(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】樹脂炭素陽極生地及びその製造方法、生地中間体及びその製造方法、炭素陽極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 61/14 20060101AFI20241219BHJP
C08G 8/20 20060101ALI20241219BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241219BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20241219BHJP
【FI】
C08L61/14
C08G8/20 A
C08K3/04
C01B32/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024562219
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2023071500
(87)【国際公開番号】W WO2023131335
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210022319.9
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524260812
【氏名又は名称】山東聖泉新材料股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shandong Shengquan New Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Diaozhen Chemical Industrial Development Zone, Zhangqiu, Jinan, Shandong 250204, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】唐 地源
(72)【発明者】
【氏名】劉 衛新
(72)【発明者】
【氏名】馬 慶
【テーマコード(参考)】
4G146
4J002
4J033
【Fターム(参考)】
4G146AA22
4G146AB01
4G146AC02B
4G146AC19A
4G146AC19B
4G146AC21B
4G146AD23
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4G146CB03
4J002CC071
4J002DA026
4J002FD016
4J002FD116
4J002FD206
4J002GQ00
4J033CA02
4J033CA09
4J033CA11
4J033CA16
4J033CB03
4J033CB14
4J033CC04
4J033CC11
4J033HB01
(57)【要約】
本願は、樹脂炭素陽極生地を提供する。前記樹脂炭素陽極生地を硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体が得られ、前記樹脂炭素陽極生地中間体は、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、以下のパターン特性を有する:保持時間が順に4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3minであるときに特徴的なピークを有する。また、本発明は、樹脂炭素陽極生地の製造方法を提供する。また、本発明は、樹脂炭素陽極生地中間体、樹脂炭素陽極と、それらの対応する製造方法および使用も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂炭素陽極生地であって、樹脂炭素陽極生地が硬化処理により樹脂炭素陽極生地中間体が得られ、前記樹脂炭素陽極生地中間体が、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、保存時間が順に4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3minおよび5.92±0.3minである時に特徴的なピークを有するスペクトルの特徴を有することを特徴とする、樹脂炭素陽極生地。
【請求項2】
前記樹脂炭素陽極生地中間体は、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、保持時間が順に4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3min、6.10±0.3min、6.40±0.3min及び6.50±0.3minであるときに特徴的なピークを有するスペクトルの特徴を有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項3】
前記樹脂炭素陽極生地中間体は、
図1に示すガスクロマトグラフィー質量分析スペクトルを有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項4】
前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験に使用されるガスクロマトグラフ質量分析計は7890B/5977BGC/MSDであり、クロマトグラフィカラムはVF-1701MSキャピラリーカラムであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項5】
変性フェノール樹脂と骨材とを含む混合物から混練処理、成形処理を経て得られ、好ましくは、混練処理の前に、前記変性フェノール樹脂が30~50℃に昇温されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項6】
前記変性フェノール樹脂が、リグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂及びポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種又は2種以上であり、
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキスから選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物がマルトース、ショ糖、ブドウ糖、フルクトース、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項7】
前記骨材が、粒子径8~5mmのか焼コークス、粒子径5~3mmのか焼コークス、粒子径3~1mmのか焼コークス、粒子径1~0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は多種からなり、
好ましくは、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%であることを特徴とする、請求項5に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項8】
前記混練処理において、混練時間は10~100分、混練温度は40~60℃であり、好ましくは、混練時間は20~60分であり、
好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂が10min~30min以内で、添加が終了するまで連続的に添加され、
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sであることを特徴とする、請求項5に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項9】
樹脂炭素陽極生地原材料の全重量に対して、前記変性フェノール樹脂が5~15部、前記骨材が85~95部であることを特徴とする、請求項5~8のいずれかに記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項10】
前記成形処理が、電動スクリュープレス又は振動プレスにより成形されることを特徴とする、請求項5に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項11】
前記樹脂炭素陽極生地は、変性フェノール樹脂、骨材を含む混合物から混練処理、成形処理により得られ、硬化処理後にガスクロマトグラフ質量分析技術試験が行われ、硬化処理温度が120~270℃であり、試験に選択される熱分解温度が600℃であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂炭素陽極生地。
【請求項12】
材料混合:前記混合される材料は変性フェノール樹脂、骨材を含み;
混練処理:混練時間は10-100minであり;
成型処理:電働スクリュープレスまたは振動プレスで成型し;
好ましくは、混練処理前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温し、
さらに好ましくは、混練処理の工程では、混合温度が40~60℃で前記変性フェノール樹脂を、添加終了まで10分~30分の間、連続的に添加し、
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂炭素陽極生地の製造方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の生地を硬化処理して得られる樹脂炭素陽極生地中間体であって、前記生地中間体の揮発分が0.4から2%であり;
好ましくは、前記生地中間体のバルク密度は1.6~1.8g/m
3であり、
さらに好ましくは、硬化処理の温度が120~270℃であり、硬化処理の時間が1~10時間であることを特徴とする、樹脂炭素陽極生地中間体。
【請求項14】
材料混合:前記混合される材料は変性フェノール樹脂、骨材を含み;
混練処理:混練時間は10-100minであり;
成型処理:電働スクリュープレスまたは振動プレスで成型し;
硬化処理:硬化処理の温度120-270℃、硬化処理の時間1-10hであり;
好ましくは、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温し、
さらに好ましくは、混練処理の工程では、混合温度が40~60℃で前記変性フェノール樹脂を、添加終了まで10分~30分の間、連続的に添加し、
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、請求項13に記載の樹脂炭素陽極生地中間体の製造方法。
【請求項15】
変性フェノール樹脂、骨材を含む混合材料から、混練処理、成形処理、硬化処理、焙焼処理を経て得られ;又は請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂炭素陽極生地を硬化処理、焙焼処理して得られ;又は請求項12に記載の樹脂炭素陽極生地中間体を焙焼処理して得られた、炭素陽極。
【請求項16】
前記変性フェノール樹脂は、リグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂、ポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種または2種以上であり、
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキスから選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物がマルトース、ショ糖、ブドウ糖、フルクトース、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項15に記載の炭素陽極。
【請求項17】
前記骨材は、粒子径が8~5mmのか焼コークス、粒子径が5~3mmのか焼コークス、粒子径が3~1mmのか焼コークス、粒子径が1~0mmのか焼コークス、粒子径が0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は多種からなり、
好ましくは、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%であることを特徴とする、請求項15に記載の炭素陽極。
【請求項18】
炭素陽極原材料の全重量に対して、前記変性フェノール樹脂が5~15部、前記骨材が85~95部であることを特徴とする、請求項15に記載の炭素陽極。
【請求項19】
前記混練処理において、混練時間は10~100分、混練温度は40~60℃であり、好ましくは、混練時間は20~60分であり、
好ましくは、混練処理工程において、前記変性フェノール樹脂が10min~30minの間、添加が終了するまで連続的に添加され、
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sであることを特徴とする、請求項15に記載の炭素陽極。
【請求項20】
前記成形処理は、電動スクリュープレスまたは振動プレスで成形されることを特徴とする、請求項16に記載の炭素陽極。
【請求項21】
前記硬化処理は、硬化処理の温度が120~270℃であり、硬化処理の時間が1~10hであり、
好ましくは、前記焙焼処理は、前記炭素を埋設した条件で、室温-270℃から550-1100℃に昇温し、焙焼処理時間は20~250時間であり、
好ましくは、炭素陽極生地中間体に対して、前記炭素陽極の強熱減量は、2~6%であり、
さらに好ましくは、前記焙焼処理は、炭素埋設条件または不活性ガス保護条件で処理され、
さらに好ましくは、前記焙焼処理は、マイクロ波焙焼処理、オーブン焙焼処理、トンネルキルン焙焼処理、倒炎キルン焙焼処理、多室リング式焙焼炉焙焼処理、マッフル炉焙焼処理又は焙焼炉焙焼処理であることを特徴とする、請求項16に記載の炭素陽極。
【請求項22】
前記焙焼処理で、室温-270℃の段階で、昇温速度が3-60℃/hであり;270-500℃の段階で、昇温速度は3-60℃/hであり;500~800℃の段階で、昇温速度は10~50℃/hであり;800~1100℃の段階で、昇温速度は10~30℃/hであることを特徴とする、請求項21に記載の炭素陽極。
【請求項23】
材料混合:前記混合される材料は変性フェノール樹脂、骨材を含むこと;
混練処理:混練時間は10-100minであること;
成型処理:摩擦プレスや振動プレスで成型すること;
硬化処理:硬化処理の温度120-270℃、硬化処理の時間1-10hであること;
焙焼処理:室温-270℃から550-1100℃に昇温することを含む、請求項15~22のいずれか1項に記載の炭素陽極の製造方法。
【請求項24】
請求項15~22のいずれか1項に記載の炭素陽極、請求項23に記載の方法により製造された炭素陽極のアルミニウム電解における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素産業の技術分野に関し、特に、樹脂炭素陽極生地及びその製造方法、生地中間体及びその製造方法、炭素陽極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレベーク陽極は電解アルミニウム業界で使用される陽極材料で、アルミナを電解して金属アルミニウムを生産するために用いられ、電解アルミナ業界の重要な原材料である。現在、陽極の主原料は石油コークスであり、石炭ピッチで結合し、成形、焙焼などの段階を経て作られている。石炭ピッチをバインダーとして採用し、高温で二酸化硫黄などの有害物質を放出し、環境を汚染して、製品の収率を下げる。また、石炭ピッチを用いて陽極を製造する過程で、成形時の温度は145℃ぐらいであり、成形後に水に入れて、水冷して強度を高めることが必要であり、更に20-30d焙焼して陽極製品を完成することができるため、プロセスが複雑で、合格率が低く、しかも汚染が深刻である。
【0003】
フェノール樹脂はフェノール、ホルムアルデヒドを原料として、アルカリあるいは酸の条件で合成された高分子ポリマーであり、炭素材料との濡れ性が良く、高温で炭素の残存量が多いという特徴がある。現在、フェノール樹脂は黒鉛の浸潤剤として耐火材料と耐高温材料に広く応用されている。従来技術では、フェノール樹脂は炭素の残存量が多く、同時に炭素材料に対して優れた濡れ性と接着性を持っているが、フェノール樹脂は炭化後に多量のハードカーボンを含み、黒鉛化しにくいため、抵抗率が高くなる。
【0004】
一方、フェノール樹脂は変性後に樹脂炭化後の抵抗率を効果的に下げることができるが、現在、変性フェノール樹脂に硫黄含有量或いは金属イオンが多く含まれており、アルミニウム用陽極に応用すると陽極に二次汚染を生じる。硫黄分及び金属成分が少なく、低温炭化性に優れたフェノール樹脂を提供することが急務である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、硫黄含有量が少なく、金属成分が少なく、低温炭化性に優れた変性フェノール樹脂を含有し、かつ適切な条件で処理した後、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験でフェノール樹脂のパターン特性を検出することができる樹脂炭素陽極生地(green body)及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
1.樹脂製カーボン陽極生地であって、前記樹脂カーボン陽極生地を硬化処理により樹脂炭素陽極生地中間体が得られ、前記樹脂炭素陽極生地中間体は、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、保持時間が4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3minの順に特徴的なピークを有するスペクトルの特徴を有する、樹脂炭素陽極生地。
2.前記樹脂炭素陽極生地中間体はガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、保持時間が4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3min、6.10±0.3min、6.40±0.3min、6.50±0.3minの順に特徴的なピークを有するスペクトルの特徴を有する、項1に記載される樹脂炭素陽極生地。
3.前記樹脂炭素陽極生地中間体は
図1に示されるガスクロマトグラフィー質量分析スペクトルを有する、項1に記載される樹脂炭素陽極生地。
4.前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術試験に使用されるガスクロマトグラフ質量分析計は7890B/5977B GC/MSDであり、カラムはVF-1701MSキャピラリーカラムである、項1‐3のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地。
5.前記樹脂炭素陽極生地は変性フェノール樹脂、骨材を含む混合物から混練処理、成形処理により得られ、好ましくは、混練処理の前に、前記変性フェノール樹脂が30~50℃に昇温される、項1‐4のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地。
【0007】
6.前記変性フェノール樹脂はリグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂及びポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種又は2種以上であり、
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキス(tannin extract)から選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物が麦芽糖(マルトース)、ショ糖、ブドウ糖、果糖(フルクトース)、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である、項5に記載される樹脂炭素陽極生地。
7.前記骨材は粒子径8mm‐5mmのか焼コークス(Calcined coke)、粒子径5mm‐3mmのか焼コークス、粒子径3‐1mmのか焼コークス、粒子径1mm‐0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は数種であり、
好ましくは、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%である、項5に記載される樹脂炭素陽極生地。
8.前記混練処理において、混練時間は10~100分、混練温度は40~60℃であり、混練時間は好ましく20~60分であり、
好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂が10min~30min以内で、添加が終了するまで連続的に添加され、
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、項5に記載される樹脂炭素陽極生地。
9.前記樹脂炭素陽極生地原材料の総重量に対して、前記変性フェノール樹脂は5~15部であり、前記骨材は85~95部である、項5~8のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地。
10.前記成形処理が、電動スクリュープレス又は振動プレスで成形する、項5に記載される樹脂炭素陽極生地。
【0008】
11.前記樹脂炭素陽極生地が、変性フェノール樹脂、骨材を含む混合物を混練処理、成形処理した後、硬化処理し、ガスクロマトグラフィー質量分析法による試験を行い、その中で、硬化処理の温度が120~270℃であり、試験に選択された熱分解温度が600℃である、項1~10のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地。
12.材料混合:前記混合される材料が変性フェノール樹脂、骨材を含み、
混練処理:混練時間は10-100minであり、
成型処理:電働スクリュープレス又は振動プレスで成型し、
好ましくは、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温し、
さらに好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂を10min~30min以内で、添加が終了するまで連続的に添加して、混合温度が40~60℃であり、
さらに好ましくは、連続添加時の変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、項1‐11のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地の製造方法。
13.項1-10のいずれか一項に記載される生地を硬化処理して得られる樹脂炭素陽極生地中間体であって、前記生地中間体の揮発分は0.4-2%であり、
好ましくは、前記生地中間体のバルク密度は1.6~1.8g/m3であり、
さらに好ましくは、硬化処理の温度が120~270℃であり、硬化処理の時間が1~10時間である、樹脂炭素陽極生地中間体。
14.材料混合:前記混合される材料が変性フェノール樹脂、骨材を含み、
混練処理:混練時間は10-100minであり、
成型処理:電働スクリュープレス又は振動プレスで成型し、
硬化処理:硬化処理の温度120-270℃、硬化処理の時間1-10hであり、
好ましくは、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温し、
さらに好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂を10min~30min以内で、添加が終了するまで連続的に添加し、混合温度が40~60℃であり、
さらに好ましくは、連続添加時の変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、項13に記載される樹脂炭素陽極生地中間体の製造方法。
15.変性フェノール樹脂、骨材を含む混合材料を混練処理、成形処理、硬化処理、焙焼処理して得られ、又は項1-10のいずれか一項に記載される樹脂炭素陽極生地を硬化処理、焙焼処理して得られ、又は項12に記載される樹脂炭素陽極生地中間体を焙焼処理して得られた炭素陽極。
【0009】
16.前記変性フェノール樹脂は、リグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂、ポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種又は2種以上であり、
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキスから選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物が麦芽糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である、項15に記載される炭素陽極。
17.前記骨材は、粒子径8~5mmのか焼コークス、粒子径5~3mmのか焼コークス、粒子径3~1mmのか焼コークス、粒子径1~0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は多種であり、
好ましくは、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%である、項15に記載される炭素陽極。
18.前記樹脂炭素陽極原材料の総重量に対して、前記変性フェノール樹脂が5~15部であり、前記骨材が85~95部である、項15に記載される樹脂炭素陽極。
19.前記混練処理において、混練時間は10~100min、混練温度は40~60℃であり、混練時間は好ましく20~60minであり、
好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂が10min~30min以内で、添加が終了するまで連続的に添加され、
さらに好ましくは、連続添加時の変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである、項15に記載される炭素陽極。
20.前記成形処理は、電動スクリュープレスまたは振動プレスで成形される、項16に記載される炭素陽極。
【0010】
21.前記硬化処理において、硬化処理の温度が120-270℃であり、硬化処理の時間が1-10hであり、
好ましくは、前記焙焼処理は、前記炭素を埋設した状態で、室温-270℃から550-1100℃に昇温し、焙焼処理時間を20~250hにすることを含み、
好ましくは、炭素陽極生地中間体と比較して、前記炭素陽極の強熱減量(Loss on ignition)は2~6%であり、
さらに好ましくは、前記焙焼処理は、炭素埋設条件又は不活性ガス保護条件で処理することであり、
さらに好ましくは、前記焙焼処理が、マイクロ波焙焼処理、オーブン焙焼処理、トンネルキルン焙焼処理、倒炎キルン焙焼処理、多室リング式焙焼炉焙焼処理、マッフル炉焙焼処理又は焙焼炉焙焼処理である、項16に記載される炭素陽極。
22.前記焙焼処理において、室温-270℃の段階で、昇温速度は3-60℃/hであり;270-500℃の段階で、昇温速度は3-60℃/hであり;500~800℃の段階で、昇温速度は10~50℃/hであり、800~1100℃の段階で昇温速度は10~30℃/hである、項21に記載される炭素陽極。
23.材料混合:前記混合された材料は変性フェノール樹脂、骨材を含み、
混練処理:混練時間は10-100minであり、
成型処理:摩擦プレスや振動プレスで成型し、
硬化処理:硬化処理温度120-270℃、硬化処理時間1-10hであり、
焙焼処理:室温-270℃から550-1100℃に昇温する工程を含む、項15~22のいずれか一項に記載される炭素陽極の製造方法。
24.項15‐22のいずれか一項に記載される炭素陽極、項23に記載される方法によって製造された炭素陽極のアルミニウム電解における使用。
【0011】
本発明の技術的効果は以下の通りである:
(1)本発明に記載される樹脂炭素陽極生地は、硬化処理温度は270℃未満である時に、ガスクロマトグラフィー質量分析法による試験でフェノール樹脂の特徴的なピークを検出することができる。
(2)本発明に記載される樹脂炭素陽極生地中間体は、高温焙焼する前に適切な耐圧強度とバルク密度を有し、焙焼中のクラック不良率を低下させ、炭素陽極製品の合格率を向上させるとともに、焙焼時間を節約し、炭素陽極製品の生産効率を大幅に向上させる。
(3)本発明に記載される炭素陽極は、石炭ピッチを大量又は全部置き換えてフェノール樹脂を採用することにより、炭素陽極の構造の緻密性を向上させ、同時に強度を向上させ、炭素陽極の導電性を確保することにより、良好な電気化学特性を得ることができ、陽極の電気化学反応活性を向上させ、電解中の電気エネルギーの消費量を低減し、経済性を向上させることができる。
(4)本発明では、フェノール樹脂をバインダーとして採用し、混練及び成形過程において材料に昇温処理を行う必要がなく、プロセス手順を削減した;生炭塊(green carbon block)が硬化して固化した後、非常に高い強度と寸法安定性があり、200-400℃の温度段階で、急速に昇温することができて、工程時間を短縮して、生産コストを下げて、同時に全体の生産過程と電解過程が更に環境にやさしくなり、幅広い応用の見通しがある。
(5)本発明に記載される炭素陽極は、強度、導電性に優れ、アルミナの電解に用いることができ、経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例2-1のガスクロマトグラフィー質量スペクトルを示す図である。
【
図2】
図2は、比較例2-1のガスクロマトグラフィー質量スペクトルを示す図である。
【
図3】
図3は、比較例3-1のガスクロマトグラフィー質量スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、全体の明細書及び特許請求の範囲の中で言及されている「含む」、「からなる」又は「含有する」は開放的な用語であるため、「含むが限定しない」と解釈すべきである。明細書には、本発明を実施するための好ましい実施態様を実施するための説明が後に記載されているが、その説明は明細書の一般原則を目的としており、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の保護の範囲は、添付の請求項によって定義されているものに準じている。
【0014】
本願において、形成されたフェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドから形成されるプレポリマー及びリグニンから主に由来する水酸基含有芳香環構成単位を有し、下記式(I)(式中、Rはメチロール基又はプロピル基であり、R'はメトキシ基又はメチレン基である)で表され、さらに、一定量のこの構造を含むポリマーの分子量範囲を計算することができる、得られたフェノール樹脂の分子量及び分子量分布をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、一定の分子量範囲における当該フェノール樹脂ポリマーの分子量分布の面積を分析し、その面積が全体分布面積に占める割合、すなわちフェノール樹脂の総重量に占める分子量範囲のポリマーの割合を計算し、さらに一定量の水酸基を有する芳香環構造を有するポリマーの重量割合を確定する。
【0015】
本発明により提供される樹脂炭素陽極生地は、硬化処理後に樹脂炭素陽極中間体が得られ、前記樹脂炭素陽極中間体がガスクロマトグラフィー質量分析法による測定において、次のようなスペクトルの特徴を持つ:保持時間が4.95±0.3 min、5.32±0.3 min、5.47±0.3 min、5.92±0.3 minの順に、特徴的なピークを有する。
【0016】
本発明の1つの具体的な実施態様において、前記樹脂炭素陽極生地中間体は、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、次のようなスペクトルの特徴を持つ:保持時間が4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3min、6.10±0.3min、6.40±0.3minおよび6.50±0.3minの順に特徴的なピークを有する。
【0017】
本発明の1つの具体的な実施態様では、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験において、9.7±0.3min、11.6±0.3min、12.9±0.3min、15.9±0.3minの保持時間に特徴的なピークがなく、すなわち、石炭ピッチに属する特徴的なピークが検出されない。
【0018】
本発明の1つの具体的な実施態様において、前記樹脂炭素陽極生地中間体のガスクロマトグラフィー質量分析結果を
図1に示すようであり、
図1に示す特徴ピークの具体的な分析結果を表1に示す。
【0019】
【0020】
【0021】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術試験条件は、当業者が知り得る試験条件である。
【0022】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は次の通りである:ガスクロマトグラフ質量分析計は7890B/5977B GC/MSDであり、EGA/PY-3030D熱分解装置及びMasshunter採取及び定性ソフトウェアを備えている;カラムはVF-1701MSキャピラリーカラムである。
【0023】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は次の通りである:ガスクロマトグラフ質量分析計がAgilent5975C-7890AGC-MS分析装置であり、クロマトグラフカラムがHP-5MS5%PhenylMethylSiloxキャピラリーカラムである。
【0024】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は次の通りである:ガスクロマトグラフ質量分析計はAgilent5975C-7890Aであり;カラムはHP-5MSキャピラリーカラムである。
【0025】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記ガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は以下の通りである:ガスクロマトグラフ質量分析計はSHIMADU GCMS-QP2010Plusであり、カラムはDB-5HTである。
【0026】
本発明の一部の具体的な実施態様では、サンプルは、使用説明書に従って試験され、実施態様は、
少量のサンプルをサンプルカップに移すこと;
試料カップをコネクティングロッドを用いて手動インジェクターに接続し、インジェクターを熱分解装置に固定すること;
ガスクロマトグラフィーのサンプル配列を編集して実行すること;
熱分解ソフトウェアがサンプル注入警告を発した後、実行プログラムを開始し、サンプルが熱分解を開始し、クロマトグラフィカラムに入って分離し、質量分析によって検出されること;
検出結果を定性分析することを含む。
【0027】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記炭素陽極生地は、変性フェノール樹脂と骨材とを含む混合物が混練処理された後、成形処理されたものである。
【0028】
本発明の一部の具体的な実施態様において、前記変性フェノール樹脂は、リグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂、ポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種又は2種以上であり;
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキスから選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物が麦芽糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0029】
本発明の1つの具体的な実施態様において、前記変性フェノール樹脂は、当業者が知っている方法で変性されたものであってもよい。
【0030】
本発明の1つの具体的な実施態様において、前記変性フェノール樹脂は、フェノール系化合物とヒドロキシ化合物とアルデヒド系化合物と炭化促進剤とを触媒の作用下に反応させて得られる。
【0031】
本発明の1つの具体的な実施態様において、反応釜にフェノール100部と適量の触媒を投入し、90~120℃に昇温し、リグニン20~100部を添加し、1~5hフェノレーションをし、80~82℃に降温し、37%ホルムアルデヒド100~150部と変性炭化促進剤とを添加し、添加終了後、88~90℃に昇温し、粘度を100~350cpに制御し、脱水を3~9%にして、生成物を排出する。
【0032】
本発明の一部の具体的な実施態様において、リグニン、ポリフェノール化合物、ポリヒドロキシ化合物で変性されたフェノール樹脂は、当業者が知っている方法で変性して得られるものであってもよい。
【0033】
反応釜にフェノール100部と適量の酸性触媒を投入し、90~120℃に昇温し、リグニン20~100部を添加し、1~5hフェノール化し、80~82℃に降温し、37%ホルムアルデヒド100~150部と変性炭化促進剤を添加し、添加終了後、88~90℃に昇温し、粘度を100~350cpに制御し、脱水を3~9%にして、生成物を排出する。
【0034】
本発明の1つの具体的な実施態様において、反応釜にフェノール100部と適量の触媒を投入し、90~100℃に昇温し、フルクトース10~60部とレゾルシノール10~20部を添加し、1~2h保温し、80~82℃に降温し、37%ホルムアルデヒド100~150部と変性炭化促進剤を添加し、添加終了後、90~95℃に昇温し、粘度を100~350cpに制御し、脱水を3~9%にして、生成物を排出する。
【0035】
本発明の1つの具体的な実施態様において、反応釜にフェノール100部と適量の触媒を投入し、80~90℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド110~180部と変性炭化促進剤を添加し、添加終了後、90~95℃に昇温し、1~3h保温し、タンニンエキス30~70部を添加し、粘度を100~350cpに制御し、脱水を3~9%にして、生成物を排出する。
【0036】
本発明の1つの具体的な実施態様では、本発明のフェノール樹脂は、前記変性フェノール樹脂の総重量に対して約0.2~1.5重量%の炭化促進剤を含み、前記炭化促進剤は、ホウ素元素または遷移元素から形成される水またはフェノール樹脂に可溶な化合物のうちの1種または複種であり、しかも前記遷移元素は、IBおよびIIB族の元素を含まず、前記遷移元素は、鉄、マンガン、コバルト、チタン、ニッケル、モリブデンなどの元素であってもよい。炭化促進剤としては、例えばクエン酸鉄アンモニウム、硝酸マンガン、硫酸コバルト、塩化第二鉄、過塩素酸ニッケル、モリブデン酸アンモニウム、酢酸ニッケルなどが挙げられる。本願において、フェノール樹脂に占める炭化促進剤の総含有量は、添加された炭化促進剤の量とフェノール樹脂を形成する全反応成分の総量に基づいて計算することができ、当業者が周知している方法に基づいて、選択された炭化促進剤のフェノール樹脂中の含有量を測定することもできる。炭化促進剤を添加することにより、高温で炭素との融着物を形成することができ、化合物内部の原子の転位により炭素を黒鉛の結晶として析出させることができ、陽極の導電性をある程度向上させることができる。
【0037】
本発明の好ましい実施態様では、前記変性フェノール樹脂は、フェノール系化合物、アルデヒド系化合物、リグニン及び変性剤を塩基性触媒の作用下に反応させて製造される。ここで、前記フェノール系化合物は、フェノール、クレゾール、カシノール、レゾルシン、アルキルフェノール、キシレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、tert-ブチルフェノール、カシュー油、ビスフェノールAなどであってもよく、前記アルデヒド系化合物は、ホルムアルデヒド、トリオキシメチレン、パラオキシメチレン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチラール、フルフラール、ベンズアルデヒドなどであってもよい。
【0038】
本発明の1つの具体的な実施態様では、前記リグニンは、フェノール、ジオキサン、酸性リグニン及びポリヒドロキシ化合物から製造される。
【0039】
本発明の一部の実施態様において、前記骨材は、粒子径8~5mmのか焼コークス、粒子径5~3mmのか焼コークス、粒子径3~1mmのか焼コークス、粒子径1~0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は数種を含む;
粒子径8-5mmのか焼コークスとは、粒子径8-5mmのか焼コークスであり;粒子径が5-3mmのか焼コークスとは、粒子径が5-3mmのか焼コークスであり;粒子径3-1mmのか焼コークスとは、粒子径3-1mmのか焼コークスであり;粒子径1-0mmのか焼コークスとは、粒子径1-0mmのか焼コークスであり;粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスとは、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスである。
【0040】
本発明の一部の実施態様では、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%である。
【0041】
例えば、前記粒子径8~5mmのか焼コークスは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20wt%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい;
前記粒子径が5~3mmのか焼コークスは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25重量%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい;
前記粒子径が3~1mmのか焼コークスは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30重量%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい;
前記粒子径1~0mmのか焼コークスは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20wt%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい;
粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスは、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45wt%またはその間の任意の範囲であってもよい。
【0042】
本発明の一部の実施態様では、樹脂炭素陽極生地素材の総重量で、前記変性フェノール樹脂は5~15部であり、前記骨材は85~95部である;
例えば、前記変性フェノール樹脂は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15部またはそれらの間の任意の範囲であってもよい;
前記骨材は85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95部またはこれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0043】
本発明の一部の実施態様では、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温する;
例えば、前記変性フェノール樹脂は、30、35、40、45、50℃またはこれらの間の任意の温度範囲に昇温することができる。
【0044】
本発明の一部の実施態様では、混練処理工程において、前記変性フェノール樹脂を10min~30minの間、添加が完了するまで連続的に添加する;好ましくは、連続添加時の変性フェノール樹脂の流速が1kg/S~3kg/Sである。
【0045】
本発明の一部の実施態様では、混練温度は40~60℃であり、例えば、混練温度は、40、45、50、55、60℃またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0046】
本発明の一部の実施態様では、前記混練処理は、10~100min、好ましくは20~60minの混練時間を含む。具体的には、混練機を用いて10-100min混練するが、本願における混練時間により、プロセスの安定性を保証することができる。もし混練時間が10min未満であれば、変性フェノール樹脂、骨材からなる混合材料は十分な混合と浸潤に達しず、製品の安定性に深刻な影響を与え、後続の工程に不利である;しかし、混練時間が120minのように100minを超える場合、混練時間が長すぎると、変性フェノール樹脂の予備硬化を引き起こし、製品の成形性能と強度に影響を与える。
【0047】
本発明の一部の実施態様では、前記成形処理は、電動スクリュープレスまたは振動プレスでの成形を採用する。
【0048】
本発明の一部の実施態様において、前記硬化処理は、硬化処理の温度が120~270℃であり、硬化処理の時間が1~10hであり、本願では、硬化温度が270℃を超えてはならず、例えば、硬化温度が300℃であると、炭塊の表面が酸化される。硬化処理の時間は、成形に不利なほど長くしてはならない。
【0049】
例えば、前記硬化処理の温度は、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270℃又はこれらの間の任意の範囲であってもよい;
前記硬化処理の時間は、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10h又はこれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0050】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記樹脂炭素陽極生地は、変性フェノール樹脂と骨材とを含む混合物を混練処理、成形処理したことにより得られ、硬化処理後、ガスクロマトグラフィー質量分析技術により試験され、ここで、硬化処理の温度は120~270℃であり、試験に選択された熱分解温度は600℃である。
【0051】
本発明は、上記樹脂炭素陽極生地の製造方法を提供する。その中で、
材料混合:前記混合される材料は変性フェノール樹脂、骨材を含む;
混練処理:混練時間は10-100minである;
成型処理:電働スクリュープレスまたは振動プレスで成型する;
好ましくは、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温する;
さらに好ましくは、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂を、10min~30minの間で、添加終了まで連続的に添加して、混合温度が40~60℃である;
さらに好ましくは、連続添加時の前記変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである。
【0052】
本発明は、前記生地を硬化処理して得られる樹脂炭素陽極生地中間体を提供する、その中、硬化処理の温度が120~270℃であり、硬化処理の時間が1~10hである。
【0053】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記生地中間体揮発分は0.4~2%である。
【0054】
その中で、揮発分とは、炭素陽極生地が硬化処理された後に失われる重量の割合である。本発明において、揮発分は、成形された炭素陽極生地の重量と硬化処理後の生地中間体の重量の差と、成形された炭素陽極生地の重量との比である。
【0055】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記生地中間体のバルク密度は1.6~1.8g/m3である、
前記生地中間体のバルク密度が1.69~1.75g/m3であることが好ましい。
【0056】
その中、バルク密度とは、体積密度を意味し、本発明において、バルク密度は、炭素陽極生地中間体の重量と該生地中間体の体積との比で計算され、バルク密度試験方法は、GBT24528-2009炭素材料のバルク密度測定方法を参照する。
【0057】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記樹脂炭素陽極生地中間体は、変性フェノール樹脂、骨材を含む混合物に対して混練処理、成形処理、硬化処理を行った後、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験が行われ、ここで、硬化処理温度は120~270℃であり、試験に選択された熱分解温度は600℃である。
【0058】
本発明は、変性フェノール樹脂と骨材とを含む混合物から、混練処理、成形処理、硬化処理、焙焼処理により得られる炭素陽極を提供する。
【0059】
本発明の一部の具体的な実施態様において、前記変性フェノール樹脂は、リグニン変性フェノール樹脂、ポリフェノール化合物変性フェノール樹脂、ポリヒドロキシ化合物変性フェノール樹脂のうちの1種または2種以上である;
好ましくは、リグニンが酸性リグニンであり、ポリフェノール化合物がピロガロール、茶ポリフェノール、タンニン酸及びタンニンエキスから選ばれる1種又は2種以上であり、ポリヒドロキシ化合物が麦芽糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、酸化デンプン、ソルビトール、デキストリンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0060】
前記変性フェノール樹脂の工程は上記の通りであり、ここで省略する。
【0061】
本発明の一部の実施態様において、前記骨材は、粒子径8~5mmのか焼コークス、粒子径5~3mmのか焼コークス、粒子径3~1mmのか焼コークス、粒子径1~0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスのうちの1種又は数種を含む。
【0062】
粒子径8~5mmのか焼コークス、粒子径5~3mmのか焼コークス、粒子径3~1mmのか焼コークス、粒子径1~0mmのか焼コークス、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスの規格については上記の通りであり、ここで省略する。
【0063】
本発明の一部の実施態様では、骨材の総重量に占める質量割合で、粒子径8~5mmのか焼コークスが5~20wt%、粒子径5~3mmのか焼コークスが10~25wt%、粒子径3~1mmのか焼コークスが15~30wt%、粒子径1~0mmのか焼コークスが10~20wt%、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスが25~45wt%である。
【0064】
本発明の一部の実施態様では、炭素陽極原材料の総重量に対して、前記変性フェノール樹脂が5~15部であり、前記骨材が85~95部である。
【0065】
本発明の一部の実施態様では、前記成形処理は、電動スクリュープレスまたは振動プレスでの成形を採用する。
【0066】
本発明の一部の具体的な実施態様では、硬化処理の温度は120~270℃であり、硬化処理の時間は1~10hである。
【0067】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記焙焼処理は、炭素を埋設する条件下で室温-270℃から550-1100℃に昇温し、焙焼処理の時間は20-250hである。
【0068】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記焙焼処理は、マイクロ波焙焼処理、オーブン焙焼処理、トンネルキルン焙焼処理、倒炎キルン焙焼処理、多室リング型焙焼炉焙焼処理、マッフル炉焙焼処理、又は焙焼炉焙焼処理である。
【0069】
本発明の一部の具体的な実施態様では、前記焙焼処理中に室温-270℃の段階で、昇温速度は3~60℃/hであり;270-500℃の段階で、昇温速度は3-60℃/hであり;500~800℃の段階で昇温速度は10~50℃/hであり、800~1100℃の段階で昇温速度は10~30℃/hである。
【0070】
本発明は、上記の炭素陽極の製造方法を提供する。その中で、
材料混合:前記混合される材料は変性フェノール樹脂、骨材を含む、
混練処理:混練時間は10-100minである;
成型処理:摩擦プレスや振動プレスで成型する;
硬化処理:硬化処理温度120-270℃、硬化処理時間1-10hである;
焙焼処理:室温-270℃から550-1100℃に昇温する。
前記焙焼処理は、炭素を埋設した状態で室温-270℃から550~1100℃に昇温し、焙焼処理の時間は20~250hである。
好ましくは、前記焙焼処理は、マイクロ波焙焼処理、オーブン焙焼処理、トンネルキルン焙焼処理、倒炎キルン焙焼処理、多室リング型焙焼炉焙焼処理、マッフル炉焙焼処理又は焙焼炉焙焼処理である。
【0071】
本発明の一部の具体的な実施態様では、混練処理の工程において、前記変性フェノール樹脂を10min~30minの間、添加が完了するまで連続的に添加する;好ましくは、連続添加時の変性フェノール樹脂の流速が1kg/s~3kg/sである。
【0072】
本発明の一部の具体的な実施態様では、混練処理する前に、前記変性フェノール樹脂を30~50℃に昇温する。
【0073】
本発明は、上記樹脂製炭素陽極生地体から製造された炭素陽極を提供する。
【0074】
本発明は、前記樹脂炭素陽極生地から炭素陽極を製造する方法を提供する。前記樹脂炭素陽極生地は、硬化処理、焙焼処理を経て炭素陽極が得られる。
【0075】
前記焙焼処理は、炭素を埋設した状態で室温-270℃から550~1100℃に昇温し、焙焼処理の時間は20~250hである。
【0076】
本発明の一部の実施態様では、炭素陽極生地中間体と比較して、前記炭素陽極の強熱減量は2~6%である。
【0077】
その中で、強熱減量とは、炭素陽極生地中間体の焙焼処理後に失われる重量の割合である。本発明において、強熱減量分は、成形された炭素陽極生地中間体の重量と焙焼後の炭素陽極完成品の重量との差と、炭素陽極生地中間体の重量との比である。
【0078】
本発明は、上記樹脂炭素陽極生地中間体から製造された炭素陽極を提供する。
【0079】
本発明は、焙焼処理後に得られる前記樹脂製炭素陽極生地中間体から炭素陽極を製造する方法を提供して、前記樹脂製炭素陽極生地中間体を焙焼処理して炭素陽極を得られる;
前記焙焼処理は、炭素を埋設した状態で室温-270℃から550~1100℃に昇温し、焙焼処理の時間は20~250hである。
【0080】
本発明はまた、上記炭素陽極のアルミニウム電解における使用を提供する。
【0081】
本発明により提供する樹脂炭素陽極生地は、硬化処理後のガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験でフェノール樹脂の特徴的な吸収ピークを検出することができ、硬化処理、焙焼処理した後、炭素陽極を得ることができ、得られる炭素陽極の嵩密度、耐圧強度の指標のばらつきが小さく、品質がより安定する。
【実施例】
【0082】
本発明は、試験に使用される材料および試験方法について一般的および/または具体的に説明するものであり、以下の実施例において、特に説明がない場合、%はwt%を表して、すなわち重量百分率を表す。使用した試薬又は器具は製造メーカーが明記されておらず、いずれも市場購入により入手できる通常の試薬製品であり、表2は実施例で使用した原材料の供給源である。
【0083】
【0084】
実施例1-1樹脂炭素陽極生地の調製
(a)骨材の準備:粒子径8~5mmのか焼コークスを10部、粒子径5~3mmのか焼コークスを15部、粒子径3~1mmのか焼コークスを20部、粒子径1~0mmのか焼コークスを10部、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスを40部を秤量し、混合機に入れて均一に混合した。
(b)リグニン変性フェノール樹脂の調製:反応釜にフェノール100部と適量の触媒を投入し、100℃に昇温し、リグニン70部を添加し、2時間フェノール化し、80~82℃に降温し、37%ホルムアルデヒド130部と変性炭化促進剤を添加し、添加終了後、88~90℃に昇温し、粘度を180~280cpに制御し、脱水を4~7%にして、生成物を排出した。
(c)工程(b)で得られた変性フェノール樹脂を40℃に昇温し、工程(a)で得られた骨材95部と工程(b)で得られた変性フェノール樹脂10部とを混合し、前記変性フェノール樹脂を添加終了までの流速が2kg/sで20分以内に連続的に添加し、混練機を用い、混練時間が30 min、混練温度が50℃であった。
(d)工程(c)で混練した混練物を特定の金型に入れ、電動スクリュープレスを用いて2500トンの圧力でプレス成形して、樹脂炭素陽極生地が得られた。
【0085】
実施例1-2樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-2と実施例1-1の違いはただ、工程(c)において、混練時間が10minであり、その他の条件はすべて同じである。
【0086】
実施例1-3樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-3と実施例1-1の違いはただ、工程(c)において、混練時間が100minであり、その他の条件はすべて同じである。
【0087】
実施例1-4樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-4と実施例1-1の違いはただ、工程(c)において、混練時間が120minであり、その他の条件はすべて同じである。
【0088】
実施例1-5樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-5と実施例1-1との違いは、工程(c)では変性フェノール樹脂を40℃に昇温せず、すなわち、工程(a)で得られた骨材95部と工程(b)で得られた変性フェノール樹脂10部とを、混練機を用いて、混練時間30分、混練温度50℃で室温条件下で混合したことのみである。
【0089】
実施例1-6樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-6と実施例1-1との違いは、工程(c)において、工程(b)で得られた変性フェノール樹脂を40℃に昇温し、工程(a)で得られた骨材95部と工程(b)で得られた変性フェノール樹脂10部を混合し、前記変性フェノール樹脂を一度に全量添加し、混練機を用い、混練時間30分、混練温度50℃であることのみである。
【0090】
実施例1-7樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-7と実施例1-1との違いは、骨材の成分の違いのみであり、具体的には以下の通りである:
工程(a):骨材の準備:骨材の総部数で、0-1mm石油コークス20部、1-2mm石油コークス20部、2-4mm石油コークス20部、4-8mm石油コークス15部、180メッシュ微粉末石油コークス30部、粉砕した黒鉛5部、カーボンナノチューブ5部を秤量し、混合機に入れて均一に混合した。
【0091】
実施例1-8樹脂炭素陽極生地の調製
実施例1-8と実施例1-1の違いは、工程(c)において、混練温度が室温であり、その他の条件はすべて同じである。
【0092】
比較例1-1
(a)骨材の準備:粒子径8~5mmのか焼コークスを10部、粒子径5~3mmのか焼コークスを15部、粒子径3~1mmのか焼コークスを20部、粒子径1~0mmのか焼コークスを10部、粒子径0.075mm未満の微粉末か焼コークスを40部を秤量し、混合機に入れて均一に混合した。
(b)工程(a)で得られた骨材95部を150℃に昇温し、140℃に予熱した石炭ピッチ粉末10部を加え、140℃で30分間混練した。
(c)工程(b)で混練した混練物を特定の金型に入れ、振動成形機を用いてプレス成形した。
【0093】
実施例1-1~1-8および比較例1-1の重要なパラメータを表3に示す。
【0094】
【0095】
実施例2-1樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-1で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度150℃、硬化処理時間3時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が1.05%である。
実施例2-1で得られた樹脂炭素陽極生地中間体は、その後、ガスクロマトグラフィー質量分析で分析され、前記樹脂炭素陽極生地中間体は
図1に示されるガスクロマトグラフィー質量スペクトルを有する。
【0096】
実施例2-2樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-5で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度150℃、硬化処理時間3時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が1.02%である。
【0097】
実施例2-3樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-6で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度150℃、硬化処理時間3時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が0.98%である。
【0098】
実施例2-4樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-7で調製された樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度150℃、硬化処理時間3時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体揮発分が0.97%である。
【0099】
実施例2-5樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-8で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度150℃、硬化処理時間3時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が0.98%である。
【0100】
実施例2-6樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-1で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度300℃、硬化処理時間2時間で硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が1.3%である。
【0101】
実施例2-7樹脂炭素陽極生地中間体の調製
実施例1-1で調製した樹脂炭素陽極生地を、硬化処理温度90℃、硬化処理時間12hで硬化処理して樹脂炭素陽極生地中間体を得られ、硬化前後の生地中間体の重量をそれぞれ検出し、硬化前後の重量差に基づいて生地中間体の揮発分のデータを算出し、その結果、生地中間体の揮発分が0.4%である。
【0102】
実施例2-8
実施例2-8と実施例2-1との違いは、硬化時間が8hであることと、生地中間体の揮発分が1.3%であることのみである。
【0103】
実施例2-9
実施例2-9と実施例2-1との違いは、硬化時間が30minであること、生地中間体揮発分が0.3%であることのみである。
【0104】
比較例2-1
比較例1-1でプレス成形した炭素陽極生地中間体を12h水冷した後、自然乾燥した後、ガスクロマトグラフィー質量分析で分析した。
比較例2-1で得られた炭素陽極生地中間体を、
図2に示すようなガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて、前記樹脂炭素陽極生地中間体は
図2に示すガスクロマトグラフィー質量スペクトルを有する。
【0105】
【0106】
実施例3-1炭素陽極の調製
実施例2-1で調製した樹脂炭素陽極生地中間体をトンネルキルンに入れて焙焼処理を行い、その中で、炭素を埋め込む条件で、室温から1000℃まで昇温し、その中で、室温-270℃の段階で、昇温速度は50℃/hであり、270~500℃の段階で、昇温速度は40℃/hであり、500~800℃の段階で、昇温速度は30℃/hであり、800~1000℃の段階で、昇温速度は25℃/hである、72h焙焼して、焙焼前後の炭素陽極生地中間体と炭素陽極完成品の重量をそれぞれ秤量し、両者の重量差に基づいて前記炭素陽極の強熱減量は3.2%である。
焙焼終了後、緩やかに温度を下げて窯出しを行い、前記炭素陽極を得た。
【0107】
実施例3-2
実施例2-2で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は3.2%である。
【0108】
実施例3-3
実施例2-3で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は3.3%である。
【0109】
実施例3-4
実施例2-4で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は2.8%である。
【0110】
実施例3-5
実施例2-5で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は3.3%である。
【0111】
実施例3-6
実施例2-6で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルンに入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は2.9%である。
【0112】
実施例3-7
実施例2-7で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は3.8%である。
【0113】
実施例3-8
実施例2-8で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は3.0%である。
【0114】
実施例3-9
実施例2-9で調製した樹脂製炭素陽極生地中間体をトンネルキルン中に入れて焙焼処理し、焙焼処理条件は実施例3-1と同じであり、前記炭素陽極の強熱減量は4.0%である。
【0115】
実施例3-10
実施例2-1で調製した樹脂炭素陽極生地の中間体をトンネルキルンの中に入れて焙焼処理を行い、その中で焙焼処理条件は:炭素を埋め込む条件で、室温から780℃まで昇温し、その中で、室温-270℃の段階で、昇温速度は50℃/hであり、270~500℃段階で、昇温速度は40℃/hであり、500~780℃の段階で、昇温速度は30℃/hである、72時間焙焼し、焙焼前後の炭素陽極生地中間体と炭素陽極完成品の重量をそれぞれ秤量し、両者の重量差に基づいて計算された炭素陽極の強熱減量は2.7%である。
【0116】
比較例3-1
比較例2-1で調製した炭素陽極生地中間体をトンネルキルンに入れて焙焼処理し、焙焼処理は実施例3-1と同じようにして、強熱減量は6.8%である。
比較例3-1で得られた炭素陽極生地中間体をガスクロマトグラフィー質量分析で分析し、前記炭素陽極生地中間体は、
図3に示すようなガスクロマトグラフィー質量スペクトルを有する。
【0117】
比較例3-2
実施例2-1で調製した炭素陽極生地中間体をトンネルキルンで焙焼処理し、その中で焙焼条件:炭素を埋め込む条件で、室温から500℃まで昇温し、その中で、室温-270℃の段階で、昇温速度は50℃/hであり;270-500℃段階の昇温速度は40℃/hであり、72h焙焼し、強熱減量は1.8%である。
【0118】
【0119】
実験例1
本出願によって得られた製品は、ガスクロマトグラフィー質量分析技術による試験の際に、パラメータが次の通りである:
1.器具および試薬
1.1ガスクロマトグラフ質量分析計:7890B/5977B GC/MSD、EGA/PY-3030D熱分解装置及びMasshunter採集と定性ソフト付き;
1.2カラム:VF-1701MSキャピラリーカラム(30m × 0.150mm × 0.15 μ m);
1.3高純度ヘリウムガス:99.999%;
1.4サンプルカップ:Eco-Cup LF;
1.5コネクティングロッド:エコスティックSF、
1.6手動インジェクター;
1.7サンプルスプーン。
2.検出方法
2.1クロマトグラフィー法
2.1.1サンプル注入口温度:270℃;
2.1.2カラム1流量:1ml/min;
2.1.3スプリット比:80:1;
2.1.4カラム温度:初期温度60℃、0分間保持して;20℃/minの昇温速度で260℃まで昇温し、30分間保持する。
2.1.5 MSDトランスファーライン温度:260℃。
2.2質量分析法
2.2.1イオン源温度:230℃;
2.2.2 四重極温度:150℃;
2.2.3イオン源:Inert EI源;
2.2.4電離エネルギー量:70eV;
2.2.3溶剤遅延:0min;
2.2.4収集モード:スキャン;
2.2.5走査範囲m/z:10-500amu;
2.3熱分解方法
2.3.1熱分解モード:シングルクリック;
2.3.2熱分解温度:600℃;
2.3.3熱分解時間:0.2min;
3.サンプルテスト
3.1ガスクロマトグラフィー、質量分析装置及び熱分解装置の方法を実行し、装置の準備を整える。
3.2サンプルスプーンで少量のサンプルを取ってサンプルカップに移す。
3.3サンプルカップをコネクティングロッドで手動インジェクターに接続しインジェクターを熱分解装置に固定する。
3.4ガスクロマトグラフィーのサンプル注入シーケンスを編集して実行し、熱分解ソフトウェア「開始」をクリックする。
3.5装置の準備が整っているとき、熱分解ソフトウェアはサンプル注入警告を出した後、手動インジェクターのトップボタンを押して、サンプルカップを熱分解装置のライニング管に落下させて、実行プログラムを開始して、サンプルは熱分解を開始して、クロマトグラフィーカラムに入って分離して、質量分析装置によって検出する。
3.6運転終了後にサンプルカップを取り出す。
3.7定性ソフトウェアを開いて測定結果を定性分析する。
【0120】
実施例2-1のガスクロマトグラフィー質量分析のグラフは
図1に示されており;なお、実施例2-2~2-4においても、
図1と同様のグラフを得ることができる。
【0121】
比較例2-1のガスクロマトグラフィー質量分析のグラフは
図2に示されており、そのガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は実施例2-1における試験条件と同じである;
比較例3-1のガスクロマトグラフィー質量分析のグラフは
図3に示されており、そのガスクロマトグラフィー質量分析技術の試験条件は実施例2-1における試験条件と同じである;
その中で、
図1では明らかにフェノール樹脂に属する特徴的なピークが見られ、例えば保持時間が4.95±0.3min、5.32±0.3min、5.47±0.3min、5.92±0.3min、6.10±0.3min、6.40±0.3min、6.50±0.3minである時に特徴的なピークがあり、表1からこれらの特徴的なピークに対応する特徴基がフェノール樹脂の特徴的な基に属することが分かる。
【0122】
図2に示した特徴ピークの具体的な分析結果を表6に示されており、
図2と表6を組み合わせると、比較例2-1において、高温焙焼処理を経ずに、そのガスクロマトグラフィー-質量スペクトルにおいて、明らかに石炭ピッチに属する特徴ピークを得ることができ、例えば保持時間が9.7±0.3min、11.6±0.3min、12.9±0.3min、15.9±0.3minである時に特徴ピークがあり、表6によってこれらの特徴ピークに対応する特徴基はすべて石炭ピッチの特徴基に属することがわかる。
【0123】
【0124】
【0125】
図3に示された特徴ピークの具体的な分析結果は表7に示され、
図3と表7を組み合わせると、比較例3-1において、1000℃の高温焙焼処理により、そのガスクロマトグラフィー-質量スペクトルにおいて、長鎖アルカンの特徴ピークが見られ、例えば保持時間が1.56±0.3min、3.37±0.3min、4.88±0.3min、5.60±0.3minに特徴ピークがあり、表7によると、これらの特徴ピークに対応する特徴基はすべて長鎖アルカンの特徴基に属することがわかる;石炭ピッチに属する特徴的なピークも見られ、例えば、保持時間が9.78±0.3min、10.53±0.3min、11.6±0.3min、5.60±0.3minに特徴的なピークがあり、表7により、これらの特徴的なピークに対応する特徴基はすべて石炭ピッチの特徴的な基に属することが分かる。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
実験例2生地中間体の指標
中間体の耐圧強度は、YS/T285-2012の検査方法に従って検査する。
【0130】
【0131】
表9では、樹脂炭素陽極生地中間体の外形にひび割れや隙間がなく、かつ外形が丸みを帯びていることを100%と定義した。
揮発分は硬化度の一つの指標である。揮発分は原則として特性値であり、この値に達したら直ちに停止するのが最も省エネルギーである。時間が短すぎると揮発分が少なく、この温度では不純物が十分に揮発せず、その後の高温焙焼で陽極割れが発生する可能性があり、時間が長すぎると揮発分が特定の値に達するが、エネルギー消費量が増加する。
【0132】
実施例3炭素陽極の指標
バルク密度測定方法YS/T285-2012の測定方法による測定する。
【0133】
【0134】
本件は既に実施例によって、上記のように本件を限定するために用いられていないことを明らかにしているが、いずれの属する技術分野においても通常の知識を有する者は、本件の精神と範囲を逸脱しない範囲で、若干の変更と加筆を行うことができるので、本件の保護範囲は後添付の特許出願の範囲によって定義されたものを基準とする。
【国際調査報告】