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特表2025-500076液体-固体接着仕事量を決定するための方法および装置
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  • 特表-液体-固体接着仕事量を決定するための方法および装置 図1
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  • 特表-液体-固体接着仕事量を決定するための方法および装置 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-08
(54)【発明の名称】液体-固体接着仕事量を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 13/00 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
G01N13/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531201
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 HU2022050083
(87)【国際公開番号】W WO2023094846
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P2100405
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524193772
【氏名又は名称】フン-レン エネルギアトゥドマーニ クタトーケズポント
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナギー,ノルベルト
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、液体-固体接着仕事量を決定するための方法であって、その最中に、測定要素の周辺円形縁部を有する端部と試験される固体表面との間の流体媒体内の液体円筒対称毛細管ブリッジに関連して、毛細管ブリッジに対して円筒対称保持修正を実行することにより、毛細管ブリッジおよび流体媒体、ならびに毛細管ブリッジおよび試験される表面の界面面積の変化を決定すること(S110a)、毛細管力を決定すること(S100)により、それに対応する総機械仕事量を決定すること(S110b)、円筒対称保持修正のために、界面面積変化、総機械仕事量、および液体-流体界面張力に基づいて、固体-液体界面張力および固体-流体界面張力の差分値を決定し(S120)、それを液体-流体界面張力から減算することにより、液体-固体接着仕事量を決定する(S130)。本発明は、さらに、液体-固体接着を決定するための装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体-固体接着仕事量を決定するための方法であって、その過程で、測定要素の周辺円形縁部を有する端部と試験される固体の試験される表面(4)との間の流体媒体(6)内に形成された液体円筒対称毛細管ブリッジ(9)に関連して、以下の
-初期状態から開始して最終状態で終了する前記円筒対称毛細管ブリッジ(9)に対して円筒対称保持修正を実行することにより、
○前記初期状態と終了状態との間で、前記毛細管ブリッジ(9)および前記流体媒体(6)の第1の界面面積の第1の界面面積変化、ならびに前記毛細管ブリッジ(9)および前記試験される表面(4)の第2の界面面積の第2の界面面積変化を決定するステップ(S110a)、ならびに
○前記円筒対称保持修正の過程で、前記円筒対称保持修正に対応する前記仕事関連変位の少なくとも1つの変位値およびそのための前記毛細管ブリッジ(9)に対応する前記毛細管力のそれぞれの力の値を決定すること(S100)により、前記円筒対称保持修正の過程で決定された前記少なくとも1つの変位値およびそれぞれに割り当てられた前記力の値に基づいて、前記円筒対称保持修正のための前記毛細管力に対応する総機械仕事量を決定するステップ(S110b)と、
-前記円筒対称保持修正のために、前記第1の界面面積変化、前記第2の界面面積変化、前記総機械仕事量、ならびに前記毛細管ブリッジ(9)および前記流体媒体(6)の液体-流体界面張力に基づいて、
○前記試験される表面(4)および前記毛細管ブリッジ(9)の固体-液体界面張力、ならびに
○前記試験される表面(4)および前記流体媒体(6)の固体-流体界面張力
の第1の差分値を決定するステップ(S120)と、
-前記液体-流体界面張力から前記第1の差分値を減算することにより、前記円筒対称保持修正に対応し、前記毛細管ブリッジ(9)および前記試験される表面(4)の指標である液体-固体接着仕事量を決定するステップ(S130)と
が実行される、方法。
【請求項2】

【数1】
に従って前記第1の差分値を計算することを特徴とし、
-γSLが前記固体-液体界面張力であり、γSFが前記固体-流体界面張力であり、

【数2】
が前記総機械仕事量であり、
-γLFが前記液体-流体界面張力であり、
-ΔAが前記第1の界面面積変化であり、ΔBが前記第2の界面面積変化である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
周辺円形縁部を有するその前記端部に開口する毛細管伝導チャネル(14)を有する測定要素が適用されることを特徴とし、周辺円形縁部を有する前記端部の反対側の前記毛細管伝導チャネル(14)の前記端部が液体フィーダ(12)に接続され、前記円筒対称保持修正が、前記液体に前記毛細管伝導チャネル(14)を通過させることによって前記円筒対称毛細管ブリッジ(9)上で実行され、前記仕事関連変位が、前記毛細管伝導チャネル(14)内の前記液体の前記変位を決定するように適合された変位決定ユニットによって決定される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
液体-固体接着仕事量を決定するための装置であって、
-試験される表面(4)を有する試験される固体とともに流体媒体(6)内に周囲円形縁部を有するその端部を配置するための周辺円形縁部を有する前記端部を有する測定要素であって、前記装置を利用する場合、周辺円形縁部を有する前記端部と前記試験される表面(4)との間に液体円筒対称毛細管ブリッジ(9)を形成することができるように、前記測定要素および前記試験される表面(4)が互いに対して配置され、前記測定要素が、周辺円形縁部を有する前記端部に開口する毛細管伝導チャネル(14)を有する、測定要素と、
-周辺円形縁部を有する前記端部の反対側の前記毛細管伝導チャネル(14)の前記端部が接続された液体フィーダ(12)と、
-前記毛細管ブリッジ(9)および前記流体媒体(6)の第1の界面面積、ならびに前記毛細管ブリッジ(9)および前記試験される表面(4)の第2の界面面積を決定するように適合された界面面積決定装置と
を備え、
前記液体フィーダ(12)が、前記液体に前記毛細管伝導チャネル(14)を通過させることによって前記円筒対称毛細管ブリッジ(9)に対して円筒対称保持修正を実行するように適合されることを特徴とし、前記装置がさらに、
-前記円筒対称保持修正の過程で、前記円筒対称保持修正に対応する、前記毛細管伝導チャネル(14)内の前記液体の前記仕事関連変位の少なくとも1つの変位値を決定するように適合された変位決定ユニットと、
-前記少なくとも1つの変位値に対する前記毛細管ブリッジ(9)に対応する毛細管力の力の値を決定するように適合された力測定器(2)と、
-前記円筒対称保持修正の過程で前記変位決定ユニットによって決定された前記少なくとも1つの変位値、およびそれぞれに割り当てられた前記力の値に基づいて、前記円筒対称保持修正のための前記毛細管力に対応する総機械仕事量を決定するように適合された積分器ユニット(10)と、
-前記円筒対称保持修正のために、
○前記円筒対称毛細管ブリッジ(9)の初期状態と最終状態との間の前記界面面積決定装置によって決定された、前記第1の界面面積の第1の界面面積変化および前記第2の界面面積の第2の界面面積変化に基づいて、前記総機械仕事量に対して、ならびに前記毛細管ブリッジ(9)および前記流体媒体(6)の液体-流体界面張力に対して、
・前記試験される表面(4)および前記毛細管ブリッジ(9)の固体-液体界面張力、ならびに
・前記試験される表面(4)および前記流体媒体(6)の固体-流体界面張力
の第1の差分値を決定し、
○前記液体-流体界面張力から前記第1の差分値を減算することにより、前記円筒対称保持修正に対応し、前記毛細管ブリッジ(9)および前記試験される表面(4)の指標である液体-固体接着仕事量を決定するように適合された仕事量決定ユニットと
を備える、装置。
【請求項5】

【数3】
に従って前記第1の差分値が計算されることを特徴とし、
-γSLが前記固体-液体界面張力であり、γSFが前記固体-流体界面張力であり、

【数4】
が前記総機械仕事量であり、
-γLFが前記液体-流体界面張力であり、
-ΔAが前記第1の界面面積変化であり、ΔBが前記第2の界面面積変化である、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記力測定器(2)が、周辺円形縁部を有する前記測定要素の前記端部の反対側に配置された測定面を有する重量計であることを特徴とし、前記測定面が、前記試験される表面(4)が周辺円形縁部を有する前記端部に面するように、前記試験される固体を配置するように適合される、請求項4または5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体-固体接着仕事量を決定するように適合された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体-固体接着仕事量は、液体-固体界面を特徴付けるために一般に使用される量であり、その値は、単位表面積上で接触している固相と液相の相互作用に関する情報を提供する。したがって、それは具体的な量であり、その測定単位は表面張力(Nm/m)の測定単位と同一であるが、それは、仕事量を慣習的に表記する文字「W」によって表記され、具体的な仕事量も、小文字「w」によって表記される可能性がある。それは、液体が固体表面(例えば、電子機器および化粧品、紙、接着剤、塗料、印刷および繊維産業、はんだ付けおよび歯科技術など)と接触するすべてのそのような工業分野では、非常に重要である。この量は、液相-固相境界で形成される接触角を測定することによって、ヤング-デュプレ方程式:
【0003】
【数1】
の助けを借りて間接的に決定され、ここで、
【0004】
【数2】
は液体-固体接着仕事量であり、
【0005】
【数3】
は液体および流体媒体の界面張力(境界面張力)であり、
【0006】
【数4】
は液体-固体-流体媒体の三相境界で形成される平衡(ヤング)接触角である。
【0007】
この方法は、接触角測定方法の特性から生じる様々な測定および理論的不確実性をそれ自体に留める。特定の場合、接触角の値は、特に接触角が小さい(<10°~20°)場合および大きい(>150°)場合に、大きい不確実性を伴って決定される可能性がある。さらに、平衡ヤング接触角
【0008】
【数5】
は測定することができず、実際には、前進接触角は、その静止状態で接触線の前進後に決定され、後退接触角は、接触線の後退後の静止状態で測定することができる。いくつかの仕事量によれば、
【0009】
【数6】
は、これらの2つの値から計算することができる[非特許文献1]。さらなる問題は、特定の表面では後退接触角が一定ではない、すなわち、固着液滴の体積とともに減少するという事実によってもたらされる[例えば、非特許文献2]。さらに、いくつかの場合、測定された接触角から決定された接着仕事量の値は、計算された値または他の方法で決定された値から著しく逸脱する(例えば、非特許文献3における)。
【0010】
特定の幾何学的条件下および特定のパラメータで固体-液体界面を排除するために必要な力が、液体-固体接着を特徴付けるために測定される装置および方法が知られている(特許文献1)。疎水性表面および超疎水性表面の水接触角は、通常、大きい誤差を伴って決定される可能性があるので、力測定器に固定された円形プレートの助けを借り、それを利用して液滴を表面に押し付けることにより、固体-液体界面を形成および排除する時間インスタンスを含む、液滴を表面に近づける(接近させる)および液滴を表面から離す(遠ざける)間に生じる力を測定する装置(特許文献2)が開発された。同様の装置および方法が、特許文献3に開示され、固体表面間に配置された液体体積に由来する接着力(すなわち、特定の開示では「接着力」と呼ばれる毛細管力、これらの用語に関連する以下の説明も参照されたい)が、固体表面をさらに取り出し、それらを互いに近づけるプロセスの間に測定される。
【0011】
特許文献4には、特定のパラメータを有する物体が液体に浸漬され、これに基づいて特定の量が推定される方法が開示されている。
【0012】
動的接触角を測定するのに適した装置および方法が、特許文献5に開示されている。この手法は力測定器を加えない。同様の技術的手法が特許文献6に開示されている。
【0013】
特許文献7には、接触角および動的表面張力を測定するための装置および方法が開示されている。
【0014】
接触角を決定するように適合された装置が専門記事である非特許文献4に開示されている。専門記事は、接触角に関連する態様に対処している。
【0015】
専門記事に記載された装置と同様の装置が、上述された特許文献2に開示されている。
【0016】
特許文献8では、表面に位置する分子の識別が力測定に戻る。この過程で、既知の表面積を有する弾性柱のベース表面が、分子を含む試験される表面に直接押し付けられる。圧縮の過程で加えられる力は、弾性柱を変形させることに向けられ、つぎ込まれた仕事量は、弾性エネルギーの形態で柱によって格納される。本文献による方法では、分子と既知の面積を有する表面との間の接着仕事量は、分子量の指標として、表面を圧縮し引き離すときに測定された力の(変位に対する)積分の差として識別される。
【0017】
接触角を測定することなく接着仕事量を決定するための手法は、特許文献9に開示されている。この手法は上記の手法とは根本的に異なり、回転(遠心)測定に基づき、液滴が表面から分離される瞬間に、液滴に及ぼされる力が回転速度から計算することができるという事実に基づく。
【0018】
既知の手法を考慮すると、既存の手法と比較してより効率的に液体-固体接着仕事量を決定することを可能にする、液体-固体接着仕事量を決定するための装置および方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開第2011-191277号公報
【特許文献2】欧州特許第3571483号明細書
【特許文献3】特開2004-144573号公報
【特許文献4】独国特許第102012221490号明細書
【特許文献5】特開2013-174478号公報
【特許文献6】カナダ特許第2968623号明細書
【特許文献7】特開第20011-16675号公報
【特許文献8】米国特許第6,537,499号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2011-118993号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】A.Marmur:Solid-Surface Characterization by Wetting.Annu.Rev.Mater.Res.39、473~89頁(2009年)
【非特許文献2】J.Drelichら:The Effect of Drop(Bubble) Size on Advancing and Receding Contact Angles for Heterogeneous and Rough Solid Surfaces as Observed with Sessile-Drop and Captive-Bubble Techniques.J.Colloid Interface Sci.179、37~50頁(1996年)
【非特許文献3】R.Tadmorら Solid-Liquid Work of Adhesion.Langmuir 33、3594~3600頁(2017年)
【非特許文献4】N.Nagy:Contact Angle Determination on Hydrophilic and Superhydrophilic Surfaces by Using r-θ-Type Capillary Bridges[Langmuir 35、5202頁(2019年)
【発明の概要】
【0021】
本発明の主な目的は、可能な限り従来技術の手法の欠点がない、液体-固体接着仕事量を決定するための方法および装置を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、液体-固体界面(表面)で測定された接触角とは無関係に液体-固体接着仕事量が決定され得るアプリケーションによる方法および装置を提供することであり、すなわち、本発明に対して設定された課題は、接触角の測定とは無関係に液体-固体接着仕事量を決定することであった。
【0023】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法および請求項4に記載の装置を提供することによって達成することができる。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0024】
本発明による方法および装置は、円形の固体表面と試験される固体表面との間に延在する円柱状に対称(円筒対称)の毛細管ブリッジが、液体の接触線が円形の固体表面の縁部に付着(ピン留め)するように、それらを囲む流体媒体内の液体から形成される場合、毛細管力は、毛細管ブリッジ(すなわち、その長さまたは体積変化)の円筒対称保持修正(円筒対称保持変更)の過程で測定される間に、プロセスの過程で液体-流体界面面積の変化(液体-流体界面面積変化)、ならびに液体および試験される固体表面の界面面積の変化(液体-試験される固体表面面積変化)を決定しながら、次いで、毛細管力を積分することにより、システムのエネルギー変化、したがって液体-流体界面張力の知識において、固体-液体接着仕事量を決定することができるという認識に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の好ましい実施形態は、以下の図面を参照して、例として以下に記載される。
図1】本発明による方法のフロー図である。
図2】本発明による方法の一実施形態を実行するのに適した装置の概略図である。
図3】本発明による方法の別の実施形態を実行するのに適した装置の概略図である。
図4A】試験される親水性表面に対して実行された測定を示すグラフである。
図4B】試験される疎水性表面に対して実行された測定を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、液体-固体接着仕事量を決定するための方法(本発明による方法に関連して、方法のフロー図を示す図1、ならびに本発明による方法を実行するように適合された装置を示す図2および図3を参照されたい)であり、その過程で、測定要素の周辺円形縁部を有する端部(端部が周辺円形縁部を有する測定要素の端部)と、試験される固体の試験される表面との間の流体媒体内に形成された液体円筒対称毛細管ブリッジ(液体の円筒対称毛細管ブリッジ(実在))に関連して、以下に与えられるステップが実行される(図2および図3の流体媒体6、試験される表面4、および毛細管ブリッジ9を参照されたい)。試験される(調査される)固体の試験される(試験されるべき)(必然的に固体の)表面は、方法において固体表面の適用が必要であることを強調するものであり、本明細書では簡潔に「試験される固体表面」と呼ばれる(図2および3の説明を参照されたい)。
【0027】
毛細管ブリッジの形成は、本発明による方法の一部であると見なされない。これは、方法が毛細管ブリッジで取得された測定値自体に基づく、すなわち、毛細管ブリッジが方法の全過程の間維持されるという事実に従う。また、毛細管ブリッジの形成は、毛細管ブリッジが、通常周辺円形縁部を有する測定要素の端部上に位置するかまたは端部に転送された液滴を試験される表面に接近させる(近づける)(またはそれを直接転送する)ことによって形成されるとき、別個のステップで処理されることも可能である。
【0028】
さらに、上記に従って毛細管ブリッジの円筒対称性を必要とすることにより、周辺円形縁部を有する端部の円形縁部が、方法の過程で(ここでもその移動軸、すなわち円筒対称に対応する対称軸である)測定要素の長手方向軸に対して垂直であることも好ましく、それによってブリッジの円筒対称性をもたらすことができるからである。
【0029】
円筒対称毛細管ブリッジは、その縁部に(に対して、の上に)接着する周辺円形縁部(周辺円形リム)を有する端部のおかげで形成される。同時に、円筒対称性を必要とすることにより、試験される表面は、この円筒対称性を破らないこと、すなわち、好ましくは、周辺円形縁部を有する端部に平行に配置された平面、または適切に配置された球面であることも必要とされる(下記をさらに参照)。後者の場合、円筒対称性に起因して、測定要素に面する端部に対して試験される物体の専用の配置が存在する(他のそのような表面も考えられる)。試験される表面は、一般に、円筒対称性を保つように配置される。
【0030】
本発明による方法の過程で(本発明による方法のステップ(の説明)はこの段落から始まる)、円筒対称毛細管ブリッジに円筒対称保持修正を実行し、初期状態から開始し(開始され)、最終状態で終了する(終了される)ことにより、(それらの名称によって示唆されるように、初期状態および最終状態は、当然のことながら、その間に方法が実行される状態であり、すなわち、測定は、測定の各々について必要に応じて毛細管ブリッジに対して実行される、特定の量に関しては、以下の式も参照されたい)
○初期状態と終了状態との間で、毛細管ブリッジおよび流体媒体の第1の界面面積(第1の境界面積)の第1の界面面積変化(第1の表面積変化)、ならびに毛細管ブリッジおよび試験される表面の第2の界面面積(第2の境界面積)の第2の界面面積変化(第2の表面積変化)が決定され(界面面積変化の決定に関連する動作ステップS110aはこれに対応する、すなわち、第1の界面は、液体-毛細管ブリッジ-と流体との間の界面であり、その変化は第1の界面面積変化であり、第2の界面は、毛細管ブリッジと試験される表面-すなわち、毛細管ブリッジが試験される表面に接触する(タッチする)表面との間の界面である、図2および図3参照、-その変化は第2の界面面積変化である)、
○円筒対称保持修正の過程で決定された少なくとも1つの変位値およびそれにそれぞれ割り当てられた力の値に基づいて、円筒対称保持修正に対応する仕事関連変位(仕事実行変位、仕事変位、行われた仕事に対応する変位)の少なくとも1つの変位値、およびそのための毛細管ブリッジに対応する毛細管力のそれぞれの力の値(変位値を決定することに関して以下を参照、力の値を決定することは測定によって決定することであり、それは測定に基づいて決定されると呼ぶこともできる、毛細管力を決定することに関係する動作ステップS100はそれに対応し、記録された値のグラフ(ランニング)に関連する図4A図4B、および方法によって調査された範囲に関係する態様も参照されたい)を円筒対称保持修正の過程で決定することにより、毛細管力に対応する総機械仕事量が円筒対称保持修正のために決定される(総機械仕事量の決定に関係する動作ステップS110bがこれに対応する)。
【0031】
それは、上記で「円筒対称保持修正に対応する仕事関連変位の少なくとも1つの変位値」と表現されている。これは、総仕事関連変位が修正に対応することを意味すると解釈され、その値は、測定時間インスタンス(時点)で決定される(全体として測定されるか、または部分に分割される)、すなわち、変位値は、通常、複数のポイントで決定され(例えば、測定され)、この複数のポイントに対応するそれぞれの力の値も決定される。総仕事関連変位は、1つまたは複数の変位値の合計として取得され、これらの変位値は、円筒対称保持修正の過程で測定される(一般に、決定される)。
【0032】
単一の変位値が記録される(すなわち、円筒対称保持修正に対応する仕事関連変位全体が単一のユニットとして扱われる)場合、力の値も、通常、その両方の終点で測定される(すなわち、初期状態および最終状態において、単一の変位値に対して2つ以上(通常、2つ)の力の値を決定することがこのように可能である)。少なくとも2つの変位値が決定された場合、それらの各々についてそれぞれの毛細管力の値が決定され、変位値および各々に割り当てられたそれぞれの力の値に基づいて総機械仕事量が決定される。
【0033】
上記によれば、仕事量は、1つまたは通常複数の変位値、およびそれにまたはそれらの各々に割り当てられたそれぞれの力の値に基づいて決定される。通常、測定の過程で記録された離散変位値(典型的な事例のために、多くの場合複数形が使用されるが、単一のそのような値のみが存在してもよい)およびそれらに割り当てられたそれぞれの力の値について、総機械仕事量は、合計(それぞれの変位値について決定された力の値を示す図4A図4Bを参照、しかしながら、所与の変位に割り当てられる特定の力の値は選択の問題であり、以下を参照、それは、所与の変位値の両方の終点のいずれかで測定された力の値、または例えば、それらの平均、すなわち、測定された力の値から導出された力の値であり得る)によって決定することができる。この場合、総機械仕事量は、(連続する測定時間インスタンス間に生じる)変位値と変位値の各々に対応するそれぞれの力の値の積を合計することによって決定される。
【0034】
また、変位値およびそれらに割り当てられた力の値に基づいて、変位-力関数のポイントを記録することができ、総機械仕事量は、ポイントに適合した関数を積分することによって決定することさえできる(合計は、十分に小さい変位値の場合には本質的に数値積分である)、すなわち、総機械仕事量は、好ましくは、合計、数値積分、または積分によって決定される。
【0035】
図によっても示されたように、変位の方向は毛細管力の方向と平行である(両方とも符号付きの量)ため、仕事量は式(2)においてその積として計算することができる。
【0036】
毛細管力は毛細管ブリッジに対応する、すなわち毛細管の原理によれば、毛細管ブリッジは、それが接続する表面にこの力を及ぼす。これに関連して、力の値の進化が詳述されている図4A図4Bに開示された例示的な測定値が参照される。円筒対称保持修正に対応する仕事関連変位、言い換えれば毛細管力に割り当てられた仕事関連変位に関連して、図2および図3の説明が参照され、毛細管力にどの変位(測定要素の端部の変位、毛細管伝導チャネル内の液体の変位)が割り当てられるかが指定され、それによって、例えば合計によって、総機械仕事量、すなわち円筒対称保持修正全体に対応する機械仕事量を計算することができる(この項は、重力効果が無視されるので正しくもあり、毛細管力仕事量、または単に第1の仕事量とも呼ぶことができる)。
【0037】
方法を実行することにより、毛細管ブリッジの好ましい寸法範囲では、液体および流体媒体の界面張力から生じる力ならびに液体と流体媒体との間の界面(境界面)の曲率から生じる力(これら2つの力の合計が毛細管力である)を除き、毛細管ブリッジの重量は通常無視できる。したがって、重力も無視することができ、式から省略することができる。
【0038】
上記の2つのポイントによるステップ間に階層は存在しない、すなわち、ここでのそれらの順序は実行順序を意味しない。力は、円筒対称保持修正(または円筒対称性を保持する修正、それは円筒対称性を保持または持続する修正と呼ぶこともできる)の全過程の間に測定されるので、これは、記録された力の値および界面面積の変化からの総機械仕事量の決定よりも早いと解釈することができるが、後者の2つのステップは、それらの参照番号によっても示されたように、任意の順序で、または同時にでも実行することもできる。
【0039】
また、界面面積変化を決定することは、好ましくは光学記録を取得し、所与の時間インスタンスにおける界面面積および初期状態と最終状態との間のそれらの差を計算するためにそれらを利用することによって実行されるような測定ステップであることに留意されたい。
【0040】
円筒対称保持修正のための合計に関連して、式(2)の説明が参照される。極端なケース(リミットケース、ボーダーケース)では、合計は、それが式(2)の表記に反映されるような、しかしながら、測定値が離散的であるため、それが図4A図4Bに示されたような積分になり、計算には低いが有限の変位値が適用される。力の値は、総機械仕事量(このように取得された総機械仕事量は、毛細管力に対応していると呼ばれ、その結果として、毛細管力は、毛細管力を合計するとともに変位と積分することによって計算される、以下の式(2)の項
【0041】
【数7】
を参照されたい)を決定するために、所与の(全体、すなわち、毛細管ブリッジに対する方法に適用される)円筒対称保持修正にわたる(すなわち、初期状態と最終状態との間の測定データの記録中に選択された調査されたプロセス全体について)変位値と合計されるべきである。
【0042】
さらに、本発明による方法(この段落では、本発明による方法のさらなるステップが与えられる)の過程では、第1の界面面積変化、第2の界面面積変化、総機械仕事量、ならびに(液体)毛細管ブリッジおよび流体媒体の液体-流体界面張力(液体-流体境界面張力)に基づいて、
○試験される表面および(液体)毛細管ブリッジの固体-液体界面張力(固体-液体境界面張力)と、
○流体媒体に対する試験される表面の固体-流体界面張力(固体-流体境界面張力)と
(の間)の第1の差分値が円筒対称保持修正に対して決定され(界面差分値の決定に関係する動作ステップS120がこれに対応する)、
液体-流体界面張力から第1の差分値を減算することにより、円筒対称保持修正に対応し、(液体)毛細管ブリッジおよび試験される表面(の)指標である液体-固体接着仕事量が決定される(液体-固体接着仕事量の決定に関係する動作ステップS130がこれに対応する)。
【0043】
本発明による方法および装置の本質は、円形の固体表面と試験される固体表面との間に、これらを囲む流体媒体内の液体から円筒対称毛細管ブリッジが形成されることである。液体は円形の固体表面を十分に濡らし、液体のメニスカスは円形の固体表面の縁部に付着(ピン留め)する。
【0044】
測定要素の端部は、方法の上記冒頭で、周辺円形縁部を有する端部と呼ばれる(円線状の縁部は、その周囲に沿って延在し、便宜上、それは、円筒状要素の好ましくは平坦な端部の縁部である)。毛細管ブリッジの円筒対称構成によれば、これも円筒対称構成を有する。この説明では、これの図示された実装形態は「円形(固体)表面」と呼ばれ、図では平坦な構成を有するように示されている(したがって、周辺円形縁部を有する端部も、それは当然固体の構成を有するが、好ましくは平坦な構成を有することができる)。
【0045】
図2の構成では、円形状の表面は、測定要素の底部に(位置する)(自然に平坦な)円形プレートであり、図3の構成では、毛細管11のチャネル14は、円形状の表面に開口しているので、端部は、平面的な(平坦な)円形リング形状、またはその内周が円形とは異なる、例えば正方形または長方形である、円形の外周を有する平面的な(平坦な)リング形状であり得る。
【0046】
また、前の識別によれば、液体は円形の固体表面を十分に濡らすので、液体のメニスカスは円形の固体表面の縁部(リム)に付着(ピン留め)する、すなわち、周辺円形縁部を有する端部および毛細管ブリッジの界面面積は一定であると見なすことができる。好ましくは、適切な濡れを容易にする適切な材料の表面を端部(例えば、ガラスまたはプラチナ)に適用することができ、また、縁部の存在は、液体をそこから分離させることは好ましくないので、端部と毛細管ブリッジとの間の界面面積の永続性を保証する(すなわち、接触線の接着が助けとなる)。これは、試験される物体(試験物体)が親水性または疎水性であることとは無関係である。
【0047】
図を参照して、2種類の実施形態に従って方法を実行することが記載される。最初に、図2による実行が参照される。この場合、相対変位の方向が毛細管ブリッジの対称軸と一致するように、2つの固体表面間の距離が変更される(すなわち、円筒対称保持修正、すなわち、毛細管ブリッジの円筒対称性を損なわない修正が適用される)。固体表面間の距離を変更することにより、毛細管ブリッジの長さが変更される。2つの固体表面を互いに近づけると、毛細管ブリッジは短くなり、それらを互いに離すと、毛細管ブリッジの長さが増大する。両方のプロセスの場合、液体-流体界面面積のサイズが変化し、液体および試験される固体表面の界面面積のサイズも変化する。液体のメニスカスは円形の固体表面の縁部に付着(ピン留め)するので、液体と円形の固体表面との間の界面面積は変化しない。
【0048】
毛細管力および固体表面の相対変位は、プロセスの過程で測定される。変位に応じて測定された力を積分すると仕事量(すなわち、システム上で、またはシステムによって行われる仕事量)が与えられ、その仕事量は界面面積のサイズを変更するために費やされる(式に関連して、図4A図4Bに示された例示的な測定結果が参照される)。
【0049】
【数8】
【0050】
ここで、Fは毛細管力であり、dzは近似(接近)または離間(後退)運動の過程における相対変位(仕事関連変位)であり、ΔAは液体-固体界面面積のサイズの変化であり、γLFは液体-流体界面張力であり(これは同様に式の中のギリシャ語ガンマのようである)、ΔBは液体および試験される固体表面の界面面積のサイズの変化であり、γSLは液体および試験される固体表面の界面張力であり、γSFは試験される固体表面および流体媒体の界面張力である。
【0051】
固体表面を(互いに)近似および離間させ、開始点ならびに終了点における界面面積のサイズの変化を決定するとき、式(γSL-γSF)を計算することができる。これは、界面面積が変化するように(2)の左側の積分の値が決定されるので、式で計算される唯一のパラメータのままである。実験では、未知のパラメータ(未知数)は、試験される表面のパラメータ、すなわちそれに対応する界面張力でもあるが、液体-流体界面張力γLFは既知であると見なされる。液体-固体接着仕事量を計算する上記の詳細なプロセスもこれと一致している。
【0052】
式の表記を上記で紹介されたた用語(概念)とも調和させることにより、第1の差分値(上記参照)は、(式(2)を再配置することによって表される)式
【0053】
【数9】
に従って計算され(式を適用するための力に関連する符号の規則については、以下をさらに参照されたい)、ここで、
-γSLは固体-液体界面張力であり、γSFは固体-流体界面張力であり、
【0054】
【数10】
は総機械仕事量であり、
-γLFは液体-流体界面張力であり、
-ΔAは第1の界面面積変化であり、ΔBは第2の界面面積変化である。
【0055】
液体-固体接着仕事量(W)は、
【0056】
【数11】
として定義され(冒頭で述べられたように、(2)の量とは対照的に、これは特定の量である)、したがって、液体-流体界面エネルギー(γLF)の知識において、液体-固体接着仕事量を計算することができる。
【0057】
方法が別の実施形態に従って実行される場合、上記はわずかに修正される。それに関連して、図3が参照される。この場合、円形の固体表面は、毛細管の断面(端部)であり、固体表面間の距離を変化させる代わりに、液体から形成された毛細管ブリッジの体積を変化させることができる。したがって、この場合、固体表面間の距離は一定に保たれるが、毛細管ブリッジの体積変化dVが測定される。体積の増大および減少は、それぞれ、固体表面を互いに近づけること、およびそれらを互いに遠ざけることに対応する。この場合、仕事量を計算するために、毛細管力は毛細管内の液柱の相対変位(仕事関連変位)、すなわち量「dV/a」にわたって積分される必要があり、ここで「a」は毛細管の内部断面積である。他のすべては上記の説明と本質的に同じである。
【0058】
(しばしば適用される規約に従って)引力毛細管力が正の符号を有すると見なされる(言い換えれば、引力の場合に毛細管力が正の符号を有すると見なす)場合、上記の式(2)および(4)に従って、機械的に実行された仕事量と液体-流体界面面積を変化させるために必要な仕事量との間の差、および液体-固体界面面積変化の商は、液体-固体接着仕事量を取得するために、液体-流体界面張力から減算される。
【0059】
液体-固体接着仕事量は、この規約から逸脱し、引力毛細管力が負の符号を有すると見なす場合にも決定することができる。そのような場合、機械的に実行された仕事量の負の値と、液体-流体界面面積を変化させるために必要な仕事量との間の差、および液体-固体界面面積変化の商は、液体-固体接着仕事量を取得するために、液体-流体界面張力から減算されるべきである。したがって、別の符号規約が使用される場合、それは(2)の左側の積分を符号反転させる(式(3)にも影響を及ぼし、積分は負の符号とともに含まれる)。したがって、計算の正確な手順は、選択された符号規約に依存するが、上述されたように決定された量に基づいて、液体-固体接着仕事量を決定することが可能である。
【0060】
固体表面上に形成された液体の接触線の前進中に決定された接着仕事量は、液体の拡散の後の駆動力の指標であり、後退状況で決定された接着仕事量は、表面の「液体保持」(すなわち、表面から液体を分離することがどれほど困難であるか)を特徴付ける量である。接触線が静止しているときにつぎ込まれる機械仕事量は、液体-流体界面面積を変化させるためにのみ利用される、すなわち、静止している(動いていない)接触線では、液体-固体接着仕事量に関する情報を取得することができない。
【0061】
上記によれば、本発明は、システムに対して(またはシステムによって)行われた仕事量が液体-流体(媒体)および液体-固体の界面面積の変更に費やされ、それにより、液体-固体接着仕事量は、機械仕事量、液体-流体界面張力、および界面面積のサイズの変化の知識において決定することができるという認識に基づいている。
【0062】
したがって、本発明は、機械仕事量からの毛細管ブリッジの接触線の進退、および進退の状況ごとの界面面積の変化の他に、液体-固体接着仕事量を分離して絶対的に決定することができるという、従来にない根本的に新規の要素(態様)を有する。
【0063】
以下では、液体-固体接着仕事量を決定するための方法において適用される量を測定または決定する方式が記載される。これに関連して、図2および図3の説明も参照される。
【0064】
毛細管力は、円形の固体表面が力測定器(フォースゲージ)に接続されるか、または試験される表面を有する固体(試験される物体)が力測定器(重量計)に配置された場合、測定することができる。
【0065】
界面面積および毛細管ブリッジの体積の変化は、少なくとも開始時および終了時に、固体表面が互いに接近しているとき、およびそれらが互いに離間しているとき、ならびに体積が増減しているときに、液体によって形成された毛細管ブリッジの側面画像を撮影することによって決定することができる。
【0066】
液体および試験される固体表面の界面面積のサイズは、毛細管ブリッジが円筒対称であるため、試験される固体表面の幾何形状が既知である場合、毛細管ブリッジおよび試験される固体表面の母線の接触点間の距離(すなわち、液体の円形接触線の直径)を画像内で決定することによって計算することができる(カメラ画像に基づく計算に関連して、N.Nagy、「Contact Angle Determination on Hydrophilic and Superhydrophilic Surfaces by Using r-θ-Type Capillary Bridges」[Langmuir 35、ページ5202(2019年)]による、冒頭で上述された専門記事が参照される)。例えば、試験される固体表面が平坦な表面である場合、問題の界面は円形プレートである。例えば、試験される固体表面が(毛細管ブリッジの対称軸と一致する最上点または最下点を有する)球面である場合、界面は球形キャップの表面である。
【0067】
毛細管ブリッジの円筒対称性に関する上記の要件、および他の上述された条件(すなわち、相対変位の方向が毛細管ブリッジの対称軸と一致すること)は、毛細管ブリッジに行われた修正が円筒対称性を保持する(持続する)ことを支持する。変位のためにリニアモータを適用することもこれを容易にする。体積変化の場合もこれに類似しており、その場合に画像解析も適用することができ、円筒対称性を破壊する変化を引き起こす可能性があるそのような状況-毛細管のチャネルを介して体積が変化する-がないからである。
【0068】
液体-固体界面面積のサイズは、毛細管ブリッジの形状の画像解析を実行することによって決定することができる。界面面積のサイズは、毛細管ブリッジの形状の解析的な数学的記述によって計算することができるか、または適切な関数(例えば、ポリノム)によって毛細管ブリッジの母線(輪郭)を近似し、毛細管ブリッジの対称軸を中心にこの曲線を回転させることによって取得された回転面のサイズを計算(積分)することによって決定することができる。別のわずかに異なる解決策によれば、円筒対称毛細管ブリッジの母線は別個の構成要素に分解される、すなわち、回転面は、低い高さのシリンダマントルに分解され、これらの合計(数値積分)として回転面のサイズを計算する。
【0069】
毛細管ブリッジの体積の変化は、それに基づく実施形態の場合、体積変化を提供する装置によって決定することができる(以下の図3に関連しても参照されたい)。体積は、毛細管ブリッジの形状の画像解析を実行することによっても決定することができる。毛細管ブリッジの体積は、その形状の解析的な数学的記述を提供することにより、または液体-流体界面面積を決定することと同様に、毛細管ブリッジの母線に適合された関数の曲線を回転させることによって取得される回転体の体積を計算することにより、または毛細管ブリッジの輪郭の数値積分によって計算することができる。
【0070】
(それぞれの実施形態の場合の)固体表面間の距離の変化、すなわち、毛細管ブリッジの長さの変化は、直線運動を提供する機構(機械的配置)によって、または毛細管ブリッジの撮影された画像を解析することによって決定することができる。
【0071】
固体が互いに接近している間、ならびに毛細管ブリッジの体積が増大している間、試験される固体表面上に形成された液体の接触線は前進している。したがって、このようにして決定された液体-固体接着仕事量は、試験される表面上の液体の広がりの指標である、すなわち、それは、試験される表面上で測定された液体の前進接触角がヤング-デュプレ方程式に代入(挿入)される場合に対応する(上記の式(1)を参照)。固体がさらに離れると、ならびに毛細管ブリッジの体積が減少すると、液体の接触線が後退する。したがって、このようにして決定された液体-固体接着仕事量は、試験される表面から液体を分離させる指標である、すなわち、それは、試験される表面上で測定された液体の後退接触角がヤング-デュプレ方程式に挿入される場合に対応する。
【0072】
ヤング-デュプレ方程式を使用することにより(すなわち、上記の式(1)を用いて)、このようにして決定された液体-固体接着仕事量の値から、試験される表面上に形成された液体の-前進および後退-接触角の(典型的な)値を、計算によって、すなわちそれらを直接測定することなく決定することができる。これは、例えば、接触角測定の不確実性が後続の計算の精度を大幅に低下させるような場合に好ましい。この点において、本発明による液体-固体接着仕事量を決定する方式は、既知の手法と比較してより効率的であると見なされる。
【0073】
以下では、方法の対応する実施形態を実行する詳細を示す図2および図3が記載され、方法を実行することに関連して、(選択肢も記載し、多くの場合、例示的なレベルでの説明-(必要に応じて)類推によってどの情報を一般化することができるかを与える)装置の特定の詳細が図2および図3に示される。
【0074】
図2では、本発明による方法の一実施形態が、対応する装置の概略図の助けを借りて示されている。図2に示された本発明の好ましい例示的な実施形態では、円形の固体表面1(図によれば、この参照番号(符号)は、周辺円形縁部を有する端部を示すこともできる)は、例えば、2mmの直径を有するガラスシリンダの基部(ならびに、図2に示されたように、それは、適切に構成された端部、すなわち円形の固体表面を有する、中央でわずかにスリム化された別のそのような物体として実装することができる)、またはこれと同一の直径を有するプラチナディスクであり得る。1μLを超える体積を有する液体の滴り(液滴)がこの表面から垂れ下がる。ガラスシリンダの上端は、例えば5μN以下の解像度を有する力補償力測定器2に接続される(力測定器などの同一の機能を有する構成要素は、図2および図3において同じ参照番号で表記されているが、変形形態のうちの1つ(例えば、この変形形態)におけるわずかに異なる構成は、例えば、上側のコンマ(’)で示すことができ、そのような構成要素は、例えば円形の固体表面1および試料室5であり得る)。垂直方向のこれの移動は、ステッパモータによって駆動されるリード(ウォーム)ねじを有するリニアムーバ(アクチュエータ)3によって提供され、利用可能な最小駆動速度は<0.02mm/sである。
【0075】
試験される固体表面4は、ガラスシリンダのベースプレートの下に、その平面と平行に、好ましくは2つの方向に沿って平面内で移動するように適合された支持体上に配置される(x-yムーバ上で、毛細管ブリッジが形成された後に、それは本発明による方法の過程でもはや使用されない)。ガラスシリンダの下端および試験される固体表面4は、好ましくは共通の試料室5内に配置され、試料室5を満たす流体(すなわち、毛細管ブリッジ9を囲む流体媒体6)は、例えば液体のほぼ飽和した(≧80%)蒸気空間である(気相流体媒体が適用される場合、測定要素の端部が試料室の上部プレートに形成された小さい開口部を通って室内に突出するように、すなわち不完全な方式で試料室を密封することが当然実現可能である)。「試料室」という用語は、試験される試料、すなわち試験される固体がその中に配置されるので使用されるが、それは、測定値がそれに、またはその中に配置された構成要素(周辺円形縁部を有する端部、毛細管ブリッジ、試験される固体)に集中するので「測定室」と呼ぶこともできる。
【0076】
毛細管ブリッジ-それを形成するために適用される構成要素-は、必ずしも試料室内に配置される必要はなく、すなわち、それらは自由空気中に配置することさえでき、測定原理、液体-固体接着仕事量を決定する方法は、何の種類の流体媒体が毛細管ブリッジを囲むかによって影響されない。当然、(すなわち、円形の固体表面1、試験される固体表面4、および毛細管ブリッジ9が共通の試料室5に配置されている場合)試料室内に適切な流体媒体を加えることが好ましい可能性がある。
【0077】
したがって、流体媒体は、好ましくは試料室内にあり得、試験の過程で試験される表面を有する試験される固体は、このように配置された流体媒体内に配置され、周辺円形縁部を有する測定要素の端部もここに配置される。好ましくは、装置は試料室を備えてもよく、すなわち、試料室は、その固定配置された(必要な場合試験される物体が交換される)構成要素であってもよいが、試料室は、測定(方法)を実行する時間期間だけ配置されてもよく、すなわち、試験される物体は試料室と一緒に交換することができる。
【0078】
好ましくは、均一な照明を提供する光源7、本発明者らの場合には、例えば、ディフューザを有するLED光が、ガラスシリンダの軸に垂直なガラスシリンダの一方の側に配置され、その反対側の他方の側には、少なくとも1024×768ピクセルの解像度を有するカメラ8、例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)カメラ8が配置される(好ましくは、2つ以上のカメラが適用される場合もあり、または円筒対称体がよりよく調査され得るので、少なくとも1つのカメラが適用されると言うこともできる)。力測定器2、リニアムーバ3、およびカメラ8のデータは、好ましくは積分器ユニット10(総和ユニット、または略して積分器)によって処理され、それは、図2によれば、好ましくは積分器ユニット10とそれぞれの相互接続を有する。
【0079】
測定プロセスの過程で、円形の固体表面1から垂れ下がっている液滴は、試験される固体表面4に最初に近付けられる。液滴が試験される固体表面4に到達するとすぐに、すなわち毛細管ブリッジ9の形成の時間インスタンス(時点)から、移動の速度は、例えば0.0025mm/sに設定され、力測定器2によって測定された力、円形の固体表面1の変位、および毛細管ブリッジ9の撮影された画像は、例えば10秒ごとに記録(メモ)される。近似(接近)プロセスの過程で、毛細管ブリッジ9の長さは減少し、毛細管ブリッジ9と試験される表面4との間の界面面積の直径は増大する。
【0080】
近似する毛細管ブリッジ9の幾何学的状況に基づいて選択された時間インスタンスが停止され、同じパラメータを適用して円形の固体表面1を離れさせる(円形の固体表面1を遠ざける)ことを開始すると、これは、例えば、毛細管ブリッジ9が断裂するまで続行される(近似することおよび遠ざけることによる毛細管ブリッジへの円筒対称保持修正)。
【0081】
評価の間、毛細管ブリッジ9の形成後の2番目の測定点が近似処理の開始点(初期状態)と見なされ、転回点がその最終点(最終状態、図4A図4Bを参照、丸で囲まれた点は形成点なので、開始点はグラフの2番目の(または、丸で囲まれた点もカウントすると3番目の)点、最終点と見なされ、図4Aの場合、それは当然、転回における「ジャンプ」の前の点-図の下部-である)。離間段階の開始点(初期状態)、例えば、転回点の後の2番目の測定点が考慮され、その終了点(最終状態)として、毛細管ブリッジ9の長さがその形成時のブリッジの長さをちょうど超えない測定点が考慮される。
【0082】
それにより、効果的に、近似(接近)段階および離間(後退)段階を別々に計算することによって接着仕事量を決定するための経験則が与えられる(他の箇所でも言及されたように、近似段階および離間段階について計算された接着仕事量は、それぞれ、液体の拡散および分離の指標である)。
【0083】
その形成直後は、液固接触線が必ずしも進行していないので、2番目の点からプロセスを調査する方が安全である。離間の場合、2番目の点から開始することも好都合であり、実際的な指針も与えられ、この段階では、接触線は通常すでに後退を停止しているが、毛細管ブリッジを断裂させるリスクもあるので、形成長を超えることは都合がよくない。接触線が真に動いており、経験則が良好な支持を与えるセクション(部分)に方法を適用することは価値がある。
【0084】
したがって、上記は経験則としてのみ扱われるべきである、すなわち、式をはるかに短い期間適用しても、必要に応じてそこから逸脱することができる。当然、調査された変化の範囲が短いほど、測定誤差も大きくなる。経験則は、毛細管ブリッジの前進と後退の両方のための長い測定期間を定義する。
【0085】
(初期状態と最終状態との間の)短すぎる測定期間を選択すること、すなわち、本発明による方法における小さすぎる円筒対称保持修正を調査することは価値がないことが諒解されよう。例えば、2つの隣接する測定点の間の変化は、小さすぎる(予想される測定誤差が高い)と見なすことができるが、それは本発明では依然として適用することができる。円筒対称保持修正の過程で3つの連続する測定点を調査することは、おそらく誤差の少ない結果をもたらす、すなわち、(すなわち、円筒対称保持修正によってカバーされる少なくとも3つの測定時間インスタンスで動作するために)少なくとも3つの測定点を記録することが好ましい場合がある。
【0086】
以下では、上記の説明に従って、液体-固体接着仕事量の決定が実行される。力測定器2によって測定された毛細管力は、リニアムーバ3によって測定された円形の固体表面1の相対変位にわたって(に応じて)積分器ユニット10によって積分される。カメラ8によって記録された画像に基づいて、積分器ユニット10によっても液体-流体界面面積が計算(積算)される。
【0087】
図3に示された本発明による装置の別の好ましい実施形態では、試料室5は、力測定器2、この場合は0.05mg以下の分解能を有する分析(計量)スケール上に配置される。試料室5内にある流体媒体6は、毛細管ブリッジ9を形成する液体と混合しない液体状態の媒体である。
【0088】
液体と混合しない液体状態の流体媒体が適用される場合、流体媒体は、以下の2つの好ましいサブケースのいずれか1つでチャンバに充填することができ、液体と混合しない液体状態の流体媒体6は、
-毛細管ブリッジ9が形成された後、または
-最も短いかもしくは最も大きい体積を有する毛細管ブリッジ9のそのような状態で
試料室5に充填される。
【0089】
例えば、後者の場合、方法は後退の場合にのみ適用される。一般に、多くの場合、両方向(前進、後退)で調査を実行することは都合がよくないが、これは必要ではないことに留意されたい。
【0090】
円形の固体表面1(一般に、および周辺円形縁部を有する端部、または説明によれば、それに開口する毛細管のチャネルを有する円形の固体表面)は、例えば、2mmの外径を有するガラス毛細管11の断面であり、毛細管は、好ましくは可撓性チューブを介して液体フィーダ12(液体ディスペンサ)装置に、実際には0.2μL/分未満の最小供給レート(速度)を有するシリンジポンプに接続されている、すなわち、それは0.2μL/分未満の速度で液体を供給することができる。毛細管11の直線移動は、好ましくは、図2に示された実施形態に関連して上述されたリニアムーバ3によって提供される。
【0091】
光源7およびカメラ8の配置および特徴は、図2に示された実施形態に関連して上述したものと同一である。力測定器2、液体フィーダ12、およびカメラ8のデータは、積分器ユニット10によって処理される。
【0092】
測定の前に、円形の固体表面1が試験される固体表面4の近くに移動させられ、その結果、それらの間の距離が好ましくは2mm以下になる。毛細管ブリッジ9が形成されるまで、毛細管11から既知量の液体が排出(圧搾)される。この時点で、測定は、前の好ましい実施形態に関連して上述されたように、すなわち円形の固体表面1を近似および離間させること(したがって、円筒対称保持修正を適用すること)により、方法の一部として実行することができる。この場合、上記と同一の方式で測定値が評価される(この場合、毛細管11は、好ましくは、リニアムーバ3を利用して試験される固体表面4の近くに下降させることができ、ならびにその後、毛細管ブリッジの長さを変更するために移動させることができる)。
【0093】
この好ましい実施形態は、異なる測定プロセスも可能にする。この場合、好ましくは、円形の固体表面1と試験される固体表面4との間の距離は、本発明による方法の対応する実施形態を実行する過程で変更されない。液体フィーダ12(例えばシリンジポンプ)は、既知の量で、例えば、0.001μL/sのレート(速度)で毛細管ブリッジ9の体積を増減させるために適用される(体積変化による円筒対称保持修正を適用する)。測定の間、前の測定と同様に、力測定器2によって測定された力、毛細管ブリッジ9の体積変化、およびカメラ8によって撮影された毛細管ブリッジ9の画像は、10秒ごとに記録(メモ)される。この場合も、力測定器2、カメラ8、および液体フィーダ12(ならびに好ましくはリニアムーバ3も)から積分器ユニット10への相互接続が成立される。
【0094】
評価の過程で、好ましくは、この実施形態では、毛細管ブリッジ9の形成後の2番目の測定点が体積増加の開始点と見なされ、転回点はその最終点と見なされる。また、体積減少の開始点が、好ましくは転回点の後の2番目の測定点であると見なされ、その終了点は、毛細管ブリッジ9の体積がその形成時に測定された体積をちょうど超えない測定点である。
【0095】
以下では、液体-固体接着仕事量は上記の説明に従って決定され、プロセスの過程で測定された力は、(これらは静止したままなので)固体表面の相対変位にわたってそれを積分するのではなく、毛細管内の液柱の変位(dV/a)にわたって積分器ユニット10によって積分されるという違いがある。
【0096】
したがって、この場合、リニアムーバ3は、試験される固体表面4から適切な距離まで移動するために適用され、その後、それは(試験される固体表面4から不変の距離で)静止したままである。しかしながら、この後者の実施形態では、装置は、(リニア)ムーバを適用せずに構成することもでき、代わりに、毛細管を試験される固体表面4から所定の距離に固定し(すなわち、それはこの距離に固定的に配置され)、装置はこのように適用される。この場合も、毛細管ブリッジを形成するために必要な液体は、毛細管を通して導入することができる。
【0097】
上記で部分的に触れたように、特定の場合には、毛細管ブリッジ9が形成された後、またはそれがその最大体積に達した後に、毛細管ブリッジ9を形成する液体と混合しない液体状態の流体媒体6を試料室5に充填することが好ましい場合がある。流体媒体6の存在が試験される表面4からの液体の分離を容易にする程度は、この後者の解決策の助けを借りて調査することができる。
【0098】
図3による装置および対応する方法の別の利点は、毛細管ブリッジを簡単かつ迅速に形成することができ、毛細管ブリッジの体積を正確に調整することができ、したがって毛細管ブリッジを容易に自動化することができ、すなわち高スループットの測定値を有することも可能になることである。さらなる有利な特性は、流体媒体が液相である場合、図2による配置とは対照的に、毛細管ブリッジを容易に形成することができることであり、空気-液体媒体界面を通って初期の懸濁液滴を通過することはより困難である。図3による配置によって、特に好ましい方式では、「液体下」の測定をはるかに簡単に実行することができ、当分野でしばしば適用される変位-湿潤(および脱湿潤)ならびに洗浄プロセスを研究することをより容易かつ正確にすることができ、それには液体-固体接着仕事量の決定が関係する。
【0099】
図3に示された装置によって実行される本発明による方法の実施形態では、周辺円形縁部を有するその端部に開口する毛細管伝導チャネル(図3の毛細管伝導チャネル14を参照)を有する測定要素が適用され、周辺円形縁部を有する端部の反対側の毛細管伝導チャネルの端部は、液体フィーダ(図3の液体フィーダ12を参照)に接続され、円筒対称保持修正は、液体に毛細管伝導チャネルを通過させることによって円筒対称毛細管ブリッジ上で実行され(これは、毛細管ブリッジを構築するための(適合された)液体、言い換えれば、その上で円筒対称保持修正を実行するためにも便宜的に適用される毛細管ブリッジを構築(構成)する液体であり、これは以下にも現れる)、仕事関連変位は、毛細管伝導チャネル内の液体の変位を決定するように適合された変位決定ユニットによって決定される。
【0100】
したがって、一方では、この実施形態において円筒対称保持修正を実行する方法が上記で指定され(すなわち、新しいステップは導入されないが、実行方式が指定され)、この場合、円筒対称保持修正は、このようにしてのみ実行される、すなわち、測定要素は静止したままであり、したがって、毛細管ブリッジの長さも変化しないが、毛細管ブリッジの形状-体積および界面面積-は変化する。さらに、仕事関連変位を決定する方式も指定される。
【0101】
液体に毛細管伝導チャネルを通過させることにより、毛細管ブリッジの体積を増大させることができ(毛細管ブリッジを「太くなる」ようにする)、液体を運び去ることもできる(毛細管ブリッジの体積を減少させる)、すなわち、この場合も、毛細管ブリッジに対して双方向プロセスを実施することができ-液体-固体接触線を前進および後退させるー、それは測定要素を移動させることによっても実施され、ならびに対応する仕事関連変位を決定することができる。
【0102】
上記によれば、本発明の特定の実施形態は、液体-固体接着仕事量を決定するように適合された装置に関する。本発明による装置は、本発明による方法を実行するのに適している、すなわち、本発明による装置は、本発明による方法を実行することによって液体-固体接着仕事量を決定するように適合される。
【0103】
本発明による装置は、
-周辺円形縁部を有するその端部を試験される表面を有する試験される固体とともに流体媒体内に配置するための周辺円形縁部を有する端部を有する(端部を伴う)測定要素
を備え、装置を利用する(使用する、使用中の)場合、測定要素および試験される表面は、周辺円形縁部を有する端部と試験される表面との間に液体円筒対称毛細管ブリッジを形成することができる(形成可能である)ように互いに対して配置され(これが構成要素の何の種類の相対配置を必要とするかは上記で対処された、図2および図3の流体媒体6、試験される表面、および毛細管ブリッジ9も参照)、測定要素は、周辺円形縁部を有する端部に開口する毛細管伝導チャネル14を有する(これは、好ましくは毛細管11内に形成され、図3では、液体で満たされて示されている)。
【0104】
場合によっては、装置の特定の構成要素は、毛細管ブリッジに関連して以下で定義することができる。一方で、この特徴付けは、これらの構成要素の低温状態構成も指定し、他方で、これらの特徴に関連して、毛細管ブリッジの形成に関連して上記の定義ですでに指定されたように、装置を利用する(使用する)場合にそれらの機能を実行することが理解される。
【0105】
装置は、
-周辺円形縁部を有する端部の反対側の毛細管伝導チャネル(図3の毛細管伝導チャネル14を参照)の端部が接続された液体フィーダ(図3の液体フィーダ12を参照)(当然、チャネルは2つの端部を有し、その一方は周辺円形縁部を有する端部に開口し、他方は液体フィーダに接続される、すなわち、液体フィーダは、この端部に液体を供給し、またはこの端部から液体を運び去る(取り出す)ことができる)と、
-毛細管ブリッジおよび流体媒体の第1の界面面積、ならびに毛細管ブリッジおよび試験される表面の第2の界面面積を決定するように適合された界面面積決定装置と
をさらに備え、
液体フィーダは、液体に毛細管伝導チャネルを通過させることによって毛細管ブリッジに対して円筒対称保持修正を実行するように適合される(適合されるように構成される)。
【0106】
すでに述べられたように、液体フィーダは、液体を供給し、それを運び去るのに適している、すなわち、液体に毛細管伝導チャネルを通過させることによって円筒対称保持修正を実行するのに適している。供給/除去に加えて、これは、毛細管ブリッジに前進または後退の修正が行われるように、円筒対称保持修正に対応する液体を追加または除去することも意味する。変位値を決定するために、液体フィーダによって、どのくらいの量の液体が供給または除去されたかを便宜的に決定することができる。
【0107】
装置が利用される(使用中である)とき、液体-流体界面も液体-固体接着仕事量を決定する役割を果たすので、周辺円形縁部を有する端部および試験される表面は、自由空気でさえあり得るが別の適切に選択された流体でもあり得る流体媒体に入る。試験される表面を有する試験される固体は、それが利用されていない(使用中でない)状態で装置の一部を形成しないように、交換可能であり得る。その上、特定の実施形態では、測定要素の円形端部は、運動を適用して流体媒体に入ることができる。
【0108】
界面面積決定装置(表面積決定装置)に関連して、光源およびカメラを示す図2および図3が参照され(好ましくはカメラとともに適用可能な光源、一般に、光記録を行うように適合されたデバイスは、通常、カメラが十分なコントラストおよび品質の画像を撮影できるように照明を提供するために利用される)、それらは、好ましくは界面面積決定装置の一部を形成することができ、それらの助けを借りて、カメラはそのようなデータを界面面積決定(計算)ユニット(これは、好ましくは界面面積決定装置の一部でもある)に転送することができ、それらの助けを借りて、毛細管ブリッジおよび流体媒体の第1の界面面積、ならびに毛細管ブリッジおよび試験される表面の第2の界面面積を決定することが可能である。
【0109】
本発明による装置は、
-円筒対称保持修正の過程で、円筒対称保持修正に対応する、毛細管伝導チャネル内の液体の仕事関連変位の少なくとも1つの変位値を決定するように適合された変位決定ユニットと、
-少なくとも1つの変位値に対する毛細管ブリッジに対応する毛細管力の力の値を決定する(測定によって決定する)ように適合された力測定器と、
-円筒対称保持修正の過程で変位決定ユニットによって決定された少なくとも1つの変位値、およびそれぞれに割り当てられた力の値に基づいて、円筒対称保持修正のための毛細管力に対応する総機械仕事量を決定するように適合された積分器ユニットと、
-円筒対称保持修正のために、
○円筒対称毛細管ブリッジの初期状態と最終状態との間の界面面積決定装置によって決定された、第1の界面面積の第1の界面面積変化および第2の界面面積の第2の界面面積変化に基づいて、総機械仕事量に対して、ならびに毛細管ブリッジおよび流体媒体の液体-流体界面張力に対して、
・試験される表面および(液体)毛細管ブリッジの固体-液体界面張力、ならびに
・試験される表面および流体媒体の固体-流体界面張力
の第1の差分値(すなわち、第1の差分値はこれらの量に基づいて決定される、上記の式を参照)を決定し、
○液体-流体界面張力から第1の差分値を減算することにより、円筒対称保持修正に対応し、毛細管ブリッジおよび試験される表面の指標である液体-固体接着仕事量を決定するように適合された仕事量決定ユニットと
さらに備える。
【0110】
装置に含まれるユニット(変位決定ユニット、積分器ユニット、仕事量決定ユニット)は、本質的に計算(算出)ユニットであり、これはそれらの名前にも反映される可能性がある。(同時に、上述された界面面積決定装置の一部を形成することができる)界面面積決定ユニットも、ここに含めることができる。
【0111】
装置内で、これらのユニットは、中央またはメイン計算ユニット(それらの機能(タスク)は、単一の中央計算ユニットによって実装することができるが、複数の計算ユニットによっても実装することができる)の一部であり得るが、各計算ユニットは独立している(自己完結型)可能性もあり、または部分的に共通の構成で部分的に独立して実装することもできる。
【0112】
変位決定ユニットは、液体フィーダ(好ましくは、既知の体積が液体フィーダによって送り出されるかまたは運び去られ、ならびに体積変化は、毛細管ブリッジの画像を解析することによって決定することもできる、上記を参照)によってもたらされる体積変化を毛細管伝導チャネルの断面積で割るように便宜的に動作し、それによって変位が決定される(内側および外側の両方の液体の移動をもたらす両方向の変位の値をそのように決定することができる)。上記の定義に記載されたように、積分器ユニットは、適切な入力データに基づいて液体-固体接着仕事量を決定するように適合される。
【0113】
装置に関連して上述されたことによれば、総機械仕事量を決定するために、変位は円筒対称保持修正に関連付けることができ、円筒対称保持修正は対称軸に平行に実行され、毛細管ブリッジの修正をターゲットとする。上記で分かるように、図2に関連して、変位は、測定要素の垂直変位によって引き起こされる毛細管ブリッジの長さの変化である。変位は、図3に関連しても同様にもたらすことができるが、この場合、毛細管ブリッジの長さは固定することもでき、その場合、液柱の変位(それによって毛細管ブリッジの体積が増加または減少する)は、行われた仕事量に関連付けることができる。したがって、両方向の変位は対称軸に平行であり、毛細管力もこの方向に作用する。
【0114】
さらに、本発明による装置では、力測定器は、周辺円形縁部を有する測定要素の端部の反対側に配置された測定面を有する重量計(スケール、はかり)であり、測定面は、その試験される表面が周辺円形縁部を有する端部に面するように試験される固体を配置するように適合される(重量計として実装された力測定器、ならびに図3の重量計および試験される表面4の相対配置を参照されたい、力測定器のそのような配置では、毛細管力の大きさは、本質的に、毛細管力によって試験される物体が重量計から持ち上げられるか、または重量計に押し付けられる程度として解釈することができる)。力測定器は、通常、それらが図に示された装置に配置されている場合、すなわち、例えば重量計の測定面が図3に示されたように水平である場合、力を正確に測定する(図2に示された力測定器は、通常、垂直方向の力を測定するのに適している)。
【0115】
流体媒体が自由空気である場合、試験される物体は、便宜的に測定面上に直接配置される。流体媒体が測定室内にある場合、試験される物体は、測定室内の測定面上に配置される。
【0116】
本発明による方法は、上記で定義されたそのステップによって示唆されるように、様々な装置を利用して実行することができ、これらの装置は、方法の説明において上記で紹介された機能を提供することが必要とされる。同時に、本発明による装置では、方法を実行できることを保証するような構成の詳細が必要とされる。その上、本発明による方法および装置の共通の発明概念の重要な構成要素は、本発明による方法が本発明による装置によって実行され得ることである。
【0117】
装置は、好ましくは、複数の毛細管ブリッジを形成する可能性があり、好ましくは(例えば、行列配置で)並んで配置され、毛細管ブリッジの各々に対応するそれぞれの測定要素が一緒に移動させられるか、または毛細管ブリッジの体積がそれら自体の毛細管チャネルを介して一緒に変更される(すなわち、好ましくはすべて同じ長さを有する)ように構成することができる(方法は、すなわち、この変形形態も本発明の範囲内に入る(この変形形態も本発明の主題である)、すなわち、実施形態を構成するように実行することができる)。重要な特徴は、毛細管力がこれらの毛細管ブリッジについてまとめて測定されるので、通常、単一の毛細管ブリッジの場合よりも大きい力を測定することが可能であることである。
【0118】
この場合、界面面積の決定は、当然、すべての毛細管ブリッジに対して実行され(界面面積の変化はまとめて決定され)、界面面積決定装置がそれを行うのに適している。
【0119】
以下では、親水性および疎水性の両方の場合の測定結果が図4Aおよび図4Bに関連して説明される。
【0120】
以下に含まれる測定は、図2に示された配置で、図に関連して記載された測定プロセスに従って実行された。丸で囲まれた測定点は、毛細管ブリッジの形成を示す(すなわち、毛細管ブリッジが丸で囲まれた位置に確立され、ブリッジが最初に圧縮され、次いで矢印に従って伸ばされる)。これは、変位スケール(範囲)のゼロ点とみなされる(図4A図4Bの変位軸のゼロ点を参照)。固体表面の互いのさらなる近似は、負の変位として示される。図4A図4Bの矢印は、プロセスの方向を示す。
【0121】
上述の通常適用される規約によれば、引力毛細管力の符号は正である、すなわち、例えば固体表面を引き合わせるように「試みる」場合に正であると見なされる[E.J.De Souzaら、Effect of Contact Angle Hysteresis on the Measurement of Capillary Forces、Langmuir24、ページ1391~1396(2008年)]。以下、この規約に従う。
【0122】
親水性表面(試験される固体表面/試験される表面の材料はSiOである)上で測定された典型的な力-変位曲線が図4Aに示されている。測定液は、1.5μlの体積を有する超純水であった。毛細管ブリッジの好ましく適用可能な体積範囲は、様々な実施形態において、液体および流体媒体の界面張力、ならびにそれらの密度の差分値によっても影響を受ける。測定された力および液体ブリッジの画像が5秒毎に(すなわち、図2図3に関連して上記で指定されたものよりも頻繁に)記録された。
【0123】
図4Aで測定された毛細管力は、最後まで正の力領域に留まる、すなわち、液体ブリッジは、境界を定める固体表面を互いに近づけるように試みる。近似段階(円から大きい負の値の方向に伸びる部分)では、(負の)機械仕事がシステムによって実行され、それは、近似段階で記録された力-変位曲線を積分することによって計算することができる(式(2)を参照)。この仕事量は、水-空気界面面積の(エネルギー的に有利な)減少(ΔAは負)、およびSiO-水界面面積の(同様にエネルギー的に有利な)増加(ΔBは正)に費やされる。
【0124】
より高い毛細管力の値は、離間段階で遭遇する(それは、対応する矢印によって示されたように、正の変位値の方向に曲がり角から伸びる部分である)。この理由は、SiO表面から水を分離することが、濡れプロセスの後の駆動力の大きさと比較してより困難である(エネルギー的により好ましくない)からである(この現象は、より高い前進接触角およびより低い後退接触角においても明らかである)。そのため、毛細管ブリッジの幾何形状、したがって界面面積の寸法(およびその変化)は、近似段階と離間段階とで異なる。離間段階では、システムに対して(正の符号の)仕事が実行され、その過程で水-空気界面面積が増大し(それはエネルギー的に好ましくない、ΔAが正)、SiO-水界面面積が減少する(それもシステムのエネルギーを増大させる、ΔBが負)。
【0125】
疎水性(シクロオレフィンポリマー)表面上で測定されたた典型的な力-変位曲線が図4Bに示されている。測定液は1.8μlの体積の超純水であり、この場合も5秒毎に測定された力の値および液体ブリッジの画像が記録された(上記の説明に従って、この測定も図2に示された配置を適用して実行された)。
【0126】
(同様により大きい負の変位値の方向に円から伸びる)近似段階では、最初は正の(収縮性の)毛細管力が符号を変え、負の力の範囲では、固体表面を互いからさらに移動させようと試みる。この範囲では、システムに対して仕事が実行される、すなわち、積分の値が正である(力および変位の両方が負である)ので、近似段階全体に対して計算される積分の値が増大する。同様に、離間段階の開始時に、システムによって仕事が実行され、式に負の符号の寄与が与えられる(力は負であるが、離間に起因して変位は正である)。
【0127】
したがって、本発明による方法および装置は、(接触角を測定することなく)液体-固体界面の指標である接着仕事量を決定することを対象としている。したがって、円形の固体表面と試験される固体表面との間の周囲の流体媒体内の液体から円筒対称毛細管ブリッジが形成され、接触線が円形の固体表面の縁部に付着(ピン留め)するように、装置を好ましく動作させることができ、方法を実行することができる。毛細管力は、毛細管ブリッジの長さまたは体積を変化させながら測定される。毛細管ブリッジの画像を処理することにより、毛細管ブリッジの長さまたは体積の変化から生じる各界面面積のサイズの変化が決定される。液体-固体接着仕事量は、試験される固体表面上に形成する液体の接触角を決定することなく、液体-流体界面張力が既知であるという条件で、(毛細管力を毛細管ブリッジの長さ変化または本質的には体積変化にわたって積分することによって)測定された力から、毛細管ブリッジの長さまたは体積の変化から、および界面面積のサイズの変化から計算することができる。さらに、決定された接着仕事量に基づいて、接触角の値は、測定することなく、((1)から角度を表す)計算によって決定することができる。
【0128】
以下では、冒頭で参照された従来技術の手法との区別が提供される。
【0129】
特開第2011191277A号公報、欧州特許第3571483A1号明細書、および特開第2004144573号公報による手法の共通の特徴は、液体-固体接着に関連する力が決定されるが、それらが界面面積のサイズの変化を決定することができないことである。これらの手法の共通の欠点は、これに起因する:固液接着仕事量は、これらの方法を適用して決定することができない、すなわち、様々な固体-液体材料ペアの接着特性は、同一のパラメータを用いて測定を実行し、特定の装置の所与の幾何形状を有する同じ配置を適用することによってのみ比較することができる。
【0130】
システムによってまたはシステム上で行われた仕事量および界面面積の変化が決定されず、接触角とは無関係の接着仕事量の決定も開示されていない、N.Nagy、(Contact Angle Determination on Hydrophilic and Superhydrophilic Surfaces by Using r-θ-Type Capillary Bridges、Langmuir35、ページ5202(2019年))による専門記事とは対照的に、本発明では、毛細管力によってまたは毛細管力に抗して行われた仕事量および界面面積のサイズの変化は、適切な測定量に基づいて決定され(好ましくは積分器を適用することによって、積分量に基づいて本発明による手法のような積分器を利用することは、それに関連して、以下も参照されたいが、専門記事には含まれていない)、液体-固体接着仕事量も、接触角とは無関係の極めて好ましい方式で決定される。
【0131】
本発明によれば、本発明者らは、液体-固体接着仕事量を決定するための方法が、毛細管ブリッジの変化を観察することに基づく極めて好ましい方式で構築することができ、液体-固体接着仕事量が、その過程で測定された量から決定されることを認識した。方法の過程で、接触角は利用されず(これらは測定されない)、代わりに、毛細管力によってまたは毛細管力に抗して行われた仕事量がそれぞれの界面面積の変化の他に測定され、液体-固体接着仕事量がこれらの測定量に基づいて決定される。
【0132】
したがって、本発明者らは、瞬間値に基づく手法の代わりに(すなわち、冒頭に従って仕事量を決定するための不確実性を含む接触角に対して)、液体-固体接着仕事量を決定することは、積分量の測定に基づくべきであるという認識に至った(好ましい方式では、接触角はその後それから計算することもできるが、このようにして、接触角の値を利用することなく接着仕事量を取得ることができる)。積分量に基づく本発明の手法はまた、プロセスの過程で不確実性およびゼロ平均値を有する測定誤差(ノイズ)が統合されるので、積分量が、通常、より高い精度で測定され得るという利点を有する。したがって、要約すると、本発明者らは、液体-固体接着仕事量を決定するために、従来技術の手法とは異なる測定方法を適用して、別のパラメータを測定する必要があることを認識した。
【0133】
上記をわずかに異なる方法で書くと、本発明によれば、そのプロセス(行われた仕事のバランスを調査すること、すなわち、毛細管ブリッジの円筒対称保持変更(修正)に対応する総機械仕事量が何に費やされ、その結果として、毛細管ブリッジの界面面積がどのように変化するかを確立すること)において変化が調査される、すなわち、測定点が特に互いに関連して調査されると言うことができる。したがって、本発明者らは、好ましくは積分器を適用し、毛細管ブリッジと周囲の流体との間に構成される界面面積、および毛細管ブリッジと試験される表面との間の界面面積などの、界面面積に関連する変化を考慮に入れる(これに関連して、調査されたセクションおよびそこに適用可能な経験則に関連する説明が参照される)。
【0134】
専門記事に関連して、本出願の式によって支持されるように(特に式(2)を参照)、(特定の場合に専門記事では「接着力」と呼ばれる)毛細管力の値は、液体と試験される固体表面との間の相互作用に部分的にのみ依存することにも留意されたい。その値は、液体および試験される固体表面の界面面積のサイズ、液体の表面張力、ならびに液体ブリッジの形状および幾何学的寸法によっても決定される。この結果として、毛細管力を(液体ブリッジの長さが変化する間)長さの変化にわたって積分することによって取得される量は、液体-固体接着仕事量ではない。後者は、界面面積の変化を考慮に入れずに決定することはできない。
【0135】
米国特許第6,537,499B1号明細書の開示、すなわち、表面に結合した分子の接着を研究することとは対照的に、本発明では、液体毛細管ブリッジに対して実行される円筒対称保持修正が調査される。本発明に関連して、液体-固体接着仕事量は、双方向で、すなわち、毛細管ブリッジの「増大」および「減少」の間に(前進状況および後退状況の両方で)決定することができ、それは、一方では、両方向の動きから生じる寄与の間の差に対する接着仕事の概念を注文し、他方では、2つのプロセスの間に、分子を下方に押す柱が弾性変形を受ける、すなわち、2つの互いに対向する固体表面が互いに強制的に押し付けられるので、文書による量とは異なる。後者は、本発明による方法に明らかに反し、相互に対向する測定面を互いに押し付けることが特に回避されるべきである(本発明では、前進状況または後退状況のいずれかが調査され、圧縮に加えて、前進状況から後退状況への転回も本発明による方法では回避され、積分は、通常、そのために実行されない、上記の経験則の説明を参照)。
【0136】
したがって、本発明では、接着仕事量は固体-液体接着仕事量であり、それは、毛細管ブリッジの円筒対称保持修正の過程で行われる機械的仕事量、液体-固体界面張力、および界面面積のサイズの変化の知識でのみ決定することができる。したがって、米国特許第6,537,499B1号明細書は、本発明に類似する液体-固体接着仕事量を決定するためのそのような方法を開示していない。
【0137】
冒頭で述べられた特開第2013174478A号公報および中国特許第2968623号明細書の場合、毛細管式の液体導入(具体的な一定量の液体の導入が言及されている)の他に、毛細管ブリッジの体積変化が調査されておらず、界面面積の変化に基づいて、本発明の工程に従って液体-固体接着仕事量が決定されていない。
【0138】
冒頭で説明された接触角の測定に基づいて液体-固体接着仕事量を決定するための式(1)は、先行技術の一部として上記で言及された他の文献でも参照される(上記の中国特許第2968623号明細書を参照)。本発明は、接触角の測定に基づく計算に関連する欠点(理論的な測定の不確実性)を排除し、接触角の測定とは無関係に液体-固体接着仕事量を決定するための解決策、すなわち直接的な方法を与える。
【0139】
要約すると、本発明による方法および装置は、液体-固体接着仕事量が、試験される固体表面に形成する液体の接触角を知ることなく、力測定に基づいて決定されるという利点を有する。さらなる利点は、非常に小さい体積の液体量を利用するだけで十分であり、測定を試料室内で実行することができる、すなわち流体媒体を選択することができることである。したがって、測定は、液体のほぼ飽和した(飽和に近い)蒸気空間内で、または別の混合しない液体媒体内で実行することができる。
【0140】
本発明を特徴づけるために、さらなる実施形態を定義する以下のポイントが記載される。以下の段落1は、そこに述べられていない本発明のさらなる特徴を含むと解釈されるべきであるが、段落1で与えられた特定の特徴は、本発明の特定の特徴に対応するようにすることができ、任意の特徴も現れる。さらなるサブポイントは、段落間の相互参照に従って実施形態に他の任意選択の特徴を加える。
1.円形の固体表面1と、力測定器2と、リニアムーバ3と、試験される固体表面4と、少なくとも1つの光源7と、少なくとも1つのカメラ8と、少なくとも1つの毛細管ブリッジ9と、少なくとも1つの積分器ユニット10とを有し、力測定器2によって測定された毛細管力が、積分器ユニット10によって毛細管ブリッジ9の長さの変化にわたって積分され、毛細管ブリッジ9の界面面積のサイズが、カメラ8の画像に基づいて積分器ユニット10によって計算される、接触角測定を伴わない固液接着仕事量を決定するための装置。
2.毛細管11のベースプレートを形成する円形の固体表面1と、力測定器2と、リニアムーバ3と、試験される固体表面4と、少なくとも1つの光源7と、少なくとも1つのカメラ8と、少なくとも1つの毛細管ブリッジ9と、少なくとも1つの積分器ユニット10と、少なくとも1つの液体フィーダ12とを備え(任意選択で装置はこれらから構成される)、力測定器2によって測定された毛細管力が、積分器ユニット10によって毛細管ブリッジ9の体積の変化にわたって積分され、毛細管ブリッジ9の界面面積のサイズが、カメラ8の画像に基づいて積分器ユニット10によって計算される、接触角測定を伴わない固液接着仕事量を決定するための装置。
3.円形の固体表面1の材料がガラスである、ポイント1またはポイント2に記載の装置。
4.円形の固体表面1の材料がプラチナである、ポイント1またはポイント2に記載の装置。
5.液体のメニスカスが円形の固体表面1の縁部に付着(ピン留め)する、ポイント1またはポイント2に記載の装置。
6.円形の固体表面1、試験される固体表面4、および毛細管ブリッジ9が共通の試料室5内に配置される、ポイント1またはポイント2に記載の装置。
7.試料室5を満たす流体媒体6が、液体のほぼ飽和した蒸気空間である、ポイント6に記載の装置。
8.試料室5内の毛細管ブリッジ9の環境を形成する流体媒体6が、液体と混合しない液体状態の媒体である、ポイント6に記載の装置。
9.円形の固体表面1と試験される固体表面4との間で液体から流体媒体6に形成された円筒対称毛細管ブリッジ9の長さを変化させること、および毛細管力を測定することに基づいて、液体-固体接着仕事量を決定するための方法であって、毛細管ブリッジ9の長さが変化させられ、毛細管力および毛細管ブリッジ9の長さの変化が測定される過程で、液体-流体界面面積のサイズの変化、および液体と試験される固体表面4との間の界面面積のサイズの変化が決定され、これらに基づいて液体-固体接着仕事量が計算される、方法。
10.円形の固体表面1と試験される固体表面4との間で液体から流体媒体6に形成された円筒対称毛細管ブリッジ9の毛細管力を測定することに基づいて、液体-固体接着仕事量を決定するための方法であって、毛細管ブリッジ9の体積が変化させられ、毛細管力および毛細管ブリッジ9の体積の変化が測定される過程で、液体-流体界面面積のサイズの変化、および液体と試験される固体表面4との間の界面面積の変化が決定され、これらに基づいて液体-固体接着仕事量が計算される、方法。
11.円形の固体表面1の材料がガラスである、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
12.円形の固体表面1の材料がプラチナである、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
13.液体のメニスカスが円形の固体表面1の縁部に付着(ピン留め)する、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
14.液体、流体媒体6、および試験される固体表面4の相境界で発生する接触角が、液体-固体接着仕事量から計算される、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
15.液体と流体媒体6との間の界面面積のサイズ、および液体と試験される固体表面4との間の界面面積のサイズが、毛細管ブリッジ9の画像を処理することに基づいて決定される、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
16.毛細管ブリッジ9の体積が、毛細管ブリッジ9の画像を処理することに基づいて計算される、ポイント10に記載の方法。
17.円形の固体表面1、試験される固体表面4、および毛細管ブリッジ9が共通の試料室5内に配置される、ポイント9またはポイント10に記載の方法。
18.試料室5を満たす流体媒体6が、液体のほぼ飽和した蒸気空間である、ポイント17に記載の方法。
19.試料室5内の毛細管ブリッジ9の環境を形成する流体媒体6が、液体と混合しない液体状態の媒体である、ポイント17に記載の方法。
20.液体と混合しない液体状態の流体媒体6が、毛細管ブリッジ9が形成された後に試料室5内に満たされる、ポイント19に記載の方法。
21.液体と混合しない液体状態の流体媒体6が、毛細管ブリッジ9のそのような状態で試料室5内に満たされ、それが最小であるか、または最大の体積を有する、ポイント19に記載の方法。
【0141】
本発明は、当然、上記で詳細に記載された好ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって決定される保護の範囲内でさらなる変形、修正、および開発が可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】