(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】統合型熱管理システム及び車両
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20241219BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20241219BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241219BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60L58/27
B60L3/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541115
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2023075567
(87)【国際公開番号】W WO2023185268
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】202210345378.X
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】宋淦
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼磊
(72)【発明者】
【氏名】熊永
【テーマコード(参考)】
3L211
5H125
【Fターム(参考)】
3L211AA14
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA32
3L211CA18
3L211CA20
3L211DA27
3L211DA28
3L211EA50
3L211EA51
3L211GA26
5H125AA01
5H125AC11
5H125BB00
5H125BC19
5H125CD08
5H125CD09
5H125EE25
5H125FF27
(57)【要約】
統合型熱管理システム(1000)及び車両であって、システム(1000)は、車両の乗員室(60)及び電池(60)と熱交換するために使用され、圧縮機(1)及び制御弁(33)を備え、制御弁(33)の一端が圧縮機(1)の排気口に連通され、制御弁(33)の他端が圧縮機(1)の還気口に連通されるかまたは気液分離器(27)を介して圧縮機(1)の還気口に連通されるヒートポンプサブシステム(100)と、車両の高圧システム(11)及びヒートポンプサブシステム(100)と熱交換するための高圧冷却サブシステム(200)と、電池(70)を充放電して加熱するための電池自己加熱サブシステム(300)と、乗員室(60)と熱交換するための空気加熱サブシステム(400)と、圧縮機(1)の排気口及び圧縮機(1)の還気口を連通するように制御弁(33)を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型熱管理システムであって、
車両の乗員室を暖房または冷房し、且つ車両の電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、前記制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、前記制御弁の他端が前記圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の還気口に連通される、ヒートポンプサブシステムと、
前記車両の高圧システム及び前記ヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、
前記電池の充放電によって電池を加熱するための電池自己加熱サブシステムと、
前記乗員室を加熱するための空気加熱サブシステムと、
前記圧縮機の排気口及び前記圧縮機の還気口を連通するように前記制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える、統合型熱管理システム。
【請求項2】
前記乗員室と前記電池のいずれか一方に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、対応する需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と各サブシステムの供給可能な熱量値の大きさを比較し、需要熱量値を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して加熱需要がある乗員室または電池を加熱するために使用される、請求項1に記載の統合型熱管理システム。
【請求項3】
前記乗員室に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用される、請求項1または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項4】
前記電池に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項5】
前記乗員室と前記電池の両方に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用され、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用され、
選択された乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムは電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たす場合、該サブシステムを制御して加熱させ、
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしない場合、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを選択して加熱し、または、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムのうちの一方を選択して加熱する、請求項1~4のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項6】
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、前記還気口情報に基づいて前記圧縮機に補気とエンタルピー増加を行うために使用され、また、前記制御サブシステムはさらに、補気とエンタルピー増加後の前記ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、前記還気口情報は前記圧縮機の還気口の還気圧力と還気温度のうちの一方を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項7】
前記電池自己加熱サブシステムは、
第1の電池パックと第2の電池パックを含み、前記第1の電池パックの負極が前記第2の電池パックの正極に接続され且つ接続点は第1のノードである、電池と、
正直流端は前記第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は前記第2の電池パックの負極に接続される、インバータ回路と、
三相巻線は前記インバータ回路の三相交流端に対応して接続され、前記三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって前記第1のノードに接続される、駆動モータと、を備え、
前記制御サブシステムは、前記電池自己加熱サブシステムを採用して前記電池加熱を決定する際に、前記制御可能なスイッチをオン状態に制御し、前記インバータ回路をオンオフ制御し、前記三相巻線によって前記第1の電池パックと前記第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項8】
前記制御サブシステムは、まず、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記第1の電池パックが前記三相巻線を充電し、次に、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記三相巻線が前記第2の電池パックを充電し、また、前記インバータ回路における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記第2の電池パックが前記三相巻線を充電し、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記三相巻線が前記第1の電池パックを充電し、このように繰り返して実行して、交互に発振して加熱するために使用される、請求項1~7のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項9】
前記制御サブシステムはさらに、前記乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、前記需要冷量値に基づいて前記ヒートポンプサブシステムを制御して乗員室を冷房させるために使用される、請求項1~8のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項10】
前記制御サブシステムは、さらに、前記電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、前記需要冷量値に基づいて前記ヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用される、請求項1~9のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項11】
前記制御サブシステムは、さらに、前記高圧システムに放熱需要があると、前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がないと決定すると、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換を遮断するように制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱させ、そうでないと、前記高圧冷却サブシステムを制御し前記ヒートポンプサブシステムを熱交換させ、前記高圧システムを放熱するために使用される、請求項1~10のいずれか1項に記載の統合型熱管理システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の統合型熱管理システムを備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は統合型熱管理システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両熱管理システムは、車全体の乗員室と電池を加熱する際の熱需要を満たすことが難しいだけでなく、車全体の乗員室と電池の熱配分が合理的ではなく、熱配分が不足し、加熱効率が低下するなどの問題が発生しやすい。
【0003】
なお、車全体がヒートポンプシステムを利用して暖房を行うとき、温度が低い場合や圧縮機の還気圧力が不足している場合、圧縮機に流入する冷媒流量が不足し、圧縮機の吸気圧力が低く、出力が少なく、これによりヒートポンプシステムの暖房能力が低下し、車全体のエネルギーの利用効率が大幅に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は関連技術における技術的問題の一つを少なくともある程度で解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本開示の第1の目的は、統合型熱管理システムを提供することであり、該システムは、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0006】
本開示の第2の目的は、車両を提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施例は統合型熱管理システムを提供し、システムは、
車両の乗員室を暖房または冷房し、且つ車両の電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、前記制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、前記制御弁の他端が前記圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の還気口に連通されるヒートポンプサブシステムと、
前記車両の高圧システム及び前記ヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、
前記電池の充放電によって電池を加熱するための電池自己加熱サブシステムと、
前記乗員室を加熱するための空気加熱サブシステムと、
前記圧縮機の排気口及び前記圧縮機の還気口を連通するように前記制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える。
【0008】
本開示の第1の態様の実施例は統合型熱管理システムをさらに提供し、システムは、
車両の乗員室及び電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、制御弁の他端が圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の還気口に連通されるヒートポンプサブシステムと、車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、電池を充放電して加熱するための電池自己加熱サブシステムと、乗員室と熱交換するための空気加熱サブシステムと、圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するように制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える。
【0009】
本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0010】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室と前記電池のいずれか一方に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、対応する需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と各サブシステムの供給可能な熱量値の大きさを比較し、需要熱量値を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して加熱需要がある乗員室または電池を加熱するために使用される。
【0011】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは具体的に、乗員室と電池のいずれか一方に加熱需要があると、対応する需要熱量値を取得し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値、供給可能な熱量値、及びエネルギー効率値に基づいて、加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0012】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、乗員室の加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱する。
【0013】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、具体的に、乗員室に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0014】
本開示の一実施例によれば、前記電池に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用される。
【0015】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、具体的に、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0016】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室と前記電池の両方に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用され、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、各サブシステム及び連携後のサブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用され、
選択された乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムは電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たす場合、該サブシステムを制御して加熱させ、
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしない場合、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを選択して加熱し、または、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムのうちの一方を選択して加熱する。
【0017】
本開示の一実施例によれば、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると決定する場合、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱させ、そうでないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステム、及び/又は、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを決定して加熱する。
【0018】
本開示の一実施例によれば、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、前記還気口情報に基づいて前記圧縮機に補気とエンタルピー増加を行うために使用され、また、前記制御サブシステムはさらに、補気とエンタルピー増加後の前記ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、前記還気口情報は前記圧縮機の還気口の還気圧力と還気温度のうちの一方を含む。
【0019】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、さらにヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、還気口情報に基づいて圧縮機に補気とエンタルピー増加を行い、そして補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、還気口情報は圧縮機の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含む。
【0020】
本開示の一実施例によれば、前記電池自己加熱サブシステムは、
第1の電池パックと第2の電池パックを含み、前記第1の電池パックの負極が前記第2の電池パックの正極に接続され且つ接続点は第1のノードである、電池と、
正直流端は前記第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は前記第2の電池パックの負極に接続されるインバータ回路と、
三相巻線は前記インバータ回路の三相交流端に対応して接続され、前記三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって前記第1のノードに接続される駆動モータと、を備え、
前記制御サブシステムは、前記電池自己加熱サブシステムを採用して前記電池加熱を決定する際に、前記制御可能なスイッチをオン状態に制御し、前記インバータ回路をオンオフ制御し、前記三相巻線によって前記第1の電池パックと前記第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される。
【0021】
本開示の一実施例によれば、電池自己加熱サブシステムは、第1の電池パックと第2の電池パックを含み、第1の電池パックの負極が第2の電池パックの正極に接続され且つ接続点は第1のノードである、電池と、正直流端は第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は第2の電池パックの負極に接続されるインバータ回路と、三相巻線はインバータ回路の三相交流端に対応して接続され、三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって第1のノードに接続される駆動モータと、を備え、制御サブシステムは、さらに、電池自己加熱サブシステムを採用して電池加熱を決定する際に、制御可能なスイッチをオン状態に制御し、インバータ回路をオンオフ制御し、三相巻線によって第1の電池パックと第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される。
【0022】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、まず、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、第1の電池パックが三相巻線を充電し、次に、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第2の電池パックを充電し、また、インバータ回路における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、第2の電池パックが三相巻線を充電し、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第1の電池パックを充電し、このように繰り返して実行して、交互に発振して加熱するために使用される。
【0023】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して乗員室に冷房するために使用される。
【0024】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用される。
【0025】
本開示の一実施例によれば、前記制御サブシステムはさらに、前記高圧システムに放熱需要があると、前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がないと決定すると、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換を遮断するように制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、そうでないと、前記高圧冷却サブシステムを制御し前記ヒートポンプサブシステムを熱交換し、前記高圧システムを放熱するために使用される。
【0026】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、高圧システムに放熱需要があると、ヒートポンプサブシステムに補熱需要がないと決定すると、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、そうでないと、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを補熱することで、高圧システムを放熱するために使用される。
【0027】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様の実施例は、第1の態様の実施例における統合型熱管理システムを備える車両を提供する。
【0028】
本開示の実施例による車両は、上記の統合型熱管理システムによって、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0029】
本開示の付加的な態様と利点を以下の説明から部分的に示し、部分的に以下の説明から明らかになり、または本開示の実践を通じて了解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の第1の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図2】本開示の第2の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図3】本開示の第3の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図4】本開示の一実施例による電池自己加熱サブシステムを示す構造模式図である。
【
図5】本開示の第1の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図6】本開示の第2の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図7】本開示の第3の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図8】本開示の第4の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図9】本開示の一実施例による車両の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。前記実施例に係る例を図面に示し、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の要素もしくは同一又は類似の機能を有する要素を示す。以下、図面を参照して説明する実施例は、本開示を説明するために意図される例示的なものであり、本開示を限定するものとは解釈されない。
【0032】
以下、図面を参照して本開示の実施例による統合型熱管理システム及び車両を説明する。
【0033】
図1は本開示の第1の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図であり、
図1に示すように、該システム1000は、ヒートポンプサブシステム100、高圧冷却サブシステム200、電池自己加熱サブシステム300、空気加熱サブシステム400及び制御サブシステム500を備える。
【0034】
ヒートポンプサブシステム100は車両の乗員室60及び電池70と熱交換するために使用され、高圧冷却サブシステム200は車両の高圧システム11及びヒートポンプサブシステム100と熱交換するために使用され、電池自己加熱サブシステム300は、電池70を充放電して加熱するために使用され、空気加熱サブシステム400は乗員室60と熱交換するために使用され、ヒートポンプサブシステム100は圧縮機1及び制御弁33を含み、制御弁33の一端は圧縮機1の排気口に連通され、制御弁33の他端は圧縮機1の還気口に連通され、または制御弁33の他端は気液分離器27を介して圧縮機1の還気口に連通され、制御サブシステム500は圧縮機1の排気口及び圧縮機の還気口を連通するように制御弁33を制御し、補気とエンタルピー増加を実現する。
【0035】
具体的に、
図1に示すように、乗員室60に暖房需要があると、ヒートポンプサブシステム100または空気加熱サブシステム400を制御することで加熱することができ、高圧冷却サブシステム200は高圧システム11及びヒートポンプサブシステム100と熱交換するために使用され、熱交換の過程では、高圧冷却サブシステム200は発生した熱をヒートポンプサブシステム100に伝達することができ、これにより、ヒートポンプサブシステム100の熱量を補充し、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200との連携により、乗員室60の加熱暖房を実現することができ、さらに、ヒートポンプサブシステム100と空気加熱サブシステム400との連携により乗員室60の加熱暖房を実現することもでき、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200及び空気加熱サブシステム400との連携により、乗員室60の加熱暖房を実現することができ、電池70に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム100または電池自己加熱サブシステム300を制御することで加熱することができ、同様に、以上のように、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200との連携により、電池70の加熱を実現することもでき、さらに、ヒートポンプサブシステム100と電池自己加熱サブシステム300の連携により、電池70の加熱を実現することもでき、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200及び電池自己加熱サブシステム300との連携により、電池70の加熱を実現することができる。つまり、実際の使用過程では、乗員室と電池の暖房需要に応じて、各サブシステム及び異なるサブシステムの連携を合理的に利用して乗員室と電池の加熱を実現することができ、乗員室と電池の熱量需要を満たすだけでなく、熱量の合理的な配分を実現し、熱配分の不足を回避し、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0036】
さらに、該統合型熱管理システム1000にさらに補気とエンタルピー増加構造が設けられ、つまり、圧縮機1が吸入した冷媒流量は不足するため、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が低下すると、冷媒流量を増加することにより圧縮機1の還気口に補気とエンタルピー増加を行うことができ、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、具体的に、ヒートポンプサブシステム100の内部に制御弁33が設けられ、
図1に示すように、制御サブシステム500により圧縮機1の排気口と圧縮機の還気口との直接連通を制御し、圧縮機1の排気口で分流した冷媒を圧縮機1に再入力し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を実現し、これにより、圧縮機1の冷媒流量を増加し、或いは、制御サブシステム500により圧縮機1の排気口と気液分離器27の連通を制御し、気液分離器27により圧縮機1の排気口で分流した冷媒を圧縮機1に再入力し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を実現することができる。これにより、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、圧縮機に流入した冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0037】
本実施例において、該制御弁33は、開度が調整可能な絞り制御弁であり、切断を実現することもできる。
【0038】
一具体例として、
図2と3に示すように、仮にヒートポンプサブシステムは、圧縮機1、温度圧力センサー2、車内凝縮器3、電磁電子膨張弁5、電磁弁6、車外凝縮器7、逆止弁13、板式熱交換器15、電磁弁16、逆止弁17/18、双方向電子膨張弁19、冷媒温度センサー20、電池パック冷却プレート21、冷媒温度圧力センサー22、絞り弁23、電磁弁24/25、逆止弁26、気液分離器27、冷媒温度圧力センサー28、逆止弁29、電磁弁30、蒸発器31、電子膨張弁32及び制御弁33を備え、高圧冷却サブシステムはモータ放熱器8、電子ファン9、三方弁10、高圧システム11、水ポンプ12及び水温センサー14を備え、空気加熱サブシステムは風PTC4であり、電池自己加熱サブシステム300は電池70を直接加熱する。
【0039】
乗員室60に暖房需要があると、圧縮機1の作動を制御して冷媒を車内凝縮器3に流入させるように駆動し、車内凝縮器3で冷媒が凝縮して放熱し、これにより、乗員室60の温度を上げ、電磁弁6の開き、電磁弁16の閉じを制御する際に、冷媒が車外凝縮器7に流入し、車外凝縮器7で吸熱して蒸発し、次に、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60に対する第1の熱交換昇温回路を形成し、または、電磁弁16の開き、電磁弁6の閉じを制御する際に、冷媒が板式熱交換器15に流入し、板式熱交換器15で吸熱して蒸発し、その後、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60に対する第2の熱交換昇温回路を形成し、さらに、車全体の運転中に、高圧システム11は熱量を発生させ、高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動することにより、高圧システム11を降温した後に流出する高温の冷却液を板式熱交換器15に伝達することができ、高温の冷却液を降温できるだけでなく、ヒートポンプサブシステム100の補熱を実現することができ、車全体のエネルギーの利用効率を向上させ、高圧システム11から放出される熱量は廃熱であってもよいし、発生した熱量を能動的に制御してもよく、なお、風PTC4によって空気を直接加熱し、加熱後の空気を乗員室60に直接吹き付けて、昇温を実現することができる。なお、以上のように、各システムとの間の連携により乗員室を加熱し、ここで繰り返して説明しない。
【0040】
電池70に加熱需要があると、電池自己加熱サブシステム300により電池70を直接加熱することができ、電池70の迅速な加熱を実現し、ヒートポンプサブシステム100を制御することで加熱することもでき、圧縮機1が作動して冷媒が電磁弁24と絞り弁23を通して電池パック冷却プレート21に流入し、電池パック冷却プレート21内の冷媒が凝縮した後に電池70を加熱し、電磁弁6の開き、電磁弁16の閉じを制御する際に、冷媒が車外凝縮器7に流入し、車外凝縮器7で吸熱して蒸発し、次に、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻ることにより、電池70に対する第1のヒートポンプ加熱回路を形成し、または、電磁弁16の開き、電磁弁6の閉じを制御する際に、冷媒が板式熱交換器15に流入し、板式熱交換器15で吸熱して蒸発し、その後、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、電池70に対する第2のヒートポンプ加熱回路を形成し、同様に、高圧システム11が発生する熱量は依然としてヒートポンプサブシステム100を補熱することができ、エネルギーの利用効率を向上させ、以上のように、各システムの間の連携により電池を加熱し、ここで繰り返して説明しない。説明する必要がある点として、電池自己加熱は内部加熱であり、ヒートポンプサブシステム100による加熱方式よりも、加熱効率がより高く、これにより、車全体のエネルギーの利用効率を向上させることができ、同時に、高圧システム11を降温する過程では、モータの能動的な発熱量を減らし、モータをより効率的な区間で動作させ、駆動効率を向上させることができる。
【0041】
さらに、圧縮機1が吸入した冷媒流量は不足するため、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が低下すると、冷媒流量を増加することにより、圧縮機1の還気口に補気とエンタルピー増加を行うことができ、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、具体的に、
図2に示すように、制御サブシステム500が圧縮機1の排気口と圧縮機の還気口を連通するように制御すると、一部の圧縮機1によって圧縮された高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に再び圧縮機1の還気口に流入し、圧縮機1の還気口でのガス冷媒と混合し、これにより、圧縮機1の還気口のガス冷媒の圧力と流量を増加し、さらにヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高めることができ、
図3に示すように、圧縮機1の排気口が還気口での気液分離器27と連通するように制御すると、一部の高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に制御弁33を介して気液分離器27に流入し、気液分離器27で分離したガス冷媒の温度を上げるだけでなく、気液分離器27内の液体冷媒を加熱してガス冷媒に相変化し、圧縮機1の還気口に流入するガス冷媒の流量を増加させ、さらにヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、これにより、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、圧縮機に流入する冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体のエネルギーの利用効率をさらに向上させることができる。
【0042】
本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0043】
幾つかの実施例において、制御サブシステムは、具体的に、乗員室と電池のいずれか一方に加熱需要があると、対応する需要熱量値を取得し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして需要熱量値、供給可能な熱量値及びエネルギー効率値に基づいて、加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱する。
【0044】
説明する必要がある点として、乗員室の需要熱量値は現在の環境温度と需要環境温度から得ることができ、電池の需要熱量値は電池が正常に作動できる温度と現在の環境温度から得ることができ、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値はヒートポンプサブシステムの圧縮機の電力及び冷媒の蒸発量から得ることができ、圧縮機の電力は圧縮機の回転数、電圧及び電流から得ることができ、冷媒の蒸発量は車外凝縮器または板式熱交換器を流れた冷媒の前後の温差から得ることができ、即ち車外凝縮器または板式熱交換器に進出した冷媒のエンタルピー差から得ることができ、ヒートポンプサブシステムの供給可能なエネルギー効率値はキャリブレーション値であり、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値は高圧システムにおけるモータによって提供され、モータの動作電圧、電流及び周波数を取得することによってモータの発熱量値を取得することによって、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値を取得することができ、高圧冷却サブシステムの供給可能なエネルギー効率値はモータのエネルギー効率値であり、同様に実験によりモータのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、電池加熱サブシステムの供給可能な熱量値は現在の電池加熱サブシステムが安全の使用範囲内で提供できる熱量であり、電池加熱サブシステムにおける動作電流から供給可能な熱量値を取得し、同様に実験により電池加熱サブシステムのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値は現在の空気加熱サブシステムが正常に作動する際に提供できる熱量であり、空気加熱サブシステムにおける動作電流から供給可能な熱量値を取得し、同様に実験により空気加熱サブシステムのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得する。
【0045】
具体的に、実際の動作中に、乗員室と電池のうちのいずれかに加熱需要があると、制御サブシステムによって対応する需要熱量値を取得し、制御サブシステムによってヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値及び対応するエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と各サブシステムの供給可能な熱量値を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択し、該サブシステムを利用して加熱需要があるモジュールを加熱し、これにより、乗員室と電池熱量需要を満たす前提で、車全体の熱量の合理的な配分を実現し、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0046】
選択可能に、制御サブシステムは、具体的に、乗員室に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0047】
具体的に、制御サブシステムによって乗員室のみを加熱する際に、乗員室の需要熱量値を取得し、仮に、需要熱量値がAであり、同時に、制御サブシステムによって各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値Cとエネルギー効率値c、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値Dとエネルギー効率値d、及び空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値Fとエネルギー効率値fを取得し、さらに、異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D及び対応するエネルギー効率値cd、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+F及び対応するエネルギー効率値cf、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムの連携による供給可能な熱量値C+D+F及び対応するエネルギー効率値cdfを取得することができ、ヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムと連携による供給可能な熱量値(C、F、C+D、C+F及びC+D+F)と需要熱量値(A)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱して暖房する。これにより、各サブシステムまたは異なるサブシステムの連携により乗員室を加熱して暖房し、加熱効率を向上させ、運転室のユーザの運転体験を改善する。
【0048】
選択可能に、制御サブシステムは、具体的に、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱する。
【0049】
具体的に、制御サブシステムによって電池のみを加熱する際に、仮に取得された電池の需要熱量値はBであり、同時に制御サブシステムによって各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値Cとエネルギー効率値c、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値Dとエネルギー効率値d、及び電池自己加熱サブシステムの供給可能な熱量値Gとエネルギー効率値gを取得し、さらに、異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D及び対応するエネルギー効率値cd、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+G及び対応するエネルギー効率値cg、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D+G及び対応するエネルギー効率値cdgを取得することができ、ヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、G、C+D、C+G及びC+D+G)と需要熱量値(B)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して電池を加熱する。これにより、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステムを採用して加熱することができ、電池自己加熱サブシステムを直接採用して電池を直接加熱することもでき、より高い加熱効率を取得し、異なるサブシステムを一緒に連携して使用することで、電池を加熱し、電池の昇温速率と昇温幅を向上させることができる。
【0050】
選択可能に、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると決定する場合、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱させ、そうでないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステム、及び/又は、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを決定して加熱する。
【0051】
具体的に、制御サブシステムによって乗員室と電池を同時に加熱する際に、仮に、取得された乗員室と電池の需要熱量値はそれぞれAとBであり、制御サブシステムによって取得されたヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値はC、エネルギー効率値はcであり、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値はD、エネルギー効率値はdであり、空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値はFであり、エネルギー効率値はfであり、電池自己加熱サブシステムの供給可能な熱量値はG、エネルギー効率値はgであり、ヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、F、C+D、C+F及びC+D+F)と乗員室の需要熱量値(A)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して、ヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、G、C+D、C+G及びC+D+G)と需要熱量値(B)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択する。
【0052】
乗員室が加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと異なると、それぞれ対応するサブシステムを採用して乗員室と電池をそれぞれ加熱し、即ち乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して乗員室を加熱し、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して電池を加熱する。
【0053】
乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、同じサブシステムを使用して乗員室と電池を加熱する際に、エネルギーの分散を招く可能性があるため、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすかどうかを判断する必要があり、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱する。
【0054】
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを取得し、それぞれ乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して乗員室を加熱し、そして電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して電池を加熱することができ、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを取得し、それぞれ乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して乗員室を加熱し、そして電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して電池を加熱することができ、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを同時に取得し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが同様であるかどうかを判断し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと異なると、それぞれ対応するサブシステムを採用して乗員室と電池を加熱し、即ち乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して乗員室を加熱し、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して電池を加熱し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすかどうかを判断し、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱する。
【0055】
これにより、適切なサブシステムまたは異なるサブシステムの連携を採用して乗員室と電池の共同加熱を実現し、乗員室と電池の熱量需要を満たすだけでなく、車全体の熱量の合理的な配分を実現し、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0056】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、還気口情報に基づいて圧縮機に補気とエンタルピー増加を行い、及び補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、還気口情報は圧縮機の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含む。
【0057】
具体的に、
図1に示すように、制御サブシステム500によってヒートポンプサブシステム100における圧縮機1の還気口情報を取得し、還気口情報は圧縮機1の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含み、つまり、制御サブシステム500で取得された還気口情報は還気口の還気圧力でも、還気口の還気温度でも、還気口の還気圧力と還気温度でもよい。
【0058】
取得された還気口情報に基づいて補気とエンタルピー増加を行う必要があるかどうかを決定し、還気圧力が不足したり、還気温度が低過ぎたり、還気圧力が不足し且つ還気温度が低過ぎたりすると、このとき、ヒートポンプサブシステム100に流入した冷媒流量が不足すると決定し、圧縮機1に補気とエンタルピー増加を行う必要があり、圧縮機1に流入する還気口の冷媒流量を増加し、さらにヒートポンプサブシステム100に流入する冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、還気圧力が不足する場合でのヒートポンプサブシステム100の暖房能力が不足することを解決し、補気とエンタルピー増加により圧縮機がより多くの出力を行うことができ、還気口の吸熱量への依存を減らし、低温状態でヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、ヒートポンプサブシステムが低い温度での使用需要を満たし、低温状態で圧縮機の出力が少なく、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が悪いという状況を解決する。
【0059】
さらに、一具体例として、
図2に示すように、温度圧力センサー2によって還気口の還気圧力を取得し、取得された還気圧力が予め設定された還気圧力の第1の閾値より小さいと、即ち圧縮機1の還気口圧力が低い場合、圧縮機1の排気口と還気口の連通を制御し、圧縮機1の排気口が還気口に連通された後、一部の圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に制御弁33によって圧縮機1の還気口に再び流入し、圧縮機1の還気口でのガス冷媒と混合し、これにより、圧縮機1の還気口のガス冷媒の圧力と流量を増加することができ、圧縮機の還気圧力が予め設定された還気圧力の第2の閾値以上であると、圧縮機1の排気口と還気口の連通を切断し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を停止し、説明する必要がある点として、予め設定された還気圧力の第2の閾値は予め設定された還気圧力の第1の閾値以上であり、つまり、予め設定された還気圧力の第2の閾値は予め設定された還気圧力の第1の閾値と等しくてもよいし、一定の余裕を持つように、予め設定された還気圧力の第1の閾値より大きくてもよく、還気口圧力が低いと、
図3に示すように、圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27の連通を制御してもよく、圧縮機1の排気口が還気口での気液分離器27と連通した後に、一部の高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に気液分離器27に流入し、これにより、気液分離器27で分離したガス冷媒の温度を向上させ、同時に、気液分離器27内の液体冷媒を加熱してガス冷媒に相変化し、圧縮機1の還気口に流入するガス冷媒の圧力及び流量を増加させ、圧縮機の還気圧力が予め設定された還気圧力の第2の閾値以上であると、圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27の連通を切断し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を停止する。
【0060】
温度圧力センサー2によって還気口の還気温度を取得し、取得された還気温度が予め設定された還気温度閾値より小さい場合、即ち圧縮機1が低温環境で作動するため、還気口の吸熱量が不足する場合、圧縮機1の排気口と還気口との連通または圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27との連通を制御することで、圧縮機1の還気口ガス冷媒の圧力と流量を増加してもよく、具体的な制御過程は、ここで繰り返して説明しない。これにより低温状態で、圧縮機がより多くの出力を行うことができ、還気口の吸熱量への依存を減らし、低温状態でヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、ヒートポンプサブシステムが低い温度での使用需要を満たす。
【0061】
温度圧力センサー2によって還気口の還気圧力と還気温度を同時に取得し、取得された還気圧力が予め設定された還気圧力の第1の閾値より小さく且つ取得された還気温度が予め設定された還気温度閾値より小さい場合、即ち圧縮機1の還気口圧力が低く且つ低温環境で作動する場合、同様に圧縮機1の排気口と還気口との連通または圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27との連通を制御することで、圧縮機1の還気口ガス冷媒の圧力と流量を増加することができ、具体的な制御過程は、ここで繰り返して説明しない。
【0062】
これにより、圧縮機の排気口の高温高圧冷媒を圧縮機の還気口に直接導入するか、気液分離器によって冷媒を圧縮機の還気口に間接的に導入することによって、圧縮機の吸気口の冷媒の圧力と流量を増加することができ、これにより、ヒートポンプサブシステムの出力能力及び暖房能力を高め、同時に、該補気とエンタルピー増加は、圧縮機の排気口と還気口との連通、または圧縮機の排気口と還気口での気液分離器との連通のみに関し、構造が簡単で、布置が容易であり、コストが低い。
【0063】
説明する必要がある点として、ヒートポンプサブシステムに補気とエンタルピー増加を行った後、再びヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、乗員室及び/又は電池を加熱する場合に、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムを採用してサブシステム及び異なるサブシステムの連携選択に関与し、最新の各サブシステム及び最新の異なるサブシステムが連携した後に供給できる熱量値及びエネルギー効率値を決定し、適切なサブシステム及び異なるサブシステムを選択して連携することで乗員室と電池を加熱する。つまり、乗員室に暖房需要があると、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携、または補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値及びエネルギー効率値を取得し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のものを決定して乗員室を加熱し、電池に加熱需要があると、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、または補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値及びエネルギー効率値を取得し、その中の乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のものを決定して電池を加熱する。
【0064】
幾つかの実施例において、
図4に示すように、電池自己加熱サブシステム300は、第1の電池パック71と第2の電池パック72を含み、第1の電池パック71の負極は第2の電池パック72の正極に接続されて且つ接続点は第1のノードNである、電池70と、正直流端が第1の電池パック71の正極に接続され、負直流端が第2の電池パック72の負極に接続されるインバータ回路310と、三相巻線がインバータ回路310の三相交流端に対応して接続され、三相巻線の中性点が制御可能なスイッチ330によって第1のノードNに接続される駆動モータ320と、を備え、制御サブシステム500はさらに、電池自己加熱サブシステム300を採用して加熱すると決定する場合、制御可能なスイッチ330をオン状態に制御し、インバータ回路310をオンオフ制御して三相巻線によって第1の電池パック71と第2の電池パック72を交互に発振して加熱するために使用される。
【0065】
さらに、制御サブシステム500は、具体的に、まず、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、第1の電池パック71が三相巻線を充電し、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第2の電池パック72を充電し、インバータ回路310における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、第2の電池パック72が三相巻線を充電し、インバータ回路4における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第1の電池パック71を充電し、繰り返して実行し、交互に発振して加熱する。
【0066】
具体的に、電池自己加熱サブシステム300を採用して電池を加熱する場合、制御サブシステム500は制御可能なスイッチ330をオン状態に制御し、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御し、即ちT1、T2、T3がオン状態にあり、T4、T5、T6がオフ状態にあると、
図5に示すように、電流は第1の電池パック71の正極から、T1、T2、T3を通した後に駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電し、充電後の電流は制御可能なスイッチ330を介して第1の電池パック71の負極に戻り、この階段では、第1の電池パック71が放電されて駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電する。
【0067】
インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6もオフ状態にあると、
図6に示すように、電流は駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWから制御可能なスイッチ330を介して第2の電池パック72の正極に流れ、第2の電池パック72を充電し、充電後の電流がT4、T5、T6のダイオードを経て、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWの他端に戻り、この階段では、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWが放電され、第2の電池パック72を充電する。
【0068】
インバータ回路310における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6がオン状態にある場合、
図7に示すように、電流が第2の電池パック72の正極から、制御可能なスイッチ330を介して駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電し、充電後の電流がT1、T2、T3を経た後に第2の電池パック72の負極に戻り、この階段では、第2の電池パック72が放電されて駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電する。
【0069】
インバータ回路4における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6もオフ状態にある場合、
図8に示すように、電流が駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWからT4、T5、T6のダイオードを経て第1の電池パック71の正極に流入し、第1の電池パック71を充電し、充電後の電流が制御可能なスイッチ330を介して駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWの他端に戻り、この階段では、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWは放電されて、第1の電池パック71を充電する。
【0070】
これにより、電池自己加熱サブシステムにより第1の電池パックと第2の電池パックの充電と放電を異なる期間で実現でき、同じ時点で、1つの電池パックだけが充電または放電することを確保し、交互に発振する加熱回路を形成するだけでなく、電池リップルを低減することができ、第1の電池パックと第2の電池パックに設けられる中点引出線は、駆動モータの三相巻線に同方向の電流が流れるときに発振電流に流通回路を提供することができるだけでなく、提供された交互発振加熱電力は電池の中点引出線のないの3倍に達することができ、電池加熱の昇温速率を向上させ、増設された中点引出線は、車両の正常な走行に影響を与えなく、且つ駆動モータなどの部品を多重化することで電池の自己加熱を実現することができ、電池自己加熱サブシステムのコストを削減する。
【0071】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して冷房を行うために使用される。
【0072】
具体的に、
図2と3に示すように、乗員室60に冷房需要があると、まず、乗員室60に対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムにおける圧縮機1が出力する冷媒流量を取得し、冷媒が電磁弁6を介して車外凝縮器7に流入して放熱するように駆動し、放熱後の冷媒が電子膨張弁32によって絞り減圧され、蒸発器31に流入し、冷媒が蒸発器31によって吸熱して蒸発された後に気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60と蒸発器31の熱交換を実現し、車内乗員室60を降温する目的を達成する。
【0073】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用され、具体的に暖房ポンプサブシステムが電池を冷却する。
【0074】
具体的に、
図2と3に示すように、電池70に冷房需要があると、まず、電池70に対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムにおける圧縮機1が出力する冷媒流量を調整し、冷媒が電磁弁6を介して車外凝縮器7に流入して放熱するように駆動し、放熱後の冷媒が電子膨張弁19によって絞り減圧され、電池パック冷却プレート21に流入し、冷媒が電池パック冷却プレート21で吸熱して蒸発された後に絞り弁23で調圧されて気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、電池70の冷却降温を実現する。
【0075】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、高圧システムに放熱需要があると、ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がないと決定すると、例えばヒートポンプサブシステムに補熱を行う必要がない場合、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換の切断を制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、ヒートポンプサブシステムに熱交換需要があると決定する場合、例えばヒートポンプサブシステムを補熱する必要がある場合、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを熱交換するために使用され、具体的に、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを補熱し、高圧システムを放熱する。
【0076】
具体的に、
図2と3を参照し続き、高圧システム11におけるモータなどの部品の発熱量が多すぎて、放熱需要があり、ヒートポンプサブシステムに補熱需要がないと、三方弁のAC回路の導通、BC回路の切断を制御し、高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動することによって、高圧システム11の降温後に流出する高温冷却液がモータ放熱器8に入力し、電子ファン9が作動し、モータ放熱器8内の冷却液を降温し、熱量を空気に直接放出して高圧システム11の冷却降温を実現し、ヒートポンプサブシステムに補熱需要があると、三方弁のBC回路の導通、AC回路の切断を制御し,高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動し、高圧システム11の降温後に流出する高温冷却液を板式熱交換器15に伝達し、高温システム11を降温できるだけでなく、且つヒートポンプサブシステムの補熱を実現し、これにより、車全体エネルギーの利用効率を向上させる。
【0077】
以上のように、本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0078】
図9は本開示の一実施例による車両の構造模式図であり、
図9に示すように、該車両10000は上記の統合型熱管理システム1000を備える。
【0079】
本開示の実施例による車両は、上記の統合型熱管理システムによって、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0080】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という参考用語などの説明は、該実施例または例を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料または特点は本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれる。本明細書では、上記用語例示的な叙述は必ずしも同じ実施例または例を対象とする必要がない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料または特点はいずれかまたは複数の実施例または例では適切な方式で結合することができる。
【0081】
なお、「第1」、「第2」という用語は、説明のためだけに使用され、相対的な重要性を明示又は暗示するかあるいは示される技術的特徴の数を示唆するものとして理解できない。したがって、「第1」、「第2」によって限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、「複数」とは、特に限定されていない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0082】
本開示において、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、特に明確に規定されて限定されていない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定して接続されていてもよく、取り外し可能に接続されていてもよく、または一体化されていてもよいし、機械的に接続されていてもよいし、直接接続されていてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、2つの要素の内部の連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、本発明における上記の用語の具体的な意味は、状況に応じて理解され得る。
【0083】
本開示の実施例を提示し記述したが、上記実施例は例示的なものであり、本開示を制限するためのものとして理解することができなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例について様々な変化、修正、置換および変形が可能であることが理解できる。
【関連出願の相互参照】
【0084】
本開示は、2022年03月31に中国特許局に提案された、出願番号が202210345378.X、出願名称が「統合型熱管理システム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は援用により本開示に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型熱管理システムであって、
車両の乗員室を暖房または冷房し、且つ車両の電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、前記制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、前記制御弁の他端が前記圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の
前記還気口に連通される、ヒートポンプサブシステムと、
前記車両の高圧システム及び前記ヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、
前記電池の充放電によって電池を加熱するための電池自己加熱サブシステムと、
前記乗員室を加熱するための空気加熱サブシステムと、
前記圧縮機の排気口及び前記圧縮機の還気口を連通するように前記制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える、統合型熱管理システム。
【請求項2】
前記乗員室と前記電池のいずれか一方に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、対応する需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池
自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステム
のそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値の大きさを比較し、
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムから需要熱量値を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して加熱需要がある乗員室または電池を加熱するために使用される、請求項1に記載の統合型熱管理システム。
【請求項3】
前記乗員室に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステム
のそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムそれぞれが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用される、請求項1または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項4】
前記電池に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステム
のそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項5】
前記乗員室と前記電池の両方に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステム
のそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用され、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステム
のそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の
前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用され、
選択された乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムは電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たす
ことに対応して、該サブシステムを制御して加熱させ、
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしない
ことに対応して、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを選択して加熱し、または、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムのうちの一方を選択して加熱する、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項6】
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、前記還気口情報に基づいて前記圧縮機に補気とエンタルピー増加を行うために使用され、また、前記制御サブシステムはさらに、補気とエンタルピー増加後の前記ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、前記還気口情報は前記圧縮機の還気口の還気圧力と還気温度のうちの一方を含む、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項7】
前記電池自己加熱サブシステムは、
第1の電池パックと第2の電池パックを含み、
第1のノードである接続点で前記第1の電池パックの負極が前記第2の電池パックの正極に接続さ
れる、電池と、
正直流端は前記第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は前記第2の電池パックの負極に接続される、インバータ回路と、
三相巻線は前記インバータ回路の三相交流端に対応して接続され、前記三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって前記第1のノードに接続される、駆動モータと、を備え、
前記制御サブシステムは、前記電池自己加熱サブシステムを採用して前記電池加熱を決定する際に、前記制御可能なスイッチをオン状態に制御し、前記インバータ回路をオンオフ制御し、前記三相巻線によって前記第1の電池パックと前記第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項8】
前記制御サブシステムは、まず、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記第1の電池パックが前記三相巻線を充電し、次に、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記三相巻線が前記第2の電池パックを充電し、また、前記インバータ回路における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記第2の電池パックが前記三相巻線を充電し、前記インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、前記三相巻線が前記第1の電池パックを充電し、このように繰り返して実行して、交互に発振して加熱するために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項9】
前記制御サブシステムはさらに、前記乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、前記需要冷量値に基づいて前記ヒートポンプサブシステムを制御して乗員室を冷房させるために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項10】
前記制御サブシステムは、さらに、前記電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、前記需要冷量値に基づいて前記ヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項11】
前記制御サブシステムは、さらに、前記高圧システムに放熱需要があると、前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がない
ことに対応して、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換を遮断するように制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱させ、
前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要があることに対応して、前記高圧冷却サブシステムを制御し前記ヒートポンプサブシステムを熱交換させ、前記高圧システムを放熱するために使用される、請求項1
または2に記載の統合型熱管理システム。
【請求項12】
請求項1
または2に記載の統合型熱管理システムを備える、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は統合型熱管理システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両熱管理システムは、車全体の乗員室と電池を加熱する際の熱需要を満たすことが難しいだけでなく、車全体の乗員室と電池の熱配分が合理的ではなく、熱配分が不足し、加熱効率が低下するなどの問題が発生しやすい。
【0003】
なお、車全体がヒートポンプシステムを利用して暖房を行うとき、温度が低い場合や圧縮機の還気圧力が不足している場合、圧縮機に流入する冷媒流量が不足し、圧縮機の吸気圧力が低く、出力が少なく、これによりヒートポンプシステムの暖房能力が低下し、車全体のエネルギーの利用効率が大幅に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は関連技術における技術的問題の一つを少なくともある程度で解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本開示の第1の目的は、統合型熱管理システムを提供することであり、該システムは、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0006】
本開示の第2の目的は、車両を提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施例は統合型熱管理システムを提供し、システムは、
車両の乗員室を暖房または冷房し、且つ車両の電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、前記制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、前記制御弁の他端が前記圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の前記還気口に連通されるヒートポンプサブシステムと、
前記車両の高圧システム及び前記ヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、
前記電池の充放電によって電池を加熱するための電池自己加熱サブシステムと、
前記乗員室を加熱するための空気加熱サブシステムと、
前記圧縮機の排気口及び前記圧縮機の還気口を連通するように前記制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える。
【0008】
本開示の第1の態様の実施例は統合型熱管理システムをさらに提供し、システムは、
車両の乗員室及び電池と熱交換するために使用され、圧縮機及び制御弁を備え、制御弁の一端が圧縮機の排気口に連通され、制御弁の他端が圧縮機の還気口に連通されるかまたは気液分離器を介して前記圧縮機の還気口に連通されるヒートポンプサブシステムと、車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換するための高圧冷却サブシステムと、電池を充放電して加熱するための電池自己加熱サブシステムと、乗員室と熱交換するための空気加熱サブシステムと、圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するように制御弁を制御し、補気とエンタルピー増加を実現するための制御サブシステムと、を備える。
【0009】
本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0010】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室と前記電池のいずれか一方に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、対応する需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値の大きさを比較し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム、前記電池自己加熱サブシステム及び前記空気加熱サブシステムから需要熱量値を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して加熱需要がある乗員室または電池を加熱するために使用される。
【0011】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは具体的に、乗員室と電池のいずれか一方に加熱需要があると、対応する需要熱量値を取得し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、需要熱量値、供給可能な熱量値、及びエネルギー効率値に基づいて、加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0012】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムそれぞれが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれから、乗員室の加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱する。
【0013】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、具体的に、乗員室に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0014】
本開示の一実施例によれば、前記電池に加熱需要があると、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用される。
【0015】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、具体的に、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0016】
本開示の一実施例によれば、前記乗員室と前記電池の両方に加熱需要があると、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記乗員室の需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記空気加熱サブシステムから、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱するために使用され、
前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、及び前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、且つ前記電池の需要熱量値を取得し、前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムのそれぞれ及び連携後の前記ヒートポンプサブシステム、前記高圧冷却サブシステム及び前記電池自己加熱サブシステムから、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱するために使用され、
選択された乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムは電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすことに対応して、該サブシステムを制御して加熱させ、
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしないことに対応して、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを選択して加熱し、または、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムのうちの一方を選択して加熱する。
【0017】
本開示の一実施例によれば、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると決定する場合、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱させ、そうでないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステム、及び/又は、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを決定して加熱する。
【0018】
本開示の一実施例によれば、前記制御サブシステムは、前記ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、前記還気口情報に基づいて前記圧縮機に補気とエンタルピー増加を行うために使用され、また、前記制御サブシステムはさらに、補気とエンタルピー増加後の前記ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、前記還気口情報は前記圧縮機の還気口の還気圧力と還気温度のうちの一方を含む。
【0019】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、さらにヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、還気口情報に基づいて圧縮機に補気とエンタルピー増加を行い、そして補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、還気口情報は圧縮機の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含む。
【0020】
本開示の一実施例によれば、前記電池自己加熱サブシステムは、
第1の電池パックと第2の電池パックを含み、第1のノードである接続点で前記第1の電池パックの負極が前記第2の電池パックの正極に接続される、電池と、
正直流端は前記第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は前記第2の電池パックの負極に接続されるインバータ回路と、
三相巻線は前記インバータ回路の三相交流端に対応して接続され、前記三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって前記第1のノードに接続される駆動モータと、を備え、
前記制御サブシステムは、前記電池自己加熱サブシステムを採用して前記電池加熱を決定する際に、前記制御可能なスイッチをオン状態に制御し、前記インバータ回路をオンオフ制御し、前記三相巻線によって前記第1の電池パックと前記第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される。
【0021】
本開示の一実施例によれば、電池自己加熱サブシステムは、第1の電池パックと第2の電池パックを含み、第1のノードである接続点で第1の電池パックの負極が第2の電池パックの正極に接続される、電池と、正直流端は第1の電池パックの正極に接続され、負直流端は第2の電池パックの負極に接続されるインバータ回路と、三相巻線はインバータ回路の三相交流端に対応して接続され、三相巻線の中性点が制御可能なスイッチによって第1のノードに接続される駆動モータと、を備え、制御サブシステムは、さらに、電池自己加熱サブシステムを採用して電池加熱を決定する際に、制御可能なスイッチをオン状態に制御し、インバータ回路をオンオフ制御し、三相巻線によって第1の電池パックと第2の電池パックを交互に発振して加熱するために使用される。
【0022】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムは、まず、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、第1の電池パックが三相巻線を充電し、次に、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第2の電池パックを充電し、また、インバータ回路における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、第2の電池パックが三相巻線を充電し、インバータ回路における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第1の電池パックを充電し、このように繰り返して実行して、交互に発振して加熱するために使用される。
【0023】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して乗員室に冷房するために使用される。
【0024】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用される。
【0025】
本開示の一実施例によれば、前記制御サブシステムはさらに、前記高圧システムに放熱需要があると、前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がないことに対応して、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換を遮断するように制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、前記ヒートポンプサブシステムに熱交換需要があることに対応して、前記高圧冷却サブシステムを制御し前記ヒートポンプサブシステムを熱交換し、前記高圧システムを放熱するために使用される。
【0026】
本開示の一実施例によれば、制御サブシステムはさらに、高圧システムに放熱需要があると、ヒートポンプサブシステムに補熱需要がないことに対応して、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、ヒートポンプサブシステムに熱交換需要があることに対応して、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを補熱することで、高圧システムを放熱するために使用される。
【0027】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様の実施例は、第1の態様の実施例における統合型熱管理システムを備える車両を提供する。
【0028】
本開示の実施例による車両は、上記の統合型熱管理システムによって、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0029】
本開示の付加的な態様と利点を以下の説明から部分的に示し、部分的に以下の説明から明らかになり、または本開示の実践を通じて了解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の第1の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図2】本開示の第2の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図3】本開示の第3の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図である。
【
図4】本開示の一実施例による電池自己加熱サブシステムを示す構造模式図である。
【
図5】本開示の第1の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図6】本開示の第2の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図7】本開示の第3の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図8】本開示の第4の実施例による電池自己加熱サブシステムの電流の流れ方向を示す模式図である。
【
図9】本開示の一実施例による車両の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。前記実施例に係る例を図面に示し、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の要素もしくは同一又は類似の機能を有する要素を示す。以下、図面を参照して説明する実施例は、本開示を説明するために意図される例示的なものであり、本開示を限定するものとは解釈されない。
【0032】
以下、図面を参照して本開示の実施例による統合型熱管理システム及び車両を説明する。
【0033】
図1は本開示の第1の実施例による統合型熱管理システムを示す構造模式図であり、
図1に示すように、該システム1000は、ヒートポンプサブシステム100、高圧冷却サブシステム200、電池自己加熱サブシステム300、空気加熱サブシステム400及び制御サブシステム500を備える。
【0034】
ヒートポンプサブシステム100は車両の乗員室60及び電池70と熱交換するために使用され、高圧冷却サブシステム200は車両の高圧システム11及びヒートポンプサブシステム100と熱交換するために使用され、電池自己加熱サブシステム300は、電池70を充放電して加熱するために使用され、空気加熱サブシステム400は乗員室60と熱交換するために使用され、ヒートポンプサブシステム100は圧縮機1及び制御弁33を含み、制御弁33の一端は圧縮機1の排気口に連通され、制御弁33の他端は圧縮機1の還気口に連通され、または制御弁33の他端は気液分離器27を介して圧縮機1の還気口に連通され、制御サブシステム500は圧縮機1の排気口及び圧縮機の還気口を連通するように制御弁33を制御し、補気とエンタルピー増加を実現する。
【0035】
具体的に、
図1に示すように、乗員室60に暖房需要があると、ヒートポンプサブシステム100または空気加熱サブシステム400を制御することで加熱することができ、高圧冷却サブシステム200は高圧システム11及びヒートポンプサブシステム100と熱交換するために使用され、熱交換の過程では、高圧冷却サブシステム200は発生した熱をヒートポンプサブシステム100に伝達することができ、これにより、ヒートポンプサブシステム100の熱量を補充し、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200との連携により、乗員室60の加熱暖房を実現することができ、さらに、ヒートポンプサブシステム100と空気加熱サブシステム400との連携により乗員室60の加熱暖房を実現することもでき、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200及び空気加熱サブシステム400との連携により、乗員室60の加熱暖房を実現することができ、電池70に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム100または電池自己加熱サブシステム300を制御することで加熱することができ、同様に、以上のように、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200との連携により、電池70の加熱を実現することもでき、さらに、ヒートポンプサブシステム100と電池自己加熱サブシステム300の連携により、電池70の加熱を実現することもでき、ヒートポンプサブシステム100と高圧冷却サブシステム200及び電池自己加熱サブシステム300との連携により、電池70の加熱を実現することができる。つまり、実際の使用過程では、乗員室と電池の暖房需要に応じて、各サブシステム及び異なるサブシステムの連携を合理的に利用して乗員室と電池の加熱を実現することができ、乗員室と電池の熱量需要を満たすだけでなく、熱量の合理的な配分を実現し、熱配分の不足を回避し、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0036】
さらに、該統合型熱管理システム1000にさらに補気とエンタルピー増加構造が設けられ、つまり、圧縮機1が吸入した冷媒流量は不足するため、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が低下すると、冷媒流量を増加することにより圧縮機1の還気口に補気とエンタルピー増加を行うことができ、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、具体的に、ヒートポンプサブシステム100の内部に制御弁33が設けられ、
図1に示すように、制御サブシステム500により圧縮機1の排気口と圧縮機の還気口との直接連通を制御し、圧縮機1の排気口で分流した冷媒を圧縮機1に再入力し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を実現し、これにより、圧縮機1の冷媒流量を増加し、或いは、制御サブシステム500により圧縮機1の排気口と気液分離器27の連通を制御し、気液分離器27により圧縮機1の排気口で分流した冷媒を圧縮機1に再入力し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を実現することができる。これにより、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、圧縮機に流入した冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0037】
本実施例において、該制御弁33は、開度が調整可能な絞り制御弁であり、切断を実現することもできる。
【0038】
一具体例として、
図2と3に示すように、仮にヒートポンプサブシステムは、圧縮機1、温度圧力センサー2、車内凝縮器3、電磁電子膨張弁5、電磁弁6、車外凝縮器7、逆止弁13、板式熱交換器15、電磁弁16、逆止弁17/18、双方向電子膨張弁19、冷媒温度センサー20、電池パック冷却プレート21、冷媒温度圧力センサー22、絞り弁23、電磁弁24/25、逆止弁26、気液分離器27、冷媒温度圧力センサー28、逆止弁29、電磁弁30、蒸発器31、電子膨張弁32及び制御弁33を備え、高圧冷却サブシステムはモータ放熱器8、電子ファン9、三方弁10、高圧システム11、水ポンプ12及び水温センサー14を備え、空気加熱サブシステムは風PTC4であり、電池自己加熱サブシステム300は電池70を直接加熱する。
【0039】
乗員室60に暖房需要があると、圧縮機1の作動を制御して冷媒を車内凝縮器3に流入させるように駆動し、車内凝縮器3で冷媒が凝縮して放熱し、これにより、乗員室60の温度を上げ、電磁弁6の開き、電磁弁16の閉じを制御する際に、冷媒が車外凝縮器7に流入し、車外凝縮器7で吸熱して蒸発し、次に、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60に対する第1の熱交換昇温回路を形成し、または、電磁弁16の開き、電磁弁6の閉じを制御する際に、冷媒が板式熱交換器15に流入し、板式熱交換器15で吸熱して蒸発し、その後、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60に対する第2の熱交換昇温回路を形成し、さらに、車全体の運転中に、高圧システム11は熱量を発生させ、高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動することにより、高圧システム11を降温した後に流出する高温の冷却液を板式熱交換器15に伝達することができ、高温の冷却液を降温できるだけでなく、ヒートポンプサブシステム100の補熱を実現することができ、車全体のエネルギーの利用効率を向上させ、高圧システム11から放出される熱量は廃熱であってもよいし、発生した熱量を能動的に制御してもよく、なお、風PTC4によって空気を直接加熱し、加熱後の空気を乗員室60に直接吹き付けて、昇温を実現することができる。なお、以上のように、各システムとの間の連携により乗員室を加熱し、ここで繰り返して説明しない。
【0040】
電池70に加熱需要があると、電池自己加熱サブシステム300により電池70を直接加熱することができ、電池70の迅速な加熱を実現し、ヒートポンプサブシステム100を制御することで加熱することもでき、圧縮機1が作動して冷媒が電磁弁24と絞り弁23を通して電池パック冷却プレート21に流入し、電池パック冷却プレート21内の冷媒が凝縮した後に電池70を加熱し、電磁弁6の開き、電磁弁16の閉じを制御する際に、冷媒が車外凝縮器7に流入し、車外凝縮器7で吸熱して蒸発し、次に、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻ることにより、電池70に対する第1のヒートポンプ加熱回路を形成し、または、電磁弁16の開き、電磁弁6の閉じを制御する際に、冷媒が板式熱交換器15に流入し、板式熱交換器15で吸熱して蒸発し、その後、電磁弁30と気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、電池70に対する第2のヒートポンプ加熱回路を形成し、同様に、高圧システム11が発生する熱量は依然としてヒートポンプサブシステム100を補熱することができ、エネルギーの利用効率を向上させ、以上のように、各システムの間の連携により電池を加熱し、ここで繰り返して説明しない。説明する必要がある点として、電池自己加熱は内部加熱であり、ヒートポンプサブシステム100による加熱方式よりも、加熱効率がより高く、これにより、車全体のエネルギーの利用効率を向上させることができ、同時に、高圧システム11を降温する過程では、モータの能動的な発熱量を減らし、モータをより効率的な区間で動作させ、駆動効率を向上させることができる。
【0041】
さらに、圧縮機1が吸入した冷媒流量は不足するため、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が低下すると、冷媒流量を増加することにより、圧縮機1の還気口に補気とエンタルピー増加を行うことができ、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、具体的に、
図2に示すように、制御サブシステム500が圧縮機1の排気口と圧縮機の還気口を連通するように制御すると、一部の圧縮機1によって圧縮された高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に再び圧縮機1の還気口に流入し、圧縮機1の還気口でのガス冷媒と混合し、これにより、圧縮機1の還気口のガス冷媒の圧力と流量を増加し、さらにヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高めることができ、
図3に示すように、圧縮機1の排気口が還気口での気液分離器27と連通するように制御すると、一部の高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に制御弁33を介して気液分離器27に流入し、気液分離器27で分離したガス冷媒の温度を上げるだけでなく、気液分離器27内の液体冷媒を加熱してガス冷媒に相変化し、圧縮機1の還気口に流入するガス冷媒の流量を増加させ、さらにヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、これにより、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、圧縮機に流入する冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体のエネルギーの利用効率をさらに向上させることができる。
【0042】
本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0043】
幾つかの実施例において、制御サブシステムは、具体的に、乗員室と電池のいずれか一方に加熱需要があると、対応する需要熱量値を取得し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、そして需要熱量値、供給可能な熱量値及びエネルギー効率値に基づいて、加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱する。
【0044】
説明する必要がある点として、乗員室の需要熱量値は現在の環境温度と需要環境温度から得ることができ、電池の需要熱量値は電池が正常に作動できる温度と現在の環境温度から得ることができ、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値はヒートポンプサブシステムの圧縮機の電力及び冷媒の蒸発量から得ることができ、圧縮機の電力は圧縮機の回転数、電圧及び電流から得ることができ、冷媒の蒸発量は車外凝縮器または板式熱交換器を流れた冷媒の前後の温差から得ることができ、即ち車外凝縮器または板式熱交換器に進出した冷媒のエンタルピー差から得ることができ、ヒートポンプサブシステムの供給可能なエネルギー効率値はキャリブレーション値であり、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値は高圧システムにおけるモータによって提供され、モータの動作電圧、電流及び周波数を取得することによってモータの発熱量値を取得することによって、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値を取得することができ、高圧冷却サブシステムの供給可能なエネルギー効率値はモータのエネルギー効率値であり、同様に実験によりモータのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、電池加熱サブシステムの供給可能な熱量値は現在の電池加熱サブシステムが安全の使用範囲内で提供できる熱量であり、電池加熱サブシステムにおける動作電流から供給可能な熱量値を取得し、同様に実験により電池加熱サブシステムのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得し、空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値は現在の空気加熱サブシステムが正常に作動する際に提供できる熱量であり、空気加熱サブシステムにおける動作電流から供給可能な熱量値を取得し、同様に実験により空気加熱サブシステムのエネルギー効率値を予めキャリブレーションし、ルックアップテーブル方式で対応するエネルギー効率値を取得する。
【0045】
具体的に、実際の動作中に、乗員室と電池のうちのいずれかに加熱需要があると、制御サブシステムによって対応する需要熱量値を取得し、制御サブシステムによってヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム、電池加熱サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステムの供給可能な熱量値及び対応するエネルギー効率値を取得し、需要熱量値と各サブシステムの供給可能な熱量値を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択し、該サブシステムを利用して加熱需要があるモジュールを加熱し、これにより、乗員室と電池熱量需要を満たす前提で、車全体の熱量の合理的な配分を実現し、車全体のエネルギーの利用効率を向上させる。
【0046】
選択可能に、制御サブシステムは、具体的に、乗員室に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定して加熱するために使用される。
【0047】
具体的に、制御サブシステムによって乗員室のみを加熱する際に、乗員室の需要熱量値を取得し、仮に、需要熱量値がAであり、同時に、制御サブシステムによって各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値Cとエネルギー効率値c、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値Dとエネルギー効率値d、及び空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値Fとエネルギー効率値fを取得し、さらに、異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D及び対応するエネルギー効率値cd、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+F及び対応するエネルギー効率値cf、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムの連携による供給可能な熱量値C+D+F及び対応するエネルギー効率値cdfを取得することができ、ヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムと連携による供給可能な熱量値(C、F、C+D、C+F及びC+D+F)と需要熱量値(A)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して乗員室を加熱して暖房する。これにより、各サブシステムまたは異なるサブシステムの連携により乗員室を加熱して暖房し、加熱効率を向上させ、運転室のユーザの運転体験を改善する。
【0048】
選択可能に、制御サブシステムは、具体的に、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを選択して電池を加熱する。
【0049】
具体的に、制御サブシステムによって電池のみを加熱する際に、仮に取得された電池の需要熱量値はBであり、同時に制御サブシステムによって各サブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値Cとエネルギー効率値c、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値Dとエネルギー効率値d、及び電池自己加熱サブシステムの供給可能な熱量値Gとエネルギー効率値gを取得し、さらに、異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、例えば、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D及び対応するエネルギー効率値cd、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+G及び対応するエネルギー効率値cg、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値C+D+G及び対応するエネルギー効率値cdgを取得することができ、ヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、G、C+D、C+G及びC+D+G)と需要熱量値(B)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して電池を加熱する。これにより、電池に加熱需要があると、ヒートポンプサブシステムを採用して加熱することができ、電池自己加熱サブシステムを直接採用して電池を直接加熱することもでき、より高い加熱効率を取得し、異なるサブシステムを一緒に連携して使用することで、電池を加熱し、電池の昇温速率と昇温幅を向上させることができる。
【0050】
選択可能に、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステム及び空気加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び乗員室の需要熱量値に基づいて、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、ヒートポンプサブシステム、高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムにおける各サブシステム及び異なるサブシステムが連携した後の供給可能な熱量値とエネルギー効率値、及び電池の需要熱量値に基づいて、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを決定し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると決定する場合、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱させ、そうでないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステム、及び/又は、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを決定して加熱する。
【0051】
具体的に、制御サブシステムによって乗員室と電池を同時に加熱する際に、仮に、取得された乗員室と電池の需要熱量値はそれぞれAとBであり、制御サブシステムによって取得されたヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値はC、エネルギー効率値はcであり、高圧冷却サブシステムの供給可能な熱量値はD、エネルギー効率値はdであり、空気加熱サブシステムの供給可能な熱量値はFであり、エネルギー効率値はfであり、電池自己加熱サブシステムの供給可能な熱量値はG、エネルギー効率値はgであり、ヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、F、C+D、C+F及びC+D+F)と乗員室の需要熱量値(A)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択して、ヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、ヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、ヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、及びヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値(C、G、C+D、C+G及びC+D+G)と需要熱量値(B)を比較し、その中から加熱需要を満たし且つエネルギー効率値が最高のサブシステムを選択する。
【0052】
乗員室が加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと異なると、それぞれ対応するサブシステムを採用して乗員室と電池をそれぞれ加熱し、即ち乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して乗員室を加熱し、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して電池を加熱する。
【0053】
乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムと同様であると、同じサブシステムを使用して乗員室と電池を加熱する際に、エネルギーの分散を招く可能性があるため、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすかどうかを判断する必要があり、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱する。
【0054】
該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要の両方を満たしないと、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを取得し、それぞれ乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して乗員室を加熱し、そして電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して電池を加熱することができ、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを取得し、それぞれ乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のサブシステムを採用して乗員室を加熱し、そして電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して電池を加熱することができ、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを同時に取得し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが同様であるかどうかを判断し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと異なると、それぞれ対応するサブシステムを採用して乗員室と電池を加熱し、即ち乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して乗員室を加熱し、電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムを採用して電池を加熱し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムが電池加熱需要を満たし且つエネルギー効率が2番目に高いサブシステムと同様であると、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすかどうかを判断し、該サブシステムが乗員室加熱需要と電池加熱需要を同時に満たすと、該サブシステムを制御して加熱する。
【0055】
これにより、適切なサブシステムまたは異なるサブシステムの連携を採用して乗員室と電池の共同加熱を実現し、乗員室と電池の熱量需要を満たすだけでなく、車全体の熱量の合理的な配分を実現し、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0056】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、ヒートポンプサブシステムにおける圧縮機の還気口情報を取得し、還気口情報に基づいて圧縮機に補気とエンタルピー増加を行い、及び補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得するために使用され、還気口情報は圧縮機の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含む。
【0057】
具体的に、
図1に示すように、制御サブシステム500によってヒートポンプサブシステム100における圧縮機1の還気口情報を取得し、還気口情報は圧縮機1の還気口の還気圧力及び/又は還気温度を含み、つまり、制御サブシステム500で取得された還気口情報は還気口の還気圧力でも、還気口の還気温度でも、還気口の還気圧力と還気温度でもよい。
【0058】
取得された還気口情報に基づいて補気とエンタルピー増加を行う必要があるかどうかを決定し、還気圧力が不足したり、還気温度が低過ぎたり、還気圧力が不足し且つ還気温度が低過ぎたりすると、このとき、ヒートポンプサブシステム100に流入した冷媒流量が不足すると決定し、圧縮機1に補気とエンタルピー増加を行う必要があり、圧縮機1に流入する還気口の冷媒流量を増加し、さらにヒートポンプサブシステム100に流入する冷媒流量を増加し、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力を高め、還気圧力が不足する場合でのヒートポンプサブシステム100の暖房能力が不足することを解決し、補気とエンタルピー増加により圧縮機がより多くの出力を行うことができ、還気口の吸熱量への依存を減らし、低温状態でヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、ヒートポンプサブシステムが低い温度での使用需要を満たし、低温状態で圧縮機の出力が少なく、ヒートポンプサブシステム100の暖房能力が悪いという状況を解決する。
【0059】
さらに、一具体例として、
図2に示すように、温度圧力センサー2によって還気口の還気圧力を取得し、取得された還気圧力が予め設定された還気圧力の第1の閾値より小さいと、即ち圧縮機1の還気口圧力が低い場合、圧縮機1の排気口と還気口の連通を制御し、圧縮機1の排気口が還気口に連通された後、一部の圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に制御弁33によって圧縮機1の還気口に再び流入し、圧縮機1の還気口でのガス冷媒と混合し、これにより、圧縮機1の還気口のガス冷媒の圧力と流量を増加することができ、圧縮機の還気圧力が予め設定された還気圧力の第2の閾値以上であると、圧縮機1の排気口と還気口の連通を切断し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を停止し、説明する必要がある点として、予め設定された還気圧力の第2の閾値は予め設定された還気圧力の第1の閾値以上であり、つまり、予め設定された還気圧力の第2の閾値は予め設定された還気圧力の第1の閾値と等しくてもよいし、一定の余裕を持つように、予め設定された還気圧力の第1の閾値より大きくてもよく、還気口圧力が低いと、
図3に示すように、圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27の連通を制御してもよく、圧縮機1の排気口が還気口での気液分離器27と連通した後に、一部の高温高圧のガス冷媒が絞り減圧された後に気液分離器27に流入し、これにより、気液分離器27で分離したガス冷媒の温度を向上させ、同時に、気液分離器27内の液体冷媒を加熱してガス冷媒に相変化し、圧縮機1の還気口に流入するガス冷媒の圧力及び流量を増加させ、圧縮機の還気圧力が予め設定された還気圧力の第2の閾値以上であると、圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27の連通を切断し、圧縮機1の補気とエンタルピー増加を停止する。
【0060】
温度圧力センサー2によって還気口の還気温度を取得し、取得された還気温度が予め設定された還気温度閾値より小さい場合、即ち圧縮機1が低温環境で作動するため、還気口の吸熱量が不足する場合、圧縮機1の排気口と還気口との連通または圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27との連通を制御することで、圧縮機1の還気口ガス冷媒の圧力と流量を増加してもよく、具体的な制御過程は、ここで繰り返して説明しない。これにより低温状態で、圧縮機がより多くの出力を行うことができ、還気口の吸熱量への依存を減らし、低温状態でヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、ヒートポンプサブシステムが低い温度での使用需要を満たす。
【0061】
温度圧力センサー2によって還気口の還気圧力と還気温度を同時に取得し、取得された還気圧力が予め設定された還気圧力の第1の閾値より小さく且つ取得された還気温度が予め設定された還気温度閾値より小さい場合、即ち圧縮機1の還気口圧力が低く且つ低温環境で作動する場合、同様に圧縮機1の排気口と還気口との連通または圧縮機1の排気口と還気口での気液分離器27との連通を制御することで、圧縮機1の還気口ガス冷媒の圧力と流量を増加することができ、具体的な制御過程は、ここで繰り返して説明しない。
【0062】
これにより、圧縮機の排気口の高温高圧冷媒を圧縮機の還気口に直接導入するか、気液分離器によって冷媒を圧縮機の還気口に間接的に導入することによって、圧縮機の吸気口の冷媒の圧力と流量を増加することができ、これにより、ヒートポンプサブシステムの出力能力及び暖房能力を高め、同時に、該補気とエンタルピー増加は、圧縮機の排気口と還気口との連通、または圧縮機の排気口と還気口での気液分離器との連通のみに関し、構造が簡単で、布置が容易であり、コストが低い。
【0063】
説明する必要がある点として、ヒートポンプサブシステムに補気とエンタルピー増加を行った後、再びヒートポンプサブシステムの供給可能な熱量値とエネルギー効率値を取得し、乗員室及び/又は電池を加熱する場合に、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムを採用してサブシステム及び異なるサブシステムの連携選択に関与し、最新の各サブシステム及び最新の異なるサブシステムが連携した後に供給できる熱量値及びエネルギー効率値を決定し、適切なサブシステム及び異なるサブシステムを選択して連携することで乗員室と電池を加熱する。つまり、乗員室に暖房需要があると、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステム、空気加熱サブシステム、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと空気加熱サブシステムとの連携、または補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと空気加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値及びエネルギー効率値を取得し、乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のものを決定して乗員室を加熱し、電池に加熱需要があると、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステム、電池自己加熱サブシステム、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムとの連携、補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携、または補気とエンタルピー増加後のヒートポンプサブシステムと高圧冷却サブシステムと電池自己加熱サブシステムとの連携による供給可能な熱量値及びエネルギー効率値を取得し、その中の乗員室加熱需要を満たし且つエネルギー効率が最高のものを決定して電池を加熱する。
【0064】
幾つかの実施例において、
図4に示すように、電池自己加熱サブシステム300は、第1の電池パック71と第2の電池パック72を含み、
第1のノードNである接続点で第1の電池パック71の負極は第2の電池パック72の正極に接続さ
れる、電池70と、正直流端が第1の電池パック71の正極に接続され、負直流端が第2の電池パック72の負極に接続されるインバータ回路310と、三相巻線がインバータ回路310の三相交流端に対応して接続され、三相巻線の中性点が制御可能なスイッチ330によって第1のノードNに接続される駆動モータ320と、を備え、制御サブシステム500はさらに、電池自己加熱サブシステム300を採用して加熱すると決定する場合、制御可能なスイッチ330をオン状態に制御し、インバータ回路310をオンオフ制御して三相巻線によって第1の電池パック71と第2の電池パック72を交互に発振して加熱するために使用される。
【0065】
さらに、制御サブシステム500は、具体的に、まず、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御することで、第1の電池パック71が三相巻線を充電し、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第2の電池パック72を充電し、インバータ回路310における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御することで、第2の電池パック72が三相巻線を充電し、インバータ回路4における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御することで、三相巻線が第1の電池パック71を充電し、繰り返して実行し、交互に発振して加熱する。
【0066】
具体的に、電池自己加熱サブシステム300を採用して電池を加熱する場合、制御サブシステム500は制御可能なスイッチ330をオン状態に制御し、インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管をいずれもオン状態、下部管をいずれもオフ状態に制御し、即ちT1、T2、T3がオン状態にあり、T4、T5、T6がオフ状態にあると、
図5に示すように、電流は第1の電池パック71の正極から、T1、T2、T3を通した後に駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電し、充電後の電流は制御可能なスイッチ330を介して第1の電池パック71の負極に戻り、この階段では、第1の電池パック71が放電されて駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電する。
【0067】
インバータ回路310における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6もオフ状態にあると、
図6に示すように、電流は駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWから制御可能なスイッチ330を介して第2の電池パック72の正極に流れ、第2の電池パック72を充電し、充電後の電流がT4、T5、T6のダイオードを経て、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWの他端に戻り、この階段では、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWが放電され、第2の電池パック72を充電する。
【0068】
インバータ回路310における各ブリッジアームの下部管をいずれもオン状態、上部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6がオン状態にある場合、
図7に示すように、電流が第2の電池パック72の正極から、制御可能なスイッチ330を介して駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電し、充電後の電流がT1、T2、T3を経た後に第2の電池パック72の負極に戻り、この階段では、第2の電池パック72が放電されて駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWを充電する。
【0069】
インバータ回路4における各ブリッジアームの上部管と下部管をいずれもオフ状態に制御する場合、即ちT1、T2、T3がオフ状態にあり、T4、T5、T6もオフ状態にある場合、
図8に示すように、電流が駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWからT4、T5、T6のダイオードを経て第1の電池パック71の正極に流入し、第1の電池パック71を充電し、充電後の電流が制御可能なスイッチ330を介して駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWの他端に戻り、この階段では、駆動モータ320の三相巻線LU、LV、LWは放電されて、第1の電池パック71を充電する。
【0070】
これにより、電池自己加熱サブシステムにより第1の電池パックと第2の電池パックの充電と放電を異なる期間で実現でき、同じ時点で、1つの電池パックだけが充電または放電することを確保し、交互に発振する加熱回路を形成するだけでなく、電池リップルを低減することができ、第1の電池パックと第2の電池パックに設けられる中点引出線は、駆動モータの三相巻線に同方向の電流が流れるときに発振電流に流通回路を提供することができるだけでなく、提供された交互発振加熱電力は電池の中点引出線のないの3倍に達することができ、電池加熱の昇温速率を向上させ、増設された中点引出線は、車両の正常な走行に影響を与えなく、且つ駆動モータなどの部品を多重化することで電池の自己加熱を実現することができ、電池自己加熱サブシステムのコストを削減する。
【0071】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、乗員室に冷房需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して冷房を行うために使用される。
【0072】
具体的に、
図2と3に示すように、乗員室60に冷房需要があると、まず、乗員室60に対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムにおける圧縮機1が出力する冷媒流量を取得し、冷媒が電磁弁6を介して車外凝縮器7に流入して放熱するように駆動し、放熱後の冷媒が電子膨張弁32によって絞り減圧され、蒸発器31に流入し、冷媒が蒸発器31によって吸熱して蒸発された後に気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、乗員室60と蒸発器31の熱交換を実現し、車内乗員室60を降温する目的を達成する。
【0073】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、電池に冷却需要があると、対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムを制御して電池を熱交換するために使用され、具体的に暖房ポンプサブシステムが電池を冷却する。
【0074】
具体的に、
図2と3に示すように、電池70に冷房需要があると、まず、電池70に対応する需要冷量値を取得し、需要冷量値に基づいてヒートポンプサブシステムにおける圧縮機1が出力する冷媒流量を調整し、冷媒が電磁弁6を介して車外凝縮器7に流入して放熱するように駆動し、放熱後の冷媒が電子膨張弁19によって絞り減圧され、電池パック冷却プレート21に流入し、冷媒が電池パック冷却プレート21で吸熱して蒸発された後に絞り弁23で調圧されて気液分離器27を介して圧縮機1に戻り、これにより、電池70の冷却降温を実現する。
【0075】
幾つかの実施例において、制御サブシステムはさらに、高圧システムに放熱需要があると、ヒートポンプサブシステムに熱交換需要がないと決定すると、例えばヒートポンプサブシステムに補熱を行う必要がない場合、前記高圧冷却サブシステムと前記ヒートポンプサブシステムとの間の熱交換の切断を制御し、高圧冷却サブシステムを制御して高圧システムを空気放熱し、ヒートポンプサブシステムに熱交換需要があると決定する場合、例えばヒートポンプサブシステムを補熱する必要がある場合、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを熱交換するために使用され、具体的に、高圧冷却サブシステムを制御してヒートポンプサブシステムを補熱し、高圧システムを放熱する。
【0076】
具体的に、
図2と3を参照し続き、高圧システム11におけるモータなどの部品の発熱量が多すぎて、放熱需要があり、ヒートポンプサブシステムに補熱需要がないと、三方弁のAC回路の導通、BC回路の切断を制御し、高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動することによって、高圧システム11の降温後に流出する高温冷却液がモータ放熱器8に入力し、電子ファン9が作動し、モータ放熱器8内の冷却液を降温し、熱量を空気に直接放出して高圧システム11の冷却降温を実現し、ヒートポンプサブシステムに補熱需要があると、三方弁のBC回路の導通、AC回路の切断を制御し,高圧冷却サブシステムにおける水ポンプ12を駆動し、高圧システム11の降温後に流出する高温冷却液を板式熱交換器15に伝達し、高温システム11を降温できるだけでなく、且つヒートポンプサブシステムの補熱を実現し、これにより、車全体エネルギーの利用効率を向上させる。
【0077】
以上のように、本開示の実施例による統合型熱管理システムは、ヒートポンプサブシステムによって車両の乗員室及び電池と熱交換し、高圧冷却サブシステムによって車両の高圧システム及びヒートポンプサブシステムと熱交換し、電池自己加熱サブシステムによって電池を充放電して加熱し、空気加熱サブシステムによって乗員室と熱交換し、制御サブシステムによって圧縮機の排気口及び圧縮機の還気口を連通するようにヒートポンプサブシステムにおける制御弁を制御し、圧縮機の補気とエンタルピー増加を実現する。これにより、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0078】
図9は本開示の一実施例による車両の構造模式図であり、
図9に示すように、該車両10000は上記の統合型熱管理システム1000を備える。
【0079】
本開示の実施例による車両は、上記の統合型熱管理システムによって、乗員室と電池の熱需要を満たすだけでなく、乗員室と電池の熱を合理的に配分することができ、圧縮機の補気とエンタルピー増加により、ヒートポンプサブシステムの暖房能力を高め、車全体エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0080】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という参考用語などの説明は、該実施例または例を組み合わせて説明する具体的な特徴、構造、材料または特点は本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれる。本明細書では、上記用語例示的な叙述は必ずしも同じ実施例または例を対象とする必要がない。また、説明する具体的な特徴、構造、材料または特点はいずれかまたは複数の実施例または例では適切な方式で結合することができる。
【0081】
なお、「第1」、「第2」という用語は、説明のためだけに使用され、相対的な重要性を明示又は暗示するかあるいは示される技術的特徴の数を示唆するものとして理解できない。したがって、「第1」、「第2」によって限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、「複数」とは、特に限定されていない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0082】
本開示において、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、特に明確に規定されて限定されていない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定して接続されていてもよく、取り外し可能に接続されていてもよく、または一体化されていてもよいし、機械的に接続されていてもよいし、直接接続されていてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、2つの要素の内部の連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、本発明における上記の用語の具体的な意味は、状況に応じて理解され得る。
【0083】
本開示の実施例を提示し記述したが、上記実施例は例示的なものであり、本開示を制限するためのものとして理解することができなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例について様々な変化、修正、置換および変形が可能であることが理解できる。
【関連出願の相互参照】
【0084】
本開示は、2022年03月31に中国特許局に提案された、出願番号が202210345378.X、出願名称が「統合型熱管理システム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は援用により本開示に組み込まれる。
【国際調査報告】