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特表2024-547208活性コークスの現場脱着効果を評価する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】活性コークスの現場脱着効果を評価する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/34 20060101AFI20241219BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B01J20/34 H
B01J20/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541094
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2023072771
(87)【国際公開番号】W WO2024103524
(87)【国際公開日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】202211461771.1
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516368162
【氏名又は名称】江▲蘇▼省沙▲鋼鋼鉄▼研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF RESEARCH OF IRON AND STEEL, JIANGSU PROVINCE/SHA-STEEL, CO.LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邵 久▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】毛 瑞
(72)【発明者】
【氏名】▼蘇▲ 航
(72)【発明者】
【氏名】李 涛
【テーマコード(参考)】
4G066
【Fターム(参考)】
4G066AA04B
4G066BA22
4G066CA22
4G066DA02
4G066GA01
(57)【要約】
本願は、活性コークスによる脱硫・脱硝の技術分野に属し、具体的には、活性コークスの現場脱着効果を評価する方法に関する。本願に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、実験室シミュレーション脱着過程を組み合わせて活性コークスの現場脱着効果を評価するものであり、現場脱着の前後以及び実験室シミュレーション脱着後の活性コークスサンプルの硫黄含有量をそれぞれ測定し、活性コークスの脱着率Rを計算し、さらに活性コークスの現場脱着効果の評価を実現し、それにより活性コークスの再利用の効果を確保し、活性コークスの現場脱着効果を正確に評価できないという問題を解決し、現場でのプロセス最適化制御のための重要なガイダンスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性コークスの現場脱着効果を評価する方法であって、
現場脱着前の活性コークスサンプル1を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS1(単位は%)とするステップ(1)と、
現場脱着後の活性コークスサンプル2を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS2(単位は%)とするステップ(2)と、
前記現場脱着作業の操作パラメータに従って、前記活性コークスサンプル1を利用して脱着実験を行い、前記脱着実験後の活性コークスサンプル3を収集して粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものを固定硫黄含有量として定義し、S3(単位%)とするステップ(3)と、
活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の計算式
により前記活性コークスの脱着率Rを計算するステップ(4)と、
算出された前記活性コークスの脱着率Rの値に基づいて、活性コークスの現場脱着効果を評価するステップ(5)と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、硫黄含有量を測定するステップにおいて、炭素・硫黄分析計が測定に使用されることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、粉砕ステップは、互いに個別に粉末粒径を100メッシュ以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)及び(2)では、前記活性コークスサンプル1及び前記活性コークスサンプル2の使用量は同じであることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)では、前記脱着実験は管状炉を利用して行われることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項6】
前記ステップ(3)では、前記脱着実験のパラメータは、脱着時間40min以上、脱着温度440℃、窒素流量40~60L/hを含むことを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項7】
前記ステップ(5)では、前記評価ステップは、
算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であると評価し、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整し、測定したRが90%以上となるまで、サンプルを改めて採取して、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すステップaと、
算出された脱着率Rが90%以上であれば、脱着効果がプロセス要求を満たすことができると評価し、現場脱着パラメータを変更する必要がないステップbと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項8】
前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整するステップは、脱着温度調整、窒素ガス流量調整、及び/又は脱着時間調整を含むことを特徴とする請求項7に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項9】
前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整して安定化させてから少なくとも3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すことをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項10】
活性コークスの性能評価における請求項1~9のいずれか1項に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、活性コークスによる脱硫・脱硝の技術分野に属し、具体的には、活性コークスの現場脱着効果を評価する方法に関する。
【0002】
本願は、2022年11月16日に中国特許庁に提出された、出願番号が202211461771.1、発明の名称が「活性コークスの現場脱着効果を評価する方法」である中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
活性コークスによる脱硫・脱硝技術は、活性コークスの吸着機能と触媒機能を利用して、排煙中のSO2、NOx、粒子状物質、水銀、ダイオキシン、フラン、重金属、揮発性有機物などの様々な汚染物質を一括して除去する乾式排煙処理技術である。活性コークスによる脱硫・脱硝技術は、汚染物質の除去効果が高く、エネルギー消費量が少なく、白煙がなく、副生成物を資源化して回収することができるため、経済的で効果的であり、大きな将来性のある排煙浄化技術である。近年、活性コークスによる脱硫・脱硝プロセスは、鉄鋼企業の焼結、ペレット化、コークス化などの工程で広く使用されており、排煙浄化、固形廃棄物の削減、資源回収などのそれぞれの面で優れた成果を上げている。中国国内の活性コークスによる脱硫・脱硝プロセスは早期に開始され、2018年以降、徐々に幅広い適用が実現してきたが、適用期間が短いため、実際の生産における活性コークスプロセスには依然として多くの課題がある。100台近くの稼働している装置では、活性コークスの発火、アンモニア-空気混合ゾーンでの結晶化や材料の蓄積、鋼構造物の腐食、材料循環系の閉塞などの問題が頻繁に発生し、安定した生産と超低排出量に大きな問題をもたらした。
【0004】
脱硫・脱硝用の活性コークスは、石炭を原料とした多孔質の炭素含有材料であり、比表面積が大きく、細孔構造が豊富で、耐圧性、耐衝撃性、耐摩耗性などの特性を備える。脱硫・脱硝過程において、活性コークスは、吸着塔内で細孔を通してSO2を物理的・化学的に吸着し、界面活性基を利用してNOxとNH3のSCR(Selective Catalytic Reduction、選択的触媒還元)反応を触媒してN2を生成する。吸着が飽和した活性コークスは再生塔に入り、400℃程度の高温で吸着物を除去された後、吸着能力を回復し、次の吸着のために再び吸着塔に入る。しかし、活性コークスを用いた排煙脱硫・脱硝システムでは、活性コークスは繰り返して利用できるものの、さまざまな汚染物質を吸着した活性コークスの繰り返し利用効果は、脱着過程の良否に依存する。さらに、脱着過程後に再利用されるため、活性コークスの脱着効果は、排煙脱硫・脱窒システムの安定した運転にとって非常に重要である。脱着過程とは、活性コークスを窒素ガスの保護下で400℃以上に加熱して、活性コークスに吸着した硫黄やアンモニウム塩などを放出し、脱硫・脱硝の機能の回復を実現することを指す。研究によると、活性コークスを繰り返し適用した場合の性能効果の違いは、いずれも活性コークスの脱着効果が不良であることに何らかの関連性があることがわかった。さらに、実際の生産においては、現場のプロセス条件の変化により活性コークスの脱着効果はある程度変動し、排煙の浄化効果や装置の安定した運転に著しい影響を与えるが、現在では、活性コークスの脱着効果を評価する方法はない。現在の市場における関連技術は、現場の生産設備の設計に焦点を当てており、使用中の活性コークスの脱着効果の評価に関する関連研究報告はない。
【0005】
活性コークスの脱着過程では、アンモニウム塩粒子は一般に300℃になれば急速な分解を実現できるため、活性コークスの脱着過程における主な制限要因は硫黄の放出であり、したがって、生産時の硫黄の脱着率を脱着効果の評価指標とする。活性コークス中の硫黄には分解性硫黄と固定硫黄が含まれており、このうち、分解性硫黄は主に硫酸、硫酸アンモニウムなどを含み、脱着過程で十分に放出することができ、固定硫黄は、主に硫酸カルシウム、硫酸カリウムなどであり、すなわち、活性コークスによる吸着後の硫黄や排煙中のカルシウムを含む粉塵により生成され、その分解温度は1200℃以上であり、脱着過程では分解されない。脱着後の硫黄含有量は、通常のサンプリングと検出によって決定できるが、そのうちの固定硫黄の測定が難しいため、脱着率を計算することができず、活性コークスの脱着効果を効果的に評価することもできない。したがって、活性コークスの脱着効果を評価する方法、特に活性コークスの現場脱着効果を効果的に評価する方法を開発することは、積極的な意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本願が解決しようとする技術的課題は、実験室評価に基づいて活性コークスの現場脱着効果を評価する方法を提供することであり、前記方法は、活性コークス中の分解性硫黄と固定硫黄を測定することができ、また、データ比較を通じて活性コークスの現場脱着効果の評価を実現することができ、現場で再利用される活性コークスの脱着効果を正確に評価できないという問題を解決し、現場のプロセス最適化制御のための重要なガイダンスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本願に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、
現場脱着前の活性コークスサンプル1を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS1(単位は%)とするステップ(1)と、
現場脱着後の活性コークスサンプル2を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS2(単位は%)とするステップ(2)と、
前記現場脱着作業の操作パラメータに従って、前記活性コークスサンプル1を利用して脱着実験を行い、前記脱着実験後の活性コークスサンプル3を収集して粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものを固定硫黄含有量として定義し、S3(単位%)とするステップ(3)と、
活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の計算式
により前記活性コークスの脱着率Rを計算するステップ(4)と、
算出された前記活性コークスの脱着率Rの値に基づいて、活性コークスの現場脱着効果を評価するステップ(5)と、を含む。
【0008】
具体的には、前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、硫黄含有量を測定するステップにおいて、炭素・硫黄分析計が測定に使用される。
【0009】
具体的には、前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、粉砕ステップは、互いに個別に粉末粒径を100メッシュ以下に制御する。
【0010】
具体的には、前記ステップ(1)及び(2)では、前記活性コークスサンプル1及び前記活性コークスサンプル2の使用量は同じである。
【0011】
具体的には、前記ステップ(3)では、前記脱着実験は管状炉を利用して行われる。
【0012】
具体的には、前記ステップ(3)では、前記脱着実験のパラメータは、脱着時間40min以上、脱着温度440℃、窒素ガス流量40~60L/hを含む。
【0013】
具体的には、前記活性コークスの現場脱着効果を評価する方法において、前記ステップ(5)では、前記評価ステップは、
算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であると評価し、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整し、測定したRが90%以上となるまで、サンプルを改めて採取して、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すステップaと、
算出された脱着率Rが90%以上であれば、脱着効果がプロセス要求を満たすことができると評価し、現場脱着パラメータを変更する必要がないステップbと、を含む。
【0014】
具体的には、前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整するステップは、脱着温度調整、窒素ガス流量調整、及び/又は脱着時間調整を含む。
【0015】
具体的には、前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整して安定化させてから少なくとも3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すことをさらに含む。
【0016】
本願はまた、活性コークスの性能評価における前記活性コークスの現場脱着効果を評価する方法の使用を開示する。
【発明の効果】
【0017】
本願に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、実験室シミュレーション脱着プロセスを組み合わせて活性コークスの現場脱着効果を評価するものであり、活性コークス中の分解性硫黄と固定硫黄を測定することができるに加え、データ比較を通じて活性コークスの現場脱着効果の評価を実現することができ、活性コークスの現場脱着効果の評価を可能にすることによって、活性コークスの再利用の効果を確保し、活性コークスの現場脱着効果を正確に評価できないという問題を解決し、現場でのプロセス最適化制御のための重要なガイダンスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の内容が明確に理解されやすくなるように、以下、本願の具体的な実施例に基づいて、図面を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。
【0019】
図1】活性コークスの脱着効果を評価する方法の操作の模式図である。サンプル1は現場脱着前の活性コークスであり、サンプル2は現場脱着後の活性コークスであり、サンプル3は実験室脱着後の活性コークスであり、硫黄含有量S1は現場脱着前の活性コークスの硫黄含有量の百分率であり、硫黄含有量S2は、現場脱着後の活性コークスの硫黄含有量の百分率であり、硫黄含有量S3は、実験室脱着後の活性コークスの硫黄含有量の百分率である。
図2】活性コークスの脱着シミュレーション実験装置である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の以下の実施例において、前記活性コークスサンプルの実験室シミュレーション脱着実験には、シミュレーション実験装置として図2に示す横型管状炉は使用される。
【0021】
図2に示す横型管状炉では、脱着シミュレーション実験は、前記横型管状炉に保護窒素を導入することにより行われる。活性コークスサンプルを反応チューブ4の内部の活性コークス充填領域である恒温ゾーン3の部分に置き、吸気口1から前記反応チューブ4内に入り、反応チューブ4の排気口5から排出するように窒素を制御し、前記脱着実験では、実験の温度が発熱体2により制御され、反応パラメータが制御パネル6により制御される。前記活性コークスサンプルの脱着シミュレーション実験を完了した。
【0022】
なお、本願の以下の実施例の態様では、炭素・硫黄分析計により活性コークスサンプルごとに検出するステップにおいて、前記炭素・硫黄分析計のモード条件に従えばよく、また、異なるサンプルに対する検出パラメータ及び条件が同じなものとなるようにコントロールする。
【実施例
【0023】
実施例1
図1に示す操作のフローチャートのように、本実施例に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、以下のステップを含む。
(1)脱着前の活性コークスサンプル1を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S1を測定したところ、硫黄含有量S1は3.52%であった。
(2)脱着後の活性コークスサンプル2を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S2を測定したところ、硫黄含有量S2は2.11%であった。
(3)図2に示す管状炉を利用して、前記活性コークスサンプル1について脱着実験を行い、実験パラメータは以下の通りである。活性コークスの使用量は40gであり、脱着時間、脱着温度、及び窒素ガス流量は、それぞれ40min、440℃、及び40L/hであった。
上記の脱着実験によって脱着後の活性コークスサンプル3を得て、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S3を測定したところ、硫黄含有量S3は1.65%であった。このパラメータの条件で脱着した後の硫黄含有量を固定硫黄含有量として定義する。
(4)活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫黄を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の式により活性コークスの脱着率Rを計算したところ、脱着率R=75.4%であった。
【数1】
(5)本実施例の態様では、算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であることを示し、現場では、脱着温度を400℃から420℃に上昇させ、窒素ガス使用量を21L/kgから35L/kgに上昇させ、パラメータが安定的になってから3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すようにし、再測定した結果、S1、S2、及びS3は、それぞれ3.53%、1.82%、及び1.65%であった。上記の式により計算したところ、調整後のR=91.0%であった。
調整後のプロセスにより計算したところ、脱着率Rは90%以上であり、検出の結果、現場脱着後の活性コークスには、硫黄吸着能力も窒素酸化物に対する触媒還元能力も十分に回復し、脱着性能はプロセスの要件を満たすのに十分であり、現場脱着パラメータをさらに変更する必要はない。本願に記載の方法による活性コークスの脱着効果の評価結果が正確であることは実証された。
【0024】
実施例2
図1に示す操作フローチャートのように、本実施例に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、以下のステップを含む。
(1)脱着前の活性コークスサンプル1を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S1を測定したところ、硫黄含有量S1は4.02%であった。
(2)脱着後の活性コークスサンプル2を現場で採取し、30gを秤量し、粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S2を測定したところ、硫黄含有量S2は1.95%であった。
(3)図2に示す管状炉を利用して、前記活性コークスサンプル1について脱着実験を行い、実験パラメータは以下の通りである。活性コークスの使用量は40gであり、脱着時間、脱着温度、及び窒素ガス流量は、それぞれ40min、440℃、及び40L/hであった。
上記の脱着実験によって脱着後の活性コークスサンプル3を得て、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S3を測定したところ、硫黄含有量S3は1.72%であった。このパラメータの条件で脱着した後の硫黄含有量を固定硫黄含有量として定義する。
(4)活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫黄を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の式により活性コークスの脱着率Rを計算したところ、脱着率R=90%であった。
【数2】
(5)本実施例の態様では、算出された脱着率Rは90%以上であり、検出の結果、現場脱着後の活性コークスには、硫黄吸着能力も窒素酸化物に対する触媒還元能力も十分に回復し、脱着性能はプロセスの要件を満たすのに十分であり、現場脱着パラメータをさらに変更する必要はない。本願に記載の方法による活性コークスの脱着効果の評価結果が正確であることは実証された。
【0025】
実施例3
図1に示す操作フローチャートのように、本実施例に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、以下のステップを含む。
(1)脱着前の活性コークスサンプル1を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S1を測定したところ、硫黄含有量S1は3.97%であった。
(2)脱着後の活性コークスサンプル2を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S2を測定したところ、硫黄含有量S2は2.03%であった。
(3)図2に示す管状炉を利用して、前記活性コークスサンプル1について脱着実験を行い、実験パラメータは以下の通りである。活性コークスの使用量は40gであり、脱着時間、脱着温度、及び窒素ガス流量は、それぞれ40min、440℃、及び40L/hであった。
上記の脱着実験によって脱着後の活性コークスサンプル3を得て、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S3を測定したところ、硫黄含有量S3は1.75%であった。このパラメータの条件で脱着した後の硫黄含有量を固定硫黄含有量として定義する。
(4)活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫黄を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の式により活性コークスの脱着率Rを計算したところ、脱着率R=87.4%であった。
【数3】
(5)本実施例の態様では、算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であることを示し、現場では、脱着温度を400℃から420℃に上昇させ、窒素ガス使用量を50L/kgから35L/kgに低下させ、パラメータが安定的になってから3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すようにし、再測定した結果、S1、S2、及びS3は、それぞれ3.53%、1.82%、及び1.65%であった。計算したところ、調整後のR=91.0%であった。
調整後のプロセスにより計算したところ、脱着率Rは90%以上であり、検出の結果、現場脱着後の活性コークスには、硫黄吸着能力も窒素酸化物に対する触媒還元能力も十分に回復し、脱着性能はプロセスの要件を満たすのに十分であり、現場脱着パラメータをさらに変更する必要はない。本願に記載の方法による活性コークスの脱着効果の評価結果が正確であることが実証された。
【0026】
実施例4
図1に示す操作フローチャートのように、本実施例に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法は、以下のステップを含む。
(1)脱着前の活性コークスサンプル1を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S1を測定したところ、硫黄含有量S1は4.53%であった。
(2)脱着後の活性コークスサンプル2を現場で採取し、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S2を測定したところ、硫黄含有量S2は2.23%であった。
(3)図2に示す管状炉を利用して、前記活性コークスサンプル1について脱着実験を行い、実験パラメータは以下の通りである。活性コークスの使用量は40gであり、脱着時間、脱着温度、及び窒素ガス流量は、それぞれ40min、440℃、及び40L/hであった。
上記の脱着実験によって脱着後の活性コークスサンプル3を得て、30gを秤量し、100メッシュ以下の粉末に粉砕し、炭素・硫黄分析計によりその硫黄含有量S3を測定したところ、硫黄含有量S3は1.83%であった。このパラメータの条件で脱着した後の硫黄含有量を固定硫黄含有量として定義する。
(4)活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫黄を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の式により活性コークスの脱着率Rを計算したところ、脱着率R=85.2%であった。
【数4】
(5)本実施例の態様では、算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であることを示し、現場では、脱着温度を403℃から415℃に上昇させ、窒素ガス使用量を30L/kgから45L/kgに上昇させ、パラメータが安定的になってから3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すようにし、再測定した結果、S1、S2、及びS3は、それぞれ4.48%、1.92%、及び1.78%であり、調整後のR=94.8%であった。
調整後のプロセスにより計算したところ、脱着率Rは90%以上であり、検出の結果、現場脱着後活性コークスには、硫黄吸着能力も窒素酸化物に対する触媒還元能力も十分に回復し、脱着性能はプロセスの要件を満たすのに十分であり、現場脱着パラメータをさらに変更する必要はない。本願に記載の方法による活性コークスの脱着効果の評価結果が正確であることは実証された。
【0027】
明らかに、上記の実施例は、単に明確に説明するための例であり、実施形態を限定するものではない。当業者にとっては、上記の説明に基づいて、他の様々な形の変化または変更が行われてもよい。ここでは、すべての実施形態を網羅的に取り上げる必要もなく、また、不可能である。そして、そこから引き出される自明な変化又は変更は、依然として本願の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1 吸気口、2 発熱体、3 恒温ゾーン、4 反応チューブ、5 排気口、6 制御パネル
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性コークスの現場脱着効果を評価する方法であって、
現場脱着前の活性コークスサンプル1を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS1(単位は%)とするステップ(1)と、
現場脱着後の活性コークスサンプル2を粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものをS2(単位は%)とするステップ(2)と、
前記現場脱着作業の操作パラメータに従って、前記活性コークスサンプル1を利用して脱着実験を行い、前記脱着実験後の活性コークスサンプル3を収集して粉末に粉砕し、その硫黄含有量を測定したものを固定硫黄含有量として定義し、S3(単位%)とするステップ(3)と、
活性コークスの脱着率Rを、現場脱着塔により活性コークス中の脱着可能な硫を脱着した割合として定義し、S1、S2、及びS3から以下の計算式
により前記活性コークスの脱着率Rを計算するステップ(4)と、
算出された前記活性コークスの脱着率Rの値に基づいて、活性コークスの現場脱着効果を評価するステップ(5)と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、硫黄含有量を測定するステップにおいて、炭素・硫黄分析計が測定に使用されることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)、(2)、及び(3)では、粉砕ステップは、互いに個別に粉末粒径を100メッシュ以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)及び(2)では、前記活性コークスサンプル1及び前記活性コークスサンプル2の使用量は同じであることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)では、前記脱着実験は管状炉を利用して行われることを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項6】
前記ステップ(3)では、前記脱着実験のパラメータは、脱着時間40min以上、脱着温度440℃、窒素流量40~60L/hを含むことを特徴とする請求項1に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項7】
前記ステップ(5)では、前記評価ステップは、
算出された脱着率Rが90%未満であれば、活性コークスの脱着が不十分であると評価し、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整し、測定したRが90%以上となるまで、サンプルを改めて採取して、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すステップaと、
算出された脱着率Rが90%以上であれば、脱着効果がプロセス要求を満たすことができると評価し、現場脱着パラメータを変更する必要がないステップbと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項8】
前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整するステップは、脱着温度調整、窒素ガス流量調整、及び/又は脱着時間調整を含むことを特徴とする請求項7に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項9】
前記ステップ(5)では、現場脱着塔のプロセスパラメータを調整して安定化させてから少なくとも3h後、サンプルを改めて採取し、ステップ(1)~ステップ(4)を繰り返すことをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法。
【請求項10】
活性コークスの性能評価における請求項に記載の活性コークスの現場脱着効果を評価する方法の使用。
【国際調査報告】