(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】構造化ウェハおよびそれを用いて製造されたオプトエレクトロニクス部品
(51)【国際特許分類】
G02B 5/08 20060101AFI20241219BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
G02B5/08 A
H01S5/02255
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539962
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2022085161
(87)【国際公開番号】W WO2023126155
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】102022100008.7
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オアトナー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブレツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ポイヒャート
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン ゲッツェ
【テーマコード(参考)】
2H042
5F173
【Fターム(参考)】
2H042DA01
2H042DA08
5F173MB03
5F173MC26
5F173MC30
5F173MD35
5F173ME02
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME63
5F173ME69
5F173ME85
5F173MF03
5F173MF28
5F173MF40
(57)【要約】
本発明は、封止オプトエレクトロニクス部品であって、該封止オプトエレクトロニクス部品は、ハウジングと少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品とを備え、オプトエレクトロニクス部品は、空所内に配置されており、空所は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメントによって覆われており、そのため、オプトエレクトロニクス部品は、カバーエレメントとベースエレメントとの間に配置されており、ベースエレメントは、空所を側方で囲む側壁を形成している、封止オプトエレクトロニクス部品に関する。カバーエレメントとベースエレメントとの間には、少なくとも1つの舌片状偏向エレメントを有する1ピースのプレートエレメントが、オプトエレクトロニクス部品によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができる少なくとも1つの光学領域を有する偏向エレメントが空所内に配置されるように配置されている。本発明は、偏向エレメントを有する少なくとも1つのウェハ、封止オプトエレクトロニクス部品の複合体、およびその製造方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線を偏向するための偏向エレメント(14)を備えた封止オプトエレクトロニクス部品(9)の複合体を製造するための構造化ウェハ(2)であって、前記ウェハ(2)は、プレート状であり、長手方向Lおよび横方向Bに延在しており、2つの対向する面領域(2a,2b)を有するプレートであり、格子状に分布した状態で配置され、長手方向Lおよび横方向Bにおいて互いに離間している複数の開口部(20)を有しており、各開口部(20)の領域には、少なくとも1つの舌片状折り曲げ領域(13)が画定されており、前記折り曲げ領域(13)の折り曲げによって、少なくとも1つの光学領域(30)を有する舌片状偏向エレメント(14)をそれぞれ1つ形成することができ、前記舌片状偏向エレメント(14)は、各偏向エレメント(14)が少なくとも1つの第1の軸線(31)を中心にして繰り返し傾けるまたは曲げることができるように、1ピースの構造化ウェハ(2)の一部として可逆的に永久変形可能である、
構造化ウェハ(2)。
【請求項2】
少なくとも1つの偏向エレメント(14)の前記光学領域(30)は、平面状に形成されていることを特徴とする、
請求項1記載の構造化ウェハ。
【請求項3】
以下の特徴:
- 各偏向エレメント(14)は、材料弱化構造体(16)を有する部分を介して前記ウェハ(2)に接続されているため、前記部分においてウェハ材料を曲げるのに必要な変形力が非構造化部分よりも少ない、
- 各偏向エレメント(14)は、切断可能な少なくとも1つの部分領域を介して前記ウェハ(2)に接続されているため、前記偏向エレメント(14)は、前記部分領域の切断後に特に材料弱化構造体(16)のみを介して前記ウェハ(2)に接続されたままである
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項1または2記載の構造化ウェハ。
【請求項4】
以下の特徴:
- 前記材料弱化構造体(16)は、前記ウェハ(2)の厚さDに沿って前記ウェハ材料を部分的に通って延在する凹部(90)を有しており、前記凹部(90)は、一方の面領域(2a,2b)のみを貫通している、
- 前記材料弱化構造体(16)は、前記ウェハ(2)の厚さDに沿って前記ウェハ材料を完全に通って延在する凹部(90)を有しており、前記凹部(90)は、2つの対向する面領域(2a,2b)を貫通している、
- 前記材料弱化構造体(16)は、間に前記材料弱化構造体(16)が配置された領域がウェブ(92,94)を介して互いに接続されるように隣り合って配置されている凹部(90)を有する、
- 前記凹部(90)は、細長く形成されており、その長手方向は、有利には、前記偏向エレメント(14)の傾き軸線または曲げ軸線、特に前記第1の軸線(31)に対して平行に延びている、
- 前記凹部(90)は、前記傾き軸線または曲げ軸線の方向に沿って列状に配置されている、
- 前記列状に配置された凹部(90)は、互いにずらして配置されている
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項3記載の構造化ウェハ。
【請求項5】
各偏向エレメント(14)は、少なくとも2つの偏向部(33,35)を有しており、前記偏向部(33,35)は、前記第1の軸線(31)を中心にして第1の偏向部(33)を傾けるまたは曲げることができ、第2の軸線(32)を中心にして第2の偏向部(35)を傾けるまたは曲げることができ、前記第2の軸線(32)は、前記第1の軸線(31)に対して角度をなすように、特に前記第1の軸線(31)に対して横方向または垂直に配置されるように、材料弱化構造体(16)を介して互いに離間していることを特徴とする、
請求項1から4までのいずれか1項記載の構造化ウェハ。
【請求項6】
各偏向エレメント(14)は、少なくとも1つの偏向部(33)と1つの位置決め部(34)とを有し、これらは、前記偏向部(33)が前記第1の軸線(31)を中心にして傾けるまたは曲げることができ、前記位置決め部(34)が前記第1の軸線(31)に対して平行に配置されたさらなる軸線を中心にして曲げることができるように、材料弱化構造体(16)を介して互いに離間していることを特徴とする、
請求項1から4までのいずれか1項記載の構造化ウェハ。
【請求項7】
封止オプトエレクトロニクス部品(1)の複合体であって、前記複合体は、少なくとも1つのベースエレメントと1つのカバーエレメント(5)とを有するハウジングを形成しており、前記ハウジングのそれぞれ1つの空所(6)内に、複数のオプトエレクトロニクス部品(9)が配置されており、前記空所(6)は、前記ベースエレメントによって形成され、かつ上側が前記カバーエレメント(5)によって覆われており、そのため、前記オプトエレクトロニクス部品(9)は、前記カバーエレメント(5)と前記ベースエレメントとの間に配置されており、前記ベースエレメントは、それぞれ1つの空所(6)を側方で囲む側壁(50)を形成し、前記ベースエレメントは、特に、前記空所(6)を画定する凹部を有する基材および/または支持体(3)ならびにその上に配置された、前記空所(6)を画定する開口部(20)を有するスペーサ(4)を含み、前記カバーエレメント(5)と前記ベースエレメントとの間に、特に請求項1から6までのいずれか1項記載の1ピースの構造化ウェハ(2)が配置されており、前記構造化ウェハ(2)は、舌片状偏向エレメント(14)を有しており、そのため、各空所(6)内には、少なくとも1つの第1の軸線(31)を中心にして折り返されたまたは繰り返し傾けるまたは曲げることができる、少なくとも1つの光学領域(30)を有する舌片状偏向エレメント(14)が配置されており、前記光学領域(30)により、前記オプトエレクトロニクス部品(9)によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができる、
複合体。
【請求項8】
以下の特徴:
- 前記ウェハ(2)は、0.03mm~1.3mmの範囲、有利には0.05mm~0.4mmの範囲の厚さDを有する、
- 前記スペーサ(4)は、0.3mm~3.0mmの範囲、有利には0.7mm~2.6mmの範囲、特に好ましくは0.7mm~1.5mmの範囲の厚さを有する、
- 前記支持体(3)は、0.3mm~3.0mmの範囲の厚さを有する、
- 前記カバーエレメント(5)は、0.1mm~2.0mmの範囲、有利には0.2mm~1.2mmの範囲、特に好ましくは0.3mm~0.8mmの範囲の厚さを有する
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項7記載の複合体。
【請求項9】
以下の特徴:
- 前記ウェハ(2)は、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチックもしくはこれらの材料の混合物を含むかまたはこれらからなる、
- 前記支持体(3)または基材は、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはセラミックを含むかまたはこれらからなる、
- 前記ベースエレメントまたは前記スペーサ(4)は、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはセラミックを含むかまたはこれらからなる、
- 前記カバーエレメント(5)は、ガラス、特に電磁放射線に対して透明なガラスを含むかまたはこれらからなる、
- 前記カバーエレメント(5)は、強化ガラスおよび/または硬化ガラスを含むかまたはこれらからなる
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項7または8記載の複合体。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか1項記載の複合体から製造可能な封止オプトエレクトロニクス部品(1)であって、前記封止オプトエレクトロニクス部品(1)は、ハウジングと少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品(9)とを備え、前記オプトエレクトロニクス部品(9)は、空所(6)内に配置されており、前記空所(6)は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメント(5)によって覆われており、そのため、前記オプトエレクトロニクス部品(9)は、前記カバーエレメント(5)と前記ベースエレメントとの間に配置されており、前記ベースエレメントは、前記空所(6)を側方で囲む側壁(50)を形成し、前記ベースエレメントは、前記空所(6)を画定する少なくとも1つの凹部(90)を有する基材および/または支持体(3)ならびにその上に配置された、前記空所を画定する少なくとも1つの開口部(20)を有するスペーサ(4)を含み、前記カバーエレメント(5)と前記ベースエレメントとの間に、少なくとも1つの折り曲げられた舌片状偏向エレメント(14)を有する1ピースのプレートエレメントは、前記空所(6)内に少なくとも1つの光学領域(30)を有する舌片状偏向エレメント(14)が配置されており、前記光学領域(30)により、前記オプトエレクトロニクス部品(9)によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができるように配置されている、
封止オプトエレクトロニクス部品(1)。
【請求項11】
以下の特徴:
- 少なくとも前記偏向エレメント(14)の前記光学領域(30)は、ミラー領域として形成されている、
- 少なくとも前記偏向エレメント(14)の前記光学領域(30)は、構造化および/またはコーティングされている、
- 前記コーティングは、誘電体材料、金属および/または誘電体層の層系を含む
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項10記載の封止オプトエレクトロニクス部品。
【請求項12】
以下の特徴:
- 前記偏向エレメント(14)を、前記空所(6)内に可逆的に折り曲げることができる、
- 前記偏向エレメント(14)を、前記偏向エレメント(14)の前記光学領域(30)が前記カバーエレメント(5)または前記オプトエレクトロニクス部品(9)の方向に電磁放射線を偏向できるように傾けるまたは斜めにすることができ、前記オプトエレクトロニクス部品(9)は、前記電磁放射線を側方で受光または放射し、その結果、前記電磁放射線は、傾斜した状態で前記光学領域(30)に入射する、
- 前記折り曲げられた偏向エレメント(14)は、前記支持体(3)に固定されている、
- 前記偏向エレメント(14)は、変形されておりかつ/または変形可能であり、特に前記偏向エレメント(14)は、凹形状または凸形状を有する
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項10または11記載の封止オプトエレクトロニクス部品。
【請求項13】
前記偏向エレメント(14)によって偏向された電磁放射線の角度を、少なくとも1つのアクチュエータ(80)によって、前記オプトエレクトロニクス部品(9)の動作中に可逆的に変更または制御することができることを特徴とする、
請求項10から12までのいずれか1項記載の封止オプトエレクトロニクス部品。
【請求項14】
少なくとも1つのアクチュエータ(80)は、前記電磁放射線の入射側とは反対側、すなわち前記偏向エレメント(14)の後方に、前記アクチュエータによって前記偏向エレメント(14)の位置が変更可能となるように配置されていることを特徴とする、
請求項13記載の封止オプトエレクトロニクス部品。
【請求項15】
以下の特徴:
- 前記偏向エレメント(14)は、少なくとも2つの偏向部(33,35)を有し、前記偏向部(33,35)は、第1の偏向部(33)が前記第1の軸線(31)を中心にして傾けるまたは曲げることができ、第2の偏向部(35)が第2の軸線(32)を中心にして傾けるまたは曲げることができ、前記第2の軸線(32)は、前記第1の軸線(31)に対して角度をなすように、特に前記第1の軸線(31)に対して横方向または垂直に配置されるように、材料弱化構造体(16)を介して互いに離間しており、各偏向部(33,35)の下方に少なくとも1つのアクチュエータ(80)が配置されており、これにより、前記偏向エレメント(14)によって偏向されるビームの角度を、少なくとも2つの軸線において静的または動的にフレキシブルに調整することができ、
- 各偏向エレメント(14)は、少なくとも1つの偏向部(33)と1つの位置決め部(34)とを有し、これらは、前記偏向部(33)が前記第1の軸線(31)を中心にして傾けるまたは曲げることができ、前記位置決め部(34)が前記第1の軸線(31)に対して平行に配置されたさらなる軸線を中心にして曲げることができるように、材料弱化構造体(16)を介して互いに離間しており、少なくとも1つのアクチュエータ(80)は、前記位置決め部の下方、すなわち前記位置決め部(34)と前記ベースエレメントとの間に配置されている
のうちの少なくとも1つを特徴とする、
請求項10から14までのいずれか1項記載の封止オプトエレクトロニクス部品。
【請求項16】
特に請求項10から15までのいずれか1項記載の封止オプトエレクトロニクス部品の製造方法であって、
- プレート状ウェハ(2)の前記面領域(2a,2b)の少なくとも1つに切れ目を生成し、
- 前記ウェハ(2)上に、所定の互いに離隔した複数の閉経路(10)に沿って切れ目を生成し、
- 前記ウェハ(2)上に、所定の互いに離隔した複数の接続経路(12)に沿って切れ目を生成し、
- 前記閉経路(10)の前記切れ目は、一方の面領域(2a)から対向する面領域(2b)に向かって前記ウェハ(2)を通って延在しており、
- 前記接続経路(12)の前記切れ目は、前記ウェハ(2)に少なくとも間接的に接続されたままの舌片状折り曲げ領域(13)を形成するエリアが各接続経路(12)に隣接して形成されるように、材料弱化構造体(16)を生成し、
- 複数のオプトエレクトロニクス部品(9)、空所(6)を有するベースエレメント、前記ウェハ(2)、および少なくとも1つのカバーエレメント(5)を提供し、
- それぞれ1つのオプトエレクトロニクス部品(9)を空所(6)内に配置し、前記ウェハ(2)を前記カバーエレメント(5)と前記ベースエレメントとの間に配置することにより、封止オプトエレクトロニクス部品(1)の複合体、特に請求項7から9までのいずれか1項記載の複合体を製造し、
- 少なくとも1つの折り曲げ領域(13)を、少なくとも1つの偏向エレメント(14)またはすべての偏向エレメント(14)が空所(6)内に傾けられるように傾け、
- 前記空所(6)間の分離線(45)に沿った封止オプトエレクトロニクス部品(1)の複合体の個別化により個々の封止オプトエレクトロニクス部品(1)を得る、
方法。
【請求項17】
少なくとも前記カバーエレメント(5)、前記ウェハ(2)および/または前記ベースエレメントまたは前記支持体(3)および前記スペーサ(4)にアライメントマークを設けることにより、前記エレメント同士の正確な位置決めを可能にすることを特徴とする、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記カバーエレメント(5)、前記ウェハ(2)および前記ベースエレメントを超短パルスレーザにより溶接し、すべてのエレメントを、焦点合わせの変更により異なる深さで溶接し、それにより単一の作業工程で互いに接続することを特徴とする、
請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一部の経路(10,11)の領域でのレーザビームの入射エネルギーによって、前記ウェハ(2)の体積中にフィラメント状損傷(103)を生成し、前記フィラメント状損傷(103)の長さは、前記ウェハ(2)の面領域(2a,2b)に対して80°~10°の角度で延びており、特に前記面領域(2a,2b)に対して垂直には延びていないことを特徴とする、
請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総じて、電磁放射線、特に所定の波長の光を放射または受光するための封止オプトエレクトロニクス部品に関する。特に本発明は、封止された端面発光型レーザダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード、特にいわゆるエッジエミッティングレーザダイオード(EELD)、すなわちウェハまたはチップベースで製造された端面発光型レーザダイオードのようなオプトエレクトロニクス部品は通常、耐用年数を延長するために、乾燥したハーメチックシールハウジング内で動作される。このような場合、ダイオードから放出された光は、側方にある窓部からハウジングを出るか、またはプリズムやミラーによる偏向後にダイオードの上方にある窓部を通ってハウジングを出る。
図1および
図2はそれぞれ、先行技術から知られているこれら2つの構造形態のうちの1つを示している。
【0003】
ハウジングのベース材料は、この場合には総じて好ましくはシリコン製あるいはガラスもしくはガラスセラミック製である。ビームがハウジングから出る際のビーム品質への影響を最小限にするため、透過領域および/または反射領域は通常、片面または両面が研磨された光学領域として設計される。
【0004】
例えばウィンドウ、プリズム、ミラーなどのマイクロシステム技術における光学コンポーネントの製造およびその組み立てによるハーメチックシールハウジングの構築は、どちらかといえば単一部品製造の条件に相応しており、時間や手間がかかり、したがってコストがかかる。
【0005】
一般的に、空所のある平らな基材または空所のある基材であって例えばガラスやガラスセラミック製のものおよび窓部が封止またはボンディングによって接合され、接続されることでハーメチックシールハウジングが形成される。プリズム、特に端面発光型ダイオードを基材平面に対して垂直に取り付けることも多大な労力を必要とするため、高コストにつながる。
【0006】
さらに、ダイオードから放出される光の偏向装置を作製するための側壁の傾斜構造化は、例えばプロセスに起因する粗さまたは凹凸によって引き起こされる加工表面の光学特性を低下させる。
【0007】
米国特許出願公開第2018287334号明細書では、例えば、ベースエレメントと、ベースエレメント上に配置された半導体レーザと、半導体レーザを取り囲むように形成された側壁部と、透光性カバーと、を備える光源装置が記載されている。側壁部はこの場合、傾斜反射面を有しているため、半導体レーザから発せられた光がカバーに向かって反射される。シリコンのこのような傾斜壁の作製は、例えば結晶方位に応じた異方性エッチングによって、特に特別に選択された角度で、例えば45°の角度で行われるが、手間がかかり、高いコストを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明は、ハウジング内の光学的セットアップを容易にかつフレキシブルに構成可能に設計すること、特にまた、特にオプトエレクトロニクス部品、例えばレーザダイオードのハーメチックシールハウジングを、並行して可能な限りウェハベースで大量に提供および製造することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な発展形態は、それぞれの従属請求項に示される。
【0010】
したがって本発明は、電磁放射線を偏向するための偏向エレメントを備えた封止オプトエレクトロニクス部品の複合体を製造するための構造化ウェハに関する。ウェハは、プレート状であり、長手方向および横方向に延在しており、2つの対向する面領域を有するプレートであり、格子状に分布した状態で配置されかつ長手方向および横方向に互いに離間した複数の開口部を有する。各開口部の領域には、少なくとも1つの舌片状折り曲げ領域が画定されており、折り曲げ領域の折り曲げによって、少なくとも1つの光学領域を有する舌片状偏向エレメントをそれぞれ1つ形成することができ、この偏向エレメントは、各偏向エレメントが少なくとも1つの第1の軸線を中心にして繰り返し傾けるまたは曲げることができるように、1ピースの構造化ウェハの一部として可逆的に永久変形可能である。
【0011】
繰り返し傾けることが可能な偏向エレメントによって、偏向エレメントの光学領域を、有利にも封止オプトエレクトロニクス部品内で例えば0°~90°の任意の角度で設定することができる。このようにして、ダイオードから放出される光ビームを所望のように調整することができる。
【0012】
有利には、少なくとも1つの偏向エレメントの光学領域は平面状に形成されているため、特に、ダイオードから放出される光ビームまたは壁もしくはカバーエレメントから来る光ビームは均一に偏向される。平面状に形成された領域により、光をより良好に偏向することができ、例えば反射させることができる。
【0013】
舌片状とは、本発明の趣意において、舌片状折り曲げ領域の少なくとも一部および/または舌片状偏向エレメントの少なくとも一部がウェハに接続されていることと理解される。有利には、別の部分が開口部内に突出している。ここで、舌片状折り曲げ領域および/または舌片状偏向エレメントは、細長く形成されていてよく、かつ1つの狭面でウェハに接続されていてよい。逆に、1つの長手面がウェハに接続されていてもよい。
【0014】
同様に、舌片状折り曲げ領域および/または舌片状偏向エレメントが矩形または正方形の形状を有することも可能である。しかし、例えば楕円形、円形、部分的な円形、台形、三角形の形状、またはそれぞれ1つの部分がウェハに接続されている総じて自由形状の領域など、他の形状も同様に考えられる。総じて、舌片状折り曲げ領域あるいは舌片状偏向エレメントは、長手方向および横方向に延在することができる。ここで、長手面を横面より長く形成することも、横面を長手面より長く形成することも可能である。
【0015】
封止オプトエレクトロニクス部品の製造を簡略化し、かつより安価に設計するために、通常はまず多数の個々の部品が複合体として製造され、これらが後に個別化される。したがって有利な一実施形態では、開口部間の分離線に沿ってウェハの一部を切り離すことによって、フレームとフレームに接続された少なくとも1つの偏向エレメントとを有する開口部をそれぞれ1つ有する個別化された1ピースのプレートエレメントを得ることができるように、開口部が配置されていることが提供される。
【0016】
したがってこの課題は、封止オプトエレクトロニクス部品の複合体であって、該複合体は、少なくとも1つのベースエレメントと1つのカバーエレメントとを有するハウジングを形成しており、ハウジングのそれぞれ1つの空所内に、複数のオプトエレクトロニクス部品が配置されており、空所は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメントによって覆われており、そのため、オプトエレクトロニクス部品は、カバーエレメントとベースエレメントとの間に配置されており、ベースエレメントは、それぞれ1つの空所を側方で囲む側壁を形成し、ベースエレメントは特に、空所を画定する凹部を有する基材および/または支持体ならびにその上に配置された、空所を画定する開口部を有するスペーサを含み、カバーエレメントとベースエレメントとの間におよび/または支持体と基材との間に、特に先行する請求項のいずれか1項記載の1ピースの構造化ウェハが配置されており、構造化ウェハは、舌片状偏向エレメントを有しており、各空所内には、少なくとも1つの第1の軸線を中心にして折り返されたまたは繰り返し傾けるまたは曲げることができる、少なくとも1つの光学領域を有する舌片状偏向エレメントが配置されており、光学領域により、オプトエレクトロニクス部品によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができる、複合体によっても解決される。
【0017】
ベースエレメント、特に基材も同様にウェハとして形成されていると有利である。同様に、支持体および/またはスペーサもウェハとして形成されていてよい。さらなる一実施形態では、カバーエレメントもウェハとして形成されていてよい。これらのエレメントのうちの少なくとも1つ、または有利にはこれらのエレメントのうちの複数または全部がウェハ状であれば、これらのエレメントを特に容易に積層および/または互いに整列させることができるため、封止オプトエレクトロニクス部品の複合体を特に容易に製造することができる。したがって複合体は、好ましくは少なくとも4枚のウェハ、特にカバーウェハ、偏向エレメントを有するウェハ、支持体ウェハおよびスペーサ-ウェハを有する。
【0018】
したがって複合体は、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、有利には複数を有する:
- ウェハ、特に構造化ウェハおよび/または少なくとも1つの偏向エレメントが、0.03mm~1.3mmの範囲、有利には0.05mm~0.4mmの範囲の厚さを有する、
- スペーサが、0.3mm~3.0mmの範囲、有利には0.7mm~2.6mmの範囲、特に好ましくは0.7mm~1.5mmの範囲の厚さを有する、
- 支持体が、0.3mm~3.0mmの範囲の厚さを有する、
- カバーエレメントが、0.1mm~2.0mmの範囲、有利には0.2mm~1.2mmの範囲、特に好ましくは0.3mm~0.8mmの範囲の厚さを有する。
【0019】
このようにして、例えばスペーサは、ダイオード、特に端面発光型ダイオードの収容に特に適した十分な高さの空所を提供する。カバーエレメントは、有利にはスペーサおよび/または支持体よりも薄い。1つ以上の可動偏向エレメントを提供するために、ウェハあるいは構造化ウェハは理想的には、薄いガラスウェハとして形成されており、かつ/またはカバーエレメントおよび/もしくは支持体よりも薄い。
【0020】
さらなる実施形態により、以下の特徴のうちの少なくとも1つが提供される:
- ウェハが、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、金属、プラスチックもしくはこれらの材料の混合物あるいは組み合わせを含むかまたはこれらからなる、
- 支持体または基材が、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはセラミックを含むかまたはこれらからなる、
- ベースエレメントまたはスペーサが、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはセラミックを含むかまたはこれらからなる、
- カバーエレメントが、ガラス、特に電磁放射線に対して少なくとも部分的に透明なガラスを含むかまたはこれらからなる、
- カバーエレメントが、強化ガラスおよび/または硬化ガラスを含むかまたはこれらからなる。
【0021】
支持体または基材がガラス、ガラスセラミックおよび/またはセラミック製である場合、支持体または基材は、特に好ましい一実施形態では、特に支持体あるいは基材上にオプトエレクトロニクス部品を配置できるようにサブマウントおよび/または電子、特に多層プリント基板として設計することもできる。さらなる一実施形態では、サブマウント領域はさらに、熱伝導性エポキシ層によってヒートシンクに接続されている。最良の場合には、オプトエレクトロニクス部品は、支持体または基材を介して電源回路またはスイッチング回路にも接続することができる。
【0022】
電磁放射線をハウジング外へまたはハウジング内へ透過させるために、少なくともカバーエレメントおよび/またはスペーサあるいは基材は、1つ以上の波長範囲の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過性を有する材料、特にガラスを含む。側方出射を達成するために、有利にはスペーサあるいは基材は、電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過性を有する材料を有する。上方に出射する封止オプトエレクトロニクス部品の場合、カバーエレメントは好ましくは、電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過性を有する材料を有する。このような材料は好ましくは、電磁放射線が封止オプトエレクトロニクス部品あるいはカバーエレメントに上方から入射する実施形態においても使用される。
【0023】
このように構成された封止オプトエレクトロニクス部品の複合体を、個々の封止オプトエレクトロニクス部品の製造に容易に使用することができる。
【0024】
したがってこの課題は、封止オプトエレクトロニクス部品、特に、上記に示した複合体から製造可能であるかまたは製造された封止オプトエレクトロニクス部品によっても解決することができる。封止オプトエレクトロニクス部品は、ハウジングと少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品とを備え、オプトエレクトロニクス部品は、空所内に配置されており、空所は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメントによって覆われており、そのため、オプトエレクトロニクス部品は、カバーエレメントとベースエレメントとの間に配置されている。ベースエレメントは、空所を側方で囲む側壁を形成し、ベースエレメントは、空所を画定する少なくとも1つの凹部を有する基材および/または支持体ならびにその上に配置された、空所を画定する少なくとも1つの開口部を有するスペーサを含む。カバーエレメントとベースエレメントとの間には、少なくとも1つの折り返された舌片状偏向エレメントを有する1ピースのプレートエレメントが、オプトエレクトロニクス部品によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができる少なくとも1つの光学領域を有する偏向エレメントが空所内に配置されるように配置されている。
【0025】
封止オプトエレクトロニクス部品は、ウェハベースであるいは複合体から個別化により特にコスト効率よく製造されるため、封止オプトエレクトロニクス部品の形状が矩形または正方形であることが提供可能である。その場合、このような部品の辺長は、例えば3mm~12mm、有利には5mm~7mmとすることができる。7×7mmの正方形寸法、または5×10mmの矩形寸法が特に好ましい。このような寸法は、マイクロエレクトロニクス用途に特に好適であり、この用途分野の他の部品との適合性がある。しかし、辺長が12mm超および/または3mm未満の他の寸法も実現可能である。同様に、オプトエレクトロニクス部品は、他の形状、例えば楕円形、円形、台形または三角形、特に例えば平行四辺形のような側壁が互いに傾斜角度である形状を有することもできる。
【0026】
特定の一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ、有利には2つ以上のアクチュエータが、1つ以上のアクチュエータによって偏向エレメントを整列できるように、特に、1つ以上のアクチュエータによる偏向エレメントの整列によって、光源/ダイオードから放出される光のビーム経路を動作中に可逆的に変更または制御できるように、配置されている。
【0027】
さらなる一実施形態では、偏向エレメントが変形されておりかつ/または変形可能であること、特に偏向エレメントが凹形状または凸形状を有することが提供される。例えば、偏向エレメントが波面に適合したミラーとして、有利には電磁放射線、特に所定の波長範囲の波面に適合したミラーとして形成されていることが考えられる。
【0028】
この課題はまた、特に封止オプトエレクトロニクス部品の製造方法、特に、上述の封止オプトエレクトロニクス部品の製造方法であって、
- プレート状ウェハの面領域の少なくとも1つに切れ目を入れ、その際、
- ウェハ上に、所定の互いに離隔した複数の閉経路に沿って切れ目を生成し、
- ウェハ上に、所定の互いに離隔した複数の接続経路に沿って切れ目を生成し、
- 閉経路の切れ目は、一方の面領域から対向する面領域に向かってウェハを通って延在しており、
- 接続経路の切れ目は、ウェハに少なくとも間接的に接続されたままの舌片状折り曲げ領域を形成するエリアが各接続経路に隣接して形成されるように、材料弱化構造体を生成し、
- 複数のオプトエレクトロニクス部品、空所を有するベースエレメント、ウェハ、および少なくとも1つのカバーエレメントを提供し、
- それぞれ1つのオプトエレクトロニクス部品を空所内に配置し、ウェハをカバーエレメントとベースエレメントとの間に配置することにより、封止オプトエレクトロニクス部品の複合体、特に前述の複合体を製造し、
- 少なくとも1つの折り曲げ領域を、少なくとも1つの偏向エレメントまたはすべての偏向エレメントが空所内に傾けられるように傾け、
- 複合体、特に封止オプトエレクトロニクス部品のウェハ複合体を空所間の分離線に沿って個別化することにより、個々の封止オプトエレクトロニクス部品、特に上述の封止オプトエレクトロニクス部品を得る
方法によっても解決される。
【0029】
このように折り曲げられた偏向エレメントは、偏向光学領域、特にミラー領域として機能し、その光学特性は、例えばウェハの反射特性(屈折率、反射率)、表面品質(うねり、粗さ)、および場合により施与されたコーティングの特性によって決定される。
【0030】
折り曲げられたミラーあるいは偏向エレメント上で反射する際の、またはガラス領域や折り曲げられたミラーを透過する際のオプトエレクトロニクス部品の放射レーザビームの品質を、一貫した光学特性によって保証するためには、光学領域との直接接触は避けるべきである。したがって、さらなる一実施形態では、構造化ウェハとカバーとの間にさらなるスペーサが配置され、これにより領域間の直接接触を防止する。
【0031】
有利な一実施形態では、レーザ、特に超短パルスレーザによってウェハに少なくとも切れ目を生成することが提供される。有利には、切れ目あるいはフィラメントの貫通深さを正確に決定および制御するために、レーザ材料加工法、特にレーザフィラメンテーションが使用される。
【0032】
本発明につき、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図面中、同一の参照符号は、それぞれ同一のまたは対応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】先行技術から知られている封止レーザダイオードの一構造形態を示す図である。
【
図2】先行技術から知られている封止レーザダイオードの一構造形態を示す図である。
【
図3】レーザによるウェハの損傷の生成の概略図である。
【
図4】複数の損傷を有するガラスエレメントの概略図である。
【
図5】偏向エレメントを有するウェハを製造するための切断経路の概略的な推移を示す図である。
【
図6】偏向エレメントを有するウェハの概略上面図である。
【
図7】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略上面図である。
【
図8】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略上面図である。
【
図9】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略上面図である。
【
図10】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略上面図である。
【
図11】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略断面図である。
【
図12】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略断面図である。
【
図13】材料弱化構造体の様々な実施形態の概略断面図である。
【
図14】封止オプトエレクトロニクス部品の複合体の個別化の概略図である。
【
図16】封止オプトエレクトロニクス部品およびそのコンポーネントの構造の概略図である。
【
図17】突起を有するカバーエレメントを備えた封止オプトエレクトロニクス部品を示す図である。
【
図18】偏向エレメントの傾斜縁部の製造の概略図である。
【
図19】スペーサの傾斜縁部を備えた封止オプトエレクトロニクス部品を示す図である。
【
図20】偏向エレメントの各種整列を示す図である。
【
図21】偏向エレメントの各種整列を示す図である。
【
図22】偏向エレメントの各種整列を示す図である。
【
図23】偏向部および位置決め部を備えた偏向エレメントの概略図である。
【
図24】2つの偏向部を備えた偏向エレメントの概略図である。
【
図25】偏向エレメントの各種幾何学的形状の構造形態を示す図である。
【
図26】偏向エレメントの各種幾何学的形状の構造形態を示す図である。
【
図27】偏向エレメントの各種幾何学的形状の構造形態を示す図である。
【
図28】偏向エレメントの各種幾何学的形状の構造形態を示す図である。
【
図29】レーザビームを2つの互いに独立した方向に位置決めおよび整列できるように偏向エレメントが互いに回転されている2つの構造化ウェハを備えた複合体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1および
図2はそれぞれ、先行技術の一構造形態200を示す。
図1には例えば、封止レーザダイオードチップ203の一構造形態200が図示されている。レーザダイオードチップ203は、サブマウント202上に配置されており、サブマウント202は、セラミック基材に施与されている。キャビティが製造されるが、この製造は、蓋部205が側方に窓部204を有し、この窓部204の間にキャビティが形成されることにより行われる。蓋部205は、カプセルがハーメチックシールされるように、接着剤206によって窓部204に接続されている。レーザダイオードチップ203は、光ビーム150が側方で窓部204を通って出るように、セラミック基材201に沿って光を放射する。
【0035】
図2は先行技術の別の一構造形態200を示しており、この場合、光ビーム150は、側方ではなく一定の所定の角度で蓋部205を通って上方に出射する。この場合、レーザダイオードチップ203によって放射された光ビーム150は、セラミック基材201上に配置されたミラープリズム207によって一定の角度で上方に偏向される。この構造形態の場合、キャビティは、くり抜かれたセラミック基材201によって形成される。
【0036】
図1および
図2に示す構造形態200の欠点は、光ビーム150の出射角度をフレキシブルに選択することができず、特に個別に選択することができず、とりわけ、後から、すなわち封止レーザダイオードの取り付け後に変更することができないことである。特に、個々の偏向エレメント、例えばウェハ複合体中の小型プリズムの形態の偏向エレメントの取り付けも非常に手間がかかる。
【0037】
したがって、
図3~
図16は、特に舌片状折り曲げ領域を有する封止オプトエレクトロニクス部品1の製造方法を示しており、少なくとも1つの光学領域30を有する舌片状偏向エレメントを、折り曲げ領域13の折り曲げにより形成することができる。ここで、偏向エレメント14は、少なくとも1つの第1の軸線を中心にして繰り返し傾けるまたは曲げることができるが、特に偏向エレメント14の角度あるいはその位置を、場合によっては封止レーザダイオードの取り付け後になおも変更することも可能である。
【0038】
第1の工程ではまず、特にガラスまたはガラスセラミック製のプレート状ウェハ2が提供される。特に好ましくは、ウェハ2は薄いガラスウェハである。ウェハ2は、0.03mm超、好ましくは0.05mm超、特に好ましくは0.1mm超かつ/または1.3mm未満、好ましくは0.4mm未満の厚さDを有する。このような厚さは、封止オプトエレクトロニクス部品1の追加エレメントとして使用するのに特に好適である。
【0039】
有利な一実施形態では、ウェハ2は、ホウケイ酸ガラスを含むかまたはこれからなることができる。しかし、以下の化学組成のうちの1つを使用することもでき、その際、以下の組成:
SiO2 58~65
B2O3 6~10.5
Al2O3 14~25
MgO 0~3
CaO 0~9
BaO 3~8
ZnO 0~2
は重量%単位で示されており、ただし、MgO、CaOおよびBaOの含有量の合計は、8~18重量/の範囲である。
【0040】
ウェハ2の組成は、以下の組成により例示される:
SiO2 30~85
B2O3 3~20
Al2O3 0~15
Na2O 3~15
K2O 3~15
ZnO 0~12
TiO2 0.5~10
CaO 0~0.1。
【0041】
ウェハ2の組成は、以下の組成により例示することも可能である:
SiO2 40~50
B2O3 10~20
Al2O3 10~20
As2O3 1未満
BaO 20~30
CaO 1未満。
【0042】
ウェハ2の組成は、以下の組成により例示することも可能である:
SiO2 70~82
B2O3 10~20
Al2O3 1~10
Na2O 1~10
K2O 1未満
Fe酸化物 1未満
Cl酸化物 1未満。
【0043】
このような組成物は、レーザプロセスで特に良好に加工あるいは構造化できる。さらに、このようなガラスは、偏向エレメントを大幅な破損リスクなく曲げられるようにするのにも特に好適である。有利には、ガラスあるいはウェハの組成は、その熱膨張係数が支持体、カバーエレメントおよび/またはスペーサの熱特性に適合するように選択される。このようにして、特にオプトエレクトロニクス部品が動作中に加熱された際の部品間の応力を回避または少なくとも低減することができる。
【0044】
図3に例示するように、ウェハ2は、さらなる工程で次のように超短パルスレーザまたはレーザアブレーションにより構造化することができる:
- 超短パルスレーザ101のレーザビーム100は、プレート状ウェハ2の面領域2aの一方に照射され、有利には集光光学系102を用いてウェハの材料に集光され、特に長く延びた焦点が形成される。レーザビーム100の入射エネルギーによって、ウェハ2の体積中にフィラメント状損傷103が生成され、その長さは、ウェハ2の面領域2a,2bに対して横方向に、特に面領域2a,2bに対して垂直に延びており、フィラメント状損傷103を生成するために、超短パルスレーザ101は、1パルス、または少なくとも2つの連続するレーザパルスを含む1パルスパケットが照射される、
- ウェハ2へのレーザビーム100の衝突点は、互いに離隔した複数の所定の経路10,11,12に沿って誘導されるため、
- 経路上の隣り合う複数のフィラメント状損傷103が導入される。
【0045】
適切なレーザパラメータを選択することにより、損傷103の寸法および間隔に影響を与え、またはさらには調整することができる。適切なレーザ源は本発明によれば、波長1064ナノメートルのネオジムドープイットリウム・アルミニウム・ガーネット・レーザ(Nd:YAGレーザ)とすることができる。レーザ源は、例えば(1/e2)直径12mmの生ビームを生成する。光学系として、焦点距離16mmの両凸レンズを使用することができる。生ビームの生成には、例えばガリレオ式望遠鏡などの適切なビーム整形光学系を用いることができる。レーザ源は有利には、1kHz~1000kHz、有利には2kHz~100kHz、特に好ましくは3kHz~200kHzの繰り返し率で動作する。ここで、繰り返し率および/または走査速度は、隣り合う損傷間の所望の間隔が達成されるように選択することができる。
【0046】
Nd:YAGレーザの他の変種、例えば周波数二倍化(SHG)または周波数三倍化(THG)により生成される532nmあるいは355nmの波長、またはさらにはYb:YAGレーザ(発光波長1030nm)も同様に、ビーム源として適切に使用することができる。
【0047】
1レーザパルスが複数の単一パルスに分割され、その複数の数が10未満、好ましくは8未満、好ましくは7未満かつ/または1超、好ましくは2超、好ましくは3超であることも考えられる。これらの単一パルスは、まとまって1パルスパケット、いわゆるバーストを形成することができ、特に連続するレーザパルスで放出される。有利には、これらの単一パルスは、面領域2a,2bの同一の箇所あるいは同一の位置に向けられ、その結果、連続する単一パルスによって損傷103がさらに拡張され、特に、例えばウェハ2の全厚Dあるいは体積を通って延在するチャネルが生成される。
【0048】
示された例に限定されるものではないが、
図4には、ウェハ2内に生成されたフィラメント状損傷103の配置が例示されている。ここで、ウェハは、長手方向Lおよび横方向Bに延在する。したがって、経路10,11,12は、長手方向Lおよび横方向Bに沿っている。このようにして、ウェハ2の領域全体を、有利には規則的に配置された部分領域104に分割することができ、各部分領域104はそれぞれ、光学コンポーネント用の適切な開口部を提供することができる。このような開口部は、後のプロセス工程で生成することができる。
【0049】
一実施形態では、複数の損傷103がウェハ2内に生成されることにより、理想的にはウェハ2の穿孔を損傷103により特に部分領域104の周囲に形成することができる。この目的のために、有利には複数の損傷103が、有利には経路10,11,12によって画定される損傷103の列がより大きな構造を表すように、隣り合って生成される。損傷103は、特にフィラメント状チャネルとして形成されており、その長手方向は、ウェハ2の少なくとも1つの面領域2a,2bに対して横方向に延びる。ここで、チャネルは、少なくとも1つの面領域2aから、特にこの面領域2aからウェハ2内に垂直に延在し、少なくともこの面領域2aを貫通する。しかし有利には、チャネルは、例えば
図1に図示するように、一方の面領域2aから対向する面領域2bまで延在する。
【0050】
示された例に限定されるものではないが、
図5には各種経路10,11,12が例示されている。したがって、損傷103は、閉経路10、開経路11および接続経路12に沿って生成することができる。各経路10,11,12は、有利には各種構造を提供するため、例えば、閉経路10は、予定された部分領域104を囲み、この部分領域104はそれぞれ、光学コンポーネントの開口部20を提供することができる。有利には、閉経路10に隣接して、開経路11が延在するかあるいはこれを生成することが可能である。開経路11は、特に一端が閉経路10に隣接し、他端が接続経路12に隣接する。この場合、開経路11は、閉経路10の部分区間の延長として形成されていてよい。
【0051】
開経路11と接続経路12との間に、さらに舌片状折り曲げ領域13を画定することもできる。この場合、好ましくはそれぞれ1つの舌片状折り曲げ領域13が1つの部分領域104に配置されており、部分領域104は、少なくとも1つの開経路11および/または少なくとも1つの閉経路10によって折り曲げ領域13から分離することができる。しかし、折り曲げ領域13は、閉経路10に少なくとも部分的に囲まれ、特に、閉経路10とは反対側で接続経路12に隣接することもできる。これは例えば、折り曲げ領域13が部分的な円形状または部分的な楕円形状に形成されている場合に該当する。接続経路12は、この場合、閉経路10の2つの角部の間に位置する。
【0052】
閉経路10および/または開経路11が、少なくとも1つの、有利には複数の切断可能な部分領域によって中断されているため、特に、各折り曲げ領域13が、さらなるプロセス工程の間に部分領域を介してウェハ2に接続されたままとなるようにすることが考えられる。
【0053】
折り曲げ領域13は、エッチング工程後に折り曲げが可能であり、その際、折り曲げ領域13がウェハ2に少なくとも間接的または直接的に接続されたままとなるように配置されるのが最良である。間接的な接続とは、ここでは、材料弱化構造体による接続を意味すると理解される。有利には、それぞれ1つの折り曲げ領域13の折り曲げにより、それぞれ1つの偏向エレメント14が形成される。したがって、偏向エレメント14は、折り曲げ領域13に適合する形状を有することができ、その逆も同様である。
【0054】
有利には、閉経路10、開経路11および/または接続経路は、特にウェハ2の長手方向Lおよび/または横方向Bに沿って直線状に延在する。この場合、部分領域104あるいは開口部は、矩形または正方形に形成されていてよい。しかし、経路10,11,12は、特に折り曲げ領域13あるいは偏向エレメント14が少なくとも1つの丸みを帯びた縁部または角部を有するように、湾曲状あるいは曲線状に、例えば部分的な円形状に延在していてもよい。
【0055】
一実施形態では、ウェハは、フィラメント状損傷103の導入後、特に経路10,11,12に沿ってエッチング媒体300に曝され、
- エッチングにより、閉経路10のチャネルと開経路11のチャネルとの間のウェハ材料が除去されてチャネルが一体化するまでチャネルの直径が拡大され、その結果、格子状に分布した状態で配置されかつ互いに離間した複数の開口部20、およびそれに接して配置された舌片状折り曲げ領域13がウェハ2内に形成され、
- エッチングにより、接続経路12のチャネル間のウェハ材料の一部が除去されるまでチャネルの直径が拡大され、この除去は、各接続経路12の領域に材料弱化構造体16が形成され、開経路11間のまたは開経路11と閉経路10との間の折り曲げ領域13が、材料弱化構造体16によってウェハ2に接続されたままの偏向エレメント14を形成するように行われる。
【0056】
代替的な一実施形態では、ウェハ2の部分領域104を、好ましくはより小さい矩形領域の形態で構造化することができ、特に材料の穿孔が矩形の3辺で実施されるように行うことができる。換言すれば、閉経路10および/または開経路11に沿った材料の穿孔を、例えばレーザあるいはレーザフィラメンテーションによる損傷103の導入により行うことができる。次いで、部分領域104あるいは折り曲げ領域13を、有利には破断プロセスによる機械的応力の導入によって開くことができる。しかし、矩形の第4の辺で、特に接続経路12上で材料が構造化され、この構造化は、有利にはこの領域が内側の矩形または異なる形状の折り曲げ領域13の曲げまたは折り曲げのヒンジとして機能するように材料が可逆的に永久変形可能であるように行われる。
【0057】
したがって、本発明の趣意における切れ目は、閉経路10、開経路11および/または接続経路12がエッチングプロセスまたは機械的プロセスの過程で変更、例えば拡大または破断されたものと定義することができる。しかし、経路10,11,12は切れ目であると理解することもでき、なぜならば特に、切れ目は経路10,11,12と同様に延在するためである。
【0058】
したがって
図6には、互いに離隔した開口部20を有する構造化ウェハ2が例示されている。各開口部20には折り曲げ領域13が配置されており、この折り曲げ領域13を、例えば機械的応力の作用により折り曲げることで偏向エレメント14を形成することができる。この場合、偏向エレメント14あるいは折り曲げ領域13は、有利には接続経路12と同様に延在する材料弱化構造体16を介してウェハ2に接続されている。
【0059】
したがって、各偏向エレメント14が、材料弱化構造体16を有する部分を介してウェハ2に接続されているため、この部分においてウェハ材料を曲げるのに必要な変形力が非構造化部分よりも少ないと有利である。このようにして、偏向エレメント14を数回、特に有利には何度でも曲げるまたは有利には折り曲げるもしくは傾けることができる。この場合、傾斜角度を理想的にも例えば90°~0°の範囲で自由に選択することができるため、想定される用途に応じて光を適切に偏向させることができる。
【0060】
さらなる一実施形態では、各偏向エレメント14が、切断可能な少なくとも1つの、有利には複数の部分領域によってウェハ2に接続されているため、偏向エレメント14が、部分領域の切断後に特に材料弱化構造体16のみを介してウェハ2に接続されたままであることが提供される。このようにして、特に、ガラス加工およびダイオードの組み立てあるいは個々のエレメントの組み立てによるオプトエレクトロニクス部品1の形成が互いに別個に行われる場合のウェハ2の取り扱いおよび輸送を容易にすることができる。偏向エレメント14は、この場合には輸送中に固定され、無制御に傾くおそれがない。
【0061】
以下の特徴のうちの少なくとも1つも考えられる:
- 材料弱化構造体16が、ウェハ2の厚さDに沿ってウェハ材料を少なくとも部分的に通って延在する凹部90を有しており、凹部90が一方の面領域2aのみを貫通する、
- 材料弱化構造体16が、ウェハ2の厚さDに沿ってウェハ材料を完全に通って延在する凹部を有しており、凹部が、2つの対向する面領域2a,2bを貫通している、
- 材料弱化構造体16が、間に材料弱化構造体が配置された領域がウェブ92,94を介して互いに接続されるように隣り合って配置されている凹部90を有する、
- 凹部90が、細長く形成されており、その長手方向は有利には、偏向エレメント14の傾き軸線または曲げ軸線、特に第1の軸線31に対して平行に延在する、
- 凹部90が、傾き軸線または曲げ軸線の方向に沿って列状に配置されている、
- 凹部が、傾き軸線または曲げ軸線の方向に沿って列状に配置されており、列状に配置された凹部90は、互いにずらして配置されている。
【0062】
図7は、材料弱化構造体16の一実施形態を示す。ウェハ2が、その一方の面領域2aの上面図の部分範囲として図示されている。ウェハの表面が、ここでは斜線の領域として図示されている。有利には、ウェハ2は、ガラス、特に薄板ガラスからなる。ウェハ2は、この部分範囲において、3つの部分、すなわち、凹部90を有する材料弱化構造体16の形態の第1の部分と、材料弱化構造体16に続く第2の部分15と、折り曲げ領域13あるいは偏向エレメント14と、に分割することができる。第2の部分は、偏向エレメント14を取り囲むウェハ2の領域であって、該領域に偏向エレメント14が材料弱化構造体16を介して少なくとも間接的に固定されている領域を表す。ここで、材料弱化構造体16は、第2の部分15と偏向エレメント14との間に位置する。第2の部分15および偏向エレメント14あるいは折り曲げ領域13は有利には、閉じた平坦な表面を有し、したがって特に凹部90を有していない。それとは対照的に、一実施形態による材料弱化構造体16の凹部90は、一方の面領域2aから対向する視認不可能な面領域2bへの通路あるいは貫通孔を形成する。
【0063】
一方で、折り曲げエレメントのウェハへの接続を材料弱化構造体なしで実現することも考えられ、また可能である。この場合、ガラスの曲げによって折り曲げエレメントを所定の位置にすることも同様に可能である。このような実施形態は、厚さが50μm未満、有利には30μm以下の非常に薄いガラスに特に適している。
【0064】
図7に図示された具体例に限定されるものではないが、凹部90は総じて、隣り合う平行線91の配列状に配置されている。これらの線は、例えば第1の軸線31または第2の軸32に対して平行に延在することができ、これらの軸線を中心にして偏向エレメント14を折り曲げるあるいは傾けることができる。凹部の列91は有利には、平行に配置されている。このようにすると、隣り合う列91の凹部90間の間隔が一定に保たれる。列91内の凹部90は、第1のウェブ92によって分離されている。さらに、隣り合う列91の開口部90は、第2のウェブ94によって分離されている。したがって、材料弱化構造体16は総じて、相互接続された第1および第2のウェブ92,94から構成され、その間に凹部90が配置されている網目と表現することもできる。
【0065】
凹部90あるいはウェブ92,94のメッシュによって材料弱化構造体16は高い可撓性を有するため、材料弱化構造体16のウェハ2を容易に曲げることができる。この可撓性は、材料弱化構造体16を形成するためにウェハ2に細長い凹部90を導入した場合に特に高くなる。特に、凹部90の長手方向が列91の長手方向に延びていると有利である。ウェブ92,94の形状およびそのそれぞれの寸法により、曲げ力に影響を及ぼすことができ、かつこれを低減することができる。総じて、図示された実施例に限定されるものではないが、ウェブ92,94の配置および形状は、凹部90の長手方向に対して垂直な曲げ軸線に比べて第1の軸線31、特に凹部90の長手方向に沿った曲げ軸線の方が材料弱化構造体16の可撓性が高くなるように設計されている。好ましい曲げ軸線、特に凹部91の長手方向に沿った方向の第1の軸31を
図7に示す。曲げ軸線は、第2の部分15と折り曲げ領域13あるいは偏向エレメント14との間の境界線95に沿って延びているため、材料弱化構造体16は、偏向エレメント14を有利には何度でも折り曲げかつ/または所望の角度で傾けるためのヒンジを提供する。
【0066】
さらに、
図7から明らかであるように、隣り合う列91の第1のウェブ92は、互いにずらして配置されている。第1のウェブは、第2のウェブ94の懸架点をも画定している。これらの懸架点のずれた配置により、第1の部分9の曲げは、第2のウェブ94のねじれによって部分的に緩和される。曲げ応力がねじり応力に変換されるという非常に有利な効果は、脆性材料に発生する最大引張応力が、曲げられたより強固なプレートに発生する引張応力と比較して低減されるということである。したがって、脆性材料製のエレメントは、全般的な構想として、偏向エレメント14の曲げがウェブ92,94の少なくとも1つの部分量のねじれをもたらすように相互接続されたウェブ92,94のメッシュによって特徴付けることもできる。
【0067】
図7に示す例示的な実施形態では、ねじれひずみを受ける第2のウェブ94の数は、ウェブ92,94の総数の約半分である。好ましい一実施形態によれば、ウェブ、特に第1および第2のウェブ92,94がメッシュを形成し、ウェブが、メッシュ内のウェブの少なくとも1つの部分量が材料弱化構造体16の曲げ2の際にねじり応力を受けるように相互接続されており、部分量が、メッシュ内のウェブの総数の少なくとも3分の1を含むことが総じて好ましい。
【0068】
偏向エレメント14の曲げに加えて、材料弱化構造体16に沿って一軸引張力によってひずみを生じさせることもできる。この場合、ウェブは、面領域2a,2bに対して平行な面内で曲げによって引張力を吸収する。この曲げにより、付随する凹部90の端部でのひずみを収束することができる。
図7の実施形態と同様に、丸みを帯びた輪郭、特に丸みを帯びた端部を有する輪郭を有する凹部90を設けることが、この理由から総じて好ましい。これらの端部は特に、列91に沿った方向で、対向する位置に存在する。丸みを帯びた輪郭とは、凹部90が直線状部分を有する場合もあることを意味するわけではない。実際に、
図7の実施形態は、細長い凹部90の長手方向に沿って延在する輪郭の直線状セグメント93を有する。丸みを帯びた輪郭とは、凹部90の輪郭がシャープな縁部を有しないことを意味する。
【0069】
図8および
図9は、材料弱化構造体16内の凹部90のメッシュの2つの実施形態を示している。8の実施形態は、7に示したものと同様である。したがって凹部90は、細長く、長手方向の直線状縁部を有する丸みを帯びた輪郭を有する。しかし、
図9の実施形態の凹部90およびウェブ92,94の形状は、より複雑である。総じて、図示された特定の実施形態に限定されるものではないが、凹部90は、その長手方向に沿って様々な幅を有する。すなわち凹部90は、長手方向に離隔した2つの幅最大部17を有し、これら2つの最大部17の間に幅最小部18が存在する。
【0070】
同様に、第2のウェブ94は、2つの幅最小部19を有する。これらの最小部19aは、ウェブ94の長手方向に離隔している。さらに、第2のウェブ94の幅最小部19の間に幅最大中間部19bが存在している。
【0071】
凹部90の輪郭は、
図8の実施例と比較してより複雑であるが、いずれの実施例においても、凹部90または第2のウェブ94の輪郭は、少なくとも1つの直線状セグメント96を有する。特に、さらなる一実施形態によれば、第2のウェブ94の幅最大中間部19bの位置は、直線状部分96に存在している。同様に、凹部の幅最小中間部18の位置は、直線状セグメント96に沿って存在している。対向する直線状セグメント96が平行に配置されている場合、これらの特徴は、長手方向、すなわち特に線91の方向に沿って延びる最小部および最大部をもたらす。このことは、輪郭に沿った材料弱化構造体16の曲げの際に発生し得る最大引張応力を広げ、それによって低減するために有利である。
【0072】
凹部90およびウェブ92,94の各寸法が主応力に及ぼす影響について、以下でさらに詳細に説明する。この目的のために、有限要素解析を用いて基本設計およびそのいくつかの変形例の特性を調べた。
図10は、基本構造の材料弱化構造体16を各寸法で示している。例えば、第1のウェブ92は0.1mmの長さを有し、第2のウェブ94は0.05mmの最小幅を有する。凹部90は、3mmの長さを有し、0.1mm~0.2mmの間で変化する幅を有する。参照エレメント1の厚さは、100μmである。
【0073】
第1の解析では、第1のウェブ92の各長さを調べる。長さは、50μm、100μm(参照)、200μm、300μmである。有限要素解析により、ひずみのS11成分において、50MPaの場合に曲げ半径がほぼ一定のままであることが判明した。しかし、S22成分は、第1のウェブ92の長さが長くなるにつれて著しく減少する。ウェブ長さ300μmに対して50MPaで曲げ半径は3mmである。したがって、一実施形態によれば、総曲げ応力を低減するために、第1のウェブ92の長さは、ウェハ厚さDと少なくとも同じ大きさであり、有利には少なくとも2倍の大きさである。
【0074】
第2の解析では、凹部90の各長さを調べる。具体的には、長さ2mmおよび3mmの凹部を比較した。解析により、凹部90の長さは主ひずみに強い影響を与えないことが判明した。したがって、さらなる一実施形態による凹部90は有利には、ウェハ2の厚さDの少なくとも25倍の長さを有する。しかし、長さが大きすぎると、一方の面領域2a,2bに対する圧力に対する安定性が低下する。したがって、凹部90の長さを、最大でもウェハ厚さの100倍に制限することが好ましい。
【0075】
第3の解析では、第2のウェブ94の最小幅を変化させる。具体的には、最小幅50μmの参照モデルに加えて、さらに25μm、35μmおよび70μmの幅を調べた。最小ウェブ幅の減少がS11成分に及ぼす影響は小さいが、S22成分は著しく減少する。しかし一方で、ウェブ幅が小さいと、非常に繊細で壊れ易い構造になる。したがって、さらなる一実施形態によれば、第2のウェブ92の最小幅は、有利にはウェハ2の厚さDよりも小さく、特に好ましくはウェハ2の厚さDの0.3~0.6倍の範囲である。
【0076】
図11~
図13は、材料弱化構造体16のさらなる実施形態を示す。
図11では例えば、ウェハ2が、その厚さDに沿った断面図で図示されている。例示されている実施形態では、凹部90が、ウェハ2の厚さDに沿ってウェハ材料を部分的にのみ通って延在するため、凹部90が、一方の面領域2aのみを貫通している。したがって、切れ目も同様に、厚さDに沿ってウェハ材料を部分的にのみ貫通している。したがって、切れ目、すなわち凹部90も、ウェハ材料に異なる深さまで突出することができる。この場合、ウェブ、特に第1のウェブ92および/または第2のウェブ94は、厚さDに対して同様の高さで形成されていてよい。しかし、ウェブが異なる高さを有することも考えられる。例えば、第1のウェブ92は、第2のウェブ94よりも低くても高くてもよい。有利には、ウェブの高さはウェハの面領域2a,2bの少なくとも一方と同一平面上にあり、特にウェブの上縁部と面領域2a,2bとが同一平面上にある。
【0077】
さらなる一実施形態では、
図12の例にしたがって、ウェハの両面領域2a,2bに凹部90を配置することができる。この場合も同様に、凹部90が、ウェハ2の厚さDに沿ってウェハ材料を部分的にのみ通って延在している。しかし、両面領域2aおよび2bを凹部90が貫通しており、特にそれぞれ2つの対向する面領域を凹部が貫通している。こうすることで、残りの残留材料の可撓性が増すため、曲げプロセス中に生じる応力をより容易に緩和させることができるか、あるいはこうした応力がそもそも全く生じない。有利には、対向する凹部90は、特に例えば面領域2bの凹部90が対向する面領域2aに配置される2つの凹部の間に配置されるように、互いにずらして配置されている。しかし、凹部90は、上下に、あるいはその各面領域2a,2bに対して対向するように配置することもできる。
【0078】
さらなる一実施形態では、
図13の例にしたがって、凹部90または凹部90の少なくとも一部が、傾斜角度、特に90°でない角度でウェハに切り込まれていてよい。このようにして、材料弱化構造体16を所望の曲げ方向に適合させることができる。このような傾斜凹部90を、当然のことながら、例えば
図11および
図12に示すような他の実施形態と組み合わせることもできる。例えば、ウェハ2の一方の面領域2a上の凹部90がウェハ2内に横方向に、特に垂直方向に延在し、対向する面領域2b上の凹部90が材料内に斜めに延在することも考えられる。このようにして、例えば曲げ角度を、特に偏向エレメントを最大角度までしか傾けることができないように制限することができる。
【0079】
総じて、示された例に限定されるものではないが、凹部90およびウェブ92,94、特に材料弱化構造体は、示されていないさらなる実施形態を有することができる。例えば、偏向エレメントは総じて、局所的な片側または両側の薄肉化(「局所的な薄肉化」)が例えばエッチングプロセスにより行われることによって、折り曲げ領域を備えることができる。原理的には、
図11から
図13の実施形態でも確かに薄肉化が提供されているが、この場合にはより複雑な構造化が行われる。
【0080】
例えば、ウェブは、矩形または正方形の突起として形成されていてもよい。さらに、凹部90は異なる形状に構成されていてもよく、例えば凹部90は、台形状やほぼ三角形状に形成されていてもよいし、丸みを帯びた窪みとして形成されていてもよい。しかし、ウェハ2の閉じた表面が所望される場合、この目的のために凹部90に有機材料、例えばプラスチック、ゴムまたは接着剤が充填されていてよい。用途によっては、凹部90の一部を開いたままにしておくことも有意義である場合がある。このようにして、凹部90の数の少なくとも部分量または一部に有機材料が充填されたウェハ2を提供することができる。
【0081】
凹部90に有機材料が充填された実施形態の一発展形態によれば、有機材料が、偏向エレメント14の撓みによって反力が最高で最大量だけ変化するように選択および適合されていることが提供される。この変化は、開いた凹部を有する、すなわち有機材料が充填された凹部90を有しない実施形態と比較して測定される。
【0082】
有利には、ベースエレメントを用いて封止オプトエレクトロニクス部品1を製造することもできる。好ましくは、ベースエレメントは、支持体3と、その上に配置され、オプトエレクトロニクス部品9を挿入することができる空所6を画定する開口部20を有するスペーサ4と、を含む。好ましくは、これらの空所6は、スペーサ4の厚さに適合する高さを有する。これは例えば、0.5mm超の値、好ましくは0.7mm超の値および/または3.0mm未満の値、好ましくは2.6mm未満の値、特に好ましくは1.5mm未満の値により規定することができる。特に好ましくは、厚さは0.5mm~1mmである。支持体の厚さは有利には、0.5mm~1mmの値で規定することができる。一実施形態では、支持体および/またはスペーサはウェハとして形成されている。
【0083】
支持体3とスペーサ4との組み合わせに代えて、特に基材または基材ウェハとして形成されるベースエレメントは、さらなる一実施形態では上流の製造プロセスにより空所6として設計することも可能である。同様の構造を
図2に例示する。この場合、スペーサ-ウェハ4を省くことができる。しかし、1つ以上の空所6の前述の高さ値を維持することもできる。
【0084】
別の一実施形態では、空所6が支持体4の凹部とスペーサ4の凹部との双方によって画定されることが考えられる。この場合、スペーサ4および支持体3は、それぞれの凹部が共通の空所6または共通の開口部を画定するように重ねて取り付けることができる。このようにすることで、空所6または開口部の高さを確保することができると同時に、スペーサ4の厚さを減少させることができるため、全体としてよりコンパクトな構造形態が可能となる。
【0085】
スペーサについて以下に詳述する。
図14および
図15に、スペーサ4、特にスペーサ-ウェハの例が図示されている。
図14の実施形態では、円形のスペーサ4が示されている。スペーサ4の丸い形状は、例えばウェハレベルパッケージングプロセスに好都合であり、このプロセスでは、スペーサ4が、分離前に、封止オプトエレクトロニクス部品1の他のコンポーネント、例えば偏向エレメント14を有するウェハ2または支持体3に接続される。
【0086】
スペーサ4は特に、スペーサ4から部分40を切り離すことにより、オプトエレクトロニクス部品9のハウジング用のスペーサを生成するために使用される。総じて、スペーサ4には有利には、特にこれに一般的に使用される材料とのウェハ複合体において熱機械応力を低く抑えるために、10×10-6K-1未満、好ましくは8×10-6K-1未満の膨張係数を有するガラスが使用される。したがって、スペーサ4は有利には、透明な板ガラスを含むかまたはそれからなる。これは、格子状に分布した状態で配置されかつ互いに離間した複数の開口部20を有する。開口部20の間に延びる分離線45に沿ってスペーサ4の部分4を切り離すと、それぞれ閉じた周縁を有する開口部20を有する個別化されたスペーサが得られる。しかし封止オプトエレクトロニクス部品1のコンポーネントを接続してから個別化を行うこともできる。
【0087】
さらに一実施形態によれば、スペーサ4は、厚さのばらつき(TTV=Total Thickness Variation)が非常に小さい。スペーサ4の厚さのばらつきは、本実施形態では10μm未満、好ましくは5μm未満、有利には2μm未満、特に好ましくは1μm未満である。この低いTTV値は、封止オプトエレクトロニクス部品1をウェハ面上で組み立てる際に各種ウェハを面全体で互いに接続できるようにするためにとりわけ好都合であり、かつ必要である。低いTTV値は、スペーサ4に施与されたあるいはスペーサ4に接続された光学コンポーネントを非常に正確に位置決めできるようにするためにも好都合である。低いTTVは、特に光学システムにおいて可能な限り等しい距離の保持を達成するためにも重要である。
【0088】
スペーサ4の特に好ましい一実施形態によれば、開口部20の側壁50はそれぞれ、少なくとも1つの平坦部52、有利には少なくとも2つの平坦部52を有し、これらの平坦部52は特に、互いに横方向に配置されている。光は、側壁50がレンズあるいはシリンドリカルレンズとして作用することなく、または他の様式で光の空間強度プロファイルを変形させることなく、これらの平坦部52を通過することができる。
【0089】
総じて、図示された具体例に限定されるものではないが、開口部20の側壁50が4つの平坦部52を有することもできる。この場合、特にそれぞれ2つの平坦部52が互いに対向していてもよい。この特徴は特に、開口部20が矩形または正方形の基本形状を有する場合に満たされる。しかしこの特徴は、矩形または正方形の開口部20の角部が丸みを帯びている場合にも満たされる。
【0090】
図15は、開口部20を有するスペーサ4の部分範囲の透視図である。開口部20は側壁50を有し、これらの側壁50の少なくとも1つ、特にすべての側壁が、粗さを有する微細構造化21を有する。この粗さは、500μmの測定距離で、3μm未満、特に2μm未満、特に好ましくは0.5μm未満の平均粗さ値Raを有する。微細構造化21は、
図15において、不規則に配置された大きさの異なる円および楕円によって表されている。スペーサ4の外壁またはウェハ2の外壁も同様に、このような微細構造化21を有することができる。ウェハ2およびスペーサ4の双方は、例えば
図3に示すような超短パルスレーザ、および場合によってはさらにはその後のエッチングプロセスにより構造化することができる。
【0091】
この場合特に、開口部20の側壁50の粗さは、レーザおよびエッチングのパラメータの適切な選択によって調整することができる。有利なことに、1パルスパケット内の単一パルスの数を適切に選択することによって、設けられる開口部20の周囲に生成される側壁50に影響を及ぼすことができ、特に側壁50の構造を狙いどおりに調整することができる。レーザパルスの総出力は、1パルスパケットの場合あるいは1バースト内で複数の単一パルスに分散されるため、各パルスが有するエネルギーは、単一のレーザパルスに比べて低くなる。その結果、単一パルスの数が多いほど、個々の各単一パルスのエネルギーは低くなる。特に、パルス群の総エネルギーを単一パルスに均等に分散させることができる。
【0092】
さらに、超短パルスレーザをバーストモードで動作させる場合、繰り返し率をバースト出力の繰り返しレートとすることができる。さらに、単一パルスは、時間的にずれた状態でウェハの面領域2a,2bあるいは損傷に当たるため、各単一パルスによって、側壁50の以前に生成された状態が変化する。このように、バーストの単一パルスの数を選択することによって、側壁50を狙いどおりに構造化および変化させることができる。
【0093】
ここで、レーザ源の典型的な出力は、特に好都合には20~300ワットの範囲である。損傷/チャネルを得るために、本発明の有利な一発展形態によれば、400マイクロジュールを超えるパルスおよび/またはパルスパケットのパルスエネルギーが使用され、さらに有利には500マイクロジュールを超える総エネルギーが使用される。レーザパルスの適切なパルス持続時間は、100ピコ秒未満、好ましくは20ピコ秒未満の範囲である。
【0094】
しかし、15ps未満、好ましくは10ps未満、好ましくは5ps未満のパルス持続時間を選択することも提供可能である。有利にはその上さらに、平滑な側壁50、特に低い粗さあるいは低い平均粗さ値を有する側壁50を作製するために、1psのパルス持続時間が使用される。ここで、パルス持続時間が長くなるにつれて粗さを高めることができる。この理由の1つはガラスの熱挙動にあると考えられ、なぜならば、パルス持続時間が長くなると、結果的にガラスはレーザのエネルギーに長く曝されることになり、ひいてはそれにより生じるレーザビームの熱にも曝されることになるためであり、これは特に、熱的に安定でないガラスに例えば膨張による損傷を与える。結果として、パルス持続時間を、ひいては理想的には側壁50の粗さをも正確に選択することにより、ガラスエレメントのガラスを特別な様式で損傷させることができる。バースト周波数は、15MHz~90MHzの範囲、好ましくは20MHz~85MHzの範囲であり、例えば50MHzである。
【0095】
また、損傷103が互いに間隔をあけて配置され、この間隔が20μm未満、好ましくは15μm未満、好ましくは10μm未満および/または1μm超、好ましくは2μm超、好ましくは3μm超である場合も有利である。しかし、損傷103間の間隔は、5μm超および/または100μm未満、好ましくは50μm未満、好ましくは15μm未満とすることもできる。損傷103の直径に関係なく、隣り合う損傷103間の間隔をピッチと呼ぶこともでき、これはすなわち例えば、同時にまたは特に前後して互いに間隔をずらして放出されるレーザパルス間の間隔である。ここで、この間隔は、損傷103の中心から中心まで、またはパルスの中心から隣り合って放出されたパルスの中心まで測定される。損傷103の間隔を選択することにより、チャネル間の部分を意図的にレーザ加工する必要なく後続のエッチングプロセスのみに供する場合に、粗さに影響を及ぼすことができる。有利にはチャネル間の部分あるいは損傷103の間隔は、有利にはスペーサ4またはウェハ2の厚さに相当する寸法を有する。
【0096】
側壁50の構造あるいは粗さを最適に調整できるようにするため、以下の関係のうちの少なくとも1つを設定することができる:
- バースト×パルス持続時間=一定
- ピッチ/アブレーション=一定。
【0097】
これらの関係を考慮すると、レーザパラメータ、特にピッチおよびバースト、あるいは1パルスパケットの単一パルスの数が側壁50の粗さにかなりの影響を及ぼすことは明らかである。
【0098】
ウェハ2の製造例で説明されるように、生成される開口部20を取り囲む閉経路に沿って損傷103が配置されていてよい。したがって、スペーサ4の開口部20を生成するために、さらなる工程で損傷103をウェハの製造例のように追加のエッチングプロセスで拡大させ、この拡大を、連続的な切れ目が生成され、閉経路内の開口部20をこのようにして開くことができる程度に行うことを提供することができる。
【0099】
ここで、エッチング媒体はガス状であってよいが、有利にはエッチング溶液である。したがって、一実施形態によれば、エッチングは湿式化学的に行われる。これは、エッチング中に損傷の内面からガラス成分を除去するのに好都合である。これにより、側壁50に、要件に適合するように低い粗さ、特に有利にはドーム状の凹みを付与するか、あるいはそのような側壁50を生成することができる。このような凹みは、例えば微細構造化21の一部であり、
図15では、異なる大きさの円および楕円として図示されている。
【0100】
有利には、スペーサ4および/またはウェハ2全体がこのエッチング媒体に曝されるため、例えば複数の開口部を同時にあるいは1つの製造工程で生成することができる。この目的のために、酸性溶液およびアルカリ性溶液の双方を使用することができる。酸性エッチング媒体としては、特にHF、HCl、H2SO4、二フッ化アンモニウム、HNO3溶液またはこれらの酸の混合物が適している。塩基性エッチング媒体には、例えばKOH アルカリ液やNaOHアルカリ液が該当する。理想的には、使用されるエッチング媒体は、エッチングされるガラスエレメントのガラスに応じて選択される。
【0101】
一実施形態では、微細構造化を設定するためのアブレーション速度は、ガラス組成あるいはスペーサ4および/またはウェハ2の材料組成とエッチング媒体の組成との組み合わせを選択することによって調整することができる。例えばカルシウム含有量の多いガラスには、例えば好ましくは酸性エッチング媒体が選択され、カルシウム含有量の少ないガラスには、有利には塩基性エッチング媒体が使用される。一方で、アブレーション速度、すなわちエッチング速度は、酸性エッチング媒体やケイ酸塩含有量の多いガラスの場合には塩基性エッチング媒体の場合よりもはるかに高くなるが、酸性エッチング媒体はまた、既に溶解している物質によってもはるかに迅速に中和され、したがってエッチング媒体が消費されるかあるいはガラスで飽和される。したがって、スペーサ4および/またはウェハ2の材料組成に応じて、高いアブレーション速度を設定するために酸性エッチング媒体を選択することも、低いアブレーション速度を設定するために塩基性、特にアルカリ性エッチング媒体を選択することもできる。
【0102】
しかし、アブレーションをより良好には制御できるようにするためには、より遅いアブレーション速度あるいは塩基性エッチング媒体が好ましくは選択される。その結果、5μm/h未満、好ましくは4μm/h未満、好ましくは3μm/h未満かつ/または0.3μm/h超、好ましくは0.5μm/h超、好ましくは1μm/h超、好ましくは1.5μm/h超、特に2μm/h~2.5μm/hのアブレーション速度を達成することができる。このようなアブレーション速度は有利に、エッチング工程中であってもエッチング媒体あるいはエッチング工程になおも影響を与えるのに十分な時間を許容する。
【0103】
その他の可変エッチングパラメータは、例えば添加剤の供給や温度である。例えば40℃~150℃の温度が好ましい。この温度により、スペーサ4および/またはウェハ2の材料の溶解されるイオンあるいは成分の十分な移動度が得られる。
【0104】
もう1つの因子は、時間である。例えば、スペーサ4および/またはウェハ2がエッチング媒体に数時間、特に30時間より長く、または例えば10時間だけ曝される場合、総じて比較的高度のアブレーションを達成することができる。一方で、ガラスエレメントを30時間未満、例えば10時間だけエッチング媒体に曝すことによりアブレーションを制限することも可能である。総じて、アブレーション速度は、温度、エッチング媒体の組成、エッチングの持続時間、ならびにスペーサ4および/またはウェハ2の材料の組成によって規定される。高いアブレーション速度、特に毎時2μm超のアブレーション速度を設定することにより、例えば15nm未満の平均粗さ値(Ra)を達成することができる。
【0105】
さらに、ウェハ2またはスペーサ4の面領域の所定の領域、例えばウェハ2の折り曲げ領域13のような所定の領域をエッチング媒体から遮蔽することも提供可能である。これは例えば、ウェハ2またはスペーサ4をエッチング媒体の体積内に保持する特定のホルダを使用することによって実現することができる。さらに、ウェハ2またはスペーサ4がエッチング媒体に曝される前にウェハ2またはスペーサ4上に配置される特定の成形エレメントも考えられる。また、ウェハ2またはスペーサ4がエッチング媒体に曝される前にウェハ2またはスペーサ4の選択された領域に保護層、例えばポリマー層を施与することも可能である。このようにして、これらの領域の40nm未満、好ましくは25nm未満の平均粗さ値(Ra)、ひいては特に平滑な表面を達成することができる。
【0106】
このプロセスに基づき、ウェハ2および/またはスペーサ4の開口部20の側壁は、ドーム状の凹みを有する。ドーム状の凹みは、理想的には側壁の特定の微細構造化21を形成し、これにはいくつかの利点がある。例えば、丸みを帯びた構造あるいはドームは、縁部表面に発生する引張応力を側壁表面の最深点、すなわちドームの最深点まで低減するのに特に好都合な形状を示す。これにより、縁部表面の起こり得る欠陥での亀裂の成長が効果的に抑制される。
【0107】
有利には、側壁の、凸状領域を有する領域割合は、5%未満、有利には2%未満である。したがって理想的には、凹状領域、すなわちドーム状の凹みを有する領域の領域割合は、側壁表面の95%より大きく、有利には98%より大きい。ここで、凹状とは、ウェハ2/スペーサ4の方向に膨らみが延在することを意味し、凸状とは、ウェハ2/スペーサ4から離れる方向、すなわち開口部20の方向に膨らみが延在することを意味する。理想的には横寸法が有利には5~20μmである場合に、ドーム状の凹みの深さは、典型的には5μm未満である。
【0108】
さらに、アブレーション速度を狙いどおりに調整することによりドームの深さおよびサイズあるいは寸法の変更が可能であることも考えられる。例えば、より高いアブレーション速度で、より平らでより幅の広いドームを形成することができ、その結果、側壁の表面をより平滑に形成することができる。
【0109】
そして、封止オプトエレクトロニクス部品1を製造するために、複数のオプトエレクトロニクス部品9、空所6を有するベースエレメント、特にエッチングされたウェハ2、および少なくとも1つのカバーエレメント5を提供することができる。有利にはベースエレメントは、支持体3およびスペーサ4を有し、これが空所6を形成する。その後、これらの部品を重ねて配置することができる。この目的のために、それぞれ1つ以上のオプトエレクトロニクス部品9が空所6内に配置され、ウェハ2がカバーエレメント5とスペーサ4との間に配置されることにより、特に封止オプトエレクトロニクス部品9の複合体が提供される。ここで、少なくとも1つの偏向エレメント14またはすべての偏向エレメント14が、空所6内に傾けられる。
図16には、このような複合体が断面で例示されており、わかりやすくするために、空所6の部分範囲のみが、それぞれその中およびその周囲に配置されたコンポーネントとともに図示されている。
【0110】
オプトエレクトロニクス部品9は有利には、ベースエレメント、基材または特に好ましくは支持体3の直上に配置される。しかし、オプトエレクトロニクス部品9がそれぞれサブマウント上に配置されており、このサブマウントがベースエレメント、基材または特に好ましくは支持体3上に配置されていることも考えられる。代替的な一実施形態では、オプトエレクトロニクス部品9をカバーエレメント9上に配置することもできる。カバーエレメントは総じて、300μm~700μmの厚さを有することができる。
【0111】
各オプトエレクトロニクス部品9にはさらに例えば、ベースエレメント、基材または支持体3に設けられた1つ以上の電気フィードスルーを介して電力供給することができる。例えば、少なくとも1つまたは複数のオプトエレクトロニクス部品9をボンディングワイヤでフィードスルーに接続することができ、またそれに接続されていてよい。少なくとも1つまたは複数のオプトエレクトロニクス部品9はさらに、SMD部品として形成されていてよい。この場合、フィードスルーに、はんだボールが施与されていてよい。当然のことながら、ここにもさらなる多くの構造形態が存在する。さらなる可能な構造形態では、例えば支持体3が半導体基材であり、この基材においてオプトエレクトロニクス部品9が形成されている場合には、例えば支持体3自体をオプトエレクトロニクス部品9の構成エレメントとすることができる。しかし、支持体3を介したオプトエレクトロニクス部品9への電力供給、またはさらには容量性エネルギー供給が好ましい。
【0112】
一実施形態では、少なくともカバーエレメント5、ウェハ2および/またはベースエレメントまたは支持体3およびスペーサ4にアライメントマークを設けることにより、これらのエレメント同士の正確な位置決めも可能となる。これらのアライメントマークは例えば、穴またはマーキングとすることができる。したがって、好ましい実施形態では、カバーエレメント5、ウェハ2および/またはベースエレメントまたは支持体3およびスペーサ4を接合してスタックが形成され、このスタックのすべてのエレメントに、同時にあるいは並行してアライメントマークが設けられる。さらなる一実施形態では、これは製造プロセスの開始時に行われる。このようにして、例えばウェハ2およびスペーサ4の開口部20を、ウェハ2およびスペーサ4のそれぞれ1つの開口部20によってそれぞれ1つの共通の空所6が形成されるように、特に後の時点で位置決めすることができる。さらに、正確な位置決めにより、それぞれ1つの偏向エレメント14をこれらの空所6のうちの1つ内に傾けることができる。
【0113】
一実施形態では、偏向エレメント14を例えば、封止オプトエレクトロニクス部品1のコンポーネントの位置決めまたは接続の過程でまたはその間に空所6内に傾けることができ、これは、例えばベースエレメント、基材または支持体3またはカバーエレメント5の方向にあるいは下方または上方に行われる。これを、一方では自然に、特に重力もしくは引力によって行うことができ、他方では力を加えることによって行うことができる。このような力は、例えば加圧エレメントによって作用させることができる。このような加圧エレメントは、カバーエレメント5をウェハ2に施与する前に使用することができる。しかし、加圧エレメントは、カバーエレメント5の一部であってもよく、これは例えば突起60の形態であり、この突起60は、空所6内に突出しており、特にそれによって偏向エレメント14が空所6内に押し込まれる。この場合が
図17に例示されている。ここで、突起25は、カバーエレメント5がウェハ2にかぶせられている間に突起25が偏向エレメント14の光学領域30を押圧し、押圧の結果、偏向エレメント14が空所6内に折り曲げられるように、カバーエレメント上に配置されている。換言すれば、偏向エレメント14は、カバーエレメント5の取り付け前または取り付け中に偏向エレメント14を空所6内に折り曲げることができるように、または空所6内に傾けることができるように形成されている。こうすることで、有利にも、偏向エレメント14を後から、すなわち取り付け後に用途に応じた位置に配置する必要がなくなる。特に好ましい代替的または付加的な一実施形態によれば、折り曲げられた偏向エレメント14は、支持体3に固定されている。この目的のために、例えば、偏向エレメント14を例えば支持体3上の材料弱化構造体16と対向するその縁部に固定する固定エレメント26を設けることができる。単純な一実施形態では、偏向エレメントを、この場合には単に支持体3に接着することができる。この場合、固定エレメント26は、それに応じて接着体、または総じて接着剤であって、特に有機接着剤の形態のものを含む。代替的または付加的に、偏向エレメント14を、材料弱化構造体16に対向するその縁部で、レーザボンディング、ガラスはんだまたは金属はんだによって支持体3に固定することができる。総じて、ウェハ複合体のエレメントの接続と同じ方法を使用することができる。
【0114】
有利な一実施形態では、偏向エレメント14は、少なくとも傾斜縁部22を有し、有利にはこの傾斜縁部22の領域は、ウェハ2の面領域2aに対して、しかし特に偏向エレメント14の光学領域30に対して100°~170°の角度で延在している。このような場合を
図18に概略的に示す。好ましくは、この傾斜縁部22は、ウェハ2の相補的な内部領域23の向かい側に位置している。有利には、傾斜縁部22は、横方向にも配置されており、特に偏向エレメント14の曲げ軸線、例えば第1の軸線31に対して垂直に配置されている。偏向エレメント14の外側に傾斜縁部22を設けることにより、曲げる、傾けるまたは折り曲げる際のウェハ2上での偏向エレメント14の傾斜を効果的に回避することができる。
【0115】
このような傾斜縁部22を生成するためには、レーザビーム100の入射エネルギーによって、ウェハ2の体積中で少なくとも一部の経路の領域でフィラメント状損傷103が生成されると有利であり、その経路の長さは、ウェハ2の面領域2aに対して80°~10°の角度で延びており、特に面領域2aに対して垂直には延びていない。換言すれば、切れ目は、面領域2a,2bに対して垂直ではなく斜めに生成される。
【0116】
同様に、例えば
図19に示すように、スペーサ4に傾斜縁部22を生成することもできる。したがって、スペーサ4が少なくとも傾斜縁部22を有し、この傾斜縁部22の領域が有利には、支持領域24に対して100°~170°の角度で延在していることが提供可能である。スペーサ4の傾斜縁部22は、折り曲げ時に偏向エレメント14を遮る、または偏向エレメント14の曲げ角度もしくは傾斜角度を制限する役割を果たすことができる。このような場合、スペーサの傾斜縁部22は、偏向エレメント14を動かすことができる最大角度を提供する。したがって、偏向エレメント14は、スペーサ4に載置されていてもよく、特に偏向エレメント14は、スペーサ4の傾斜縁部22に載置されていてもよい。この場合、偏向エレメント14を傾斜縁部22に接続する固定エレメント26を設けることもできる。
【0117】
さらに、カバーエレメント5、ウェハ2およびベースエレメントを永久接合することも提供可能であり、例えば、個々のエレメントを、接着またはボンディング、特にアノーディックボンディングによって互いに接続することができる。好ましくは、各エレメントは超短パルスレーザにより溶接され、すべてのエレメントが、焦点合わせの変更により異なる深さで溶接され、それにより単一の作業工程で互いに接続される。この場合、レーザの焦点をそれぞれ特に、複合体または封止部品1の2つのコンポーネントの接触領域に向けることができる。この場合、レーザの焦点にある材料が溶融され、そのようにして接触領域が互いに接続される。例えば、カバーエレメント5とウェハ2との接触領域および/またはウェハ2とベースエレメントまたは基材との接触領域が挙げられる。しかし、支持体3とスペーサ4との接触領域に焦点を向けることもできる。このようにして、必要なすべての接触領域あるいはコンポーネントを、液密状態、特にハーメチックシールされた状態で互いに接続することができる。
【0118】
超短パルスレーザ溶接プロセスには、焦点合わせの変更によりコンポーネントスタックの異なる深さでの作業が可能であり、すなわち、永久封止の生成を可能とするには、使用されるコンポーネントおよび/またはウェハの(共通の)1回の拡張プロセスで十分であるという利点がある。しかし、コンポーネント間の永久的なハーメチック接続法として、接着、ブラスト、ボンディング、またはガラスフリットを用いた融着などの古典的な方法を使用することもできる。
【0119】
封止オプトエレクトロニクス部品9を製造するための有利には最終の工程では、空所6間の分離線45に沿った封止オプトエレクトロニクス部品9の複合体の個別化による個々の封止オプトエレクトロニクス部品9の形成が提供される。これらの分離線45は例えば、
図14に示すように、特に複合体から部分40を切り離すことにより封止オプトエレクトロニクス部品1が得られるように延びることができる。このようにして、複数の個々の封止オプトエレクトロニクス部品1を簡略化された方法で製造することができ、その結果特に、個々の部品の個々の製造またはその後の加工を省くことができる。
【0120】
したがって有利には、封止オプトエレクトロニクス部品1は、封止部品1の複合体から製造されているかまたは製造可能であり、ハウジングを備えており、このハウジングは、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品9を取り囲み、特にハーメチック状態で包囲する。ハウジングは有利には、ベースエレメント、特に支持体3と少なくとも1つのスペーサ4とを有するベースエレメントから形成されている。特にスペーサ4は、有利には側壁50によって形成される空所6を画定する少なくとも1つの開口部20を有する。空所6は、下側が支持体3によって囲まれており、上側がカバーエレメント5によって囲まれている。したがって、オプトエレクトロニクス部品9は、空所6内、特に側壁50の間、有利にはカバーエレメント5と支持体3との間に配置されている。
【0121】
有利には、オプトエレクトロニクス部品9は、端面発光型ダイオード、特にレーザダイオード(EELD)を含むかまたはそれである。EELDは、一発展形態によれば青色VIS範囲で発光することができる。このようなレーザダイオードは通常、約400nm~500nmの波長を放出する。しかし、波長405nm、445nm、473nmおよび/または485nmの少なくとも1つを発するダイオードが特に好ましい。しかし、他の実施形態では、他の波長、例えば500~800nmの波長、または赤外線範囲、特に近赤外線範囲および中赤外線範囲の波長、または400nmより短い波長、例えば紫外線範囲の波長を使用することもできる。このようなEELは、その技術上、環境からハーメチックシールされていなければならず、これはハウジングによって実現される。重要な応用分野の1つとしては、例えばレーザ照明が考えられ、このレーザ照明では、青色レーザ光を蛍光体コンバータにより他の波長に変換して拡散させることができる。したがって、レーザダイオードは、mW~Wの範囲、例えば3mW~5Wで動作することができる。レーザダイオードの寸法は、長さが500μm~2000μm、幅が500μm~1000μm、高さが有利には約100μm、例えば50μm~300μmで変動することができる。したがって、空所6は、オプトエレクトロニクス部品9が空所6に最適に収まるように、オプトエレクトロニクス部品9の寸法よりも大きい長さ、幅および高さの寸法を有する。
【0122】
一実施形態では、オプトエレクトロニクス部品9のある側で支持体3にスペーサ4が固定されており、有利にはスペーサ4には、少なくとも1つの舌片状偏向エレメント14を有する1ピースのプレートエレメント8が固定されている。この場合、プレートエレメント8は、個別化の過程でウェハ2から出現したものであるため、ウェハ2と同一の材料を含む。有利には、プレートエレメント8上にはカバーエレメント5が配置されているか、またはさらなるプレートエレメント8が配置されており、その上にカバーエレメントが存在する。したがって、スペーサとカバーエレメントとの間に少なくとも1つの舌片状の偏向エレメント14を有する少なくとも1つのプレートエレメント8が設けられている。
【0123】
この場合特に、オプトエレクトロニクス部品9、特にレーザダイオードから発せられる光70は、空所6を横断することができる。その場合、この光は、オプトエレクトロニクス部品9に対向する側壁50および/または偏向エレメント14に入射することができ、この偏向エレメント14は、この偏向エレメント14が少なくとも1つの光学領域30で光70を偏向できるように空所6内に配置されている。これに関する一例を
図20に示す。光70が偏向エレメント14によって偏向され、その結果、偏向された光71がカバーエレメント5の方向に進み、特にカバーエレメント5を通って封止オプトエレクトロニクス部品1から出ることが提供されている。
【0124】
一実施形態では、ビーム経路にさらなる光学エレメントを導入するためにカバーエレメント5を使用することができる。例えば、カバーエレメント5の表面は、レーザアブレーションプロセスでの構造化によりトレンチを有することができる。その後、トレンチにさらなる光学活性材料を充填することにより、例えば(位相)格子を生成することができる。このようにして光学的品質を向上させることができ、特に散乱を避けるために十分に低い粗さを生じさせることができる。このようにして生成された位相格子によって、放出される(レーザ)光70の波面、ひいてはビーム形状を、既に放出プロセスの開始時点で、光学セットアップでのさらなる使用に適合させることができる。一方で、構造化された表面を、酸またはアルカリエッチングプロセスにより平滑化することも可能である。カバーエレメント5に凸湾曲面または凹湾曲面を導入するなど、他の形態の構造化も同様に可能である。
【0125】
特定の一実施形態では、有利には、EELDのビームをフレキシブルに調整できるように電界を印加することによって幾何学的形状を可変に調整可能である、先行技術から知られている液体レンズをカバーエレメント5に施与することも可能である。その場合、これには、特に2つのカバーエレメント5の間に配置可能な少なくとも1つのさらなるスペーサが必要となる。このようにして、2つのカバーエレメントの間に液体レンズを実現することができる。
【0126】
有利な一実施形態では、偏向エレメント14は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:
- 偏向エレメント14を、空所6内に可逆的に折り曲げることができる、
- 偏向エレメント14は、偏向エレメント14の光学領域30がカバーエレメント5またはオプトエレクトロニクス部品9の方向に電磁放射線、特に光70を偏向できるように傾けるまたは斜めにすることができ、オプトエレクトロニクス部品9は、電磁放射線を側方で受光または放射し、その結果、電磁放射線は、傾斜した状態で、特に90°でない角度で光学領域30に入射する、
- 折り曲げられた偏向エレメント14は、支持体3に固定されている。
【0127】
偏向エレメント14を空所6内に可逆的に折り曲げることができることによって、偏向エレメント14を予定される角度に正確に調整することができる。このようにして、偏向エレメント14によって偏向された光71を所定の角度で放射することもできる。総じて、スペーサ4および偏向エレメント14の厚さならびにその空間的な広がりによって、偏向エレメント14の最大傾斜角度、ひいてはレーザビームが到達可能な立体角範囲が決まる。
図19において、スペーサ4の方向での偏向エレメント14の最大傾斜角度は例えば、偏向エレメント14を例えば載置することができるスペーサ4の傾斜縁部22によって規定される。他の構造形態では、スペーサ4の厚さ、すなわち特に側壁50の高さが、偏向エレメント14の長さよりも小さいことが提供される。そのようにして、最大傾斜状態の偏向エレメント14が、レーザビームあるいはダイオードによって放出される光ビーム70の伝搬方向に対して垂直ではなく斜めとなるように保証することができる。
【0128】
さらなる一実施形態では、偏向エレメント14は、くさび角を有する。表面状態が適切であり、特にくさび角を有する偏向エレメント14の2つの表面が適切にコーティングされている場合、EELDによって放出された光70の一部が偏向エレメント14の光学領域30で反射されるが、残りの部分は偏向エレメント14を横断した後に第2の表面でのみ反射され、その結果、2つの部分ビームが異なる角度で、またはくさび角が0°の場合には同じ角度でハウジングから出ることを達成することが可能である。
【0129】
したがって、偏向エレメント14の光学特性をフレキシブルに設計できるようにするため、以下の特徴のうち少なくとも1つが提供されている:
- 偏向エレメント14の少なくとも光学領域30が、ミラー領域として形成されている、
- 偏向エレメント14の少なくとも光学領域30が構造化および/またはコーティングされている、
- コーティングが、誘電体材料、金属および/または誘電体層の層系を含む。
【0130】
したがって、偏向エレメント14を設計するための前述の選択肢によって、所定の波長および/または用途に関連して偏向エレメント14の光学特性を正確に調整することも可能となる。したがって、偏向エレメント14の光学特性は、有利には例えば光学領域30に入射した第1の波長λ1のレーザビームが光学領域30によって反射され、第2の波長λ2のビームが光学領域30を透過するように、特に波長に依存するように設計することができる。これは例えば、第2もしくは第3の高調波を放出することができるレーザダイオードが使用される場合、または異なる光源/波長からの光が組み合わされる場合に有利である。このようなアプローチは、例えば投影技術やディスプレイ技術において有利である。
【0131】
また、偏向エレメント14によって偏向された電磁放射線あるいは偏向された光71の角度を、少なくとも1つのアクチュエータ80によって、オプトエレクトロニクス部品9の動作中に可逆的に変更可能または制御可能である場合に有利である。したがって、少なくとも1つのアクチュエータ80を電磁放射線の入射側とは反対側、すなわち偏向エレメント14の後方に、アクチュエータ80によって偏向エレメント14の位置が変更可能となるように配置することも考えられ、あるいは提供される。本実施形態は、例えば
図20および
図21に示されており、アクチュエータは、少なくとも1つのピエゾ素子を備えることができる。これは例えば、ピエゾ結晶またはピエゾセラミックとすることができる。ピエゾ素子は、その寸法が十分に小さく、その移動または撓みを正確に制御できるため、このような用途には特に好適である。
【0132】
換言すれば、一実施形態では、ダイオードまたはオプトエレクトロニクス部品9のレーザビームの伝搬方向であって、偏向エレメント14の後方に、それぞれ少なくとも1つのアクチュエータ/ピエゾ素子80が配置されている。偏向エレメント14の幾何学的サイズおよび厚さによっては、アクチュエータ/ピエゾ素子80は1つで十分である場合もある。例えば0.6mm超の厚い偏向エレメント14の場合には、アクチュエータ80は1つで十分である。例えば0.6mm未満の薄い偏向エレメント14の場合には、寸法安定性が低いため、複数のアクチュエータ/ピエゾ素子80が必要となる。厚さが200μm未満の非常に薄い偏向エレメントあるいはウェハ2またはプレートエレメント8の場合には、ウェハ2またはプレートエレメント8が全般的に曲げやすいため、材料弱化構造体16を省略することさえできる。この場合、偏向エレメント16は自然と、すなわち特にその自重によって空所内へ曲がる。ここで、その場合には複数のアクチュエータ/ピエゾ素子80が必要であり、これらは有利にはその場合には支持エレメントとしても機能することができる。総じて、偏向エレメント14は、少なくとも1つの固定エレメント26によってアクチュエータに接続されていてもよい。この場合、固定エレメント26は、特に偏向エレメント14がアクチュエータ80から外れることなく予定される角度変更を可能にする弾性接着剤を有することができる。
【0133】
1つ以上のアクチュエータ80により、偏向エレメント16の繰り返しの移動/曲げおよびその再現可能な最終位置決めが保証される。これにより、特に封止オプトエレクトロニクス部品1を取り付けた後に、偏向エレメント16を異なる傾斜/曲げ角度に位置決めし、ひいてはレーザビームの出射位置および出射角度を静的または動的にフレキシブルに調整することも可能となる。このことは、その後の応用において例えば製造公差を補正できるようにするために特に有利である。
【0134】
また、折り曲げエレメントの後方のアクチュエータ80によって、例えば偏向エレメント16の後方にさらなる固定偏向ミラーまたはプリズムまたはさらなる偏向エレメント16へのフィードスルーを配置することにより、少なくとも2つの異なるビーム経路のフレキシブルな設定も可能となる。したがって特に、
図21に概略的に図示されている構造のカスケーディングが可能であり、その際、光70の部分ビームが偏向エレメント16によって偏向され、さらなる部分ビームが側壁50の方向に、特に側壁50を通過する。偏向エレメント16はこの場合、ダイオードによって放射された光70の部分ビームがなおも偏向エレメント16と支持体3との間を通過できる程度に側壁の方向に傾いている。このようにして、例えば複数の光学部品を直列に接続することができる。
【0135】
さらなる一実施形態では、スペーサエレメント4に開けられた穴の上、または穴が開けられた後に偏向エレメント16の後方にさらなるオプトエレクトロニクス部品、例えばモニターダイオードが存在しており、この部品は、偏向エレメント14の後方に達する光70の一部を受光して評価し、オプトエレクトロニクス部品9を制御するための調整あるいは制御信号を提供する。
【0136】
他の実施形態では例えば、偏向エレメント16が支持体3に隣接する程度に、偏向エレメント16を側壁50の方向に傾けることができる。
【0137】
偏向エレメント16の静的な位置決め時には所定の傾斜角度に近づき、これが維持されるが、例えば少なくとも1つのアクチュエータ80による動的な位置決めでは、ある角度範囲にわたってレーザビームを走査することができる。その場合、封止オプトエレクトロニクス部品を、例えば小型スキャナとして使用することができる。
【0138】
各偏向エレメント14が少なくとも1つの偏向部33と1つの位置決め部34とを有し、これらが、偏向部33が第1の軸線31を中心にして傾けるまたは曲げることができ、位置決め部34が第1の軸線31に対して平行に配置されたさらなる軸線を中心にして曲げることができるように、材料弱化構造体16によって互いに離間していると有利である。この場合、少なくとも1つのアクチュエータ80は、位置決め部34の下方、すなわち位置決め部34とベースエレメントまたは支持体3との間に配置することができる。
【0139】
このような実施形態が
図22に示されている。これに応じて、アクチュエータ80は、位置決め部34と支持体3との間、特に支持体3またはベースエレメント上に配置されている。この構成では、特に支持体またはベースエレメントが導電性となるように形成されているかまたは導電経路もしくは電気フィードスルーを有する場合に、アクチュエータ80に特に容易に電圧供給することができる。アクチュエータ80により、位置決め部34を上方に、特にカバーエレメント5の方向に移動させることができる。このようにして、位置決め部34に接続された偏向部33も光学領域30と共に移動し、それにより有利には偏向エレメント14または偏向部14の傾斜角度が変更される。
【0140】
図23は、
図22の偏向エレメント14を上面図で、隣接する空所6と共に示している。偏向エレメント14および空所6をウェハ2、特に周囲のウェハ2から生成する際に使用される切れ目が図示されている。よりわかりやすくするために、図示された各エレメントにはそれぞれ参照符号が付されており、切れ目あるいは経路には10,11,12、最終的に製造されたエレメント、例えば偏向エレメントには14が付されている。したがって、ウェハ2の開口部20および後の空所6を生成するために、閉経路10が切断される。開口部20あるいは空所6を拡大させ、これらの箇所で偏向エレメント14をウェハ2から切り離すために、それぞれ閉経路10に隣接して2つの開経路11が切断される。
【0141】
この場合、2つの開経路11が、互いに離隔して、かつ有利にはそれぞれ閉経路10の角部に端点を有するように配置されている。材料弱化構造体16を特徴付ける接続経路12は、開経路11の他の2つの角部点の間に配置されている。さらなる材料弱化構造体16は、偏向部33が2つの特に互いに平行である材料弱化構造体16あるいは接続経路12の間に形成されるように、開経路11の間に配置されている。2つの構造体16はこのようにして曲げ軸線を形成し、有利には第1の軸線31は、開経路11の端部間に形成される。このようにして位置決め部34は、材料弱化構造体16を介して偏向部33に接続されており、かつ/または偏向エレメント14の外側部分を形成する。
【0142】
有利な一実施形態では、1つのまたは各偏向エレメント14が少なくとも2つの偏向部33を有することができ、これらは、第1の軸線31を中心にして第1の偏向部33を傾けるまたは曲げることができ、第2の軸線32を中心にして第2の偏向部35を傾けるまたは曲げることができ、第2の軸線32が、第1の軸線31に対して角度をなすように、特に第1の軸線31に対して横方向または垂直に配置されるように、材料弱化構造体16を介して互いに離間している。各偏向部33,35の下方には、この場合、少なくとも1つのアクチュエータ80を配置することができ、これにより、偏向エレメント14によって偏向されるビーム71の角度を、少なくとも2つの軸線において静的または動的にフレキシブルに調整することができる。したがって、レーザビームを2つの互いに独立した方向に、ひいてはx-y平面内において位置決めおよび整列させることが可能となる。
【0143】
このような実施形態を、例えば
図24に上面図で示す。
図23と同様に
図24にも、対応する切れ目あるいは経路10,11,12が図示されている。閉じた切れ目/閉経路10は、ここでも開口部20/空所6を形成する。それに隣接してそれぞれ、開いた切れ目/開経路11の角部点、および特に接続経路12/材料弱化構造体16の一端が存在する。2つの偏向部33、35は、2つの接続経路12あるいは2つの細長い材料弱化構造体16が横方向に、特に互いに垂直に配置されていることから生じる。
【0144】
これとは異なり、横方向に湾曲したまたは特に垂直方向に折り曲げられた材料弱化構造体16/接続経路12を生成することも可能である。このようにして、2つの偏向部33,35は、材料弱化構造体16に互いに接続されており、第2の偏向部35を、第2の軸線32で第1の偏向部33に対して傾けることができる。特に、第1の偏向部33のみが、材料弱化構造体16を介してウェハ2あるいはプレートエレメント8に接続されている。有利には、偏向エレメント14は、有利には第2の軸線32を介して傾けることができる第2の偏向部35によってオプトエレクトロニクス部品9の光70が偏向されるように、空所6内に配置されている。換言すれば、第2の偏向部35を、第1の軸線31および第2の軸線32を介して間接的に傾けることができ、これにより、光30を2つの互いに独立した方向に偏向させることもできる。したがって、少なくとも第2の偏向部35も、光30を偏向させることができる光学領域30を有する。しかし、2つの偏向部33,35がそれぞれ光学領域を有することも提供することができる。
【0145】
総じて、図示されている例に限定されるものではないが、材料弱化構造体16は、同一平面上、すなわちスペーサ4の側壁50の真上に配置することも、空所6の長さに関して、特にオプトエレクトロニクス部品9の方向にずらして配置することもできる。このようにして、偏向エレメント14をオプトエレクトロニクス部品9に近づけて配置することも、互いの間隔を調整することもできる。プレートエレメント8またはウェハ2が十分に薄いかまたは可撓性である場合、特に
図22~
図24の実施形態では、特に偏向部33と位置決め部34または2つの偏向部33とが互いに直接接続されるように、材料弱化構造16を省くこともできる。
【0146】
これまでの図では、偏向エレメント14は矩形または正方形の形状で示されていた。
図25~
図28には、偏向エレメント14の他の様々な幾何学的構造形態が図示されている。
図25には、例えば台形の偏向エレメント14が示されており、
図26には、部分的に楕円形の偏向エレメント14が示されており、
図27には、部分的に円形の偏向エレメント14が示されており、
図28には、三角形の偏向エレメント14が示されている。多角形などの他の幾何学的形状、または混合形状も同様に考えられる。
【0147】
さらなる一実施形態では、同様に偏向エレメント14を備えた構造化されたウェハ2の形態の第2のものが複合体に組み込まれ、その偏向エレメント14は、第1の偏向エレメント14の整列に対して有利には90°回転されており、これにより、レーザビームを2つの互いに独立した方向に、ひいてはx-y平面内において位置決めおよび整列させることが可能となる。この変形形態から、
図29に示すような封止オプトエレクトロニクス部品1の構造形態が可能となる。ここでは、支持体3とプレートエレメント8との間にスペーサ4が配置されており、2つのプレートエレメント8の間にさらなるスペーサ4が配置されている。これにより、一方のプレートエレメント8は他方のプレートエレメント8よりも高い位置に配置されている。この場合、それぞれ1つの偏向エレメント14がそれぞれ1つのプレートエレメント8上に配置されているため、一方の偏向エレメント14は他方の偏向エレメント14よりも高い位置に配置されている。
【0148】
この場合、オプトエレクトロニクス部品9は有利には、光の出射方向が第1の軸線に対して垂直ではなく、角度をなすように、好ましくは5°~70°の角度、好ましくは20°~55°の角度、特に好ましくは40°~50°の角度をなすように配置されている。その結果、光を、各偏向エレメント14においてそれぞれ例えば40°~50°の角度で偏向させることができる。特にこの場合、2つの偏向エレメント14の第1の軸線あるいは曲げ軸線は、互いに80°~100°の角度、特に90°の角度で配置されている。しかし、他の角度の組み合わせも考えられ、当業者が容易に導き出すことができる。
【0149】
これまでの実施形態では、折り曲げエレメントは、周囲のウェハあるいはガラスエレメントに接続されたままである。しかし、偏向エレメント14がウェハ2から破断によって切り離される実施形態も考えられる。この場合、
図16、
図17、
図19~
図22に示すように、曲げられた材料弱化構造体16の代わりに、偏向エレメント14の折り曲げによって互いに対応する角度をなしているそれぞれ相補的な破断縁部がウェハおよび偏向エレメント14上に存在する。したがって、本発明の代替的な一実施形態によれば、封止オプトエレクトロニクス部品1の複合体であって、複合体は、少なくとも1つのベースエレメントと1つのカバーエレメント5とを有するハウジングを形成しており、ハウジングのそれぞれ1つの空所6内に、複数のオプトエレクトロニクス部品9が配置されており、空所6は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメント5によって覆われており、そのため、オプトエレクトロニクス部品9は、カバーエレメント5とベースエレメントとの間に配置されており、ベースエレメントは、それぞれ1つの空所6を側方で囲む側壁50を形成し、ベースエレメントは特に、空所6を画定する凹部を有する基材および/または支持体3ならびにその上に配置された、空所6を画定する開口部20を有するスペーサ4を含み、カバーエレメント5とベースエレメントとの間に1ピースの構造化ウェハ2が配置されており、そのため、各空所6内には、少なくとも1つの光学領域30を有する舌片状偏向エレメント14が配置されており、光学領域30により、オプトエレクトロニクス部品9によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができ、偏向エレメントは、1ピースの構造化ウェハ2に対して傾斜して配置されており、偏向エレメントおよび1ピースの構造化ウェハ2は、(破断による切り離しによって)1ピースの構造化ウェハ2に対する偏向エレメントの角度に応じて互いに傾斜する相補的な破断領域を有する、複合体が提供される。したがってその場合、切り離しによって、個別化された封止オプトエレクトロニクス部品1が得られ、この個別化された封止オプトエレクトロニクス部品1は、ハウジングと少なくとも1つのオプトエレクトロニクス部品9とを備え、オプトエレクトロニクス部品9は、空所6内に配置されており、空所6は、ベースエレメントによって形成され、かつ上側がカバーエレメント5によって覆われており、そのため、オプトエレクトロニクス部品9は、カバーエレメント5とベースエレメントとの間に配置されており、ベースエレメントは、空所6を側方で囲む側壁50を形成し、ベースエレメントは、空所6を画定する少なくとも1つの凹部90を有する基材および/または支持体3ならびにその上に配置されたスペーサ4を含み、スペーサ4は、空所を画定する少なくとも1つの開口部20を有しており、カバーエレメント5とベースエレメントとの間に1ピースのプレートエレメントが配置されており、空所6内には、1ピースのプレートエレメントから分離され、かつ1ピースのプレートエレメントに対して傾斜して配置された少なくとも1つの光学領域(30)を有する偏向エレメント14が配置されており、光学領域(30)により、オプトエレクトロニクス部品(9)によって放射または受光される電磁放射線を偏向することができ、偏向エレメント14および1ピースのプレートエレメントは、(破断による切り離しによって)1ピースのプレートエレメントに対する偏向エレメントの角度に応じて互いに傾斜する相補的な破断領域を有する。
【0150】
上述した実施形態は例示的なものとして理解されるべきであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく様々に変形可能であることは、当業者には自明である。さらに、特徴は、本明細書、特許請求の範囲、図面などに開示されているか否かにかかわらず、他の特徴と共に記載されている場合であっても、単独で本発明の必須の構成要素を規定するものであることも自明である。すべての図面において、同一の参照符号は同一の対象物を表し、したがって、場合によっては1つの図面でしか言及されていない対象物、またはいずれにせよすべての図面に関して言及されているわけではない対象物の説明を、その対象物が本明細書に明示的に記載されていない図面にも転用することができる。
【0151】
参照符号
1 封止オプトエレクトロニクス部品
2 ウェハ
2a 面領域
2b 面領域
3 支持体
4 スペーサ
5 カバーエレメント
6 空所
7 偏向エレメントの縁部
8 プレートエレメント
9 オプトエレクトロニクス部品
10 閉経路
11 開経路
12 接続経路
13 折り曲げ領域
14 偏向エレメント
15 第2の部分
16 材料弱化構造体
17 凹部の幅最大部
18 凹部の幅最小部
19a ウェブ最小部
19b ウェブ最大部
20 開口部
21 微細構造化
22 傾斜縁部
23 相補的な内部領域
24 支持領域
25 突起
26 14の固定エレメント
30 光学領域
31 第1の軸線
32 第2の軸線
33 第1の偏向部
34 位置決め部
35 第2の偏向部
40 部分
45 分離線
50 側壁
52 平坦部
60 突起
70 光
71 偏向された光
80 アクチュエータ
90 凹部
91 凹部の列
92 第1のウェブ
94 第2のウェブ
95 境界線
96 直線状セグメント
100 レーザビーム
101 超短パルスレーザ
102 集光光学系
103 フィラメント状損傷
104 部分領域
150 光ビーム
200 先行技術の構造形態
201 セラミック基材
202 サブマウント
203 レーザダイオードチップ
204 窓部
205 蓋部
206 接着剤
207 ミラープリズム
300 エッチング媒体
B 横方向
L 長手方向
D ウェハの厚さ
【国際調査報告】