(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-27
(54)【発明の名称】極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 23/02 20060101AFI20241220BHJP
C03B 35/24 20060101ALI20241220BHJP
C03B 23/203 20060101ALI20241220BHJP
C03B 25/093 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
C03B23/02
C03B35/24
C03B23/203
C03B25/093
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580944
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2023084879
(87)【国際公開番号】W WO2024119675
(87)【国際公開日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】202211584233.1
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522124873
【氏名又は名称】彩虹顕示器件股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】胡衛東
(72)【発明者】
【氏名】袁作臻
(72)【発明者】
【氏名】任泳静
(72)【発明者】
【氏名】羅▲てい▼
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015AA00
4G015AB03
4G015AB10
4G015CA01
4G015CB02
4G015CC01
4G015GA01
4G015GC00
(57)【要約】
本発明は極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置及び方法を開示し、フレキシブルガラス製造の技術分野に属する。該極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置は空気浮上装置、加熱ユニット、冷却機構、及び順に接続された供給ユニット、溶着ユニット、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット、アニーリングユニット及び卷取り包装ユニットを含み、空気浮上装置はガラス板の上下の圧力差を調整することができ、横方向に搬送する過程でガラス板が下に曲がる難題を解決し、加熱及びアニーリングの品質を確保し、溶着ユニットが搬送中のガラス原板を突き合わせ溶接することで、連続的な供給を実現する。装置は多層構造となるように設計され、均熱板及び外部に設置された加熱及び冷却ユニットを含み、ガラス原板の加熱及び冷却アニーリング過程で良好な温度勾配場を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置であって、順に接続された供給ユニット(A)、溶着ユニット(B)、予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)、アニーリングユニット(F)及び卷取り包装ユニット(G)を含み、供給ユニット(A)、溶着ユニット(B)、予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)、アニーリングユニット(F)及び卷取り包装ユニット(G)にいずれも空気浮上装置及びローラーが設けられ、空気浮上装置はガラス原板(A2)の上下両側に設置され、ガラス原板(A2)の上下の圧力差を維持することに用いられ、ローラーはガラス原板(A2)の幅方向の両側に設置され、ガラス原板(A2)を挟持及び搬送することに用いられ、予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)及びアニーリングユニット(F)内にいずれも加熱ユニットが設置され、加熱ユニットは空気浮上装置とガラス原板(A2)との間に設置され、縦方向引張延伸ユニット(E)及びアニーリングユニット(F)内に冷却機構が設置され、冷却機構は加熱ユニットとガラス原板(A2)との間に設置される、ことを特徴とする極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項2】
空気浮上装置は吸気管(L4)、排気管(L5)及び開度制御弁(L51)を含み、吸気管(L4)は供給ユニット(A)、溶着ユニット(B)、予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)、アニーリングユニット(F)及び卷取り包装ユニット(G)の底部に均等に配置され、排気管(L5)は予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)及びアニーリングユニット(F)の頂部に均等に配置され、開度制御弁(L51)は排気管(L5)の外側に設置され、排気管(L5)の排気量の調節を実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項3】
空気浮上装置内のガス温度は供給ユニット(A)、溶着ユニット(B)、予熱ユニット(C)、横方向延伸展延ユニット(D)、縦方向引張延伸ユニット(E)、アニーリングユニット(F)及び卷取り包装ユニット(G)の温度と一致するように保持される、ことを特徴とする請求項1に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項4】
加熱ユニットは保温層(L1)を含み、保温層(L1)の内部に加熱デバイス(T2)及び均熱板が設置され、均熱板はガラス原板(A2)の両側に対称設置され、均熱板に均熱板気孔が開けられ、加熱デバイス(T2)は均熱板の外側に設置され、冷却機構は均熱板と加熱デバイス(T2)との間に設置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項5】
保温層(L1)に温度検出器(T1)が埋め込まれ、温度検出器(T1)は保温層(L1)及び均熱板を貫通して、ガラス原板(A2)に接近する、ことを特徴とする請求項4に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項6】
均熱板は炭化ケイ素材料で製造され、加熱デバイス(T2)は鉄クロムアルミニウム又はシリコンモリブデン材料で製造される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項7】
供給ユニット(A)、溶着ユニット(B)及び予熱ユニット(C)内にいずれも挟持搬送ローラー(A1)が設置され、横方向延伸展延ユニット(D)内に横方向挟持展延ローラー(D1)が設置され、縦方向引張延伸ユニット(E)内に延伸挟持ローラーI(E1)が設置され、アニーリングユニット(F)内に延伸挟持ローラーII(F1)が設置され、卷取り包装ユニット(G)内に回転可能な巻取り機構(G1)が設置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項8】
挟持搬送ローラー(A1)、延伸挟持ローラーI(E1)、延伸挟持ローラーII(F1)の周速比は1:n:n
である、ことを特徴とする請求項7に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項9】
溶着ユニット(B)内に、ガラス原板(A2)の幅方向に沿って往復移動するレーザ溶着機(B2)が設置され、レーザ溶着機(B2)は前後2枚のガラス原板(A2)の位置を追跡し、2枚のガラス原板(A2)の溶接を完了することができる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置の延伸方法であって、極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置を起動し、供給ユニット(A)を介してガラス原板(A2)を溶着ユニット(B)内に搬入し、溶着ユニット(B)で前後2枚のガラス原板(A2)の溶接を完了し、次にガラス原板(A2)を延伸炉の予熱ユニット(C)に進入させて予熱し、その後、横方向延伸展延ユニット(D)に進入させて横方向に延伸し、次に縦方向引張延伸ユニット(E)に進入させて冷却して、縦方向の引張延伸を行い、その後、アニーリングユニット(F)に進入させて温度を低減させ、最後に、ガラス原板(A2)を卷取り包装ユニット(G)に進入させて製品包装を行う、ことを特徴とする延伸方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルガラス製造の技術分野に属し、具体的には、極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極薄フレキシブルガラスは、厚さが0.1mm未満で一定の屈曲度を有するガラスを指し、良好な平坦度、柔軟性、光学性能、耐熱安定性、滑らかな表面、安定した化学性質等の利点を有するため、電子製品の分野で広く使用されている。
【0003】
現在、極薄フレキシブルガラスの直接的な生産方法は、フロート法、オーバーフロー法及びスリットダウンドロー法を含む。フロート法による極薄ガラスの生産プロセス原理は普通のフロート法による生産プロセス原理と基本的に同じであるが、極薄フロート法は工程管理及び設備への要求が高く、生産難度が高い。オーバーフローダウンドロー法のプロセスの最大の利点は、ガラスが良好な表面品質を有することであるが、極薄ガラス生産の工程管理の難度が非常に高く、技術的要求が高いため、産業化の度合いが高くない。スリットダウンドロー法でフレキシブルガラスを製造する場合、フレキシブルガラスの表面がスリットに接触するため、ガラスの表面品質がスリットの形状や材質に影響され、生産されたフレキシブルガラス製品は二次研磨する必要があり、プロセスが複雑で、コストが高く、生産能力が低い。極薄フレキシブルガラスの間接的な生産方法としては化学薄化法及び二次延伸法があり、この2種の方法の共通の問題は、小ロットの生産しかできず、市場の需要を満たすことができないことであり、また、化学薄化法で製造されるフレキシブルガラス基板は、その表面にかき傷、窪み等の欠陥があり、研磨処理する必要がある。フレキシブルガラスは、表面の研磨処理が非常に困難であり、ガラスが割れやすく、歩留まりが低下する。現在の二次延伸法は、加熱炉でガラスプリフォームを軟化温度に達するように加熱し、フレキシブルガラスの延伸を実現してからアニーリング処理を行うことであり、その欠点は、連続的に生産できず、工場設備の高さが高く、生産量が低く、制御が難しいという問題が存在し、且つ加熱炉で生産されたフレキシブルガラスが重力により下に曲がり、生産されたフレキシブルガラスの品質が確保できないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の欠点を克服するために、本発明の目的は、従来の装置及び方法により連続生産を実現できず製品品質を保証できないという課題を解決する極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用して実現する。
【0006】
本開示は、順に接続された供給ユニット、溶着ユニット、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット、アニーリングユニット及び卷取り包装ユニットを含み、供給ユニット、溶着ユニット、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット、アニーリングユニット及び卷取り包装ユニットにいずれも空気浮上装置及びローラーが設けられ、空気浮上装置がガラス原板の上下両側に設置され、ガラス原板の上下の圧力差を維持することに用いられ、ローラーがガラス原板の幅方向の両側に設置され、ガラス原板を挟持及び搬送することに用いられ、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット及びアニーリングユニット内にいずれも加熱ユニットが設置され、加熱ユニットが空気浮上装置とガラス原板との間に設置され、縦方向引張延伸ユニット及びアニーリングユニット内に冷却機構が設置され、冷却機構が加熱ユニットとガラス原板との間に設置される、極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置を開示する。
【0007】
好ましくは、空気浮上装置は吸気管、排気管及び開度制御弁を含み、吸気管は供給ユニット、溶着ユニット、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット、アニーリングユニット及び卷取り包装ユニットの底部に均等に配置され、排気管は予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット及びアニーリングユニットの頂部に均等に配置され、開度制御弁は排気管の外側に設置され、排気管の排気量の調節を実現する。
【0008】
好ましくは、空気浮上装置内のガス温度は供給ユニット、溶着ユニット、予熱ユニット、横方向延伸展延ユニット、縦方向引張延伸ユニット、アニーリングユニット及び卷取り包装ユニットの温度と一致するように保持される。
【0009】
好ましくは、加熱ユニットは保温層を含み、保温層の内部に加熱デバイス及び均熱板が設置され、均熱板はガラス原板の両側に対称設置され、均熱板に均熱板気孔が開けられ、加熱デバイスは均熱板の外側に設置され、冷却機構は均熱板と加熱デバイスとの間に設置される。
【0010】
さらに好ましくは、保温層に温度検出器が埋め込まれ、温度検出器は保温層及び均熱板を貫通して、ガラス原板に接近する。
【0011】
好ましくは、均熱板は炭化ケイ素材料で製造され、加熱デバイスは鉄クロムアルミニウム又はシリコンモリブデン材料で製造される。
【0012】
好ましくは、供給ユニット、溶着ユニット及び予熱ユニット内にいずれも挟持搬送ローラーが設置され、横方向延伸展延ユニット内に横方向挟持展延ローラーが設置され、縦方向引張延伸ユニット内に延伸挟持ローラーIが設置され、アニーリングユニット内に延伸挟持ローラーIIが設置され、卷取り包装ユニット内に回転可能な巻取り機構が設置される。
【0013】
さらに好ましくは、挟持搬送ローラー、延伸挟持ローラーI、延伸挟持ローラーIIの周速比は1:n:n
である。
【0014】
好ましくは、溶着ユニット内に、ガラス原板の幅方向に沿って往復移動するレーザ溶着機が設置され、レーザ溶着機は前後2枚のガラス原板の位置を追跡し、2枚のガラス原板の溶接を完了することができる。
【0015】
本発明は、極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置を起動し、供給ユニットを介してガラス原板を溶着ユニット内に搬入し、溶着ユニットで前後2枚のガラス原板の溶接を完了し、次にガラス原板を延伸炉の予熱ユニットに進入させて予熱し、その後、横方向延伸展延ユニットに進入させて横方向に延伸し、次に縦方向引張延伸ユニットに進入させて冷却して、縦方向の引張延伸を行い、その後、アニーリングユニットに進入させて温度を低減させ、最後に、ガラス原板を卷取り包装ユニットに進入させて製品包装を行う極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置の延伸方法をさらに開示する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
本発明に係る極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置では、空気浮上装置の設置により、ガラス板の上下環境圧力差を維持することができ、P下>P上を実現し、ガラス板の横方向搬送過程において重力作用によりガラス板が下向きに湾曲する傾向を緩和することができ、ガラス板が延伸搬送過程において常に安定した形状を保持することを保証し、ガラス板の延伸過程における厚さ、反り及び応力に対する制御を補強することができる。横方向延伸展延ユニットと縦方向引張延伸ユニットを採用して交差延伸を行い、ガラス原板の収縮を防止する。加熱ユニットと冷却機構を合わせて設置し、温度に対する効果的な制御を実現することができる。装置は供給、溶着、予熱、引張、延伸、アニール、巻取りという七つの機能ゾーンに分けられ、伝送と二次延伸成形により、オーバーフロー法で生産されたガラス基板原板を順次供給ゾーンを通して実現し、レーザ溶着機により、軟化点付近まで予熱し、横方向に挟持された展延機構により、ガラス板の幅収縮を効果的に低減させ、同時に縦方向延伸機構により長さ方向延伸を行い、最後にアニール、巻取りにより、極薄フレキシブルガラスの連続的生産を実現し、生産された極薄フレキシブルガラスは比較的高い表面品質を有し、二次研磨を必要としない。従来の二次延伸に存在する連続的生産できず、サイズが小さいという技術的難題を解決し、且つオーバーフロー法で生産された製品の表面品質を保留する。
【0018】
さらに、レーザ溶着機は水平搬送装置に追従し且つ往復運動を実現し、連続的な溶接及び生産を実現する。
【0019】
さらに、ローラーはタービンウォーム機構によってガラス板幅方向の横方向挟持及び引張延伸を実現し、ガラス原板の収縮を抑制する。
【0020】
さらに、縦方向の異なる速度比の引張延伸により、異なる厚さのフレキシブルガラスを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置の平面図である。
【
図3】本発明の極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置の正面図である。
【
図6】本発明の展延延伸原理及び方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者が本発明の解決手段をよりよく理解できるように、以下、本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をせずに得る全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属すべきである。
【0023】
なお、本発明の明細書と特許請求の範囲及び上記図面における用語「第1」、「第2」等は類似する対象を区別するために用いられ、特定の順序又は前後順序を説明するために用いられるとは限らない。理解されたいこととして、このように使用されるデータは、本明細書に説明される本発明の実施例が本明細書に図示または説明されるもの以外の順序で実施され得るように、適切な場合に互いに入れ替え可能である。また、用語「含む」及び「備える」及びそれらのいずれかの変形は、排他的でないことをカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は装置は明確に列挙されるステップ又はユニットに限定されるとは限らず、明確に列挙されていない又はこれらのプロセス、方法、製品又は装置に固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0024】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
本発明では、ガラス原板A2はオーバーフロー法で生産される基板ガラスであり、その寸法は1800×1500×(0.4~0.5)mmを含むが、これに限定されず、本装置を使用する場合、ガラス原板A2は装置全体の中央部を水平に貫通し、ガラス原板A2の二次延伸が完了する。
【0026】
本発明により提供される極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置は、
図1~
図3に示すように、空気浮上装置、加熱ユニット、冷却機構、及び順に接続された供給ユニットA、溶着ユニットB、予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE、アニーリングユニットF及び卷取り包装ユニットGを含む。
【0027】
空気浮上装置は、ガラス原板の上下の圧力差を維持することに用いられる。
図1に示すように、空気浮上装置は複数の吸気管L4、開度制御弁L51及び排気管L5を含み、吸気管L4は各ゾーン(すなわち、供給ユニットA、溶着ユニットB、予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE、アニーリングユニットF及び卷取り包装ユニットG)の底部に均等に配置され、排気管L5は予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットFの頂部に均等に配置され、開度制御弁L51は排気管L5の外側に設置され、排気管L5は送風機に接続されて排気し、排気量の大きさは開度制御弁L51により実現できる。空気浮上装置内に入った空気は浄化された後の空気であり、各ゾーンの温度予熱の後に、供給ユニットA、溶着ユニットB及び卷取り包装ユニットGにおいて、吸気管L4が導入したガスにより、ガラス原板A2の弧形の垂れ下がり傾向を軽減し、予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットFにおいて、吸気管L4のガス流量と排気管L5の流量開度を協働することにより、排気開度制御弁L51を調整し、ガラス原板A2の上下部の圧力差を維持し、すなわち、P下>P上となり、ガラス原板A2の弧形の垂れ下がり傾向を軽減する(
図4及び
図5における破線を参照)。
【0028】
供給ユニットA、溶着ユニットB及び予熱ユニットC内にいずれも複数セットの挟持搬送ローラーA1が設置され、挟持搬送ローラーA1は延伸装置の幅方向に沿って対称設置され、ガラス原板A2を挟持し、速度V1でガラス原板A2を搬送することに用いられる。供給ユニットAは、搬送挟持ローラーIA1により挟持されるガラス原板A2を長さ方向に沿って搬送し供給することに用いられる。溶着ユニットBはガラス原板A2を溶接することに用いられる。溶着ユニットBは、延伸装置の幅方向に沿って往復移動するレーザ溶着機B2をさらに含み、レーザ溶着機B2は、炉入口の外側に取り付けられたブラケットによってガラス原板A2の上方に固定されることにより、ガラス原板A2の幅方向に沿って往復移動し、レーザ溶着機B2は前後2枚のガラス原板A2の位置を追跡し、2枚のガラス原板A2の溶接を完了することができる(溶接された後の2枚のガラス原板A2の溶着線B1は
図2を参照)。予熱ユニットCはガラス原板A2を予熱することに用いられる。
【0029】
加熱ユニットは、ガラス原板A2を加熱することに用いられる。加熱ユニットは予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットF内に設置され、
図4及び
図5に示すように、加熱ユニットは上下加熱の方式を用い、加熱ユニットは保温層L1を含み、保温層L1はガラス原板A2の上下の温度を確保できる。保温層L1の内部に加熱デバイスT2及び均熱板が設置され、均熱板はガラス原板A2の両側に水平に対称設置され、炭化ケイ素材料で製造され、均熱板は上均熱板L3及び下均熱板L2からなり、上均熱板L3と下均熱板L2は共同で比較的密閉された均熱空間を形成し、上均熱板L3には均等に配置された上均熱板気孔L31が開けられ、下均熱板L2には均等に配置された下均熱板気孔L21が開けられ、加熱デバイスT2は均熱板の外側に水平に設置され、加熱デバイスT2は鉄クロムアルミニウム又はシリコンモリブデン材料で製造され、保温層L1に温度検出器T1が埋め込まれ、温度検出器T1は保温層L1及び均熱板を貫通して、ガラス原板A2から一定の距離離れ、温度検出器T1は保温層L1の頂部及び底部に対称に取り付けられる。保温層L1の両側に炉扉機構L6が設置され、保温層L1の内部にゾーン分割用仕切板L7が縦方向に間隔をあけて設置され、炉扉機構L6及びゾーン分割用仕切板L7により各ゾーンの空間が相対的に独立しており、炉扉機構L6及び炉内のゾーン分割用仕切板L7がガラス原板A2の下部に設置された吸気部及び頂部に設置された排気部と協働することにより、搬送過程で、炉内のガラス板の下方の圧力差を上方よりも大きくして、ガラス板を水平状態に維持し、水平搬送及び延伸過程におけるガラス原板A2の下向きの曲がりが更に抑制され、同時に、搬送過程でガラス原板A2の上下表面が全て装置の他の部位に接触せず、ガラス原板A2の表面の品質を確保する。空気浮上装置の吸気管L4が保温層L1の底部を貫通し、吸気管L4が導入した清浄な空気が下均熱板気孔L21を通ってガラス原板A2の下方の空間に入り、排気管L5は保温層L1の頂部を貫通し、ガラス原板A2の上方の空間のガスは上均熱板気孔L31及び排気管L5を通って排出される。本装置を使用する際に、温度検出器T1と組み合わせて加熱デバイスT2を制御し、予熱ユニットC内の温度を軟化点以上、好ましくは1000℃~950℃に制御し、横方向延伸展延ユニットDの温度をアニーリング点以上、好ましくは950℃~900℃に制御し、縦方向引張延伸ユニットEの温度を900℃~750℃に制御し、アニーリングユニットFの温度を750℃~600℃に制御し、アニーリング出口の温度を300℃~250℃に制御する。
【0030】
横方向延伸展延ユニットDはガラス原板A2を横方向に延伸することに用いられる。横方向延伸展延ユニットDは横方向挟持展延ローラーD1を含み、横方向挟持展延ローラーD1は耐高温の金属材料で製造され、且つ摩擦力を増加するための模様が表面に設置され、横方向挟持展延ローラーD1がガラス原板A2を挟持する際に、表面の模様は軟化されたガラス原板A2と相互に嵌め込まれ、横方向挟持展延ローラーD1はタービンウォーム機構ウォームの両側に取り付けられ、タービン回転軸D2は炉本体から突出して、外付けのタービン駆動軸によってタービンウォーム機構のウォームの両側に取り付けられた横方向挟持展延ローラーD1を回転させ、すなわち、搬送方向に垂直に回転させ、横方向挟持展延ローラーD1はガラス原板A2の幅方向の収縮を抑制し、ガラスの横方向の展延を実現することができる。縦方向引張延伸ユニットEはガラス原板A2の冷却及び縦方向の引張延伸を行うことに用いられる。縦方向引張延伸ユニットEは延伸挟持ローラーIE1を含み、ガラス原板A2の厚さが0.5mmである場合、延伸挟持ローラーIE1の引張延伸により厚さが0.1mm未満のフレキシブルガラスの生産を実現できる。アニーリングユニットFはガラス原板A2の温度の低減に用いられる。アニーリングユニットFは延伸挟持ローラーIIF1を含む。卷取り包装ユニットGは製品の包装に用いられ、卷取り包装ユニットGは回転可能な巻取り機構G1を含み、巻取り機構G1がアニーリングユニットFの外部に設置され、独立した回転機構によって制御され、ガラス板が卷取り包装ユニットGに入ると、巻取り機構G1はガラス原板A2を巻き取ることができ、連続的な生産を実現する。横方向挟持展延ローラーD1、延伸挟持ローラーIE1及び延伸挟持ローラーIIF1はいずれも延伸装置の幅方向に沿って複数セット対称的に設置され、ガラス原板A2を挟持し、速度V2でガラス原板A2を搬送することに用いられ、速度V2と速度V1の周速比:1であり、h1はガラス原板A2の厚さであり、h2は延伸後のフレキシブルガラスの厚さであり、好ましい周速比は5:1である。延伸挟持ローラーIE1と延伸挟持ローラーIIF1はいずれもアスベスト材料で製造されて、ガラス原板A2と非常に大きな摩擦力を生成する。挟持搬送ローラーA1は独立した支持機構によって供給ユニットA及び溶着ユニットBの外周に固定され、ガラスを直接挟持し、横方向挟持展延ローラーD1、延伸挟持ローラーIE1及び延伸挟持ローラーIIF1はいずれも独立した支持機構によってそれぞれ予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットFの内部に対応して固定され、且つ予熱ユニットC、横方向延伸展延ユニットD、縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットFの側面にそれぞれ開けられた対応する取付穴を通って炉内に伸び込んでガラスを挟持する。
【0031】
冷却機構は、ガラス原板A2の温度の低減に用いられる。冷却機構は縦方向引張延伸ユニットE及びアニーリングユニットFの内部に設置され、冷却機構の冷却媒体は冷却水又は冷却空気であり、冷却機構は上冷却機構L上及び下冷却機構L下を含み、上冷却機構L上は上均熱板L3と加熱デバイスT2との間に設置され、下冷却機構L下は下均熱板L2と加熱デバイスT2との間に設置される。
【0032】
本発明により提供される極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸の原理は
図6に示すように、ガラス原板A2の幅がW1であり、挟持搬送速度がV1であり、ガラス原板A2が予熱ユニットCによって予熱された後に横方向延伸展延ユニットDに入り、横方向挟持展延ローラーD1によって挟持され、幅方向の外向きに力Nが加わり、ガラス原板A2の内側への収縮力がf1であり、N>f1であり、長さ方向の引張延伸速度がV2であり、ガラス原板A2は横方向延伸展延ユニットDから縦方向引張延伸ユニットEに入り、延伸挟持ローラーIE1の挟持により、縦方向延伸力Fがガラスの縦方向の粘性抵抗f2よりも大きくなり、ここで、延伸係数がV2/V1=4.0~5.0であり、延伸の後、ガラス原板A2の幅がW2になり、最終的に、ガラス原板A2は卷取り包装ユニットGに入り、包装速度W=V/R(Rは包装ローラーの半径+ガラス板の厚さt×周期)である。
【0033】
本発明により提供される極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸方法では、上記極薄フレキシブルガラス用水平二次延伸装置を起動し、加熱ユニットを起動して各ゾーンの温度を所定の温度に予熱し、それと同時に、空気浮上装置、冷却機構及びローラーユニット(すなわち、挟持搬送ローラーA1、横方向挟持展延ローラーD1、延伸挟持ローラーIE1、延伸挟持ローラーIIF1及び巻取り機構G1)を起動する。使用時に、オーバーフロー法で生産されたガラス原板A2を供給ユニットAを介して溶着ユニットBに搬入し、ガラス原板A2を前のガラス原板A2に接触させ、レーザ溶着機B2を起動し、搬送速度Vに従って横方向及び長さ方向に沿って同時に移動し溶接を完了し、溶接完了後のガラス原板A2を溶着ユニットBによって延伸炉の予熱ユニットCに搬送し、温度検出器T1と組み合わせて加熱素子T2の温度を1000℃~950℃に制御し、搬送挟持ローラーIでガラス原板A2の搬送速度をV1に制御し、ガラス原板A2を予熱ユニットC内に20~30s予熱する。予熱された後のガラス原板A2の温度が軟化点付近に達すると、内部の質点の移動の作用により、収縮現象が発生し、収縮したガラス原板A2は予熱ユニットCから横方向延伸展延ユニットDに入り、横方向挟持展延ローラーD1は外付けのタービンウォーム機構D2によって横方向挟持展延ローラーD1の回転方向を変えて回転を実現し、予熱によるガラス原板A2の幅方向の内側への収縮を抑制する。次に、ガラス原板A2は横方向延伸展延ユニットDから縦方向引張延伸ユニットEに入り、縦方向引張延伸ユニットE内で冷却して、延伸挟持ローラーIE1によって縦方向に引張延伸し、且つガラス原板A2の搬送速度をV2に制御する。続いて、ガラス原板A2は縦方向引張延伸ユニットEからアニーリングユニットFに入り、アニーリングユニットFの温度と速度をマッチングして調整することにより、このゾーンの温度場を600℃~800℃に維持し、ガラス原板A2はアニーリングユニットFから卷取り包装ユニットGに入り、自然冷却の後、巻取り機構G1により、アニーリング後のガラス原板A2に対して卷取りの方式で製品を包装し、連続的な生産を実現する。
【0034】
以上の内容は本発明の技術的思想を説明するためのものだけであり、これによって本発明の保護範囲を限定することができず、本発明による技術的思想に従い、技術的解決手段に基づいて行われるいかなる変更も本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
A-供給ユニット
A1-搬送挟持ローラーI
A2-ガラス原板
B-溶着ユニット
B1-溶着線
B2-レーザ溶着機
C-予熱ユニット
C1-搬送挟持ローラーII
D-横方向延伸展延ユニット
D1-横方向挟持展延ローラー
D2-タービン回転軸
E-縦方向引張延伸ユニット
E1-延伸挟持ローラーI
F-アニーリングユニット
F1-延伸挟持ローラーII
T1-温度検出器
T2-加熱デバイス
G-卷取り包装ユニット
G1-巻取り機構
L上-上冷却機構
L下-下冷却機構
L1-保温層
L2-下均熱板
L3-上均熱板
L21-下均熱板気孔
L31-上均熱板気孔
L4-吸気管
L5-排気管
L51-開度制御弁
L6-炉扉機構
L7-ゾーン分割用仕切板
【国際調査報告】