用タイヤは、新品のタイヤ、並びにリトレッドタイヤであってもよい。重車両用タイヤは、時には、それらの用途に応じて分類され得る。例えば、トラック用タイヤは、駆動タイヤ(トラックエンジンによって動力供給されるもの)及びステアタイヤ(トラックを操縦するために使用されるもの)として分類されてもよい。トラクタトレーラリグのトレーラーのタイヤもまた、別個に分類される。
【0116】
特定の実施形態では、重車両用タイヤは、比較的大きいタイヤである。1つ以上の実施形態では、重車両用タイヤは、17.5インチ超の全径(トレッドからトレッド)を有し、他の実施形態においては20インチ超、他の実施形態においては25インチ超、他の実施形態においては30インチ超、他の実施形態においては40インチ超、また他の実施形態においては55インチ超の全径を有する。これらの又は他の実施形態においては、重車両用タイヤは、10インチ超の断面幅を有し、他の実施形態においては11インチ超、他の実施形態においては12インチ超、また他の実施形態においては14インチ超の断面幅を有する。
【0117】
特定の実施形態では、重車両用タイヤはまた、それらの硬化時間(すなわち、t90を達成するために必要とされる時間量)によって特徴付けられる。1つ以上の実施形態では、グリーン(すなわち未硬化)重車両用タイヤは、(t90を達成するために)30分超の硬化時間を必要とし、他の実施形態においては1時間超、他の実施形態においては5時間超、他の実施形態においては10時間超、また他の実施形態においては16時間超の硬化時間を必要とする。
【実施例】
【0118】
本発明の実施を実証するために、以下の実施例を調製し、試験した。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとして見なされるべきではない。特許請求の範囲が本発明を定義するものとする。
【0119】
試料1~9
官能化合成ポリイソプレン(トリエトキシシラン)の調製
トリエチルオキシ(triethyoxy)シランで末端官能化された合成ポリイソプレンを以下のように調製した。ヘキサン(3,801g)及びイソプレン(635g)を充填した2ガロンのステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中2.45M溶液1.30mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中0.16M溶液0.99mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から30分後に重合は69℃のピーク温度に達した。ピーク重合温度から15分後、約20mLのヘキサンで希釈した3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン(1.12mL)を重合混合物に添加した。更に20分間撹拌した後、容器ジャケット温度を25℃に下げ、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。
【0120】
官能化ポリマー(IR-Si(OR)3と称する)を分析し、243kg/モルのMn、256kg/モルのMw、75.1モル%のシス-1,4-微細構造、18.6のトランス-1,4-微細構造、及び6.3モル%のビニル含有量を有すると決定した。65%重量%のポリマーがカップリングされ、ポリマーは、27.9のムーニー粘度及び-62.8℃のTgを有していた。10℃/分の加熱速度で、-120℃~23℃の範囲にわたって、示差走査熱量測定(DSC)によってガラス転移温度(Tg)を測定した。数平均(Mn)分子量、重量平均(Mw)分子量、及び多分散性(PDI)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって、TOSOH Ecosec HLC-8320 GPCシステム及びTOSOH TSKgel GMHxl-BSカラムを、溶媒としてのTHFと共に使用して決定した。システムは、ポリスチレン(PS)標準を使用して較正し、PS標準を参照した。1,4-シス及び1,4-トランス微細構造の完全な特徴付けを可能にするために、イソプレン含有量(3,4-イソプレン)のビニル微細構造を13C NMRによって決定した。ポリマームーニー粘度はMonsanto Mooney粘度計を用いて測定した。ML(1+4)値を、大型ローター上で1分間のウォームアップ時間を経て100℃で4分間、測定した。
【0121】
官能化合成ポリイソプレン(ジエトキシシラン)の調製
ジエトキシシランで末端官能化された合成ポリイソプレンを以下のように調製した。ヘキサン(3,801g)及びイソプレン(635g)を充填した2ガロンのステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中2.56M溶液1.24mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6M溶液0.10mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から55分後に重合は61℃のピーク温度に達した。ピーク重合温度から15分後、約20mLのヘキサンで希釈した3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(1.07mL)を重合混合物に添加した。更に30分間撹拌した後、容器ジャケット温度を25℃に下げ、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。
【0122】
官能化ポリマー(IR-Si(OR)2と称する)を分析し、206kg/モルのMn、257kg/モルのMw、74.4モル%のシス-1,4-微細構造、17.2のトランス-1,4-微細構造、及び8.4モル%のビニル含有量を有すると決定した。59%重量%のポリマーがカップリングされ、ポリマーは、35.6のムーニー粘度及び-62.4℃のTgを有していた。
【0123】
加硫物の調製
上記で調製した官能化合成ポリイソプレンをゴム処方に導入して加硫性組成物を形成し、次いでこれを加硫した。ゴム処方は、以下の表I及びIIに詳述されるような天然ゴム及びシリカ充填剤を含んでいた。各試料のゴム構成成分を変化させた。一般に、ゴム構成成分は、天然ゴム、アルコキシシラン末端ポリマー、及び官能化ポリブタジエン(「官能化BR」)を含んでいた。官能化ポリブタジエンは、末端環状アミン基を有する中ビニルポリブタジエンであった。2つの比較用のアルコキシシラン末端ポリマーを使用した。BR-Si(OR)2と表示された第1のものは、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルメチルジエトキシシランを末端基とするポリブタジエンであった。ポリブタジエンは、193kg/モルのMn、205kg/モルのMw、86.1モル%のシス-1,4-微細構造、14モル%のビニル含有量を有し、ポリマーの69%重量%がカップリングされ、ポリマーは-91.9℃のTgを有していた。SBR-Si(OR)3と表示された第2のものは、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシランで末端官能化されたポリ(スチレン-co-ブタジエン)であった。ポリ(スチレン-co-ブタジエン)は、150kg/モルのMn、164kg/モルのMw、34重量%のスチレン含有量、28.3モル%のビニル含量を有し、ポリマーの45%重量%がカップリングされ、-47.8℃のTgを有していた。
【0124】
加硫性組成物は、表Iに示されるような3段階混合手順を使用することによって、300g Brabenderミキサー内で調製した。リミルは、いかなる成分の追加も含まなかった。マスターバッチ段階を、50rpmで90℃の開始ミキサー温度で混合し、5分間又は試料が160℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。リミル段階を、50rpmで90℃の開始ミキサー温度で混合し、3.0分間又は試料が160℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。最終段階を、40rpmで60℃の開始ミキサー温度で混合し、2.5分間又は試料が100℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。
【0125】
【0126】
加硫性組成物をムーニー分析にかけた。それらの試料を、33分間にわたって145℃で硬化させた。結合ゴムは、上記のようにGPC分析によって測定した。機械的特性は、ASTM D-412に従って測定した。動的レオロジー特性は、表IIに示すように、温度分析と歪み掃引分析の両方を用いて決定した。試験の結果、並びにゴム構成成分の詳細を以下の表IIに示す。値が指数化されている場合、数字が大きいほど、より望ましい特性を表す。例えば、60℃でのtanδは、より低い数であることが望ましく、したがって、指数値が大きいほどより低いtanδ値を表す。
【0127】
【0128】
試料10~14
非官能化ポリイソプレンの調製
非官能化合成ポリイソプレンポリマーを以下のように調製した。ヘキサン(9,362g)及びイソプレン(1,524g)を充填したステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液3.18mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6M溶液0.16mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から37分後に重合は74℃のピーク温度に達した。ピーク重合温度から5分後、容器ジャケット温度を25℃に下げた。ピーク重合温度から15分後、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。IRと称されるポリイソプレンポリマーは、369kg/モルのMp、23のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)及び6.4%の3,4-ビニル含有量によって特徴付けられた。
【0129】
官能化高分子量ポリイソプレンの調製
トリエチルオキシシランで末端官能化された高分子量合成ポリイソプレンを以下のように調製した。ヘキサン(9,362g)及びイソプレン(1,524g)を充填したステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液3.18mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6M溶液0.16mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から47分後に重合は78℃のピーク温度に達した。ピーク重合温度から5分後、3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシランの溶液(ヘキサン中1.6M溶液3.2mL)を反応物に添加した。ピーク重合温度から12分後、容器ジャケット温度を25℃に下げ、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。得られたポリマーは予想よりも高い分子量を有していたが、これはn-BuLi開始剤の有効装填量を減少させた重合における意図しない触媒需要に起因していた。hMW-IRと称される官能化ポリイソプレンポリマーは、695kg/モルのMpによって特徴付けられ、52%のカップリング、92のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)及び6.5%の3,4-ビニル含有量を有していた。
【0130】
官能化中分子量ポリイソプレンの調製
トリエチルオキシシランで末端官能化された中分子量合成ポリイソプレンを以下のように調製した。ヘキサン(9,362g)及びイソプレン(1,524g)を充填したステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液3.18mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6M溶液0.16mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から37分後に重合は75℃のピーク温度に達した。官能化剤3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン(ヘキサン中1.6M溶液3.2mL;1モルの官能化剤/Li)を、重合がピーク温度に達した5分後に反応容器に添加した。ピーク重合温度から15分後、容器ジャケット温度を25℃に下げ、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。mMW-IRと称される官能化ポリイソプレンポリマーは、404kg/モルのMpによって特徴付けられ、71%のカップリング、81のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)及び6.5%の3,4-ビニル含有量を有していた。
【0131】
官能化低分子量ポリイソプレンの調製
トリエチルオキシシランで末端官能化された低分子量合成ポリイソプレンを以下のように調製した。ヘキサン(9,362g)及びイソプレン(1,524g)を充填したステンレス鋼製反応容器を、n-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液3.81mL)及び2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(ヘキサン中1.6M溶液0.19mL)で処理し、その直後に容器ジャケット温度を50℃に上昇させた。重合開始から36分後に重合は75℃のピーク温度に達した。官能化剤3-(1,3-ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン(ヘキサン中1.6M溶液3.8mL;1モルの官能化剤/Li)を、重合がピーク温度に達した5分後に反応容器に添加した。ピーク重合温度から15分後、容器ジャケット温度を25℃に下げ、試料を採取して転化率を計算した。バッチ温度が60℃を下回ったら、バッチを、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(約1.8g/Lのイソプロピルアルコール)を含有するイソプロピルアルコール(約16L)の溶液中に排出し、凝固させ、次いでドラム乾燥させた。lMW-IRと称される官能化ポリイソプレンポリマーは、335kg/モルのMpによって特徴付けられ、72%のカップリング、63のムーニー粘度(ML 1+4@100℃)及び6.8%の3,4-ビニル含有量を有していた。
【0132】
加硫物の調製
上記で調製した合成ポリイソプレン(試料11~13)をそれぞれのゴム処方に導入して加硫性組成物を形成し、次いでこれを加硫し、様々な特性について試験した。追加の加硫物(試料10)を合成ポリイソプレンなしで調製した。ゴム処方は、以下の表III及びIVに詳述されるような天然ゴム及びシリカ充填剤を含んでいた。各試料のゴム構成成分は、表IVに詳述されるような前述のポリマーを含めることによって変化させた。示されるように、各処方のゴム構成成分は、天然ゴムと、官能化されておらず、96%を超えるシス含有量を有する高シスポリブタジエンゴムと、を含んでいた。
【0133】
加硫性組成物は、表IIIに示されるような3段階混合手順を使用することによって、300g Brabenderミキサー内で調製した。リミルはいかなる成分の追加も含まなかった。マスターバッチ段階を、60rpmで100℃の開始ミキサー温度で混合し、4.5分間又は試料が170℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。リミル段階を、60rpmで100℃の開始ミキサー温度で混合し、3.0分間又は試料が170℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。最終段階を、40rpmで80℃の開始ミキサー温度で混合し、2.5分間又は試料が120℃に達するまで(いずれかが先に起こるまで)混合した。
【0134】
【0135】
加硫性組成物をムーニー分析にかけた。それらの試料を、33分間にわたって145℃で硬化させた。結合ゴムは、上記のようにGPC分析によって測定した。機械的特性は、ASTM D-412に従って測定した。動的レオロジー特性は、表IVに示すように、温度分析と歪み掃引分析の両方を用いて決定した。試験の結果、並びにゴム構成成分の詳細を以下の表IVに示す。
【0136】
【0137】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫性ゴム組成物であって、
(i)(a)天然ゴム、(b)官能化合成ポリイソプレン、及び(c)任意選択的にブタジエン系合成ゴムを含むゴム構成成分と、
(ii)シリカ充填剤と、
(iii)硬化剤と、を含む、加硫性ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム構成成分は、天然ゴム、官能化合成ポリイソプレン、及びブタジエン系合成ゴムを含み、前記加硫性組成物は、前記加硫性ゴム組成物の総重量に基づいて、約20~約90重量パーセントの前記ゴム構成成分を含み、前記ゴム構成成分は、前記ゴム構成成分の総重量に基づいて、約40~約90重量パーセントの前記天然ゴムを含み、約10~約40重量パーセントの前記官能化合成ポリイソプレンを含み、約0~約40重量パーセントの前記ブタジエン系合成ゴムを含む、請求項1に記載の加硫性組成物。
【請求項3】
前記ブタジエン系ゴムは、官能化ブタジエン系ゴムである、請求項1に記載の加硫性組成物。
【請求項4】
前記ブタジエン系ゴムは、90kg/モル超の数平均分子量を有し、前記官能化合成ポリイソプレンは、約100~約500kg/モルのベース数平均分子量、及び約100~約600kg/モルのベース重量平均分子量を有する、合成ポリイソプレンから調製される、請求項3に記載の加硫性組成物。
【請求項5】
前記組成物は、30分を超えるt90を特徴とする、請求項1に記載の加硫性組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の加硫性組成物から調製された加硫物であって、前記加硫物は、重車両用タイヤの部品である、加硫物。
【国際調査報告】