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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両用通信装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20241219BHJP
   H04L 47/36 20220101ALI20241219BHJP
   H04L 47/28 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
H04L12/28 100A
H04L47/36
H04L47/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539887
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 KR2022018431
(87)【国際公開番号】W WO2023132471
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0001206
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジェオン ジャエ
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030LB14
5K030LE11
5K033BA06
5K033CB02
(57)【要約】
一実施形態による車両用通信装置は、異なる通信インタフェース間の変換をサポートし、データが漏れることなく、データ伝送速度を向上させるためのものであり、車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、外部と通信する第2モジュールと第2通信を行う通信部、及び前記第1モジュールから前記車両の状態データを取得し、前記車両の状態データを前記第2モジュールに伝送するコントローラを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、外部と通信する第2モジュールと第2通信を行う通信部と、
前記第1モジュールから前記車両の状態データを取得し、前記車両の状態データを前記第2モジュールに伝送するコントローラと、を含む、車両用通信装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1モジュールから設定されたサイズ単位でデータを取得し、前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位でデータを伝送する、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得すると、設定された時間遅延の後に次のデータを取得する、請求項2に記載の車両用通信装置。
【請求項4】
前記時間遅延は、前記コントローラが前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる時間、及び前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる時間を考慮して設定される、請求項3に記載の車両用通信装置。
【請求項5】
前記車両用通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定される、請求項4に記載の車両用通信装置。
【請求項6】
前記第1通信は、前記第2通信に比べて1秒当たりのデータ伝送速度がより速い、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項7】
前記第1通信のインタフェースは、SPI(Serial Peripheral Interconnect)であり、前記第2通信のインタフェースは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)である、請求項6に記載の車両用通信装置。
【請求項8】
前記第1モジュールは、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理するMCU(Micro Controller Unit)を含み、
前記第2モジュールは、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュールを含む、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項9】
車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、前記車両の状態データを取得するステップと、
外部と通信する第2モジュールと第2通信を行い、前記車両の状態データを前記第2モジュールに伝送するステップと、を含む、車両用通信装置の動作方法。
【請求項10】
前記車両の状態データを取得するステップで、前記第1モジュールから設定されたサイズ単位でデータを取得し、
前記車両の状態データを伝送するステップで、前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位でデータを伝送する、請求項9に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項11】
前記車両の状態データを取得するステップで、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得すると、設定された時間遅延の後に次のデータを取得する、請求項10に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項12】
前記時間遅延は、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる時間、及び前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる時間を考慮して設定される、請求項11に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項13】
前記車両用通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定される、請求項12に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項14】
前記第1通信は、前記第2通信に比べて1秒当たりのデータ伝送速度がより速い、請求項9に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項15】
前記第1通信のインタフェースは、SPIであり、前記第2通信のインタフェースは、UARTである、請求項14に記載の車両用通信装置の動作方法。
【請求項16】
前記第1モジュールは、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理するMCUを含み、
前記第2モジュールは、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュールを含む、請求項9に記載の車両用通信装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2022年1月4日に出願された韓国特許出願第10-2022-0001206号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
【0002】
本文書に開示された実施形態は、車両用通信装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
OBD(On-Board Diagnostics)は、車両の電気/電子的な作動状態を確認及び制御するための診断規格であって、初期は、エンジンなどの電子化された部品の整備効率性を高めるために用いられていたが、近年は、様々な車両情報を運転者に示すトリップコンピュータとしてのインタフェースの役割を果たしている。
【0004】
一般に、OBDシステムは、車両の状態データを取得及び管理するMCU(Micro Controller Unit)と、MCUからデータを受信して無線通信網を介して外部サーバ、端末などとデータを送受信する通信モジュール(例えば、EC25-EなどのLTEモジュール)とを備える。特に、従来のLTEモジュールの場合、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)インタフェースを介してMCUとデータを送受信していたが、UARTは、SPI(Serial Peripheral Interconnect)に比べて最大伝送速度が遅い方であり、データ伝送過程で優先順位の高い他の機能(CAN通信、データ保存機能など)に押し出されて追加遅延時間が発生する。それにより、リアルタイムLTE通信が車両MCUに与える負荷が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本文書に開示された実施形態の一目的は、異なる通信インタフェース間の変換をサポートし、適切な時間遅延によりデータの送受信を中継する車両用通信装置及びその動作方法を提供することにある。
【0006】
本文書に開示された実施形態の技術的課題は、上記で言及されている技術的課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による車両用通信装置は、車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、外部と通信する第2モジュールと第2通信を行う通信部;及び前記第1モジュールから前記車両の状態データを取得し、前記車両の状態データを前記第2モジュールに伝送するコントローラを含む。
【0008】
一実施形態による車両用通信装置において、前記コントローラは、前記第1モジュールから設定されたサイズ単位でデータを取得し、前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位でデータを伝送してもよい。
【0009】
一実施形態による車両用通信装置において、前記コントローラは、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得すると、設定された時間遅延後に次のデータを取得してもよい。
【0010】
一実施形態による車両用通信装置において、前記時間遅延は、前記コントローラが前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる時間、及び前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる時間を考慮して設定されてもよい。
【0011】
一実施形態による車両用通信装置において、前記車両用通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定されてもよい。
【0012】
一実施形態による車両用通信装置において、前記第1通信は、前記第2通信に比べて1秒当たりのデータ伝送速度がより速くてもよい。
【0013】
一実施形態による車両用通信装置において、前記第1通信のインタフェースは、SPI(Serial Peripheral Interconnect)であり、前記第2通信のインタフェースは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)であってもよい。
【0014】
一実施形態による車両用通信装置において、前記第1モジュールは、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理するMCU(Micro Controller Unit)を含み、前記第2モジュールは、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュールを含んでもよい。
【0015】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法は、車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、前記車両の状態データを取得するステップ;及び外部と通信する第2モジュールと第2通信を行い、前記車両の状態データを前記第2モジュールに伝送するステップを含む。
【0016】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記車両の状態データを取得するステップで、前記第1モジュールから設定されたサイズ単位でデータを取得し、前記車両の状態データを伝送するステップで、前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位でデータを伝送してもよい。
【0017】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記車両の状態データを取得するステップで、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得すると、設定された時間遅延後に次のデータを取得してもよい。
【0018】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記時間遅延は、前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる時間、及び前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる時間を考慮して設定されてもよい。
【0019】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記車両用通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定されてもよい。
【0020】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記第1通信は、前記第2通信に比べて1秒当たりのデータ伝送速度がより速くてもよい。
【0021】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記第1通信のインタフェースは、SPI(Serial Peripheral Interconnect)であり、前記第2通信のインタフェースは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)であってもよい。
【0022】
一実施形態による車両用通信装置の動作方法において、前記第1モジュールは、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理するMCU(Micro Controller Unit)を含み、前記第2モジュールは、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュールを含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
異なる通信インタフェース(例えば、SPI及びUART)間の変換をサポートし、時間遅延によりデータの送受信を中継する車両用通信装置及びその動作方法が提供される。提案された実施形態によれば、車両MCUとLTE通信モジュールとの間のデータ伝送速度を向上させ、所定サイズ単位のデータ伝送毎に設定された時間遅延を処理してデータの漏れを防止することができる。それにより、車両MCUの負荷を最小限に抑えながらも、外部サーバとのリアルタイムLTE通信を可能にする。
【0024】
その他、本文書により直接的又は間接的に把握される様々な効果が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本文書に開示された実施形態又は従来技術の技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態の説明に必要な図面を以下に簡単に紹介する。以下の図面は、本明細書の実施形態を説明する目的であるだけであり、限定の目的でないことを理解すべきである。また、説明の明瞭性のために、図面において一部の構成要素の表現が誇張又は省略されることがある。
図1】第1モジュールと第2モジュール間の通信を中継する一実施形態による通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態による通信装置の具体的な適用例を示す図である。
図3】一実施形態による通信装置内でデータを処理する方式を説明するためのデータ線図である。
図4a】従来技術による第1モジュールと第2モジュール間の通信過程を示す線図である。
図4b】一実施形態による通信装置、第1モジュール、第2モジュール間の通信過程を示す線図である。
図5】一実施形態による通信装置の動作方法を示すフローチャートである。
図6】他の実施形態による通信装置の動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本文書に開示された実施形態について例示的な図面を用いて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同じ構成要素に対しては、たとえ異なる図面に示されるとしても可能な限り同じ符号を持たせていることに留意すべきである。また、本文書に開示された実施形態を説明するにあたり、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本文書に開示された実施形態の理解を妨げると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本文書において用いられる用語としては、機能を考慮してできるだけ現在広く用いられている一般的な用語を選択したが、それは当該分野に携わる技術者の意図、慣例、又は新たな技術の出現などによって異なる。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、明細書の当該説明部分にその意味を記載する。よって、本文書において用いられる用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する実質的な意味と本文書全般にわたった内容に基づいて解釈されるべきであることを明らかにする。
【0028】
本文書において用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであり、他の実施形態の範囲を限定する意図ではない。単数の表現には、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現が含まれる。
【0029】
以下、図面を参照して、車両用通信装置及びその動作方法の好ましい実施形態を説明する。
【0030】
図1は第1モジュールと第2モジュール間の通信を中継する一実施形態による通信装置の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、一実施形態による通信装置10は、通信部110及びコントローラ120を含む。本文書において、ブロック図に示された構成要素は、それぞれの機能と役割によって区分されたものであり、各ブロックが必ずしも独立したハードウェア又はソフトウェアで実現されなければならないわけではない。例えば、区分された構成要素が実際には1つの装置又はプログラムで実現されてもよく、1つの構成要素が複数の装置及びプログラムが結合されたもので実現されてもよい。
【0031】
通信部110は、車両の状態データを管理する第1モジュール20と第1通信を行い、外部と通信する第2モジュール30と第2通信を行う。本文書において、「第1」、「第2」などの表現は、構成要素を区分するために用いたものであり、構成要素間の順位や序列を意味するものではない。
【0032】
一実施形態によれば、第1モジュール20は、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理するMCU(Micro Controller Unit)を含み、第2モジュール30は、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュールを含んでもよい。第1モジュール20及び第2モジュール30の具体的な動作については、図2を参照して後述する。
【0033】
コントローラ120は、通信装置10及び通信部110を制御して、第1モジュール20から車両の状態データを取得し、前記車両の状態データを第2モジュール30に伝送する。コントローラ120がデータを処理する具体的な動作については、図3を参照して後述する。
【0034】
一実施形態によれば、前記通信装置10は、第1通信のインタフェースを第2通信のインタフェースに変換する集積回路素子、及びその動作を制御するドライバから構成されてもよい。これは、通信装置10の構成要素をハードウェアとソフトウェアに区分したものである。集積回路素子は、例えばSC16IS740などのSPI-to-UART Bridge ICであってもよく、ドライバは、前記回路の動作を制御するSPI-to-UART Driverであってもよい。
【0035】
図2は実施形態による通信装置の具体的な適用例を示す図である。図2を参照すると、第1モジュール20(例えば、ESP32-WROOM32などのMCU)は、車両21内に設けられたセンサ22により、車両21の状態データ(例えば、温度、バッテリ電流、電圧、排出ガス情報など)を取得する。第1モジュール20は、必要な場合(例えば、車両内に異常が発生した場合、周期的に車両の状態データを外部サーバに伝送する場合、LTEモジュールからデータの要求を受けた場合など)、前記車両の状態データを取得することができる。
【0036】
第2モジュール30(例えば、EC25-EなどのLTEモジュール)は、通信装置10により前記車両のデータを受信し、長距離通信により前記データを外部サーバ31に伝送することができる。外部サーバ31は、所定周期毎に、又はイベントの発生時に、前記車両の状態データを収集し、車両の管理に必要な情報を第2モジュール30を介して第1モジュール20に提供することができる。
【0037】
一実施形態によれば、通信装置10と第1モジュール20間の第1通信のインタフェースは、SPI(Serial Peripheral Interconnect)であり、通信装置10と第2モジュール30間の第2通信のインタフェースは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)であってもよい。SPIは、同期(synchronous)方式のシリアル通信規格を用い、データ伝送速度が速いという利点があるが、データ伝送のための線の他に、送信端と受信端との同期のための別のクロック信号が必要である。それに対して、UARTは、非同期(asynchronous)方式のシリアル通信規格を用い、予め定めたシリアル通信速度に合わせて並列データを1ビットずつ出力ピンに送る。UARTの最大伝送速度は921,600bpsと遅い方であり、同期のためのクロックを用いないので、データの漏れを防止するために開始/中止ビットを必要とし、実際の伝送率は80%である737,280bpsとより低い。
【0038】
既存の車両のOBDに用いられるLTEモジュールの場合、UARTインタフェースを介してMCUとデータを送受信するが、上述した遅い速度と追加時間遅延により、リアルタイムLTE通信がMCUに与える負荷が大きいという問題があった。よって、実施形態による通信装置は、SPIインタフェースを介して、MCUから車両の状態データを取得し、UARTインタフェースを介して、前記データをLTEモジュールに伝送することにより、データ伝送速度を向上させることができる。
【0039】
図3は一実施形態による通信装置内でデータを処理する方式を説明するためのデータ線図である。実施形態において、コントローラ120は、第1通信のインタフェース(SPI)を介してデータを取得し、第2通信のインタフェース(UART)を介して前記データを伝送することができる。SPIにおいては、送信端と受信端との同期のための別のクロック(clock)信号が出力され、クロックに合わせてデータビットが伝送される。UARTは、非同期方式であってクロック信号を必要とせず、1byteのデータ信号の前後に開始ビット(start bit)と中止ビット(stop bit)が出力される。
【0040】
このように、コントローラ120は、第1モジュール20から設定されたサイズ単位(例えば、1byte=8bit)ずつデータを取得し、第2モジュール30に設定されたサイズ単位(例えば、1byte=8bit)ずつデータを伝送する。同じサイズのデータを伝送する場合、第1通信のインタフェース(SPI)と第2通信のインタフェース(UART)との最大伝送速度の差により(この場合、SPIの方がUARTより速い)、データの漏れが発生し得る。例えば、第2モジュール30にデータを全て伝送していない状態で、通信装置10のバッファのサイズを超えるデータが第1モジュール20から入力される場合、超過データは漏れる。
【0041】
これを防止するために、一実施形態によるコントローラ120は、設定されたサイズ単位のデータを取得すると、設定された時間遅延後に次のデータを取得するように構成されてもよい。実施形態によれば、前記時間遅延は、前記コントローラが前記第1モジュールから前記設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる時間、及び前記第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる時間を考慮して設定されてもよい。
【0042】
また、通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定されてもよい。
【0043】
例えば、コントローラ120は、SPI-to-UART Bridge ICの送信バッファのサイズを考慮して、第1モジュール20からSPIインタフェースを介して1byteのデータを取得してから、5.16μsの時間遅延後に、次の1byteのデータの取得を開始してもよい。この場合、理論的には、送信バッファのサイズが189,890bytesとなった時点でメモリオーバーフロー(memory overflow)が発生し、データの漏れが発生することがある。加えて、MCU内部のSPI Tx FIFO(First In First Out)レジスタのサイズも64bytesであり、データが全てバッファに収まると、1.012msの遅延が追加発生する。このような環境を全て考慮して、送信バッファのサイズを1408bytesに設定してもよい。
【0044】
図4aは従来技術による第1モジュールと第2モジュール間の通信過程を示す線図であり、図4bは一実施形態による通信装置、第1モジュール、第2モジュール間の通信過程を示す線図である。
【0045】
図4aにおいて、第1モジュール20は、例えばESP32-WROOM32などの車両MCUであり、第2モジュール30は、EC25-EなどのLTEモジュールであってもよい。従来の構造においては、第1及び第2モジュール20、30間の通信は、非同期シリアル通信方式のUARTインタフェースを介して行われる。まず、第1モジュール20が第2モジュール30にデータ伝送のためのATコマンドを要求すると(S1)、第2モジュール30は第1モジュール20に応答してデータモードに移行された状態であることを通知する(S2)。その後、第1モジュール20から第2モジュール30にデータが順次伝送され(S3)、データ伝送が完了すると、命令モードに移行されることを通知する(S4)。前述したように、このようなデータ伝送方式は、遅いだけでなく、データ伝送過程で優先順位の高い他の機能(CAN通信、データ保存機能など)に押し出されてさらに遅延する。それにより、リアルタイムLTE通信が車両MCUに与える負荷が大きくなる。
【0046】
それに対して、図4bにおいては、第1モジュール20(例えば、車両MCU)と第2モジュール30(例えば、LTEモジュール)の通信を中継する通信装置10が適用される。通信装置10は、第1モジュール20とは第1通信(例えば、SPI)を行い、第2モジュール30とは第2通信(例えば、UART)を行う。まず、第1モジュール20からデータ伝送のためのATコマンドを受信して第2モジュール30に伝達し(S1)、第2モジュール30からデータモードへの移行状態の応答を受信して第1モジュール20に伝達する(S2)。データ伝送過程においては、図3を参照して前述したように、第1通信(SPI)により、設定されたサイズ単位(1byte)ずつデータ(例えば、車両の状態データ)を取得し(S31)、設定された遅延時間(例えば、5.16μs)後に次のデータを受信する。同時に、第2通信(UART)により、設定されたサイズ単位(1byte)ずつデータを第2モジュール30に伝送する(S32)。データ伝送が完了すると、第2モジュール30から命令モードへの移行の応答を受信して第1モジュール20に伝達する(S4)。
【0047】
このように、実施形態による車両用通信装置は、異なる通信インタフェース(SPI及びUART)をサポートすることにより、車両MCUとLTE通信モジュールとの間のデータ伝送速度を向上させることができる。また、適切な時間遅延処理により、インタフェースの変換によるデータの漏れを防止することができる。
【0048】
図5は一実施形態による通信装置の動作方法を示すフローチャートである。前述したように、一実施形態による通信装置は、他のモジュールと通信を行うための通信部、及び他のモジュールからデータを取得するか又は伝送する動作を制御するコントローラを含んでもよい。また、通信装置の構成要素をハードウェアとソフトウェアに区分すると、通信インタフェースを変換する集積回路素子(例えば、SPI-to-UART Bridge IC)、及びその動作を制御するドライバから構成されてもよい。
【0049】
図5を参照すると、まず、車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、車両の状態データを取得するステップ(S510)を行う。一実施形態によれば、第1モジュールは、車両内のセンサにより前記車両の状態データを取得及び管理する車両MCUを含み、第1通信のインタフェースは、シリアル同期方式のSPIであってもよい。
【0050】
次に、外部と通信する第2モジュールと第2通信を行い、車両の状態データを第2モジュールに伝送するステップ(S520)を行う。第2モジュールは、外部サーバと長距離通信を行う通信モジュール(例えば、LTEモジュール) を含み、第2通信のインタフェースは、シリアル非同期方式のUARTであってもよい。
【0051】
実施形態によれば、第2通信(UART)に比べて第1通信(SPI)の1秒当たりのデータ伝送速度がより速いため、第2通信のインタフェースのみをサポートする従来技術に比べてデータ伝送速度を向上させることができる。
【0052】
図6は他の実施形態による通信装置の動作方法を示すフローチャートである。
【0053】
図6を参照すると、まず、車両の状態データを管理する第1モジュールと第1通信を行い、設定されたサイズ単位で車両の状態データを取得し、設定された時間遅延後に次のデータを取得するステップ(S610)を行う。
【0054】
一実施形態によれば、前記時間遅延は、第1モジュールから設定されたサイズ単位のデータを取得するのにかかる第1時間、及び第2モジュールに前記設定されたサイズ単位のデータを伝送するのにかかる第2時間を考慮して設定されてもよい。これは、SPIインタフェースを用いたデータ伝送時間(第1時間)とUARTインタフェースを用いたデータ伝送時間(第2時間)との差によるデータの漏れを防止するためのものである。例えば、1byteずつデータを伝送する場合、時間遅延は、5.16μsに設定されてもよい。
【0055】
また、車両用通信装置の送信バッファのサイズは、前記設定された時間遅延、及び前記第1モジュールの送信バッファのサイズによる追加時間遅延を考慮して設定されてもよい。例えば、5.16μsの時間遅延の場合、理論的には、送信バッファのサイズが189,890bytesとなった時点でメモリオーバーフロー(memory overflow)が発生し、データの漏れが発生することがある。加えて、MCU内部のSPI Tx FIFO(First In First Out)レジスタのサイズも64bytesであり、データが全てバッファに収まると、1.012msの遅延が追加発生する。このような環境を全て考慮して、送信バッファのサイズを1408bytesに設定してもよい。
【0056】
次に、外部と通信する第2モジュールと第2通信を行い、車両の状態データを設定されたサイズ単位で第2モジュールに伝送するステップ(S620)を行う。第2モジュール(例えば、LTEモジュール)は、受信した車両の状態データを長距離通信を用いて外部サーバに送信するようにしてもよい。
【0057】
上記実施形態による車両用通信装置の動作方法は、アプリケーションで実現されるか、又は様々なコンピュータ構成要素により実行できるプログラムコマンドの形態で実現され、コンピュータ可読記録媒体に記録されてもよい。前記コンピュータ可読記録媒体は、プログラムコマンド、データファイル、データ構造などを単独で又は組み合わせて含み得る。
【0058】
以上の実施形態によれば、車両MCUとLTE通信モジュールとの間のデータ伝送速度を向上させ、所定サイズ単位のデータ伝送毎に時間遅延によりデータの漏れを防止することができる。それにより、車両MCUの負荷を最小限に抑えながらも、外部とのリアルタイムLTE通信を可能にする。
【0059】
以上、実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するか又は結合して動作することが説明されたが、必ずしもこのような実施形態に限定されるものではなく、目的の範囲内であれば、全ての構成要素が選択的に1つ以上に結合して動作することもできる。なお、以上に記載された「含む」、「構成する」、「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素を内在できることを意味するものであるので、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得るものと解釈されるべきである。
【0060】
以上の説明は、本文書に開示された技術思想を例示的に説明したものにすぎないものであり、本文書に開示された実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本文書に開示された実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。
【0061】
よって、本文書に開示された実施形態は、本文書に開示された技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、そのような実施形態により本文書に開示された技術思想の範囲が限定されるものではない。本文書に開示された技術思想の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと均等な範囲内にある全ての技術思想は本文書の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
【国際調査報告】