(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-27
(54)【発明の名称】エアロゾル移行物品を収容する包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20241220BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241220BHJP
B65D 65/42 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B65D85/10
A24D1/20
B65D65/42 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504567
(86)(22)【出願日】2023-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 KR2023016240
(87)【国際公開番号】W WO2024117540
(87)【国際公開日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0165639
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サンフーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キョン ロク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヨウン ジン
【テーマコード(参考)】
3E068
3E086
4B045
【Fターム(参考)】
3E068AA21
3E068AB09
3E068AC02
3E068CC02
3E068CD01
3E068CE01
3E068EE19
3E086AB01
3E086AD02
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB15
3E086BB71
3E086CA35
3E086CA40
3E086DA08
4B045AB01
4B045AB11
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル移行物品を収容する包装材に関する。前記包装材は、原紙と、前記原紙の上段に第1コーティング層と、前記原紙の下段に第2コーティング層とを含み、前記第2コーティング層は耐水剤を含み、前記エアロゾル移行物品は、pH8以上であるタバコ顆粒を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル移行物品を収容する包装材であって、
前記包装材は、原紙と、
前記原紙の上段に第1コーティング層と、
前記原紙の下段に第2コーティング層と、
を含み、
前記第2コーティング層は耐水剤を含み、
前記エアロゾル移行物品は、pH8以上であるタバコ顆粒を含む、包装材。
【請求項2】
前記タバコ顆粒に含まれるニコチンのうち80%以上がフリーニコチンとして存在する、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記耐水剤は、ポリ乳酸、ポリエチレン、アクリル系高分子、及びラテックスからなる群より少なくとも1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
前記第2コーティング層の厚さは20μm~35μmである、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項5】
前記第1コーティング層は、第1層及び前記第1層上部に位置する第2層を含み、前記第1層は炭酸カルシウムを含み、前記第2層は耐水剤を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項6】
前記原紙の坪量は200g/m
2~260g/m
2である、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項7】
前記原紙の厚さは300μm~400μmである、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項8】
前記包装材は、箱包装紙、インナーフレーム、及びインナーとインナーからなる群より選択された少なくとも1つ以上である、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項9】
原紙の上段に第1コーティング層をコーティングするステップ(S1ステップ)と、
原紙の下段に第2コーティング層をコーティングするステップ(S2ステップ)と、
を含む、請求項1又は2に記載の包装材を製造する製造方法。
【請求項10】
前記S2ステップは、第2コーティング液が原紙の下段に塗布され、60℃~90℃で乾燥される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
エアロゾル移行物品及びそれを収容する包装材を含む喫煙物品パッケージであって、
前記エアロゾル移行物品は、pH8以上であるタバコ顆粒を含み、
前記包装材は原紙と、
前記原紙の上段に第1コーティング層と、
前記原紙の下段に第2コーティング層と、
を含み、
前記第2コーティング層は耐水剤を含む、喫煙物品パッケージ。
【請求項12】
前記エアロゾル移行物品は、揮発性物質収容ロッド及びフィルタロッドを含み、
前記揮発性物質収容ロッドは、
揮発性物質収容ロッドの最上流に配置される第1フィルタセグメントと、
前記第1フィルタセグメントよりも下流に配置される第2フィルタセグメントと、
前記第1フィルタセグメントと前記第2フィルタセグメントとの間に配置されるキャビティセグメントと、
を含み、
前記キャビティセグメントはpH8以上であるタバコ顆粒を含む、請求項11に記載の喫煙物品パッケージ。
【請求項13】
前記タバコ顆粒に含まれるニコチンのうち80%以上がフリーニコチンとして存在する、請求項12に記載の喫煙物品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル移行物品を収容する包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物質の固有の香味を伝達し、香液の変質や異臭発生などの問題を解決するために、pHを調節したり、ロースティングされたエアロゾル発生物質を採用するなどの方法で、より低温でエアロゾル発生物質からニコチンのような揮発性物質の移行量を増加させるための研究が行われている。
【0003】
但し、このようなエアロゾル発生物質は、低温でも容易に揮発性物質を移行させるため、物流流通及びエアロゾル移行物の品消費期間の間に揮発性物質が包装材に転移し易く、時間の経過によりタバコの味が持続的に低下するという問題がある。特に、これはフリーニコチンのように揮発性が強い物質を使用する喫煙物品でさらに問題になっている。
【0004】
従来技術は、包装材にアルミニウムが合紙されたインナーライナー、OPPフィルムでタバコの味を格納した。但し、アルミニウムの合紙された包装材は、環境を保存する側面でその使用が次第に制限されている傾向である。また、高分子のみを用いてシート形態に製造すると、包装材の形態に成形することにおいて極めてやわらかいか又は極めて固いため、形態をとることに困難があり、高いコストが費やされるという問題がある。
【0005】
ここで、揮発性物質が包装材に転移されずエアロゾル移行物品から揮発性物質の揮散を防止できる包装材の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するために包装材に耐水剤を処理することで、ニコチンのような揮発性物質が包装材に転移されることなく、喫煙物品により長く担持できるエアロゾル移行物品を収容する包装材を提供することを目的とする。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどに制限されず、言及されない他の課題は、下記の記載により当該の分野当業者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によれば、エアロゾル移行物品を収容する包装材において、前記包装材は、原紙と、前記原紙の上段に第1コーティング層と、前記原紙の下段に第2コーティング層とを含み、前記第2コーティング層は耐水剤を含み、前記エアロゾル移行物品は、pH8以上であるタバコ顆粒を含む包装材を提供する。
【0009】
本発明の他の実施例によれば、原紙の上段に第1コーティング層をコーティングするステップ(S1)と、原紙の下段に第2コーティング層をコーティングするステップ(S2)とを含む、本発明の一実施例に係る包装材の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の更なる実施例によれば、エアロゾル移行物品及びそれを収容する包装材を含む喫煙物品パッケージにおいて、前記エアロゾル移行物品はpH8以上であるタバコ顆粒を含み、前記包装材は、原紙と、前記原紙の上段に第1コーティング層と、前記原紙の下段に第2コーティング層と、を含み、前記第2コーティング層は耐水剤を含む、喫煙物品パッケージを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明における包装材をニコチンのような揮発性の強い物質を含有するエアロゾル移行物品に使用すれば、揮発性物質が包装材に転移される問題を防止し、エアロゾル移行物品が揮発性物質を最大に格納できるため、喫煙者に均一なタバコの味を提供し、喫煙の満足感を高めることができる。
【0012】
本発明の効果は前記効果に限定されず、本発明の詳細な説明又は請求範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものとして理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る第2コーティング層にポリエチレンを含む包装材を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る第2コーティング層にポリ乳酸を含む包装材を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る第2コーティング層にラテックスを含む包装材を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る第2コーティング層にアクリル系高分子を含む包装材を示す図である。
【
図5】比較例である原紙及び第1コーティング層を含む包装材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付する図面を参照しながら実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられてもよく、特許出願の権利範囲がこのような実施例によって制限されたり限定されることはない。実施例に対する全ての変更、均等物又は代替物が権利範囲に含まれるものとして理解しなければならない。
【0015】
実施例で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0016】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0017】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施例の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0018】
また、実施例の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該の構成要素の本質や順番、又は順序などが限定されない。
【0019】
いずれかの実施例に含まれる構成要素と共通の機能を含む構成要素は、他の実施例で同じ名称を用いて説明することにする。逆の記載がない以上、いずれかの実施例に記載した説明は他の実施例にも適用され、重複する範囲で具体的な説明は省略することにする。
【0020】
明細書の全体において、いずれかの部分がいずれかの構成要素を「含む」とするとき、これは他の構成要素を除外するものではなく他の構成要素をさらに含むことを意味する。
【0021】
明細書の全体で、「エアロゾル移行物品」は、タバコ(巻タバコ)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させ得るモノを意味する。エアロゾル移行物品は、エアロゾル発生物質又はエアロゾル形成基質を含んでもよい。エアロゾル発生物質又はエアロゾル形成基質は固体又は気体であってもよい。例えば、固体のエアロゾル発生物質は、シートタバコ、刻みタバコ、再構成タバコなどのタバコ原料を基礎にする固体物質を含んでもよい。気体のエアロゾル発生物質は、フリーニコチンのような揮発性物質を含んでもよい。
【0022】
また、明細書全体において、「上流」又は「上流方向」は、喫煙物品を喫煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」又は「下流方向」は、喫煙物品を喫煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。
【0023】
明細書全体において、「喫煙物品パッケージ」は、エアロゾル移行物品及び包装材を含む全体を意味する。ここで、包装材は、エアロゾル移行物品を収容することができる。
【0024】
本発明に係る一実施例によれば、エアロゾル移行物品を収容する包装材を提供することができる。ここで、前記包装材は、原紙、第1コーティング層及び第2コーティング層を含む。第1コーティング層は原紙の上段に位置し、第2コーティング層は原紙の下段に配置してもよい。前記エアロゾル移行物品は、pH8以上であるタバコ顆粒を含んでもよい。本発明の包装材の構造を有する場合、高分子そのものを用いてシート形態に製造したときよりも容易に包装材の形態に成形可能であり、経済的である。
【0025】
前記第2コーティング層は耐水剤を含む。包装材が耐水剤を含有することによって、揮発性物質が包装材に吸収されることを防止することができる。
【0026】
前記耐水剤は高分子を含んでもよい。好ましくは、耐水剤はポリ乳酸、ポリエチレン、アクリル系高分子、及びラテックスからなる群より少なくとも1つ以上を含んでもよく、より好ましくは、ポリ乳酸又はポリエチレンであってもよい。アクリル系高分子の例として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸(PAA)などがある。当該アクリル系高分子をラテックスの形態として使用する場合、より経済的に包装材を製造したり、環境にやさしい包装材を製造することができる。また、前記耐水剤は、追加的に有機物を含んでもよい。
【0027】
本発明の一実施例に係る包装材において、第2コーティング層のコーティング量は5gsm~40gsm、好ましくは10gsm~35gsmであってもよい。これに係る第2コーティング層の厚さは20μm~35μm、好ましくは25μm~30μmであってもよい。但し、記載された範囲に制限されることはない。
【0028】
本発明の一実施例に係る包装材は、フリーニコチンを含むエアロゾル移行物品を包装することができる。前記エアロゾル移行物品に含まれたタバコ顆粒は、pH調整剤を用いてpHが8以上になるように調節されてもよい。例えば、タバコ顆粒のpHは8~14、8~12、8~10、8.3~9.5であってもよい。pH調節によりタバコ顆粒に含まれるニコチンのうち80%以上は、フリーニコチンとして存在する。そのため、前記包装材は、揮発性の強いフリーニコチンを含むエアロゾル移行物品を包装する用途として使用される。
【0029】
本発明の一実施例に係る包装材において、第1コーティング層は、第1層及び前記第1層上部に位置する第2層を含む。
【0030】
第1層は、炭酸カルシウムを含むことができる。炭酸カルシウムは直径が2μm以内(60%以上)である非定型の球状であってもよい。また、第1層は、有機物及び粘土(clay)を追加的に含んでもよい。原紙の上部表面に第1層をコーティングすることによって、原紙表面のデコボコした凹凸を除去することができる。
【0031】
第2層は耐水剤を含むことができる。好ましくは、前記耐水剤はラテックスを含んでもよい。また、第2層は、有機物、粘土、及び炭酸カルシウムを追加的に含んでもよい。炭酸カルシウムは、直径が2μm以内(90%以上)である非定型の球状であってもよい。第1層上部に第2層をコーティングすることで包装材の表面に印刷が容易になるよう耐水性を付与することができる。
【0032】
例えば、有機物としてバインダを含んでもよく、粘土は板状型の形態であってもよい。但し、記載された例示に制限されることはない。
【0033】
本発明の一実施例に係る包装材において、原紙の坪量は200g/m2~260g/m2であってもよく、原紙の厚さは300μm~400μmであってもよい。但し、記載された範囲に制限されることはない。
【0034】
本発明の一実施例に係る包装材において、包装材は一例として、箱包装紙、インナーフレーム、及びインナーとインナーからなる群より選択された少なくとも1つ以上であってもよい。但し、記載された例示に限定されることはない。
【0035】
本発明の他の実施例によれば、前記包装材の製造方法を提供することができる。ここで、前記包装材は、原紙の上段に第1コーティング層をコーティングするステップ(S1);及び原紙の下段に第2コーティング層をコーティングするステップ(S2);を含む。
【0036】
S1ステップにおいて、第1コーティング層が形成される。第1コーティング層を構成する第1層及び第2層は、通常のコーティング方法が使用されてもよい。例えば、第1層及び第2層は、ブレード(blade)方式でコーティングされてもよい。第2層はロッド方式でコーティングされてもよい。但し、記載された例示に制限されることはない。
【0037】
S2ステップにおいて、第2コーティング層が形成される。例えば、第2コーティング層は、ブレード(blade)方式又は押出コーティング(T-die)方式を用いてコーティングされてもよい。但し、記載された例示に制限されることはない。
【0038】
本発明の一実施例に係る包装材の製造方法において、包装材の製造時に原紙の下段に第2コーティング液を塗布して乾燥する。ここで、乾燥温度は60℃~90℃、好ましくは70℃~80℃であってもよい。前記温度で包装材を乾燥させることにより、高分子の変性が発生しないながらも高分子の柔軟性を保存することができる。一方、乾燥温度が60℃未満である場合、高分子のガラス転移温度に到達できず、加工できない問題がある。乾燥温度が90℃を超過する場合、包装材に高分子を適用するとき、高分子そのものが破損されたり、包装材料の型押時にカッティングのブレードが折れる現像が発生し得る。
【0039】
本発明の更なる実施例によれば、エアロゾル移行物品及びそれを収容する前記包装材を含む喫煙物品パッケージを提供することができる。ここで、前記エアロゾル移行物品は、塩基処理されてpH8以上であるタバコ顆粒を含んでもよく、前記包装材は、原紙;前記原紙の上段に第1コーティング層;及び前記原紙の下段に第2コーティング層;を含み、前記第2コーティング層は耐水剤を含んでもよい。
【0040】
エアロゾル移行物品は、揮発性物質を収容しているロッド及び揮発性物質収容ロッドの下流に位置するフィルタロッドを含む。揮発性物質収容ロッドは、交替されて使用されてもよい。それぞれのロッドは、単数又は複数のセグメントからなる。
【0041】
例えば、揮発性物質収容ロッドは第1フィルタセグメント、第2フィルタセグメント、及びキャビティセグメントを含んでもよい。第1フィルタセグメントは揮発性物質収容ロッドの最上流に配置し、第2フィルタセグメントは第1フィルタセグメントよりも下流に配置され、キャビティセグメントは、第1フィルタセグメントと第2フィルタセグメントとの間に配置されてもよい。
【0042】
前記第1フィルタセグメント及び第2フィルタセグメントの材料に制限がいないが、好ましくはアセテート・トウを含んでもよい。
【0043】
前記キャビティセグメントは、pH8以上であるタバコ顆粒を含むことができる。例えば、タバコ顆粒のpHは8~14、8~12、8~10、8.3~9.5であってもよい。ここで、タバコ顆粒のpHは、揮発性物質顆粒にpH調整剤を適用して調節され、前記pH調整剤は塩基性塩を含んでもよい。
【0044】
フリーニコチンは、ニコチン塩に比べて首にさらに強い刺激を与える特徴がある。タバコ顆粒のpHが8以上になるように調節される場合、タバコ顆粒に含まれるニコチンのうち80%以上がフリーニコチンとして存在する。即ち、前記キャビティセグメントは、フリーニコチンで充填されてもよい。フリーニコチンは、水素イオンを奪われた非イオン性(free-based)物質としてニコチンの最も基本的な構造を有する。ニコチンの沸点は247℃である一方、フリーニコチンはその沸点よりも低い温度で燃焼し、その蒸気は35℃で燃焼する。フリーニコチンはニコチン塩に比べて蒸気圧が高いため、低温で移行されることができる。エアロゾル移行物品がフリーニコチンを含有すれば、より低い温度でエアロゾル移行物品が使用可能であるため、揮発性物質を高温で燃焼又は加熱して発生する問題を減らすことができる。
【0045】
フィルタロッドは、冷却セグメント及びマウスピースセグメントを含んでもよい。
【0046】
前記エアロゾル移行物品は、喫煙物品パッケージから取り出された後エアロゾル発生装置に収容されて使用されてもよい。
【0047】
エアロゾル発生装置は、加熱式又は非加熱式装置、好ましくは非加熱式装置であり得る。例えば、非加熱式エアロゾル発生装置は、エアロゾル移行物品を収容する収容部、エアロゾルを生成させる霧化部、及び霧化部を加熱するために必要な電力を伝達する電源部を含む。霧化部が加熱されれば、霧化部で生成されたエアロゾルがエアロゾル移行物品を通過して揮発性物質が移行されることができる。
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明に対してより詳しく説明するが、本発明が下記の実施例に限定されることはない。
【0049】
1.包装材の設計
原紙、第1コーティング層及び第2コーティング層を含む箱包装紙を製造した。具体的な設計内訳は下記のとおりである。
【0050】
実施例1
図1に示すような箱包装紙を製造した。第2コーティング層はポリエチレンを含み、第2コーティング量は35gsmであり、第2コーティング層の厚さは28μmである。第2コーティング層は押出コーティング(T-die)方式を用いてコーティングされた。
【0051】
実施例2
図2に示すような箱包装紙を製造した。第2コーティング層がポリエチレンの代わりにポリ乳酸を含むことを除いては、実施例1と同じ方法で製造された。
【0052】
実施例3
図3に示すような箱包装紙を製造した。第2コーティング層がポリエチレンの代わりに炭酸カルシウム、粘土、バインダ、及びラテックスを含み、第2コーティング量は10~12gsmであり、ブレード(blade)方式でコーティングしたことを除いては、実施例1と同じ方法で製造された。ここで、ラテックスの含量は原紙の総重量対比1~5%である。
【0053】
実施例4
図4に示すような箱包装紙を製造した。第2コーティング層がポリエチレンの代わりにアクリル系高分子を含み、追加的に粘度実現のために粘土を含み、ブレード(blade)方式でコーティングしたことを除いては、実施例1と同じ方法で製造された。ここで、アクリル系高分子は、原紙の総重量対比95%のラテックスを含む。
【0054】
比較例
図5に示すように第2コーティング層のない箱包装紙を製造した。原紙及び第1コーティング層からなる包装材を製造した。
【0055】
2.ニコチンの転移量測定
上記の実施例1~4、及び比較例にエアロゾル移行物品を保管し、エアロゾル移行物品内のニコチンがフィルタロッド(上流部分)、箱包装紙、及びインナーフレームに転移される転移量を測定した。エアロゾル移行物品は3、5、7、及び9日間保管された。その結果は下記の表1に示す。
【0056】
【0057】
箱包装紙及びインナーフレームにおけるニコチンの転移量は比較例>実施例3>実施例4>実施例2>実施例1の順に減少した。即ち、比較例に対比して、実施例1~4でニコチンが箱包装紙及びインナーフレームにあまり転移しなかった。具体的に、実施例1、実施例2、実施例4、実施例3の順に包装材がニコチンを少なく吸収する結果が示された。
【0058】
保管期間3~9日の間に、比較例で箱包装紙及びインナーフレームに転移するニコチンの転移量と比較して、実施例1~4で箱包装紙及びインナーフレームに転移するニコチンの転移量の比率は14~60%であり、ニコチンの転移量が40~86%減少した結果を示した。
【0059】
一方、比較例に対比して、実施例1~4でフィルタロッドに転移するニコチンの量は増加したものと観察された。それから実施例1~4の箱包装紙を使用する場合、エアロゾル移行物品がニコチンをさらに保存することが分かる。
【0060】
前記結果から、請求範囲に記載された本発明の耐水剤を含むコーティング層が形成された包装材を、pH8以上であるタバコ顆粒を含むエアロゾル移行物品に利用することで、エアロゾル移行物品が揮発性物質をさらに保存するようにし、喫煙者に均一なタバコの味を提供できるものと予測される。
【0061】
以上、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0062】
従って、他の実現、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求範囲の範囲に属する。
【国際調査報告】