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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-27
(54)【発明の名称】フルオロモノマーの乳化重合方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 14/18 20060101AFI20241220BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20241220BHJP
   C08F 2/22 20060101ALI20241220BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20241220BHJP
   C08F 4/00 20060101ALI20241220BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20241220BHJP
   C08F 297/04 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
C08F14/18
C08F293/00
C08F2/22
C08F2/38
C08F4/00
C08L101/12
C08F297/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535311
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022085277
(87)【国際公開番号】W WO2023110696
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21306824.0
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベルターニ, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, デービッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】デュフィス, ピエール-エマニュエル
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J015
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BP031
4J002EB066
4J002ED046
4J002EL106
4J002GT00
4J011AA05
4J011KB14
4J011KB22
4J011KB29
4J011NA26
4J011NB04
4J015AA02
4J026HA08
4J026HA11
4J026HA12
4J026HA19
4J026HA22
4J026HA39
4J026HA48
4J026HB03
4J026HB06
4J026HB08
4J026HB11
4J026HB14
4J026HB15
4J026HB16
4J026HB18
4J026HB19
4J026HB33
4J026HB39
4J026HB45
4J026HB48
4J026HE04
4J100AC22P
4J100AC23P
4J100AC24P
4J100AC25P
4J100AC26P
4J100AC27P
4J100AC31P
4J100AE38P
4J100AE39P
4J100AJ02Q
4J100AL03Q
4J100CA05
4J100FA20
4J100JA00
(57)【要約】
本発明は、特定の両親媒性可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤の存在下でフルオロモノマーを重合する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のフルオロモノマーの乳化重合方法であって、
少なくとも1種のフルオロモノマー[混合物(F)]と任意選択的に少なくとも1種の追加のモノマーとを含むモノマー混合物[混合物(M)]を、式(I):
【化1】
の両親媒性ポリマーRAFT剤[試薬(R)]
(式中、
は、1つ又は複数の親水性基で任意選択的に置換されていてもよい有機基であり;
-[A]-は、親水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー[モノマー(A)]から誘導される繰り返し単位-A-の配列を表し、nは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
-[B]-は、疎水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー[モノマー(B)]から誘導される繰り返し単位-B-の配列を表し、mは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
Zは、任意選択的に置換されていてもよいアルコキシ、任意選択的に置換されていてもよいアリールオキシ、任意選択的に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意選択的に置換されていてもよいアルキルチオ、任意選択的に置換されていてもよいアリールアルキルチオ、ジアルコキシ-若しくはジアリールオキシ-ホスフィニル[-P(=O)(OR]、ジアルキル-若しくはジアリールホスフィニル[-P(=O)R ]からなる群から選択され、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C18アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC~C18アルケニル、任意選択的に置換されていてもよいアリール、任意選択的に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意選択的に置換されていてもよいアラルキル、任意選択的に置換されていてもよいアルカリル、任意選択的に置換されていてもよいアシルアミノ、任意選択的に置換されていてもよいアシルイミノ、任意選択的に置換されていてもよいアミノ、任意の機構によって形成されるポリマー鎖からなる群から選択され;Zは、任意選択的に置換されていてもよいアルキル、好ましくは任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキル、任意選択的に置換されていてもよいアリール、及び任意選択的に置換されていてもよいアリールアルキルからなる群からさらに選択することができ、R及びZ基についての任意選択的な置換基としては、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ(及びその塩)、スルホン酸(及びその塩)、アルコキシ-又はアリールオキシ-カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、並びにジアルキルアミノが挙げられる)
を含む水性媒体中で重合することと、
- 重合を停止し、フルオロポリマー[ポリマー(F)]のラテックスを回収することと
を含む方法。
【請求項2】
Zが、-R、-OR、-SR(式中、Rは任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキルである);-NR(式中、Rは定義されている通りであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20及びアルキル任意選択的に置換されていてもよいアリールから選択される);及び
【化2】
(式中、eは2~4の整数である)
からなる群から選択され;並びに/又はZが、-OR、-SR(式中、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキルである);-NH(式中、Rは定義されている通りであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20及びアルキル任意選択的に置換されていてもよいアリールから選択される);及び
【化3】
(式中、eは2~4の整数である)
からなる群から選択され;並びに/又はZが、-SCH(C)、-S(CHCOH(式中、uは2~11の整数である)、-OC2z+1、-SC2z+1(式中、zは1~12の整数であり、好ましくは2~12の整数である)、-SCHCHOH、-OCHCF、-N(C)(CH)からなる群から選択される;並びに/又は
が、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、アリール、又はヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれが、-COH、-COR、-CN、-SOH、-OSOH、-SOR、-SOR、-OP(OH)、-P(OH)、-PO(OH)、-OH、-OR、-(OCH-CHR-OH、-(OCH-CHR-OR、-CONH、CONHR、CONR、-NR、-NRから選択される1つ又は複数の親水性基で置換されていてもよく、Rが、C~Cアルキルから選択され、Rが水素又はRから選択され、wが1~10の整数であり、R、R、及びRが、独立して、-COH、-SOH、-OSOH、-OH、-(OCHCHR-OH、-CONH、-SOR、及びSOR、並びにこれらの塩から選択される1つ又は複数の親水性置換基で任意選択的に置換されていてもよいC~Cアルキル及びアリールから選択され、R、R、及びwが上で定義した通りである;並びに/又は、Rが、限定するものではないが、-C(CH-CHCH-COH、-CH(CH)COH、-CH(COH)CHCOH、-C(CHCOH、-CH(C)、-C(CN)(CH)COH、-C(CN)(CH)CHCHCOHからなる群から選択される;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の試薬(R)が、式(II)のRAFT剤:
【化4】
(式中、R及びZは請求項1又は2の式(I)で定義した通りである)の存在下、及びラジカル開始剤の存在下、少なくとも1種のモノマー(A)を重合して中間体であるプレポリマーを得る工程と、それに続く、前記中間体であるプレポリマーの存在下、及びラジカル開始剤の存在下、少なくとも1種のモノマー(B)を重合させる工程と、を含む方法によって調製される;並びに/又は、試薬(R)が、規格ISO22412:2017に従って決定される平均直径Dz、すなわちz平均径とも呼ばれる散乱光強度加重調和平均粒径として測定される3~50nm、好ましくは5~35nmの平均粒径を有する粒子の形態で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー(A)がイオン化可能な官能基を含む;及び/又はモノマー(A)が、カチオン性官能基若しくはアニオン性官能基からなる群から選択されるイオン化可能な官能基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記モノマー(A)が、カチオン性官能基を含む、並びに/又はモノマー(A)が、ジメチルアミノ-エチル及びプロピルアクリレート及びメタクリレート、N-アクリロイルモルホリン、並びにその第四級アンモニウム塩のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モノマー(A)が、アニオン性官能基を含む、並びに/又はモノマー(A)が、少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸官能基、その塩若しくはその前駆体を含むエチレン性不飽和モノマーからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
- モノマー(A)が、少なくとも1つのカルボキシル官能基又はその前駆体を含み、好ましくはα-β-エチレン性不飽和カルボン酸及び対応する無水物、例えば、アクリル酸、アクリル酸無水物、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、N-メタクリロイルアラニン、N-アクリロイルグリシン、p-カルボキシスチレン、及びそれらの水溶性塩;tert-ブチルアクリレート及びtert-ブチルメタクリレートからなる群から選択される;並びに/又は
- モノマー(A)が、少なくとも1つの硫酸若しくはスルホン酸官能基、又はそれらの前駆体を含み、好ましくはビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-[N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3-[N,N-ジメチルビニルベンジルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3-[2-(N-メタクリルアミド)-エチルジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3-(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、3-(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2-(アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2-メチレンコハク酸ビス(3-スルホプロピル)エステル、3-[N-(3-メタクリルアミドプロピル)-N,N-ジメチル]アンモニオプロパンスルホン酸、3-(2-ビニルピリジニオ)プロパンスルホン酸、並びにそれらの対応する塩及び硫酸塩類似体、n-ブチルp-スチレンスルホネート、及びネオペンチルp-スチレンスルホネートからなる群から選択される;並びに/又は
- モノマー(A)が、ホスホン酸若しくはホスホン酸前駆体を含み、好ましくはN-メタクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、特にn-プロピルエステル、メチルエステル、エチルエステル、n-ブチルエステル、又はイソプロピルエステル、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-メタクリルアミドメチルジホスホン酸;N-メタクリルアミドエチルホスホン酸エステル誘導体、例えばN-メタクリルアミドエチルホスホン酸ジメチルエステル又はN-メタクリルアミドエチルホスホン酸ジ(2-ブチル-3,3-ジメチル)エステル、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-メタクリルアミドエチルジホスホン酸;N-アクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、例えばN-アクリルアミドメチルホスホン酸ジメチルエステル、N-アクリルアミドメチルホスホン酸ジエチルエステル、又はビス(2-クロロプロピル)N-アクリルアミドメチルホスホネート、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-アクリルアミドメチルホスホン酸;ビニルベンジルホスホネートジアルキルエステル誘導体、特にジ(n-プロピル)、ジ(イソプロピル)、ジエチル、ジメチル、ジ(2-ブチル-3,3’-ジメチル)、及びジ(t-ブチル)エステル誘導体、並びにそれらのモノホスホン酸及びジホスホン酸である代替形態、例えばビニルベンジルジホスホン酸、2-(4-ビニルフェニル)エタンホスホン酸ジエチル;ジアルキルホスホノアルキルアクリレート及びメタクリレート誘導体、例えば2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル及び2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジエチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジメチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸ジメチルエステル、2-アクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジイソプロピルエステル又は2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジエチルエステル、並びにそれらのモノホスホン酸及びジホスホン酸である代替形態、例えば2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸、2-(アクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸、及び2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸;シアノ、フェニル、エステル、又はアセテート基で任意選択的に置換されていてもよいビニルホスホン酸、塩の形態又はそのイソプロピルエステルの形態のビニリデンホスホン酸、又はビス(2-クロロエチル)ビニルホスホネートからなる群から選択される;
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
モノマー(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、それらの塩又はそれらの前駆体からなる群から選択され、モノマー(A)が、好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
モノマー(B)が、スチレン及びスチレン誘導体、例えばα-メチルスチレン、p-メチルスチレン、又はp-(t-ブチル)スチレン;アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、t-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート;C~C12ビニルニトリル、例えばアクリロニトリル又はメタクリロニトリル;カルボン酸のビニルエステル又はアリルエステル、例えば酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸のビニルエステル又はアリルエステル;ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、又はペンタフルオロスチレン;α-オレフィン、例えばエチレン;共役ジエンモノマー、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンからなる群から選択される;並びに/又はモノマー(B)が、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
試薬(R)が式(I)に従う、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法:
【化5】
(式中、
は、-C(CH-CHCH-COH、-CH(CH)COH、-CH(COH)CHCOH、-C(CHCOH、-CH(C)、-C(CN)(CH)COH、-C(CN)(CH)CHCHCOHからなる群から選択され;
-[A]-は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、それらの塩又はそれらの前駆体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー(A)から誘導される繰り返し単位-A-の配列を表し、nは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
-[B]-は、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー[モノマー(B)]から誘導される繰り返し単位-B-の配列を表し、mは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
Zは、任意選択的に置換されていてもよいアルキルチオ基からなる群から選択される;並びに/又は
試薬(R)において、前記配列-[A]-の単位と前記配列-[B]-の単位との間のモル比が0.6~1.4であり、前記配列-[A]-の単位と前記配列-[B]-の単位との間のモル比が0.8~1.2であることが好ましい;並びに/又は
試薬(R)が、100nm未満、好ましくは50nm未満、より好ましくは30nm未満の平均粒径Dzを有する分散粒子の形態で水性媒体中に存在する;
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノマー(F)が以下からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法:
- テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
- フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ペンタフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロイソブチレンなどのC~C水素含有フルオロオレフィン;
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロアルキル又はC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)を満たす(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C~Cフルオロオレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン(CTFE);
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)を満たすヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、パーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのような、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C12オキシアルキル、又はC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-C、又は-C-O-CFのような、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C(パー)フロオロオキシアルキルである)に従うフルオロアルキル-メトキシ-ビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、YはC~C12アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル、又はC~C12オキシアルキル又はC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、その酸、酸ハロゲン化物又は塩形態のカルボン酸基又はスルホン酸基を含む)を満たす官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 下記式のフルオロジオキソール
【化6】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、等しいか又は互いに異なり、独立に、フッ素原子、任意選択的に1つ又は複数の酸素原子を含むC~Cフルオロ-又はパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである)。
【請求項12】
前記混合物(M)が、
(1)VDFとは異なり、且つ
(a)C~Cパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP);
(b)水素含有C~Cフルオロオレフィン、例えばフッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、式CH=CH-R(式中、RはC~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレン;
(c)C~Cクロロ及び/又はブロモ及び/又はヨード-フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE);
(d)式CF=CFOR(式中、RはC~C(パー)フルオロアルキル基、例えばCF、C、Cである)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX(式中、Xは、結合酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えば、パーフルオロ-2-プロポキシプロピル基である)の(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;
(f)式:
【化7】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6は、互いに同じであるか又は異なり、独立して、フッ素原子、及び特には-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどの任意選択的に1つ又は複数の酸素原子を含有していてもよいC~Cの(パー)フルオロアルキル基から選択される)を有する(パー)フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール;
(g)(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(以降MOVE)であって、式:
CFX=CXOCFOR’’
(式中、R’’は直鎖又は分岐鎖のC~C(パー)フルオロアルキル、C~C環状(パー)フルオロアルキル、及び1~3個の結合酸素原子を含む直鎖又は分岐鎖のC~C(パー)フルオロオキシアルキルから選択され、X=F、Hであり、好ましくは、XはFであり、R’’は-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)、又は-CF(MOVE3)である)を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル:
(h)C~C非フッ素化オレフィン(OI)、例えばエチレン及びプロピレン;
からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーとVDFが混合されている、フッ化ビニリデン(VDF)含有モノマー混合物[混合物(MVDF)];並びに
(2)テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物[混合物(MTFE)]であって、TFEが、TFEとは異なり、且つ上に詳述した分類(a)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)のモノマー、及び
(i)少なくとも1個のニトリル基を含むパーフルオロビニルエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーとTFEが混合されている、テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物[混合物(MTFE)]
からなる群から選択され、好ましくは前記混合物(M)が混合物(MVDF)から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物(M)が、以下の混合物(M)(モル%単位):
(i)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)10~45%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~30%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~15%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ii)フッ化ビニリデン(VDF)50~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)5~50%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~20%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iii)フッ化ビニリデン(VDF)20~30%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~30%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)及び/又は(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)18~27%、テトラフルオロエチレン(TFE)10~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iv)テトラフルオロエチレン(TFE)50~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(v)テトラフルオロエチレン(TFE)45~65%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)20~55%、フッ化ビニリデン(VDF)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vi)テトラフルオロエチレン(TFE)32~60%モル%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~40%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~40%、フルオロビニルエーテル(MOVE)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vii)テトラフルオロエチレン(TFE)33~75%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)15~45%、フッ化ビニリデン(VDF)5~30%、ヘキサフルオロプロペンHFP0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(viii)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE)5~40%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~30%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~40%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)0~30%;ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ix)テトラフルオロエチレン(TFE)20~70%、(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE)30~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%、
からなる群から選択され、前記ビス-オレフィン(OF)という表現が、一般式:
【化8】
(式中、R、R、R、R、R、及びRは、互いに等しく又は異なり、H、ハロゲン、又は場合により1つ又は複数の酸素基を含むC~Cの任意選択的にハロゲン化されていてもよい基であり、Zは、任意選択的に酸素原子を含んでいてもよい直鎖若しくは分岐鎖のC~C18の任意選択的にハロゲン化されていてもよいアルキレン若しくはシクロアルキレンラジカル、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである)
を有するビス-オレフィンを表す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記水性媒体が、少なくとも1種のヨウ素化及び/又は臭素化連鎖移動剤、好ましくは式R(I)x(Br)yのものからなる群から選択される連鎖移動剤を含み、式中、Rが1~8個の炭素原子を含む(パー)フルオロアルキル又は(パー)フルオロクロロアルキルであり、x及びyが0~2の整数であり、1≦x+y≦2である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマー(F)がフルオロエラストマーである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法により得られるラテックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月17日に出願された欧州特許出願第21306824.0号に基づく優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、特定の両親媒性可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤の存在下でフルオロモノマーを重合する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性ポリマー及びエラストマーポリマーを含むフッ化ビニリデンポリマーは、ラジカル重合技術によって製造されることが知られている。
【0004】
過去10年間にわたり、様々な制御/リビング重合(CLP)技術が、親水性リビング鎖を疎水性セグメントで延長することによって重合誘導自己組織化を引き起し、その結果自己組織化して系内で制御された形態を実現するブロックコポリマーを生成するのに有効であることが証明されてきた。CLP技術の中でも、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)及びザンテート交換反応を用いる高分子設計(MADIX)技術が広く研究されている。例えば、PERRIER,S.,et al.Macromolecular design via Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer(RAFT)/Xanthates(MADIX)polymerization.J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem..2005,vol.43,p.5347-5393を参照のこと。
【0005】
誤解を避けるために明記しておくと、「RAFT剤」という表現は、「RAFT剤又はMADIX剤」を意味することが意図されているが、本明細書では、官能基-X(=S)-S-(式中、Xはリン又は炭素であり、好ましくは炭素である)を含む化合物類を指すために使用される。MADIX剤は、より具体的には、ザンテート官能基、すなわち-O-C(=S)-S-が存在することを特徴とする。RAFT剤は、フリーラジカル重合において可逆的連鎖移動剤として作用することができ、それにより可逆的付加開裂移動反応を誘導し、生長ラジカル(すなわち成長重合体鎖)といわゆるドーマント種(連鎖移動剤の断片を含有する)との平衡を生じさせ、後者は再び活性になり得る。RAFT制御ラジカル重合の一般に認められている機構はスキームIに示されている。
【0006】
米国特許第7012114号明細書(RHODIA CHIMIE)には、フリーラジカル開始剤の存在下での少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーと、ジチオエステル、チオエーテル-チオン、ジチオカルバメート、及びザンテートから選択される基を末端に含むポリマーとのフリーラジカル乳化重合が開示されている。前記ポリマーは、親水性モノマー由来の単位及び疎水性モノマー由来の単位を有していてもよく、モノブロック、ジブロック、又はトリブロックポリマーであってよい。エチレン性不飽和モノマーは、式CXX’(=CV-CV’=CHのものとすることができ、式中、X及びX’は、同じであるか又は異なり、H、アルキル基、又はハロゲンを表し、V及びV’は、同じであるか又は異なり、H、ハロゲン、又は基R、OR、OCOR、NHCOH、OH、NH、NHR、N(R)、(R)、NHCOR、COH、COR、CN、CONH、CONHR、又はCONRであり、Rは、同じであるか又は異なり、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、アルケン、及びオルガノシリル基からなる群から選択され、任意選択的に完全にフッ素化されていてもよく、また任意選択的に1つ又は複数のカルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン基、又はスルホン基で置換されていてもよく、tは0又は1である。ジチオエステル、チオエーテルチオン、又はジオチオカルバメート官能基を有する前記ポリマーの存在下でフッ化ビニリデンを重合する可能性については言及されていない。
【0007】
国際公開第2006/037171号パンフレット(University of Sydney)は、RAFT剤及び特定の粒子状材料の存在下で特定のモノマーを重合する方法を開示しており、前記RAFT剤は、式:
【化1】
のものとすることができ、式中、各A及びBは、独立して、-(A)-が疎水性を付与し、-(B)-が親水性を付与するようなエチレン性不飽和モノマーの重合残基である。この文献によれば、広範囲のエチレン性不飽和モノマーをこの方法に従って重合することができ、適切なモノマーはフリーラジカルプロセスによって重合できるものであるが、フッ化ビニリデンについては言及されていない。
【0008】
国際公開第2015/173193A号パンフレット(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS ITALY S.p.A.)19.11.2015は、RAFT/MADIX剤の制御下でのフルオロモノマーの乳化重合方法に関する。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、以降で詳述する式(I):
【化2】
の両親媒性ポリマーRAFT剤[試薬(R)]の存在下でフルオロポリマーのラテックスを製造する方法を提供することである。
【0010】
出願人は、驚くべきことに、外側の親水性シェルと内側の疎水性コアの形態の自己組織化ポリマーミセル構造のおかげで、試薬(R)がフルオロモノマー重合のための効果的な両親媒性粒子状乳化剤として機能し、フルオロモノマー、特にフッ化ビニリデン(VDF)の高固形分までの重合を支援するのに有効であり、表面剤の添加の必要なしに得られるラテックスを安定化することを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の目的によれば、少なくとも1種のフルオロモノマーの乳化重合方法であって、
- 少なくとも1種のフルオロモノマーと任意選択的に少なくとも1種の追加のモノマーとを含むモノマー混合物[混合物(M)]を、式(I):
【化3】
の両親媒性ポリマーRAFT剤[試薬(R)]
(式中、
は、1つ又は複数の親水性基で任意選択的に置換されていてもよい有機基であり;
-[A]-は、親水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー[モノマー(A)]から誘導される繰り返し単位-A-の配列を表し、nは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
-[B]-は、疎水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー[モノマー(B)]から誘導される繰り返し単位-B-の配列を表し、mは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
Zは、任意選択的に置換されていてもよいアルコキシ、任意選択的に置換されていてもよいアリールオキシ、任意選択的に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意選択的に置換されていてもよいアルキルチオ、任意選択的に置換されていてもよいアリールアルキルチオ、ジアルコキシ-若しくはジアリールオキシ-ホスフィニル[-P(=O)(OR]、ジアルキル-若しくはジアリールホスフィニル[-P(=O)R ]からなる群から選択され、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C18アルキル、任意選択的に置換されていてもよいC~C18アルケニル、任意選択的に置換されていてもよいアリール、任意選択的に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意選択的に置換されていてもよいアラルキル、任意選択的に置換されていてもよいアルカリル、任意選択的に置換されていてもよいアシルアミノ、任意選択的に置換されていてもよいアシルイミノ、任意選択的に置換されていてもよいアミノ、任意の機構によって形成されるポリマー鎖からなる群から選択され;Zは、任意選択的に置換されていてもよいアルキル、好ましくは任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキル、任意選択的に置換されていてもよいアリール、及び任意選択的に置換されていてもよいアリールアルキルからなる群からさらに選択することができ、R及びZ基についての任意選択的な置換基としては、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ(及びその塩)、スルホン酸(及びその塩)、アルコキシ-又はアリールオキシ-カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、並びにジアルキルアミノが挙げられる)
を含む水性媒体中で重合することと、
- 重合を停止し、フルオロポリマー[ポリマー(F)]のラテックスを回収することと
を含む方法が提供される。
【0012】
通常、Zは、限定するものではないが、-R、-OR、-SR(式中、Rは任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキルである);-NR(式中、Rは定義されている通りであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20及びアルキル任意選択的に置換されていてもよいアリールから選択される);及び
【化4】
(式中、eは2~4の整数である)
からなる群から選択される。
【0013】
好ましくは、Zは、-OR、-SR(式中、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキルである);-NR(式中、Rは定義されている通りであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20及びアルキル任意選択的に置換されていてもよいアリールから選択される);及び
【化5】
(式中、eは2~4の整数である)
からなる群から選択される。
【0014】
より好ましくは、Zは、-SR(式中、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20アルキルである);-NR(式中、Rは定義されている通りであり、Rは、任意選択的に置換されていてもよいC~C20及びアルキル任意選択的に置換されていてもよいアリールから選択される);及び
【化6】
(式中、eは2~4の整数である)
からなる群から選択される。
【0015】
さらにより好ましくは、Zは、-SCH(C)、-S(CHCOH(式中、uは2~11の整数である)、-OC2z+1、-SC2z+1(式中、zは1~12の整数であり、好ましくは2~12の整数であり、例えば、2、3、4、6、8、10、12であるが、これらに限定されるものではない)、-SCHCHOH、-OCHCF、-N(C)(CH)からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
式(I)において、Rは、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、アリール、又はヘテロアリールから選択することができ、これらのそれぞれは、-COH、-COR、-CN、-SOH、-OSOH、-SOR、-SOR、-OP(OH)、-P(OH)、-PO(OH)、-OH、-OR、-(OCH-CHR-OH、-(OCH-CHR-OR、-CONH、CONHR、CONR、-NR、-NRから選択される1つ又は複数の親水性基で置換されていてもよく、Rは、C~Cアルキルから選択され、Rは水素又はRから選択され、wは1~10の整数であり、R、R、及びRは、独立して、-COH、-SOH、-OSOH、-OH、-(OCHCHR-OH、-CONH、-SOR、及びSOR、並びにこれらの塩から選択される1つ又は複数の親水性置換基で任意選択的に置換されていてもよいC~Cアルキル及びアリールから選択され、R、R、及びwは上で定義した通りである。
【0017】
好ましくは、Rは、限定するものではないが、-C(CH-CHCH-COH、-CH(CH)COH、-CH(COH)CHCOH、-C(CHCOH、-CH(C)、-C(CN)(CH)COH、-C(CN)(CH)CHCHCOHからなる群から選択される。
【0018】
本明細書で用いるところでは、用語「アリール」及び「ヘテロアリール」は、それぞれ1つ又は複数の芳香環若しくはヘテロ芳香環を含む又はそれらからなり、且つ、環原子によって結合している任意の置換基を言う。環は、単環式又は多環式環系であってもよいが、単環式又は二環式の5又は6員環が好ましい。「アルキル」という用語は、単独で使用されるか、又は「アルケニルオキシアルキル」、「アルキルチオ」、「アルキルアミノ」、及び「ジアルキルアミノ」のように組み合わせて使用され、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル、好ましくはC~C20アルキル又はシクロアルキルを示す。「アルコキシ」という用語は、直鎖又は分岐鎖のアルコキシ、好ましくはC~C20アルコキシを示す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ及び種々のブトキシ異性体が挙げられる。「アルケニル」という用語は、エチレン性一不飽和、二不飽和又は多不飽和の、前記で定義されたアルキル基又はシクロアルキル基、好ましくはC~C20アルケニルを含む直鎖、分岐鎖又は環状のアルケンから形成される基を示す。「アシル」という用語は、単独であるか、又は「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」又は「ジアシルアミノ」のような組み合わせた形態であり、カルバモイル、脂肪族アシル基、及び芳香族アシルと称される芳香環を含有するアシル基、又は複素環式アシルと称される複素環を含有するアシル基、好ましくはC~C20アシルを示す。
【0019】
この第1の態様による式(I)の試薬(R)は、式(II)のRAFT剤
【化7】
(式中、R及びZは式(I)で定義した通りである)の存在下、及びラジカル開始剤の存在下、少なくとも1種のモノマー(A)を重合して中間体であるプレポリマーを得る工程と、それに続く、前記中間体であるプレポリマーの存在下、及びラジカル開始剤の存在下、少なくとも1種のモノマー(B)を重合させる工程と、を含む方法によって調製することができる。
【0020】
前記したように、モノマー(A)は親水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーであり、モノマー(B)は疎水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーであるが、「親水性」及び「疎水性」という用語は、本明細書全体を通して一般に認識されている意味で使用される。すなわち、「水と相互作用するか又は水に溶解する傾向を備える」(親水性)又は「水と相互作用するか又は水に溶解することができない」(疎水性)化合物及び/又は化合物の官能基部分を指す。
【0021】
親水性を有する任意のエチレン性不飽和モノマーをモノマー(A)として使用することができる。前記親水性は、イオン化可能な官能基又は非イオン化できない官能基によって付与され得る。
【0022】
モノマー(A)の官能基に関連して使用される「イオン化可能な」という用語は、前記官能基がイオン化されてカチオン性又はアニオン性の基を形成できることを意味する。このような官能基は、通常、酸性又は塩基性の条件下でのプロトンの喪失又は受容によってイオン化することができる。通常、イオン化可能な官能基は酸性基又は塩基性基である。例えば、カルボン酸官能基は塩基性条件下でカルボキシレートアニオンを形成することができ、アミン官能基は酸性条件下で第四級アンモニウムカチオンを形成することができる。官能基は、イオン交換プロセスによってイオン化することもできる。
【0023】
モノマー(A)の官能基に関連して使用される「イオン化できない」という用語は、前記官能基がイオン化可能な官能基を持たないことを意味する。特に、そのような官能基は、酸性又は塩基性の条件下でプロトンを喪失又は受容することができる酸性基又は塩基性基を持たないが、水と相互作用するのに十分な、又はさらには水に溶解するのに十分な親水性を有する。
【0024】
イオン化できないモノマー(A)の中でも、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)、ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドンを挙げることができる。
【0025】
しかし、モノマー(A)がイオン化可能な官能基を含むことが通常好ましい。
【0026】
イオン化可能な官能基は、カチオン性官能基であっても又はアニオン性官能基であってもよい。
【0027】
カチオン性官能基を含むイオン化可能なモノマー(A)の中でも、ジメチルアミノ-エチル及びプロピルアクリレート及びメタクリレート、N-アクリロイルモルホリン、並びにその第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0028】
好ましいイオン化性モノマー(A)は、アニオン性官能基又はその前駆体を有するモノマーの中から選択される。
【0029】
そのような実施形態によれば、モノマー(A)は、好ましくは、少なくとも1つのカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸官能基、その塩、又はその前駆体を含むエチレン性不飽和モノマーからなる群から選択される。
【0030】
典型的には、この実施形態によるモノマー(A)は、対応する酸が6未満、好ましくは5未満、さらにより好ましくは4未満の酸解離定数pKaを有する官能基を含むモノマーである。
【0031】
少なくとも1個のカルボン酸官能基又はその前駆体を含むモノマー(A)の中でも、例えば、α-β-エチレン性不飽和カルボン酸及び対応する無水物、例えばアクリル酸、アクリル酸無水物、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、N-メタクリロイルアラニン、N-アクリロイルグリシン、p-カルボキシスチレン、及びそれらの水溶性塩を挙げることができる。重合後の加水分解によりカルボン酸官能基又はその塩を生成する、tert-ブチルアクリレート又はtert-ブチルメタクリレートなどのカルボン酸官能基のモノマー前駆体を選択してもよい。少なくとも1個のカルボン酸官能基を含むモノマー(A)の中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい場合がある。
【0032】
少なくとも1個の硫酸又はスルホン酸官能基又はその前駆体を含むモノマー(A)の中でも、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-[N-(2-メタクリロイルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3-[N,N-ジメチルビニルベンジルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3-[2-(N-メタクリルアミド)-エチルジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3-(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、3-(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2-(アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2-メチレンコハク酸ビス(3-スルホプロピル)エステル、3-[N-(3-メタクリルアミドプロピル)-N,N-ジメチル]アンモニオプロパンスルホン酸、3-(2-ビニルピリジニオ)プロパンスルホン酸、並びにそれらの対応する塩及び硫酸塩類似体を挙げることができる。スルホン酸官能基の前駆体を含むモノマーは、例えば、n-ブチルp-スチレンスルホネート、ネオペンチルp-スチレンスルホネートから選択されてもよく、これは、重合後の加水分解によってスルホン酸官能基又はその塩を生成する。
【0033】
ホスホン酸又はホスホン酸前駆体を含むモノマー(A)の注目すべき例は、例えば、N-メタクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、特にn-プロピルエステル、メチルエステル、エチルエステル、n-ブチルエステル、又はイソプロピルエステル、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-メタクリルアミドメチルジホスホン酸;N-メタクリルアミドエチルホスホン酸エステル誘導体、例えばN-メタクリルアミドエチルホスホン酸ジメチルエステル又はN-メタクリルアミドエチルホスホン酸ジ(2-ブチル-3,3-ジメチル)エステル、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-メタクリルアミドエチルジホスホン酸;N-アクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、例えばN-アクリルアミドメチルホスホン酸ジメチルエステル、N-アクリルアミドメチルホスホン酸ジエチルエステル、又はビス(2-クロロプロピル)N-アクリルアミドメチルホスホネート、並びにそれらのホスホン酸の一酸誘導体及び二酸誘導体、例えばN-アクリルアミドメチルホスホン酸;ビニルベンジルホスホネートジアルキルエステル誘導体、特にジ(n-プロピル)、ジ(イソプロピル)、ジエチル、ジメチル、ジ(2-ブチル-3,3’-ジメチル)、及びジ(t-ブチル)エステル誘導体、並びにそれらのモノホスホン酸及びジホスホン酸である代替形態、例えばビニルベンジルジホスホン酸、2-(4-ビニルフェニル)エタンホスホン酸ジエチル;ジアルキルホスホノアルキルアクリレート及びメタクリレート誘導体、例えば2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル及び2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジエチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジメチルエステル、2-(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸ジメチルエステル、2-アクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジイソプロピルエステル又は2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジエチルエステル、並びにそれらのモノホスホン酸及びジホスホン酸である代替形態、例えば2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸、2-(アクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸、及び2-(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸;シアノ、フェニル、エステル、又はアセテート基で任意選択的に置換されていてもよいビニルホスホン酸、塩の形態又はそのイソプロピルエステルの形態のビニリデンホスホン酸、又はビス(2-クロロエチル)ビニルホスホネートである。
【0034】
エチレン性不飽和モノマー(A)は、上に記載されたホスホネート含有モノマーのホスフェート類似体から選択することもできる。具体的なホスフェート含有モノマーとしては、2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスフェート、2-(アクリロイルオキシ)エチルホスフェート、2-(メタクリロイルオキシ)プロピルホスフェート、2-(アクリロイルオキシ)プロピルホスフェート、及びポリエチレングリコールオメガホスフェートのアクリレート若しくはメタクリレート、又はポリプロピレングリコールオメガホスフェートのアクリレート若しくはメタクリレートを挙げることができる。
【0035】
有利には、モノマー(A)は、限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、それらの塩又はそれらの前駆体からなる群から選択される。特に好ましいモノマー(A)は、アクリル酸及びメタクリル酸の中から選択される。
【0036】
モノマー(B)と呼ばれる、疎水性を有するエチレン性不飽和モノマーは、例えば、スチレン及びスチレン誘導体、例えばα-メチルスチレン、p-メチルスチレン、又はp-(t-ブチル)スチレン;アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、t-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート;C~C12ビニルニトリル、例えばアクリロニトリル又はメタクリロニトリル;カルボン酸のビニルエステル又はアリルエステル、例えば酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸のビニルエステル又はアリルエステル;ハロゲン化ビニル、ハロゲン化アリル、ハロゲン化ビニリデン、又は芳香族ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、又はペンタフルオロスチレン;α-オレフィン、例えばエチレン;共役ジエンモノマー、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンからなる群から選択される。
【0037】
好ましいモノマー(B)は、特にアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルであり、フッ化ビニリデンポリマーと混和性の配列-[B]-を与えるという追加の利点を有する。
【0038】
式(I)のRAFT剤
【化8】
の好ましい実施形態では、式中、
は、好ましくは、-C(CH-CHCH-COH、-CH(CH)COH、-CH(COH)CHCOH、-C(CHCOH、-CH(C)、-C(CN)(CH)COH、-C(CN)(CH)CHCHCOHからなる群から選択され;
-[A]-は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、それらの塩又はそれらの前駆体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー(A)から誘導される繰り返し単位-A-の配列を表し、nは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
-[B]-は、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー(B)から誘導される繰り返し単位-B-の配列を表し、mは、2~300、好ましくは2~250、さらには3~200、より好ましくは3~150、さらに好ましくは3~120の整数であり;
Zは、好ましくは、任意選択的に置換されていてもよいアルキルチオ基からなる群から選択される。
【0039】
試薬(R)において、親水性及び疎水性の最適なバランスは、配列-[A]-の単位と配列-[B]-の単位との間のモル比が0.6~1.4である場合に達成される。そのような範囲から逸脱した場合、ポリマーRAFT剤の両親媒性特性が低下する可能性があり、その結果、試薬(R)が自己組織化して乳化重合を安定化する能力が影響を受ける可能性がある。
【0040】
通常、配列-[A]-の単位と配列-[B]-の単位との間のモル比は0.8~1.2であることが好ましい。
【0041】
試薬(R)は、100nm未満、好ましくは75nm未満、より好ましくは50nm未満の平均粒径を有する分散粒子の形態で水性媒体中に存在し得る。
【0042】
3~50nm、好ましくは5~35nmの平均粒径を有する試薬(R)の粒子が特に効果的であることが見出された。
【0043】
これとの関係において、水性媒体中の試薬(R)の分散粒子に関しての「平均粒径」という表現は、例えばMalvern PanalyticalのシステムNanoZSを使用することによって、規格ISO22412:2017に従って決定される平均直径Dz、すなわちz平均径とも呼ばれる散乱光強度加重調和平均粒径を表すことが意図されている。
【0044】
混合物(M)は、少なくとも1種のフルオロモノマー又はモノマー(F)を含む。通常、2種以上のフルオロモノマーを含むモノマー混合物が本発明の方法において用いられる。
【0045】
表現「フルオロモノマー」は、その通常の意味に従って、すなわち、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを表すために本明細書では用いられる。
【0046】
モノマー(F)は一般に、以下のものからなる群から選択される:
- テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)などの、C~Cパーフルオロオレフィン;
- フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ペンタフルオロプロピレン、及びヘキサフルオロイソブチレンなどのC~C水素含有フルオロオレフィン;
- 式CH=CH-Rf0(式中、Rf0は、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C(パー)フルオロアルキル又はC~C(パー)フルオロオキシアルキルである)を満たす(パー)フルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C~Cフルオロオレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン(CTFE);
- 式CF=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CH=CFORf1(式中、Rf1は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-Cである)を満たすヒドロフルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOX(式中、Xは、パーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのような、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C12オキシアルキル、又はC~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)に従うフルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C~Cフルオロ-又はパーフルオロアルキル、例えば-CF、-C、-C、又は-C-O-CFのような、1つ又は複数のエーテル基を有するC~C(パー)フロオロオキシアルキルである)に従うフルオロアルキル-メトキシ-ビニルエーテル;
- 式CF=CFOY(式中、YはC~C12アルキル若しくは(パー)フルオロアルキル、又はC~C12オキシアルキル又はC~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、前記Y基は、その酸、酸ハロゲン化物又は塩形態のカルボン酸基又はスルホン酸基を含む)を満たす官能性フルオロ-アルキルビニルエーテル;
- 下記式のフルオロジオキソール
【化9】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、等しいか又は互いに異なり、独立に、フッ素原子、任意選択的に1つ又は複数の酸素原子を含むC~Cフルオロ-又はパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFである)。
【0047】
モノマー(F)には、通常フッ化ビニリデン(VDF)が含まれる。混合物(M)は、1種以上のモノマー(F)を含み得るが、好ましい実施形態では、混合物(M)は、通常フッ化ビニリデンを含み、且つフッ化ビニリデンとは異なる上で詳述した1種以上のモノマー(F)を含み得ることが理解される。
【0048】
混合物(M)は、モノマー(F)とは異なる少なくとも1種の追加のモノマー、すなわち、フッ素を含まないモノマー、さもなければ含水素モノマーと一般に言われるモノマーを含んでもよい。含水素モノマーの例は、とりわけC~C非フッ素化オレフィン(Ol)、特に、典型的に使用されている、上で詳述されたようなアルファ-オレフィンを有する、エチレン、プロピレン、1-ブテン;ジエンモノマー;スチレンモノマーなどの、C~C非フッ素化アルファ-オレフィン(Ol)である。
【0049】
本発明の方法は、とりわけ溶融加工できないTFEポリマー(少量の完全フッ素化コモノマーを含むPTFEホモポリマー及びそのコポリマーなど)、熱可塑性フルオロポリマー(例えばVDFホモポリマー及びそのプラストメリックコポリマー、エチレンとCTFE、ETFE、及びそれらの混合物とのコポリマー、TFEとPAVEとの熱可塑性コポリマー、TFEとHFPとの熱可塑性コポリマー)、並びにフルオロエラストマー、特にフッ化ビニリデン(VDF)フルオロエラストマーなどの多種多様なフルオロポリマーの製造に好適である。
【0050】
本発明の方法、特にフルオロエラストマーの製造において混合物(M)として使用可能なモノマー(F)の具体的な組み合わせは、好ましくは、
(1)VDFとは異なり、且つ
(a)C~Cパーフルオロオレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP);
(b)水素含有C~Cフルオロオレフィン、例えばフッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、式CH=CH-R(式中、RはC~Cパーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレン;
(c)C~Cクロロ及び/又はブロモ及び/又はヨード-フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE);
(d)式CF=CFOR(式中、RはC~C(パー)フルオロアルキル基、例えばCF、C、Cである)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)式CF=CFOX(式中、Xは、結合酸素原子を含むC~C12((パー)フルオロ)-オキシアルキル、例えば、パーフルオロ-2-プロポキシプロピル基である)の(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;
(f)式:
【化10】
(式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6は、互いに同じであるか又は異なり、独立して、フッ素原子、及び特には-CF、-C、-C、-OCF、-OCFCFOCFなどの任意選択的に1つ又は複数の酸素原子を含有していてもよいC~Cの(パー)フルオロアルキル基から選択される)を有する(パー)フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール;
(g)(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(以降MOVE)であって、式:
CFX=CXOCFOR’’
(式中、R’’は直鎖又は分岐鎖のC~C(パー)フルオロアルキル、C~C環状(パー)フルオロアルキル、及び1~3個の結合酸素原子を含む直鎖又は分岐鎖のC~C(パー)フルオロオキシアルキルから選択され、X=F、Hであり、好ましくは、XはFであり、R’’は-CFCF(MOVE1)、-CFCFOCF(MOVE2)、又は-CF(MOVE3)である)を有する(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル:
(h)C~C非フッ素化オレフィン(OI)、例えばエチレン及びプロピレン;
からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーとVDFが混合されている、フッ化ビニリデン(VDF)含有モノマー混合物[混合物(MVDF)];並びに
(2)テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物[混合物(MTFE)]であって、TFEとは異なり、且つ上に詳述した分類(a)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)のモノマー、及び
(i)特に米国特許第4,281,092号明細書、米国特許第5,447,993号明細書、及び米国特許第5,789,489号明細書に記載されているものなどの少なくとも1個のニトリル基を含むパーフルオロビニルエーテル
からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーとTFEが混合されている、テトラフルオロエチレン(TFE)含有モノマー混合物[混合物(MTFE)]
である。
【0051】
本発明の方法における使用に好ましい混合物(M)は、上述した混合物(MVDF)である。
【0052】
任意選択的に、混合物(M)(及び/又は混合物(MVDF)は、例えば欧州特許第661304A号明細書(AUSIMONT SPA)7/5/1995に記載されているような、一般式:
【化11】
(式中、R、R、R、R、R、及びRは、互いに等しく又は異なり、H、ハロゲン、又は場合により1つ又は複数の酸素基を含むC~Cの任意選択的にハロゲン化されていてもよい基であり、Zは、任意選択的に酸素原子を含んでいてもよい直鎖若しくは分岐鎖のC~C18の任意選択的にハロゲン化されていてもよいアルキレン若しくはシクロアルキレンラジカル、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである)
を有する少なくとも1種のビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]をさらに含み得る。
【0053】
混合物(M)(及び/又は混合物(MVDF)中に場合によっては含まれるビス-オレフィン(OF)は、好ましくは、式(OF-1)、(OF-1)、及び(OF-3)に従うものからなる群から選択される:
【化12】
(式中、jは2~10、好ましくは4~8の整数であり、R1、R2、R3、R4は互いに等しいか又は異なり、H、F、又はC1~5のアルキル又は(パー)フルオロアルキル基である);
【化13】
(式中、各Aは、互いに及び各存在において同じであるか又は異なり、独立にF、Cl、及びHから選択され、各Bは、互いに及び各存在において同じであるか又は異なり、独立にF、Cl、H、及びORから選択され、Rは部分的に、実質的に、又は完全にフッ素化又は塩素化されていてもよい分岐又は直鎖のアルキルラジカルであり、Eは、エーテル結合が挿入されていてもよく任意選択的にフッ素化されていてもよい、2~10の炭素原子を有する2価の基であり、好ましくはEはmが3~5の整数である-(CFm-基であり、好ましい(OF-2)タイプのビス-オレフィンはFC=CF-O-(CF-O-CF=CFである);
【化14】
(式中、E、A、及びBは上で定義したのと同じ意味であり、R5、R6、R7は、互いに同じであるか又は異なり、H、F、C1~5のアルキル基、又はC1~5の(パー)フルオロアルキル基である)。
【0054】
混合物(M)(及び/又は混合物(MVDF))中に存在する場合、ビス-オレフィン(OF)は、混合物(M)(及び/又は混合物(MVDF))のモノマーの総量に対して0.01~1モル%の量で存在する。
【0055】
本方法がエラストマーの製造のために用いられる場合、以下の混合物(M)を有利に使用することができる(モル%単位):
(i)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)10~45%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~30%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~15%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ii)フッ化ビニリデン(VDF)50~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)5~50%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~20%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iii)フッ化ビニリデン(VDF)20~30%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~30%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)及び/又は(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)18~27%、テトラフルオロエチレン(TFE)10~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(iv)テトラフルオロエチレン(TFE)50~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(v)テトラフルオロエチレン(TFE)45~65%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)20~55%、フッ化ビニリデン(VDF)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vi)テトラフルオロエチレン(TFE)32~60%モル%、C~C非フッ素化オレフィン(Ol)10~40%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)20~40%、フルオロビニルエーテル(MOVE)0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(vii)テトラフルオロエチレン(TFE)33~75%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)15~45%、フッ化ビニリデン(VDF)5~30%、ヘキサフルオロプロペンHFP0~30%、ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(viii)フッ化ビニリデン(VDF)35~85%、(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE)5~40%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~30%、テトラフルオロエチレン(TFE)0~40%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)0~30%;ビス-オレフィン(OF)0~5%;
(ix)テトラフルオロエチレン(TFE)20~70%、(パー)フルオロ-メトキシ-ビニルエーテル(MOVE)30~80%、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)0~50%、ビス-オレフィン(OF)0~5%。
【0056】
上記混合物において、(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ビス-オレフィン(OF)、(パー)フルオロメトキシビニルエーテル(MOVE)、C~C非フッ素化オレフィン(OI)という表現は、上で定義した意味を有する。
【0057】
(i)、(ii)、(iii)、(v)(VDFが0より大きい)、(vii)、及び(viii)のタイプの混合物(MVDF)が本発明の方法における使用に特に好ましい。
【0058】
さらに、混合物(M)(及び/又は混合物(MVDF))が本発明の方法によるフルオロエラストマーの製造を目的とする場合には、硬化部位含有モノマーを使用することができる。
【0059】
硬化部位含有モノマーの中では、とりわけ:
(CSM-1)下記式のヨウ素又は臭素含有モノマー:
【化15】
(式中、各AHfは、互いに及び各存在において同じであるか又は異なり、独立にF、Cl、及びHから選択され、BHfはF、Cl、H、ORHf のいずれかであり、RHf は、部分的に、実質的に、又は完全にフッ素化又は塩素化されていてもよい分岐又は直鎖のアルキルラジカルであり、各WHfは、互いに及び各存在において同じであるか又は異なり、独立に共有結合又は酸素原子であり、EHfは任意選択的にフッ素化されていてもよい2~10個の炭素原子を有する2価の基であり、RHfは、部分的に、実質的に又は完全にフッ素化されていてもよい分岐又は直鎖のアルキルラジカルであり、RHfはヨウ素及び臭素からなる群から選択されるハロゲン原子であり、エーテル結合が挿入されていてもよく、好ましくはEは、mが3~5の整数である-(CFm-基である);
(CSM-2)場合によりフッ素化された、ニトリル基を含むエチレン性不飽和化合物;
を挙げることができる。
【0060】
(CSM1)タイプの硬化部位含有モノマーの中でも、好ましいモノマーは、
(CSM1-A)下記式のヨウ素又は臭素含有モノマー:
【化16】
(式中、mは0~5の整数であり、nは0~3の整数であるが、mとnのうちの少なくとも1つは0ではなく、RfiはF又はCF基である(特には米国特許第4745165号明細書(AUSIMONT SPA)5/17/1988、米国特許第4564662号明細書(MINNESOTA MINING)1/14/1986、及び欧州特許出願公開第199138A号明細書(DAIKIN IND LTD)10/29/1986に記載されている))、
(CSM-1B)下記式のヨウ素含有エチレン性不飽和化合物:CX=CX-(CFCF-I(式中、X、X、及びXのそれぞれは、互いに同じであるか又は異なり、独立してH又はFであり、pは1~5の整数であり、これらの化合物の中でも、CH=CHCFCFI、I(CFCFCH=CH、ICFCFCF=CH、I(CFCFCF=CHを挙げることができる);
(CSM-1C)下記式のヨウ素含有エチレン性不飽和化合物:CHR=CH-Z-CHCHR-I(式中、RはH又はCHであり、Zは直鎖又は分岐の、任意選択的に1つ又は複数のエーテル酸素原子を含有していてもよいC~C18の(パー)フルオロアルキレンラジカル、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレンラジカルであり、これらの化合物の中でも、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHI、CH=CH-(CFCHCHIを挙げることができる);
(CSM-1D)例えば米国特許第4035565号明細書(DU PONT)7/12/1977に記載されているブロモトリフルオロエチレン又はブロモテトラフルオロブテンなどの2~10個の炭素原子を含有するブロモ及び/又はヨードアルファ-オレフィン、又は米国特許第4694045号明細書(DU PONT)9/15/1987に開示されている他の化合物であるブロモ及び/又はヨードアルファ-オレフィン;
からなる群から選択される。
【0061】
(CSM2)タイプの硬化部位含有モノマーの中で、好ましいモノマーは:
(CSM2-A)式CF=CF-(OCFCFXCN-O-(CF-CNで表され、XCNがF又はCF基であり、mが0、1、2、3、又は4であり、nが1~12の整数であるシアニド基含有パーフルオロビニルエーテル;
(CSM2-B)式CF=CF-(OCFCFXCNm’-O-CF-CF(CF)-CNで表され、XCNがF又はCF基であり、m’が
0、1、2、3、又は4であるシアニド基含有パーフルオロビニルエーテル;
からなる群から選択されるものである。
【0062】
本発明の目的に好適なCSM2-A及びCSM2-Bタイプの硬化部位含有モノマーの具体例は、特に、米国特許第4281092号明細書(DU PONT)7/28/1981、米国特許第4281092号明細書(DU PONT)7/28/1981、米国特許第5447993号明細書(DU PONT)9/5/1995、及び米国特許第5789489号明細書(DU PONT)8/4/1998に記載されているものである。
【0063】
さらに、加えて、本発明の方法において、水性媒体は、
- ヨウ化及び/又は臭化連鎖移動剤(好適な鎖-鎖移動剤は、典型的には式R(I)(Br)で表され、Rが1~8個の炭素原子を有する(パー)フルオロアルキル又は(パー)フルオロクロロアルキルであり、x及びyが1≦x+y≦2を満たす0~2の整数であるものである(例えば、米国特許第4243770号明細書(DAIKIN IND LTD)1/6/1981及び米国特許第4943622号明細書(NIPPON MEKTRON KK)7/24/1990を参照));及び
- とりわけ米国特許第5173553号明細書(AUSIMONT SRL)12/22/1992に記載されているものなどの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ヨウ化物及び/又は臭化物;
のいずれかを追加的に含み得る。
【0064】
上で詳述したヨウ素化ヨウ素化及び/又は臭素化連鎖移動剤が特に好ましい。
【0065】
これらの試薬は、ポリマー(F)の末端基として追加のヨウ素及び/又は臭素硬化部位を含める目的で特に有用である。
【0066】
混合物(M)を重合する工程は、10~150℃、好ましくは20℃~110℃の温度で、典型的には2~30bar、特には15~30barの圧力で実施することができる。
【0067】
温度は、モノマー(M)を重合する工程の間に例えば分子量分布に影響を与えるために、すなわち、幅広い分子量分布を得るために、又は二峰性若しくは多峰性の分子量分布を得るために、変化させることができる。
【0068】
混合物(M)を重合する工程における水性媒体のpHは、pH2~10、好ましくは3~9、最も好ましくは4~8の範囲にあってよい。
【0069】
水性乳化重合は、典型的には、フッ素化モノマーのフリーラジカル重合を開始させるために知られている開始剤のいずれかを含むラジカル開始剤によって開始される。好適な開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物並びに酸化還元をベースにする開始剤が挙げられる。過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム又は過酸化バリウム、ジアセチルペルオキシド、ジスクシニルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジブチリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルアセチルペルオキシド、ジグルタル酸ペルオキシド及びジラウリルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド、並びにさらに過酸及び例えば、アンモニウム、ナトリウム又はカリウム塩などのそれらの塩が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、その例としては、tert-ブチルペルオキシアセテート及びtert-ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。無機物の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸若しくはマンガン酸のアンモニウム-アルカリ-若しくはアルカリ土類塩又はマンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)は、それだけで使用することができ、或いは還元剤と組み合わせて使用されてもよい。同様に、1種の有機ラジカル開始剤は、単独で、又は還元剤と組み合わせて使用することができる。ラジカル開始剤と還元剤とを組み合わせる技術は、一般に「レドックス」技術と呼ばれている。
【0070】
レドックス技術に適した還元剤としては、例えば重亜硫酸アンモニウム又はメタ重亜硫酸ナトリウムなどの重亜硫酸塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウム、又はナトリウムなどのチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ-ト、及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。例えば銅、鉄、又は銀の塩などの金属塩触媒が添加されてもよい。使用され得るさらなる還元剤としては、例えば、米国特許第5,285,002号明細書に開示されているようなホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalit)又はフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。また、還元剤として、少なくとも1つのスルフィン酸基を有する化合物、例えば下記式の化合物を使用することもできる
【化17】
(式中、
- Mは、水素原子、アンモニウムイオン、一価金属イオンであり;
- R20は、-OH又は-N(R4)(R5)であり、R4及びR5のそれぞれは、互いに同じであるか又は異なり、水素原子又は1~6個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル鎖であり;
- R21は、水素原子、1~6個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基、5員若しくは6員シクロアルキル基、5員若しくは6員アリール基であり;
- R22は、-COOM、-SOM、-C(=O)R4、-C(=O)N(R4)(R5)、-C(=O)OR4であり、
M、R4、及びR5は、上で定義した通りである)。このタイプの還元剤は、特に米国特許第11,180,592号明細書に記載されているように、有機ラジカル開始剤と組み合わせて使用される場合に特に有利である。
【0071】
還元剤は、通常、ラジカル開始剤の半減期を短縮し、したがって特により速い反応速度及び/又はより低い温度での重合を可能にすると理解される。
【0072】
重合を停止する工程は、公知の手段に従って行うことができる。例えば、未反応の気体状モノマーを脱気することによって、温度を下げることによって、開始剤のさらなる添加を中断することによって、及び/又はそれらの任意の組み合わせによって行われる。
【0073】
本発明の方法の結果として、フルオロポリマー[ポリマー(F)]のラテックスが得られる。
【0074】
本発明の方法は、フルオロエラストマーの製造に特に適用可能である。「フルオロエラストマー」という表現は、真のエラストマーを得るための基本成分として機能するフルオロポリマー樹脂を指すことが意図されており、前記フルオロポリマー樹脂は、上述した少なくとも1種のフルオロモノマーに由来する繰り返し単位を10重量%超、好ましくは30重量%超含む。
【0075】
真のエラストマーは、ASTMのSpecial Technical Bulletin,No.184規格により、室温で本来の長さの2倍まで伸ばすことができ、5分間張力をかけて保持した後に開放すると同時に最初の長さの10%以内に戻る材料として定義されている。
【0076】
フルオロエラストマーは、一般に、非晶質の生成物であるか、又は結晶化度が低く(結晶相が20体積%未満)、ガラス転移温度(T)が室温未満の生成物である。ほとんどの場合、フルオロエラストマー(A)は、有利には、10℃未満、好ましくは5℃未満、より好ましくは0℃のTを有し、有利には、10J/g未満、好ましくは7J/g未満、より好ましくは5J/g未満の融解熱を有する。
【0077】
本発明の方法から得られる生成物は、フルオロポリマーラテックス、又は言い換えるとフルオロポリマーの水性分散液であり、これは、ポリマー(F)粒子が水性媒体中に安定に分散しており、その結果、分散液が使用される時間内に粒子の沈降が起こらないことを意味する。
【0078】
本発明の目的のためには、「粒子」という用語は、幾何学的観点から、三次元によって特徴付けられる明確な三次元の体積及び形状を有し、前述の寸法のいずれもが、残りの2つの他の寸法の1000%超を超えない材料の塊を示すことが意図されている。通常、粒子は等次元ではない。すなわち粒子は、他の方向よりも一方向で長く、楕円体、棒状、丸石などの様々な形状を含む。
【0079】
本発明の方法から得られる水性分散液又はラテックス中のポリマー(F)の粒子は、少なくとも20nm、好ましくは少なくとも30nm、より好ましくは少なくとも50nm、及び/又は最大450nm、好ましくは最大400nm、最も好ましくは最大350nmの平均粒径を有する。ポリマー(F)の粒子の平均粒径は、Spectra-PhisicsのBrookhaven 2030ATモデル相関器及び波長514.5nmのアルゴンレーザー光源を備えたレーザー光拡散に基づく装置、特に光子相関分光法で測定される。測定されるラテックス試験片は、蒸留水で適切に希釈され、Milliporeフィルターで0.2μmで濾過される。散乱測定は、室温、90°の角度で行われる。ラテックスの粒径はキュムラント法により得られる。
【0080】
水性分散液は、重合工程を終了し、未反応モノマーを排出した後、本発明の方法から直接得られる粗製重合ラテックスであってよく、或いは水性媒体中のポリマー(F)濃度を増加させることを目的とした例えば濃縮法(混濁や限外濾過等)などの後処理によって前記粗製重合ラテックスから得ることもできる。
【0081】
プロセスの最後に、RAFT剤に由来する鎖末端基を除去するために、公知の手順に従ってフルオロポリマーを処理することができる。
【0082】
プロセスの最後に、フルオロポリマーを、ラテックスの水性媒体から固体として単離することができ、或いはラテックスとして、すなわち水性分散液として使用することもできる。この後者の場合、後で分散液を使用する前に残留モノマーはストリッピングされる。
【0083】
フルオロポリマーを水性媒体から単離するための、又はフルオロポリマーラテックスを配合するための、従来の技術を使用することができる。
【0084】
本発明を、以降で以下の実施例に関連してより詳細に説明するが、その目的は例示にすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が、ある用語を不明確にし得る程度にまで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0085】
原材料
以下の原料を実施例において使用した:
ACPA:4,4’-アゾビス-4-シアノペンタン酸(純度>98%、Merck)
CTBPA:4-シアノ-4-チオチオブチルスルファニルペンタン酸(純度=96%、DSK Innosciences)
MAA:メタクリル酸(純度>99%、Merck)
MMA:メチルメタクリレート(Aldrich、純度>99%、Merck)
【0086】
調製実施例1:ポリマー試薬(R)の合成
工程1a:PMAA-TTC mCTA
二重ジャケットと、メカニカルスターラーと、コンデンサーとを備えた0.5Lのガラス製反応器に、353gの脱イオン水、1.54gの4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(ACP)、100gのメタクリル酸(MAA)、及び16.35の4-シアノ-4-チオチオブチルスルファニルペンタン酸(CTBPA)を入れた。反応器を閉じ、混合物に30分間窒素を吹き込むことによって脱酸素した。次いで、反応器内の温度を80℃に上げ、この温度で3時間維持した。その後、混合物を25℃まで冷却し、高分子連鎖移動剤(mCTA)PMAA-TTCの黄色溶液を抜き出した。得られた黄色溶液の固形分を熱重量測定によって測定した。残留MAAの含有量及び分子量は、それぞれHPLC及びGPCによって決定した。
【0087】
反応スキームを以下に示す:
【化18】
【0088】
工程1b:PMAA-PMMA-TTC
二重ジャケットと、メカニカルスターラーと、コンデンサーとを備えた0.5Lのガラス製反応器に、300gの脱イオン水及び80.1gのPMAA-TTC水溶液を入れた。反応器を閉じ、混合物に30分間窒素を吹き込むことによって脱酸素した。次いで、反応器内の温度を30分間で80℃まで上げ、反応器内の温度が80℃に達したときに、7.2gのメチルメタクリレート(MMA)を少しずつ添加した。0.51gのACPと0.58gのNaHCOとを含有する水溶液(40.25g)を少量ずつ添加した。その後、混合物を80℃で2時間維持した。混合物を25℃まで冷却し、黄色の分散液を抜き出した。
【0089】
上で示した通りに分散液の固形分(SC)を熱重量測定により測定し、粒子サイズ(Dz)を動的光散乱(DLS)により測定した(SC=13~14重量%、Dz=12~13nm)。
【0090】
反応スキームを以下に示す:
【化19】
【0091】
実施例2
630RPMで作動するスターラーを備えた、予め脱気した5Lの縦型オートクレーブに、3.0Lの脱塩水を入れた。調製実施例1から得たポリマー試薬(R)30.0g(濃度13.9重量%)を反応器に添加した。オートクレーブを次に80℃に加熱し、反応の全期間にわたりそのような温度に維持した。HFPモノマーを供給することにより、オートクレーブの圧力が10.7bar増加した。圧力が26barになるように、以下のモノマーの気体混合物をオートクレーブに供給した:フッ化ビニリデン(VDF)70.5モル%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)18.5モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)11.0モル%。その後、2.87gのCと0.23gの式CH=CH-(CF-CH=CHのビス-オレフィン(以降ビス-オレフィン)を入れた。最後に、250mLの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液(52g/L)を入れた。重合開始後、VDF/HFP/TFE混合物を連続的に供給して26barの一定の圧力を維持し、合計4.07gのビス-オレフィンを19段階で添加した。約260gのモノマー混合物が転化された時点で、4.5gのCを添加した。1040gのモノマー混合物が転化された時点で、2.46gのCの最終アリコートを入れた。
【0092】
115分後にモノマー全体の消費量が1300gに到達するまで重合を継続した。この時点で撹拌を停止し、オートクレーブを冷却して減圧し、ラテックスを取り出して脱気した。得られた固形分は30.3重量%であった。LLSで測定した平均粒径は209±3nm(PDI=0.06)であった。300mLのラテックスに対して実施した内部安定性試験では、120分後に固形分が初期固形分値よりも5%減少した。これは、ラテックスの安定性が非常に良好であることを示している。Al(SO溶液で凝固させ、90℃のオーブンで乾燥した後、25.1MUのムーニー粘度(1+10@120℃)が得られた。NMRにより決定されたポリマー組成は、68.2モル%のVDF、21.1モル%のHFP、10.7モル%のTFEであった。ポリマー鎖末端もNMRで決定したところ、以下のように定量された:17mmol/Kgの-CFH、3mmol/Kgの-CFCH、27mmol/Kgの-CHI、及び6mmol/Kgの-CHOH。
【0093】
比較例3
630RPMで作動するスターラーを備えた、予め脱気した5Lの縦型オートクレーブに、3.0Lの脱塩水を入れた。オートクレーブを次に80℃に加熱し、反応の全期間にわたりそのような温度に維持した。HFPモノマーを供給することにより、オートクレーブの圧力が10.6bar増加した。圧力が26barになるように、以下のモノマーの気体混合物をオートクレーブに供給した:フッ化ビニリデン(VDF)48.5モル%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)26.5モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)25.0モル%。次いで、1.63gのC及び0.23gのビス-オレフィンを入れた。最後に、40mLのAPS水溶液(25g/L)を入れた。重合開始後、VDF/HFP/TFE混合物を連続的に供給して26barの一定の圧力を維持し、合計4.07gのビス-オレフィンを19段階で添加した。約240gのモノマー混合物が転化された時点で、5.3gのCを添加した。約960gのモノマー混合物が転化された時点で、4.5gのCの最終アリコートを入れた。
【0094】
275分後にモノマー全体の消費量が1200gに到達するまで重合を継続した。この時点で撹拌を停止し、オートクレーブを冷却して減圧し、ラテックスを取り出して脱気した。得られた固形分は24.0重量%であった。LLSで測定した平均粒径は236±7nm(PDI=0.03)であった。300mLのラテックスに対して実施した内部安定性試験では、90分後に固形分が初期固形分値よりも40%減少した。すなわち、ラテックスの安定性が低いことが示された。Al(SO溶液で凝固させ、90℃のオーブンで乾燥した後、33.8MUのムーニー粘度(1+10@120℃)が得られた。NMRにより決定されたポリマー組成は、52.5モル%のVDF、21.9モル%のHFP、25.6モル%のTFEであった。ポリマー鎖末端もNMRで決定したところ、以下のように定量された:5mmol/Kgの-CFH、25mmol/Kgの-CHI、及び5mmol/Kgの-CHOH。
【0095】
比較例4
630RPMで作動するスターラーを備えた、予め脱気した5Lの縦型オートクレーブに、3.0Lの脱塩水を入れた。オートクレーブを次に80℃に加熱し、反応の全期間にわたりそのような温度に維持した。HFPモノマーを供給することにより、オートクレーブの圧力が10.7bar増加した。圧力が26barになるように、以下のモノマーの気体混合物をオートクレーブに供給した:フッ化ビニリデン(VDF)70.5モル%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)18.5モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)11.0モル%。次いで、1.93gのC及び0.21gのビス-オレフィンを入れた。最後に、90mLのAPS水溶液(50g/L)を入れた。重合開始後、VDF/HFP/TFE混合物を連続的に供給して26barの一定の圧力を維持し、合計4.08gのビス-オレフィンを19段階で添加した。約260gのモノマー混合物が転化された時点で、5.79gのCを添加した。約1040gのモノマー混合物が転化された時点で、5.15gのCの最終アリコートを入れた。
【0096】
89分後にモノマー全体の消費量が1300gに到達するまで重合を継続した。この時点で撹拌を停止し、オートクレーブを冷却して減圧し、ラテックスを取り出して脱気した。得られた固形分は31.0重量%であった。LLSで測定した平均粒径は344±8nm(PDI=0.08)であった。300mLのラテックスに対して実施した内部安定性試験では、120分後に固形分が初期固形分値よりも32%減少した。すなわち、ラテックスの安定性が不十分であることが示された。Al(SO溶液で凝固させ、90℃のオーブンで乾燥した後、29.3MUのムーニー粘度(1+10@120℃)が得られた。NMRにより決定されたポリマー組成は、68.8モル%のVDF、20.1モル%のHFP、11.1モル%のTFEであった。ポリマー鎖末端もNMRで決定したところ、以下のように定量された:17mmol/Kgの-CFH、24mmol/Kgの-CHI、3mmol/Kgの-CFCH、及び4mmol/Kgの-CHOH。
【0097】
比較例5
500RPMで作動するスターラーを備えた、予め脱気した22Lの縦型オートクレーブに、11.0Lの脱塩水を入れた。オートクレーブを次に80℃に加熱し、反応の全期間にわたりそのような温度に維持した。HFPモノマーを供給することにより、オートクレーブの圧力が10.7bar増加した。圧力が26barになるように、以下のモノマーの気体混合物をオートクレーブに供給した:フッ化ビニリデン(VDF)70.5モル%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)18.5モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)11.0モル%。次いで、8.15gのC及び0.92gのビスオレフィンを入れた。次いで、50mLのAPS水溶液(20g/L)を入れた。t-BHPの水溶液(7.0g/L)及びBruggolite E28の水溶液(2.0g/L)を、公称流量92mL/h及び795mL/hでそれぞれ反応器に別々にであるが同時に導入した。それらの供給は反応を通じて一定に保った。重合開始後、VDF/HFP/TFE混合物を連続的に供給して26bar一定の圧力を維持し、合計17.4gのビス-オレフィンを19段階で添加した。1104gのモノマー混合物が転化された時点で、24.0gのCを添加した。4416gのモノマー混合物が転化された時点で、21.9gのCI2の最終アリコートを入れた。
【0098】
218分後にモノマー全体の消費量が5520gに到達するまで重合を継続し、合計375mLのt-BHP溶液と2955mLのBruggolite E28溶液を添加した。この時点で撹拌を停止し、オートクレーブを冷却して減圧し、ラテックスを取り出して脱気した。得られた固形分は29.6重量%であった。LLSで測定した平均粒径は398±5nm(PDI=0.05)であった。このラテックスを脱塩水で固形分20%まで希釈し、300mLの希釈ラテックスを用いて内部安定性試験を行ったところ、120分後の固形分は初期固形分値よりも53%減少していた。すなわちラテックスの安定性は不十分であった。Al(SO溶液で凝固させ、90℃のオーブンで乾燥した後、19MUのムーニー粘度(1+10@120℃)が得られた。NMRにより決定されたポリマー組成は、69.2モル%のVDF、19.3モル%のHFP、11.5モル%のTFEであった。ポリマー鎖末端もNMRで決定したところ、以下のように定量された:13mmol/Kgの-CFH、33mmol/Kgの-CHI、3mmol/Kgの-CFCH、及び1mmol/Kg未満の-CHOH。
【0099】
実施例2
500RPMで作動するスターラーを備えた、予め脱気した22Lの縦型オートクレーブに、12.5Lの脱塩水を入れた。43gの種分散液(濃度13.9重量%)を反応器に添加した。オートクレーブを次に80℃に加熱し、反応の全期間にわたりそのような温度に維持した。HFPモノマーを供給することにより、オートクレーブの圧力が10.7bar増加した。圧力が26barになるように、以下のモノマーの気体混合物をオートクレーブに供給した:フッ化ビニリデン(VDF)70.5モル%、ヘキサフルオロプロペン(HFP)18.5モル%、テトラフルオロエチレン(TFE)11.0モル%。次いで、8.75gのCを入れた。その後、50mLのAPS水溶液(20g/L)を入れた。最後に、t-BHPの水溶液(9.5g/L)及びBruggolite E28の水溶液(23.6g/L)を、公称流量75mL/hで反応器に別々にであるが同時に導入した。それぞれの供給は反応を通じて一定に保った。重合開始後、VDF/HFP/TFE混合物を連続的に供給して26bar一定の圧力を維持し、合計19.9gのビス-オレフィンを20段階で添加した。1200gのモノマー混合物が転化された時点で、26.2gのCを添加した。4800gのモノマー混合物が転化された時点で、23.3gのCの最終アリコートを入れた。
【0100】
373分後にモノマー全体の消費量が6000gに到達するまで重合を継続し、合計455mLのt-BHP溶液と455mLのBruggolite E28溶液を添加した。この時点で撹拌を停止し、オートクレーブを冷却して減圧し、ラテックスを取り出して脱気した。得られた固形分は32.0重量%であった。LLSで測定した平均粒径は251±8nm(PDI=0.05)であった。このラテックスを脱塩水で固形分20%まで希釈し、300mLの希釈ラテックスを用いて内部安定性試験を行ったところ、120分後の固形分は初期固形分値よりも17%減少していた。これは比較的良好なラテックス安定性であると考えられる。Al(SO溶液で凝固させ、90℃のオーブンで乾燥した後、26MUのムーニー粘度(1+10@120℃)が得られた。NMRにより決定されたポリマー組成は、69.5モル%のVDF、19.0モル%のHFP、11.4モル%のTFEであった。ポリマー鎖末端もNMRで決定したところ、以下のように定量された:13mmol/Kgの-CFH、29mmol/Kgの-CHI、2mmol/Kgの-CFCH、及び1mmol/Kg未満の-CHOH。
【国際調査報告】