IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンツラー、ヴァルターの特許一覧

<>
  • 特表-反応装置 図1
  • 特表-反応装置 図2
  • 特表-反応装置 図3
  • 特表-反応装置 図4
  • 特表-反応装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】反応装置
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/07 20060101AFI20241219BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C10B53/07
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024558166
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 AT2022060445
(87)【国際公開番号】W WO2023115083
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】A51021/2021
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524232761
【氏名又は名称】カンツラー、ヴァルター
【氏名又は名称原語表記】KANZLER,Walter
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カンツラー、ヴァルター
【テーマコード(参考)】
4F401
4H012
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AC02
4F401AC10
4F401BA06
4F401BB20
4F401CA70
4F401CB09
4F401CB26
4H012HB01
(57)【要約】
本発明は、ポリマー、特にポリマー廃棄物からのポリオレフィンの連続解重合のための反応装置(10a-d)に基づくものであり、一次反応器(12a-d)と、一次反応器(12a-d)内でのポリマーの加熱及び溶融、並びに少なくとも部分的な解重合のための加熱ユニット(14a、14b、14d)と、一次反応器(12a-d)内での溶融ポリマーの循環のための少なくとも1つの一次循環ユニット(16a-d)とを有する。反応装置(10a-d)は、一次反応器(12a-d)の下流に接続されかつ一次反応器(12a-d)と共に反応器カスケードを形成する二次反応器(18a、18b、18d)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、特にポリマー廃棄物からのポリオレフィンの連続解重合のための反応装置(10a-10d)であって、
一次反応器(12a-d)と、
一次反応器内(12a-d)でのポリマーの加熱及び溶融、並びに少なくとも部分的な解重合のための加熱ユニット(14a-d)と、
一次反応器(12a-d)内での溶融ポリマーの循環のための少なくとも1つの一次循環ユニット(16a-d)と、を有する反応装置(10a-10d)において、
一次反応器(12a-d)の下流に接続されかつ一次反応器(12a-d)と共に反応器カスケードを形成する二次反応器(18a、18b、18c)を備える、反応装置(10a-10d)。
【請求項2】
請求項1に記載の反応装置(10a-10d)において、
二次反応器(18a、18b、18c)内に半径方向流を発生させるための少なくとも1つの二次循環要素(22a、22b、22d)を有する二次循環ユニット(20a、20b、20d)を備える、反応装置(10a-10d)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の反応装置(10a-10d)において、
少なくとも1つの動作状態において、栓流が二次反応器(18a、18b、18c)内に提供される、反応装置(10a-10d)。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a-10d)において、
一次循環ユニット(16a-d)が、一次反応器(12a-d)内に軸流を発生させるための少なくとも1つの一次循環要素(26a-d)を備える、反応装置(10a-10d)。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a-10d)において、
一次反応器(12a-d)が、溶融ポリマーの部分流の二次反応器(18a、18b、18c)内への供給のための出口ユニット(28a、28b、28d)を備え、
出口ユニット(28a、28b、28d)がオーバーフロー領域(30a、30b、30d)を備える、反応装置(10a-10d)。
【請求項6】
請求項5に記載の反応装置(10b、10d)において、
オーバーフロー領域(30b、30d)の高さは、一次反応器(12b、12d)内における滞留時間を設定するために可変的に調整可能である、反応装置(10b、10d)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の反応装置(10a、10b、10d)において、
一次反応器(12a、12b、12d)は、循環領域(34a、34b、34d)とオーバーフロー領域(30a、30b、30d)との間に少なくとも1つの沈降ゾーン(32a、32b、32d)を備える、反応装置(10a、10b、10d)。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a、10b、10d)において、
二次反応器(18a、18b、18c)内の溶融ポリマーの充填レベルを調節するように構成された調節ユニット(36a、36b、36d)を備える、反応装置(10a、10b、10d)。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a、10b、10d)において、
加熱ユニット(14a、14b、14d)が、二次反応器(18a、18b、18c)の外側に配置されかつ二次反応器(18a、18b、18d)を加熱するように構成された少なくとも1つの二次熱交換器(38a、38b、38d)を備える、反応装置(10a、10b、10d)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a-10d)において、
加熱ユニット(14a-d)が少なくとも1つの一次熱交換器(40a-d)を備える、反応装置(10a-10d)。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載の反応装置(10a、10b、10d)において、
一次反応器(12a、12b、12d)内の2つの対向する軸流の分離のために一次反応器(12a、12b、12d)内に配置されたガイドチューブ(42a、42b、42d)を備える、反応装置(10a、10b、10d)。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の反応装置(10d)において、
一次熱交換器(40d)がガイドチューブ(42d)を円周方向で少なくとも部分的に取り囲む、反応装置(10d)。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の反応装置(10b、10d)において、
塩素含有ポリマーの前処理のための前処理反応器(44b、44d)を含み、
前処理反応器(44b、44d)は、一次反応器(12b、12d)の上流に接続されかつ一次反応器(12b、12d)と共に反応器カスケードを形成する、反応装置(10b、10d)。
【請求項14】
請求項13に記載の反応装置(10b、10d)において、
熱ユニット(14b、14d)が、塩素含有ポリマーの加熱及び溶融、並びに少なくとも部分的な解重合のための少なくとも1つの前処理熱交換器(46b、46d)を備える、反応装置(10b、10d)。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の反応装置(10b、10d)において、
溶融塩素含有ポリマーの循環のために前処理反応器(44b、44d)内に配置された前処理循環ユニット(48b、48d)を備える、反応装置(10b、10d)。
【請求項16】
請求項13~15のうちいずれか一項に記載の反応装置(10b、10d)において、
前処理反応器(44b、44d)に接続されかつ前処理反応器(44b、44d)内で生じる気相の後処理のための湿式分離器ユニット(52b、52d)を備える、反応装置(10b、10d)。
【請求項17】
請求項13~16のうちいずれか一項に記載の反応装置(10b、10d)において、
前処理反応器(44b、44d)内で生じる液相から塩素の残留量を分離するために、前処理反応器(44b、44d)と一次反応器(12a-d)との間に流体的に配置されたスタティックミキサーユニット(54b、54d)を備える、反応装置(10b、10d)。
【請求項18】
解重合プラント(60a-60d)であって、
請求項1~17のうちいずれか一項に記載の反応装置と、
一次反応器(12a-d)及び又は二次反応器(18a、18b、18d)内で生じるガス状解重合生成物の更なる処理のための少なくとも1つの精留塔(56a、56b、56d)と
を有する、解重合プラント(60a-60d)。
【請求項19】
請求項18に記載の解重合プラント(60a-60d)によるポリマーの連続解重合のための方法であって、
ポリマーが一次反応器(12a-d)に供給され、加熱され、溶融され、一次循環ユニット(24a-d)による循環及び加熱ユニット(14a-d)による熱供給によって一次反応器(12a-d)内で少なくとも部分的に解重合され、
一次反応器(12a-d)内で生じるガス状解重合生成物が精留塔(56a、56b、56d)内での精留に供給される方法において、
溶融ポリマーの少なくとも一部の部分流が二次反応器(18a、18b、18d)に供給されると共に、加熱ユニット(14a、14b、14d)によって供給される熱で更に解重合され、
二次反応器(18a、18b、18d)内で生じるガス状解重合生成物が精留塔(56a、56b、56d)での精留に供給される、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
精留塔(56a、56b、56d)内で生じる塔底生成物を二次反応器(18a、18b、18d)及び又は一次反応器(12a-d)に供給する、方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の方法において、
塩素含有ポリマーが一次反応器(12b、12d)内に供給される前に前処理され、塩素含有成分がプロセス中に分離される前処理ステップ(116)
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の反応装置、請求項18に記載の解重合プラント、及び請求項19のプリアンブルに記載のポリマーの連続解重合のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック廃棄物、例えば包装材料、タイヤなどの廃棄物量が増加するにつれて、そのような廃棄物の流れを利用するための効率的な技術に対する需要が増加する。ここで、同等の生成物を形成するためのこれらの純粋に物質的な廃棄物流の利用は、必ずしも経済的に可能ではないか、又は、例えば、非混合状態にある個々のポリマー基の高い需要のために、しばしばダウンサイクルを伴う。したがって、原油又は天然ガスなどの化石炭化水素を置き換えることができる個々のモノマー又はオリゴマー及び又はモノマーとオリゴマーとの混合物及び又は異なる炭化水素留分の混合物への分解のために、これらの廃棄物流中に含有されるポリマーの効率的な化学的利用、及びその後の同等の又はより高い価値の生成物、例えば燃料の製造が望まれる。プラスチック廃棄物の化学的利用のための公知の方法、プラスチック廃棄物の乾留、低温炭化、又はガス化など、しばしば経済的に実行可能ではない方法に加えて、連続解重合のための方法はまた、リサイクル技術の分野における研究及び開発の焦点になりつつある。
【0003】
ポリマーの連続解重合のための方法は、特許文献1から既に知られている。本明細書では、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンを、外部ポンプ及び熱交換器を備えた撹拌装置中で僅かな過圧下で熱分解するための連続プロセスが記載されており、その際、これらのポリマーは、熱伝達媒体としての溶融塩システムを用いて間接的に加熱され、溶融され、部分的に解重合され、次いで、下流に接続された、水平に据え付けられた、撹拌翼を備えた管状の第2の反応器に、完全な蒸発のために供給される。しかしながら、本方法の効率的な実施のためには、水平に据え付けられた管状の第2の反応器において残っている高粘性の残留画分を効率的に処理できるようにするために、90%を超える解重合度が撹拌装置において必要とされる。しかしながら、ほぼ理想的な混合が撹拌装置中で行われるので、必要な解重合度は実際にはほとんど達成できず、したがって、この公知の方法の効率的な実施は実際にはほとんど不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/152205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に、効率に関して一般的な装置及び一般的な方法を有利に更に発展させることにある。この目的は、本発明によれば、請求項1、18、及び19の特徴によって達成され、本発明の有利な実装形態及び更なる発展形態は、従属請求項から推定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一次反応器と、一次反応器内でのポリマーの加熱及び溶融並びに少なくとも部分的な解重合のための加熱ユニットと、一次反応器内での溶融ポリマーの循環のための少なくとも1つの一次循環ユニットとを有する、ポリマー、特にポリマー廃棄物からのポリオレフィンの連続解重合のための反応装置に基づく。
【0007】
反応装置は、一次反応器の下流に接続されており、一次反応器と共に反応器カスケードを形成する二次反応器を備えることが提案される。
そのような実装形態は、有利なことに、向上された効率を有する反応装置を提供することを可能にする。二次反応器が一次反応器の下流に接続されているので、90%を超える必要とされる解重合度が反応器カスケード内で有利に達成可能であり、したがって効率的な解重合が可能になる。特許文献1から既に知られている、一次反応器及び二次反応器における間接的な熱伝達のための溶融塩システムと組み合わせて、効率を有利に更に向上させることができる。
【0008】
「反応装置」は、解重合プラントの特に機能的な構成要素、特に構造的及び又は機能的な構成要素を意味する。反応装置はまた、解重合プラント全体を含んでもよい。反応装置及び又は反応装置を備える解重合プラントは、それらに限定されないが、ポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンなどのポリオレフィンの連続解重合のための方法を実行するように構成されている。反応装置及び又は解重合プラントは、好ましくは、特許文献1に既に記載されているように、溶融塩システムを含む。溶融塩システムは、好ましくは、実質的に硝酸カリウム及び又は硝酸ナトリウム及び又は亜硝酸カリウム及び又は亜硝酸ナトリウムからなる溶融塩を用いた動作のために構成されている。加熱ユニットは、好ましくは、溶融塩システムを介した間接的な熱伝達のために構成されている。
【0009】
一次反応器は、好ましくは、一次撹拌反応器として構成されている。二次反応器は、好ましくは、二次撹拌反応器として構成されている。優先的に、二次撹拌反応器は、一次撹拌反応器と共に撹拌カスケードを形成する。反応装置は、二次反応器の下流に接続されており、特に特許文献1に記載されている水平に据え付けられた管状の第2の解重合反応器と同様に構成され得る三次反応器も含んでもよい。三次反応器は、一次反応器及び二次反応器と共に反応器カスケードを形成することができる。一次反応器及び二次反応器は、好ましくは縦型反応器として構成され、三次反応器は横型反応器として構成されている。一次反応器及び二次反応器は、中粘度溶融ポリマーを処理するように構成されており、三次反応器は、高粘度溶融ポリマーを処理するように構成されている。三次反応器は、一次反応器及び二次反応器において90%を超える割合まで解重合された溶融ポリマーを受け入れるように構成されている。三次反応器内には撹拌アームが配置されており、撹拌アームは、溶融した高粘度ポリマーを三次反応器の内壁に対して均一に分配するように投げ出し、それによって薄層を形成するように構成されている。三次反応器の外壁には、外壁を介して供給される熱を使用して高粘度溶融ポリマーを更に、特に完全に、解重合するように構成された三次熱交換器が配置される。三次反応器中の撹拌アームは、一次反応器及び又は二次反応器中に配置され得るような撹拌部材と区別されなければならない。原則として、反応装置は、一次反応器及び二次反応器に加えて、特に当業者にとって好都合であると思われる任意の数の更なる反応器を備えることができ、当該更なる反応器は、二次反応器の下流及び三次反応器の上流に接続されており、一次反応器及び二次反応器と共に反応器カスケードを形成する。
【0010】
本明細書において、特定の用語に先行する、例えば「第1」及び「第2」などの数字の単語は、単に対象を区別するために、及び又は対象を互いに割り当てるために役立ち、対象の既存の総数及び又は順位付けを暗示するものではない。特に、「第2の対象」は、必ずしも「第1の対象」の存在を暗示するものではない。
【0011】
本明細書において、「少なくとも実質的に」は、所与の値からの偏差が、所定の値の特に25%未満、好ましくは10%未満、特に優先的には5%未満であることを意味する。
「構成されている」とは、具体的に設計、及び又は装備されていることを意味する。対象が特定の機能のために構成されているという事実は、対象が少なくとも1つの適用状態及び又は動作状態においてこの特定の機能を満たす、かつ/又は実行することを意味する。
【0012】
更に、反応装置が、二次反応器内に半径方向流を発生させるための少なくとも1つの二次循環要素を有する二次循環ユニットを備えることが提案される。そのような実装形態は、有利なことに、効率を更に高めることを可能にする。特に、溶融ポリマーの循環の向上、したがって二次反応器における解重合の向上が可能になる。二次循環ユニットは、例えばポンプとして具現化されてもよく、好ましくは撹拌要素として具現化される少なくとも1つの二次循環要素を備える。二次循環ユニットは、好ましくは、撹拌要素として具現化された複数の二次循環要素を含み、これらは、共通の撹拌シャフト上に上下に配置される。
【0013】
加えて、少なくとも1つの動作状態において、栓流が二次反応器内に提供されることが提案される。これにより、溶融解重合の効率を有利に更に向上させることができる。装置は、好ましくは、栓流を生成するように構成された流れ生成ユニットを備える。流れ生成ユニットは、二次反応器の上部領域に配置された少なくとも1つの入口と、二次反応器の下部領域に配置された少なくとも1つの出口とを備える。二次反応器は、好ましくは、栓流の提供を更に支援するために、管状の基本形状を有する。原則として、代替的に又は追加的に、栓流が一次反応器に提供されることが考えられる。
【0014】
更に、一次循環ユニットが、一次反応器内に軸流を発生させるための少なくとも1つの一次循環要素を備えることが更に提案される。そのような実装形態は、有利なことに、効率を更に向上させることを可能にする。一次循環ユニットは、少なくとも1つの一次循環ラインを備えてもよい。一次循環ユニットは、複数の一次循環要素を備えてもよい。少なくとも1つの一次循環要素は、循環ラインを介して一次反応器から溶融ポリマーの部分量を循環させるように構成されたポンプとして具現化されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの一次循環要素は、撹拌要素として具現化される。
【0015】
また、一次反応器が、溶融ポリマーの部分流の二次反応器内への供給のための出口ユニットを備え、出口ユニットがオーバーフロー領域を備えることが提案される。そのような実装形態は、有利なことに、一次反応器から二次反応器内への溶融ポリマーの選択的供給を可能にする。
【0016】
加えて、オーバーフロー領域の高さは、一次反応器内における滞留時間を設定するために可変的に調整可能であることが提案される。これは、有利なことに、柔軟性を向上させることを可能にする。特に、解重合されるポリマーの異なる組成に対して、滞留時間分布の柔軟な適応が可能になる。高さ調整は、例えば、オーバーフロー領域において上下に垂直方向に配置された出口ユニットの複数のオーバーフロー弁によって可能にされる。
【0017】
これに加えて、一次反応器は、循環領域とオーバーフロー領域との間に少なくとも1つの沈降ゾーンを備えることが提案される。これにより、効率的な動作が有利に可能になる。特に、有利な滞留時間分布、したがって一次反応器における高度の解重合が達成可能である。
【0018】
更に、反応装置が、二次反応器内の溶融ポリマーの充填レベルを調節するように構成された調節ユニットを備えることが提案される。これにより、特に効率的で柔軟な動作が有利に可能になる。好ましくは、調節ユニットは、少なくとも1つの充填レベルインジケータコントローラ(LIC)と、充填レベルインジケータコントローラの信号を介して制御可能であり、二次反応器からの溶融ポリマーの出口を制御及び又は調節するように構成された少なくとも1つの調節弁とを備える。
【0019】
更に、加熱ユニットが、二次反応器の外側に配置され、二次反応器を加熱するように構成された少なくとも1つの二次熱交換器を備えることが提案される。これにより、効率的な熱供給が有利に可能になる。好ましくは、二次熱交換器は、シェル熱交換器として構成されており、その円周方向に沿って二次反応器を取り囲む。好ましくは、二次熱交換器は、解重合プラントの溶融塩システムを介して動作するように構成されている。
【0020】
更に、加熱ユニットが少なくとも1つの一次熱交換器を備えることが提案される。これにより、ポリマーの効率的かつ穏やかな溶融及び加熱並びに部分的解重合が有利に可能になる。好ましくは、一次熱交換器は、解重合プラントの溶融塩システムを介して動作するように構成されている。特に、一次熱交換器は、一次反応器内のポリマーを第1の温度、好ましくは250℃~350℃に加熱するように構成されており、二次熱交換器は、二次反応器内のポリマーの第1の温度とは異なる、特に第1の温度より高い、好ましくは380℃~500℃、優先的には420℃~480℃の第2の温度への加熱のために構成されている。
【0021】
特に本発明の他の態様とは独立して及び組み合わせての両方で考慮され得る本発明の更なる態様では、反応装置は、一次反応器内の2つの対向する軸流の分離のために一次反応器内に配置されたガイドチューブを備えることが提案される。そのような実装形態は、有利なことに、一次反応器における効率的な流れ案内を可能にする。特に、既に溶融したポリマーは、第1の軸流でガイドチューブ内を上向きに搬送されてもよく、更に新たに追加されたまだ溶融していないポリマーと共に、第2の軸流でガイドチューブの外側を下向きに搬送されてもよい。あるいは、流れ方向を逆にしてもよく、既に溶融したポリマーが第1の軸流でガイドチューブ内を下向きに、第2の軸流でガイドチューブの外側を上向きに搬送されてもよい。したがって、特に効率的な溶融及び解重合が可能になる。
【0022】
加えて、一次熱交換器がガイドチューブを円周方向で少なくとも部分的に取り囲むことが提案される。そのような実装形態によって、有利なことに、熱伝達の向上が可能であり得る。
【0023】
特に本発明の他の態様とは独立して及び組み合わせて考慮され得る本発明の更なる態様では、反応装置は、塩素含有ポリマーの前処理のための前処理反応器を含み、前処理反応器は、一次反応器の上流に接続されており、一次反応器と共に反応器カスケードを形成することが提案される。そのような実装形態によって、効率を有利に更に向上させることができる。特に、ポリオレフィンに加えて、塩素含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニル及び又はポリ塩化ビニリデンを反応装置によって解重合することができるという点で、資源効率を向上させることができる。更に、有利なことに、塩素含有成分が前処理反応器中で分離され、その結果、一次反応器及び又は二次反応器中でより高い温度で形成され得る、リスクのある塩素化合物、例えばダイオキシンの形成が効果的に防止される場合、安全性を高めることができる。好ましくは、前処理反応器及びその中に配置された及び又は前処理反応器の下流に直接接続された反応装置の構成要素、例えばパイプラインなどは、耐食性材料、例えばエナメル及び又はハステロイ及び又はチタン及び又はジルコニウム及び又はタンタルから作製される。反応装置は、好ましくは、前処理反応器における塩素含有ポリマーの一段階前処理のために構成されている。しかしながら、代替的に、反応装置が塩素含有ポリマーの多段階前処理のために構成されており、この目的のために、特に前処理カスケードに配置されてもよい複数の前処理反応器を備えることも考えられる。
【0024】
更に、加熱ユニットが、塩素含有ポリマーの加熱及び溶融並びに少なくとも部分的な解重合のための少なくとも1つの前処理熱交換器を備えることが提案される。これにより、効率を有利に更に向上させることができる。好ましくは、前処理熱交換器は、解重合プラントの溶融塩システムを介して動作するように構成されている。
【0025】
更に、反応装置が、溶融塩素含有ポリマーの循環のために前処理反応器内に配置された前処理循環ユニットを備えることが提案される。これにより、前処理の効率を有利に更に向上させることができる。前処理循環ユニットは、好ましくは少なくとも1つの撹拌要素を備える。前処理循環ユニットは、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの循環ポンプを備えてもよい。
【0026】
更に、反応装置が、前処理反応器に接続された、前処理反応器内で生じる気相の後処理のための湿式分離器ユニットを備えることが提案される。これにより、前処理反応器内で生じる気相の効率的な後処理が有利に可能になる。湿式分離器ユニットは、好ましくは、NaOH洗浄による後処理をするように構成されている。
【0027】
これに加えて、反応装置は、前処理反応器内で生じる液相から塩素の残留量を分離するために、前処理反応器と一次反応器との間に流体的に配置されたスタティックミキサーユニットを備えることが提案される。これは、有利なことに、反応装置の効率及び安全性を更に向上させることを可能にする。特に、塩素の残留量が一次反応器に入る前に完全に分離される場合、一次反応器並びに一次反応器の下流に接続されている解重合プラントのパイプライン及びプラント部分は、耐食性要件が対応してより低いので、より高級でないグレードの、したがってより費用効果が高い材料から有利に製造され得るので、材料及び又は費用効率を向上させることができる。スタティックミキサーユニットは、好ましくは、酸化カルシウムを添加し、塩素の残留量を塩化カルシウムに変換するように構成された少なくとも1つのスタティックミキサーを備える。
【0028】
本発明は更に、上述の実装形態のうちの1つによる反応装置と、一次反応器及び又は二次反応器内で生じるガス状解重合生成物の更なる処理のための少なくとも1つの精留塔とを有する解重合プラントに関する。そのような解重合プラントは、特に反応装置によって達成可能な効率に関する有利な特性によって特に優れている。反応装置及び精留塔に加えて、解重合プラントは、更なるユニット及び要素、特に好適なパイプライン、精留塔においてガス形態で生じる生成物の凝縮のための熱交換器などを含んでもよい。解重合プラントは、スチームクラッカーとは異なって実現される。
【0029】
本発明は更に、上述の解重合プラントによるポリマーの連続解重合のための方法であって、ポリマーが一次反応器に供給され、加熱され、溶融され、一次循環ユニットによる循環及び加熱ユニットによる熱供給によって一次反応器内で少なくとも部分的に解重合され、一次反応器内で生じるガス状解重合生成物が精留塔内での精留に供給される方法に基づく。
【0030】
溶融ポリマーの少なくとも一部の部分流が二次反応器に供給され、加熱ユニットによって供給される熱で更に解重合され、二次反応器内で生じる解重合生成物が精留ユニットでの精留に供給されることが提案される。そのような方法によって、ポリマーの特に効率的な連続解重合が有利に可能になる。ポリマーの加熱、溶融、及び解重合は、有利なことに、液体及び又はガスの補助相なしで行うことができる。解重合は、好ましくは、特にいわゆるスチームクラッカープロセスとは異なり、水蒸気が供給されることなく実施される。
【0031】
更に、精留塔内で生じる塔底生成物を二次反応器及び又は一次反応器に供給することが提案される。これは、有利なことに、本方法の効率を更に向上させることを可能にする。特に、精留塔内で生じる塔底生成物を二次反応器及び又は一次反応器に供給する場合、生成物収率を高めることができる。
【0032】
有利な実装形態では、本方法は、塩素含有ポリマーが一次反応器内に供給される前に前処理され、塩素含有成分がプロセス中に分離される前処理ステップを備えることが提案される。これにより、塩素含有ポリマーを使用することができるので、本方法の効率を有利に更に向上させることができる。
【0033】
本発明による反応装置、解重合プラント、および方法は、上述の用途および実装に限定されるものではない。特に、本明細書に記載される機能を果たすために、本発明による反応装置及び又は解重合プラントは、本明細書で与えられる数とは異なる数の個々の要素、構成要素およびユニットを備えてもよい。
【0034】
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。図面には、本発明の2つの例示的な実施形態が示されている。図面、明細書、および特許請求の範囲は、複数の特徴を組み合わせて含んでいる。当業者であれば、これらの特徴を意図的に個々に考慮し、更なる好都合な組み合わせを見出すであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ポリマーの連続解重合のための反応装置による解重合の概略配管及び計装フロー図を示す図。
図2】ポリマーの連続解重合のための反応装置を有する解重合プラントの更なる例示的な実施形態を概略配管及び計装フロー図で示す。
図3】ポリマーの連続解重合のための反応装置の一次反応器を概略図で示す図。
図4】ポリマーの連続解重合のための反応装置を有する解重合プラントの更なる例示的な実施形態を概略配管及び計装フロー図で示す図。
図5】解重合プラントによるポリマーの連続解重合のための方法を説明するための概略的な方法フローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示的な実施形態の説明
図1は、解重合プラント60aの概略配管及び計装フロー図を示す。解重合プラント60aは、ポリマーの連続解重合のための、特に、ポリマー廃棄物(図示せず)からのポリオレフィン、例えばポリエチレン及び又はポリプロピレン及び又はポリスチレンの解重合のための反応装置10aを備える。
【0037】
解重合プラント60aは、ロータリー弁62a、コンベヤスクリュー64a、及び入口66aを備える。入口66aは、冷却水サイクル70aに接続された冷却セクション68aを備える。
【0038】
反応装置10aは、一次反応器12aを備える。一次反応器12aは入口66aに接続されている。解重合プラント60aの動作のために、例えば大袋からのポリマー廃棄物を、窒素供給ライン72aから不活性ガスとして窒素を同時に供給しながらロータリー弁62aを介して、入口66aを介してコンベヤスクリュー64aによって一次反応器12aに供給することができる。本明細書の冷却セクション68aは、ポリマー廃棄物の早すぎる溶融、したがって入口66aの閉塞を防止する。
【0039】
反応装置10aは、一次反応器12a内のポリマーの加熱及び溶融のための、並びに少なくとも部分的な解重合のための加熱ユニット14aを更に備える。加熱ユニット14aは、少なくとも1つの一次熱交換器40aを備える。
【0040】
反応装置10aは、ガイドチューブ42aを備える。ガイドチューブ42aは、一次反応器12a内に配置され、一次反応器12a内の2つの対向する軸流を分離するように構成されている。一次熱交換器40aは、シェル熱交換器として実現され、一次反応器の外側に配置される。
【0041】
溶融塩は、一次熱交換器40aの動作のための熱媒体として使用される。解重合プラント60aは、溶融塩タンク76a及び加熱デバイス78a、例えば溶融炉など、を有する溶融塩システム74aを備える。硝酸カリウム及び又は硝酸ナトリウム及び又は亜硝酸カリウム及び又は亜硝酸ナトリウムから本質的になる溶融塩は、水中ポンプ(図示せず)によって溶融塩タンク76aから好適なパイプラインを介して一次熱交換器40aに搬送され、そこから溶融塩タンク76a内に戻される。
【0042】
反応装置10aは、一次循環ユニット16aを更に備える。一次循環ユニット16aは、一次反応器12a内の溶融ポリマーの循環のために構成されている。一次循環ユニット16aは、一次反応器12a内に軸流を発生させるための少なくとも1つの一次循環要素26aを備える。この場合、一次循環ユニット16aは、一次撹拌ユニット24aとして実現される。一次循環ユニット16aの一次循環要素26aは、一次撹拌要素58aとして実現される。一次撹拌要素58aとして実現される一次循環要素26aは、一次反応器12aの循環領域34a内に、すなわちガイドチューブ42a内に配置される。
【0043】
反応装置10aの動作状態では、溶融ポリマーは、一次撹拌要素58aによってガイドチューブ42a内で上向きの第1の軸流にされる。ガイドチューブ42aの上方では、溶融ポリマーは、入口66aを介して添加された更なるポリマー廃棄物と共に、ガイドチューブ42aの外側の第2の軸流で下向きに流れ、更なるポリマー廃棄物は、一次熱交換器40aによって溶融される。このプロセスの間に、溶融ポリマーは部分的に解重合される。あるいは、逆の流れ方向も考えられ、この場合、溶融ポリマーは、一次撹拌要素58aによってガイドチューブ42a内で下向きの第1の軸流にされ、ガイドチューブの外側で上向きの第2の軸流で再び上昇する。
【0044】
解重合プラント60aは、精留塔56aを備える。精留塔56aには、一次反応器12aが接続されている。動作状態の一次反応器12a内で生じるガス状解重合生成物は、精留塔56aの第1のステージに供給される。
【0045】
反応装置10aは、二次反応器18aを備える。二次反応器18aは、一次反応器12aの下流に接続されており、一次反応器12aと共に反応器カスケードを形成する。
一次反応器12aは、溶融ポリマーの部分流を二次反応器18a内に供給するための出口ユニット28aを備える。出口ユニット28aは、オーバーフロー領域30aを備える。一次反応器12aは、少なくとも1つの沈降ゾーン32aを備える。沈降ゾーン32aは、循環領域34aとオーバーフロー領域30aとの間に配置される。動作状態では、一次反応器12a内で溶融したポリマーの部分流は、沈降ゾーン32aを介してオーバーフロー領域30a内に通過し、そこから二次反応器18a内に移送される。
【0046】
反応装置10aは、二次反応器18a内に半径方向流を作成するための少なくとも1つの二次循環要素22aを有する二次循環ユニット20aを備える。この場合、二次循環ユニット20aは、二次撹拌ユニット80aとして実現される。二次循環ユニット20aの二次循環要素22aは、二次撹拌要素82aとして具現化される。この場合、二次循環ユニット20aは、複数の二次循環要素22aを備え、これらは二次撹拌要素82aとして具現化され、撹拌軸に互いに上下に垂直方向に接続されている。明確にするために、図1では、二次循環要素22aのうちの1つのみに参照番号が与えられている。
【0047】
加熱ユニット14aは、少なくとも1つの二次熱交換器38aを備える。二次熱交換器38aは、二次反応器18aの外側に配置されている。二次熱交換器38aは、二次反応器18aの加熱のために構成されている。この場合、二次熱交換器38aは、シェル熱交換器として実現され、二次反応器18aの周りに円周方向に配置される。二次熱交換器38aは、溶融塩システム74aを介して供給される。図1では、溶融塩システム74aは、明確にするために簡略化して示されている。好ましくは、溶融塩システム74aは、一次反応器12及び二次反応器18内のポリマーを異なる温度に加熱することができるように、一次熱交換器40a及び二次熱交換器38aに供給するための2つの別個の溶融塩サイクルを備える。動作状態では、溶融ポリマーは一次反応器12aから二次反応器18a内に上部領域で供給され、下部領域で抜き出される。二次反応器18aを通過するとき、ポリマーは、二次循環要素22aによって生成される半径方向流によって容器壁に向かって外向きに移動され、ここで二次熱交換器38aによって更に加熱される。ここで生じたガス状解重合生成物は上昇し、精留塔56aの第2のステージに供給される。
【0048】
反応装置10aは、二次反応器18aの下流に接続された三次反応器88aを備える。三次反応器88aは水平に据え付けられ、撹拌アーム92aを備えている。
動作状態では、栓流が二次反応器18a内に提供される。まだ解重合されていないポリマーは、二次反応器18a内をゆっくりと下向きに沈み、三次反応器88aに供給される。反応装置10aは、調節ユニット36aを備える。栓流は、調節ユニット36aによって提供される。調節ユニット36aは、二次反応器18a内の溶融ポリマーの充填レベルを調節するように構成されている。調節ユニット36aは、充填レベルインジケータコントローラ84a及び調節弁86aを備える。調節弁86aは、充填レベルインジケータコントローラ84aを介して制御される。接続ラインは、二次反応器18aの下部領域の出口を三次反応器88aに接続する。ポリマーは、ポンプによって出口を介して二次反応器18aから取り出され、調節弁86aが開いているときに部分的に三次反応器88a内に直接移送される。更に、接続ラインには、塩サイクル74aに接続された熱交換器126aが配置されている。二次反応器18aから取り出されたポリマーの、部分流又は調節弁86aが閉じられている場合には全量は、熱交換器126aを介して更に加熱され、ここで、生じたガス状解重合生成物は、精留塔56aの第3のステージに供給され、残りの液相は三次反応器に供給される。加熱ユニット14aは、三次反応器88aの外側にシェル熱交換器として配置され、溶融塩システム74aを介して供給される三次熱交換器90aを備える。撹拌アーム92aによって、溶融ポリマーは、薄層を形成しながら三次反応器88aの内壁に対して均一に分配されるように投げ出され、三次熱交換器90aを介して供給される熱によって更に解重合される。三次反応器88a内で生じるガス状解重合生成物は、精留塔56aの第3のステージに供給される。カーボンブラック及び無機成分の残りの残留量は、廃棄ユニット94aに供給され、そこから残留画分108aとして排出される。精留塔56aで生成された生成物は、精留塔56aの頂部でガス形態で生じ、熱交換器98aによって部分的に凝縮され、容器102aに供給される。解重合生成物は、ガス状軽質留分104aの形態及び液状重質留分106aの形態で容器102aから回収することができる。生成物の一部、特に軽質留分104aからの生成物の一部は、例えば、溶融塩サイクル74aの加熱デバイス78aの動作のために使用することができる。熱交換器98aは、温水サイクル96aによって動作される。精留塔56aは、ディーゼル供給物100aを介して供給される。代替的に又は追加的に、精留塔56aは重質留分106aを介して供給されることも考えられる。精留塔56a内で生じる塔底生成物は、次に、二次反応器18a及び又は一次反応器12aに供給することができる。
【0049】
本発明の3つの更なる例示的な実施形態が、図2図4に示されている。以下の説明及び図面は、例示的な実施形態間の差異に実質的に限定され、同じ名称を有する構成要素、特に同じ参照番号を有する構成要素に関しては、原則として、他の例示的な実施形態、特に図1の図面及び又は説明も参照され得る。例示的な実施形態を区別するために、文字aが図1の例示的な実施形態の参照番号に追加されている。図2図4の例示的な実施形態では、文字aが文字b~dで置き換えられている。
【0050】
図2は、ポリマーの連続解重合のための反応装置10bを有する解重合プラント60bの更なる例示的な実施形態を概略配管及び計装フロー図で示す。
ポリエチレン及び又はポリプロピレン及び又はポリスチレンなどのポリオレフィンの解重合に加えて、反応装置10bは、塩素含有ポリマー、例えばポリ塩化ビニルの解重合のためにも構成されている。
【0051】
先の例示的な実施形態と同様に、反応装置10bは、一次反応器12b、二次反応器18b、及び三次反応器88bを備える。反応装置10bは、塩素含有ポリマーの前処理のための前処理反応器44bを更に備える。前処理反応器44bは、一次反応器12bの上流に接続されており、一次反応器12bと共に反応器カスケードを形成する。
【0052】
反応装置10bは加熱ユニット14bを備え、加熱ユニット14bは、先の例示的な実施形態と同様に、溶融塩システム74bを介して供給される。加熱ユニット14bは、塩素含有ポリマーの加熱及び溶融並びに少なくとも部分的な解重合のための少なくとも1つの前処理熱交換器46bを備える。図2では、溶融塩システム74bは、明確にするために簡略化して示されている。好ましくは、溶融塩システム74bは、3つの別個の溶融塩サイクル(図示せず)、すなわち、一次反応器12bを加熱するための一次熱交換器40bに供給するための第1の溶融塩サイクル、二次反応器18bを加熱するための二次熱交換器38bに供給するための第2の溶融塩サイクル、及び前処理熱交換器46bに供給するための第3の溶融塩サイクルを含み、それにより、前処理反応器44b、一次反応器12、及び二次反応器18内のポリマーをそれぞれ異なる温度に加熱することができる。原則として、ポリマーが前処理反応器44b、一次反応器12、及び二次反応器18においてそれぞれ異なる温度に加熱され得るように、溶融塩タンクから出発して、最初に二次熱交換器38bを介して、次に一次熱交換器40bを介して、次に前処理熱交換器46bを介して導かれる単一の溶融塩サイクルのみが使用されることも考えられる。
【0053】
反応装置10bは、溶融塩素含有ポリマーの循環のために前処理反応器44b内に配置された前処理循環ユニット48bを備える。前処理循環ユニット48bは、撹拌要素として具現化される前処理循環要素50bを備える。
【0054】
反応装置10bは、前処理反応器44bに接続された、前処理反応器44b内で生じる気相の後処理のための湿式分離器ユニット52bを備える。湿式分離器ユニット52bは、前処理反応器44b内で生じる気相からの塩酸のNaOH洗浄のために構成されており、水酸化ナトリウム供給部128bを介して供給される。反応装置10bの運転状態において、NaOH洗浄中に湿式分離器ユニット52b内で生じる塩化ナトリウム含有水は、塩化ナトリウム画分130bとして回収することができる。生じる廃ガスは廃ガス画分132bとして排出される。
【0055】
反応装置10bは、前処理反応器44b内で生じる液相から塩素の残留量を分離するために、前処理反応器44bと一次反応器12bとの間に流体的に配置されたスタティックミキサーユニット54bを備える。動作状態の前処理反応器44b内で生じる液相は、スタティックミキサーユニット54bに供給され、スタティックミキサーユニット54bでは、液相に残っている塩素含有成分を塩化カルシウムに変換するために酸化カルシウム供給部134bを介して酸化カルシウムが供給される。塩素含有成分が除去された溶融ポリマーは、一次反応器12bに供給される。
【0056】
一次反応器12bの機能に関しては、先の例示的な実施形態の上記説明を主に参照することができる。一次反応器12bは、溶融ポリマーの部分流を二次反応器18bに供給するための出口ユニット28bを備え、二次反応器18bは、一次反応器12bの下流に接続されている。出口ユニット28bは、オーバーフロー領域30bを備える。先の例示的な実施形態とは対照的に、オーバーフロー領域30bの高さは、一次反応器12bにおける滞留時間を設定するために可変的に調整可能である。この目的のために、出口ユニット28bは、第1のオーバーフロー弁136bと、第1のオーバーフロー弁136bの上方に配置された第2のオーバーフロー弁138bと、第2のオーバーフロー弁138bの上方に配置された第3のオーバーフロー弁140bとを備える。オーバーフロー弁136b、138b、140bのいずれを介してオーバーフロー領域30bが二次反応器18bに接続されるかに応じて、一次反応器12bにおける滞留時間は、ポリマー出発物質の異なる組成への柔軟な応答を可能にするために、可変的に調整され得る。
【0057】
先の例示的な実施形態の一次反応器12aに対する一次反応器12bの更なる違いは、一次撹拌要素58bとして実現される、一次循環ユニット16bの一次循環要素26bを駆動するための撹拌シャフトが、上から一次反応器12b内に導入される一方で、図1の一次撹拌要素58aの撹拌シャフトが、下から一次反応器12a内に挿入されることにある。
【0058】
解重合プラント60bの更なる構成要素及び機能に関しては、先の例示的な実施形態の上記説明を参照することができる。
図3は、ポリマーの連続解重合のための反応装置10cの一次反応器12cを概略図で示す。先の例示的な実施形態の一次反応器12a及び12bとは対照的に、一次反応器12cはガイドチューブなしで実現される。
【0059】
反応装置10cは、一次循環ユニット16cを備える。一次循環ユニット16cは、一次反応器12c内の溶融ポリマーの循環のために構成されている。一次循環ユニット16cは、一次反応器12c内に軸流を作成させるための少なくとも1つの一次循環要素26cを備える。先の例示的な実施形態と同様に、一次循環ユニット16cは、一次撹拌ユニット24cとして実現され、一次撹拌要素58cとして具現化される一次循環要素26cを備える。一次循環ユニット16cは、更なる一次循環要素110cを備える。更なる一次循環要素110cは、循環ポンプ112cとして実現される。原則として、一次撹拌要素58cを省略し、一次反応器12cを循環ポンプ112cのみで動作させることも考えられる。
【0060】
反応装置10cは、一次反応器12c内のポリマーの加熱及び溶融のため、並びに少なくとも部分的な解重合のための加熱ユニット14cを備える。加熱ユニット14cは、少なくとも1つの一次熱交換器40cを備える。一次熱交換器40cは、一次反応器12cの外側で一次反応器12cの循環ライン114c上に配置されている。
【0061】
反応装置10cの動作状態では、溶融ポリマーは、循環ポンプ112cによって循環ライン114cを介して一次反応器12cの下部領域から吸い出すことができ、一次熱交換器40cによって更に加熱することができ、上部領域において一次反応器12c内に戻すことができる。あるいは、循環ライン114cを通る逆のポンピング方向も考えられる。
【0062】
原則として、先の例示的な実施形態に示された二次反応器18a、18b及び又は第2の例示的な実施形態の前処理反応器44bは、この例示的な実施形態に示された一次反応器12cと同様に実現することもでき、一次反応器12cに関して上述した特徴を含むことができる。
【0063】
反応装置10cは、解重合プラント60cの一部であり、一次反応器12cの下流に接続されており、一次反応器12cと共に反応器カスケードを形成する二次反応器(図示せず)を備える。一次反応器12cに関する違いを除いて、解重合プラント60cの実装形態に関しては、先の例示的な実施形態の解重合プラント60a又は解重合プラント60bの上記説明を参照することができる。
【0064】
図4は、ポリマーの連続解重合のための反応装置10dを有する解重合プラント60dの更なる例示的な実施形態を概略配管及び計装フロー図で示す。
解重合プラント60dは、反応装置10dの一次反応器14dの実装に関して、第2の例示的な実施形態の解重合プラント60bと異なる。反応装置14dは、一次熱交換器40dを有する加熱ユニット14dを備える。反応装置10dは、一次反応器14d内の2つの対向する軸流を分離するように構成されたガイドチューブ42dを更に備える。先の例示的な実施形態とは異なり、一次熱交換器40dは、一次反応器14d内に配置され、ガイドチューブ42dを円周方向に少なくとも部分的に取り囲む。一次熱交換器40dは、シェルアンドチューブ熱交換器として実現されており、複数のチューブを備えそれらの間に配置された流路(参照番号が付されていない)を備える。
【0065】
反応装置10dは、一次循環ユニット16dを更に備える。一次循環ユニット16dは、一次反応器12d内の溶融ポリマーの循環のために構成されている。先の例示的な実施形態と同様に、一次循環ユニット16dは、一次反応器12d内に軸流を作成させるための少なくとも1つの一次循環要素26dを備える。この場合、一次循環ユニット16dは、一次撹拌ユニット24dとして実現される。一次循環ユニット16dの一次循環要素26dは、一次撹拌要素58dとして実現され、ガイドチューブ42d内に配置される。
【0066】
反応装置10dの動作状態では、溶融ポリマーは、一次撹拌要素58dによってガイドチューブ42d内で上向きの第1の軸流にされ得る。ガイドチューブ42dの上方では、溶融ポリマーは、入口66dを介して添加された更なるポリマー廃棄物と共に、ガイドチューブ42dの外側の第2の軸流で、一次熱交換器のチューブ間の流路を通って下向きに流れ、更なるポリマー廃棄物は、一次熱交換器40dによって溶融される。このプロセスの間に、溶融ポリマーは部分的に解重合される。
【0067】
反応装置10dは、塩素含有ポリマーの前処理のための前処理反応器44dを備える。前処理反応器44dは、一次反応器12dの上流に接続されており、一次反応器12dと共に反応器カスケードを形成する。加熱ユニット14dは、塩素含有ポリマーの加熱及び溶融並びに少なくとも部分的な解重合のための少なくとも1つの前処理熱交換器46dを備える。この場合、前処理反応器44dは、図2の例示的な実施形態と同様に実現される。しかしながら、代替的に、反応装置10dが前処理反応器44d内に配置された更なるガイドチューブ(図示せず)を備えることも考えられる。更に、前処理反応器44dが一次反応器10dと実質的に同一であるように実現されるように、前処理熱交換器46dが前処理反応器44d内に配置され、更なるガイドチューブを円周方向に取り囲むことが考えられる。
【0068】
解重合プラント60dの更なる構成要素及び機能に関しては、図2の例示的な実施形態の上記説明を別様に参照することができる。
原則として、先の例示的な実施形態を参照して説明した特徴の更なる組み合わせが考えられる。例えば、一次反応器及び二次反応器及び又は前処理反応器は、互いに実質的に同一であるように実現され得るか、又は1つの反応器に関して上述した特徴は、他の反応器の1つ以上に同様に移転され得る。
【0069】
図5は、解重合プラントによるポリマーの連続解重合のための方法を説明するための概略的な方法フローチャートを示しており、先の例示的な実施形態の解重合プラント60a、解重合プラント60b、又は解重合プラント60c、又は解重合プラント60dが、本方法を実行するために使用され得る。
【0070】
本方法は、少なくとも3つの方法ステップを含む。本方法の第1の方法ステップ118では、ポリマー、特にポリマー廃棄物の形態のポリマーは、一次反応器12a、12b、12c、12dに供給される。一次反応器12a、12b、12c、12dでは、ポリマーは、一次循環ユニット24a、24b、24c、24dによる循環及び加熱ユニット14a、14b、14c、14dによる熱供給により、加熱され、溶融され、少なくとも部分的に解重合され、ここで、プロセスにおいて生じるガス状解重合生成物は、精留塔56a、56b、56dでの精留に供給される。好ましくは、ポリマーは、第1の方法ステップ118において、250℃~350℃、特に優先的には300℃の温度に加熱される。本方法の第2の方法ステップ120では、溶融ポリマーの少なくとも一部の部分流は、二次反応器18a、18b、18dに供給され、加熱ユニット14a、14b、14c、14dによる熱供給によって更に解重合され、プロセスにおいて生じるガス状解重合生成物は、精留塔56a、56b、56dに供給される。好ましくは、部分流は、第2の方法ステップ120において、380℃~500℃、特に優先的には420℃~480℃の温度に加熱される。本方法の第3の方法ステップ122では、方法ステップ118、120でまだ解重合されていない二次反応器18a、18bからの成分が、更なる解重合のために、直接又は熱交換器126a、126b、126dを介して三次反応器88a、88b、88dに供給される。第3の方法ステップ122では、三次反応器88a、88bへの供給において生じる、及び又は三次反応器88a、88b内で生じるガス状解重合生成物は、精留塔56a、56bに供給される。方法ステップ118、120、122と同時に、ガス状解重合生成物の精留が精留塔56a、56b、56dで行われ、精留塔56a、56b内で生じる塔底生成物は、二次反応器18a、18b、18d及び又は一次反応器12a、12b、12c、12dに供給される。精留塔56a、56b、56dの頂部で生じる生成物のその後の部分凝縮の後、これらは、熱交換器98aを介して部分的に凝縮される。この後、軽質留分104a、104b、104d及び重質留分106a、106b、106dを回収することができる。
【0071】
塩素含有ポリマーの処理のために、本方法は、第1の方法ステップ118の上流に配置される任意の前処理ステップ116を含んでもよい。前処理ステップ116では、塩素含有ポリマーは、一次反応器12a、12b、12c、12d内に供給される前に前処理され、塩素含有成分は、プロセスにおいて分離される。
【0072】
前処理ステップ116は、好ましくは、第2の例示的な実施形態に記載されている前処理反応器44bによって、又は第4の例示的な実施形態に記載されている前処理反応器44dによって、及びそれらに接続されているスタティックミキサーユニット54b又は混合ユニット54dによって実現される。塩素含有ポリマーは、前処理熱交換器46b、46dによって、前処理反応器44b、44d内で加熱され、溶融され、少なくとも部分的に解重合される。前処理反応器44b、44d内で生じる気相の後処理は、湿式分離器ユニット52b、52dでのNaOH洗浄によって実現される。生じる液相は、スタティックミキサーユニット54b、54dに供給され、ここで、残留塩素画分は、酸化カルシウムを添加することによってスタティックミキサーユニット54b、54d中で塩化カルシウムに変換される。塩素含有成分が除去された溶融ポリマーは、一次反応器12b、12dに供給され、そこで次に第1の方法ステップ118が実施される。
【符号の説明】
【0073】
10…反応装置、12…一次反応器、14…加熱ユニット、16…一次循環ユニット、18…二次反応器、20…二次循環ユニット、22…二次循環要素、24…一次撹拌ユニット、26…一次循環要素、28…出口ユニット、30…オーバーフロー領域、32…沈降ゾーン、34…循環領域、36…調節ユニット、38…二次熱交換器、40…一次熱交換器、42…ガイドチューブ、44…前処理反応器、46…前処理熱交換器、48…前処理循環ユニット、50…前処理循環要素、52…湿式分離器、54…スタティックミキサーユニット、56…精留塔、58…一次撹拌要素、60…解重合プラント、62…ロータリー弁、64…コンベヤスクリュー、66…入口、68…冷却セクション、70…冷却水サイクル、72…窒素供給ライン、74…溶融塩システム、76…溶融塩タンク、78…加熱デバイス、80…二次撹拌ユニット、82…二次撹拌要素、84…充填レベルインジケータコントローラ、86…調節弁、88…三次反応器、90…三次熱交換器、92…撹拌アーム、94…廃棄ユニット、96…温水サイクル、98…熱交換器、100…ディーゼル供給物、102…容器、104…軽質留分、106…重質留分、108…残留画分、110…更なる一次循環要素、112…循環ポンプ、114…循環ライン、116…前処理ステップ、118…第1の方法ステップ、120…第2の方法ステップ、122…第3の方法ステップ、126…熱交換器、128…水酸化ナトリウム供給部、130…塩化ナトリウム画分、132…廃ガス画分、134…酸化カルシウム供給部、136…第1のオーバーフロー弁、138…第2のオーバーフロー弁、140…第3のオーバーフロー弁。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】