(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】固定子モジュールおよび搬送システム
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20241219BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20241219BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K41/02 A
B65G54/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540988
(86)(22)【出願日】2023-03-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2023079627
(87)【国際公開番号】W WO2024077849
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211455412.5
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202223092070.3
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202222681738.1
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524195798
【氏名又は名称】シャンハイ ゴリテック オートメーション カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Golytec Automation Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 1, Building 8,No.333 Wanfang Road, Minhang District, Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー,フェン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ジンミン
【テーマコード(参考)】
3F021
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA02
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG06
5H641GG24
5H641HH03
5H641JA09
(57)【要約】
本願の実施例は、固定子モジュールおよび搬送システムを提供する。固定子モジュールは、固定子本体と、前記固定子本体に固定的に設けられ、第1の方向に沿って対向して設けられる上面および下面と、前記第1の方向に垂直な第2の方向に対向して設けられる第1の接合面および第2の接合面とを有し、前記第1の接合面に前記第2の方向に沿って突設される第1の突出部を有する電機子巻線と、を含み、前記電機子巻線は、周期的に配列される複数の電機子コイルを有し、少なくとも一部の前記電機子コイルは、前記第1の突出部に設けられる。電機子巻線の端部に突出部が設けられるため、隣接する2つの固定子モジュールの接合箇所でも可動子モジュールの運動精度が高く、可動子モジュールが接合箇所に運動したときにも高い速度を有し、可動子モジュールの高速運動の連続性を保証することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子本体と、
前記固定子本体に固定的に設けられ、第1の方向に沿って対向して設けられる上面および下面と、前記第1の方向に垂直な第2の方向に対向して設けられる第1の接合面および第2の接合面とを有し、前記第1の接合面に前記第2の方向に沿って突設される第1の突出部を有する電機子巻線と、を含み、
前記電機子巻線は、周期的に配列される複数の電機子コイルを有し、
少なくとも一部の前記電機子コイルは、前記第1の突出部に設けられる、
固定子モジュール。
【請求項2】
前記電機子巻線は、前記第2の方向とは反対の方向に前記第2の接合面に突設される第2の突出部をさらに含み、
少なくとも一部の前記電機子コイルは、前記第2の突出部に設けられる、
請求項1に記載の固定子モジュール。
【請求項3】
前記電機子巻線は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、
前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、共同で複数の3相電機子巻線を形成しており、
前記電機子巻線は、複数層の前記電機子コイルを重ねて設けることによって形成され、
前記電機子コイルは、前記第2の方向において相順に周期的に配列される、
請求項2に記載の固定子モジュール。
【請求項4】
いずれか1つの3相電機子巻線において、前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、同一層に位置するとともに、前記第2の方向に沿って相順に間隔を隔てて配列され、
または、いずれか1つの3相電機子巻線において、前記第1の方向に沿って、前記U相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、同一層に位置し、前記V相電機子コイルは、隣接層に位置するとともに前記U相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルの中心に位置し、
または、前記第1の方向に沿って、前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、3層に分布されている、
請求項3に記載の固定子モジュール。
【請求項5】
前記第1の突出部は、前記第1の方向に沿って対向して設けられる第1の上面および第1の下面を有し、前記第1の上面は、前記上面と面一に設けられ、
前記第2の突出部は、前記第1の方向に沿って対向して設けられる第2の上面および第2の下面を有し、前記第2の下面は、前記下面と面一に設けられ、
前記第1の下面と前記第2の上面とは面一に設けられ、または、
前記第1の下面と前記第2の上面とは平行に設けられ、かつ、前記第1の下面と前記第2の上面との間の距離が0.1mm~1mmである、
請求項2に記載の固定子モジュール。
【請求項6】
前記固定子本体は、扇形となっており、
前記電機子巻線は、弧状となっており、
前記第1の接合面が位置している平面と前記第2の接合面が位置している平面とは垂直となり、または、
前記第1の突出部の端面が位置している平面と前記第2の突出部の端面が位置している平面とは垂直となる、
請求項2に記載の固定子モジュール。
【請求項7】
前記固定子本体に固定的に設けられるとともに前記電機子巻線に電気的に接続される第1のドライバをさらに含み、
前記第1のドライバと前記電機子巻線との電気的な接続方式は、導線による接続、挿抜による接続および溶接のうちの少なくとも1つを含み、
または、
前記固定子本体に固定的に設けられるとともに前記電機子コイルがプリントされている第1のドライバをさらに含む、
請求項1に記載の固定子モジュール。
【請求項8】
前記第1のドライバは、集積回路基板であり、
前記第1のドライバに電機子コイルがプリントされる場合、前記第1のドライバは、PCB巻線である、
請求項7に記載の固定子モジュール。
【請求項9】
前記第1のドライバに電機子コイルがプリントされる場合、前記第1のドライバの数量は複数個であって、複数の前記第1のドライバは、前記第1の方向に沿って重なって設けられ、および/または、
複数の前記第1のドライバは、前記第2の方向に沿って重なって設けられ、かつ、複数の前記第1のドライバによって前記電機子巻線が形成される、
請求項8に記載の固定子モジュール。
【請求項10】
前記固定子本体に固定的に設けられる第2のドライバと、
前記固定子本体に固定的に設けられるとともに前記第2のドライバに電気的に接続され、かつ前記電機子コイルがプリントされている第3のドライバと、をさらに含み、
前記第2のドライバと前記第3のドライバとの電気的な接続方式は、導線による接続、挿抜による接続、溶接、フレキシブル基板による接続および電磁的結合による接続のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の固定子モジュール。
【請求項11】
前記第3のドライバは、複数層のプリント回路基板を重ねて形成され、
各層の前記プリント回路基板にそれぞれ前記電機子コイルがプリントされ、かつ、少なくとも隣接する2層の前記プリント回路基板における前記電機子コイルが共同で1つの3相電機子巻線を形成する、
請求項10に記載の固定子モジュール。
【請求項12】
前記第2のドライバおよび前記第3のドライバのうちの少なくとも一方は、集積回路基板であり、
前記第3のドライバが集積回路基板である場合、前記第3のドライバは、PCB巻線である、
請求項10に記載の固定子モジュール。
【請求項13】
前記第3のドライバの数量は複数個であり、
複数の前記第3のドライバは、前記第1の方向に沿って重なって設けられ、および/または、
複数の前記第3のドライバは、前記第2の方向に沿って重なって設けられ、かつ複数の前記第3のドライバによって前記電機子巻線が形成される、
請求項12に記載の固定子モジュール。
【請求項14】
前記固定子本体に取り付けられるとともに吹出口を有する放熱ファンをさらに含み、
前記電機子巻線は、前記固定子本体の前記吹出口から離れる側に設けられ、
前記固定子本体は、前記吹出口に連通する導風通路を有し、
前記吹出口から流出した気流は、前記導風通路を通って前記電機子巻線を流れる、
請求項2に記載の固定子モジュール。
【請求項15】
前記固定子本体は、前記吹出口に面する第1の表面と前記吹出口に背向する第2の表面とを有し、
前記第2の表面には、一部の前記電機子巻線が挿入するための挿入溝が設けられ、
前記導風通路は、前記第1の表面および前記第2の表面を貫通しているとともに前記挿入溝の側壁に連通している、
請求項14に記載の固定子モジュール。
【請求項16】
前記導風通路の数量は、複数個であり、
全ての前記導風通路は、前記第2の方向に沿って間隔を隔てて配列され、かつ、各々の前記導風通路自体の延伸方向における中心軸線が前記第2の方向に垂直となる、
請求項15に記載の固定子モジュール。
【請求項17】
前記導風通路は、前記第2の方向に垂直な第3の方向に沿って前記電機子巻線の両側に分布される、
請求項15に記載の固定子モジュール。
【請求項18】
前記固定子本体は、前記吹出口に面するとともに取付溝が設けられる第1の表面を有し、
前記固定子本体は、前記取付溝内に位置するとともに前記電機子巻線に電気的に接続される回路基板をさらに含む、
請求項14に記載の固定子モジュール。
【請求項19】
固定ブラケットをさらに含み、
前記放熱ファンは、前記固定ブラケットを介して前記固定子本体に接続される、
請求項14に記載の固定子モジュール。
【請求項20】
前記放熱ファンの底部に設けられる放熱板をさらに含み、
前記放熱ファンは、前記放熱板を介して前記固定ブラケットに接続される、
請求項19に記載の固定子モジュール。
【請求項21】
ベースと、
搬送方向に沿って敷設されるとともに前記ベースに固定的に設けられるガイドレールと、
複数の請求項1~20のうちのいずれか1つに記載の固定子モジュールと、を含み、
複数の前記固定子モジュールは、前記搬送方向に沿って互いに接合され、
前記固定子本体は、前記ベースに固定的に設けられる、
搬送システム。
【請求項22】
隣接する2つの前記固定子モジュールにおいて、そのうちの一方の前記電機子巻線の前記第1の突出部と他方の前記電機子巻線の前記第1の突出部とが接合され、かつ、2つの前記第1の突出部における少なくとも一部の電機子コイルが共同で重なって設けられることによって少なくとも1つの3相電機子巻線が形成される、
請求項21に記載の搬送システム。
【請求項23】
ベースと、
搬送方向に沿って敷設されるとともに前記ベースに固定的に設けられるガイドレールと、
前記搬送方向に沿って順次接合される複数の請求項2~6、14~20のうちのいずれか1つに記載の固定子モジュールと、
前記ガイドレールと摺動可能に協力されるとともに前記電機子巻線と結合される可動子モジュールと、を含む、
搬送システム。
【請求項24】
隣接する2つの前記固定子モジュールにおいて、そのうちの一方の前記電機子巻線の前記第1の突出部と他方の前記電機子巻線の前記第2の突出部とが接合され、かつ、前記第1の突出部における少なくとも一部の電機子コイルと前記第2の突出部における少なくとも一部の前記電機子コイルとが共同で重なって設けられることによって少なくとも1つの3相電機子巻線が形成される、
請求項23に記載の搬送システム。
【請求項25】
前記電機子巻線は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、
前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、共同で複数の3相電機子巻線を形成しており、
前記電機子巻線は、複数層の前記電機子コイルを重ねて設けることによって形成され、
前記電機子コイルは、前記第2の方向に相順に周期的に配列され、
前記第1の突出部と前記第2の突出部とが接合されて形成されるいずれか1つの3相電機子巻線において、前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、同一層に位置するとともに、前記第2の方向に沿って相順に間隔を隔てて配列され、
または、いずれか1つの3相電機子巻線において、前記第1の方向に沿って、前記U相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、同一層に位置し、前記V相電機子コイルは、隣接層に位置するとともに前記U相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルの中心に位置し、
または、前記第1の方向に沿って、前記U相電機子コイル、前記V相電機子コイルおよび前記W相電機子コイルは、3層に分布されている、
請求項24に記載の搬送システム。
【請求項26】
前記第1の突出部は、前記第1の方向に沿って対向して設けられる第1の上面および第1の下面を有し、前記第1の上面は、前記上面と面一に設けられ、
前記第2の突出部は、前記第1の方向に沿って対向して設けられる第2の上面および第2の下面を有し、前記第2の下面は、前記下面と面一に設けられ、
隣接する2つの前記固定子モジュールにおいて、そのうちの一方の前記電機子巻線の前記上面と他方の前記電機子巻線の前記上面とが面一に設けられ、
そのうちの一方の前記電機子巻線の前記下面と他方の前記電機子巻線の前記下面とが面一に設けられ、
そのうちの一方の前記電機子巻線の前記第1の下面と他方の前記電機子巻線の前記第2の上面とが平行に設けられ、
前記第1の下面と前記第2の上面との間の距離は、0.1mm~1mmである、
請求項23に記載の搬送システム。
【請求項27】
前記固定子本体に固定的に設けられるとともに前記電機子巻線に電気的に接続される第1のドライバをさらに含み、
各々の前記第1のドライバは、光ファイバーを介して信号を伝送可能に接続されている、
請求項23に記載の搬送システム。
【請求項28】
前記ガイドレールは、補助ガイドレールおよび第1のガイドレールを有し、
前記補助ガイドレールおよび前記第1のガイドレールは、それぞれ前記可動子モジュールと摺動可能に協力され、
前記補助ガイドレールの案内精度は、前記第1のガイドレールの案内精度よりも高い、
請求項23に記載の搬送システム。
【請求項29】
前記補助ガイドレールおよび前記第1のガイドレールは、前記搬送方向に沿って平行に設けられ、かつ、前記補助ガイドレールは、前記第1のガイドレールの少なくとも一方側に設けられ、
前記ガイドレールは、前記補助ガイドレールに対応して設けられる第2のガイドレールをさらに含み、
前記第2のガイドレールは、前記ベースから離れる方向に沿って前記第1のガイドレールに重なって設けられ、かつ、前記第2のガイドレールの設置長さは、前記補助ガイドレールの設置長さ以下である、
請求項28に記載の搬送システム。
【請求項30】
前記補助ガイドレールと前記第1のガイドレールとは、前記搬送方向に沿って接続され、
前記補助ガイドレールおよび前記第1のガイドレールは、接続箇所でそれぞれ面取りされる、
請求項28に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、出願日が2022年11月21日であり、出願番号が202211455412.5であり、発明名称が「固定子および搬送システム」である中国発明特許出願、出願日が2022年11月21日であり、出願番号が202223092070.3であり、発明名称が「搬送システム」である中国実用新案出願、および出願日が2022年10月12日であり、出願番号が202222681738.1であり、発明名称が「固定子モジュール、リニアモータおよびリニア伝送装置」である中国実用新案出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、搬送装置の分野に関し、具体的に固定子モジュールおよび搬送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
搬送ラインは、通常、可動子モジュールと固定子モジュールとを含み、可動子モジュールは、ガイドレールに設けられるとともに、固定子モジュールの駆動によってガイドレールに沿って運動することができる。固定子モジュールは、通常、直線状の固定子と弧状の固定子とを含み、かつ接合によって搬送ラインの延長を実現する。このような搬送システムにおいて、可動子モジュールが接合箇所で運動する繰り返し位置決め精度が低いため、新しい搬送システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術における可動子モジュールが接合箇所で運動する繰り返し位置決め精度が低いという問題を解決するための固定子モジュールおよび搬送システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明の一方面によれば、固定子本体と、固定子本体に固定的に設けられ、第1の方向に沿って対向して設けられる上面および下面と、第1の方向に垂直な第2の方向に対向して設けられる第1の接合面および第2の接合面とを有し、第1の接合面に第2の方向に沿って突設される第1の突出部を有する電機子巻線と、を含み、電機子巻線は、周期的に配列される複数の電機子コイルを有し、少なくとも一部の電機子コイルは、第1の突出部に設けられる固定子モジュールを提供する。
【0006】
さらに、電機子巻線は、第2の方向とは反対の方向に第2の接合面に突設される第2の突出部をさらに含み、少なくとも一部の電機子コイルは、第2の突出部に設けられる。
【0007】
さらに、電機子巻線は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、共同で複数の3相電機子巻線を形成しており、電機子巻線は、複数層の電機子コイルを重ねて設けることによって形成され、電機子コイルは、第2の方向に相順に周期的に配列される。
【0008】
さらに、いずれか1つの3相電機子巻線において、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、同一層に位置するとともに、第2の方向に沿って相順に間隔を隔てて配列され、または、いずれか1つの3相電機子巻線において、第1の方向に沿って、U相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、同一層に位置し、V相電機子コイルは、隣接層に位置するとともにU相電機子コイルおよびW相電機子コイルの中心に位置し、または、第1の方向に沿って、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、3層に分布されている。
【0009】
さらに、第1の突出部は、第1の方向に沿って対向して設けられる第1の上面および第1の下面を有し、第1の上面は、上面と面一に設けられ、第2の突出部は、第1の方向に沿って対向して設けられる第2の上面および第2の下面を有し、第2の下面は、下面と面一に設けられ、第1の下面と第2の上面とは面一に設けられ、または、第1の下面と第2の上面とは平行に設けられ、かつ、第1の下面と第2の上面との間の距離が0.1mm~1mmである。
【0010】
さらに、固定子本体は、扇形となっており、電機子巻線は、弧状となっており、第1の接合面が位置している平面と第2の接合面が位置している平面とは垂直となり、または、第1の突出部の端面が位置している平面と第2の突出部の端面が位置している平面とは垂直となる。
【0011】
さらに、固定子モジュールは、固定子本体に固定的に設けられるとともに電機子巻線に電気的に接続される第1のドライバをさらに含み、第1のドライバと電機子巻線との電気的な接続方式は、導線による接続、挿抜による接続および溶接のうちの少なくとも1つを含み、または、固定子モジュールは、固定子本体に固定的に設けられるとともに電機子コイルがプリントされている第1のドライバをさらに含む。
【0012】
さらに、第1のドライバは、集積回路基板であり、第1のドライバに電機子コイルがプリントされる場合、第1のドライバは、PCB巻線である。
【0013】
さらに、第1のドライバに電機子コイルがプリントされる場合、第1のドライバの数量は複数個であって、複数の第1のドライバは、第1の方向に沿って重なって設けられ、および/または、複数の第1のドライバは、第2の方向に沿って重なって設けられ、かつ、複数の第1のドライバによって電機子巻線が形成される。
【0014】
さらに、固定子モジュールは、固定子本体に固定的に設けられる第2のドライバと、固定子本体に固定的に設けられるとともに第2のドライバに電気的に接続され、かつ電機子コイルがプリントされている第3のドライバと、をさらに含み、第2のドライバと第3のドライバとの電気的な接続方式は、導線による接続、挿抜による接続、溶接、フレキシブル基板による接続および電磁的結合による接続のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
さらに、第3のドライバは、複数層のプリント回路基板を重ねて形成され、各層のプリント回路基板にそれぞれ電機子コイルがプリントされ、かつ、少なくとも隣接する2層のプリント回路基板における電機子コイルが共同で1つの3相電機子巻線を形成する。
【0016】
さらに、第2のドライバおよび第3のドライバのうちの少なくとも一方は、集積回路基板であり、第3のドライバが集積回路基板である場合、第3のドライバは、PCB巻線である。
【0017】
さらに、第3のドライバの数量は複数個であり、複数の第3のドライバは、第1の方向に沿って重なって設けられ、および/または、複数の第3のドライバは、第2の方向に沿って重なって設けられ、かつ複数の第3のドライバによって電機子巻線が形成される。
【0018】
さらに、固定子モジュールは、固定子本体に取り付けられるとともに吹出口を有する放熱ファンをさらに含み、電機子巻線は、固定子本体の吹出口から離れる側に設けられ、固定子本体は、吹出口に連通する導風通路を有し、吹出口から流出した気流は、導風通路を通って電機子巻線を流れる。
【0019】
さらに、固定子本体は、吹出口に面する第1の表面と吹出口に背向する第2の表面とを有し、第2の表面には、一部の電機子巻線が挿入するための挿入溝が設けられ、導風通路は、第1の表面および第2の表面を貫通しているとともに、挿入溝の側壁に連通している。
【0020】
さらに、導風通路の数量は、複数個であり、全ての導風通路は、第2の方向に沿って間隔を隔てて配列され、かつ、各々の導風通路自体の延伸方向における中心軸線が第2の方向に垂直となる。
【0021】
さらに、導風通路は、第2の方向に垂直な第3の方向に沿って電機子巻線の両側に分布される。
【0022】
さらに、固定子本体は、吹出口に面するとともに取付溝が設けられる第1の表面を有し、固定子本体は、取付溝内に位置するとともに電機子巻線に電気的に接続される回路基板をさらに含む。
【0023】
さらに、固定子モジュールは、固定ブラケットをさらに含み、放熱ファンは、固定ブラケットを介して固定子本体に接続される。
【0024】
さらに、固定子モジュールは、放熱ファンの底部に設けられる放熱板をさらに含み、放熱ファンは、放熱板を介して固定ブラケットに接続される。
【0025】
本発明の他方面によれば、ベースと、搬送方向に沿って敷設されるとともにベースに固定的に設けられるガイドレールと、複数の固定子モジュールと、を含み、複数の固定子モジュールは、搬送方向に沿って互いに接合され、固定子本体は、ベースに固定的に設けられる搬送システムを提供する。
【0026】
さらに、複数の固定子モジュールは、搬送方向に沿って互いに接合され、可動子モジュールは、ガイドレールと摺動可能に協力されるとともに電機子巻線と結合される。
【0027】
さらに、隣接する2つの固定子モジュールにおいて、そのうちの一方の電機子巻線の第1の突出部と他方の電機子巻線の第2の突出部とが接合され、かつ、第1の突出部における少なくとも一部の電機子コイルと第2の突出部における少なくとも一部の電機子コイルとが共同で重なって設けられることによって少なくとも1つの3相電機子巻線が形成される。
【0028】
さらに、電機子巻線は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、共同で複数の3相電機子巻線を形成しており、電機子巻線は、複数層の電機子コイルを重ねて設けることによって形成され、電機子コイルは、第2の方向に相順に周期的に配列され、第1の突出部と第2の突出部とが接合されて形成されるいずれか1つの3相電機子巻線において、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、同一層に位置するとともに、第2の方向に沿って相順に間隔を隔てて配列され、または、いずれか1つの3相電機子巻線において、第1の方向に沿って、U相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、同一層に位置し、V相電機子コイルは、隣接層に位置するとともにU相電機子コイルおよびW相電機子コイルの中心に位置し、または、第1の方向に沿って、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルは、3層に分布されている。
【0029】
さらに、第1の突出部は、第1の方向に沿って対向して設けられる第1の上面および第1の下面を有し、第1の上面は、上面と面一に設けられ、第2の突出部は、第1の方向に沿って対向して設けられる第2の上面および第2の下面を有し、第2の下面は、下面と面一に設けられ、隣接する2つの固定子モジュールにおいて、そのうちの一方の電機子巻線の上面と他方の電機子巻線の上面とが面一に設けられ、そのうちの一方の電機子巻線の下面と他方の電機子巻線の下面とが面一に設けられ、そのうちの一方の電機子巻線の第1の下面と他方の電機子巻線の第2の上面とが平行に設けられ、そして、第1の下面と第2の上面との間の距離は、0.1mm~1mmである。
【0030】
さらに、固定子モジュールは、固定子本体に固定的に設けられるとともに電機子巻線に電気的に接続される第1のドライバをさらに含み、各々の第1のドライバは、光ファイバーを介して信号を伝送可能に接続されている。
【0031】
さらに、ガイドレールは、補助ガイドレールおよび第1のガイドレールを有し、補助ガイドレールおよび第1のガイドレールは、それぞれ可動子モジュールと摺動可能に協力され、かつ、補助ガイドレールの案内精度は、第1のガイドレールの案内精度よりも高い。
【0032】
さらに、補助ガイドレールおよび第1のガイドレールは、搬送方向に沿って平行に設けられ、かつ、補助ガイドレールは、第1のガイドレールの少なくとも一方側に設けられ、ガイドレールは、補助ガイドレールに対応して設けられる第2のガイドレールをさらに含み、第2のガイドレールは、ベースから離れる方向に沿って第1のガイドレールに重なって設けられ、かつ、第2のガイドレールの設置長さは、補助ガイドレールの設置長さ以下である。
【0033】
さらに、補助ガイドレールと第1のガイドレールとは、搬送方向に沿って接続され、かつ、補助ガイドレールおよび第1のガイドレールは、接続箇所でそれぞれ面取りされる。
【発明の効果】
【0034】
固定子モジュールの電機子巻線は、周期的に配列される複数の電機子コイルを有し、少なくとも一部の電機子コイルは、第1の突出部に設けられる。電機子巻線の端部に第1の突出部が設けられ、第1の突出部は、第2の方向に沿って第1の接合面に突設されているため、隣接する2つの固定子モジュールの接合箇所でも可動子モジュールの運動精度が高く、可動子モジュールが接合箇所に運動したときにも高い速度を有し、可動子モジュールの高速運動の連続性を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願の一部を構成する図面は、本発明に対する更なる理解を容易にするためのものであり、本発明の例示的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を不当に限定しない。
【
図1】本願の幾つかの実施例における搬送システムの正面構造を示す図である。
【
図2】本願の幾つかの実施例における固定子モジュールの構造を示す図である。
【
図3】本願の幾つかの実施例における隣接する2つの固定子モジュールが接合された様子を示す部分断面構造図である。
【
図4】本願の他の幾つかの実施例における隣接する2つの固定子モジュールが接合された様子を示す部分断面構造図である。
【
図5】本願のまた他の幾つかの実施例における隣接する2つの固定子モジュールが接合された様子を示す部分断面構造図である。
【
図6】本願の幾つかの実施例における搬送システムにおける隣接する2つの固定子モジュールの接合構造を1つの視角から見た図である。
【
図7】本願の幾つかの実施例における2つの隣接する固定子モジュールが接合される様子を示す部分断面構造図である。
【
図8】本願の他の幾つかの実施例における隣接する2つの固定子モジュールが接合された様子を示す部分断面構造図である。
【
図9】本願のまた他の幾つかの実施例における隣接する2つの固定子モジュールが接合された様子を示す部分断面構造図である。
【
図10】本願の幾つかの実施例における弧状の固定子モジュールの構造を示す図である。
【
図11】本願の他の幾つかの実施例における弧状の固定子モジュールの構造を示す図である。
【
図12】本願の幾つかの実施例における電機子巻線の接続関係を示す図である。
【
図13】本願の幾つかの実施例における第1のドライバの設置構造を示す断面構造図である。
【
図14】本願の他の幾つかの実施例における第1のドライバの設置構造を示す断面構造図である。
【
図15】本願の他の幾つかの実施例における電機子巻線の接続関係を示す図である。
【
図16】本願の幾つかの実施例における搬送システムにおける隣接する2つの固定子モジュールの接合構造を示す図である。
【
図17】本願の他の幾つかの実施例における搬送システムにおける隣接する2つの固定子モジュールの接合構造を示す図である。
【
図18】本願の1つの実施例における固定子モジュールの構造を示す図である。
【
図19】本願の1つの実施例における固定子モジュールの断面構造を示す図である。
【
図20】本願の別の実施例における固定子本体の断面構造を示す図である。
【
図21】本願の1つの実施例における搬送システムの構造を示す図である。
【
図22】本願の幾つかの実施例における搬送システムの構造を示す図である。
【
図23】本願の幾つかの実施例におけるボールスライダの断面構造を示す図である。
【
図24】本願の幾つかの実施例における搬送システムの固定子モジュールが接続された構造を示す図である。
【
図25】本願の幾つかの実施例における搬送システムの側面構造を示す図である。
【
図26】本願の幾つかの実施例における搬送システムの他の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例の技術案について図面を参照しながら明瞭かつ完全に説明するが、以下に説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは言うまでもない。
【0037】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、実際には説明的なものに過ぎず、本発明およびその応用または使用に対して何ら制限するものではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働を付与せずに得られる他の実施例も全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0038】
なお、ここに用いられる用語は、本発明を実施するための形態を説明するためのものに過ぎず、本願に係る例示的な実施形態を制限することを意図しない。ここで使用されているように、本明細書において特に明示しない限り、単数の形態には複数の形態も含まれることを意図する。また、本明細書において「包含」および/または「含む」の用語を使用する場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、コンポーネントおよび/またはそれらの組み合わせを明示するものであると理解すべきである。
【0039】
特に断りのない限り、これらの実施例で説明される部材およびステップの相対的配置、数式および数値は、本発明の範囲を制限するものではない。なお、説明の便宜上、図面に示される各部の寸法は、実際の比例関係に従って描かれているものではない。当業者が周知している技術、方法および機器について詳細に説明しない可能性があるが、適切な場合では、前記技術、方法および機器は登録公告される明細書の一部であると見なされるべきである。ここで検討および示される全ての例示において、任意の具体的な値は、あくまでも例示的なものに過ぎず、制限的なものではないと解釈されるべきである。従って、例示的な実施例以外の例示では、異なる値を有していてもよい。
【0040】
なお、類似する符号およびアルファベットは、以下の図面において類似するものを示すので、ある事項がある1つの図面で定義されると、後続きの図面においてさらに検討する必要がない。
【0041】
図1~
図4に示すように、本願の実施例は、ベース2と、複数の可動子モジュール3と、ガイドレール4と、複数の接合される固定子モジュール1とを含む搬送システム100を提供し、複数の接合される固定子モジュール1は、直線状の固定子セグメント110および/または弧状の固定子セグメント120を構成することができる。可動子モジュール3は、固定子モジュール1上で運動することによって物品の搬送を実現することができる。
【0042】
図1~
図3に示すように、固定子モジュール1は、搬送システム100に適用され、当該搬送システム100は、直線状の固定子セグメント110と弧状の固定子セグメント120とを含み、直線状の固定子セグメント110は、搬送方向に沿って接合される複数の直線状の固定子モジュールを含み、弧状の固定子セグメント120は、搬送方向に沿って接合される複数の弧状の固定子モジュールを含んでもよい。
【0043】
固定子モジュール1は、固定子本体10と、固定子本体10に固定的に設けられる電機子巻線11とを含む。
【0044】
本実施例では、電機子巻線11と固定子本体10との接続方式は限定されず、具体的な接続方式は、溶接、接着、螺着、挿着のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0045】
図2に示すように、電機子巻線11は、第1の方向Zに対向して設けられる上面111および下面112と、第2の方向Xに対向して設けられる第1の接合面113および第2の接合面114とを有する。第1の方向Zは、固定子モジュール1の厚さ方向であり、第2の方向Xは、搬送システム100の搬送方向であり、第1の方向Zは、第2の方向Xに垂直となってもよい。
【0046】
第1の接合面113および第2の接合面114は、上面111と下面112との間に位置するとともに当該上面111と下面112とを接続する。電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子コイル13は、複数組のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、かつ、隣接する電機子コイル13は、共同で1つの3相電機子巻線を構成することができる。
【0047】
複数の3相電機子巻線に周期的に通電することにより、電機子巻線11が異なる位置に可変な磁界を発生し、当該磁界は、固定子モジュール1における永久磁石と結合することにより、可動子モジュール3を固定子モジュール1上で運動するように駆動する。電機子巻線11は、第1の突出部12をさらに有し、第1の突出部12は、第2の方向Xに第1の接合面113に突設され、すなわち、当該第1の突出部12は、第2の方向Xにおいて一定の長さを有し、かつ、少なくとも一部の電機子コイル13が第1の突出部12に設けられる。
【0048】
なお、直線状の固定子セグメント110および弧状の固定子セグメント120は、複数の固定子モジュール1が共同で接合されて形成されるものである。
図3~
図5に示すように、本実施例の固定子モジュール1は、第1の接合面113に第1の突出部12が突設されているため、隣接する2つの接合される固定子モジュール1に対して、2つの固定子モジュール1における第1の突出部12を対向して接合することにより、隣接する2つの固定子モジュール1の接合および位置決めを容易に実現することができる。
【0049】
より具体的には、2つの第1の突出部12を第1の方向Zに沿って重ねて設けることにより、一方の固定子モジュール1の上面111と他方の固定子モジュール1の下面112とが面一になり、隣接する2つの固定子モジュール1の接合に対して位置決め作用を果たし、これにより隣接する2つの固定子モジュール1の接合精度を向上させ、さらに固定子モジュール1の接合箇所での可動子モジュール3の運動精度を向上させることができる。
【0050】
さらに、2つの接合面を有する固定子モジュール1に対して、1つの接合面のみに突出部が設けられてもよく、当該単一の突出部を有する固定子モジュール1を、別の単一の突出部を有する固定子モジュール1と接合することにより、隣接する2つの固定子モジュール1の接合精度を向上させることができ、固定子モジュール1の接合箇所での可動子モジュール3の制御精度が高くなる。
【0051】
本実施例では、隣接して接合可能な固定子モジュール1のタイプは限定されず、例えば、単一の突出部を有する固定子モジュール1は、直線状の固定子モジュールと直線状の固定子モジュールとの接合、直線状の固定子モジュールと弧状の固定子モジュールとの接合、弧状の固定子モジュールと弧状の固定子モジュールとの接合などに適用されることができる。
【0052】
第1の突出部12に設けられる電機子コイル13の具体的な設置構造を説明する。なお、隣接する2つの固定子モジュール1が接合される場合、第1の突出部12が第1の方向Zに沿って重なって設けられ、少なくとも一部の電機子コイル13が第1の突出部12に設けられるので、重なって設けられる2つの第1の突出部12における電機子コイル13が共同で少なくとも1つの3相電機子巻線を形成することができる。
【0053】
そして、第1の突出部12における電機子コイル13に周期的に通電することにより、隣接する2つの第1の突出部12によって形成される3相電機子巻線に励磁電流を発生させ、隣接する2つの電機子巻線11は接合箇所にも磁界が発生され、当該磁界は、可動子モジュール3を運動駆動するために用いられることができ、さらに、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度を高く保持することができ、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0054】
なお、本実施例では、電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子巻線11は、第1の方向Zに沿って周期的に配列されてもよく、第2の方向Xに沿って周期的に配列されてもよく、第1の方向Zおよび第2の方向Xに沿って周期的に配列されてもよいが、本実施例ではこれを限定せず、具体的な配列形式については後述する。
【0055】
さらに、本実施例では、電機子巻線11における電機子コイル13の第1の方向Zに沿った周期的な配列方式を具体的に限定しない。例えば、幾つかの実施例では、3相電機子巻線は、単層に配列されており、すなわち、3相電機子巻線における電機子コイル13は、1層に周期的に配列されるとともに、第2の方向Xに沿ってUVW相順に間隔を隔てて設けられ、かつ、電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数は、1層または複数層であってもよい。
【0056】
または、幾つかの実施例では、3相電機子巻線は、2層に配列されており、3相電機子巻線における電機子コイル13は、2層に分布され、U相電機子コイルとW相電機子コイルとが同一層に設けられ、V相電機子コイルが隣接層に設けられるとともにU相電機子コイルおよびW相電機子コイルの中心に位置し、かつ、この構造に基づいて設けられる複数の3相電機子巻線は、第1の方向Zおよび/または第2の方向Xに沿って重なって設けられる。
【0057】
また、例えば、幾つかの実施例では、3相電機子巻線は、3層に配列されており、3相電機子巻線における電機子コイル13は、3層に分布され、UVW電機子コイル13は、互いに隣接層にそれぞれ設けられる。なお、電機子巻線11における隣接する電機子コイル13が共同で3相電機子巻線を形成するので、電機子コイル13が第2の方向Xに沿って相順に配列され、かつ、正相順および逆相順のいずれであってもよい。
【0058】
なお、第1の突出部12に位置する電機子コイル13の周期的な配列方式と電機子巻線11に位置する電機子コイル13の周期的な配列方式とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の突出部12に位置する電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数と、電機子巻線11に位置する電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
さらに、幾つかの実施例では、
図3に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられた3相電機子巻線が同一層に分布され、第1の突出部12に少なくとも1つの完全な3相電機子巻線を有し、かつ、重なって設けられる2つの第1の突出部12における電機子コイル13の第1の方向Zでの正投影が重なり合わせられてもよい。
【0060】
すなわち、重なって設けられる2つの第1の突出部12における電機子コイル13は、第1の方向Zに沿って重なって設けられる複数組の3相電機子巻線を共同で形成することにより、隣接する2つの電機子巻線11が接合箇所でも依然として強い磁界を形成することができ、接合箇所での可動子モジュール3の運動精度を向上させることができる。
【0061】
なお、第1の突出部12における電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。または、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所に運動した場合、いずれか一方の固定子モジュール1に通電することにより、第1の突出部12に励磁電流を発生させ、その後、他方の固定子モジュール1に通電することにより、他方の固定子モジュール1の第1の突出部12に励磁電流を発生させて、可動子モジュール3の駆動を実現することができ、搬送システム100の可動子モジュール3の駆動方式がより柔軟となる。
【0062】
幾つかの実施例では、
図4に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線が2層に分布され、第1の突出部12に少なくとも1つの完全な3相電機子巻線を有するようにしてもよい。すなわち、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所に運動した場合、いずれか一方の固定子モジュール1に通電することにより、第1の突出部12に励磁電流を発生させて、可動子モジュール3の駆動を実現することができ、搬送システム100の可動子モジュール3の駆動方式がより柔軟となる。
【0063】
幾つかの実施例では、
図5に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線が3層に分布され、第1の突出部12に少なくとも1つの完全な3相電機子巻線を有するようにしてもよい。すなわち、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所に運動した場合、いずれか一方の固定子モジュール1に通電することにより、第1の突出部12に励磁電流を発生させて、可動子モジュール3の駆動を実現し、搬送システム100が可動子モジュール3を駆動する方式をより柔軟にすることができる。
【0064】
または、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所に運動した場合、いずれか一方の固定子モジュール1に通電することにより、第1の突出部12に励磁電流を発生させ、その後、他方の固定子モジュール1に通電することにより、他方の固定子モジュール1の第1の突出部12に励磁電流を発生させて、可動子モジュール3の駆動を実現することができ、搬送システム100の可動子モジュール3の駆動方式がより柔軟となる。
【0065】
以上のように、本願の実施例は、固定子本体10と、固定子本体10に固定的に接続される電機子巻線11とを含む固定子モジュール1を提供する。電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子コイル13は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、異なる位置にある電機子コイル13に周期的に通電することにより、電機子巻線11の異なる位置に可変な磁界を発生させ、当該磁界は、可動子モジュール3における永久磁石と結合して、可動子モジュール3を固定子モジュール1上で運動するように駆動する。
【0066】
さらに、本実施例の電機子巻線11は、第1の方向Zに沿って対向して設けられる上面111および下面112と、第1の方向Zに垂直な第2の方向Xに対向して設けられる第1の接合面113および第2の接合面114とを有し、第1の接合面113に第1の突出部12が突設され、少なくとも一部の電機子巻線11が第1の突出部12に設けられる。なお、第1の突出部12を設けることにより、隣接する2つの固定子モジュール1を容易に接合することができ、隣接する2つの固定子モジュール1の接合は、第1の突出部12および/または第1の接合面113によって互いの位置決めを実現することができ、さらに隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度を向上させて、可動子モジュール3が隣接する固定子モジュール1の接合箇所に運動したときにも、可動子モジュール3の運動精度が依然として高くなる。
【0067】
また、一部の電機子巻線11が第1の突出部12に設けられているため、隣接する2つの固定子モジュール1が接合箇所でも3相電機子巻線を駆動して電流励磁を発生させることができ、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所でも依然として駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度が依然として高く保持され、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0068】
幾つかの実施例では、
図2および
図6に示すように、固定子モジュール1の2つの接合面のいずれにも突出部が設けられてもよい。具体的には、電機子巻線11は、第2の方向Xとは反対の方向に第2の接合面114に突設される第2の突出部14をさらに含んでもよい。第2の突出部14には、U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルのうちの少なくとも1つである電機子コイル13が1つまたは複数設けられていてもよい。
【0069】
2つの突出部を有する固定子モジュール1は、固定子モジュール1のモジュール化設計を実現することができ、当該モジュール化された固定子モジュール1を接合することにより、直線状の固定子セグメント110および弧状の固定子セグメント120を形成することができる。
【0070】
本実施例では、隣接して接合可能な固定子モジュール1のタイプは限定されず、例えば、2つの突出部を有する固定子モジュール1は、直線状の固定子モジュールと直線状の固定子モジュールとの接合、直線状の固定子モジュールと弧状の固定子モジュールとの接合、弧状の固定子モジュールと弧状の固定子モジュールとの接合などに適用されることができる。
【0071】
なお、第2の方向Xに沿って、第2の突出部14の正投影と第1の突出部12の正投影とがずれて設けられてもよく、このような構造とすることにより、複数の固定子モジュール1を同じ設置方式で第2の方向Xに沿って順次接合することができる。
【0072】
さらに、
図6~
図9に示すように、隣接する2つの固定子モジュール1の接合を例として、2つの固定子モジュール1が同じ設置方式で第2の方向Xに沿って順次に接合されるため、一方の固定子モジュール1の第1の突出部12と他方の固定子モジュール1の第2の突出部14とが第1の方向Zに重なって設けられ、第1の突出部12と第2の突出部14との接合が実現される。なお、第1の突出部12と第2の突出部14との接合は、隣接する2つの固定子モジュール1の取り付け精度を向上させることができ、隣接する固定子モジュール1間の接合が容易となる。
【0073】
そして、第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも電機子コイル13が設けられているため、可動子モジュール3が隣接する2つの電機子巻線11の接合箇所でも電流励磁を受けることができ、電機子巻線11の接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度がより精確となる。
【0074】
さらに、第2の突出部14における電機子コイル13の周期的な配列方式と、電機子巻線11における電機子コイル13の周期的な配列方式とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2の突出部14における電機子コイル13の周期的な配列方式と、第1の突出部12における電機子コイル13の周期的な配列方式とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0075】
第2の突出部14における電機子コイル13の設置数と、第1の突出部12における電機子コイル13の設置数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2の突出部14における電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数と、第1の突出部12における電機子コイル13の第1の方向Zに沿った設置層数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0076】
幾つかの実施例では、
図7に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線および第2の突出部14に設けられる3相電機子巻線はいずれも1層に分布され、かつ、第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも少なくとも1つの完全な3相電機子巻線が設けられ、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12および第2の突出部14における同相の電機子コイル13の正投影が少なくとも部分的に重なり合わせられ、すなわち、第1の突出部12における電機子コイル13および第2の突出部14における電機子コイル13のうちの少なくとも一部が共同で少なくとも1つの3相電機子巻線が形成されている。
【0077】
本実施例では、第1の突出部12および第2の突出部14における電機子コイル13の設置構造を限定することにより、隣接する2つの電機子巻線11は、接合箇所にも電流励磁が発生され、接合箇所で可動子モジュール3を運動駆動させ、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0078】
幾つかの実施例では、
図8に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線は、2層に分布され、第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも少なくとも1つの完全な3相電機子巻線が設けられ、第1の方向Zに沿って、少なくとも一部の第1の突出部12および第2の突出部14における同相の電機子コイル13の正投影が重なり合わせられており、すなわち、第1の突出部12における電機子コイル13と第2の突出部14における電機子コイル13とが第1の方向Zに沿って周期的に配列されてもよい。
【0079】
本実施例では、第1の突出部12および第2の突出部14における電機子コイル13の設置構造を限定することにより、隣接する2つの電機子巻線11は、接合箇所にも3相電機子巻線の重ね合わせが実現されることができ、可動子モジュール3が接合箇所でも電流励磁によって駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0080】
さらに、幾つかの実施例では、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線は2層に分布され、第1の突出部12に設けられる電機子コイル13および第2の突出部14に設けられるコイル巻線の層数はいずれも1層であり、かつ、第1の突出部12と第2の突出部14とが互いに近接する箇所での2層の電機子コイル13は重なって設けられて共同で3相電機子巻線が形成されてもよい。
【0081】
本実施例では、第1の突出部12および第2の突出部14における電機子コイル13の設置構造を限定することにより、2つの突出部における電機子コイル13に個別に通電する場合、突出部における電機子コイル13が磁界を発生することができない。
【0082】
2つの突出部における電機子コイル13に同時に周期的に通電する場合のみに、2つの突出部における電機子コイル13は共同で1つの3相電機子巻線を形成し、当該3相電機子巻線は、電流励磁を発生させて接合箇所に位置する可動子モジュール3に対して推力を発生させることができ、可動子モジュール3が接合箇所でも依然として電流励磁によって駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0083】
さらに、幾つかの実施例では、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線は2層に分布され、第1の突出部12および第2の突出部14の少なくとも一方に少なくとも1つの完全な3相電機子巻線が設けられ、かつ、第1の突出部12と第2の突出部14との接合箇所では、第1の突出部12および第2の突出部14において隣接して設けられる2層の電機子コイル13は重なって設けられて共同で3相電機子巻線が形成されてもよい。
【0084】
なお、本実施例では、1つの突出部のみが1つの完全な3相電機子巻線を有しており、当該突出部に周期的に通電すると、当該突出部の3相電機子巻線が電流励磁を発生して接合箇所で可動子モジュール3を運動駆動する。
【0085】
さらに、2つの突出部に同時に周期的に通電する場合、第1の突出部12および第2の突出部14における一部の電機子コイル13は共同で少なくとも1つの3相電機子巻線を形成するので、可動子モジュール3が接合箇所にあるときにより大きな推力を受けることができ、さらに接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0086】
幾つかの実施例では、
図9に示すように、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線は3層に分布され、第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも少なくとも1つの完全な3相電機子巻線が設けられ、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12における電機子コイル13の正投影と第2の突出部14における同相の電機子コイル13の正投影とが重なり合わせられており、すなわち、第1の突出部12における電機子コイル13と第2の突出部14における電機子コイル13とは、第1の方向Zに沿って周期的に配列されてもよい。
【0087】
本実施例では、第1の突出部12および第2の突出部14における電機子コイル13の設置構造を限定することにより、隣接する2つの電機子巻線11は、接合箇所にも3相電機子巻線の重ね合わせが実現されることができ、可動子モジュール3が接合箇所でも電流励磁によって駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0088】
さらに、幾つかの実施例では、第1の突出部12に設けられる3相電機子巻線は3層に分布され、第1の突出部12および第2の突出部14の少なくとも一方に少なくとも1つの完全な3相電機子巻線が設けられ、かつ、第1の突出部12と第2の突出部14との接合箇所では、第1の突出部12および第2の突出部14において隣接して設けられる電機子コイル13は重なって設けられて共同で3相電機子巻線が形成されてもよい。
【0089】
なお、本実施例では、1つの突出部のみが1つの完全な3相電機子巻線を有しており、当該突出部に周期的に通電すると、当該突出部の3相電機子巻線が電流励磁を発生して接合箇所で可動子モジュール3を運動駆動する。さらに、2つの突出部に同時に周期的に通電する場合、第1の突出部12および第2の突出部14における一部の電機子コイル13は共同で少なくとも1つの3相電機子巻線を形成するので、可動子モジュール3が接合箇所にあるときにより大きな推力を受けることができ、さらに接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0090】
なお、幾つかの実施例では、
図6~
図9に示すように、電機子巻線11による可動子モジュール3の推力を増加させるために、電機子巻線11は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、かつ、当該U相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルが共同で複数の3相電機子巻線が形成される。
【0091】
本願は、電機子コイル13の設置構造を具体的に限定せず、電機子コイル13は、コアレスコイルであってもよいし、コアコイルであってもよい。電機子巻線11は、第1の方向Zに沿って複数層の電機子コイル13が重なって設けられて形成されたものであり、通電後の電機子巻線11が可動子モジュール3に対してより大きな推力を発生させることができる。
【0092】
各層の電機子コイル13は、第2の方向Xに沿って相順に周期的に配列され、固定子モジュール1の第2の方向Xに沿った設置長さが長くなり、さらに単一の固定子モジュール1による可動子モジュール3の駆動距離が長くなる。
【0093】
図2および
図6に示すように、各々の固定子モジュール1において、第1の突出部12が第1の方向Zに対向して設けられる第1の上面121および第1の下面122を有し、第1の突出部12の第1の上面121が電機子巻線11の上面111と面一となっており、第2の突出部14が第1の方向Zに対向して設けられる第2の上面141および第2の下面142を有し、第2の突出部14の第2の下面142が電機子巻線11の下面112と面一となっており、可動子モジュール3が固定子モジュール1に沿って容易に運動することができる。
【0094】
なお、第1の突出部12の第1の上面121と固定子モジュール1の上面111とが面一に設けられることにより、電機子巻線11内での電機子コイル13の空間占用率を増加させて、電機子巻線11における電機子コイル13の連続性を確保することができ、そして、可動子モジュール3と電機子巻線11との間の設置がより緊密となり、固定子モジュール1と可動子モジュール3との間の推力を増加させることができる。第2の突出部14の第2の下面142と固定子モジュール1の下面112とが面一に設けられることについても同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0095】
第1の方向Zおよび第2の方向Xの双方に直交する第3の方向Yにおいて、第1の突出部12および第2の突出部14の幅は、電機子巻線11の幅と同じであってもよく、すなわち、第3の方向Yにおいて、第1の突出部12の両側面は、電機子巻線11の両側面と面一となっており、第2の突出部14の両側面は、電機子巻線11の両側面と面一となってもよい。
【0096】
各々の固定子モジュール1において、第1の突出部12の第1の下面122は、第2の突出部14の第2の上面141と面一となっており、2つの固定子モジュール1が接合される場合、一方の固定子モジュール1の第1の突出部12の第1の下面122は、他方の固定子モジュール1の第2の突出部14の第2の上面141と密着する。このような構造とすることにより、隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度を向上させることができ、隣接する2つの固定子モジュール1の取り付けが容易となる。そして、隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度の向上によって、可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させて、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度を向上させることもできる。
【0097】
または、一方の固定子モジュール1の第1の突出部12の第1の下面122は、他方の固定子モジュール1の第2の突出部14の第2の上面141に平行となっており、かつ、当該第1の下面122と第2の上面141との間に予め設定された距離を隔てて、当該予め設定された距離は、0.1mm~1mmである。上記のように密着して設置し、または予め設定された距離を隔てて設置することにより、互いに接合される第1の突出部12と第2の突出部14の接合が緊密となり、可動子モジュール3に対する制御精度がより高くなる。
【0098】
各々の固定子モジュール1において、第1の方向Zに沿って、第1の突出部12および第2の突出部14の厚みは同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の突出部12および第2の突出部14の長さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の突出部12および第2の突出部14の幅は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0099】
第1の方向Zにおいて、電機子巻線11の厚みが第1の突出部12および第2の突出部14の厚みの和と等しくてもよいが、第1の突出部12および第2の突出部14の厚みの和が電機子巻線11の厚みよりも小さくなってもよい。1つの具体的な構造では、固定子モジュール1の製造を容易にするとともに、固定子モジュール1の製造コストを低減させるために、第1の突出部12および第2の突出部14は同じ構造を有するようになっている。
【0100】
幾つかの実施例では、
図6に示すように、第2の方向Xに接合される2つの固定子モジュール1に対して、そのうちの一方の固定子モジュール1の第1の突出部12と他方の固定子モジュール1の第2の突出部14とが接合され、かつ、第1の突出部12における少なくとも一部の電機子コイル13と第2の突出部14における少なくとも一部の電機子コイル13とが重なって設けられることにより共同で少なくとも1つの3相電機子巻線を形成している。
【0101】
例示的に、
図7~
図9に示すように、そのうちの一方の突出部にU相電機子コイルおよびW相電機子コイルが設けられ、他方の突出部にV相電機子コイルが設けられ、第1の方向Zにおいて、V相電機子コイルがU相電機子コイルおよびW相電機子コイルの上方または下方に位置してもよい。2つの固定子モジュール1が接合されると、一方の突出部に設けられるU相電機子コイルおよびW相電機子コイルと他方の突出部に設けられるV相電機子コイルとによって1つの3相電機子巻線が形成される。
【0102】
幾つかの実施例では、第2の方向Xに接合される2つの固定子モジュール1に対して、2つの固定子モジュール1の対応される突出部は、第1の方向Zに重なって設けられ、各突出部のいずれにも第1の方向Zに分布される複数層の電機子コイル13が設けられ、各層の電機子コイル13は、予め設定されたUVW相順に周期的に配列される複数の電機子コイル13を含み、各層のいずれにも1つまたは複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルが含まれてもよい。
【0103】
2つの固定子モジュール1が接合されると、同一層に位置する1つのU相電機子コイルおよび1つのW相電機子コイルと隣接層に位置する1つのV相電機子コイルとによって1つの3相電機子巻線が形成される。1つの例示的な構造では、直線状の固定子モジュール1および弧状の固定子モジュール1はいずれも積層される2層の電機子コイル13を含み、直線状の固定子モジュールにおける電機子コイル13は四角環状であり、弧状の固定子モジュールにおける電機子コイル13は扇形環状であってもよい。
【0104】
幾つかの実施例では、
図10に示すように、固定子本体10は扇形状となり、電機子巻線11は弧状となっており、電機子巻線11の第1の接合面113が位置している平面と第2の接合面114が位置している平面とは垂直となり、第1の突出部12が当該第1の接合面113から突出して設けられ、第2の突出部14が当該第2の接合面114から突出して設けられてもよく、すなわち、第1の接合面113および第2の接合面114から外方へ一定の長さだけ延出して第1の突出部12および第2の突出部14が形成されることに相当する。
【0105】
これにより、可動子モジュール3が突出部に運動したときに、接続箇所での電機子コイル13が依然として連続することができ、さらに可動子モジュール3をよりよく制御して、可動子モジュール3の位置の認識や可動子モジュール3の速度の制御などの操作を行うことができる。このような構造の利点として、接合箇所での2つの突出部の接合がより緊密になることにある。
【0106】
幾つかの実施例では、
図11に示すように、電機子巻線11は弧状となっており、例示的に、電機子巻線11全体は、90°の扇形体であり、扇形状の電機子巻線11の一端に対して裁断を行うとともに他端に対して増設を行うことにより、当該裁断箇所および増設箇所にそれぞれ第2の突出部14および第1の突出部12が形成され、すなわち、第1の突出部12の端面が位置している平面と第2の突出部14の端面が位置している平面とは垂直となってもよい。
【0107】
1つの例示的な構造では、
図7に示すように、1層目の電機子コイル13の最も左側のU相電機子コイルが突出部に設けられており、可動子モジュール3が固定子モジュール1の突出部(すなわち、当該U相電機子コイル)に運動したとき、弧状の固定子モジュールの突出部と直線状の固定子モジュールの突出部とが大部分的に結合され、接続箇所においても電機子コイル13の結合を保証することができる一方、突出部に単相の電機子コイル13のみが設けられ、突出部に多相の電機子コイル13が設けられることと比べて、弧状の固定子モジュールの設置コストを低減させることができる。
【0108】
突出部の端面が位置している平面と対応する接合面が位置している平面とがなす角度は、1°~2°であってもよい。
【0109】
さらに、幾つかの実施例では、
図12に示すように、固定子モジュール1は、固定子本体10に設けられるとともに電機子巻線11に電気的に接続される第1のドライバ15をさらに含む。第1のドライバ15は、電機子巻線11における電機子コイル13への周期的な通電を駆動して制御するためのものであり、MCU、回路基板、電源などの回路素子であってもよい。第1のドライバ15がMCUまたは回路基板または電源である場合、第1のドライバ15と電機子巻線11との電気的接続は、導線による接続、挿抜による接続および溶接のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0110】
具体的には、第1のドライバ15と電機子巻線11とは、導線によって直接電気的に接続されてもよく、または、第1のドライバ15と電機子巻線11とは、取り外しおよび交換を容易に行うことができるように、差込口を介して挿抜を実現してもよい。また、例えば、第1のドライバ15と電機子巻線11とは、直接的に溶接によって一体化した集積構造を実現してもよく、このような集積構造とすることにより、固定子モジュール1の小型化を容易に実現して、第1のドライバ15による電機子巻線11の駆動をより安定化させることができる。
【0111】
または、幾つかの実施形態では、第1のドライバ15には、電機子コイル13がプリントされている。すなわち、第1のドライバ15は、MCUを有する回路基板であって、当該回路基板に1層または複数層の電機子コイル13がプリントされ、そして、電機子コイル13のプリント方式は、上述した3相電機子巻線のいずれか1種の配列方式であってもよい。本実施例では、第1のドライバ15と電機子巻線11との一体化を実現するように、回路基板に電機子コイル13をプリントすることにより、第1のドライバ15と電機子巻線11との間の応答速度を向上させることができる。
【0112】
または、第1のドライバ15は、集積回路基板であって、集積回路基板に各種の電気部品が集積され、制御信号および電気エネルギーを集積回路基板に伝達することにより、集積回路基板によって電機子巻線への通電のオンオフを制御するようにしてもよい。そして、第1のドライバ15に電機子コイル13がプリントされている場合、第1のドライバ15の固定子本体10への取り付けを容易にするように、第1のドライバ15は、PCB巻線であってもよい。
【0113】
さらに、第1のドライバ15に電機子コイル13がプリントされている場合、第1のドライバ15の数量は複数であって、複数の第1のドライバ15が共同で電機子巻線11を形成してもよい。
【0114】
例えば、複数層の第1のドライバ15を第1の方向Zに沿って重ねて設けることにより、電機子巻線11の第1の方向Zにおける厚さを増大させて、電機子巻線11に通電した後の駆動力を増加させ、そして、第1のドライバ15が第1の方向Zに沿って重なって設けられる数量を制御して、電機子巻線11の第1の方向Zに沿った厚さを制御することにより、動作状況または可動子モジュール3のタイプに応じて適切な電機子巻線11の厚さを選択して、固定子モジュール1の汎用性および設置の柔軟性を向上させることができる。または、電機子巻線11の第2の方向Xに沿った設置長さを増加させるように、複数層の第1のドライバ15を第2の方向Xに沿って重ねて設けることにより、固定子モジュール1による可動子モジュール3への駆動長さを増加させる。
【0115】
なお、電機子巻線11による可動子モジュール3への駆動距離を変化させるように、第1のドライバ15が第2の方向Xに沿って重なって設けられる数量を制御することにより、動作状況または可動子モジュール3のタイプに応じて適切な電機子巻線11の厚さを選択して、固定子モジュール1の汎用性および設置の柔軟性を向上させることができる。また、幾つかの実施例では、第1のドライバ15が第1の方向Zおよび第2の方向Xに沿って重なって設けられる数量を同時に変化させることにより、電機子巻線11の外観形状を変化させるようになっている。
【0116】
なお、本実施例では、複数の第1のドライバ15を重ねて設けることによって電機子巻線11を形成するように設置されることにより、電機子巻線11の加工製造を容易にすることができ、電機子巻線11の集積に有利であり、電機子巻線11と固定子本体10との接続をより便利かつ安定にさせることができる。
【0117】
なお、1層にある第1のドライバ15が隣接層にある第1のドライバ15よりも第2の方向Xに沿って凸設されるように、異なる層に位置する第1のドライバ15の数量または構造を設計することにより、第1の突出部12および第2の突出部14が形成されてもよい。
【0118】
さらに、幾つかの実施例では、
図13に示すように、第1のドライバ15を第1の方向Zに沿って重ねて設けた上に、一方の第1のドライバ15の一端が他方の第1のドライバ15の同じ端よりも突出して設けられるように、同じ外形構造を有する第1のドライバ15を第2の方向Xに沿ってずらして設けることにより、第1の突出部12および第2の突出部14が形成されてもよく、または、他の幾つかの実施例では、異なる外形構造を有する第1のドライバ15を第2の方向Xに沿ってずらして設けるとともに、第1のドライバ15の一端を全て同一の設置基準に位置させることにより、第1のドライバ15自体の構造の差異によって第1の突出部12および/または第2の突出部14が形成されてもよく、また、例えば、
図14に示すように、同じ外形構造を有する第1のドライバ15を規則的な板状構造に形成した上に、規則的な板状構造の両側に第1のドライバ15を別途重ねて設けることにより、別途重ねて設けられる第1のドライバ15に第1の突出部12および/または第2の突出部14が形成されてもよい。
【0119】
なお、別途重ねて設けられる第1のドライバ15の内部のコイル構造は、規則的な板状構造における第1のドライバ15のコイル構造と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0120】
さらに、複数層重なって設けられる第1のドライバ15の間に放熱シートを設けることにより、コイルが通電後に発生した熱を放熱シートを介して速やかに放熱させて、コイルが過熱して回路を焼損させるなどの悪影響を避けるようにしてもよい。本実施例では、放熱シートの具体的な構造および材料は限定されず、放熱シートは、アルミニウム、銅などの材料で製造されてもよい。
【0121】
幾つかの実施例では、
図15に示すように、固定子モジュール1は、第2のドライバ16および第3のドライバ17を含み、第2のドライバ16および第3のドライバ17はいずれも固定子本体10に固定的に設けられ、第2のドライバ16と第3のドライバ17とは電気的に接続され、かつ、第3のドライバ17に電機子コイル13がプリントされている。第2のドライバ16および第3のドライバ17はいずれも電機子コイル13への周期的な通電を制御して、電機子巻線11に電流励磁を発生させ、これにより、固定子モジュール1が可動子モジュール3を運動駆動することができる。
【0122】
具体的には、本実施例では、第2のドライバ16および第3のドライバ17の具体的な構造を限定しない。例えば、第2のドライバ16および第3のドライバ17はいずれもMCUであって、そのうち、第2のドライバ16におけるMCUはマスターチップであり、マスターチップが信号を受信すると、第2のドライバ16のMCUは、第3のドライバ17におけるMCUに信号を送信し、第3のドライバ17におけるMCUは、電機子コイル13への周期的な通電を制御し、第3のドライバ17が複数である場合、第2のドライバ16におけるMCUは、第3のドライバ17におけるMCUに順次に信号を送信し、第3のドライバ17におけるMCUは、電機子コイル13への周期的な通電を制御するようにしてもよい。
【0123】
または、第2のドライバ16は電源であり、第3のドライバ17はMCUであり、第2のドライバ16は、電気エネルギーをMCUに伝送し、MCUは、当該電気エネルギーを励磁電流に変換して電機子コイル13に伝送するようにしてもよい。なお、本実施例では、第3のドライバ17の設置数は限定されず、第3のドライバ17の設置数は、1つまたは複数であってもよい。
【0124】
例えば、第3のドライバ17の数量は1つであって、この場合、第3のドライバ17にプリントされている複数の電機子コイル13は、共同で電機子巻線11を形成してもよい。また、例えば、第3のドライバ17の数量は複数であって、複数の第3のドライバ17にプリントされている電機子コイル13は、共同で電機子巻線11を形成してもよい。以上のように、第2のドライバ16および第3のドライバ17はいずれも回路基板、MCUまたは電源のうちの少なくとも1種である場合、電機子巻線11に電流励磁を発生させるように制御するように、第2のドライバ16と第3のドライバ17とは電気的に接続されてもよく、そのうち、第2のドライバ16と第3のドライバ17との電気的な接続方式は、導線による接続、挿抜による接続、溶接、フレキシブル回路基板による接続または電磁結合のうちの少なくとも1種を含む。このような接続方式はいずれも通常の接続方式であるので、ここではその説明を省略する。
【0125】
幾つかの実施例では、第2のドライバ16および第3のドライバ17のうちの少なくとも一方は集積回路基板であって、集積回路基板に各種の電気部品が集積され、制御信号および電気エネルギーを集積回路基板に伝達して、集積回路基板を段階的に制御することによって電機子巻線への通電のオンオフを実現するようになっている。そして、第3のドライバ17に電機子コイル13がプリントされている場合、第3のドライバ17の固定子本体10への取り付けを容易にするために、第3のドライバ17は、PCB巻線であってもよい。
【0126】
さらに、本実施例では、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は限定されず、1層または複数層であってもよい。具体的には、3相電機子巻線が単層に配列される場合、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13は、第2の方向Xに沿ってUVW相順に間隔を隔てて設けられ、かつ、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は1層または複数層であってもよい。
【0127】
3相電機子巻線が2層に分布される場合、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は1層であって、複数の第3のドライバ17を重ねて設けることにより、隣接する2つの第3のドライバ17における電機子コイル13が共同で3相電機子巻線を形成するようにしてもよい。3相電機子巻線が2層に分布される場合、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は複数層であって、すなわち、第3のドライバ17は、少なくとも1つの3相電機子巻線を有し、かつ、少なくとも2つの隣接する第3のドライバ17における電機子コイル13が共同で3相電機子巻線を形成するようにしてもよい。
【0128】
3相電機子巻線が3層に分布される場合、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は1層であって、複数の第3のドライバ17を重ねて設けることにより、隣接する2つの第3のドライバ17における電機子コイル13が共同で3相電機子巻線を形成するようにしてもよい。3相電機子巻線が3層に分布される場合、第3のドライバ17にプリントされる電機子コイル13の層数は複数層であって、すなわち、第3のドライバ17は、少なくとも1つの3相電機子巻線を有し、かつ、少なくとも3つの隣接する第3のドライバ17における電機子コイル13が共同で3相電機子巻線を形成するようにしてもよい。
【0129】
さらに、第3のドライバ17に電機子コイル13がプリントされる場合、第3のドライバ17の数量は複数であって、かつ複数の第3のドライバ17が共同で電機子巻線11を形成するようにしてもよい。例えば、電機子巻線11の第1の方向Zにおける厚さを増大させるように、複数層の第3のドライバ17を第1の方向Zに沿って重ねて設けることにより、電機子巻線11に通電した後の駆動力を増加させ、そして、第3のドライバ17が第1の方向Zに沿って重なって設けられる数量を制御して、電機子巻線11の第1の方向Zに沿った厚さを制御することにより、動作状況または可動子モジュール3のタイプに応じて適切な電機子巻線11の厚さを選択して、固定子モジュール1の汎用性および設置の柔軟性を向上させることができる。
【0130】
または、電機子巻線11の第2の方向Xに沿った設置長さを増加させるように、複数層の第3のドライバ17を第2の方向Xに沿って重ねて設けることにより、固定子モジュール1による可動子モジュール3への駆動長さを増加させる。
【0131】
なお、電機子巻線11による可動子モジュール3への駆動距離を変化させるように、第3のドライバ17が第2の方向Xに沿って重なって設けられる数量を制御することにより、動作状況または可動子モジュール3のタイプに応じて適切な電機子巻線11の厚さを選択して、固定子モジュール1の汎用性および設置の柔軟性を向上させることができる。
【0132】
また、幾つかの実施例では、第3のドライバ17が第1の方向Zおよび第2の方向Xに沿って重なって設けられる数量を同時に変化させることにより、電機子巻線11の外観形状を変化させるようになっている。
【0133】
なお、本実施例では、複数の第3のドライバ17を重ねて設けることによって電機子巻線11を形成するように設置されることにより、電機子巻線11の加工製造を容易にすることができ、電機子巻線11の集積に有利であり、電機子巻線11と固定子本体10との接続をより便利かつ安定にさせることができる。
【0134】
なお、1層にある第3のドライバ17が隣接層にある第3のドライバ17よりも第2の方向Xに沿って凸設されるように、異なる層に位置する第3のドライバ17の数量または構造を設計することにより、第1の突出部12および第2の突出部14が形成されてもよい。
【0135】
幾つかの実施例では、一方の第3のドライバ17の一端が他方の第3のドライバ17の同じ端よりも突出して設けられるように、同じ外形構造を有する第3のドライバ17を第2の方向Xに沿ってずらして設けることにより、第1の突出部12および第2の突出部14が形成されてもよく、または、他の幾つかの実施例では、異なる外形構造を有する第3のドライバ17を第2の方向Xに沿ってずらして設けるとともに、第3のドライバ17の一端を全て同一の設置基準に位置させることにより、第3のドライバ17自体の構造の差異によって第1の突出部12および/または第2の突出部14が形成されてもよく、また、例えば、同じ外形構造を有する第3のドライバ17を規則的な板状構造に形成した上に、規則的な板状構造の両側に第3のドライバ17を別途重ねて設けることにより、別途重ねて設けられる第3のドライバ17に第1の突出部12および/または第2の突出部14が形成されてもよい。
【0136】
なお、別途重ねて設けられる第3のドライバ17の内部のコイル構造は、規則的な板状構造における第3のドライバ17のコイル構造と同じであってもよいし、異なってもよい。さらに、複数層重なって設けられる第3のドライバ17の間に放熱シートを設けることにより、コイルが通電後に発生した熱を放熱シートを介して速やかに放熱させて、コイルが過熱して回路を焼損させるなどの悪影響を避けるようにしてもよい。本実施例では、放熱シートの具体的な構造および材料は限定されず、放熱シートは、アルミニウム、銅などの材料で製造されてもよい。
【0137】
なお、上記の第2のドライバ16および/または第3のドライバ17が電機子コイル13への周期的な通電を制御することについて、電機子コイル13は、電機子巻線11に設けられる電機子コイル13だけでなく、第1の突出部12および/または第2の突出部14に設けられる電機子コイル13も含まれる。
【0138】
なお、
図12~
図15に示される固定子モジュール1は、直線状の固定子モジュールであってもよいし、弧状の固定子モジュールであってもよい。
【0139】
図18~
図21に示すように、固定子モジュール1は、固定子本体10に取り付けられるとともに吹出口181を有する放熱ファン18をさらに含み、電機子巻線11は、固定子本体10の吹出口181から離れる側に設けられ、固定子本体10は、吹出口181に連通する導風通路19を有し、吹出口181から流出した気流は、導風通路19を通って電機子巻線11を流れる。
【0140】
放熱ファン18の吹出口181から流出した気流は、導風通路19を通った後に電機子巻線11を流れる。放熱ファン18が正常に動作する場合、放熱ファン18の吹出口181から気流を流出し、当該気流は、導風通路19の吹出口181と連通する側から導風通路19に流入し、導風通路19による気流の案内作用によって、導風通路19を通った後に電機子巻線11を流れ、電機子巻線11の動作時に発生した熱を放熱させる。
【0141】
本願の実施例における固定子モジュール1によれば、放熱ファン18の吹出口181から流出した気流は、導風通路19の案内によって導風通路19を通って電機子巻線11を流れることにより、電機子巻線11の動作時に発生した熱を効果的に放熱させて、電機子巻線11での熱の蓄積を効果的に避けることができ、電機子巻線11に対して良好な保護作用を果たすとともに、セキュリティリスクも低減させた。
【0142】
さらに、固定子本体10が電機子巻線11を支持しつつ、放熱ファン18の吹出口181から流出した気流を流通させるための導風通路19を提供する必要があることを考慮して、固定子本体10が対応される機能を有するように、固定子本体10は、第1の表面20および第2の表面21を有し、第1の表面20は、放熱ファン18の吹出口181に面して設けられ、第2の表面21は、放熱ファン18の吹出口181に背向して設けられ、第2の表面21には、一部の電機子巻線11が挿入するための挿入溝211が設けられる。導風通路19は、第1の表面20および第2の表面21を貫通しているとともに、挿入溝211の側壁に連通している。
【0143】
ここで、電機子巻線11の挿入溝211に挿入される部分と挿入溝211の溝壁面とは、締まり嵌めによって電機子巻線11と固定子本体10との間の位置の相対的な固定を実現することができる。勿論、電機子巻線11の挿入溝211に挿入される部分と挿入溝211の溝壁面とは、例えば接着剤または両面テープなどを用いた接着によって、電機子巻線11と固定子本体10との間の位置の相対的な固定を実現することもできる。
【0144】
または、電機子巻線11と固定子本体10との相対的な固定は、螺着によって実現されてもよい。導風通路19が挿入溝211の側壁に連通するように設けられることにより、電機子巻線11の挿入溝211に挿入される部分も導風通路19内を流れる気流と接触することができ、電機子巻線11と気流との接触面積を増大させて、電機子巻線11の放熱をさらに速くさせることができる。
【0145】
さらに、
図18~
図21に示すように、導風通路19の数量は1つであってもよいし、複数であってもよく、導風通路19の数量が複数である場合、全ての導風通路19が第2の方向Xに沿って間隔を隔てて配列され、かつ、各々の導風通路19自体の延伸方向における中心軸線が第2の方向Xに垂直となる。複数の導風通路19が第2の方向Xに沿って間隔を隔てて配列されるように設計されることにより、放熱ファン18の吹出口181から流出した気流を最大限に導風通路19に進入させることを保証しつつ、電機子巻線11と固定子本体10との間の接続安定性を保証することができる。
【0146】
各々の導風通路19自体の延伸方向における中心軸線が第2の方向Xに垂直となるように設計されることにより、固定子本体10内での導風通路19のそれぞれの延伸長さを最も短くさせて、放熱ファンの吹出口181から流出した気流の導風通路19内での損失を最も低くさせた。
【0147】
さらに、幾つかの実施例では、
図18~
図21に示すように、導風通路19を電機子巻線11の片側に設けることができることを考慮して、電機子巻線11の放熱をさらに加速するために、導風通路19は、第2の方向Xに垂直な第3の方向Yに沿って電機子巻線11の両側に分布されるように設計されている。導風通路19を電機子巻線11の両側に設けることにより、放熱ファン18の吹出口181から流出した気流が導風通路19を流れた後に電機子巻線11の両側を流れることができ、両側で電機子巻線11の熱を放熱させることにより電機子巻線11の放熱をさらに加速することができる。
【0148】
さらに、
図18~
図21に示すように、電機子巻線11への通電のオンオフを電気的に制御する必要があることを考慮して、固定子本体10は、第1の表面20に取付溝201が設けられるとともに、取付溝201に位置しかつ電機子巻線11に電気的に接続される回路基板22をさらに含む。
【0149】
ここで、回路基板22には、センサ、コントローラ、送信機、受信機などの電気部品が一体に集積されている。例えば、回路基板22におけるセンサは、可動子モジュール3の運動位置、運動速度などの情報を取得して、このような情報を送信機によって端末に伝達するように、可動子モジュール3のセンサ素子と無線で伝送を行うことができ、端末は、生産需要に応じて受信機に制御指令を送信し、回路基板22におけるコントローラは、制御指令に基づいて電機子巻線11への通電時間または通電位置を制御することができる。
【0150】
回路基板22は、リジッド回路基板22であってもよいし、フレキシブル回路基板22であってもよいし、リジッドフレキシブル回路基板22であってもよい。
【0151】
ここで、回路基板22と取付溝201の溝壁面との間の具体的な接続方式は限定されず、例えば、回路基板22は、接着、螺着、係着などの方式のうちの少なくとも1つによって取付溝201の溝壁面に接続されてもよい。なお、回路基板22の動作時にも熱が発生するので、回路基板22が動作する際に発生した熱が回路基板22に蓄積しないように、回路基板22を固定子本体10の放熱ファン18の吹出口181に近い側に取り付けることにより、放熱ファン18の吹出口181から流出した気流は、取付溝201の溝開口から取付溝201に流入して回路基板22が動作する際に発生した熱を放熱させることもできる。
【0152】
固定子モジュール1は、固定ブラケット23をさらに含み、放熱ファン18は、固定ブラケット23を介して固定子本体10に接続される。
【0153】
ここで、固定ブラケット23の具体的な構造は限定されず、固定ブラケット23は、螺着または溶接によって固定子本体10に固定的に接続され、固定ブラケット23の構造強度が十分であることを保証した上に、固定ブラケット23に軽量化孔が設けられてもよい。放熱ファン18は、螺着によって固定ブラケット23に固定的に接続され、固定子本体10は、接着または螺着によって固定ブラケット23に固定的に接続されてもよい。固定ブラケット23を設計することにより、固定ブラケット23は、放熱ファン18と固定子本体10との間の中間接続構造として、放熱ファン18と固定子本体10との間に空気間隔が存在するようにして、放熱ファン18の放熱面積を増大させ、放熱ファン18の動作時にその自体に蓄積される熱量を低減させる。
【0154】
放熱ファン18自体の放熱を加速するために、固定子モジュール1は、放熱板24をさらに含み、放熱板24は、放熱ファン18の底部に設けられ、放熱ファン18は、放熱板24を介して固定ブラケット23に接続される。
【0155】
ここで、放熱板24は、良好な熱伝導性能を有する材料で製造されることが望ましく、例えば、放熱板24の製造材料は、熱伝導性シリコーングリース、放熱性シリコーングリース、グラフェンなどの熱伝導性材料であってもよいが、これらに限定されない。放熱板24を放熱ファン18の底部に設けることにより、放熱板24は、放熱ファン18を良好に支持しつつ、放熱ファン18の動作時に発生した熱が固定ブラケット23に伝達される速度を速くさせて、放熱ファン18自体の放熱を速くさせることができる。
【0156】
第2の態様によれば、
図3~
図5、
図16および
図22に示すように、本願の実施例は、ベース2と、複数の可動子モジュール3と、ガイドレール4と、複数の接合される固定子モジュール1とを含む搬送システム100を提供し、複数の接合される固定子モジュール1は、直線状の固定子セグメント110および/または弧状の固定子セグメント120を構成することができる。可動子モジュール3は、固定子モジュール1上で運動して、物品の搬送を実現することができる。
【0157】
ベース2は、当該搬送システム100の載置構造として、ガイドレール4および固定子モジュール1の設置のために設置基礎を提供することができる。ガイドレール4は、ベース2に固定されるとともに搬送方向に沿って敷設されている。可動子モジュール3は、ガイドレール4と摺動可能に協力されるとともに、電機子巻線11と結合される。
【0158】
複数の固定子モジュール1は、搬送システム100の搬送方向に沿って順次接合され、隣接する2つの固定子モジュール1において、そのうちの一方の固定子モジュール1の第1の突出部12と他方の固定子モジュール1の第1の突出部12とが接合され、かつ、2つの第1の突出部12における少なくとも一部の電機子コイル13が重なって設けられることによって共同で少なくとも1つの3相電機子巻線が形成される。
【0159】
電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子コイル13は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含み、異なる位置にある電機子コイル13に周期的に通電することにより、電機子巻線11の異なる位置に可変な磁界を発生させ、当該磁界は、可動子モジュール3における永久磁石と結合して、可動子モジュール3を、固定子モジュール1上を運動するように駆動する。
【0160】
さらに、本実施例の電機子巻線11は、第1の方向Zに沿って対向して設けられる上面111および下面112と、第1の方向Zに垂直な第2の方向Xに対向して設けられる第1の接合面113および第2の接合面114とを有し、第1の接合面113に第1の突出部12が突設され、少なくとも一部の電機子コイル13が第1の突出部12に設けられる。なお、第1の突出部12を設けることにより、隣接する2つの固定子モジュール1を容易に接合することができ、隣接する2つの固定子モジュール1の接合は、第1の突出部12および/または第1の接合面113によって互いの位置決めを実現することができ、さらに隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度を向上させて、可動子モジュール3が隣接する固定子モジュール1の接合箇所に運動したときにも、可動子モジュール3の運動精度が依然として高くなる。
【0161】
また、一部の電機子巻線11が第1の突出部12に設けられているため、隣接する2つの固定子モジュール1が接合箇所でも3相電機子巻線を駆動して電流励磁を発生させることができ、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所でも依然として駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度が依然として高く保持され、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0162】
幾つかの実施例では、
図7~
図9、
図17および
図22に示すように、複数の固定子モジュール1は、搬送方向に沿って順次接合され、可動子モジュール3は、ガイドレール4と摺動可能に協力されるとともに電機子巻線11と結合される。各固定子モジュール1はいずれもベース2に固定的に設けられる固定子本体10と、固定子本体10に固定的に接続される電機子巻線11を含み、固定子モジュール1のそれぞれの電機子巻線11の設置構造は上記で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0163】
なお、本実施例に係る搬送システム100は、電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子コイル13は、複数のU相電機子コイル、V相電機子コイルおよびW相電機子コイルを含むように設けられることにより、異なる位置にある電機子コイル13に周期的に通電して、電機子巻線11の異なる位置に可変な磁界を発生させ、当該磁界は、可動子モジュール3における永久磁石と結合して、可動子モジュール3を固定子モジュール1上を運動するように駆動する。
【0164】
さらに、本実施例の電機子巻線11は、第1の方向Zに沿って対向して設けられる上面111および下面112と、第1の方向Zに垂直な第2の方向Xに対向して設けられる第1の接合面113および第2の接合面114とを有し、第1の接合面113に第1の突出部12がさらに突設され、少なくとも一部の電機子巻線11が第1の突出部12に設けられ、第2の接合面114に第2の突出部14がさらに突設され、少なくとも一部の電機子巻線11が第2の突出部14に設けられる。
【0165】
なお、第1の突出部12および第2の突出部14を設けることにより、隣接する2つの固定子モジュール1を容易に接合することができ、隣接する2つの固定子モジュール1を接合する場合、第1の突出部12および第2の突出部14によって位置の相互な位置決めを実現することができ、さらに隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度を向上させ、可動子モジュール3が隣接する固定子モジュール1の接合箇所に運動したときにも、可動子モジュール3の運動精度が依然として高い。
【0166】
また、一部の電機子巻線11が第1の突出部12および第2の突出部14に設けられているため、隣接する2つの固定子モジュール1が接合箇所でも3相電機子巻線を駆動して電流励磁を発生させることができ、可動子モジュール3が隣接する2つの固定子モジュール1の接合箇所でも依然として駆動され、接合箇所での可動子モジュール3の制御精度が依然として高く保持され、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度が高くなる。
【0167】
隣接する2つの固定子モジュール1において、そのうちの一方の固定子モジュール1の第1の突出部12と他方の固定子モジュール1の第2の突出部14とが接合され、かつ、第1の突出部12における少なくとも一部の電機子コイル13と第2の突出部14における少なくとも一部の電機子コイル13とが重なって設けられることにより共同で少なくとも1つの3相電機子巻線を形成している。
【0168】
このような接合構造は上記で説明したので、ここでは説明を省略する。なお、第1の突出部12と第2の突出部14との接合は、隣接する2つの固定子モジュール1の取り付け精度を向上させることができ、隣接する固定子モジュール1間の接合が容易となる。そして、第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも電機子コイル13が設けられているため、可動子モジュール3が電機子巻線11の接合箇所でも電流励磁を受けることができ、電機子巻線11の接合箇所での可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させ、搬送システム100における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度がより精確となる。
【0169】
さらに、第1の突出部12は、第1の方向Zに沿って対向して設けられる第1の上面121および第1の下面122を有し、第1の上面121は、上面111と面一に設けられ、第2の突出部14は、第1の方向Zに対向して設けられた第2の上面141および第2の下面142を有し、第2の下面142は、下面112と面一に設けられ、ここで、隣接する2つの固定子モジュール1において、そのうちの一方の固定子モジュール1の上面111は、他方の固定子モジュール1の上面111と面一に設けられ、そのうちの一方の固定子モジュール1の下面112は、他方の固定子モジュール1の下面112と面一に設けられ、そのうちの一方の固定子モジュール1の第1の下面122は、他方の固定子モジュール1の第2の上面141と平行に設けられ、かつ、第1の下面122と第2の上面141との間の距離は、0.1mm~1mmである。
【0170】
第1の突出部12と第2の突出部14との接合構造については上記で説明したので、ここでは説明を省略する。なお、このような構造とすることにより、隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度を向上させることができ、隣接する2つの固定子モジュール1の取り付けが容易となる。そして、隣接する2つの固定子モジュール1間の接合精度の向上によって、可動子モジュール3の制御精度および運動精度を向上させて、搬送システム100全体における可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度を向上させることもできる。
【0171】
図22に示すように、
図22における搬送システム100は環状線であり、直線状の固定子セグメント110および弧状の固定子セグメント120はいずれも2つであり、2つの直線状の固定子セグメント110の前端は1つの弧状の固定子セグメント120によって接続され、2つの直線状の固定子セグメント110の後端は別の弧状の固定子セグメント120によって接続される。直線状の固定子セグメント110は、複数の直線状の固定子モジュール1を接合して形成したものである。弧状の固定子セグメント120は、複数の扇形の固定子モジュール1を接合して形成したものである。
【0172】
各固定子モジュール1はいずれも固定子本体10および電機子巻線11を有し、当該固定子本体10は、ベース2に固定的に設けられ、電機子巻線11は、固定子本体10に固定的に接続されるとともに、可動子モジュール3に結合される。電機子巻線11は、周期的に配列される複数の電機子コイル13を有し、電機子巻線11の電機子コイル13は、複数の3相電機子巻線を形成することができる。
【0173】
直線状の固定子セグメント110の両端に位置する固定子モジュール1を第1の固定子115とし、弧状の固定子セグメント120の両端に位置する固定子モジュール1を第2の固定子125とする。第1の固定子115および第2の固定子125はいずれも複数の電機子コイル13を有する電機子巻線11を含んでいる。
【0174】
電機子巻線11は、第1の方向Zに対向して設けられる上面111および下面112と、第2の方向Xに対向して設けられる第1の接合面113および第2の接合面114とを有する。第1の固定子115の第1の接合面113は、第2の固定子125の第2の接合面114に隣接して設けられる。第1の固定子115の電機子巻線11は、第1の接合面113の上部に突設される第1の突出部12をさらに含み、第2の固定子125の電機子巻線11は、第2の接合面114の下部に突設される第2の突出部14をさらに含む。第1の突出部12および第2の突出部14のいずれにも複数の電機子コイル13が設けられている。
【0175】
直線状の固定子セグメント110と弧状の固定子セグメント120とは、第1の固定子115および第2の固定子125によって接続される。
【0176】
第1の固定子115および第2の固定子125は、第2の方向Xに接合され、第1の固定子115の第1の突出部12と第2の固定子125の第2の突出部14とは、第1の方向Zに重なって設けられ、第1の固定子115の第1の突出部12と第2の固定子125の第2の接合面114とは当接しまたは一定の隙間を有し、第1の固定子115の第1の接合面113と第2の固定子125の第2の突出部14とは当接しまたは一定の隙間を有する。第1の突出部12および第2の突出部14に設けられる全ての電機子コイル13は、1組または複数組の3相電機子巻線を形成することができる。
【0177】
各々の3相電機子巻線が発生した励磁磁界と可動子モジュール3の磁界は、相互作用して可動子モジュール3をガイドレール4に沿って運動させるように駆動することができる。
【0178】
幾つかの実施例では、各固定子モジュール1は、第1の接合面113に突設される第1の突出部12および第2の接合面114に突設される第2の突出部14を有し、第1の突出部12は、第1の接合面113の上部に位置し、第2の突出部14は、第2の接合面114の下部に位置するようにしてもよい。3つの固定子モジュール1が第2の方向Xに接合される場合、中間に位置する固定子モジュール1の第1の突出部12は、それと隣接する一方の固定子モジュール1の第2の突出部14と第1の方向Zに重なって設けられ、それと隣接する他方の固定子モジュール1の第1の突出部12と第1の方向Zに重なって設けられる。
【0179】
突出部を設けることにより、扇形の固定子モジュール1と直線状の固定子モジュール1との電機子コイル13を接合箇所においても互いに結合させることができ、可動子モジュール3の運動精度を向上させ、可動子モジュール3の運動に対する制御をより容易に実現することができる。そして、可動子モジュール3が接合箇所に運動したときにも高い速度を有し、可動子モジュール3の高速運動の連続性を確保することができる。
【0180】
本願の実施例における可動子モジュール3は、運動過程において、可動子モジュール3の運動精度を保証するための絶対位置決め精度を有し、絶対位置決め精度は、絶対位置決め点を有し、可動子モジュール3の運動位置と絶対位置決め点との間の誤差値は、絶対位置決め精度である。本願の固定子モジュール1の突出部の構造を設置することによって、当該搬送システム100が可動子モジュール3の起動および停止を柔軟に制御して、可動子モジュール3を任意の位置に正確に停止させることができるため、直線状の固定子モジュールと扇状の固定子モジュールとの接続箇所も絶対位置決め精度の絶対位置決め点としてもよい。
【0181】
突出部を設けることによって、可動子モジュール3の運動をより正確に制御しつつ、可動子モジュール3の運動精度を向上させることができ、可動子モジュール3が運動軌跡全体において高いまたは一致する絶対位置決め精度を保持することができる。そして、可動子モジュール3が異なる位置に運動した場合、固定子モジュール1は、可動子モジュール3の移動速度を随時制御して、可動子モジュール3が異なる位置にリアルタイムに可変な速度を有するようにすることができる。
【0182】
本発明の実施例では、電機子コイル13にコアが設けられたか否かについて限定されず、コアのない電機子コイル13は、通電時にスロット効果を解決することができ、コアのある電機子コイル13は、通電時に磁束を増加させることができる。
【0183】
幾つかの実施例では、固定子モジュール1は、第4のドライバをさらに含み、第4のドライバは回路基板であって、回路基板は、基板本体と、当該基板本体に設けられる駆動コントローラ、電圧コンバータおよび信号伝送器などの回路部品とを含み、当該駆動コントローラは、例えばCPUおよびパワーコントローラであり、当該信号伝送器は、例えばセンサなどである。電機子巻線11は、回路基板に電気的に接続され、駆動コントローラは、電機子巻線11の各電機子コイル13への通電のオンオフを制御する。
【0184】
ここで、電機子巻線11と回路基板との接続方式として、例えば、固定子モジュール1は、固定子本体10に固定的に設けられるとともに電機子巻線11に電気的に接続される第4のドライバを含み、当該第4のドライバと電機子巻線11との電気的な接続方式は、例えば導線による接続、挿抜による接続または溶接などであってもよく、または、固定子モジュール1は、固定子本体10に固定的に設けられるとともに電機子コイル13がプリントされる第4のドライバを含む。
【0185】
幾つかの実施例では、
図24に示すように、第4のドライバは、固定子本体10に固定的に設けられるとともに電機子巻線11に電気的に接続され、各々の前記第4のドライバは、光ファイバー7を介して電気的に接続される。
【0186】
つまり、各々の固定子モジュール1のドライバは、光ファイバー7を介して高速な信号伝送を実現する。そして、本願の実施例の搬送システム100について、異なる位置の第4のドライバを接続するために環状トポロジー構造を採用することができ、環状トポロジー構造を設置することにより、光ファイバー7の設置長さを短縮させることができ、光ファイバー7は、信号の伝送速度および耐干渉性能を向上させて、伝送情報の符号誤り率を大幅に低下させることができる。
【0187】
幾つかの代替的な構造では、搬送システム100は、異なる第4のドライバを接続するためにスター型トポロジー構造を使用することもでき、スター型トポロジー構造を設置することにより、電機子コイル13を簡単に制御することができ、かつ、単一の第4のドライバが損害された場合、他の第4のドライバの動作に影響を与えない。
【0188】
幾つかの実施例では、
図25に示すように、可動子モジュール3は、第1の永久磁石31および第2の永久磁石32を含み、当該第1の永久磁石31および第2の永久磁石32は、第1の方向Zに間隔を隔てて設けられ、かつ、当該第1の永久磁石31と第2の永久磁石32との間には、固定子モジュール1とフィット可能なフィット溝33が形成される。
【0189】
本実施例のガイドレール4は、可動子モジュール3と摺動可能に協力する第1のガイドレール41を含む。例えば、可動子モジュール3にローラ34を設け、第1のガイドレール41をローラガイドレールとして、ローラ34を第1のガイドレール41を両側から挟むように設けることにより、可動子モジュール3の運動に対して案内効果を奏するようにしてもよい。
【0190】
幾つかの実施例では、
図22および
図25に示すように、搬送システム100は、ガイドレール4の外側に設けられる補助ガイドレール6をさらに含み、補助ガイドレール6の案内精度が第1のガイドレール41の案内精度よりも高くなるように、補助ガイドレール6の加工精度を第1のガイドレール41の加工精度よりも高くさせるようにしてもよい。なお、可動子モジュール3は、ローラ34を用いて第1のガイドレール41と転動可能に協力することができ、ボールスライダを用いて補助ガイドレール6と摺動可能に協力することができる。
【0191】
さらに、ガイドレール4は、補助ガイドレール6に対応して設けられる第2のガイドレール42をさらに含み、第2のガイドレール42は、ベース2から離れる方向に沿って第1のガイドレール41に重なって設けられ、かつ、第2のガイドレール42の設置長さは、補助ガイドレール6の設置長さ以下である。
【0192】
なお、可動子モジュール3には、第2のガイドレール42に対応して案内溝35が設けられ、案内溝35は、第2のガイドレール42と摺動可能に協力する。可動子モジュール3には、第1のガイドレール41に対応して一対のローラ34が設けられ、ローラ34は、第1のガイドレール41と転動可能に協力する。
【0193】
可動子モジュール3が一般的な第1のガイドレール41上を運動する場合、可動子モジュール3は、繰り返し位置決め精度を有し、当該繰り返し位置決め精度は、第1のガイドレール41の案内精度によって保証される。可動子モジュール3には、第2のガイドレール42に対応して案内溝35が設けられ、案内溝35は、第2のガイドレール42と摺動可能に協力する。
【0194】
なお、第2のガイドレール42が補助ガイドレール6に対応して設けられ、かつ、第2のガイドレール42の設置長さが補助ガイドレール6の設置長さ以下であるため、可動子モジュール3が第2のガイドレール42と摺動可能に協力する場合、可動子モジュール3が補助ガイドレール6と摺動可能に協力し、かつ、第2のガイドレール42がベース2から離れる方向に沿って第1のガイドレール41に重なって設けられるため、可動子モジュール3が第2のガイドレール42と摺動可能に協力する場合、可動子モジュール3の運動位置がベース2から離れる方向に沿って上方へ移動し、この時、可動子モジュール3のローラ34と第1のガイドレール41との摺動可能な接続が解除され、第2のガイドレール42が可動子モジュール3の運動に対して支持および案内の作用を果たし、補助ガイドレール6が可動子モジュール3の運動精度を保証するために用いられる。
【0195】
さらに、可動子モジュール3が精度の高い補助ガイドレール6上を運動する場合、精度が高い補助ガイドレール6の案内精度が第1のガイドレール41の案内精度よりも高いため、この時の繰り返し位置決め精度は、精度が高い補助ガイドレール6の精度によって保証され、かつ、この時の繰り返し位置決め精度は、ミクロンオーダーに達することができる。精度が高い補助ガイドレール6を設けることによっても、可動子モジュール3のガイドレール4の接続箇所での運動精度を向上させることができる。
【0196】
精度が高い補助ガイドレール6および一般的な第1のガイドレール41での可動子モジュール3の運動方式は同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、可動子モジュール3は、補助ガイドレール6および第1のガイドレール41のいずれにおいても、ローラ/ボールスライダによる転動接続、スライダによる摺動接続によって運動を実現することができる。また、例えば、可動子モジュール3の補助ガイドレール6および第1のガイドレール41での運動方式は、異なっており、例えば、精度が高い補助ガイドレール6において摺動接続されるように運動し、一般的な第1のガイドレール41において転動接続されるように運動する。
【0197】
図23に示すように、ボールスライダ5は、スライダ本体51および複数のボール52を有する。スライダ本体51は、可動子モジュール3に固定的に設けられるとともに、対向して設けられる4つの収容溝53を有し、複数のボール52は、少なくとも一部が収容溝53に設けられるとともに、補助ガイドレール6および収容溝53の溝壁と転動可能に協力する。これにより、可動子モジュール3と補助ガイドレール6との摺動可能な協力が実現される。
【0198】
収容溝53は、溝開口を有し、ボール52の正投影が溝開口を覆うことにより、ボールスライダ5が運動する際にボール52が収容溝53から落ちることを防止する。さらに、スライダ本体51の製造材料は炭素鋼であり、ボール52を収容溝53により安定的に配置することができる。
【0199】
さらに、
図22に示すように、精度が高い補助ガイドレール6の設置位置は、一般的な第1のガイドレール41の設置経路外に設けられ、補助ガイドレール6は、第1のガイドレール41に平行であり、可動子モジュール3は当該補助ガイドレール6および第1のガイドレール41と同時に摺動可能に接続されてもよい。
【0200】
図26に示すように、補助ガイドレール6は、第1のガイドレール41の設置経路内に設けられ、すなわち、補助ガイドレール6と第1のガイドレール41とが接続されてもよく、このような構造では、補助ガイドレール6は、ガイドレール4の1つの構成部分と見なすことができ、そして、補助ガイドレール6と第1のガイドレール41とはいずれも接続箇所で面取り処理が施されている。
【0201】
または、補助ガイドレール6と第1のガイドレール41とが接続され、可動子モジュール3は、ローラ34とボールスライダとを同時に有してもよい。さらに、補助ガイドレール6と第1のガイドレール41とが併設される構造について、可動子モジュール3が補助ガイドレール6に入ると、可動子モジュール3と第1のガイドレール41との転動可能な接続は徐々に作用を失い、補助ガイドレール6は徐々に可動子モジュール3と摺動可能に協力し、この場合、可動子モジュール3の繰り返し位置決め精度は、補助ガイドレール6によって保証される。
【0202】
本実施例では、補助ガイドレール6の設置位置は限定されず、補助ガイドレール6の設置位置は、動作状況に応じて設定され、そして、補助ガイドレール6は、直線状セグメントに設けられてもよいし、弧状セグメントに設けられてもよい。なお、精度が高い補助ガイドレール6は、搬送システム100の搬送方向に沿って第1のガイドレール41の両側に間隔を隔てて設けられてもよい。
【0203】
搬送システム100は、直線状セグメントと弧状セグメントとを含み、直線状セグメントは、順次接合される複数の直線状の固定子モジュールを含み、弧状セグメントは、順次接合される複数の扇形の固定子モジュールを含んでもよい。扇形の固定子モジュールは90°の扇形の固定子モジュールであって、複数の90°の扇形の固定子モジュールが互いに接合されることによって180°、270°、360°の扇形が形成され、かつ、異なる位置の90°の扇形の固定子モジュールの間に複数の直線状の固定子モジュールが接続されてもよい。
【0204】
本発明の説明において、例えば「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」および「頂、底」などの方位用語によって示される方位または位置関係は、通常、図中に示される方位または位置関係に基づくものであって、本発明の説明の便宜上および説明の簡略化のためのものに過ぎず、逆の説明がない場合、これらの方位用語は、示される装置または要素が特定の方位を有するかまたは特定の方位で構成および操作されなければならないことを指示および暗示するものではないため、本発明の保護範囲を制限するものとして理解されるべきではない。方位用語である「内、外」は、各部材自体の輪郭に対する内外を意味する。
【0205】
説明の便宜上、例えば「・・・の上にある」、「・・・の上方にある」、「・・・の上面にある」、「上面の」などの空間相対的な用語を用いて、図中に示す1つのデバイスまたは特徴と他のデバイスまたは特徴との空間的位置関係を説明することができる。空間相対的な用語とは、デバイスが使用または動作中に図示した方位以外の異なる方位にあることを包含することを意図している。
【0206】
例えば、図中においてデバイスが反転されると、「他のデバイスや構造の上方にある」や「他のデバイスや構造の上にある」と記載されるデバイスは、その後で「他のデバイスや構造の下方にある」や「他のデバイスや構造の下にある」と位置決められる。したがって、例示的な用語の「・・・の上方にある」には、「・・・の上方にある」および「・・・の下方にある」の2つの方位が含まれる。当該デバイスは、他の異なる方式(90°回転し、または他の方位にある)で位置決めされ、かつ、ここで使用された空間相対的な記載に対応して説明するようにしてもよい。
【0207】
なお、「第1」、「第2」などの用語を用いて部品を限定することは、対応する部品の区別を容易にするためのものに過ぎず、別途説明しない限り、上記用語は特別な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはいけない。
【0208】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明に種々の変更や変化を加えることが可能である。本発明の精神と原則内で行われるいかなる修正、均等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0209】
1…固定子モジュール、10…固定子本体、11…電機子巻線、111…上面、112…下面、113…第1の接合面、114…第2の接合面、12…第1の突出部、121…第1の上面、122…第1の下面、13…電機子コイル、14…第2の突出部、141…第2の上面、142…第2の下面、15…第1のドライバ、16…第2のドライバ、17…第3のドライバ、18…放熱ファン、181…吹出口、19…導風通路、20…第1の表面、201…取付溝、21…第2の表面、211…挿入溝、22…回路基板、23…固定ブラケット、24…放熱板、100…搬送システム、110…直線状の固定子セグメント、115…第1の固定子、120…弧状の固定子セグメント、125…第2の固定子、2…ベース、3…可動子モジュール、31…第1の永久磁石、32…第2の永久磁石、33…フィット溝、34…ローラ、35…案内溝、4…ガイドレール、41…第1のガイドレール、42…第2のガイドレール、5…ボールスライダ、51…スライダ本体、52…ボール、53…収容溝、6…補助ガイドレール、7…光ファイバー、Z…第1の方向、X…第2の方向、Y…第3の方向。
【国際調査報告】