(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】低含水量の有機廃棄物を破壊する方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20241219BHJP
C02F 11/06 20060101ALI20241219BHJP
B09B 3/32 20220101ALI20241219BHJP
B09B 3/50 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
H05H1/24
C02F11/06 A ZAB
B09B3/32
B09B3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539934
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2022060909
(87)【国際公開番号】W WO2023126706
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524246159
【氏名又は名称】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
【氏名又は名称原語表記】MESHCHANINOV, Mikhail Aleksandrovich
【住所又は居所原語表記】ul. Gagarina, d. 38, k. 2, kv. 33 Zhukovskiy, 140184 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】524246160
【氏名又は名称】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【氏名又は名称原語表記】AGASAROV, Dmitrii Yanovich
【住所又は居所原語表記】Anrapetutyan Street, d.62, apt.95 0010, Yerevan (AM)
(71)【出願人】
【識別番号】524246171
【氏名又は名称】セルゲイブ, アントン ヴィクトロヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】SERGEEV, Anton Viktorovich
【住所又は居所原語表記】ul. im. Ivana Kiyashko, d. 18, Krasnodar, 350078 (RU)
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【テーマコード(参考)】
2G084
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
2G084AA19
2G084CC08
2G084CC22
2G084CC33
2G084DD12
4D004AA01
4D004CA03
4D004CA43
4D004CB01
4D004DA03
4D004DA07
4D004DA20
4D059AA07
4D059BC10
(57)【要約】
本発明は生活ゴミの処理方法に関し、具体的に、プラズマ化学破壊により低含水量のゴミを処理する方法に関する。本発明の目的は、低含水量の有機廃棄物の破壊方法を提供して、技術案の範囲を広げた技術的効果を達成することである。破壊方法により技術的効果が得られる。低含水量の有機廃棄物を送入口から反応器中に供給し、他にも生物由来の廃棄物を供給する。反応器は密閉空洞の形式で提供され、その内表面は完全又は部分的に導電であり、接地される。電極は反応器中に突出し、接地表面と離される。電極に高圧パルスが提供される。パルスにより、電極と反応器の導電表面との間の間隙にコロナ放電流が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低含水量の有機廃棄物を送入口から反応器中に供給し、他にも生物由来の廃棄物を供給し;前記反応器が密閉空洞の形式を呈し、その内表面の全部又は一部が導電であり、接地され;接地表面と離された電極が反応器中に進入し;電極に高圧パルスが提供され、電極と反応器の導電表面との間の間隙にコロナ放電流が形成されることを特徴とする、低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項2】
前記電極と、前記空洞の内表面における少なくとも1つの導電部との間の間隙寸法が5~50ミリメートルの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項3】
廃棄物を供給する過程で大気が反応器に進入するのを制限することを特徴とする、請求項1に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項4】
前記廃棄物が定量の形式で前記反応器中に供給されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項5】
前記廃棄物が圧縮形式で前記反応器に供給されることを特徴とする、請求項5に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項6】
前記低含水量の有機廃棄物及び生物由来の廃棄物が、同時に又は順番に反応器に供給されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項7】
前記反応器内の圧力が、大気圧より0.1~1.0Pa低下することを特徴とする、請求項1に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【請求項8】
前記反応器の送出口部分に真空が形成されることを特徴とする、請求項7に記載の低含水量の有機廃棄物を破壊する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生活ゴミの処理方法に関し、特にプラズマ化学破壊により低含水量のゴミを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロシア国特許出願公開第2741004号明細書(2021年1月22日公開)の装置における、既知の固体有機廃棄物の処理方法は、蒸気プラズマガス化で変換する方式により、固体有機廃棄物を処理して合成ガスを生成する。高温プラズマ反応器で処理を行い、このうち水蒸気をプラズマサポートガスとして用い、反応領域の温度は約1600から2000℃である。
【0003】
この種の方法の欠点は、大量に加熱する必要があることであり、さらに固体有機生活ゴミに対する処理が徹底的でなく、処理後は合成ガスが生成されるため、これも処理する必要がある。
【0004】
参考文献1に基づくと、大気圧下で放電するプラズマは水に作用し、さらに水分子を破壊するときラジカルが形成されるH2O→OH・+H・。参考文献2に基づくと、水の存在下における有機物質の酸化過程の連鎖反応は大気の酸素及びオゾンにより誘発することができるが、速度は低い。高速の連鎖反応はヒドロキシラジカルにより誘発される。水の量の不足により、ラジカルの濃度は顕著ではなく、有機物質の水中における酸化の連鎖反応を誘発することを許容しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ロシア国特許出願公開第2741004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低含水量の有機廃棄物の破壊方法を提供し、技術案の範囲を広げた技術的効果を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
該技術的効果は破壊方法により得られる。低含水量の有機廃棄物は送入口を介して反応器中に供給され、他にも生物由来の廃棄物が供給される。反応器は密閉空洞の形式で提供され、その内表面は完全又は部分的に導電であり、接地される。電極は反応器中に突出し、さらに該電極は接地表面から離される。電極に高圧パルスが提供される。パルスにより、電極と反応器の導電表面との間の間隙にコロナ放電流が形成される。
【0008】
周知のように、生物由来の廃棄物は98%に達する水を含む(≪ソビエト大百科事典≫の「水」の段落における表2の「藻類」)。反応器中で誘発されるコロナ放電流のプラズマは生物由来の廃棄物中に含まれる水に作用し、含まれる水分子の崩壊H2O→OH・+H・によりラジカルが形成される。このほか、その他の活性物質はコロナ放電流により反応器中でO3、O2(a1Δ)、H2O2、OH、O(3P)、NO、HNO2及びHNO3を形成する。コロナ放電は紫外線(UV)放射も引き起こす。上記活性物質及び紫外線放射は生活ゴミに含まれるいかなる有機及び無機物質、低含水量の有機ゴミに対しても破壊作用を示し、完全に破壊して無害の気体反応生成物、すなわち水及び二酸化炭素を形成する。廃棄物の非有機物は酸により破壊される。
【0009】
言い換えると、該方法は廃棄物中に含まれる有機及び無機物質(低含水量の有機廃棄物を含む)に対するプラズマ化学破壊を提供している。
【0010】
好ましくは、電極と、空洞の内表面における少なくとも1つの導電部分との間の間隙寸法は、5~50ミリメートルの範囲内に設定される。
【0011】
好ましくは、該方法を実施するとき、大気の空気が反応器に進入するのを制限する。
【0012】
好ましくは、廃棄物は定量の形式で反応器に添加される。
【0013】
好ましくは、廃棄物の分量は圧縮形式で反応器中に供給され、同時に大気の空気が反応器に進入するのを制限する。
【0014】
好ましくは、該方法を実施するとき、低含水量の生活ゴミ及び生物由来のゴミを同時に又は相次いで反応器中に供給する。
【0015】
好ましくは、大気圧と比較して、反応器内の圧力は0.1~1.0Pa低下する。
【0016】
該方法の1つの実施案において、反応器の送出口部分に真空が形成され、反応器内の圧力を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、保護を要求する方法を実施する反応器の垂直横断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
該方法は密閉本体1の形式で提供される反応器を使用することにより実現され、底部10は導電であり、接地される。先端9を有する電極6は本体1中に突出する。先端9は本体1の導電底部10から離され、導電底部10に向く。装置11から一部の低含水量の圧縮した有機廃棄物が供給され、一部の生物由来の圧縮した廃棄物が供給された後、本体1の送入口2を介して処理される廃棄物が定量、供給され、同時に大気の空気が本体1に進入するのを制限する。高圧パルス源8から電極6に高圧パルスが提供される。参考文献1から既知であるように、各パルスにより電極6の先端9付近に大量のプラズマ流が出現する。プラズマ流は本体1の導電底部10に向かって倍増及び拡散し始め、次第に電極間の間隙に充填されてストリーマコロナ放電が形成される。コロナ放電のプラズマは反応器に供給された生物由来の廃棄物中に含まれる水に作用し、さらに水分子を破壊するとき、ラジカルが形成されH2O→OH・+H・、これらが形成された後、低含水量の有機廃棄物にも作用する。このほか、その他の活性物質はコロナ放電により反応器中でO3、O2(a1Δ)、H2O2、OH、O(3P)、NO、HNO2及びHNO3を形成する。コロナ放電は紫外線(UV)放射も引き起こす。上記活性物質及びUV放射は、処理される廃棄物中に含まれるいかなる有機及び無機物質にも破壊作用を示し、完全に破壊して無害な気体反応生成物、すなわち水及び二酸化炭素を形成する。廃棄物の非有機物は酸により破壊される。有機物質の水中における酸化過程は連鎖反応である(参考文献2)。低速の連鎖反応は大気の酸素及びオゾンにより誘発することができる。しかしながら、高速の連鎖反応はヒドロキシラジカルのみにより誘発され、反応器において、生物由来の廃棄物中に含まれる水に、コロナ放電のプラズマを作用させることにより引き起こされる。言い換えると、該装置は、廃棄物中に含まれる有機及び無機物質(低含水量の有機廃棄物を含む)に対するプラズマ化学破壊を提供する。破壊された気体生成物は反応器の送出口3を通る。
【0019】
従って、廃棄物中に含まれる有機及び非有機物質(低含水量の有機廃棄物を含む)をプラズマ化学破壊する方法を提供する形式により、特定の技術的効果が得られた。
【0020】
-参考文献-
1.Аристова Н.А., Пискарев И.М., Ивановский А.В., Селемир В.Д., Спиров Г.М., Шлепкин С.И. Инициирование химических реакций под действием электрического разряда в системе твердый диэлектрик-газ-жидкость // Журнал физической химии. 2004. Т. 78. No. 7. С. 1326-1331. (Aristova N.A.,Piskarev I.M.,Ivanovskiy A.V.,Selemir V.D.,Spirov G.M.,Shlepkin S.I.誘電体-気体-液体の配置において放電で誘発される化学反応//ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリ、2004、Vol.78、#7、1326-1331ページ)
2.Пискарев И.М. Окислительно-восстановительные процессы в воде, инициированные электрическим разрядом над ее поверхностью // Журнал общей химии. 2001. Т. 71. Вып. 10. С. 1622. (Piskarev I.M.水面以上の放電で誘発される水中の酸化-還元過程//ジャーナル・オブ・ジェネラルケミストリ、2001、Vol.71、Issue10、1622ページ)
【符号の説明】
【0021】
1 内部空洞を有する反応器本体
2 送入口
3 送出口
4 反応器空洞の内表面
5 反応器空洞の内表面の導電部分
6 点電極
7 絶縁部材
8 高圧パルス源
9 電極端
10 リアクタの導電底部
11 処理される廃棄物を定量、供給する装置
12 反応器の送出部分に降圧させる吸引ファンを有する静電フィルタ
【国際調査報告】