(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-27
(54)【発明の名称】キシリトール結晶の製造システム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 9/02 20060101AFI20241220BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20241220BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20241220BHJP
C07C 29/78 20060101ALI20241220BHJP
C07C 31/18 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B01D9/02 602C
B01D9/02 601G
B01D9/02 606
B01D9/02 610Z
B01D9/02 605
B01D9/02 615A
B01D9/02 619Z
B01D9/02 608A
B01D9/02 603B
B01D9/02 617
B01D9/02 616
B01D61/04
B01D61/02 500
B01D9/02 609A
B01D9/02 612
B01D9/02 618A
B01D9/02 622
C07C29/78
C07C31/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535672
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2023096364
(87)【国際公開番号】W WO2024119731
(87)【国際公開日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】202211567511.2
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 強
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】楊 武龍
(72)【発明者】
【氏名】万 富安
(72)【発明者】
【氏名】徐 偉冬
(72)【発明者】
【氏名】秦 淑芳
(72)【発明者】
【氏名】岳 航
(72)【発明者】
【氏名】王 偉佳
【テーマコード(参考)】
4D006
4H006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006KA02
4D006KA72
4D006KB11
4D006KB20
4D006KB30
4D006MC88
4D006PA02
4D006PB70
4D006PC11
4H006AA02
4H006AD15
4H006AD17
4H006AD32
4H006BB31
4H006BC51
4H006BD10
4H006BD33
4H006BD51
4H006BD84
4H006FE11
4H006FG50
(57)【要約】
本発明は、キシリトール結晶の製造システム及び製造方法に関する。製造システムは、調合タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、ナノ濾過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、熱風乾燥タンク、第1流動乾燥床、一次母液貯蔵タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、第2流動乾燥床、2回結晶化糖溶解タンク、二次母液貯蔵タンク、第3蒸発器、第3結晶化釜、第3遠心分離機、第3流動乾燥床、及び3回結晶化糖溶解タンクを含み、第1遠心分離機は一次母液貯蔵タンクに連通し、第2遠心分離機は二次母液貯蔵タンクに連通し、2回結晶化糖溶解タンクは調合タンクに連通し、3回結晶化糖溶解タンクは一次母液貯蔵タンクに連通し、調合タンクにはキシリトール結晶を製造するために使用されるキシリトール水素化液原料が貯蔵されており、第1流動乾燥床の排出口からの排出物がキシリトール結晶完成品である。本発明は、キシリトール結晶の粒度を向上させ、キシリトール結晶が固結するまでの時間を延ばす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシリトール結晶の製造システムであって、
配管を介して順次連通している、調合タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、ナノ濾過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、熱風乾燥タンク、及び第1流動乾燥床を含み、
配管を介して順次連通している、一次母液貯蔵タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、第2流動乾燥床、及び2回結晶化糖溶解タンクをさらに含み、
配管を介して順次連通している、二次母液貯蔵タンク、第3蒸発器、第3結晶化釜、第3遠心分離機、第3流動乾燥床、及び3回結晶化糖溶解タンクを含み、
第1遠心分離機の固形物排出口は配管を介して熱風乾燥タンクの供給口に連通し、第1遠心分離機の液状物排出口は配管を介して一次母液貯蔵タンクの1つの供給口に連通し、第2遠心分離機の固形物排出口は配管を介して第2流動乾燥床の供給口に連通し、第2遠心分離機の液状物排出口は配管を介して二次母液貯蔵タンクの供給口に連通し、
2回結晶化糖溶解タンクには精製水の給水口が設けられ、2回結晶化糖溶解タンクには、配管を介して調合タンクの1つの供給口に連通する排出口も設けられ、
3回結晶化糖溶解タンクにも、精製水の給水口が設けられ、3回結晶化糖溶解タンクには、配管を介して一次母液貯蔵タンクの1つの供給口に連通する排出口がさらに設けられ、調合タンクには水素化液の供給管がさらに設けられ、調合タンクには、キシリトール結晶を製造するために使用されるキシリトール水素化液原料が貯蔵されており、調合タンクは、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶解タンクから送られてきた2回結晶化糖溶液とを均一に混合したものであり、
第1流動乾燥床の排出口からの排出物がキシリトール結晶完成品である、ことを特徴とするキシリトール結晶の製造システム。
【請求項2】
液体キシリトール貯蔵タンクをさらに含み、前記第3遠心分離機の1つの排出口は配管を介して液体キシリトール貯蔵タンクの1つの供給口に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載のキシリトール結晶の製造システム。
【請求項3】
キシリトール結晶の製造方法であって、
請求項1又は2に記載のキシリトール結晶の製造システムを使用しており、
調合タンク1において、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶液とを一定の割合で調合し、その後、脱色タンクによる脱色処理、イオン交換カラムによる不純物除去処理、ナノ濾過システムによる濾過処理及び第1蒸発器による蒸発濃縮処理を順次行い、屈折率78~82%、温度90~100℃、導電率<20μs/cmのキシリトール濃縮液を得るステップ1と、
配管を介してキシリトール濃縮液を第1結晶化釜に入れ、具体的には、まず、第1結晶化釜に一定量の初期キシリトール濃縮液を導入して、第1結晶化釜の真空度を-0.095MPaに制御して、温度を65℃に保ち、第1結晶化釜で結晶の析出が始まるとキシリトール種結晶を適量加えて起晶を刺激するとともに、第1結晶化釜に一定量のキシリトール濃縮液を補充し、撹拌しながら7~12h結晶化し、結晶化の最後に、蒸気を導入して、系の温度を66~68℃に上昇して所定時間保温し、キシリトール糖ぺーストを得るステップ2であって、出発液体原料と補充液体原料との割合は1:0.8~1.5であり、撹拌速度は可変速度に設定され、キシリトール種結晶を加えるタイミングは第1結晶化釜の覗き窓から粒子数<50が観察された時間点とされ、結晶化の最後の升温後の保温時間は0.5~2.0hである、ステップと、
ステップ2で得たキシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機で分離し、結晶キシリトール及び一次母液をそれぞれ得て、配管を介して一次母液を一次母液貯蔵タンクに入れて仮貯蔵し、結晶キシリトールを熱風乾燥タンクで乾燥し、第1流動乾燥床で冷風乾燥し、キシリトール結晶完成品を得て、一次母液に対して第2蒸発器による濃縮処理、第2結晶化釜による結晶化処理、第2遠心分離機による遠心処理を順次施して、2回結晶化糖及び二次母液をそれぞれ得、配管を介して二次母液を二次母液貯蔵タンクに入れて仮貯蔵し、2回結晶化糖を第2流動乾燥床で乾燥してから、2回結晶化糖溶解タンクに入れて溶解し、精製水を加えて2回結晶化糖を溶解し、2回結晶化糖溶液を得て、配管を介して2回結晶化糖溶液を調合タンクに入れて、キシリトール水素化液原料と混合して調合する、ステップ3と、
ステップ2で得られた二次母液に対して第3蒸発器による濃縮処理、第3結晶化釜による結晶化処理、第3遠心分離機による遠心処理を施して、3回結晶化糖及び三次母液をそれぞれ得、3回結晶化糖を第3流動乾燥床で乾燥してから3回結晶化糖溶解タンクに入れて溶解し、精製水を加えて3回結晶化糖を溶解し、3回結晶化糖溶液を得て、配管を介して3回結晶化糖溶液を一次母液貯蔵タンクに入れて、一次母液と調合し、回収して再利用し、三次母液を液体キシリトールとして貯蔵するステップ4と、を含む、ことを特徴とするキシリトール結晶の製造方法。
【請求項4】
ステップ1では、ナノ濾過システムのナノ濾過膜のサイズが300~800Daである、ことを特徴とする請求項3に記載のキシリトール結晶の製造方法。
【請求項5】
ステップ2では、第1結晶化釜は真空蒸発結晶化釜であり、速度可変撹拌プロセスでは、回転数は90rpmから徐々に10rpmに低下し、第1結晶化釜の覗き窓のサイズは1cm
2であり、覗き窓中のキシリトール結晶の粒子数は、10×10倍顕微鏡で観察され、キシリトール種結晶は、系の起晶を刺激するために添加され、種結晶の添加割合は0.0004~0.0008%であり、種結晶の粒度は80~100メッシュである、ことを特徴とする請求項1に記載のキシリトール結晶の製造システム及び製造方法。
【請求項6】
ステップ2では、キシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機で分離した後、濃度80~100%のエタノール溶液をスプレーして5~10s洗浄し、結晶キシリトール中の水分を最大限に除去する、ことを特徴とする請求項1に記載のキシリトール結晶の製造方法。
【請求項7】
ステップ3では、熱風乾燥タンクの熱風の温度は75~85℃とする、ことを特徴とする請求項1に記載のキシリトール結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシリトール製造の技術分野に属し、特にキシリトール結晶の製造システム及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキシリトール生産技術は、トウモロコシの芯軸を原料として、加水分解、水素化、脱色、イオン交換、濃縮、結晶化、遠心分離及び乾燥などのステップを経てキシリトール結晶を得るものであり、その中で、結晶化工程は、キシリトール製品の品質と収率を決定する鍵であり、結晶製品の形態、純度、スタック密度、粒度分布及び固結性などに対して決定の役割を果たしている。
【0003】
キシリトール結晶化過程の動力は、主に結晶系の熱力学上の非平衡特性によるものであり、溶解度、準安定領域及び誘導期などの結晶熱力学的性質は結晶化方式の選択と結晶収率に比較的に大きな影響を与える。現在、工業上でよく使われる結晶化方式は蒸発結晶と降温結晶があり、キシリトールの結晶化過程に対して、その溶解度が大きいため、蒸発結晶と降温結晶はいずれも広く応用されている。
【0004】
しかし、蒸発結晶か降温結晶かを問わず、プロセスの操作パラメーターの不合理さ、あるいは経験による種結晶の添加のため、種結晶の添加タイミングに対する理論と事実の根拠が不足して降り、その結果として、キシリトール結晶化工程に時間がかかり、二次核形成現象が深刻で、微粉末の割合が比較的に高く、しかも異なるロット間の製品の差異が比較的に大きく、結晶化過程が不安定で、最終的にキシリトール製品に固結が発生しやすい。例えば、公開番号CN1736970Aの特許は、キシリトールの精製結晶化方法を開示しており、結晶化過程における回転数、種結晶量、種結晶粒度、降温速度等の要素を最適化することにより、粒度が集中的に調整可能なキシリトール結晶を得たが、実際の生産上では種結晶添加量を3~6%にすることができず、それにより、このプロセスの生産への応用が制限されている。また、例えば、公開番号CN102731252Aの特許は、キシリトール又はマルチトールの結晶化方法を開示しており、結晶化過程に少量の固結防止剤を加えることで、結晶の固結現象を効果的に緩和したが、固結防止剤の添加が製品の品質に影響を与えるか否かは不明であり、関連規格においても固結防止剤を添加する方法の採用は認められていない。
【0005】
そのため、工業化の実施可能性の点から、結晶化プロセスのパラメーターを最適化することによって、二次核形成現象を減少し、製品の粒度分布を制御することは、キシリトール結晶の固結を回避あるいは緩和する重要な措置の1つとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、キシリトール結晶完成品の粒度を向上させ、キシリトール結晶完成品の固結周期を延ばすことができる、キシリトール結晶の製造システム及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のように達成される。キシリトール結晶の製造システムであって、
配管を介して順次連通している、調合タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、ナノ濾過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、熱風乾燥タンク、及び第1流動乾燥床を含み、配管を介して順次連通している、一次母液貯蔵タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、第2流動乾燥床、及び2回結晶化糖溶解タンクをさらに含み、配管を介して順次連通している、二次母液貯蔵タンク、第3蒸発器、第3結晶化釜、第3遠心分離機、第3流動乾燥床、及び3回結晶化糖溶解タンクを含み、第1遠心分離機の固形物排出口は配管を介して熱風乾燥タンクの供給口に連通し、第1遠心分離機の液状物排出口は配管を介して一次母液貯蔵タンクの1つの供給口に連通し、第2遠心分離機の固形物排出口は配管を介して第2流動乾燥床の供給口に連通し、第2遠心分離機の液状物排出口は配管を介して二次母液貯蔵タンクの供給口に連通し、2回結晶化糖溶解タンクには精製水の給水口が設けられ、2回結晶化糖溶解タンクには、配管を介して調合タンクの1つの供給口に連通する排出口も設けられ、3回結晶化糖溶解タンクにも、精製水の給水口が設けられ、3回結晶化糖溶解タンクには、配管を介して一次母液貯蔵タンクの1つの供給口に連通する排出口がさらに設けられ、調合タンクには水素化液の供給管がさらに設けられ、調合タンクには、キシリトール結晶を製造するために使用されるキシリトール水素化液原料が貯蔵されており、調合タンクは、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶解タンクから送られてきた2回結晶化糖溶液とを均一に混合したものであり、第1流動乾燥床の排出口からの排出物がキシリトール結晶完成品である、キシリトール結晶の製造システムを提供する。
【0008】
さらに、前記製造システムは、液体キシリトール貯蔵タンクをさらに含み、前記第3遠心分離機の1つの排出口は配管を介して液体キシリトール貯蔵タンクの1つの供給口に連通する。
【0009】
本発明は、以下のように達成される。キシリトール結晶の製造方法であって、
前記キシリトール結晶の製造システムを使用しており、
調合タンク1において、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶液とを一定の割合で調合し、その後、脱色タンクによる脱色処理、イオン交換カラムによる不純物除去処理、ナノ濾過システムによる濾過処理及び第1蒸発器による蒸発濃縮処理を順次行い、屈折率78~82%、温度90~100℃、導電率<20μs/cmのキシリトール濃縮液を得るステップ1と、
配管を介してキシリトール濃縮液を第1結晶化釜に入れ、具体的には、まず、第1結晶化釜に一定量の初期キシリトール濃縮液を導入して、第1結晶化釜の真空度を-0.095MPaに制御して、温度を65℃に保ち、第1結晶化釜で結晶の析出が始まるとキシリトール種結晶を適量加えて起晶を刺激するとともに、第1結晶化釜に一定量のキシリトール濃縮液を補充し、撹拌しながら7~12h結晶化し、結晶化の最後に、蒸気を導入して、系の温度を66~68℃に上昇して所定時間保温し、キシリトール糖ぺーストを得るステップ2であって、出発液体原料と補充液体原料との割合は1:0.8~1.5であり、撹拌速度は可変速度に設定され、キシリトール種結晶を加えるタイミングは第1結晶化釜の覗き窓から粒子数<50が観察された時間点とされ、結晶化の最後の升温後の保温時間は0.5~2.0hである、ステップと、
ステップ2で得たキシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機で分離し、結晶キシリトール及び一次母液をそれぞれ得て、配管を介して一次母液を一次母液貯蔵タンクに入れて仮貯蔵し、結晶キシリトールを熱風乾燥タンクで乾燥し、第1流動乾燥床で冷風乾燥し、キシリトール結晶完成品を得て、一次母液に対して第2蒸発器による濃縮処理、第2結晶化釜による結晶化処理、第2遠心分離機による遠心処理を順次施して、2回結晶化糖及び二次母液をそれぞれ得、配管を介して二次母液を二次母液貯蔵タンクに入れて仮貯蔵し、2回結晶化糖を第2流動乾燥床で乾燥してから、2回結晶化糖溶解タンクに入れて溶解し、精製水を加えて2回結晶化糖を溶解し、2回結晶化糖溶液を得て、配管を介して2回結晶化糖溶液を調合タンクに入れて、キシリトール水素化液原料と混合して調合する、ステップ3と、
ステップ2で得られた二次母液に対して第3蒸発器による濃縮処理、第3結晶化釜による結晶化処理、第3遠心分離機による遠心処理を施して、3回結晶化糖及び三次母液をそれぞれ得、3回結晶化糖を第3流動乾燥床で乾燥してから3回結晶化糖溶解タンクに入れて溶解し、精製水を加えて3回結晶化糖を溶解し、3回結晶化糖溶液を得て、配管を介して3回結晶化糖溶液を一次母液貯蔵タンクに入れて、一次母液と調合し、回収して再利用し、三次母液を液体キシリトールとして貯蔵するステップ4と、を含む、ことを特徴とするキシリトール結晶の製造方法をさらに提供する。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比べて、本発明のキシリトール結晶の製造システム及び製造方法は、以下の特徴を有する。粒子径がより大きく、粒度分布がより集中しているキシリトール結晶を製造することができ、製造されたキシリトール結晶では、30メッシュ以上のキシリトール粒子の割合は30%以上向上する。また、小包装サンプルの結果、キシリトール結晶完成品の固結周期が45日間から100日間以上に延長する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のキシリトール結晶の製造システムの好適な実施例の原理模式図である。
【
図2】各実施例及び比較例で製造されたキシリトール結晶の粒度分布の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確かつ明瞭にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0013】
図1に示すように、本発明のキシリトール結晶の製造システムの好適な実施例は、配管を介して順次連通している、調合タンク1、脱色タンク2、イオン交換カラム3、ナノ濾過システム4、第1蒸発器5、第1結晶化釜6、第1遠心分離機7、熱風乾燥タンク8、及び第1流動乾燥床9を含み、配管を介して順次連通している、一次母液貯蔵タンク10、第2蒸発器11、第2結晶化釜12、第2遠心分離機13、第2流動乾燥床14、及び2回結晶化糖溶解タンク15をさらに含み、配管を介して順次連通している、二次母液貯蔵タンク16、第3蒸発器17、第3結晶化釜18、第3遠心分離機19、第3流動乾燥床20、及び3回結晶化糖溶解タンク21をさらに含む。図における矢印に示される方向はシステムにおける材料の流動方向を示すものである。
【0014】
ここで、第1遠心分離機7の固形物排出口は配管を介して熱風乾燥タンク8の供給口に連通し、第1遠心分離機7の液状物排出口は配管を介して一次母液貯蔵タンク10の1つの供給口に連通する。第2遠心分離機13の固形物排出口は配管を介して第2流動乾燥床14の供給口に連通する、第2遠心分離機13の液状物排出口は配管を介して二次母液貯蔵タンク16の供給口に連通する。2回結晶化糖溶解タンク15には精製水の給水口が設けられ、2回結晶化糖溶解タンク15には、配管を介して調合タンク1の1つの供給口に連通する排出口が設けられる。3回結晶化糖溶解タンク21にも、精製水の給水口が設けられ、3回結晶化糖溶解タンク21には、配管を介して一次母液貯蔵タンク10の1つの供給口に連通する排出口がさらに設けられる。調合タンク1には水素化液の供給管がさらに設けられ、調合タンク1には、キシリトール結晶を製造するために使用されるキシリトール水素化液原料が貯蔵されており、調合タンク1は、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶解タンク15から送られてきた2回結晶化糖溶液とを均一に混合したものである。第1流動乾燥床9の排出口からの排出物がキシリトール結晶完成品である。
【0015】
前記製造システムは液体キシリトール貯蔵タンク22をさらに含み、前記第3遠心分離機19の1つの排出口は配管を介して液体キシリトール貯蔵タンク22の1つの供給口に連通する。
【0016】
また、
図1に示すように、本発明は、キシリトール結晶の製造方法をさらに開示し、前記製造方法は、前記キシリトール結晶の製造システムを使用しており、前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0017】
ステップ1:調合タンク1において、キシリトール水素化液原料と2回結晶化糖溶液とを一定の割合で調合し、その後、脱色タンク2による脱色処理、イオン交換カラム3による不純物除去処理、ナノ濾過システム4による濾過処理及び第1蒸発器5による蒸発濃縮処理を順次行い、78~82%、温度90~100℃、導電率<20μs/cmのキシリトール濃縮液を得る。
【0018】
ステップ2:配管を介してキシリトール濃縮液を第1結晶化釜6に入れ、具体的には、まず、第1結晶化釜6に一定量の初期キシリトール濃縮液を導入して、第1結晶化釜6の真空度を-0.095MPaに制御して、温度を65℃に保ち、第1結晶化釜6で結晶の析出が始まるとキシリトール種結晶を適量加えて起晶を刺激すると、第1結晶化釜6に一定量のキシリトール濃縮液を補充し、撹拌しながら7~12h結晶化し、結晶化の最後に、蒸気を導入して、系の温度を66~68℃に上昇して所定時間保温し、キシリトール糖ぺーストを得る。このステップでは、出発液体原料と補充液体原料との割合は1:0.8~1.5であり、撹拌速度は可変速度に設定され、キシリトール種結晶を加えるタイミングは第1結晶化釜6の覗き窓から粒子数<50が観察された時間点とされ、結晶化の最後の升温後の保温時間は0.5~2.0hである。
【0019】
ステップ3:ステップ2で得たキシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機7で分離し、結晶キシリトール及び一次母液をそれぞれ得て、配管を介して一次母液を一次母液貯蔵タンク10に入れて仮貯蔵し、結晶キシリトールを熱風乾燥タンク8で乾燥し、第1流動乾燥床9で冷風乾燥し、キシリトール結晶完成品を得る。一次母液に対して第2蒸発器11による濃縮処理、第2結晶化釜12による結晶化処理、第2遠心分離機13による遠心処理を順次程して、2回結晶化糖及び二次母液をそれぞれ得、配管を介して二次母液を二次母液貯蔵タンク16に入れて仮貯蔵する。2回結晶化糖を第2流動乾燥床14で乾燥してから、2回結晶化糖溶解タンク15に入れて溶解し、精製水を加えて2回結晶化糖を溶解し、2回結晶化糖溶液を得て、配管を介して2回結晶化糖溶液を調合タンク1に入れて、キシリトール水素化液原料と混合して調合する。
【0020】
ステップ4:ステップ2で得られた二次母液に対して第3蒸発器17による濃縮処理、第3結晶化釜18による結晶化処理、第3遠心分離機19による遠心処理を施して、3回結晶化糖及び三次母液をそれぞれ得る。3回結晶化糖を第3流動乾燥床20で乾燥してから3回結晶化糖溶解タンク21に入れて溶解し、精製水を加えて3回結晶化糖を溶解し、3回結晶化糖溶液を得て、配管を介して3回結晶化糖溶液を一次母液貯蔵タンク10に入れて、一次母液と調合し、回収して再利用し、三次母液を液体キシリトールとして貯蔵する。
【0021】
ステップ1では、ナノ濾過システム4のナノ濾過膜のサイズが300~800Daである。
【0022】
ステップ2では、第1結晶化釜6は真空蒸発結晶化釜であり、速度可変撹拌プロセスでは、回転数は90rpmから徐々に10rpmに低下し、第1結晶化釜6の覗き窓のサイズは1cm2であり、覗き窓中のキシリトール結晶の粒子数は、10×10倍顕微鏡で観察され、キシリトール種結晶は、系の起晶を刺激するために添加され、種結晶の添加割合は0.0004~0.0008%であり、種結晶の粒度は80~100メッシュである。
【0023】
ステップ2では、キシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機7で分離した後、濃度80~100%のエタノール溶液をスプレーして5~10s洗浄し、結晶キシリトール中の水分を最大限に除去する。
【0024】
ステップ3では、熱風乾燥タンク8の熱風の温度は75~85℃とする。
【0025】
以下、特定の実施例によって本発明のキシリトール結晶の製造システムをさらに説明する。
実施例1
【0026】
本発明のキシリトール結晶の製造方法の第1実施例は、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ11:キシリトール水素化液と2回結晶化糖溶液とを一定の割合で調合し、その後、脱色タンク2による活性炭脱色処理、イオン交換カラム3によるイオン交換処理、400Daナノ濾過膜システム4及び第1蒸発器5による処理を順次行い、屈折率79%、温度95℃、導電率1.958μs/cmのキシリトール濃縮液を得た。
【0028】
ステップ12:まず、第1結晶化釜6にキシリトール濃縮液10トンを導入し、-0.095MPaでさらに濃縮し、系が約65℃に降温して、第1結晶化釜6の覗き窓で20個の微細結晶粒が観察されたときに、0.0005%のキシリトール種結晶を加えて起晶を刺激するとともに、結晶タンクにキシリトール濃縮液10トンを補充し、系を-0.095MPaに維持し、65℃を一定に保ち、90rpmを初期回転数として結晶を速度変化可能に撹拌した。7h結晶化後、蒸気を導入して、系の温度を67℃に上昇して、その後、67℃保温して結晶化を0.5h持続し、キシリトール糖ぺーストを得た。
【0029】
ステップ13:得たキシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機7で分離し、結晶キシリトール8.7トン及び一次母液10.5トンを得て、結晶キシリトールを熱風乾燥タンク8により80℃の熱風で乾燥し、第1流動乾燥床9により冷風で乾燥し、キシリトール結晶完成品を得た。一次母液を第2蒸発器11で濃縮した後、さらに第2結晶化釜12により-0.095MPa、65℃で結晶化し、第2遠心分離機13で遠心分離し、2回結晶化糖及び二次母液をそれぞれ得た。2回結晶化糖を第2流動乾燥床14で乾燥してから、2回結晶化糖溶解タンク15に入れて2回結晶化糖溶液として溶解し、調合タンク1に送ってキシリトール水素化液と調合した。二次母液に対して第3蒸発器17による濃縮処理、第3結晶化釜18による結晶化処理、第3遠心分離機19による遠心処理を順次施して、3回結晶化糖及び三次母液をそれぞれ得た。三次母液を液体キシリトール貯蔵タンク22に貯蔵した。3回結晶化糖を第3流動乾燥床20で乾燥してから、3回結晶化糖溶解タンク21に入れて溶解し、3回結晶化糖溶液を得て、配管を介して3回結晶化糖溶液を一次母液貯蔵タンク10に入れて、一次母液と調合し、回収して再利用した。
【0030】
製造したキシリトール結晶完成品を選別し、得たキシリトール結晶完成品の粒度分布を以下の表1に示す。
【0031】
【0032】
実施例1で製造されたキシリトール結晶の小包装サンプルについて固結周期を実際に測定した結果、105日間であった。
実施例2
【0033】
本発明のキシリトール結晶の製造方法の第2実施例は、以下のステップを含む。
【0034】
ステップ21:キシリトール水素化液と2回結晶化糖溶液とを一定の割合で調合し、その後、脱色タンク2による活性炭脱色処理、イオン交換カラム3によるイオン交換処理、400Daナノ濾過膜システム4及び第1蒸発器5による処理を順次行い、屈折率80%、温度95℃、導電率1.744μs/cmのキシリトール濃縮液を得た。
【0035】
ステップ22:まず、第1結晶化釜6にキシリトール濃縮液10トンを導入し、-0.095MPaでさらに濃縮し、系が約65℃に降温して、第1結晶化釜6の覗き窓で25個の微細結晶粒が観察されたときに、0.0005%のキシリトール種結晶を加えて起晶を刺激するとともに、結晶タンクにキシリトール濃縮液10トンを補充し、系を-0.095MPaに維持し、65℃を一定に保ち、90rpmを初期回転数として結晶を速度変化可能に撹拌した。8h結晶化後、蒸気を導入して、系の温度を66.5℃に上昇し、その後、66.5℃で保温して結晶化を0.8h持続し、キシリトール糖ぺーストを得た。
【0036】
ステップ23:得たキシリトール糖ぺーストを第1遠心分離機7で分離し、結晶キシリトール8.6トン及び一次母液10.6トンを得て、結晶キシリトールを熱風乾燥タンク8により80℃の熱風で乾燥し、第1流動乾燥床9により冷風で乾燥し、キシリトール結晶完成品を得た。一次母液を第2蒸発器11で濃縮した後、さらに第2結晶化釜12により-0.095MPa、65℃で結晶化し、さらに第2遠心分離機13で遠心分離し、2回結晶化糖及び二次母液をそれぞれ得た。2回結晶化糖を第2流動乾燥床14で乾燥してから、2回結晶化糖溶解タンク15に入れて2回結晶化糖溶液として溶解し、調合タンク1に送ってキシリトール水素化液と調合した。二次母液に対して第3蒸発器17による濃縮処理、第3結晶化釜18による結晶化処理、第3遠心分離機19による遠心処理を順次施して、3回結晶化糖及び三次母液をそれぞれ得た。三次母液を液体キシリトール貯蔵タンク22に貯蔵した。3回結晶化糖を第3流動乾燥床20で乾燥してから、3回結晶化糖溶解タンク21に入れて溶解し、3回結晶化糖溶液を得て、配管を介して3回結晶化糖溶液を一次母液貯蔵タンク10に入れて、一次母液と調合し、回収して再利用した。
【0037】
製造したキシリトール結晶完成品を選別し、得たキシリトール結晶完成品の粒度分布を以下の表2に示す。
【0038】
【0039】
実施例2製造されたキシリトール結晶の小包装サンプルについて固結周期を実際に測定した結果、112日間であった。
【0040】
本発明による有益な效果をよりよく説明するために、以下、比較例をさらに説明する。
比較例
【0041】
本発明の比較例は、以下のステップを含む。
【0042】
ステップ31:キシリトール水素化液と一次遠心母液とを一定の割合で直接調合し、その後、活性炭脱色、イオン交換及び三重効用蒸発を順次行い、屈折率80.5%、温度95℃、導電率2.063μs/cmのキシリトール濃縮液を得た。
【0043】
ステップ32:まず、結晶タンクにキシリトール濃縮液7トンを導入し、-0.095MPaでさらに濃縮し、系が約65℃に降温して、結晶タンクの覗き窓で大量の微細結晶粒(>50)が観察到されたときに、0.0005%のキシリトール種結晶を加えて起晶を刺激するとともに、結晶タンクにキシリトール濃縮液13トンを補充し、系を-0.095MPaに維持し、65℃を一定に保ち、90rpmの一定の速度で8h撹拌して結晶化し、キシリトール糖ぺーストを得た。
【0044】
ステップ33:得たキシリトール糖ぺーストを高速遠心分離機で分離し、キシリトール結晶8.8トン及び一次遠心母液10.2トンを得て、キシリトール結晶を88℃の熱風で乾燥し、冷風で乾燥し、キシリトール完成品を得た。一次遠心母液をそのまま回収して水素化液調合ステップに再利用した。
【0045】
製造したキシリトール結晶完成品を選別し、得たキシリトール結晶完成品の粒度分布を以下の表3に示す。
【0046】
【0047】
比較例で製造されたキシリトール結晶の小包装サンプルについて固結周期を実際に測定した結果、45日間であった。
【0048】
比較例と比べて、実施例1及び実施例2では、キシリトール母液の回収再利用を省略し、ナノ濾過システムによる低分子量の不純物除去を追加することによって、結晶プロセスを最適化する。遠心過程にはアルコール洗浄などの方法が使用されることにより、粒子がより大きく、粒度分布がより狭いキシリトール結晶完成品が得られ、しかも、キシリトール結晶完成品の固結周期が顕著に改善された。比較データを表4及び
図2に示す。
【0049】
【0050】
上記の表から、30メッシュ以上の割合の比較項目では、実施例1のキシリトール結晶完成品は比較例よりも40%高く、実施例2のキシリトール結晶完成品は比較例よりも36%高いことは明らかにあった。また、実施例1及び実施例2のキシリトール結晶完成品は、固結周期が比較例よりも明らかに延長した。
【0051】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内で行われたあらゆる修正、同等の置換、改良等は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】