(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】神経インタフェースシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61F9/007 130J
A61F9/007 130Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539879
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2022126567
(87)【国際公開番号】W WO2023138130
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210074456.7
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524245923
【氏名又は名称】武漢衷華脳机融合科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】黄 立
(72)【発明者】
【氏名】黄 晟
(72)【発明者】
【氏名】姫 君旺
(72)【発明者】
【氏名】高 健飛
(72)【発明者】
【氏名】馬 占鋒
(57)【要約】
神経インタフェースシステムであって、少なくとも1つのマイクロプローブ(1)を備え、マイクロプローブ(1)が基板と少なくとも1つの微小電極(3)とを備え、基板が弧状構造であり、微小電極(3)が基板の外側に位置する。人の網膜が損傷した場合、マイクロプローブ(1)を眼窩内に配置し、視覚を再構築できる信号で視神経細胞を直接刺激して、人の視覚認知機能を回復させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマイクロプローブを備え、前記マイクロプローブが基板と少なくとも1つの微小電極とを備え、前記基板が弧状構造であり、前記微小電極が前記基板の外側に位置する
ことを特徴とする神経インタフェースシステム。
【請求項2】
体外装置をさらに備え、前記体外装置は、採取ユニットと処理ユニットとを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項3】
前記採取ユニットは、画像を取得するように構成され、前記処理ユニットは、画像を、視覚を再現するための刺激信号に変換するように構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項4】
前記体外装置は、第1無線コイルをさらに備え、前記マイクロプローブの側に第2無線コイルが設置され、
前記第1無線コイルは、刺激信号を送信するためのものであり、前記第2無線コイルは、刺激信号を受信するためのものである
ことを特徴とする請求項2に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項5】
前記微小電極は、視神経に埋め込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項6】
前記神経インタフェースシステムは、固定手段をさらに備え、固定手段によりマイクロプローブが眼窩内に固定される
ことを特徴とする請求項5に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項7】
少なくとも2つの前記微小電極は長さが異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項8】
中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより長い
ことを特徴とする請求項7に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項9】
中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより短い
ことを特徴とする請求項7に記載の神経インタフェースシステム。
【請求項10】
前記マイクロプローブが複数あり、複数の前記マイクロプローブにより形成されたマイクロプローブ構造が弧面状を呈する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の神経インタフェースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に属し、具体的に、神経インタフェースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
神経インタフェースは、末梢神経と筋肉からなる通常な出力経路に依存しない情報伝達システムであり、末梢神経と筋肉組織を迂回し、外部機器と情報を交換する新しい経路を提供し、外部機器により神経細胞を刺激して活動電位を発生することができ、神経細胞が発生した活動電位を記録することもでき、これによって神経細胞と外部機器との双方向情報伝達を実現することもできる。このため、神経インタフェースは、人の視神経系を含む各種の神経疾患の研究および治療に広く使用されている。
【0003】
外傷、仕事環境の影響または加齢により、人の眼球における網膜の損傷または脱落が生じ、人の失明または視覚障害を招くことがある。近年、科学技術の進歩に伴い、人工網膜修復技術が開発され、すなわち、直接光信号を電気信号に変換し、そして電気信号を利用して網膜内層細胞を刺激することにより、患者の視力をある程度回復させることができる。現在、該技術は、視覚修復分野の研究のホットスポットとなっている。埋め込み型人工網膜電極は、剛性のあるシリコン電極またはフレキシブルな非シリコン電極を採用することが一般的であり、患者が知覚する画像の鮮明さが、埋め込まれた電極の数によって決められ、電極がデジタルカメラの画素に相当し、電極の数が多いほど、知覚する画像もより鮮明である。従来のシリコン技術/非シリコン技術を利用した電気接点が比較的少なく、視神経信号を区別して読み取ったり視神経に対して区別して弱電流刺激を行ったりすることができないため、視覚効果に対する要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の欠点および不足に鑑みて、本発明は、人の網膜が損傷したとき、眼の外部から伝達される信号で神経細胞を直接刺激して、人の視覚認知機能を回復させるための神経インタフェースシステムを提供することを目的とする。
上記の目的を実現するため、本発明は、具体的に下記の技術案を採用する。神経インタフェースシステムを提供する。前記神経インタフェースシステムは、少なくとも1つのマイクロプローブを備え、前記マイクロプローブが基板と少なくとも1つの微小電極とを備え、前記基板が弧状構造であり、前記微小電極が前記基板の外側に位置する。
【0005】
選択可能な一実施例において、体外装置をさらに備え、前記体外装置は、採取ユニットと処理ユニットとを備える。
【0006】
選択可能な一実施例において、前記採取ユニットは、画像を取得するように構成され、前記処理ユニットは、画像を、視覚を再現するための刺激信号に変換するように構成される。
【0007】
選択可能な一実施例において、前記体外装置は、第1無線コイルをさらに備え、前記マイクロプローブの側に第2無線コイルが設置され、前記第1無線コイルは、刺激信号を送信するためのものであり、前記第2無線コイルは、刺激信号を受信するためのものである。
【0008】
選択可能な一実施例において、前記微小電極は、視神経に埋め込まれる。
【0009】
選択可能な一実施例において、前記神経インタフェースシステムは、固定手段をさらに備え、固定手段によりマイクロプローブが眼窩内に固定される。
【0010】
選択可能な一実施例において、少なくとも2つの前記微小電極は長さが異なる。
【0011】
選択可能な一実施例において、中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより長い。
【0012】
選択可能な一実施例において、中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより短い。
【0013】
選択可能な一実施例において、前記マイクロプローブが複数あり、複数の前記マイクロプローブにより形成されたマイクロプローブ構造が弧面状を呈する。
【0014】
従来技術に比べて、本発明は、下記の有益な効果を有する。
【0015】
本発明は、神経インタフェースシステムを提供する。該神経インタフェースシステムは、人の網膜が損傷した場合に、マイクロプローブを眼窩内に配置し、視覚を再構築できる信号で視神経細胞を直接刺激して、人の視覚認知機能を回復させる。
【0016】
本発明は、人の眼球の網膜の損傷程度に応じて多接点マイクロプローブ構造の三次元エリアアレイをカスタマイズして設計し、多接点による、1つの神経活動電位の読み取りおよび視神経の弱電流による刺激を実現することができる。
【0017】
本発明は、単一のマイクロプローブに、独立した微小電極および電気接点を設置することにより、同一位置の神経細胞の電位信号に対する読み取りおよび書き込みを実現して、視覚情報の補償と補正を同期して実現し、より良い視覚体験を視覚障害者群に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例に用いられる図面を簡単に説明する。説明する図面は、本発明のいくつかの実施例を示すものにすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。図面において、同様な構成部分が同様な符号を用いる。
【0019】
【
図1】本発明の実施例による神経インタフェースシステムの模式的構成図である。
【
図2】本発明の実施例による微小電極の模式的構成図である。
【
図3】本発明の実施例によるインジウムバンプと集積回路チップとの接続を示す模式的回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭かつ完全に説明する。説明する実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。
【0021】
ここで図面を用いて示した本発明の実施例における部品は、さまざまな配置方法で配置、設計することが可能である。このため、図面に示された本発明の実施例に対する詳細な説明は、本発明の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0022】
下記において、本発明の各種の実施例に使用される「含む」、「有する」およびその同意味を有する用語は、特定の特徴、数字、ステップ、操作、素子、部品または上記の要素の組み合わせを表すためのものにすぎず、1つまたは複数の他の特徴、数字、ステップ、操作、素子、部品または上記の要素の組み合わせが存在したり、1つまたはより多くの特徴、数字、ステップ、操作、素子、部品または上記の要素の組み合わせを増やしたりする可能性が排除されると理解すべきではない。
【0023】
また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではない。
【0024】
特に断りがない限り、ここで使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、本発明の各種の実施例が属する分野の当業者が通常認識している意味を有する。本発明の各実施例において、特に断りがない限り、上記の用語(例えば、通常使用される辞典に定義された用語)は、関連技術分野における意味を有するとともに、理想または正式な意味と解釈されない。
実施例1
【0025】
本実施例は、神経インタフェースシステムを提供する。前記神経インタフェースシステムは、少なくとも1つのマイクロプローブを備え、前記マイクロプローブが基板と少なくとも1つの微小電極とを備え、前記基板が弧状構造であり、前記微小電極が前記基板の外側に位置する。前記マイクロプローブが複数あり、複数の前記マイクロプローブにより形成されたマイクロプローブ構造が弧面状を呈する。前記微小電極は、視神経に埋め込まれ、視神経に刺激信号を送信し、または視神経信号を採取するように構成される。
【0026】
選択可能な一実施例において、体外装置をさらに備え、前記体外装置は、採取ユニットと処理ユニットとを備える。前記採取ユニットは、画像を取得するように構成される。前記処理ユニットは、画像を、視覚を再現するための刺激信号に変換するように構成される。前記採取ユニットは、眼窩の近くに設置し、前記処理ユニットは、耳の近くに設置し、前記採取ユニットは、人の目として機能でき、外界の画像を採取するように構成され、前記処理ユニットは、画像を、視覚を再現できる刺激信号に変換し、刺激信号を微小電極により視神経に送信し、これによって、視神経により刺激信号を脳中枢神経に送信して視覚を再構築する。
【0027】
実際の応用シーンにおいて、前記体外装置は、第1無線コイルをさらに備え、前記マイクロプローブの側に第2無線コイルが設置される。前記第1無線コイルは、刺激信号を送信するためのものであり、前記第2無線コイルは、刺激信号を受信するためのものである。
【0028】
選択可能な一実施例において、前記神経インタフェースシステムは、固定手段をさらに備え、固定手段によりマイクロプローブを眼窩内に固定する。前記固定手段は、釘または接着剤などである。
【0029】
実際の応用シーンにおいて、少なくとも2つの前記微小電極の長さは異なる。選択可能な一実施例において、中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより長い。選択可能な他の実施例において、中間領域に位置する前記微小電極の長さが両縁領域に位置する前記微小電極の長さより短い。
【0030】
選択可能な実施例において、前記神経インタフェースシステムは、複数のマイクロプローブを備え、少なくとも2つのマイクロプローブの基板の曲率半径が互いに異なり、これによって、複数のマイクロプローブを球面状のマイクロプローブ構造につなぎ合わせる。選択可能な実施例において、中間領域に位置する基板の曲率半径が、縁領域に位置する基板の曲率半径より大きい。
【0031】
本実施例において、該神経インタフェースシステムは、人の網膜が損傷した場合に、マイクロプローブを眼窩内に配置し、視覚を再構築できる信号で視神経細胞を直接刺激して、人の視覚認知機能を回復させる。
実施例2
【0032】
図1および
図2に示すように、本発明の一実施例は、神経インタフェースシステムを開示する。該神経インタフェースシステムは、複数のマイクロプローブ1と、集積回路チップ2(CMOS)とを備え、複数のマイクロプローブ1が拘束手段により組み合わせられてアレイ構造として形成される。前記マイクロプローブが少なくとも1つの微小電極3を備え、前記微小電極3に少なくとも1つの電気接点5が設置され、複数のマイクロプローブにより多数の接点を含むエリアアレイを形成でき、電気接点により視神経信号を読み取りまたは視神経に対して弱電流刺激を行うことができ、視神経の空間分解能および信号の精度を向上させることができ、そして、マイクロプローブ1と集積回路チップ2とを接続することにより、信号の入出力機能を実現し、シリコン技術/非シリコン技術を利用した従来の埋め込み型人工網膜の、微小電極3の接点が比較的少ない問題を効果的に解決することができる。
【0033】
本発明の一実施例において、前記拘束手段は、中空半球状を呈し、前記マイクロプローブ1が前記拘束手段に固定されてスパイク状のマイクロプローブアレイを形成する。マイクロプローブアレイが視神経に挿入されるとき、前記拘束手段が眼球と密着し、したがって、該拘束手段が規律的な中空半球状ではなく、人の眼球を模倣した形状であり、フレキシブルな材料により製造され、眼底に埋め込まれるときに眼球の頻繁な回動で摩擦による異物感がない。
実施例3
【0034】
本発明の具体的な一実施例において、マイクロプローブ1は、複数の微小電極3を備え、前記微小電極3が互いに独立して設置され、前記微小電極3に複数の電気接点5が設置され、前記微小電極3における各電気接点5が互いに独立して設けられている。各電気接点5は、神経組織に挿入される程度に基づいて、異なりかつ互いに干渉しない電気信号を採取することができ、または、集積回路チップ2により同一位置の異なる深さの皮質に対して異なる電位の弱電流刺激を行い、分解能のより高い視覚感覚を形成する。1つのマイクロプローブ1に複数の微小電極3が設置され、信号の読み取り操作と、刺激操作とを同時に行うこともできる。
【0035】
本発明の一実施例において、人の眼球の網膜が対称構造であるが、疾病や外傷による網膜損傷の位置がさまざまあり、左右位置対称の網膜の片側のみが損傷した場合、両側に対応するマイクロプローブ1は、電位信号の読み取りおよび書き込みにより互いの補償を実現し、視覚機能の回復を実現することができる。具体的に、集積回路チップ2により、網膜の損傷しない側のマイクロプローブ1における電気接点5を、視神経の電位信号を読み取るように制御し、そして、集積回路チップ2は、網膜に挿入されたマイクロプローブ1の具体的な位置に基づいて結像角度の換算を行って、その対称側のマイクロプローブ1における電気接点5を、補正された電位信号を出力するように制御して人の眼球の視覚感覚を補償して矯正する。
【0036】
本発明の他の実施例において、人の網膜が部分的に損傷した場合、同一位置のマイクロプローブ1における異なる微小電極3により読み取りおよび刺激の機能をそれぞれ実現し、つまり、集積回路チップ2により、人の元網膜に対する読み取りで取得した電気信号と、外部機器でキャプチャした画像情報の変換により得た電位信号とに対して比較、補正を行い、さらに、同一位置のマイクロプローブ1における他の微小電極3により視神経に対して弱電流刺激を行う。現在、5G技術の発展に従って、上記の信号は補償と補正をリアルタイムで同期して行うことができ、より良い視覚体験を視覚障害者に提供することができる。
実施例4
【0037】
本発明の一実施例において、前記マイクロプローブ1の拘束手段の材料は、フレキシブルかつ透明な材料を選択する。人の網膜の損傷程度によって適する人工網膜も異なるため、外傷や疾病により網膜の全部または大部分が剥離した場合、元の網膜が正常な成像機能を果たせなくなり、このとき、人工網膜が人の網膜に完全に取って代わることができ、集積回路チップにより、取得した外部画像情報を電気信号に変換し、そして、マイクロプローブ1における電気接点5により、視神経および細胞軸索に対して弱電流刺激を行って人の視覚感覚を形成する。この場合、眼球の外界光および画像が人の元の網膜に結像することができなく、拘束手段および集積回路芯2の材料および設置位置に対して特別な要求がなく、非透明材料を使用してもよく、集積回路チップ2が網膜または拘束手段の先端に設置されてもよい。網膜の一部が損傷したり剥離したりする場合、視覚成像機能がまだある程度残されており、眼球の網膜の内面に半球状の人工網膜を設置する場合元の光の入射を遮り、この場合、前記マイクロプローブ1の拘束手段の材料として透明材料を選択すれば、電気接点5による、視神経または細胞軸索への読み取りまたは刺激を実現するとともに、人の元の網膜の一部の感覚機能を妨げない。
【0038】
本発明の一実施例において、前記集積回路チップ2は、中空半球状を呈し、神経インタフェースシステムの拘束手段と良好に嵌合し、前記神経インタフェースシステムは、拘束手段を介して前記集積回路チップに接続される。
【0039】
本発明の他の実施例において、前記神経インタフェースシステムと拘束手段とにより構成されるアッセンブリは、集積回路チップと電気的に接続され、集積回路チップが眼球の外に設置され、集積回路チップの動作による発熱による、人の網膜の成像機能に対する影響を低減することができる。
実施例5
【0040】
本発明の一実施例において、前記神経インタフェースシステムにおけるマイクロプローブ1は、長さが等しく、前記複数のマイクロプローブの先端が半球状弧面として形成される。本発明の他の実施例において、前記マイクロプローブ1は、長さが等しくなく、網膜の損傷程度に応じて異なるように設定し、揃わない多接点のエリアアレイを形成する。
【0041】
本発明の一実施例において、前記神経インタフェースシステムにおけるマイクロプローブ1は、拘束手段に均一に分布している。本発明の他の実施例において、前記マイクロプローブ1は、拘束手段に不均一に分布し、網膜の損傷程度および感覚のニーズに応じてマイクロプローブの分布密度を設定し、網膜の一部が損傷した人の場合、網膜の損傷した部分に、より密なマイクロプローブアレイを設置し、網膜の損傷しない部分に、比較的疎なマイクロプローブアレイを設置しまたはマイクロプローブアレイを設置しない。
【0042】
具体的に、人の網膜損傷の検査結果に応じて相応の三次元化のマイクロプローブ構造を設置し、人の網膜の損傷程度に応じた多接点のエリアアレイを形成することができる。前記マイクロプローブ1における微小電極3が裁断可能であり、裁断された前記微小電極3の裁断箇所に保護膜が設置される。
実施例6
【0043】
図3に示すように、前記集積回路チップ2は、読み出し回路であり、シリコン基板10を備え、シリコン基板にコンタクト電極8およびトランジスター9が埋め込まれる。前記シリコン基板は、P型シリコン基板であり、前記集積回路チップ2に埋め込まれるインジウムバンプが接続配線6によってシリコン基板と電気的に接続される。
【0044】
本発明の実施例は、マイクロプローブ構造の製造方法をさらに開示する。該製造方法は、下記のステップを含む。
S1:標準のMEMS加工プロセスを利用してマイクロプローブを製造する。
S2:マイクロプローブに少なくとも1つの電気接点を加工する。
S3:マイクロプローブおよび集積回路チップのそれぞれにインジウムバンプを埋め込む。
S4:インジウムバンプが埋め込まれたマイクロプローブと集積回路チップとを接続してマイクロプローブアッセンブリを形成し、拘束手段により複数のマイクロプローブアッセンブリを組み合わせてマイクロプローブ構造として組み立てる。
前記マイクロプローブ1における複数の電気接点5とマイクロプローブ1におけるインジウムバンプ7とが接続配線6によって接続される。前記接続配線は、金属配線であり、金属材料で製造され、例えば、接続配線が金で製造される。実際の応用シーンにおいて、電気接点5は、接続配線6によってマイクロプローブにおける第1溶接点と接続され、インジウムバンプ7が前記第1溶接点に設置され、これによって、電気接点5と集積回路チップ2とが接続される。
【0045】
また、微小電極3における電気接点5は、同一列に分布してもよく、異なる列に分布してもよく、微小電極3の幅および実際の状況に応じて設置することができる。前記電気接点5が異なる列に分布している場合、隣接する列の電気接点2がずれて分布するようにしてもよい。
【0046】
本出願の一実施例において、前記電気接点5は、視神経信号を採取し、採取した視神経信号を前記集積回路チップ2に送信する。前記集積回路チップ2は、一部の電気接点5により採取した視神経信号を受信するとともに、一部の電気接点5に電気信号を送信し、これによって人の視覚認知機能を回復させる。つまり、マイクロプローブ1と集積回路チップ2とを接続したあと、信号の入出力機能を実現し、1つの神経細胞の活動電位を読み取り、弱電流による刺激を実現することができる。
【0047】
上記の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、具体的に説明されたが、本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、本発明の思想から逸脱しない前提で、若干の変更と改良を行ってもよく、これらの変更および改良が本発明の保護範囲に属する。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
【符号の説明】
【0048】
1 マイクロプローブ
2 集積回路チップ
3 微小電極
4 導線
5 電気接点
6 接続配線
7 インジウムバンプ
8 コンタクト電極
9 トランジスター
10-シリコン基板
【国際調査報告】