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特表2024-547218IG様融合タンパク質およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】IG様融合タンパク質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20241219BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241219BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241219BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07K14/705 ZNA
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12P21/02 C
A61K38/17
A61P21/04
A61K39/395 Y
G01N33/53 N
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024556825
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 IL2022051321
(87)【国際公開番号】W WO2023112028
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/288,782
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524223541
【氏名又は名称】キャノピー イムノ‐セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オヴェド,クフィル
(72)【発明者】
【氏名】デンクバーグ,ガリット
(72)【発明者】
【氏名】リーフ,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ピンズール,エレナ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA41
4C084CA53
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C085AA35
4C085BB42
4C085DD62
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
重症筋無力症自己抗体の第1のヒト受容体標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のヒトタンパク質受容体またはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物が提供される。組成物を含む医薬組成物、組成物のポリペプチドをコードする核酸系、ならびに組成物を使用した処置および処置に対する適性を決定する方法;ならびに組成物を製造する方法も提供される。
【選択図】図3A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物であって、前記第1および第2のサブユニットは異なるサブユニットである、組成物。
【請求項2】
前記断片が、前記アセチルコリン受容体サブユニットの細胞外ドメインの断片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1および第2のアセチルコリン受容体サブユニットが、アセチルコリン受容体サブユニットアルファ(ACHRA)、アセチルコリン受容体サブユニットベータ(ACHRB)、アセチルコリン受容体サブユニットガンマ(ACHRG)、アセチルコリン受容体サブユニットデルタ(ACHRD)およびアセチルコリン受容体サブユニットイプシロン(ACHRE)から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
a.前記第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第1の二量体化ドメインとを含む第1のポリペプチド鎖;および
b.前記第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第2の二量体化ドメインとを含む第2のポリペプチド鎖
を含むタンパク質複合体を含み、
前記第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記二量体化が、前記第1の二量体化ドメインと前記第2の二量体化ドメインとの間に共有結合を形成することを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記タンパク質複合体が免疫グロブリン足場を含む、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
a.前記第1の二量体化ドメインが、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、前記第2の二量体化ドメインが、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、前記第1および前記第2の二量体化ドメインが、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.前記第1および第2の二量体化ドメインが、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、前記第1および第2の二量体化ドメインは両方とも前記CH1ドメインまたは前記CLドメインを含まない、
請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1、第2またはその両方のポリペプチド鎖の前記断片および前記二量体化ドメインが、リンカーによって分離されている、請求項4~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1のポリペプチド鎖、前記第2のポリペプチド鎖またはその両方が、ヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含む、請求項4~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記Fc領域が、前記タンパク質複合体に結合する細胞に対する細胞傷害性を誘導することができる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1のポリペプチド鎖が、免疫グロブリンの重鎖の第1のCH3ドメイン、免疫グロブリンの重鎖の第1のCH2ドメインまたはその両方を含み、前記第2のポリペプチド鎖が、免疫グロブリンの重鎖の第2のCH3ドメイン、免疫グロブリンの重鎖の第2のCH2ドメインまたはその両方を含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のCH3ドメイン、前記第1のCH2ドメインまたは両方が少なくとも第1の変異を含み、前記第2のCH3ドメイン、前記第2のCH2ドメインまたはその両方が少なくとも第2の変異を含み、前記変異が、前記第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を可能にし、前記第1のポリペプチド鎖のホモ二量体化および前記第2のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の変異が、表1に提供される変異から選択され、前記第2の変異が、表1に提供され、前記第1の変異に対応する変異である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記FcがIgG2もしくはIgG4に由来するか、またはエフェクター機能を低下させる少なくとも1つの変異を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1、第2またはその両方のポリペプチド鎖の前記Fc領域が、リンカーによって前記断片または前記二量体化ドメインから分離されている、請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1、第2またはその両方のポリペプチド鎖の前記二量体化ドメインが、前記断片のC末端または前記断片のN末端にある、請求項9~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
抗体可変ドメインを欠いている、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第3の二量体化ドメインとを含む第3のポリペプチドをさらに含み、前記第1のポリペプチドは第4の二量体化ドメインをさらに含み、前記第3および第4の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる、請求項4~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
a.前記第3の二量体化ドメインが、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、前記第4の二量体化ドメインが、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、前記第1および前記第2の二量体化ドメインが、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.前記第3および第4の二量体化ドメインが、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、前記第1および第3のポリペプチドは両方とも前記CH1ドメインまたは前記CLドメインを含まない、
請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第5の二量体化ドメインとを含む第4のポリペプチドをさらに含み、前記第2のポリペプチドは第6の二量体化ドメインをさらに含み、前記第5および6の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
a.前記第5の二量体化ドメインが、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、前記第6の二量体化ドメインが、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、前記第1および前記第2の二量体化ドメインが、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.前記第5および6の二量体化ドメインが、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、前記第1および第3のポリペプチドは両方とも前記CH1ドメインまたは前記CLドメインを含まない、
請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、前記第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む単一のポリペプチド鎖を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記単一のポリペプチド鎖が、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、任意選択で第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とをさらに含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記断片がアミノ酸リンカーによって分離されており、任意選択で前記リンカーが可撓性GSリンカーであるか、または前記リンカーが剛性リンカーである、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリペプチド鎖がヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含み、第2のポリペプチド鎖が第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体とヒト抗体重鎖のFc領域とを含み、任意選択で前記第2のポリペプチド鎖が第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットをさらに含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体を含む第2ポリペプチド鎖をさらに含み、任意選択で前記第2のポリペプチド鎖は第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットをさらに含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記複合体が、配列番号64~69から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の同一性を含むその誘導体を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記断片の少なくとも1つが、前記断片の安定性または溶解性を増加させる変異を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記変異が、アセチルコリン受容体サブユニット内のcysループをCDVSGVDTESGATNC(配列番号44)で置き換えることを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記アセチルコリン受容体サブユニットが、配列番号131に提供されるアミノ酸配列を含むアルファサブユニット、配列番号132に提供されるアミノ酸配列を含むベータサブユニット、配列番号133に提供されるアミノ酸配列を含むガンマサブユニット、配列番号134に提供されるアミノ酸配列を含むデルタサブユニット、および配列番号135に提供されるアミノ酸配列を含むイプシロンサブユニットから選択される、請求項28または29に記載の組成物。
【請求項31】
その類似体もしくは誘導体が、ヒトタンパク質と少なくとも85%の同一性を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記断片が、タンパク質からの少なくとも20個の連続アミノ酸を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記断片が、前記自己抗体の少なくとも1つのB細胞受容体(BCR)特異的エピトープ標的を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記断片が、前記断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記断片が、
a.ACHRAの断片であって、配列番号1を含む野生型AChRaまたは配列番号131を含む溶解度が増加したAChRa内のN141の欠失、F100G、W149R、V155A、Y93F、Y93H、Y93Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;
b.ACHRGの断片であって、配列番号6を含む野生型AChRaまたは配列番号133を含む溶解度が増加したAChRa内のM84S、Y105E、Y117E、Y117Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;ならびに
c.ACHRDの断片であって、配列番号8を含む野生型AChRaまたは配列番号134を含む溶解度が増加したAChRa内のC108A、C108I、Y119R、N141の欠失、L151Eおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片
から選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記第1のポリペプチド鎖および前記第2のポリペプチド鎖が、配列番号92および配列番号93;配列番号95および配列番号96;配列番号97および配列番号98、配列番号99および配列番号100、配列番号92および配列番号102;配列番号103および配列番号100;配列番号105および配列番号130;配列番号105および配列番号106;ならびに配列番号105および配列番号107から選択される、請求項4~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記単一のポリペプチド鎖が、配列番号94、配列番号104、および配列番号108~129から選択される、請求項22~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの断片を含むポリペプチドであって、前記断片は、
a.ACHRAの断片であって、配列番号1を含む野生型AChRaまたは配列番号131を含む溶解度が増加したAChRa内のN141の欠失、F100G、W149R、V155A、Y93F、Y93H、Y93Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;
b.ACHRGの断片であって、配列番号6を含む野生型AChRaまたは配列番号133を含む溶解度が増加したAChRa内のM84S、Y105E、Y117E、Y117Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;ならびに
c.ACHRDの断片であって、配列番号8を含む野生型AChRaまたは配列番号134を含む溶解度が増加したAChRa内のC108A、C108I、Y119R、N141の欠失、L151Eおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片
から選択される、ポリペプチド。
【請求項39】
アセチルコリン受容体サブユニット内のcysループをCDVSGVDTESGATNC(配列番号44)で置き換えることをさらに含み、前記サブユニットはACHRAであり、前記cysループはCEIIVTHFPFDEQNC(配列番号39)からなり、前記サブユニットはACHRGであり、前記cysループはCSISVTYFPFDWQNC(配列番号41)からなり、または前記サブユニットはACHRDであり、前記cysループはCPISVTYFPFDWQNC(配列番号42)からなる、請求項38に記載のポリペプチド。
【請求項40】
アミノ酸リンカーによって前記第1の断片に連結された第2のアセチルコリン受容体サブユニットの第2の断片をさらに含み、任意選択で第3、第4、または第5のアセチルコリン受容体サブユニットからの断片をさらに含む、請求項38または39に記載のポリペプチド。
【請求項41】
ヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含み、任意選択で前記Fc領域がアミノ酸リンカーによって前記断片から分離されている、請求項38~40のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項42】
配列番号72~91から選択される配列を含む、請求項38~41のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項43】
医薬組成物であって、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物または請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容され得る担体、賦形剤またはアジュバントとを含み、任意選択で前記医薬組成物が対象への全身投与用に製剤化されている、医薬組成物。
【請求項44】
重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、前記方法が、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物、請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項43に記載の医薬組成物を前記対象に投与し、それによって重症筋無力症を処置することを含む、方法。
【請求項45】
前記対象において、少なくとも前記第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環抗体のレベルを前記投与前に低下させることをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記対象において、前記第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたは前記第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットを含むタンパク質複合体内のヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環抗体のレベルを低下させることをさらに含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記処置することが、前記ヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環自己抗体の濃度を減少させることを含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記処置することが、前記自己抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記B細胞が、前記組成物またはポリペプチドの断片に対する自己抗体を産生する自己反応性B細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
核酸分子を含む核酸系であって、第1の核酸分子が、請求項4~23および28~37のいずれか一項に記載の組成物の前記第1のポリペプチド鎖をコードし、第2の核酸分子が、請求項4~21および26~37のいずれか一項に記載の組成物の前記第2のポリペプチド鎖をコードし、または前記核酸分子が、請求項22~37のいずれか一項に記載の組成物の鎖の単一ポリペプチドまたは請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする、核酸系。
【請求項51】
請求項18~23および28~37のいずれか一項に記載の組成物の前記第3のポリペプチド鎖をコードする第3の核酸分子、請求項20~23および28~37のいずれか一項に記載の組成物の前記第4のポリペプチド鎖をコードする第4の核酸分子、またはその両方をさらに含む、請求項50に記載の核酸系。
【請求項52】
請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物または請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成する方法であって、前記方法は、請求項50または51に記載の核酸系を細胞内で発現させるステップであって、前記核酸系が、前記細胞内で前記コードされたポリペプチドを生成するように構成されている、ステップを含み、それによって請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物または請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成する、方法。
【請求項53】
タンパク質を生成する方法であって、前記方法は、
第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、前記第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質であり、前記第1の断片を前記第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成する、ステップ;または
単一のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、前記一のポリペプチド鎖は、
i.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、前記第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質である、ステップ;
および
ii.前記第1の断片を前記第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成するステップ
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質を生成する、方法。
【請求項54】
タンパク質複合体を生成する方法であって、前記方法は、
第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、前記第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質であり、前記第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチド鎖を生成し、前記第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成し、前記第1および第2の二量体化ドメインは互いに二量体化することができ、前記二量体化を誘導するのに十分な条件下で前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとを接触させる、ステップ;または
少なくとも2本のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該2本のポリペプチド鎖は、
i.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、前記第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質である、ステップ;および
ii.前記第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチド鎖を生成し、前記第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成するステップであって、前記第1および第2の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる、ステップ
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質複合体を生成する、方法。
【請求項55】
前記タンパク質が、請求項22~37のいずれか一項に記載の組成物の単一のポリペプチド鎖である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記タンパク質複合体が、請求項4~21および26~37のいずれか一項に記載の組成物のタンパク質複合体である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
a.第3の二量体化ドメインを、前記第1のポリペプチド鎖内の前記第1の二量体化ドメインまたは第1の断片に連結するステップ;第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第3の断片を得て、前記第3の断片を第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成するステップであって、前記第3の二量体化ドメインと前記第4の二量体化ドメインとは互いに二量体化することができる、ステップ;および前記第1、第2、および第3のポリペプチドを、前記二量体化を誘導するのに十分な条件下で接触させるステップ;または
b.前記宿主細胞において、
i.第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第3の断片を得るステップ;および
ii.前記第3の断片を第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成するステップ;
によって生成される第3のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を発現させるステップであって、
前記第1のポリペプチド鎖が第3の二量体化ドメインをさらに含み、前記第3の二量体化ドメインと前記第4の二量体化ドメインとが互いに二量体化することができる、ステップ
をさらに含む、請求項54または56に記載の方法。
【請求項58】
a.第6の二量体化ドメインを、前記第2のポリペプチド鎖内の前記第2の二量体化ドメインまたは第2の断片に連結するステップ;第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第4の断片を得て、前記第4の断片を第5の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成するステップであって、前記第5の二量体化ドメインと前記第6の二量体化ドメインとは互いに二量体化することができる、ステップ;および前記第1、第2、第3および第4のポリペプチドを、前記二量体化を誘導するのに十分な条件下で接触させるステップ;または
b.前記宿主細胞において、
i.第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第4の断片を得るステップ;および
ii.前記第4の断片を第5の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成するステップ;
によって生成される第4のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を発現させるステップであって、
前記第2のポリペプチド鎖が第6の二量体化ドメインをさらに含み、前記第5の二量体化ドメインと前記第6の二量体化ドメインとが互いに二量体化することができる、ステップ
をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ポリペプチドを生成する方法であって、前記方法は、
a.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片を得るステップ;および
b.変異した第1の断片を生成するために、前記第1の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を前記第1の断片において生成するステップ
を含み、
それによってポリペプチドを生成する、方法。
【請求項60】
前記変異した第1の断片の凝集の減少を確認することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの変異が、前記第1の断片に対する自己抗体への前記第1の断片の結合を実質的に減少させないことを確認することをさらに含む、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記変異した第1の断片を、ヒト抗体重鎖のFc領域に、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片に、またはその両方に連結することをさらに含み、任意選択で前記第2の断片は、前記第2の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
その類似体もしくは誘導体が、前記ヒトタンパク質と少なくとも85%の同一性を含む、請求項53~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
請求項53~63のいずれか一項に記載の方法によって生成されるタンパク質複合体またはタンパク質。
【請求項65】
請求項44~49のいずれか一項に記載の方法によって処置されることを必要とする対象の適性を決定する方法であって、前記方法は、前記対象から試料を受け取るステップと、前記試料を請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物または請求項38~42のいずれか一項に記載のポリペプチドと接触させるステップと、前記試料内のAChRに対する自己抗体の前記組成物または前記ポリペプチドへの結合を決定するステップとを含み、AChRに対する自己抗体の前記組成物または前記ポリペプチドへの結合が、前記対象が請求項44~49のいずれか一項に記載の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって、処置される対象の適性を決定する、方法。
【請求項66】
前記試料中のAChRに対する自己抗体の少なくとも20%の前記組成物または前記ポリペプチドへの結合が、前記対象が請求項44~49のいずれか一項に記載の方法によって処置されるのに適していることを示す、請求項65に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月13日に出願された米国仮特許出願第63/288,782号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(CNPY-P-002-PCT.xml;サイズ:170,370バイト;および作成日2022年12月12日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、融合タンパク質生成および重症筋無力症処置の分野におけるものである。
【背景技術】
【0004】
重症筋無力症(MG)は、最も一般的な神経筋伝達障害である。発症年齢は二峰性であり、第1のピークは20~30歳代(女性優勢)であり、第2のピークは60~80歳代(男性優勢)である。MGは、神経筋接合機能の破壊による骨格筋の衰弱によって特徴付けられる自己免疫疾患である。MG患者の約85%は血清中にアセチルコリン受容体(AChR)特異的抗体を有し、この抗体がAChRアンタゴニストとして作用し、受容体クラスター形成および内在化を引き起こし、補体を動員し、その後組織損傷を引き起こす。個々の患者は、AChRに対する異なる抗体の混合物を有する。AChR抗体陽性MGの一部の患者はまた、胸腺異常を有し、およそ2/3が過形成を有し、10%が胸腺腫を有する。MGの主たる臨床的特徴は、変動する骨格筋の衰弱であり、しばしば真の筋疲労を伴う。
【0005】
重症筋無力症には、眼筋型および全身型の2つの臨床形態がある。眼筋無力症では、衰弱は眼瞼および外眼筋に限定される。汎発性疾患では、衰弱は眼筋にも影響を及ぼし得るが、それは、眼球筋、四肢筋、および呼吸筋の様々な組み合わせにも関与する。症候の一時的な悪化は、感染、手術、妊娠、出産、投薬、免疫抑制剤の漸減によって、または疾患の自然な進行の一部として引き起こされ得る。呼吸筋の関与は、重症筋無力症の最も重篤な症候であり、「筋無力症クリーゼ」と呼ばれる呼吸機能不全および差し迫った呼吸不全をもたらし得る。また、フルオロキノロン、アミノグリコシド、硫酸マグネシウム、ヒドロキシクロロキン、ペニシラミン、およびボツリヌス毒素を含むMG患者において回避しなければならない薬物の長いリストもある。β遮断薬、プロカインアミド、キニジン、およびキニーネも、可能であれば避けるべきである。MGの治療法には、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(ピリドスチグミン)、慢性免疫抑制療法、迅速かつ一過性の免疫調節療法(例えば、血漿交換および免疫グロブリン静注-IVIG)、および胸腺摘出術が含まれる。処置目標は、最小限の薬物関連副作用で患者の最小限の症候を可能にすることである。しかしながら、利用可能な療法はない。MG患者における初期対症療法は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ピリドスチグミン)に基づいている。ピリドスチグミンのコリン作動性有害作用は、多くの患者において用量制限的であり得、腹部痙攣および下痢を含み得る。汎発性MGを有するほとんどの患者は、グルココルチコイドおよび/または他の免疫抑制薬による追加の治療を必要とするが、これはセカンドライン治療である。治療的血漿交換(プラズマフェレシス)およびIVIGは、即効性を有するが、持続時間が短い。MGを処置する新しい方法、特に持続的な効果を有する方法が大いに必要とされている。具体的には、MGを引き起こす自己抗体を標的とする治療法が必要であり、それ以上に、これらの自己抗体の供給源である自己反応性B細胞/形質細胞を直接標的とし、潜在的に症状を治癒することができる薬物が大いに必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの断片および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの断片を含む組成物を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物が提供され、第1および第2のサブユニットは異なるサブユニットである。
【0008】
別の態様によれば、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物が提供され、第1および第2のサブユニットは異なるサブユニットである。
【0009】
別の態様によれば、断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの断片を含むポリペプチドが提供され、前述の断片は、
a.ACHRAの断片であって、配列番号1を含む野生型AChRaまたは配列番号131を含む溶解度が増加したAChRa内のN141の欠失、F100G、W149R、V155A、Y93F、Y93H、Y93Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;
b.ACHRGの断片であって、配列番号6を含む野生型AChRaまたは配列番号133を含む溶解度が増加したAChRa内のM84S、Y105E、Y117E、Y117Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;ならびに
c.ACHRDの断片であって、配列番号8を含む野生型AChRaまたは配列番号134を含む溶解度が増加したAChRa内のC108A、C108I、Y119R、N141の欠失、L151Eおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片
から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、第1のヒトタンパク質、第2のヒトタンパク質またはその両方は細胞表面受容体であり、断片は受容体の細胞外ドメインの断片である。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、断片は、アセチルコリン受容体サブユニットの細胞外ドメインの断片である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、第1および第2のアセチルコリン受容体サブユニットは、アセチルコリン受容体サブユニットアルファ(ACHRA)、アセチルコリン受容体サブユニットベータ(ACHRB)、アセチルコリン受容体サブユニットガンマ(ACHRG)、アセチルコリン受容体サブユニットデルタ(ACHRD)およびアセチルコリン受容体サブユニットイプシロン(ACHRE)から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、第1のヒトタンパク質の断片および第2のヒトタンパク質の断片は、異なる配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、
a.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第1の二量体化ドメインとを含む第1のポリペプチド鎖;および
b.第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第2の二量体化ドメインとを含む第2のポリペプチド鎖
を含むタンパク質複合体を含み、
第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、
a.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第1の二量体化ドメインとを含む第1のポリペプチド鎖;および
b.第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第2の二量体化ドメインとを含む第2のポリペプチド鎖
を含むタンパク質複合体を含み、
第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、二量体化することは、第1の二量体化ドメインと第2の二量体化ドメインとの間に共有結合を形成することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、タンパク質複合体は免疫グロブリン足場を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、
a.第1の二量体化ドメインは、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、第2の二量体化ドメインは、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、第1および第2の二量体化ドメインは、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.第1および第2の二量体化ドメインは、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、第1および第2の二量体化ドメインは両方ともCH1ドメインまたはCLドメインを含まない。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2または両方のポリペプチド鎖の断片および二量体化ドメインは、リンカーによって分離されている。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチド鎖、第2のポリペプチド鎖またはその両方は、ヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、Fc領域は、タンパク質複合体に結合する細胞に対する細胞傷害性を誘導することができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖の第1のCH3ドメイン、免疫グロブリンの重鎖の第1のCH2ドメインまたはその両方を含み、第2のポリペプチド鎖は、免疫グロブリンの重鎖の第2のCH3ドメイン、免疫グロブリンの重鎖の第2のCH2ドメインまたはその両方を含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、第1のCH3ドメインは少なくとも第1の変異を含み、第2のCH3ドメインは少なくとも第2の変異を含み、変異は、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を可能にし、第1のポリペプチド鎖のホモ二量体化および第2のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、第1のCH2ドメインは少なくとも第1の変異を含み、第2のCH2ドメインは少なくとも第2の変異を含み、変異は、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を可能にし、第1のポリペプチド鎖のホモ二量体化および第2のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、第1の変異は、表1に提供される変異から選択され、第2の変異は、表1に提供され、第1の変異に対応する変異である。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、FcはIgG2もしくはIgG4に由来するか、またはエフェクター機能を低下させる少なくとも1つの変異を含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2または両方のポリペプチド鎖のFc領域は、リンカーによって断片または二量体化ドメインから分離されている。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2または両方のポリペプチド鎖の二量体化ドメインは、断片のC末端にあり、Fc領域のN末端にある。いくつかの実施形態によれば、第1、第2または両方のポリペプチド鎖の二量体化ドメインは、断片のC末端にある。いくつかの実施形態によれば、第1、第2または両方のポリペプチド鎖の二量体化ドメインは、断片のN末端にある。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、抗体可変ドメインを欠いている。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第3の二量体化ドメインとを含む第3のポリペプチドをさらに含み、第1のポリペプチドは第4の二量体化ドメインをさらに含み、第3および第4の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第3の二量体化ドメインとを含む第3のポリペプチドをさらに含み、第1のポリペプチドは第4の二量体化ドメインをさらに含み、第3および第4の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、
a.第3の二量体化ドメインは、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、第4の二量体化ドメインは、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、第1および第2の二量体化ドメインは、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.第3および第4の二量体化ドメインは、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、第1および第3のポリペプチドは両方ともCH1ドメインまたはCLドメインを含まない。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第5の二量体化ドメインとを含む第4のポリペプチドをさらに含み、第2のポリペプチドは第6の二量体化ドメインをさらに含み、第5および6の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と第5の二量体化ドメインとを含む第4のポリペプチドをさらに含み、第2のポリペプチドは第6の二量体化ドメインをさらに含み、第5および6の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、
a.第5の二量体化ドメインは、免疫グロブリンの重鎖の第1のヒンジドメインを含み、第6の二量体化ドメインは、重鎖の第2のヒンジドメインを含み、第1および第2の二量体化ドメインは、ジスルフィド結合によって二量体化する;または
b.第5および6の二量体化ドメインは、各々、免疫グロブリンの重鎖のCH1ドメインおよび免疫グロブリンの軽鎖のCLドメインから選択されるドメインを含み、ジスルフィド結合によって二量体化し、第1および第3のポリペプチドは両方ともCH1ドメインまたはCLドメインを含まない。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは両方ともCH1ドメインを含まないか、または両方ともCLドメインを含む。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、第3および第4の二量体化ドメインまたは第5および第6の二量体化ドメインは、第3および第4の二量体化ドメインならびに第5および第6の二量体化ドメインの二量体化を可能にし、第3の二量体化ドメインの第5または第6の二量体化ドメインへの二量体化および第6の二量体化ドメインの第3または第4の二量体化ドメインへの二量体化を阻害する変異を含む。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む単一のポリペプチド鎖を含む。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む単一のポリペプチド鎖を含む。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、単一のポリペプチド鎖は、第3のアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、任意選択で第4のアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、単一のポリペプチド鎖は、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、任意選択で第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、断片はアミノ酸リンカーによって分離されている。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、リンカーは可撓性ライナーである。いくつかの実施形態によれば、可撓性リンカーはGSリンカーである。いくつかの実施形態によれば、リンカーは剛性リンカーである。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチド鎖は、ヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、第2のポリペプチド鎖は、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体とヒト抗体重鎖のFc領域とを含む。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、第2のポリペプチド鎖は、第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体を含む第2ポリペプチド鎖をさらに含み、任意選択で、前述の第2ポリペプチド鎖は第4ヒトアセチルコリン受容体サブユニットをさらに含む。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、自己抗体は、断片の少なくとも2つにまたがるエピトープに対するものである。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2、ならびに任意選択で第3および第4のヒトタンパク質の断片は、アセチルコリン受容体(AChR)アルファ、AChRベータ、AChRガンマ、AChRデルタ、およびAChRイプシロンからなる群から選択されるヒト受容体の細胞外ドメインの断片から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、複合体は、配列番号64~69から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列またはそれと少なくとも80%の同一性を含むその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも80%は、少なくとも85%である。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2、第3および第4のヒトタンパク質の断片は、異なる配列を含む。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2、ならびに任意選択で第3および第4のタンパク質は、ヒトにおける単一のタンパク質複合体の一部である。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、断片の少なくとも1つは、リガンド結合ドメインに変異を含み、変異は、リガンドへの結合を低下させる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、断片の少なくとも1つは、断片の安定性または溶解性を増加させる変異を含む。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、変異は、アセチルコリン受容体サブユニット内のcysループをCDVSGVDTESGATNC(配列番号44)で置き換えることを含む。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、アセチルコリン受容体サブユニットは、配列番号131に提供されるアミノ酸配列を含むアルファサブユニット、配列番号132に提供されるアミノ酸配列を含むベータサブユニット、配列番号133に提供されるアミノ酸配列を含むガンマサブユニット、配列番号134に提供されるアミノ酸配列を含むデルタサブユニット、および配列番号135に提供されるアミノ酸配列を含むイプシロンサブユニットから選択される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、その類似体または誘導体は、ヒトタンパク質と少なくとも80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも80%は、少なくとも85%である。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、断片は、タンパク質からの少なくとも20個の連続アミノ酸を含む。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、断片は、自己抗体の少なくとも1つのB細胞受容体(BCR)特異的エピトープ標的を含む。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、断片は、断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、断片は、
a.ACHRAの断片であって、配列番号1を含む野生型AChRaまたは配列番号131を含む溶解度が増加したAChRa内のN141の欠失、F100G、W149R、V155A、Y93F、Y93H、Y93Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;
b.ACHRGの断片であって、配列番号6を含む野生型AChRaまたは配列番号133を含む溶解度が増加したAChRa内のM84S、Y105E、Y117E、Y117Rおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片;ならびに
c.ACHRDの断片であって、配列番号8を含む野生型AChRaまたは配列番号134を含む溶解度が増加したAChRa内のC108A、C108I、Y119R、N141の欠失、L151Eおよびそれらの組み合わせから選択される変異を含む断片
から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖は、配列番号92および配列番号93;配列番号95および配列番号96;配列番号97および配列番号98、配列番号99および配列番号100、配列番号92および配列番号102;配列番号103および配列番号100;配列番号105および配列番号130;配列番号105および配列番号106;ならびに配列番号105および配列番号107から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、単一のポリペプチド鎖は、配列番号94、配列番号104、および配列番号108~129から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチドは、アセチルコリン受容体サブユニット内のcysループをCDVSGVDTESGATNC(配列番号44)で置き換えることをさらに含み、サブユニットはACHRAであり、cysループはCEIIVTHFPFDEQNC(配列番号39)からなり、サブユニットはACHRGであり、cysループはCSISVTYFPFDWQNC(配列番号41)からなり、またはサブユニットはACHRDであり、cysループはCPISVTYFPFDWQNC(配列番号42)からなる。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチドは、アミノ酸リンカーによって第1の断片に連結された第2のアセチルコリン受容体サブユニットの第2の断片をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、ポリペプチドは、第3、第4または第5のアセチルコリン受容体サブユニットからの断片をさらに含む。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチドは、ヒト抗体重鎖のFc領域をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、Fc領域は、アミノ酸リンカーによって前述の断片から分離されている。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号72~91から選択される配列を含む。
【0068】
別の態様によれば、本発明の組成物と、薬学的に許容され得る担体、賦形剤またはアジュバントとを含む医薬組成物が提供される。
【0069】
別の態様によれば、本発明のポリペプチドと、薬学的に許容され得る担体、賦形剤またはアジュバントとを含む医薬組成物が提供される。
【0070】
別の態様によれば、重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、本発明の組成物または本発明の医薬組成物を対象に投与し、それによって重症筋無力症を処置することを含む、方法が提供される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、対象において、少なくとも第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環抗体のレベルを投与前に低下させることをさらに含む。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、対象において、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたは第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットを含むタンパク質複合体内のヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環抗体のレベルを低下させることをさらに含む。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、処置することは、ヒトアセチルコリン受容体サブユニットに対する循環自己抗体の濃度を減少させるステップを含む。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、処置することは、自己抗体を産生するB細胞を死滅させるステップを含む。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、組成物はFc領域を含み、処置することは、自己抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、B細胞は、組成物またはポリペプチドの断片に対する自己抗体を産生する自己反応性B細胞である。
【0077】
別の態様によれば、核酸分子を含む核酸系であって、第1の核酸分子が本発明の組成物の第1のポリペプチド鎖をコードし、第2の核酸分子が本発明の組成物の第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸系が提供される。
【0078】
別の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を含む核酸系が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、本発明の核酸系は、本発明の組成物の第3のポリペプチド鎖をコードする第3の核酸分子、本発明の組成物の第4のポリペプチド鎖をコードする第4の核酸分子、またはその両方をさらに含む。
【0080】
別の態様によれば、第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む本発明の組成物の単一のポリペプチド鎖をコードする核酸分子が提供される。
【0081】
別の態様によれば、本発明の組成物を製造する方法であって、本発明の核酸系または本発明の核酸分子を細胞内で発現させるステップを含み、核酸系は、細胞内でコードされたポリペプチドを生成するように構成されており、それによって本発明の組成物を製造する、方法が提供される。
【0082】
別の態様によれば、本発明のポリペプチドを生成する方法であって、本発明の核酸系を細胞内で発現させるステップを含み、核酸系は、細胞内でコードされたポリペプチドを生成するように構成されており、それによって本発明の組成物を製造する、方法が提供される。
【0083】
別の態様によれば、タンパク質を生成する方法であって、該方法は、
第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質であり、第1の断片を第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成する、ステップ;または
単一のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該単一のポリペプチド鎖は、
i.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるサブユニットである、ステップ;
および
ii.第1の断片を第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成するステップ
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質を生成する、方法が提供される。
【0084】
別の態様によれば、タンパク質複合体を生成する方法であって、該方法は、
第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるタンパク質であり、第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチド鎖を生成し、第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成し、第1および第2の二量体化ドメインは互いに二量体化することができ、二量体化を誘導するのに十分な条件下で第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを接触させる、ステップ;または
少なくとも2本のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該2本のポリペプチド鎖は、
i.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットは異なるサブユニットである、ステップ;および
ii.第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチド鎖を生成し、第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成するステップであって、第1および第2の二量体化ドメインは互いに二量体化することができる、ステップ
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質複合体を生成する、方法が提供される。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、タンパク質は、本発明の組成物の単一のポリペプチド鎖である。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、タンパク質複合体は、本発明の組成物のタンパク質複合体である。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、
a.第3の二量体化ドメインを、第1のポリペプチド鎖内の第1の二量体化ドメインまたは第1の断片に連結するステップ;第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第3の断片を得て、第3の断片を第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成するステップであって、第3の二量体化ドメインと第4の二量体化ドメインとは互いに二量体化することができる、ステップ;第1、第2、および第3のポリペプチドを、二量体化を誘導するのに十分な条件下で接触させるステップ;または
b.宿主細胞において、
i.第3のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第3の断片を得るステップ;および
ii.第3の断片を第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成するステップ;
によって生成される第3のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を発現させるステップであって、
第1のポリペプチド鎖が第3の二量体化ドメインをさらに含み、第3の二量体化ドメインと第4の二量体化ドメインとが互いに二量体化することができる、ステップ
をさらに含む。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、
a.第6の二量体化ドメインを、第2のポリペプチド鎖内の第2の二量体化ドメインまたは第2の断片に連結するステップ;第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第4の断片を得て、第4の断片を第5の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成するステップであって、第5の二量体化ドメインと第6の二量体化ドメインとは互いに二量体化することができる、ステップ;第1、第2、第3および第4のポリペプチドを、二量体化を誘導するのに十分な条件下で接触させるステップ;または
b.宿主細胞において、
i.第4のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第4の断片を得るステップ;および
ii.第4の断片を第5の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成するステップ;
によって生成される第4のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を発現させるステップであって、
第2のポリペプチド鎖が第6の二量体化ドメインをさらに含み、第5の二量体化ドメインと第6の二量体化ドメインとが互いに二量体化することができる、ステップ
をさらに含む。
【0089】
別の態様によれば、ポリペプチドを生成する方法であって、該方法は、
a.第1のヒトアセチルコリン受容体サブユニットまたはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片を得るステップ;および
b.変異した第1の断片を生成するために、第1の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を第1の断片において生成するステップ
を含み、
それによってポリペプチドを生成する、方法が提供される。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、変異した第1の断片の減少した凝集を確認することをさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの変異が、第1の断片に対する自己抗体への第1の断片の結合を実質的に減少させないことを確認することをさらに含む。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、変異した第1の断片をヒト抗体重鎖のFc領域に、第2のヒトアセチルコリン受容体サブユニットもしくはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片に、またはその両方に連結することをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、第2の断片は、第2の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含む。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、その類似体または誘導体は、ヒトタンパク質と少なくとも80%の同一性を含む。
【0094】
別の態様によれば、本発明の方法によって生成されるタンパク質複合体またはタンパク質が提供される。
【0095】
別の態様によれば、本発明の方法によって処置されることを必要とする対象の適性を決定する方法であって、該方法は、対象から試料を受け取るステップと、試料を本発明の組成物と接触させるステップと、試料内のAChRに対する自己抗体の組成物への結合を決定するステップとを含み、AChRに対する自己抗体の組成物への結合が、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって、処置される対象の適性を決定する、方法が提供される。
【0096】
別の態様によれば、本発明の方法によって処置されることを必要とする対象の適性を決定する方法であって、該方法は、対象から試料を受け取るステップと、試料を本発明のポリペプチドと接触させるステップと、試料内のAChRに対する自己抗体のポリペプチドへの結合を決定するステップとを含み、AChRに対する自己抗体のポリペプチドへの結合が、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって、処置される対象の適性を決定する、方法が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、試料中のAChRに対する自己抗体の本発明の組成物または本発明のポリペプチドへの少なくとも20%の結合は、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示す。
【0098】
本発明の更なる実施形態および適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるため、単なる例示として与えられていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1A】抗AChR血清学的ELISAアッセイで測定された、アルファ1 ECDによる血清枯渇を伴う場合と伴わない場合の%枯渇の結果の棒グラフである。グラフは、335人のランダムに選択されたMG患者の結果を示し、y軸は、%枯渇([100%-{抗AChR濃度(以前のアルファ-ECD枯渇あり)/抗AChR濃度(未処置)}]として定義される)を示し、x軸は、異なる患者試料を表す。
図1B】例示的な高度に枯渇した試料における用量依存的枯渇を示す線グラフである。
図1C】例示的な中程度に枯渇した試料における用量依存的枯渇を示す線グラフである。
図1D】例示的な枯渇していない試料における用量依存的枯渇を示す線グラフである。y軸は、試料中の遊離抗AChR抗体の濃度(nM)を表し、x軸は、試料を枯渇させるために使用されるアルファ-ECDの濃度(nM)を示す。
図1E】1Aで使用した血清試料中の総抗体濃度の棒グラフである。灰色の線は、疾患の臨床的カットオフを示す。
図1F】枯渇アッセイを使用することによって試料中に存在するAChR断片特異的抗体のパーセンテージを決定する方法の図である。
図1G】%アルファ結合と抗AChR力価との間の相関を示すドットプロットである。
図2A】41人のMG患者の各血清試料について、各AChRサブユニット(ε/δ/γ/β/α)に対して検出された相対的抗AChR抗体のパーセンテージを示す等高線プロットである。
図2B】無作為に試験した80人のMG患者の血清試料中の様々なサブユニットまたはサブユニットの組み合わせについてのブロッキング率の棒グラフである。平均%枯渇に加えて、グラフはまた、各サブユニットまたはそれらの組み合わせにおいて少なくとも50%または少なくとも75%の枯渇を有するであろう患者のパーセントを示す。
図3A】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、AChR陽性MGを処置するための分子の一般的な実施形態を示す。
図3B】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、4本の鎖が各々異なるタンパク質断片を含む実施形態を示す。
図3C】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、4つのタンパク質断片がすべて同じである実施形態を示す。
図3D】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2本の重鎖が同一であり、2本の軽鎖が同一である実施形態を示す。
図3E】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2本の重鎖が異なり、2本の軽鎖が同一である実施形態を示す。
図3F】本発明の4本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2本の重鎖が同じタンパク質断片を含み、2本の軽鎖が異なるタンパク質断片を含む実施形態を示す。
図3G】抗AChR抗体を接種し、次いで様々な用量の本発明の分子で処置したラットにおける臨床スコアの折れ線グラフである。
図3H】抗AChR抗体を接種し、次いで様々な用量の本発明の分子で処置したラットのカプランマイヤー生存曲線である。
図3I】抗AChR抗体を接種し、次いで本発明の分子または2つの非特異的(NS)Fcで処置したラットにおける臨床スコアの折れ線グラフである。
図3J】抗AChR抗体を接種し、次いで本発明の分子またはNS-Fcで処置したラットのカプランマイヤー生存曲線である。
図4A】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、AChR陽性MGを処置するための2本の重鎖を有する分子の一般的な実施形態を示す。
図4B】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、CH1、CH2またはCH3ドメインの少なくとも1つが除外されている実施形態を示す。
図4C】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2つのタンパク質断片が同じである実施形態を示す。
図4D】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2つのタンパク質断片が異なる実施形態を示す。
図4E】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2つのタンデム断片が各重鎖に含まれる一般的な実施形態を示す。
図4F】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、すべてのサブユニットが同じであるタンデム断片構成を示す。
図4G】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、各重鎖が同じ2つの異なる断片を含むタンデム断片構成を示す。
図4H】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2本の鎖が同じではない異なる断片を含むタンデム断片構成を示す。
図4I】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、一方の重鎖には2つのタンデム断片が含まれ、他方の重鎖には1つの断片のみが含まれる一般的な実施形態を示す。
図4J】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、一方の重鎖には2つのタンデム断片が含まれ、他方の重鎖には断片を欠いている一般的な実施形態を示す。
図4K】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、3つのサブユニットが同じであるタンデム構成を示す。
図4L】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、3つのサブユニットのうちの2つが同じであるタンデム構成を示す。
図4M】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、3つすべてのサブユニットが異なるタンデム構成を示す。
図4N】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、各重鎖に3つタンデム断片が含まれる一般的な実施形態を示す。
図4O】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、6つすべてのサブユニットが同じであるタンデム構成を示す。
図4P】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、鎖上の3つすべてのサブユニットが異なり、2本の鎖が同じであるタンデム構成を示す。
図4Q】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、鎖上の3つすべてのサブユニットが異なり、2本の鎖が異なるタンデム構成を示す。
図4R】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、一方の重鎖に3つのタンデム断片が含まれ、他方の重鎖に2、1または0個の断片が含まれる一般的な実施形態を示す。
図4S】本発明の2本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、1本の重鎖および1本の軽鎖を有する分子の一般的な実施形態を示す。
図5A】本発明の3本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2本の重鎖および1本の軽鎖を有する分子の一般的な実施形態を示す。
図5B】本発明の3本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、3つのタンパク質断片が同じである実施形態を示す。
図5C】本発明の3本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、タンパク質断片の各々が異なる実施形態を示す。
図5D】本発明の3本鎖治療剤の可能な実施形態の図であり、2つのタンパク質断片が同じであり、3つ目が異なる実施形態を示す。
図6図3に示すものと同様であるが、4本の鎖が各々、異なるタンパク質断片と、4本鎖分子の形成を促進する異なる免疫グロブリン足場とを含む、本発明のAChR陽性MGを処置するための4本鎖治療剤の実施形態の図である。
図7A】本発明の4鎖治療剤の一般的な実施形態の図であり、2本の鎖が2つの二量体化ドメインを含み、2本の鎖が単一の二量体化ドメインを含む、4本鎖の一般的な実施形態を示す。
図7B】本発明の4鎖治療剤の一般的な実施形態の図であり、様々なドメインと断片とを分離する任意選択のリンカーを用いた実施形態を示す。
図8A】本発明の1本鎖治療剤の図であり、2つの異なるAChRサブユニットからの断片を含む1本鎖分子の実施形態を示す。
図8B】本発明の1本鎖治療剤の図であり、3つの異なるAChRサブユニットからの断片を含む1本鎖分子の実施形態を示す。
図8C】本発明の1本鎖治療剤の図であり、4つの異なるAChRサブユニットからの断片を含む1本鎖分子の実施形態を示す。
図8D】本発明の1本鎖治療剤の図であり、2つの異なるAChRサブユニットからの断片と重鎖定常領域とを含む1本鎖分子の実施形態を示す。
図8E】本発明の1本鎖治療剤の図であり、様々なドメインを分離するアミノ酸(AA)リンカーを有する8A~Dの1本鎖分子を示す。
図9】本発明の様々な分子と接触させたMG血清からのAChR特異的自己抗体の平均枯渇パーセントの棒グラフである。無関係の細胞外ドメイン構築物(CRD-239およびCRD-241)を陰性対照として使用した。各分子を少なくとも17個の異なる患者血清試料と接触させた。
図10A】分子対:CRD-101およびCRD-269によって生成された枯渇率を比較するドットプロットである。
図10B】分子対:CRD-101およびCRD-642によって生成された枯渇率を比較するドットプロットである。
図10C】分子対:CRD-104およびCRD-391によって生成された枯渇率を比較するドットプロットである。
図10D】分子対:CRD-103およびCRD-382によって生成された枯渇率を比較するドットプロットである。
図11】ハイブリドーマ細胞へのECDテトラマーの結合を示す蛍光増加の棒グラフである。任意のハイブリドーマのECDテトラマー結合MFIを陰性対照バックグラウンドMFIで割ることによって、バックグラウンド値からのMFI倍率変化を計算した。ハイブリドーマ204-4を陰性対照として使用し、テトラマーCRD-233およびCRD-242も陰性対照として使用した。
図12】陰性対照B細胞ハイブリドーマ株へのECDテトラマーの結合のヒストグラムである。
図13A】様々なB細胞ハイブリドーマ細胞株へのアルファ-ガンマ組み合わせ分子テトラマーの結合、すなわち、抗アルファハイブリドーマおよび抗ガンマハイブリドーマへのCRD-506の結合の棒グラフである。
図13B】様々なB細胞ハイブリドーマ細胞株へのアルファ-ガンマ組み合わせ分子テトラマーの結合、すなわち、抗アルファハイブリドーマへのCRD-509およびCRD-600の結合の棒グラフである。
図13C】様々なB細胞ハイブリドーマ細胞株へのアルファ-ガンマ組み合わせ分子テトラマーの結合、すなわち抗ガンマハイブリドーマおよび陰性対照ハイブリドーマへのCRD-509およびCRD-600の結合の棒グラフである。
図14】様々なアルファサブユニット含有分子の抗アルファハイブリドーマへの結合の棒グラフである。
図15A】様々なハイブリドーマへのアルファ-ガンマ分子の結合の棒グラフである。
図15B】様々なハイブリドーマへのガンマ-デルタ分子の結合の棒グラフである。
図15C】様々なハイブリドーマへのIgG4 Fcを有するアルファ-ガンマガンマ分子の結合の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本発明は、いくつかの実施形態では、重症筋無力症自己抗体の第1のヒト受容体標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のヒトタンパク質受容体またはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物を提供する。少なくとも2本のポリペプチド鎖を含むタンパク質複合体であって、第1の鎖が、重症筋無力症自己抗体の第1のヒトタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第1の二量体化ドメインとを含み、第2の鎖が、重症筋無力症自己抗体の第2のヒトタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第1の二量体化ドメインと二量体化することができる第2の二量体化ドメインとを含む、タンパク質複合体も提供される。本発明はさらに、組成物および/またはタンパク質複合体を含む医薬組成物、組成物のポリペプチドをコードする核酸および/またはタンパク質複合体、ならびに組成物および/またはタンパク質複合体を使用した処置および処置に対する適性を決定する方法;ならびに組成物および/またはタンパク質複合体を生成する方法に関する。
【0101】
第1の態様により、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体を含むタンパク質が提供される。
【0102】
別の態様では、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片とを含む組成物が提供される。
【0103】
別の態様では、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片とを含むタンパク質が提供される。
【0104】
別の態様では、少なくとも2本のポリペプチド鎖を含むタンパク質複合体であって、第1のポリペプチド鎖が、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第1の二量体化ドメインとを含み、第2のポリペプチド鎖が、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2の二量体化ドメインとを含む、タンパク質複合体が提供される。
【0105】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質は治療剤である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは治療剤である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は治療剤である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は治療剤である。
【0106】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2本のポリペプチド鎖を含むタンパク質複合体を含み、第1のポリペプチド鎖が、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第1の二量体化ドメインとを含み、第2のポリペプチド鎖が、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、第2の二量体化ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本発明のタンパク質複合体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本発明のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は融合タンパク質である。
【0107】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために交換可能に使用される。別の実施形態では、本明細書で使用される「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、天然ペプチド、ペプチド模倣物(典型的には非ペプチド結合または他の合成修飾を含む)ならびにペプチド類似体であるペプトイドおよびセミペプトイドまたはそれらの任意の組み合わせを包含する。別の実施形態では、記載されるペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質は、体内にある間にそれらをより安定にするか、または細胞内に浸透することができる修飾を有する。一実施形態では、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。別の実施形態では、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーに適用される。
【0108】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は免疫グロブリン(Ig)様複合体である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体はIg様足場を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体はIg様骨格を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体はIg Fc融合複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は抗体可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は抗体可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、組成物は可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、第1の鎖は可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、第2の鎖は可変ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は多重鎖複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は治療用組成物である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は治療用複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は、治療方法に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、治療方法に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、医薬品の製造に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、医薬品の製造に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、組成物は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症の診断に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症における適切な処置の決定に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症における血清学的応答の特徴付けに使用するためのものである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、重症筋無力症におけるAChR抗体価の決定に使用するためのものである。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド鎖」という用語は、アミノ末端(N末端)からカルボキシル末端(C末端)までペプチド結合によって連結されたアミノ酸のポリマーを指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は組換えポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、150、200、250、300、350、400、450または500個のアミノ酸を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、多くとも300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、または5000個のアミノ酸を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNAによってコードされ、したがって天然には存在しないタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は天然に存在しない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は天然に存在しない。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチドは合成ポリペプチドである。「組換えDNA」という用語は、実験室方法によって形成されたDNA分子を指す。一般に、この組換えDNAは、細胞内で組換えタンパク質を発現するために使用されるベクター、プラスミドまたはウイルスの形態である。細胞発現による組換えタンパク質の生成は当該技術分野で周知であり、組換えタンパク質発現の任意の方法を使用して本発明のポリペプチドを生成することができる。組換えタンパク質生成のための無細胞発現系も用いられ得る。
【0111】
本明細書で使用される「発現」という用語は、遺伝子産物の生合成を指し、前述の遺伝子産物の転写および/または翻訳が含まれる。したがって、核酸分子の発現は、核酸断片の転写(例えば、mRNAまたは他の機能的RNAをもたらす転写)および/またはRNAの前駆体または成熟タンパク質(ポリペプチド)への翻訳を指し得る。いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子を細胞内で発現させて、本発明のポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態では、本発明の核酸複合体を細胞内で発現させて、本発明のタンパク質複合体を生成する。いくつかの実施形態では、RNAはベクターである。
【0112】
細胞内でのDNA配列またはRNAの発現は、当業者に周知である。それは、多くの方法の中でも、トランスフェクション、ウイルス感染、または細胞のゲノムの直接変化によって行うことができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、プラスミドまたはウイルスベクターなどの発現ベクター中にある。いくつかの実施形態では、コザック配列は、転写開始コドンの上流に挿入される。いくつかの実施形態では、コザック配列は、タンパク質発現の量を増強する。
【0113】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも2本のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも3本のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも4本のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2本のポリペプチド鎖を含むか、または2本のポリペプチド鎖からなる。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、3本のポリペプチド鎖を含むか、または3本のポリペプチド鎖からなる。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、4本の鎖を含むか、または4本の鎖からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は同じである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は異なる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖の少なくとも2つは同じである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖の少なくとも2つは異なる。
【0114】
様々なサブユニットのECDが相互作用して完全な受容体を形成し、したがって二量体化ドメインがなくてもタンパク質複合体を形成できることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも2つのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも3つのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、少なくとも4つのタンパク質を含む。
【0115】
タンパク質
いくつかの実施形態では、タンパク質は哺乳動物タンパク質である。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、タンパク質は膜貫通タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は細胞表面タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は受容体である。いくつかの実施形態では、タンパク質は受容体内のサブユニットである。いくつかの実施形態では、タンパク質は細胞表面タンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は内在性膜タンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は原形質膜包埋タンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞表面タンパク質は膜固定タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は重症筋無力症関連タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は合成タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、天然に存在するタンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、重症筋無力症自己抗体の標的である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRd、およびAChReから選択される。
【0116】
本明細書で使用される場合、「受容体」という用語は、リガンドに結合することができる細胞の表面に発現されるタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、受容体は、細胞の細胞質にシグナルを伝達することができるタンパク質である。いくつかの実施形態では、受容体はリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、受容体は膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、受容体は細胞内ドメインを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)を含む。いくつかの実施形態では、断片は、細胞外ドメイン全体またはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態では、断片は、細胞外ドメイン全体またはそのバリアントからなる。いくつかの実施形態では、バリアントは変異体である。いくつかの実施形態では、バリアント、細胞外ドメインの一部の置き換えを含む。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメインからなる。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメインの断片からなる。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の膜貫通ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞内ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、鎖は、膜貫通ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、鎖は、細胞内ドメインを欠いている。いくつかの実施形態では、断片は、相同ヒトタンパク質からの配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、相同非ヒトタンパク質からの配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、ヒトタンパク質における変異を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の少なくとも5個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の少なくとも10個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、断片は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100個のアミノ酸を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、タンパク質のアミノ酸は、タンパク質の連続アミノ酸である。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の100%未満を含む。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメインの100%未満を含む。いくつかの実施形態では、断片は、100、99、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55または50%未満のタンパク質を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、断片は、タンパク質の細胞外ドメインの100、99、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55または50%未満を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、断片は、5~500、5~250、5~100、5~50、10~500、10~250、10~100、10~50、20~500、20~250、20~200、20~50、25~500、25~250、25~100、25~50、50~500、50~250、50~100、100~500、または100~250個のアミノ酸を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、断片は、多くとも20、30、40、50、60、70、75、80、90、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、225、230、240、250、260、270、275、280、290、300、310、320、325、330、340、350、360、370、375、380、390、400、410、420、425、430、440、450、460、470、475、480、490、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000個のアミノ酸を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0119】
いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも70、75、80、85、90、92、95、97、または99%の相同性または同一性を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも85%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも90%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも92%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも95%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも97%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、少なくとも99%の相同性または同一性を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは変異体である。
【0120】
いくつかの実施形態では、鎖は、少なくとも1つの断片を含む。いくつかの実施形態では、鎖は、少なくとも2つの断片を含む。いくつかの実施形態では、断片は、リンカーによって分離されている。いくつかの実施形態では、リンカーはアミノ酸リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは可撓性リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、鎖から除外されたタンパク質の領域と比較して増加した溶解度を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質の領域は、タンパク質ではないタンパク質の領域によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、置き換え領域は、置き換えられたタンパク質の領域と比較して増加した溶解度を含む。いくつかの実施形態では、置き換え領域は、置き換えられたタンパク質の領域と比較して増加したタンパク質安定性を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体の標的である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMのすべてのクラスを含み、それらのすべてのサブクラスも含む。いくつかの実施形態では、抗体は循環抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に存在する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。
【0122】
本明細書で使用される場合、「自己抗体」という用語は、対象自身のタンパク質の少なくとも1つに対する対象自身の免疫系によって生成された抗体を指す。いくつかの実施形態では、自己抗体は自己反応性抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は、自己抗原を標的とする。自己抗原(self-antigen)は、自己抗原(autoantigen)としても知られている。いくつかの実施形態では、自己抗体は、重症筋無力症に関連する。いくつかの実施形態では、自己抗体は、重症筋無力症を特徴付ける。いくつかの実施形態では、自己抗体は、重症筋無力症の自己抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は、自己反応性B細胞によって生成される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体の抗原である。いくつかの実施形態では、断片は、抗体の抗原を含む。いくつかの実施形態では、断片は、抗体の少なくとも1つの抗原を含む。いくつかの実施形態では、断片は、抗体の少なくとも2つの抗原を含む。いくつかの実施形態では、断片は、抗体の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の抗原を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、抗体の抗原は自己抗原である。いくつかの実施形態では、抗原はエピトープである。いくつかの実施形態では、抗原は、少なくとも1つのエピトープを含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、少なくとも5個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、5~6個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、5~10個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは単純なエピトープである。いくつかの実施形態では、単純なエピトープは線状エピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープは複合エピトープである。いくつかの実施形態では、複合エピトープは3Dエピトープである。いくつかの実施形態では、複合エピトープは不連続エピトープである。いくつかの実施形態では、不連続エピトープは、組み合わさってエピトープを形成するアミノ酸の少なくとも2つの不連続部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、エピトープの2つの部分の間にある。
【0123】
本明細書で使用される場合、「類似体」という用語は、タンパク質の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するが、1つ以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されている任意のペプチドを含む。いくつかの実施形態では、類似体は、元のタンパク質と同様の機能性を示す。保存的置換の例としては、ある非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンの別のものへの置換、ある極性(親水性)残基の別のものへの置換、例えばアルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、グリシンとセリンとの間、ある塩基性残基、例えばリジン、アルギニンまたはヒスチジンの別のものへの置換、またはある酸性残基、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸の別のものへの置換が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、置換は、タンパク質の抗原性領域の外側にある。いくつかの実施形態では、置換は、抗体のエピトープの外側にある。いくつかの実施形態では、類似体は、依然として抗体の標的である。いくつかの実施形態では、類似体は、自己抗体の結合を保持する。類似体は、タンパク質の標準アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列をもたらす欠失または変異を有し得る。さらに、類似体は、タンパク質の断片に類似していてもよいが、そのような場合、断片は、タンパク質の少なくとも50個の連続アミノ酸または抗体の少なくとも1つのエピトープを含まなければならない。いくつかの実施形態では、類似体は、タンパク質の標準配列に対する類似体である。
【0124】
いくつかの実施形態では、タンパク質の類似体は、タンパク質の標準アミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、タンパク質の類似体は、タンパク質の標準アミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、類似体は、少なくとも1つの置換を含む。いくつかの実施形態では、類似体は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、置換は、標準配列の変異である。
【0125】
本明細書で使用される「誘導体」という用語は、タンパク質をベースとし、それでも抗体の結合を保持する任意のポリペプチドを指す。誘導体は、タンパク質の単なる断片ではなく、置き換えられたまたは除去されたアミノ酸(類似体)を有せず、むしろ翻訳後修飾などのタンパク質に加えられた追加の修飾を有し得る。さらに、誘導体は、タンパク質の断片の誘導体であり得るが、そのような場合、断片は、タンパク質の少なくとも50個の連続アミノ酸または抗体の少なくとも1つのエピトープを含まなければならない。いくつかの実施形態では、誘導体は、タンパク質の標準配列の誘導体である。
【0126】
いくつかの実施形態では、タンパク質の誘導体は、タンパク質の標準アミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、タンパク質の誘導体は、タンパク質の標準アミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0127】
既知のタンパク質の標準アミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。それらは、UniProt、NCBI、およびUCSC Genome Browserを含む様々なデータベースに見出すことができる。標準配列として受け入れられている任意の配列を用いることができる。非限定的な例として、ヒトアセチルコリン受容体サブユニットアルファはCHRNA1遺伝子によってコードされ、その標準核酸配列はEntrez遺伝子1134に見出すことができ、その標準タンパク質コードmRNA配列はNM_001039523およびNM_000079に見出すことができ、その標準アミノ酸配列はNP_000070およびNP_031415およびUniProt番号P02708に見出すことができる。いくつかの実施形態では、標準配列は、集団の少なくとも50、60、70、75、80、90、95、97、または99%に存在する配列と同一の配列である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、標準配列は、集団中に存在する最も一般的な配列と同一の配列である。いくつかの実施形態では、集団は疾患集団である。いくつかの実施形態では、集団は、自己免疫疾患を有する集団である。
【0128】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体(AChR)である。いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体サブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットはアルファサブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットはベータサブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットはガンマサブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットはデルタサブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットはイプシロンサブユニットである。いくつかの実施形態では、サブユニットは、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタおよびイプシロンのサブユニットから選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体アルファサブユニット(AChRa)である。いくつかの実施形態では、AChRaは、遺伝子CHRNA1によってコードされる。いくつかの実施形態では、AChRaはヒトAChRaである。いくつかの実施形態では、CHRNA1は、Entrez遺伝子#1134によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRaは、UniProt ID P02708によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRaは、UniProt ID P020708.1またはP020708.2によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRaは、UniProt ID P020708.1によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRaは、UniProt ID P020708.2によって同定される。いくつかの実施形態では、CHRNA1は、NM_001039523またはNM_000079で提供されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRaは、NP_000070またはNP_001034612で提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRaの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、SEHETRLVAKLFKDYSSVVRPVEDHRQVVEVTVGLQLIQLINVDEVNQIVTTNVRLKQQWVDYNLKWNPDDYGGVKKIHIPSEKIWRPDLVLYNNADGDFAIVKFTKVLLQYTGHITWTPPAIFKSYCEIIVTHFPFDEQNCSMKLGTWTYDGSVVAINPESDQPDLSNFMESGEWVIKESRGWKHSVTYSCCPDTPYLDITYHFVMQRLP(配列番号1)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRaの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、SEHETRLVAKLFKDYSSVVRPVEDHRQVVEVTVGLQLIQLINVDEVNQIVTTNVRLKQGDMVDLPRPSCVTLGVPLFSHLQNEQWVDYNLKWNPDDYGGVKKIHIPSEKIWRPDLVLYNNADGDFAIVKFTKVLLQYTGHITWTPPAIFKSYCEIIVTHFPFDEQNCSMKLGTWTYDGSVVAINPESDQPDLSNFMESGEWVIKESRGWKHSVTYSCCPDTPYLDITYHFVMQRLP(配列番号2)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドを欠いている。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、AChRaシグナルペプチドは、MEPWPLLLLFSLCSAGLVLG(配列番号3)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRaシグナルペプチドは、MFMCLEGGEKNLTVLVSSAVSAGLVLG(配列番号61)を含むかまたはそれからなる。
【0130】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体ベータサブユニット(AChRb)である。いくつかの実施形態では、AChRbは、遺伝子CHRNB1によってコードされる。いくつかの実施形態では、AChRbはヒトAChRbである。いくつかの実施形態では、CHRNB1は、Entrez遺伝子#1140によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRbは、UniProt ID P11230によって同定される。いくつかの実施形態では、CHRNB1は、NM_000747で提供されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRbは、NP_000738で提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRbの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、SEAEGRLREKLFSGYDSSVRPAREVGDRVRVSVGLILAQLISLNEKDEEMSTKVYLDLEWTDYRLSWDPAEHDGIDSLRITAESVWLPDVVLLNNNDGNFDVALDISVVVSSDGSVRWQPPGIYRSSCSIQVTYFPFDWQNCTMVFSSYSYDSSEVSLQTGLGPDGQGHQEIHIHEGTFIENGQWEIIHKPSRLIQPPGDPRGGREGQRQEVIFYLIIRRKP(配列番号4)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドを欠いている。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、AChRbシグナルペプチドは、MTPGALLMLLGALGAPLAPGVRG(配列番号5)を含むかまたはそれからなる。
【0131】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体ガンマサブユニット(AChRg)である。いくつかの実施形態では、AChRgは、遺伝子CHRNGによってコードされる。いくつかの実施形態では、AChRgはヒトAChRgである。いくつかの実施形態では、CHRNGは、Entrez遺伝子#1146によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRgは、UniProt ID P07510によって同定される。いくつかの実施形態では、CHRNGは、NM_005199で提供されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRgは、NP_005190で提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRgの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、RNQEERLLADLMQNYDPNLRPAERDSDVVNVSLKLTLTNLISLNEREEALTTNVWIEMQWCDYRLRWDPRDYEGLWVLRVPSTMVWRPDIVLENNVDGVFEVALYCNVLVSPDGCIYWLPPAIFRSACSISVTYFPFDWQNCSLIFQSQTYSTNEIDLQLSQEDGQTIEWIFIDPEAFTENGEWAIQHRPAKMLLDPAAPAQEAGHQKVVFYLLIQRKP(配列番号6)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドを欠いている。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、AChRgシグナルペプチドは、MHGGQGPLLLLLLLAVCLGAQG(配列番号7)を含むかまたはそれからなる。
【0132】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体デルタサブユニット(AChRd)である。いくつかの実施形態では、AChRdは、遺伝子CHRNDによってコードされる。いくつかの実施形態では、AChRdはヒトAChRdである。いくつかの実施形態では、CHRNDは、Entrez遺伝子#1144によって同定される。いくつかの実施形態では、AChRdは、UniProt ID Q07001によって同定される。いくつかの実施形態では、CHRNDは、NM_000751、NM_001256657、NM_001311195、またはNM_001311196で提供されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRdは、NP_000742、NP_001243586、NP_001298124またはNP_001298125で提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRdの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、LNEEERLIRHLFQEKGYNKELRPVAHKEESVDVALALTLSNLISLKEVEETLTTNVWIEHGWTDNRLKWNAEEFGNISVLRLPPDMVWLPEIVLENNNDGSFQISYSCNVLVYHYGFVYWLPPAIFRSSCPISVTYFPFDWQNCSLKFSSLKYTAKEITLSLKQDAKENRTYPVEWIIIDPEGFTENGEWEIVHRPARVNVDPRAPLDSPSRQDITFYLIIRRKP(配列番号8)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドを欠いている。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、AChRdシグナルペプチドは、MEGPVLTLGLLAALAVCGSWG(配列番号9)を含むかまたはそれからなる。
【0133】
いくつかの実施形態では、タンパク質はアセチルコリン受容体イプシロンサブユニット(AChRe)である。いくつかの実施形態では、AChReは、遺伝子CHRNEによってコードされる。いくつかの実施形態では、AChReはヒトAChReである。いくつかの実施形態では、CHRNEは、Entrez遺伝子#1145によって同定される。いくつかの実施形態では、AChReは、UniProt ID Q04844によって同定される。いくつかの実施形態では、CHRNEは、NM_000080で提供されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChReは、NP_000071で提供されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChReの細胞外ドメインの標準アミノ酸配列は、KNEELRLYHHLFNNYDPGSRPVREPEDTVTISLKVTLTNLISLNEKEETLTTSVWIGIDWQDYRLNYSKDDFGGIETLRVPSELVWLPEIVLENNIDGQFGVAYDANVLVYEGGSVTWLPPAIYRSVCAVEVTYFPFDWQNCSLIFRSQTYNAEEVEFTFAVDNDGKTINKIDIDTEAYTENGEWAIDFCPGVIRRHHGGATDGPGETDVIYSLIIRRKP(配列番号10)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドを欠いている。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、AChReシグナルペプチドは、MARAPLGVLLLLGLLGRGVG(配列番号11)を含むかまたはそれからなる。
【0134】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、抗体鎖のシグナルペプチドである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは抗体重鎖のものである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは抗体軽鎖のものである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドはカッパ軽鎖のものである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドはラムダ軽鎖のものである。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、MEWSWVFLFFLSVTTGVHS(配列番号70)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、配列番号70からなる。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、MEFGLSWLFLVAILKGVQC(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、配列番号14からなる。いくつかの実施形態では、軽鎖シグナルペプチドは、MSVPTQVLGLLLLWLTDARC(配列番号71)を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖シグナルペプチドは、配列番号71からなる。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドはマウス重鎖シグナルペプチドであり、MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号15)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、配列番号15からなる。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1のタンパク質および第2のタンパク質は同じタンパク質である。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は同じタンパク質であり、断片は異なる断片である。いくつかの実施形態では、断片は異なる断片である。いくつかの実施形態では、断片は、異なる配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は異なるタンパク質である。
【0136】
いくつかの実施形態では、タンパク質または断片は、溶解度を増加させる変異を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質または断片は、タンパク質または断片の安定性を増加させる変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は挿入である。いくつかの実施形態では、タンパク質は表面タンパク質であり、溶解度を増加させる変異を含む。いくつかの実施形態では、断片は表面タンパク質の細胞外ドメインであり、溶解度を増加させる挿入を含む。いくつかの実施形態では、挿入は、タンパク質または断片の領域の代わりに行われる。いくつかの実施形態では、タンパク質のループは、より高い溶解度を有するループで置き換えられる。いくつかの実施形態では、AChRaのループは、CEIIVTHFPFDEQNC(配列番号39)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRbのループは、CSIQVTYFPFDWQNC(配列番号40)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRgのループは、CSISVTYFPFDWQNC(配列番号41)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChRdのループは、CPISVTYFPFDWQNC(配列番号42)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、AChReのループは、CAVEVTYFPFDWQNC(配列番号43)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、より高い溶解度を有するループは、CDVSGVDTESGATNC(配列番号44)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、より高い溶解度のインサートは、配列番号44を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、より高い溶解度のインサートは、DVSGVDTESGAT(配列番号63)を含む。いくつかの実施形態では、AChRは、溶解度および安定性を増加させるために変異されている。いくつかの実施形態では、変異は、V8E、W149RおよびV155Aから選択される。いくつかの実施形態では、変異は、V8E、W149RおよびV155Aのうちの少なくとも2つの変異である。いくつかの実施形態では、変異は、V8E、W149RおよびV155Aの3つすべての変異である。いくつかの実施形態では、AChRaは変異を含む。いくつかの実施形態では、非AChRaアセチルコリン受容体サブユニットは並行変異を含む。いくつかの実施形態では、並行変異は、相同性を有するアミノ酸に対する変異である。
【0137】
いくつかの実施形態では、変異が作られるアルファサブユニット細胞外ドメインは、SEHETRLVAKLFKDYSSVVRPVEDHRQVVEVTVGLQLIQLINVDEVNQIVTTNVRLKQQWVDYNLKWNPDDYGGVKKIHIPSEKIWRPDLVLYNNADGDFAIVKFTKVLLQYTGHITWTPPAIFKSYCDVSGVDTESGATNCSMKLGTWTYDGSVVAINPESDQPDLSNFMESGEWVIKESRGWKHSVTYSCCPDTPYLDITYHFVMQRLP(配列番号131)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、変異が行われるベータサブユニット細胞外ドメインは、SEAEGRLREKLFSGYDSSVRPAREVGDRVRVSVGLILAQLISLNEKDEEMSTKVYLDLEWTDYRLSWDPAEHDGIDSLRITAESVWLPDVVLLNNNDGNFDVALDISVVVSSDGSVRWQPPGIYRSSCDVSGVDTESGATNCTMVFSSYSYDSSEVSLQTGLGPDGQGHQEIHIHEGTFIENGQWEIIHKPSRLIQPPGDPRGGREGQRQEVIFYLIIRRKP(配列番号132)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、変異が行われるガンマサブユニット細胞外ドメインは、RNQEERLLADLMQNYDPNLRPAERDSDVVNVSLKLTLTNLISLNEREEALTTNVWIEMQWCDYRLRWDPRDYEGLWVLRVPSTMVWRPDIVLENNVDGVFEVALYCNVLVSPDGCIYWLPPAIFRSACDVSGVDTESGATNCSLIFQSQTYSTNEIDLQLSQEDGQTIEWIFIDPEAFTENGEWAIQHRPAKMLLDPAAPAQEAGHQKVVFYLLIQRKP(配列番号133)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、変異が行われるデルタサブユニット細胞外ドメインは、LNEEERLIRHLFQEKGYNKELRPVAHKEESVDVALALTLSNLISLKEVEETLTTNVWIEHGWTDNRLKWNAEEFGNISVLRLPPDMVWLPEIVLENNNDGSFQISYSCNVLVYHYGFVYWLPPAIFRSSCDVSGVDTESGATNCSLKFSSLKYTAKEITLSLKQDAKENRTYPVEWIIIDPEGFTENGEWEIVHRPARVNVDPRAPLDSPSRQDITFYLIIRRKP(配列番号134)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、変異が行われるイプシロンサブユニット細胞外ドメインは、KNEELRLYHHLFNNYDPGSRPVREPEDTVTISLKVTLTNLISLNEKEETLTTSVWIGIDWQDYRLNYSKDDFGGIETLRVPSELVWLPEIVLENNIDGQFGVAYDANVLVYEGGSVTWLPPAIYRSVCDVSGVDTESGATNCSLIFRSQTYNAEEVEFTFAVDNDGKTINKIDIDTEAYTENGEWAIDFCPGVIRRHHGGATDGPGETDVIYSLIIRRKP(配列番号135)を含むかまたはそれからなる。
【0138】
別の態様では、配列番号131~135のいずれか1つを含むタンパク質が提供される。
【0139】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号131を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号132を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号133を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号134を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号135を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号131~135から選択される複数の配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明の複合体は、配列番号131~135から選択される配列を含む第1の鎖を含む。いくつかの実施形態では、本発明の複合体は、配列番号131~135から選択される配列を含む第2の鎖を含む。いくつかの実施形態では、本発明の複合体は、配列番号131~135から選択される配列を含む第3の鎖を含む。いくつかの実施形態では、本発明の複合体は、配列番号131~135から選択される配列を含む第4の鎖を含む。いくつかの実施形態では、細胞外ドメイン断片は、配列番号131~135から選択される。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインバリアントは、配列番号131~135から選択される。
【0140】
いくつかの実施形態では、断片は、リガンド結合ドメインを含み、リガンド結合を阻害する変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、変異は、リガンド結合ドメインにある。本発明のタンパク質複合体は抗体およびB細胞に結合することを意味しているため、対象に存在する内因性リガンドに結合せず、したがって、内因性受容体に結合するために利用可能な正常なリガンドレベルを残すことが有利であることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異は、フェニルアラニンに対する配列番号1のチロシン190または配列番号2のチロシン215である。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はフェニルアラニンに対する配列番号1のチロシン190である。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はフェニルアラニンに対する配列番号2のチロシン215である。
【0141】
別の態様では、凝集を減少させる少なくとも1つの変異を含むアセチルコリン受容体サブユニットの細胞外ドメインを含むタンパク質が提供される。
【0142】
いくつかの実施形態では、断片は、凝集を減少させる変異を含む。いくつかの実施形態では、凝集は自己二量体化を含む。いくつかの実施形態では、凝集は多量体化を含む。いくつかの実施形態では、アセチルコリン受容体サブユニットの細胞外ドメインはタンパク質である。いくつかの実施形態では、変異は、複数の変異である。いくつかの実施形態では、複数は2である。いくつかの実施形態では、複数は3である。
【0143】
いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はN141の欠失である。いくつかの実施形態では、N141は配列番号1内にある。いくつかの実施形態では、N141は配列番号131内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はフェニルアラニン100の変異である。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン100は、グリシン(F100G)に変異している。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン100は、チロシン(F100Y)に変異している。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン100は、イソロイシン(F100I)に変異している。いくつかの実施形態では、F100は配列番号1内にある。いくつかの実施形態では、F100は配列番号131内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はトリプトファン149の変異である。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、荷電アミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、負に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、グルタミン酸(W149E)に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、アスパラギン酸(W149D)に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、リジン(W149K)に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、アルギニン(W149R)に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、ヒスチジン(W149H)に変異している。いくつかの実施形態では、トリプトファン149は、グルタミン(W149Q)に変異している。いくつかの実施形態では、W149は配列番号1の範囲内である。いくつかの実施形態では、W149は配列番号131の範囲内である。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はバリン155の変異である。いくつかの実施形態では、バリン155は、アラニン(V155A)に変異している。いくつかの実施形態では、バリン155は、イソロイシン(V155I)に変異している。いくつかの実施形態では、バリン155は、ロイシン(V155L)に変異している。いくつかの実施形態では、V155は配列番号1内にある。いくつかの実施形態では、V155は配列番号131内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はチロシン93の変異である。いくつかの実施形態では、チロシン93の変異は、アルファ-ガンマ相互作用を減少させる。いくつかの実施形態では、チロシン93は、アルファ-ガンマ相互作用を減少させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン93は、フェニルアラニン(Y93F)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン93は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン93は、ヒスチジン(Y93H)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン93は、アルギニン(Y93R)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン93は、リジン(Y93K)に変異している。いくつかの実施形態では、Y93は配列番号1の範囲内である。いくつかの実施形態では、Y93は配列番号131の範囲内である。
【0144】
いくつかの実施形態では、変異は、タンパク質の酸化を低下させる。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRgであり、変異はメチオニン84の変異である。変異は、少なくとも部分的に、メチオニン酸化を減少させ、貯蔵寿命を増加させるために行われる。任意のアミノ酸への変異がこの結果をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、メチオニン84の変異は、アルファ-ガンマ相互作用を低下させる。いくつかの実施形態では、メチオニン84は、アルファ-ガンマ相互作用を減少させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、メチオニン84が欠失されている。いくつかの実施形態では、メチオニン84は、セリン(M84S)に変異している。いくつかの実施形態では、M84は配列番号6内にある。いくつかの実施形態では、M84は配列番号133内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRgであり、変異はチロシン105の変異である。いくつかの実施形態では、チロシン105の変異は、アルファ-ガンマ相互作用を低下させる。いくつかの実施形態では、チロシン105は、アルファ-ガンマ相互作用を減少させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、荷電アミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、負に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、グルタミン酸(Y105E)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、アスパラギン酸(Y105D)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、アルギニン(Y105R)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、リジン(Y105K)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン105は、ヒスチジン(Y105H)に変異している。いくつかの実施形態では、Y105は配列番号6内にある。いくつかの実施形態では、Y105は配列番号133内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRgであり、変異はチロシン117の変異である。いくつかの実施形態では、チロシン117の変異は、アルファ-ガンマ相互作用を低下させる。いくつかの実施形態では、チロシン117は、アルファ-ガンマ相互作用を減少させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、荷電アミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、負に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、グルタミン酸(Y117E)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、アスパラギン酸(Y117D)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、アルギニン(Y117R)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、リジン(Y117K)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン117は、ヒスチジン(Y117H)に変異している。いくつかの実施形態では、Y117は配列番号6内にある。いくつかの実施形態では、Y117は配列番号133内にある。いくつかの実施形態では、変異は、複数の変異であり、M84、Y105およびY117の変異から選択される少なくとも2つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は複数の変異であり、M84S、Y105EおよびY117Eから選択される少なくとも2つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は複数の変異であり、M84S、Y105EおよびY117Rから選択される少なくとも2つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は複数の変異であり、M84S、Y105EおよびY117Eのすべてを含む。いくつかの実施形態では、変異は複数の変異であり、M84S、Y105EおよびY117Rのすべてを含む。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、M84SおよびY105Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、Y117EおよびY105Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、Y117RおよびY105Eを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRdであり、変異はシステイン108の変異である。いくつかの実施形態では、システイン108は、任意の他のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、システイン108が欠失されている。ジスルフィド結合を形成し得る遊離システインを除去することによって凝集を減少させることが望まれていることが当業者によって理解されるであろう。したがって、任意の変異が可能である。いくつかの実施形態では、システイン108は、アラニン(C108A)に変異している。いくつかの実施形態では、システイン108は、イソロイシン(C108I)に変異している。いくつかの実施形態では、C108は配列番号8内にある。いくつかの実施形態では、C108は配列番号134内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRdであり、変異はチロシン119の変異である。いくつかの実施形態では、チロシン119の変異は、デルタ疎水性を低下させる。いくつかの実施形態では、チロシン119は、デルタ疎水性を低下させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、アルギニン(Y119R)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、リジン(Y119K)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、ヒスチジン(Y119H)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、負に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、グルタミン酸(Y119E)に変異している。いくつかの実施形態では、チロシン119は、アスパラギン酸(Y119D)に変異している。いくつかの実施形態では、Y119は配列番号8内にある。いくつかの実施形態では、Y119は配列番号134内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRaであり、変異はN141の欠失である。いくつかの実施形態では、N141は配列番号8内にある。いくつかの実施形態では、N141は配列番号134内にある。いくつかの実施形態では、タンパク質はAChRdであり、変異はロイシン151の変異である。いくつかの実施形態では、ロイシン151の変異は、サブユニット相互作用を低下させる。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、サブユニット相互作用を減少させる任意のアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151が欠失されている。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、荷電アミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、正に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、正に荷電していないアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、負に荷電したアミノ酸に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、グルタミン酸(L151E)に変異している。いくつかの実施形態では、ロイシン151は、変異アスパラギン酸(L151D)である。いくつかの実施形態では、L151は配列番号8内にある。いくつかの実施形態では、L151は配列番号134内にある。いくつかの実施形態では、変異は、C108、Y119、L151の変異およびN141の欠失から選択される複数の変異である。いくつかの実施形態では、変異は、C108A、Y119R、L151EおよびN141の欠失から選択される複数の変異である。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、C108AおよびY119Rを含む。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、C108AおよびL151Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は2つの変異であり、C108AおよびN141の欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異は3つの変異であり、C108A、Y119RおよびL151Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は3つの変異であり、C108A、Y119RおよびN141の欠失を含む。
【0146】
二量体化ドメイン
いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第1の二量体化ドメインは、第2の二量体化ドメインと二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、二量化することができるのは、二量化するように構成されている。いくつかの実施形態では、二量体化は、生理学的条件下で行われる。いくつかの実施形態では、二量体化は体液内である。いくつかの実施形態では、体液は血液である。いくつかの実施形態では、体液は血漿である。いくつかの実施形態では、体液は血清である。いくつかの実施形態では、二量体化は対象内である。いくつかの実施形態では、二量体化は、インビボで行われる。いくつかの実施形態では、二量体化は、インビトロで行われる。
【0147】
本明細書で使用される場合、「二量体化ドメイン」という用語は、別のアミノ酸配列(他の二量体化ドメイン)と接触するとそれに結合して二量体を形成するアミノ酸配列を指す。二量体化ドメインは、多くのタンパク質配列が互いに結合することが知られているため、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、二量体化は、二量体化ドメイン間の共有結合の形成を含む。いくつかの実施形態では、二量体化は静電結合を含む。いくつかの実施形態では、二量体化は静電結合を含まない。いくつかの実施形態では、二量体化は可逆的である。いくつかの実施形態では、二量体化は不可逆的である。いくつかの実施形態では、二量体化は、二量体化ドメイン間に形成する結合を含む。いくつかの実施形態では、結合は化学結合である。いくつかの実施形態では、結合はジスルフィド結合である。いくつかの実施形態では、結合はペプチド結合である。二量体化ドメインの例としては、いくつか例を挙げると、抗体重鎖のヒンジドメイン、抗体重/軽鎖のCH1/CLドメイン、およびTCRアルファ/ベータのECDドメインが挙げられる。さらに、上部ヒンジドメインは、二量体化を防ぐために、セリンへのシステイン置換/変異で操作することができる。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、EPKSSDKTHTCPPCP配列(配列番号63)を含むかまたはそれからなる。
【0148】
いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、免疫グロブリン(Ig)ヒンジドメインを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、Igヒンジドメインは重鎖ヒンジドメインである。いくつかの実施形態では、IgはヒトIgである。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMから選択される。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンはIgGである。いくつかの実施形態では、IgGはIgG1である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG2である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG3である。いくつかの実施形態では、IgGは、IgG1およびIgG3から選択される。いくつかの実施形態では、IgGはIgG4である。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは両方ともIgヒンジドメインである。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは同一である。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、少なくとも95%同一である。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、99または100%同一である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0149】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、アミノ酸配列EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG(配列番号16)を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号16のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態では、IgG1ヒンジは、配列番号16を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、アミノ酸配列EPKCCVECPPCPAPPAAA(配列番号17)を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号17のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態では、IgG2ヒンジは、配列番号17を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、アミノ酸配列ESKYGPPCPPCPAPEFLGG(配列番号18)を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号18のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態では、IgG4ヒンジは、配列番号18を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、アミノ酸配列ELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGP(配列番号19)を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号19のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態では、IgG3ヒンジは、配列番号19を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CPXCP(配列番号20)モチーフを含む。いくつかの実施形態では、配列番号20のXはPおよびRから選択される。いくつかの実施形態では、配列番号20はCPPCP(配列番号21)である。いくつかの実施形態では、配列番号20は、CPRCP(配列番号22)である。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号37)を含む。したがって、ヒンジ領域はCPXCPモチーフの後に終了すると考えられ得ることが理解されるであろう。
【0150】
いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、Ig CH1ドメインを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、Ig重鎖CH1ドメインを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、Ig軽鎖を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、軽鎖CLドメインを含むか、または軽鎖CLドメインからなる。いくつかの実施形態では、CLドメインはCLカッパドメインである。くつかの実施形態では、CLドメインはCLラムダドメインである。Ig重鎖のCH1ドメインが軽鎖CLドメインと二量体化することは当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、第1の二量体化ドメインはCH1ドメインを含むかまたはそれからなり、第2の二量体化ドメインはCLドメインを含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは両方ともヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは両方ともCH1ドメインを含まない。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは両方ともCLドメインを含まない。いくつかの場合、第1および第2のポリペプチド鎖は両方ともCH1ドメインを含まない。いくつかの場合、第1および第2のポリペプチド鎖は両方ともCLドメインを含まない。
【0151】
いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、アミノ酸配列ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKV(配列番号23)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、配列番号23からなる。いくつかの実施形態では、配列番号23は、IgG1 CH1ドメインである。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、アミノ酸配列ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTV(配列番号24)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、配列番号24からなる。いくつかの実施形態では、配列番号24は、IgG2 CH1ドメインである。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、アミノ酸配列ASTKGPSVFPLAPCSRSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYTCNVNHKPSNTKVDKRV(配列番号25)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、配列番号25からなる。いくつかの実施形態では、配列番号25は、IgG3 CH1ドメインである。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、アミノ酸配列ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRV(配列番号26)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CH1ドメインは、配列番号26からなる。いくつかの実施形態では、配列番号26は、IgG4 CH1ドメインである。
【0152】
いくつかの実施形態では、Ig CLカッパドメインは、アミノ酸配列AAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号27)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CLカッパドメインは、配列番号27からなる。いくつかの実施形態では、Ig CLラムダドメインは、アミノ酸配列GQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号28)を含む。いくつかの実施形態では、Ig CLラムダドメインは、配列番号28からなる。
【0153】
Fc領域
いくつかの実施形態では、組成物はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域はFcドメインである。いくつかの実施形態では、Fc領域はFc断片である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチド鎖はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチド鎖の両方がFc領域を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体重鎖のFc領域である。いくつかの実施形態では、抗体重鎖はヒト抗体重鎖である。いくつかの実施形態では、重鎖はIgG重鎖である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される。いくつかの実施形態では、IgGは、IgG1およびIgG3から選択される。いくつかの実施形態では、IgGはIgG1である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG2である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG3である。いくつかの実施形態では、IgGはIgG4である。
【0154】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、細胞傷害効果を誘導することができる。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号12)を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、配列番号12からなる。いくつかの実施形態では、IgG1のFcドメインは、配列番号12を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、配列番号12と少なくとも70、75、80、85、90、93、95、97、または99%の相同性を有する配列を含むかまたはそれからなる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、Fc領域は、細胞傷害効果を誘導するように構成されている。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は標的細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は結合時である。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は、タンパク質複合体によって結合された細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は、タンパク質複合体に結合する細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は、Fc領域への免疫細胞の結合によって媒介される。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は、Fc領域による免疫細胞活性化によって媒介される。いくつかの実施形態では、細胞傷害効果は、Fc領域による免疫細胞動員によって媒介される。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はマクロファージである。いくつかの実施形態では、T細胞は細胞傷害性T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD8陽性T細胞である。いくつかの実施形態では、Fc領域は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する。いくつかの実施形態では、Fc領域は補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導する。
【0155】
いくつかの実施形態では、Fc領域はIg CH2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc領域はIg重鎖CH2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc領域はIg CH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc領域はIg重鎖CH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、Ig CH2ドメインおよびIg CH3ドメインの両方を含むかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、Fc領域は、Ig重鎖CH2ドメインおよびIg重鎖CH3ドメインの両方を含むかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、第1の鎖はFc領域の第1の部分を含み、第2の鎖はFc領域の第2の部分を含む。いくつかの実施形態では、第1の部分は、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはその両方を含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはその両方を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域の第1の部分とFc領域の第2の部分との界面が機能性Fc領域を生成する。いくつかの実施形態では、界面は接触を含む。いくつかの実施形態では、界面は、隣接する位置決めを含む。いくつかの実施形態では、界面は、本発明のタンパク質複合体の形成を含む。いくつかの実施形態では、界面は、第1および第2の二量体化ドメインの二量体化を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、Ig CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、重鎖CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、Ig CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、重鎖CH3ドメインである。
【0156】
いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、アミノ酸配列SVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK(配列番号29)を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、アミノ酸配列DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK(配列番号13)を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、配列番号29からなる。いくつかの実施形態では、配列番号29は、IgG1 CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、アミノ酸配列SVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTK(配列番号30)を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、配列番号30からなる。いくつかの実施形態では、配列番号30は、IgG2 CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、アミノ酸配列SVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAK(配列番号31)を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、配列番号31からなる。いくつかの実施形態では、配列番号31は、IgG4 CH2ドメインである。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、アミノ酸配列SVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTK(配列番号32)を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは、配列番号32からなる。いくつかの実施形態では、配列番号32は、IgG3 CH2ドメインである。
【0157】
いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、アミノ酸配列GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33)を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、アミノ酸配列GQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号62)を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、配列番号33からなる。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、配列番号62からなる。いくつかの実施形態では、配列番号33は、IgG1 CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、配列番号62は、IgG1 CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、配列番号33の配列は、主にヨーロッパ系およびアメリカ系のヒトに多く見出される配列である。いくつかの実施形態では、配列番号62は、主にアジア系のヒトに見出される配列である。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、アミノ酸配列GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号34)を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、配列番号34からなる。いくつかの実施形態では、配列番号34は、IgG2 CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、アミノ酸配列GQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号35)を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、配列番号35からなる。いくつかの実施形態では、配列番号35は、IgG4 CH3ドメインである。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、アミノ酸配列GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK(配列番号36)を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、配列番号36からなる。いくつかの実施形態では、配列番号36は、IgG3 CH3ドメインである。
【0158】
いくつかの実施形態では、Fcは変異を含む。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは変異を含む。いくつかの実施形態では、第1のCH3ドメインは、第1の変異を含む。いくつかの実施形態では、第2のCH3ドメインは、第2の変異を含む。いくつかの実施形態では、CH2ドメインは変異を含む。いくつかの実施形態では、第1のCH2ドメインは、第1の変異を含む。いくつかの実施形態では、第2のCH2ドメインは、第2の変異を含む。いくつかの実施形態では、CH2およびCH3ドメインは両方とも変異を含む。いくつかの実施形態では、第1のCH2ドメインおよび第1のCH3ドメインは、各々、第1の変異を含む。いくつかの実施形態では、第2のCH2ドメインおよび第2のCH3ドメインは、各々、第2の変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、第1のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。いくつかの実施形態では、第1の変異は、第1のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。いくつかの実施形態では、変異は、第2のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。いくつかの実施形態では、第2の変異は、第2のポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する。いくつかの実施形態では、変異は、ヘテロ二量体化を可能にする。いくつかの実施形態では、変異は、第1および第2の鎖のヘテロ二量体化を可能にする。いくつかの実施形態では、許容することは、促進することである。いくつかの実施形態では、許容することは、増強することである。
【0159】
重鎖ヘテロ二量体化を促進するおよび/またはホモ二量体化を阻害する変異は、当該技術分野で周知である。任意のそのような変異または改変を、本発明のポリペプチドを構築するために使用することができる。いくつかの実施形態では、IgGからの領域が、IgAからの領域で置き換えられる。いくつかの実施形態では、TCRaからの領域が第1のCH3ドメインに挿入され、TCRbからの領域が第2のCH3ドメインに挿入される。いくつかの実施形態では、変異は、TCRからの領域の挿入である。いくつかの実施形態では、TCRは、TCRaおよびTCRbから選択される。いくつかの実施形態では、変異は、異なるIgからの領域の挿入である。これらの変異の例は、表1に見出すことができる。いくつかの実施形態では、変異は、表1の変異から選択される。いくつかの実施形態では、第1の変異は、表1の行および第2列に示される変異の群から選択され、第2の変異は、第3列の表1の同じ行に示される変異の群である。表1の変異は、特に明記しない限り、IgG1のKabatナンバリングとともに提供される。対応する変異を他のIGにおいて、具体的には他のIgGにおいて行うことができる。いくつかの実施形態では、第1の変異はT366Yであり、第2の変異はY407Tである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、S354CおよびT366Wであり、第2の変異は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、S364HおよびF405Aであり、第2の変異は、Y349TおよびT392Fである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、T350V、L351Y、F405A、およびY407Vであり、第2の変異は、T350V、T366L、K392L、およびT394Wである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K392DおよびK409Dであり、第2の変異は、E356K、およびD399Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、D221E、P228E、およびL368Eであり、第2の変異は、D221R、P228R、およびK409Rである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360EおよびK409Wであり、第2の変異は、Q347R、D399V、およびF405Tである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360E、K409W、およびY349Cであり、第2の変異は、Q347R、D399V、F405T、およびS354Cである。いくつかの実施形態では、第1の変異はF405Lであり、第2の変異はK409Rである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360D、D399M、およびY407Aであり、第2の変異は、E345R、Q347R、T366V、およびK409Vである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、Y349S、K370Y、T366M、およびK409Vであり、第2の変異は、E356G、E357D、S364Q、およびY407Aである。いくつかの実施形態では、第1の変異はT366Kであり、第2の変異は、C351D、Y349E、Y349D、L368E、L368D、Y349EおよびR355E、Y349EおよびR355D、Y349DおよびR355E、ならびにY349DおよびR355Dから選択される。いくつかの実施形態では、第1の変異は、T366KおよびC351Kであり、第2の変異は、C351D、Y349E、Y349D、L368E、L368D、Y349EおよびR355E、Y349EおよびR355D、Y349DおよびR355E、ならびにY349DおよびR355Dから選択される。いくつかの実施形態では、第1の変異は、L351DおよびL368Eであり、第2の変異は、L351KおよびT366Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、L368DおよびK370Sであり、第2の変異は、E357QおよびS364Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異はT366Wであり、第2の変異はT366S、L368AおよびY407Vである。いくつかの実施形態では、IgはIgG2であり、第1の変異はC223E、P228E、およびL368Eであり、第2の変異はC223R、E225R、P228R、およびK409Rである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、S354CまたはT366Wであり、第2の変異は、Y349C、T366S、L368A、またはY407Vである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、S364HまたはF405Aであり、第2の変異は、Y349TまたはT392Fである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、T350V、L351Y、F405A、またはY407Vであり、第2の変異は、T350V、T366L、K392L、またはT394Wである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K392D、またはK409Dであり、第2の変異は、E356K、またはD399Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、D221E、P228E、またはL368Eであり、第2の変異は、D221R、P228R、またはK409Rである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360E、またはK409Wであり、第2の変異は、Q347R、D399V、またはF405Tである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360E、K409W、またはY349Cであり、第2の変異は、Q347R、D399V、F405T、またはS354Cである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、K360D、D399M、またはY407Aであり、第2の変異は、E345R、Q347R、T366V、またはK409Vである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、Y349S、K370Y、T366M、またはK409Vであり、第2の変異は、E356G、E357D、S364Q、またはY407Aである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、L351DまたはL368Eであり、第2の変異は、L351KまたはT366Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異は、L368DまたはK370Sであり、第2の変異は、E357QまたはS364Kである。いくつかの実施形態では、第1の変異はT366Wであり、第2の変異はT366S、L368AまたはY407Vである。いくつかの実施形態では、IgはIgG2であり、第1の変異はC223E、P228E、またはL368Eであり、第2の変異はC223R、E225R、P228R、またはK409Rである。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号46)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号47)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLYCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号48)を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、GQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLTSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号49)を含むかまたはそれからなる。
【0160】
【表1】
【0161】
いくつかの実施形態では、変異はエフェクター機能を低下させる。いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、ADCC、CDCまたはその両方を含む。いくつかの実施形態では、エフェクター機能の低下は、細胞傷害性の低下を含む。いくつかの実施形態では、低下は消失である。いくつかの実施形態では、FcはIgG1またはIgG3に由来し、変異はエフェクター機能を低下させる。いくつかの実施形態では、FcはIgG1に由来し、エフェクター機能を低下させる少なくとも1つの変異を含む。エフェクター機能を低下させる変異は当該技術分野で周知であり、任意のそのような変異を使用することができる。そのような変異の例は、Saunders,2019,「Conceptual approaches to modulating antibody effector function and circulation half-life」Front Immunol.,Jun 7;10:1296に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0162】
IgG2およびIgG4は、大幅に低下したエフェクター機能を有し、一般に本質的に細胞傷害性ではないことが当業者には知られている。さらに、IgG4中のS228PおよびL235Eなどの変異は、エフェクター機能をさらに低下させることが知られている。さらに、IgG1およびIgG3の細胞傷害性/エフェクター機能を低下させる変異は、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、IgGは、少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、複数の変異である。いくつかの実施形態では、変異は、細胞傷害性を低下させる。いくつかの実施形態では、変異は、安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、変異は、凝集を減少させる。いくつかの実施形態では、細胞傷害性を低下させる複数の変異はLALA変異を含む。いくつかの実施形態では、細胞傷害性を低下させる複数の変異はPG-LALA変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のプロリン329のグリシンへの変異(P329G)である。いくつかの実施形態では、PからGへの変異は、配列番号12のP109のGへの変異である。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のロイシン234のアラニンへの変異(L234A)である。いくつかの実施形態では、LからAへの変異は、配列番号12のL14のAへの変異である。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のロイシン235のアラニンへの変異(L235A)である。いくつかの実施形態では、LからAへの変異は、配列番号12のL15のAへの変異である。いくつかの実施形態では、複数の変異は、配列番号12のP109G、L14AおよびL15Aを含む。いくつかの実施形態では、複数の変異は、配列番号12のL14AおよびL15Aを含む。いくつかの実施形態では、複数の変異は、IgG1ヒト重鎖のP329G、L234AおよびL235Aを含む。いくつかの実施形態では、複数の変異は、IgG1ヒト重鎖のL234AおよびL235Aを含む。IgG3重鎖または非ヒトIgG1の重鎖においても並行変異を行えることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、細胞傷害性を低下させる複数の変異はYTE変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のメチオニン252のチロシンへの変異(M252Y)である。いくつかの実施形態では、MからYへの変異は、配列番号12のM32のYへの変異である。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のセリン254のトレオニンへの変異(S254T)である。いくつかの実施形態では、SからTへの変異は、配列番号12のS34のTへの変異である。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のトレオニン256のグルタミン酸への変異(T256E)である。いくつかの実施形態では、TからEへの変異は、配列番号12のT36のEへの変異である。いくつかの実施形態では、複数の変異は、配列番号12のM32Y、S34TおよびT36Eを含む。いくつかの実施形態では、複数の変異は、IgG1ヒト重鎖のM252Y、S254TおよびT256Eを含む。いくつかの実施形態では、変異は、IgG1ヒト重鎖のアスパラギン297の変異(N297)である。いくつかの実施形態では、アスパラギンは、アラニン(N297A)に変異している。いくつかの実施形態では、アスパラギンは、グルタミン(N297Q)に変異している。いくつかの実施形態では、アスパラギンは、配列番号12のN77(N77AまたはN77Q)である。IgG3重鎖または非ヒトIgG1の重鎖においても並行変異を行えることが当業者によって理解されるであろう。本明細書に示される数は、可変ドメインを含む全長IgGに関連することが理解されるであろう。数は、IgGのFc部分のみの中のこれらのアミノ酸の位置に対応するようにシフトされ得る。
【0163】
第3および第4の鎖
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、第3のポリペプチド鎖をさらに含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチド鎖は、重症筋無力症自己抗体のタンパク質標的の第3の断片を含む。いくつかの実施形態では、第3の断片は、第1の断片とは異なる。いくつかの実施形態では、第3の断片は、第2の断片とは異なる。いくつかの実施形態では、第3の断片は、第1の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第1の断片は、第2の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第3の断片は、第1および第2の断片と同じである。いくつかの実施形態では、同じとは、同じ配列である。いくつかの実施形態では、異なるとは、異なる配列である。
【0164】
いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、第3の二量体化ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、第4の二量体化ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、第3の二量体化ドメインは、第1の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第3の二量体化ドメインは、第2の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第4の二量体化ドメインは、第1の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第4の二量体化ドメインは、第2の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、二量体化するように構成されていると、二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、第1および第2の二量体化ドメインとは異なる。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインはヒンジドメインであり、第3および第4の二量体化ドメインはCH1/CLドメインである。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインはCH1/CLドメインであり、第3および第4の二量体化ドメインはヒンジドメインである。
【0165】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、第4のポリペプチド鎖をさらに含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチド鎖は、重症筋無力症自己抗体のタンパク質標的の第4の断片を含む。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第1の断片とは異なる。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第2の断片とは異なる。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第3の断片とは異なる。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第1の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第2の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第3の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第4の断片は、第1、第2および第3の断片と同じである。いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3の断片はすべて同じである。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の断片はすべて異なる。いくつかの実施形態では、同じとは、同じ配列である。いくつかの実施形態では、異なるとは、異なる配列である。いくつかの実施形態では、異なるとは、異なるタンパク質である。いくつかの実施形態では、異なるとは、同じタンパク質であるが異なる配列を含む。いくつかの実施形態では、異なるとは、同じタンパク質であるがタンパク質の異なる領域である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4のタンパク質の少なくとも2つは、単一のタンパク質複合体の一部である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、哺乳動物における複合体である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、ヒトにおける複合体である。
【0166】
いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、第5の二量体化ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、第6の二量体化ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、第5の二量体化ドメインは、第1の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第5の二量体化ドメインは、第2の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第5の二量体化ドメインは、第3の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第5の二量体化ドメインは、第4の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第6の二量体化ドメインは、第1の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第6の二量体化ドメインは、第2の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第6の二量体化ドメインは、第3の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第6の二量体化ドメインは、第4の二量体化ドメインに二量体化するように構成されていない。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、第1および第2の二量体化ドメインとは異なる。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、第3および第4の二量体化ドメインとは異なる。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインはヒンジドメインであり、第3および第4の二量体化ドメインはCH1/CLドメインであり、第5および第6の二量体化ドメインはCH1/CLドメインである。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインはCH1/CLドメインであり、第3および第4の二量体化ドメインはヒンジドメインであり、第5および第6の二量体化ドメインはヒンジドメインである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは両方ともCH1ドメインを含まない。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは両方ともCH1ドメインを含む。第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは両方ともCLドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは両方ともCLドメインを含まない。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドはCH1ドメインを含み、第2のポリペプチドはCLドメインを含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドはCLドメインを含み、第4のポリペプチドはCH1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドはCLドメインを含み、第2のポリペプチドはCH1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドはCH1ドメインを含み、第4のポリペプチドはCLドメインを含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、第3および第4の二量体化ドメインの二量体化を可能にし、第3の二量体化ドメインの第5、第6またはその両方の二量体化ドメインへの二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、第3および第4の二量体化ドメインの二量体化を可能にし、第4の二量体化ドメインの第5、第6またはその両方の二量体化ドメインへの二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、第5および第6の二量体化ドメインの二量体化を可能にし、第5の二量体化ドメインの第3、第4またはその両方の二量体化ドメインへの二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、第5および第6の二量体化ドメインの二量体化を可能にし、第6の二量体化ドメインの第3、第6またはその両方の二量体化ドメインへの二量体化を阻害する変異を含む。
【0168】
代替構成
いくつかの実施形態では、組成物は、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片とを含むポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は単一のポリペプチド鎖である。いくつかの実施形態では、1本鎖は、第1のタンパク質の断片および第2のタンパク質の断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、重症筋無力症自己抗体の第3のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、重症筋無力症自己抗体の第4のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖はFc領域をさらに含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片は、リンカーによって重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片から分離されている。いくつかの実施形態では、重症筋無力症自己抗体の第3のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片は、リンカーによって、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的または第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片から分離されている。いくつかの実施形態では、重症筋無力症自己抗体の第4のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片は、リンカーによって、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的、第2のタンパク質標的または第3のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片から分離されている。いくつかの実施形態では、断片は、リンカーによってFc領域から分離されている。
【0170】
いくつかの実施形態では、断片および二量体化ドメインは、リンカーによって分離されている。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインおよびFc領域は、リンカーによって分離されている。いくつかの実施形態では、断片およびFc領域は、リンカーによって分離されている。いくつかの実施形態では、リンカーはアミノ酸リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは化学的リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは結合である。いくつかの実施形態では、結合はペプチド結合である。いくつかの実施形態では、結合はアミノ酸結合である。いくつかの実施形態では、リンカーは可撓性リンカーである。リンカーは当該技術分野で周知であり、任意のリンカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは化学的リンカーである。
【0171】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートとは、連結されている。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションは、結合を介する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、直接コンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、リンカーを介してコンジュゲートされている。
【0172】
いくつかの実施形態では、リンカーは、鎖の異なる部分間の立体障害を阻害するのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、コンジュゲートの異なる部分間の立体障害を阻害するのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、鎖の別の部分からの立体障害なしに抗体の断片への結合を可能にするのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、コンジュゲートの別の部分からの立体障害なしに抗体の断片への結合を可能にするのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、鎖の別の部分からの立体障害なしに細胞の断片への結合を可能にするのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、コンジュゲートの別の部分からの立体障害なしに細胞の断片への結合を可能にするのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸長である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは少なくとも5アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも10アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも15アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100アミノ酸長である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くとも10アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くとも20アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くとも50アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くとも100アミノ酸長である。
【0173】
いくつかの実施形態では、リンカーは可撓性リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーはGSリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーはグリシン-セリン含有リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーはグリシン残基およびセリン残基からなる。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGS(配列番号38)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号136)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号38からなる。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号136からなる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGS)nを含み、nは整数であるいくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)nを含み、nは整数であるいくつかの実施形態では、リンカーは(GGGS)nからなり、nは整数であるいくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)nからなり、nは整数であるいくつかの実施形態では、リンカーは、GSAGSAAGSGEF(配列番号45)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGS)nGSを含むかまたはそれからなり、nは整数である。いくつかの実施形態では、nは、1、2、3、4、5、または6から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、nは6である。いくつかの実施形態では、リンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは、EAAAK(配列番号137)を含む。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは、配列番号137からなる。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nを含み、nは整数である。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nからなり、nは整数である。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nGSを含み、nは整数である。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nGSからなり、nは整数である。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nGGSを含み、nは整数である。いくつかの実施形態では、剛性リンカーは(EAAAK)nGGSからなり、nは整数である。いくつかの実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、nは2である。いくつかの実施形態では、nは3である。いくつかの実施形態では、nは4である。いくつかの実施形態では、nは5である。
【0174】
いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、断片のC末端にある。いくつかの実施形態では、断片は、二量体化ドメインのC末端にある。いくつかの実施形態では、Fc領域は、断片のC末端にある。いくつかの実施形態では、断片は、Fc領域のC末端にある。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、Fc領域のC末端にある。いくつかの実施形態では、Fc領域は、二量体化ドメインのC末端にある。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、断片のN末端にある。いくつかの実施形態では、断片は、二量体化ドメインのN末端にある。いくつかの実施形態では、Fc領域は、断片のN末端にある。いくつかの実施形態では、断片は、Fc領域のN末端にある。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、Fc領域のN末端にある。いくつかの実施形態では、Fc領域は、二量体化ドメインのN末端にある。
【0175】
いくつかの実施形態では、エピトープは、少なくとも2つの断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第1および第2の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第1および第3の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第1および第4の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第2および第3の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第2および第4の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、第3および第4の断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、2つのタンパク質にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、タンパク質複合体中の2つのタンパク質にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、3つの断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、3つのタンパク質にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、4つの断片にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは、4つのタンパク質にまたがる。いくつかの実施形態では、エピトープは複合エピトープである。いくつかの実施形態では、エピトープはB細胞受容体(BCR)特異的エピトープである。
【0176】
いくつかの実施形態では、3つの断片はすべて、AChRaに由来する。いくつかの実施形態では、3つの断片はすべて、AChRbに由来する。いくつかの実施形態では、3つの断片はすべて、AChRgに由来する。いくつかの実施形態では、3つの断片はすべて、AChRdに由来する。いくつかの実施形態では、3つの断片はすべて、AChReに由来する。いくつかの実施形態では、3つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReから選択される。いくつかの実施形態では、3つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReからの2つの異なるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、3つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReからの3つの異なるタンパク質を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、4つの断片はすべて、AChRaに由来する。いくつかの実施形態では、4つの断片はすべて、AChRbに由来する。いくつかの実施形態では、4つの断片はすべて、AChRgに由来する。いくつかの実施形態では、4つの断片はすべて、AChRdに由来する。いくつかの実施形態では、4つの断片はすべて、AChReに由来する。いくつかの実施形態では、4つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReから選択される。いくつかの実施形態では、4つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReからの2つの異なるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、4つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReからの3つの異なるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、4つの断片は、AChRa、AChRb、AChRg、AChRdおよびAChReからの4つの異なるタンパク質を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号50)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号50に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号50に連結された断片を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号51)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号51に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号51に連結された断片を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号52に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号52に連結された断片を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLYCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号53に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号53に連結された断片を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLTSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号54)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号54に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号54に連結された断片を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、AAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号55)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号55に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号55に連結された断片を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、GQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号56)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号56に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号56に連結された断片を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、AAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号57)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号57に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号57に連結された断片を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、AAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号58)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号58に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号58に連結された断片を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、GQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号59)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号59に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号59に連結された断片を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、GQPKANPTVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADGSPVKAGVETTKPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号60)に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、配列番号60に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは両方とも、配列番号60に連結された断片を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号23に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号24に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号25に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号26に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号27に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチドは、配列番号28に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号23に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号24に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号25に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号26に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号27に連結された断片を含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチドは、配列番号28に連結された断片を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、リンカーを介して軽鎖CLカッパドメインに連結されたAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列SEHETRLVAKLFKDYSSVVRPVEDHRQVVEVTVGLQLIQLINVDEVNQIVTTNVRLKQQWVDYNLKWNPDDYGGVKKIHIPSEKIWRPDLVLYNNADGDFAIVKFTKVLLQYTGHITWTPPAIFKSYCDVSGVDTESGATNCSMKLGTWTYDGSVVAINPESDQPDLSNFMESGEWVIKESRGWKHSVTYSCCPDTPYLDITYHFVMQRLPGGGGSGGGGSGGGGSAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号64)を含むかまたはそれからなる。
【0191】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRaの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号92のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号95のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号97のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号98のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号99のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。上記のCH2およびCH3ドメインならびに他のすべてのCH2/CH3ドメインは、特に明記しない限り、IgG1に由来することが理解されるであろう。
【0192】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRbの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列SEAEGRLREKLFSGYDSSVRPAREVGDRVRVSVGLILAQLISLNEKDEEMSTKVYLDLEWTDYRLSWDPAEHDGIDSLRITAESVWLPDVVLLNNNDGNFDVALDISVVVSSDGSVRWQPPGIYRSSCDVSGVDTESGATNCTMVFSSYSYDSSEVSLQTGLGPDGQGHQEIHIHEGTFIENGQWEIIHKPSRLIQPPGDPRGGREGQRQEVIFYLIIRRKPGGGGSGGGGSGGGGSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号65)を含むかまたはそれからなる。
【0193】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRbの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号65のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0194】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、各々が配列番号65を含む2つのポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、各々が配列番号65からなる2つのポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号65を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチド鎖と、配列番号64を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号65を含むかまたはそれからなる第3のポリペプチド鎖をさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号64からなる第4のポリペプチド鎖をさらに含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRbの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ホモ二量体化を阻害する変異はT366Wである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列SEAEGRLREKLFSGYDSSVRPAREVGDRVRVSVGLILAQLISLNEKDEEMSTKVYLDLEWTDYRLSWDPAEHDGIDSLRITAESVWLPDVVLLNNNDGNFDVALDISVVVSSDGSVRWQPPGIYRSSCDVSGVDTESGATNCTMVFSSYSYDSSEVSLQTGLGPDGQGHQEIHIHEGTFIENGQWEIIHKPSRLIQPPGDPRGGREGQRQEVIFYLIIRRKPGGGGSGGGGSGGGGSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号66)を含むかまたはそれからなる。
【0196】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRgの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ホモ二量体化を阻害する変異は、T366S、L368AおよびY407Vである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列RNQEERLLADLMQNYDPNLRPAERDSDVVNVSLKLTLTNLISLNEREEALTTNVWIEMQWCDYRLRWDPRDYEGLWVLRVPSTMVWRPDIVLENNVDGVFEVALYCNVLVSPDGCIYWLPPAIFRSACDVSGVDTESGATNCSLIFQSQTYSTNEIDLQLSQEDGQTIEWIFIDPEAFTENGEWAIQHRPAKMLLDPAAPAQEAGHQKVVFYLLIQRKPGGGGSGGGGSGGGGSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号67)を含むかまたはそれからなる。
【0197】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含み、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRgの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号93のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号100のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0198】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含み、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRdの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号98のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号102のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号103のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号106のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号107のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号130のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号92を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号93を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号92を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号102を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号103を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号102を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。この実施形態では、第1のポリペプチドはT366W変異を含み、第2のポリペプチドはT366S/L368A/Y407V変異を含むが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号94のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号104のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0200】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号95のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号105のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0201】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRdにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号96のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号95を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号96を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号106のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号107のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号105を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号106を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号105を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号107を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。この実施形態では、第1のポリペプチドはT366W変異を含み、第2のポリペプチドはT366S/L368A/Y407V変異を含むが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【0202】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる変異とを含むAChRaの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号97のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる変異とを含むAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号114のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含み、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRdの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号99のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号97を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号98を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。この実施形態では、第1のポリペプチドはT366W変異を含み、第2のポリペプチドはT366S/L368A/Y407V変異を含むが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【0204】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRdにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる変異とを含むAChRaの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号99のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号106のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号107のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0205】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含み、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRgの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号100のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号99を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号100を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号92を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号102を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号103を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号100を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号105を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号130を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号105を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号106を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号105を含むかまたはそれからなる第1の鎖と、配列番号107を含むかまたはそれからなる第2の鎖とを含む。この実施形態では、第1のポリペプチドはT366W変異を含み、第2のポリペプチドはT366S/L368A/Y407V変異を含むが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【0206】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRdにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaにGSリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号108のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaにGSリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号109のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号116のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0207】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる変異とを含むAChRaにGSリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号115のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0208】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と溶解度を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる変異とを含むAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号110のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号111のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。リンカーによって分離されたタンデムサブユニットの場合、サブユニットの順序は上記のとおりであり得るか、または切り替えられ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0209】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、IgG4からのCH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号112のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、配列番号92~111、114~116および124~126のいずれか1つの中で、IgG1からのCH2およびCH3ドメインは、IgG4からのCH2およびCH3ドメインで置き換えられる。ホモ二量体化を減少させるために存在する変異はいずれも保存され、IgG4 CH3にも存在することが理解されるであろう。
【0210】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と溶解度を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、エフェクター機能を減少させる変異を含むCH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結された、溶解度を増加させる変異を含むAChRaの断片を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号113のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、配列番号92~111、114~116および124~126のいずれか1つの中で、CH2およびCH3は、エフェクター機能を低下させる変異を含み得る。
【0211】
特定のリンカーが上記の分子に提供されているが、任意のリンカーを使用できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、任意の可撓性リンカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)6リンカーである。いくつかの実施形態では、2つのサブユニット間のリンカーは(GGGGS)6リンカーである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号117のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)3リンカーである。いくつかの実施形態では、CH2ドメインに対するリンカーは(GGGGS)3リンカーである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号118のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号127のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号128のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号129のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)6GSリンカーである。いくつかの実施形態では、2つのサブユニット間のリンカーは(GGGGS)6GSリンカーである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号119のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、任意の可撓性リンカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)5リンカーである。いくつかの実施形態では、2つのサブユニット間のリンカーは(GGGGS)5リンカーである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号120のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0212】
いくつかの実施形態では、リンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施形態では、2つのサブユニット間のリンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは(EAAAK)2GGSリンカーである。いくつかの実施形態では、2つのサブユニット間のリンカーは(EAAAK)2GGSリンカーである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号121のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号122のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号123のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0213】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結され、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRaにGSリンカーを介して連結されたCH2およびCH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号124のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRaの断片にGSリンカーを介して連結され、溶解度を増加させる変異と凝集を減少させる少なくとも1つの変異とを含むAChRgにGSリンカーを介して連結されたCH2およびCH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号125のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0214】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号66を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号67を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドとを含む。この実施形態では、AChRbを含むポリペプチドはT366W変異を含有し、AChRgを含むポリペプチドはT366S/L368A/Y407Vを含有するが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう(例えば、配列番号69を参照されたい)。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号66を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチド鎖と、配列番号64を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号67を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチド鎖と、配列番号64を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号66を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号67を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドと、配列番号64を含むかまたはそれからなる第3のポリペプチド鎖とをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号64からなる第4のポリペプチド鎖をさらに含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChReの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ホモ二量体化を阻害する変異は、T366S、L368AおよびY407Vである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列KNEELRLYHHLFNNYDPGSRPVREPEDTVTISLKVTLTNLISLNEKEETLTTSVWIGIDWQDYRLNYSKDDFGGIETLRVPSELVWLPEIVLENNIDGQFGVAYDANVLVYEGGSVTWLPPAIYRSVCDVSGVDTESGATNCSLIFRSQTYNAEEVEFTFAVDNDGKTINKIDIDTEAYTENGEWAIDFCPGVIRRHHGGATDGPGETDVIYSLIIRRKPGGGGSGGGGSGGGGSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号68)を含むかまたはそれからなる。
【0216】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号66を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号68を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドとを含む。この実施形態では、AChRbを含むポリペプチドはT366W変異を含有し、AChReを含むポリペプチドはT366S/L368A/Y407Vを含有するが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号68を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチド鎖と、配列番号64を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号66を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号68を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドと、配列番号64を含むかまたはそれからなる第3のポリペプチド鎖とをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号64からなる第4のポリペプチド鎖をさらに含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、溶解度を増加させる変異を含み、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖にリンカーを介して連結されたAChRgの断片を含み、CH3ドメインは、ポリペプチド鎖のホモ二量体化を阻害する変異を含む。いくつかの実施形態では、ホモ二量体化を阻害する変異はT366Wである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸配列RNQEERLLADLMQNYDPNLRPAERDSDVVNVSLKLTLTNLISLNEREEALTTNVWIEMQWCDYRLRWDPRDYEGLWVLRVPSTMVWRPDIVLENNVDGVFEVALYCNVLVSPDGCIYWLPPAIFRSACDVSGVDTESGATNCSLIFQSQTYSTNEIDLQLSQEDGQTIEWIFIDPEAFTENGEWAIQHRPAKMLLDPAAPAQEAGHQKVVFYLLIQRKPGGGGSGGGGSGGGGSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号69)を含むかまたはそれからなる。
【0218】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号67を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号69を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドとを含む。そのような分子は、ホモ二量体化を阻害する変異なしにCH3ドメインを使用して作製することもできることが当業者によって理解されるであろう。そのような場合、ホモ二量体化するので、単一のポリペプチド鎖のみが必要であろう。このポリペプチドは、配列番号65に類似するであろうが、AChRb断片の代わりにAChRg断片を含むであろう。
【0219】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号69を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号68を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドとを含む。この実施形態では、AChRgを含むポリペプチドはT366W変異を含有し、AChReを含むポリペプチドはT366S/L368A/Y407Vを含有するが、変異は反対の鎖に切り替えることができ、分子は依然として動作可能であることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号69を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチド鎖と、配列番号64を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチド鎖とを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号69を含むかまたはそれからなる第1のポリペプチドと、配列番号68を含むかまたはそれからなる第2のポリペプチドと、配列番号64を含むかまたはそれからなる第3のポリペプチド鎖とをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、配列番号64からなる第4のポリペプチド鎖をさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも75%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも80%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも97%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に提供される配列と少なくとも99%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。
【0221】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号72~91のいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号72~91のいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号92~100および102~130のいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号72~100および102~130のいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号94、104および108~129のいずれか1つから選択される。
【0222】
医薬組成物
別の態様では、本発明のタンパク質を含む医薬組成物が提供される。
【0223】
別の態様では、本発明のポリペプチド鎖を含む医薬組成物が提供される。
【0224】
別の態様では、本発明のタンパク質複合体を含む医薬組成物が提供される。
【0225】
別の態様では、本発明の組成物を含む医薬組成物が提供される。
【0226】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体、賦形剤またはアジュバントを含む。本明細書で使用される場合、「担体」、「アジュバント」または「賦形剤」という用語は、活性薬剤ではない医薬組成物の任意の成分を指す。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」という用語は、非毒性の不活性固体、半固体液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料、任意の種類の製剤補助剤、または単に滅菌水性媒体、例えば生理食塩水を指す。薬学的に許容され得る担体として機能し得る材料のいくつかの例は、糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース、デンプン類、例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン、セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガント末;麦芽、ゼラチン、タルク;賦形剤、例えばカカオバターおよび坐剤ワックス;油類、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油;グリコール類、例えばプロピレングリコール、ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル類、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水、リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に使用される他の非毒性の適合可能な物質である。本明細書において担体として機能し得る物質のいくつかの非限定的な例としては、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、トラガカント末、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油、ポリオール、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リン酸緩衝液、ココアバター(坐剤基剤)、乳化剤、ならびに他の医薬製剤に使用される他の非毒性の薬学的に適可能な物質が挙げられる。湿潤剤および潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ならびに着色剤、香味剤、賦形剤、安定剤、酸化防止剤、および保存剤も存在し得る。本明細書で企図される組成物を製剤化するために、任意の非毒性、不活性、および有効な担体を使用することができる。これに関して適切な薬学的に許容され得る担体、賦形剤、および希釈剤は、当業者に周知であり、例えば、The Merck Index,Thirteenth Edition,Budavari et al.,Eds.,Merck&Co.,Inc.,Rahway,N.J.(2001);the CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Tenth Edition(2004);およびthe 「Inactive Ingredient Guide,」U.S.Food and Drug Administration(FDA)Center for Drug Evaluation and Research(CDER)Office of Managementに記載されているものであり、これらのすべての内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の組成物に有用な薬学的に許容され得る賦形剤、担体および希釈剤の例としては、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス溶液、およびDMSOが挙げられる。これらの追加の不活性成分、ならびに有効な製剤および投与手順は当該技術分野で周知であり、標準的な教科書、例えばGoodman and Gillman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Gilman et al.Eds.Pergamon Press(1990);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990);およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される組成物はまた、人工的に作製された構造、例えばリポソーム、ISCOMS、徐放性粒子、および血清中のペプチドまたはポリペプチドの半減期を増加させる他のビヒクルに含まれていてもよい。リポソームには、エマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などが含まれる。本明細書に記載されるペプチドとともに使用するためのリポソームは、一般に中性および負に荷電したリン脂質およびステロール、例えばコレステロールを含む標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は、一般に、リポソームサイズおよび血液中の安定性などを考慮して決定される。例えば、Coligan,J.E.et al.,Current Protocols in Protein Science,1999,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに概説されているように、リポソームを調製するための様々な方法が利用可能であり、また、米国特許第4,235,871号明細書、同第4,501,728号明細書、同第4,837,028号明細書、同第5,019,369号明細書も参照のこと。
【0227】
担体は、合計で約0.1重量%~約99.99999重量%の本明細書に提示される医薬組成物を含み得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本発明のタンパク質複合体を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本発明のコンジュゲートを含む。「治療有効量」という用語は、哺乳動物の疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態では、治療有効量は、所望の治療的または予防的結果を達成するために、必要な投薬量および期間で有効な量である。正確な剤形およびレジメンは、患者の症状に応じて医師によって決定される。いくつかの実施形態では、有効量は、疾患の少なくとも1つの症候を処置するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、疾患は重症筋無力症である。いくつかの実施形態では、重症筋無力症は、タンパク質に対する自己抗体によって特徴付けられる。
【0229】
本明細書で使用される場合、疾患、障害、または症状の「処置(treatment)」または「処置する(treating)」という用語は、その少なくとも1つの症候の緩和、その重症度の低下、またはその進行の阻害を包含する。処置は、疾患、障害、または症状が完全に治癒することを意味する必要はない。有効な処置であるために、本明細書における有用な組成物または方法は、疾患、障害または症状の重症度を低下させるか、それに関連する症候の重症度を低下させるか、または患者もしくは対象の生活の質の改善を提供するだけでよい。重症筋無力症の処置は当該技術分野で周知であり、重症筋無力症症候の改善を評価するための任意の許容され得る尺度を含み得る。これには、筋肉制御の改善、筋肉の下垂、ラップまたは重苦しさの軽減、呼吸の改善、自己抗体価の減少、シナプス機能の改善、または任意の他の改善の尺度が含まれ得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は全身投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒトへの投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
【0231】
本明細書で使用される場合、「投与する(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、健全な医療行為において、治療効果を提供するような方法で活性薬剤を含有する組成物を対象に送達する任意の方法を指す。本主題の一態様は、治療有効量の本主題の組成物を必要とする患者への治療有効量の本主題の組成物の静脈内投与を提供する。他の適切な投与経路としては、非経口、皮下、経口、筋肉内、または腹腔内を挙げることができる。いくつかの実施形態では、投与することは、静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与は、経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、腫瘍間、局所、または皮下投与から選択される。いくつかの実施形態では、投与することは、疾患部位に投与することである。
【0232】
投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康状態および体重、もしあれば併用処置の種類、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質によって異なる。
【0233】
処置方法
別の態様では、重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、該方法は、本発明のタンパク質を対象に投与し、それによって、対象において重症筋無力症を処置することを含む、方法が提供される。
【0234】
別の態様では、重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、該方法は、本発明のポリペプチド鎖を対象に投与し、それによって、対象において重症筋無力症を処置することを含む、方法が提供される。
【0235】
別の態様では、重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、該方法は、本発明のタンパク質複合体を対象に投与し、それによって、対象において重症筋無力症を処置することを含む、方法が提供される。
【0236】
別の態様では、重症筋無力症の処置を必要とする対象において重症筋無力症を処置する方法であって、該方法は、本発明の組成物を対象に投与し、それによって、対象において重症筋無力症を処置することを含む、方法が提供される。
【0237】
いくつかの実施形態では、投与することは、本発明の医薬組成物を投与することである。いくつかの実施形態では、重症筋無力症は、タンパク質に対する抗体によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、重症筋無力症抗体の標的である。タンパク質複合体は、対象において重症筋無力症抗体によって標的化されるタンパク質の断片を用いて設計されることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。
【0238】
いくつかの実施形態では、処置することは、抗体濃度を低下させることを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、より低い抗体数を含む。いくつかの実施形態では、抗体濃度は循環抗体濃度である。いくつかの実施形態では、処置することは、抗体を枯渇させることを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、抗体を捕捉することを含む。いくつかの実施形態では、本発明の分子への抗体の結合は、抗体の捕捉をもたらす。いくつかの実施形態では、処置することは、B細胞を死滅させることを含む。いくつかの実施形態では、B細胞は自己反応性B細胞である。いくつかの実施形態では、B細胞を死滅させることは、特異的B細胞死滅である。いくつかの実施形態では、処置することは、抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、抗体を産生するB細胞を死滅させ、他のB細胞を実質的に死滅させないことを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、タンパク質複合体に対する抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、断片に対する抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、タンパク質複合体の断片に対する抗体を産生するB細胞を死滅させることを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、抗体を低下させることは、抗体を結合することを含む。いくつかの実施形態では、低下することは、抗体の少なくとも10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、95、97、99または100%を除去することである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、対象中の抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は循環抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は、タンパク質または断片に対する自己抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は細胞傷害性自己抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体はIgG1自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、自己抗体はIgG3を含む。いくつかの実施形態では、自己抗体は、IgG1およびIgG3自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、自己抗体は、IgG1、IgG2およびIgG3自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、自己抗体は、IgG1、IgG3およびIgG4自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、自己抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、低下することは、抗体の少なくとも25%を除去することである。いくつかの実施形態では、低下することは、抗体の少なくとも50%を除去することである。いくつかの実施形態では、低下することは、抗体の少なくとも70%を除去することである。いくつかの実施形態では、低下することは、抗体の少なくとも75%を除去することである。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、自己抗体のパーセントである。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、タンパク質または断片に対する抗体のパーセントである。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、疾患に関連する抗体のパーセントである。
【0240】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象において抗体を減少させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、減少させることは投与前である。いくつかの実施形態では、抗体を減少させることは、循環抗体を減少させることである。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はタンパク質に対するものである。いくつかの実施形態では、抗体は、断片が由来するタンパク質に対するものである。いくつかの実施形態では、抗体は、断片の少なくとも1つが由来するタンパク質に対するものである。いくつかの実施形態では、減少させることは、断片の少なくとも1つが由来するすべてのタンパク質に対する抗体を減少させることである。いくつかの実施形態では、抗体はタンパク質複合体に対するものである。抗体を減少させる方法は当該技術分野で周知であり、例えば、プラズマフェレシス、静脈内Ig(IVIg)、抗体フィルタリング、およびB細胞標的化療法が含まれ、これらのいずれも使用することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、投与前の抗体のプラズマフェレシスを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本発明の治療薬を投与する前にB細胞標的化療法を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、B細胞標的化療法は抗B細胞療法である。いくつかの実施形態では、B細胞標的化療法はB細胞致死療法である。いくつかの実施形態では、B細胞標的化療法はpan B細胞療法である。いくつかの実施形態では、B細胞標的化療法は標的化療法ではない。本明細書で使用される場合、「標的B細胞療法」は、特異的抗体を産生する特異的B細胞クローンのみを標的とする療法である。いくつかの実施形態では、抗B細胞療法は抗B細胞抗体である。B細胞標的化抗体は当該技術分野で公知であり、非限定的な例として抗CD20抗体が挙げられる。抗CD20治療抗体は当該技術分野で周知であり、リツキシマブ、オクレリズマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、トシツモマブ、およびウブリツキシマブが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、B細胞標的化療法はリツキシマブである。
【0241】
核酸
別の態様では、本発明のタンパク質をコードする核酸分子が提供される。
【0242】
別の態様では、少なくとも2つの核酸分子を含む核酸系であって、第1の核酸分子が本発明のタンパク質複合体の第1のポリペプチド鎖をコードし、第2の核酸分子が本発明のタンパク質複合体の第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸系が提供される。
【0243】
別の態様では、少なくとも2つの核酸分子を含む核酸系であって、第1の核酸分子が、重症筋無力症自己抗体の第1のヒトタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と第1の二量体化ドメインとを含む第1のポリペプチド鎖をコードし、第2の核酸分子が、重症筋無力症自己抗体の第2のヒトタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片と第2の二量体化ドメインとを含む第2のポリペプチド鎖をコードする、核酸系が提供される。
【0244】
別の態様では、本発明の組成物のポリペプチド鎖をコードする核酸分子が提供される。
【0245】
別の態様では、本発明の組成物をコードする核酸分子が提供される。
【0246】
別の態様では、重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片および重症筋無力症自己抗体の第2のヒトタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の断片をコードする核酸分子が提供される。
【0247】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、核酸系は、重症筋無力症の処置に使用するためのものである。
【0248】
いくつかの実施形態では、核酸系は、本発明のタンパク質複合体の第3のポリペプチドをコードする第3の核酸分子をさらに含む。いくつかの実施形態では、核酸系は、本発明のタンパク質複合体の第4のポリペプチドをコードする第4の核酸分子をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸分子は、本発明の第1のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第2の核酸分子は、本発明の第2のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第3の核酸分子は、本発明の第3のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第4の核酸分子は、第4のポリペプチドをコードする。
【0249】
いくつかの実施形態では、核酸分子はベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは発現ベクターである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ポリペプチド鎖をコードするオープンリーディングフレームを含む。細胞内でのオープンリーディングフレームの発現は当業者に周知である。それは、多くの方法の中でも、トランスフェクション、ウイルス感染、または細胞のゲノムの直接変化によって行うことができる。発現ベクターは当該技術分野で周知であり、本発明のタンパク質複合体が発現されている標的細胞に適合する任意のベクターを使用することができる。
【0250】
ベクター核酸配列は、一般に、細胞内での増殖のための少なくとも1つの複製起点と、任意選択的で追加のエレメント、例えば異種ポリヌクレオチド配列、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー)、選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性)、ポリ-アデニン配列とを含有する。いくつかの実施形態では、ベクターはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明のタンパク質複合体が発現されている標的細胞での発現のために構成されている。
【0251】
ベクターは、非ウイルス法またはウイルス法を介して送達されるDNAプラスミドであり得る。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはポックスウイルスベクターであり得る。プロモーターは、哺乳動物細胞において活性であり得る。プロモーターは、ウイルスプロモーターであり得る。プロモーターは、細菌細胞において活性であり得る。プロモーターは、ヒト細胞において活性であり得る。プロモーターは、線維芽細胞において活性であり得る。本明細書で使用される「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼ、すなわちRNAポリメラーゼIIの開始部位の周りに集まっている転写制御モジュールの群を指す。プロモーターは、各々がおよそ7~20bpのDNAからなり、転写活性化因子またはリプレッサータンパク質のための1つ以上の認識部位を含む、個別の機能モジュールから構成されている。
【0252】
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームはプロモーターに動作可能に連結されている。「動作可能に連結される」という用語は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列(例えば、ベクターが宿主細胞に導入される場合、インビトロ転写/翻訳系において、または宿主細胞において)の発現を可能にする様式で1つ以上の調節エレメントもしくは複数のエレメントに連結されていることを意味することを意図している。
【0253】
いくつかの実施形態では、ベクターは、エレクトロポレーション(例えば、From et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,5824(1985)に記載されるように)、熱ショック、ウイルスベクターによる感染、小さなビーズもしくは粒子のマトリックス内、または表面(Klein et al.,Nature 327.70-73(1987))上のいずれかでの核酸による小さな粒子による高速弾道貫入などを含む標準的な方法によって細胞に導入される。
【0254】
いくつかの実施形態では、核酸配列は、RNAポリメラーゼII(RNAP IIおよびPol II)によって転写される。RNAP IIは、真核細胞に見出される酵素である。これは、DNAの転写を触媒して、mRNAならびにほとんどのsnRNAおよびマイクロRNAの前駆体を合成する。
【0255】
いくつかの実施形態では、哺乳動物発現ベクターには、限定されないが、Invitrogen社から入手可能なpcDNA3、pcDNA3.1(±)、pGL3、pZeoSV2(±)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promega社から入手可能なpCI、Strategene社から入手可能なpMbac、pPbac、pBK-RSVおよびpBK-CMV、Clontech社から入手可能なpTRES、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0256】
いくつかの実施形態では、レトロウイルスなどの真核生物ウイルスからの調節エレメントを含有する発現ベクターが本発明によって使用される。SV40ベクターには、pSVT7およびpMT2が含まれる。いくつかの実施形態では、ウシパピローマウイルスに由来するベクターには、pBV-1MTHAが含まれ、エプスタインバーウイルスに由来するベクターには、pHEBO、およびp2O5が含まれる。他の例示的なベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、およびSV-40初期プロモーター、SV-40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞での発現に有効であることが示されている他のプロモーターの指示下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが含まれる。
【0257】
いくつかの実施形態では、外側感染(lateral infection)および標的特異性などの利点を提供する組換えウイルスベクターがインビボ発現に使用される。一実施形態では、外側感染は、例えばレトロウイルスのライフサイクルに固有のものであり、単一の感染細胞が多くの子孫ビリオンを産生し、それが発芽して隣接する細胞に感染するプロセスである。一実施形態では、その結果、広い領域が急速に感染し、その大部分は最初は元のウイルス粒子に感染しなかった。一実施形態では、外側に広がることができないウイルスベクターが産生される。一実施形態では、この特徴は、所望の目的が、特定の遺伝子を局所的な数の標的細胞にのみ導入することである場合に有用であり得る。
【0258】
本発明の発現ベクターを細胞に導入するために、種々の方法を用いることができる。そのような方法は、一般に、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989)、Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995)、Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)およびGilboa et at.[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に記載されており、例えば、安定なまたは一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび組換えウイルスベクターによる感染が含まれる。さらに、ポジティブ-ネガティブセレクション法については、米国特許第5,464,764号明細書および同第5,487,992号明細書を参照されたい。
【0259】
一実施形態では、植物発現ベクターが使用される。一実施形態では、ポリペプチドコード配列の発現は、いくつかのプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、ウイルスプロモーター、例えばCaMVの35S RNAおよび19S RNAプロモーター[Brisson et al.,Nature 310:511-514(1984)]、またはTMVに対するコートタンパク質プロモーター[Takamatsu et al.,EMBO J.6:307-311(1987)]が使用される。別の実施形態では、植物プロモーター、例えば、RUBISCOの小サブユニット[Coruzzi et al.,EMBO J.3:1671-1680(1984);およびBrogli et al.,Science 224:838-843(1984)]または熱ショックプロモーター、例えばダイズhsp17.5-Eもしくはhsp17.3-B[Gurley et al.,Mol.Cell.Biol.6:559-565(1986)]が使用される。一実施形態では、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよび当業者に周知の他の技術を使用して、コンストラクトが植物細胞に導入される。例えば、Weissbach&Weissbach[Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pp 421-463(1988)]を参照されたい。当該技術分野で周知の昆虫および哺乳動物宿主細胞系などの他の発現系も本発明によって使用することができる。
【0260】
挿入されたコード配列(ポリペプチドをコードする)の転写および翻訳に必要なエレメントを含むこと以外に、本発明の発現コンストラクトは、発現されたポリペプチドの安定性、産生、精製、収率、または活性を最適化するように操作された配列も含み得ることが理解されるであろう。
【0261】
いくつかの実施形態では、核酸分子は単一の核酸分子である。いくつかの実施形態では、第1および第2の核酸分子は異なる分子である。いくつかの実施形態では、第1および第2の核酸分子は同じ分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のいずれか2つは異なる分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のいずれか2つは同じ分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のいずれか3つは異なる分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3の核酸分子は異なる分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のいずれか3つは同じ分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のすべては異なる分子である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3および第4の核酸分子のすべては同じ分子である。
【0262】
製造方法
別の態様では、タンパク質を生成する方法であって、該方法は、
第1のヒト受容体またはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒト受容体またはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒト受容体は、重症筋無力症自己抗体および異なるタンパク質の標的であり、第1の断片を第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成する、ステップを含み、
それによってタンパク質を生成する、方法が提供される。
【0263】
別の態様では、タンパク質を生成する方法であって、該方法は、
重症筋無力症自己抗体のヒト受容体標的の第1の断片を得るステップと、第1の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を第1の断片において生成するステップとを含み、
それによってタンパク質を生成する、方法が提供される。
【0264】
別の態様では、タンパク質複合体を生成する方法であって、該方法は、
重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第1の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第2の断片とを得るステップと、第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチドを生成し、第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成するステップとを含み、
それによってタンパク質複合体を生成する、方法が提供される。
【0265】
別の態様では、タンパク質を生成する方法であって、該方法は、
単一のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該単一のポリペプチド鎖は、
i.重症筋無力症自己抗体のヒト受容体標的の第1の断片を得るステップと、
ii.第1の断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を第1の断片において生成するステップとを含み、
それによってタンパク質を生成する、方法が提供される。
【0266】
別の態様では、タンパク質を生成する方法であって、該方法は、
単一のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該単一のポリペプチド鎖は、
i.第1のヒト受容体またはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第1の断片と、第2のヒト受容体またはその類似体もしくは誘導体の細胞外ドメインの第2の断片とを得るステップであって、第1および第2のヒト受容体は、重症筋無力症自己抗体および異なるタンパク質の標的である、ステップと、
第1の断片を第2の断片に連結して単一のポリペプチド鎖を生成するステップと
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質を生成する、方法が提供される。
【0267】
別の態様では、タンパク質複合体を生成する方法であって、該方法は、
少なくとも2本のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を含む1つ以上のベクターを含む宿主細胞を培養するステップであって、該2本のポリペプチド鎖は、
i.重症筋無力症自己抗体の第1のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第1の断片と、重症筋無力症自己抗体の第2のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第2の断片とを得るステップと、
ii.第1の断片を第1の二量体化ドメインに連結して第1のポリペプチドを生成し、第2の断片を第2の二量体化ドメインに連結して第2のポリペプチド鎖を生成するステップと
によって生成される、ステップ
を含み、
それによってタンパク質複合体を生成する、方法が提供される。
【0268】
いくつかの実施形態では、タンパク質はポリペプチドである。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、本発明のタンパク質複合体である。いくつかの実施形態では、タンパク質組成物は、本発明の組成物である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、本発明のタンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、本発明のポリペプチド鎖である。いくつかの実施形態では、断片は、本発明の断片である。いくつかの実施形態では、誘導体は、本発明の誘導体である。いくつかの実施形態では、類似体は、本発明の類似体である。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、本発明の二量体化ドメインである。いくつかの実施形態では、組成物、タンパク質複合体、タンパク質、断片、類似体、誘導体または二量体化ドメインは、上記のようなものである。
【0269】
いくつかの実施形態では、タンパク質はヒトタンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は細胞表面タンパク質である。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は同じタンパク質である。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は異なるタンパク質である。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は、重症筋無力症自己抗体の標的である。いくつかの実施形態では、第1および第2のタンパク質は、重症筋無力症に関連する自己抗体の標的である。いくつかの実施形態では、重症筋無力症は、第1および第2のタンパク質に対する自己抗体によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、タンパク質は受容体であり、断片は細胞外ドメインの断片である。いくつかの実施形態では、断片は、細胞外ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、断片は細胞外ドメインからなる。
【0270】
いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、本方法は、第1および第2のポリペプチドを接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、ポリペプチドを一緒にインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、細胞内で行われる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、インビトロで行われる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、二量体化を可能にするのに十分な条件下で行われる。いくつかの実施形態では、許容することは、誘導することである。いくつかの実施形態では、条件は、ポリペプチドの二量体化を可能にするのに十分である。いくつかの実施形態では、条件は生理学的条件である。
【0271】
いくつかの実施形態では、本方法は、第3の二量体化ドメインを第1のポリペプチドに挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、挿入することは、連結することである。いくつかの実施形態では、挿入することは、第3の二量体化ドメインをコードする核酸配列を、第1のポリペプチドをコードする核酸分子またはベクターに挿入することである。いくつかの実施形態では、連結することは、第3の二量体化ドメインを第1の二量体化ドメインに連結することである。いくつかの実施形態では、連結することは、第3の二量体化ドメインを第1の断片に連結することである。
【0272】
いくつかの実施形態では、本方法は、重症筋無力症自己抗体の第3のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第3の断片を得ることと、それを第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成することとをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第3および第4の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、本方法は、第1、第2および第3のポリペプチド鎖を接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第3のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を宿主細胞内で発現させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチド鎖は、第3のタンパク質の第3の断片を得ることと、それを第4の二量体化ドメインに連結して第3のポリペプチド鎖を生成することとによって生成される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1、第2および第3のポリペプチド鎖を細胞内で発現させることを含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、本方法は、第5の二量体化ドメインを第2のポリペプチドに挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、挿入することは、連結することである。いくつかの実施形態では、挿入することは、第5の二量体化ドメインをコードする核酸配列を、第2のポリペプチドをコードする核酸分子またはベクターに挿入することである。いくつかの実施形態では、連結することは、第5の二量体化ドメインを第2の二量体化ドメインに連結することである。いくつかの実施形態では、連結することは、第5の二量体化ドメインを第2の断片に連結することである。
【0274】
いくつかの実施形態では、本方法は、重症筋無力症自己抗体の第4のタンパク質標的またはその類似体もしくは誘導体の第4の断片を得ることと、それを第6の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成することとをさらに含む。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、第5および第6の二量体化ドメインは、互いに二量体化するように構成されている。いくつかの実施形態では、本方法は、第1、第2、第3および第4のポリペプチド鎖を接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第4のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を宿主細胞内で発現させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第4のポリペプチド鎖は、第4のタンパク質の第4の断片を得ることと、それを第6の二量体化ドメインに連結して第4のポリペプチド鎖を生成することとによって生成される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1、第2、第3および第4のポリペプチド鎖を細胞内で発現させることを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、本方法は、Fc領域を第1の鎖に挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Fc領域を第2の鎖に挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Fc領域を第3の鎖に挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Fc領域を第4の鎖に挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、Fc領域の一部を第1の鎖に挿入し、Fc領域の一部を第2の鎖に挿入することをさらに含み、2つの部分の界面が完全なFc領域を作り出す。
【0276】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、二量体化ドメインのC末端に挿入される。いくつかの実施形態では、Fc領域は、断片のC末端に挿入される。いくつかの実施形態では、Fc領域は、二量体化ドメインのN末端に挿入される。いくつかの実施形態では、Fc領域は、断片のN末端に挿入される。いくつかの実施形態では、断片は、二量体化ドメインのC末端に挿入または連結される。いくつかの実施形態では、断片は、二量体化ドメインのN末端に挿入または連結される。
【0277】
いくつかの実施形態では、本方法は、ポリペプチド鎖の少なくとも2つの部分の間にリンカーを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、断片と二量体化ドメインとの間に挿入される。いくつかの実施形態では、リンカーは、断片とFc領域との間に挿入される。いくつかの実施形態では、リンカーは、Fc領域と二量体化ドメインとの間に挿入される。いくつかの実施形態では、リンカーは、二量体化ドメインと別の二量体化ドメインとの間に挿入される。いくつかの実施形態では、リンカーは、断片と別の断片との間に挿入される。いくつかの実施形態では、リンカーは、第1のタンパク質の断片と第2のタンパク質の断片との間に挿入される。
【0278】
いくつかの実施形態では、本方法は、断片の溶解度を増加させる少なくとも1つの変異を断片に生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、変異断片の溶解度を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、溶解度が増加した変異断片を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、増加とは、少なくとも所定の閾値だけ増加することである。いくつかの実施形態では、増加とは、有意に増加することである。いくつかの実施形態では、増加とは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450または500%増加することである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、増加とは、少なくとも25%増加することである。いくつかの実施形態では、増加とは、少なくとも50%増加することである。
【0279】
いくつかの実施形態では、本方法は、断片の凝集を減少させる少なくとも1つの変異を断片に生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、変異断片の凝集を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、溶解度が減少した変異断片を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、減少とは、少なくとも所定の閾値だけ減少することである。いくつかの実施形態では、減少とは、有意に減少することである。いくつかの実施形態では、減少とは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450または500%減少することである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、減少とは、少なくとも25%減少することである。いくつかの実施形態では、減少とは、少なくとも50%減少することである。
【0280】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの変異が、第1の断片に対する自己抗体への第1の断片の結合を実質的に減少させないことを確認することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、変異した第1の断片への自己抗体の結合をさらに測定する。いくつかの実施形態では、本方法は、実質的に同じまたはより多くの自己抗体結合を含む変異断片を選択することを含む。いくつかの実施形態では、自己抗体および重症筋無力症自己抗体。いくつかの実施形態では、自己抗体は、重症筋無力症対象に見出される自己抗体である。いくつかの実施形態では、確認することまたは測定することは、変異断片を、重症筋無力症に罹患している対象からの試料と接触させることと、試料中の自己抗体の変異断片への結合を測定することとを含む。いくつかの実施形態では、試料は血液である。いくつかの実施形態では、試料は血清である。いくつかの実施形態では、試料は、単離された自己抗体を含む。いくつかの実施形態では、確認することまたは測定することは、非変異断片を、重症筋無力症を罹患している対象からの試料と接触させることと、試料中の自己抗体の変異断片への結合を測定することとを含む。いくつかの実施形態では、確認することまたは測定することは、非変異断片と変異断片との結合を比較することと、実質的により少ない自己抗体結合を有しない変異断片を選択することとを含む。いくつかの実施形態では、実質的により少ないとは、有意に少ないことである。いくつかの実施形態では、実質的により少ないとは、少ないことである。いくつかの実施形態では、実質的により少ないとは、5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%より少ない結合のことである。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、実質的により少ないとは、10%より少ない結合のことである。
【0281】
別の態様では、本発明の方法によって生成されるタンパク質複合体が提供される。
【0282】
別の態様では、本発明の方法によって生成されるタンパク質が提供される。
【0283】
別の態様では、本発明の方法によって生成された組成物が提供される。
【0284】
患者選択
別の態様では、本発明の方法によって処置される対象の適性を決定する方法であって、対象から試料を受け取るステップと、試料を本発明の組成物と接触させるステップと、試料内の抗体の組成物への結合を決定するステップとを含み、抗体の組成物への結合が、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって処置される対象の適性を決定する、方法が提供される。
【0285】
別の態様では、本発明の方法によって処置される対象の適性を決定する方法であって、対象から試料を受け取るステップと、試料を本発明のタンパク質複合体と接触させるステップと、試料内の抗体のタンパク質複合体への結合を決定するステップとを含み、タンパク質複合体への抗体の結合が、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって処置される対象の適性を決定する、方法が提供される。
【0286】
別の態様では、本発明の方法によって処置される対象の適性を決定する方法であって、対象から試料を受け取るステップと、試料を本発明のタンパク質と接触させるステップと、試料内の抗体のタンパク質への結合を決定するステップとを含み、タンパク質への抗体の結合が、対象が本発明の方法によって処置されるのに適していることを示し、それによって処置される対象の適性を決定する、方法が提供される。
【0287】
いくつかの実施形態では、対象は、処置を必要とする対象である。いくつかの実施形態では、対象は、上記のような対象である。いくつかの実施形態では、対象は、重症筋無力症を罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、重症筋無力症に関連する自己抗体が陽性であることが知られている。いくつかの実施形態では、対象は血清反応陽性である。いくつかの実施形態では、対象は血清反応陰性である。いくつかの実施形態では、対象は処置に対してナイーブである。いくつかの実施形態では、処置は、重症筋無力症の処置である。いくつかの実施形態では、対象は処置を受けており、再発している。
【0288】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象から試料を得ることを含む。いくつかの実施形態では、試料は組織を含む。いくつかの実施形態では、試料は生検材料である。いくつかの実施形態では、試料は体液である。いくつかの実施形態では、体液は血液である。いくつかの実施形態では、体液は血清である。いくつかの実施形態では、体液は血漿である。いくつかの実施形態では、体液は、抗体を含む流体である。いくつかの実施形態では、体液は、血液、血清、血漿、腸液、唾液、腫瘍液、尿、間質液、脳脊髄液および便のうちの少なくとも1つから選択される。
【0289】
いくつかの実施形態では、自己抗体は重症筋無力症自己抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体はAChRに対するものである。いくつかの実施形態では、自己抗体は、AChRに対する抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は、AChRサブユニットに対する抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体はAChRサブユニットに対するものである。いくつかの実施形態では、自己抗体は病理学的自己抗体である。いくつかの実施形態では、自己抗体は、疾患を引き起こす自己抗体である。
【0290】
いくつかの実施形態では、接触させることは、インキュベートすることである。いくつかの実施形態では、接触させることは、タンパク質複合体への抗体の結合に十分な条件下で行われる。いくつかの実施形態では、条件は、抗体がタンパク質複合体に結合するのに十分な時間を含む。いくつかの実施形態では、条件は生理学的条件を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は試料に添加される。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は体液に溶解される。いくつかの実施形態では、抗体は自己抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、タンパク質に対する抗体である。
【0291】
いくつかの実施形態では、タンパク質またはタンパク質複合体への少なくとも閾値量の抗体の結合は、対象が処置に適していることを示す。いくつかの実施形態では、タンパク質またはタンパク質複合体への閾値量を超える抗体の結合は、対象が処置に適していることを示す。いくつかの実施形態では、抗体の量は抗体の数である。いくつかの実施形態では、抗体の量は、抗体のパーセンテージである。いくつかの実施形態では、パーセンテージは、試料中の抗体のパーセンテージである。いくつかの実施形態では、閾値は、試料中の抗体の10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70または75%である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、閾値は20%である。いくつかの実施形態では、閾値は25%である。いくつかの実施形態では、閾値は50%である。いくつかの実施形態では、閾値は70%である。いくつかの実施形態では、閾値は75%である。
【0292】
いくつかの実施形態では、組成物は、検出可能な部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、検出可能な部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、検出可能な部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、組成物、複合体および/またはタンパク質を、検出可能な部分を含むペプチドと接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、組成物、タンパク質および/または複合体に結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、ペプチドは、組成物、タンパク質および/または複合体に特異的である。本明細書で使用される場合、「特異的結合」という用語は、他の分子を排除して特異的分子に結合することを指す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、組成物、タンパク質および/または複合体に特異的であり、試料中の他のタンパク質を排除する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、試料中の天然に存在する抗体を排除するための組成物、タンパク質および/または複合体に特異的である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、試料中の抗体を排除するための組成物、タンパク質および/または複合体に特異的である。いくつかの実施形態では、結合を決定するステップは、その部分を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、決定することは、タンパク質複合体を単離することを含む。いくつかの実施形態では、決定することは、複合体から抗体を溶出させることを含む。タンパク質同定の方法は当該技術分野で周知であり、任意のそのような方法を使用することができる。そのような方法の例としては、ウェスタンブロッティング、ELISA、FACS分析および質量分析などによるタンパク質配列決定が挙げられる。いくつかの実施形態では、決定することはELISAを含む。いくつかの実施形態では、ELISAは競合ELISAである。いくつかの実施形態では、競合ELISAは抗体との競合を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、疾患に関連する抗体である。
【0293】
いくつかの実施形態では、結合は、正の結合である。いくつかの実施形態では、結合は、所定の閾値を超える結合である。いくつかの実施形態では、結合は、特異的結合である。いくつかの実施形態では、結合は、タンパク質複合体の断片の少なくとも1つに結合することである。いくつかの実施形態では、結合は、タンパク質複合体の断片の少なくとも2つに結合することである。いくつかの実施形態では、結合は、タンパク質複合体の断片の少なくとも3つに結合することである。いくつかの実施形態では、結合は、タンパク質複合体の断片の少なくとも4つに結合することである。いくつかの実施形態では、試料中の抗体の少なくとも10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、95、97、99または100%の結合。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、試料中の抗体の少なくとも50%の結合。いくつかの実施形態では、試料中の抗体の少なくとも70%の結合。いくつかの実施形態では、試料中の抗体の少なくとも75%の結合。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、自己抗体のパーセントである。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、タンパク質に対する抗体のパーセントである。いくつかの実施形態では、抗体のパーセントは、疾患に関連する抗体のパーセントである。
【0294】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値と組み合わせた場合、基準値の±10%を指す。例えば、約1000ナノメートル(nm)の長さは、1000nm±100nmの長さを指す。
【0295】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は、複数のそのようなポリヌクレオチドを含み、「ポリペプチド」への言及は、当業者に公知の1つ以上のポリペプチドおよびその等価物への言及などを含む。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙または「否定的」限定の使用に関連して、「単独で」、「のみ」などのような排他的な用語を使用するための先行詞としての役割を果たすことを意図している。
【0296】
「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣用句が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者が慣用句を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、および/またはAとBとCとを一緒に有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の選言的な単語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれかにかかわらず、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0297】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態では組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切な部分的組み合わせで提供されてもよい。本発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、あたかも各々およびすべての組み合わせが個別に明示的に開示されているかのように本明細書に開示される。さらに、様々な実施形態およびその要素のすべての部分的組み合わせもまた、本発明によって具体的に包含され、あたかもそのような部分的組み合わせの各々およびすべてが個別に明示的に本明細書に開示されているかのように本明細書に開示される。
【0298】
本発明の更なる目的、利点、および新規な特徴は、限定することを意図するものではない以下の実施例を検討することによって当業者に明らかになるであろう。上記で明確にされ、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態および実施形態は、以下の実施例において実験的裏付けが見出される。
【0299】
上記で明確にされ、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態および実施形態は、以下の実施例において実験的裏付けを見出す。
【実施例
【0300】
一般に、本明細書で使用される命名法および本発明で利用される実験手順には、分子的、生化学的、免疫学的、微生物学的および組換えDNA技術が含まれる。そのような技術は文献で十分に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」 Sambrook et al.,(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」 Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,「Current Protocols in Molecular Biology」,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「A Practical Guide to Molecular Cloning」,John Wiley&Sons,New York(1988);Watson et al.,「Recombinant DNA」,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds)「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);methodologies as set forth米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書および同第5,272,057号明細書に記載されている方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994);「Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique」 by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition;「Current Protocols in Immunology」 Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),「Basic and Clinical Immunology」(8th Edition),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),「Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual」 CSHL Press(1996);を参照されたい(これらのすべては参照により組み込まれる)。他の一般的な参考文献がこの文書全体にわたって提供される。
【0301】
実施例1:
全重症筋無力症(MG)患者の80~90%がアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体を有することが見出されている。しかしながら、アセチルコリン受容体複合体は5つのサブユニット(アルファ1、ベータ1、ガンマ、デルタおよびイプシロン)で構成されている。MG患者の診断評価は、一般に、一方のサブユニットに対する抗体と他方のサブユニットに対する抗体とを区別しない。それにもかかわらず、MG治療薬を生成する際のほとんどの抗原特異的試みは、AChRのアルファサブユニット(AChRa)と、この分子に対する自己抗体を標的とする治療薬とに焦点を当ててきた。
【0302】
実際に抗AChRα1を有する重症筋無力症集団のパーセンテージを決定するために、335人のAChR血清反応陽性MG患者から血清試料を採取した。シスループ修飾AChRα1細胞外ドメイン(ECD、配列番号131)をデコイ枯渇分子として使用して、試料を直接ELISAアッセイで試験した(プロセスの例は図1Fに記載している)。このアッセイのために、そのすべてのサブユニットを有する完全なAChR複合体を血清中の自己抗体に結合するためのベイトとして使用した。この結合アッセイを、漸増濃度の固相結合AChRα1の存在下または非存在下で実施し、結合の減少パーセントを各試料について測定した(図1A)。AChR受容体結合の減少は、AChRα1に対して存在する自己抗体の濃度に比例する。驚くべきことに、一部の対象は非常に高いレベルの阻害を有し、主にAChRα1に対する自己抗体の存在を示したが(図1A、左端の試料;および図1B)、他の対象は中程度のレベルの阻害しか示さず、自己抗体の大部分がアルファサブユニットに対してではなかったことを示し(図1C)、さらに他の対象は実質的な阻害を有さず、AChRに対する自己抗体が陽性であったにもかかわらず、それらの自己抗体の10%以下がAChRα1に対してであったことを示した(図1D)。重要なことに、全AChR結合を測定したとき(図1E)、全抗体濃度と抗AChRα1である抗体のパーセントとの間に相関がなく(図1G)、最も高い全抗体価を有する試料のいくつかは、抗AChRa1自己抗体が低いかまたは存在しなかった。
【0303】
実施例2:
ほとんどのMG患者の自己抗体レパートリーをよりよく理解するために、Zisimopoulou et al.,2008,「Antigen-specific apheresis of human anti-acetylcholine receptor autoantibodies from myasthenia gravis patients’ sera using Escherichia coli-expressed receptor domains」で提供されたデータを分析した。試験した41人の患者試料を、全抗AChR自己抗体プールに対する各AChRサブユニットに対する自己抗体の寄与に基づいてマッピングした(図2A)。見て分かるように、アルファサブユニットに対する自己抗体は多くの対象に寄与するが、他の多くは主に他のサブユニットに対する自己抗体を有し、実際に大部分は異なるサブユニットを標的とする自己抗体の組み合わせを有する。したがって、単一のAChRサブユニットまたはサブユニットの組み合わせのいずれかと接触させることによって少なくとも50%または75%の阻害を有するであろう対象の割合を示すプロットを作成した(図2B)。驚くべきことに、アルファサブユニット単独、実際にはサブユニットのいずれか単独は、試験した患者のいずれにおいても75%のブロッキングをほとんど生じない。実際、アルファサブユニット単独では、患者の約20%において50%を超える阻害しかもたらさないであろう。
【0304】
MG治療薬が標的集団の少なくとも50%を処置し、自己抗体の50%超、理想的には75%超を中和することができるためには、アルファ/ベータ/ガンマ/デルタ/イプシロンの組み合わせが必要であろう(図2B)。潜在的には自己抗体のレベルの任意の低下が有益であり得るが、実質的な低下をもたらし得、MG集団の大部分に対して有効であり得る処置をもたらすためには、複数のAChRサブユニットを標的とする必要がある。これは、これらのサブユニットの二重および三重の組み合わせでも達成することができる。
【0305】
実施例3:
MG患者の長期寛解は、自己抗体プールを産生する自己反応性B細胞の大部分を除去する必要がある。MGの症候の処置に潜在的に効果的であるが、自己抗体を単に循環から除去するだけでは、長寿命のB細胞が新しい自己抗体を作り続けるため、対象の残りの寿命の間、反復処置が必要になる。重要なことに、自己抗体を産生したB細胞は、自己抗体と同一の表面にB細胞受容体(BCR)を発現する。これにより、B細胞自体が、BCR-(および自己抗体)特異的エピトープを含有する治療薬によって標的化されることが可能になる。標的エピトープを抗体重鎖のFc領域に連結することにより、治療薬は、自己抗体産生B細胞の特異的死滅を指示することができる。このアプローチはまた、自己反応性BCRを保有するすべての細胞がその分化状態にかかわらず標的化されるので、細胞表面上の特異的分化マーカー(例えば、CD19、CD38、BCMA)を標的化する薬剤を使用した場合に生じる、特異的亜集団の潜在的回避にも堅牢である。このアプローチはまた、自己反応性BCRを保有しているか否かにかかわらず、非特異的分化マーカー(例えば、CD19、CD38、BCMA)を標的とする処置によって損傷を受ける非自己反応性亜集団を保護および保存するのに有益である。
【0306】
図3Aは、本発明の治療剤の一実施形態を示す。免疫グロブリン(Ig)様タンパク質複合体101は、4本のポリペプチド鎖:2本の重鎖様ポリペプチド110および2本の軽鎖様ポリペプチド120を含む。鎖110は、それらの間のジスルフィド結合を介して二量体化することができる。さらに、鎖110は、CH3ドメイン111、CH2ドメイン112、ヒンジ領域113およびCH1ドメイン114のいずれかまたはすべてを含み得る。この実施形態では、ヒンジ領域113はジスルフィド結合を含み、二量体化ドメインとして作用するが、他の二量体化ドメインの使用も可能である。これらのドメインは当該技術分野で周知であり、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、およびIgDドメインのいずれかから選択することができる。当業者は、鎖110に組み込まれたIgG1およびIgG3のFc部分が、分子が抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導することを可能にすることを理解するであろう。鎖120は、CH1ドメイン114およびCLドメイン124に見出されるジスルフィド結合を介して鎖110と二量体化することができる。
【0307】
鎖110および120は、天然に存在する抗体または人工の抗体とは異なり、可変領域を欠いている。各鎖は、可変領域の代わりに、ヒトアセチルコリン受容体の細胞外部分からの断片130を有する。各鎖は、同じAChRサブユニットまたは異なるサブユニットを有するように生成することができる。実際、図3Bに示すように、2つの重鎖115および116は、鎖115が例えばベータサブユニット131を含み、鎖116がガンマサブユニット132を含むように別々に操作することができる。同じことが軽鎖125および126にも当てはまり、これらは、例えば、アルファ133およびイプシロン134サブユニットを含むことができる。したがって、治療用分子は、単一サブユニットの4つのコピー(図3C)、2つの異なるサブユニットの各々2つのコピー(図3D)、または4つの異なるサブユニットの各々1つのコピー(図3B)またはそれらの任意の他の組み合わせで設計することができる。実際、分子は、1つのサブユニットの3つのコピーと別のサブユニットの1つのコピーとで、または1つのサブユニットの2つのコピーと2つの他のサブユニットの1つのコピーとで操作できるほど十分にモジュール化されている。図3Eは、2つの軽鎖が同一であるが、2つの重鎖が異なる実施形態を示す。また、図3Fは、2つの重鎖が同一であり、2つの軽鎖が異なる実施形態を示す。重要なことに、治療用分子は、5つの異なるAChRサブユニットのうちの4つを含むように操作することができ、これは上記で説明したように、AChR陽性患者の少なくとも50%において50%を超える阻害を誘導することができ、試験したすべての患者において少なくとも40%の阻害を誘導することができる。任意の鎖が任意のサブユニットを含むことができ、図3A図3Fに示されている鎖とサブユニットとの組み合わせは例示的なものにすぎず、限定的なものではないことが当業者によって理解されるであろう。
【0308】
図4A図4Fは、2本の鎖のみが組み合わされた本発明のいくつかの実施形態を示す。図4A~Eでは、タンパク質複合体201は、具体的には2つの重鎖である2本のポリペプチド鎖を含む。重鎖215および216は、任意選択で、CH2 212、CH3 211および/またはCH1 214ドメインを含むことができる。この実施形態では、二量体化ドメインは、ジスルフィド結合を介して二量体化する重鎖ヒンジ213であるが、他の二量体化ドメインも想定される。図4Bは、CH2ドメイン212またはCH3ドメイン211またはCH1ドメイン214を含まない分子を示す。これらのドメインのうちの2つを欠く組み合わせも想定される(図4B)。各鎖は、可変領域の代わりに、ヒトアセチルコリン受容体の細胞外部分からの断片230を有する。各鎖は、同じAChRサブユニット(図4C)または異なるサブユニット(図4D)を有するように生成することができる。2つの異なるサブユニットが用いられる場合、215および216の主にヘテロ二量体が形成され、ホモ二量体ではないように分子を設計することが有利である。同じことが、図3における鎖115および鎖116のヘテロ二量体の形成にも当てはまる。ホモ二量体化を阻害し、ヘテロ二量体化を促進する、Knobs-in-Holes、DuoBodiesなどのCH3/CH2ドメインにおける変異を設計するための当該分野で公知の技術が多数存在する。任意のそのような技術を用いることができる。
【0309】
図4Eには、2つの重鎖を含む代替構成が示されている。可変領域の代わりに単一の断片230を含む代わりに、2つのタンデム断片230が使用される。これらの断片は、任意選択のリンカー290によって分離されていてもよい。この構成は、重鎖可変部および軽鎖可変部が単一のペプチド上にある1本鎖抗体と構造が類似しており、図3Dに示される分子と本質的に等価である。重鎖215および216は、任意選択で、CH2 212、CH3 211および/またはCH1 214ドメインを含むことができる。この実施形態では、二量体化ドメインは、ジスルフィド結合を介して二量体化する重鎖ヒンジ213であるが、他の二量体化ドメインも想定される。簡単にするために、3つすべてのCHドメインを含む例を、CH1ドメインを欠く例として示す。CH2またはCH3ドメインを欠くか、またはこれらのドメインのいずれか2つを欠く分子も想定される。断片230は、任意のAChRサブユニットに由来し得ることが理解されるであろう。したがって、2つの同じサブユニットのリピートを1本鎖上に挿入することができ(図4F、2つのAChRgサブユニット232)、または2つの異なるサブユニットを1本鎖上で組み合わせることができる(図4G、AChRgサブユニット232およびAChRaサブユニット233)。当然のことながら、ホモ二量体化よりもヘテロ二量体化を促進するために様々な技術が使用され得るので、重鎖は同一である必要はない(図4H、一方の鎖上のAChRgサブユニット232およびAChRaサブユニット233ならびに他方の鎖上のAChRdサブユニット234およびAChRbサブユニット231)。
【0310】
当然のことながら、2つの重鎖が同一でない場合、分子は、2つのタンデム断片230を含有する重鎖の一方のみを有し、単一断片230を含有する他方の重鎖を有するか(図4I)、または断片を含有しない(図4J)ように設計することができる。同じ断片が、すべての位置の両方の鎖に含まれ得る(図4K、一方の鎖上の2つのAChRgサブユニット232および他方の鎖上の単一のAChRgサブユニット232)、両方の鎖に含まれるが、タンデム位置に異なるサブユニットを有する(図4L、一方の鎖上のAChRgサブユニット232およびAChRaサブユニット233ならびに他方の鎖上の単一のAChRgサブユニット232)、または3つすべての断片が異なり得る(図4M、一方の鎖上のAChRgサブユニット232およびAChRaサブユニット233ならびに他方の鎖上の単一のAChRbサブユニット231)。
【0311】
図4Nでは、2つの重鎖を含む代替的な構成が示されており、3つのタンデム断片230が両方の鎖に使用されている。これらの断片は、任意選択のリンカー290によって分離されていてもよい。2つのタンデム断片と同様に、断片が同じ(図4O)、または異なる(図4P)構成が可能である。さらに、2本の鎖は、同じ断片(図4Q)または同じ数の断片(図4R)を含む必要はない。図4F図4RはCH2 212およびCH3 213ドメインのみを有する分子を示しているが、それらはCH1ドメイン214またはさらにはドメインの1つのみ(CH1、CH2またはCH3)を含むように構築することもできることが理解されるであろう。
【0312】
図4Sでは、タンパク質複合体201は、具体的には重鎖215および軽鎖220である2本のポリペプチド鎖を含む。そのような実施形態では、二量体化ドメインは、CH1ドメイン214およびCLドメイン224である。重鎖215は、任意選択で、CH3ドメイン211、CH2ドメイン212および/またはヒンジ領域213を含み得る。ヒンジドメインが存在しないことは、2本の重鎖215のホモ二量体化を排除するための一つの選択肢である。代替的に、(例えば、セリンまたはグルタミンへの)システイン置換/変異をヒンジに導入してもよく、またはヘテロ二量体化を促進し、ホモ二量体化を阻害するCH2/CH3領域の変異の1つを用いてもよい。可変領域の代わりに、各鎖は、任意のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの細胞外部分からの断片230を有する。
【0313】
重鎖315、重鎖316および軽鎖320の3本の鎖を有するタンパク質複合体301の作製も想定される(図5A図5D)。図5Aは、重鎖316がCH1ドメインの代わりにCLドメイン364を含む1つの可能な実施形態を示す。315/316ヘテロ二量体を確保する上記の方法を用いることができる。重鎖315および316は、任意選択でCH3ドメイン311、CH2ドメイン312および/またはヒンジ領域313を含んでもよく、または異なる二量体化ドメインを用いてもよい。軽鎖320内のCLドメイン324は、重鎖315内のCH1ドメイン314としか二量体化することができない。可変領域の代わりに、各鎖は、任意のヒトアセチルコリン受容体サブユニットの細胞外部分からの断片330を有する。3本の鎖はすべて同じ断片(例えば、AChRg断片332、図5B)を含むことができ、3本の鎖はすべて異なる断片(例えば、AChRb断片331、AChRg断片332およびAChRa断片333、図5C)を含むことができ、または3本の鎖は1つが繰り返される2つの異なる断片(例えば、AChRg断片332およびAChRa断片333、図5D)を含むことができる。図5Dは、軽鎖および重鎖のいずれかとして2つの同一の断片を有することもでき、したがって、この実施形態には3つの異なる構成があることが当業者には理解されるであろう。
【0314】
CH1ドメインの代わりにCLドメインを含む重鎖の1つを用いたこの構成はまた、4つの異なる断片とのタンパク質複合体の形成を可能にすることができる。図3Bのタンパク質複合体と同様に、図6に示すタンパク質複合体401は、各鎖上に4つの異なる断片を有する。この実施形態では、断片AChRa 433、AChRb 431、AChRg 432およびAChRe 434が用いられるが、当業者であれば、任意の4つの断片を使用できることを理解するであろう。MGの処置のために、具体的には、AChRa、AChRb、AChRg、AChRd、およびAChReのいずれか4つを使用することができる。同じタンパク質からの異なる断片が異なる鎖上にあり得る実施形態も想定される。この実施形態では、第2の軽鎖426は、重鎖416のCLドメイン464と二量体化することができるようにCH1ドメイン474を含む。重鎖415はCH1ドメイン414を含み、軽鎖425はCLドメイン424を含む。これにより、鎖425は鎖415のみと二量体化することができ、鎖426は鎖416のみと二量体化することができる。本明細書の上記で記載されるように、任意選択のCH2ドメイン412およびCH3ドメイン413における変異を用いて、鎖415および416のヘテロ二量体化を促進することができる。ヒンジ領域413は、ここでは2つの重鎖間の二量体化ドメインとして使用されるが、任意の二量体化ドメイン(CH1/CL以外)を用いることができる。
【0315】
上記の実施形態では、免疫グロブリン骨格が示され、記載されているが、他の二量体化ドメインを選択することによって同様の分子が得られることが当業者によって理解されるであろう。図7A図7Dは、一般的なタンパク質複合体501を示す。図7Aでは、第1の鎖515は、第2の鎖516の第2の二量体化ドメイン(DD2)573と特異的に二量体化することができる第1の二量体化ドメイン(DD1)563を含む。鎖515は、第3の鎖525の第4の二量体化ドメイン(DD4)524と特異的に二量体化することができる第3の二量体化ドメイン(DD3)514をさらに含む。鎖516は、第4の鎖526の第6の二量体化ドメイン(DD6)574と特異的に二量体化することができる第5の二量体化ドメイン(DD5)564をさらに含む。4本の鎖の各々はまた、重症筋無力症自己抗体のヒトタンパク質標的の断片530を含む。上述のように、これらの標的には、AChRa、AChRb、AChRg、AChRd、およびAChReが含まれる。これらはすべて同じアミノ酸配列を有する同じ断片であり得るか、または異なる配列(同じタンパク質または異なるタンパク質のいずれかからのもの)であり得る。
【0316】
図7Bは、各別個のドメインがリンカーによって分離されている、図7Aの代替実施形態を示す。これらのリンカーはすべて任意選択であり、リンカーの組み合わせが想定されることが当業者によって理解されるであろう。図7Bの構成は、様々なドメイン/断片のいずれかまたはすべての間にリンカー用いることもできることがさらに理解されるであろう。
【0317】
図8A図8Eには、本発明の1本鎖実施形態が示されている。図8Aは、第1のアセチルコリン受容体サブユニット(AChRa、633)の断片および第2アセチルコリン受容体サブユニット(AChRg、632)の断片を含有する1本鎖融合タンパク質601を示す。当然のことながら、2つの異なる断片の任意の置換を使用できることが理解されるであろう。具体的には、2つの異なるタンパク質からの断片を使用することができる。図8Bおよび図8Cは、同様の実施形態を示すが、異なるタンパク質からの3つおよび4つの断片をそれぞれ含む。図8Dに示されるように、1本鎖はまた、少なくともCH3ドメイン611と、任意選択でCH1ドメイン614、ヒンジ領域613および/またはCH2ドメイン612とを有する重鎖定常領域を含み得る。最後に、アミノ酸リンカーを使用して、1本鎖のドメインのいずれかを分離することができる。図8Eは、2つ、3つ、または4つの断片がすべてリンカー690によって分離されている実施形態、ならびに断片633および632がリンカー690によって分離されており、リンカー690がC末端断片632もCH1ドメイン614から分離している実施形態を示す。CH1ドメイン614、ヒンジ領域613、CH2ドメイン612およびCH3ドメイン611を分離するリンカーは示されていないが、これらのドメインのいずれかまたはすべてがリンカーによって分離され得ることは当業者には理解されるであろう。さらに、これらの様々なリンカーはすべて同じ配列を含むことができ、または異なるアミノ酸配列から作製できることが理解されるであろう。また、1つのみまたは5つすべての断片を有する順列が想定されることが理解されるであろう。
【0318】
図4図8には示されていないが、アセチルコリン受容体サブユニットは変異を含有し得る。そのような変異は、本明細書の上記で記載されるように、溶解度を増加させ得る。そのような変異は、本明細書の上記で記載されるように、リガンド結合を阻害し得る。そのような変異は、凝集を減少させ得る(例えば、本明細書の上記で記載される)。上記および図4図8に示される構築物のいずれも、断片の1つまたは多くにそのような変異を含み得る。
【0319】
上記の各種分子は、様々な形態で生成された。溶解度が増加した(Lazaridis et al.,2014,「Expression of human AChR extracellular domain mutants with improved characteristics」,Int J Biol Macromol.2014 Feb;63:210-7(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示される)ループ置換サブユニットECD(配列番号131~135)を使用して、溶解度の増加に起因してはるかに高いタンパク質収率を生成することができるため、これらの分子を生成した。
【0320】
実施例4:
大部分のMG集団を処置する能力をさらに試験するために、本明細書の上記のインビトロ枯渇アッセイをより大きなコホートにおいて繰り返す。5つのECD-ループ置換サブユニット:アルファ-1、ベータ-1、ガンマ、デルタおよびイプシロンからのAChRサブユニットの最適な組み合わせは、集団の少なくとも50%において抗AChR抗体を中和する能力に基づいて決定される。本発明の以下の分子(タンパク質複合体):1)α1-CL/β1-CH1-CH2-CH3(図3D);2)α1-CL/β1-CH1-CH2-CH3/γ-CH1-CH2-CH3(図3E)または3)α1-CL/β1-CH1-CH2-CH3/ε-CH1-CH2-CH3(図3E)をアッセイに用いると、この上昇したレベルのブロッキングが生じることが示される。
【0321】
ラットにおけるMGモデルの誘導および臨床評価
受動的移行MGモデル:雌Lewisラットに、MGを誘発するためにAChRサブユニットに対する抗体を腹腔内または皮下注射し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるLosen et al.Experimental Neurology 270,2015の方法に従ってEAMG臨床スコアの変化について評価した。本発明の分子を、抗AChRサブユニット抗体投与後の異なる用量および異なる時点で静脈内または皮下投与し、対照と比較して、自己反応性抗体の力価を低下させ、MG臨床スコアを低下させ、処置群の全生存率を増加させる本発明の分子の能力を決定する。アルファ1 AChRサブユニットを調べるために、本発明の分子α1-CL/β1-CH1-CH2-CH3(図3D)を、mAb35抗アルファ-1モノクローナル抗体投与後の異なる用量および異なる時点で静脈内投与した。群#1(n=12)のラットには、陰性対照としてPBSを投与した。群#2(n-10)のラットには、10mg/kgの本発明の分子の4つの用量を投与した。抗体投与の4、12、24および32時間後に用量を投与した。群#3のラット(n=6)には、抗体投与の7時間後に40mg/kgの用量を1回投与した。群#4のラット(n=6)には、抗体投与の7時間後に20mg/kgの用量を1回投与した。群#6のラット(n=6)には、抗体投与の7時間後に6mg/kgの用量を1回投与した。群#5(n=6)のラットにも、抗体投与の7時間後に20mg/kgの用量を1回投与したが、この投与は皮下投与であった。用量または投与経路にかかわらず、本発明の分子は、抗体処置ラットのMG臨床スコアを一貫して低下させた(図3G)。さらに、20または40mg/kgの1回用量が6mg/kgの単回用量よりもわずかに優れているため、用量依存性が観察された。興味深いことに、10mg/kgの4つの用量が最良の臨床効果を示した。皮下投与は、PBS対照よりも改善を示すことを示し、I.V.投与よりも有意に劣っている。ラットの全生存率も測定した(図3H)。生存の場合、すべてのI.V.注射が5日超後に100%の生存をもたらしたので、処置間のわずかな差は観察できなかった。ここでも皮下投与は効果が低下した。
【0322】
次に、本発明の分子(α1-CL/β1-CH1-CH2-CH3)とIVIGの等価物との比較を試験した。IVIGがMGを処置する可能性が高い機構は、身体を非特異的抗体で飽和させることによる全体的な抗体産生の減少によるものである。さらに、飽和レベルのFcの存在は、全身のFc受容体と競合する。これを模倣するために、受動的MGラットを、静脈内投与による1用量の20mg/kgの分子、または各々がFcに連結された2つの異なる無関係なタンパク質の同じ用量で処置した。これらの非特異的Fcは、本質的にIVIGと等価である。図3Iに見出されるように、予想どおり、本発明の分子は臨床スコアに対して顕著な効果を有した(図3Gも参照されたい)。非特異的Fcは非常に穏やかな陽性効果を有したが、特異的分子よりも有意に悪化していた。マウスの生存が観察された場合、同様の結果が観察され(図3J)、本発明の分子は100%の生存をもたらしたが、非特異的分子は中程度の改善しかもたらさなかった。
【0323】
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用した親和性の分析:mAb35抗体に対するα1-ECDモノマーおよびα1-CL/α1-CH1-CH2-CH3(図3C)テトラマーまたはα1-CH2-CH3(図4B)ダイマーの親和性対結合活性をSPRデバイスを使用して測定する。mAb35抗体をリガンドとしてセンサーチップ上に固定する。異なる濃度のα1-モノマー、α1-CL/α1-CH1-CH2-CH3テトラマー(図3C)およびα1-CH2-CH3ダイマー(図4B)を分析物として反応させる。代替的に、α1-モノマー、α1-CL/α1-CH1-CH2-CH3テトラマー(図3C)および/またはα1-CH2-CH3ダイマー(図4B)をセンサーチップ上にリガンドとして固定する。異なる濃度のmAb35抗体を分析物として反応させる。得られたセンサグラムを、SPR評価ソフトウェアを使用したグローバルフィッティング法により解析する。上記のα1-ECDダイマーおよびテトラマー分子が、α1-モノマー(親和性)と比較してmAb35抗体への結合強度(結合活性)を増加させる能力を決定する。
【0324】
実施例5:サブユニット凝集を減少させる変異
ACHRサブユニットは、一緒に複合体化して活性受容体を形成することを意味する。しかしながら、サブユニットを各々個別に発現させた場合、自己相互作用が非常に大きくなり、高レベルの凝集をもたらすことが観察された。したがって、凝集に関与すると仮定された様々なサブユニットの領域に変異が生じた。特に、ジスルフィド結合を引き起こし得る遊離シトシンが消失した。サブユニット上のBi相互作用表面を破壊し、疎水性表面をより親水性にした。変異体は、自己抗体エピトープおよび抗体結合を大きく破壊せずに凝集を減少させるように設計された。ループ置換サブユニットを変異の基礎として使用した。
【0325】
表2~4は、アルファ、ガンマおよびデルタサブユニットにおいて作製された変異を提供する。ベータサブユニットは実質的な凝集を示さなかったので、変異体はそのために設計されなかった。分子をCHO細胞における一過性発現によって発現させ、タンパク質をニッケルカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。精製目的のために、各サブユニットのC末端に剛性リンカーを付加し、続いてHis-Aviタグ(HHHHHHHHPGSGLNDIFEAQKIEWHE、配列番号138)を付加した。タンパク質を還元SDSページおよび非還元SDSページの両方で可視化して凝集を可視化し、ウエスタンブロットを使用してバンドが実際に発現サブユニットの凝集体であることを確認した。最後に、生成したタンパク質をSEC-HPLCで調べた。すべてのサブユニット(WTおよび変異体)が同じサイズであったので、それらは同じ時点で溶出するはずである。サブユニットのモノマーは最後に溶出すると予想される。最後のピークの下の面積は、モノマーサブユニットを表すと考えられ、それから、モノマー形態で見出される分子のパーセンテージを計算し、表に提供する。
【0326】
【表2】
【0327】
【表3】
【0328】
【表4】
【0329】
ガンマサブユニットにおけるM84S変異以外のすべての生成された変異体は、実際に凝集を減少させ、生成されたモノマーの量を増加させた。多くの場合、生成されたタンパク質の総収量も大幅に増加した。M84S変異は凝集を減少させなかったが、凝集を実質的に増加させなかったか、または収率に影響せず、この変異は、分子の貯蔵寿命の間に曝露されたメチオニンの酸化を防止するという追加の利点を有する。デルタ変異のいくつかは、モノマーのわずかな増加しかもたらさなかったが、ダイマーもはるかに高い分子量の凝集体にわたって増加したことが認められた。これも有益な結果であり、ダイマーは、モノマーほど望ましくないが、大きな凝集体よりも優れている。
【0330】
次に、ヒトMG血清からサブユニット特異的抗AChR IgG抗体を枯渇させる様々な分子の能力(力価>0.5nM)を試験した。この目的のために、アビジン被覆セファロースビーズを、本発明のc末端ビオチン化ECD含有分子で装飾した。次いで、MG血清試料を、分子被覆ビーズ(0.57uM)の有無にかかわらず、振盪下(400RPM、オービタル)室温で1時間インキュベートした。遠心分離(3,200×gで5分間)後、上清を回収し、Euroimmun ELISAを使用して抗AChR IgG濃度について試験した。このようにして枯渇率を算出した。変異されたECDによる枯渇をWT対応物による枯渇と比較した。
【0331】
図9は、多くの血清試料にわたる平均枯渇を示すことによって枯渇研究の結果を要約している。溶解度を増加させるためにアルファサブユニットのcysループの置き換えを含むCRD-101は、Fc断片に融合した野生型アルファサブユニットと同程度に有効であった(CRD-269、配列番号101)。CRD-642は、W149R変異(および以下の分子のすべてに含まれるループ置換)を有するアルファサブユニットを含み、CRD-101と同程度に有効であった。ガンマサブユニットに三重変異M84S/Y105E/Y117Rを含むCRD-382は、野生型ガンマサブユニット(CRD103)と同程度に有効であった。同様に、C108A変異を有するデルタサブユニットを含むCRD-391は、野生型デルタ(CRD-104)と同程度に有効であった。
【0332】
個々の血清試料を調べたとき、変異体ECDの多くが実際にはそれらの非変異対応物よりも優れていることが見出された。CRD-101(Cysループ置換アルファサブユニット)を、CRD-269(Fcに融合したWTアルファ)と直接比較したところ、統計学的に有意である約17%多い枯渇をもたらすことが見出された(p<0.0001)(図10A)。W149R変異の追加は、cysループの置換によってもたらされる増加に加えて、枯渇を約13%(p<0.0001)増加させることが見出された(図10B)。デルタサブユニットにC108A変異を追加すると、枯渇が約15%(p<0.0001)増加した(図10C)。しかしながら、ガンマサブユニットの三重変異は枯渇の増加を引き起こさなかったが、枯渇も減少させなかった(図10D)。
【0333】
実施例6:ECDがB細胞に結合する能力
次に、MG自己抗体を発現するB細胞ハイブリドーマに結合する本発明の分子の能力を試験した。蛍光標識ストレプトアビジン分子を、ビオチンでC末端タグ付けされた様々な変異ECD分子とインキュベートした。各ストレプトアビジン分子は4つのビオチン分子に結合するため、得られた分子は実際にはECDテトラマーであった。異なるAChRサブユニットに対してBCRを発現する様々なハイブリドーマを培養した。ハイブリドーマのうち4つは抗アルファサブユニット抗体を発現し(Mab35、a-192、a-195およびa-198)、1つは抗β抗体を発現し(b-73)、2つは抗ガンマ抗体を発現し(g-66およびg-67)、3つは抗デルタ抗体を発現した(43-E4-B4、69-G11-D5-F7および23-F3-H1)。無関係な標的に対する抗体を産生する様々なハイブリドーマを陰性対照として使用した。ハイブリドーマ細胞をECDテトラマーとインキュベートした後、細胞を2回洗浄し(DPBS+1% FBS)、細胞表面の蛍光をフローサイトメトリーによって分析した(CytoFlex、Beckman Coulter社)。図11に見出されるように、各サブユニットテトラマーは、そのテトラマーに対する抗体を発現するハイブリドーマ細胞に特異的に結合した。他のハイブリドーマへの非特異的結合は、陰性対照への結合と同様であった。これは、本発明の分子が血清中のMG自己抗体に結合することができるだけでなく、他のB細胞を害することなく自己抗体が由来するB細胞に結合する(および死滅させる)ことができることを示している。
【0334】
無関係な標的に対する抗体を産生した17の異なるハイブリドーマ株を試験して、非特異的/バックグラウンド結合を決定した。これらの標的には、他の自己免疫疾患のタンパク質標的(3つのハイブリドーマ)、インテグリンベータ3(2つのハイブリドーマ)、病原因子(ウイルスおよび細菌を含む9つのハイブリドーマ)および3つのヒト表面タンパク質(3つのハイブリドーマ)が含まれた。驚くべきことに、非変異アルファサブユニット(しかしながら、cysループ置換を含むCRD-101)を含むテトラマーは、少なくとも1つの陰性対照ハイブリドーマ(AP-3、インテグリンベータ3に対する抗体、図12)に非特異的に結合することが見出された。しかしながら、CRD-642はこの非特異的結合を示さず、したがって予想外に改善された特異性を示す。
実施例7:ECDの組み合わせを含む分子
【0335】
次に、変異細胞外ドメインの様々な組み合わせを生成した。IgG FcのCH2およびCH3ドメインを使用して、3つの異なる組み合わせ分子のセットを生成した(特に明記しない限り、WT IgG1を使用した)。第1のバッチ(表5)では、一方が野生型アルファサブユニットを有し、他方が変異ガンマを有する重鎖の組み合わせは、驚くほど高い収率をもたらした。アルファサブユニットおよび変異ガンマを同じ鎖上に配置するが、GSフレキシブルによって分離すると、良好なタンパク質収率も得られた。一方の鎖上の野生型アルファと別の鎖上の変異体デルタとの組み合わせ、および変異体デルタを有する鎖と変異体ガンマを有する第2の鎖との組み合わせは、両方とも驚くほど高い収率をもたらした。変異体アルファ、変異体ガンマおよび変異体デルタを用いて三重の組み合わせも生成した。これらの分子の両方(デルタをそれ自体の重鎖に有するものおよびガンマをそれ自体の重鎖に有するもの)は、どちらも収率が悪いということはなかった。いくつかの鎖のC末端にsortaseタグ(LPETG、配列番号139)を付加した。
【0336】
【表5】
【0337】
第2のバッチ(表6)では、更なる組み合わせを試験した。2つの異なる重鎖の組み合わせ(knob-in-holes修飾による)およびリンカーを介した1本鎖上の組み合わせはすべて十分な収率をもたらした。試験した分子の最終バッチ(表7)は、様々な他のリンカー(より長い可撓性リンカーおよび剛性リンカー)ならびに細胞傷害性を減少させるようなFc領域の変化を試験した。この場合も十分な収率が得られた。したがって、生成されたすべての分子は、治療剤として利用可能である。
【0338】
【表6】
【0339】
【表7】
【0340】
産生された分子を、ECDのみで実施したのと同じアッセイでそれらの枯渇能力について試験した。二重および三重サブユニット分子は、相加効果に近い効果をもたらすようであり、存在するすべてのサブユニットが、分子に含まれる場合、依然としてそれらの標的自己抗体に結合していることを示している(図9)。
【0341】
組み合わせ分子を使用してハイブリドーマ結合アッセイも行った。このアッセイでは、ハイブリドーマ上の分子結合を、PE標識抗ヒトFCポリクローナル抗体を使用してFACSによって検出した。1コピーのcysループ置換アルファサブユニットおよび1コピーの変異ガンマサブユニット(ループ置換もされている)を含むCRD-506を、3つの抗アルファハイブリドーマ株、1つの抗ベータ株、1つの抗ガンマ株および3つの陰性対照株とインキュベートし、無関係なタンパク質に対する抗体を産生した。図13Aに見出されるように、組み合わせ分子は、すべてのアルファハイブリドーマおよびガンマハイブリドーマに強く結合したが、ベータハイブリドーマまたは陰性対照ハイブリドーマには結合しなかった。これは、組み合わせ分子の特異性および機能性を実証する。
【0342】
2つの他のアルファ-ガンマ分子も試験した。CRD-509は、リンカーによって分離されたタンデムアルファおよびガンマサブユニットを各々有する2つの重鎖を含む。ガンマサブユニットは二重変異している。CRD-600は、類似の分子であるが、三重変異を有する。両方の分子は、抗アルファハイブリドーマ細胞のみに結合し、陰性対照ハイブリドーマには結合しなかった(図13B)。同様に、両方の分子が抗ガンマハイブリドーマに結合した(図13C)。興味深いことに、5つの異なる陰性対照ハイブリドーマ株を試験し、両方の分子は非特異的結合をほとんど示さなかったが、三重変異体は二重変異体よりも少ない値を示し、予想外の優位性を示した。これらの結果は、異なるECDが同じ鎖上にある場合であっても、ECDの組み合わせがそれらの結合能力を無効にしないことを補強する。
【0343】
いくつかの組み合わせた分子を、野生型アルファサブユニットのみを含有する重鎖ホモ二量体(CRD-269)に対して試験した。予想外にも、これらの分子は、1コピーのみのアルファサブユニットを有するにもかかわらず、実際には抗アルファハイブリドーマよりも優れたバインダーであった(図14)。これは、アルファサブユニット内のcysループの置換に起因し得る。
【0344】
アルファ-デルタ二重分子(CRD-585)の試験は、抗アルファおよび抗デルタハイブリドーマに対してのみ特異的結合を示した(図15A)。同様に、ガンマ-デルタ二重分子(CRD-586)は、抗ガンマおよび抗デルタハイブリドーマに対してのみ特異的結合を示した(図15B)。IgG1の代わりにIgG4 Fcを含めることは、結合に悪影響を及ぼさなかった(図15C)。同様に、エフェクター機能を低下させたIgG1 Fcにおける変異は、結合に悪影響を及ぼさない。
【0345】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替形態、修正形態および変形形態が当業者には明らかであることは自明である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲に含まれるすべてのそのような代替形態、修正形態および変形形態を包含することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E-1】
図3E-2】
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B-1】
図4B-2】
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図4Q
図4R-1】
図4R-2】
図4S-1】
図4S-2】
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
【配列表】
2024547218000001.xml
【国際調査報告】